説明

非接触式センサを有するブレーキペダルアッセンブリ

非接触式位置センサを使用し、カム面に載るばね付勢式ローラを活用して従来式ブレーキペダルの感触をシミュレートするアッセンブリが提供されている。ペダルアッセンブリは、カム面を有する細長いブレーキサポートブラケットと、ばね付勢式ローラを有するペダルアームを含んでいる。ばね付勢式ローラアッセンブリは、ペダルアームの内方面又は近傍に取り付けられているか、又はペダルアームの両面に取り付けられている。ローラアッセンブリは、ペダルアームの内側面から伸張する固定脚と、ペダルアームに枢動式に取り付けられている可動脚を含んでいる。ローラに対する付勢力を生成するように、付勢部材がサポートの上を固定脚と可動端の間に伸張している。ペダルが押し下げられると、ローラがサポートブラケットのカム面に沿って動かされ、それによって、従来式ペダルアッセンブリの「感触」が作り出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2009年8月18日出願の米国仮特許出願第61/234,822号の優先権を主張し、同仮特許出願をここに参考文献として援用する。
【0002】
本発明は、概括的にはブレーキペダルに、より厳密には非接触式センサを有するブレーキペダルアッセンブリに関する。
【背景技術】
【0003】
ブレーキペダルやアクセルペダルの様な「バイ・ワイヤ」車両制御用のペダルアッセンブリで位置センサが使用されることは知られている。位置センサは、ペダルの押し下げ量を表す電気信号を生成する。制御装置がこの信号を使用して、スロットル又は制動用アッセンブリの作動を制御する。しかし一方で、これらのペダルアッセンブリには、押し下げに対する抵抗又は従来式ペダルアッセンブリの場合とよく似た「感触」を持たせるのが望ましい。従って、車両用のペダルアッセンブリにおいて、位置センサを使用して従来式のブレーキペダルの感触をシミュレートし、軽量で、製造費用の安いペダルアッセンブリを提供するのが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国仮特許出願第61/234,822号
【特許文献2】米国特許第7,221,154号
【特許文献3】米国特許第7,276,897号
【特許文献4】米国特許第7,345,473号
【発明の概要】
【0005】
非接触式位置センサを使用し、カム面に載るばね付勢式ローラを活用して従来式ブレーキペダルの感触をシミュレートするペダルアッセンブリが提供されている。ペダルアッセンブリは、カム面を有する細長いブレーキサポートブラケットと、ばね付勢式ローラを有するペダルアームを含んでいる。ブラケットの一端からは一対のアームが伸張している。アームは、ペダルアームの頂部分を受け入れるように離間されている。枢軸ロッドが、アーム及びペダルアームを貫いて、ペダルアームを枢動可能に支持するべく伸張している。アームのうち一方のアームに非接触式回転位置センサが取り付けられている。
【0006】
ペダルアームは、一端を枢軸ロッドに支持され他端にペダルパッドを有する細長い部材である。ばね付勢式ローラアッセンブリが、ペダルアームの内方面又は近傍に取り付けられている。ローラアッセンブリは、ペダルアームの内側面から伸張する固定脚と、ペダルアームに枢動式に取り付けられている可動脚を含んでいる。ローラサポートは、ローラを支持するための一対の離間されたフランジを有しており、ローラサポートの一端は可動脚の自由端に取り付けられ他端は固定脚に枢動式に取り付けられている。
【0007】
ローラに対する付勢力を生成するように、付勢部材がサポートの上を固定脚と可動端の間に伸張している。ペダルが押し下げられると、ローラがサポートブラケットのカム面に沿って動かされる。カムの曲率半径は、従来式ブレーキペダルアッセンブリの感触をシミュレートする荷重を発生させるように、ばねの力と協調がとられている。
【0008】
本発明は以下の詳細な説明を添付図面と関連付けて読みながら考察することによって理解が深まるものであり、添付図面では幾つかの図に跨って同様の符号は同様の部分を指している。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】ペダルアームが押し下げられていない状態のペダルアッセンブリの斜視図である。
【図2】ペダルアームが一杯まで押し下げられた状態の、非接触式位置センサを有するペダルアッセンブリの斜視図である。
【図3】非接触式位置センサを有するペダルアッセンブリの或る代わりの実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
非接触式位置センサを使用したペダルアッセンブリ10は、従来式ブレーキペダルの感触をシミュレートするために、カム面に載るばね付勢式ローラを活用している。ペダルアッセンブリ10は、特に、ハイブリッド車両に適している。ペダルが押し下げられてゆくと、ペダルを更に押し下げるのに要する荷重量が増加する。
【0011】
ペダルアッセンブリ10は、ブレーキサポートブラケット11と、カム面12を有するサポート26を含んでいる。ペダルアッセンブリ10は、更に、図1に示されている様に、ばね付勢式ローラ28を有するペダルアーム14を含んでいる。サポート26は、ベースブラケット11を有する細長い部材である。ペダルアッセンブリ10は、車両への取付用の孔18を有している。一対のアーム20が、1つのペダルアッセンブリ10から伸張している。アーム20はペダルアーム14の頂部分を受け入れるように離間されている。
【0012】
枢軸ロッド22が、アーム20とペダルアーム14を貫いて、ペダルアーム14を枢動可能に支持するべく伸張している。枢軸ロッド22とアーム20とペダルアーム14の間の相互作用が枢軸ロッド22に枢軸点を形成し、当該枢軸点を中心にペダルアーム14は容易に枢動することができる。プッシュナット19が枢軸ロッド22を保定している。
【0013】
図2に示されている様に、アーム20のうち一方のアームには非接触式回転位置センサ23が取り付けられている。非接触式位置センサは、渦電流センサやホール効果センサの様な多くの異なった型式のものを使用することができるが、好適な実施形態では、本発明の譲受人の所有である米国特許第7,221,154号、同第7,276,897号、及び同第7,345,473号に開示されている型式の位置センサを使用することができる。
【0014】
クルーズコントロールの非活動化を制御するためのスイッチ用の取付区域24も提供されている。ベース部分の中間部分からは、クルーズ非活動化スイッチを支持するための取付区域24が伸張している。
【0015】
同様にベースから上向きに、カム面12を有するサポート26が伸張している。カム面は、以下に更に詳しく論じられているが、ペダルアーム側に取り付けられているローラ28を支持する。サポート26とカム面12は、プラスチック、ポリマー、又は金属材料で作られている。カム面12には、運転者が作動させたときに従来式ブレーキペダルの感触をシミュレートするべくペダルアッセンブリ10の感触を更に巧みに操作してゆくように、より滑らかな面又はより粗い面の様な異なった仕上げが施されていてもよい。サポート26は適したプラスチックで成形されているのが望ましく、カム面12は金属基板の上からプラスチックを成形して形成されていてもよい。
【0016】
ペダルアッセンブリ10の長さに見て孔18の反対側にはピン30があって、ペダルアームのストッパの役目を果たすべく外向きに伸張している。ピン30は、ペダルアーム14を損傷させないように、プラスチック、ポリマー、又は軟質材料で作られている。ピン30は同様に金属で作られていてもよい。
【0017】
図1に示されている様に、ペダルアーム14は、一端を枢軸ロッド22に支持され他端にペダルパッド32を有する細長い部材である。ペダルパッド32は、運転者の履物がペダルアームを捕え易くなるように、プラスチック又はポリマー材料を含んでいる。ペダルアーム14の内方面又は近傍に、ばね付勢式ローラ28とローラサポート40とばね42が取り付けられている。固定脚36がペダルアーム14の内側面から伸張しており、可動脚38がペダルアーム14に枢動式に取り付けられている。ローラサポート40は、ローラを支持するための一対の離間されたフランジを有しており、ローラサポート40の一端は可動脚の自由端に取り付けられ他端は固定脚36に枢動式に取り付けられている。ローラサポート40は、添付図に示されている様に構成は様々である。
【0018】
ばね42は、ばねサポート43(可動脚38に枢動式に連係)とローラサポート40の間に伸張していて、ローラ28に対する付勢力を生成する。ローラ28には、カム面に沿って均一に動けるようにベアリングと滑らかな面が設けられている。ペダルアーム14が押し下げられると、ローラ28がサポートブラケット11のカム面12に沿って動かされる。
【0019】
カム面12の曲率は、ローラが内方へ固定脚36に向かって付勢されてばねを圧縮し、荷重又は押し下げへの抵抗を増加させるような曲率である。カム面12の曲率半径は、従来式ブレーキペダルの感触をシミュレートする荷重を発生させるように、ばねの力と協調がとられている。カム面の曲率半径を高くしたり低くしたりすることで、運転者が感じる力の衝撃を異ならせて発生させることができる。ローラ28とばね42とカム面12によって発生させる力の変動度は、運転者の要求に従って修正される。
【0020】
図2に示されている様に、ペダル14は押し下げられた位置にある。押圧されたペダルアーム14は、車両の運転者が従来式制動モードでの最大容量まで制動を掛けたときのペダルアームの位置を表している。ペダルパッド32を有するペダルアーム14は、枢軸ロッド22の枢軸点を中心に枢動する。一方のアーム20の枢軸ロッド22の枢軸点の上方又は付近にはセンサ23が設置されている。ペダルアッセンブリ10は、更に、ペダルアッセンブリ10を車両に取り付けるために孔18を含んでいる。ペダルアッセンブリ10のアーム20は車両運転者に向かって伸張している。本実施形態では、ペダルアッセンブリ10は、丸みの付けられた端部分21を有する2つのアーム20を含んでいる。
【0021】
図3に示されている或る代わりの実施形態では、固定脚61及び可動脚63と関連付けて使用されている付勢部材又はばね42を有するペダルアッセンブリ80が提供されている。ばね42は、ばねサポート43と枢動式ローラサポート40の間を伸張していて、ローラ28に対する付勢力を生成する。上ストッパボルト62を含んでいるカム面72が提供されている。サポート60は上部分58を含んでおり、そこではボルト62が開口部又は受入部64によってサポート60に接続している。ボルト62はカム58から上方へ伸張していて、センサ23のための定位置を設定するべくペダルアーム14を貫いて突き出ている。連結ナット66がボルト62をカムに固着して、ペダルアーム14の正しい定位置が設定されるようにしている。
【0022】
ばね42はローラサポート40に接続されている。ローラサポート40は、サポート60のカム面72を転がるように作動するローラ28に接続されている。カム面72のローラ28の転がりと、ボルト62と、ばね42の押し下げとが一体に協働して、従来式ブレーキペダルの感触をシミュレートする。
【0023】
ばね42は、ゴム、エラストマー、又はワイヤなどで作られている。本実施形態では、ばね42は、天然ゴム圧縮ばねである。天然ゴム圧縮ばね42では、ヒステリシスが加わり、従来式ブレーキシステムの感触がより忠実にシミュレートされる。エラストマーをプラスチック又は鋼のリング84、86と組み合わせることもできるであろう。図3に示されている様に、ばね42には円筒形リング84、86が設けられている。円筒形リング84、86は、ばねが圧壊するのを防止している。ばね42には円筒形リング84、86を保定する半径方向の切り込み又は突起が追加されていて、それによってばね42の圧壊防止が図られている。
【0024】
更に、ばね42の断面は、圧縮時の荷重に変動を与えるためにその長さ全体に亘って変化していてもよい。溝、面取り、半径は、初期ばね力を削減するが、設定された圧縮がばね42の全寿命を通して実現されるようにする。
【0025】
ブレーキロッドは、ペダルアームの孔44に取り付けることができる。ブレーキロッドは、積極的に制動を掛ける状況では、ブレーキロッドを使用して車両のブレーキを起動させるようにトグルされる。
【0026】
本発明は、以上に記載されている例証的な実施例及び実施形態に限定されない。実施形態は、本発明の範囲に制限を課そうとするものではない。ここに記載されている方法、装置、組成などは、例示であって、本発明の範囲に制限を課そうとするものではない。当業者には、本発明の範囲内での変更及び他の使用が想起されるであろう。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって定義されている。
【符号の説明】
【0027】
10 ペダルアッセンブリ
11 ブレーキサポートブラケット
12 カム面
14 ペダルアーム
18 車両への取付用の孔
19 プッシュナット
20 アーム
21 アームの丸みの付けられた端部分
22 枢軸ロッド
23 非接触式回転位置センサ
24 クルーズコントロール非活動化スイッチ取付区域
26 サポート
28 ばね付勢式ローラ
30 ピン
32 ペダルパッド
36 固定脚
38 可動脚
40 ローラサポート
42 ばね
43 ばねサポート
44 ペダルアームの孔
58 カム、サポートの上部分
60 サポート
61 固定脚
62 上ストッパボルト
63 可動脚
64 開口部又は受入部
66 連結ナット
72 カム面
80 ペダルアッセンブリ
84、86 円筒形リング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触式位置センサを有し、ペダルアームが第1枢軸点周りに枢動式にブラケットに取り付けられていて、従来式ブレーキペダルの感触をシミュレートするよう作動する、ブレーキペダルアッセンブリにおいて、
前記ブラケットに取り付けられているペダルアームと、
ローラと、
前記ブラケットか前記ペダルアームの何れか一方に取り付けられているカム面と、を備えており、前記ローラは前記ブラケットか前記ペダルアームの何れか他方に取り付けられている、ブレーキペダルアッセンブリ。
【請求項2】
前記ペダルアームには、前記ローラを前記カム面に対して付勢するべく付勢部材が取り付けられている、請求項1に記載のブレーキペダルアッセンブリ。
【請求項3】
前記付勢部材はばねである、請求項2に記載のブレーキペダルアッセンブリ。
【請求項4】
前記ばね内に少なくとも1つの円筒形リングが一体化されている、請求項3に記載のブレーキペダルアッセンブリ。
【請求項5】
前記ばねは、前記少なくとも1つの円筒形リングの配置を支援するため、溝を含んでいる、請求項4に記載のブレーキペダルアッセンブリ。
【請求項6】
前記ばねは、前記少なくとも1つの円筒形リングの配置を支援するため、突起を含んでいる、請求項4に記載のブレーキペダルアッセンブリ。
【請求項7】
前記ばねは天然ゴムである、請求項3に記載のブレーキペダルアッセンブリ。
【請求項8】
前記ばねの断面は、当該ばねの長さ全体に亘って寸法が変化している、請求項3に記載のブレーキペダルアッセンブリ。
【請求項9】
付勢部材はダンパである、請求項2に記載のブレーキペダルアッセンブリ。
【請求項10】
サポートは第1端と第2端を有し、前記第1端は前記ペダルアームに取り付けられている、請求項1に記載のブレーキペダルアッセンブリ。
【請求項11】
前記ローラは前記ペダルアームの第2端に取り付けられている、請求項10に記載のブレーキペダルアッセンブリ。
【請求項12】
前記ペダルアームに固定脚が取り付けられている、請求項11に記載のブレーキペダルアッセンブリ。
【請求項13】
前記サポート部材の前記第2端は、前記固定脚に枢動式に取り付けられている、請求項13に記載のブレーキペダルアッセンブリ。
【請求項14】
前記ペダルアームと前記ローラの間に可動脚が配置されている、請求項1に記載のブレーキペダルアッセンブリ。
【請求項15】
前記可動脚は前記ペダルアームに枢動式に接続されている、請求項15に記載のブレーキペダルアッセンブリ。
【請求項16】
前記可動脚は前記ローラに枢動式に接続されている、請求項15に記載のブレーキペダルアッセンブリ。
【請求項17】
前記可動脚は細長い部材である、請求項15に記載のブレーキペダルアッセンブリ。
【請求項18】
前記カムの第1面は第1曲率半径を有している、請求項1に記載のブレーキペダルアッセンブリ。
【請求項19】
前記ペダルアッセンブリは2つのアームを含んでいる、請求項1に記載のブレーキペダルアッセンブリ。
【請求項20】
前記ペダルアームは前記2つのアームの間に枢動式に取り付けられている、請求項20に記載のブレーキペダルアッセンブリ。
【請求項21】
前記位置センサは、前記2つのアームのうち一方のアームに取り付けられている、請求項20に記載のブレーキペダルアッセンブリ。
【請求項22】
前記ペダルアッセンブリは、前記ペダルアームの位置を維持するボルトを更に含んでいる、請求項1に記載のブレーキペダルアッセンブリ。
【請求項23】
前記ボルトは前記ペダルアームに接続している、請求項18に記載のブレーキペダルアッセンブリ。
【請求項24】
前記ボルトは細長である、請求項24に記載のブレーキペダルアッセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−502344(P2013−502344A)
【公表日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−525221(P2012−525221)
【出願日】平成22年8月18日(2010.8.18)
【国際出願番号】PCT/IB2010/002044
【国際公開番号】WO2011/021094
【国際公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(508000593)ケイエスアール テクノロジーズ カンパニー (12)
【Fターム(参考)】