説明

非接触カード支払いシステムの衝突検出及び防止形態

非接触支払いカードをカードリーダに提示することによって取引を行う電子支払いシステムを提供する。カードリーダは、1枚のカードのみがカードリーダの動作領域に存在するときにのみ取引を行うように構成される。カードリーダは、複数のカードが動作領域に存在する瞬時を検出し及び報告する(309)衝突検出及び防止アルゴリズム(302〜309)を用いる。報告された衝突に応答して、衝突を、手動の介在によって、例えば、余分なカードをリーダの動作領域から物理的に取り除くことによってクリアすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2004年7月15日に出願した米国分割特許出願番号60/588,270の利益を主張する。本願は、同日に共に出願した米国特許出願番号 、米国特許出願番号 、米国特許出願番号 、米国特許出願番号 にも関連し、これらの全ては上記特許出願番号60/588,270の利益を主張する。上記特許出願の全ては、ここで参照することによって全体がここに組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
電波方式認識(RFID)タグは、アンテナに接続した小型の集積回路であり、簡単な認識情報又はICのサイズに応じた更に複雑な信号を有する問い合わせRF信号に応答することができる。RFID技術は、通信のための接触又は視線を必要としない。現在、電波方式認識(RFID)技術は、経済的に成長し、商業及び工業用途の使用が益々多くなっている。例えば、RFID技術は、卸売店、店舗、ID、アクセスカード等の品物のタグに広く用いられている。さらに、RFID技術は、RFIDタグを組み込んだ「非接触」支払い又はクレジットカードの形態で(例えば、マスターカード、アメリカンエクスプレス又はビザによる)支払いカード産業に導入されている。これらの非接触支払いカードを、RFID機能を有する支払い端末との無線通信を通じた電子支払い取引を行うのに用いることができる。非接触支払いカードは、例えば、小売店舗、商店又はスーパーマーケットの商品又はサービスに対する簡単、迅速かつ便利な方法を消費者に提供することができる。
【0003】
非接触支払いカード及びカードリーダ/端末での使用の際に複数のRFID技術が利用できる。非接触システムの基本的な構成要素は、非接触リーダ(又はリーダライタ(PCD))及びトランスポンダである。非接触リーダは、電子回路に接続したアンテナである。トランスポンダは、誘導アンテナ及びその両端に接続した集積回路から構成される。リーダとトランスポンダの組合せは変成器として動作する。交流電流は、電磁場を生じる1次コイル(リーダアンテナ)を流れ、これによって、2次コイル(トランスポンダアンテナ)に電流を誘導する。トランスポンダは、非接触リーダ(PCD)により伝わった電磁場(RF領域)を、ダイオード整流器によって直流電圧に変換する。この直流電圧は、トランスポンダの内部回路に電力を供給する。両方のアンテナの配置及び調整は、一方の装置から他方の装置への結合効率を決定する。トランスポンダを非接触支払いカードとすることができる。
【0004】
経済的に成長するとともに商業的な決済を得る非接触支払いカードシステムに対して、特定のカードプロバイダ/発行者、販売元又は端末製造者に対してプロプライエタリである技術的な特徴をカード及び端末が有するときでも、無線支払いカードは、ほとんど又は全てのRFID機能を有する支払い端末で相互に動作可能である必要がある。広い範囲の産業でインターオペラビリティであることが所望される。このために、業界標準組織及びグループ(例えば、国際標準化機構(ISO)及び国際電気標準化会議(IEC))は、非接触支払い技術の実現のために意図的な業界標準を表した。ISO/IECによって規定されたそのような規格の三つの例は、密着型カード、近接型カード及び近傍型カードにそれぞれ適用できるISO/IEC10536,ISO/IEC14443及びISO/IEC15693である。
【0005】
ISO/IEC14443近接型カード規格(ISO14443)は、複数の非接触カード配置に対して世界的に用いられている。ISO14443近接型カードに対してターゲットとされる動作の範囲は、電力要求、メモリサイズ、CPU及びコプロセッサに応じて変動するとしても10cmまでである。
【0006】
ISO14443規格文書は、個別の4パートを有する。
パート1:物理的特徴。近接型ICカード(PICC)の物理的な大きさを規定する。カードをID−1サイズ(85.6mm×54.0mm×0.76mm)とする。これは、銀行のクレジットカードと同一サイズである。
パート2:高周波電力及び信号干渉。周波数や、データ速度や、変調や、ビット符号化手順のような事項を含む非接触ICチップの重要な技術的特徴を規定する。二つの変形、すなわち、タイプAのインターフェース及びタイプBのインターフェースがパート2で詳細に説明されている。双方とも同一周波数で動作するとともに同一データ速度を用いるが、変更及びビット符号化のエリアが互いに相違する。
パート3:初期化及び衝突防止。初期化は、カードがリーダの無線周波数(RF)領域に入ったときに通信を確立するためにリーダライタ(PCD)(すなわち、リーダ)及びカードに対する要求を記述する。衝突防止は、複数のカードが同時に磁場に入ったときに何が起こったかを規定し、取引の際にどのカードを使用するかをどのようにシステムが決定するかを認識し、提示された全てのカードがインベントリされて処理されるようにする。
パート4:伝送プロトコル。取引中に通信を可能にするデータ形式及びデータ要素を規定する。
【0007】
ISO14443に従う非接触支払いカード及びカードリーダのシステムに対して、非接触支払いカード及びカードリーダは、意図的な規格のパートの少なくとも一部の要求に適合する必要がある。ISO14443の下で規格化された非接触技術に加えて、複数の非接触プロプライエタリンタフェースも産業上で用いられている(例えば、キュービックのGOカード、ソニーのFelicaカード)。現在のカード技術の発展により、インターオペラビリティが問題になることがある。市場の販売元によって配置されたカードリーダは、好適には複数の異なるカードタイプに適応する必要がある。例えば、所望のカードリーダは、ISO14443のタイプAカード及びタイプBカード、ISO15693カード及び他の任意のプロプライエタリカードタイプをサポートする。
【0008】
インターオペラビリティの問題は、単一のISO規格(例えば、ISO14443)に従うと予測されるカード配置によっても生じうる。ISO14443規格において、非接触カード及びリーダシステム(すなわち、システムのオープンシステム相互接続(OSI)から見た物理層)のRF電力及び信号干渉に関連した全ての要求又は使用は、カード及びリーダに対する個別の標準化された検査を用いて規定される。ISO/IEC10373規格のパート6(ISO10373−6)は、非接触ICカード技術(近接型カード)に特有の検査方法を取り扱っている。ISO14443に対する非接触カード及びリーダのコンプライアンスは、基準装置を用いて確かめられる。ISO10373−6によれば、非接触カードの特徴を表す「基準」カードのセット(すなわち、基準PICC)が、非接触リーダの仕様コンプライアンスを測定するために用いられる。例えば、基準PICCが、PCDによって生成し及び伝達された磁界を検査するとともにPCDがPICCに給電できるかを検査するのに用いられる。同様に、典型的な非接触リーダの特徴を表す「基準」リーダ(すなわち、テスト又は基準PCD)が、非接触カードの仕様コンプライアンスを測定するのに用いられる。例えば、1対の内部検知コイルに結合した基準PCDが、検査中にカードによって発生した負荷変調を検査するのに用いられる。
【0009】
ISO10373−6の下での個別のカード及びリーダコンプライアンス検査手順が、配置された製品装置がカード又はリーダの設計された仕様範囲にある特徴を個別に有するように保証する間、手順は、領域内でのインターオペラビリティを保証しない。従うことが確かめられたカード及び/又はリーダが(例えば、設計された仕様範囲の端部又は周辺の特性値を有することによって)限界にあることがある。このような規格コンプライアンスによって領域内での動作の誤りが生じうる。例えば、限界で適合したカードは、限界で適合したカードリーダを用いた読出しが不可能又は困難になることがある。
【0010】
さらに、非接触装置の照合用の重要なデータの送信機能及び受信機能に関して、ISO10373−6は、カードによって発生した負荷変調されたデータ信号を間接的にしか測定しない。製品カードを検査するためにISO10373−6によって規定されたPCDテストアッセンブリは、基準PCDリーダの外部にある1対の検知コイルを有する。外部にあるこれら検知コイルは、検査中のカードによって発生し及び送信される負荷変調されたデータ信号を測定するのに用いられる。しかしながら、検知コイルによって測定される負荷変調された信号と基準PCDアンテナによって物理的に受信した信号との間に直接的又は明らかな関係がない。したがって、外部の検知コイルを用いた製品カードのデータ送信機能の検査は、データ信号の仮想的にISOに従う製品カードの変調が十分であり又は変調されたデータ信号を適切に受信し若しくは処理する製品リーダの能力に従うことを直接的に保証する。
【0011】
米国特許出願番号 、米国特許出願番号 、米国特許出願番号 、米国特許出願番号 は、インタラクティブなカードと読出し装置との間のRF電力及び信号干渉に関連した仕様規定、コンプライアンス検査及び検査装置の向上に基づく装置のインターオペラビリティを増大する解決を開示する。
【0012】
ここで、電子支払い装置のインターオペラビリティを増大し、非接触電子支払いシステムの動作を強固にし、かつ、故障を証明する方法を更に考察する。支払い装置の物理的な特徴に関連した電子支払いシステムの態様、初期化形態及び衝突防止形態に注意を向ける。
【発明の開示】
【0013】
本発明は、電子支払いシステムのインタラクティブな非接触支払いカード及びカードリーダを伴う取引を処理する衝突検出及び防止形態を提供する。衝突検出及び防止形態は、1枚のカードがカードリーダの動作領域に存在する場合のみ取引を行うという規則に基づく。1枚を超えるカードがカードリーダの動作領域に存在する場合、取引処理は中止される。この形態は、取引処理を再開できる前の余分なカードを取り除くための外的な介入並びに1枚のカードのみの選択及び再提出を必要とする。
【0014】
電子支払いシステムにおいて、カードリーダは、1枚のカードのみが動作領域に存在するときに取引を処理するよう構成される。カードリーダは、複数のカードが動作領域に存在する瞬時を検出し及び報告する衝突検出及び防止アルゴリズムを用いる。
【0015】
衝突検出及び防止アルゴリズムは、カードリーダの動作領域の複数の支払いカードの存在の探査及び1枚を超える支払いカードが存在するときの取引処理の中止を伴う。衝突検出及び防止アルゴリズムにおいて、リーダによって開始されるカードポーリングシーケンスは、カードリーダの動作領域に存在するカードからの応答をポーリングし及び待機する。一つ以上のタイプのカードがリーダによってサポートされている場合、ポーリングシーケンスは、サポートされた全てのタイプのカードに対するウェークアップコマンドを有する。例えば、ポーリングシーケンスは、ISO14443タイプAのカード及びタイプBのカードに対する交互のウェークアップコマンドを有することができる。1枚のカードのみがカードリーダの動作領域に存在することを見つけたとき、衝突検出及び防止アルゴリズムは、カードのタイプを識別する。リーダは、識別したカードのタイプに適切な起動コマンドを用いて、対象となるカードとの通信セッションを有効にすることができる。識別したカードを用いた取引が処理された後、カードは無効にされ及び取り除かれる。
【0016】
衝突検出及び防止アルゴリズムは、ISO14443タイプAの非接触支払いカードの衝突を検出するバイナリサーチ技術を用いる。衝突検出及び防止アルゴリズムは、ISO14443タイプBの非接触支払いカードの衝突を検出するためにスロットアロハ技術を用いる。特定のタイプ(例えば、タイプA又はタイプB)の1枚のカードがカードリーダの動作領域に存在することを識別した後、1枚の任意のタイプのカードしか存在しないことをチェックするために他のタイプのカードの存在に対するポーリングを行う。
【0017】
本発明の他の形態、性質及び種々の利点は、添付図面、付記及び以下の詳細な説明から更に明らかになる。
【0018】
付記Aは、タイプAのPICCのポーリング及び衝突検出プロセス並びに起動の際にPCDに対して利用できるコマンド及び応答のセットの説明を含む。コマンドのセットは、譲受人マスターカードによる近接支払いカード技術の実現の一例で用いられる。付記Aで説明されるコマンド及び応答は、図2,3及び以下の説明で参照される。タイプBのカードのポーリング及び衝突検出プロセス並びに起動の際にPCDに対して利用できるコマンドは同様である。簡潔のために、タイプBのコマンド及び応答の説明はここに含まない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
支払いカード及びカードリーダを用いて電子取引を開始し及び実行する衝突検出及び防止形態を設ける。初期化は、カードがリーダの無線周波数(RF)領域に入ったときに通信を確立するためのリーダ及びカードに対する要求を記述する。衝突は、例えば、殺到した複数のストアカスタマーが同時にカードをリーダに提示するとき又は顧客が財布内の複数のカードを無意識にリーダに提示するときに複数のカードがリーダの動作空間又は領域に同時に入る状況をいう。リーダ処理は、衝突検出処理及びアラーム検出処理を有する。アラーム発生処理によって、衝突をクリアするよう手動の介在を行い又は継続中の電子取引処理に対して単一のカードのユーザ識別を行うことができる。衝突検出及び防止形態を、1を超えるタイプのカード(例えば、タイプAカードとタイプBカードの両方)をサポートするリーダで実現することができる。
【0020】
本発明の衝突検出及び防止形態は、電子支払いシステムで用いられ又は推奨されている従来の衝突防止形態の既知の欠点を克服する。複数の接触型カード配置に対して世界的に用いられている種々の近接型カード規格は、一般的にリーダの動作空間又は領域の複数のカードの存在を取り扱う衝突防止プロセスを推奨する。例えば、ISO14443のパート3は、複数のカードが同一のリーダに対して提示されたときに1枚の特定のカードを検出してそのカードとの通信を行う衝突防止アルゴリズム(ループ)を推奨する。ISO14443のパート3の下では、リーダは、先ず、要求(REQ)コマンドや要求応答(ATQ)コマンドのようなポーリングコマンドを用いて、リーダの動作領域に入る全てのカードをポーリングするとともにインベントリを行う。その後、衝突防止アルゴリズム又はループが、リーダとリクエストコマンドに応答する全てのカードから選択された1枚以上のカードとの間のダイアローグを準備するのに用いられる。タイプAのカードに対して、各カードの独自の識別子(UID)に基づくバイナリサーチアルゴリズムが規定される。タイプBのカードに対して、特別なスロットマーカを有するスロットアロハアルゴリズムが規定される。ISO14443初期化及び衝突防止形態は、同一タイプの複数のカードとの通信が行うことができるとともに同時に給電されるリーダの構成を許容するように設計される。カードのタイプAとタイプBの両方とも、ポーリングコマンドに対して動作領域で静かに待機する。ISO14443初期化及び衝突防止形態を用いたマルチプロトコルリーダは、一方のタイプ(例えば、タイプA)のポーリングを行い、応答する全てのカードによるあらゆる取引を完了し、他のタイプ(例えば、タイプB)に対するポーリングを行い、応答する全てのカードによる取引を行う。
【0021】
ISO14443の衝突防止形態は、既知の欠点を有する。例えば、衝突防止アルゴリズムは、カードがインベントリされ又は照合された後にカードをリーダ領域に入れ及び/又は取り去った場合には崩壊されることがある。さらに、同時に発生する複数のカードとのリーダ通信は、制限された利用可能な電力をカード間で分配する。これらの欠点は、本発明の衝突検出及び防止形態によって克服される。
【0022】
近年、譲受人マスターカードインターナショナルインコープレーティド(「マスターカード」)は、(例えば、カード及びカードリーダの発行者、販売元又は製造者によって)近接型支払いカード技術の実現の際にプロプライエタリ仕様のマスターカードペイパス(登録商標)ISO/IEC実現仕様(「ペイパス」)を開発した。本発明による衝突防止形態を、ペイパスの一例の実現に関連して例示のために説明する。例示のためのペイパスの実現の選択はここでは例示に過ぎず、本発明の原理をカードとカードリーダとの間の相互作用を伴うあらゆる電子支払いシステムに対して更に一般的に適用できることを理解すべきである。
【0023】
衝突検出及び防止形態を、例えば、カードを取引の地点(例えば、店の精算カウンター)の端末装置に提示するときに行われる取引に関連して説明する。端末装置は、カードリーダ(PCD)を有し、他の電子機器、取引処理アプリケーション、ユーザインターフェース(例えば、表示スクリーン)及び(例えば、ホストコンピュータに対する)通信インターフェースを有することができる。本発明による衝突検出及び防止形態は、カードリーダ又は端末が任意の取引処理を開始し又は継続するのを許容される前に単一のPICCすなわちカードのみをカードリーダの動作領域で検出する必要があるという規則に基づく。1枚を超えるカードが検出される場合、この形態は、処理のために余分なカードを取り除く手動の介入並びに1枚のカードのみの選択及び再提起を必要とする。
【0024】
図1は、衝突検出及び防止に対する端末処理ループ100の一例を示す。端末処理ループを、カードリーダ装置に配置された機能を利用する端末で実現することができる。処理ループ100では、ステップ1において、端末及びPCDは、PCDの動作領域に存在しうるタイプAとタイプBの両方のカードを検出するポーリングシーケンスを開始する。このために、PCDは、存在する任意の起動されたカードからの応答を受信するために繰り返しのタイプA及びタイプBのウェークアップコマンドを送信する。
【0025】
ステップ3において、端末プロセス100は、存在する複数のカードを評価する。1枚のカードのみがポーリングされる場合、次のステップ4において、端末プロセス100は、存在するカードのタイプを識別する、すなわち、タイプAかタイプBかを識別する。その後、A又はBに識別されたカードタイプに従って、PCDは、ステップ5又はステップ8においてカードを有効にする。その後、端末は、カード取引を処理するのに適切な端末アプリケーションを用いる(ステップ6又はステップ9)。カード取引を完了した後、端末は、処理したカードを無効にするようPCDに命令する。処理されたカードは、動作領域から取り除かれ(ステップ7及び10)、これによって、次の衝突検出及びポーリングシーケンスのために端末プロセス100を開始状態0に戻すことができる。
【0026】
ステップ3において、存在するカードがないことをステップ1のポーリング結果が示す場合、処理プロセス100は、次の衝突検出及びポーリングシーケンスを開始するために開始状態0に戻る。2枚以上のカードが存在する(すなわち、PCDが1枚を超えるカードからの応答を受信する)ことをステップ1のポーリング結果が示す場合、ステップ2において、PCDは、端末に対して衝突を報告し、カードをリセットする(すなわち、時間tRESETに対するキャリアが存在しない。)。この場合、端末プロセス100は、取引処理に進まず、次のポーリングシーケンスに対して開始状態0に戻る。ステップ2は、複数のカードの存在に対してオペレータ及び/又はユーザに注意を喚起するアラーム又はメッセージを伴うことができる。
【0027】
端末に含まれるPCDは、機能が衝突検出及び防止形態(例えば、端末プロセス100)を実現するのに適切となるように形成される。表Iは、端末プロセス100を実現するように形成されたPCDに対する機能的な要求の一例のリストである。
【0028】
【表1】

【0029】
端末プロセス100において、PCDは、動作領域に1枚のカードのみが存在することを保証するためにタイプA及びタイプBの両方のカードに対してポーリングを行う。領域内の複数のPICCを検出するために、PICC及びPCDは、1枚を超えるPICCが有効である条件を検出するプロトコルを実現することが要求される。このプロトコルの下で、PCDは、応答のためにPICCをプロンプトするウェークアップコマンド(タイプAのカード及びタイプBのカードのそれぞれに対するWUPA及びWUPB)を発することによってPICC通信の動作を開始する開始装置とする。1枚を超えるPICCが応答するとき、端末は、取引を開始し又は処理しない(例えば、端末プロセス100のステップ2参照)。
【0030】
PCDによって用いられる衝突検出機構は、カードタイプによって変化する。タイプAのPICCは、マンチェスタ符号化を用いるとともにウェークアップコマンドに対して同時に回答する。これらの形態によって、PCDは、タイプAに対してビットレベルの衝突(すなわち、一つ以上のビット位置に対して相補的な値を有するビットパターンを少なくとも2枚のタイプAのPICCが同時に送信する状況)を検出する。この場合、ビットパターンが併合し、キャリアが、ビットの持続時間の全て(100%)に対してサブキャリアによって変調される。タイプAのカードに対する衝突検出アルゴリズムは、バイナリサーチ技術に基づくことができる。
【0031】
タイプAのPICCの同期応答に対して、タイプBのPICCは、ウェークアップコマンドに対して非同期応答する。1枚を超えるタイプBのPICCが動作領域に存在するか否かを検出するために、PCDは、全てのタイプBのPICCが第1のタイムスロット(N=1)で応答することを要求するように設定されるWUPBコマンドを実行する。第1のタイムスロットにおける1枚を超えるタイプBのPICCによる応答によって、タイプBのPICCの衝突の表れとして認識される送信エラーが生じる。
【0032】
図2は、一般的な(すなわち、タイプAとタイプBのいずれのカードにも適用できる)衝突回避及びポーリングに対するPCDプロセス200を示す。PCDプロセス200を、端末プロセス100で利用することができ、例えば、端末プロセス100のステップ1〜3で用いることができる。
【0033】
プロセス200では、PCDは、応答のためにカードをプロンプトする(例えば、ステップ10,70,110及び150)ためにウェークアップコマンド(例えば、タイプAのカードに対するWUPA及びタイプBのカードに対するWUPB)を交互に発することによって動作領域を精査する。PCDは、WUPAコマンド及びWUPBコマンドをそれぞれ交互に発することによって、規定された期間tpの待機を行う(例えば、ステップ60,90,100,140,170及び180)。ステップ20,40,80,120及び160において、プロセス200は、以前に発したWUPA又はWUPBコマンドに対して受信した応答を評価する。特定のタイプのウェークアップコマンドに対する応答を受信しない場合(例えば、WUPBステップ70,WUPAステップ150)、プロセス200は、動作領域に任意のタイプのカードが存在しないこと又は他のタイプのカードのみが存在しうることを認識する。
【0034】
プロセス200では、例えば、ステップ10において、発されたWUPAコマンドに応答して送信エラーを受信した場合、PCDは、動作領域に1枚を超えるタイプAのPICCが存在する(すなわち、衝突)と仮定し、例外処理(送信エラー)に行く。PCDがタイプAのPICCから有効な応答コマンド(ATQA)を受信した場合、PCDは、動作領域に少なくとも1枚のタイプAのPICCが存在すると仮定し、タイプAの衝突検出アルゴリズム(例えば、図3の衝突検出アルゴリズム300)によるステップ30の処理の前にATQA情報を格納する。タイプAの衝突検出アルゴリズムの結果は、ステップ40で評価される。タイプAの衝突検出アルゴリズム300が、1枚を超えるタイプAのPICCが動作領域に存在すること(すなわち、衝突)を検出する場合、PCDは、例外処理(送信エラー)に進む。それに対して、1枚のタイプAのPICCのみを検出した場合、PCDは、ステップ50において、識別された1枚のタイプAのPICCを中止状態にするコマンド(HALTA)を発する。
【0035】
同様に、ステップ200では、例えば、ステップ110において、発されたWUPBコマンドに応答して送信エラーを受信した場合、PCDは、動作領域に1枚を超えるタイプBのPICCが存在する(すなわち、衝突)と仮定し、例外処理(送信エラー)に行く。PCDがタイプBのPICCから有効なACKコマンド(ATQB)を受信した場合、PCDは、動作領域に少なくとも1枚のタイプBのPICCが存在すると仮定し、識別された1枚のタイプBのPICCを中止状態にするコマンド(HALTB)を発する。
【0036】
1枚のいずれかのタイプの識別されたPICCが(例えば、ステップ50又はステップ130で)中止状態にされた後、PCDは、動作領域での互いに逆の2枚のタイプのカード間の衝突(すなわち、1枚のタイプAのPICC及び1枚のタイプBのPICCの存在)の可能性を排除するのが他のタイプのカードに対して適切なものとしてステップ70及び150でウェークアップコマンドを発する。ウェークアップコマンドのいずれかに対する応答は、ステップ80又は160で評価される。応答が肯定である場合、衝突が表される。
【0037】
図3は、(例えば、プロセス200のステップ30において)ATQAをビット衝突なくWUPAコマンドに応答して受信した後にタイプAのカードの衝突を調べるのに用いることができる衝突検出アルゴリズム300の一例を示す。タイプAの衝突を調べる際に、PCDは、タイプAのPICCカードからUIDを検索する。PCDが、任意のビット衝突エラーなくタイプAのPICCカードのUIDを検索できる場合、PCDは、(例えば、プロセス200のステップ40において)タイプAのPICCが1枚のみ動作領域に存在すると結論付けることができる。衝突検出アルゴリズム300は、PICCからUIDを検索するのに利用される。
【0038】
ステップ301において、PCDは、タイプAのPICCの完全なUIDを検索するとともに1枚を超えるタイプAのPICCが動作領域に存在するか否かを検出するためにSEL=‘93’(付記A参照)を有する衝突防止コマンド(ANTICOLLISION command)を送信することによって検出アルゴリズム300を開始する。ステップ302において、PCDが衝突回避コマンドに応答して送信エラーを受信すると、衝突が表され、PCDが例外処理(送信エラー)に進む。ステップ303において、ATQAがシングルサイズUIDを示す場合、完全なUID(=UID CL1:unid0 unid1 und2 unid3 BCC)がPICCから検索される。したがって、1枚のタイプAのカードのみが存在し、他のタイプAのカードとの衝突が表されない。その後、ステップ307において、PCDは、SEL=‘93’及びUID CL1を有する選択コマンド(SELECT Command)を送信することによってPICCを有効状態(ACTIVE state)にする。ステップ308において、PCDは、完全なUIDを記憶する。
【0039】
ステップ303において、ATQAがダブル又はトリプルサイズのUIDを示す場合、PCDはカスケードレベルごとに処理を行う。先ず、ステップ304において、PCDは、SEL=‘93’及びUID CL1を有する選択コマンドを送信することによってカスケードレベル1を選択する。その後、ステップ305において、PCDは、カスケードレベル2に対する処理を行う前にUID CL1を記憶する。ステップ306において、PCDは、SEL=‘95’を有する選択コマンドを送信することによってPICCを有効状態にする。
【0040】
ステップ302と同様に、PCDが衝突回避コマンドに応答して送信エラーを受信すると、衝突が表され、PCDが例外処理(送信エラー)に進む。同様に、ステップ310において、受信したATQAがダブルサイズのUIDを示す場合、完全なUID8=UID CL1:uid0 uid1 uid2 BCC;UID CL1:uid3 uid4 uid5 uid6 BCC)がPICCから検索される。したがって、1枚のタイプAのカードのみが存在し、リーダの動作空間において他のタイプAのカードとの衝突がないことが表される。その後、ステップ314及び315において、ステップ307及び308と同様に、PCDは、SEL=‘93’及びUID CL1を有する選択コマンドを送信することによって、識別されたPICCを有効状態にし、完全なUIDを記憶する。
【0041】
ステップ310において、ATQAがトリプルサイズのUIDを示す場合、PCDは、ステップ311において、SEL=‘95’及びUID CL2を有する選択コマンドを送信することによってカスケードレベル2を選択する。その後、ステップ312において、PCDは、UID CL2を記憶する。ステップ313において、PCDは、SEL=‘97’を有する衝突防止コマンドを送信することによってカスケードレベル3を継続する。ステップ316において、PCDが、この衝突防止コマンドに応答して送信エラーを検出する場合、衝突が表され、PCDは例外処理(送信エラー)に進む。送信エラーのないATQAコマンドをPICCから受信すると、完全なUID(=UID CL1:Ct uid0 uid1 uid2 BCC;UID CL2:CT uid3 uid4 uid5 BCC;UID CL3:uid6 uid7 uid8 uid9 BCC)がPICCから検索される。したがって、1枚のタイプAのカードのみ存在し、他のタイプAのカードとの衝突がないことが表される。その後、ステップ317及び318において、ステップ307及び308と同様に、PCDは、SEL=‘97’及びUID CL3を有する選択コマンドを送信することによって、識別されたPICCを有効状態にし、完全なUIDを記憶する。
【0042】
1枚のカードのみがリーダの動作領域に存在すると識別された後(例えば、端末プロセス200のステップ130におけるタイプB又はアルゴリズム300のステップ307又は314のタイプA等々)、カードが有効となる。PCD/端末は、有効なカードとの通信を行い、所望の取引を完了する。所望の取引が完了した後、対象となるカードが無効にされる。
【0043】
端末プロセス200又はアルゴリズム300中に衝突が表されると、PCDは例外処理に進む。例外が十分にクリアされるまで取引が行われない。衝突を表す送信エラーの検出に応じたポーリング及び衝突検出シーケンス中、PCDは、衝突検出を端末に報告し、期間tRESETの間にPICCをリセットする。この期間tRESET中、キャリア信号がPICCに送信されない。PCDは、ポーリング及び衝突検出シーケンスに戻る。PCDが衝突検出を端末に報告することによって、ユーザの介在が、動作領域に存在する複数のカードをクリアする。
【0044】
本発明を、特に実施の形態を参照して説明したが、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変更及び変形が可能であることは当業者によって理解することができる。したがって、本発明の開示された実施の形態は単なる説明のためのものであり、本発明は、添付した請求の範囲で特定される範囲でのみ制限される。
【0045】
5.1 タイプA−コマンドセット
表5.1は、タイプAのPICCとの通信に対してPCDで利用できるコマンドをリストする。各コマンドに対して、PICCからの対応する応答を表す。

この章は、これらのコマンドのフォーマット及びPICCからの応答を詳細に説明する。
【0046】
5.2 タイプA_CRC_A
表5.1で規定したコマンドの一部は、誤りチェック用のCRCを含む。CRC_Aは、CRC_Aそれ自体を除外するコマンドの全てのビットから構成されるk個のデータビットの関数として規定される。CRC_Aを用いた全てのコマンドがバイトに符号化されるので、ビット数kは8の倍数となる。
図5.1は、CRC_Aを有するコマンドを標準的なフレームに含める方法を示す。CRC_A1を最下位バイトとし、CRC_A2を最上位バイトとする。


【0047】
5.3 WUPA
WUPAコマンドは、タイプAのPICCの領域を精査するためにPCDによって送信される。
【0048】
5.3.1 WUPAコマンド
WUPAコマンドは、短いフレーム内で送信され、その符号化は表5.2で特定される。

【0049】
5.3.2 WUPA応答(ATQA)
PCDからのWUPAコマンドに応答して、タイプAのPICCは、状態に応じて(7章参照)2バイト長のATQAを戻す。ATQAは、CRC_Aバイトのない標準的なフレーム内で送信され、表5.3及び表5.4内で特定される。

【0050】
5.6.2 HTLA応答
PICCはHLTAコマンドに応答しない。PCDは常にHTLAコマンドがPICCによって「応答される」と仮定する。

【0051】
5.7 選択応答要求(RATS)
RATSコマンドは、最大のフレームサイズ及びビットレート除数でPICCとネゴシエーションを行うためにプロトコル起動シーケンス中にPCDによって用いられる。
【0052】
5.7.1 RATSコマンド
RATSコマンドは、CRC_Aバイトを含む標準的なフレーム内で送信される。符号化は表5.12で特定される。

パラメータバイトPARAMは、二つのパートから構成される(表5.13参照)。

最上位ニブルb8〜b5は、FSDI(リーダライタフレーム長整数)と称され、FSD(リーダライタフレーム長)を符号化する。FDSの規定についてはセクション4.3.1参照。FSDIに関するFSDの符号化は表5.14によって与えられる。


最下位ニブルb4〜b1をCIDと称し、0から14の範囲で指定されたPICCの論理数を規定する。CIDは、単一のPICCを指定したときのみゼロに設定される。

【0053】
5.7.2 RATS応答(選択応答)
選択応答(ATS)は、RATSコマンドに応答してPICCによって送信される。ATSは、CRC_Aバイトを含む標準的なフレーム内で送信される。この選択は、利用可能な全てのフィールドを有するATSを規定する(表5.15参照)。

長さバイト(length byte)TLは、フォーマットバイトT0、インターフェースバイトTA(1),TB(1),TC(1)及び履歴バイトT1〜Tkの順番で可変ビット数に従う。
【0054】
長さバイト
長さバイトTLは強制であり、それ自体を含む送信されたATSの長さを指定する。二つのCRCバイトはTLに含まれない。

【0055】
フォーマットバイトT0
フォーマットバイトT0は、表5.16で特定されるように符号化される。

最下位ニブルb4〜b1は、FSCI(近接型ICカードフレーム長整数)と称され、FSC(近接型ICカードフレーム長)を符号化する。FSCの規定についてはセクション4.3.2参照。FSCIに関するFSCの符号化は、表5.17で特定される。FSCIのデフォールト値は2であり、これによって32バイトのFSCとなる。


【0056】
インターフェースバイトTA(1)
インターフェースバイトTA(1)は、PICCのビットレート機能を規定するための情報を搬送する。情報バイトTA(1)は、表5.18で特定したように符号化される。ビットb7〜b5は、PICCからPCDの方向(DPICC→PCD)に対するPICCのビットレート機能を符号化する。ビットb7〜b5に対するデフォールト値は(000)bである。ビットb3〜b1は、PCDからPICCの方向(DPCD→PICC)に愛するPICCのビットレート機能を符号化する。ビットb3〜b1に対するデフォールト値は(000)bである。


【0057】
インターフェースバイトTB(1)
インターフェースバイトTB(1)は、フレーム待ち時間(FWT)及び開始フレームのガードタイム(SFGT)を規定する情報を搬送する。インターフェースバイトTB(1)は、表5.19で特定されるように符号化される。

【0058】
最上位ニブルb8〜b5は、FWI(フレーム待ち時間整数)と称され、FWTを符号化する。FWTの規定についてはセクション4.2.3参照。FWIのデフォールト値は4であり、これによって512etuのFWTとなる。
【0059】
最下位ニブルb4〜b1は、SFGI(開始フレームのガードタイム整数)と称され、SFGTを規定するために用いられる乗算値を符号化するためにPICCによって用いられる。SFGTの規定についてはセクション4.2.2参照。SFGIのデフォールト値は0である。
【0060】

【0061】
インターフェースバイトTC(1)
インターフェースバイトTC(1)は、ノードアドレス(NAD)及びカード識別子(CID)がPICCによってサポートされているか否かを表す。インターフェースバイトTC(1)は、表5.20で特定されるように符号化される。

ビットb2及びb1は、プロローグフィールドのどの付加的なフィールドをPICCがサポートするかを規定するためにPICCによって用いられる。1に設定されたビットb1は、サポートされたNADを表す。1に設定されたビットb2は、サポートされたCIDを表す。プロローグフィールドの仕様についてはセクション10.2を参照。

【0062】
履歴バイト
履歴バイトT1〜Tkは付加的であり、一般的な情報を示すためにPICCによって用いられる。ATSの最大長は、あり得る最大数の履歴バイトを与える。


SELバイトにより、衝突防止コマンドによって要求されるUIDのカスケードレベル(CL)が規定される。
【0063】
衝突防止応答(UID CLn)
衝突防止コマンドに応答して、動作領域の全てのPICCは、UIDの要求されたカスケードレベル(UID CLn。ここで、n=1,2又は3)を送信する。タイプAのPICCのUIDは、4,7又は10バイトから構成される。応答の長さは常に5バイトである。応答の符号化は、SELバイトの値及びUIDの長さに依存する。衝突防止応答は、CRC_Aバイトのない標準的なフレーム内で送信される。符号化は、表5.7で特定される。

この場合、CTを、‘88’の値を有するカスケードタグとする。カスケードタグの目的は、小さいUIDサイズを有するPICCとの衝突を強要するためである。したがって、シングルサイズUIDのuid及びダブルサイズUIDのuidは、値‘88’を有しない。BCCを、UID CLnチェックバイトとする。BCCは、以前の4バイトにわたる排他的論理和として計算される。uidを、最上位バイトuidを有する完全なUIDのn番目のバイトとする。


【0064】
5.4 衝突防止
衝突防止コマンドは、タイプAのPICCの完全なUIDを取得するとともにタイプAの1を超えるPICCがPCDの動作フィールドに存在するか否かを検出するために用いられる(更に詳しくはセクション9.2.3を参照)。
【0065】
5.4.1 衝突防止コマンド
衝突防止コマンドは、CRC_Aバイトを有しない標準的なフレーム内で送信される。符号化は表5.5で特定される。

SELバイトは、表5.6に示すように符号化される。
【0066】
5.5 選択
選択コマンドは、UIDを用いてタイプAのPICCを選択するために用いられる。
【0067】
5.5.1 選択コマンド
選択コマンドは、CRC_Aバイトを含む標準的なフレーム内で送信される。符号化は表5.8によって特定される。

SELバイトは、表5.9に示すように符号化される。

UID CLnの符号化は、SELバイトの値及びUIDのサイズに依存する。符号化は、衝突防止応答に対するものと同一であり、表5.7で特定される。

【0068】
5.5.2 応答−ACK選択−SAK
SAKは、全てのデータビットがPICCのUID CLnに整合するときに選択コマンドに応答してPICCによって送信される。SAKの長さは1バイトであり、CRC_Aを有する標準的なフレーム内でPCDに送信される。SAKは、表5.10で特定されるように符号化される。

【0069】
5.6 HLTA
HLTAコマンドは、PICCを中止状態にするのに用いられる(7章参照)。
【0070】
5.6.1 HLTAコマンド
HLTAコマンドは、2バイトからなり、CRC_Aバイトを有する標準的なフレーム内で送信される。表5.11は、HLTAコマンドの符号化を特定する。

【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の原理による衝突検出及び防止の端末処理ループの一例のステップを示すフローチャートである。
【図2】本発明の原理によるPCDで実行される一般的なポーリング及び衝突検出プロセスのステップを示すフローチャートである。
【図3】本発明の原理によるタイプAのカード衝突を探査するのに用いることができる検出アルゴリズム300の一例のステップを示すフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触支払いカード取引を処理する電子支払いシステムであって、1枚のカードリーダが動作領域に存在するときのみ取引を処理するように構成されたカードリーダを具え、前記カードリーダが、複数のカードが前記カードリーダの動作領域に存在する衝突の瞬時を検出し及び報告する衝突検出アルゴリズムを配置し、前記カードリーダが、衝突が検出された瞬時の取引の処理を中止することを特徴とする電子支払いシステム。
【請求項2】
請求項1記載の電子支払いシステムにおいて、前記カードリーダが結合された端末を更に具え、前記端末が、取引処理アプリケーションを具えることを特徴とする電子支払いシステム。
【請求項3】
請求項1記載の電子支払いシステムにおいて、前記衝突検出アルゴリズムが、第1のタイプのカードの衝突を検出するステップと、前記第1のタイプのカードと第2のタイプのカードとの衝突を検出するステップとを有することを特徴とする電子支払いシステム。
【請求項4】
請求項1記載の電子支払いシステムにおいて、前記カードリーダを、第1のタイプのカードと第2のタイプのカードを交互にポーリングするように構成したことを特徴とする電子支払いシステム。
【請求項5】
請求項4記載の電子支払いシステムにおいて、前記カードリーダを、前記カードリーダの動作領域に存在する1枚のみのカードのタイプを識別して前記カードを通信セッションに対して有効にするように構成したことを特徴とする電子支払いシステム。
【請求項6】
請求項1記載の電子支払いシステムにおいて、前記カードリーダが、互いに相違するカードタイプに対応する複数の通信信号インターフェースを有し、前記カードリーダを、通信セッション中に有効な単一のカードタイプに対応する通信信号インターフェースのみを有するように構成したことを特徴とする電子支払いシステム。
【請求項7】
請求項1記載の電子支払いシステムにおいて、前記カードリーダを、取引処理に応じて前記カードリーダの動作領域に存在する1枚のみのカードを無効にするように構成したことを特徴とする電子支払いシステム。
【請求項8】
請求項1記載の電子支払いシステムにおいて、前記カードリーダが、ISO14443のタイプAの非接触支払いカードの衝突を検出するバイナリサーチルーチンを具える衝突検出アルゴリズムを配置することを特徴とする電子支払いシステム。
【請求項9】
請求項1記載の電子支払いシステムにおいて、前記カードリーダが、ISO14443のタイプBの非接触支払いカードの衝突を検出するスロットアロハルーチンを具える衝突検出アルゴリズムを配置することを特徴とする電子支払いシステム。
【請求項10】
請求項1記載の電子支払いシステムにおいて、前記カードリーダが、一方のタイプの1枚のカードが前記カードリーダの動作領域に存在するものと識別された後に前記カードリーダが他方のタイプのカードの存在をポーリングする衝突検出アルゴリズムを配置することを特徴とする電子支払いシステム。
【請求項11】
インタラクティブな非接触支払いカード及びカードリーダのシステムで非接触支払いカード及びカードリーダを伴う取引を処理する衝突検出及び防止方法であって、
(a)前記カードリーダの動作領域の支払いカードの存在を調べるステップと、
(b)前記ステップ(a)に応答し、前記非接触支払いカードが、前記カードリーダの動作領域に存在する唯一のカードである場合にのみ、前記非接触支払いカード及び前記カードリーダを伴う取引を処理するステップと、
(c)1枚を超える支払いカードが前記カードリーダの動作領域に存在するとき、前記取引の処理を中止するステップとを具えることを特徴とする衝突検出及び防止方法。
【請求項12】
請求項11記載の衝突検出及び防止方法において、前記インタラクティブな非接触支払いカードが、第1のタイプのカード及び第2のタイプのカードを具え、前記ステップ(a)が、両タイプのカードの存在を検出するポーリングシーケンスを用いることを特徴とする衝突検出及び防止方法。
【請求項13】
請求項12記載の衝突検出及び防止方法において、前記ポーリングシーケンスが、前記第1のタイプのカード及び前記第2のタイプのカードに対する交互のウェークアップコマンドを具えることを特徴とする衝突検出及び防止方法。
【請求項14】
請求項12記載の衝突検出及び防止方法において、前記ステップ(a)が、1枚のみのカードが前記カードリーダの動作領域に存在することを見つけたときに存在するカードのタイプを識別することを特徴とする衝突検出及び防止方法。
【請求項15】
請求項14記載の衝突検出及び防止方法において、前記ステップ(b)が、取引の処理を開始するために前記カードのタイプに従って、唯一の識別されたカードと前記カードリーダとの間の通信セッションを有効にすることを特徴とする衝突検出及び防止方法。
【請求項16】
請求項15記載の衝突検出及び防止方法において、前記カードリーダが、取引処理アプリケーションとともに構成された端末に結合され、前記ステップ(a)〜(c)が、処理を行う端末によって命令され、前記ステップ(b)が、前記取引を処理するために端末の取引処理アプリケーションを用いることを特徴とする衝突検出及び防止方法。
【請求項17】
請求項15記載の衝突検出及び防止方法において、前記取引の処理後に前記カードを無効にすることを特徴とする衝突検出及び防止方法。
【請求項18】
請求項11記載の衝突検出及び防止方法において、前記ステップ(a)が、ISO14443のタイプAの非接触支払いカードの衝突を検出するバイナリサーチアルゴリズムを用いることを特徴とする衝突検出及び防止方法。
【請求項19】
請求項11記載の衝突検出及び防止方法において、前記ステップ(a)が、ISO14443のタイプBの非接触支払いカードの衝突を検出するスロットアロハアルゴリズムを用いることを特徴とする衝突検出及び防止方法。
【請求項20】
請求項11記載の衝突検出及び防止方法において、前記ステップ(a)が、一方のタイプの1枚のカードが前記カードリーダの動作領域に存在するものと識別された後に前記カードリーダが他方のタイプのカードの存在をポーリングすることを特徴とする衝突検出及び防止方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−507047(P2008−507047A)
【公表日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−521702(P2007−521702)
【出願日】平成17年7月15日(2005.7.15)
【国際出願番号】PCT/US2005/025317
【国際公開番号】WO2006/020144
【国際公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(500557864)マスターカード インターナシヨナル インコーポレーテツド (18)
【Fターム(参考)】