説明

非接触ICカード

非接触ICカード(11)は、リーダ・ライタからの電磁波を受信することにより、起電力を発生させる第1アンテナコイル(102)および第2アンテナコイル(103)と、各アンテナコイルで発生する起電力をそれぞれ測定する第1起電力測定部(311)および第2起電力測定部(312)と、測定されたそれぞれのアンテナコイルの起電力の特性を比較する起電力比較部(313)と、起電力比較部(313)による比較結果に基づいて、プログラム格納部(216)の中から1つのアプリケーションを選択して実行するアプリケーション選択実行部(215)とを備える。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触ICカードに関し、特に、複数のアプリケーションが実行可能で、ユーザによるアプリケーション選択を容易にすることができる非接触ICカードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、クレジットカードをはじめ、多くの磁気カードがビジネス等の用途を問わず利用されてきた。しかしながら、近年、それら、磁気カードからICカードへの転換がなされている。その理由として、ICカードは、磁気カードに比べて、改竄されるおそれが低くセキュリティに優れていること、また、記憶容量が大きいこと、そして、ホスト端末との通信を無線で行なうことによる非接触インタフェースを利用できることが考えられる。これらの利点を持ったICカードの用途として、交通系の用途が最も高い普及率を示しており、特に、大量かつ高速性が要求される駅改札処理において、その効果が実証されており、今後も多方面への応用展開が検討されている。
【0003】
まず、非接触インタフェースを用いたICカード(非接触ICカード)の概要を説明する。
【0004】
図1は、一般的な非接触ICカード、リーダ・ライタ、および両者を利用する状況を示す概観図である。
【0005】
非接触ICカード10は、アンテナコイル101を一つ有しており、このアンテナコイル101を用いてリーダ・ライタ20と無線で通信を行なっている。
【0006】
図2は、図1に示した一般的な非接触ICカード10のハードウェア構成を示す図である。
【0007】
図2に示すように、非接触ICカード10は、リーダ・ライタ20からの電磁波を受信し、それにより起電力が発生するアンテナコイル101、アプリケーションプログラムが格納されているROM201、一時的なデータを蓄えておくためのRAM203、演算など制御を行なうためのCPU202、データを記憶するためのEEPROM204、および、これらを結合するバス500を備えている。
【0008】
ICカードは、接触、非接触を問わず、一枚のカードの中に複数のアプリケーションを搭載することも可能である。すなわち、複数のアプリケーションが格納された非接触ICカードの利用者は、複数枚のそれぞれ異なるアプリケーションが格納された非接触ICカードを所持する必要がなく、一枚の非接触ICカードで各種のサービスを享受することができる。例えば、異なる会社が経営する電車路線を乗り継ぐ場合、従来では、少なくとも2種類のカードを所持する必要があったが、上記の複数のアプリケーションプログラムを格納した非接触ICカードであれば、1枚のカードで十分であり、かつ、上述したごとく、カードを改札用端末装置に単にかざすだけでよく、スムーズな乗換えが実現可能である。
【0009】
しかしながら、一枚の非接触ICカードの中に複数のアプリケーションを搭載している場合、目的とするサービスに応じて、カード内のアプリケーションを切り替える必要が生じる。そのため、ユーザが利用したいアプリケーションを出来るだけ早く選択し起動するための技術が考えられている。
【0010】
従来のカードとしては、接触、非接触を問わず、ボタンで切り替えを行なうことにより、マルチアプリケーションの選択を実現しているものがある。例えば、表面に反射型液晶部とアプリケーションの種別選択部を配置し、ユーザがボタンを押すことによりアプリケーションを選択した場合、液晶部に選択したアプリケーションが表示される構成を有するものが、従来のICカードとして存在する。
【0011】
しかしながら、この従来の構成では、液晶部やボタンが配置されていることで、ハードウェア機構が複雑で壊れやすいうえ、また、カードの単価も高くなるという問題がある。
【0012】
ユーザにとっては、アプリケーションを切り替えるためのボタン操作が要求されるため、切り替え操作に時間や手間を要することになる。このような切り替え操作の煩雑さは、特に、駅改札処理において、人の流れを阻害する原因ともなりうる。
【0013】
上記の状況に鑑みると、複数のアプリケーションを有する1枚の非接触ICカードを利用する場合、ハードウェア構成を単純なものとし、なおかつ、ユーザによるアプリケーションの切り替え操作の容易性を実現することが重要な課題である。
【0014】
さらに、非接触ICカードを利用したアプリケーションが増加している現状を考慮すると、1枚の非接触ICカードで2種類より多くのアプリケーションを切り替えることも1つの課題と考えられる。
【0015】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、カード表面には余分なハードウェア機構を付け加えることなく、切り替え操作の方法も容易にすることで、ユーザによる素早いアプリケーションの切り替えを可能とした非接触ICカードを提供することを目的とする。
【発明の開示】
【0016】
上記の目的を達成するために、本発明に係る非接触ICカードは、以下のような技術的手段を講じている。
【0017】
すなわち、本発明に係る非接触ICカードは、複数のアプリケーションプログラムを実行可能な非接触ICカードであって、リーダ・ライタからの電磁波を受信することにより、起電力を発生させる複数のアンテナコイルと、前記非接触ICカードが前記リーダ・ライタにかざされる際に、前記各アンテナコイルで発生する起電力を測定する起電力測定部と、前記起電力測定部によって測定されたそれぞれのアンテナコイルの起電力の特性を比較する起電力比較部と、前記起電力比較部による比較結果に基づいて、1つのアプリケーションプログラムを選択して実行するアプリケーション選択実行部とを備える。
【0018】
これによって、カード内に複数のアンテナコイルを埋設し、アンテナコイルで発生する起電力の特性の差異を比較して、その比較結果に基づいて実行すべきアプリケーションプログラムを選択するので、非接触ICカードのカード表面におけるハードウェア機構を単純化することができ、また、ユーザによるアプリケーション切り替え操作を容易にすることができる。
【0019】
前記各アンテナコイルは、前記非接触ICカードの表面と裏面とにそれぞれ配置されるとしてもよい。
【0020】
この構成によれば、カードをかざす際のカードの表面と裏面とを使い分けることにより、ユーザは、2つのアプリケーションから所望のアプリケーションを選択することが可能となる。
【0021】
前記各アンテナコイルは、前記非接触ICカードのいずれか一方の面または両面の右側と左側とにそれぞれ配置されるとしてもよい。
【0022】
この構成によれば、カードをかざす方向を使い分けることにより、ユーザは、2つのアプリケーションから所望のアプリケーションを選択することが可能となる。さらに、カードをかざす方向とかざす面とを使い分けることにより、ユーザは、より多くのアプリケーションの中から実行させたいアプリケーションを選択し、実行させることが可能となる。
【0023】
前記非接触ICカードは、さらに、前記複数のアプリケーションプログラムをそれぞれ前記複数のアンテナコイルと対応付けて格納するプログラム格納部と、前記各アンテナコイルに対応付けられた各アプリケーションプログラムを示す表示部とを備えるのが好ましい。
【0024】
これによって、提供されているアプリケーションを起動させるために、どのアンテナコイルをリーダ・ライタに近づければよいかを提示するので、ユーザは、カードの面や方向を確認することができ、実行させたいアプリケーションの選択を、間違えることなく行なうことができる。
【0025】
前記非接触ICカードのいずれか一方の面の一部を切り欠いた凹部が形成されているのが好ましい。
【0026】
これによって、カードを目視できない状態にあっても、ユーザは、凹部を触ることによってカードの面や方向を識別可能となり、所望のアプリケーションを選択することができる。
【0027】
なお、本発明は、このような非接触ICカードとして実現することができるだけでなく、このような非接触ICカードの特徴的な要素をステップとして含むアプリケーション選択方法として実現したり、それらのステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現したりすることもできる。そのようなプログラムは、CD−ROM等の記録媒体やインターネット等の伝送媒体を介して配信することができるのは言うまでもない。
【0028】
以上説明したように、本発明に係る非接触ICカードによれば、複数のアンテナコイルを有し、それぞれのアンテナコイルで発生する起電力を測定して、起電力の特性を比較し、その比較結果に基づいてアプリケーションを選択し実行するので、ユーザは、容易な操作で1枚の非接触ICカードに搭載されている複数のアプリケーションを素早く切り替えることができる。
【0029】
複数のアンテナコイルをカード内に埋設するので、余分な機構を付け加えることなく、ハードウェアの外部構成を単純化することができる。
【0030】
さらに、アンテナコイルをカード表面と裏面だけでなく両面の左右にも埋設することにより、多種類のアプリケーションを容易な操作で切り替えることも可能となる。
【0031】
本出願に対する技術的な背景に関するさらなる情報として、明細書、図面、および特許請求の範囲を含む、2003年10月20日にされた出願番号2003−359893号の日本特許出願により開示されている事項は、そっくりそのまま引用されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
まず、本発明の実施の形態1に係る非接触ICカードについて説明する。
【0033】
本実施の形態1では、非接触ICカード内の表面側と裏面側とにアンテナコイルを配した場合を説明する。
【0034】
上記した一般的な非接触ICカード(図1)と比較すると、本発明の実施の形態1に係る非接触ICカードの外観構成は、一般的な非接触ICカードと変わりはないが、その内部構成において一般的な非接触ICカードと顕著な相違点を有している。
【0035】
図3は、本実施の形態1に係る非接触ICカードのハードウェア構成を示す図である。
本実施の形態に係る非接触ICカード11は、リーダ・ライタからの電磁波を受信することで起電力が発生する第1アンテナコイル102および第2アンテナコイル103と、第1アンテナコイル102および第2アンテナコイル103の起電力をそれぞれ測定するための第1起電力測定器301および第2起電力測定器302と、それぞれ測定された起電力の特性を比較するための起電力比較器303と、それぞれのアンテナコイルに対応づけられた、複数のアプリケーションプログラムが格納されているROM211と、一時的なデータを蓄えておくためのRAM213と、演算など制御を行なうためのCPU212と、データを記憶するためのEEPROM214と、これらを結合するバス501とを、ハードウェア構成として備えている。
【0036】
EEPROM214は、例えば、Electrically Erasable Programmable Read Only Memory(EEPROM)等の不揮発性メモリによって実現され、EEPROMの代わりに、Ferroelectric Random Access Memory(FeRAM)を用いるとしてもよい。
【0037】
図4は、本実施の形態1に係る非接触ICカード11の機能的な構成を示す機能ブロック図である。
【0038】
図4に示すように、本実施の形態1に係る非接触ICカード11は、機能的な構成として、第1アンテナコイル102の起電力を測定する第1起電力測定部311と、第2アンテナコイル103の起電力を測定する第2起電力測定部312と、第1起電力測定部311および第2起電力測定部312で測定した起電力の特性を比較する起電力比較部313と、複数のアプリケーションプログラムを、それぞれのアンテナコイルに対応づけて格納しているプログラム格納部216と、起電力比較部313の比較結果に基づいてプログラム格納部216に格納されているアプリケーションプログラムを選択して実行するアプリケーション選択実行部215とを備える。
【0039】
図5(A)は、非接触ICカード11における片面側(表面側)の概観を示す平面図であり、本図に示すように、非接触ICカード11の表面側には、第1アンテナコイル102が埋設されている。
【0040】
図5(B)は、非接触ICカード11における他方の片面側(裏面側)の概観を示す平面図であり、本図に示すように、非接触ICカード11の裏面側には、第2アンテナコイル103が埋設されている。
【0041】
図5(C)は、非接触ICカード11の一部の断面斜視図である。本図に示すように、非接触ICカード11には、第2アンテナコイル103が、第1アンテナコイル102よりも深い位置に埋設されている。つまり、第1アンテナコイル102は、第2アンテナコイル103の直ぐ上に埋設されている。なお、ROM211やCPU212等を搭載した集積回路のチップも埋設されていることは言うまでもない。
【0042】
このように構成される非接触ICカード11の動作について、以下、図6および図7を参照しながら詳細に説明する。
【0043】
図6(A)は、非接触ICカード11の操作方法を説明するための図であり、図7は、電力供給後からアプリケーションが選択されるまでの非接触ICカードの動作手順を示すフローチャートである。
【0044】
まず、図6(A)に示すように、ユーザが、非接触ICカード11の第2アンテナコイル103を有する面をリーダ・ライタ20にかざすと(リーダ・ライタ20上を矢印方向に通過させると)、非接触ICカード11は、リーダ・ライタ20から電磁波を受信し、電力が供給される(S301)。電力が供給された第1アンテナコイル102および第2アンテナコイル103には、それぞれ起電力が発生する。発生する起電力は、第1起電力測定部311および第2起電力測定部312でそれぞれ測定される(S302)。そして、測定された起電力は、起電力比較部313により比較される(S303)。
【0045】
図6(B)は、非接触ICカード11とリーダ・ライタ20との距離と、それぞれのアンテナコイルが発生する起電力の関係を示した図である。本図では、第1アンテナコイル102の起電力の推移を線602で示し、第2アンテナコイル103の起電力の推移を線601で示している。非接触ICカード11とリーダ・ライタ20とのある一定の距離をd1とし、この所定の距離d1における第1アンテナコイル102の起電力をWAで表し、同様に第2アンテナコイル103の起電力をWBで表すと、WB>WAとなる。すなわち、リーダ・ライタ20に近い第2アンテナコイル103で発生する起電力の方が大きくなっている。したがって、アプリケーション選択実行部215は、第2アンテナコイル103に対応したアプリケーションBを実行すべきアプリケーションとして選択し(S305)、プログラム格納部216から選択されたアプリケーションBを読み出して起動する(S306)。
【0046】
図6(A)において、ユーザが、非接触カード11の逆の面、つまり第1アンテナコイル102を有する面をリーダ・ライタ20にかざした場合、WA>WBとなる。すなわち、リーダ・ライタ20に近い第1アンテナコイル102で発生する起電力の方が大きくなる。そのため、アプリケーション選択実行部215は、第1アンテナコイル102に対応したアプリケーションAを実行すべきアプリケーションとして選択し(S304)、プログラム格納部216から選択されたアプリケーションAを読み出して起動する(S306)。
【0047】
以上、説明したように、本実施の形態1に係る非接触ICカードによれば、複数のアンテナコイルのそれぞれに発生する起電力の大きさを比較し、その比較結果に基づいてアプリケーションを選択するので、リーダ・ライタ20に非接触ICカードをかざす場合、非接触ICカードの表面と裏面のどちらかをかざすことにより、容易に非接触ICカード内のアプリケーションを切り替えることが可能となる。
【0048】
なお、横軸を「リーダ・ライタとの距離」としているが、これに替えて、「リーダ・ライタに対する非接触ICカードの通過時間(あるいは、接近する)」と読み替えてもよい。非接触ICカードが一定速度でリーダ・ライタに接近するならば、非接触ICカードとリーダ・ライタとの距離は、非接触ICカードがリーダ・ライタを通過する時間に置き換えることができるからである。
【0049】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2に係る非接触ICカードについて説明する。
【0050】
実施の形態1では、アンテナコイルが非接触ICカードの片面と、もう一方の面とに備えられた例を示した。
【0051】
本発明はこれに限定されるものではなく、非接触ICカードの片面の左右にアンテナコイルを設ける場合も考えられる。実施の形態2では、非接触ICカードの片面の左右にアンテナコイルを配した場合を説明する。
【0052】
なお、本実施の形態2に係る非接触ICカードのハードウェア構成は、図3に示したものと同様であり、その機能的な構成は、図4に示したものと同様であるので、図示を省略する。
【0053】
以下では、図8および図9を参照しながら、本実施の形態2に係る非接触ICカードの動作について詳細に説明する。
【0054】
図8(A)は、本実施の形態2に係る非接触ICカード12の操作方法を説明するための図であり、図9は、電力供給後からアプリケーションが選択されるまでの、本実施の形態2に係る非接触ICカードの動作手順を示すフローチャートである。なお、図9においては、上記実施の形態1の説明で用いた図7のフローチャートと異なる手順を、破線で囲んで強調して示し(S1001)、同一の手順には、同一の符号を付している。
【0055】
図8(A)に示すように、本実施の形態2に係る非接触ICカード12は、一方の面の左側に第1アンテナコイル104を、また、その面の右側に第2アンテナコイル105を有している。ユーザが、第2アンテナコイル105が埋設されている右側から、非接触ICカード12をリーダ・ライタ20にかざすと、発生した起電力は、第1起電力測定部311および第2起電力測定部312でそれぞれ測定される(S302)。そして、測定された起電力は、起電力比較部313により比較される(S307)。
【0056】
図8(B)は、非接触ICカード12がリーダ・ライタを通過する時間と、それぞれのアンテナコイルが発生する起電力との関係を示した図である。本図では、第1アンテナコイル104の起電力の推移を線604で示し、第2アンテナコイル105の起電力の推移を線603で示している。非接触ICカード12がリーダ・ライタ20を通過する所定の時刻を例えばt0とし、この所定の時刻t0における第1アンテナコイル104の起電力をWCで表し、第2アンテナコイル105の起電力をWDで表すと、WD>WCとなる。すなわち、はじめにリーダ・ライタ20に近づく第2アンテナコイル105に、第1アンテナコイル104よりも大きな起電力が発生することになる。したがって、アプリケーション選択実行部215は、第2アンテナコイル105に対応したアプリケーションDを実行すべきアプリケーションとして選択し(S309)、プログラム格納部216から選択されたアプリケーションDを読み出して起動する(S306)。
【0057】
図8(A)において、ユーザが、非接触ICカード12の左側、つまり、第1アンテナコイル104を有する側から非接触ICカード12をリーダ・ライタ20にかざした場合、所定の時刻t0において、WC>WDとなる。すなわち、はじめにリーダ・ライタ20に近づく第1アンテナコイル104に、第2アンテナコイル105よりも大きな起電力が発生する。そのため、アプリケーション選択実行部215は、第1アンテナコイル104に対応したアプリケーションCを選択し(S308)、プログラム格納部216から選択されたアプリケーションCを読み出して起動する(S306)。
【0058】
ここで、所定の時刻t0は、最初に起電力が発生したアンテナコイル(第2アンテナコイル105)において起電力が発生した第1の時刻t1から、所定時間(例えば、100msec)経過したときと定義してもよく、また、次に起電力が発生したアンテナコイル(第1アンテナコイル104)において起電力が発生した第2の時刻t2から、所定時間(例えば、10msec)経過したときと定義してもよい。ただし、所定時間とは、最初に起電力が発生したアンテナコイルの起電力がピークに達するまでの時間とする。
【0059】
第1アンテナコイル104と第2アンテナコイル105との起電力を比較する基準は、所定の時刻t0に限られるものではない。
【0060】
例えば、第2アンテナコイル105における最初の起電力の発生を検知した後、第1アンテナコイル104における次の起電力の発生を検知した時点で、起電力比較部313は、先に発生した起電力が第2アンテナコイル105で発生したことを示す情報、すなわち、第2アンテナコイル105に対応するアプリケーションを実行すべきアプリケーションとして選択すべき旨を、アプリケーション選択実行部215に出力するとしてもよい。
【0061】
図8(C)に示すように、第1アンテナコイル104および第2アンテナコイル105のうち、いずれのアンテナコイルが、発生した起電力のピーク値に先に到達したかを基準に比較するとしてもよい。
【0062】
図8(C)は、非接触ICカードがリーダ・ライタを通過する時間と、それぞれのアンテナコイルが発生する起電力のピーク値との関係を示した図である。本図では、第1アンテナコイル104の起電力の推移を線606で示し、第2アンテナコイル105の起電力の推移を線605で示している。それぞれのアンテナコイルで発生する起電力のピーク値をWEで表すと、第2アンテナコイル105のピーク値605aの到達時刻t3は、第1アンテナコイル104のピーク値606aの到達時刻t4よりも早い。したがって、この場合、起電力比較部313は、先に発生した起電力が第2アンテナコイル105で発生したことを示す情報、すなわち、第2アンテナコイル105に対応するアプリケーションを実行すべきアプリケーションとして選択すべき旨を、アプリケーション選択実行部215に出力することになる。
【0063】
なお、発生した起電力が先に所定値に到達したアンテナコイルに対応するアプリケーションが選択されるとしてもよい。
【0064】
以上、説明したように、本実施の形態2に係る非接触ICカードによれば、複数のアンテナコイルのそれぞれに発生する起電力の発生時間等、起電力の特性を比較し、その比較結果に基づいてアプリケーションを選択するので、ユーザはリーダ・ライタに非接触ICカードをかざす方向を変更することにより、容易に非接触ICカード内のアプリケーションを切り替えることが可能となる。
【0065】
(実施の形態3)
続いて、本発明の実施の形態3に係る非接触ICカードについて説明する。
【0066】
本実施の形態3では、上記実施の形態1と実施の形態2とが複合された場合、つまり、非接触ICカードの片面の左右にアンテナコイルが備えられるとともに、もう一方の片面の左右にもアンテナコイルが備えられる場合を説明する。
【0067】
なお、本発明の実施の形態3に係る非接触ICカードのハードウェア構成は、図3に示した構成と比して、第3アンテナコイルと、第3アンテナコイルで発生した起電力を測定する第3起電力測定器と、第4アンテナコイルと、第4アンテナコイルで発生した起電力を測定する第4起電力測定器とが追加される点が異なるのみで、その他は共通するので、図示を省略する。本実施の形態に係る非接触ICカードの機能的な構成も図4の構成と同様である。
【0068】
以下では、図10および図11を参照しながら、主に本実施の形態3に係る非接触ICカードの動作について説明する。
【0069】
図10(A)は、本実施の形態3に係る非接触ICカード13における片面側(表面側)の概観を示す平面図であり、本図に示すように、非接触ICカード13の表面の左側には第1アンテナコイル106が、右側には第2アンテナコイル107が埋設されている。
【0070】
図10(B)は、非接触ICカード13における他方の片面側(裏面側)の概観を示す平面図であり、本図に示すように、非接触ICカード13の裏面の左側には第3アンテナコイル108が、右側には第4アンテナコイル109が埋設されている。
【0071】
図10(C)は、非接触ICカード13の操作方法を説明するための図であり、図11は、電力供給後からアプリケーションが選択されるまでの、非接触ICカード13の動作手順を示すフローチャートである。なお、図11において、上記実施の形態1および2の説明で用いた図7および図9のフローチャートと異なる手順を、破線で囲んで強調して示し(S1002)、同一の手順には、同一の符号を付している。
【0072】
図10(C)に示すように、ユーザが、第4アンテナコイル109が埋設されている裏面の右側から、非接触ICカード13をリーダ・ライタ20にかざすと、それぞれのアンテナコイルで発生した起電力は、対応する起電力測定部でそれぞれ測定される(S302)。
【0073】
図11に示すように、まず、起電力比較部313は、非接触ICカード13の左側に埋設されている第1アンテナコイル106もしくは第3アンテナコイル108に発生した起電力と、非接触ICカード13の右側に埋設されている第2アンテナコイル107もしくは第4アンテナコイル109に発生した起電力とを比較する(S310)。このとき、非接触ICカード13における左右の起電力比較は、上記実施の形態2と同様に、起電力の発生時間を比較することにより行ない、図10(C)に示した例では、起電力比較部313は、非接触ICカード13の右側に埋設されているアンテナコイルに発生する起電力が大きいと判断することになる。
【0074】
その後、非接触ICカード13の表面側に埋設されている第2アンテナコイル107に発生した起電力と、裏面側に埋設されている第4アンテナコイル109に発生した起電力とが比較される(S312)。このとき、非接触ICカード13における表裏の起電力比較は、上記実施の形態1と同様に、起電力の大きさを比較することにより行ない、図10(C)に示した例では、起電力比較部313は、非接触ICカードの裏面に埋設されているアンテナコイルに発生する起電力が大きいと判断することになる。
【0075】
この結果、起電力比較部313は、第4アンテナコイル109に発生する起電力が最も大きいと判断することになり、アプリケーション選択実行部215は、第4アンテナコイル109に対応したアプリケーションB1を実行すべきアプリケーションとして選択し(S316)、プログラム格納部216から選択されたアプリケーションB1を読み出して起動する(S306)。
【0076】
ユーザが、第3アンテナコイル108を有する裏面の左側から、非接触ICカード13をリーダ・ライタ20にかざした場合は、第3アンテナコイル108に発生する起電力が最も強くなる。アプリケーション選択実行部215は、第3アンテナコイル108に対応したアプリケーションB2を実行すべきアプリケーションとして選択し(S314)、プログラム格納部216から選択されたアプリケーションB2を読み出して起動する(S306)。
【0077】
図10(C)において、ユーザが、第1アンテナコイル106を有する表面の左側から、非接触ICカード13をリーダ・ライタ20にかざした場合は、第1アンテナコイル106に発生する起電力が最も強くなるため、アプリケーション選択実行部215は、第1アンテナコイル106に対応したアプリケーションA1を実行すべきアプリケーションとして選択し(S313)、プログラム格納部216から選択されたアプリケーションA1を読み出して起動する(S306)。
【0078】
ユーザが、第2アンテナコイル107を有する表面の右側から、非接触ICカード13をリーダ・ライタ20にかざした場合は、第2アンテナコイル107に発生する起電力が最も強くなるため、アプリケーション選択実行部215は、第2アンテナコイル107に対応したアプリケーションA2を実行すべきアプリケーションとして選択し(S315)、プログラム格納部216から選択されたアプリケーションA2を読み出して起動する(S306)。
【0079】
なお、図11では、非接触ICカード13の左右の起電力比較を行なった後に、表裏の起電力比較を行なう例を示したが、順序を逆にして、表裏の起電力比較を行なった後に、左右の起電力比較を行なうとしてもよい。
【0080】
以上、説明したように、本実施の形態3に係る非接触ICカードによれば、複数のアンテナコイルのそれぞれに発生する起電力の大きさを比較してカードの表裏を判断し、起電力の発生時間等を比較してカードの左右を判断して、実行すべきアプリケーションを選択するので、ユーザはリーダ・ライタに非接触ICカードをかざす方向と、かざす面とを切り替えることにより非接触ICカード内のアプリケーションを切り替えることが可能となる。
【0081】
(実施の形態4)
さらに、本発明の実施の形態4に係る非接触ICカードについて説明する。
【0082】
本実施の形態4では、非接触ICカードをリーダ・ライタに近づけた場合に、起動されるアプリケーションが区別出来る全ての可能性を考え、片面(表面)に4つ、もう一方の面(裏面)に4つのアンテナコイルを備えた非接触ICカードを説明する。なお、本実施の形態4に係る非接触ICカードのハードウェア構成は、図3に示した構成と比して、第3〜第8アンテナコイルと、第3〜第8アンテナコイルで発生した起電力をそれぞれ測定する第3〜第8起電力測定器とが追加される点が異なるのみで、基本的な構成は共通するので、図示を省略する。機能的な構成も同様である。
【0083】
図12(A)は、本実施の形態4に係る非接触ICカード14における表面側の概観を示す平面図であり、本図に示すように、非接触ICカード14の表面の左上側には第1アンテナコイル110、左下側には第2アンテナコイル111、右上側には第3アンテナコイル112、そして、右下側には第4アンテナコイル113が、それぞれ埋設されている。
【0084】
図12(B)は、非接触ICカードにおける裏面側の概観を示す平面図であり、本図に示すように、非接触ICカード14の裏面側の左上側には第5アンテナコイル114、左下側には第6アンテナコイル115、右上側には第7アンテナコイル116、そして、右下側には第8アンテナコイル117が、それぞれ埋設されている。
【0085】
図12(C)は、非接触ICカード14の操作方法を説明するための図である。
図12(C)に示すように、ユーザは、リーダ・ライタ20に対して、非接触ICカード14の片面のうち、4つの角のいずれかを近づけることで、実行させたいアプリケーションを切り替えることができる。また、もう一方の片面についても同様に、非接触ICカード14のもう一方の片面のうち、4つの角のいずれかを近づけることで、実行させたいアプリケーションを切り替えることができる。すなわち、ユーザは、1枚の非接触ICカード14で、合計8つのアプリケーションの切り替えが可能となる。なお、非接触ICカード14が起動するアプリケーションを決定する手順は、上記実施の形態3における手順と同様であり、起電力比較部313において、起電力の大きさを比較することでカードの表裏を判断することができ、起電力の発生時間等を比較することで上下左右を判断することができる。
【0086】
以上、説明したように、本実施の形態4に係る非接触ICカードによれば、ユーザは、リーダ・ライタに非接触ICカード14をかざす方向とかざす面とを切り替えることにより、非接触ICカード内のマルチアプリケーションの切り替えを実現することができる。
【0087】
以上、本発明に係る非接触ICカードについて各実施の形態に基づき説明したが、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではなく、その範囲を逸脱することなく種々の変形または修正が可能である。
【0088】
例えば、上記各実施の形態では、電力供給(図7におけるS301)や、起電力測定(図7におけるS302)、起電力比較(図7におけるS303)の処理について、別の要素によって処理しているように説明したが、これらの処理をCPU212で行なうとしても良い。
【0089】
また、図4に示したブロック図の各機能ブロックは典型的には集積回路であるLSIとして実現される。このLSIは1チップ化されても良いし、複数チップ化されても良い。(例えばメモリ以外の機能ブロックが1チップ化されていても良い。)
ここでは、機能ブロックはLSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0090】
集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なField Programmable Gate Array(FPGA)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用しても良い。
【0091】
さらには、半導体技術の進歩又は派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行なってもよい。バイオ技術の適応が可能性としてありうる。
【0092】
また、図4に示した各機能ブロックのうち、データを格納するユニットだけ1チップ化せずに別構成としても良い。
【0093】
さらに、図13(A)〜図13(D)に示すように、提供されるアプリケーションに対応するアンテナコイルが埋設されている部分をそれぞれユーザに認識させるためのシール又は表示加工を非接触ICカードに施しても良い。
【0094】
図13(A)に示すように、非接触ICカード11の表面と裏面とにシール又は表示加工を施す場合、ユーザが非接触ICカード11をリーダ・ライタ20に近づける際に、どのアプリケーションが起動されるかを認識しやすいように、アプリケーションに対応するアンテナコイルが埋設されている片面とは逆の面に、それぞれのアプリケーションを示すシールや表示加工を設けても良い。
【0095】
図13(A)の場合であれば、アプリケーション「SOUCA」に対応するアンテナコイルは、非接触ICカード11の裏面側に近い位置に埋設されており、アプリケーション「IKUKA」に対応するアンテナコイルは、非接触ICカード11の表面側に近い位置に埋設されている。つまり、表面側に近い位置に埋設されているアンテナコイルに対応するアプリケーションを示すシールや表示は裏面に施され、裏面側に近い位置に埋設されているアンテナコイルに対応するアプリケーションを示すシールや表示は表面に施されている。
【0096】
また、図13(B)に示すように、非接触ICカード12の一方の面において、アンテナコイルを配した部分にシール又は表示加工を施し、アンテナコイルに対応づけられたアプリケーションをユーザにわかりやすく表示してもよい。
【0097】
また、非接触ICカードの同一面に複数のアプリケーションが搭載されている場合には、図13(D)に示す非接触ICカード14の四隅に設けられた矢印のように、ユーザが非接触ICカード14をリーダ・ライタ20にどの方向からかざせばよいかを、明示するのが好ましい。
【0098】
さらに、非接触ICカードをユーザが目視することができない場合に対処するため、図14に示すように、非接触ICカード15の端部30を切り欠くことによって凹部31を形成しても良い。これによって、ユーザは、非接触ICカード15の淵を指で挟んで確かめることにより、非接触ICカード15の表面、裏面、および、その方向を確認することができる。
【0099】
なお、本明細書では、フラットなカード形状の非接触ICカードについて主に説明したが、本発明は、そのような非接触カードに限定されるものでなく、カードの形状はその他の形状であってもよいし、本発明は他の分野への応用も可能である。
【0100】
例えば、本発明は、球体の表面に複数のアンテナコイルを配し、それぞれのアンテナコイルに対応させて球体の挙動(例えば、球体の色彩の変化等)をプログラミングしておき、その球体がリーダ・ライタに接触する面に応じて、球体の挙動を変化させる玩具やゲーム機等への応用も可能である。
【0101】
また、本明細書における「起電力」は、「電力」、「電圧」、「電流」と読み替えてもよい。アンテナコイルは一定周波数の電磁波に対して一定のインピーダンスをもつので、アンテナコイルに誘起される電力の大きさに応じて誘起される電圧も電流も変化するからである。
【0102】
本発明の典型的な実施の形態を上述したが、当業者は、本発明の新規な教示及び効果から逸脱することなく、典型的な実施の形態において多くの変形が可能であることを容易に認識する。したがって、全てのこのような変形は、本発明の範囲内に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明に係る非接触ICカードは、複数のアンテナコイルと、それぞれの起電力を測定するための複数の起電力測定部と、測定された起電力の特性を比較するための起電力比較部と、その比較結果に基づいてアプリケーションを選択し起動させるアプリケーション選択実行部とを備える。本発明は、複数のアプリケーションを外部からユーザの操作により切り替えることができる非接触ICカードとして有用であり、特に、交通系用途や公共系用途の非接触ICカードとして好適である。
【図面の簡単な説明】
【0104】
これら、並びに、発明の他の目的、効果、および特徴は、発明の特定の実施の形態を説明する添付図面とともに行なう説明から明らかである。
【図1】一般的な非接触ICカード、リーダ・ライタ、および両者を利用する状況を示す概観図である。
【図2】図1に示した一般的な非接触ICカードのハードウェア構成を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る非接触ICカードのハードウェア構成を示す図である。
【図4】実施の形態1に係る非接触ICカードの機能的な構成を示す機能ブロック図である。
【図5】(A)実施の形態1に係る非接触ICカードにおける片面側の概観を示す平面図である。(B)実施の形態1に係る非接触ICカードにおける他方の片面側の概観を示す平面図である。(C)実施の形態1に係る非接触ICカードの一部の断面斜視図である。
【図6】(A)実施の形態1に係る非接触ICカードの操作方法を説明するための図である。(B)非接触ICカードとリーダ・ライタとの距離と、それぞれのアンテナコイルが発生する起電力との関係を示した図である。
【図7】実施の形態1に係る非接触ICカードの動作手順を示すフローチャートである。
【図8】(A)本発明の実施の形態2に係る非接触ICカードの操作方法を説明するための図である。(B)非接触ICカードがリーダ・ライタを通過する時間と、それぞれのアンテナコイルが発生する起電力との関係を示した図である。(C)非接触ICカードがリーダ・ライタを通過する時間と、それぞれのアンテナコイルが発生する起電力のピーク値との関係を示した図である。
【図9】実施の形態2に係る非接触ICカードの動作手順を示すフローチャートである。
【図10】(A)本発明の実施の形態3に係る非接触ICカードにおける片面側の概観を示す平面図である。(B)実施の形態3に係る非接触ICカードにおける他方の片面側の概観を示す平面図である。(C)実施の形態3に係る非接触ICカードの操作方法を説明するための図である。
【図11】実施の形態3に係る非接触ICカードの動作手順を示すフローチャートである。
【図12】(A)本発明の実施の形態4に係る非接触ICカードにおける片面側の概観を示す平面図である。(B)実施の形態4に係る非接触ICカードにおける他方の片面側の概観を示す平面図である。(C)実施の形態4に係る非接触ICカードの操作方法を説明するための図である。
【図13】(A)から(D)ICカードに格納されているアプリケーションプログラムの確認のために、非接触ICカードに施されるシール又は表示加工を示した概観図である。
【図14】カードの方向や面を認識させるために、非接触ICカードに施される切り欠き加工を示した概観図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアプリケーションプログラムを実行可能な非接触ICカードであって、
リーダ・ライタからの電磁波を受信することにより、起電力を発生させる複数のアンテナコイルと、
前記非接触ICカードが前記リーダ・ライタにかざされる際に、前記各アンテナコイルで発生する起電力を測定する起電力測定部と、
前記起電力測定部によって測定されたそれぞれのアンテナコイルの起電力の特性を比較する起電力比較部と、
前記起電力比較部による比較結果に基づいて、1つのアプリケーションプログラムを選択して実行するアプリケーション選択実行部と
を備える非接触ICカード。
【請求項2】
前記起電力比較部は、起電力の大きさを比較し、
前記アプリケーション選択実行部は、最も大きい起電力を発生させたアンテナコイルに対応付けられたアプリケーションプログラムを実行する
請求項1記載の非接触ICカード。
【請求項3】
前記起電力比較部は、前記起電力測定部によって最初に起電力が測定された第1の時刻から、所定の時間経過後の第2の時刻における、前記各アンテナコイルで発生する起電力の大きさを比較し、
前記アプリケーション選択実行部は、前記第2の時刻において最も大きい起電力を発生させたアンテナコイルに対応付けられたアプリケーションプログラムを実行する
請求項1記載の非接触ICカード。
【請求項4】
前記起電力比較部は、前記起電力測定部によって測定された前記各アンテナコイルで発生する起電力がピーク値に達した時刻を比較し、
前記アプリケーション選択実行部は、前記ピーク値に達した時刻が最も早いアンテナコイルに対応付けられたアプリケーションプログラムを実行する
請求項1記載の非接触ICカード。
【請求項5】
前記各アンテナコイルは、前記非接触ICカードにそれぞれ異なる深さで埋設される
請求項1記載の非接触ICカード。
【請求項6】
前記各アンテナコイルは、前記非接触ICカードの表面と裏面とにそれぞれ配置される
請求項1記載の非接触ICカード。
【請求項7】
前記各アンテナコイルは、前記非接触ICカードのいずれか一方の面または両面の右側と左側とにそれぞれ配置される
請求項1記載の非接触ICカード。
【請求項8】
さらに、
前記複数のアプリケーションプログラムを、それぞれ前記複数のアンテナコイルと対応付けて格納するプログラム格納部を備える
請求項1記載の非接触ICカード。
【請求項9】
さらに、
前記各アンテナコイルに対応付けられた各アプリケーションプログラムを示す表示部を備える
請求項8記載の非接触ICカード。
【請求項10】
前記表示部は、前記非接触ICカードが前記リーダ・ライタに近づくときの方向と、実行されるアプリケーションプログラムとの対応を示すマークである
請求項9記載の非接触ICカード。
【請求項11】
前記複数のアンテナコイルには、前記非接触ICカードの表面に近い位置に埋設された第1のアンテナコイルと、前記非接触ICカードの裏面に近い位置に埋設された第2のアンテナコイルとが含まれ、
前記表示部には、前記第1のアンテナコイルに対応づけられた第1のアプリケーションプログラムを示す第1のマークと、前記第2のアンテナコイルに対応づけられた第2のアプリケーションプログラムを示す第2のマークとが含まれ、
前記第1のマークは、前記非接触ICカードの裏面に施され、
前記第2のマークは、前記非接触ICカードの表面に施されている
請求項10記載の非接触ICカード。
【請求項12】
前記非接触ICカードのいずれか一方の面の一部を切り欠いた凹部が形成されている
請求項1記載の非接触ICカード。
【請求項13】
複数のアプリケーションプログラムを実行可能な非接触ICカードにおけるアプリケーション選択方法であって、
前記非接触ICカードは、リーダ・ライタからの電磁波を受信することにより、起電力を発生する複数のアンテナコイルを備え、
前記各アンテナコイルで発生する起電力を測定し、
測定されたそれぞれのアンテナコイルの起電力の特性を比較し、
比較結果に基づいて、1つのアプリケーションプログラムを選択して実行する
アプリケーション選択方法。
【請求項14】
複数のアプリケーションプログラムを実行可能な非接触ICカードのためのプログラムであって、
前記非接触ICカードは、リーダ・ライタからの電磁波を受信することにより、起電力を発生する複数のアンテナコイルを備え、
前記プログラムは、
前記各アンテナコイルで発生する起電力を測定し、
測定されたそれぞれのアンテナコイルの起電力の特性を比較し、
比較結果に基づいて、1つのアプリケーションプログラムを選択して実行すること
をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項15】
プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
複数のアンテナコイルで発生する起電力を測定し、
測定されたそれぞれのアンテナコイルの起電力の特性を比較し、
比較結果に基づいて、1つのアプリケーションプログラムを選択して実行すること
をコンピュータに実行させるプログラムが記録された記録媒体。
【請求項16】
複数のアプリケーションプログラムを実行可能な非接触ICカードを制御するための集積回路であって、
前記非接触ICカードは、リーダ・ライタからの電磁波を受信することにより、起電力を発生する複数のアンテナコイルを備え、
前記集積回路は、
前記各アンテナコイルで発生する起電力を測定する起電力測定部と、
前記起電力測定部によって測定されたそれぞれのアンテナコイルの起電力の特性を比較する起電力比較部と、
前記起電力比較部による比較結果に基づいて、1つのアプリケーションプログラムを選択して実行するアプリケーション選択実行部と
を備える集積回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2007−529057(P2007−529057A)
【公表日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−519290(P2006−519290)
【出願日】平成16年10月15日(2004.10.15)
【国際出願番号】PCT/JP2004/015646
【国際公開番号】WO2005/038703
【国際公開日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】