説明

非常用信号灯及び非常用信号灯システム

【課題】
ビルディング、地下街等において、非常時に人を避難誘導する場合等に、警告/誘導をより明確に表示することができ、きわめて簡易に設置することができる非常用信号灯及び非常用信号灯システムを実現する。
【解決手段】 非常用信号灯を、発光ダイオードを用いた表示部と、制御信号を受信する無線受信機と一次電池を用いた電源部とから構成し、配線を不要とする。送信部は、複数設置される前記非常用信号灯に対し、表示部の発光パターンを切換えさせる制御信号を発信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビルディング、地下街等において、災害時に人を避難誘導することができる非常用信号灯及び非常用信号灯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオードを用いた表示部と、制御信号を受信する無線受信機と太陽電池及び二次電池を用いた電源部から構成される路側信号灯及び路側信号灯システムが、本件発明者により提案されている(特許文献1参照)。しかし、この装置においては太陽電池を使用するため、屋内での使用は困難である。
【0003】
【特許文献1】特願2003−321134
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで本発明は、ビルディング、地下街等、主に屋内において、非常時に人を避難誘導する場合等に、警告/誘導をより明確に表示することができ、きわめて簡易に設置することができ、かつ独立した電源を有するため非常時に確実に作動する非常用信号灯を実現することを目的としたものである。さらに、この非常用信号灯を用いて、より簡易にシステム全体を構成することができるようにすることをも目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、発光ダイオードを用いて、少なくとも2種類の発光パターンを有する表示部と、制御信号を受信する無線受信機を有し、前記表示部の発光パターンの切換えを行なう制御部と、一次電池によって前記表示部及び制御部に電源を供給する電源部とからなる非常用信号灯である。
【0006】
さらに、この制御部は、制御信号からその信号灯への信号のみを識別する識別機能を有するものとしてもよい。そして、この制御部は、無線ページャ、携帯電話等の公共無線通信を用いるようにすることもできる。
【0007】
本発明は、上記非常用信号灯と、火災、煙、停電等を感知して、前記非常用信号灯に対し、表示部の発光パターンを切換えさせる制御信号を発信し、かつ周波数、送信出力及び/又はアンテナの指向性により選択した非常用信号灯へ送信するように設定された送信部とから構成される非常用信号灯システムを包含する。
【0008】
さらに本発明は、上記非常用信号灯と、火災、停電等を感知して、前記非常用信号灯に対し、表示部の発光パターンを切換えさせる制御信号を発信し、かつ識別機能を用いて、選択した非常用信号灯のみを作動させるように設定された送信部とから構成される非常用信号灯システムを包含する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の非常用信号灯は、発光部に発光ダイオードを用い、電源に一次電池を用い、制御信号を無線により受信するため、配線を皆無とすることができ、設置、維持はきわめて簡易となる。
【0010】
さらに、制御部が識別機能を有するものとすると、多数の非常用信号灯を設置しても、それぞれをきめ細かく多様に作動させることができる。また、無線ページャ、携帯電話等の公共無線通信を用いると、周波数割り当てを得たり、無線局を開設するための煩雑な手続きが不要となり、かつ無線機自体に量産されている安価なものが使用できるので、本発明の実施が著しく容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本発明の実施例について詳しく説明する。
【実施例1】
【0012】
図1,2に本発明の非常用信号灯10を示し、図2に複数の非常用信号灯10,…を用いて構成された本発明の第1実施例の非常用信号灯システム20を示す。
【0013】
この非常用信号灯10は、正面に発光ダイオードを用いた表示部11を有する。この表示部11は、消灯状態、橙色点滅状態、赤色点滅状態の3種類の発光パターンを有し、これらは平常時、誘導、警告にそれぞれ対応する。非常用信号灯内には制御信号を受信する無線受信機を有し、前記表示部11の前記発光パターンを切換えさせる制御部(図示しない)が内蔵されている。さらに電池蓋12を有し、かつ内部に一次電池(図示しない)を有し、前記表示部11及び制御部に電源を供給する電源部が設けられている。なお、電池蓋12を含め、防水構造とすることが望ましい。
【0014】
なお、前記発光パターンは容易に識別できるものであれば任意である。
【0015】
この非常用信号灯システム20では、複数の非常用信号灯10,…が通路に沿って、壁面に取付けて設置される。
【0016】
これらの非常用信号灯10,…の付近に、送信部21が設置される。この送信部21は火災、煙、停電等を感知するセンサを有し、これらを感知したとき、非常用信号灯10,…へ表示部の発光パターンを切換えさせる制御信号を発信する。この発信される電波は、周波数、送信出力及び/又はアンテナの指向性により選択した所定の非常用信号灯10,…のみへ送信するように設定されている。
【0017】
なお、この送信部21において、センサの具体的構成は任意である。また、既存の火災報知器、煙感知器等と連動させることも可能である。
【0018】
したがって、この非常用信号灯システム20では、送信部21で火災、煙、停電等を感知すると、付近に位置する非常用信号灯10,…が警告時の発光パターンとなり、警告を伝達することができる。
【0019】
上記非常用信号灯システム20では、送信部21は発信する電波の周波数、送信出力及び/又はアンテナの指向性により、制御すべき非常用信号灯10,…を選択しているが、制御部が、制御信号からその非常用信号灯への信号のみを識別する識別機能を有する非常用信号灯を用い、送信部が、この識別機能を用いて選択した非常用信号灯のみに作動をさせるようにすることも可能である。
【0020】
さらに、上記非常用信号灯システム20において、上記制御信号により、非常用信号灯10,…を連動して順番に作動させ、避難方向を示し、誘導することも可能である。
【実施例2】
【0021】
図3に本発明の第2実施例の非常用信号灯30,…及びこれを用いて構成された本発明の第2実施例の非常用信号灯システム40を示す。
【0022】
この非常用信号灯30は前記非常用信号灯10と同様であるが、付近に送信部を設置せず任意の管理者の無線による遠隔操作によって制御を行なうため、制御信号からその非常用信号灯への信号のみを識別する識別機能を有するものとなる。
【0023】
この非常用信号灯システム40は、前記非常用信号灯システム20の送信部21の代替として、管理者41の無線通信による遠隔操作を行なうものである。
【0024】
したがってこの非常用信号灯システム40では、災害時に管理者が無線通信によって遠隔操作を行なうことで、より適切な避難誘導が可能となる。無線通信は特定小電力無線、業務用無線や、無線ページャ、携帯電話等の公共無線通信を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1実施例の非常用信号灯の斜視図である。
【図2】本発明の第1実施例の非常用信号灯システムの説明図である。
【図3】本発明の第2実施例の非常用信号灯システムの説明図である。
【符号の説明】
【0026】
10 非常用信号灯
11 表示部
12 電池蓋
20 非常用信号灯システム
21 送信部
30 非常用信号灯
31 表示部
32 電池蓋
40 非常用信号灯システム
41 管理者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光ダイオードを用い、少なくとも2種類の発光パターンを有する表示部と、制御信号を受信する無線受信機を有し、前記表示部の発光パターンの切換えを行なう制御部と、一次電池によって前記表示部及び制御部に電源を供給する電源部とからなる非常用信号灯。
【請求項2】
請求項1において、
制御部が、制御信号からその信号灯への信号のみを識別する識別機能を有する非常用信号灯。
【請求項3】
請求項2において、
制御部が、無線ページャ、携帯電話等の公共無線通信を用いる非常用信号灯。
【請求項4】
請求項1または2の非常用信号灯と、火災、煙、停電等を感知して、前記非常用信号灯に対し、表示部の発光パターンを切換えさせる制御信号を発信し、かつ周波数、送信出力及び/又はアンテナの指向性により、選択した非常用信号灯へ送信するように設定された送信部とから構成される非常用信号灯システム。
【請求項5】
請求項1または2の非常用信号灯と、火災、煙、停電等を感知して、前記非常用信号灯に対し、表示部の発光パターンを切換えさせる制御信号を発信し、かつ識別機能を用いて、選択した非常用信号灯のみを作動させるように設定された送信部とから構成される非常用信号灯システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−252492(P2006−252492A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−106709(P2005−106709)
【出願日】平成17年3月7日(2005.3.7)
【出願人】(303044309)
【出願人】(505182926)
【Fターム(参考)】