説明

非弾性ポリマーのバリアコーティング、及び、液体担体及びコートされた物品における分散された層状充填剤

【課題】特に気体透過性が高度に低減されているコーティングをもたらす、幅広い物品に塗布できる安定なコーティング組成物を提供すること。
【解決手段】担体液体に、非弾性ポリマー;酸又は塩基で処理されていてもよく、有機カチオンで機能付与されていない剥離されたシリケート充填剤等の層状小板であって、25を超えるアスペクト比を有する小板;及び、少なくとも1つの添加剤;を含有するバリアコーティング混合物であって、その全固形分が30%未満であり、充填剤の量が全固形分の5〜約60%である混合物を提供する。また、この混合物を用いて製造された、コートされた物品及び容器、フリースタンディングフィルム、及び包装フィルムも提供する。そのようなコートされた製品を製造する方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【優先権の主張】
【0001】
この非仮出願は、2003年8月29日に出願された米国仮特許出願番号60/498,799に基づく、2003年12月19日に出願された米国特許出願番号10/741,741の出願日の恩恵を主張する。前記出願の優先権は、これにより主張される。
【技術分野】
【0002】
本発明は、新規なバリアコーティング組成物に関し、特に、気体透過性が高度に低減されているコーティングに関する。
【背景技術】
【0003】
気体、蒸気、化学物質、及び/又は芳香に関して、選ばれた支持体の透過性を妨害し、低減し、又は抑制するバリアコーティング(層)は広く記述されており、そのようなコーティングは、多様な産業、例えば、包装産業、自動車産業、ペンキ産業、タイヤ産業等で用いられている。コーティングに用いられる典型的なバリア材料には、ポリエステル、PVDC、ポリウレタン、アクリルポリマー等が含まれる。
【0004】
ポリマーのバリア特性は、不透過性の板様構造物の添加により改善することができることはよく知られている。板が拡散(透過)方向に対して垂直に配置されるときには、拡散分子は板を迂回しなければならない。これは、ポリマーの透過性に有意な低減をもたらす。例えば、E. L. Cussler等, J. Membrane Sci. 38: 161〜174 (1988); W. J. Ward等, J. Membrene Sci., 55: 173〜180 (1991); Chang, J.等, Journal of Applied Polymer Science, Vol. 84, 2294 (2002); Yano, K.等, Journal of Polymer Science A: Polymer Chemistry, 35, 2289 (1997); Lan, T.等, Chem. Master. 6, 573 (1994); Messersmith, P. B.及びGiannelis, E. P, Journal of Polymer Science A: Polymer Chemistry 33, 1047 (1995);米国特許番号4,528,235、4,536,425、4,911,218、4,960,639、4,989,432、5,091,467、及び5,049,609; 及び、1993年3月4日に刊行された国際特許出願番号WO93/04118を特に参照のこと。
【0005】
相対的に低いアスペクト比の小板を、低濃度で高剪断速度で熱可塑的に加工して用いる透過性の制御は以前に開示されている。例えば、E. L. Cussler等, J. Membrane Sci. 38: 161〜174 (1988); L. E. Nielsen, Journal of Macromolecular Science, Chemistry A 1,929, (1967); R. K. Bharadwaj, "Modeling the Barrier Properties of Polymer-Layered Silicate Nanocomposites", Macromolecules 34, 9189 (2001); G. H. Fredrickson及びJ. Bicerano, "Barrier properties of oriented disk composites", Journal of Chemical Physics 110, 2181 (1999)を参照のこと。これらの条件では、ポリマーのバリア特性に比較的小さな改良しかもたらさない。これは、板が良好に整列しているときは、透過における低減が板のアスペクト比と濃度で速やかに変動するからである。板が良好に整列していない場合には、透過における低減はさらに減少する。これら先の努力の目標とされる適用は、コーティングではなく、改善されたバリア及び/又は機械的特性を有するバルクポリマーだった。
【0006】
コーティング組成物における小板充填剤の使用もよく知られている。もっとも多くの場合では、レオロジーを加減して垂れないペンキの生産を可能とするために、それらはペンキに用いられる。これらの小板充填剤は、典型的には、モントモリロナイト、又は、50又はそれより少ないアスペクト比を有する他の剥離されたシリケートである。それらはいずれの剪断を受けていないとき、コーティング懸濁液においてカード型構造のハウスを形成し、ゲル様特性をペンキ(又はコーティング)に与える。これらの構造は最適に整列された板を有さず、コーティングの透過性を有意には低減させない。
【0007】
ナノコンポジットバリアコーティングを生産することができる剥離されたシリケートの使用は、いくつかの方法により達成されている。最も広く用いられているのは、溶解したポリマーを剥離された充填剤と組み合わせることによるものである。ポリビニルアルコール(PVOH)のような水溶性ポリマーは、バーミキュライトのような水剥離充填剤と組み合わされる。例えば、日本国特許公開公報平11−246729, 1999年9月14日, “ガスバリア性ポリビニルアルコール/ポリアクリル酸組成物、及びそれらの積層体及び成形品”住友化学工業株式会社を参照のこと。トルエンに溶解したポリカーボネートは、有機的に機能付与された(organic functionalized)充填剤と組み合わされて良好なバリアコーティングを形成している。例えば、W. J. Ward等, "Gas Barrier Improvement Using Vermiculite and Mica in Porymer Films", Journal of Membrane Science, 55: 173〜180 (1991)を参照のこと。他のポリマーも、それらを溶媒に溶解し、有機的に機能付与された充填剤を用いることにより、改善されたバリアコーティング中に組み込まれてそのバリア特性を改善している。例えば、Yano. K.,等, "Synthesis and properties of polyimide-filler hybrid composites", Journal of Polymer Science A: Polymer Chemistry, 35, 2289 (1997)を参照のこと。
【0008】
ナノコンポジットを形成するために用いられる代替方法は、剥離された充填剤を重合前にモノマーに組み込むことである。例えば、米国特許番号4,472,538 "Composite Material Composed of Filler Mineral and Organic High Polymer and Method for Producing the Same", 1984年9月18日; 米国特許番号4,889,885 "Composite Material Containing a Layered Silicate", 1989年12月26日を参照のこと。いくつかの場合では、これは水性分散液で行われる。PCT特許番号WO97/00910, 1997年1月9日, "Polymer nanocomposite Formation by emulsion Synthesis", Exxon Research and Engineering Co.に記載されるように、エラストマー中に重合できる幾つかのモノマーは、剥離されたクレーを乳化重合前にモノマー液滴中に組み入れさせた。メタクリレートモノマーは、ナノコンポジット中への重合前に、水性分散液において剥離された充填剤と組み合わされた。例えば、Lee, D. C.及びJang, L. W., Journal of Applied Polymer Science, Vol.61, 1117〜1122 (1996)を参照のこと。これらの方法はいずれも実用的なコーティング組成物に至らなかった。それらは、熱加工用バルクナノコンポジットの作成に役立つことが意図されていた。
【0009】
剥離された充填剤の水性分散液をポリマーの水性分散液とともに用いてナノコンポジットを形成する例はいくつかある。その研究のほとんどが懸濁液で弾性ポリマーを用いていた。例えば、Wu, Y-P等, "Structure of Carboxylated Acrylonitrile-Butadiene Rubber (CNBR)-Filler Nanocomposites by Co-coagulating Rubber Latex and Filler Aqueous Suspension", Journal of Applied Polymer Science, 82, 2842〜2848 (2001); Wu, Y-P等, "Structure and Properties of Nitrile Rubber (NBR)-Filler Nanocomposites by Co-coagulating NBR Latex and Filler Aqueous Suspension", Journal of Applied Polymer Science, 89, 3855〜3858 (2003); Varghese及びKarger-Kocsis, "Natural rubber-based nanocomposites by latex compounding with layered silicates", Polymer (印刷中)(2003); Feeney等, 米国特許番号6,087,016, "Barrier Coating of an Elastomer and a Dispersed Layered Filler in a Liquid Carrier", 2000年7月11日; Feeney等, 米国特許番号6,232,389, "Barrier Coating of an Elastomer and a Dispersed Layered Filler in a Liquid Carrier and Coated Articles", 2001年5月15日; Goldberg等, "Nanocomposite Barrier Coatings for Elastomeric Applications", Materials Research Society, Symposium T: Polymer manocomposites, paper T4.7, (2002年4月);及び、Goldberg等, "Elastomeric Barrier Coatings for Sporting Goods", ACS Rubber Section, 2002年4月29日, paper 17, published in Rubber World, vol. 226, No. 5, p15 (2002年8月)を参照のこと。充填剤の表面をポリマーと相溶性にさせるための典型的なイオン交換の使用は、通常、充填剤が水性懸濁液と不和になるという点から、これらの参照では用いられていない。ポリマー球と充填剤小板との組み合わせからナノコンポジットを形成するためには、ポリマーの有意な流動と変形が必要である。かくして、このアプローチがより硬い非弾性ポリマーで作用することは予期されなかった。
【0010】
非弾性ポリマーでこのアプローチを試みた唯一見出される例は、Oriakhi及びLerner ["Poly (Pyrrole) and Poly (Thiophene) /Filler Nanocomposites via Latex-Colloid Interaction", Materials Research Bulletin, 30, 723〜729 (1995)]に記載されている。その方法は、別々に水性ポリマーラテックスと水性剥離クレー懸濁液を形成することを含んでいた。ラテックスは、剥離されたクレーと組み合わされる前に安定化剤と界面活性剤を取り除くため繰り返し洗浄された。懸濁液を混合することは安定なコーティング懸濁液につながらず、むしろ、ナノコンポジットが懸濁液から出てきている凝固混合物に至った。水に分散されたクレーとポリマーのこれらの混合物はコーティング組成物としては用いることができなかったので、この特許で記載される発明とはきわめて異なる。
【0011】
我々に用いられ、この特許に記載されるアプローチは、ナノコンポジットコーティングを形成するため、幅広い物品に塗布できる安定なコーティング組成物をもたらすという点で上の技術とは異なる。ナノコンポジットは、ポリマーの溶融温度より十分に低い温度である乾燥工程中に形成する。かくして、ポリマー粒子が乾燥中に有意な変形を受けないことが明らかである。
【発明の要旨】
【0012】
有利には、本発明は、酸又は塩基で処理されていてもいなくてもよい実質的に分散された剥離層状シリケート充填剤及び水分散非弾性ポリマーを含有するコーティング組成物を提供することにより先行技術の課題を解決する。このコーティングは、乾燥したとき、充填されていないポリマーに比較して、透過性における大きな低減を有するバリアをもたらす。
【0013】
一つの態様では、本発明は:非弾性ポリマー;有機カチオンで機能付与されていない実質的に剥離されたシリケート充填剤材料であって、そのシリケート充填剤が25より大きいアスペクト比を有し、そのシリケート充填剤の%が全固形分の60%未満であるシリケート充填剤;及び、界面活性剤、乳化剤、消泡剤、分散剤、湿潤剤、レベリング剤、増粘剤からなる群から選ばれる少なくとも1つの添加剤;の水性分散液から誘導されるバリアコーティングであって、そのコーティングが、非弾性ポリマー単独から形成されるコーティングよりも、気体透過性において少なくとも5倍の低減を示すコーティングを提供する。
【0014】
バリアコーティングは、さらに、非弾性ポリマー単独から形成されるコーティングと比較して、気体透過性において、少なくとも25倍、50倍、100倍、500倍、及び1000倍の低減を示す。
【0015】
分散液は、分散液、乳濁液、懸濁液、及びラテックスからなる群から選ばれる形態にある。
非弾性ポリマーは、ポリ塩化ビニリデン及びそのコポリマー及びブレンド、ポリエステル含有ポリマー、及びポリエステルから選ばれ、好ましくは、そのポリエステルは70℃未満のTgを有し、好ましくは35℃未満のTgを有する。
【0016】
シリケート充填剤は、ベントナイト、バーミキュライト、モントモリロナイト、ノントロナイト、バイデライト、ボルコンスコイト(volkonskoite)、ヘクトライト、サポナイト、ラポナイト、ソーコナイト(sauconite)、マガディアイト(magadiite)、ケニアイト(kenyaite)、レディカイト(ledikite)、及び、上記シリケートの混合物及び溶液からなる群から選ばれる。シリケート充填剤は、好ましくはバーミキュライトであり、全固形分の60%未満で存在し、好ましくは約10〜約50%である。
【0017】
シリケート充填剤を、前記非弾性ポリマーとの混合前に、酸又は塩基で処理することができる。酸は、酢酸、グリシン、及びクエン酸から選択され、塩基は、水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウムから選ばれる。
【0018】
分散液は、約1〜約30%の全固形分を有し、好ましくは、約5〜約25%である。
さらなる側面では、本発明は:非弾性ポリマー;有機カチオンで機能付与されていない実質的に剥離されたシリケート充填剤材料であって、そのシリケート充填剤が25を超えるアスペクト比を有し、そのシリケートの%が固形分の60%未満であるシリケート充填剤;及び、界面活性剤、乳化剤、消泡剤、分散剤、湿潤剤、レベリング剤、及び増粘剤からなる群から選ばれる少なくとも1つの添加剤;を含有する水性分散液を支持体に塗布すること:及び、その分散液を乾燥して、分散液におけるものと同じポリマー対充填剤比を有するバリアコーティングとすることを含んでなるバリアコーティングフィルムを製造する方法であって、そのコーティングが、非弾性ポリマー単独から形成されるコーティングよりも、気体透過性において少なくとも5倍の低減を示す方法を提供する。
【0019】
バリアコーティングは、さらに、非弾性ポリマー単独から形成されるコーティングと比較して、気体透過性において、少なくとも25倍、50倍、100倍、500倍、及び1000倍の低減を示す。
【0020】
分散液は、分散液、乳濁液、懸濁液、及びラテックスからなる群から選ばれる形態にある。
非弾性ポリマーは、ポリ塩化ビニリデン及びそのコポリマー及びブレンド、ポリエステル含有ポリマー、及びポリエステルから選ばれ、好ましくは、そのポリエステルは、70℃未満のTgを有し、好ましくは、35℃未満のTgを有する。
【0021】
シリケート充填剤は、ベントナイト、バーミキュライト、モンモリロナイト、ノントロナイト、バイデライト、ボルコンスコイト、ヘクトライト、サポナイト、ラポナイト、ソーコナイト、マガディアイト、ケニアイト、レディカイト、及び、上記シリケートの混合物及び溶液からなる群から選ばれる。シリケート充填剤は、好ましくはバーミキュライトであり、全固形分の60%未満で存在し、好ましくは約10〜約50%である。
【0022】
シリケート充填剤を、前記非弾性ポリマーとの混合前に、酸又は塩基で処理することができる。酸は、酢酸、グリシン、及びクエン酸から選択され、塩基は、水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウムから選ばれる。
【0023】
分散液は、約1〜約30%の全固形分を有し、好ましくは、約5〜約25%である。
支持体は、防腐性包装フィルム、腐食保護フィルム、ガス置換包装及び真空包装、吹込成形容器、熱成形容器、及び電子ディスプレーフィルムからなる群から選ばれる。
【0024】
本発明は、透過性特性における大きな改善(>5倍)が、非弾性ポリマーを含むバリアコーティングで得られるという発見に、部分的には基づいている。これらのポリマーは、典型的にはエラストマーよりも低い透過性を有し、その理由から、包装用塗布によく用いられる。それらは、弾性ポリマーより硬くもある。これらの材料の多くのバリア特性を改善する、剥離された充填剤ナノコンポジットアプローチの使用は、上記のように、充填剤の有機的な機能付与を用い、次いで、熱又は溶媒加工を通して、試みられている。本発明の目的は、剥離された充填剤の有機的な機能付与を含まず、ポリマーを溶媒に溶解することを含まず、他の方法により達成されるものよりもより大きい充填剤濃度、アスペクト比、及びより良好な配向を有する、優れたバリア特性を有するナノコンポジットコーティングをもたらす、コーティング組成物及びナノコンポジットコーティングを製造する方法を記載することである。
【0025】
本発明の他の側面と利点は、以下の、発明の詳細な説明及びクレームに記載される。
【発明の詳細な説明】
【0026】
本発明は、コーティング組成物を提供し、そして、水性分散剥離シリケート(有機的に機能付与されていないもの)を水性分散ポリマーと混合することにより透過性において大きな低減を達成する、形成されたコーティングとフィルムを提供するという点で独特である。本発明でも提供される、そのフィルム、コーティング、及びコートされた物品の有用性は、包装及び電子装置の塗布で、改善されたバリア材料を提供することである。
【0027】
非弾性ポリマーで得られる結果(本発明の対象)は、Feeney等への米国特許番号6,087,016, "Barrier Coating of an Elastomer and a Dispersed Layered Filler in a Liquid Carrier" 2000年7月11日の弾性ナノコンポジット組成物と比べてみてさえも驚くべきものである。これは、非弾性ポリマーの水性分散液が、通常、水性分散液からフィルムを形成する過程を通して、球状形態を保持するからである。これは、最終的なコーティングにおいて、剥離された充填剤の良好な分散を得ることが非常に難しいことが予想されるであろうことと、フィルム形成において、充填剤はポリマー粒子間界面で融合するだろうと、当業者が予想するであろうことを意味する。達成される、バリア特性における大きな低減は、この融合が、透過性における低減を制限するほど大きな程度では起こらなかったことを示唆する。
【0028】
本発明の態様は:非弾性ポリマー;有機カチオンで機能付与されていない実質的に剥離されたシリケート充填剤材料であって、そのシリケートが25を超えるアスペクト比を有し、そのシリケートが全固形分の60%未満で存在するシリケート充填剤材料;及び、界面活性剤、乳化剤、消泡剤、分散剤、湿潤剤、レベリング剤、及び増粘剤からなる群から選ばれる少なくとも1つの添加剤;の水性分散液を含んでなるバリアコーティングであって、その全固形分が、その分散液の30%未満であり、その分散液が、非弾性ポリマー単独から形成されるコーティングよりも、気体透過性において、少なくとも5倍を超える低減を有するコーティングを提供する、バリアコーティングを提供する。バリアコーティングは、分散液、乳濁液、懸濁液、及びラテックスの形態にあることができる。
【0029】
非弾性ポリマーは、ポリ塩化ビニリデン及びそのコポリマー及びブレンド、ポリエステル含有ポリマー、及びポリエステルから選ばれ、好ましくは、そのポリエステルは70℃未満のTgを有し、好ましくは、35℃未満のTgを有する。
【0030】
好ましいシリケート充填剤は、バーミキュライトであり、それはポリマー混合物との混合前に、酸で処理されていても塩基で処理されていてもよい。好ましい酸は、酢酸、グリシン、及びクエン酸から選ばれ、好ましい塩基は、水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウムから選ばれる。
【0031】
好ましいバリアコーティングは、約5〜約25%の全固形分を有し、分散されたシリケート充填剤は、全固形分の10〜約50重量%の間で存在する。
さらなる態様では、本発明は、非弾性ポリマー;有機カチオンで機能付与されていない実質的に剥離されたシリケート充填剤材料であって、そのシリケートが25を超えるアスペクト比を有し、そのシリケートが全固形分の60%未満で存在するシリケート充填剤材料;及び、界面活性剤、乳化剤、消泡剤、分散剤、湿潤剤、レベリング剤、及び増粘剤からなる群から選ばれる少なくとも1つの添加剤;を含有する水性分散液を支持体に塗布することを含んでなる、バリアコーティングの製造方法を提供する。
【0032】
分散液は、乾燥されて、水性分散液におけるものと同じポリマー対充填剤比を有するバリアコーティングとなり、その分散液の全固形分は分散液の30%未満であり、分散液は、前記非弾性ポリマー単独で形成されるコーティングよりも、気体透過性において、少なくとも5倍を超える低減を有するコーティングを提供する。
【0033】
非弾性ポリマーは、ポリ塩化ビニリデン及びそのコポリマー及びブレンド、ポリエステル含有ポリマー、及びポリエステルから選ばれ、好ましくは、そのポリエステルは、70℃未満のTgを有し、好ましくは35℃未満のTgを有する。
【0034】
好ましいシリケート充填剤はバーミキュライトであり、それは、ポリマー混合物との混合前に、酸で処理されていても塩基で処理されていてもよい。好ましい酸は、酢酸、グリシン、及びクエン酸から選ばれ、好ましい塩基は、水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウムから選ばれる。
【0035】
好ましいバリアコーティングは約5〜約25%の全固形分を有し、分散されたシリケート充填剤は全固形分の10〜約50重量%で存在する。
好ましい支持体は、防腐性包装フィルム、腐食保護フィルム、真空包装及びガス置換包装、吹込成形容器、熱成形容器及び物品、及び、電子ディスプレーからなる群から選ばれる。
【0036】
I.定義
“アスペクト比”という用語は、固体形態のすべての小板材料の特性として定義される。アスペクト比は、小板充填剤粒子、例えば、マイカフレークの、小板の厚さで割った小板の横幅の値である。“高いアスペクト比”は、厚さで割った横幅が25を超える小板充填剤のことをいう。いずれの充填剤のアスペクト比は、選択された充填剤固有の特性である。例えば、MICROLITER 963バーミキュライト水溶液(W. R. Grace、1994年1月15日に刊行された欧州出願番号601,877を参照のこと)は、特徴的な、約10,000のアスペクト比又は10〜30μm x 10の幅を有する。
【0037】
“バリアコーティング混合物”には、懸濁された固体を含有する液体が含まれ、それは、その固体を支持体に塗布するために用いられる。本発明の新規な側面は、以下でより詳細に記載するように、バリアコーティング混合物が、通常の低い固形分、例えば、約1〜約30%固形分で、液体で、小板充填剤のより良好な分散を提供することである。本発明に従い、“コーティング混合物”は、乾燥したら “乾燥コーティング”又は“フィルム”と記載される。
【0038】
“剥離”は、層状充填剤について、元の粒子の個々の層の完全な分離として定義され、そのため、ポリマーが各々の粒子を完全に取り囲む。望ましくは、十分量のポリマーが各々の小板間に存在し、その小板はランダムに間隔があいている。剥離小板のランダムな間隔のため、X線ラインは現れない。ある状況では、充填剤は、水性又は非水性媒体に分散されるときに剥離することができる。これは、分散前の固体粒子のアスペクト比よりも高いアスペクト比をもたらすであろう。
【0039】
“気体バリア”という用語には、酸素、窒素、二酸化炭素、及び他の気体へのバリアが含まれる。
“メソスコピック領域”は、板が、小板が整列している局所的に配向した領域を形成することを意味する。マクロスコピック領域は、マクロスコピック領域を形成する粒子の懸濁液を直交偏光子を通じて見るときに見られる。これらの領域は、ポリマーが水に分散されるときには見ることが難しくなる。
【0040】
“混合物”又は“コーティング混合物”という用語は、慣用的に定義されているように、コロイド分散物、懸濁物、乳濁物、及びラテックスを含むように解釈される。例えば、“コロイド分散液又はラテックス”により意味されるものは、液体における粒子のあらゆる分散液又は懸濁液であり、その粒子は、分子スケールよりも大きいサイズ、例えば、約0.001〜約0.1ミクロンである。乳濁液は一般的に、液体において、約0.05〜1.0ミクロンの粒子を含有する。“懸濁液”は一般的に、液体において1.0ミクロンよりも大きい粒子を含有する。
【0041】
“ナノコンポジット”又は“充填されたポリマーナノコンポジット”という用語は、実質的に剥離された充填剤とポリマーとの混合物をいう。ポリマーにおける充填剤の剥離の程度は、特定されない。少なくとも一部の充填剤粒子の厚さは、1ミクロン以下であり、より好ましくは100nm以下である。
【0042】
本明細書中で用いられるように、“非弾性ポリマー”には、室温より高いガラス転移温度及び/又は10%を超える結晶度を有するそれらのポリマー材料が含まれる。典型的には、非弾性ポリマーは、妥当に架橋され無機充填剤で充填されていないときでさえ、室温で、2倍の長さまで伸ばすことができず、元の形状に戻ることができないポリマーとして見ることができる。この定義は、ポリマーの特性について言及しており、充填された又は最終的なナノコンポジットコーティングについて言及するのではない。
【0043】
これらのコーティングでコートされた“支持体”又は“物品”という用語には、フィルム、特に包装フィルム(防腐性包装、腐食保護包装、真空包装、及びガス置換包装を含む)、吹込成形又は熱成形容器及び物品、電子ディスプレー、及び他の表面等が含まれるがこれらに限定されない。
【0044】
II.バリアコーティング
本発明に従うバリアコーティングには、次の成分:
(a)水分散非弾性ポリマー;
(b)酸又は塩基で前処理されて25を超えるアスペクト比を有していてもよい、分散された剥離層状小板シリケート充填剤;及び、
(c)界面活性剤、乳化剤、消泡剤、分散剤、レべリング剤、及び増粘剤からなる群から選ばれる、少なくとも1つの添加剤;
が含まれ、
その全固形分は、望ましくは、30%固形分に等しいかそれ未満であり、処理された充填剤の量は、全固形分の5〜60%までで存在する。これらのバリアコーティング混合液は、5倍〜1500倍の高さまで又は充填されていないポリマーよりも高い程度にまで透過性が低減しているフィルムをもたらす。これらの結果は、他の小板充填バリアコーティングに関する先行技術よりも、実質的に高い。
【0045】
コーティング組成物とそれらから形成されるナノコンポジットコーティング組成物は、次の点で独特である:
1.用いられる分散されたポリマーが弾性的でない−(驚くべきことに、分散されたポリマー粒子は、変形してナノコンポジットバリアフィルムを形成することができる);
2.剥離された充填剤は、有機的に機能付与されていない(典型的には、それは、有機カチオンでのイオン交換工程を用いて行われる);
3.分散液における剥離された充填剤の濃度とアスペクト比は、メソスコピック領域を形成するために選択される。これは、最終的なナノコンポジットコーティングにおいて小板の配向を促進し、バリア特性の大きな改善を部分的に与える;
4.充填剤の濃度を高くでき(全重量に対して60%まで)、それも透過性における大きな低減をもたらす。
【0046】
本発明のバリアコーティング混合物は、乾燥バリアコーティングで望まれる透過性の低減を達成するため、いくつかの重要な特徴、すなわち、非弾性ポリマーにおける充填剤の適切な分散、非弾性ポリマーにおける充填剤小板の適切な配向、並びに充填剤の高いアスペクト比のバランスにより特徴付けられる。本発明のバリアコーティング混合物は、望ましくは、通常、低い全固形分、すなわち、約1〜約30%固形分を含有する。より望ましい固形分の範囲は、約5%〜約25%固形分である。固形分は高いアスペクト比の充填剤の分散に影響するので、バリアコーティング組成物及び乾燥コーティングの性能における重要な考慮点である。バリアコーティング組成物において高い全固形分が用いられるならば、本発明のコーティングの良好に分散された充填剤、例えば、バーミキュライトや、透過性低減の特徴を達成できないであろう。そして、実施例で報告するものや本明細書中の形も達成されない。固形分の好ましい範囲は、予期せぬことに、コーティング産業で典型的に用いられているものよりもかなり低く、ゆえに、バリアコーティング組成物について示唆する先行技術により予測され得ない。
【0047】
特に、ポリマーが、以下に定義するように、PVDC及びそのコポリマー及びブレンド又はポリエステルのような非弾性ポリマーであり、充填剤がバーミキュライト懸濁液であるときは、本発明のコーティング混合物の全固形分は、好ましくは、30%未満であり、全固形分の5〜60%を含んでなるシリケート充填剤を有する。実施例3〜9及び12〜20は、様々な本発明の望まれる組成物を示す。
【0048】
好ましくは、乾燥バリアコーティング(フィルム)において、ポリマーは、約65〜約95重量%で存在し、分散された層状充填剤は、約5〜約35重量%で存在する。
A.非弾性ポリマー
本発明のコーティング混合物を形成するのに有用な非弾性ポリマーには、多くのクラスの中から一般的に選ばれるポリマーが含まれる。その選ばれるポリマーは、溶媒に溶解性であってもよいが、本発明の目的のためには、水性分散液として用いられるだろう。水性分散液は、乳化重合によっても、溶媒に溶解しているポリマーを水(非溶媒)に分散することによる転相によっても形成される。そのようなポリマーには、ポリエステル、ポリエステル含有ポリマー、ポリアミド、塩素化ポリマー、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリケトン、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ビニル樹脂、及びフルオロポリマーが含まれるがこれらに限定されない。好ましい塩素化ポリマーは、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)とそのコポリマー及びブレンドである。好ましいポリエステルには、Tg値が70℃未満であり、好ましくは35℃未満であるポリエステルが含まれる。
【0049】
あらゆる特定の理論にしばられることなく、出願人が、本発明に記載されたアプローチがこれらの非弾性ポリマーで作用するという事実を信じていることは驚くべきことである。非弾性ポリマーの分散物がコーティングを形成するとき、典型的にはいくつかの段階を経る。まず、コーティングが形成し、乾燥して、界面活性剤により分離されたポリマーの球状粒子の集まりになる。より高い温度に加熱されるとき、粒子は変形して、より間隔をあけて充填する。ついには、内部のポリマーは、界面活性剤を含有する部分を通じて拡散し、完全に融合したフィルムを形成する。初期の組成物に、剥離されたナノ分散充填剤がかなりの量あるときは、これらの比較的硬いポリマーの分散された球状粒子(Feeney等の米国特許番号6,087,016に記載された弾性ポリマーに比較して)が、小板充填剤粒子とともにナノコンポジットフィルムを形成するために変形することは驚くべきことである。透過性において見られる大きな低減は、この現象が起こった証拠である。一方、フィルムは溶融点まで加熱されておらず、詳細なメカニズムは、現時点では完全にはわかっていない。
【0050】
本発明の実施に従って用いられるポリエステルは、一般的には、飽和脂肪族又は芳香族ジオールと脂肪族又は芳香族ジカルボン酸から、既知の重合技術により得られる。好ましい芳香族二酸モノマーは、テレフタル酸又はイソフタル酸のジメチルエステルのような低級アルキルエステルである。典型的な脂肪族ジカルボン酸には、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、又は1,4−シクロヘキサンジカルボン酸が含まれる。好ましい芳香族ジカルボン酸又はそのエステル又は無水物は、エステル化又はトランスエステル化され、飽和脂肪族又は芳香族ジオールとともに重縮合される。典型的な飽和脂肪族ジオールには、好ましくは、エチレングリコールのような低級アルカンジオールが含まれる。典型的な脂環式ジオールには、1,4−シクロヘキサンジオール及び1,4−シクロヘキサンジメタノールが含まれる。典型的な芳香族ジオールには、ヒドロキノン、レゾルシノール、及びナフタレンジオールの異性体(1,5−;2,6−;及び、2,7−)のような芳香族ジオールが含まれる。脂肪族及び芳香族ジカルボン酸と飽和脂肪族及び芳香族ジオールとの多様な混合物も用いることができる。最も典型的には、芳香族ジカルボン酸は脂肪族ジオールとともに重合され、ポリエチレンテレフタレート(テレフタル酸+エチレングリコール)のようなポリエステルを生成する。加えて、芳香族ジカルボン酸は、芳香族ジオールとともに重合されて、ポリフェニレンテレフタレート(テレフタル酸+ヒドロキノン)のような完全な芳香族ポリエステルを生成することもできる。これらの完全な芳香族ポリエステルのいくつかは、溶融体において液晶相を形成し、かくして、“液晶ポリエステル”又はLCPとして言及される。
【0051】
A−Bモノマー含有ポリエステルも含まれる。上記のポリエステルは、A−A及びB−B型として知られるものから誘導される。すなわち、それが二酸(テレフタル酸)であるかジオール(エチレングリコール)であるかにかかわらず、同じ重合性基を含有するモノマーである。しかしながら、ポリエステルは、各々の分子に2つの異なる重合性基があるA−Bモノマーとして知られるものからも誘導される。A−Bモノマーの例には、4−ヒドロキシ安息香酸(HBA)及びヒドロキシナフトエ酸(HNA)の多様な異性体が含まれるだろう。これらのモノマーは、重合してポリ(HBA)のようなホモポリエステルを形成することもできるだろうし、あらゆるA−A及び/又はB−Bモノマーと共に共重合することもできるだろう。
【0052】
ポリエステルの例には:ポリエチレンテレフタレート:ポリ(1,4−ブチレン)テレフタレート:及び、1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート/イソフタレートコポリマー:及び、イソフタル酸;ビ安息香酸;1,5−、2,6−、及び2,7−ナフタレン−ジカルボン酸を含むナフタレン−ジカルボン酸;4,4−ジフェニレン−ジカルボン酸;ビス(p−カルボキシフェニル)メタン酸;エチレン−ビス−p−安息香酸;1,4−テトラメチレンビス(p−オキシ安息香)酸;エチレンビス(p−オキシ安息香)酸;1,3−トリメチレンビス(p−オキシ安息香)酸;及び、1,4−テトラメチレンビス(p−オキシ安息香)酸;を含む芳香族ジカルボン酸:と、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール:シクロヘキサンジメタノール:及びnが2〜10の整数である一般式HO(CH2nOHの脂肪族グリコール、例えばエチレングリコール、1,4−テトラメチレングリコール、1,6−ヘキサメチレングリコール、1,8−オクタメチレングリコール、1,10−デカメチレングリコール、及び1,3−プロピレングリコール:及び、nが2〜10,000の整数である一般式HO(CH2CH2O)nHのポリエチレングリコール:及び、ヒドロキノン、レゾルシノール、及びナフタレンジオールの異性体(1,5−;2,6−;及び2,7)のような芳香族ジオール:からなる群から選ばれるジオールから誘導される、他の線状ホモポリマーエステルが含まれる。アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、又は1,4−シクロヘキサンジカルボン酸のような1又はそれを超える脂肪族ジカルボン酸も存在してもよい。
【0053】
ポリエステルアミド、ポリエステルイミド、ポリエステル無水物、ポリエステルエーテル、及びポリエステルケトン等のようなポリマーを含有するポリエステルも含まれる。
本発明に従って用いられるPVDC含有ポリマーには、PVDCのホモポリマー及びそのコポリマー及びブレンドが含まれる。特に好ましいコポリマーには、ポリ塩化ビニル(PVC)及び塩素化PVC(CPVC)を有するそれらが含まれる。他のコポリマーは、アルケン、ハロアルケン、又はいずれかのモノマー含有アクリル樹脂のような活性二重結合との共重合から誘導されるいずれの部分を含有するものである。適する例には、エチレン及び酢酸ビニルのようなアルケン、及び、アクリル酸又はメタクリル酸のアルキルエステルのようなアクリル樹脂が含まれる。
【0054】
適するポリオレフィン樹脂には、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、4−メチルペント−1−エン等のようなオレフィンを慣用的な手法で重合することにより作成される材料が含まれる。
【0055】
有用なポリオレフィンは、高密度ポリエチレン(HDPE)及びポリプロピレンである。エチレンの他のポリオレフィンホモポリマー及びコポリマーは、本発明の実施に用いられる。そのような他のポリオレフィンには、低密度ポリエチレン(LDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、及びポリブチレン(PB)が含まれる。しかし、これらの他のポリオレフィンは、ポリプロピレン又は高密度ポリエチレン(HDPE)のような他のポリオレフィンとともにブレンドされることができる。
【0056】
本発明の実施に有用なポリアミド樹脂は、当該技術分野でよく知られており、例えば、等モル量の4〜12炭素原子含有飽和ジカルボン酸をジアミンとともに重縮合しても、ラクタムの開環重合でも、例えばポリエーテルポリアミドブロックコポリマーを形成するためにポリアミドを他の成分とともに共重合しても生成できる、半結晶及び非晶質樹脂が含まれる。ポリアミドの例には:ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66);ポリヘキサメチレンアゼラアミド(ナイロン69);ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610);ポリへキサメチレンドデカノアミド(ナイロン612);ポリドデカメチレンドデカノアミド(ナイロン1212);ポリカプロラクタム(ナイロン6);ポリラウリン酸ラクタム;ポリ−11−アミノウンデカン酸;及び、脂肪酸、イソフタル酸、及びへキサメチレンジアミンのコポリマーが含まれる。
【0057】
他の適する非弾性ポリマーには:ポリ(エチレンオキシド)及びポリ(プロピレンオキシド)を含むポリ(アルキレンオキシド)のような脂肪族ポリエーテル;及び、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンオキシド)及び、2,6−ジメチルフェノール及び2,3,6−トリメチルフェノールから形成されるフェニレンエーテルコポリマーのような芳香族ポリエーテルが含まれる。ポリフェニレンスルフィドも、ジアリールスルホンから形成されるポリスルホンや、ビスフェノールAのようなエーテルと組み合わされたジアリールスルホン基から形成されるポリエーテルスルホンと並んで用いられる。
【0058】
他の非弾性ポリマーには、ビスフェノールA及び同様の物質から調製されるもののようなポリカーボネート;PEEKRのようなポリケトン(ポリエーテルケトン及びポリエーテルエーテルケトンを含む);ポリ(アルキルメタクリレート)のようなアクリルポリマー及びコポリマー;ポリウレタン;及び、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、及び酢酸ポリビニルのような部分から誘導されるビニルポリマー及びコポリマー;エチレン/酢酸ビニルのような酢酸ビニルコポリマー;及び、ポリアクリルアミドポリマー及びコポリマーも含まれる。
【0059】
さらに非弾性ポリマーには、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素化エチレン−プロピレン(FEP)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエチレン−テトラフルオロエチレン(E−TFE)、ポリエチレン−クロロトリフルオロエチレン(E−CTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリクロロトリフルオロエチレン−フッ化ビニリデン(CTFE−VDF)、ポリクロロトリフルオロ−エチレン(PCTFE)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/−フッ化ビニリデン(THV)、及び非晶質フルオロポリマーのようなフルオロポリマーが含まれる。
【0060】
ポリマーは、好ましくは、水又は水と溶媒との混合液において、分散液、ラテックス、懸濁液、又は乳濁液を形成することができる。特に好ましい非弾性ポリマーは、ポリ塩化ビニリデン含有ポリマー(Rohm & Haas SERFENER 2022のようなもの)及びポリエステルで、特に、Eastman WD-30のように70℃未満、好ましくは35℃未満のTg値を有する。これらのポリマーを用いる本発明のコーティング混合物は、以下で具体的に例示される。
【0061】
B.充填剤
上記の本発明のコーティング混合物には、約25〜約30,000までもの高い範囲にわたる固有の高いアスペクト比を混合時に有する、分散された層状充填剤が含まれる。現時点で好ましい充填剤はバーミキュライトである。より詳しくは、望ましいバーミキュライトは、7.5重量%水溶液の分散マイカである、MICROLITER 963水ベースバーミキュライト分散液(W. R. Grace)である(1994年1月15日に刊行された欧州出願番号601,877を参照のこと)。本発明の混合物の1つの新規な側面は、乾燥コーティングにおける選択された充填剤のアスペクト比である。本発明に従い、乾燥コーティングにおいて、充填剤は、実質的に分散され、良好な配向を保持している。本発明の乾燥コーティングにおいて、層状充填剤は、乾燥コーティングの最小約5〜最大約60重量%で存在する。本発明の組成物は、乾燥されたとき、良好な分散形態で充填剤を保持し、透過性における大きな低減をもたらす。
【0062】
充填剤の例には、剥離されたシリケート、例えば、ベントナイト、バーミキュライト、モントモリロナイト、ノントロナイト、バイデライト、ボルコンスコイト、ヘクトライト、サポナイト、ラポナイト、ソーコナイト、マガディアイト、ケニアイト、レディカイト、及びそれらの混合物が含まれる。MICROLITERバーミキュライトは、その非常に高いアスペクト比のために好ましい充填剤である。そのバーミキュライト板は、10〜30ミクロンの平均横幅サイズを有する。その板は、水において大きく剥離され、かくして、それらの厚さは1〜3nmである。水分散液におけるその充填剤のアスペクト比は、平均10,000〜30,000である。多くの板が、本発明のコーティング工程及び乾燥工程中に再集合することは明らかである。しかしながら、できるだけ大きなアスペクト比で開始することが非常に有利である。MICROLITERバーミキュライトのそれと同等の特性並びに十分に高いアスペクト比を有する他の既知のシリケートの選択及び使用は、本発明の教示に従い、当業者に自明であると考えられる。
【0063】
充填剤における大きなアスペクト比の小板は、局所的に配向させることができる。懸濁された板のメソスコピックな性質は、そのアスペクト比の直接的な結果である。MICROLITER 963の大きいアスペクト比の簡便な証明は、それが0.02重量%又は0.01容量%の濃度で水に分散されるときに、配向したマクロスコピック領域が観察できるという事実である。小板充填剤が懸濁液で局所的に配向するであろう上の濃度は、だいたい1/アスペクト比により与えられる。かくして、25のアスペクト比で開始する充填剤は、高度な局所的配向を達成するために、分散液において約4容量%を超えて分散されるべきであろう。
【0064】
MICROLITER 963バーミキュライト(W. R. Grace)が好ましいが、良好な結果は、MICROLITER 963バーミキュライトの他の剥離グレード(すなわち、グレード963++、923、及び903)でも達成される。他の層状シリケートも、本発明のバリアコーティング及びフィルムに有用である。特に、CO-OP Chemical co. Ltd.(東京、日本)のSOMASIFTM ME-100、及びSourthern Filler Products(Gonzales、Texas)のSCPX-2041である。本発明のバリアコーティングにおける他のシリケートの有効性は、小板の横幅サイズ、水における剥離の程度、及び、コーティング工程と乾燥工程中にそれらが再集合してより大きな粒子を形成する程度に依存する。
【0065】
バリアコーティングには、剥離されたシリケート充填剤の酸又は塩基での前処理が含まれる。酸又は塩基と充填剤粒子との間に起こるメカニズムの完全な解明はまだなされていないが、そのような処理を用いる重要な理由には:
1.水性ポリマー分散液と水性分散充填剤との相溶性の改善。これは、ポリマーと充填剤との相溶性を改善することを目的とする他の研究とは大いに異なる。有機基は、いずれの有意な量において、その平らな表面上で充填剤に接していない(なぜならば、それらの基は、逆向きに充填され、その表面に突き出ないだろうからである)
2.コーティング組成物の安定性の改善
が含まれる。
【0066】
両方の場合において、酸又は塩基処理は、充填剤粒子間、及び、充填剤と水に分散されたポリマーとの間の精密な相互作用を変更できる。それは、界面活性剤と増粘剤との相互作用も変更できる。これらの相互作用は完全には理解されていないが、観察される改善は、おそらく、次のメカニズムの1つ又は両方から生じている:
a)充填剤の化学的変更−すなわち、酸又は塩基の基の、充填剤構造における端又は欠陥への付着。加えて、その処理は、充填剤から金属イオンを除去し、さらに、充填された界面活性剤と組成物における他の成分との相互作用を変化させる
b)板構造における物理的変化:酸又は塩基処理が、欠陥及び又は不純物で充填剤を局所的に変更すれば、その板は折曲がる。板が平らでなければ、それらはそれらが接触している領域を有するだろう。一方、それらが平らではないときは、それらは、より大きな充填剤粒子へと完全には凝集できない。充填剤が処理されるとき、これらの物理的変化のタイプは、粘度及び安定性における変化の観察結果と一致する。上記のような物理的変化は、酸処理された充填剤が続いて塩基で処理されるとき、その変化が可逆でないという事実とも一致する。物理的変化が改善される特性に重要であるならば、そのような変化は、酸又は塩基処理以外の方法により達成してもよい。
【0067】
C.界面活性剤及び他の添加剤
本発明のコーティング混合物は、少なくとも1又は1を超える適する界面活性剤を含有して、表面張力を低下させることができる。界面活性剤には、湿潤剤、消泡剤、乳化剤、分散剤、レべリング剤等として別なもので知られる物質が含まれる。界面活性剤は、アニオン性、カチオン性、及び非イオン性であることができ、各々のタイプの多くの界面活性剤は、商業的に入手可能である。これらの組成物に含むのに適する界面活性剤は、残りの界面活性剤により動かされない乾燥コーティングを保証するために、十分に低い臨界ミセル濃度を有する。好ましくは、本方法及び本発明の分散液で有用な界面活性剤は、非イオン性であり、特にバーミキュライトのような高度に装填された充填剤で有用である。ラテックス分散物で存在するアニオン性乳化剤の不利な相互作用の発生においては、あらゆる追加のイオン性添加剤を最小に抑えなければならない。この変動性は、界面活性剤又は乳化剤が非イオン性であれば解消できる。pHを調製するために塩基、例えばKOH,NH4OH、及びNaOHを添加することによるような、バーミキュライトを含有する組成物のイオン濃度の増加は、充填剤の凝集を引き起こし、それは透過性の低減に対し逆方向に影響する。
【0068】
層状シリケートに存在するアルカリ金属対イオンとイオン交換ができるカチオン性界面活性剤は、用いられていない。それらは、典型的には、充填剤の表面を疎水性にし、かくして、安定な水懸濁液を不可能にする。限定された量のカチオン性界面活性剤は、それらがコーティング組成物の安定性に逆方向に影響しない程度までなら含まれてもよい。
【0069】
以下の実施例で用いられる望ましい界面活性剤は、特に、非イオン性シロキサンベースの、SILWETR L-77湿潤剤(OSI Specialties, inc.)及びFOAMASTERR VL消泡剤(Henkel)である。
【0070】
他の適する界面活性剤も選ばれることができる。コーティング分散物又は組成物に加えられる界面活性剤の量及び数は、選ばれる特定の界面活性剤に依存するだろうが、乾燥コーティングの性能を妥協しない一方で支持体の湿潤化を達成するのに必要である、最小量の界面活性剤に制限されるべきである。例えば、典型的な界面活性剤の量は、乾燥コーティングの約15重量%に等しくてもそれ未満でもよい。
【0071】
また、同じ界面活性剤分子は、後にポリマーと反応できる1)コポリマー部分、又は2)加えられた反応性部分として、ポリマーと化学的に結合することができる。
上記のように凝集を防ぐ注意を行うならば、コーティング混合物の他の任意の成分には、塩基、例えば特に、NH4OH、NaOH、又はKOH、又は酸、例えば特に、酢酸、グリシン、又はクエン酸のようなpHを調節する慣用的な剤が含まれる。
【0072】
別の態様では、増粘剤が、粘度を調整するためにコーティング組成物で用いられてもよい。当業者は、本明細書に含まれる教示に基づくコーティング混合物で用いられる充填剤のタイプ及び量に依存して、増粘剤のタイプ及び量を容易に決定し調整するだろう。
【0073】
フィルム又はコーティングがいずれの分子の拡散又は化学的な拡散を制限するとき、前記分子の透過は、吸収剤又はゲッターを、コーティングに添加することによっても又はコーティングの下の層又は材料に添加することによっても、さらに低減させることができるのはよく知られている。このコンセプトは、酸素の拡散をブロックするHoneywellのAEGISTMナイロンフィルムで商業的に用いられている。同じコンセプトが、酸素、水、化学兵器、又は他のあらゆる物質の透過をブロックするナノコンポジットコーティングに関連して用いられることは明らかである。そのような吸収剤の使用は、安定状態の透過性に対する大きな効果は有しないだろうが、主に、最初の分子がそのシステムを通過して拡散するのにかかる時間に影響するだろう。この漏出時間は、包装、化学的保護、及び電子的な適用において最も重要である。
【0074】
D.担体液体
本発明のコーティング混合液は、主に水である適する担体液体で存在する。水と有機的担体との組み合わせも担体液体として用いられる。適する有機的担体の例には、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、イソプロピルアルコール、シクロヘキサノン、エタノール、メタノール、他の炭化水素、及びそれらの組み合わせが含まれる。適する有機溶媒担体の選択は当該分野の技術の範囲内である。
【0075】
E.バリア混合物の態様
本発明に従う、支持体又は界面への塗布に有用なバリアコーティング混合物の1例は:(a)水分散非弾性ポリマー;(b)酸又は塩基で処理されて25を超えるアスペクト比を有していてもよい剥離層状小板充填剤;及び、(c)少なくとも1つの添加剤を含んでなるバリアコーティング混合物により形成されるコーティングを含んでなり、前記混合物の全固形分は30%未満であり、充填剤は全固形分の5〜60%の量で存在する。これらのバリアコーティング混合物は、5倍〜1500倍までもの高さ又は充填されていないポリマーと比べてさえも高いほどの、透過性における低減を有するフィルムをもたらす。これらの結果は、他の小板充填バリアコーティングに関する先行技術よりもかなり高度である。
【0076】
好ましい態様では、上記のコーティング混合物は、全固形分の5〜60%を含んでなる充填剤と、固形分において約0.1〜15重量%の添加剤を有し、30%に等しいかそれ未満の全固形分を有する。上記の混合物の乾燥コーティングは、乾燥された未充填のポリマー単独のものに対して、5倍を超えて気体透過性を低減させる充填剤を含有する。
【0077】
本発明で有用な1つの好ましいコーティング混合物は、約5〜約25重量%の固形分を有しており、その乾燥コーティングは、約65〜約95重量%の水分散非弾性ポリマー、約5〜約35重量%のバーミキュライト充填剤、及び約0.1〜約15重量%の全添加剤割合を含んでなる。以下の実施例に記載されるように、選択されるポリマーは、PVDC含有ポリマー、例えば、Rohm & Haas SERFENER 2022、及びEastman WD-30ポリエステルである。本発明に有用な追加の好ましいバリアコーティング混合物は、実施例3〜9及び12〜20で詳細に記載される方法により調製される。
【0078】
III.コートされた物品
コーティング混合物は、以下の実施例3〜9及び12〜20で詳細に記載されるように調製されて、適する支持体に塗布され、支持体を通過する気体の透過率を低減させる。乾燥時、乾燥コーティングには、混合物において、少なくとも約65%の重量割合でポリマーが含まれる。乾燥時、充填剤は、好ましくは、前記混合物において約5重量%よりも大きい濃度で存在する。乾燥コーティングは、乾燥された未充填のポリマー単独のものに対して、5倍を超えて気体透過性を低減させる。実施例3〜9及び12〜20に示されるように、本発明の組成物による透過性の低減は、約5〜約1500倍の範囲であり又は充填されていないポリマー単独のものよりもむしろ高いほどである。
【0079】
望ましい支持体の例には、フィルム、特に包装フィルム(防腐性包装、腐食保護包装、真空包装、及びガス置換包装を含む)、吹込成形又は熱成形容器及び物品、電子ディスプレー及び他の表面が含まれる。
【0080】
IV.支持体をコーティングする方法又はフィルムを形成する方法
本発明の組成物によりコートされる物品は、その物品の個性及び用途に依存して、前処理されなくても、又はそれらの表面に多様な前処理がされていてもよい。例えば、物品は、少なくとも1つの側面上に熱シール層を有していてもよい。そのような熱シール層は、エチレン−プロピレンコポリマー又はエチレン−プロピレン−ブチレンターポリマーで形成される。かくして、コーティング分散液は、熱シール層の表面上に塗布される。また、支持体又は物品は、擦過耐性等のために、ポリウレタン又はTEFLONRタイプ材料(DuPont)のようなフルオロポリマーのような保護トップコート層を含んでなってもよい。そのようなトップコートは、当業者により選択されることができる。本発明のコーティングは、トップコート層の上にでも下にでも塗布することができる。
【0081】
また、本発明のコーティング混合物は、コートされた物品ではなくフィルムを形成するため、剥がすことができる鋳型に塗布してもよい。かくして、フィルムは、上記のポリマーの乾燥混合物と、5重量%を超える25を超えるアスペクト比を有する層状充填剤とからなる。フィルムは膜の形態でもよく、様々な実験手順に用いられる気体バリア層としてそれ自身が用いられてもよく、球状又は風船状材料として用いられてもよい。そのような乾燥されたフリースタンディングフィルム又は膜は、乾燥されたポリマー単独で形成されるフィルムの透過性の5倍を超える気体透過性の低減により特徴付けられる。
【0082】
本発明のコートされた物品又はフリースタンディングフィルムを形成するために、本発明のコーティング混合物は、ロールコーティング、スプレーコーティング、ブラシコーティング、及びディップコーティング技術を含むがこれらに限定されない技術により、選択される表面又は物品に塗布することができる。ロールコーティング技術には、ロッド、リバースロール、フォワードロール、エアーナイフ、ナイフオーバーロール、ブレード、グラビア、及びスロットダイコーティング方法が含まれるがこれらに限定されない。これらのタイプのコーティング方法の一般的な記載は、Modern Coating and Drying Techniques(E. Cohen及びE. Gutoff, eds; VCH Publishers)New York (1992)、及びWeb Processing and Converting Technology and Equipment(D. Satas, ed; Van Nostrand Reinhold)New York(1984)のようなテキストに見られる。3次元の物品は、好ましくは、スプレーコーティング又はディップコーティングを含むがこれらに限定されない技術によりコートされる。塗布の方法は、本発明のために限定されないが、当業者により、これらの方法及び他の周知の方法から選択されることができる。しかし、コーティングは、乾燥が支持体上で起き、空気中では起きないように(即ち粉末コーティング)、塗布されなければばならない。乾燥がスプレー又は他の塗布手段中に起こると、凝集が発生する。
【0083】
コーティング混合物は、支持体、コーティングが塗布される目的、及びコートされる物品の最終的な用途に依存して、いずれの望まれる厚さで支持体に塗布されても、鋳型に塗布されてもよい。かくして、例えば、本発明のコーティング混合物は、上記の方法により物品又は支持体に塗布されて、約0.1〜約200μmの厚さの乾燥コーティングを形成してもよい。そのような調整は、当該技術分野でよく知られる範囲内である(例えば、カナダ特許番号993,738を参照のこと)。
【0084】
コーティング後、コートされた物品又は鋳型は、選択される温度、例えば、室温又は室温よりも高い温度で乾燥される。乾燥温度、相対湿度(Relative humidity)、及び空気対流速度の選択は、望まれる乾燥時間に依存する;すなわち、短い乾燥時間は、乾燥コーティング表面上の高い気温、低い相対湿度、及び高い空気循環速度で達成される。当業者は、望むように、乾燥条件を容易に調整することができる。
【0085】
乾燥コーティングは、先行技術と比較して、そして特に充填されていないポリマーと比較して、透過性において驚くべき低減を示す。以下の実施例で証明されるように、本発明の乾燥コーティングによりもたらされる透過性の低減は、約5〜1500倍であり、充填されていないポリマー単独と比べてもより高いほどである。本発明のコーティングの透過性の評価は、次のパラメータを用いて確認される。物品又はフリースタンディングフィルム上の乾燥コーティングの酸素透過率(OTR)は、一般的に、Mocon OX-TRAN 2/20モジュールのような慣用的な装置を用いて測定される。OTR単位は、1気圧、23℃、0%相対湿度で、cc/m2日である。コーティングの透過性は、OTRとコーティングの厚さとを掛け合わせることにより計算される。透過性の単位は、23℃、0%相対湿度で、cc mm/m2日気圧である。コーティングが既知の支持体上にあるならば、既知の支持体の透過性は、次の式を用いて減じられる:
バリアコーティングの透過性=X1/[(1/OTR)−(X2/PX2)]
式中X1はバリアコーティングの厚さであり;X2は支持体の厚さであり;そしてPX2は支持体の透過性である。充填されていないポリマーからの透過性の低減は、充填されていないポリマーの透過性を充填されたポリマーの透過性で割ることにより計算される。透過性における低減には単位がなく、比である。
【実施例】
【0086】
実験手順
a)酸素透過率試験
フィルム及びコートされた支持体は、Mocon OXTRAN 2/20又は2/60モジュールを用いて、23℃及び0%RHで酸素透過率について試験された。サンプルは、モジュールの上に載せられ、試験前に2時間酸素条件下に置かれる。平衡に達したら、OTR(酸素透過率)がcc/m2日atomの単位で記録される。
【0087】
b)厚さ測定
厚さの全ての計算は、コーティングの重量と仮定された密度に基づいて行われる。各々のポリマーが異なる密度を有することを認識してはいるが、ポリマー相についての密度は、全ての場合において0.95gm/ccであると仮定される。ナノコンポジットの密度は、混合物とクレーの仮定された密度の2gm/ccとの規則を用いて判断された。これを現実の密度に訂正すると、透過性の値が多少変更するだろうが、表1〜2において報告される何倍もの低減にはほとんど効果を及ぼさないだろう。
【0088】
支持体上のコーティングの厚さは、OTRを記録した後に測定される。各々のサンプルは、Moconモジュールから取り除かれ、特定の大きさの円がそのサンプルから切り抜かれる。その切られた円の重さを量る。コーティングの重さは、コートされていない円の重さを引くことで得られ、厚さは、円の大きさとコーティングの重さから計算される。フィルムの厚さはミリメートル単位で記録され、フィルムの透過性を計算するために用いられる。
【0089】
c)透過性の計算
透過性が、フィルムの厚さとサンプルのOTRを用いて、次の式で計算される:
コーティング透過性=(コーティング厚さ)/[(1/OTR)−(支持体厚さ/支持体透過性)]。
【0090】
コーティング対サンプルOTRの透過性を得る利点は、透過性が特定の厚さでのOTRで報告されることである。ゆえに、異なるコーティングを直接比較することができる。これは、変動する支持体上の、異なる厚さでのコーティングの性能を測定するときに重要である。
【0091】
処理された充填剤の手順
MICROLITER剥離シリケート(W. R. Grace、7.5%)が酸又は塩基で、次の手順を用いて処理された:
A.充填剤の18重量%酸又は塩基
ふた付きの2リットルプラスチック壷に、600gのMICROLITER 963を量り入れた。この分散されたシリケート充填剤に、303グラムの蒸留水における8.3gの酸又は塩基(100%に濃縮されているもの)を加えた。生じた分散液を、閉じられた容器で、室温で、決められた時間混合した。決められた時間(具体的な時間については実施例を参照のこと)の後、処理された充填剤を迅速に用いた
B.充填剤の2重量%酸又は塩基
ふた付きの2リットルプラスチック壷に、600gのMICROLITER 963を量り入れた。この分散されたシリケート充填剤に、310グラムの蒸留水における0.9gの酸又は塩基(100%に濃縮されているもの)を加えた。生じた分散液を、閉じられた容器で、室温で、決められた時間混合した。決められた時間(具体的な時間については実施例を参照のこと)の後、処理された充填剤を迅速に用いた
C.充填剤の61重量%酸又は塩基
ふた付きの2リットルプラスチック壷に、600gのMICROLITER 963を量り入れた。この分散されたシリケート充填剤に、283.7グラムの蒸留水における27.3gの酸又は塩基(100%に濃縮されているもの)を加えた。生じた分散液を、閉じられた容器で、室温で、決められた時間混合した。決められた時間(具体的な時間については実施例を参照のこと)の後、処理された充填剤を迅速に用いた
D.充填剤の100重量%酸又は塩基
ふた付きの2リットルプラスチック壷に、600gのMICROLITER 963を量り入れた。この分散されたシリケート充填剤に、265.5グラムの蒸留水における45.5gの酸又は塩基(100%に濃縮されているもの)を加えた。生じた分散液を、閉じられた容器で、室温で、決められた時間混合した。決められた時間(具体的な時間については実施例を参照のこと)の後、処理された充填剤を迅速に用いた。
【0092】
PVDCナノコンポジット
実施例1:充填されていないPVDC
母材がポリ塩化ビニリデン(PVDC)である、本発明に従う水性バリアコーティング溶液を次のように調製する。このフィルムは充填剤を含有しておらず、参考のために作成された。
【0093】
8オンス壷で、50グラムのPVDCラテックス(SERFENE 2022、50.5%固形分、Rohm & Haas)を3.0グラムのCOATOSIL 1301(OSI)とともに攪拌した。このコーティング溶液をポリプロピレンフィルム支持体に塗布して乾燥させておいた後、充填されていないPVDCのコーティングが評価される。
【0094】
酸素透過率(OTR)は、Mocon OXTRAN 2/20モジュールを用いて測定される。ポリプロピレン上のPVDCフィルムについてのOTRは、1気圧、0%RH、23℃で、9.2cc/m2日である。44.7ミクロン厚さPVDCフィルムの透過性は、0%RH、23℃で、0.4cc mm/m2日気圧である。
【0095】
実施例2:PVDCナノコンポジット−未処理充填剤
母材がポリ塩化ビニリデン(PVDC、SERFENE 2022、50.5%)であり、充填剤がMICROLITER剥離シリケートである、本発明に従う水性バリアコーティング溶液を次のように調製する。充填剤は、この実施例では未処理であり、標準として用いられた。
【0096】
8オンス壷に、1.1グラムのAcusolR880(35.2%、Rohm & Haas)、2.28グラムのACUSOLR 882(17.1%、Rohm & Haas)、及び22.7グラムの蒸留水を量り入れた。攪拌子を入れ、溶液を一晩ゆっくりと攪拌した。この溶液に、29.34グラムのPVDCラテックス(SERFENE 2022)、2グラムのCOATOSIL 1300(OSI)、4滴のFOAMASTER VL(Cognis)、及び27.58グラムの蒸留水の混合物を加えた。生じた溶液を完全に混合した。次いで、さらに15グラムの蒸留水を加え、攪拌子で混合した。
【0097】
上の溶液に、52グラムのMICROLITER963(7.5%、W. R. Grace)と35gの蒸留水を加えた。生じた溶液を攪拌子で攪拌した。生じた分散液を、室温で、プラスチック又はゴム支持体上への塗布、例えば、スプレーコーティング用に準備する。そのコーティング混合液は、水分において11.3%固形分を有している。
【0098】
このコーティング溶液をポリプロピレンフィルムに塗布し乾燥させておいた後、そのコーティングは、73.7重量%PVDC、19.4重量%充填剤、3.0重量%COATSIL 1300湿潤剤、1.9重量%ACUSOL 880、1.9重量%ACUSOL 882、及び0.1重量%FOAMASTER VL消泡剤を含有している。
【0099】
酸素透過率(OTR)は、Mocon OXTRAN 2/20モジュールを用いて測定される。OTRは、1気圧、0%RH、23℃で、1.0cc/m2日である。19.7ミクロンPVDCナノコンポジットの透過性は、0%RH、23℃で、0.02cc mm/m2日気圧である。このコーティングの透過性における低減は、充填されていないPVDCのラテックスの透過性における低減の20倍である。
【0100】
実施例3:PVDCナノコンポジット−18%酢酸/3日間充填剤前処理
母材がポリ塩化ビニリデン(PVDC、SERFENE 2022、50.5%)であり、充填剤がMICROLITER剥離シリケートである、本発明に従う水性バリアコーティング溶液を次のように調製する。充填剤は、この実施例では、処理された充填剤の手順Aに従って18%酢酸で3日間処理された。
【0101】
8オンス壷に、1.1グラムのAcusolR880(35.2%、Rohm & Haas)、2.28グラムのACUSOLR 882(17.1%、Rohm & Haas)、及び22.7グラムの蒸留水を量り入れた。攪拌子を入れ、溶液を一晩ゆっくりと攪拌した。この溶液に、29.34グラムのPVDCラテックス(SERFENE 2022)、2グラムのCOATOSIL 1300(OSI)、4滴のFOAMASTER VL(Cognis)、及び27.58グラムの蒸留水の混合物を加えた。生じた溶液を完全に混合した。
【0102】
上の溶液に、75グラムの手順Aで処理された充填剤と12gの蒸留水を加えた。生じた溶液を攪拌子で攪拌した。生じた分散液を、室温で、プラスチック又はゴム支持体上への塗布、例えば、スプレーコーティング用に準備する。そのコーティング混合液は、水分において11.6%固形分を有している。
【0103】
このコーティング溶液をポリプロピレンフィルム支持体に塗布し乾燥させておいた後、そのコーティングは、73.7重量%PVDC、19.4重量%充填剤、3.0%COATSIL 1300湿潤剤、1.9重量%ACUSOL 880、1.9重量%ACUSOL 882、及び0.1重量%FOAMASTER VL消泡剤を含有している。
【0104】
酸素透過率(OTR)は、Mocon OXTRAN 2/20モジュールを用いて測定される。OTRは、1気圧、0%RH、23℃で、0.5cc/m2日である。16.0ミクロンPVDCナノコンポジットの透過性は、0%RH、23℃で、0.008cc mm/m2日気圧である。このコーティングの透過性における低減は、充填されていないPVDCのラテックスの透過性における低減の50倍である。
【0105】
実施例4:PVDCナノコンポジット−18%グリシン/1日間充填剤前処理
母材がポリ塩化ビニリデン(PVDC、SERFENE 2022、50.5%)であり、充填剤がMICROLITER剥離シリケートである、本発明に従う水性バリアコーティング溶液を次のように調製する。充填剤は、この実施例では、処理された充填剤の手順Aに従って18%グリシンで1日間処理された。
【0106】
8オンス壷に、1.1グラムのACUSOLR880(35.2%、Rohm & Haas)、2.28グラムのACUSOLR 882(17.1%、Rohm & Haas)、及び22.7グラムの蒸留水を量り入れた。攪拌子を入れ、溶液を一晩ゆっくりと攪拌した。この溶液に、29.34グラムのPVDCラテックス(SERFENE 2022)、2グラムのCOATOSIL 1300(OSI)、4滴のFOAMASTER VL(Cognis)、及び27.58グラムの蒸留水の混合物を加えた。生じた溶液を完全に混合した。
【0107】
上の溶液に、18%グリシンを用いて1日間手順Aで処理された75グラムの充填剤と12gの蒸留水を加えた。生じた溶液を攪拌子で攪拌した。生じた分散液を、室温で、プラスチック又はゴム支持体上への塗布、例えば、スプレーコーティング用に準備する。そのコーティング混合液は、水分において13.4%固形分を有している。
【0108】
このコーティング溶液をポリプロピレンフィルム支持体に塗布し乾燥させておいた後、そのコーティングは、73.7重量%PVDC、19.4重量%充填剤、3.0%COATSIL 1300湿潤剤、1.9重量%ACUSOL 880、1.9重量%ACUSOL 882、及び0.1重量%FOAMASTER VL消泡剤を含有している。
【0109】
酸素透過率(OTR)は、Mocon OXTRAN 2/20モジュールを用いて測定される。OTRは、1気圧、0%RH、23℃で、<0.2cc/m2日(このモジュールの検出限界)である。37.6ミクロンPVDCナノコンポジットの透過性は、0%RH、23℃で、<0.0038cc mm/m2日気圧である。このコーティングの透過性における低減は、充填されていないPVDCラテックスの透過性における低減の>105倍である。
【0110】
実施例5:PVDCナノコンポジット−18%クエン酸/3日間充填剤前処理
母材がポリ塩化ビニリデン(PVDC、SERFENE 2022、50.5%)であり、充填剤がMICROLITER剥離シリケートである、本発明に従う水性バリアコーティング溶液を次のように調製する。充填剤は、この実施例では、処理された充填剤の手順Aに従って18%クエン酸で3日間処理された。
【0111】
8オンス壷に、1.1グラムのACUSOLR880(35.2%、Rohm & Haas)、2.28グラムのACUSOLR 882(17.1%、Rohm & Haas)、及び22.7グラムの蒸留水を量り入れた。攪拌子を入れ、溶液を一晩ゆっくりと攪拌した。この溶液に、29.34グラムのPVDCラテックス(SERFENE 2022)、2グラムのCOATOSIL 1300(OSI)、4滴のFOAMASTER VL(Cognis)、及び27.58グラムの蒸留水の混合物を加えた。生じた溶液を完全に混合した。
【0112】
上の溶液に、18%クエン酸を用いて3日間手順Aで処理された75グラムの充填剤と12gの蒸留水を加えた。生じた溶液を攪拌子で攪拌した。生じた分散液を、室温で、プラスチック又はゴム支持体上への塗布、例えば、スプレーコーティング用に準備する。そのコーティング混合液は、水分において13.4%固形分を有している。
【0113】
このコーティング溶液をポリプロピレンフィルム支持体に塗布し乾燥させておいた後、そのコーティングは、73.7重量%PVDC、19.4重量%充填剤、3.0%COATSIL 1300湿潤剤、1.9重量%ACUSOLR 880、1.9重量%ACUSOL 882、及び0.1重量%FOAMASTER VL消泡剤を含有している。
【0114】
酸素透過率(OTR)は、Mocon OXTRAN 2/20モジュールを用いて測定される。OTRは、1気圧、0%RH、23℃で、<0.2cc/m2日(このモジュールの検出限界)である。26.4ミクロンPVDCナノコンポジットの透過性は、0%RH、23℃で、<0.0027cc mm/m2日気圧である。このコーティングの透過性における低減は、充填されていないPVDCラテックスの透過性における低減の>148倍である。
【0115】
実施例6:PVDCナノコンポジット−18%クエン酸/30分間充填剤前処理
母材がポリ塩化ビニリデン(PVDC、SERFENE 2022、50.5%)であり、充填剤がMICROLITER剥離シリケートである、本発明に従う水性バリアコーティング溶液を次のように調製する。充填剤は、この実施例では、処理された充填剤の手順Aに従って18%クエン酸で30分間処理された。
【0116】
8オンス壷に、1.1グラムのACUSOLR880(35.2%、Rohm & Haas)、2.28グラムのACUSOLR 882(17.1%、Rohm & Haas)、及び22.7グラムの蒸留水を量り入れた。攪拌子を入れ、溶液を一晩ゆっくりと攪拌した。この溶液に、29.34グラムのPVDCラテックス(SERFENE 2022)、2グラムのCOATOSIL 1300(OSI)、4滴のFOAMASTER VL(Cognis)、及び27.58グラムの蒸留水の混合物を加えた。生じた溶液を完全に混合した。
【0117】
上の溶液に、18%クエン酸を用いて30分間手順Aで処理された75グラムの充填剤と12gの蒸留水を加えた。生じた溶液を攪拌子で攪拌した。生じた分散液を、室温で、プラスチック又はゴム支持体上への塗布、例えば、スプレーコーティング用に準備する。そのコーティング混合液は、水分において13.4%固形分を有している。
【0118】
このコーティング溶液をポリプロピレンフィルム支持体に塗布し乾燥させておいた後、そのコーティングは、73.7重量%PVDC、19.4重量%充填剤、3.0%COATSIL 1300湿潤剤、1.9重量%ACUSOLR 880、1.9重量%ACUSOLR882、及び0.1重量%FOAMASTER VL消泡剤を含有している。
【0119】
酸素透過率(OTR)は、Mocon OXTRAN 2/20モジュールを用いて測定される。OTRは、1気圧、0%RH、23℃で、<0.2cc/m2日(このモジュールの検出限界)である。25.8ミクロンPVDCナノコンポジットの透過性は、0%RH、23℃で、<0.0026cc mm/m2日気圧である。このコーティングの透過性における低減は、充填されていないPVDCラテックスの透過性における低減の>153倍である。
【0120】
実施例7:PVDCナノコンポジット−2%酢酸/3日間充填剤前処理
母材がポリ塩化ビニリデン(PVDC、SERFENE 2022、50.5%)であり、充填剤がMICROLITER剥離シリケートである、本発明に従う水性バリアコーティング溶液を次のように調製する。充填剤は、この実施例では、処理された充填剤の手順Bに従って2%クエン酸で3日間処理された。
【0121】
8オンス壷に、1.1グラムのACUSOLR880(35.2%、Rohm & Haas)、2.28グラムのACUSOLR 882(17.1%、Rohm & Haas)、及び22.7グラムの蒸留水を量り入れた。攪拌子を入れ、溶液を一晩ゆっくりと攪拌した。この溶液に、29.34グラムのPVDCラテックス(SERFENE 2022)、2グラムのCOATOSIL 1300(OSI)、4滴のFOAMASTER VL(Cognis)、及び27.58グラムの蒸留水の混合物を加えた。生じた溶液を完全に混合した。
【0122】
上の溶液に、2%クエン酸を用いて3日間手順Bで処理された75グラムの充填剤と12gの蒸留水を加えた。生じた溶液を攪拌子で攪拌した。生じた分散液を、室温で、プラスチック又はゴム支持体上への塗布、例えば、スプレーコーティング用に準備する。そのコーティング混合液は、水分において13.4%固形分を有している。
【0123】
このコーティング溶液をポリプロピレンフィルム支持体に塗布し乾燥させておいた後、そのコーティングは、73.7重量%PVDC、19.4重量%充填剤、3.0%COATSIL 1300湿潤剤、1.9重量%ACUSOLR 880、1.9重量%ACUSOLR882、及び0.1重量%FOAMASTER VL消泡剤を含有している。
【0124】
酸素透過率(OTR)は、Mocon OXTRAN 2/20モジュールを用いて測定される。OTRは、1気圧、0%RH、23℃で、<0.2cc/m2日(このモジュールの検出限界)である。20.1ミクロンPVDCナノコンポジットの透過性は、0%RH、23℃で、<0.0040cc mm/m2日気圧である。このコーティングの透過性における低減は、充填されていないPVDCラテックスの透過性における低減の>100倍である。
【0125】
実施例8:PVDCナノコンポジット−61%酢酸/3日間充填剤前処理
母材がポリ塩化ビニリデン(PVDC、SERFENE 2022、50.5%)であり、充填剤がMICROLITER剥離シリケートである、本発明に従う水性バリアコーティング溶液を次のように調製する。充填剤は、この実施例では、処理された充填剤の手順Cに従って61%酢酸で3日間処理された。
【0126】
8オンス壷に、1.1グラムのACUSOLR880(35.2%、Rohm & Haas)、2.28グラムのACUSOLR 882(17.1%、Rohm & Haas)、及び22.7グラムの蒸留水を量り入れた。攪拌子を入れ、溶液を一晩ゆっくりと攪拌した。この溶液に、29.34グラムのPVDCラテックス(SERFENE 2022)、2グラムのCOATOSIL 1300(OSI)、4滴のFOAMASTER VL(Cognis)、及び27.58グラムの蒸留水の混合物を加えた。生じた溶液を完全に混合した。
【0127】
上の溶液に、61%酢酸を用いて3日間手順Cで処理された75グラムの充填剤と12gの蒸留水を加えた。生じた溶液を攪拌子で攪拌した。生じた分散液を、室温で、プラスチック又はゴム支持体上への塗布、例えば、スプレーコーティング用に準備する。そのコーティング混合液は、水分において13.4%固形分を有している。
【0128】
このコーティング溶液をポリプロピレンフィルム支持体に塗布し乾燥させておいた後、そのコーティングは、73.7重量%PVDC、19.4重量%充填剤、3.0%COATSIL 1300湿潤剤、1.9重量%ACUSOLR 880、1.9重量%ACUSOLR882、及び0.1重量%FOAMASTER VL消泡剤を含有している。
【0129】
酸素透過率(OTR)は、Mocon OXTRAN 2/20モジュールを用いて測定される。OTRは、1気圧、0%RH、23℃で、<0.2cc/m2日(このモジュールの検出限界)である。26.0ミクロンPVDCナノコンポジットの透過性は、0%RH、23℃で、<0.0028cc mm/m2日気圧である。このコーティングの透過性における低減は、充填されていないPVDCラテックスの透過性における低減の>142倍である。
【0130】
実施例9:PVDCナノコンポジット−100%酢酸/2日間充填剤前処理
母材がポリ塩化ビニリデン(PVDC、SERFENE 2022、50.5%)であり、充填剤がMICROLITER剥離シリケートである、本発明に従う水性バリアコーティング溶液を次のように調製する。充填剤は、この実施例では、処理された充填剤の手順Dに従って100%酢酸で2日間処理された。
【0131】
8オンス壷に、1.1グラムのACUSOLR880(35.2%、Rohm & Haas)、2.28グラムのACUSOLR 882(17.1%、Rohm & Haas)、及び22.7グラムの蒸留水を量り入れた。攪拌子を入れ、溶液を一晩ゆっくりと攪拌した。この溶液に、29.34グラムのPVDCラテックス(SERFENE 2022)、2グラムのCOATOSIL 1300(OSI)、4滴のFOAMASTER VL(Cognis)、及び27.58グラムの蒸留水の混合物を加えた。生じた溶液を完全に混合した。
【0132】
上の溶液に、100%酢酸を用いて2日間手順Dで処理された75グラムの充填剤と12gの蒸留水を加えた。生じた溶液を攪拌子で攪拌した。生じた分散液を、室温で、プラスチック又はゴム支持体上への塗布、例えば、スプレーコーティング用に準備する。そのコーティング混合液は、水分において13.4%固形分を有している。
【0133】
このコーティング溶液をポリプロピレンフィルム支持体に塗布し乾燥させておいた後、そのコーティングは、73.7重量%PVDC、19.4重量%充填剤、3.0%COATSIL 1300湿潤剤、1.9重量%ACUSOLR 880、1.9重量%ACUSOLR882、及び0.1重量%FOAMASTER VL消泡剤を含有している。
【0134】
酸素透過率(OTR)は、Mocon OXTRAN 2/20モジュールを用いて測定される。OTRは、1気圧、0%RH、23℃で、3.43cc/m2日である。21.0ミクロンPVDCナノコンポジットの透過性は、0%RH、23℃で、0.070cc mm/m2日気圧である。このコーティングの透過性における低減は、充填されていないPVDCラテックスの透過性における低減の6倍である。
【0135】
実施例1〜9で得られたデータの一覧を表1に挙げる。
表化されたデータからわかるように、未処理の充填剤を超える、透過性における大きな低減が、これらの3つの酸:酢酸、グリシン、及びクエン酸のいずれかで前処理された充填剤を用いて達成される。さらに、透過性におけるこれらの低減は、2重量%ほどの小量から60重量%を超える範囲にわたる酸を用いた30分〜3日間にわたる期間の充填剤処理で得ることができる。実施例9は、本発明の範囲外である充填剤処理のレベルを証明するために示されている。
【0136】
【表1】

【0137】
ポリエステルナノコンポジット
実施例10:充填されていないポリエステル
母材がポリエステルである、本発明に従う水性バリアコーティング溶液を次のように調製する。このフィルムは充填剤を含有しておらず、参考のために作成された。
【0138】
8オンス壷で、50グラムのポリエステルラテックス(WD-30、30%固形分、Eastman)を、3.0グラムのCOATOSIL 1301(OSI)とともに攪拌した。このコーティング溶液を、ポリプレピレンフィルム支持体に塗布し乾燥させておいた後、その充填されていないポリエステルのコーティングが評価される。
【0139】
酸素透過率(OTR)は、Mocon OXTRAN 2/20モジュールを用いて測定される。ポリプロピレン上のポリエステルフィルムについてのOTRは、1気圧、0%RH、23℃で、42.3cc/m2日である。65.5ミクロン厚さのPVDCフィルムの透過性は、0%RH、23℃で、2.8cc mm/m2日気圧である。
【0140】
実施例11:ポリエステルナノコンポジット、未処理の充填剤
母材がポリエステル(WD-30、Easrman、30%)であり、充填剤がMICROLITER剥離シリケートである、本発明に従う水性バリアコーティング溶液を次のように調製する。充填剤は、この実施例では未処理であり、標準として用いられた。
【0141】
8オンス壷に、0.17グラムのACUSOLR880(35.2%、Rohm & Haas)、0.35グラムのACUSOLR 882(17.1%、Rohm & Haas)、及び28.15グラムの蒸留水を量り入れた。攪拌子を入れ、溶液を一晩ゆっくりと攪拌した。この溶液に、32.69グラムのポリエステルラテックス(Eastman WD-30)、1.25グラムのCOATOSIL 1300(OSI)、4滴のFOAMASTER VL(Cognis)、及び9.38グラムの蒸留水の混合物を加えた。生じた溶液を完全に混合した。
【0142】
上の溶液に、32グラムのMICROLITER 963(7.5%、W. R. Grace)と46gの蒸留水を加えた。生じた溶液を攪拌子で攪拌した。生じた分散液を、室温で、プラスチック又はゴム支持体上への塗布、例えば、スプレーコーティング用に準備する。そのコーティング混合液は、水分において8.5%固形分を有している。
【0143】
このコーティング溶液をポリプロピレンフィルム支持体に塗布し乾燥させておいた後、そのコーティングは、77.2重量%ポリエステル、18.9重量%充填剤、3.0%COATSIL 1300湿潤剤、0.5重量%ACUSOLR 880、0.5重量%ACUSOLR882、及び0.1重量%FOAMASTER VL消泡剤を含有している。
【0144】
酸素透過率(OTR)は、Mocon OXTRAN 2/20モジュールを用いて測定される。OTRは、1気圧、0%RH、23℃で、1.1cc/m2日である。27.9ミクロンポリエステルナノコンポジットの透過性は、0%RH、23℃で、0.03cc mm/m2日気圧である。このコーティングの透過性における低減は、充填されていないポリエステルラテックスの透過性における低減の90倍である。
【0145】
実施例12:ポリエステルナノコンポジット−18%グリシン/3日間充填剤前処理
母材がポリエステル(Easrman、WD-30、30%)であり、充填剤がMICROLITER剥離シリケートである、本発明に従う水性バリアコーティング溶液を次のように調製する。その充填剤は、この実施例では、処理された充填剤の手順Aに従って18%グリシンで3日間処理された。
【0146】
8オンス壷に、1.1グラムのACUSOLR880(35.2%、Rohm & Haas)、2.28グラムのACUSOLR 882(17.1%、Rohm & Haas)、及び13.15グラムの蒸留水を量り入れた。攪拌子を入れ、溶液を一晩ゆっくりと攪拌した。この溶液に、51.09グラムのポリエステルラテックス(Eastman WD-30)、1.5グラムのCOATOSIL 1300(OSI)、4滴のFOAMASTER VL(Cognis)、及び29.38グラムの蒸留水の混合物を加えた。生じた溶液を完全に混合した。
【0147】
上の溶液に、18%グリシンを用いて手順Aで処理された75グラムの充填剤と3gの蒸留水を加えた。生じた溶液を攪拌子で攪拌した。生じた分散液を、室温で、プラスチック又はゴム支持体上への塗布、例えば、スプレーコーティング用に準備する。そのコーティング混合液は、水分において11.7%固形分を有している。
【0148】
このコーティング溶液をポリプロピレンフィルム支持体に塗布し乾燥させておいた後、そのコーティングは、74.9重量%ポリエステル、19.1重量%充填剤、2.2%COATSIL 1300湿潤剤、1.9重量%ACUSOL 880、1.9重量%ACUSOL 882、及び0.1重量%FOAMASTER VL消泡剤を含有している。
【0149】
酸素透過率(OTR)は、Mocon OXTRAN 2/20モジュールを用いて測定される。OTRは、1気圧、0%RH、23℃で、0.2cc/m2日である。18.4ミクロンポリエステルナノコンポジットの透過性は、0%RH、23℃で、0.0037cc mm/m2日気圧である。このコーティングの透過性における低減は、充填されていないポリエステルラテックスの透過性における低減の756倍である。
【0150】
実施例13:ポリエステルナノコンポジット−18%グリシン/30分間充填剤前処理
母材がポリエステル(Easrman、WD-30、30%)であり、充填剤がMICROLITER剥離シリケートである、本発明に従う水性バリアコーティング溶液を次のように調製する。その充填剤は、この実施例では、処理された充填剤の手順Aに従って18%グリシンで30分間処理された。
【0151】
8オンス壷に、0.17グラムのACUSOLR880(35.2%、Rohm & Haas)、0.35グラムのACUSOLR 882(17.1%、Rohm & Haas)、及び28.15グラムの蒸留水を量り入れた。攪拌子を入れ、溶液を一晩ゆっくりと攪拌した。この溶液に、32.69グラムのポリエステルラテックス(Eastman WD-30)、1.25グラムのCOATOSIL 1301(OSI)、4滴のFOAMASTER VL(Cognis)、及び9.38グラムの蒸留水の混合物を加えた。生じた溶液を完全に混合した。
【0152】
上の溶液に、18%グリシンを用いて手順Aで処理された46.15グラムの充填剤と31.85gの蒸留水を加えた。生じた溶液を攪拌子で攪拌した。生じた分散液を、室温で、プラスチック又はゴム支持体上への塗布、例えば、スプレーコーティング用に準備する。そのコーティング混合液は、水分において8.5%固形分を有している。
【0153】
このコーティング溶液を、ポリプロピレンフィルム支持体に塗布し乾燥させておいた後、そのコーティングは、77.2重量%ポリエステル、18.9重量%充填剤、3.0%COATSIL 1300湿潤剤、0.5重量%ACUSOLR 880、0.5重量%ACUSOLR882、及び0.1重量%FOAMASTER VL消泡剤を含有している。
【0154】
酸素透過率(OTR)は、Mocon OXTRAN 2/20モジュールを用いて測定される。OTRは、1気圧、0%RH、23℃で、<0.2cc/m2日(このモジュールの検出限界)である。19.0ミクロンポリエステルナノコンポジットの透過性は、0%RH、23℃で、<0.0038cc mm/m2日気圧である。このコーティングの透過性における低減は、充填されていないポリエステルラテックスの透過性における低減の>710倍である。
【0155】
実施例14:ポリエステルナノコンポジット−18%NH4OH/3日間充填剤前処理
母材がポリエステル(Easrman、WD-30、30%)であり、充填剤がMICROLITER剥離シリケートである、本発明に従う水性バリアコーティング溶液を次のように調製する。充填剤は、この実施例では、処理された充填剤の手順Aに従って18%水酸化アンモニウムをで3日間処理された。
【0156】
8オンス壷に、1.1グラムのACUSOLR880(35.2%、Rohm & Haas)、2.28グラムのACUSOLR 882(17.1%、Rohm & Haas)、及び13.15グラムの蒸留水を量り入れた。攪拌子を入れ、溶液を一晩ゆっくりと攪拌した。この溶液に、51.09グラムのポリエステルラテックス(Eastman WD-30)、1.5グラムのCOATOSIL 1300(OSI)、4滴のFOAMASTER VL(Cognis)、及び29.38グラムの蒸留水の混合物を加えた。生じた溶液を完全に混合した。
【0157】
上の溶液に、18%水酸化アンモニウムを用いて手順Aで処理された75グラムの充填剤と3gの蒸留水を加えた。生じた溶液を攪拌子で攪拌した。生じた分散液を、室温で、プラスチック又はゴム支持体上への塗布、例えば、スプレーコーティング用に準備する。そのコーティング混合液は、水分において11.7%固形分を有している。
【0158】
このコーティング溶液をポリプロピレンフィルム支持体に塗布し乾燥させておいた後、そのコーティングは、74.9重量%ポリエステル、19.1重量%充填剤、2.2重量%COATSIL 1300湿潤剤、1.9重量%ACUSOLR 880、1.9重量%ACUSOLR882、及び0.1重量%FOAMASTER VL消泡剤を含有している。
【0159】
酸素透過率(OTR)は、Mocon OXTRAN 2/20モジュールを用いて測定される。OTRは、1気圧、0%RH、23℃で、<0.2cc/m2日(このモジュールの検出限界)である。35.0ミクロンポリエステルナノコンポジットの透過性は、0%RH、23℃で、<0.007cc mm/m2日気圧である。このコーティングの透過性における低減は、充填されていないポリエステルラテックスの透過性における低減の>400倍である。
【0160】
実施例15:ポリエステルナノコンポジット−18%NH4OH/30分間充填剤前処理
母材がポリエステル(Easrman、WD-30、30%)であり、充填剤がMICROLITER剥離シリケートである、本発明に従う水性バリアコーティング溶液を次のように調製する。充填剤は、この実施例では、処理された充填剤の手順Aに従って18%水酸化アンモニウムで30分間処理された。
【0161】
8オンス壷に、0.937グラムのACUSOLR880(35.2%、Rohm & Haas)、1.93グラムのACUSOLR 882(17.1%、Rohm & Haas)、及び18.29グラムの蒸留水を量り入れた。攪拌子を入れ、溶液を一晩ゆっくりと攪拌した。この溶液に、43.24グラムのポリエステルラテックス(Eastman WD-30)、1.5グラムのCOATOSIL 1301(OSI)、4滴のFOAMASTER VL(Cognis)、及び6.09グラムの蒸留水の混合物を加えた。生じた溶液を完全に混合した。
【0162】
上の溶液に、18%水酸化アンモニウムを用いて手順Aで処理された63.46グラムの充填剤と14.54gの蒸留水を加えた。生じた溶液を攪拌子で攪拌した。生じた分散液を、室温で、プラスチック又はゴム支持体上への塗布、例えば、スプレーコーティング用に準備する。そのコーティング混合液は、水分において11.6%固形分を有している。
【0163】
このコーティング溶液をポリプロピレンフィルム支持体に塗布し乾燥させておいた後、そのコーティングは、74.6重量%ポリエステル、19.0重量%充填剤、2.6%COATSIL 1301湿潤剤、1.9重量%ACUSOLR 880、1.9重量%ACUSOLR882、及び0.1重量%FOAMASTER VL消泡剤を含有している。
【0164】
酸素透過率(OTR)は、Mocon OXTRAN 2/20モジュールを用いて測定される。OTRは、1気圧、0%RH、23℃で、<0.2cc/m2日(このモジュールの検出限界)である。16.7ミクロンポリエステルナノコンポジットの透過性は、0%RH、23℃で、<0.0033cc mm/m2日気圧である。このコーティングの透過性における低減は、充填されていないポリエステルラテックスの透過性における低減の>818倍である。
【0165】
実施例16:ポリエステルナノコンポジット−2%NaOH/1日間充填剤前処理
母材がポリエステル(Easrman、WD-30、30%)であり、充填剤がMICROLITER剥離シリケートである、本発明に従う水性バリアコーティング溶液を次のように調製する。その充填剤は、この実施例では、処理された充填剤の手順Bに従って2%グリシンで1日間処理された。
【0166】
8オンス壷に、0.32グラムのACUSOLR880(35.2%、Rohm & Haas)、0.70グラムのACUSOLR 882(17.1%、Rohm & Haas)、及び28.1グラムの蒸留水を量り入れた。攪拌子を入れ、溶液を一晩ゆっくりと攪拌した。この溶液に、32.28グラムのポリエステルラテックス(Eastman WD-30)、1.2グラムのCOATOSIL 1301(OSI)、4滴のFOAMASTER VL(Cognis)、及び9.36グラムの蒸留水の混合物を加えた。生じた溶液を完全に混合した。
【0167】
上の溶液に、2%水酸化ナトリウムを用いて手順Bで処理された46.15グラムの充填剤と31.85gの蒸留水を加えた。生じた溶液を攪拌子で攪拌した。生じた分散液を、室温で、プラスチック又はゴム支持体上への塗布、例えば、スプレーコーティング用に準備する。そのコーティング混合液は、水分において8.5%固形分を有している。
【0168】
このコーティング溶液をポリプロピレンフィルム支持体に塗布し乾燥させておいた後、そのコーティングは、76.4重量%ポリエステル、18.9重量%充填剤、2.8%COATSIL 1301湿潤剤、0.9重量%ACUSOLR 880、0.9重量%ACUSOLR882、及び0.1重量%FOAMASTER VL消泡剤を含有している。
【0169】
酸素透過率(OTR)は、Mocon OXTRAN 2/20モジュールを用いて測定される。OTRは、1気圧、0%RH、23℃で、<0.2cc/m2日(このモジュールの検出限界)である。26.4ミクロンポリエステルナノコンポジットの透過性は、0%RH、23℃で、<0.0053cc mm/m2日気圧である。このコーティングの透過性における低減は、充填されていないポリエステルラテックスの透過性における低減の>509倍である。
【0170】
実施例17:ポリエステルナノコンポジット−2%NaOH/2日間充填剤前処理
母材がポリエステル(Easrman、WD-30、30%)であり、充填剤がMICROLITER剥離シリケートである、本発明に従う水性バリアコーティング溶液を次のように調製する。その充填剤は、この実施例では、処理された充填剤の手順Bに従って2%水酸化ナトリウムをで2日間処理された。
【0171】
8オンス壷に、0.32グラムのACUSOLR880(35.2%、Rohm & Haas)、0.70グラムのACUSOLR 882(17.1%、Rohm & Haas)、及び28.1グラムの蒸留水を量り入れた。攪拌子を入れ、溶液を一晩ゆっくりと攪拌した。この溶液に、32.28グラムのポリエステルラテックス(Eastman WD-30)、1.2グラムのCOATOSIL 1301(OSI)、4滴のFOAMASTER VL(Cognis)、及び9.36グラムの蒸留水の混合物を加えた。生じた溶液を完全に混合した。
【0172】
上の溶液に、2%水酸化ナトリウムを用いて手順Bで処理された46.15グラムの充填剤と31.85gの蒸留水を加えた。生じた溶液を攪拌子で攪拌した。生じた分散液を、室温で、プラスチック又はゴム支持体上への塗布、例えば、スプレーコーティング用に準備する。そのコーティング混合液は、水分において8.5%固形分を有している。
【0173】
このコーティング溶液をポリプロピレンフィルム支持体に塗布し乾燥させておいた後、そのコーティングは、76.4重量%ポリエステル、18.9重量%充填剤、2.8%COATSIL 1301湿潤剤、0.9重量%ACUSOLR 880、0.9重量%ACUSOLR882、及び0.1重量%FOAMASTER VL消泡剤を含有している。
【0174】
酸素透過率(OTR)は、Mocon OXTRAN 2/20モジュールを用いて測定される。OTRは、1気圧、0%RH、23℃で、<0.2cc/m2日(このモジュールの検出限界)である。11.9ミクロンポリエステルナノコンポジットの透過性は、0%RH、23℃で、<0.0024cc mm/m2日気圧である。このコーティングの透過性における低減は、充填されていないポリエステルラテックスの透過性における低減の>1125倍である。
【0175】
実施例18:ポリエステルナノコンポジット−2%KOH/30分間充填剤前処理
母材がポリエステル(Easrman、WD-30、30%)であり、充填剤がMICROLITER剥離シリケートである、本発明に従う水性バリアコーティング溶液を次のように調製する。その充填剤は、この実施例では、処理された充填剤の手順B従って2%水酸化カリウムを用いて30分間処理された。
【0176】
8オンス壷に、0.85グラムのACUSOLR880(35.2%、Rohm & Haas)、1.75グラムのACUSOLR 882(17.1%、Rohm & Haas)、及び21.64グラムの蒸留水を量り入れた。攪拌子を入れ、溶液を一晩ゆっくりと攪拌した。この溶液に、39.3グラムのポリエステルラテックス(Eastman WD-30)、1.25グラムのCOATOSIL 1301(OSI)、4滴のFOAMASTER VL(Cognis)、及び7.21グラムの蒸留水の混合物を加えた。生じた溶液を完全に混合した。
【0177】
上の溶液に、2%水酸化カリウムを用いて手順Bで処理された57.69グラムの充填剤と20.31gの蒸留水を加えた。生じた溶液を攪拌子で攪拌した。生じた分散液を、室温で、プラスチック又はゴム支持体上への塗布、例えば、スプレーコーティング用に準備する。そのコーティング混合液は、水分において10.5%固形分を有している。
【0178】
このコーティング溶液をポリプロピレンフィルム支持体に塗布し乾燥させておいた後、そのコーティングは、74.8重量%ポリエステル、19.0重量%充填剤、2.4%COATSIL 1301湿潤剤、1.9重量%ACUSOLR 880、1.9重量%ACUSOLR882、及び0.1重量%FOAMASTER VL消泡剤を含有している。
【0179】
酸素透過率(OTR)は、Mocon OXTRAN 2/20モジュールを用いて測定される。OTRは、1気圧、0%RH、23℃で、1.51cc/m2日である。15.4ミクロンポリエステルナノコンポジットの透過性は、0%RH、23℃で、0.0233cc mm/m2日気圧である。このコーティングの透過性における低減は、充填されていないポリエステルラテックスの透過性における低減の>120倍である。
【0180】
実施例19:ポリエステルナノコンポジット−2%KOH/1日間充填剤前処理
母材がポリエステル(Easrman、WD-30、30%)であり、充填剤がMICROLITER剥離シリケートである、本発明に従う水性バリアコーティング溶液を次のように調製する。その充填剤は、この実施例では、処理された充填剤の手順Bに従って2%水酸化カリウムで1日間処理された。
【0181】
8オンス壷に、0.32グラムのACUSOLR880(35.2%、Rohm & Haas)、0.70グラムのACUSOLR 882(17.1%、Rohm & Haas)、及び28.1グラムの蒸留水を量り入れた。攪拌子を入れ、溶液を一晩ゆっくりと攪拌した。この溶液に、32.28グラムのポリエステルラテックス(Eastman WD-30)、1.2グラムのCOATOSIL 1301(OSI)、4滴のFOAMASTER VL(Cognis)、及び9.36グラムの蒸留水の混合物を加えた。生じた溶液を完全に混合した。
【0182】
上の溶液に、2%水酸化カリウムを用いて手順Bで処理された46.15グラムの充填剤と31.85gの蒸留水を加えた。生じた溶液を攪拌子で攪拌した。生じた分散液を、室温で、プラスチック又はゴム支持体上への塗布、例えば、スプレーコーティング用に準備する。そのコーティング混合液は、水分において8.5%固形分を有している。
【0183】
このコーティング溶液をポリプロピレンフィルム支持体に塗布し乾燥させておいた後、そのコーティングは、76.4重量%ポリエステル、18.9重量%充填剤、2.8%COATSIL 1301湿潤剤、0.9重量%ACUSOLR 880、0.9重量%ACUSOLR882、及び0.1重量%FOAMASTER VL消泡剤を含有している。
【0184】
酸素透過率(OTR)は、Mocon OXTRAN 2/20モジュールを用いて測定される。OTRは、1気圧、0%RH、23℃で、<0.2cc/m2日(このモジュールの検出限界)である。20.8ミクロンポリエステルナノコンポジットの透過性は、0%RH、23℃で、<0.0042cc mm/m2日気圧である。このコーティングの透過性における低減は、充填されていないポリエステルラテックスの透過性における低減の>643倍である。
【0185】
実施例20:ポリエステルナノコンポジット−2%KOH/2日間充填剤前処理
母材がポリエステル(Easrman、WD-30、30%)であり、充填剤がMICROLITER剥離シリケートである、本発明に従う水性バリアコーティング溶液を次のように調製する。充填剤は、この実施例では、処理された充填剤の手順Bに従って2%水酸化カリウムで2日間処理された。
【0186】
8オンス壷に、0.32グラムのACUSOLR880(35.2%、Rohm & Haas)、0.70グラムのACUSOLR 882(17.1%、Rohm & Haas)、及び28.1グラムの蒸留水を量り入れた。攪拌子を入れ、溶液を一晩ゆっくりと攪拌した。この溶液に、32.28グラムのポリエステルラテックス(Eastman WD-30)、1.2グラムのCOATOSIL 1301(OSI)、4滴のFOAMASTER VL(Cognis)、及び9.36グラムの蒸留水の混合物を加えた。生じた溶液を完全に混合した。
【0187】
上の溶液に、2%水酸化カリウムを用いて手順Bで処理された46.15グラムの充填剤と31.85gの蒸留水を加えた。生じた溶液を攪拌子で攪拌した。生じた分散液を、室温で、プラスチック又はゴム支持体上への塗布、例えば、スプレーコーティング用に準備する。そのコーティング混合液は、水分において8.5%固形分を有している。
【0188】
このコーティング溶液をポリプロピレンフィルム支持体に塗布し乾燥させておいた後、そのコーティングは、76.4重量%ポリエステル、18.9重量%充填剤、2.8%COATSIL 1301湿潤剤、0.9重量%ACUSOLR 880、0.9重量%ACUSOLR882、及び0.1重量%FOAMASTER VL消泡剤を含有している。
【0189】
酸素透過率(OTR)は、Mocon OXTRAN 2/20モジュールを用いて測定される。OTRは、1気圧、0%RH、23℃で、<0.2cc/m2日(このモジュールの検出限界)である。9.1ミクロンポリエステルナノコンポジットの透過性は、0%RH、23℃で、<0.0018cc mm/m2日気圧である。このコーティングの透過性における低減は、充填されていないポリエステルラテックスの透過性における低減の>1500倍である。
【0190】
実施例10〜20で得られたデータの一覧を表2に挙げる。
ポリエステルは、酸又は塩基のどちらかで前処理されている充填剤と組み合わせることができる。表2のデータからわかるように、未処理の充填剤を超える、透過性における大きな低減が、酸又は塩基で前処理された充填剤を用いて再び達成されている。この場合では、酸はグリシンにより表され、塩基は、水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム、又は水酸化カリウムから選択される。その上、透過性におけるこれらの低減は、2重量%ほどの小量から18重量%を超える範囲にわたる酸又は塩基を用いて30分〜3日間にわたる期間の充填剤処理で得ることができる。示されたいくつかの場合では、OTRの低減は測定装置の検出限界を下回っている(実施例13〜17及び19〜20を参照のこと)。
【0191】
【表2】

【0192】
代替態様
第一の代替態様(代替態様No.1)では、非弾性ポリマー;有機カチオンで機能付与されていない実質的に剥離されたシリケート充填剤材料であって、そのシリケートが25を超えるアスペクト比を有し、そのシリケートが全固形分の60%未満で存在するシリケート充填剤;界面活性剤、乳化剤、消泡剤、分散剤、湿潤剤、レべリング剤、及び増粘剤からなる群から選ばれる少なくとも1つの添加剤;を含有するコーティング分散液であって、全固形分がその分散液の30%未満であり、その分散液が、充填されていない非弾性ポリマー単独から形成されるコーティングよりも、透過性において少なくとも5倍の低減を有するコーティングを提供する、分散液が提供される。
【0193】
コーティング懸濁物は、分散物、乳濁物、懸濁物、及びラテックスの形態にあることができる。
非弾性ポリマーは、ポリエステル、ポリアミド、塩素化ポリマー、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリケトン、アクリル樹脂、ビニル樹脂、及びフルオロポリマーからなる群から選ばれる。好ましくは、非弾性ポリマーは、ポリ塩化ビニリデン及びそのコポリマー及びブレンド、ポリエステル含有ポリマー、及びポリエステルから選ばれ、好ましくは、そのポリエステルは70℃未満のTgを有し、好ましくは35℃未満のTgを有する。
【0194】
非弾性ポリマーは、懸濁液において、全固形分の約40〜約95重量%で存在する。
シリケートは、ベントナイト、バーミキュライト、モントモリロナイト、ノントロナイト、バイデライト、ボルコンスコイト、ヘクトライト、サポナイト、ラポナイト、ソーコナイト、マガディアイト、ケニアイト、レディカイト、及び、上記シリケートの混合物及び溶液からなる群から選ばれる。好ましいシリケートはバーミキュライトであり、全固形分の60%未満で存在し、好ましくは、5〜約50%で存在する。
【0195】
シリケート充填剤は、前記非弾性ポリマーとの混合前に酸又は塩基で処理されることができる。酸は、酢酸、グリシン、及びクエン酸から選択され、塩基は、水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウムから選ばれる。
【0196】
コーティング懸濁液は、約1〜約30%の分散液の全固形分を有し、好ましくは、約5〜約25%の分散液である。
コーティング懸濁液は、水、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、イソプロピルアルコール、シクロヘキサノン、エタノール、メタノール、他の炭化水素、及びそれらの組み合わせからなる群から選ばれる成分も含有してよい。
【0197】
代替態様No.2は:非弾性ポリマー;有機カチオンで機能付与されていない実質的に剥離されたシリケート充填剤材料であって、そのシリケートが25を超えるアスペクト比を有し、そのシリケートが全固形分の60%未満で存在するシリケート充填剤材料;及び、界面活性剤、乳化剤、消泡剤、分散剤、湿潤剤、レべリング剤、及び増粘剤からなる群から選ばれる少なくとも1つの添加剤;の水性分散液を混合することを含んでなる、コーティング分散液を製造する方法であって、全固形分が分散液の30%未満であり、その分散液が、充填されていない非弾性ポリマー単独から形成されるコーティングよりも、透過性において少なくとも5倍を超える低減を有するコーティングを提供する方法である。
【0198】
コーティング懸濁物は、分散物、乳濁物、懸濁物、及びラテックスの形態にあってもよい。
非弾性ポリマーは、ポリエステル、ポリアミド、塩素化ポリマー、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリケトン、アクリル樹脂、ビニル樹脂、及びフルオロポリマーからなる群から選ばれる。好ましくは、非弾性ポリマーは、ポリ塩化ビニリデン及びそのコポリマー及びブレンド、ポリエステル含有ポリマー、及びポリエステルから選ばれ、好ましくは、そのポリエステルは70℃未満のTgを有し、好ましくは35℃未満のTgを有する。
【0199】
非弾性ポリマーは、懸濁液において、全固形分の約40〜約95重量%で存在する。
シリケートは、ベントナイト、バーミキュライト、モントモリロナイト、ノントロナイト、バイデライト、ボルコンスコイト、ヘクトライト、サポナイト、ラポナイト、ソーコナイト、マガディアイト、ケニアイト、レディカイト、及び混合物、及び上記のシリケートの溶液からなる群から選ばれる。好ましいシリケートはバーミキュライトであり、全固形分の60%未満で存在し、好ましくは、5〜約50%で存在する。
【0200】
シリケート充填剤は、前記非弾性ポリマーとの混合前に酸又は塩基で処理されることができる。酸は、酢酸、グリシン、及びクエン酸から選択され、塩基は、水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウムから選ばれる。
【0201】
コーティング懸濁液は、約1〜約30%の全固形分の分散液を有し、好ましくは、約5〜約25%の分散液である。
コーティング懸濁液は、水、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、イソプロピルアルコール、シクロヘキサノン、エタノール、メタノール、他の炭化水素、及びそれらの組み合わせからなる群から選ばれる成分も含有してよい。
【0202】
代替態様No.3は、その少なくとも1つの表面又は界面上に上記のバリアコーティング混合液を塗布することで製造された乾燥バリアコーティングを有する、コートされた物品である。物品上のコーティングは、充填されていない非弾性ポリマー単独から形成されるコーティングよりも透過性において少なくとも5倍を超えて低減されている透過性を有することで、前記物品の気体透過率を低減させる。
【0203】
代替態様No.4は、約65〜約95重量%の非弾性ポリマー、5〜約35重量%のシリケート、及び約0.1〜約15重量%の添加剤を含んでなるバリアコーティングの製造のためのコーティング懸濁液であり、そのコーティング懸濁液におけるシリケートは25を超えるアスペクト比を有する。
【0204】
本発明では、幾つかの態様に関して記載されているが、本発明の精神及び範囲内でのそれらの態様の変更は当業者に容易に理解される。本発明は、付随する特許請求の範囲で定義される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非弾性ポリマー;有機カチオンで機能付与されていない実質的に剥離されたシリケート充填剤材料であって、該シリケート充填剤が25を超えるアスペクト比を有し、該シリケート充填剤の%が全固形分の60%未満であるシリケート充填剤;及び、界面活性剤、乳化剤、消泡剤、分散剤、湿潤剤、レべリング剤、及び増粘剤からなる群から選ばれる少なくとも1つの添加剤;の水性分散液から誘導されるバリアコーティングであって、前記非弾性ポリマー単独から形成されるコーティングよりも気体透過性において少なくとも5倍の低減を示すコーティング。
【請求項2】
請求項1に記載のバリアコーティングであって、前記コーティングが、前記非弾性ポリマー単独から形成されるコーティングと比較して、気体透過性において少なくとも25倍の低減を示すコーティング。
【請求項3】
請求項2に記載のバリアコーティングであって、前記コーティングが、前記非弾性ポリマー単独から形成されるコーティングと比較して、気体透過性において少なくとも50倍の低減を示すコーティング。
【請求項4】
請求項3に記載のバリアコーティングであって、前記コーティングが、前記非弾性ポリマー単独から形成されるコーティングと比較して、気体透過性において少なくとも100倍の低減を示すコーティング。
【請求項5】
請求項4に記載のバリアコーティングであって、前記コーティングが、前記非弾性ポリマー単独から形成されるコーティングと比較して、気体透過性において少なくとも500倍の低減を示すコーティング。
【請求項6】
請求項5に記載のバリアコーティングであって、前記コーティングが、前記非弾性ポリマー単独から形成されるコーティングと比較して、気体透過性において少なくとも1000倍の低減を示すコーティング。
【請求項7】
請求項1に記載のバリアコーティングであって、前記分散液が、分散液、乳濁液、懸濁液、及びラテックスからなる群から選ばれる形態にあるコーティング。
【請求項8】
請求項1に記載のバリアコーティングであって、前記非弾性ポリマーが、ポリ塩化ビニリデン含有ポリマーであるコーティング。
【請求項9】
請求項8に記載のバリアコーティングであって、前記非弾性ポリマーが、ポリ塩化ビニリデン/ポリ塩化ビニルコポリマーであるコーティング。
【請求項10】
請求項1に記載のバリアコーティングであって、前記非弾性ポリマーが、70℃未満のTgを有するポリエステルであるコーティング。
【請求項11】
請求項10に記載のバリアコーティングであって、前記非弾性ポリマーが、35℃未満のTgを有するポリエステルであるコーティング。
【請求項12】
請求項1に記載のバリアコーティングであって、前記シリケートが、ベントナイト、バーミキュライト、モントモリロナイト、ノントロナイト、バイデライト、ボルコンスコイト、ヘクトライト、サポナイト、ラポナイト、ソーコナイト、マガディアイト、ケニアイト、レディカイト、及び、上記シリケートの混合物及び溶液からなる群から選ばれるコーティング。
【請求項13】
請求項12に記載のバリアコーティングであって、前記シリケートがバーミキュライトであるコーティング。
【請求項14】
請求項12に記載のバリアコーティングであって、前記シリケートが、前記非弾性ポリマーとの混合前に、酸又は塩基で処理されるコーティング。
【請求項15】
請求項14に記載のバリアコーティングであって、前記酸が、酢酸、グリシン、及びクエン酸から選択されるコーティング。
【請求項16】
請求項14に記載のバリアコーティングであって、前記塩基が、水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウムから選ばれるコーティング。
【請求項17】
請求項1に記載のバリアコーティングであって、前記分散されたシリケートが、前記分散液において、分散液の全固形分の10〜約50%で存在するコーティング。
【請求項18】
請求項1に記載のバリアコーティングであって、前記分散液が、約5〜約25%の全固形分を有するコーティング。
【請求項19】
バリアコーティングフィルムを製造する方法であって:
a)非弾性ポリマー;有機カチオンで機能付与されていない実質的に剥離されたシリケート充填剤材料であって、該シリケート充填剤が25を超えるアスペクト比を有し、該シリケート充填剤の%が全固形分の60%未満であるシリケート充填剤;及び、界面活性剤、乳化剤、消泡剤、分散剤、湿潤剤、レべリング剤、及び増粘剤からなる群から選ばれる少なくとも1つの添加剤;を含有する水性分散液を、支持体に塗布すること、
b)該分散液を、前記分散液におけるものと同じポリマーの充填剤に対する比率を有するバリアコーティングへと乾燥し、その際、該コーティングが、前記非弾性ポリマー単独から形成されるコーティングよりも、気体透過性において少なくとも5倍の低減を示すものであること
を含んでなる方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法であって、前記分散液が、分散液、乳濁液、懸濁液、及びラテックスからなる群から選ばれる形態にある方法。
【請求項21】
請求項19に記載の方法であって、前記非弾性ポリマーが、ポリ塩化ビニリデン含有ポリマーである方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法であって、前記非弾性ポリマーが、ポリ塩化ビニリデン/ポリ塩化ビニルコポリマーである方法。
【請求項23】
請求項19に記載の方法であって、前記非弾性ポリマーが、70℃未満のTgを有するポリエステルである方法。
【請求項24】
請求項23に記載の方法であって、前記非弾性ポリマーが、35℃未満のTgを有するポリエステルである方法。
【請求項25】
請求項19に記載の方法であって、前記シリケートが、ベントナイト、バーミキュライト、モントモリロナイト、ノントロマイト、バイデライト、ボルコンスコイト、ヘクトライト、サポナイト、ラポナイト、ソーコナイト、マガディアイト、ケニアイト、レディカイト、及び、上記シリケートの混合物及び溶液である方法。
【請求項26】
請求項25に記載の方法であって、前記シリケートがバーミキュライトである方法。
【請求項27】
請求項25に記載の方法であって、前記シリケートが、前記非弾性ポリマーとの混合前に、酸又は塩基で処理される方法。
【請求項28】
請求項27に記載の方法であって、前記酸が、酢酸、グリシン、及びクエン酸から選択される方法。
【請求項29】
請求項27に記載の方法であって、前記塩基が、水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウムから選ばれる方法。
【請求項30】
請求項19に記載の方法であって、前記分散されたシリケートが、前記分散液において、全固形分の10〜約50%で存在する方法。
【請求項31】
請求項19に記載の方法であって、前記分散液が、約5〜約25%の全固形分を有する方法。
【請求項32】
請求項19に記載の方法であって、前機支持体が、防腐性包装フィルム、腐食保護フィルム、真空包装及びガス置換包装、吹込成形容器、熱成形容器、及び電子ディスプレーフィルムからなる群から選ばれる方法。

【公表番号】特表2007−504297(P2007−504297A)
【公表日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−524660(P2006−524660)
【出願日】平成16年7月27日(2004.7.27)
【国際出願番号】PCT/US2004/024208
【国際公開番号】WO2005/044938
【国際公開日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(506069192)インマット・インコーポレーテッド (4)
【Fターム(参考)】