説明

非常ドア監視装置及び非常ドア監視システム

【課題】スタンドアローンの状態で非常ドアに取り付けられている物理鍵の利用を自動的に検知し,該物理鍵の利用履歴を記録することのできる非常ドア監視装置を提供する。
【解決手段】非常ドア監視装置2は,遮光性のある素材が用いられ,非常ドア3の物理鍵3aを覆うように設けられるプラスチックカバー21と,プラスチックカバー21が破壊されることで変化する所定のデータを取得するセンサとして照度センサ22と,照度センサ22の出力値からプラスチックカバー21の破壊を物理鍵3aの利用として検知し,プラスチックカバー21の破壊を検知したときの時刻データを含む鍵利用履歴を記録する鍵利用検知手段として機能するICタグユニット20を備え,照度センサ22は,遮光性のある素材が用いられたプラスチックカバー21の内側に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,非常ドアにスタンドアローンの状態で設けられた物理鍵の利用を監視する装置及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
機密データの漏洩を防止すべく,企業側で,個人情報などの機密データが保管される施設内の部屋のドアに電子鍵を設け,該施設内の部屋への入退室を自動で管理する入退室管理システムを導入するケースが増えている。
【0003】
入退室管理システムにおいては,施設内の部屋のドアに設けられた電子鍵の開錠制御のみならず,電子鍵の開錠などの履歴を記録し,電子鍵の開錠などの履歴を後日解析できるようにしておくことも必要で,電子鍵の開錠などの履歴を記録する入退室管理システムに係わる発明としては既に多数開示されているが,ここでは,その一例として,特許文献1から特許文献3を記載しておく。
【0004】
電子鍵の開錠などの履歴がとれる入退室管理システムにおいては,施設内の部屋のドア近辺に設けられた装置を利用して,該部屋に入退室するユーザから認証情報を取得し,認証情報の認証に成功した後,電子鍵の開錠など所定の履歴を記録することが一般的で, 例えば,特許文献1で開示されている入退室管理システムでは,ユーザから取得した識別情報が予め該入退室管理システムに登録されている場合,ドアロックを開錠し、該識別情報を取得してから一定時間以内にドアが開状態になると入室履歴を記録する。
【0005】
また,特許文献2で開示されている入退室管理システムでは,認証情報(ここでは,個人識別データ)の認証結果に加え,監視カメラが撮影した撮影画像が履歴として記録する。
【0006】
更に,特許文献3で開示されている入退室管理システムでは,ユーザから所持する携帯電話から送信された暗証番号を認証し,ユーザの入退室の可否を判断した後に,入退室の履歴を記録する。
【0007】
しかし,個人情報などの機密データが管理される施設内の部屋には,入退室管理システムによって入退室が管理される常時利用のドアばかりではなく,火災・地震などの緊急時に備え非常ドアが設けられ,この非常ドアは緊急時にのみ利用されるため,非常ドアには入退室管理システムが設けられず,緊急時に鍵などを用いなくとも非常ドアが利用できるように,手動で開閉可能できる物理鍵が電子錠の替わりに取り付けられている。
【0008】
当然のことながら,常時利用のドアばかりではなく,非常ドアの利用の履歴を管理することも重要であるが,非常ドアの物理鍵は,他の装置と接続されずに,スタンドアローンの状態で非常ドアに取り付けられていることが多く,現状は,物理鍵の利用を目視で容易に確認できるように,透明のプラスチックカバーで物理鍵を覆うことに留まっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第3907078号
【特許文献2】特開2003−27796号公報
【特許文献3】特開2006―172286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで,本発明は,スタンドアローンの状態で非常ドアに取り付けられている物理鍵であっても,該物理鍵の利用を自動的に検知し,該物理鍵の利用履歴を記録することのできる非常ドア監視装置,及び,該非常ドア監視装置が該物理鍵の利用を検知したときに,防犯に係わる所定の動作を行うことができる非常ドア監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決する第1の発明は,非常ドアに設けられた物理鍵を覆うように設計されたプラスチックカバーと,前記プラスチックカバーの破壊によって変化する所定のデータを取得するセンサ手段と,時刻を計測する時計手段と,無線によってデータを送受信する無線通信手段と,前記センサ手段の出力値を監視し,前記センサ手段の出力値が所定の閾値に達すると,前記プラスチックカバーが破壊され前記物理鍵が利用されると判定し,この時の時刻データを前記時計手段から取得し,該時計データを含む鍵利用履歴を生成しメモリに記録する鍵利用検知手段と,外部装置から前記鍵利用履歴の送信要求を受信すると,該メモリに記録されている前記鍵利用履歴を前記無線通信手段を利用して該外部装置に送信する鍵利用履歴送信手段とを備えたことを特徴とする非常ドア監視装置である。
【0012】
更に,第2の発明は,第1の発明に記載の非常ドア監視装置であって,前記鍵利用検知手段は,前記プラスチックカバーが破壊され前記物理鍵が利用されると判定すると,前記物理鍵の利用を検知したことを示す鍵利用信号を前記無線通信手段を利用して発信することを特徴とする非常ドア監視装置である。
【0013】
更に,第3の発明は,第1の発明又は第2の発明に記載の非常ドア監視装置であって,前記センサ手段は照度センサで,該照度センサは,遮光性を有する前記プラスチックカバーの内側に設けられていることを特徴とする非常ドア監視装置である。
【0014】
更に,第4の発明は,第1の発明又は第2の発明に記載の非常ドア監視装置であって,前記センサ手段はマグネットセンサで,該マグネットセンサのマグネット部は,前記プラスチックカバーが破壊されたときに,該マグネットセンサの本体から離れるように,前記プラスチックカバーに設置されていることを特徴とする非常ドア監視装置である。
【0015】
更に,第5の発明は,第1の発明又は第2の発明に記載の非常ドア監視装置であって, 前記センサ手段は振動センサで,該振動センサは,前記プラスチックカバーに加わる振動を取得するように設置されていることを特徴とする非常ドア監視装置である。
【0016】
更に,第6の発明は,非常ドアに設けられた物理鍵を覆うように設計されたプラスチックカバーと,前記プラスチックカバーが破壊されることで変化する所定のデータを取得するセンサ手段と,時刻を計測する時計手段と,無線によってデータを送受信する無線通信手段と,前記センサ手段の出力値を監視し,前記センサ手段の出力値が所定の閾値に達すると,前記プラスチックカバーが破壊され前記物理鍵が利用されると判定し,この時の時刻データを前記時計手段から取得し,該時計データを含む鍵利用履歴を生成しメモリに記録すると共に,前記物理鍵の利用を検知したことを示す鍵利用信号を前記無線通信手段して発信する鍵利用検知手段と,外部装置から前記鍵利用履歴の送信要求を受信すると,該メモリに記録されている前記鍵利用履歴を無線通信手段して該外部装置に送信する鍵利用履歴送信手段と,を備えた非常ドア監視装置と,前記非常ドア監視装置が発信した鍵利用信号を受信する手段と,該鍵利用信号を受信すると,所定の動作を実行する防犯装置とから少なくとも構成される非常ドア監視システムである。
【0017】
更に,第7の発明は,第6の発明に記載の非常ドア監視システムであって,前記防犯装置は警報装置であって,該警報装置は,前記鍵利用信号を受信すると,警報を発する動作を実行することを特徴とする非常ドア監視システムである。
【0018】
更に,第8の発明は,第6の発明に記載の非常ドア監視システムであって,前記防犯装置は監視カメラであって,該監視カメラは,前記鍵利用信号を受信すると,前記鍵利用信号を受信したことを示すタグデータを,該監視カメラが撮影しているこの時点の映像に付加する動作を実行することを特徴とする非常ドア監視システムである。
【発明の効果】
【0019】
上述した本発明によれば,スタンドアローンの状態で非常ドアに取り付けられている物理鍵であっても,該物理鍵の利用を自動的に検知し,該物理鍵の利用履歴を記録することのできる非常ドア監視装置,及び,該非常ドア監視装置が該物理鍵の利用を検知したときに,防犯に係わる所定の動作を行うことができる非常ドア監視システムを提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】非常ドア監視システムを説明する図。
【図2】非常ドアに設置された状態の非常ドア監視装置を説明する図。
【図3】非常ドア監視装置の内部を説明する図。
【図4】非常ドア監視装置に備えられたICタグユニットのブロック図。
【図5】ドアノブタイプの物理鍵用の非常ドア監視装置を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
ここから,本発明に係わる非常ドア監視装置2及び非常ドア監視システム1について,図を参照しながら詳細に説明する。
【0022】
図1は,非常ドア監視装置2が設けられた非常ドア監視システム1を説明する図である。
【0023】
図1で図示した非常ドア監視システム1は,入退室が管理される部屋の非常ドア3に設けられた物理鍵3aの利用を自動的に検知し,物理鍵3aの利用を検知したときに,防犯に係わる所定の動作を自動で実行するために設置されるシステムで,図1で図示した非常ドア3に設けられた物理鍵3a(図1では見えない)に,物理鍵3aの利用を自動で検知する非常ドア監視装置2が設置され,非常ドア3の内側の上部には,非常ドア3があることを示す非常口灯6が設置されている。
【0024】
また,図1で図示した非常ドア監視システム1には,非常ドア監視装置2が発信する鍵利用信号を受信し利用する防犯装置として,非常ドア3付近の壁には,警備室と接続している警報装置5が設置され,更に,非常ドア3が設けられた部屋の天井には,非常ドア3を含むように撮影範囲が設定された監視カメラ4が設置されている。
【0025】
まず,物理鍵3aの利用を自動で検知する非常ドア監視装置2について説明する。図2は,非常ドア3に設置された状態の非常ドア監視装置2を説明する図で,図3は,非常ドア監視装置2の内部を説明する図である。
【0026】
図2で図示しているように,本実施形態において,非常ドア監視装置2は,遮光性のある素材が用いられ,非常ドア3の物理鍵3aを覆うように設けられるプラスチックカバー21と,図3で図示しているように,プラスチックカバー21が破壊されることで変化する所定のデータを取得するセンサとして照度センサ22と,照度センサ22の出力値からプラスチックカバー21の破壊を物理鍵3aの利用として検知し,プラスチックカバー21の破壊を検知したときの時刻データを含む鍵利用履歴を記録する鍵利用検知手段として機能するICタグユニット20を備え,照度センサ22は,遮光性のある素材が用いられたプラスチックカバー21の内側に設けられている。
【0027】
図2で図示しているように,プラスチックカバー21には遮光性のある素材が用いられているため,プラスチックカバー21の内側は,プラスチックカバー21が破壊されない限り暗く,図3で図示しているように,プラスチックカバー21の内側に照度センサ22を設置すれば,プラスチックカバー21が破壊され,非常ドア3の上方に設けられた非常口灯6の光が差し込むと,照度センサ22の出力値が変化するため,照度センサ22の出力値を監視していれば,プラスチックカバー21が破壊され,非常ドア3の物理鍵3aが利用されることを検知できるようになる。
【0028】
後述するように,プラスチックカバー21の取り外し・破壊によって変化する所定のデータを取得するセンサ手段として,照度センサ22以外のセンサを用いることができるが,非常ドア3の上方には非常口灯6が設けられていることが一般的であるため,該センサ手段として照度センサ22を利用するとよい。
【0029】
また,プラスチックカバー21が破壊されることで変化する所定のデータを取得するセンサ手段として照度センサ22を利用するときは,照度センサ22用の光源を別途設けてもよい。例えば,照度センサ22が赤外線を検出するセンサとするならば,プラスチックカバー21の外側から照度センサ22を照らす赤外線の光源が別途設けられる。
【0030】
なお,図2及び図3で図示しているように,物理鍵3aを覆うようにプラスチックカバー21は設けられているため,物理鍵3aを利用するためには,プラスチックカバー21を必ず破壊しなければならず,物理鍵3aの利用の検知をプラスチックカバー21の破壊の検知に置き換えても差し支えない。
【0031】
図4は,非常ドア監視装置2に備えられたICタグユニット20のブロック図である。本実施形態において,非常ドア監視装置2のICタグユニット20は,アクティブICタグと同様に,プログラムを解釈・実行するCPU200(Central Processing Unit)と,CPU200が実行するプログラムが記憶される不揮発性メモリであるROM202(Read-Only Memory)と,CPU200がプログラムを実行するときに利用する揮発性メモリであるRAM201(Random Access Memory)と,電気的に書き換え可能なメモリで,鍵利用履歴が記録されるメモリであるEEPEOM203(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)と,時刻を計る時計回路204と,アンテナ205aが接続され,所定の周波数帯(例えば,UHF帯)を利用した無線通信を行う回路である無線通信回路205と,これらの回路に電源を供給する電池206が備えられ,ICタグユニット20のCPU200には,プラスチックカバー21の内側に設けられる照度センサ22の出力値が入力される。
【0032】
非常ドア監視装置2に備えられたICタグユニット20のROM202には,本発明に係わる鍵利用検知手段及び鍵利用履歴送信手段として,ICタグユニット20のCPU200を機能させるためのプログラムが記憶されている。
【0033】
非常ドア監視装置2に備えられたICタグユニット20のCPU200は,常時,照度センサ22から入力される照度センサ22の出力値を監視し,プラスチックカバー21が破壊されて,照度センサ22が受光する光量が増え,照度センサ22の出力値が定められた閾値を超えると,プラスチックカバー21が破壊された物理鍵3aが利用されると判断し,このときの時刻データを時計回路204から取得し,該時刻データを少なくとも含む鍵利用履歴を生成し,該鍵利用履歴をEEPROM203に書き込むと共に,プラスチックカバー21の破壊を検知したことを示す鍵利用信号の送信を無線通信回路205に指示する動作を行う。
【0034】
また,非常ドア監視装置2に備えられたICタグユニット20のCPU200は,ICカードに備えられているリードコマンドのように,定期的に巡回する警備員が所持するリーダライタなどの外部装置から,鍵利用履歴を送信する命令を受信すると,無線通信回路205を利用し,ICタグユニット20のEEPROM203に記録された鍵利用履歴を該外部装置に対して無線送信する動作を行う。
【0035】
プラスチックカバー21の破壊を検知したときに,この時点の時刻データを含む鍵利用履歴をEEPROM203に書き込むことで,非常ドア監視装置2をネットワーク接続しなくとも,スタンドアローンの状態で鍵利用履歴を記録できるようになり,ICタグユニット20のEEPROM203に書き込まれた鍵利用履歴を読み出せば,プラスチックカバー21が破壊されたときの日時などを確認できるようになる。
【0036】
プラスチックカバー21の破壊を検知したときに鍵利用信号を無線発信する機能を非常ドア監視装置2に備えさせるのは,非常ドア監視装置2以外の防犯装置と非常ドア監視装置2を協働させるためである。
【0037】
非常ドア監視装置2と協働させる防犯装置は任意に設定できるが,図1では,鍵利用信号を利用し,非常ドア監視装置2と協働する防犯装置として警報装置5と監視カメラ4が図示されている。
【0038】
非常ドア監視装置2と協働する警報装置5は,非常ドア監視装置2が発信する鍵利用信号を受信するためにアンテナなどの無線通信手段を備え,非常ドア監視装置2が発信した鍵利用信号を受信すると,警報装置5に備えられた警報灯50を点灯させ,警報装置5に備えられたスピーカ51から警報音を発信させると共に,鍵利用信号を受信したことを示すデータを警備室5aに対して送信する動作を行う。
【0039】
また,非常ドア監視装置2と協働する監視カメラ4は,非常ドア監視装置2が発信する鍵利用信号を受信するためにアンテナなどの無線通信手段を備え,非常ドア監視装置2が発信した鍵利用信号を受信すると,非常ドア監視装置2から鍵利用信号を受信したことを示すタグデータを,監視カメラ4が撮影しているこの時点の映像に付加する処理を実行する。
【0040】
非常ドア監視装置2から鍵利用信号を受信したことを示すタグデータをこの時点の映像に付加することで,監視カメラ4が撮影した映像の中から,ICタグユニット20が異常を検知したときの映像を容易に検索・確認する事ができるようになる。
【0041】
また,外部からの指示に従い撮影方向を変更できる監視カメラ4の場合、非常ドア監視装置2から発信する鍵利用信号を受信すると,非常ドア3を含むように方向で映像を撮影するように,監視カメラ4を設定しておくとよい。
【0042】
なお、本発明は、これまで説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の均等の範囲内である。
【0043】
これまで説明した実施形態では,非常ドアに設けられた物理鍵を覆うプラスチックカバーが破壊されることで変化する所定のデータを取得するセンサ手段を照度センサ22としていたが,該センサ手段は照度センサ22に限定されず,また,プラスチックカバーの形状は,図2及び図3で図示したプラスチックカバー21の形状に限定されない。
【0044】
プラスチックカバーが破壊されることで変化する所定のデータを取得するセンサ手段としては,例えば,振動センサ,マグネットセンサなどをも利用することができ,プラスチックカバーの形状や構造は,非常ドアに設けられた物理鍵の形状や,該センサ手段として利用するセンサに依存する。
【0045】
プラスチックカバーが破壊されることで変化する所定のデータを取得するセンサ手段として振動センサを利用するときは,プラスチックカバーと振動センサを物理的に接続させ,プラスチックカバーの振動を振動センサが検出するようにしておき,ICタグユニットは,定められた閾値以上の振動を検出すると,プラスチックカバーが破壊されたと判定する。
【0046】
また,プラスチックカバーが破壊されることで変化する所定のデータを取得するセンサ手段としてマグネットセンサを利用するときは,マグネットセンサの本体をICタグユニットに備えさせ,プラスチックカバーが破壊されたときに,マグネットセンサのマグネット部と本体とが離れるように,マグネットセンサのマグネット部をプラスチックカバーの内側又は外側に貼着させておき,非常ドア監視装置のICタグユニットは,マグネットセンサからマグネット部が離れたことを示す信号が出力されると,プラスチックカバーが破壊されたと判定する。
【0047】
図5は,ドアノブタイプの物理鍵用の非常ドア監視装置を説明する図で,図5で図示した非常ドア監視装置7では,非常ドア3に設けられた物理鍵3b全体を覆うようにプラスチックカバー71は設計され,プラスチックカバー71が破壊によって変化する所定のデータを取得するセンサ手段としてマグネットセンサ72が利用されている。
【0048】
図5で図示した非常ドア監視装置7のプラスチックカバー71は円筒形で,プラスチックカバー71の非常ドア3側の面はドーナツ形状になっており,プラスチックカバー71の非常ドア3側の面の一部にマグネットセンサ72のマグネット部72aが埋め込まれている。
【0049】
非常ドア監視装置7のICタグユニット70は,マグネットセンサ72を利用する以外は,これまで説明したICタグユニット20と同様の機能を備え,上面及び底面がドーナツ形状をしている円筒形で,ICタグユニット70に,マグネットセンサ72の本体が組み込まれている。
【0050】
図5で図示した非常ドア監視装置7においては,非常ドア監視装置7のICタグユニット70とプラスチックカバー71の取り付け部を細くするなどしておくことで,プラスチックカバー71全体がICタグユニット70から容易にはずれる構造になっており,プラスチックカバー71全体がICタグユニット70からはずれると,マグネットセンサ72の本体とマグネット部72aが離れ,非常ドア監視装置7のICタグユニット70は,プラスチックカバー71が破壊されたと判定する。
【符号の説明】
【0051】
1 非常ドア管理システム
2 非常ドア管理装置
20 ICタグユニット
21 プラスチックカバー
22 照度センサ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
非常ドアに設けられた物理鍵を覆うように設計されたプラスチックカバーと,
前記プラスチックカバーの破壊によって変化する所定のデータを取得するセンサ手段と,
時刻を計測する時計手段と,
無線によってデータを送受信する無線通信手段と,
前記センサ手段の出力値を監視し,前記センサ手段の出力値が所定の閾値に達すると,前記プラスチックカバーが破壊され前記物理鍵が利用されると判定し,この時の時刻データを前記時計手段から取得し,該時計データを含む鍵利用履歴を生成しメモリに記録する鍵利用検知手段と,
外部装置から前記鍵利用履歴の送信要求を受信すると,該メモリに記録されている前記鍵利用履歴を前記無線通信手段を利用して該外部装置に送信する鍵利用履歴送信手段と,
を備えたことを特徴とする非常ドア監視装置。
【請求項2】
請求項1に記載の非常ドア監視装置であって,前記鍵利用検知手段は,前記プラスチックカバーが破壊され前記物理鍵が利用されると判定すると,前記物理鍵の利用を検知したことを示す鍵利用信号を前記無線通信手段を利用して発信することを特徴とする非常ドア監視装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の非常ドア監視装置であって,前記センサ手段は照度センサで,該照度センサは,遮光性を有する前記プラスチックカバーの内側に設けられていることを特徴とする非常ドア監視装置。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の非常ドア監視装置であって,前記センサ手段はマグネットセンサで,該マグネットセンサのマグネット部は,前記プラスチックカバーが破壊されたときに,該マグネットセンサの本体から離れるように,前記プラスチックカバーに設置されていることを特徴とする非常ドア監視装置。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載の非常ドア監視装置であって,前記センサ手段は振動センサで,該振動センサは,前記プラスチックカバーに加わる振動を取得するように設置されていることを特徴とする非常ドア監視装置。
【請求項6】
非常ドアに設けられた物理鍵を覆うように設計されたプラスチックカバーと,前記プラスチックカバーが破壊されることで変化する所定のデータを取得するセンサ手段と,時刻を計測する時計手段と,無線によってデータを送受信する無線通信手段と,前記センサ手段の出力値を監視し,前記センサ手段の出力値が所定の閾値に達すると,前記プラスチックカバーが破壊され前記物理鍵が利用されると判定し,この時の時刻データを前記時計手段から取得し,該時計データを含む鍵利用履歴を生成しメモリに記録すると共に,前記物理鍵の利用を検知したことを示す鍵利用信号を前記無線通信手段して発信する鍵利用検知手段と,外部装置から前記鍵利用履歴の送信要求を受信すると,該メモリに記録されている前記鍵利用履歴を無線通信手段して該外部装置に送信する鍵利用履歴送信手段と,を備えた非常ドア監視装置と,
前記非常ドア監視装置が発信した鍵利用信号を受信する手段と,該鍵利用信号を受信すると,所定の動作を実行する防犯装置とから少なくとも構成される非常ドア監視システム。
【請求項7】
請求項6に記載の非常ドア監視システムであって,前記防犯装置は警報装置であって,該警報装置は,前記鍵利用信号を受信すると,警報を発する動作を実行することを特徴とする非常ドア監視システム。
【請求項8】
請求項6に記載の非常ドア監視システムであって,前記防犯装置は監視カメラであって,該監視カメラは,前記鍵利用信号を受信すると,前記鍵利用信号を受信したことを示すタグデータを,該監視カメラが撮影しているこの時点の映像に付加する動作を実行することを特徴とする非常ドア監視システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−281066(P2010−281066A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−133876(P2009−133876)
【出願日】平成21年6月3日(2009.6.3)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】