説明

非接触型データ受送信体

【課題】金属に直接貼付した状態で、読み取り/書き込みの指向性が広く、かつ、読み取り/書き込みの距離が長い非接触型データ受送信体を提供する。
【解決手段】第一領域11Aと第二領域11Bが互いに異なる方向を向くように折り曲げ可能に構成された基材11と、第一領域11Aに設けられた第一アンテナ12Aおよび第二領域11Bに設けられた第二アンテナ12Bと、第一領域11Aに設けられ、第一アンテナ12Aに接続されたICチップ13と、基材11の他方の面11bに配された磁性層14とを備えてなる非接触型データ受送信体10において、第一アンテナ12Aと第二アンテナ12Bを、第一領域11Aと第二領域11Bにおいて、電磁誘導が生じるように設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFID(Radio Frequency IDentification)用途の情報記録メディアのように、電磁波を媒体とし、非接触状態にて、外部から情報を受信し、また外部に情報を送信できるようにした非接触型データ受送信体に関し、特に、金属に直接貼付して、非接触状態にて、外部から情報を受信し、また外部に情報を送信できるようにした非接触型データ受送信体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
非接触型データ受送信体の一例であるICラベルは、基材と、その一方の面に設けられ互いに接続されたアンテナおよびICチップとから構成されるインレットを備えており、情報書込/読出装置からの電磁波を受信すると共振作用によりアンテナに起電力が発生し、この起電力によりICラベル内のICチップが起動し、このICチップ内の情報を信号化し、この信号がICラベルのアンテナから発信される。
ICラベルから発信された信号は、情報書込/読出装置のアンテナで受信され、コントローラーを介してデータ処理装置へ送られ、識別などのデータ処理が行われる。
【0003】
このようなICラベルなどの非接触型データ受送信体は、例えば、物品管理の用途などに用いられる。特に、非接触型データ受送信体を、種類の多い物品や、部品点数の多い機械部品などの管理に適用すれば、物品自体を目視することなしに識別することができるため、物品の選定作業や在庫管理などの効率を上げることができるので、非常に有効である。
【0004】
これらのICラベルが作動するためには、情報書込/読出装置から発信された電磁波がICラベルのアンテナに十分取り込まれて、ICチップの作動起電力以上の起電力が誘導されなければならないが、ICラベルを金属製物品の表面に貼付した場合には、金属製物品の表面では磁束が金属物品の表面に平行になる。このため、ICラベルのアンテナを横切る磁束が減少して誘導起電力が低下するため、ICチップの作動起電力を下回り、ICチップが作動しなくなるという問題があった。
【0005】
そこで、アンテナの磁芯部材を、磁性層と非磁性層を交互に積層することにより形成した、金属対応のRFIDタグが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような構成にすることにより、このRFIDタグの磁芯部材では、各層の積層方向である磁芯部材の厚み方向に関する透磁率が低下し、磁芯部材の面方向における透磁率が上昇する。そのため、このRFIDタグを金属物品に貼付してもICチップが作動し、情報の送受信が可能となる。
【特許文献1】特開2005−6263号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述のアンテナの磁芯部材を、磁性層と非磁性層を交互に積層することにより形成したRFIDタグでは、アンテナが設けられている面に対して、情報書込/読出装置のアンテナを近接させた場合にのみ、ICチップが作動するため、ICチップに対する読み取り/書き込みの指向性が狭いという問題があった。また、アンテナの磁芯部材として磁性層を設けると、磁性層を設けていない場合より、読み取り/書き込み可能な距離が大幅に短くなるという問題があった。
【0007】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、金属に直接貼付した状態で、読み取り/書き込みの指向性が広く、かつ、読み取り/書き込みの距離が長い非接触型データ受送信体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1に係る非接触型データ受送信体は、互いに隣接する少なくとも2つの領域からなり、該領域が互いに異なる方向を向くように折り曲げ可能に構成された基材と、該基材の一方の面の各領域に設けられたアンテナと、前記基材の一方の面の領域の1つに設けられ、前記アンテナの1つに接続されたICチップと、前記基材の他方の面に配された磁性層とを備えてなる非接触型データ受送信体であって、前記アンテナは、前記基材の隣接する領域に電磁誘導が生じるように設けられたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の非接触型データ受送信体は、互いに隣接する少なくとも2つの領域からなり、該領域が互いに異なる方向を向くように折り曲げ可能に構成された基材と、該基材の一方の面の各領域に設けられたアンテナと、前記基材の一方の面の領域の1つに設けられ、前記アンテナの1つに接続されたICチップと、前記基材の他方の面に配された磁性層とを備えてなる非接触型データ受送信体であって、前記アンテナは、前記基材の隣接する領域に電磁誘導が生じるように設けられたので、金属に直接貼付した状態で、読み取り/書き込みの指向性が広くなるとともに、読み取り/書き込みの距離が長くなる。また、本発明の非接触型データ受送信体は、磁性層が設けられているので、金属物品などの角面に貼付しても、ICチップに接続されたアンテナと、それ以外のアンテナとの間で、必要以上の干渉が生じない。また、本発明の非接触型データ受送信体は、金属に貼付する際に折り曲げても、アンテナに疲労が生じない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の非接触型データ受送信体を実施するための最良の形態について説明する。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0011】
(1)第一の実施形態
図1は、本発明に係る非接触型データ受送信体の第一の実施形態を示す概略図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線に沿う断面図である。
図1中、符号10は非接触型データ受送信体、11は基材、11Aは基材11の第一領域、11Bは基材11の第二領域、12はアンテナ、12Aは第一アンテナ、12Bは第二アンテナ、13はICチップ、14は磁性層、15は粘着層、16は剥離材、17は被覆層、18は折り線をそれぞれ示している。
【0012】
この実施形態の非接触型データ受送信体10は、基材11と、コイル状の第一アンテナ12Aおよびコイル状の第二アンテナ12Bと、ICチップ13と、磁性層14と、粘着層15と、被覆層17とから概略構成されている。
基材11は、互いに隣接する第一領域11Aと第二領域11Bからなり、これら2つの領域が互いに異なる方向を向くように、折り線18を介して折り曲げ可能に構成されている。
第一アンテナ12Aは、基材11の一方の面11aの第一領域11Aに設けられている。また、第二アンテナ12Bは、基材11の一方の面11aの第二領域11Bに設けられている。
ICチップ13は、基材11の一方の面11aの第一領域11Aに設けられ、第一アンテナ12Aに接続されている。
磁性層14は、基材11の他方の面11bに配されている。
粘着層15は、磁性層14の基材11と接している面とは反対の面14aに配されている。
被覆層17は、基材11の一方の面11aにアンテナ12およびICチップ13を覆うように設けられている。
また、粘着層15の磁性層14と接している面とは反対の面15aには、剥離材16が配されている。
【0013】
第一アンテナ12Aの両端部がICチップ13の両極端子にそれぞれ接続されて、第一アンテナ12AとICチップ13は1つの閉回路を構成している。また、第二アンテナ12Bは両端部が互いに接続されて、1つの閉回路を構成している。そして、第一アンテナ12Aと第二アンテナ12Bは、基材11の第一領域11Aと第二領域11Bにおいて、電磁誘導が生じるように設けられている。
【0014】
また、第一アンテナ12Aと第二アンテナ12Bが、基材11の第一領域11Aと第二領域11Bにおいて、電磁誘導が生じるように、第一アンテナ12AとICチップ13からなる閉回路のインピーダンスと、第二アンテナ12Bの閉回路のインピーダンスとがほぼ等しくなっている。
【0015】
さらに、第一アンテナ12Aと第二アンテナ12Bが、基材11の第一領域11Aと第二領域11Bにおいて、電磁誘導が生じるように設けるには、第一アンテナ12Aと第二アンテナ12Bとの最外周の最短距離を2cm以下にすることが好ましく、1cm以上、2cm以下にすることがより好ましい。
第一アンテナ12Aと第二アンテナ12Bとの最外周の最短距離が2cmを超えて大きくなると、電磁誘導における共振の効率が低下する。
【0016】
なお、第一アンテナ12Aと第二アンテナ12Bが、基材11の第一領域11Aと第二領域11Bにおいて、電磁誘導が生じるように設けるには、第一アンテナ12Aと第二アンテナ12Bは、ほぼ同じ大きさであることが望ましいが、本発明の非接触型データ受送信体は、第一アンテナ12Aと第二アンテナ12Bの関係が上述の要件を満たしていれば、これに限定されるものではない。
【0017】
非接触型データ受送信体10において、ICチップ13の厚みは、アンテナ12の厚みよりも厚くなっている。
【0018】
基材11としては、少なくとも表層部には、ガラス繊維、アルミナ繊維などの無機繊維からなる織布、不織布、マット、紙などまたはこれらを組み合わせたもの、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維などの有機繊維からなる織布、不織布、マット、紙などまたはこれらを組み合わせたものや、あるいはこれらに樹脂ワニスを含浸させて成形した複合基材や、ポリアミド系樹脂基材、ポリエステル系樹脂基材、ポリオレフィン系樹脂基材、ポリイミド系樹脂基材、エチレン−ビニルアルコール共重合体基材、ポリビニルアルコール系樹脂基材、ポリ塩化ビニル系樹脂基材、ポリ塩化ビニリデン系樹脂基材、ポリスチレン系樹脂基材、ポリカーボネート系樹脂基材、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合系樹脂基材、ポリエーテルスルホン系樹脂基材などのプラスチック基材や、あるいはこれらにマット処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線照射処理、電子線照射処理、フレームプラズマ処理、オゾン処理、または各種易接着処理などの表面処理を施したものなどの公知のものから選択して用いられる。これらの中でも、ポリエチレンテレフタレートまたはポリイミドからなる電気絶縁性のフィルムまたはシートが好適に用いられる。
【0019】
アンテナ12は、基材11の一方の面11aにポリマー型導電インクを用いて所定のパターン状にスクリーン印刷により形成されてなるものか、もしくは、導電性箔をエッチングしてなるものである。
【0020】
本発明におけるポリマー型導電インクとしては、例えば、銀粉末、金粉末、白金粉末、アルミニウム粉末、パラジウム粉末、ロジウム粉末、カーボン粉末(カーボンブラック、カーボンナノチューブなど)などの導電微粒子が樹脂組成物に配合されたものが挙げられる。
【0021】
樹脂組成物として熱硬化型樹脂を用いれば、ポリマー型導電インクは、200℃以下、例えば100〜150℃程度でアンテナ12をなす塗膜を形成することができる熱硬化型となる。アンテナ12をなす塗膜の電気の流れる経路は、塗膜をなす導電微粒子が互いに接触することによる形成され、この塗膜の抵抗値は10-5Ω・cmオーダーである。
【0022】
また、本発明におけるポリマー型導電インクとしては、熱硬化型の他にも、光硬化型、浸透乾燥型、溶剤揮発型といった公知のものが用いられる。
【0023】
光硬化型のポリマー型導電インクは、光硬化性樹脂を樹脂組成物に含むものであり、硬化時間が短いので、製造効率を向上させることができる。光硬化型のポリマー型導電インクとしては、例えば、熱可塑性樹脂のみ、あるいは熱可塑性樹脂と架橋性樹脂(特にポリエステルとイソシアネートによる架橋系樹脂など)とのブレンド樹脂組成物に、導電微粒子が60質量%以上配合され、ポリエステル樹脂が10質量%以上配合されたもの、すなわち、溶剤揮発型かあるいは架橋/熱可塑併用型(ただし熱可塑型が50質量%以上である)のものや、熱可塑性樹脂のみ、あるいは熱可塑性樹脂と架橋性樹脂(特にポリエステルとイソシアネートによる架橋系樹脂など)とのブレンド樹脂組成物に、ポリエステル樹脂が10質量%以上配合されたもの、すなわち、架橋型かあるいは架橋/熱可塑併用型のものなどが好適に用いられる。
【0024】
一方、アンテナ12をなす導電性箔としては、銅箔、銀箔、金箔、白金箔、アルミニウム箔などが挙げられる。
【0025】
ICチップ13としては、特に限定されず、アンテナ12を介して非接触状態にて情報の書き込みおよび読み出しが可能なものであれば、非接触型ICタグや非接触型ICラベル、あるいは非接触型ICカードなどのRFIDメディアに適用可能なものであればいかなるものでも用いられる。
【0026】
また、磁性層14は、少なくとも磁性微粒子からなるフィラーを樹脂に含有してなる複合体から構成されている。このような磁性層14において、非接触型データ受送信体10を基材11の一方の面11a側から見て、磁性層14を構成する多数の磁性微粒子は、少なくともその一部が互いに重なり、隣接した1つの磁性体を形成している。
【0027】
磁性層14をなす複合体は、磁性微粒子からなるフィラーと、樹脂とから概略構成されている。
この複合体は、磁性微粒子からなるフィラーと、樹脂と、添加剤と、溶媒とを含む磁性塗料を塗布、乾燥することによって、磁性微粒子がほぼ均一に分散した形態に成形される。
【0028】
また、磁性微粒子としては、粉末状の磁性体粉末、または、この磁性体粉末をボールミルなどで微細化して粉末を成形した後、この粉末を機械的に扁平化して得られた扁平状のフレークなどからなる磁性体フレークが挙げられる。これらの中でも、磁性微粒子としては、扁平状のものが好ましい。磁性微粒子が扁平状であれば、非接触型データ受送信体10を基材11の一方の面11a側から見て、磁性層14を構成する多数の磁性微粒子が、少なくともその一部が互いに重なり、隣接した1つの磁性体を形成しやすい。したがって、より磁束が磁性層を通ってアンテナに捕捉され易くなる。
【0029】
さらに、磁性体粉末としては、例えば、センダスト(Fe−Si−Al合金)粉末、カーボニル鉄粉末、パーマロイなどのアトマイズ粉末、還元鉄粉末などが挙げられる。磁性体フレークとしては、例えば、前記磁性体粉末をボールミルなどで微細化して粉末を成形した後、この粉末を機械的に扁平化して得られたフレークや、鉄系またはコバルト系アモルファス合金の溶湯を水冷銅板に衝突させて得られたフレークなどが挙げられる。これらの中でも、磁性微粒子としては、センダストからなる磁性体粉末または磁性体フレークが好ましく、センダストからなる磁性体フレークがより好ましい。磁性微粒子が、センダストからなる磁性体粉末または磁性体フレークであれば、これらを構成要素として含む磁性層14の飽和磁束密度および透磁率が高くなるので、より磁束が磁性層を通ってアンテナに捕捉され易くなる。
【0030】
なお、磁性層14をなす磁性微粒子の形状は、その全てが粉末状あるいは扁平状のいずれか一方である必要はない。磁性層14には、粉末状の磁性微粒子と扁平状の磁性微粒子が混在していてもよく、このように形状の異なる磁性微粒子が混在していても、本発明の非接触型データ受送信体は十分に効果を発揮する。
【0031】
磁性層14をなす複合体を構成する樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂などが挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、塩化ビニル、酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、アクリル酸エステル−塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸エステル−塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸エステル−塩化ビニル共重合体、メタクリル酸エステル−エチレン共重合体、ポリ弗化ビニル、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体(セルロースアセテートブチレート、セルロースダイアセテート、セルローストリアセテート、セルロースプロピオネート、ニトロセルロース)、スチレンブタジエン共重合体、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、あるいは、スチレン系ゴム、フッ素系ゴム、シリコン系ゴム、エチレン・プロピレン共重合体ゴムなどのポリマー系の合成ゴム材料などが挙げられる。
【0032】
熱硬化性樹脂または反応型樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬化型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミン樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂などが挙げられる。
【0033】
また、磁性層14をなす複合体には、磁性層14に粘着性を付与するために、各種粘着剤が含まれていてもよい。
【0034】
また、磁性層14をなす複合体を形成するために用いられる磁性塗料に含まれる添加剤としては、粘度調整剤、消泡剤、レベリング剤などが挙げられる。
【0035】
さらに、この磁性塗料に含まれる溶媒としては、シクロヘキサノン、アセトン、ベンゼン系、エチル系などの有機溶媒が挙げられる。
【0036】
粘着層15は、非接触型データ受送信体10を金属物品の表面に貼付するために設けられたものであり、金属物品の表面に粘着可能な粘着剤で構成されている。このような粘着剤としては、再剥離を意図しない強粘着型の粘着剤、または、再剥離型の粘着剤の何れかのタイプから選択される。
【0037】
剥離材16は、粘着層15を保護するために、粘着層15の粘着面(粘着層15の磁性層14と接している面とは反対の面15a)に貼付されている。
剥離材16としては、例えば、上質紙、グラシン紙、コート紙、アート紙、模造紙などから選択した紙の粘着層15と接する面に剥離剤が塗布されたものが用いられる。
【0038】
被覆層17は、基材11の一方の面11aに配されたアンテナ12およびICチップ13を保護するために設けられている。
被覆層17の材質としては、熱可塑性樹脂、反応型樹脂、熱硬化性樹脂などの樹脂が挙げられる。
【0039】
なお、この実施形態では、基材11の一方の面11aにアンテナ12およびICチップ13を覆うように被覆層17を設けた非接触型データ受送信体10を例示したが、本発明の非接触型データ受送信体はこれに限定されない。本発明の非接触型データ受送信体にあっては、必ずしも被覆層が設けられていなくてもよい。
【0040】
次に、図2を参照して、この実施形態の非接触型データ受送信体の作用について、この非接触型データ受送信体を金属物品に貼付し、この非接触型データ受送信体を用いて金属物品の管理を行う場合を例に挙げて説明する。
図2は、この実施形態の非接触型データ受送信体の作用を示す概略断面図である。
図2中、符号20は金属物品、30は非接触型データ受送信体の情報書込/読出装置のアンテナをそれぞれ示している。
【0041】
剥離材16を剥がして、非接触型データ受送信体10の第一アンテナ12AおよびICチップ13が設けられた第一領域11Aを、粘着層15を介して、金属物品20の第一面20aに貼付する。さらに、非接触型データ受送信体10の第二アンテナ12Bが設けられた第二領域11Bを、折り線18にて折り曲げ、金属物品20の第一面20aに隣接する第二面20bに貼付する。
【0042】
このように、非接触型データ受送信体10を金属物品20に貼付し、例えば、金属物品20が収納棚に収納された状態などにおいて、金属物品20の第二面20bに情報書込/読出装置のアンテナ30を対向させると、情報書込/読出装置からの電磁誘導により第二アンテナ12Bに電流が流れる。そして、第二アンテナ12Bに電流が流れると、この電流により、第二アンテナ12Bの第一アンテナ12Aに隣接する側では、符号α1で示す矢印の向きに磁界が生じる。
すると、この第二アンテナ12Bに生じた磁界により、第一アンテナ12Aの第二アンテナ12Bに隣接する側では、符号α2で示す矢印の向きに磁界が生じる。この第一アンテナ12Aに生じた磁界により、第一アンテナ12Aに電流が流れる。
そして、第一アンテナ12Aを流れる電流がICチップ13に供給されることにより、情報書込/読出装置から、第一アンテナ12Aと第二アンテナ12Bを介してICチップ13に情報が書き込まれ、あるいは、ICチップ13に書き込まれた情報が第一アンテナ12Aと第二アンテナ12Bを介して情報書込/読出装置にて読み出される。
【0043】
このように非接触型データ受送信体10は、金属物品20に直接貼付した状態で、読み取り/書き込みの指向性が広くなるとともに、読み取り/書き込みの距離が長くなる。また、非接触型データ受送信体10は、磁性層14が設けられているので、金属物品20の角面に貼付しても、第一アンテナ12Aと第二アンテナ12Bとの間で、必要以上の干渉が生じない。また、非接触型データ受送信体10は、金属物品20の角面に貼付する場合には、折り線18にて折り曲げるので、この折り曲げによって、第一アンテナ12Aと第二アンテナ12Bに疲労が生じない。
【0044】
(2)第二の実施形態
図3は、本発明に係る非接触型データ受送信体の第二の実施形態を示す概略図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のB−B線に沿う断面図である。
図3中、符号40は非接触型データ受送信体、41は基材、41Aは基材41の第一領域、41Bは基材41の第二領域、41Cは基材41の第三領域、42はアンテナ、42Aは第一アンテナ、42Bは第二アンテナ、42Cは第三アンテナ、43はICチップ、44は磁性層、45は粘着層、46は剥離材、47は被覆層、48は折り線、49は折り線をそれぞれ示している。
【0045】
この実施形態の非接触型データ受送信体40は、基材41と、コイル状の第一アンテナ42Aと、コイル状の第二アンテナ42Bと、コイル状の第三アンテナ42Cと、ICチップ43と、磁性層44と、粘着層45と、被覆層47とから概略構成されている。
基材41は、互いに隣接する第一領域41A、第二領域41Bおよび第三領域41Cからなり、これら3つの領域が互いに異なる方向を向くように、折り線48,49を介して折り曲げ可能に構成されている。
第一アンテナ42Aは、基材41の一方の面41aの第一領域41Aに設けられている。
第二アンテナ42Bは、基材41の一方の面41aの第二領域41Bに設けられている。
第三アンテナ42Cは、基材41の一方の面41aの第三領域41Cに設けられている。
ICチップ43は、基材41の一方の面41aの第一領域41Aに設けられ、第一アンテナ42Aに接続されている。
磁性層44は、基材41の他方の面41bに配されている。
粘着層45は、磁性層44の基材41と接している面とは反対の面44aに配されている。
被覆層47は、基材41の一方の面41aにアンテナ42およびICチップ43を覆うように設けられている。
また、粘着層45の磁性層44と接している面とは反対の面45aには、剥離材46が配されている。
【0046】
第一アンテナ42Aの両端部がICチップ43の両極端子にそれぞれ接続されて、第一アンテナ42AとICチップ43は1つの閉回路を構成している。また、第二アンテナ42Bは両端部が互いに接続されて、1つの閉回路を構成している。また、第三アンテナ42Cは両端部が互いに接続されて、1つの閉回路を構成している。そして、第一アンテナ42Aと第二アンテナ42Bは、基材41の第一領域41Aと第二領域41Bにおいて、電磁誘導が生じるように設けられている。さらに、第二アンテナ42Bと第二アンテナ42Cは、基材41の第二領域41Bと第三領域41Cにおいて、電磁誘導が生じるように設けられている。
【0047】
第一アンテナ42Aと第二アンテナ42Bが、基材41の第一領域41Aと第二領域41Bにおいて、電磁誘導が生じるように、第一アンテナ42AとICチップ43からなる閉回路のインピーダンスと、第二アンテナ42Bの閉回路のインピーダンスとがほぼ等しくなっている。
また、第二アンテナ42Bと第三アンテナ42Cが、基材41の第二領域41Bと第三領域41Cにおいて、電磁誘導が生じるように、第二アンテナ42Bの閉回路のインピーダンスと、第三アンテナ42Cの閉回路のインピーダンスとがほぼ等しくなっている。
【0048】
さらに、第一アンテナ42Aと第二アンテナ42Bが、基材41の第一領域41Aと第二領域41Bにおいて、電磁誘導が生じるように設けるには、第一アンテナ42Aと第二アンテナ42Bとの最外周の最短距離を2cm以下にすることが好ましく、1cm以上、2cm以下にすることがより好ましい。
第一アンテナ42Aと第二アンテナ42Bとの最外周の最短距離が2cmを超えて大きくなると、電磁誘導における共振の効率が低下する。
同様に、第二アンテナ42Bと第三アンテナ42Cが、基材41の第二領域41Bと第三領域41Cにおいて、電磁誘導が生じるように設けるには、第二アンテナ42Bと第三アンテナ42Cとの最外周の最短距離を2cm以下にすることが好ましく、1cm以上、2cm以下にすることがより好ましい。
【0049】
なお、第一アンテナ42Aと第二アンテナ42Bが、基材41の第一領域41Aと第二領域41Bにおいて、電磁誘導が生じるように設けるには、第一アンテナ42Aと第二アンテナ42Bは、ほぼ同じ大きさであることが望ましいが、本発明の非接触型データ受送信体は、第一アンテナ42Aと第二アンテナ42Bの関係が上述の要件を満たしていれば、これに限定されるものではない。
同様に、第二アンテナ42Bと第三アンテナ42Cが、基材41の第二領域41Bと第三領域41Cにおいて、電磁誘導が生じるように設けるには、第二アンテナ42Bと第三アンテナ42Cは、ほぼ同じ大きさであることが望ましいが、本発明の非接触型データ受送信体は、第二アンテナ42Bと第三アンテナ42Cの関係が上述の要件を満たしていれば、これに限定されるものではない。
【0050】
非接触型データ受送信体40において、ICチップ43の厚みは、アンテナ42の厚みよりも厚くなっている。
【0051】
基材41としては、上記の基材11と同様のものが挙げられる。
アンテナ42としては、上記のアンテナ12と同様のものが挙げられる。
ICチップ43としては、上記のICチップ13と同様のものが挙げられる。
磁性層44としては、上記の磁性層14と同様のものが挙げられる。
粘着層45としては、上記の粘着層15と同様のものが挙げられる。
剥離材46としては、上記の剥離材16と同様のものが挙げられる。
被覆層47としては、上記の被覆層17と同様のものが挙げられる。
【0052】
次に、図4を参照して、この実施形態の非接触型データ受送信体の作用について、この非接触型データ受送信体を金属物品に貼付し、この非接触型データ受送信体を用いて金属物品の管理を行う場合を例に挙げて説明する。
図4は、この実施形態の非接触型データ受送信体の作用を示す概略断面図である。
図4中、符号20は金属物品、30は非接触型データ受送信体の情報書込/読出装置のアンテナをそれぞれ示している。
【0053】
剥離材46を剥がして、非接触型データ受送信体40を、接着層45を介して、第一アンテナ42AおよびICチップ43が設けられた第一領域41Aを金属物品20の第一面20aに貼付する。次いで、非接触型データ受送信体40の第二アンテナ42Bが設けられた第二領域41Bを、折り線48にて折り曲げ、金属物品20の第一面20aに隣接する第二面20bに貼付する。さらに、非接触型データ受送信体40の第三アンテナ42Cが設けられた第三領域41Cを、折り線49にて折り曲げ、金属物品20の第二面20bに隣接する第三面20cに貼付する。
【0054】
このように非接触型データ受送信体40を金属物品20に貼付し、例えば、金属物品20が収納棚に収納された状態などにおいて、金属物品20の第三面20cに情報書込/読出装置のアンテナ30を対向させると、情報書込/読出装置からの電磁誘導により第三アンテナ42Cに電流が流れる。そして、第三アンテナ42Cに電流が流れると、この電流により、第三アンテナ42Cの第二アンテナ42Bに隣接する側では、符号β1で示す矢印の向きに磁界が生じる。
すると、この第三アンテナ42Cに生じた磁界により、第二アンテナ42Bの第三アンテナ42Cに隣接する側では、符号β2で示す矢印の向きに磁界が生じる。この第二アンテナ42Bに生じた磁界により、第二アンテナ42Bに電流が流れる。そして、この電流により、第二アンテナ42Bの第一アンテナ42Aに隣接する側では、符号β3で示す矢印の向きに磁界が生じる。
すると、この第二アンテナ42Bに生じた磁界により、第一アンテナ42Aの第二アンテナ42Bに隣接する側では、符号β4で示す矢印の向きに磁界が生じる。この第一アンテナ42Aに生じた磁界により、第一アンテナ42Aに電流が流れる。
そして、第一アンテナ42Aを流れる電流がICチップ43に供給されることにより、情報書込/読出装置から、第一アンテナ42A、第二アンテナ42Bおよび第三アンテナ42Cを介してICチップ43に情報が書き込まれ、あるいは、ICチップ43に書き込まれた情報が第一アンテナ42A、第二アンテナ42Bおよび第三アンテナ42Cを介して情報書込/読出装置にて読み出される。
【0055】
このように非接触型データ受送信体40は、金属物品20に直接貼付した状態で、読み取り/書き込みの指向性が広くなるとともに、読み取り/書き込みの距離が長くなる。また、非接触型データ受送信体40は、磁性層44が設けられているので、金属物品20の角面に貼付しても、第一アンテナ42Aと第二アンテナ42Bとの間、および、第二アンテナ42Bと第三アンテナ42Cとの間で、必要以上の干渉が生じない。また、非接触型データ受送信体40は、金属物品20の角面に貼付する場合には、折り線48,49にて折り曲げるので、この折り曲げによって、第一アンテナ42A、第二アンテナ42Bおよび第三アンテナ42Cに疲労が生じない。
【0056】
(3)第三の実施形態
図5は、本発明に係る非接触型データ受送信体の第三の実施形態を示す概略図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のC−C線に沿う断面図である。
図5中、符号50は非接触型データ受送信体、51は基材、51Aは基材51の第一領域、51Bは基材51の第二領域、51Cは基材51の第三領域、52はアンテナ、52Aは第一アンテナ、52Bは第二アンテナ、52Cは第三アンテナ、53はICチップ、54は磁性層、55は粘着層、56は剥離材、57は被覆層、58は折り線、59は折り線をそれぞれ示している。
【0057】
この実施形態の非接触型データ受送信体50は、基材51と、コイル状の第一アンテナ52Aと、コイル状の第二アンテナ52Bと、コイル状の第三アンテナ52Cと、ICチップ53と、磁性層54と、粘着層55と、被覆層57とから概略構成されている。
基材51は、互いに隣接する第一領域51A、第二領域51Bおよび第三領域51Cからなり、これら3つの領域が互いに異なる方向を向くように、折り線58,59を介して折り曲げ可能に構成されている。
第一アンテナ52Aは、基材51の一方の面51aの第一領域51Aに設けられている。
第二アンテナ52Bは、基材51の一方の面51aの第二領域51Bに設けられている。
第三アンテナ52Cは、基材51の一方の面51aの第三領域51Cに設けられている。
ICチップ53は、基材51の一方の面51aの第二領域51Bに設けられ、第二アンテナ52Bに接続されている。
磁性層54は、基材51の他方の面51bに配されている。
粘着層55は、磁性層54の基材51と接している面とは反対の面54aに配されている。
被覆層57は、基材51の一方の面51aにアンテナ52およびICチップ53を覆うように設けられている。
また、粘着層55の磁性層54と接している面とは反対の面55aには、剥離材56が配されている。
【0058】
第一アンテナ52Aは両端部が互いに接続されて、1つの閉回路を構成している。また、第二アンテナ52Bの両端部がICチップ53の両極端子にそれぞれ接続されて、第二アンテナ52BとICチップ53は1つの閉回路を構成している。また、第三アンテナ52Cは両端部が互いに接続されて、1つの閉回路を構成している。そして、第一アンテナ52Aと第二アンテナ52Bは、基材51の第一領域51Aと第二領域51Bにおいて、電磁誘導が生じるように設けられている。さらに、第二アンテナ52Bと第二アンテナ52Cは、基材51の第二領域51Bと第三領域51Cにおいて、電磁誘導が生じるように設けられている。
【0059】
第一アンテナ52Aと第二アンテナ52Bが、基材51の第一領域51Aと第二領域51Bにおいて、電磁誘導が生じるように、第一アンテナ52Aの閉回路のインピーダンスと、第二アンテナ52BとICチップ53からなる閉回路のインピーダンスとがほぼ等しくなっている。
また、第二アンテナ52Bと第三アンテナ52Cが、基材51の第二領域51Bと第三領域51Cにおいて、電磁誘導が生じるように、第二アンテナ52BとICチップ53からなる閉回路のインピーダンスと、第三アンテナ52Cの閉回路のインピーダンスとがほぼ等しくなっている。
【0060】
さらに、第一アンテナ52Aと第二アンテナ52Bが、基材51の第一領域51Aと第二領域51Bにおいて、電磁誘導が生じるように設けるには、第一アンテナ52Aと第二アンテナ52Bとの最外周の最短距離を2cm以下にすることが好ましく、1cm以上、2cm以下にすることがより好ましい。
第一アンテナ52Aと第二アンテナ52Bとの最外周の最短距離が2cmを超えて大きくなると、電磁誘導における共振の効率が低下する。
同様に、第二アンテナ52Bと第三アンテナ52Cが、基材51の第二領域51Bと第三領域51Cにおいて、電磁誘導が生じるように設けるには、第二アンテナ52Bと第三アンテナ52Cとの最外周の最短距離を2cm以下にすることが好ましく、1cm以上、2cm以下にすることがより好ましい。
【0061】
なお、第一アンテナ52Aと第二アンテナ52Bが、基材51の第一領域51Aと第二領域51Bにおいて、電磁誘導が生じるように設けるには、第一アンテナ52Aと第二アンテナ52Bは、ほぼ同じ大きさであることが望ましいが、本発明の非接触型データ受送信体は、第一アンテナ52Aと第二アンテナ52Bの関係が上述の要件を満たしていれば、これに限定されるものではない。
同様に、第二アンテナ52Bと第三アンテナ52Cが、基材51の第二領域51Bと第三領域51Cにおいて、電磁誘導が生じるように設けるには、第二アンテナ52Bと第三アンテナ52Cは、ほぼ同じ大きさであることが望ましいが、本発明の非接触型データ受送信体は、第二アンテナ52Bと第三アンテナ52Cの関係が上述の要件を満たしていれば、これに限定されるものではない。
【0062】
非接触型データ受送信体50において、ICチップ53の厚みは、アンテナ52の厚みよりも厚くなっている。
【0063】
基材51としては、上記の基材11と同様のものが挙げられる。
アンテナ52としては、上記のアンテナ12と同様のものが挙げられる。
ICチップ53としては、上記のICチップ13と同様のものが挙げられる。
磁性層54としては、上記の磁性層14と同様のものが挙げられる。
粘着層55としては、上記の粘着層15と同様のものが挙げられる。
剥離材56としては、上記の剥離材16と同様のものが挙げられる。
被覆層57としては、上記の被覆層17と同様のものが挙げられる。
【0064】
次に、図6を参照して、この実施形態の非接触型データ受送信体の作用について、この非接触型データ受送信体を金属物品に貼付し、この非接触型データ受送信体を用いて金属物品の管理を行う場合を例に挙げて説明する。
図6は、この実施形態の非接触型データ受送信体の作用を示す概略断面図である。
図6中、符号20は金属物品、30は非接触型データ受送信体の情報書込/読出装置のアンテナをそれぞれ示している。
【0065】
剥離材56を剥がして、非接触型データ受送信体50の第一アンテナ52Aが設けられた第一領域51Aを、接着層55を介して、金属物品20の第一面20aに貼付する。次いで、非接触型データ受送信体50の第二アンテナ52BおよびICチップ53が設けられた第二領域51Bを、折り線58にて折り曲げ、金属物品20の第一面20aに隣接する第二面20bに貼付する。さらに、非接触型データ受送信体50の第三アンテナ52Cが設けられた第三領域51Cを、折り線59にて折り曲げ、金属物品20の第二面20bに隣接する第三面20cに貼付する。
【0066】
このように非接触型データ受送信体50を金属物品20に貼付し、例えば、金属物品20が収納棚に収納された状態などにおいて、金属物品20の第三面20cに情報書込/読出装置のアンテナ30を対向させると、情報書込/読出装置からの電磁誘導により第三アンテナ52Cに電流が流れる。そして、第三アンテナ52Cに電流が流れると、この電流により、第三アンテナ52Cの第二アンテナ52Bに隣接する側では、符号γ1で示す矢印の向きに磁界が生じる。
すると、この第三アンテナ52Cに生じた磁界により、第二アンテナ52Bの第三アンテナ52Cに隣接する側では、符号γ2で示す矢印の向きに磁界が生じる。この第二アンテナ52Bに生じた磁界により、第二アンテナ52Bに電流が流れる。
そして、第二アンテナ52Bを流れる電流がICチップ53に供給されることにより、情報書込/読出装置から、第二アンテナ52Bおよび第三アンテナ52Cを介してICチップ53に情報が書き込まれ、あるいは、ICチップ53に書き込まれた情報が第二アンテナ52Bおよび第三アンテナ52Cを介して情報書込/読出装置にて読み出される。
【0067】
また、金属物品20の第一面20aに情報書込/読出装置のアンテナ30を対向させても、非接触型データ受送信体50は同様に作用する。
【0068】
このように非接触型データ受送信体50は、金属物品20に直接貼付した状態で、読み取り/書き込みの指向性が広くなるとともに、読み取り/書き込みの距離が長くなる。また、非接触型データ受送信体50は、磁性層54が設けられているので、金属物品20の角面に貼付しても、第一アンテナ52Aと第二アンテナ52Bとの間、および、第二アンテナ52Bと第三アンテナ52Cとの間で、必要以上の干渉が生じない。また、非接触型データ受送信体50は、金属物品20の角面に貼付する場合には、折り線58,59にて折り曲げるので、この折り曲げによって、第一アンテナ52A、第二アンテナ52Bおよび第三アンテナ52Cに疲労が生じない。
【0069】
なお、上述の第一の実施形態では、基材が第一領域と第二領域から構成される場合を例示し、第二の実施形態および第三の実施形態では、基材が第一領域、第二領域および第三領域から構成される場合を例示したが、本発明の非接触型データ受送信体はこれに限定されない。本発明の非接触型データ受送信体にあっては、基材が隣接する4つ以上の領域からなり、この各領域にアンテナが向けられ、かつ、アンテナの1つにICチップが接続された構成であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明の非接触型データ受送信体は、金属物品への貼付だけではなく、電磁波を発する物品への貼付などにも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明に係る非接触型データ受送信体の第一の実施形態を示す概略図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線に沿う断面図である。
【図2】本発明の非接触型データ受送信体の第一の実施形態の作用を示す概略断面図である。
【図3】本発明に係る非接触型データ受送信体の第二の実施形態を示す概略図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のB−B線に沿う断面図である。
【図4】本発明の非接触型データ受送信体の第二の実施形態の作用を示す概略断面図である。
【図5】本発明に係る非接触型データ受送信体の第三の実施形態を示す概略図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のC−C線に沿う断面図である。
【図6】本発明の非接触型データ受送信体の第三の実施形態の作用を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0072】
10,40,50・・・非接触型データ受送信体、11,41,51・・・基材、12,42,52・・・アンテナ、13,43,53・・・ICチップ、14,44,54・・・磁性層、15,45,55・・・粘着層、16,46,56・・・剥離材、17,47,57・・・被覆層、18,48,49,58,59・・・折り線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに隣接する少なくとも2つの領域からなり、該領域が互いに異なる方向を向くように折り曲げ可能に構成された基材と、該基材の一方の面の各領域に設けられたアンテナと、前記基材の一方の面の領域の1つに設けられ、前記アンテナの1つに接続されたICチップと、前記基材の他方の面に配された磁性層とを備えてなる非接触型データ受送信体であって、
前記アンテナは、前記基材の隣接する領域に電磁誘導が生じるように設けられたことを特徴とする非接触型データ受送信体。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−310451(P2007−310451A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−136296(P2006−136296)
【出願日】平成18年5月16日(2006.5.16)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】