説明

非接触給電装置の位置合わせシステム

【課題】第1に、左右方向の位置ずれ情報等の位置ずれ情報を、提供可能であり、第2に、しかもこれは、簡単容易に実現される、非接触給電装置の位置合わせシステムを、提案する。
【解決手段】この位置合わせシステムは、車輌B等と地上A側の一方に磁石15が、他方に1対のリードスイッチ16が配設されている。両リードスイッチ16は、相互間のセンターラインDの両側に振り分けて配設され、給電前の位置合わせに際し、磁石15の磁界をエアギャップを存して検出可能である。そして磁石15が、センターラインDに対応位置する場合に、非接触給電装置1の1次側コイル3に2次側コイル5が対応位置する関係に、設定されている。もって、両リードスイッチ16の検出信号に基づき、1次側コイル3に2次側コイル5が対応位置しているか否かの位置ずれ情報を、提供可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触給電装置の位置合わせシステムに関する。すなわち、地上側から車輌等の移動体側に非接触で電力を供給する、非接触給電装置の位置合わせシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
《技術的背景》
ケーブル等の機械的接触なしで、例えば電気自動車等の車輌に、外部から電力を供給する非接触給電装置が、需要に基づき開発,実用化されている。
この非接触給電装置では、電磁誘導の相互誘導作用に基づき、地上側に定置された1次側コイルから、車輌その他の移動体側に搭載された2次側コイルに、数10mm〜数100mm程度のエアギャップを存して対応位置しつつ、電力を供給する(後述する図6も参照)。
【0003】
《従来技術》
このような非接触給電装置による給電に際しては、地上側に定置された1次側コイルに対し、車輌等の移動体側に搭載された2次側コイルが、対応位置していることが必要である。位置ずれなく対応位置していることが、給電効率上の重要ポイントの1つとなる。
例えば、地上側の1次側コイルと車輌側等の2次側コイルとが、上下で対応位置して給電が行われる代表例では、1次側コイルに対し2次側コイルが、前後方向や左右方向に位置ずれなく位置合わせされ、対応位置していることが、必要である。
これに対し、この種従来例では、車輌等の運転者が目視で、道路等の地上側に設けられた目印を頼りに、低速走行しつつステアリング操作することにより、このような位置合わせを行っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
上述した非接触給電装置としては、例えば、次の特許文献1,特許文献2に示されたものが挙げられる。
【特許文献1】特開2008−087733号公報
【特許文献2】特開2010−035300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
《問題点》
ところで、このような従来例については、次の課題が指摘されていた。すなわち、地上側の1次側コイルに車輌側等の2次側コイルを対応位置させる際、両者の前後方向の位置合わせは容易であるが、両者の左右方向の位置合わせが容易でない、という問題が指摘されていた。
車輌等の前後方向(走行方向)については、比較的位置合わせし易く、例え前後位置が合わない場合でも、前後動操作により簡単に素早く微調整可能,補正可能である(車輌等の前後ストップ位置の問題である)。
これに対し、前後方向と直交する左右方向については、位置ずれが分かりにくいことに起因して、ステアリング操作による位置合わせが容易でなかった。もって、運転者に対し左右方向の位置ずれ情報を提供するシステムの構築が、切望されていた。
なお、このような課題は、1次側コイルと2次側コイルとが、上述したように上下で対応位置して給電が行われる例に限らず、その他の位置関係で対応位置して給電が行われる場合についても、同様に提起される。
【0006】
《本発明について》
本発明の非接触給電装置の位置合わせシステムは、このような実情に鑑み、上記従来技術の課題を解決すべくなされたものである。
そして本発明は、第1に、左右方向等の位置ずれ情報を、提供可能であり、第2に、しかもこれが、簡単容易に実現される、非接触給電装置の位置合わせシステムを提案することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
《各請求項について》
このような課題を解決する本発明の技術的手段は、特許請求の範囲に記載したように、次のとおりである。
請求項1については、次のとおり。請求項1の位置合わせシステムは、電磁誘導の相互誘導作用に基づき、地上側に定置された1次側コイルから、車輌その他の移動体側に搭載された2次側コイルに、エアギャップを存して対応位置しつつ、電力を供給する非接触給電装置において、使用される。
そして、該移動体側と該地上側のいずれか一方に、磁石が配設されると共に、他方に、1対のリードスイッチが配設されている。該移動体は、給電前の位置合わせに際し、該1次側コイルに対し該2次側コイルが対応位置すること、を目標として走行進入する。
両該リードスイッチは、相互間のセンターラインの両側に振り分けて配設されており、給電前の位置合わせに際し、共に該磁石の磁界をエアギャップを存して検出可能である。
そして該磁石が、該センターラインに対応位置する場合は、該2次側コイルが、該1次側コイルに対応位置する関係に、設定されている。もって、両該リードスイッチの検出信号に基づき、該1次側コイルに対し該2次側コイルが対応位置しているか否かの位置ずれ情報を、提供可能となっていること、を特徴とする。
【0008】
請求項2については、次のとおり。請求項2の非接触給電装置の位置合わせシステムでは、請求項1において、該1次側コイルに対し該2次側コイルが、上下で対応位置して給電が行われると共に、該センターラインが、走行方向である前後方向に沿って設定されている。
もって、両該リードスイッチの検出信号に基づき、該1次側コイルに対し該2次側コイルが、左右方向において対応位置しているか否かの左右位置ずれ情報を、提供可能となっていること、を特徴とする。
請求項3については、次のとおり。請求項3の非接触給電装置の位置合わせシステムでは、請求項1において、該磁石は、複数個が直列配設されていること、を特徴とする。
請求項4については、次のとおり。請求項4の非接触給電装置の位置合わせシステムでは、請求項1において、両該リードスイッチの検出信号として生成されるパルスの状態に基づき、位置ずれ情報を提供可能であること、を特徴とする。
【0009】
請求項5については、次のとおり。請求項5の非接触給電装置の位置合わせシステムでは、請求項1において、該磁石と該リードスイッチのいずれか一方が、給電前の位置合わせに際し回転される。
そして、該リードスイッチが回転される場合は、対応位置するコイル間での電磁誘導の相互誘導作用に基づき、受電側回路の該リードスイッチに非接触で検出用に給電されると共に、該リードスイッチの検出信号が、給電側の1次側回路の電圧変化を利用して、非接触で検知されること、を特徴とする。
請求項6については、次のとおり。請求項6の非接触給電装置の位置合わせシステムでは、請求項1において、該磁石として、交流駆動の電磁石が使用されると共に、該リードスイッチに代えて、半導体磁気抵抗素子を備えた半導体センサーが使用される。もって該半導体センサーが、該電磁石の磁界を検出可能となっていること、を特徴とする。
【0010】
《作用等について》
本発明は、このような手段よりなるので、次のようになる。
(1)この位置合わせシステムは、地上側と車輌等の移動体側とに、磁石と1対のリードスイッチとを配設してなる。
(2)そして磁石が、両リードスイッチ間のセンターラインに、対応位置すると、非接触給電装置の車輌等側の2次側コイルが、地上側の1次側コイルに対応位置する関係となっている
(3)このような関係に基づき、1次側コイルに対し2次側コイルが対応位置しているか否か、例えば左右方向に位置ずれしているか否かの位置ずれ情報を、提供可能である。
(4)すなわち、両リードスイッチの検出信号に基づき、位置ずれ情報が提供される。
(5)具体的には、両リードスイッチからそれぞれ検出,生成されるパルスの状態から、1次側コイルに対する2次側コイルの位置関係が判別される。
(6)この位置ずれ情報に基づき、車輌等の運転者は、1次側コイルに2次側コイルを対応位置させるべく、ステアリング操作等することになる。
(7)それから非接触給電装置にて、1次側コイルから2次側コイルへの給電が、給電効率に優れつつ実施される。
(8)なお、この位置合わせシステムは、磁石,リードスイッチ,付帯部材等を付加した、簡単な構成よりなる。
(9)さてそこで、本発明の非接触給電装置の位置合わせシステムは、次の効果を発揮する。
【発明の効果】
【0011】
《第1の効果》
第1に、左右方向等の位置ずれ情報を、提供可能となる。すなわち、本発明の非接触給電装置の位置合わせシステムでは、給電前の位置合わせに際し、磁石の磁界を、振り分け配設された両リードスイッチが、検出可能となっている。
そして、パルスとして生成される検出信号の状態から、1次側コイルに対し2次側コイルが対応位置しているか否かの位置ずれ情報を、提供可能となっている。1次側コイルと2次側コイルとが、上下で対応位置して給電が行われる場合は、左右方向の位置ずれ情報を、提供可能となる。
もって、車輌等の移動体の運転者等は、このような位置ずれ情報に基づき、容易に左右方向等の位置ずれを察知,認識することができる。これに基づき、ステアリング操作等により、簡単容易に位置ずれを微調整可能,補正可能となり、地上側の1次側コイルに対し移動体側の2次側コイルを、対応位置させることが可能となる。
特に、降雪地においては、路面に描かれたラインマークを基準に位置を合わせる方法が困難であり、本発明は極めて有効である。
【0012】
《第2の効果》
第2に、しかもこれは、簡単容易に実現される。本発明の非接触給電装置の位置合わせシステムでは、簡単な構成により、上述した第1の点が容易に実現される。
すなわち、この位置合わせシステムは、従来よりの非接触給電装置について、磁石,リードスイッチ,これらの付帯関連部材等を、後付けで付加しただけの簡単な構成よりなり、コスト負担も少ない。
このように、この種従来例に存した課題がすべて解決される等、本発明の発揮する効果は、顕著にして大なるものがある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る非接触給電装置の位置合わせシステムについて、発明を実施するための形態の説明に供し、底面や平面の説明図であり、(1)図は、位置合わせ前を示し、(2)図は、位置合わせ後を示す。
【図2】同発明を実施するための形態の説明に供し、磁石と両リードスイッチとの位置関係、および対応したパルス波形を示し、(1)図は、位置ずれのない状態、(2)図(3)図,(4)図は、位置ずれが次第に大となっている状態を示す。
【図3】同発明を実施するための形態の説明に供し、(1)図は、磁石とリードスイッチの正面図、(2)図は、制御部等の構成ブロック図である。
【図4】同発明を実施するための形態の説明に供し、電磁石と半導体センサーを用いた例の概略正面図であり、(1)図は、その全体を示し、(2)図は、電磁石を示す。
【図5】非接触給電装置の説明に供し、回路図である。
【図6】非接触給電装置の説明に供し、(1)図は、全体説明図、(2)図は、構成ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態について、詳細に説明する。
《非接触給電装置1について》
まず、本発明の前提となる非接触給電装置1について、図5や図6を参照して、一般的に説明する。
非接触給電装置1は、電磁誘導の相互誘導作用に基づき、1次側回路2の1次側コイル3から、2次側回路4の2次側コイル5に、エアギャップGを存して非接触で対応位置しつつ、電力を供給する。1次側回路2は、地上A側に定置配設されており、2次側回路4は、車輌B側等の移動体に搭載されている。
【0015】
このような非接触給電装置1について、更に詳述する。まず、給電側,トラック側,1次側の1次側回路2は、給電スタンドCその他の給電エリアにおいて、地面,路面,床面,その他の地上A側に、定置配置されている。
これに対し、受電側,ピックアップ側,2次側の2次側回路4は、電気自動車(EV車)や電車等の車輌B,その他の移動体に搭載されている。2次側回路4は、駆動用の他、非駆動用としても利用可能であり、図6中に示したように車載の電池6に接続されるのが代表的であるが、図5中に示したように、各種負荷Lに直接接続される場合もある。
そして、1次側回路2の1次側コイル3と2次側回路4の2次側コイル5とは、給電に際し、数10mm〜数100mm、例えば50mm〜150mm程度の僅かな間隙空間であるエアギャップGを存しつつ、非接触で近接して対応位置される。図示例では、上下で対応位置される。
又、給電に際しては、2次側コイル5が、1次側コイル3上等で停止される停止給電方式が代表的であり、停止給電方式の場合は、1次側コイル3と2次側コイル5とは、上下等で対をなしうる対称構造よりなる。これに対し、2次側コイル5が1次側コイル3上を低速走行しつつ給電を行う移動給電方式も、可能である。
【0016】
1次側回路2の1次側コイル3は、高周波インバータが使用される電源7に接続されている。図5中、8はチョークコイル、9は直列共振用のキャパシタ、10は並列共振用のキャパシタである。
2次側回路4の2次側コイル5は、図6の例では電池6に接続可能となっており、給電により充電された電池6にて、走行用のモータ11が駆動される。図6中12は、交流を直流に変換するコンバータ、13は、直流を交流に変換するインバータであり、図5中、14は並列共振用のキャパシタである。
1次側コイル3や2次側コイル5は、複数回巻回ターン方式の扁平なフラット構造をなす。
【0017】
電磁誘導の相互誘導作用については、次のとおり。給電に際し、対応位置する1次側コイル3と2次側コイル5間において、1次側コイル3での磁束形成により、2次側コイル5に誘導起電力を生成させ、もって1次側コイル3から2次側コイル5に電力を供給することは、公知公用である。
すなわち、1次側回路2の1次側コイル3に、電源7から例えば10kHz〜100kHz程度の高周波交流を励磁電流として通電することにより、磁界が1次側コイル3の周囲に生じ、磁束がコイル面に対して直角方向に形成される。そして、このように形成された磁束が、2次側回路4の2次側コイル5を貫き鎖交することにより、誘導起電力が生成され、もって磁場が形成され、磁界を利用して電力が送受される。数kW以上、例えば数10kW〜数100kW程度の電力供給も可能である。
非接触給電装置1は、一般的にはこのようになっている。
【0018】
《本発明の概要》
以下、図1〜図4を参照して、本発明について説明する。まず、本発明の概要については、次のとおり。
本発明の非接触給電装置1の位置合わせシステムでは、車輌B等の移動体側と地上A側のいずれか一方に、磁石15が配設されると共に、他方に、1対のリードスイッチ16が配設されている。車輌B等の移動体は、給電前の位置合わせに際し、1次側コイル3に対し2次側コイル5が対応位置すること、を目標として走行進入する。
両リードスイッチ16は、相互間のセンターラインDの両側に振り分け配設され、共に、給電前の位置合わせに際し、磁石15の磁界をエアギャップGを存して検出可能である。又、磁石15が、センターラインDに対応位置する場合は、2次側コイル5が、1次側コイル3に対応位置する関係に、設定されている。
もって、両リードスイッチ16の検出信号に基づき、1次側コイル3に対し2次側コイル5が対応位置しているか否かの位置ずれ情報を、提供可能となっている。
本発明の概要については、以上のとおり。
【0019】
《リードスイッチ16や磁石15等について》
このような、本発明の非接触給電装置1の位置合わせシステムについて、図1〜図3を参照して、更に詳述する。まず、リードスイッチ16や磁石15等について説明する。
図示例の車輌Bは、例えばバスよりなり、1次側コイル3に対し2次側コイル5が、上下で対応位置して給電が行われるようになっている。
そして、受電側,ピックアップ側,2次側の車輌Bの床面下には、2次側コイル5が搭載されると共に、この2次側コイル5に隣接して、リードスイッチ16が1対配設されている。
2次側コイル5とリードスイッチ16とは、図1の例では、車輌Bの前後方向(走行方向)Eに隣接配設され、図3の例では、左右方向Fに隣接配設されている。勿論、両者が隣接配設されることは必須的ではなく、車輌B等の適宜部位に離れて搭載,配設するようにしてもよい。
そして、両リードスイッチ16は、図示例では前後方向Eに沿って設定されたセンターラインD(仮想線)を中心に、左右両側に振り分け配設されている。
リードスイッチ16は、その開閉接点が、磁石15の磁界による励磁の有無によって、オンオフ,スイッチングされ、もって磁界変化を電圧変化として検出する。つまりリードスイッチ16は、磁石15が接近するとスイッチオンし、離れるとスイッチオフする。
【0020】
これに対し、給電側,トラック側,1次側の地上A側では、図示例では地面,路面,床面上に、1次側コイル3が配設されると共に、この1次側コイル3に隣接して、磁石15が配設されている。
1次側コイル3と磁石15とは、図1の例では、車輌Bの走行方向である前後方向Eに隣接配設され、図3の例では、左右方向Fに隣接配設されている。勿論、両者は隣接配設される必要はなく、離れて配設することも可能である。
磁石15としては、永久磁石が使用される。磁石15の数は1個でも可能であるが、図示例では、複数個が前後方向Eに沿い、N極,S極の磁極の向きを揃えつつ、直列配設されている。例えば数10cm程度の間隔を置いて、一直線に配置されている。
なお図示例では、停止給電方式であることに鑑み、車輌Bが徐々にスピードダウンして行くので、前後方向Eの前進方向に向け、間隔が徐々に狭くなるように配置されている。これによらず、等ピッチ間隔で配置するようにしてもよい。
リードスイッチ16や磁石15等については、以上のとおり。
【0021】
《制御部17等について》
次に、制御部17等について説明する。上述したように、両リードスイッチ16は、給電前の位置合わせに際し、磁石15の磁界を、エアギャップGを介して検出可能となっている。そして両リードスイッチ16が、磁石15を通過する際の接点のオンオフ,スイッチングにより、オン電圧が間欠的に発生し、その繰り返しにより検出信号として生成,送出されるパルスが、図3の(2)図に示したように、車輌B側に配設された制御部17に入力される。
そして制御部17は、リードスイッチ16の検出信号つまりパルスの状態に基づき、位置ずれ情報を提供可能である。図示例では、1次側コイル3に対し2次側コイル5が、左右方向Fにおいて対応位置しているか否かについて、左右方向に関する位置ずれ情報を、提供可能である。
制御部17としては、専用プログラムが読み込まれたマイクロコンピュータや、コンパレーター等を備えた信号処理手段が使用される。そして磁石15が、両リードスイッチ16間のセンターラインDに対応位置する場合に、2次側コイル5が、1次側コイル3に対し左右方向Fにおいて対応位置する関係に設定されていること、を前提に、入力されるパルスの状態(パルス幅)に基づき、位置ずれ情報を提供可能となっている。
【0022】
これらについて、更に詳述する。まず、図2の(1)図に示したように、磁石15が、両リードスイッチ16,16のセンターラインDに対応位置しつつ移動する場合は、図示のようなパルスP,P波形となり、次のように判別される。
すなわち、両側の両リードスイッチ16,16のパルスP,Pのオンオフ状態、つまりパルス幅の広狭は共通となり、共にパルスレベルが可の状態と考えられる。磁石15の磁界接近により、リードスイッチ16,16が共に同時にオンし、もって、そのオン時間だけパルス幅が表われる。
もって、1次側コイル3に対し2次側コイル5が、左右方向Fにおいて対応位置していると判別され、その旨の位置ずれ情報が提供される。
【0023】
これに対し、図2の(2)図,(3)図,(4)図に示したように、磁石15が、両リードスイッチ16,16のセンターラインDに対応位置せず、一方のリードスイッチ側に偏って位置する場合は、それぞれ図示のようなパルスP,P波形となり、次のように判別される。
すなわち、一方のリードスイッチ16のパルスPのオンが早く始まり、オン状態(パルス幅)が長くなるのに対し、他方のリードスイッチ16のパルスPのオンが遅く始まり、オン状態(パルス幅)は、次第に短く、更には無となって行き、パルスレベルが不可の状態と考えられる。
もって、1次側コイル3に対し2次側コイル5が、左右方向Fにおいて対応位置していないと判別され、その旨の位置ずれ情報が提供される。(2)図の状態より(3)図の状態、(3)図の状態より(4)図の状態と、両者の位置ずれが拡大している。
そして、このような制御部17と共に、図3の(2)図に示したように、表示部18が車輌B側に配設されている。
表示部18は、制御部17の出力信号に基づき、上述した各種位置ずれ情報を、車輌Bの運転者等に対し、ランブ表示灯の点滅等により、伝達可能となっている。例えば、上記図2の(1)図,(2)図,(3)図,(4)図の各段階に対応した、多段式のランプ表示が実施される。
制御部17等については、以上のとおり。
【0024】
《作用等》
本発明の非接触給電装置1の位置合わせシステムは、以上説明したように構成されている。そこで、以下のようになる。
(1)この位置合わせシステムでは、地上A側と車輌B側等の移動体とに、磁石15と1対のリードスイッチ16とが、配設されている。図示例では、地上A側に磁石15が、車輌B側にリードスイッチ16が、それぞれ配設されている。
そしてリードスイッチ16は、相互のセンターラインDの両側に振り分け配設されており、給電前の位置合わせに際し、両リードスイッチ16が、それぞれ磁石15の磁界をエアギャップGを存して、検出可能である(図1を参照)。
図示例では、前後方向Eに沿ったセンターラインDの左右両側に、両リードスイッチ16が配設されており、左右両側でそれぞれ、磁石15の磁界を検出可能となっている。
【0025】
(2)そして、給電前の位置合わせに際し、車輌B等の移動体は、非接触給電装置1の地上A側の1次側コイル3に対し、車輌B等の移動体側の2次側コイル5が、対応位置することを目標として、走行進入する。
ところで、1次側コイル3に対し2次側コイル5が対応位置すると、磁石15が、リードスイッチ16間のセンターラインDに対応位置する関係と、なっている(図1の(2)図,図2の(1)図を参照)。
【0026】
(3)このような関係に基づき、この位置合わせシステムでは、1次側コイル3に対し2次側コイル5が、対応位置しているか否かの位置ずれ情報を提供可能となっている。
図示例のように、1次側コイル3と2次側コイル5とが、上下で対応位置して給電が行われる場合は、左右方向Fに位置ずれしているか否かの位置ずれ情報を、提供可能となっている(図1,図3の(1)図を参照)。
【0027】
(4)すなわち、両リードスイッチ16にて検出される検出信号の状態、つまり生成そして送出されるパルスPの状態が、制御部17で判別される(図3の(2)図を参照)。これに基づき、1次側コイル3と2次側コイル5間の位置ずれ情報を、提供可能となっている。
【0028】
(5)更に具体的には、図2に示したように、両リードスイッチ16,16でそれぞれ検出されるパルスP,Pの状態、つまりそのパルス幅の広狭を比較,観察することにより、1次側コイル3と2次側コイル5とが対応位置しているか否かが、判別される。
リードスイッチ16,16間のセンターラインDに、磁石15が対応位置しつつ移動している場合は、両リードスイッチ16,16共に共通なパルスP,Pが、検出信号として送出される(図2の(1)図を参照)。もって、1次側コイル3と2次側コイル5とが対応位置している旨、判別される。
これに対し、リードスイッチ16,16間のセンターラインDに、磁石15が対応位置していない場合、例えば、一方のリードスイッチ16のパルス幅が広くなるのに対し、他方のリードスイッチ16のパルス幅は狭く、更には無となる(図2の(2)図,(3)図,(4)図を参照)。もって、1次側コイル3と2次側コイル5とが対応位置していない旨、判別される。
【0029】
(6)このように制御部17で得られた位置ずれ情報は、表示部18にて表示される(図3の(2)図を参照)。
そこで、車輌B等の移動体の運転者は、このような位置ずれ情報に基づき、左右方向Fの位置ずれを察知,認識可能となる。
これに基づき、低速走行する車輌B等のステアリング操作等により、地上A側の1次側コイル3に対し、車輌B等の移動体側の2次側コイル5を、対応位置させることが可能となる。
図2の例では、給電前の位置合わせのため低速走行される車輌B等を(図1の(1)図を参照)、図2の(4)図の大きな位置ずれ状態から、(3)図の位置ずれ状態、そして(2)図の位置ずれ状態へとステアリングさせ、最終的には、(1)図の位置ずれのない状態とする(図1の(2)図を参照)。
【0030】
(7)さて、このように位置合わせシステムにより、1次側コイル3に対し2次側コイル5を、対応位置させてから、非接触給電装置1による給電が開始される。
すなわち、電磁誘導の相互誘導作用に基づき、地上A側の1次側コイル3,1次側回路2から、車輌B等の移動体側の2次側コイル5,2次側回路4に向け、給電が実施される。この給電は、1次側コイル3に対し2次側コイル5が、対応位置しているので、給電効率に優れて実施される。
【0031】
(8)なお、この位置合わせシステムは、非接触給電装置1に対し、磁石15とリードスイッチ16と付帯,関連部材とを、後付けで付加した簡単な構成よりなる。
作用等については、以上のとおり。
【0032】
《本発明の展開等》
さて、本発明の非接触給電装置1の位置合わせシステムは、更に、以下の第1,第2,第3,第4,第5,第6,第7,第8のような構成が、考えられる。
第1に、対応位置するという概念について検討する。本明細書において対応位置するとは、中心線を一致させる等により、寸法的に完全にピッタリと位置合わせされている場合の外、寸法的に若干齟齬し食い違いつつ、ほぼ向き合って位置合わせされている場合をも、包含する。
すなわち、対応位置するという語は、広い意味にて使用される。2次側コイル5が1次側コイル3に対応位置するか否か、磁石15がセンターラインDに対応位置するか否かの構成は、このように解釈される。
【0033】
第2に、リードスイッチ16等の回転について検討する。磁石15とリードスイッチ16のいずれか一方を、給電前の位置合わせに際し軸廻りで回転するようにすることが、考えられる。
図3の(1)図の図示例では、車輌B側の両リードスイッチ16が水平面で回転するようになっている。図中、19は回転駆動用のステッピングモータやDCモータ等のモータ、20はそのドライバ、21は動力伝達用のプーリ、22は、プーリ21間に掛け渡されたベルトである。
このようにリードスイッチ16又は磁石15を回転させる理由は、検出精度の向上、誤検出の回避にある。
すなわち、リードスイッチ16は公知のように、感度分布がその感度特性上一様ではなく、感度にバラツキが存し、誤検出発生の虞がある。これに対し、このようにリードスイッチ16を回転させるか、又は磁石15を回転させることにより、誤検出回避による検出精度の向上、そして位置合わせシステムの信頼性向上が図られる。
【0034】
第3に、この場合の信号伝達方式について検討する。上述したようにリードスイッチ16を回転させる場合は、接触式でも良いが非接触式ならば、次のように給電と信号伝達とが行われる。
両リードスイッチ16は、それぞれ個別に、付設されて対応位置する専用のコイル間での電磁誘導の相互誘導作用に基づき検出用に給電されると共に、両リードスイッチ16の検出信号のオンオフ変化は、それぞれ個別にその結果として起きるその給電側回路の電圧変化を利用して、非接触で検知される。
すなわち、回転されるリードスイッチ16は、その給電が、コイル間での電磁誘導作用に基づき非接触で実施される。これと共に、非接触給電の受電側回路のリードスイッチ16でのオンオフ変化は、給電側回路の電圧変化となってあらわれるので、例えばこれをCTコイルを使用して取り出して、制御部17に伝達する。
これらは、例えば前述した図5の非接触給電装置に準じた装置により実施され、図5図中の負荷Lがリードスイッチ16に相当するが、図5の例とは異なり、この場合は給電側回路である1次側回路2も車載される。図5の1次側回路2の電源7は、図6のインバータ13に相当する。
【0035】
第4に、コイルの位置関係について検討する。図1等に示した例では、地上A側の1次側コイル3に対し車輌B側等の2次側コイル5が、上下で対応位置して給電が行われるが、本発明の位置合わせシステムは、これに限定されるものではなく、両者間の各種の対応位置関係にも、広く適用可能である。
例えば、1次側コイル3が、地上A側の地面や路面ではなく、地上A側の壁面等に配設され、2次側コイル5が、車輌B側等の床面ではなく、車輪B側等の側面,天井面,背面,前面等に配設されるケースが考えられる。これらの場合には、1次側コイル3に対し2次側コイル5が、斜め,左右,又は横並び等で対応位置して給電が実施されるが、このようなケースにも本発明は適用可能である。
【0036】
第5に、リードスイッチ16の配設位置等について検討する。図1等の図示例において、両リードスイッチ16のセンターラインDは、車輌B等の前後方向(走行方向)Eに沿うと共に、車輌Bの前後方向Eに沿ったセンターライン(図示せず)と一致していたが、本発明の位置合わせシステムは、これらに限定されるものではない。
例えば、両リードスイッチ16の前後方向Eに沿ったセンターラインDが、車輌B等の側端部に位置するようにしてもよい。この場合は勿論、両リードスイッチ16も側端部に配設される。更に、センターラインDが、車輌B等の前後方向Eに沿わず、斜め方向に向くようにしてもよい。
【0037】
第6に、リードスイッチ16や磁石15の配設対象について検討する。図1等に示した例では、磁石15が地上A側に配設され、リードスイッチ16が車輌B側等に配設されていたが、その逆も可能である。
すなわち、磁石15を車輌B側等に配設し、リードスイッチ16を地上A側に配設することも考えられる。この場合は、地上A側のリードスイッチ16の検出信号に基づく制御部17での位置ずれ情報を、車輌B側等にて認識させる表示伝達手段が、地上A側に付設される。
【0038】
第7に、回転する構成の配設について検討する。前記第2のように、リードスイッチ16又は磁石15を回転させる構成が考えられると共に、上記第6のように、リードスイッチ16を地上A側に配設する構成も考えられる。
しかし、地上A側で磁石15又はリードスイッチ16を回転させる構成、つまり地面,路面,床面等に回転部,可動部を設ける構成は、その設置等が困難であり、メンテナンスも容易でない。もって、磁石15やリードスイッチ16を回転させる構成は、車輌B等側で採用するのがベターである。
【0039】
第8に、半導体センサー23等の採用について検討する。本発明の位置合わせシステムについて、図4に示したように、磁石15として、交流駆動の電磁石24を使用すると共に、リードスイッチ16に代えて、半導体磁気抵抗素子を備えた半導体センサー23を使用し、もって半導体センサー23が、電磁石24の磁界を検出することが考えられる。
すなわち、前述した第2のように、リードスイッチ16の検出精度向上、そして位置合わせシステムの信頼性向上のため、リードスイッチ16や磁石15を回転させる構成が、図3の図示例では採用されていた。しかし、同様な目的は、このように半導体センサー23と電磁石24を採用することによっても、達成可能である。
なお図4の例では、半導体センサー23が車輌B等側に、電磁石24が地上A側に配設されているが、その逆の配設も可能である。つまり、半導体センサー23を地上A側に、電磁石24を車輌B側等に配設するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 非接触給電装置
2 1次側回路
3 1次側コイル
4 2次側回路
5 2次側コイル
6 電池
7 電源
8 チョークコイル
9 キャパシタ
10 キャパシタ
11 モータ
12 コンバータ
13 インバータ
14 キャパシタ
15 磁石
16,16,16 リードスイッチ
17 制御部
18 表示部
19 モータ
20 ドライバ
21 プーリ
22 ベルト
23 半導体センサー
24 電磁石
25 電源
A 地上
B 車輌
C 給電スタンド
D センターライン
E 前後方向
F 左右方向
G エアギャップ
L 負荷
P,P,P パルス


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁誘導の相互誘導作用に基づき、地上側に定置された1次側コイルから、車輌その他の移動体側に搭載された2次側コイルに、エアギャップを存して対応位置しつつ、電力を供給する非接触給電装置において、
該移動体側と該地上側のいずれか一方に、磁石が配設されると共に、他方に、1対のリードスイッチが配設されており、該移動体は、給電前の位置合わせに際し、該1次側コイルに対し該2次側コイルが対応位置すること、を目標として走行進入し、
両該リードスイッチは、相互間のセンターラインの両側に振り分けて配設されており、給電前の位置合わせに際し、共に該磁石の磁界をエアギャップを存して検出可能であり、
該磁石が、該センターラインに対応位置する場合は、該2次側コイルが、該1次側コイルに対応位置する関係に、設定されており、
両該リードスイッチの検出信号に基づき、該1次側コイルに対し該2次側コイルが対応位置しているか否かの位置ずれ情報を、提供可能となっていること、を特徴とする非接触給電装置の位置合わせシステム。
【請求項2】
請求項1において、該1次側コイルに対し該2次側コイルが、上下で対応位置して給電が行われると共に、該センターラインが、走行方向である前後方向に沿って設定されており、
両該リードスイッチの検出信号に基づき、該1次側コイルに対し該2次側コイルが、左右方向において対応位置しているか否かの左右位置ずれ情報を、提供可能となっていること、を特徴とする非接触給電装置の位置合わせシステム。
【請求項3】
請求項1において、該磁石は、複数個が直列配設されていること、を特徴とする非接触給電装置の位置合わせシステム。
【請求項4】
請求項1において、両該リードスイッチの検出信号として生成されるパルスの状態に基づき、位置ずれ情報を提供可能であること、を特徴とする非接触給電装置の位置合わせシステム。
【請求項5】
請求項1において、該磁石と該リードスイッチのいずれか一方が、給電前の位置合わせに際し回転され、
該リードスイッチが回転される場合は、付設されて対応位置するコイル間での電磁誘導の相互誘導作用に基づき、受電側回路の該リードスイッチに非接触で検出用に給電されると共に、該リードスイッチの検出信号が、給電側回路の電圧変化を利用して、非接触で検知されること、を特徴とする非接触給電装置の位置合わせシステム。
【請求項6】
請求項1において、該磁石として、交流駆動の電磁石が使用されると共に、該リードスイッチに代えて、半導体磁気抵抗素子を備えた半導体センサーが使用され、もって該半導体センサーが、該電磁石の磁界を検出可能となっていること、を特徴とする非接触給電装置の位置合わせシステム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−16106(P2012−16106A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−148499(P2010−148499)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000187208)昭和飛行機工業株式会社 (72)
【Fターム(参考)】