説明

非水系顔料分散剤及び顔料組成物

【課題】良好な分散性を示し、またそれが安定維持され、更に得られる塗膜が色調の再現性に優れる非水系顔料分散剤及び顔料組成物を提供する。
【解決手段】A成分として特定の芳香族化合物、B成分としてジカルボン酸化合物及びジカルボン酸化合物と炭素数1〜12の脂肪族アルコールとのエステル化合物から選ばれる化合物、及びC成分としてジオール化合物を用い、以上の3成分を重縮合したポリエステルを非水系顔料分散剤とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非水系顔料分散剤及び顔料組成物に関する。非水系溶媒中に顔料を分散させる場合、その分散工程で分散剤を分散浴に投入するが、この際に良好な作業性を得るため、また優れた塗膜を得るため、投入した顔料が分散浴中に速やかに均一分散してその分散状態が安定して維持されること、また得られる塗膜に色調のばらつきが少ないことが要求される。特に近年のように、より優れた色再現性を有する塗膜を得るため、顔料として粒子径が数百nm以下の微粒子のものを用いる場合においては、上記の要求が更に強い。本発明はかかる要求に応える非水系顔料分散剤及びこれを用いた顔料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、前記のような非水系顔料分散剤としては、例えば、1)ポリカルボン酸とポリオールとを構成単位とし且つ該ポリオールの50重量%以上がビスフェノールのアルキレンオキシド付加物であるポリエステル樹脂(例えば特許文献1参照)、2)二価カルボン酸とポリエチレングリコールとの縮合物を一価アルコールでエステル化したもの(例えば特許文献2参照)、3)アミノ基と反応する官能基を有する有機色素とアミンを反応させたもの(例えば特許文献3参照)、4)芳香族環にポリエーテルを結合したもの(例えば特許文献4参照)、5)テトラカルボン酸化合物にポリカプロラクトンを結合したもの(例えば特許文献5参照)等が提案されている。
【0003】
ところが、かかる従来の非水系顔料分散剤には、もともと分散性が不充分であったり、また当初は相応の分散性を示してもそれが安定して維持されなかったり、更には分散剤の量のわずかな変動によって得られる塗膜の色調がばらついたりする等の問題がある。
【特許文献1】特開平6−211990号公報
【特許文献2】特開2007−55925号公報
【特許文献3】特開平2−298560号公報
【特許文献4】特開2004−352902号公報
【特許文献5】特開2007−177205号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、良好な分散性を示し、またそれが安定維持され、更に得られる塗膜が色調の再現性に優れる非水系顔料分散剤及び顔料組成物を提供する処にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
しかして本発明者らは、前記の問題を解決するべく研究した結果、かかる非水系顔料分散剤としては、特定の三成分を重縮合したポリエステルから成るものを用いるのが正しく好適であることを見出した。
【0006】
すなわち本発明は、下記のA成分、B成分及びC成分を重縮合したポリエステルから成ることを特徴とする非水系顔料分散剤に係る。
【0007】
A成分:下記の化1で示される芳香族化合物



【0008】
【化1】

【0009】
化1において、
X:アリール基
Y:下記の化2で示される有機基、化3で示される有機基、化4で示される有機基又は化5で示される有機基
【0010】
【化2】

【0011】
【化3】

【0012】
【化4】

【0013】
【化5】

【0014】
化2〜化5において、
,Z:水素原子又は炭素数1〜12のアルキル基
,R:炭素数1〜12の脂肪族炭化水素化合物の両鎖端から各1個の水素原子を除いた残基
:炭素数2〜4の脂肪族炭化水素化合物の両鎖端から各1個の水素原子を除いた残基
m:1〜3の整数
【0015】
B成分:ジカルボン酸化合物及びジカルボン酸化合物と炭素数1〜12の脂肪族アルコールとのエステル化合物から選ばれる化合物
【0016】
C成分:ジオール化合物
【0017】
また本発明は、顔料、非水系溶媒、バインダー樹脂及び前記した本発明に係る非水系顔料分散剤を含有してなることを特徴とする顔料組成物に係る。
【0018】
先ず、本発明に係る非水系顔料分散剤(以下、単に本発明の分散剤という)について説明する。本発明の分散剤は、A成分、B成分及びC成分を重縮合したポリエステルから成るものである。
【0019】
本発明の分散剤となるポリエステルに供するA成分は、化1で示される芳香族化合物である。かかる芳香族化合物において、化1中のXは芳香族炭化水素環の任意の位置の水素原子を1個除いたアリール基である。かかるアリール基は炭素数6〜32のものが好ましい。具体的にXとしては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基、ペリレニル基、テトラフェニレニル基、ペンタフェニル基、ペンタセニル基、コロネニル基、ヘキサフェニル基、ヘキサセニル基、ヘプタセニル基等が挙げられる。なかでもナフチル基又はアントラセニル基が好ましい。
【0020】
化1で示される芳香族化合物において、化1中のYは、化2で示される有機基、化3で示される有機基、化4で示される有機基又は化5で示される有機基である。
【0021】
化2で示される有機基において、化2中のZは水素原子又は炭素数1〜12のアルキル基である。かかるZとしては、1)水素、2)メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、2−メチル−ペンチル基、ヘプチル基、1−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、4−メチルヘキシル基、5−メチルヘキシル基、1−エチルペンチル基、1−(n−プロピル)ブチル基、1,1−ジメチルペンチル基、1,4−ジメチルペンチル基、1,1−ジエチルプロピル基、1,3,3−トリメチルブチル基、1−エチル−2,2−ジメチルプロピル基、1−イソプロピル−1,2−ジメチルプロピル基、オクチル基、1−メチルヘプチル基、5−メチルヘプチル基、1−エチルヘキシル基、2−エチルヘキシル基、1−プロピルペンチル基、2−プロピルペンチル基、1,1−ジメチルヘキシル基、1,4−ジメチルヘキシル基、1,5−ジメチルヘキシル基、1−エチル−1−メチルペンチル基、1−エチル−4−メチルペンチル基、1,1,4−トリメチルペンチル基、2,4,4−トリメチルペンチル基、2−エチル−ヘキシル基、2−プロピル−ヘプチル基、ノニル基、1−メチルオクチル基、6−メチルオクチル基、1−エチルヘプチル基、1−(n−ブチル)ペンチル基、4−メチル−1−(n−プロピル)ペンチル基、1,5,5−トリメチルヘキシル基、1,1,5−トリメチルヘキシル基、デシル基、1−メチルノニル基、1−エチルオクチル基、1−(n−ブチル)ヘキシル基、1,1−ジメチルオクチル基、3,7−ジメチルオクチル基、ウンデシル基、1−メチルデシル基、1−エチルノニル基、ドデシル基、2−ブチル−オクチル基、1−メチルウンデシル基等の炭素数1〜12のアルキル基が挙げられる。なかでも水素原子又はメチル基が好ましい。
【0022】
化3で示される有機基において、化3中のZは水素原子又は炭素数1〜12のアルキル基である。これについては、Zについて前記したことと同じである。また化3中のRは、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素化合物の両鎖端から各1個の水素原子を除いた残基である。かかるRとしては、1)メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、メチルエチレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、プロピルエチレン基、ヘキサメチレン基、2−メチル−ペンタメチレン基、ヘプタメチレン基、1−メチルヘキサメチレン基、3−メチルヘキサメチレン基、4−メチルヘキサメチレン基、5−メチルヘキサメチレン基、1−エチルペンタメチレン基、1−(n−プロピル)テトラメチレン基、1,1−ジメチルペンタメチレン基、1,4−ジメチルペンタメチレン基、1,1−ジエチルトリメチレン基、1,3,3−トリメチルテトラメチレン基、1−エチル−2,2−ジメチルトリメチレン基、1−イソプロピル−1,2−ジメチルトリメチレン基、オクタメチレン基、1−メチルヘプタメチレン基、5−メチルヘプタメチレン基、1−エチルヘキサメチレン基、2−エチルヘキサメチレン基、1−プロピルペンタメチレン基、2−プロピルペンタメチレン基、1,1−ジメチルヘキサメチレン基、1,4−ジメチルヘキサメチレン基、1,5−ジメチルヘキサメチレン基、1−エチル−1−メチルペンタメチレン基、1−エチル−4−メチルペンタメチレン基、1,1,4−トリメチルペンタメチレン基、2,4,4−トリメチルペンタメチレン基、2−エチル−ヘキサメチレン基、2−プロピル−ヘプタメチレン基、ノナメチレン基、1−メチルオクタメチレン基、6−メチルオクタメチレン基、1−エチルヘプタメチレン基、1−(n−ブチル)ペンタメチレン基、4−メチル−1−(n−プロピル)ペンタメチレン基、1,5,5−トリメチルヘキサメチレン基、1,1,5−トリメチルヘキサメチレン基、デカメチレン基、1−メチルノナメチレン基、1−エチルオクタメチレン基、1−(n−ブチル)ヘキサメチレン基、1,1−ジメチルオクタメチレン基、3,7−ジメチルオクタメチレン基、ウンデカメチレン基、1−メチルデカメチレン基、1−エチルノナメチレン基、ドデカメチレン基、2−ブチル−オクタメチレン基、1−メチルウンデカメチレン基等の炭素数1〜12のアルキレン基、2)ビニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基、ペンテニレン基、ヘキセニレン基、ヘプテニレン基、1−メチル−2−ヘプテニレン基、オクテニレン基、3,7−ジメチル−6−オクテニレン基、2,7−オクタジエニレン基、1,1−ジ(2−プロペニル)エチレン基、ノネニレン基、2,6−ノナジエニレン基、デセニレン基、3,7−ジメチル−2,6−オクタジエニレン基、ウンデセニレン基、2,4−ウンデカジエニレン基、ドデセニレン基等の炭素数2〜12のアルケニレン基、3)エチニレン基、プロピニレン基、ブチニレン基、ペンチニレン基等の炭素数2〜12のアルキニレン基等が挙げられる。なかでも炭素数1〜12のアルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、メチルエチレン基又はテトラメチレン基がより好ましく、メチレン基又はエチレン基が特に好ましい。
【0023】
化4で示される有機基において、化4中のRは炭素数1〜12の脂肪族炭化水素化合物の両鎖端から各1個の水素原子を除いた残基である。これについては、Rについて前記したことと同じである。なかでも炭素数1〜12のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜5のアルキレン基がより好ましく、メチレン基又はエチレン基が特に好ましい。
【0024】
化5で示される有機基において、化5中のRは炭素数2〜4の脂肪族炭化水素化合物の両鎖端から各1個の水素原子を除いた残基である。かかるRとしては、エチレン基、トリメチレン基、メチルエチレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基等の炭素数2〜4のアルキレン基が挙げられる。なかでもエチレン基、メチルエチレン基又はエチルエチレン基が好ましく、エチレン基がより好ましい。また化5中のmは1〜3の整数である。
【0025】
化1中のYとしては、化2で示される有機基、化3で示される有機基、化4で示される有機基又は化5で示される有機基が挙げられるが、なかでも化2で示される有機基、化3で示される有機基又は化5で示される有機基が好ましく、化2で示される有機基又は化5で示される有機基がより好ましい。
【0026】
化1で示される芳香族化合物は、公知の方法により得ることができる。例えば、1)酸又はアルカリ触媒存在下で、メタノール、エタノール等の脂肪族アルコールに芳香族カルボン酸をエステル化する方法、2)アルカリ触媒存在下で、フェノール類にアルキレンオキシドを付加重合する方法等により得ることができる。また市販のものを使用することもできる。
【0027】
本発明の分散剤となるポリエステルに供するB成分は、1)ジカルボン酸化合物及び2)ジカルボン酸化合物と炭素数1〜12の脂肪族アルコールとのエステル化合物から選ばれる化合物である。
【0028】
B成分のジカルボン酸化合物としては、1)シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、ヘプタデカン二酸、オクタデカン二酸、ノナデカン二酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸、2)ブテン二酸、ペンテン二酸、4−プロピル−2−ペンテン二酸、ヘキセン二酸、ヘプテン二酸、オクテン二酸、ノネン二酸、デセン二酸、ドデセン二酸、ヘキサデセン二酸、オクタデセン二酸等の不飽和脂肪族ジカルボン酸、3)フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸が挙げられる。
【0029】
B成分のジカルボン酸化合物と炭素数1〜12の脂肪族アルコールとのエステル化合物において、ジカルボン酸化合物については、前記したことと同じである。炭素数1〜12の脂肪族アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、n−ヘキサノール、ヘプタノール、2−エチルヘキサノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール等が挙げられる。
【0030】
本発明の分散剤となるポリエステルに供するB成分は以上説明した通りのものであるが、なかでもB成分としては、下記の化6で示される化合物及び化7で示される化合物から選ばれる化合物がより好ましい。
【0031】
【化6】

【0032】
【化7】

【0033】
化6及び化7において、
:炭素数1〜16の脂肪族炭化水素化合物の両鎖端から各1個の水素原子を除いた残基
,Z,Z,Z:水素原子又は炭素数1〜12のアルキル基
【0034】
化6で示される化合物及び化7で示される化合物において、化6中及び化7中のZ〜Zは水素原子又は炭素数1〜12のアルキル基である。これについては、Zについて前記したことと同じである。
【0035】
化7で示される化合物において、化7中のRは炭素数1〜16の脂肪族炭化水素化合物の両鎖端から各1個の水素原子を除いた残基である。かかる残基としては、1)メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、メチルエチレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、プロピルエチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基、トリデカメチレン基、テトラデカメチレン基、ペンタデカメチレン基、ヘキサデカメチレン基等の炭素数1〜16のアルキレン基、2)ビニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基、ペンテニレン基、ヘキセニレン基、ヘプテニレン基、オクテニレン基、ノネニレン基、デセニレン基、ウンデセニレン基、ドデセニレン基、トリデセニレン基、テトラデセニレン基、ペンタデセニレン基、ヘキサデセニレン基等の炭素数2〜16のアルケニレン基、3)エチニレン基、プロピニレン基、ブチニレン基、ペンチニレン基、ヘキシニレン基、ヘプチニレン基、オクチニレン基、ノニレン基、デシニレン基、ウンデシニレン基、ドデシニレン基、トリデシニレン基、テトラデシニレン基、ペンタデシニレン基、ヘキサデシニレン基等の炭素数2〜16のアルキニレン基が挙げられる。なかでも炭素数1〜12のアルキレン基が好ましい。
【0036】
かかるB成分のジカルボン酸化合物と炭素数1〜12の脂肪族アルコールとのエステル化合物は、公知の方法により得ることができる。例えば、酸又はアルカリ触媒存在下で、二価の脂肪酸に脂肪族アルコールをエステル化させることにより得ることができる。
【0037】
本発明の分散剤となるポリエステルに供するC成分は、ジオール化合物である。かかるジオール化合物としては、炭化水素の任意の2個の水素原子が水酸基と置換したものが挙げられる。なかでもC成分としては、下記の化8で示されるものが好ましい。
【0038】
【化8】

【0039】
化8において、
:炭素数1〜18の脂肪族炭化水素化合物の両鎖端から各1個の水素原子を除いた残基
【0040】
化8で示されるジオール化合物において、化8中のRは炭素数1〜18の脂肪族炭化水素化合物の両鎖端から各1個の水素原子を除いた残基である。かかる残基としては、1)メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、メチルエチレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、プロピルエチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基、トリデカメチレン基、テトラデカメチレン基、ペンタデカメチレン基、ヘキサデカメチレン基、オクタデカメチレン基等の炭素数1〜18のアルキレン基、2)ビニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基、ペンテニレン基、ヘキセニレン基、ヘプテニレン基、オクテニレン基、ノネニレン基、デセニレン基、ウンデセニレン基、ドデセニレン基、トリデセニレン基、テトラデセニレン基、ペンタデセニレン基、ヘキサデセニレン基、ヘプタデセニレン基、オクタデセニレン基等の炭素数2〜18のアルケニレン基、3)エチニレン基、プロピニレン基、ブチニレン基、ペンチニレン基、ヘキシニレン基、ヘプチニレン基、オクチニレン基、ノニニレン基、デシニレン基、ウンデシニレン基、ドデシニレン基、トリデシニレン基、テトラデシニレン基、ペンタデシニレン基、ヘキサデシニレン基、ヘプタデシニレン基、オクタデシニレン基等の炭素数2〜18のアルキニレン基が挙げられる。なかでも炭素数1〜14のアルキレン基が好ましい。
【0041】
かかるジオール化合物は、公知の方法により得ることができる。また市販のものを使用することもできる。
【0042】
本発明の分散剤となるポリエステルは、以上説明したようなA成分、B成分及びC成分を重縮合したものであるが、なかでも、全構成単位中に、A成分から形成された構成単位を1〜20モル%の範囲内で有するものが好ましく、更にB成分から形成された構成単位及びC成分から形成された構成単位をそれぞれ30〜60モル%の範囲内で有するものがより好ましい。
【0043】
かかるポリエステルは、二塩基酸とジオールの直接重縮合法、二塩基酸ジエステルとジオールのエステル交換法等の公知の方法により得ることができる。例えば、二塩基酸又は二塩基酸ジエステルとジオールを所定の割合で混合して混合物となし、触媒の存在下、150〜300℃の温度条件下で混合物を反応させて合成する。通常は、反応性を高めるために二塩基酸又は二塩基酸ジエステルに対してジオールを過剰に用いて、常圧下でのエステル化反応あるいはエステル交換反応によりグリコール末端の低縮合体を合成する工程(以下第1工程という)と、これをさらに10000Pa以下の高真空下でエステル交換による重縮合反応(脱グリコール反応)により任意の高分子量のポリエステルを合成する工程(以下第2工程という)の2段階の工程により合成される。ここで過剰に用いるジオールとしては、第2工程の脱グリコールを容易にしたり、分子量や酸価を管理しやすくするために、エチレングリコールが好ましい。触媒としては、通常ポリエステルの重縮合に使用されているものがそのまま使用できるが、エステル化あるいはエステル交換反応(第1工程)の触媒としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、亜鉛、コバルト、マンガン、カドミニウム、鉛、スズ、チタン、ジルコニウム等の酸化物、炭酸塩、酢酸塩及びアルコラート等が挙げられ、また重縮合反応(第2工程)の触媒としては、アンチモン、鉄、鉛、スズ、ゲルマニウム、チタン、マンガン、コバルト、亜鉛等の化合物が挙げられる。分子量、融点、酸価等のポリエステルの物性は第2工程の反応の温度、圧力、触媒の種類や量及び反応時間により適宜調節する。
【0044】
かかるポリエステルの重縮合に当たっては、質量平均分子量が1000〜100000の範囲内、融点が20〜120℃の範囲内及び酸価が10mgKOH/g以下になるように調整することが好ましい。特に好ましくは、質量平均分子量が2000〜20000の範囲内、融点が40〜100℃の範囲内及び酸価が2.0mgKOH/g以下になるように調整する。
【0045】
次に、本発明に係る顔料組成物(以下、単に本発明の顔料組成物という)について説明する。本発明の顔料組成物は、顔料、非水系溶媒、バインダー樹脂及び本発明の分散剤を含有してなるものである。
【0046】
本発明の顔料組成物に供する顔料としては、1)アゾ系、ジアゾ系、縮合アゾ系、アントラキノン系、アントラピリジン系、イソインドリノン系、イソインドリン系、インダンスロン系、キナクリドン系、ジオキサン系、ジオキサジン系、ジケトピロロピロール系、チオインジゴ系、ピランスロン系、フタロシアニン系、フラバントロン系、ベンゾイミダゾロン系、ペリレン系等の有機顔料、2)鉄、クロム、チタン、ニッケル、亜鉛、バナジウム、コバルト等の金属の酸化物、3)カドミウム、亜鉛、バリウム等の金属の硫化物、及び4)炭酸カルシウム、炭酸バリウム、紺青、群青、カーボンブラック、タルク、クレー等の無機顔料が挙げられる。なかでも有機顔料が好ましい。
【0047】
本発明の顔料組成物に供する非水系溶媒としては、各種の炭化水素化合物、各種のアルコール類、各種のエーテル化合物、各種のケトン化合物、各種のエステル化合物及び各種のアミド化合物等が挙げられる。
【0048】
本発明の顔料組成物に供するバインダー樹脂としては、天然ゴム、合成ゴム、アクリル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ブタジエン樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂及びフッ素樹脂などが挙げられる。かかるバインダー樹脂は通常、顔料100質量部に対して10〜200質量部の割合で用いる。
【0049】
本発明の顔料組成物は、顔料、非水系溶媒、バインダー樹脂及び本発明の分散剤を含有してなるものであるが、顔料100質量部に対し、本発明の分散剤を5〜40質量部の割合で含有させることが好ましい。
【0050】
本発明の顔料組成物を使用するに際しては、本発明に係る顔料組成物と共に他の成分、例えば可塑剤、消泡剤、沈降防止剤、増粘剤やレベリング剤やダレ止め剤等の粘性調整剤、濡れ剤、皮張り防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、防錆剤、防腐剤、難燃剤、粘着付与剤、本発明以外の分散剤等を、本発明の効果を損わない範囲で併用することができる。
【0051】
本発明の顔料組成物を製造するために使用する分散機としては、サンドミル、ビーズミル、ボールミル、ロールミル、マイクロフルイタイザー、ホモミキサー、ペイントシェーカー、アトライタなどが挙げられる。
【発明の効果】
【0052】
以上説明した本発明には、良好な分散性を示し、またそれが安定維持され、更に得られる塗膜が色調の再現性に優れるという効果がある。
【0053】
以下、本発明の構成及び効果をより具体的にするため、実施例及び比較例を挙げるが、本発明がこれらの実施例に限定されるというものではない。尚、以下の実施例及び比較例において、部は質量部を、また%は質量%を意味する。
【実施例】
【0054】
試験区分1(A成分等の合成)
・化1で示される芳香族化合物(A−2)の合成
撹拌機、温度計、コンデンサーを備えた四つ口フラスコに、9−アントラセンカルボン酸44.4g(0.2モル)及びメタノール400mlを仕込み、さらに触媒として濃硫酸1gを添加してから加熱し、温度を約64℃に保ち、10時間加熱還流させてエステル化反応を行った。反応終了後、メタノールを減圧して留去し、残渣をジエチルエーテル中に溶解した。ジエチルエーテル溶液を希炭酸ナトリウム水溶液を使用して抽出洗浄した後、水で洗浄した。ジエチルエーテルを減圧留去して芳香族化合物(A−2)を得た。
【0055】
・化1で示される芳香族化合物(A−3)の合成
撹拌機、温度計、コンデンサーを備えた四つ口フラスコに、9−アントラセンカルボン酸44.4g(0.2モル)、n−ブタノール22.2g(0.3モル)及びキシレン400mlを仕込み、さらに触媒としてp−トルエンスルホン酸一水和物0.7gを添加してから加熱し、窒素ガスを導入しながら温度を138〜144℃の範囲に保ち、8時間加熱還流させ、生成する水をディーンスターク管にて系外に除去してエステル化反応を行った。反応終了後、希炭酸ナトリウム水溶液にて抽出洗浄した後、水で洗浄した。キシレンと過剰のn−ブタノールを減圧留去して芳香族化合物(A−3)を得た。
【0056】
・化1で示される芳香族化合物(A−4)及び比較のための化合物(a−1)の合成
芳香族化合物(A−3)と同様にして、表1に記載の芳香族化合物(A−4)及び(a−1)を合成した。
【0057】
・化1で示される芳香族化合物(A−6)の合成
撹拌機、温度計、コンデンサーを備えた四つ口フラスコに、アントラセン80.2g(0.45モル)、モノクロル酢酸141.8g(1.50モル)、酸化第二鉄87.6g及び臭化カリウム0.4gを仕込み、190〜230℃にて24時間反応させた。反応物を熱カセイソーダ水溶液で抽出し、塩酸で酸性にして析出物をろ過することにより得た。少量の塩酸を加えた熱水を用い、再結晶してアントラセン酢酸を得た。得られたアントラセン酢酸を用い、芳香族化合物(A−2)と同様にして、芳香族化合物(A−6)を得た。
【0058】
・化1で示される芳香族化合物(A−7)、(A−8)及び比較のための化合物(a−3)の合成
芳香族化合物(A−6)と同様にして、表1に記載の芳香族化合物(A−7)、(A−8)及び(a−3)を得た。
【0059】
・化1で示される芳香族化合物(A−12)の合成
撹拌機、温度計、コンデンサーを備えた四つ口フラスコに、水素化リチウムアルミニウム3.4g(0.086モル)及びジエチルエーテル80mlを仕込み、撹拌下、11−フェニルウンデカン酸(芳香族化合物(A−8)の合成において中間物として得られたもの)26.2g(0.10モル)をジエチルエーテル80mlに溶解した溶液を滴下した後、1時間加熱還流させた。反応液を氷浴で冷却し、10%炭酸水素ナトリウム水溶液10gを加え、さらに20%水酸化ナトリウム水溶液20gを加えた。有機層を採取して水洗後、硫酸ナトリウムで乾燥させてから、ジエチルエーテルを留去して、芳香族化合物(A−12)を得た。
【0060】
・比較のための化合物(a−4)の合成
芳香族化合物(A−12)と同様にして、表1に記載の化合物(a−4)を得た。
【0061】
・化1で示される芳香族化合物(A−13)の合成
撹拌機、温度計を備えたSUS製オートクレーブに、2−ナフトール144.2g(1.0モル)及び水酸化カリウム0.2gを仕込み、系内を窒素置換した後、140〜150℃にてエチレンオキシド88.1g(2.0モル)を導入した。その後、1時間同温度で熟成を行った。冷却後、反応物を四つ口フラスコに移し、吸着剤(協和化学工業社のキョーワード600S)1.1gを添加して、100〜120℃にて1時間脱水を行い、ろ過して芳香族化合物(A−13)を得た。
【0062】
・化1で示される芳香族化合物(A−14)〜(A−16)の合成
芳香族化合物(A−13)と同様にして、表1に記載の芳香族化合物(A−14)〜(A−16)を得た。
【0063】
本発明で使用したA成分としての芳香族化合物を表1〜4に示した。なお、(A−1)、(A−5)、(A−9)〜(A−11)及び比較のための化合物(a−2)は市販品を使用した。
【0064】
【表1】







【0065】
【表2】

【0066】
【表3】

【0067】
【表4】

【0068】
試験区分2(B成分等の合成)
・化6で示される化合物(B−4)の合成
撹拌機、温度計、コンデンサーを備えた四つ口フラスコに、シュウ酸18.0g(0.2モル)、1−オクタノール65.1g(0.5モル)及びキシレン400mlを仕込み、さらに触媒としてp−トルエンスルホン酸一水和物0.7gを添加して、窒素ガスを導入しながら8時間加熱還流させ、生成する水をディーンスターク管にて系外に除去してエステル化反応を行った。反応終了後、希炭酸ナトリウム水溶液にて抽出洗浄した後、水で洗浄した。キシレンと過剰の1−オクタノールを減圧留去してエステル化合物(B−4)を得た。
【0069】
・比較のためのエステル化合物(b−1)の合成
エステル化合物(B−4)と同様にして、表5に記載のエステル化合物(b−1)を得た。
【0070】
・化7で示される化合物(B−10)の合成
撹拌機、温度計、コンデンサーを備えた四つ口フラスコに、ヘキサデカン二酸57.3g(0.2モル)、n−ブタノール37.1g(0.5モル)及びキシレン400mlを仕込み、さらに触媒としてp−トルエンスルホン酸一水和物0.7gを添加して、窒素ガスを導入しながら8時間加熱還流させ、生成する水をディーンスターク管にて系外に除去してエステル化反応を行った。反応終了後、希炭酸ナトリウム水溶液にて抽出洗浄した後、水で洗浄した。キシレンと過剰のn−ブタノールを減圧留去してエステル化合物(B−10)を得た。
【0071】
・比較のためのエステル化合物(b−2)の合成
エステル化合物(B−10)と同様にして、表6に記載のエステル化合物(b−2)を得た。
【0072】
本発明で使用したB成分としてのジカルボン酸化合物又はジカルボン酸化合物と脂肪族アルコールとのエステル化合物を表5及び表6に示した。なお、(B−1)〜(B−3)、(B−5)〜(B−9)は市販品を使用した。
【0073】
【表5】

【0074】
【表6】

【0075】
試験区分3(C成分等の内容)
本発明で使用したC成分としての市販のジオール化合物を表7に示した。




【0076】
【表7】

【0077】
試験区分4(分散剤としてのポリエステルの合成)
・実施例1:分散剤(P−1)としてのポリエステルの合成
撹拌機、温度計、コンデンサーを備えた四つ口フラスコに、芳香族化合物(A−1)34.4g(0.20モル)と、ジカルボン酸(B−8)141.6g(0.70モル)及びジオール化合物(C−3)94.5g(0.80モル)を投入し、さらに過剰のジオール成分としてエチレングリコール12.4g(0.20モル)を加えてから、窒素気流下、撹拌しながら110℃まで加熱した。触媒としてテトラブトキシチタネートを0.08g加えてからさらに加熱し、生成する水を系外に留去しながら220℃で2時間エステル化した。さらに温度を220℃に保ちながら5000Pa以下で、エチレングリコールを留去しながら2時間重縮合を継続した。反応終了後、温度が100℃になるまで冷却した。冷却後撹拌を止め、反応物を取り出し、ポリエステルを得た。これを分散剤(P−1)とした。
【0078】
・実施例2〜23及び比較例1〜4:分散剤(P−2)〜(P−23)及び(p−1)〜(p−4)としてのポリエステルの合成
分散剤(P−1)と同様にして、分散剤(P−2)〜(P−23)及び比較のための分散剤(p−1)〜(p−4)を得た。これらの内容を表8にまとめて示した。ここで、分散剤(P−22)を除き、過剰のジオール成分としては、カルボキシル基と水酸基の当量比が1:1.2となるようにエチレングリコールを用いた。分散剤P−22は、過剰のジオール成分としてのエチレングリコール及び触媒としてのテトラブトキシチタネートを添加せずに、反応を行った。また分散剤(P−23)は、エステル化後に過剰のジオール成分としてのエチレングリコールを留去せずに重縮合を行なった。したがってこの場合の表8記載のC成分のモル比は過剰のジオール成分としてのエチレングリコールを含んだ値である。











【0079】
【表8】

【0080】
表8において、
質量平均分子量:テトラヒドロフランを溶媒とし、既知分子量のポリスチレンを標準としてGPC法で求めた。
融点:サンプル5mgをアルミニウム製サンプルパンに採取し、DSCを用いて昇温速度10℃/分の条件で測定し、ピーク温度を求め、融点とした。
酸価:サンプル5gをキシレン30ml及びメタノール30mlの混合溶媒に溶解し、0.1N水酸化カリウムメタノール溶液を滴定液として、電位差自動滴定装置を用いて測定した。
【0081】
試験区分5(顔料組成物の調製)
・実施例24
分散剤(P−1)0.65g、顔料(Q−1)6.45g、バインダー樹脂(R−1)6.45g、キシレン(S−2)36.45g及び直径2mmのジルコニアビーズ100gを100mlのバイアル瓶に入れ、ペイントシェーカー(東洋精機製作所社製)で5時間分散処理をして、実施例24の顔料組成物を得た。
【0082】
・実施例25〜46及び比較例5〜8
実施例24の顔料組成物と同様にして、実施例25〜46及び比較例5〜8の顔料組成物を調製した。これらの内容を表9にまとめて示した。
【0083】
試験区分6(顔料組成物の評価)
試験区分3で調製した顔料組成物について、分散性、その安定性、塗膜の色再現性の指標として、外観、粘度、粒径及び塗膜の光沢を、初期及び経時後において次のように評価した。結果を表9にまとめて示した。
【0084】
・粒径
試験区分5で調製した顔料組成物を、その調製に使用したバインダー樹脂と溶媒との混合液(混合比率は各々の顔料組成物の調製時と同じ)で10倍に希釈して測定用試料とし、粒度分布計(大塚電子社製の商品名FPAR−1000)を用い、平均粒径を測定して次の基準で評価した。
◎:平均粒径が200nm未満である
○:平均粒径が200nm以上300nm未満である
△:平均粒径が300nm以上400nm未満である
×:平均粒径が400nm以上である
【0085】
・光沢
試験区分5で調製した顔料組成物を、マイヤーバー(No.12)を用い、厚み0.05mmのPETフィルム上に乾燥後の膜厚が0.01mmとなるように塗布し、100℃で2分間乾燥後、室温下で冷却して塗膜を形成し、光沢度を測定して次の基準で評価した。
◎:20°グロスが80以上である
○:20°グロスが70以上80未満である
△:20°グロスが60以上70未満である
×:20°グロスが60未満である
【0086】
・安定性1(粒径)
試験区分5で調製した顔料組成物を40℃で1週間保存した後に、前記と同様にして粒径を測定し、その変化の割合により次の基準で評価した。
◎:初期値との変化率が5%未満である
○:初期値との変化率が5%以上10%未満である
△:初期値との変化率が10%以上15%未満である
×:初期値との変化率が15%以上である
【0087】
・安定性2(光沢)
試験区分5で調製した顔料組成物を40℃で1週間保存した後に、前記と同様にして塗膜を形成し、光沢度を測定して、その変化の割合により次の基準で評価した。
◎:初期値との変化率が5%未満である
○:初期値との変化率が5%以上10%未満である
△:初期値との変化率が10%以上15%未満である
×:初期値との変化率が15%以上である
【0088】
・安定性3(外観)
試験区分5で調製した顔料組成物10mlを0.1ml目盛りの共栓付きメスシリンダーに入れ、40℃で1週間保存した後に、その外観を目視で観察し、次の基準で評価した。
◎:沈降量が0.1ml未満である。
○:沈降量が0.1ml以上0.2ml未満である。
△:沈降量が0.2ml以上0.3ml未満である。
×:沈降量が0.3ml以上である。
【0089】
・安定性4(粘度)
試験区分5で調製した顔料組成物を40℃で1週間保存した後に、B型粘度計(東機産業社)にて25℃で60rpmの条件下に粘度を測定し、次の基準で評価した。なお、ここで初期値とは40℃保存前の顔料組成物を同条件で測定した値である。
◎:初期値との変化率が5%未満である
○:初期値との変化率が5%以上10%未満である
△:初期値との変化率が10%以上15%未満である
×:初期値との変化率が15%以上である
【0090】
【表9】

【0091】
表9において、
顔料の部数:100部
P−1〜P−23,p−1〜p−4:表8に記載の分散剤
Q−1:PB15:3(東洋インキ製造社製の商品名LIONOL BLUE FG−7330−PA)
Q−2:PY74(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製の商品名IRGALITE YELLOW GO)
Q−3:PR177(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製の商品名CROMOPHTAL RED A2B)
R−1:キシレンを40%含有する常乾型アルキド樹脂(DIC社製の商品名ベッコゾールES−4505−60x)
R−2:キシレンを40%含有する焼付型アルキド樹脂(DIC社製の商品名ベッコゾール1307−60−EL)とキシレン、ブタノール及びメタノールを40%含有するブチル化メラミン樹脂(DIC社製の商品名スーパーベッカミンJ−820−60)を70:30の質量比で混合したもの
R−3:キシレン及びブタノールを40%含有する焼付型アクリル樹脂(DIC社製の商品名アクリディック54−172−60)と前記のスーパーベッカミンJ−820−60を70:30の質量比で混合したもの。
R−4:キシレン及び酢酸イソブチルを50%含有するイソシアネート硬化型アクリル樹脂(DIC社製の商品名アクリディックA−829)
S−1:シクロヘキサノン
S−2:キシレン
S−3:酢酸エチル
S−4:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記のA成分、B成分及びC成分を重縮合したポリエステルから成ることを特徴とする非水系顔料分散剤。
A成分:下記の化1で示される芳香族化合物
【化1】

[化1において、
X:アリール基
Y:下記の化2で示される有機基、化3で示される有機基、化4で示される有機基又は化5で示される有機基
【化2】

【化3】

【化4】

【化5】

(化2〜化5において、
,Z:水素原子又は炭素数1〜12のアルキル基
,R:炭素数1〜12の脂肪族炭化水素化合物の両鎖端から各1個の水素原子を除いた残基
:炭素数2〜4の脂肪族炭化水素化合物の両鎖端から各1個の水素原子を除いた残基
m:1〜3の整数)]
B成分:ジカルボン酸化合物及びジカルボン酸化合物と炭素数1〜12の脂肪族アルコールとのエステル化合物から選ばれる化合物
C成分:ジオール化合物
【請求項2】
A成分が、化1中のXがナフチル基である場合のものである請求項1記載の非水系顔料分散剤。
【請求項3】
A成分が、化1中のXがアントラセニル基である場合のものである請求項1記載の非水系顔料分散剤。
【請求項4】
A成分が、化1中のYが化2で示される有機基、化3で示される有機基又は化5で示される有機基である場合のものである請求項1〜3のいずれか一つの項記載の非水系顔料分散剤。
【請求項5】
B成分が、下記の化6で示される化合物及び化7で示される化合物から選ばれる一つ又は二つ以上である請求項1〜4のいずれか一つの項記載の非水系顔料分散剤。
【化6】

【化7】

(化6及び化7において、
:炭素数1〜16の脂肪族炭化水素化合物の両鎖端から各1個の水素原子を除いた残基
,Z,Z,Z:水素原子又は炭素数1〜12のアルキル基)
【請求項6】
化7中のRが、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素化合物の両鎖面から各1個の水素原子を除いた残基である請求項5記載の非水系顔料分散剤。
【請求項7】
C成分が、下記の化8で示されるジオール化合物である請求項1〜6のいずれか一つの項記載の非水系顔料分散剤。
【化8】

(化8において、
:炭素数1〜18の脂肪族炭化水素化合物の両鎖端から各1個の水素原子を除いた残基)
【請求項8】
化8中のRが、炭素数1〜14の脂肪族炭化水素化合物の両端面から各1個の水素原子を除いた残基である請求項7記載の非水系顔料分散剤。
【請求項9】
ポリエステルが、全構成単位中に、A成分から形成された構成単位を1〜20モル%の範囲内で有するものである請求項1〜8のいずれか一つの項記載の非水系顔料分散剤。
【請求項10】
ポリエステルが、質量平均分子量1000〜100000の範囲内のものである請求項1〜9のいずれか一つの項記載の非水系顔料分散剤。
【請求項11】
ポリエステルが、融点20〜120℃の範囲内のものである請求項1〜10のいずれか一つの項記載の非水系顔料分散剤。
【請求項12】
ポリエステルが、酸価10mgKOH/g以下のものである請求項1〜11のいずれか一つの項記載の非水系顔料分散剤。
【請求項13】
顔料、非水系溶媒、バインダー樹脂及び請求項1〜12のいずれか一つの項記載の非水系顔料分散剤を含有してなることを特徴とする顔料組成物。
【請求項14】
顔料が、有機顔料である請求項13記載の顔料組成物。
【請求項15】
顔料100質量部に対し、非水系顔料分散剤を5〜40質量部の割合で含有する請求項13又は14記載の顔料組成物。

【公開番号】特開2010−150439(P2010−150439A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−331669(P2008−331669)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000210654)竹本油脂株式会社 (138)
【Fターム(参考)】