説明

非接触電力伝送装置

【課題】非接触で電力伝送する装置において、受電ユニットの負荷電流が小さくなっても整流平滑回路の出力電圧を抑制させて充電制御回路の電子部品の破損を防止することを目的とする。
【解決手段】受電ユニット20は整流平滑回路2と充電制御回路3との間に出力電圧制御回路5aを具え、出力電圧制御回路5aはオンオフタイマーを具えた制御IC6と、第1、第2のスイッチング素子Q1、Q2と、定電圧素子Vzを具え、軽負荷時における基準電圧を超えた出力電圧に対し、制御IC6で第1、第2のスイッチング素子Q1、Q2を制御し、定電圧素子Vzをオンオフする間欠型定電圧回路を具える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力電源に接続される電力伝送回路と送電コイルと1次共振コンデンサとを有する送電ユニットと蓄電池が接続される受電コイルと2次共振コンデンサとを有する受電ユニットに、非接触で電力伝送し、受電ユニットに充電電流を生成し、蓄電池を充電する非接触電力伝送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、非接触電力伝送装置はフィードバック制御をかけないため整流平滑回路の出力電圧は負荷電流が小さくなるほど上昇する傾向がある。図6に、その出力電圧Vo―出力電流Io特性を示す。また、図5にその非接触電力伝送装置のブロック図を示す。
図5に示すように、非接触電力伝送装置は、送電ユニット10に電力伝送回路1と送電コイルL1と1次共振コンデンサC1の並列回路が接続されている。携帯機器側となる受電ユニット20は受電コイルL2と2次共振コンデンサC2の並列回路に整流平滑回路2、充電制御回路3、蓄電池である充電用バッテリー4が接続されている。このように受電ユニット20は携帯機器側に用いられ充電用バッテリー4を備えている。この充電用バッテリー4は充電制御回路3により充電制御される。
【0003】
この充電制御回路3に使用している能動素子あるいは制御ICの耐圧は一般に6V(絶対最大定格電圧で7V)のものが多く用いられているため、受電ユニット20の整流平滑回路2の出力電圧Voは前記素子の定格電圧である6V以下に設定する必要がある。しかし、前記のように、非接触電力伝送装置はフィードバック制御をかけないため整流平滑回路の出力電圧Voは図6に示すように負荷電流Ioが小さくなるほど上昇する傾向がある。そのために、充電制御回路3に使用している能動素子あるいは制御ICの最大定格電圧を超えてしまい、破損する恐れがある。
【0004】
その防止方法として考えられるのが、整流平滑回路2の出力側にシリーズレギュレータや降圧チョッパー回路を使用する方法がある。しかし、シリーズレギュレータは入出力電圧差と出力電流の積が全て損失となり発熱も大きく携帯機器本体へのストレスが大きい。また、降圧チョッパー回路を用いることはシリーズレギュレータのような発熱は抑えられるがチョークコイル等の大きな部品を必要とするため非接触電力伝送装置における携帯機器に用いることは寸法上の制約から実装できないという問題がある。
【0005】
【特許文献1】特開2005−278400号公報
【特許文献2】特開平5−236671号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、上記問題点に鑑み、非接触で電力伝送する装置において、受電ユニットの負荷電流が小さくなっても整流平滑回路の出力電圧を抑制させて充電制御回路の電子部品の破損を防止することを目的とする非接触電力伝送装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
入力電源に接続された電力伝送回路と送電コイルと1次共振コンデンサとを有する送電ユニットと、充電制御回路と蓄電池が接続される受電コイルと2次共振コンデンサとを有する受電ユニットに、非接触で電力伝送し、蓄電池を充電する非接触電力伝送装置において、
前記受電ユニットは整流平滑回路と充電制御回路との間に出力電圧制御回路を具え、該出力電圧制御回路はオンオフタイマーを具えた制御ICと、第1、第2のスイッチング素子と、定電圧素子を具え、軽負荷時における基準電圧を超えた出力電圧に対し、該制御ICで該第1、第2のスイッチング素子を制御し、該定電圧素子をオンオフする間欠型定電圧回路を具えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の非接触電力伝送装置は、出力電圧制御回路にオンオフタイマーを具えた制御ICで第1、第2のスイッチング素子を制御し、定電圧素子をオンオフする間欠型定電圧回路を設けることにより、受電ユニットの負荷電流が小さくなっても整流平滑回路の出力電圧を抑制させて充電制御回路の電子部品の破損を防止することができる。
【実施例】
【0009】
図1に本発明の一実施例である非接触電力伝送装置の回路図を示す。
図1に示すように、送電ユニット10は電力伝送回路1と送電コイルL1と1次共振コンデンサC1の並列回路が接続されている。携帯機器側である受電ユニット20は、受電コイルL2と2次共振コンデンサC2の並列回路に整流平滑回路2が接続され、その出力側と充電制御回路3の間に出力電圧制御回路5aが接続され、蓄電池である充電用バッテリー4が接続されている。
【0010】
この出力電圧制御回路5aは、整流平滑回路2の出力側に第1のスイッチング素子Q1が接続され、その出力側とGND間に定電圧素子となるツェナーダイオードVzと第2のスイッチング素子Q2の直列回路が接続されており、第1のスイッチング素子Q1と第2のスイッチング素子Q2のオンオフを制御する制御IC6が接続され、その出力側に出力コンデンサC4が接続された間欠型定電圧回路を具え、その出力側にバッテリー4が接続された回路構成である。
【0011】
この制御IC6において、aは電源供給端子、bは第1のスイッチング素子Q1をオンオフするドライブ信号端子、cは出力電圧検出端子、dは第2のスイッチング素子Q2をオンオフするドライブ信号端子、eはグランド端子(GND)である。
【0012】
図2に上記制御IC6の概略回路図を示す。
図2に示すように、出力電圧検出端子cは抵抗R1と抵抗R2の直列回路が接続され、抵抗R1と抵抗R2の接続点から抵抗分割された電圧を差動増幅器AMPの一方の入力端子(−)に接続され、他方の入力端子(+)は基準電圧源Eが接続されている。差動増幅器AMPの出力は、オンタイマーT1に接続され、その出力は第2のスイッチング素子Q2のドライブ信号端子dに接続される。また、オンタイマーT1の出力はオフタイマーT2に接続され、その出力は第1のスイッチング素子Q1のドライブ信号端子bに接続される。なお、aは電源供給端子、eはグランド端子(GND)である。
【0013】
この出力電圧制御回路5aの動作例を以下に説明する。
基準電圧源EをVo=6Vに相当する電圧とすると、例えば、整流平滑回路2に入力電圧が印加されると第1のスイッチング素子Q1はオンし、その出力電圧Voが検出端子cに印加される。出力電圧Voが6V以下の時は、そのまま第1のスイッチング素子Q1がオン状態を維持し、第2のスイッチング素子Q2はオフ状態を維持する。そして、出力電圧Voが6V以上になった時、オンタイマーT1が作動して第2のスイッチング素子Q2を動作させ、定電圧素子Vzをオンさせる。この時、オンタイマーT1が設定された一定時間後タイムアップして第2のスイッチング素子Q2をオフにして定電圧素子Vzをオフする。と、同時にオフタイマーT2がオンし第1のスイッチング素子Q1もオフになる。さらに、オフタイマーT2が設定された一定時間後タイムアップし、再び第1のスイッチング素子Q1がオンする。この動作を繰り返し行うことによって、出力電圧Voは間欠動作出力となる。この状態の出力電圧―出力電流特性を図4に示す。
【0014】
図4において、縦軸を出力電圧Vo、横軸を出力電流Ioを示す。
図4に示すように、軽負荷(低電流)の範囲(斜線部)においては定電圧素子が間欠的に作動するため、Vmaxより超えることはない。
このように、本発明の非接触電力伝送装置は充電制御回路の中に間欠型定電圧回路を設けることにより、出力電圧と基準電圧を比較して、基準電圧より高い場合は間欠信号により定電圧素子をオンオフ動作させ、間欠型定電圧回路により基準電圧内に抑える。なお、間欠動作におけるオフ期間は出力電圧は出力されない。出力電圧が基準電圧より低い場合は間欠動作を停止すると同時に入力電圧をそのまま出力する。
【0015】
図3に他の実施例として定電圧素子にシリーズレギュッレータU1を付加した出力電圧制御回路5bを示す。
この出力電圧制御回路5bは、整流平滑回路2の出力側に第1のスイッチング素子Q1が接続され、その出力側に第2のスイッチング素子Q2と定電圧素子となるシリーズレギュッレータU1が接続されており、第1のスイッチング素子Q1と第2のスイッチング素子Q2のオンオフを制御する制御IC6が接続され、その出力側に出力コンデンサC4が接続された間欠型定電圧回路を具え、その出力側にバッテリー4が接続された回路構成である。
この出力電圧制御回路5bの動作は上記図1の出力電圧制御回路5aの動作と同じとなるため説明を省略する。
【0016】
以上、説明したように、本発明の非接触電力伝送装置は出力電圧制御回路の中に間欠型定電圧回路を設けることにより、出力電圧と基準電圧を比較して、基準電圧より高い場合は間欠信号により定電圧素子をオンオフ動作させ、間欠型定電圧回路により基準電圧内に抑えることにより、充電制御回路に用いた電子部品の破損を防止することができる。また、間欠動作において、間欠動作のオフ期間は出力電圧がゼロとなるため、定電圧素子Vzの負担を軽減できる。さらに、軽負荷時の損失も間欠動作により軽減できる。間欠動作時以外の領域では第1のスイッチング素子Q1の損失のみのため電圧降下も小さく、総合効率の低下を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施例である非接触電力伝送装置を示す回路図
【図2】本発明の一実施例である非接触電力伝送装置の出力電圧制御回路に用いた制御ICの内部回路図
【図3】本発明の他の実施例である非接触電力伝送装置の受電ユニットを示す回路図
【図4】図1における出力電圧―出力電流特性
【図5】従来の非接触電力伝送装置を示すブロック図
【図6】図5における出力電圧―出力電流特性
【符号の説明】
【0018】
10 送電ユニット
20 受電ユニット
1 電力伝送回路
2 整流平滑回路
3、充電制御回路
4 蓄電池
5a、5b 出力電圧制御回路
6 制御IC
L1 送電コイル
L2 受電コイル
C1 一次共振コンデンサ
C2 二次共振コンデンサ
Q1 第1のスイッチング素子
Q2 第2のスイッチング素子
Vz 定電圧素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電源に接続された電力伝送回路と送電コイルと1次共振コンデンサとを有する送電ユニットと、充電制御回路と蓄電池が接続される受電コイルと2次共振コンデンサとを有する受電ユニットに、非接触で電力伝送し、蓄電池を充電する非接触電力伝送装置において、
前記受電ユニットは整流平滑回路と充電制御回路との間に出力電圧制御回路を具え、該出力電圧制御回路はオンオフタイマーを具えた制御ICと、第1、第2のスイッチング素子と、定電圧素子を具え、軽負荷時における基準電圧を超えた出力電圧に対し、該制御ICで該第1、第2のスイッチング素子を制御し、該定電圧素子をオンオフする間欠型定電圧回路を具えたことを特徴とする非接触電力伝送装置。
【請求項2】
前記定電圧素子にツェナーダイオードを用いたことを特徴とする請求項1記載の非接触電力伝送装置。
【請求項3】
前記定電圧素子にシリーズレギュレータを用いたことを特徴とする請求項1記載の非接触電力伝送装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2008−236815(P2008−236815A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−68009(P2007−68009)
【出願日】平成19年3月16日(2007.3.16)
【出願人】(000003089)東光株式会社 (243)
【Fターム(参考)】