説明

非接触ICカード

【課題】 磁気記録部を有する非接触ICカードにおいて、通信特性が良く、尚且つ、均一な通信特性を持つ非接触ICカードを提供することを目的とするものである。
【解決手段】 カード基材(1)と、カード基材(1)の中に埋込まれたアンテナ(2)と、カード基材(1)の中に埋込まれたアンテナ(2)に接続されたICチップ(3)と、カード基材(1)の所定位置に設けられた磁気記録部(13)と、を有し、アンテナ(2)は、磁気記録部(13)の長手方向において、磁気記録部(13)の両方にアンテナ(2)が外在する形状にて配置されてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触ICカードに関し、特に、カード基体の少なくとも一方の面に磁気記録部が設けられ、尚且つ、カード基体の内部にICモジュールと通信用アンテナとが内蔵され、非接触でデータの送受信が可能となる非接触ICカードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年におけるカード技術の発達により、様々な通信システムに用いられている情報記録媒体として、広範囲な用途に適用可能なICカードがある。このICカードには、専用の装置に接触させることで情報の書き込み処理、及び、読み出し処理が可能な接触型のICカードと、専用の装置に近接させるだけで情報の書き込み処理、及び、読み出し処理が可能な非接触型のICカードがある。
【0003】
これらのICカードは、磁気カードと比較してセキュリティ性が高く、尚且つ、カード自体に書き込むことができる情報量が多く、一枚のカードだけで多面的に使用できることから産業上における普及度は増加の一途を辿っている。
【0004】
その中でも特に、非接触型のICカードは、情報の書き込み処理、あるいは、読み出し処理を行う際に、ICカード自体を専用の装置に挿入する必要がなく、カード自体の取り扱いが便利なこともあり、産業上に急速に普及している。
【0005】
また、磁気ストライプ等の磁気記録部が設けられたICカードもあり、従来の磁気記録部を利用した通信システムと、ICチップを利用した通信システムと、を一枚のカードのみで利用することが可能な構造を構築している。
【0006】
なお、非接触型のICカードは、カード基体の内部に内蔵される通信用アンテナの受信効率により通信特性が異なり、通信用アンテナの受信効率を高めることで、リーダライタから送出される電磁波を効率良く受信することが可能となり、通信可能範囲が広がることになる。
【0007】
このようなことから、リーダライタとの通信距離を延ばす手段の1つとしてアンテナコイルの電気抵抗を少なくすることが挙げられている。アンテナコイルの電気抵抗は、アンテナコイルの断面積に反比例するので、非接触型のICカードに配置されるアンテナコイルは、アンテナコイルの線幅を太く、アンテナコイルの厚さを厚くすることが好ましい。
【0008】
また、カード側のアンテナコイルが、リーダライタ側のアンテナコイルと比べて小さい場合には、アンテナコイルの面積が大きい程、多くのエネルギーを得ることになる。このため、通信距離を長くしたり、あるいは、ICチップの消費電力を大きくしたりする場合には、アンテナコイルの形状を大きくする必要がある。
【0009】
なお、磁気記録部が設けられたICカードにおいては、磁気記録部と重なるアンテナコイルの面積が変化すると、共振周波数が変化してしまい、カード毎に通信特性が異なることになり、均一な通信特性を持つICカードを形成することが困難となる問題がある。
【0010】
このため、磁気記録部が設けられたICカードにおいては、その磁気記録部と、非接触通信を行うためのアンテナコイルと、が重ならないようにアンテナコイルを配置することで、均一な通信特性を持つICカードを形成することが可能となる。
【0011】
しかしながら、磁気記録部と、アンテナコイルと、が重ならないように構成するには、アンテナコイルをカードに配置できるスペースが制限されることになり、非接触ICカードに要求されるリードライタとの通信距離を確保することが困難となる。
【0012】
また、磁気ストライプからなる磁気記録部を設ける位置は、カードの用途により規格で定められており、例えば、クレジットカードにおけるJIS X6302の規定では、カードの上端から磁気記録部の手前側までの距離を最大で5.54mmとして定め、また、カードの上端から磁気記録部の奥側までの距離を最小で11.89mmとして定めて設けることが規定されている。
【0013】
したがって、ICカードの通信特性を向上させるためには、磁気記録部とアンテナコイルとが重なることはやむを得ないことになる。
【0014】
このようなことから、本発明より先に出願された技術文献として、アンテナ回路を含む回路を形成したカード基板と、カード基板に接続したICチップ等の電子部品と、表皮層と、表皮層に設けた磁気ストライプからなり、アンテナ回路が磁気ストライプと交差することで、アンテナ回路の感度の低下が少なく、かつ、カード機能の追加が可能なICカードがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−5929号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、上記特許文献1のICカードは、アンテナ回路が磁気ストライプと交差することで、アンテナ回路の感度の低下を抑え、尚且つ、カード機能の追加を可能としているが、アンテナ回路と、磁気ストライプと、の関係によって生じる電気的な現象については何ら考慮されたものではない。
【0016】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、磁気記録部を有する非接触ICカードにおいて、通信特性が良く、尚且つ、均一な通信特性を持つ非接触ICカードを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
かかる目的を達成するために、本発明は以下の特徴を有する。
【0018】
本発明にかかる非接触ICカードは、カード基材と、カード基材の中に埋込まれたアンテナと、カード基材の中に埋込まれたアンテナに接続されたICチップと、カード基材の表面の所定位置に設けられた磁気記録部と、を有し、アンテナは、磁気記録部の長手方向において、磁気記録部の両方に外在する形状にて配置されてなることを特徴とするものである。
【0019】
また、本発明にかかる非接触ICカードにおいて、磁気記録部の両方に外在するアンテナ部分は、少なくとも一部分が磁記録部から突出した形状にて配置されてなることを特徴とするものである。
【0020】
また、本発明にかかる非接触ICカードにおいて、アンテナは、アンテナの配置位置が僅かにずれた場合でも、磁気記録部と重複する領域が変化しない形状にて配置されてなることを特徴とするものである。
【0021】
また、本発明にかかる非接触ICカードは、磁気記録部の長手方向において、磁気記録部の両方に外在するアンテナ部分は、磁気記録部と平行に配置されてなることを特徴とするものである。
【0022】
また、本発明にかかる非接触ICカードは、磁気記録部の長手方向において、磁気記録部の両方に外在するアンテナ部分は、曲線形状にて配置されてなることを特徴とするものである。
【0023】
また、本発明にかかる非接触ICカードにおいて、アンテナは、少なくとも直線部分を含んだ形状からなることを特徴とするものである。
【0024】
また、本発明にかかる非接触ICカードにおいて、アンテナは、多角形状からなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0025】
本発明にかかる非接触ICカードは、カード基材と、カード基材の中に埋込まれたアンテナと、カード基材の中に埋込まれたアンテナに接続されたICチップと、カード基材の表面の所定位置に設けられた磁気記録部と、を有し、アンテナは、磁気記録部の長手方向において、磁気記録部の両方に外在する形状にて配置されてなることを特徴とするものである。これにより、アンテナが所定の位置に配置されなくとも、磁気記録部の両方に外在するアンテナにより、磁気記録部とアンテナとが重なる領域が均一となるため、通信特性が良く、尚且つ、均一な通信特性を持つことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
まず、図1、図2を参照しながら、本実施形態における非接触ICカードの特徴について説明する。
【0027】
本実施形態における非接触ICカードは、図1に示すように、カード基材(1)と、カード基材(1)の中に埋込まれたアンテナ(2)と、カード基材(1)の中に埋込まれたアンテナ(2)に接続されたICチップ(3)と、カード基材(1)の所定位置に設けられた磁気記録部(13)と、を有し、アンテナ(2)は、図2に示すように、磁気記録部(13)の長手方向において、磁気記録部(13)の両方にアンテナ(21)が外在する形状にて配置されてなることで、アンテナ(21)が所定の位置に配置されなくとも、磁気記録部(13)の両方に外在するアンテナ(21)により、磁気記録部(13)とアンテナ(21)とが重なる領域(重複領域)(23)が均一となるため、通信特性が良く、尚且つ、均一な通信特性を持つことが可能となるものである。
【0028】
以下、添付図面を参照しながら、本実施形態における非接触ICカードについて説明する。
【0029】
まず、図1を参照しながら、本実施形態における非接触ICカードの構成について説明する。
【0030】
本実施形態における非接触ICカードは、図1に示すように、アンテナ基板(1)上に、螺旋状のアンテナやコンデンサ等のアンテナパターン(2)を形成し、該形成したアンテナパターン(2)と、ICチップ(3)と、が接着剤(4)を介して電気的に接続するように、ICチップ(3)をアンテナ基板(1)に実装し、インレットシート(10)が形成されることになる。そして、このインレットシート(10)を覆うように、インレットシート(10)の上下面からラミネート基材となるコアシート(11)と、オーバーシート(12)にて挟持して積層することで、非接触ICカードが形成されることになる。更に、本発明にかかる非接触ICカードの表面には、磁気記録層(13)が設けられることになる。
【0031】
次に、図1に示す非接触ICカードを構成する各基材について説明する。
【0032】
<コアシート(11)>
コアシート(11)は、ICカード本体の中心部分となるカード基材であり、カード本体に強度を付与させる基材である。コアシート(11)に適用する樹脂としては、一般用ポリスチレン樹脂、耐衝撃用ポリスチレン樹脂、アクリルニトリルスチレン樹脂、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、PC(ポリカーボネート)樹脂、塩化ビニル樹脂、変性PPO樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリフェニレンサルファルド樹脂等の熱可塑性樹脂、アロイ系樹脂、ガラス繊維の添加による強化樹脂等の従来からICカード本体の中心部分となるカード基材に適用可能な公知の樹脂が挙げられる。
【0033】
なお、塩化ビニル、PET、PET−G等は、自己融着を行う特性を有することから、ラミネートの際に、接着剤や接着剤シートが不要となるため、塩化ビニル、PET、PET−G等をコアシート(11)に適用することが好ましい。
【0034】
<オーバーシート(12)>
オーバーシート(12)は、ICカード本体と外側部分を構成するカード基材である。オーバーシート(12)に適用する樹脂としては、上述したコアシート(11)に適用可能な樹脂が挙げられる。
【0035】
<アンテナ基板(1)>
アンテナ基板(1)は、アンテナパターン(2)を形成する絶縁性を有する基材である。アンテナ基板(1)に適用可能な樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリイミド樹脂、PET、PET−G等の樹脂が挙げられる。
【0036】
<アンテナパターン(2)の材質>
アンテナパターン(2)を形成する材質としては、銅、アルミニウム、金、銀、鉄、錫、ニッケル、亜鉛、チタン、タングステン、ハンダ、合金等が適用可能である。なお、アンテナ基板(1)上にアンテナパターン(2)を形成する手法としては、エッチング法や、印刷法(スクリーン印刷法、オフセット印刷法)が適用可能である。また、巻き線法でアンテナ基板(1)上にアンテナパターン(2)を形成することも可能である。
【0037】
<接着剤(4)>
接着剤(4)は、アンテナ基板(1)に形成されたアンテナパターン(2)と、ICチップ(3)等の電子部品と、を接続するためのものであり、紫外線硬化樹脂、湿気硬化性樹脂、熱硬化性樹脂などが適用可能である。なお、アンテナパターン(2)と、ICチップ(3)等の電子部品と、を接続する際には、熱硬化性のエポキシ樹脂やエポキシ樹脂に数μm程度の微小な導電性粒子を分散させた異方導電性接着剤(ACP)、ACPをフィルム状にした異方導電性フィルム(ACF)等の接着剤を介してフリップチップ方法で行うことが好ましい。なお、ACFは、ニッケル、金属コートされたプラスチック等の導電粒子、あるいは金属粒子そのものをエポキシ樹脂等の接着剤中に分散した接着剤である。
【0038】
<磁気記録層(13)>
磁気記録層(13)は、支持体としてポリエチレンフィルムやポリエステルフィルムなどのポリエステルフィルムを用い、そのフィルム表面に、鉄や合金などの強磁性体の微粉末をバインダーと共に塗布し、乾燥させた記録用の磁気層が好ましい。
【0039】
次に、図2を参照しながら、本実施形態の非接触ICカード内に設けられるアンテナパターン(2)の形状について説明する。なお、図2は、図1に示すアンテナ基板(1)上にアンテナパターン(2)を形成した状態を示す上面図であり、少なくとも直線部分を含んだ多角形状からなるアンテナパターン(2)をアンテナ基板(1)上に形成した場合の構成を示す図である。
【0040】
本実施形態の非接触ICカードの具備するアンテナ基板(1)上には、図2に示すように、絶縁性のアンテナ基板(1)の周辺部に、インダクタンスLとなるアンテナコイル(21)を螺旋状に形成すると共に、そのアンテナコイル(21)の内側部分に、合成キャパシタンスCとなるコンデンサ(22)を形成することになる。
【0041】
なお、本実施形態における非接触ICカードは、図2に示すようにアンテナ基板(1)上に形成したアンテナコイル(21)と、そのアンテナコイル(21)上に配置されることになる磁気記録層(13)と、が重複するアンテナコイルの領域(重複領域)(23)が変化することで、アンテナコイル(21)の部分的な磁束密度の変化により、見かけ上のインダクタンスLが変化することになる。このため、共振周波数fも変化することになる。
【0042】
なお、LC共振回路の共振周波数は、以下に示される式(1)にて算出されることになる。
【0043】
f=1/2π√(LC)・・・式(1)
f:共振周波数
L:アンテナコイル(21)のインダクタンス
C:コンデンサ(22)の合成キャパシタンス
【0044】
したがって、本実施形態における非接触ICカードを製造する際に、アンテナコイル(21)と、磁気記録層(13)と、の重複するアンテナコイルの領域(重複領域)(23)が変化すると、非接触ICカード毎に異なる共振周波数fが設定されることになり、均一な共振周波数fを保持する非接触ICカードを製造することが困難となる。
【0045】
このため、本実施形態における非接触ICカードは、図3(a)に示すように、アンテナ基板(1)上に形成するアンテナコイル(21)を、磁気記録層(13)の長手方向において、磁気記録層(13)の両方に外在する形状にて形成し、非接触ICカード内に配置する構成としている。
【0046】
なお、従来の非接触ICカードは、図4(a)に示すように、アンテナ基板(1)上のアンテナコイル(21)と磁気記録層(13)とが重なる重複領域(23)について何ら考慮されていない構成のため、例えば、アンテナ基板(1)の所定の位置にアンテナコイル(21)が形成されず、そのアンテナコイル(21)が形成されたアンテナ基板(1)を用いて、磁気記録層(13)が設けられた非接触ICカードを形成し、図4(b)に示すように、アンテナコイル(21)と磁気記録層(13)との配置位置が変化してしまい、アンテナコイル(21)と磁気記録層(13)との重なる重複領域(23)が変化することになったり、また、磁気記録層(13)が設けられた非接触ICカードを形成する際に、アンテナコイル(21)が形成されたアンテナ基板(1)と、磁気記録層(13)と、の配置ずれが生じ、図4(b)に示すように、アンテナコイル(21)と磁気記録層(13)との配置位置が変化してしまい、重複領域(23)が変化することになったり、また、カード磁気記録層(13)が設けられる位置がずれ、図4(b)に示すように、アンテナコイル(21)と磁気記録層(13)との配置位置が変化してしまい、重複領域(23)が変化することになったりした場合には、均一な通信特性を持つ非接触ICカードを得ることができなくなってしまうことになる。
【0047】
これに対し、本実施形態における非接触ICカードは、図3(a)に示すように、アンテナコイル(21)を、磁気記録層(13)の長手方向において、磁気記録層(13)の両方に外在する形状にてアンテナ基板(1)上に形成し、非接触ICカード内に配置することで、図3(b)に示すように、アンテナコイル(21)と磁気記録層(13)との配置位置が変化することになったとしても、磁気記録層(13)の両方に外在するアンテナ部分(24)により、磁気記録層(13)とアンテナコイル(21)との重なる重複領域(23)が常に均一となるため、通信特性が良く、尚且つ、均一な通信特性を持つ非接触ICカードを形成することが可能となる。
【0048】
なお、アンテナ基板(1)上に形成されるアンテナコイル(21)は、図3(a)に示すように、磁気記録層(13)の両方に外在するアンテナ部分(24)が、磁気記録層(13)の両方に突出してなる形状にて形成することも可能であるが、図5に示すように、磁気記録層(13)の両方に外在するアンテナ部分(24)が、磁気記録層(13)の両方に複数部分が突出してなる形状にて形成することも可能である。
【0049】
このように、本実施形態のアンテナ基板(1)上に形成されるアンテナコイル(21)は、磁気記録層(13)の両方に外在することになるアンテナ部分(24)が、磁気記録層(13)の両方に、少なくとも一部分が突出してなる形状にて形成することで、図3(b)に示すように、アンテナコイル(21)と磁気記録層(13)との配置位置が変化することになったとしても、磁気記録層(13)とアンテナコイル(21)との重なる領域(23)が常に均一となるため、通信特性が良く、尚且つ、均一な通信特性を持つことが可能となる。
【0050】
<アンテナパターン(2)の形成方法>
次に、アンテナ基板(1)上に形成するアンテナパターン(2)の形成方法について説明する。
【0051】
アンテナ基板(1)上に形成するアンテナパターン(2)は、エッチング等の手法を用いて形成することが好ましい。エッチングは、緻密なアンテナパターン(2)を正確にアンテナ基板(1)上に形成することが可能である。
【0052】
例えば、第1のアンテナパターン(2)の形成方法として、アンテナ基板(1)の両面に対しエッチング処理を施し、アンテナ基板(1)の一方の面には、アンテナパターン(2)を形成し、また、アンテナ基板(1)の他方の面には、ジャンパー部分を形成し、該形成したアンテナパターン(2)と、ジャンパー部分と、を、スルーホールを介して電気的に導通させる方法がある。なお、エッチングにてアンテナ基板(1)の一方の面にアンテナパターン(2)を形成し、また、アンテナ基板(1)の他方の面にジャンパー部分を形成した際に、スルーホールを設ける方法として、「かしめる」という方法も適用可能である。
【0053】
また、第2のアンテナパターン(2)の形成方法として、アンテナ基板(1)の片面に対し、エッチング処理を施し、図2に示すアンテナコイル(21)やIC実装部、コンデンサ(22)を含むアンテナパターン(2)を形成し、また、アンテナ基板(1)の他方の面に対し、導電性ペーストをスクリーン印刷し、図1に示すジャンパー部分を形成し、アンテナ基板(1)の片面に形成したアンテナパターン(2)と、アンテナ基板(1)の他面に形成したジャンパー部分と、をスルーホールを介して電気的に導通させる方法がある。
【0054】
なお、上述した第1、第2のアンテナパターン(2)の形成方法は、金属箔をラミネートすることで、金属箔をアンテナ基板(1)に貼り付けることにしたが、アンテナ基板(1)上に接着剤を用いて金属箔を貼り付けることも可能である。なお、接着剤としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂等の接着剤が適用可能となる。また、金属箔をプラスチック素材のアンテナ基板(1)上に、「蒸着」にて形成することも可能である。
【0055】
なお、上述する実施形態は、本発明の好適な実施形態であり、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。例えば、アンテナ基板(1)に形成するコンデンサパターン(2)は、公知の形成方法を用いて形成することも可能である。また、アンテナ基板(1)上に形成されるアンテナコイル(21)は、図3(a)、図5に示すように、磁気記録層(13)を介して両方向に外在することになるアンテナ部分(23)が、磁気記録層(13)と平行となるように、アンテナコイル(21)をアンテナ基板(1)上に形成することとしたが、図6に示すように、磁気記録層(13)の両方に外在するアンテナ部分(23)が、曲線形状となるように、アンテナコイル(21)をアンテナ基板(1)上に形成することも可能である。
【0056】
このように、本実施形態のアンテナ基板(1)上に形成されるアンテナコイル(21)は、アンテナコイル(1)の配置位置が僅かにずれた場合でも、磁気記録層(13)と重複する領域が変化しない形状にてアンテナ基板(1)上に形成すれば、特に限定せずあらゆる形状にて形成することは可能である。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明にかかる非接触ICカードは、各種交通機関での定期券、回数券、電話カード、特定領域への入退出用のカード、IDカード、免許証、パチンコ,遊園地,映画館などに使用されるカード、クレジットカード等の非接触にて通信処理を行う情報記録媒体に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本実施形態における非接触ICカードの構成を示す図である。
【図2】本実施形態における非接触ICカード内に配置されるアンテナパターン(2)の形状を示す図である。
【図3】本実施形態における非接触ICカード内に配置されるアンテナコイル(21)の形状を示す拡大図であり、(a)は、アンテナコイル(21)と磁気記録層(23)との配置ずれが生じる前の図であり、(b)は、配置ずれが生じた後の図である。
【図4】従来における非接触ICカード内に配置されるアンテナパターン(21)の形状を示す拡大図であり、(a)は、アンテナコイル(21)と磁気記録層(23)との配置ずれが生じる前の図であり、(b)は、配置ずれが生じた後の図である。
【図5】本実施形態における非接触ICカード内に配置されるアンテナパターン(2)の形状の第1の変形例を示す拡大図である。
【図6】本実施形態における非接触ICカード内に配置されるアンテナパターン(2)の形状の第2の変形例を示す拡大図である。
【符号の説明】
【0059】
1 アンテナ基板
2 アンテナパターン
3 ICチップ
4 接着剤
10 インレットシート
11 コアシート
12 オーバーシート
13 磁気記録層
21 アンテナコイル
22 コンデンサ
23 重複領域
24 磁気記録層(13)から外在するアンテナ部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カード基材と、前記カード基材の中に埋込まれたアンテナと、前記カード基材の中に埋込まれた前記アンテナに接続されたICチップと、前記カード基材の表面の所定位置に設けられた磁気記録部と、を有し、
前記アンテナは、前記磁気記録部の長手方向において、前記磁気記録部の両方に外在する形状にて配置されてなることを特徴とする非接触ICカード。
【請求項2】
前記磁気記録部の両方に外在するアンテナ部分は、少なくとも一部分が前記磁記録部から突出した形状にて配置されてなることを特徴とする請求項1記載の非接触ICカード。
【請求項3】
前記アンテナは、前記アンテナの配置位置が僅かにずれた場合でも、前記磁気記録部と重複する領域が変化しない形状にて配置されてなることを特徴とする請求項1または2記載の非接触ICカード。
【請求項4】
前記磁気記録部の長手方向において、前記磁気記録部の両方に外在するアンテナ部分は、前記磁気記録部と平行に配置されてなることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の非接触ICカード。
【請求項5】
前記磁気記録部の長手方向において、前記磁気記録部の両方に外在するアンテナ部分は、曲線形状にて配置されてなることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の非接触ICカード。
【請求項6】
前記アンテナは、少なくとも直線部分を含んだ形状からなることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の非接触ICカード。
【請求項7】
前記アンテナは、多角形状からなることを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の非接触ICカード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−119809(P2006−119809A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−305513(P2004−305513)
【出願日】平成16年10月20日(2004.10.20)
【出願人】(000162113)共同印刷株式会社 (488)
【Fターム(参考)】