説明

非水系温感粘着剤組成物および温感貼付剤

【課題】貼付時の温感による熱感およびヒリヒリ感が抑制され、良好な温感付与効果が得られる非水系温感粘着剤組成物、および該非水系温感粘着剤組成物を用いた温感貼付剤を提供する。
【解決手段】本発明は、温感剤(A)と、アクリル系高分子化合物(B)と、アクリル系高分子化合物(B)と架橋する架橋剤(C)とを含有することを特徴とする非水系温感粘着剤組成物である。また、本発明の非水系温感粘着剤組成物においては、可塑剤(D)をさらに含有することが好ましい。また、本発明は、前記本発明の非水系温感粘着剤組成物が支持体に積層されてなる温感貼付剤である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非水系温感粘着剤組成物、および該非水系温感粘着剤組成物を用いた温感貼付剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、薬物を経皮吸収させるための製剤としては、たとえば、膏体(粘着剤組成物)が支持体に積層されてなる貼付剤等が用いられている。
貼付剤には、ポリアクリル酸などのポリマーを水で膨潤させた含水系粘着剤を使用した、いわゆる含水系貼付剤や、スチレン−イソプレンースチレンブロック共重合体(SIS)もしくはポリイソブテン等を含むゴム系粘着剤またはアクリル系高分子化合物等を含むアクリル系粘着剤を使用した、いわゆる非水系貼付剤がある。
【0003】
また、前記貼付剤のなかには、冷感を付与する冷感貼付剤、温感を付与する温感貼付剤等がある。
たとえば、打撲や捻挫などの急性外傷においては、その患部を冷やす効果を発揮する冷感貼付剤が適している。
一方、腰痛などの慢性疾患においては、血流促進作用が高く、かつ温かい使用感を有する温感貼付剤(かかる場合、好ましくは温感消炎鎮痛貼付剤)が適している。
【0004】
温感貼付剤としては、含水系粘着剤と、たとえば血流促進作用などの効果を有する温感剤とを含有する含水系温感粘着剤組成物が、支持体に積層されてなる含水系の温感貼付剤が知られている。
また、非水系粘着剤と、前記温感剤とを含有する非水系温感粘着剤組成物が、支持体に積層されてなる非水系の温感貼付剤も知られている。
【0005】
非水系の温感貼付剤としては、たとえば、支持体上に、消炎鎮痛剤と、経皮吸収促進剤と、温感刺激剤と、ゴム系粘着剤とを含有する粘着剤層が形成された消炎鎮痛貼付剤が提案されている(特許文献1、2参照)。
また、支持体と、該支持体の少なくとも一方の面上に配置された粘着剤層とを備え、前記粘着剤層が、温感付与物質、L−メントール及び残刺激低減剤としてのポリエチレングリコールを含有する、温感パップ剤が提案されている(特許文献3参照)。
また、支持体の片面に、非ステロイド抗炎症薬と、温感刺激薬と、ゴム系粘着剤またはアクリル系粘着剤とを含有する粘着剤層が設けられた貼付剤が提案されている(特許文献4参照)。
また、支持体上に、ゴム系粘着剤と、皮膚刺激剤(温感剤を含む)と、消炎鎮痛剤とを含有する粘着剤層が設けられた貼付薬およびその製造方法が提案されている(特許文献5参照)。
【特許文献1】特開2000−256214号公報
【特許文献2】特開2004−115417号公報
【特許文献3】国際公開第04/047820号パンフレット
【特許文献4】特開平6−172164号公報
【特許文献5】特開昭54−138124号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、含水系の温感貼付剤は、貼付部位の皮膚温度が、貼付部位における水の気化熱の影響により、実際には充分に上がらず、温感付与効果は必ずしも満足できるものではない。
一方、たとえば特許文献1〜5のような従来の非水系の温感貼付剤は、含水系の温感貼付剤に比べて、高い温感付与効果が得られやすいものの、貼付時に、温感が高すぎて熱いと感じる(以下、「熱感」という。)、または温感により貼付部位にヒリヒリした刺激を感じる(以下、「ヒリヒリ感」という。)等の問題があり、かかる貼付時の温感による熱感およびヒリヒリ感の改善が求められている。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、貼付時の温感による熱感およびヒリヒリ感が抑制され、良好な温感付与効果が得られる非水系温感粘着剤組成物、および該非水系温感粘着剤組成物を用いた温感貼付剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、鋭意検討した結果、上記課題を解決するために本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、温感剤(A)と、アクリル系高分子化合物(B)と、アクリル系高分子化合物(B)と架橋する架橋剤(C)とを含有することを特徴とする非水系温感粘着剤組成物である。
また、本発明の非水系温感粘着剤組成物においては、前記架橋剤(C)が多価金属化合物であることが好ましい。
また、本発明の非水系温感粘着剤組成物においては、可塑剤(D)をさらに含有することが好ましい。
また、本発明の非水系温感粘着剤組成物においては、前記可塑剤(D)の含有量が5〜35質量%であることが好ましい。
【0009】
また、本発明は、前記本発明の非水系温感粘着剤組成物が支持体に積層されてなる温感貼付剤である。
また、本発明の温感貼付剤においては、前記支持体が樹脂フィルムであることが好ましい。
また、本発明の温感貼付剤においては、前記樹脂フィルムがエラストマーフィルムであることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の非水系温感粘着剤組成物によれば、貼付時の温感による熱感およびヒリヒリ感が抑制され、良好な温感付与効果が得られる温感貼付剤が提供できる。
また、本発明の温感貼付剤によれば、貼付時の温感による熱感およびヒリヒリ感が抑制され、良好な温感付与効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
≪非水系温感粘着剤組成物≫
本発明の非水系温感粘着剤組成物は、温感剤(A)(以下、(A)成分ということがある。)と、アクリル系高分子化合物(B)(以下、(B)成分ということがある。)と、アクリル系高分子化合物(B)と架橋する架橋剤(C)(以下、(C)成分ということがある。)とを含有するものである。
また、本発明の非水系温感粘着剤組成物は、好ましくは、可塑剤(D)(以下、(D)成分ということがある。)をさらに含有する。
【0012】
本発明の非水系温感粘着剤組成物は、たとえば、支持体の一方の面側に、非水系温感粘着剤層が設けられた温感貼付剤(非水系温感貼付剤)の非水系温感粘着剤層を形成するために使用されるものである。
係る非水系温感粘着剤組成物は、原料由来、製造工程または環境からの水分を含んでいてもよいが、該水分の含有量は少ないほど好ましい。具体的には、非水系温感粘着剤組成物中の水分の割合は、5質量%以下であることが好ましく、より好ましくは2質量%以下である。水分の割合を5質量%以下とすることにより、非水系温感粘着剤組成物の凝集力が高くなり、温感貼付剤の皮膚からの剥離性が向上する。たとえば、水分を0.1〜2.0質量%程度含有する非水系温感粘着剤組成物は、本発明の効果が良好な非水系温感粘着剤組成物である。
【0013】
<(A)成分>
本発明において、(A)成分は温感剤である。
(A)成分としては、非水系粘着剤組成物に配合して皮膚に適用した際に、皮膚に温感を感じさせる物質であればよく、たとえばカプシコシド、カプサイシン、カプサイシノイド、ジビトロキシカプサイシン、カプサンチン等のカプサイシン類似体、トウガラシエキス、トウガラシチンキ、およびトウガラシ末等のトウガラシ由来の温感付与物質;ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸β−ブトキシエチル、N−アシルワニルアミド、ノニル酸ワニルアミド等が挙げられる。
上記のなかでも、皮膚への温感付与効果が良好なことから、トウガラシ由来の温感付与物質、ノニル酸ワニルアミドが好ましく、トウガラシ由来の温感付与物質がより好ましく、そのなかでもカプシコシド、カプサイシン、カプサイシノイド、カプサイシン類似体、トウガラシエキス、トウガラシチンキ、トウガラシ末が特に好ましい。
上記(A)成分は、1種を単独で、または2種以上を併用して用いることができる。
非水系温感粘着剤組成物中の(A)成分の割合は、該非水系温感粘着剤組成物中、0.0001〜10質量%であることが好ましく、0.0001〜5質量%であることがより好ましく、0.001〜2質量%であることがさらに好ましい。該割合の下限値以上であると、温感貼付剤とした際、皮膚への温感付与効果が向上する。一方、該割合の上限値以下であれば、温感貼付剤とした際、充分な皮膚への温感付与効果が得られる。
【0014】
<(B)成分>
本発明において、(B)成分はアクリル系高分子化合物である。
「アクリル系高分子化合物」とは、アクリル樹脂を意味し、主としてアクリル酸、メタクリル酸、およびこれらの誘導体(たとえばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリルアミド、アクリロニトリルなどの重合体)を包含する。
該(B)成分は、後述の(C)成分との架橋により形成される架橋構造を構成するものである。架橋構造を形成することにより、温感貼付剤とした際、貼付時の温感による熱感およびヒリヒリ感が抑制され、良好な温感付与効果が得られると推測される。
また、該(B)成分は、粘着剤のなかでも、貼付剤とした際、長時間連続で貼付した後の皮膚からの剥離時における痛みが少ない(角質層の剥離が比較的緩和された)ものである。
【0015】
(B)成分としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来するモノマー単位を有する重合体が好ましく、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来するモノマー単位と、カルボキシ基を含むモノマーに由来するモノマー単位とを有する重合体がより好ましい。
本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、メタクリル酸とアクリル酸の一方または両方を示す。
「モノマー単位」とは、重合体を構成する構成単位を意味する。
「(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来するモノマー単位」とは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルのエチレン性二重結合が開裂して構成されるモノマー単位を意味する。
「カルボキシ基を含むモノマーに由来するモノマー単位」とは、カルボキシ基を含むモノマーのエチレン性二重結合が開裂して構成されるモノマー単位を意味する。
【0016】
モノマー単位を提供する「(メタ)アクリル酸アルキルエステル」において、アルキルエステルのアルキル基の炭素数は、粘着力が良好なことから、1〜30のものが好ましく、より好ましくは4〜20のものであり、特に好ましくは4〜12のものである。該アルキル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、たとえば、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル等の直鎖状アルキル基;2−エチルヘキシル等の分岐鎖状アルキル基が挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして具体的には、たとえばアクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ドデシルが特に好ましく挙げられる。
また、モノマー単位を提供する「カルボキシ基を含むモノマー」として具体的には、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸等が挙げられる。なかでも、アクリル酸、メタクリル酸が特に好ましく挙げられる。
(B)成分において、上記モノマー単位を提供するモノマーは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、(B)成分は、粘着性、架橋性、凝集性の点から、炭素数4〜12のアルキル基を含む(メタ)アクリル酸アルキルエステルから選ばれるモノマー単位と、カルボキシ基を含むモノマーから選ばれるモノマー単位とを有する重合体であることが好ましい。
【0017】
(B)成分中の上記モノマー単位の割合は、該(B)成分を構成する全モノマー単位に対し、20〜100質量%が好ましく、30〜100質量%がより好ましい。該範囲の下限値以上であることにより、粘着性、架橋性、凝集性、耐水性が向上する。
特に、炭素数4〜12のアルキル基を含む(メタ)アクリル酸アルキルエステルから選ばれるモノマー単位と、カルボキシ基を含むモノマーから選ばれるモノマー単位とを有する重合体を用いる場合、該重合体を構成する全モノマー単位に対し、前者の割合は30〜99質量%が好ましく、50〜99質量%がより好ましい。後者の割合は1〜60質量%が好ましく、1〜30質量%がより好ましい。該範囲であることにより、上記の(B)成分を含有することによる効果がより得られやすくなる。
【0018】
(B)成分は、前記モノマー単位を提供するモノマー以外に、必要に応じて、前記モノマー単位を提供するモノマーと共重合可能なコモノマーを用いることができる。
係るコモノマーとしては、ビニルアルコール、2−ヒドロキシ(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルエステル等の水酸基含有単量体;スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、スルホプロピルアクリレート等のスルホン基含有単量体;ジメチルアミノエチルアクリレート、ビニルピロリドン等のアミノ基含有単量体;(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有アクリル系単量体;(メタ)アクリル酸アミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルエステル等のアルキルアミノ基含有アクリル系単量体;(メタ)アクリル酸メトキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルエステル等のアルコキシ基(または側鎖にエーテル結合)含有単量体;(メタ)アクリル酸グリコシルオキシエチル、(メタ)アクリル酸ガラクトシルオキシエチル等の糖鎖含有単量体;N−(メタ)アクリロイルアミノ酸等のビニル系単量体;アクリル酸のウレタンエステル、尿素エステル、イソシアネートエステル等のアクリル系単量体;(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ビニルクロライド、ビニルピリジン、ビニルピラジン、ビニルピペラジン、ビニルピペリドン、ビニルピリミジン、ビニルピロール、ビニルイミダゾール、ビニルカプロラクタム、ビニルオキサゾール、ビニルチアゾール、ビニルモルホリン、スチレン、α−メチルスチレン、ビス(N,N−ジメチルアミノエチル)マレエート等のビニル系単量体等が挙げられる。
上記のコモノマーは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記コモノマーにより提供されるモノマー単位の割合は、(B)成分を構成する全モノマー単位に対し、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下であることが好ましい。
【0019】
(B)成分は、たとえば重合開始剤を用いて合成されたものを使用することができる。
重合開始剤としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩;過酸化水素水、過酸化ラウロイル、t−ブチルハイドロパーオキサイド等の水性ラジカル重合開始剤、またはそれらの混合物等が挙げられる。
重合開始剤の使用量は、係る合成に用いられるモノマーの全質量100質量部に対して0.01〜5質量部とすることが好ましく、0.1〜2質量部とすることがより好ましい。
また、重合開始剤と還元剤とを組み合わせてレドックス系を形成することもできる。該還元剤としては、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、ピロ亜硫酸塩、ホルムアルデヒドスルホン酸塩等のアルカリ金属塩;アンモニウム塩、L−アスコルビン酸、酒石酸等のカルボン酸類が挙げられる。
還元剤の使用量は、係る合成に用いられるモノマーの全質量100質量部に対して0.01〜5質量部とすることが好ましく、0.1〜2質量部とすることがより好ましい。
【0020】
(B)成分は、具体的には乳化重合によって製造されたものを好ましく使用することができる。
乳化重合の際、用いられる界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、またはそれらの混合物を用いることができる。
アニオン性界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルもしくはアルキルアリル硫酸塩、アルキルもしくはアルキルアリルスルホン酸塩;ジアルキルスルホコハク酸塩;ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(エチレンオキシドの平均付加モル数が3)、ポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(エチレンオキシドの平均付加モル数が4)等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩等が挙げられる。塩としては、アルカリ金属塩またはアンモニウム塩などが挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル;モノラウリン酸ポリエチレングリコール、モノオレイン酸ポリエチレングリコール等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、ベタイン、アミノ酸の誘導体等が挙げられる。また、ペプチド系界面活性剤であるサーファクチンナトリウムも挙げることができる。
上記の界面活性剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
界面活性剤の使用量は、係る合成に用いられるモノマーの全質量100質量部に対して0.1〜10質量部とすることが好ましく、0.5〜5質量部とすることがより好ましい。該使用量を0.1質量部以上とすることにより、乳化重合反応がより安定に進行し、凝集物の生成が抑制される。一方、10質量部以下とすることにより、乾燥性、耐水性が向上する。
また、前記乳化重合は、必要に応じて、エチレンジアミン四酢酸ナトリウムなどのキレート剤、ポリカルボン酸塩などの分散剤、リン酸塩、炭酸塩などの無機塩、チオール化合物、ハロゲン化合物などの連鎖移動剤の存在下で行うこともできる
【0021】
本発明において、(B)成分は、ゲル分率が30〜85質量%であるものが好ましく、50〜80質量%であるものがより好ましい。
「ゲル分率」とは、以下のようにして測定される値を示す。
1)(B)成分の質量を測定する(このとき、測定される質量をW1とする)。ただし、(B)成分が溶媒等を含んでいる場合は、溶媒等を除去した後、(B)成分の質量を測定する。
2)1)の(B)成分を酢酸エチル中に浸漬して3日間放置し、固形分(不溶分)を取り出し、該固形分の乾燥後の質量を測定する(このとき、測定される質量をW2とする)。
3)下記の数式によってゲル分率(質量%)を算出する。
数式:ゲル分率=(W2/W1)×100
【0022】
(B)成分としてさらに具体的には、たとえば医薬品添加物事典2000(日本医薬品添加剤協会編集)に粘着剤として収載されている、アクリル酸・アクリル酸オクチルエステル共重合体、アクリル酸エステル・酢酸ビニルコポリマー、アクリル酸2−エチルヘキシル・ビニルピロリドン共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル・メタクリル酸2−エチルヘキシル・メタクリル酸ドデシル共重合体、アクリル酸メチル・アクリル酸2−エチルヘキシル共重合樹脂エマルジョン、メタクリル酸・アクリル酸n−ブチルコポリマー、アクリル樹脂アルカノールアミン液に含有するアクリル系高分子化合物等の粘着剤、DURO−TAKアクリル粘着剤シリーズ(商品名、ナショナルスターチアンドケミカル製)、オイドラギットシリーズ(商品名、樋口商会)、コリコート(商品名、BASFジャパン製)、ロダーム(商品名、ローム・アンド・ハース・ジャパン製)、ニカゾール(商品名、日本カーバイド製)等が好適に使用できる。
【0023】
本発明において、(B)成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
非水系温感粘着剤組成物中の(B)成分の割合は、該非水系温感粘着剤組成物中、30〜95質量%であることが好ましく、より好ましくは50〜90質量%であり、特に好ましくは55〜90質量%である。該範囲の下限値以上であることにより、温感貼付剤を皮膚に適用した際の粘着性が向上し、温感貼付剤の皮膚からの剥がれ・めくれがより少なくなる。一方、上限値以下であることにより、温感貼付剤を皮膚から剥離した際の痛みが低減される。
【0024】
<(C)成分>
本発明において、(C)成分は架橋剤である。該(C)成分は、前記(B)成分との架橋により形成される架橋構造を構成するものである。
また、該(C)成分を含有することにより、温感貼付剤とした際、長時間連続で貼付した時の皮膚の痛み、該貼付剤の剥離時の痛みが抑制される。
【0025】
(C)成分としては、たとえば多価金属化合物(無機多価金属化合物、有機多価金属化合物)、イソシアネート化合物(好ましくは三官能性イソシアネート化合物)、エポキシ化合物等が挙げられる。なかでも、本発明の効果がより良好となることから、多価金属化合物が好ましく、無機多価金属化合物がより好ましい。
【0026】
無機多価金属化合物としては、たとえばマグネシウム化合物、カルシウム化合物、亜鉛化合物、アルミニウム化合物、チタン化合物、錫化合物、鉄化合物、マンガン化合物、コバルト化合物、ニッケル化合物等が挙げられる。
なかでも、皮膚に対する安全性の点から、アルミニウム化合物、マグネシウム化合物、カルシウム化合物が好ましく、アルミニウム化合物が特に好ましい。これらのアルミニウム化合物、カルシウム化合物、およびマグネシウム化合物は、いずれのものも好適に使用することができる。
具体的には、水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムアンモニウム、硫酸アルミニウムカリウム、塩化アルミニウム、乳酸アルミニウム、ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート、酢酸アルミニウム、合成ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミニウム;硫酸カルシウム、硝酸カルシウム、塩化カルシウム、酢酸カルシウム、酸化カルシウム;水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化アルミナ・マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ヒドロタルサイト、またはそれらの金属原子を含む複塩等の水溶性多価金属化合物もしくは水難溶性多価金属化合物が挙げられる。
なかでも、水溶性多価金属化合物を使用することが好ましく、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム、塩化アルミニウム、乳酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、合成ケイ酸アルミニウム、塩化カルシウム、乳酸カルシウム、酢酸カルシウム、硝酸カルシウム、硫酸マグネシウム、酢酸マグネシウムがより好ましく、硫酸アルミニウムカリウム、乳酸アルミニウム、塩化アルミニウムが特に好ましい。
なお、本明細書および特許請求の範囲において「水溶性多価金属化合物」とは、20℃の水に対する溶解度が1mg/mL以上であり、好ましくは10mg/mL以上である多価金属化合物を示す。
【0027】
上記(C)成分は、1種を単独で、または2種以上を併用して用いることができる。
非水系温感粘着剤組成物中の(C)成分の割合は、該非水系温感粘着剤組成物中、0.01〜2質量%であることが好ましく、より好ましくは0.05〜1質量%であり、さらに好ましくは0.1〜1質量%である。該割合の下限値以上であると、(B)成分との架橋性が高まって、温感貼付剤とした際、該貼付剤を皮膚から剥離する際の痛みがより抑制される。一方、該割合の上限値以下であれば、(B)成分との架橋が適度に制御され、温感貼付剤とした際、該貼付剤の皮膚への粘着性がより向上する。
【0028】
<(D)成分>
本発明の非水系温感粘着剤組成物においては、可塑剤(D)をさらに含有することが好ましい。(D)成分を含有することにより、本発明の効果がより向上する。また、温感貼付剤とした際、非水系温感粘着剤層の皮膚に対する濡れ性が向上して密着性が高まると同時に、該貼付剤を皮膚から剥がした際の痛みが低減される。また、温感貼付剤の温感付与効果、薬物を含有する場合はその薬効付与効果がより長く持続する。
【0029】
(D)成分としては、二価アルコール(たとえばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ヘキシレングリコール等)、三価アルコール(たとえばグリセリン、トリメチロールプロパン等)、四価アルコール(たとえばエリスリトール、ペンタエリスリトール、ジグリセリン等)、五価アルコール(たとえばキシリトール等)、六価アルコール(たとえばソルビトール、ジペンタエリスリトール等)等の多価アルコール;グルコース、マンノース、ショ糖、ソルビタン、トレハロース、アルキルグリコシド等の糖類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリグリセリン等の多価アルコールの重合体;脂肪酸エステルまたはその誘導体;オクチルドデカノール等の炭素数8〜20の高級アルコールまたはその誘導体;オリーブ油、ヒマシ油等の油脂類などが挙げられる。
なかでも、多価アルコール、脂肪酸エステル、油脂類が好ましく、多価アルコール、脂肪酸エステルがより好ましい。特に薬物を含有する場合、薬物の経皮吸収性が良好なことから、脂肪酸エステルが好ましい。
【0030】
脂肪酸エステルとしては、下記一般式(1)で表される化合物が特に好ましい。
OOC−R−R ・・・(1)。
[式中、Rは炭素数3〜36の炭化水素基であり;Rは炭素数1〜20の炭化水素基であり;Rは水素原子または「−COOR」で表される基である。Rは炭素数1〜10の炭化水素基である。]
【0031】
前記式(1)中、Rは、炭素数3〜36であり、好ましくは4〜20の炭化水素基を示し、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、飽和であっても不飽和であってもよい。 また、Rが水素原子の場合、炭素数は10〜36であることが好ましく、Rが「−COOR」で表される基の場合、炭素数は3〜20であることが好ましい。
は、炭素数1〜20であり、好ましくは1〜18の炭化水素基を示し、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、飽和であっても不飽和であってもよい。また、Rが水素原子の場合、炭素数は1〜18であることが好ましい。Rが「−COOR」で表される基の場合、炭素数は1〜10であることが好ましく、より好ましくは1〜6であり、さらに好ましくは1〜3である。
は、水素原子または「−COOR」で表される基である。
は、炭素数1〜10の炭化水素基であり、好ましくは炭素数1〜8の炭化水素基を示し、該炭化水素基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、飽和であっても不飽和であってもよい。
なお、RとRは、互いに同じであっても異なっていてもよい。
前記式(1)で表される脂肪酸エステルは、Rが水素原子の場合はモノエステルであり、Rが「−COOR」で表される基の場合はジエステルである。
【0032】
脂肪酸エステルの具体例としては、ミリスチン酸イソプロピル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、オレイン酸エチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、オレイン酸オレイル、ミリスチン酸イソトリデシル、ラウリン酸エチル等が挙げられる。なかでも、ミリスチン酸イソプロピル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、オレイン酸オレイルが好ましい。
【0033】
上記(D)成分は、1種を単独で、または2種以上を併用して用いることができる。
非水系温感粘着剤組成物中の(D)成分の割合は、該非水系温感粘着剤組成物中、5〜35質量%であることが好ましく、5〜30質量%であることがより好ましく、5〜20質量%がさらに好ましい。該割合の下限値以上であると、本発明の効果がより向上する。また、温感貼付剤とした際、皮膚から剥がした際の痛みがより低減される。また、温感貼付剤の温感付与効果、薬物を含有する場合はその薬効付与効果がより長く持続する。特に薬物を含有する場合、薬物の経皮吸収が高まる。さらに、製造性も向上する。一方、該割合の上限値以下であれば、温感貼付剤とした際、皮膚への粘着性がより向上し、皮膚から剥がれにくくなる。
【0034】
<その他の成分>
本発明の非水系温感粘着剤組成物には、上記(A)〜(D)成分以外に、本発明の効果を阻害しない範囲で、たとえば架橋調整剤、薬物、pH調整剤、色素、香料などを適宜含有させることができる。
【0035】
(架橋調整剤)
本発明の非水系温感粘着剤組成物は、前記(B)成分と前記(C)成分との架橋性を制御する架橋調整剤をさらに含有することが好ましい。これにより、温感貼付剤の製造において、本発明の非水系温感粘着剤組成物を含有する非水系温感粘着剤層用塗工液の粘度変化が制御(特に粘度の増加が抑制)されて、ライナーまたは支持体への塗工性がより良好となり、該貼付剤の製造性が向上する。
【0036】
架橋調整剤としては、たとえば前記(C)成分とキレートを形成するキレート剤が好ましく挙げられる。
かかるキレート剤としては、前記(C)成分が有するプラスイオンとキレートを形成する能力を有する化合物であればよく、たとえば、エチレンジアミン、N−メチルエチレンジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、トリメチレンジアミン、cis−1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,2,3−トリアミノプロパン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ピリジン−2,6−ジカルボン酸、ニコチン酸ヒドラジド、ヒスタミン、イミノジ酢酸、ヒドロキシエチル酢酸、ニトリロトリ酢酸、N,N’−エチレンジアミンジ酢酸、N’−ヒドロキシエチル−N,N,N’−トリ酢酸、エチレンジアミン−N,N’−ジ酢酸−N,N’−ジプロピオン酸、エチレンジアミンテトラプロピオン酸、1,2−プロピレンジアミンテトラ酢酸、トリメチレンジアミンテトラ酢酸、trans−シクロヘキサン−1,2−ジアミンテトラ酢酸、エチルエーテルジアミンテトラ酢酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸、グリコールエーテルジアミンテトラ酢酸、グリシン、ザルコシン、アラニン、ロイシン、セリン、システイン、グルタミン酸、トリプトファン、アデニン、アセチルアセトン、2−ニトロソ−1−ナフトール−8−ヒドロキシナゾリン、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、エデト酸ナトリウム水和物、ジエチレントリアミン五酢酸、またはそれら化合物の一価金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩)、アミン塩もしくはアンモニウム塩等が好ましく挙げられる。
なかでも、クエン酸、エデト酸ナトリウム水和物、ジエチレントリアミン五酢酸、またはそれら化合物の一価金属塩がより好ましい。
非水系温感粘着剤組成物中のキレート剤の割合は、該非水系温感粘着剤組成物中、0.01〜5質量%であることが好ましく、より好ましくは0.1〜2質量%である。該割合の下限値以上であると、非水系温感粘着剤組成物を含有する非水系温感粘着剤層用塗工液の粘度の増加が抑制されて、温感貼付剤の製造性が向上する。また、温感貼付剤とした際に皮膚への粘着性が向上する。一方、該割合の上限値以下であれば、該貼付剤を皮膚から剥離した際の痛みがより抑制される。
【0037】
上記以外のキレート剤としては、ポリイソシアネート化合物、有機過酸化物、有機金属塩、金属アルコラート(好ましくは、チタンまたはアルミニウムからなる金属アルコラート)、金属キレート化合物、多官能性化合物等が挙げられ、非水系温感粘着剤組成物中の割合は、該非水系温感粘着剤組成物中、0.05〜2質量%であることが好ましい。該割合の範囲であれば、非水系温感粘着剤組成物の凝集力が高くなり、温感貼付剤とした際、皮膚から剥離する際の痛みがより抑制される。
上記の架橋調整剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0038】
本発明の非水系温感粘着剤組成物において、前記(C)成分と前記キレート剤との混合割合は、質量比[(C)/キレート剤]で0.1〜5であることが好ましく、0.1〜3であることがより好ましい。該質量比において、(C)成分の割合が下限値以上であると、前記(B)成分と(C)成分の架橋性が高まって、温感貼付剤とした際、皮膚から剥離する際の痛みがより抑制される。一方、(C)成分の割合が上限値以下であれば、前記(B)成分との架橋が適度に制御され、温感貼付剤とした際の皮膚への粘着性がより向上する。
【0039】
(薬物)
本発明の非水系温感粘着剤組成物においては、薬物をさらに含有することが好ましい。薬物を含有することにより、各薬物の薬効を有する温感貼付剤(医薬製剤)を提供することができる。
本発明において用いることができる薬物は、その種類は特に限定されず、なかでも水難溶性薬物、一般に外用剤として経皮吸収し難いとされる薬物であっても使用可能である。
なお、「水難溶性薬物」とは、20℃の水に対する溶解度が0〜30mg/mLであり、好ましくは0〜10mg/mLである薬物を示す。
薬物として具体的には、たとえばインドメタシン、フェルビナク、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、ジクロフェナクまたはその塩、サリチル酸誘導体等の非ステロイド系抗炎症剤、またはそのエステル誘導体;ジフェンヒドラミン等の抗ヒスタミン剤、塩酸イソプレナリン等の中枢神経作用薬;エストラジオール、テストステロン等のホルモン剤;アスピリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン等の鎮痛剤;リン酸ジソピラミド等の抗不整脈用剤、塩酸トラゾリン等の冠血管拡張剤、リドカイン等の局所麻酔剤、塩化スキサメトニウム等の筋弛緩剤、クロトリマゾ−ル等の抗真菌剤、フルオロウラシル等の抗悪性腫瘍剤、塩酸タムスロシン等の排尿障害剤、ジアゼパム等の抗てんかん剤、メシル酸ブロモクリプチン等の抗パーキンソン病剤;フロセミド、クロニジン等の降圧剤;ニトログリセリン、硝酸イソソルビド等の血管拡張剤;ニコチン等の禁煙補助剤、ツロブテロール等の気管支拡張剤;フェノバルビタール、トリアゾラム等の催眠鎮静剤;フルフェナジン、テオリタジン等の精神安定剤;ビタミンA、ビタミンE、ビタミンK、オクトチアシン、リボフラビン酪酸エステル等のビタミン剤;プロスタグランジン類、スコポラミン、フェンタニール等が挙げられる。
上記薬物のなかでも、薬効と共に、本発明の効果が特に顕著に得られることから、水難溶性薬物が好ましく、インドメタシン、フェルビナク、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、ジクロフェナクまたはその塩、サリチル酸誘導体等の非ステロイド系抗炎症剤;エストラジオール、テストステロン等のホルモン剤;フロセミド、クロニジン等の降圧剤;ニトログリセリン、硝酸イソソルビド等の血管拡張剤、ニコチン等の禁煙補助剤、ツロブテロール等の気管支拡張剤、スコポラミン、フェンタニールがより好ましい。
上記薬物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
非水系温感粘着剤組成物中の薬物の割合は、それぞれの薬物における有効量とすることができる。薬物の割合として具体的には、非水系温感粘着剤組成物中、たとえば0.01〜65質量%程度であることが好ましい。
【0040】
(pH調整剤)
本発明に用いることができるpH調整剤としては、たとえばアルカリ化合物等が挙げられる。具体的には、クエン酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、ジエタノールアミン、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、モノエタノールアミン、アンモニア水、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸二カリウム等が好ましく挙げられる。なかでも、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、ジエタノールアミン、炭酸水素ナトリウム、ジイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、モノエタノールアミン、アンモニア水、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸三ナトリウムがより好ましく、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水、炭酸水素ナトリウム、ジイソプロパノールアミンがさらに好ましい。
上記pH調整剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
非水系温感粘着剤組成物中のpH調整剤の割合は、たとえば、後述する本発明の温感貼付剤の製造方法についての説明におけるpHに調整するため、適量配合することができる。
【0041】
本発明の非水系温感粘着剤組成物の調製方法は、特に限定されるものではないが、好ましくは、後述する本発明の温感貼付剤の製造方法に記載の、ライナーまたは支持体に塗工されてなる非水系温感粘着剤層の形成手段と同様の方法が用いられる。
【0042】
本発明の非水系温感粘着剤組成物は、貼付時の温感による熱感およびヒリヒリ感が抑制され、良好な温感付与効果が得られる温感貼付剤を得るための粘着剤組成物として有用である。
【0043】
≪温感貼付剤≫
本発明の温感貼付剤は、前記本発明の非水系温感粘着剤組成物が支持体に積層されてなるものである。
かかる温感貼付剤は、一例として、支持体の一方の面側に、上記本発明の非水系温感粘着剤組成物を用いて形成される非水系温感粘着剤層が設けられたものが好適に挙げられる。
また、かかる温感貼付剤は、非水系温感粘着剤層の支持体とは反対側の表面に、ライナーが積層されていてもよい。
【0044】
<支持体>
本発明の温感貼付剤における支持体としては、樹脂フィルムが好ましく用いられる。支持体が樹脂フィルムであることにより、温感貼付剤と皮膚(貼付部位)との密閉性が高くなって、さらに良好な温感が得られる。また、温感付与効果が持続する。
なお、前記樹脂フィルムは、多孔性シートが一体化したものであってもよい。該多孔性シートとしては、不織布、織布、編布等が好ましく用いられる。
【0045】
樹脂フィルムとしては、ポリエチレンフィルム、ポリウレタンフィルム、およびポリエチレンとポリウレタンとの混合樹脂フィルムから選ばれる少なくとも1種が好ましい。
なお、前記樹脂フィルムにおける樹脂は、エチレンおよびウレタン以外のモノマーに由来するモノマー単位(構成単位)を有しているものであってもよい。
上記のなかでも、前記樹脂フィルムとしては、弾性を有するエラストマーフィルムであることがより好ましく、ポリエチレンエラストマーフィルム、ポリウレタンフィルムが特に好ましい。
【0046】
ポリエチレンエラストマーとして具体的には、エチレンと、α−オレフィンとの共重合体が好適に挙げられる。
α−オレフィンとしては、良好な伸縮性、柔軟性を有する温感貼付剤が得られやすいことから、炭素数3〜12のα−オレフィンであることが好ましく、具体的には、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1,4−メチル−1−ペンテン、オクテン−1、デセン−1等が挙げられる。
【0047】
ポリエチレンエラストマーフィルムは、通常、貼付剤の支持体に用いられる樹脂フィルムと同様の製造方法により製造することができる。特にシングルサイト触媒であるメタロセン触媒を用いて製造することが好ましい。メタロセン触媒を用いて製造することにより、重量平均分子量分布の狭い均一なポリマー構造を有するポリエチレンエラストマーフィルムが得られ、巻物状にした際の展開性が向上する。
【0048】
ポリウレタンフィルムとしては、エステル系ポリウレタンフィルム、エーテル系ポリウレタンフィルム、カーボネート系ポリウレタンフィルム、ラクトン系ポリウレタンフィルムが好適に挙げられ、耐薬品性の点から、エステル系ポリウレタンフィルムが特に好ましい。
【0049】
「エラストマー」は弾性を有する樹脂であり、エラストマーフィルムは良好な伸縮性を有する。
本発明において、フィルムの伸縮性としては、フィルムの伸び[50%モジュラス(50%Mn)]を測定したとき、5.0N/2.5cm以下であることが好ましい。
なお、「50%モジュラス(50%Mn)」とは、フィルムの試験片(2.5cm)に50%の伸びを与えた時の応力(荷重(N))を示す。
【0050】
本発明における支持体として好適な樹脂フィルムの厚さは、特に限定されず、5〜300μmであることが好ましく、より好ましくは7〜200μmであり、さらに好ましくは10〜100μmである。該範囲であれば、適度な透湿性と伸縮性の両方を有する温感貼付剤が得られ、温感貼付剤とした際に良好な貼付感などが得られる。
【0051】
また、該樹脂フィルムの透湿度は、8000g/m/24hr以下であることが好ましく、より好ましくは50〜5000g/m/24hrであり、さらに好ましくは100〜3000g/m/24hrである。該範囲の上限値以下であれば、非水系温感粘着剤組成物に薬物を含有させる場合、薬物の経皮吸収性を低下させずに、良好な皮膚への粘着力と使用感が得られる。他方、特に50g/m/24hr以上であれば、温感貼付剤を皮膚に貼付している際に蒸れにくくなる。
なお、前記「透湿度」とは、JIS一般試験法「防湿包装材料の透湿度試験法(カップ法)」(JIS Z 0208−1976)の条件Bにより測定される値をいう。
【0052】
さらに、該樹脂フィルム(支持体)の非水系温感粘着剤層側の面は、必要に応じて、コロナ放電処理、プラズマ処理、表面の凸凹処理、オゾン照射、クロム酸処理、熱風処理等の表面処理が施されていてもよい。なかでも、温感貼付剤の投錨性の向上効果および操作性を考慮すると、該非水系温感粘着剤層側の面に対して、コロナ放電処理、プラズマ処理、および表面の凸凹処理から選ばれる表面処理が施されていることが好ましい。
コロナ放電処理は、たとえば公知のコロナ放電処理器を用いて発生させたコロナ雰囲気に、フィルムを接触させることによって行うことができる。コロナ放電密度は、使用する樹脂や条件などにより適宜設定することができる。
プラズマ処理は、たとえば公知のプラズマジェットで励起させたアルゴン、ヘリウムなどのガスを、前記支持体の非水系温感粘着剤層側の面に吹き付けることによって行うことができる。プラズマ処理の手法、処理条件等には、公知の手法、条件等を採用することができる。
表面の凸凹処理は、たとえば公知のサンドブラスト法等によって行うことができる。また、オゾン処理は、たとえば公知のオゾン発生器で発生させたオゾンを、前記支持体の非水系温感粘着剤層側の面に吹き付けることによって行うことができる。オゾン処理の手法、処理条件等には、公知の手法、条件等を採用することができる。
【0053】
<非水系温感粘着剤層>
本発明の温感貼付剤における非水系温感粘着剤層は、上記本発明の非水系温感粘着剤組成物を用いて形成される粘着剤層である。
かかる非水系温感粘着剤層は、たとえば後述する、上記本発明の非水系温感粘着剤組成物と溶媒とを混合して非水系温感粘着剤層用塗工液を調製し、該非水系温感粘着剤層用塗工液を、ライナーまたは支持体に塗工し、乾燥する方法により形成できる。
【0054】
<ライナー>
ライナーとしては、塩化ビニルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルム、薬添規ポリエチレンテレフタレートセパレータ、剥離紙(離型紙)等が好ましく用いられる。
これらのライナーの非水系温感粘着剤層と接する面に対し、シリコン表面処理をすることにより、ライナーの非水系温感粘着剤層からの剥離性を向上させることができる。
【0055】
[温感貼付剤の製造方法]
本発明の温感貼付剤は、たとえば、はじめに、本発明の非水系温感粘着剤組成物を構成する(A)成分と、(B)成分と、好ましくは(D)成分と、必要に応じて薬物等とを混合して混合物を得る。別に、(C)成分と、その他任意成分と、溶媒とにより分散液を調製する。そして、前記混合物と前記分散液の両者を混合して均一な非水系温感粘着剤層用塗工液を調製する。その後、該非水系温感粘着剤層用塗工液を、ライナーまたは支持体に塗工し、乾燥して溶媒を留去することにより非水系温感粘着剤層を形成する。
【0056】
溶媒としては、水、エタノール、メタノール、酢酸エチル、アセトン等が挙げられる。分散液中の溶媒の割合は、(C)成分1質量部に対し、10〜50質量部とすることが好ましい。
前記非水系温感粘着剤層用塗工液は、(A)成分、(D)成分、および薬物の溶液と、(B)成分とを混合した混合溶液と、別に、(C)成分と架橋調整剤を水で溶解させてpH調整(好ましくはpH4〜12に調整)した溶液とを混合し、全体が均一になるまで混合して得ることが好ましい。
【0057】
前記非水系温感粘着剤層用塗工液の粘度は、20℃で300〜30000mPa・sとすることが好ましく、より好ましくは20℃で1000〜10000mPa・sとすると塗工の際の操作性が向上する。
なお、前記「粘度」は、JIS Z8803に準じ、単一円筒形回転粘度計による粘度測定方法により測定される値を示す。
本発明においては、非水系温感粘着剤層用塗工液の粘度変化が少なく、特に粘度増加が起こりにくいため、ライナーまたは支持体に、均一な厚さの塗工膜を容易に塗工することができる。
【0058】
塗工方法としては、特に限定されず、通常選択されている方式、たとえば正回転ロールコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター、ドクターナイフコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、エアドクターコーター、カーテンコーター、ファウンテンコーター、キスコーター、浸漬塗工、スクリーン塗工、スピンコーター、キャスト塗工、スプレー塗工、押出コーター、真空塗工等を使用することができる。
該塗工液の塗工量は、乾燥後の固形分として1〜500g/mとすることが好ましく、より好ましくは5〜250g/mであり、さらに好ましくは10〜200g/mである。該範囲の下限値以上とすることにより、温感貼付剤の粘着性が向上する。また、非水系温感粘着剤組成物が薬物を含有する場合、薬物の経皮吸収が高まる。一方、上限値以下とすることにより、一度の塗工処理によって非水系温感粘着剤層の形成が可能となる。
【0059】
乾燥の方法は、たとえば熱風高速エアキャップ、熱風トンネル式、熱風エアフローティング、エアスルー、Nガス置換乾燥システム、赤外線、マイクロ波、(電磁)誘導加熱、紫外線硬化、ランプ、反射板等の方法が挙げられる。なかでも、熱風高速エアキャップ、熱風トンネル式、熱風エアフローティングの方法を用いることが好ましい。
乾燥条件としては、(B)成分と(C)成分とが架橋する温度、または溶媒類が揮散する温度以上とすることが好ましい。具体的には、乾燥温度を40〜150℃とすることが好ましく、60〜130℃とすることがより好ましく、70〜120℃とすることがさらに好ましい。乾燥温度を40℃以上とすることにより、溶媒類が容易に揮散することができる。一方、乾燥温度を150℃以下とすることにより、(D)成分、薬物等の熱に対する安定性が向上する。
また、乾燥時間(架橋時間)は15秒〜20分間とすることが好ましく、30秒〜15分間とすることがより好ましい。
【0060】
乾燥後、さらに、支持体面に非水系温感粘着剤層を設けた場合、該非水系温感粘着剤層の支持体とは反対側の表面に、ライナーを積層し、全体を適当な大きさに裁断することにより、所望の大きさの温感貼付剤を得ることができる。
また、ライナー面に非水系温感粘着剤層を設けた場合、該非水系温感粘着剤層のライナー面とは反対側の表面に、支持体を積層し、全体を適当な大きさに裁断することにより、所望の大きさの温感貼付剤を得ることができる。
また、本発明の温感貼付剤においては、支持体の非水系温感粘着剤層とは反対側の面に、温感貼付剤を使用する際に貼付操作がしやすいように、剥離可能な貼付用支持フィルムを積層し、温感貼付剤の層構成を(ライナー/非水系温感粘着剤層/支持体/貼付用支持フィルム)とすることが好ましい。これにより、温感貼付剤からライナーを剥がし、非水系温感粘着剤層側を皮膚に貼着し、貼付用支持フィルムを剥がす手順で、温感貼付剤を皮膚に容易に貼付することができる。
【0061】
以上により製造される本発明の温感貼付剤は、ボールタック値が、好ましくは4〜25、より好ましくは4〜15であり、良好な粘着力を有する製剤である。これにより、温感貼付剤の使用部位への密着性が充分に得られ、また、皮膚の痛みが少なく温感貼付剤を剥がすことができる。
なお、前記「ボールタック値」とは、JIS Z 0237試験に準じ、傾斜角30°で測定される値をいう。
【0062】
本発明の温感貼付剤によれば、貼付時の温感による熱感およびヒリヒリ感が抑制され、良好な温感付与効果が得られる。
また、本発明によれば、該貼付剤を長時間連続で貼付した時の皮膚の痛み、該貼付剤の剥離時の痛みが抑制された温感貼付剤が得られる。
【0063】
本発明によれば、ライナーまたは支持体への塗工時に粘度変化が少なくて乾燥時間が短く、塗工適性に優れた非水系温感粘着剤層用塗工液を調製できる非水系温感粘着剤組成物を得ることができる。
本発明によれば、剥がれめくれがなく、剥がすときに痛くない温感貼付剤が得られる。
また、本発明の温感貼付剤は、皮膚に適用する粘着テープまたはシートとして使用することができる。
また、本発明の温感貼付剤は、消炎鎮痛や鎮痒などの即効性・持続性が期待される医薬製剤として特に好ましく使用することができる。
【実施例】
【0064】
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また、例中の「部」および「%」は、特に断らない限り、水を除いた固形分であり、それぞれ質量部および質量%を示す。
【0065】
<温感貼付剤の製造>
下記に示す温感貼付剤の製造方法により、支持体上に各組成からなる非水系温感粘着剤組成物が積層されてなる温感貼付剤をそれぞれ製造した。
温感貼付剤の製造に使用した原料、支持体等の詳細について、以下に示す。
【0066】
(使用した原料)。
・温感剤(A)
トウガラシエキス(アルプス薬品工業製、商品名:トウガラシエキス−20)。
カプサイシン(アルプス薬品工業製、商品名:カプサイシン)。
ノニル酸ワニリルアミド(長岡実業(株)製、商品名:ノニル酸ワニリルアミド)。
【0067】
・粘着剤
粘着剤としてアクリル系高分子化合物(B)、すなわち、アクリル系粘着剤1とアクリル系粘着剤2を使用した。比較としてゴム系粘着剤1を使用した。
【0068】
アクリル系粘着剤1:メタクリル酸・アクリル酸n−ブチルコポリマー(RODERM(登録商標)MD−5810ACRYLIC ADHESIVE、ローム・アンド・ハース製)。
アクリル系粘着剤2:アクリル酸2−エチルヘキシル/メタクリル酸2−エチルヘキシル/メタクリル酸ドデシル=10/80/10(質量比)の共重合物。重合開始剤として過酸化ラウロイルを、前記モノマーの全質量100質量部に対して0.1質量部使用した。
【0069】
ゴム系粘着剤1:SIS(商品名:クレイトンD−1107、クレイトンポリマージャパン製)/ロジンエステル(商品名:パインクリスタルKE−311、荒川科学製)=55/45(質量比)。
【0070】
・架橋剤(C)
硫酸アルミニウムカリウム(大明化学工業製、商品名:カリ明バン)。
三官能性イソシアネート(日本ポリウレタン社製、商品名:コロネートHL)。
ケイ酸アルミニウム(協和化学工業製、商品名:ケイ酸アルミニウム)。
硫酸マグネシウム(メルク製、商品名:硫酸マグネシウム)。
【0071】
・可塑剤(D)
1,3−ブチレングリコール(ダイセル化学製、商品名:1,3−ブチレングリコール)。
ミリスチン酸イソプロピル(日光ケミカルズ(株)製、商品名:IPM−EX)。
ポリエチレングリコール400(三洋化成工業製、商品名:マクロゴール400)。
【0072】
・架橋調整剤
エデト酸ナトリウム水和物(中部キレスト(株)製、商品名:キレスト2BST)。
・薬物
フェルビナク(シオノケミカル(株)製、商品名:フェルビナク)。
ツロブテロール(メルク社製、化合物名:(RS)−2−tert−Butylamino−1−(2−chlorophenyl)ethanol)。
ジクロフェナクナトリウム(和光純薬工業(株)製、商品名:ジクロフェナクナトリウム)。
・pH調整剤
水酸化ナトリウム(国産化学(株)製、商品名:水酸化ナトリウム)。
水酸化カリウム(国産化学(株)製、商品名:水酸化カリウム)。
【0073】
(使用した支持体)
ポリエチレン(PE)エラストマーフィルム:主鎖のポリエチレンと同程度の長さの長鎖分岐鎖(オクテン)を有するポリマー構造を持つエチレン・オクテン共重合体(ダウ・ケミカル社製、商品名:エンゲージ8452)。
ポリウレタン(PU)エラストマーフィルム:エステル系ポリウレタンフィルム(大倉工業製、商品名:シルクロンフィルム)、厚さ20μm、透湿度1500g/m/24hr、非水系温感粘着剤組成物との接着面:ポリウレタン樹脂コーティング(厚さ1μm)。
【0074】
(温感貼付剤の製造方法)
1)粘着剤と、温感剤と薬物を溶解させた可塑剤とを混合して混合溶液を調製した。
2)別に、水20質量部(架橋剤1質量部に対し)に、架橋剤と架橋調整剤(または架橋剤のみ)を混合溶解し、必要に応じてpH調整剤によりpHを10に調整した。
3)1)で調製した混合溶液と、2)で調製した溶液とを混合し、全体が均一になるまで充分に撹拌し、非水系温感粘着剤層用塗工液を調製した。その後、該非水系温感粘着剤層用塗工液を、乾燥後の膏体の量が1g/(7cm×10cm)となるように、ライナー(75μmポリエステルフィルム)に、コンマコーターにより塗工し、乾燥させて非水系温感粘着剤層を形成した。乾燥は、熱風エアフローティングにより、90℃で5分間行った。
4)乾燥後、支持体を非水系温感粘着剤層に圧着させ、7cm×10cmの大きさに裁断し、各例の温感貼付剤を得た。
【0075】
<評価>
上記で得られた各例の温感貼付剤を、8名のパネラーの一方の肩に貼付し、1時間貼付後の温感による熱感・ヒリヒリ感を下記評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
4点:全く熱感・ヒリヒリ感がなかった。
3点:やや熱感・ヒリヒリ感はあったが、気にならない程度であった。
2点:かなり熱感・ヒリヒリ感を感じた。
1点:非常に熱感・ヒリヒリ感を感じた。
8名のパネラーの評価点の合計を平均し、3.5点以上を◎、2.5点以上を○、1.5点以上を△、1.5点未満を×とし、◎と○を合格とした。
【0076】
【表1】

【0077】
【表2】

【0078】
表1、2の結果から、本発明に係る実施例1〜5の温感貼付剤は、貼付時の温感による熱感・ヒリヒリ感が抑制されていることが確認できた。
【0079】
また、本発明に係る実施例1〜5の温感貼付剤は、支持体として樹脂フィルムを使用しているため、温感に優れていた。
さらに、実施例1〜5の温感貼付剤を、1時間連続で貼付した後で剥がす際の皮膚刺激感も低く、使用性が高い温感貼付剤であった。
【0080】
以上より、本発明の非水系温感粘着剤組成物を用いることにより、貼付時の温感による熱感およびヒリヒリ感が抑制され、良好な温感付与効果が得られる温感貼付剤が提供できることが確認できた。
また、本発明の温感貼付剤によれば、貼付時の温感による熱感およびヒリヒリ感が抑制され、良好な温感付与効果が得られることが確認できた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
温感剤(A)と、アクリル系高分子化合物(B)と、アクリル系高分子化合物(B)と架橋する架橋剤(C)とを含有することを特徴とする非水系温感粘着剤組成物。
【請求項2】
前記架橋剤(C)が多価金属化合物である請求項1に記載の非水系温感粘着剤組成物。
【請求項3】
可塑剤(D)をさらに含有する請求項1または2に記載の非水系温感粘着剤組成物。
【請求項4】
前記可塑剤(D)の含有量が5〜35質量%である請求項3に記載の非水系温感粘着剤組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の非水系温感粘着剤組成物が支持体に積層されてなる温感貼付剤。
【請求項6】
前記支持体が樹脂フィルムである請求項5に記載の温感貼付剤。
【請求項7】
前記樹脂フィルムがエラストマーフィルムである請求項6に記載の温感貼付剤。

【公開番号】特開2008−162975(P2008−162975A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−356133(P2006−356133)
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】