説明

非接触式静電チャック

【課題】柔らかく剛性の低い薄物ワークでも局所変形を生じさせることなく非接触保持することができる非接触式静電チャックの提供。
【解決手段】ベース面2aに設けられたノズル4から空気を噴き出してワークを浮上させると共に、ベース面2aに設けられた電極3に電圧を印加することによりワークを静電気力でベース面2aに引き寄せる非接触式静電チャック1であって、ノズル4は、電極3が設けられた領域の少なくとも一部を囲うと共に、上記囲まれた領域Xの内側に向けてベース面2aに対し斜めに延びて開口しており、上記囲まれた領域Xにおいて、該領域の中心からの距離に応じて複数の領域(X1、X2、X3、X4)に分割し、該複数の領域のそれぞれについて上記静電気力を独立して調節する静電気力調節装置9を有するという構成を採用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触式静電チャックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ワークを非接触保持する装置について、下記特許文献1に記載の装置が知られている。この装置は、ベース面に設けられたノズルから空気を噴き出してワークを浮上させると共に、上記ベース面に設けられた電極に電圧を印加することによりワークを静電気力でベース面に引き寄せる構成となっている。この構成によれば、正確な位置にワークを非接触保持しつつ、ハンドリングすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−63824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来技術の構成では、柔らかく剛性の低い薄物ワークについては適用できない虞がある。
上記従来技術は、ベース面に対し真直ぐに空気を噴き出してワークを浮上させる構成となっている。そうすると、噴き付ける空気の圧力分布が、ワークに対して不均一となり、薄物ワークの場合、空気噴き付け位置において、波打つように局所変形してしまう。このようにワークが局所変形し、姿勢が不安定になると、ハンドリングが難しく、また、ワークの一部が電極に接触してしまう場合もある。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、柔らかく剛性の低い薄物ワークでも局所変形を生じさせることなく非接触保持することができる非接触式静電チャックの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明は、ベース面に設けられたノズルから空気を噴き出してワークを浮上させると共に、上記ベース面に設けられた電極に電圧を印加することにより上記ワークを静電気力で上記ベース面に引き寄せる非接触式静電チャックであって、上記ノズルは、上記電極が設けられた領域の少なくとも一部を囲うと共に、上記囲まれた領域の内側に向けて上記ベース面に対し斜めに延びて開口しており、上記囲まれた領域において、該領域の中心からの距離に応じて複数の領域に分割し、該複数の領域のそれぞれについて上記静電気力を独立して調節する静電気力調節装置を有するという構成を採用する。
この構成を採用することによって、本発明は、ベース面に対して斜めに延びて開口するノズルで囲まれた領域において空気溜まりを形成し、該囲まれた領域において、ワークを大きく撓ませながら(膨らませながら)浮上させる。そして、本発明は、該囲まれた領域の中心からの距離に応じて複数の領域に分割し、該複数の領域における静電気力を独立して調節することで、ワークの撓みに応じた適切な引き寄せを行い、ワークの撓みを最小限にし、姿勢を安定させる。
【0007】
また、本発明においては、上記静電気力調節装置は、上記中心に向かうにつれて、上記静電気力が大きくなるように、上記複数の領域の上記静電気力を独立して調節するという構成を採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、ノズルにより囲まれた領域の中心に向かうにつれて、静電気力が大きくなるように、上記複数の領域の静電気力を独立して調節することで、ワークの撓みに応じた適切な引き寄せを行う。
【0008】
また、本発明においては、上記複数の領域のうち少なくとも一つに設けられ、上記ワークと上記ベース面との間の距離を計測する距離計を有し、上記静電気力調節装置は、上記距離計の計測結果に基づいて、上記複数の領域の上記静電気力を独立して調節するという構成を採用する。
この構成を採用することによって、本発明は、上記複数の領域のうち少なくとも一つのワークとベース面との間の実際の距離に基づいて、上記複数の領域における静電気力を独立して調節し、上記複数の領域におけるワークの引き寄せを適正化する。
【0009】
また、本発明においては、上記複数の領域のうち、隣り合う領域における電極の延在方向は、互いに交差する方向であるという構成を採用する。
この構成を採用することによって、本発明は、上記複数の領域のうち、隣り合う領域における電極の延在方向を互いに交差させることで、ワークのベース面に沿う方向の意図しない滑りを抑制する。
【0010】
また、本発明においては、上記複数の領域のうち少なくとも一つに設けられ、上記ワークと上記ベース面との間の距離を計測する距離計と、上記複数の領域のうち少なくとも一つに設けられ、上記距離計の計測結果に基づいて、上記ワークと上記ベース面との間における空気の吸入あるいは空気の噴射を行う第2のノズルと、を有するという構成を採用する。
この構成を採用することによって、本発明は、上記複数の領域のうち少なくとも一つのワークとベース面との間の実際の距離に基づいて、ワークとベース面との間における空気の吸入あるいは空気の噴射を行い、ワークを浮上させる空気量を適正化する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ベース面に設けられたノズルから空気を噴き出してワークを浮上させると共に、上記ベース面に設けられた電極に電圧を印加することにより上記ワークを静電気力で上記ベース面に引き寄せる非接触式静電チャックであって、上記ノズルは、上記電極が設けられた領域の少なくとも一部を囲うと共に、上記囲まれた領域の内側に向けて上記ベース面に対し斜めに延びて開口しており、上記囲まれた領域において、該領域の中心からの距離に応じて複数の領域に分割し、該複数の領域のそれぞれについて上記静電気力を独立して調節する静電気力調節装置を有するという構成を採用することによって、ベース面に対して斜めに延びて開口するノズルで囲まれた領域において空気溜まりを形成し、該囲まれた領域において、ワークを大きく撓ませながら(膨らませながら)浮上させる。そして、本発明は、該囲まれた領域の中心からの距離に応じて複数の領域に分割し、該複数の領域における静電気力を独立して調節することで、ワークの撓みに応じた適切な引き寄せを行い、ワークの撓みを最小限にし、姿勢を安定させる。
したがって、本発明では、柔らかく剛性の低い薄物ワークでも局所変形を生じさせることなく非接触保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態における非接触式静電チャックの構成を示す平面図である。
【図2】図1における矢視A−A断面図である。
【図3】本発明の第2実施形態における非接触式静電チャックの構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0014】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態における非接触式静電チャック1の構成を示す平面図である。図2は、図1における矢視A−A断面図である。なお、図1においては、視認性を向上させるため、ベース面2aに設けられた電極3には、ハッチを付して示している。
本実施形態の非接触式静電チャック1は、例えば、厚さ10μm〜20μm程度の薄物のワークWを非接触支持しつつハンドリングする装置である。
【0015】
非接触式静電チャック1は、ベース面2aに設けられたノズル4から空気を噴きだしてワークW(図2参照)を浮上させる構成となっている。ベース面2aは、ベース部2の天部を構成する。図1に示すように、ノズル4は、電極3が設けられた領域の少なくとも一部を囲うように設けられている。本実施形態のノズル4は、平面視で矩形枠形状となって、ベース面2aに対して開口している。以下、ノズル4により囲まれた領域を、領域Xと称する。なお、ノズル4よりも外側の領域を、領域Yと称する。
【0016】
ノズル4は、図2に示すように、領域Xの内側に向けてベース面2aに対し斜めに延びて開口している。したがって、ノズル4は、領域Xに向けて四方から斜めに空気を噴き出し可能な構成となっている。ノズル流路4aは、ベース部2に形成されている。本実施形態のノズル流路4aは、隙間をあけて凹部材5に凸部材6を挿入することにより形成される。ノズル流路4aは、ベース部2の裏面側に接続されたチャンバー7内に連通している。なお、チャンバー7内には、不図示の空気供給源(ファン、ブロワ等)から空気が圧送されてくる構成となっている。
【0017】
非接触式静電チャック1は、ベース面2aに設けられた電極3に電圧を印加することにより、空気浮上したワークWを静電気力でベース面2aに引き寄せ、ワークWの姿勢を水平にして保持する構成となっている。具体的に、非接触式静電チャック1は、領域Xに設けられた電極3に電圧を印加し、ワークWを誘導帯電させ、静電気力で引き寄せを行う構成となっている。なお、領域Yに設けられた電極3は、ワークWの端に電気的な反発力を与えて、ワークWの位置保持(位置復元)を行う構成となっている。
【0018】
図1に示すように、領域Xは、その中心から距離に応じて複数の領域に分割されている。以下、領域Xの中心を含む中心部の領域を分割領域X1と称し、分割領域X1を環状に囲う領域を分割領域X2と称し、分割領域X2を環状に囲う領域を分割領域X3と称し、分割領域X3を環状に囲う領域を分割領域X4と称する。
【0019】
電極3は、ベース面2aの面方向に沿って所定ピッチのストライプ状となって直線的に延在している。複数の領域(X1、X2、X3、X4)のうち、隣り合う領域における電極3の延在方向は、互いに交差する方向となっている。本実施形態では、複数の領域(X1、X2、X3、X4)のうち、隣り合う領域における電極3の延在方向は、互いに直交する方向となっている。この構成によれば、電極3の配置が交差しているので、静電気力の作用時、ベース面2aに沿う方向の意図しないワークWの滑りを抑制することができる。
【0020】
非接触式静電チャック1は、複数の領域(X1、X2、X3、X4)のそれぞれについて静電気力を独立して調節する静電気力調節装置9を有する。静電気力調節装置9は、複数の領域(X1、X2、X3、X4)毎に、対応する不図示の電源装置を備え、各領域における電極3に印加する電圧を可変制御する構成となっている。なお、複数の領域毎に静電気力が均一となれば、複数の領域毎に電極3を直列に配線しても並列に配線しても、また、電極3の一つ一つに独立して電流を流す構成としても良い。
【0021】
複数の領域(X1、X2、X3、X4)のそれぞれには、ワークWとベース面2aとの間の距離を計測する距離計8が設けられている。距離計8は、例えば非接触式のレーザーアセンブリセンサを用いることができる。静電気力調節装置9は、距離計8と電気的に接続されており、各領域における計測結果が入力される構成となっている。そして、静電気力調節装置9は、該計測結果に基づいて、複数の領域(X1、X2、X3、X4)の静電気力を独立して調節する構成となっている。
【0022】
続いて、上記構成の非接触式静電チャック1の具体的な動作について説明する。
先ず、不図示の空気供給源から空気を圧送し、チャンバー7内を昇圧する。チャンバー7内が昇圧すると、空気がノズル流路4aに導入される。ノズル流路4aに導入された空気は、領域Xに向かう内向き流れとなって、各ノズル4からベース面2aに噴き出る。各ノズル4からベース面2aに噴き出た空気は、領域XとワークWとの間に、空気溜まりGを形成する。空気溜まりGは、ワークWをベース面2aに対し浮上させる。
【0023】
静電気力を作用させていない状態では、空気溜まりGは、ワークWを、領域Xにおいて大きく撓ませながら(膨ませながら)、浮上させる(図2において2点差線で示す)。すなわち、各ノズル4から噴き出た空気は、領域Xの四方から内側に向い、領域Xの中央において空気が合流するので、図2に示すように、空気浮上に伴うワークWの撓みを一体且つ単純にさせることができる。これにより、従来のような局所変形を伴うことなく、ワークWを浮上させることができる。また、空気浮上に伴うワークWの撓みを一体且つ単純にさせることで、以下説明するワークWの撓みに応じた適切な引き寄せを容易に行うことが可能となる。
【0024】
静電気力調節装置9は、複数の領域(X1、X2、X3、X4)のそれぞれについて静電気力を独立して調節し、ワークWをベース面2aに引き寄せ、空気浮上に伴う撓みを最小限にし、姿勢を略水平に安定させる。空気浮上に伴うワークWの撓みは、領域Xの中央部において最も大きく、端に向かうに従って徐々に小さくなる分布を有する。本実施形態の領域Xは、空気浮上に伴うワークWの撓み分布に応じて複数の領域(X1、X2、X3、X4)に分割されているので、各領域において個別に静電気力を調節することで、ワークWの姿勢を適切に安定化させることができる。
【0025】
具体的に、静電気力調節装置9は、ワークWの撓みがもっとも大きい分割領域X1において、最も大きい静電気力を発現させ、また、分割領域X2、X3、X4の順に静電気力が小さくなるように、各領域に設けられた電極3に電圧を印加する。これにより、ワークWの撓みに応じた適切な引き寄せを行う。また、静電気力調節装置9は、距離計8から出力される計測結果の差が所定の範囲内に収まるように、複数の領域(X1、X2、X3、X4)における静電気力を独立して調節する。これにより、ワークWを、精度良く水平姿勢で保持することができる。
【0026】
したがって、上述の本実施形態によれば、ベース面2aに設けられたノズル4から空気を噴き出してワークWを浮上させると共に、ベース面2aに設けられた電極3に電圧を印加することによりワークWを静電気力でベース面2aに引き寄せる非接触式静電チャック1であって、ノズル4は、電極3が設けられた領域の少なくとも一部を囲うと共に、上記囲まれた領域Xの内側に向けてベース面2aに対し斜めに延びて開口しており、上記囲まれた領域Xにおいて、該領域の中心からの距離に応じて複数の領域(X1、X2、X3、X4)に分割し、該複数の領域のそれぞれについて上記静電気力を独立して調節する静電気力調節装置9を有するという構成を採用することで、ベース面2aに対して斜めに延びて開口するノズル4で囲まれた領域Xにおいて空気溜まりGを形成し、該囲まれた領域Xにおいて、ワークWを大きく撓ませながら(膨らませながら)浮上させることができる。そして、本実施形態は、該囲まれた領域Xの中心からの距離に応じて複数の領域(X1、X2、X3、X4)に分割し、該複数の領域における静電気力を独立して調節することで、ワークWの撓みに応じた適切な引き寄せを行い、ワークWの撓みを最小限にし、姿勢を安定させることができる。
したがって、本実施形態では、柔らかく剛性の低い薄物ワークWでも局所変形を生じさせることなく非接触保持することができる。
【0027】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図3は、本発明の第2実施形態における非接触式静電チャック1の構成を示す断面図である。
図に示すように、第2実施形態の非接触式静電チャック1は、分割領域X1に設けられ、距離計8の計測結果に基づいてワークWとベース面2aとの間における空気の吸入あるいは空気の噴射を行う第2のノズル10を備えている。
【0028】
第2のノズル10は、分割領域X1において、ベース面2aに対し垂直に延びて開口している。第2のノズル10は、領域Xの中心に対応する位置に設けられている。第2のノズル流路10aは、ベース部2及びチャンバー7を貫通して設けられた管部材12により形成される。管部材12は、圧力調節装置13に接続されている。本実施形態の圧力調節装置13は、第2のノズル流路10aが連通する不図示のチャンバーを備え、該チャンバー内の圧力を可変制御する構成となっている。圧力調節装置13は、距離計8と電気的に接続され、該計測結果に基づいて、チャンバー内の圧力を制御し、第2のノズル10からの吸引あるいは噴射を行う構成となっている。
【0029】
続いて、上記構成の非接触式静電チャック1の具体的な動作について説明する。
ワークWは、ベース面2aに対し常に一定距離を保つことが好ましいが、実際には若干の変動(振動)が生じてしまう。これは、ワークWが薄物であること、及び、ノズル4からの空気量が、空気供給源(ファン、ブロワ等)の機械的振動の影響を受けることに起因する。そこで、第2実施形態では、ワークWとベース面2aとの間の距離に基づいて、第2のノズル10からワークWとベース面との間における空気の吸入あるいは空気の噴射を行い、ワークWを浮上させる空気量を適正化させる。
【0030】
具体的には、圧力調節装置13により不図示のチャンバー内及び第2のノズル流路10a内を所定の圧力に保つ。この所定の圧力は、ワークWをベース面2aに対し所定距離で浮上させるときの空気溜まりGの理想的な圧力となるように設定する。この構成によれば、上記変動により、ノズル4からの空気量が下がり、空気溜まりGの圧力が、設定した圧力よりも低下すると、圧力差で第2のノズル10から空気が噴射・供給される。一方、上記変動により、ノズル4からの空気量が上がり、空気溜まりGの圧力が、設定した圧力よりも増加すると、圧力差で第2のノズル10に空気が吸入される。このように、第2実施形態では、第2のノズル10によって、ワークWを浮上させる空気量を適正化させることで、ワークWの変動を低減させることができる。したがって、ワークWの精度の良い保持が可能となる。
【0031】
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0032】
例えば、上記実施形態では、領域Xを中心からの距離に応じて4つの領域(X1、X2、X3、X4)に分割して、静電気力を調節する構成について説明したが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、分割する領域数は2つ以上あればよい。
【0033】
また、例えば、上記実施形態では、距離計8を、複数の領域(X1、X2、X3、X4)のそれぞれに設けたが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、上記複数の領域のうち少なくとも一つに設ける構成であってもよい。
【0034】
また、例えば、上記実施形態では、ノズル4は、領域Xを平面視で矩形にして囲う構成について説明したが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、例えば、円形あるいは他の多角形にして囲う構成であってもよい。
【0035】
また、例えば、上記実施形態では、第2のノズル10を分割領域X1に設けた構成について説明したが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、複数の領域(X1、X2、X3、X4)のうち少なくとも一つに設ける構成であってもよい。
【符号の説明】
【0036】
1…非接触式静電チャック、2a…ベース面、3…電極、4…ノズル、8…距離計、9…静電気力調節装置、10…第2のノズル、W…ワーク、X…領域(囲まれた領域)、X1,X2,X3,X4…分割領域(複数の領域)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース面に設けられたノズルから空気を噴き出してワークを浮上させると共に、前記ベース面に設けられた電極に電圧を印加することにより前記ワークを静電気力で前記ベース面に引き寄せる非接触式静電チャックであって、
前記ノズルは、前記電極が設けられた領域の少なくとも一部を囲うと共に、該囲まれた領域の内側に向けて前記ベース面に対し斜めに延びて開口しており、
前記囲まれた領域において、該領域の中心からの距離に応じて複数の領域に分割し、該複数の領域のそれぞれについて前記静電気力を独立して調節する静電気力調節装置を有することを特徴とする非接触式静電チャック。
【請求項2】
前記静電気力調節装置は、前記中心に向かうにつれて、前記静電気力が大きくなるように、前記複数の領域の前記静電気力を独立して調節することを特徴とする請求項1に記載の非接触式静電チャック。
【請求項3】
前記複数の領域のうち少なくとも一つに設けられ、前記ワークと前記ベース面との間の距離を計測する距離計を有し、
前記静電気力調節装置は、前記距離計の計測結果に基づいて、前記複数の領域の前記静電気力を独立して調節することを特徴とする請求項1または2に記載の非接触式静電チャック。
【請求項4】
前記複数の領域のうち、隣り合う領域における電極の延在方向は、互いに交差する方向であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の非接触式静電チャック。
【請求項5】
前記複数の領域のうち少なくとも一つに設けられ、前記ワークと前記ベース面との間の距離を計測する距離計と、
前記複数の領域のうち少なくとも一つに設けられ、前記距離計の計測結果に基づいて、前記ワークと前記ベース面との間における空気の吸入あるいは空気の噴射を行う第2のノズルと、を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の非接触式静電チャック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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