非接触型データ受送信体およびその製造方法
【課題】薄型で柔軟性に優れ、かつ、耐候性に優れるとともに、容易に製造することができる非接触型データ受送信体およびその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の非接触型データ受送信体10は、インレット11と、インレット11の一方の面11aを被覆する被覆材12と、インレット11の端面11c,11d、被覆材12の端面12b,12cおよび被覆材12の一方の面12aを被覆する保護膜20と、を備えてなり、被覆材12は2液硬化型ウレタン系接着剤からなることを特徴とする。
【解決手段】本発明の非接触型データ受送信体10は、インレット11と、インレット11の一方の面11aを被覆する被覆材12と、インレット11の端面11c,11d、被覆材12の端面12b,12cおよび被覆材12の一方の面12aを被覆する保護膜20と、を備えてなり、被覆材12は2液硬化型ウレタン系接着剤からなることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFID(Radio Frequency IDentification)用途の情報記録メディアのように、電磁波または電波を媒体として外部から情報を受信し、また、外部に情報を送信できるようにした非接触型データ受送信体およびその製造方法に関し、特に、耐候性、耐熱性および柔軟性に優れる非接触型データ受送信体およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
非接触型データ受送信体の一例であるICタグは、基材と、その一方の面に設けられ互いに接続されたアンテナおよびICチップとから構成されるインレットを備えており、情報書込/読出装置からの電磁波または電波を受信すると共振作用によりアンテナに起電力が発生し、この起電力によりICタグ内のICチップが起動し、このICチップ内の情報を信号化し、この信号がICタグのアンテナから発信される。
【0003】
このようなICタグを耐熱性、耐候性および柔軟性に優れたものとするために、種々のパッケージ化されたICタグが検討されている。
例えば、シリコン樹脂やポリテトラフルオロエチレン樹脂などからなる筐体に設けられた収納部(収納空間)内にインレットを収納し、このインレットを収納した収納部を、筐体と同様の材質からなる封止部材で封止したICタグが知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、インレットをエポキシ樹脂などの樹脂のみでモールドし、パッケージ化したICタグが知られている(例えば、特許文献2参照)。
さらに、接着剤を介して、薄いシート状の回路部を、シリコーン膜でコーティングされたウレタン樹脂からなる表面基材で挟み込んで、これらを一体化してなるICタグが知られている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−024783号公報
【特許文献2】特開2002−312747号公報
【特許文献3】特開2005−056362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、筐体にインレットを収納する場合、筐体の強度を確保するために、筐体の厚さがある程度必要となるため、ICタグ自体を薄型化することが難しいという問題があった。また、このようなICタグを製造する場合、筐体内に個別にインレットを収納、配置する必要があるため、製造効率が低いという問題があった。
【0006】
また、接着剤を介して、シート状の回路部を表面基材で挟み込んだICタグの場合、接着剤が硬化する際の収縮により、表面基材が断面方向に引っ張られるため、ICタグに十分な柔軟性が得られないという問題があった。また、このICタグは、接着剤を介して、シート状の回路部に表面基材が貼り合せられているため、薄型化が難しいばかりでなく、表面基材が回路部に基因する凹凸形状に追従して変形することができないため、表面基材と回路部の密着性が低く、表面基材と回路部の界面において剥離するおそれがあるため、結果として、ICタグに十分な耐熱性や耐候性を付与できないという問題があった。さらに、インレットをエポキシ樹脂のみでモールドした場合、エポキシ樹脂が硬化する際に表面に気泡(細孔)が生じ、その気泡(細孔)により耐候性が不足するおそれがあるという問題があった。
【0007】
また、接着剤を介して、インレットを表面基材で挟み込んだICタグの場合、接着剤が硬化する際の収縮により、表面基材が断面方向に引っ張られるため、ICタグに十分な柔軟性が得られないという問題があった。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、薄型で柔軟性に優れ、かつ、耐候性に優れるとともに、容易に製造することができる非接触型データ受送信体およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の非接触型データ受送信体は、インレットと、該インレットにおける少なくともICチップが設けられた面を被覆する被覆材と、少なくとも前記インレットの端面、並びに、前記被覆材の端面および前記インレットに接している面とは反対側の面を被覆する保護膜と、を備えてなる非接触型データ受送信体であって、前記被覆材は2液硬化型ウレタン系接着剤からなることを特徴とする。
【0010】
前記インレットの両面が前記被覆材で被覆されたことが好ましい。
【0011】
本発明の非接触型データ受送信体の製造方法は、インレットと、該インレットにおける少なくともICチップが設けられた面を被覆する被覆材と、少なくとも前記インレットの端面、並びに、前記被覆材の端面および前記インレットに接している面とは反対側の面を被覆する保護膜と、を備えてなる非接触型データ受送信体の製造方法であって、剥離基材の一方の面をなす剥離層の上に、2液硬化型ウレタン系接着剤からなる接着剤を塗布する工程Aと、前記剥離基材に塗布した接着剤を介して、前記剥離基材の一方の面上にインレットを重ね合わせて、前記剥離基材に対して前記インレットを押圧することにより、前記剥離基材と前記インレットの間に、前記接着剤を展開させる工程Bと、を有し、前記工程Bの後に、さらに、前記接着剤および前記インレットを含む積層体を、前記インレットを構成するアンテナの形状に応じて裁断する工程Cと、前記剥離基材を剥離する工程Dと、少なくとも前記インレットの端面、並びに、前記被覆材の端面および前記インレットに接している面とは反対側の面に保護剤を塗布する工程Eと、を有し、前記工程Cと前記工程Dからなる工程の群と、前記工程Eとをこの順に行い、前記工程Cと前記工程Dを順不同に行うことを特徴とする。
【0012】
前記工程Bと前記工程Cの間に、さらに、前記インレットにおけるICチップが設けられた面とは反対側の面に、2液硬化型ウレタン系接着剤からなる接着剤を塗布する工程Fと、前記インレットに塗布した接着剤を介して、前記インレットにおけるICチップが設けられた面とは反対側の面上に、剥離基材を、その一方の面をなす剥離層を対向させて重ね合わせ、前記インレットに対して前記剥離基材を押圧することにより、前記インレットにおけるICチップが設けられた面とは反対側の面と、前記剥離基材との間に、前記接着剤を展開させる工程Gと、を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の非接触型データ受送信体によれば、インレットにおける少なくともICチップが設けられた面が直接、2液硬化型ウレタン系接着剤からなる被覆材で被覆され、被覆材がインレットを構成するICチップやアンテナに基因する凹凸形状に追従して形成されているから、インレットと被覆材の密着性に優れ、インレットと被覆材の界面において剥離するのを防止することができる。また、インレットの端面、並びに、被覆材の端面およびインレットに接している面とは反対側の面が、保護膜で直接、被覆されているので、被覆材のインレットに接している面とは反対側の面に気泡(細孔)が存在していたとしても、その気泡(細孔)が保護膜で覆われているから、インレットに耐熱性および耐候性を付与しながら、薄型で柔軟性に優れたものとなる。また、本発明の非接触型データ受送信体によれば、インレットインレットにおける少なくともICチップが設けられた面が、2液硬化型ウレタン系接着剤からなる被覆材で直接、被覆され、かつ、インレットの端面、並びに、被覆材の端面およびインレットに接している面とは反対側の面が、保護膜で直接、被覆された単純な構成をなしているので、容易に製造することができる。
【0014】
本発明の非接触型データ受送信体の製造方法によれば、剥離層を有する剥離基材上に、接着剤とインレットが積層、一体化された積層体を形成し、接着剤が硬化した後、剥離基材を剥離し、その積層体を構成するインレットの端面、接着剤の端面および接着剤の一方の面に保護剤を塗布して保護膜を形成するので、従来のように、樹脂製の筐体内にインレットを収納して、その筐体と同様の材質からなる封止部材で封止したり、インレットを樹脂でモールドしたりする必要がない上に、保護膜を容易に形成することができるから、容易に非接触型データ受送信体を製造することができる。さらに、インレットにおける少なくともICチップが設けられた面を被覆するために接着剤および保護膜以外の部材を必要としないので、非常に厚さの薄い非接触型データ受送信体を製造することができ、ひいては、非接触型データ受送信体の製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の非接触型データ受送信体の第一の実施形態を示す概略断面図である。
【図2】本発明の非接触型データ受送信体の製造方法の第一の実施形態において、工程Aを示す概略斜視図である。
【図3】本発明の非接触型データ受送信体の製造方法の第一の実施形態において、工程Bを示す概略斜視図である。
【図4】本発明の非接触型データ受送信体の製造方法の第一の実施形態において、工程Bを示し、図3のA−A線に沿う概略断面図である。
【図5】本発明の非接触型データ受送信体の製造方法の第一の実施形態において、工程Cを示す概略断面図である。
【図6】本発明の非接触型データ受送信体の製造方法の第一の実施形態において、工程Cを示す概略断面図である。
【図7】本発明の非接触型データ受送信体の製造方法の第一の実施形態において、工程Dを示す概略断面図である。
【図8】本発明の非接触型データ受送信体の製造方法の第一の実施形態において、工程Dを示す概略断面図である。
【図9】本発明の非接触型データ受送信体の第二の実施形態を示す概略断面図である。
【図10】本発明の非接触型データ受送信体の製造方法の第二の実施形態において、工程Aを示す概略斜視図である。
【図11】本発明の非接触型データ受送信体の製造方法の第二の実施形態において、工程Bを示す概略斜視図である。
【図12】本発明の非接触型データ受送信体の製造方法の第二の実施形態において、工程Bを示し、図11のB−B線に沿う概略断面図である。
【図13】本発明の非接触型データ受送信体の製造方法の第二の実施形態において、工程Fおよび工程Gを示す概略斜視図である。
【図14】本発明の非接触型データ受送信体の製造方法の第二の実施形態において、工程Gを示し、図13のC−C線に沿う概略断面図である。
【図15】本発明の非接触型データ受送信体の製造方法の第二の実施形態において、工程Cを示す概略断面図である。
【図16】本発明の非接触型データ受送信体の製造方法の第二の実施形態において、工程Cを示す概略断面図である。
【図17】本発明の非接触型データ受送信体の製造方法の第二の実施形態において、工程Dを示す概略断面図である。
【図18】本発明の非接触型データ受送信体の製造方法の第二の実施形態において、工程Dを示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の非接触型データ受送信体およびその製造方法の実施の形態について説明する。
なお、この実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0017】
(1)第一の実施形態
「非接触型データ受送信体」
図1は、本発明の非接触型データ受送信体の第一の実施形態を示す概略断面図である。
この実施形態の非接触型データ受送信体10は、平面視略長方形状のインレット11と、インレット11の一方の面11aを被覆する被覆材12と、インレット11の端面11c,11d、被覆材12の端面12b,12cおよび被覆材12のインレット11に接している面とは反対側の面(以下、「一方の面」という。)12aを被覆する保護膜20とから概略構成されている。
【0018】
すなわち、非接触型データ受送信体10は、インレット11の一方の面11aが、被覆材12で直接、被覆され、かつ、被覆材12の一方の面12aが、保護膜20で直接、被覆されて、その厚さ方向において、保護膜20、被覆材12およびインレット11が、この順に積層された構造をなしている。これにより、非接触型データ受送信体10は、平面視略長方形状をなしている。
【0019】
インレット11は、基材13と、基材13の一方の面13aに設けられ、互いに電気的に接続されたICチップ14およびアンテナ15とから概略構成されている。
アンテナ15は、各種導電体からなり、互いに対向し、その対向する側にそれぞれ給電点(ICチップ14と接続している部分)を有する一対の面状の放射素子16,17からなるダイポールアンテナである。
【0020】
アンテナ15の長手方向における長さは、非接触ICカードなどの非接触ICモジュールに利用できる極超短波帯〈UHF〉やマイクロ波帯の電波帯の周波数(300MHz〜30GHz)の1/2波長に相当する長さとなっている。すなわち、放射素子16,17の長手方向における長さは、1/4波長に相当する長さとなっている。
【0021】
なお、インレット11の一方の面11aは、基材13の一方の面13aに相当する。
ゆえに、インレット11の一方の面11aでは、ICチップ14およびアンテナ15が被覆材12によって被覆されている。
【0022】
被覆材12の厚さは、特に限定されないが、少なくともインレット11のICチップ14およびアンテナ15に起因する凹凸が、非接触型データ受送信体10の一方の面(外面)10aに現れない程度、かつ、インレット11が外部からの衝撃により破損しない程度であり、例えば、10μm〜2000mmの範囲内である。
【0023】
被覆材12は、使用前は液状であり、加熱、紫外線照射、電子線照射などの外的条件を加えなくても、主剤と硬化剤の反応によって硬化する2液混合型ウレタン系接着剤からなるものである。
【0024】
2液混合型ウレタン系接着剤としては、第一液としてのイソシアネートと、第二液としての水酸基が1級水酸基であるポリオールとを含む混合液に、さらに、エポキシ基を有するシランカップリング剤を添加したものが用いられる。
この2液混合型ウレタン系接着剤では、イソシアネートのイソシアネート基と、ポリオールの水酸基とのモル比(−NCO/−OH)が0.8以上、1.1以下となる配合比で、イソシアネートとポリオールが混合されている。また、この2液混合型ウレタン系接着剤の全量に対するエポキシ基を有するシランカップリング剤の配合量は、0.1質量%以上、2.0質量%以下である。
【0025】
また、2液混合型ウレタン系接着剤としては、第一液としてのイソシアネートと、第二液としての水酸基が1級水酸基であるポリオールとを含む混合液に、さらに、アスペクト比が10以上、100以下の無機微粒子を添加したものが用いられる。
この2液混合型ウレタン系接着剤では、イソシアネートのイソシアネート基と、ポリオールの水酸基とのモル比(−NCO/−OH)が0.8以上、1.1以下となる配合比で、イソシアネートとポリオールが混合されている。また、この2液混合型ウレタン系接着剤の全量に対するアスペクト比が10以上、100以下の無機微粒子の配合量は、5質量%以上、40質量%以下である。
【0026】
このような2液硬化型ウレタン系接着剤の具体例としては、主剤(商品名:MLT2900、イーテック社製)と硬化剤(商品名:G3021−B174、イーテック社製)からなる接着剤が挙げられる。
【0027】
また、被覆材12を形成する接着剤には、必要に応じて、公知の無機顔料、有機顔料、染料などの着色剤が含まれていてもよい。この着色剤により、被覆材12は任意の色に着色される。
【0028】
基材13としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PET−G)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル樹脂からなる基材;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン樹脂からなる基材;ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ4フッ化エチレンなどのポリフッ化エチレン系樹脂からなる基材;ナイロン6、ナイロン6,6などのポリアミド樹脂からなる基材;ポリ塩化ビニル(PVC)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ビニロンなどのビニル重合体からなる基材;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチルなどのアクリル系樹脂からなる基材;ポリスチレンからなる基材;ポリカーボネート(PC)からなる基材;ポリアリレートからなる基材;ポリイミドからなる基材;上質紙、薄葉紙、グラシン紙、硫酸紙などの紙からなる基材などが用いられる。
【0029】
ICチップ14としては、特に限定されず、アンテナ15を介して非接触状態にて情報の書き込みおよび読み出しが可能であり、非接触型ICタグや非接触型ICラベル、あるいは、非接触型ICカードなどのRFIDメディアに適用可能なものであればいかなるものでも用いられる。
【0030】
アンテナ15は、基材13の一方の面13aに、ポリマー型導電インクを用いて所定のパターンにスクリーン印刷、インクジェット印刷などの印刷法により形成されてなるものか、もしくは、導電性箔をエッチングしてなるもの、金属メッキしてなるものである。
【0031】
ポリマー型導電インクとしては、例えば、銀粉末、金粉末、白金粉末、アルミニウム粉末、パラジウム粉末、ロジウム粉末、カーボン粉末(カーボンブラック、カーボンナノチューブなど)などの導電微粒子が樹脂組成物に配合されたものが挙げられる。
【0032】
樹脂組成物として熱硬化型樹脂を用いれば、ポリマー型導電インクは、200℃以下、例えば、100〜150℃程度でアンテナ15をなす塗膜を形成することができる熱硬化型となる。アンテナ15をなす塗膜の電気の流れる経路は、塗膜を構成する導電微粒子が互いに接触することにより形成され、この塗膜の抵抗値は10-5Ω・cmオーダーである。
また、本発明におけるポリマー型導電インクとしては、熱硬化型の他にも、光硬化型、浸透乾燥型、溶剤揮発型といった公知のものが用いられる。
【0033】
光硬化型のポリマー型導電インクは、光硬化性樹脂を樹脂組成物に含むものであり、硬化時間が短いので、製造効率を向上させることができる。光硬化型のポリマー型導電インクとしては、例えば、熱可塑性樹脂のみ、あるいは、熱可塑性樹脂と架橋性樹脂(特に、ポリエステルとイソシアネートによる架橋系樹脂など)とのブレンド樹脂組成物に、導電微粒子が60質量%以上配合され、ポリエステル樹脂が10質量%以上配合されたもの、すなわち、溶剤揮発型あるいは架橋/熱可塑併用型(ただし、熱可塑型が50質量%以上である)のものや、熱可塑性樹脂のみ、あるいは、熱可塑性樹脂と架橋性樹脂(特に、ポリエステルとイソシアネートによる架橋系樹脂など)とのブレンド樹脂組成物に、ポリエステル樹脂が10質量%以上配合されたもの、すなわち、架橋型あるいは架橋/熱可塑併用型のものなどが好適に用いられる。
【0034】
また、アンテナ15をなす導電性箔としては、銅箔、銀箔、金箔、白金箔、アルミニウム箔などが挙げられる。
さらに、アンテナ15をなす金属メッキとしては、銅メッキ、銀メッキ、金メッキ、白金メッキなどが挙げられる。
【0035】
保護膜20の厚さは、特に限定されないが、例えば、被覆材12をなす接着剤が硬化した際に、その一方の面12aに気泡(細孔)12dが生じた場合、少なくともその気泡12dを完全に埋めて、この気泡12dに起因する凹凸が、非接触型データ受送信体10の一方の面(外面)10aに現れず、かつ、保護膜20の被覆材12に接している面とは反対側の面(外面)20aが平滑面をなす程度であり、例えば、10μm〜1000mmの範囲内である。
【0036】
さらに、非接触型データ受送信体10の柔軟性(可撓性)を十分なものとし、非接触型データ受送信体10を曲げた場合に、インレット11に対して、保護膜20の厚さが部分的に異なることに起因する応力が生じないようにするためには、保護膜20の厚さは、非接触型データ受送信体10の4つの側面にて、等しいことが好ましい。より詳細には、例えば、インレット11の端面11c,11d、被覆材12の端面12b,12cおよび被覆材12の一方の面12aにおいて、保護膜20の厚さが等しいことが好ましい。
【0037】
保護膜20を形成する材料としては、使用前は液状であり、紫外線などの照射、または、加熱することにより硬化する保護剤が用いられる。
このような保護剤としては、シリカ、酸化チタンなどの無機粒子と、固形パラフィン、蝋、ワセリン(登録商標)などの有機固形物とを含有し、これらの成分を光硬化性樹脂または熱硬化性樹脂に混合してなる保護剤が用いられる。この実施形態では、シリカと固形パラフィンを含有してなるものが用いられる。
【0038】
この非接触型データ受送信体10は、インレット11の一方の面11aが直接、2液硬化型ウレタン系接着剤からなる被覆材12で被覆され、被覆材12がインレット11を構成するICチップ14やアンテナ15に基因する凹凸形状に追従して形成されているから、インレット11と被覆材12の密着性に優れ、インレット11と被覆材12の界面において剥離するのを防止することができる。また、インレット11の端面11c,11d、被覆材12の端面12b,12cおよび被覆材12の一方の面12aが、保護膜20で直接、被覆されているので、被覆材12のインレット11に接している面とは反対側の面12aに気泡(細孔)12dが存在していたとしても、その気泡(細孔)12dが保護膜20で覆われているから、インレット11に耐熱性および耐候性を付与しながら、薄型で柔軟性に優れている。
また、非接触型データ受送信体10は、インレット11の一方の面11aが直接、被覆材12で被覆され、かつ、インレット11の端面11c,11d、被覆材12の端面12b,12cおよび被覆材12の一方の面12aが、保護膜20で直接、被覆された単純な構成をなしているので、容易に製造することができる。
【0039】
なお、この実施形態では、非接触型データ受送信体10が平面視略長方形状をなしている場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、非接触型データ受送信体は、平面視した場合、任意のカード形状、タグ形状をなしていてもよい。
また、この実施形態では、一対の面状の放射素子16,17から構成されるダイポールアンテナからなるアンテナ15を有するインレット11を備えた場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、アンテナは一対の枠状の放射素子から構成されるダイポールアンテナ、メアンダ状のダイポールアンテナ、モノポールアンテナなどであってもよい。
【0040】
「非接触型データ受送信体の製造方法」
次に、図2〜図8を参照して、この実施形態の非接触型データ受送信体の製造方法を説明する。
ここでは、図3に示すような、基材13Aと、その一方の面13aに、RFID用のアンテナ15と、このアンテナ15を通じて通信するICチップ14とが等間隔に多数設けられた、長尺のインレットシート22を用いて、連続的に、上述の非接触型データ受送信体10を製造する場合を例示する。
【0041】
まず、図2に示すように、図中の矢印方向に搬送されている長尺の剥離基材21の一方の面21aの中央部に、剥離基材21の搬送方向に沿って、接着剤塗布装置のノズル31から吐出される接着剤12Aを線状に塗布する(工程A)。
【0042】
接着剤12Aとしては、上記の被覆材12を形成する接着剤と同様のものが用いられる。
また、剥離基材21の一方の面21aに接着剤12Aを塗布する幅、すなわち、剥離基材21の一方の面21aに対する接着剤12Aの塗布量は、特に限定されないが、この接着剤12Aによって被覆されるインレットシート22に設けられたICチップ14およびアンテナ15の大きさや数、接着剤12Aを硬化することにより形成される被覆材12に必要とされる厚さなどに応じて、適宜調整される。
【0043】
剥離基材21としては、剥離フィルムまたは剥離紙が用いられる。
剥離フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)などのプラスチックからなる厚さ30μm〜160μmの基材フィルムの一方の面および/または他方に面に、シリコンからなる厚さ1μm〜100μmの剥離層が設けられたものが用いられる。すなわち、剥離基材21の一方の面21aは、シリコンからなる剥離層から構成されている。
このような剥離フィルムの具体例としては、東セロ株式会社製のトーセロセパレータSP−PET−01−BU(商品名)などが挙げられる。
【0044】
剥離紙としては、グラシン紙や上質紙からなる厚さ30μm〜160μmの基材の一方の面および/または他方に面に、目止め剤が塗布され、その目止め剤からなる層の上に、シリコンからなる厚さ1μm〜100μmの剥離層が設けられたものが用いられる。すなわち、剥離基材21の一方の面21aは、シリコンからなる剥離層から構成されている。
このような剥離紙の具体例としては、王子タック株式会社製のL11C(商品名)などが挙げられる。
【0045】
この剥離基材21の剥離力は、0.05〜1.0N/50mmである。
【0046】
このように、工程Aでは、剥離基材21として、上記の剥離フィルムまたは剥離紙を用いているので、剥離基材21の一方の面21aをなす剥離層(図示略)の上に、接着剤12Aを塗布する。
【0047】
次いで、図3に示すように、図中の矢印方向に搬送されているインレットシート22を、図中の矢印方向に回転する一対のローラー32,33の対向する部分にて、剥離基材21の一方の面21aに塗布した接着剤12Aを介して、図中の矢印方向に搬送されている剥離基材21の一方の面21a上に重ね合わせるとともに、剥離基材21とインレットシート22をローラー32,33で挟み込むことにより、図4に示すように、剥離基材21とインレットシート22の間のほぼ全域にわたって、剥離基材21の一方の面21aに塗布した接着剤12Aを展開させる(工程B)。
【0048】
この工程Bでは、剥離基材21の一方の面21aに、基材13Aの一方の面13a、すなわち、インレットシート22におけるICチップ14およびアンテナ15が設けられた面(以下、「一方の面」という。)22aが対向するように、剥離基材21の一方の面21a上にインレットシート22を重ね合わせる。
【0049】
また、工程Bでは、上記のように、外的条件を加えなくても主剤と硬化剤の反応によって硬化する2液硬化型ウレタン系接着剤からなる接着剤12Aを用いる。したがって、接着剤12Aは、剥離基材21とインレットシート22の間に展開させるまでの間、流動性を有しているが、反応の進行に伴って、次第に流動性がなくなり、最終的には硬化する。これにより、インレットシート22の一方の面22a、並びに、その一方の面22aに設けられたICチップ14およびアンテナ15が接着剤12Aによって被覆されるとともに、剥離基材21の一方の面21a上に、インレットシート22が仮留めされる。なお、接着剤12Aは硬化すると、上記の被覆材12となる。
【0050】
また、工程Bでは、剥離基材21とインレットシート22の間に展開させた後の接着剤12Aの厚さを、少なくともインレットシート22のICチップ14およびアンテナ15に起因する凹凸が、接着剤12Aのインレットシート22に接している面とは反対側の面12cに現れない程度、かつ、ICチップ14およびアンテナ15が外部からの衝撃により破損しない程度とし、例えば、10μm〜2000mmの範囲内とする。
【0051】
また、工程Bにおいて、剥離基材21とインレットシート22を一対のローラー32,33で挟み込む力、すなわち、剥離基材21に対してインレットシート22を厚さ方向に押圧する力(圧力)は、特に限定されず、剥離基材21およびインレットシート22の厚さや大きさ、接着剤12Aの塗布量などに応じて、適宜調整されるが、1kg/cm2〜20kg/cm2であることが好ましく、より好ましくは5kg/cm2〜10kg/cm2である。
【0052】
この工程Bにより、接着剤12Aによって、ICチップ14およびアンテナ15が完全に被覆され、剥離基材21とインレットシート22の間に、ほぼ隙間無く接着剤12Aが充填される。
【0053】
次いで、図5に示すように、裁断装置の切断刃(図示略)により、剥離基材21、接着剤12Aおよびインレットシート22からなる積層体α1を、その厚さ方向に(図5の一点鎖線に沿って)、アンテナ15の形状に応じて裁断し、図6に示すように、積層体α1を個片化する(工程C)。
ここで、積層体α1をアンテナ15の形状に応じて裁断するとは、アンテナ15を損傷することなく、かつ、目的とする非接触型データ受送信体10の形状に合わせて裁断することを言う。
【0054】
次いで、接着剤12Aが完全に硬化して被覆材12となった後、図7に示すように、積層体α1から、剥離基材21を剥離し(工程D)、図8に示すように、個片化された、接着剤12A、インレットシート22および接着剤13Aからなる積層体β1を得る。
【0055】
次いで、積層体β1を構成するインレットシート22の端面22c,22d、接着剤12Aの端面12b,12cおよび接着剤12Aの一方の面12aに、上記の保護膜20を形成する保護剤を塗布して保護膜20を形成し(工程E)、図1に示す非接触型データ受送信体10を得る。
【0056】
この工程Eにおいて、例えば、被覆材12をなす接着剤が硬化する際に、その一方の面12aに気泡(細孔)12dが生じた場合、少なくともその気泡(細孔)12dを完全に埋めるように、上記の保護膜20を形成する保護剤を塗布して保護膜20を形成する。
【0057】
工程Eにおいて、インレットシート22の端面22c,22d、接着剤12Aの端面12b,12cおよび接着剤12Aの一方の面12aに保護剤を塗布する方法としては、高粘度の保護剤を用いる場合、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、コーターによる塗布方法などが用いられ、また、低粘度の保護剤を用いる場合、保護剤に上記の積層体β1を浸漬する方法、上記の積層体β1を鋳型内に配して、その鋳型内に保護剤を注入する方法、スプレーコート法などが用いられる。
【0058】
また、工程Eにおいて、保護膜20を形成する保護剤を塗布する厚さを、例えば、接着剤12Aをなす接着剤が硬化する際に、その一方の面12aに気泡(細孔)12dが生じた場合、少なくともその気泡(細孔)12dを完全に埋めて、この気泡(細孔)12dに起因する凹凸が、最終的に得られる非接触型データ受送信体10の一方の面(外面)10aに現れず、かつ、保護膜20の外面20aが平滑面をなす程度とし、例えば、10μm〜1000mmの範囲内とする。
【0059】
この実施形態の非接触型データ受送信体の製造方法によれば、剥離層を有する剥離基材21上に、接着剤12Aおよびインレットシート22が積層、一体化された積層体α1を形成し、接着剤12Aが硬化した後、この積層体α1を個片化し、個片化した積層体α1から、剥離基材21を剥離して積層体β1とし、この積層体β1を構成するインレットシート22の端面22c,22d、接着剤12Aの端面12b,12cおよび接着剤12Aの一方の面12aに保護剤を塗布して保護膜20を形成するので、従来のように、樹脂製の筐体内にインレットを収納して、その筐体と同様の材質からなる封止部材で封止したり、インレットを樹脂でモールドしたりする必要がない上に、保護膜20を容易に形成することができるから、容易に非接触型データ受送信体10を製造することができる。さらに、インレットシート22の一方の面22aを被覆するために接着剤12Aと保護膜20以外の部材を必要としないので、非常に厚さの薄い非接触型データ受送信体10を製造することができ、ひいては、非接触型データ受送信体10の製造コストを低減することができる。
【0060】
なお、この実施形態では、長尺の剥離基材21およびインレットシート22を用いて、連続的に、上述の非接触型データ受送信体10を製造する場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、予め個片化されたインレットを用いて、個別に非接触型データ受送信体を製造してもよい。
【0061】
また、この実施形態では、工程Bの後に、剥離基材21、接着剤12Aおよびインレットシート22からなる積層体α1を、アンテナ15の形状に応じて裁断する工程Cと、その積層体α1から、剥離基材21を剥離する工程Dと、積層体β1を構成するインレットシート22の端面22c,22d、接着剤12Aの端面12b,12cおよび接着剤12Aの一方の面12aに保護剤を塗布して保護膜20を形成する工程Eとを、この順に行う場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、工程Bの後に、工程Cと工程Dからなる工程の群と、工程Eとをこの順に行えば、工程Cと工程Dを順不同に行ってよい。すなわち、本発明にあっては、工程Dにて、剥離基材、接着剤およびインレットシートからなる積層体から、剥離基材を剥離し、工程Cにて、接着剤およびインレットシートからなる積層体を、アンテナの形状に応じて裁断した後、工程Eにて、積層体を構成するインレットの端面、接着剤の端面および一方の面に保護膜を形成してもよい。
【0062】
(2)第二の実施形態
「非接触型データ受送信体」
図9は、本発明の非接触型データ受送信体の第二の実施形態を示す概略断面図である。
この実施形態の非接触型データ受送信体50は、平面視略長方形状のインレット51と、インレット51の一方の面51aを被覆する第一の被覆材53と、インレット51の他方の面51bを被覆する第二の被覆材54と、インレット51の端面51c,51d、第一の被覆材53の端面53b,53cおよび第一の被覆材53のインレット51に接している面とは反対側の面(以下、「一方の面」という。)53a、並びに、第二の被覆材54の端面54b,54cおよび第二の被覆材54のインレット51に接している面とは反対側の面(以下、「一方の面」という。)54aを被覆する保護膜60とから概略構成されている。
【0063】
なお、第一の被覆材53と第二の被覆材54を総称して被覆材52ということもある。
すなわち、非接触型データ受送信体50は、インレット51の両面(一方の面51aおよび他方の面51b)が、被覆材52で直接、被覆され、かつ、被覆材52のインレット51に接している面とは反対側の面(一方の面52aおよび他方の面52b)が、保護膜60で直接、被覆されて、その厚さ方向において、保護膜60、第一の被覆材53、インレット51、第二の被覆材54および保護膜60が、この順に積層された構造をなしている。これにより、非接触型データ受送信体50は、平面視略長方形状をなしている。
【0064】
インレット51は、基材55と、基材55の一方の面55aに設けられ、互いに電気的に接続されたICチップ56およびアンテナ57とから概略構成されている。
アンテナ57は、各種導電体からなり、互いに対向し、その対向する側にそれぞれ給電点(ICチップ56と接続している部分)を有する一対の面状の放射素子58,59からなるダイポールアンテナである。
【0065】
アンテナ57の長手方向における長さは、非接触ICカードなどの非接触ICモジュールに利用できる極超短波帯〈UHF〉やマイクロ波帯の電波帯の周波数(300MHz〜30GHz)の1/2波長に相当する長さとなっている。すなわち、放射素子58,59の長手方向における長さは、1/4波長に相当する長さとなっている。
【0066】
なお、インレット51の一方の面51aは、基材55の一方の面55aに相当し、インレット11の他方の面51bは、基材55の他方の面55bに相当する。
ゆえに、インレット51の一方の面51aでは、ICチップ56およびアンテナ57が第一の被覆材53によって被覆されている。
【0067】
第一の被覆材53の厚さは、特に限定されないが、少なくともインレット51のICチップ56およびアンテナ57に起因する凹凸が、非接触型データ受送信体50の一方の面(外面)50aに現れない程度、かつ、インレット51が外部からの衝撃により破損しない程度であり、例えば、10μm〜2000mmの範囲内である。
また、第二の被覆材54の厚さは、特に限定されないが、インレット51が外部からの衝撃により破損しない程度であり、例えば、10μm〜2000mmの範囲内である。
【0068】
さらに、非接触型データ受送信体50の柔軟性(可撓性)を十分なものとし、非接触型データ受送信体50を曲げた場合に、インレット51に対して、第一の被覆材53と第二の被覆材54の厚さの差に起因する応力が生じないようにするためには、第一の被覆材53の厚さと第二の被覆材54の厚さは等しいことが好ましい。
【0069】
被覆材52(第一の被覆材53と第二の被覆材54)は、使用前は液状であり、加熱、紫外線照射、電子線照射などの外的条件を加えなくても主剤と硬化剤の反応によって硬化する2液硬化型ウレタン系接着剤からなるものである。
【0070】
2液硬化型ウレタン系接着剤としては、上述の第一の実施形態と同様のものが用いられる。
【0071】
基材55、ICチップ56、アンテナ57としては、上述の第一の実施形態と同様のものが用いられる。
【0072】
保護膜60の厚さは、特に限定されないが、例えば、第一の被覆材53をなす接着剤が硬化した際に、その一方の面53aに気泡(細孔)53dが生じた場合、少なくともその気泡53dを完全に埋めて、この気泡53dに起因する凹凸が、非接触型データ受送信体50の一方の面(外面)50aに現れず、かつ、保護膜60の第一の被覆材53に接している面とは反対側の面(外面)50aが平滑面をなす程度であり、例えば、10μm〜1000mmの範囲内である。
また、保護膜60の厚さは、特に限定されないが、例えば、第二の被覆材54をなす接着剤が硬化した際に、その一方の面54aに気泡(細孔)54dが生じた場合、少なくともその気泡54dを完全に埋めて、この気泡54dに起因する凹凸が、非接触型データ受送信体50の他方の面(外面)50bに現れず、かつ、保護膜60の第二の被覆材54に接している面とは反対側の面(外面)60bが平滑面をなす程度であり、例えば、10μm〜1000mmの範囲内である。
【0073】
さらに、非接触型データ受送信体50の柔軟性(可撓性)を十分なものとし、非接触型データ受送信体50を曲げた場合に、インレット51に対して、保護膜60の厚さが部分的に異なることに起因する応力が生じないようにするためには、保護膜60の厚さは、非接触型データ受送信体50の4つの側面にて、等しいことが好ましい。より詳細には、例えば、インレット51の端面51c,51d、第一の被覆材53の端面53b,53cおよび第一の被覆材53の一方の面53a、並びに、第二の被覆材54の端面54b,54cおよび第二の被覆材54の一方の面54aにおいて、保護膜60の厚さが等しいことが好ましい。
【0074】
保護膜60(第一の保護膜61と第二の保護膜62)を形成する材料としては、使用前は液状であり、紫外線などの照射、または、加熱することにより硬化する保護剤が用いられる。
このような保護剤としては、上述の第一の実施形態と同様のものが用いられる。
【0075】
この非接触型データ受送信体50は、インレット51の一方の面51aおよび他方の面51bが直接、2液硬化型ウレタン系接着剤からなる被覆材52で被覆され、被覆材52がインレット51を構成するICチップ56やアンテナ57に基因する凹凸形状に追従して形成されているから、インレット51と被覆材52の密着性に優れ、インレット51と被覆材52の界面において剥離するのを防止することができる。また、インレット51の端面51c,51d、第一の被覆材53の端面53b,53cおよび第一の被覆材53の一方の面53a、並びに、第二の被覆材54の端面54b,54cおよび第二の被覆材54の一方の面54aが、保護膜60で直接、被覆されているので、被覆材52のインレット51に接している面とは反対側の面52a,52bに気泡(細孔)が存在していたとしても、その気泡(細孔)が保護膜60で覆われているから、インレット51に耐熱性および耐候性を付与しながら、薄型で柔軟性に優れている。
また、非接触型データ受送信体50は、インレット51の一方の面51aおよび他方の面51bが直接、被覆材52で被覆され、かつ、インレット51の端面51c,51d、第一の被覆材53の端面53b,53cおよび第一の被覆材53の一方の面53a、並びに、第二の被覆材54の端面54b,54cおよび第二の被覆材54の一方の面54aが、保護膜60で直接、被覆された単純な構成をなしているので、容易に製造することができる。
【0076】
なお、この実施形態では、非接触型データ受送信体50が平面視略長方形状をなしている場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、非接触型データ受送信体は、平面視した場合、任意のカード形状、タグ形状をなしていてもよい。
また、この実施形態では、一対の面状の放射素子58,59から構成されるダイポールアンテナからなるアンテナ57を有するインレット51を備えた場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、アンテナは一対の枠状の放射素子から構成されるダイポールアンテナ、メアンダ状のダイポールアンテナ、モノポールアンテナなどであってもよい。
【0077】
「非接触型データ受送信体の製造方法」
次に、図10〜図18を参照して、この実施形態の非接触型データ受送信体の製造方法を説明する。
ここでは、図11に示すような、基材55Aと、その一方の面55aに、RFID用のアンテナ57と、このアンテナ57を通じて通信するICチップ56とが等間隔に多数設けられた、長尺のインレットシート52を用いて、連続的に、上述の非接触型データ受送信体50を製造する場合を例示する。
【0078】
まず、図10に示すように、図中の矢印方向に搬送されている長尺の第一の剥離基材61の一方の面61aの中央部に、第一の剥離基材61の搬送方向に沿って、接着剤塗布装置のノズル71から吐出される第一の接着剤53Aを線状に塗布する(工程A)。
【0079】
第一の接着剤53Aとしては、上記の被覆材52を形成する接着剤と同様のものが用いられる。
また、第一の剥離基材61の一方の面61aに第一の接着剤53Aを塗布する幅、すなわち、第一の剥離基材61の一方の面61aに対する第一の接着剤53Aの塗布量は、特に限定されないが、この第一の接着剤53Aによって被覆されるインレットシート62に設けられたICチップ56およびアンテナ57の大きさや数、第一の接着剤53Aを硬化することにより形成される第一の被覆材53に必要とされる厚さなどに応じて、適宜調整される。
【0080】
第一の剥離基材61としては、上述の第一の実施形態の剥離基材と同様のものが用いられる。
この第一の剥離基材61の剥離力は、0.05〜1.0N/50mmである。
【0081】
このように、工程Aでは、第一の剥離基材61として、上記の剥離フィルムまたは剥離紙を用いているので、第一の剥離基材61の一方の面61aをなす剥離層(図示略)の上に、第一の接着剤53Aを塗布する。
【0082】
次いで、図11に示すように、図中の矢印方向に搬送されているインレットシート62を、図中の矢印方向に回転する一対のローラー72,73の対向する部分にて、第一の剥離基材61の一方の面61aに塗布した第一の接着剤53Aを介して、図中の矢印方向に搬送されている第一の剥離基材61の一方の面61a上に重ね合わせるとともに、第一の剥離基材61とインレットシート62をローラー72,73で挟み込むことにより、図12に示すように、第一の剥離基材61とインレットシート62の間のほぼ全域にわたって、第一の剥離基材61の一方の面61aに塗布した第一の接着剤53Aを展開させる(工程B)。
【0083】
この工程Bでは、第一の剥離基材61の一方の面61aに、基材55Aの一方の面55a、すなわち、インレットシート62におけるICチップ56およびアンテナ57が設けられた面(以下、「一方の面」という。)62aが対向するように、第一の剥離基材61の一方の面61a上にインレットシート62を重ね合わせる。
【0084】
また、工程Bでは、上記のように、外的条件を加えなくても主剤と硬化剤の反応によって硬化する2液硬化型ウレタン系接着剤からなる第一の接着剤53Aを用いる。したがって、第一の接着剤53Aは、第一の剥離基材61とインレットシート62の間に展開させるまでの間、流動性を有しているが、反応の進行に伴って、次第に流動性がなくなり、最終的には硬化する。これにより、インレットシート62の一方の面62a、並びに、その一方の面62aに設けられたICチップ56およびアンテナ57が第一の接着剤53Aによって被覆されるとともに、第一の剥離基材61の一方の面61a上に、インレットシート62が仮留めされる。なお、第一の接着剤53Aは硬化すると、上記の第一の被覆材53となる。
【0085】
また、工程Bでは、第一の剥離基材61とインレットシート62の間に展開させた後の第一の接着剤53Aの厚さを、少なくともインレットシート62のICチップ56およびアンテナ57に起因する凹凸が、第一の接着剤53Aのインレットシート62に接している面とは反対側の面53cに現れない程度、かつ、ICチップ56およびアンテナ57が外部からの衝撃により破損しない程度とし、例えば、10μm〜2000mmの範囲内とする。
【0086】
また、工程Bにおいて、第一の剥離基材61とインレットシート62を一対のローラー72,73で挟み込む力、すなわち、第一の剥離基材61に対してインレットシート62を厚さ方向に押圧する力(圧力)は、特に限定されず、第一の剥離基材61およびインレットシート62の厚さや大きさ、第一の接着剤53Aの塗布量などに応じて、適宜調整されるが、1kg/cm2〜20kg/cm2であることが好ましく、より好ましくは5kg/cm2〜10kg/cm2である。
【0087】
この工程Bにより、第一の接着剤53Aによって、ICチップ56およびアンテナ57が完全に被覆され、第一の剥離基材61とインレットシート62の間に、ほぼ隙間無く第一の接着剤53Aが充填される。
【0088】
次いで、図13に示すように、図中の矢印方向に、第一の剥離基材61とインレットシート62からなる積層体α2を搬送しながら、インレットシート62の一方の面62aとは反対側の面(以下、「他方の面」という。)62b、すなわち、基材55Aの他方の面55bの中央部に、積層体α2の搬送方向に沿って、接着剤塗布装置のノズル74から吐出される第二の接着剤54Aを線状に塗布する(工程F)。
【0089】
第二の接着剤54Aとしては、上記の被覆材52を形成する接着剤と同様のものが用いられる。
また、インレットシート62の他方の面62bに第二の接着剤54Aを塗布する幅、すなわち、基材55Aの他方の面55bに対する第二の接着剤54Aの塗布量は、特に限定されないが、第二の接着剤54Aを硬化することにより形成される第二の被覆材54に必要とされる厚さなどに応じて、適宜調整される。
【0090】
次いで、図13に示すように、図中の矢印方向に搬送されている第二の剥離基材63を、図中の矢印方向に回転する一対のローラー75,76の対向する部分にて、インレットシート62の他方の面62bに塗布した第二の接着剤54Aを介して、図中の矢印方向に搬送されている積層体α2を構成するインレットシート62の他方の面62b上に重ね合わせるとともに、積層体α2と第二の剥離基材63を一対のローラー75,76で挟み込むことにより、図14に示すように、積層体α2と第二の剥離基材63の間のほぼ全域にわたって、インレットシート62の他方の面62bに塗布した第二の接着剤54Aを展開させて(工程G)、第一の剥離基材61と第二の剥離基材63の間に、第一の接着剤53A、インレットシート62および第二の接着剤54Aが、この順に積層、一体化された積層体β2を形成する。
【0091】
第二の剥離基材63としては、上記の第一の剥離基材61と同様のものが用いられる。すなわち、第二の剥離基材63の一方の面63aは、シリコンからなる剥離層から構成されている。
【0092】
この工程Gでは、第二の剥離基材63として、上記の剥離フィルムまたは剥離紙を用いているので、インレットシート62の他方の面62bに、第二の剥離基材63の一方の面63aをなす剥離層(図示略)が対向するように、インレットシート62の他方の面62b上に第二の剥離基材63を重ね合わせる。
【0093】
また、工程Gでは、上記のように、外的条件を加えなくても主剤と硬化剤の反応によって硬化する2液硬化型ウレタン系接着剤からなる第二の接着剤54Aを用いる。したがって、第二の接着剤54Aは、積層体α2と第二の剥離基材63の間に展開させるまでの間、流動性を有しているが、反応の進行に伴って、次第に流動性がなくなり、最終的には硬化する。これにより、インレットシート62の他方の面62bが第二の接着剤54Aによって被覆されるとともに、積層体α2の上に、第二の剥離基材63が仮留めされる。なお、第二の接着剤54Aは硬化すると、上記の第二の被覆材54となる。
【0094】
また、工程Gでは、積層体α2と第二の剥離基材63の間に展開させた後の第二の接着剤54Aの厚さを、上述の工程Bにおいて、第一の剥離基材61とインレットシート62の間に展開させた後の第一の接着剤53Aの厚さと同程度とし、例えば、10μm〜2000mmの範囲内とする。
【0095】
また、工程Gにおいて、積層体α2と第二の剥離基材63を一対のローラー75,76で挟み込む力、すなわち、インレットシート62に対して第二の剥離基材63を厚さ方向に押圧する力(圧力)は、特に限定されず、積層体α2および第二の剥離基材63の厚さや大きさ、第二の接着剤54Aの塗布量などに応じて、適宜調整されるが、1kg/cm2〜20kg/cm2であることが好ましく、より好ましくは5kg/cm2〜10kg/cm2である。
【0096】
この工程Gにより、積層体α2と第二の剥離基材63の間に、ほぼ隙間無く第二の接着剤54Aが充填される。
【0097】
次いで、図15に示すように、裁断装置の切断刃(図示略)により、第一の剥離基材61、第一の接着剤53A、インレットシート62、第二の接着剤54Aおよび第二の剥離基材63からなる積層体β2を、その厚さ方向に(図15の一点鎖線に沿って)、アンテナ57の形状に応じて裁断し、図16に示すように、積層体β2を個片化する(工程C)。
ここで、積層体β2をアンテナ57の形状に応じて裁断するとは、アンテナ57を損傷することなく、かつ、目的とする非接触型データ受送信体50の形状に合わせて裁断することを言う。
【0098】
次いで、第一の接着剤53Aが完全に硬化して第一の被覆材53となり、かつ、第二の接着剤54Aが完全に硬化して第二の被覆材54となった後、図17に示すように、積層体β2から、第一の剥離基材61と第二の剥離基材63を剥離し(工程D)、図18に示すように、個片化された、第一の接着剤53A、インレットシート62および第二の接着剤54Aからなる積層体γ2を得る。
【0099】
次いで、積層体γ2を構成するインレットシート62の端面62c,62d、第一の接着剤53Aの端面53b,53cおよび第一の接着剤53Aの一方の面53a、並びに、第二の接着剤54Aの端面54b,54cおよび第二の接着剤54Aの一方の面54aに、上記の保護膜60を形成する保護剤を塗布して保護膜60を形成し(工程E)、図9に示す非接触型データ受送信体50を得る。
【0100】
この工程Eにおいて、例えば、第一の被覆材53をなす接着剤が硬化する際に、その一方の面53aに気泡(細孔)53dが生じた場合、少なくともその気泡(細孔)53dを完全に埋め、また、第二の被覆材54をなす接着剤が硬化する際に、その一方の面54aに気泡(細孔)54dが生じた場合、少なくともその気泡(細孔)54dを完全に埋めるように、上記の保護膜60を形成する保護剤を塗布して保護膜60を形成する。
【0101】
工程Eにおいて、インレットシート62の端面62c,62d、第一の接着剤53Aの端面53b,53cおよび第一の接着剤53Aの一方の面53a、並びに、第二の接着剤54Aの端面54b,54cおよび第二の接着剤54Aの一方の面54aに保護剤を塗布する方法としては、高粘度の保護剤を用いる場合、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、コーターによる塗布方法などが用いられ、また、低粘度の保護剤を用いる場合、保護剤に上記の積層体γ2を浸漬する方法、上記の積層体γ2を鋳型内に配して、その鋳型内に保護剤を注入する方法、スプレーコート法などが用いられる。
【0102】
また、工程Eにおいて、保護膜60を形成する保護剤を塗布する厚さを、例えば、第一の接着材53Aが硬化する際に、その一方の面53aに気泡(細孔)53dが生じた場合、少なくともその気泡(細孔)を完全に埋め、かつ、第二の接着剤54Aが硬化する際に、その一方の面54aに気泡(細孔)54dが生じた場合、少なくともその気泡(細孔)を完全に埋めて、これらの気泡(細孔)に起因する凹凸が、最終的に得られる非接触型データ受送信体50の一方の面(外面)50aおよび他方の面(外面)50bに現れず、かつ、保護膜60の外面60a,60bが平滑面をなす程度とし、例えば、10μm〜1000mmの範囲内とする。
【0103】
この実施形態の非接触型データ受送信体の製造方法によれば、剥離層を有する第一の剥離基材61と第二の剥離基材63の間に、第一の接着剤53A、インレットシート62および第二の接着剤54Aが積層、一体化された積層体を形成し、第一の接着剤53Aおよび第二の接着剤54Aが硬化した後、この積層体を個片化し、個片化した積層体から、第一の剥離基材61と第二の剥離基材63を剥離して積層体γ2とし、積層体γ2を構成するインレットシート62の端面62c,62d、第一の接着剤53Aの端面53b,53cおよび第一の接着剤53Aの一方の面53a、並びに、第二の接着剤54Aの端面54b,54cおよび第二の接着剤54Aの一方の面54aに保護剤を塗布して保護膜60を形成するので、従来のように、樹脂製の筐体内にインレットを収納して、その筐体と同様の材質からなる封止部材で封止したり、インレットを樹脂でモールドしたりする必要がない上に、保護膜60を容易に形成することができるから、容易に非接触型データ受送信体50を製造することができる。さらに、インレットシート62の両面を被覆するために第一の接着剤53Aと第二の接着剤54A以外の部材を必要としないので、非常に厚さの薄い非接触型データ受送信体50を製造することができ、ひいては、非接触型データ受送信体50の製造コストを低減することができる。
【0104】
なお、この実施形態では、長尺の第一の剥離基材61、インレットシート62および第二の剥離基材63を用いて、連続的に、上述の非接触型データ受送信体50を製造する場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、予め個片化されたインレットを用いて、個別に非接触型データ受送信体を製造してもよい。
【0105】
また、この実施形態では、工程Gの後に、第一の剥離基材61、第一の接着剤53A、インレットシート62、第二の接着剤54Aおよび第二の剥離基材63からなる積層体β2を、アンテナ57の形状に応じて裁断する工程Cと、その積層体β2から、第一の剥離基材61と第二の剥離基材63を剥離する工程Dと、積層体γ2を構成するインレットシート62の端面62c,62d、第一の接着剤53Aの端面53b,53cおよび第一の接着剤53Aの一方の面53a、並びに、第二の接着剤54Aの端面54b,54cおよび第二の接着剤54Aの一方の面54aに保護膜60を形成する工程Eとを、この順に行う場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、工程Gの後に、工程Cと工程Dからなる工程の群と、工程Eとをこの順に行えば、工程Cと工程Dを順不同に行ってよい。すなわち、本発明にあっては、工程Dにて、第一の剥離基材、第一の接着剤、インレットシート、第二の接着剤および第二の剥離基材からなる積層体から、第一の剥離基材と第二の剥離基材を剥離し、工程Cにて、第一の接着剤、インレットシートおよび第二の接着剤からなる積層体を、アンテナの形状に応じて裁断した後、工程Eにて、積層体を構成するインレットの端面、第一の接着剤の端面および一方の面、並びに、第二の接着剤の端面および一方の面に保護膜を形成してもよい。
【符号の説明】
【0106】
10・・・非接触型データ受送信体、11・・・インレット、12・・・被覆材、12A・・・接着剤、13,13A・・・基材、14・・・ICチップ、15・・・アンテナ、16,17・・・放射素子、20・・・保護膜、21・・・剥離基材、22・・・インレットシート、31・・・ノズル、32,33・・・ローラー、50・・・非接触型データ受送信体、51・・・インレット、52・・・被覆材、53・・・第一の被覆材、53A・・・第一の接着剤、54・・・第二の被覆材、54A・・・第二の接着剤、55,55A・・・基材、56・・・ICチップ、57・・・アンテナ、58,59・・・放射素子、60・・・保護膜、61・・・第一の剥離基材、62・・・インレットシート、63・・・第二の剥離基材、71,74・・・ノズル、72,73,75,76・・・ローラー
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFID(Radio Frequency IDentification)用途の情報記録メディアのように、電磁波または電波を媒体として外部から情報を受信し、また、外部に情報を送信できるようにした非接触型データ受送信体およびその製造方法に関し、特に、耐候性、耐熱性および柔軟性に優れる非接触型データ受送信体およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
非接触型データ受送信体の一例であるICタグは、基材と、その一方の面に設けられ互いに接続されたアンテナおよびICチップとから構成されるインレットを備えており、情報書込/読出装置からの電磁波または電波を受信すると共振作用によりアンテナに起電力が発生し、この起電力によりICタグ内のICチップが起動し、このICチップ内の情報を信号化し、この信号がICタグのアンテナから発信される。
【0003】
このようなICタグを耐熱性、耐候性および柔軟性に優れたものとするために、種々のパッケージ化されたICタグが検討されている。
例えば、シリコン樹脂やポリテトラフルオロエチレン樹脂などからなる筐体に設けられた収納部(収納空間)内にインレットを収納し、このインレットを収納した収納部を、筐体と同様の材質からなる封止部材で封止したICタグが知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、インレットをエポキシ樹脂などの樹脂のみでモールドし、パッケージ化したICタグが知られている(例えば、特許文献2参照)。
さらに、接着剤を介して、薄いシート状の回路部を、シリコーン膜でコーティングされたウレタン樹脂からなる表面基材で挟み込んで、これらを一体化してなるICタグが知られている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−024783号公報
【特許文献2】特開2002−312747号公報
【特許文献3】特開2005−056362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、筐体にインレットを収納する場合、筐体の強度を確保するために、筐体の厚さがある程度必要となるため、ICタグ自体を薄型化することが難しいという問題があった。また、このようなICタグを製造する場合、筐体内に個別にインレットを収納、配置する必要があるため、製造効率が低いという問題があった。
【0006】
また、接着剤を介して、シート状の回路部を表面基材で挟み込んだICタグの場合、接着剤が硬化する際の収縮により、表面基材が断面方向に引っ張られるため、ICタグに十分な柔軟性が得られないという問題があった。また、このICタグは、接着剤を介して、シート状の回路部に表面基材が貼り合せられているため、薄型化が難しいばかりでなく、表面基材が回路部に基因する凹凸形状に追従して変形することができないため、表面基材と回路部の密着性が低く、表面基材と回路部の界面において剥離するおそれがあるため、結果として、ICタグに十分な耐熱性や耐候性を付与できないという問題があった。さらに、インレットをエポキシ樹脂のみでモールドした場合、エポキシ樹脂が硬化する際に表面に気泡(細孔)が生じ、その気泡(細孔)により耐候性が不足するおそれがあるという問題があった。
【0007】
また、接着剤を介して、インレットを表面基材で挟み込んだICタグの場合、接着剤が硬化する際の収縮により、表面基材が断面方向に引っ張られるため、ICタグに十分な柔軟性が得られないという問題があった。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、薄型で柔軟性に優れ、かつ、耐候性に優れるとともに、容易に製造することができる非接触型データ受送信体およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の非接触型データ受送信体は、インレットと、該インレットにおける少なくともICチップが設けられた面を被覆する被覆材と、少なくとも前記インレットの端面、並びに、前記被覆材の端面および前記インレットに接している面とは反対側の面を被覆する保護膜と、を備えてなる非接触型データ受送信体であって、前記被覆材は2液硬化型ウレタン系接着剤からなることを特徴とする。
【0010】
前記インレットの両面が前記被覆材で被覆されたことが好ましい。
【0011】
本発明の非接触型データ受送信体の製造方法は、インレットと、該インレットにおける少なくともICチップが設けられた面を被覆する被覆材と、少なくとも前記インレットの端面、並びに、前記被覆材の端面および前記インレットに接している面とは反対側の面を被覆する保護膜と、を備えてなる非接触型データ受送信体の製造方法であって、剥離基材の一方の面をなす剥離層の上に、2液硬化型ウレタン系接着剤からなる接着剤を塗布する工程Aと、前記剥離基材に塗布した接着剤を介して、前記剥離基材の一方の面上にインレットを重ね合わせて、前記剥離基材に対して前記インレットを押圧することにより、前記剥離基材と前記インレットの間に、前記接着剤を展開させる工程Bと、を有し、前記工程Bの後に、さらに、前記接着剤および前記インレットを含む積層体を、前記インレットを構成するアンテナの形状に応じて裁断する工程Cと、前記剥離基材を剥離する工程Dと、少なくとも前記インレットの端面、並びに、前記被覆材の端面および前記インレットに接している面とは反対側の面に保護剤を塗布する工程Eと、を有し、前記工程Cと前記工程Dからなる工程の群と、前記工程Eとをこの順に行い、前記工程Cと前記工程Dを順不同に行うことを特徴とする。
【0012】
前記工程Bと前記工程Cの間に、さらに、前記インレットにおけるICチップが設けられた面とは反対側の面に、2液硬化型ウレタン系接着剤からなる接着剤を塗布する工程Fと、前記インレットに塗布した接着剤を介して、前記インレットにおけるICチップが設けられた面とは反対側の面上に、剥離基材を、その一方の面をなす剥離層を対向させて重ね合わせ、前記インレットに対して前記剥離基材を押圧することにより、前記インレットにおけるICチップが設けられた面とは反対側の面と、前記剥離基材との間に、前記接着剤を展開させる工程Gと、を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の非接触型データ受送信体によれば、インレットにおける少なくともICチップが設けられた面が直接、2液硬化型ウレタン系接着剤からなる被覆材で被覆され、被覆材がインレットを構成するICチップやアンテナに基因する凹凸形状に追従して形成されているから、インレットと被覆材の密着性に優れ、インレットと被覆材の界面において剥離するのを防止することができる。また、インレットの端面、並びに、被覆材の端面およびインレットに接している面とは反対側の面が、保護膜で直接、被覆されているので、被覆材のインレットに接している面とは反対側の面に気泡(細孔)が存在していたとしても、その気泡(細孔)が保護膜で覆われているから、インレットに耐熱性および耐候性を付与しながら、薄型で柔軟性に優れたものとなる。また、本発明の非接触型データ受送信体によれば、インレットインレットにおける少なくともICチップが設けられた面が、2液硬化型ウレタン系接着剤からなる被覆材で直接、被覆され、かつ、インレットの端面、並びに、被覆材の端面およびインレットに接している面とは反対側の面が、保護膜で直接、被覆された単純な構成をなしているので、容易に製造することができる。
【0014】
本発明の非接触型データ受送信体の製造方法によれば、剥離層を有する剥離基材上に、接着剤とインレットが積層、一体化された積層体を形成し、接着剤が硬化した後、剥離基材を剥離し、その積層体を構成するインレットの端面、接着剤の端面および接着剤の一方の面に保護剤を塗布して保護膜を形成するので、従来のように、樹脂製の筐体内にインレットを収納して、その筐体と同様の材質からなる封止部材で封止したり、インレットを樹脂でモールドしたりする必要がない上に、保護膜を容易に形成することができるから、容易に非接触型データ受送信体を製造することができる。さらに、インレットにおける少なくともICチップが設けられた面を被覆するために接着剤および保護膜以外の部材を必要としないので、非常に厚さの薄い非接触型データ受送信体を製造することができ、ひいては、非接触型データ受送信体の製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の非接触型データ受送信体の第一の実施形態を示す概略断面図である。
【図2】本発明の非接触型データ受送信体の製造方法の第一の実施形態において、工程Aを示す概略斜視図である。
【図3】本発明の非接触型データ受送信体の製造方法の第一の実施形態において、工程Bを示す概略斜視図である。
【図4】本発明の非接触型データ受送信体の製造方法の第一の実施形態において、工程Bを示し、図3のA−A線に沿う概略断面図である。
【図5】本発明の非接触型データ受送信体の製造方法の第一の実施形態において、工程Cを示す概略断面図である。
【図6】本発明の非接触型データ受送信体の製造方法の第一の実施形態において、工程Cを示す概略断面図である。
【図7】本発明の非接触型データ受送信体の製造方法の第一の実施形態において、工程Dを示す概略断面図である。
【図8】本発明の非接触型データ受送信体の製造方法の第一の実施形態において、工程Dを示す概略断面図である。
【図9】本発明の非接触型データ受送信体の第二の実施形態を示す概略断面図である。
【図10】本発明の非接触型データ受送信体の製造方法の第二の実施形態において、工程Aを示す概略斜視図である。
【図11】本発明の非接触型データ受送信体の製造方法の第二の実施形態において、工程Bを示す概略斜視図である。
【図12】本発明の非接触型データ受送信体の製造方法の第二の実施形態において、工程Bを示し、図11のB−B線に沿う概略断面図である。
【図13】本発明の非接触型データ受送信体の製造方法の第二の実施形態において、工程Fおよび工程Gを示す概略斜視図である。
【図14】本発明の非接触型データ受送信体の製造方法の第二の実施形態において、工程Gを示し、図13のC−C線に沿う概略断面図である。
【図15】本発明の非接触型データ受送信体の製造方法の第二の実施形態において、工程Cを示す概略断面図である。
【図16】本発明の非接触型データ受送信体の製造方法の第二の実施形態において、工程Cを示す概略断面図である。
【図17】本発明の非接触型データ受送信体の製造方法の第二の実施形態において、工程Dを示す概略断面図である。
【図18】本発明の非接触型データ受送信体の製造方法の第二の実施形態において、工程Dを示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の非接触型データ受送信体およびその製造方法の実施の形態について説明する。
なお、この実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0017】
(1)第一の実施形態
「非接触型データ受送信体」
図1は、本発明の非接触型データ受送信体の第一の実施形態を示す概略断面図である。
この実施形態の非接触型データ受送信体10は、平面視略長方形状のインレット11と、インレット11の一方の面11aを被覆する被覆材12と、インレット11の端面11c,11d、被覆材12の端面12b,12cおよび被覆材12のインレット11に接している面とは反対側の面(以下、「一方の面」という。)12aを被覆する保護膜20とから概略構成されている。
【0018】
すなわち、非接触型データ受送信体10は、インレット11の一方の面11aが、被覆材12で直接、被覆され、かつ、被覆材12の一方の面12aが、保護膜20で直接、被覆されて、その厚さ方向において、保護膜20、被覆材12およびインレット11が、この順に積層された構造をなしている。これにより、非接触型データ受送信体10は、平面視略長方形状をなしている。
【0019】
インレット11は、基材13と、基材13の一方の面13aに設けられ、互いに電気的に接続されたICチップ14およびアンテナ15とから概略構成されている。
アンテナ15は、各種導電体からなり、互いに対向し、その対向する側にそれぞれ給電点(ICチップ14と接続している部分)を有する一対の面状の放射素子16,17からなるダイポールアンテナである。
【0020】
アンテナ15の長手方向における長さは、非接触ICカードなどの非接触ICモジュールに利用できる極超短波帯〈UHF〉やマイクロ波帯の電波帯の周波数(300MHz〜30GHz)の1/2波長に相当する長さとなっている。すなわち、放射素子16,17の長手方向における長さは、1/4波長に相当する長さとなっている。
【0021】
なお、インレット11の一方の面11aは、基材13の一方の面13aに相当する。
ゆえに、インレット11の一方の面11aでは、ICチップ14およびアンテナ15が被覆材12によって被覆されている。
【0022】
被覆材12の厚さは、特に限定されないが、少なくともインレット11のICチップ14およびアンテナ15に起因する凹凸が、非接触型データ受送信体10の一方の面(外面)10aに現れない程度、かつ、インレット11が外部からの衝撃により破損しない程度であり、例えば、10μm〜2000mmの範囲内である。
【0023】
被覆材12は、使用前は液状であり、加熱、紫外線照射、電子線照射などの外的条件を加えなくても、主剤と硬化剤の反応によって硬化する2液混合型ウレタン系接着剤からなるものである。
【0024】
2液混合型ウレタン系接着剤としては、第一液としてのイソシアネートと、第二液としての水酸基が1級水酸基であるポリオールとを含む混合液に、さらに、エポキシ基を有するシランカップリング剤を添加したものが用いられる。
この2液混合型ウレタン系接着剤では、イソシアネートのイソシアネート基と、ポリオールの水酸基とのモル比(−NCO/−OH)が0.8以上、1.1以下となる配合比で、イソシアネートとポリオールが混合されている。また、この2液混合型ウレタン系接着剤の全量に対するエポキシ基を有するシランカップリング剤の配合量は、0.1質量%以上、2.0質量%以下である。
【0025】
また、2液混合型ウレタン系接着剤としては、第一液としてのイソシアネートと、第二液としての水酸基が1級水酸基であるポリオールとを含む混合液に、さらに、アスペクト比が10以上、100以下の無機微粒子を添加したものが用いられる。
この2液混合型ウレタン系接着剤では、イソシアネートのイソシアネート基と、ポリオールの水酸基とのモル比(−NCO/−OH)が0.8以上、1.1以下となる配合比で、イソシアネートとポリオールが混合されている。また、この2液混合型ウレタン系接着剤の全量に対するアスペクト比が10以上、100以下の無機微粒子の配合量は、5質量%以上、40質量%以下である。
【0026】
このような2液硬化型ウレタン系接着剤の具体例としては、主剤(商品名:MLT2900、イーテック社製)と硬化剤(商品名:G3021−B174、イーテック社製)からなる接着剤が挙げられる。
【0027】
また、被覆材12を形成する接着剤には、必要に応じて、公知の無機顔料、有機顔料、染料などの着色剤が含まれていてもよい。この着色剤により、被覆材12は任意の色に着色される。
【0028】
基材13としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PET−G)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル樹脂からなる基材;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン樹脂からなる基材;ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ4フッ化エチレンなどのポリフッ化エチレン系樹脂からなる基材;ナイロン6、ナイロン6,6などのポリアミド樹脂からなる基材;ポリ塩化ビニル(PVC)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ビニロンなどのビニル重合体からなる基材;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチルなどのアクリル系樹脂からなる基材;ポリスチレンからなる基材;ポリカーボネート(PC)からなる基材;ポリアリレートからなる基材;ポリイミドからなる基材;上質紙、薄葉紙、グラシン紙、硫酸紙などの紙からなる基材などが用いられる。
【0029】
ICチップ14としては、特に限定されず、アンテナ15を介して非接触状態にて情報の書き込みおよび読み出しが可能であり、非接触型ICタグや非接触型ICラベル、あるいは、非接触型ICカードなどのRFIDメディアに適用可能なものであればいかなるものでも用いられる。
【0030】
アンテナ15は、基材13の一方の面13aに、ポリマー型導電インクを用いて所定のパターンにスクリーン印刷、インクジェット印刷などの印刷法により形成されてなるものか、もしくは、導電性箔をエッチングしてなるもの、金属メッキしてなるものである。
【0031】
ポリマー型導電インクとしては、例えば、銀粉末、金粉末、白金粉末、アルミニウム粉末、パラジウム粉末、ロジウム粉末、カーボン粉末(カーボンブラック、カーボンナノチューブなど)などの導電微粒子が樹脂組成物に配合されたものが挙げられる。
【0032】
樹脂組成物として熱硬化型樹脂を用いれば、ポリマー型導電インクは、200℃以下、例えば、100〜150℃程度でアンテナ15をなす塗膜を形成することができる熱硬化型となる。アンテナ15をなす塗膜の電気の流れる経路は、塗膜を構成する導電微粒子が互いに接触することにより形成され、この塗膜の抵抗値は10-5Ω・cmオーダーである。
また、本発明におけるポリマー型導電インクとしては、熱硬化型の他にも、光硬化型、浸透乾燥型、溶剤揮発型といった公知のものが用いられる。
【0033】
光硬化型のポリマー型導電インクは、光硬化性樹脂を樹脂組成物に含むものであり、硬化時間が短いので、製造効率を向上させることができる。光硬化型のポリマー型導電インクとしては、例えば、熱可塑性樹脂のみ、あるいは、熱可塑性樹脂と架橋性樹脂(特に、ポリエステルとイソシアネートによる架橋系樹脂など)とのブレンド樹脂組成物に、導電微粒子が60質量%以上配合され、ポリエステル樹脂が10質量%以上配合されたもの、すなわち、溶剤揮発型あるいは架橋/熱可塑併用型(ただし、熱可塑型が50質量%以上である)のものや、熱可塑性樹脂のみ、あるいは、熱可塑性樹脂と架橋性樹脂(特に、ポリエステルとイソシアネートによる架橋系樹脂など)とのブレンド樹脂組成物に、ポリエステル樹脂が10質量%以上配合されたもの、すなわち、架橋型あるいは架橋/熱可塑併用型のものなどが好適に用いられる。
【0034】
また、アンテナ15をなす導電性箔としては、銅箔、銀箔、金箔、白金箔、アルミニウム箔などが挙げられる。
さらに、アンテナ15をなす金属メッキとしては、銅メッキ、銀メッキ、金メッキ、白金メッキなどが挙げられる。
【0035】
保護膜20の厚さは、特に限定されないが、例えば、被覆材12をなす接着剤が硬化した際に、その一方の面12aに気泡(細孔)12dが生じた場合、少なくともその気泡12dを完全に埋めて、この気泡12dに起因する凹凸が、非接触型データ受送信体10の一方の面(外面)10aに現れず、かつ、保護膜20の被覆材12に接している面とは反対側の面(外面)20aが平滑面をなす程度であり、例えば、10μm〜1000mmの範囲内である。
【0036】
さらに、非接触型データ受送信体10の柔軟性(可撓性)を十分なものとし、非接触型データ受送信体10を曲げた場合に、インレット11に対して、保護膜20の厚さが部分的に異なることに起因する応力が生じないようにするためには、保護膜20の厚さは、非接触型データ受送信体10の4つの側面にて、等しいことが好ましい。より詳細には、例えば、インレット11の端面11c,11d、被覆材12の端面12b,12cおよび被覆材12の一方の面12aにおいて、保護膜20の厚さが等しいことが好ましい。
【0037】
保護膜20を形成する材料としては、使用前は液状であり、紫外線などの照射、または、加熱することにより硬化する保護剤が用いられる。
このような保護剤としては、シリカ、酸化チタンなどの無機粒子と、固形パラフィン、蝋、ワセリン(登録商標)などの有機固形物とを含有し、これらの成分を光硬化性樹脂または熱硬化性樹脂に混合してなる保護剤が用いられる。この実施形態では、シリカと固形パラフィンを含有してなるものが用いられる。
【0038】
この非接触型データ受送信体10は、インレット11の一方の面11aが直接、2液硬化型ウレタン系接着剤からなる被覆材12で被覆され、被覆材12がインレット11を構成するICチップ14やアンテナ15に基因する凹凸形状に追従して形成されているから、インレット11と被覆材12の密着性に優れ、インレット11と被覆材12の界面において剥離するのを防止することができる。また、インレット11の端面11c,11d、被覆材12の端面12b,12cおよび被覆材12の一方の面12aが、保護膜20で直接、被覆されているので、被覆材12のインレット11に接している面とは反対側の面12aに気泡(細孔)12dが存在していたとしても、その気泡(細孔)12dが保護膜20で覆われているから、インレット11に耐熱性および耐候性を付与しながら、薄型で柔軟性に優れている。
また、非接触型データ受送信体10は、インレット11の一方の面11aが直接、被覆材12で被覆され、かつ、インレット11の端面11c,11d、被覆材12の端面12b,12cおよび被覆材12の一方の面12aが、保護膜20で直接、被覆された単純な構成をなしているので、容易に製造することができる。
【0039】
なお、この実施形態では、非接触型データ受送信体10が平面視略長方形状をなしている場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、非接触型データ受送信体は、平面視した場合、任意のカード形状、タグ形状をなしていてもよい。
また、この実施形態では、一対の面状の放射素子16,17から構成されるダイポールアンテナからなるアンテナ15を有するインレット11を備えた場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、アンテナは一対の枠状の放射素子から構成されるダイポールアンテナ、メアンダ状のダイポールアンテナ、モノポールアンテナなどであってもよい。
【0040】
「非接触型データ受送信体の製造方法」
次に、図2〜図8を参照して、この実施形態の非接触型データ受送信体の製造方法を説明する。
ここでは、図3に示すような、基材13Aと、その一方の面13aに、RFID用のアンテナ15と、このアンテナ15を通じて通信するICチップ14とが等間隔に多数設けられた、長尺のインレットシート22を用いて、連続的に、上述の非接触型データ受送信体10を製造する場合を例示する。
【0041】
まず、図2に示すように、図中の矢印方向に搬送されている長尺の剥離基材21の一方の面21aの中央部に、剥離基材21の搬送方向に沿って、接着剤塗布装置のノズル31から吐出される接着剤12Aを線状に塗布する(工程A)。
【0042】
接着剤12Aとしては、上記の被覆材12を形成する接着剤と同様のものが用いられる。
また、剥離基材21の一方の面21aに接着剤12Aを塗布する幅、すなわち、剥離基材21の一方の面21aに対する接着剤12Aの塗布量は、特に限定されないが、この接着剤12Aによって被覆されるインレットシート22に設けられたICチップ14およびアンテナ15の大きさや数、接着剤12Aを硬化することにより形成される被覆材12に必要とされる厚さなどに応じて、適宜調整される。
【0043】
剥離基材21としては、剥離フィルムまたは剥離紙が用いられる。
剥離フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)などのプラスチックからなる厚さ30μm〜160μmの基材フィルムの一方の面および/または他方に面に、シリコンからなる厚さ1μm〜100μmの剥離層が設けられたものが用いられる。すなわち、剥離基材21の一方の面21aは、シリコンからなる剥離層から構成されている。
このような剥離フィルムの具体例としては、東セロ株式会社製のトーセロセパレータSP−PET−01−BU(商品名)などが挙げられる。
【0044】
剥離紙としては、グラシン紙や上質紙からなる厚さ30μm〜160μmの基材の一方の面および/または他方に面に、目止め剤が塗布され、その目止め剤からなる層の上に、シリコンからなる厚さ1μm〜100μmの剥離層が設けられたものが用いられる。すなわち、剥離基材21の一方の面21aは、シリコンからなる剥離層から構成されている。
このような剥離紙の具体例としては、王子タック株式会社製のL11C(商品名)などが挙げられる。
【0045】
この剥離基材21の剥離力は、0.05〜1.0N/50mmである。
【0046】
このように、工程Aでは、剥離基材21として、上記の剥離フィルムまたは剥離紙を用いているので、剥離基材21の一方の面21aをなす剥離層(図示略)の上に、接着剤12Aを塗布する。
【0047】
次いで、図3に示すように、図中の矢印方向に搬送されているインレットシート22を、図中の矢印方向に回転する一対のローラー32,33の対向する部分にて、剥離基材21の一方の面21aに塗布した接着剤12Aを介して、図中の矢印方向に搬送されている剥離基材21の一方の面21a上に重ね合わせるとともに、剥離基材21とインレットシート22をローラー32,33で挟み込むことにより、図4に示すように、剥離基材21とインレットシート22の間のほぼ全域にわたって、剥離基材21の一方の面21aに塗布した接着剤12Aを展開させる(工程B)。
【0048】
この工程Bでは、剥離基材21の一方の面21aに、基材13Aの一方の面13a、すなわち、インレットシート22におけるICチップ14およびアンテナ15が設けられた面(以下、「一方の面」という。)22aが対向するように、剥離基材21の一方の面21a上にインレットシート22を重ね合わせる。
【0049】
また、工程Bでは、上記のように、外的条件を加えなくても主剤と硬化剤の反応によって硬化する2液硬化型ウレタン系接着剤からなる接着剤12Aを用いる。したがって、接着剤12Aは、剥離基材21とインレットシート22の間に展開させるまでの間、流動性を有しているが、反応の進行に伴って、次第に流動性がなくなり、最終的には硬化する。これにより、インレットシート22の一方の面22a、並びに、その一方の面22aに設けられたICチップ14およびアンテナ15が接着剤12Aによって被覆されるとともに、剥離基材21の一方の面21a上に、インレットシート22が仮留めされる。なお、接着剤12Aは硬化すると、上記の被覆材12となる。
【0050】
また、工程Bでは、剥離基材21とインレットシート22の間に展開させた後の接着剤12Aの厚さを、少なくともインレットシート22のICチップ14およびアンテナ15に起因する凹凸が、接着剤12Aのインレットシート22に接している面とは反対側の面12cに現れない程度、かつ、ICチップ14およびアンテナ15が外部からの衝撃により破損しない程度とし、例えば、10μm〜2000mmの範囲内とする。
【0051】
また、工程Bにおいて、剥離基材21とインレットシート22を一対のローラー32,33で挟み込む力、すなわち、剥離基材21に対してインレットシート22を厚さ方向に押圧する力(圧力)は、特に限定されず、剥離基材21およびインレットシート22の厚さや大きさ、接着剤12Aの塗布量などに応じて、適宜調整されるが、1kg/cm2〜20kg/cm2であることが好ましく、より好ましくは5kg/cm2〜10kg/cm2である。
【0052】
この工程Bにより、接着剤12Aによって、ICチップ14およびアンテナ15が完全に被覆され、剥離基材21とインレットシート22の間に、ほぼ隙間無く接着剤12Aが充填される。
【0053】
次いで、図5に示すように、裁断装置の切断刃(図示略)により、剥離基材21、接着剤12Aおよびインレットシート22からなる積層体α1を、その厚さ方向に(図5の一点鎖線に沿って)、アンテナ15の形状に応じて裁断し、図6に示すように、積層体α1を個片化する(工程C)。
ここで、積層体α1をアンテナ15の形状に応じて裁断するとは、アンテナ15を損傷することなく、かつ、目的とする非接触型データ受送信体10の形状に合わせて裁断することを言う。
【0054】
次いで、接着剤12Aが完全に硬化して被覆材12となった後、図7に示すように、積層体α1から、剥離基材21を剥離し(工程D)、図8に示すように、個片化された、接着剤12A、インレットシート22および接着剤13Aからなる積層体β1を得る。
【0055】
次いで、積層体β1を構成するインレットシート22の端面22c,22d、接着剤12Aの端面12b,12cおよび接着剤12Aの一方の面12aに、上記の保護膜20を形成する保護剤を塗布して保護膜20を形成し(工程E)、図1に示す非接触型データ受送信体10を得る。
【0056】
この工程Eにおいて、例えば、被覆材12をなす接着剤が硬化する際に、その一方の面12aに気泡(細孔)12dが生じた場合、少なくともその気泡(細孔)12dを完全に埋めるように、上記の保護膜20を形成する保護剤を塗布して保護膜20を形成する。
【0057】
工程Eにおいて、インレットシート22の端面22c,22d、接着剤12Aの端面12b,12cおよび接着剤12Aの一方の面12aに保護剤を塗布する方法としては、高粘度の保護剤を用いる場合、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、コーターによる塗布方法などが用いられ、また、低粘度の保護剤を用いる場合、保護剤に上記の積層体β1を浸漬する方法、上記の積層体β1を鋳型内に配して、その鋳型内に保護剤を注入する方法、スプレーコート法などが用いられる。
【0058】
また、工程Eにおいて、保護膜20を形成する保護剤を塗布する厚さを、例えば、接着剤12Aをなす接着剤が硬化する際に、その一方の面12aに気泡(細孔)12dが生じた場合、少なくともその気泡(細孔)12dを完全に埋めて、この気泡(細孔)12dに起因する凹凸が、最終的に得られる非接触型データ受送信体10の一方の面(外面)10aに現れず、かつ、保護膜20の外面20aが平滑面をなす程度とし、例えば、10μm〜1000mmの範囲内とする。
【0059】
この実施形態の非接触型データ受送信体の製造方法によれば、剥離層を有する剥離基材21上に、接着剤12Aおよびインレットシート22が積層、一体化された積層体α1を形成し、接着剤12Aが硬化した後、この積層体α1を個片化し、個片化した積層体α1から、剥離基材21を剥離して積層体β1とし、この積層体β1を構成するインレットシート22の端面22c,22d、接着剤12Aの端面12b,12cおよび接着剤12Aの一方の面12aに保護剤を塗布して保護膜20を形成するので、従来のように、樹脂製の筐体内にインレットを収納して、その筐体と同様の材質からなる封止部材で封止したり、インレットを樹脂でモールドしたりする必要がない上に、保護膜20を容易に形成することができるから、容易に非接触型データ受送信体10を製造することができる。さらに、インレットシート22の一方の面22aを被覆するために接着剤12Aと保護膜20以外の部材を必要としないので、非常に厚さの薄い非接触型データ受送信体10を製造することができ、ひいては、非接触型データ受送信体10の製造コストを低減することができる。
【0060】
なお、この実施形態では、長尺の剥離基材21およびインレットシート22を用いて、連続的に、上述の非接触型データ受送信体10を製造する場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、予め個片化されたインレットを用いて、個別に非接触型データ受送信体を製造してもよい。
【0061】
また、この実施形態では、工程Bの後に、剥離基材21、接着剤12Aおよびインレットシート22からなる積層体α1を、アンテナ15の形状に応じて裁断する工程Cと、その積層体α1から、剥離基材21を剥離する工程Dと、積層体β1を構成するインレットシート22の端面22c,22d、接着剤12Aの端面12b,12cおよび接着剤12Aの一方の面12aに保護剤を塗布して保護膜20を形成する工程Eとを、この順に行う場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、工程Bの後に、工程Cと工程Dからなる工程の群と、工程Eとをこの順に行えば、工程Cと工程Dを順不同に行ってよい。すなわち、本発明にあっては、工程Dにて、剥離基材、接着剤およびインレットシートからなる積層体から、剥離基材を剥離し、工程Cにて、接着剤およびインレットシートからなる積層体を、アンテナの形状に応じて裁断した後、工程Eにて、積層体を構成するインレットの端面、接着剤の端面および一方の面に保護膜を形成してもよい。
【0062】
(2)第二の実施形態
「非接触型データ受送信体」
図9は、本発明の非接触型データ受送信体の第二の実施形態を示す概略断面図である。
この実施形態の非接触型データ受送信体50は、平面視略長方形状のインレット51と、インレット51の一方の面51aを被覆する第一の被覆材53と、インレット51の他方の面51bを被覆する第二の被覆材54と、インレット51の端面51c,51d、第一の被覆材53の端面53b,53cおよび第一の被覆材53のインレット51に接している面とは反対側の面(以下、「一方の面」という。)53a、並びに、第二の被覆材54の端面54b,54cおよび第二の被覆材54のインレット51に接している面とは反対側の面(以下、「一方の面」という。)54aを被覆する保護膜60とから概略構成されている。
【0063】
なお、第一の被覆材53と第二の被覆材54を総称して被覆材52ということもある。
すなわち、非接触型データ受送信体50は、インレット51の両面(一方の面51aおよび他方の面51b)が、被覆材52で直接、被覆され、かつ、被覆材52のインレット51に接している面とは反対側の面(一方の面52aおよび他方の面52b)が、保護膜60で直接、被覆されて、その厚さ方向において、保護膜60、第一の被覆材53、インレット51、第二の被覆材54および保護膜60が、この順に積層された構造をなしている。これにより、非接触型データ受送信体50は、平面視略長方形状をなしている。
【0064】
インレット51は、基材55と、基材55の一方の面55aに設けられ、互いに電気的に接続されたICチップ56およびアンテナ57とから概略構成されている。
アンテナ57は、各種導電体からなり、互いに対向し、その対向する側にそれぞれ給電点(ICチップ56と接続している部分)を有する一対の面状の放射素子58,59からなるダイポールアンテナである。
【0065】
アンテナ57の長手方向における長さは、非接触ICカードなどの非接触ICモジュールに利用できる極超短波帯〈UHF〉やマイクロ波帯の電波帯の周波数(300MHz〜30GHz)の1/2波長に相当する長さとなっている。すなわち、放射素子58,59の長手方向における長さは、1/4波長に相当する長さとなっている。
【0066】
なお、インレット51の一方の面51aは、基材55の一方の面55aに相当し、インレット11の他方の面51bは、基材55の他方の面55bに相当する。
ゆえに、インレット51の一方の面51aでは、ICチップ56およびアンテナ57が第一の被覆材53によって被覆されている。
【0067】
第一の被覆材53の厚さは、特に限定されないが、少なくともインレット51のICチップ56およびアンテナ57に起因する凹凸が、非接触型データ受送信体50の一方の面(外面)50aに現れない程度、かつ、インレット51が外部からの衝撃により破損しない程度であり、例えば、10μm〜2000mmの範囲内である。
また、第二の被覆材54の厚さは、特に限定されないが、インレット51が外部からの衝撃により破損しない程度であり、例えば、10μm〜2000mmの範囲内である。
【0068】
さらに、非接触型データ受送信体50の柔軟性(可撓性)を十分なものとし、非接触型データ受送信体50を曲げた場合に、インレット51に対して、第一の被覆材53と第二の被覆材54の厚さの差に起因する応力が生じないようにするためには、第一の被覆材53の厚さと第二の被覆材54の厚さは等しいことが好ましい。
【0069】
被覆材52(第一の被覆材53と第二の被覆材54)は、使用前は液状であり、加熱、紫外線照射、電子線照射などの外的条件を加えなくても主剤と硬化剤の反応によって硬化する2液硬化型ウレタン系接着剤からなるものである。
【0070】
2液硬化型ウレタン系接着剤としては、上述の第一の実施形態と同様のものが用いられる。
【0071】
基材55、ICチップ56、アンテナ57としては、上述の第一の実施形態と同様のものが用いられる。
【0072】
保護膜60の厚さは、特に限定されないが、例えば、第一の被覆材53をなす接着剤が硬化した際に、その一方の面53aに気泡(細孔)53dが生じた場合、少なくともその気泡53dを完全に埋めて、この気泡53dに起因する凹凸が、非接触型データ受送信体50の一方の面(外面)50aに現れず、かつ、保護膜60の第一の被覆材53に接している面とは反対側の面(外面)50aが平滑面をなす程度であり、例えば、10μm〜1000mmの範囲内である。
また、保護膜60の厚さは、特に限定されないが、例えば、第二の被覆材54をなす接着剤が硬化した際に、その一方の面54aに気泡(細孔)54dが生じた場合、少なくともその気泡54dを完全に埋めて、この気泡54dに起因する凹凸が、非接触型データ受送信体50の他方の面(外面)50bに現れず、かつ、保護膜60の第二の被覆材54に接している面とは反対側の面(外面)60bが平滑面をなす程度であり、例えば、10μm〜1000mmの範囲内である。
【0073】
さらに、非接触型データ受送信体50の柔軟性(可撓性)を十分なものとし、非接触型データ受送信体50を曲げた場合に、インレット51に対して、保護膜60の厚さが部分的に異なることに起因する応力が生じないようにするためには、保護膜60の厚さは、非接触型データ受送信体50の4つの側面にて、等しいことが好ましい。より詳細には、例えば、インレット51の端面51c,51d、第一の被覆材53の端面53b,53cおよび第一の被覆材53の一方の面53a、並びに、第二の被覆材54の端面54b,54cおよび第二の被覆材54の一方の面54aにおいて、保護膜60の厚さが等しいことが好ましい。
【0074】
保護膜60(第一の保護膜61と第二の保護膜62)を形成する材料としては、使用前は液状であり、紫外線などの照射、または、加熱することにより硬化する保護剤が用いられる。
このような保護剤としては、上述の第一の実施形態と同様のものが用いられる。
【0075】
この非接触型データ受送信体50は、インレット51の一方の面51aおよび他方の面51bが直接、2液硬化型ウレタン系接着剤からなる被覆材52で被覆され、被覆材52がインレット51を構成するICチップ56やアンテナ57に基因する凹凸形状に追従して形成されているから、インレット51と被覆材52の密着性に優れ、インレット51と被覆材52の界面において剥離するのを防止することができる。また、インレット51の端面51c,51d、第一の被覆材53の端面53b,53cおよび第一の被覆材53の一方の面53a、並びに、第二の被覆材54の端面54b,54cおよび第二の被覆材54の一方の面54aが、保護膜60で直接、被覆されているので、被覆材52のインレット51に接している面とは反対側の面52a,52bに気泡(細孔)が存在していたとしても、その気泡(細孔)が保護膜60で覆われているから、インレット51に耐熱性および耐候性を付与しながら、薄型で柔軟性に優れている。
また、非接触型データ受送信体50は、インレット51の一方の面51aおよび他方の面51bが直接、被覆材52で被覆され、かつ、インレット51の端面51c,51d、第一の被覆材53の端面53b,53cおよび第一の被覆材53の一方の面53a、並びに、第二の被覆材54の端面54b,54cおよび第二の被覆材54の一方の面54aが、保護膜60で直接、被覆された単純な構成をなしているので、容易に製造することができる。
【0076】
なお、この実施形態では、非接触型データ受送信体50が平面視略長方形状をなしている場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、非接触型データ受送信体は、平面視した場合、任意のカード形状、タグ形状をなしていてもよい。
また、この実施形態では、一対の面状の放射素子58,59から構成されるダイポールアンテナからなるアンテナ57を有するインレット51を備えた場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、アンテナは一対の枠状の放射素子から構成されるダイポールアンテナ、メアンダ状のダイポールアンテナ、モノポールアンテナなどであってもよい。
【0077】
「非接触型データ受送信体の製造方法」
次に、図10〜図18を参照して、この実施形態の非接触型データ受送信体の製造方法を説明する。
ここでは、図11に示すような、基材55Aと、その一方の面55aに、RFID用のアンテナ57と、このアンテナ57を通じて通信するICチップ56とが等間隔に多数設けられた、長尺のインレットシート52を用いて、連続的に、上述の非接触型データ受送信体50を製造する場合を例示する。
【0078】
まず、図10に示すように、図中の矢印方向に搬送されている長尺の第一の剥離基材61の一方の面61aの中央部に、第一の剥離基材61の搬送方向に沿って、接着剤塗布装置のノズル71から吐出される第一の接着剤53Aを線状に塗布する(工程A)。
【0079】
第一の接着剤53Aとしては、上記の被覆材52を形成する接着剤と同様のものが用いられる。
また、第一の剥離基材61の一方の面61aに第一の接着剤53Aを塗布する幅、すなわち、第一の剥離基材61の一方の面61aに対する第一の接着剤53Aの塗布量は、特に限定されないが、この第一の接着剤53Aによって被覆されるインレットシート62に設けられたICチップ56およびアンテナ57の大きさや数、第一の接着剤53Aを硬化することにより形成される第一の被覆材53に必要とされる厚さなどに応じて、適宜調整される。
【0080】
第一の剥離基材61としては、上述の第一の実施形態の剥離基材と同様のものが用いられる。
この第一の剥離基材61の剥離力は、0.05〜1.0N/50mmである。
【0081】
このように、工程Aでは、第一の剥離基材61として、上記の剥離フィルムまたは剥離紙を用いているので、第一の剥離基材61の一方の面61aをなす剥離層(図示略)の上に、第一の接着剤53Aを塗布する。
【0082】
次いで、図11に示すように、図中の矢印方向に搬送されているインレットシート62を、図中の矢印方向に回転する一対のローラー72,73の対向する部分にて、第一の剥離基材61の一方の面61aに塗布した第一の接着剤53Aを介して、図中の矢印方向に搬送されている第一の剥離基材61の一方の面61a上に重ね合わせるとともに、第一の剥離基材61とインレットシート62をローラー72,73で挟み込むことにより、図12に示すように、第一の剥離基材61とインレットシート62の間のほぼ全域にわたって、第一の剥離基材61の一方の面61aに塗布した第一の接着剤53Aを展開させる(工程B)。
【0083】
この工程Bでは、第一の剥離基材61の一方の面61aに、基材55Aの一方の面55a、すなわち、インレットシート62におけるICチップ56およびアンテナ57が設けられた面(以下、「一方の面」という。)62aが対向するように、第一の剥離基材61の一方の面61a上にインレットシート62を重ね合わせる。
【0084】
また、工程Bでは、上記のように、外的条件を加えなくても主剤と硬化剤の反応によって硬化する2液硬化型ウレタン系接着剤からなる第一の接着剤53Aを用いる。したがって、第一の接着剤53Aは、第一の剥離基材61とインレットシート62の間に展開させるまでの間、流動性を有しているが、反応の進行に伴って、次第に流動性がなくなり、最終的には硬化する。これにより、インレットシート62の一方の面62a、並びに、その一方の面62aに設けられたICチップ56およびアンテナ57が第一の接着剤53Aによって被覆されるとともに、第一の剥離基材61の一方の面61a上に、インレットシート62が仮留めされる。なお、第一の接着剤53Aは硬化すると、上記の第一の被覆材53となる。
【0085】
また、工程Bでは、第一の剥離基材61とインレットシート62の間に展開させた後の第一の接着剤53Aの厚さを、少なくともインレットシート62のICチップ56およびアンテナ57に起因する凹凸が、第一の接着剤53Aのインレットシート62に接している面とは反対側の面53cに現れない程度、かつ、ICチップ56およびアンテナ57が外部からの衝撃により破損しない程度とし、例えば、10μm〜2000mmの範囲内とする。
【0086】
また、工程Bにおいて、第一の剥離基材61とインレットシート62を一対のローラー72,73で挟み込む力、すなわち、第一の剥離基材61に対してインレットシート62を厚さ方向に押圧する力(圧力)は、特に限定されず、第一の剥離基材61およびインレットシート62の厚さや大きさ、第一の接着剤53Aの塗布量などに応じて、適宜調整されるが、1kg/cm2〜20kg/cm2であることが好ましく、より好ましくは5kg/cm2〜10kg/cm2である。
【0087】
この工程Bにより、第一の接着剤53Aによって、ICチップ56およびアンテナ57が完全に被覆され、第一の剥離基材61とインレットシート62の間に、ほぼ隙間無く第一の接着剤53Aが充填される。
【0088】
次いで、図13に示すように、図中の矢印方向に、第一の剥離基材61とインレットシート62からなる積層体α2を搬送しながら、インレットシート62の一方の面62aとは反対側の面(以下、「他方の面」という。)62b、すなわち、基材55Aの他方の面55bの中央部に、積層体α2の搬送方向に沿って、接着剤塗布装置のノズル74から吐出される第二の接着剤54Aを線状に塗布する(工程F)。
【0089】
第二の接着剤54Aとしては、上記の被覆材52を形成する接着剤と同様のものが用いられる。
また、インレットシート62の他方の面62bに第二の接着剤54Aを塗布する幅、すなわち、基材55Aの他方の面55bに対する第二の接着剤54Aの塗布量は、特に限定されないが、第二の接着剤54Aを硬化することにより形成される第二の被覆材54に必要とされる厚さなどに応じて、適宜調整される。
【0090】
次いで、図13に示すように、図中の矢印方向に搬送されている第二の剥離基材63を、図中の矢印方向に回転する一対のローラー75,76の対向する部分にて、インレットシート62の他方の面62bに塗布した第二の接着剤54Aを介して、図中の矢印方向に搬送されている積層体α2を構成するインレットシート62の他方の面62b上に重ね合わせるとともに、積層体α2と第二の剥離基材63を一対のローラー75,76で挟み込むことにより、図14に示すように、積層体α2と第二の剥離基材63の間のほぼ全域にわたって、インレットシート62の他方の面62bに塗布した第二の接着剤54Aを展開させて(工程G)、第一の剥離基材61と第二の剥離基材63の間に、第一の接着剤53A、インレットシート62および第二の接着剤54Aが、この順に積層、一体化された積層体β2を形成する。
【0091】
第二の剥離基材63としては、上記の第一の剥離基材61と同様のものが用いられる。すなわち、第二の剥離基材63の一方の面63aは、シリコンからなる剥離層から構成されている。
【0092】
この工程Gでは、第二の剥離基材63として、上記の剥離フィルムまたは剥離紙を用いているので、インレットシート62の他方の面62bに、第二の剥離基材63の一方の面63aをなす剥離層(図示略)が対向するように、インレットシート62の他方の面62b上に第二の剥離基材63を重ね合わせる。
【0093】
また、工程Gでは、上記のように、外的条件を加えなくても主剤と硬化剤の反応によって硬化する2液硬化型ウレタン系接着剤からなる第二の接着剤54Aを用いる。したがって、第二の接着剤54Aは、積層体α2と第二の剥離基材63の間に展開させるまでの間、流動性を有しているが、反応の進行に伴って、次第に流動性がなくなり、最終的には硬化する。これにより、インレットシート62の他方の面62bが第二の接着剤54Aによって被覆されるとともに、積層体α2の上に、第二の剥離基材63が仮留めされる。なお、第二の接着剤54Aは硬化すると、上記の第二の被覆材54となる。
【0094】
また、工程Gでは、積層体α2と第二の剥離基材63の間に展開させた後の第二の接着剤54Aの厚さを、上述の工程Bにおいて、第一の剥離基材61とインレットシート62の間に展開させた後の第一の接着剤53Aの厚さと同程度とし、例えば、10μm〜2000mmの範囲内とする。
【0095】
また、工程Gにおいて、積層体α2と第二の剥離基材63を一対のローラー75,76で挟み込む力、すなわち、インレットシート62に対して第二の剥離基材63を厚さ方向に押圧する力(圧力)は、特に限定されず、積層体α2および第二の剥離基材63の厚さや大きさ、第二の接着剤54Aの塗布量などに応じて、適宜調整されるが、1kg/cm2〜20kg/cm2であることが好ましく、より好ましくは5kg/cm2〜10kg/cm2である。
【0096】
この工程Gにより、積層体α2と第二の剥離基材63の間に、ほぼ隙間無く第二の接着剤54Aが充填される。
【0097】
次いで、図15に示すように、裁断装置の切断刃(図示略)により、第一の剥離基材61、第一の接着剤53A、インレットシート62、第二の接着剤54Aおよび第二の剥離基材63からなる積層体β2を、その厚さ方向に(図15の一点鎖線に沿って)、アンテナ57の形状に応じて裁断し、図16に示すように、積層体β2を個片化する(工程C)。
ここで、積層体β2をアンテナ57の形状に応じて裁断するとは、アンテナ57を損傷することなく、かつ、目的とする非接触型データ受送信体50の形状に合わせて裁断することを言う。
【0098】
次いで、第一の接着剤53Aが完全に硬化して第一の被覆材53となり、かつ、第二の接着剤54Aが完全に硬化して第二の被覆材54となった後、図17に示すように、積層体β2から、第一の剥離基材61と第二の剥離基材63を剥離し(工程D)、図18に示すように、個片化された、第一の接着剤53A、インレットシート62および第二の接着剤54Aからなる積層体γ2を得る。
【0099】
次いで、積層体γ2を構成するインレットシート62の端面62c,62d、第一の接着剤53Aの端面53b,53cおよび第一の接着剤53Aの一方の面53a、並びに、第二の接着剤54Aの端面54b,54cおよび第二の接着剤54Aの一方の面54aに、上記の保護膜60を形成する保護剤を塗布して保護膜60を形成し(工程E)、図9に示す非接触型データ受送信体50を得る。
【0100】
この工程Eにおいて、例えば、第一の被覆材53をなす接着剤が硬化する際に、その一方の面53aに気泡(細孔)53dが生じた場合、少なくともその気泡(細孔)53dを完全に埋め、また、第二の被覆材54をなす接着剤が硬化する際に、その一方の面54aに気泡(細孔)54dが生じた場合、少なくともその気泡(細孔)54dを完全に埋めるように、上記の保護膜60を形成する保護剤を塗布して保護膜60を形成する。
【0101】
工程Eにおいて、インレットシート62の端面62c,62d、第一の接着剤53Aの端面53b,53cおよび第一の接着剤53Aの一方の面53a、並びに、第二の接着剤54Aの端面54b,54cおよび第二の接着剤54Aの一方の面54aに保護剤を塗布する方法としては、高粘度の保護剤を用いる場合、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、コーターによる塗布方法などが用いられ、また、低粘度の保護剤を用いる場合、保護剤に上記の積層体γ2を浸漬する方法、上記の積層体γ2を鋳型内に配して、その鋳型内に保護剤を注入する方法、スプレーコート法などが用いられる。
【0102】
また、工程Eにおいて、保護膜60を形成する保護剤を塗布する厚さを、例えば、第一の接着材53Aが硬化する際に、その一方の面53aに気泡(細孔)53dが生じた場合、少なくともその気泡(細孔)を完全に埋め、かつ、第二の接着剤54Aが硬化する際に、その一方の面54aに気泡(細孔)54dが生じた場合、少なくともその気泡(細孔)を完全に埋めて、これらの気泡(細孔)に起因する凹凸が、最終的に得られる非接触型データ受送信体50の一方の面(外面)50aおよび他方の面(外面)50bに現れず、かつ、保護膜60の外面60a,60bが平滑面をなす程度とし、例えば、10μm〜1000mmの範囲内とする。
【0103】
この実施形態の非接触型データ受送信体の製造方法によれば、剥離層を有する第一の剥離基材61と第二の剥離基材63の間に、第一の接着剤53A、インレットシート62および第二の接着剤54Aが積層、一体化された積層体を形成し、第一の接着剤53Aおよび第二の接着剤54Aが硬化した後、この積層体を個片化し、個片化した積層体から、第一の剥離基材61と第二の剥離基材63を剥離して積層体γ2とし、積層体γ2を構成するインレットシート62の端面62c,62d、第一の接着剤53Aの端面53b,53cおよび第一の接着剤53Aの一方の面53a、並びに、第二の接着剤54Aの端面54b,54cおよび第二の接着剤54Aの一方の面54aに保護剤を塗布して保護膜60を形成するので、従来のように、樹脂製の筐体内にインレットを収納して、その筐体と同様の材質からなる封止部材で封止したり、インレットを樹脂でモールドしたりする必要がない上に、保護膜60を容易に形成することができるから、容易に非接触型データ受送信体50を製造することができる。さらに、インレットシート62の両面を被覆するために第一の接着剤53Aと第二の接着剤54A以外の部材を必要としないので、非常に厚さの薄い非接触型データ受送信体50を製造することができ、ひいては、非接触型データ受送信体50の製造コストを低減することができる。
【0104】
なお、この実施形態では、長尺の第一の剥離基材61、インレットシート62および第二の剥離基材63を用いて、連続的に、上述の非接触型データ受送信体50を製造する場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、予め個片化されたインレットを用いて、個別に非接触型データ受送信体を製造してもよい。
【0105】
また、この実施形態では、工程Gの後に、第一の剥離基材61、第一の接着剤53A、インレットシート62、第二の接着剤54Aおよび第二の剥離基材63からなる積層体β2を、アンテナ57の形状に応じて裁断する工程Cと、その積層体β2から、第一の剥離基材61と第二の剥離基材63を剥離する工程Dと、積層体γ2を構成するインレットシート62の端面62c,62d、第一の接着剤53Aの端面53b,53cおよび第一の接着剤53Aの一方の面53a、並びに、第二の接着剤54Aの端面54b,54cおよび第二の接着剤54Aの一方の面54aに保護膜60を形成する工程Eとを、この順に行う場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、工程Gの後に、工程Cと工程Dからなる工程の群と、工程Eとをこの順に行えば、工程Cと工程Dを順不同に行ってよい。すなわち、本発明にあっては、工程Dにて、第一の剥離基材、第一の接着剤、インレットシート、第二の接着剤および第二の剥離基材からなる積層体から、第一の剥離基材と第二の剥離基材を剥離し、工程Cにて、第一の接着剤、インレットシートおよび第二の接着剤からなる積層体を、アンテナの形状に応じて裁断した後、工程Eにて、積層体を構成するインレットの端面、第一の接着剤の端面および一方の面、並びに、第二の接着剤の端面および一方の面に保護膜を形成してもよい。
【符号の説明】
【0106】
10・・・非接触型データ受送信体、11・・・インレット、12・・・被覆材、12A・・・接着剤、13,13A・・・基材、14・・・ICチップ、15・・・アンテナ、16,17・・・放射素子、20・・・保護膜、21・・・剥離基材、22・・・インレットシート、31・・・ノズル、32,33・・・ローラー、50・・・非接触型データ受送信体、51・・・インレット、52・・・被覆材、53・・・第一の被覆材、53A・・・第一の接着剤、54・・・第二の被覆材、54A・・・第二の接着剤、55,55A・・・基材、56・・・ICチップ、57・・・アンテナ、58,59・・・放射素子、60・・・保護膜、61・・・第一の剥離基材、62・・・インレットシート、63・・・第二の剥離基材、71,74・・・ノズル、72,73,75,76・・・ローラー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インレットと、該インレットにおける少なくともICチップが設けられた面を被覆する被覆材と、少なくとも前記インレットの端面、並びに、前記被覆材の端面および前記インレットに接している面とは反対側の面を被覆する保護膜と、を備えてなる非接触型データ受送信体であって、
前記被覆材は2液硬化型ウレタン系接着剤からなることを特徴とする非接触型データ受送信体。
【請求項2】
前記インレットの両面が前記被覆材で被覆されたことを特徴とする請求項1に記載の非接触型データ受送信体。
【請求項3】
インレットと、該インレットにおける少なくともICチップが設けられた面を被覆する被覆材と、少なくとも前記インレットの端面、並びに、前記被覆材の端面および前記インレットに接している面とは反対側の面を被覆する保護膜と、を備えてなる非接触型データ受送信体の製造方法であって、
剥離基材の一方の面をなす剥離層の上に、2液硬化型ウレタン系接着剤からなる接着剤を塗布する工程Aと、
前記剥離基材に塗布した接着剤を介して、前記剥離基材の一方の面上にインレットを重ね合わせて、前記剥離基材に対して前記インレットを押圧することにより、前記剥離基材と前記インレットの間に、前記接着剤を展開させる工程Bと、を有し、
前記工程Bの後に、さらに、
前記接着剤および前記インレットを含む積層体を、前記インレットを構成するアンテナの形状に応じて裁断する工程Cと、
前記剥離基材を剥離する工程Dと、
少なくとも前記インレットの端面、並びに、前記被覆材の端面および前記インレットに接している面とは反対側の面に保護剤を塗布する工程Eと、を有し、
前記工程Cと前記工程Dからなる工程の群と、前記工程Eとをこの順に行い、前記工程Cと前記工程Dを順不同に行うことを特徴とする非接触型データ受送信体の製造方法。
【請求項4】
前記工程Bと前記工程Cの間に、さらに、
前記インレットにおけるICチップが設けられた面とは反対側の面に、2液硬化型ウレタン系接着剤からなる接着剤を塗布する工程Fと、
前記インレットに塗布した接着剤を介して、前記インレットにおけるICチップが設けられた面とは反対側の面上に、剥離基材を、その一方の面をなす剥離層を対向させて重ね合わせ、前記インレットに対して前記剥離基材を押圧することにより、前記インレットにおけるICチップが設けられた面とは反対側の面と、前記剥離基材との間に、前記接着剤を展開させる工程Gと、を有することを特徴とする請求項3に記載の非接触型データ受送信体の製造方法。
【請求項1】
インレットと、該インレットにおける少なくともICチップが設けられた面を被覆する被覆材と、少なくとも前記インレットの端面、並びに、前記被覆材の端面および前記インレットに接している面とは反対側の面を被覆する保護膜と、を備えてなる非接触型データ受送信体であって、
前記被覆材は2液硬化型ウレタン系接着剤からなることを特徴とする非接触型データ受送信体。
【請求項2】
前記インレットの両面が前記被覆材で被覆されたことを特徴とする請求項1に記載の非接触型データ受送信体。
【請求項3】
インレットと、該インレットにおける少なくともICチップが設けられた面を被覆する被覆材と、少なくとも前記インレットの端面、並びに、前記被覆材の端面および前記インレットに接している面とは反対側の面を被覆する保護膜と、を備えてなる非接触型データ受送信体の製造方法であって、
剥離基材の一方の面をなす剥離層の上に、2液硬化型ウレタン系接着剤からなる接着剤を塗布する工程Aと、
前記剥離基材に塗布した接着剤を介して、前記剥離基材の一方の面上にインレットを重ね合わせて、前記剥離基材に対して前記インレットを押圧することにより、前記剥離基材と前記インレットの間に、前記接着剤を展開させる工程Bと、を有し、
前記工程Bの後に、さらに、
前記接着剤および前記インレットを含む積層体を、前記インレットを構成するアンテナの形状に応じて裁断する工程Cと、
前記剥離基材を剥離する工程Dと、
少なくとも前記インレットの端面、並びに、前記被覆材の端面および前記インレットに接している面とは反対側の面に保護剤を塗布する工程Eと、を有し、
前記工程Cと前記工程Dからなる工程の群と、前記工程Eとをこの順に行い、前記工程Cと前記工程Dを順不同に行うことを特徴とする非接触型データ受送信体の製造方法。
【請求項4】
前記工程Bと前記工程Cの間に、さらに、
前記インレットにおけるICチップが設けられた面とは反対側の面に、2液硬化型ウレタン系接着剤からなる接着剤を塗布する工程Fと、
前記インレットに塗布した接着剤を介して、前記インレットにおけるICチップが設けられた面とは反対側の面上に、剥離基材を、その一方の面をなす剥離層を対向させて重ね合わせ、前記インレットに対して前記剥離基材を押圧することにより、前記インレットにおけるICチップが設けられた面とは反対側の面と、前記剥離基材との間に、前記接着剤を展開させる工程Gと、を有することを特徴とする請求項3に記載の非接触型データ受送信体の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2011−70650(P2011−70650A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−149795(P2010−149795)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】
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