説明

非破壊検査装置、上位制御装置、FAライン制御システム、及びプログラム

【課題】FAラインと非破壊検査装置とを連動させ、FAラインと同一ライン上に非破壊検査装置を組み込むことを可能にする。
【解決手段】FAライン上に設けられた非破壊検査装置1を含む一つ以上の下位被制御装置41と、これらを制御する上位制御装置6と、を有するFAライン制御システムにおける前記非破壊検査装置1であって、当該非破壊検査装置1の内部設定状態を切り替えるための内部プログラムを記録した記録手段23と、動作命令信号を前記上位制御装置6から受信する受信手段36と、前記動作命令信号の内容に応じた、前記記録手段23に記録されている内部プログラムを実行する内部プログラム実行手段38と、前記動作命令信号に対する応答信号を前記上位制御装置6へ送信する送信手段40と、を備えるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、FAライン上に設けられた、非破壊検査装置を含む一つ以上の下位被制御装置と、これらの下位被制御装置を制御する上位制御装置と、を有するFAライン制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、FA(Factory Automation)ライン制御システムは、例えば図8に示したような構成を有している。尚、同図は、特許文献1に記載されている半導体生産ラインシステムの概要を示したものでもある。同図にも示したように、従来のFAライン制御システムでは、PLC(Programmable Logic Controller)などの上位制御機器(同図では上位コンピュータ51)が、複数の下位被制御機器(同図では第1乃至3の製造装置52乃至54等)とI/O信号入出力部を介して接続され、各下位被制御装置との間で指令送信及び応答受信を行うことで、FAラインの自動制御が実現されている。各下位被制御機器は、FAラインと連動するために、I/O信号入出力部(同図ではI/O信号送受信部55乃至57)等を備えて、上位制御機器からの指令の受信、解析、及び応答送信する等の手段を有している。
【0003】
一方、従来の非破壊検査装置(非破壊検査診断装置とも言う)は、I/O信号入出力部として、被検体内部の良否判定などの検査結果(診断結果)を出力する等のためのTTLレベルの入出力が用意されているものの、この入出力はFAライン制御システムにおける上位制御機器からの指令の受信、解析、及び良否判定結果などの応答を上位制御機器へ送信する手段として機能することはできない。また、従来の非破壊検査装置は、FAライン制御システムにおける上位制御機器からの指令を解析し、その指令に応じた内部プログラムを実行する手段は存在しない。すなわち、従来においては、図9に示したように、非破壊検査装置58を、上位制御機器59と一つ以上の下位被制御機器60(但し、同図では一つのみを示す)とを含むFAライン制御システム61に組み込むための手段が考慮されていなかった。同図において、従来のFAライン制御システム61における上位制御機器59は、非破壊検査装置58以外の各下位被制御装置60を制御するFAライン機器制御部62と、その各下位被制御装置60へ動作命令信号を送信する送信部63と、その各下位被制御装置60からの、動作命令信号に対する応答信号を受信する受信部64と、その応答信号の内容を解析するデータ解析部65等を有し、非破壊検査装置58以外の各下位被制御装置60の動作を制御することが可能になっている。各下位被制御装置60は、上位制御機器59からの動作命令信号に応じて対応する動作を行い、その動作命令信号に対する応答信号を上位制御機器へ送信する。一方、非破壊検査装置58は、被検体の検査を行い被検体内部の良否判定などの検査結果(診断結果)を出力する検波計測部66等を有するものの、上位制御機器59の制御の下に動作するための手段は備えていない。
【0004】
このため、従来においては、非破壊検査装置はFAラインと連動できず、検査員が被検体にあわせて非破壊検査装置の設定と検査を手動で行い、その結果をFAライン制御システム上に人為的に反映させるか、又はFAライン制御システムとは独立した形での製品(被検体)内部良否判定のみの自動検査工程を配置してそれを行っていた。
【特許文献1】特開平6−271022号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようなことから、従来においては、(1)非破壊検査装置を用いて素材内部の良否判定を行った後、その素材をFAライン制御システムにおける上位制御機器が制御する加工工程へ搬入する作業が必要となり、(2)FAライン(例えば加工ライン)上の工程途中で非破壊検査装置を組み込んだ製品内部の自動良否判定を行うことができず、(3)FAライン(例えば加工ライン)で取り扱う素材が複数種ある場合に素材に応じて非破壊検査装置の設定を手動で切り替えなければならない、という問題があった。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑み、FAラインと非破壊検査装置とを連動させ、FAラインと同一ライン上に非破壊検査装置を組み込むことを可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の第1の態様に係る非破壊検査装置は、FAライン上に設けられた非破壊検査装置を含む一つ以上の下位被制御装置と、前記非破壊検査装置を含む一つ以上の下位被制御装置を制御する上位制御装置と、を有するFAライン制御システムにおける前記非破壊検査装置であって、当該非破壊検査装置の内部設定状態を切り替えるための内部プログラムを記録した記録手段と、動作命令信号を前記上位制御装置から受信する受信手段と、前記動作命令信号の内容に応じた、前記記録手段に記録されている内部プログラムを実行する内部プログラム実行手段と、前記動作命令信号に対する応答信号を前記上位制御装置へ送信する送信手段と、を備える。
【0008】
また、本発明の第2の態様に係る非破壊検査装置は、当該非破壊検査装置の内部設定状態を切り替えるための内部プログラムを記録した記録手段と、操作に応じて動作命令信号を入力する操作手段と、前記動作命令信号の内容に応じた、前記記録手段に記録されている内部プログラムを実行する内部プログラム実行手段と、を備える。
【0009】
また、本発明の第3の態様に係る上位制御装置は、FAライン上に設けられた非破壊検査装置を含む一つ以上の下位被制御装置と、前記非破壊検査装置を含む一つ以上の下位被制御装置を制御する上位制御装置と、を有するFAライン制御システムにおける前記上位制御装置であって、動作命令信号を前記非破壊検査装置へ送信する送信手段と、前記動作命令信号に対する応答信号を前記非破壊検査装置から受信する受信手段と、を備え、前記応答信号の内容に応じて、前記非破壊検査装置以外の下位被制御装置を制御する、構成である。
【0010】
尚、本発明は、この他にも、上記第1及び3の態様を組み合わせてFAライン制御システムとして構成することもでき、また、非破壊検査装置のコンピュータに実行されるプログラムとして構成することもできる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、(1)非破壊検査装置による素材良否判定工程と加工工程とが同一ライン上にあるので素材搬入から製品検査までの工数を削減することができ、(2)上位制御機器の管理下のFAラインであれば任意の位置に素材内部良否判定工程として非破壊検査装置を配置することができ、(3)多品種少量生産向けのFAラインであっても検査対象物(被検体)に応じて上位制御機器から非破壊検査装置に対し内部プログラムの切り替えを命令できるので非破壊検査装置の内部設定状態を自動で設定することができる、という効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施例に係るFAライン制御システムの主要構成を示す図である。
同図に示したように、本システムは、FAライン上に設けられた一つ以上の下位被制御装置(FAライン機器ともいう)である、非破壊検査装置1,パーツキャッチャ2,及び第1乃至3のFA機器3乃至5と、これらの下位被制御装置を制御する上位制御装置であるPLC6とを有している。但し、非破壊検査装置1は、本実施例において超音波探傷器であるとする。PLC6は各下位被制御装置と接続され、各下位被制御装置との間で信号(データ)の送受が可能になっている。尚、PLC6と非破壊検査装置1との間で行われる信号の送受は、PLC6で規定された例えばRS232C,RS422,又はRS485等の通信プロトコルを用いて行われる。
【0013】
このような構成により、本システムでは、PLC6の制御の下に、まず素材検査工程(素材良否判定工程ともいう)において非破壊検査装置1による素材の良否判定が行われ、その判定結果に応じてパーツキャッチャ2により素材が例えばバーフィーダ等の第1のFA機器3にセットされるか或いは不良素材ホルダにセットされる。続く素材搬入工程では、パーツキャッチャによりセットされた素材が第1のFA機器3により例えば旋盤、マシニングセンタ・ロボット等の第2のFA機器4に搬送される。続く加工工程1では、第1のFA機器3により搬送された素材に対し第2のFA機器4により第1の加工が行われる。続く加工工程2では、第2のFA機器4により加工された素材が更に例えば旋盤、マシニングセンタ・ロボット等の第3のFA機器5により第2の加工が行われる。
【0014】
図2は、上述の非破壊検査装置1の主要構成を示す図である。
同図において、パルサー11は、被検体に当てられたプローブ12から所定時間間隔で超音波を発振させる。レシーバー13は、被検体に当てられたプローブ12を介して、被検体に発振された超音波の反射波を受信し、その反射波に応じたアナログ電気信号を出力する。A/Dコンバータ14は、そのアナログ電気信号をA/D変換してデジタル電気信号を出力する。検波計測部15は、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)等で構成され、そのデジタル電気信号を基に検波や計測等のための各種信号処理を行う。波形メモリ16は、検波計測部15の信号処理により得られた反射波に係る波形データを格納する。ビデオデコーダ17は、ビデオ端子18に接続されているビデオカメラ19によって撮影された被検体の画像に係るビデオ信号をデコードし、そのビデオ信号に応じた画像データを出力する。画像処理部20は、波形メモリ16に格納された波形データやビデオデコーダ17により得られた画像データ等を基に、レシーバー13が受信した反射波の波形やビデオカメラ19で撮影された被検体の画像等をモニタ21に表示するための演算処理やレンダリング処理等の各種画像処理を行う。画像変換部22は、画像処理部20により得られた画像データを、モニタ21が表示可能なモニタ信号に変換する。例えば、画像変換部22は、モニタ21がアナログモニタ信号に応じて表示を行うものである場合には、画像処理部20により得られた画像データをアナログモニタ信号に変換するものであり、或いは、モニタ21がデジタルモニタ信号に応じて表示を行うLCD等である場合には、画像処理部20により得られた画像データをデジタルモニタ信号に変換するものである。そして、モニタ21は、そのモニタ信号に応じた画像を表示する。
【0015】
ROM23は、当該非破壊検査装置1全体の動作を制御するための制御プログラムや、当該非破壊検査装置1の内部設定状態を切り替えるための一つ以上の内部プログラムや、処理に必要な各種データが記録されている。コントローラ24は、内部にCPUを備え、ROM23に記録されている制御プログラムを読み出し実行することによって当該非破壊検査装置1全体の動作を制御する。また、必要に応じてROM23に記録されている内部プログラムを読み出し実行することによって当該非破壊検査装置1の内部設定状態を切り替える。RAM25は、コントローラ(CPU)24のワークエリア等として使用される。記憶装置26は、例えばCF(コンパクトフラッシュ(登録商標))等の着脱自在の記録媒体が装着されているときに、その記録媒体へのデータ(例えば検査結果等のデータ)の書き込み或いはその記録媒体からのデータの読み出しを行う。尚、ROM23に記録される内部プログラムは、記憶装置26に装着されている記録媒体に記録されるものであっても良い。
【0016】
切替部27は、電源を内部のバッテリ28から供給するか、或いは、プラグ29が差し込まれた外部コンセント(例えばAC100V)から供給するかを切り替える。電源スイッチ30は、電源のオン/オフを切り替える。
【0017】
操作部31は、検査者の操作に応じて動作命令信号をコントローラ24に通知する。これにより、検査者が操作部31に対して所定の操作を行うと、その操作に応じた動作命令信号がコントローラ24に入力され、そして、その動作命令信号の内容に応じて、ROM23或いは記憶装置26に装着されている記録媒体に記録されている、対応する内部プログラムが読み出され、コントローラ(CPU)24によって実行される。
【0018】
周辺機器用端子32は、コントローラ24と周辺機器33とを接続するためのコネクターであり、例えば、この端子32を介して周辺機器33であるプリンタが接続されているときには、検査結果等の印刷が可能になる。
【0019】
上位制御装置用端子34は、コントローラ24とPLC6とを接続するためのコネクターであり、この端子34を介してPLC6が接続されているときには、当該非破壊検査装置1とPLC6との間で信号の送受が可能になる。
【0020】
図3は、上述のFAライン制御システムの機能ブロック図である。
同図に示したように、PLC6は、当該PLC6に接続されている、非破壊検査装置1を含む下位被制御装置を制御するFAライン機器制御部32と、非破壊検査装置1を含む各下位被制御装置へ動作命令信号を送信する送信部33と、非破壊検査装置1を含む各下位被制御装置からの動作命令信号に対する応答信号を受信する受信部34と、その応答信号を解析するデータ解析部35等を有している。
【0021】
非破壊検査装置1は、PLC6からの動作命令信号を受信する受信部36と、その動作命令信号を解析するデータ解析部37と、その動作命令信号の内容に応じて対応する内部プログラムをROM23或いは記憶装置26に装着されている記録媒体から読み出し実行する内部プログラム実行部38と、被検体からの反射波に係る信号を基に検波や計測等のための各種の信号処理を行うと共に、必要に応じて処理結果(素材内部の良否判定結果等)を外部へTTL出力する検波計測部39と、その動作命令信号に対する応答信号をPLC6へ送信する送信部40等を有している。尚、同図の非破壊検査装置1において、送信部36、データ解析部37、内部プログラム実行部38、及び送信部40は、図2に示したコントローラ24に含まれるものであり、検波計測部39は、図2に示した検波計測部15に対応する。
【0022】
また、PLC6に接続されている非破壊検査装置1以外の下位被制御装置である、パーツキャッチャ2,第1乃至3のFA機器3乃至5の各々は、図3においてFAライン機器41として簡略化して示している。これらのFAライン機器41の各々は、PLC6からの動作命令信号を受信すると、その動作命令信号の内容に応じた動作を行い、その動作命令信号に対する応答信号をPLC6へ送信する。
【0023】
このような構成により、本システムでは、PLC6は、各種の指令や、加工素材,加工内容に応じた内部プログラムのプログラム番号などを、動作命令信号として非破壊検査装置1へ送信することが可能になる。また、非破壊検査装置1は、その動作命令信号を受信,解析して指令やプログラム番号などを取得することが可能になり、そのプログラム番号に応じた内部プログラムを実行して当該非破壊検査装置1の内部設定状態を切り替えることが可能になる。また、指令に対する応答や、検波計測部39で得られた素材内部の良否判定結果を、動作命令信号に対する応答信号としてPLC6へ送信することも可能になる。
【0024】
これにより、PLC6は、非破壊検査装置1から取得した素材良否判定結果に応じて、パーツキャッチャ2に素材を第1のFA機器3にセットさせる或いは不良素材として排出させるなど、同一ライン上の他の下位被制御装置に行わせる動作を変更することができる。
【0025】
図4及び図5は、本システムにおいてPCL6と非破壊検査装置1との間で行われる動作を説明するための図であり、図4はPLC6側の動作を示すフローチャート、図5は非破壊検査装置1側の動作を示すフローチャートである。
【0026】
はじめに図4を用いてPLC6側の動作を説明する。
同図に示したように、PLC6は電源がオンされると本動作を開始する。
まず、PLC6は、非破壊検査装置1からの準備状態を示すマシンレディ信号を受信部34で受信したか否かを判定し(S1)、その判定結果がYESの場合にはS2へ進み、NOの場合にはS3へ進む。
【0027】
S1がNOの場合、続いて、そのマシンレディ信号を受信しないまま一定時間を経過したか否かを判定し(S3)、その判定結果がYESの場合にはタイムアウトエラーとなり所定のエラー処理を行い、NOの場合にはS1へ戻る。
【0028】
一方、S1がYESの場合、続いて、PLC6はPLCシーケンスプログラムの実行を開始する(S2)。但し、当該PLC6に接続されている各下位被制御装置に対しても、上記のS1及び3のような判定処理が行われ、S2で実行が開始されるPLCシーケンスプログラムは、その各下位被制御装置からのマシンレディ信号がすべて受信された後に実行が開始されるものである。
【0029】
続いて、後述のS7又はS9で送信される内部プログラム選択指令に係る動作命令信号に対する応答として、非破壊検査装置1からの内部プログラム選択完了信号を受信部34で受信したか否かを判定し(S4)、その判定結果がYESの場合にはS5へ進み、NOの場合にはS6へ進む。
【0030】
S4がNOの場合には、続いて、非破壊検査装置1の内部設定状態を当該FAライン上で行われる加工形態に応じた内部設定状態へ変更するための内部プログラムを非破壊検査装置1に選択させるための内部プログラム選択指令に係る動作命令信号を、送信部33から非破壊検査装置1へ送信する動作が行われる。詳しくは、まず、当該FAライン上で行われる加工形態が鉄材加工であるか否かを判定し(S6)、その判定結果がYESの場合には、鉄材検査用設定プログラムに係る内部プログラムのプログラム番号を、内部プログラム選択指令に係る動作命令信号として、送信部33から非破壊検査装置1へ送信し(S7)、S11へ進む。S6がNOの場合には、続いて、当該FAライン上の行われる加工形態がアルミ材加工であるか否かを判定し(S8)、その判定結果がYESの場合には、アルミ材検査用設定プログラムに係る内部プログラムのプログラム番号を、内部プログラム選択指令に係る動作命令信号として、送信部33から非破壊検査装置1へ送信し(S9)、S11へ進む。S8がNOの場合には、非破壊検査装置1が、対応する内部プログラムを有していない等の理由により、所定のエラー処理が行われる。
【0031】
S7又はS9の後は、続いて、非破壊検査装置1からの、待ち合わせ(待機)信号や、上記の内部プログラム選択指令に係る動作命令信号の応答としての内部プログラム選択完了信号を、受信部34で受信し(S11)、S12へ進む。
【0032】
一方、S4がYESの場合には、続いて、後述のS10で送信される内部プログラムスタート指令に係る動作命令信号に対する応答として、非破壊検査装置1からの内部プログラム実行完了信号を受信部34で受信したか否かを判定し(S5)、その判定結果がYESの場合にはS11へ進み、NOの場合にはS10へ進む。
【0033】
S5がNOの場合、続いて、内部プログラムスタート指令に係る動作命令信号を送信部33から非破壊検査装置1へ送信し(S10)、S11へ進む。但し、S10では、既に非破壊検査装置1で内部プログラムの実行が開始されていたときには内部プログラムスタート指令に係る動作命令信号を送信せずに、そのままS11へ進む。
【0034】
これにより、非破壊検査装置1ではS7又はS9で送信されたプログラム番号に応じて選択された内部プログラムの実行が開始されることとなり、非破壊検査装置1の内部設定状態を、本システムが適用されたFAライン上で行われる加工形態に最も適した設定状態に自動的に変更することができる。
【0035】
S10の後は、続いて、非破壊検査装置1からの、待ち合わせ(待機)信号や、内部プログラムスタート指令に係る動作命令信号に対する応答としての内部プログラム実行完了信号を、受信部34で受信し(S11)、S12へ進む。
【0036】
S11の後は、続いて、非破壊検査装置1からの信号を受信部34で受信し、必要に応じて対応する動作命令信号を送信部33から他のFAライン機器41へ送信する(S12)。例えば、非破壊検査装置1から取得した素材内部の良否判定結果の内容に応じて、素材を第1のFA機器3にセットさせるようにする動作命令信号、或いは不良素材ホルダにセットさせるようにする動作命令信号をパーツキャッチャ2へ送信する。
【0037】
尚、上述のS11及び12では、その他にも必要に応じて非破壊検査装置1との間で信号の送受を行い、相互の状態を認識しながら非破壊検査装置1の動作を制御することもできる。
【0038】
続いて、PLC6の電源がオフされる等による接続切断要求が有ったか否かを判定し(S13)、その判定結果がYESの場合には本フローを終了し、NOの場合にはS4へ戻り、上述の処理を繰り返す。
【0039】
次に、図5を用いて非破壊検査装置1側の動作を説明する。
同図に示したように、非破壊検査装置1は電源スイッチ30がオンされると本動作を開始する。
【0040】
まず、非破壊検査装置1は、当該装置1を初期化して起動状態にした後、送信部40からPLC6へマシンレディ信号を送信する(S21)。続いて、PLC6からの指令があったか否か、すなわち、PLC6からの動作命令信号を受信したか否かを判定し(S22)、その判定結果がYESの場合にはS23へ進み、NOの場合には本判定を繰り返す。
【0041】
S22がYESの場合、続いて、PLC6からの指令がプログラム番号指令であったか否か、すなわち、受信した動作命令信号が内部プログラム選択指令に係る動作命令信号であったか否かを判定し(S23)、その判定結果がYESの場合にはS24へ進み、NOの場合にはS25へ進む。
【0042】
S23がYESの場合、続いて、内部プログラムを選択する処理、詳しくは、受信した内部プログラム選択指令に係る動作命令信号が示すプログラム番号に応じた内部プログラムをROM23又は記憶装置26に装着されている記録媒体から読み出して実行可能な状態にする、というプログラム選択処理を行い(S24)、続いて、内部プログラム選択完了信号を、内部プログラム選択指令に係る動作命令信号に対する応答信号として、送信部40からPLC6へ送信し(S28)、S29へ進む。
【0043】
一方、S23がNOの場合、続いて、PLC6からの指令がスタート指令であったか否か、すなわち、受信した動作命令信号が内部プログラムスタート指令に係る動作命令信号であったか否かを判定し(S25)、その判定結果がYESの場合にはS26へ進み、NOの場合にはS27へ進む。
【0044】
S25がYESの場合、続いて、S24で選択されている(読み出されている)内部プログラムを実行すると共に、その実行中においては必要に応じてPLC6との間で信号の送受を行って相互の状態を認識しながら内部プログラムを実行する(S26)。そして内部プログラムの実行が完了すると、内部プログラム実行完了信号を、内部プログラムスタート指令に係る動作命令信号に対する応答信号として、送信部40からPLC6へ送信し(S28)、S29へ進む。
【0045】
一方、S25がNOの場合には、続いて、PLC6からの指令が当該非破壊検査装置1に非対応な指令である等として、エラー信号を動作命令信号に対する応答信号として送信部40からPLC6へ送信し(S27)、S29へ進む。
【0046】
S27又はS28の後は、続いて、PLC6の電源がオフされる等によるPLC6との接続切断要求が有ったか否かを判定し(S29)、その判定結果がYESの場合には本フローを終了し、NOの場合にはS22へ戻り、上述の処理を繰り返す。
【0047】
図6は、ROM23又は記憶装置26に装着されている記録媒体に記録されている内部プログラムの一例を示す図である。
同図に示した内部プログラムは、鉄棒素材検査用設定プログラム示し、Gコードプログラムのプログラム言語で記述されている。内部プログラムは、プログラムの先頭にプログラム番号が記述されており、PLC6からプログラム番号が指定されることにより、そのプログラム番号が記述されている内部プログラムが選択されるようになっている。同図の設定プログラムでは、PLC6からプログラム番号“01234”が指定されることにより、当該設定プログラムが選択される。そして、PLC6からの内部プログラムスタート指令により、選択されている内部プログラムの実行が開始される。同図の設定プログラムでは、「P01C03」から順に実行が開始される。この設定プログラムにおいて、例えば「R100」は、非破壊検査装置1内の測定レンジを100mmに設定するという指令コードである。「M300」,「M400」,及び「M500」は、応答信号としてPLC6へ待ち合わせ(待機)信号を出力(送信)するという指令コードである。これにより、PLC6と同期をとって非破壊検査装置1が動作することができる。「F02」は、当該設定プログラムの実行が完了したことを示す内部プログラム実行完了信号を出力(送信)するという指令コードである。
【0048】
図7は、上述の図6に示した内部プログラム(鉄棒素材検査用設定プログラム)を実行するときの非破壊検査装置1の動作を示すフローチャートである。
同図に示したように、まず、非破壊検査装置1は、選択されている内部プログラム内の先頭から順にEOB( End Of Block )を終端とした1行分の指令コードを取得する(S31)。続いて、その1行分の指令コードからキャラクタを1文字づつ取得し(S32)、取得したキャラクタがファイル終端(EOF:End Of File )であるか否かを判定し(S33)、その判定結果がYESの場合にはプログラムが終了しているので本フローを終了し、NOの場合にはS34へ進んで指令コード別の処理を開始する。
【0049】
詳しくは、S33がNOの場合、まず、取得したキャラクタの中に、機能コード「R」(測定範囲変更命令に係る機能コード)が含まれているか否かを判定し(S34)、その判定結果がYESの場合にはS35へ進み、NOの場合にはS36へ進む。
【0050】
S34がYESの場合、続いて、EOBを取得するまで機能コード「R」に続くキャラクタ(図6の「R100」における「100」)を取得して、そのキャラクタを数値に変換し(S35)、その数値を検波計測部15の不図示のRangeメモリへ格納する(S37)。これにより、内部プログラム内の指令コードに応じた測定範囲が検波計測部15に設定される。すなわち非破壊検査装置1の内部設定状態が変更される。
【0051】
S37の後は、続いて、そのRangeメモリへの数値格納が正常終了したか否か、すなわち検波計測部15への数値設定が正常終了したか否かを判定し(S38)、その判定結果がYESの場合にはS31へ戻って、次の1行分の指令コードについての上述の処理を開始する。S38がNOの場合には、PLC6へエラー信号を送信し(S39)、本フローを終了する。
【0052】
一方、S34がNOの場合には、同様にして、取得したキャラクタの機能コード別に応じて対応する処理を行い(S36)、S31へ戻って、次の1行分の指令コードについての上述の処理を開始する。
【0053】
以上、本実施例によれば、(1)非破壊検査装置1による素材良否判定工程と加工工程とが同一ライン上に設けられるので素材搬入から製品検査までの工数を削減することができ、(2)PLC6の管理下のFAラインであれば任意の位置に素材内部良否判定工程として非破壊検査装置1を配置することができ、(3)検査対象物(素材)に応じてPLC6から非破壊検査装置1に対し内部プログラムの切り替えを命令することができるので、非破壊検査装置1の内部設定状態を自動で設定することができる、という効果が得られる。
【0054】
尚、本実施例では、内部プログラムを記述するプログラム言語としてGコードプログラムを適用したが、プログラム言語はこれに限らず、非破壊検査装置固有のマクロ的な他のプログラム言語を適用することも可能である。
【0055】
以上、本発明について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良及び変更を行っても良いのはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】FAライン制御システムの主要構成を示す図である。
【図2】非破壊検査装置の主要構成を示す図である。
【図3】FAライン制御システムの機能ブロック図である。
【図4】本システムにおいてPCLと非破壊検査装置との間で行われる動作のうちPLC側の動作を示すフローチャートである。
【図5】本システムにおいてPCLと非破壊検査装置との間で行われる動作のうち非破壊検査装置側の動作を示すフローチャートである。
【図6】ROM又は記憶装置に装着されている記録媒体に記録されている内部プログラムの一例を示す図である。
【図7】内部プログラム(鉄棒素材検査用設定プログラム)を実行するときの非破壊検査装置の動作を示すフローチャートである。
【図8】従来のFAライン制御システムの一例を示す図である。
【図9】従来の、非破壊検査装置とFAライン制御システムとを示す図である。
【符号の説明】
【0057】
1 非破壊検査装置
2 パーツキャッチャ
3、4、5 FA機器
6 PLC
11 パルサー
12 プローブ
13 レシーバー
14 A/Dコンバータ
15 検波計測部
16 波形メモリ
17 ビデオデコーダ
18 ビデオ端子
19 ビデオカメラ
20 画像処理部
21 モニタ
22 画像変換部
23 ROM
24 コントローラ
25 RAM
26 記憶装置
27 切替部
28 バッテリ
29 プラグ
30 電源スイッチ
31 操作部
32 FAライン機器制御部
33 送信部
34 受信部
35 データ解析部
36 受信部
37 データ解析部
38 内部プログラム実行部
39 検波計測部39
40 送信部
41 FAライン機器
51 上位コンピュータ
52、53、54 製造装置
55、56、57 I/O信号送受信部
58 非破壊検査装置
59 上位制御機器
60 下位被制御機器
61 FAライン制御システム
62 FAライン機器制御部
63 送信部
64 受信部
65 データ解析部
66 検波計測部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
FAライン上に設けられた非破壊検査装置を含む一つ以上の下位被制御装置と、前記非破壊検査装置を含む一つ以上の下位被制御装置を制御する上位制御装置と、を有するFAライン制御システムにおける前記非破壊検査装置であって、
当該非破壊検査装置の内部設定状態を切り替えるための内部プログラムを記録した記録手段と、
動作命令信号を前記上位制御装置から受信する受信手段と、
前記動作命令信号の内容に応じた、前記記録手段に記録されている内部プログラムを実行する内部プログラム実行手段と、
前記動作命令信号に対する応答信号を前記上位制御装置へ送信する送信手段と、
を備えることを特徴とする非破壊検査装置。
【請求項2】
当該非破壊検査装置の内部設定状態を切り替えるための内部プログラムを記録した記録手段と、
操作に応じて動作命令信号を入力する操作手段と、
前記動作命令信号の内容に応じた、前記記録手段に記録されている内部プログラムを実行する内部プログラム実行手段と、
を備えることを特徴とする非破壊検査装置。
【請求項3】
FAライン上に設けられた非破壊検査装置を含む一つ以上の下位被制御装置と、前記非破壊検査装置を含む一つ以上の下位被制御装置を制御する上位制御装置と、を有するFAライン制御システムにおける前記上位制御装置であって、
動作命令信号を前記非破壊検査装置へ送信する送信手段と、
前記動作命令信号に対する応答信号を前記非破壊検査装置から受信する受信手段と、
を備え、
前記応答信号の内容に応じて、前記非破壊検査装置以外の下位被制御装置を制御する、
ことを特徴とする上位制御装置。
【請求項4】
FAライン上に設けられた非破壊検査装置を含む一つ以上の下位被制御装置と、前記非破壊検査装置を含む一つ以上の下位被制御装置を制御する上位制御装置と、を有するFAライン制御システムであって、
前記非破壊検査装置は、
当該非破壊検査装置の内部設定状態を切り替えるための内部プログラムを記録した記録手段と、
動作命令信号を前記上位制御装置から受信する受信手段と、
前記動作命令信号の内容に応じた、前記記録手段に記録されている内部プログラムを実行する内部プログラム実行手段と、
前記動作命令信号に対する応答信号を前記上位制御装置へ送信する送信手段と、
を備え、
前記上位制御装置は、
前記動作命令信号を前記非破壊検査装置へ送信する送信手段と、
前記動作命令信号に対する応答信号を前記非破壊検査装置から受信する受信手段と、
を備える、
ことを特徴とするFAライン制御システム。
【請求項5】
前記上位制御装置は、前記応答信号に応じて、前記非破壊検査装置以外の下位被制御装置を制御する、
ことを特徴とする請求項4記載のFAライン制御システム。
【請求項6】
FAライン上に設けられた非破壊検査装置を含む一つ以上の下位被制御装置と、前記非破壊検査装置を含む一つ以上の下位被制御装置を制御する上位制御装置と、を有するFAライン制御システムにおける前記非破壊検査装置のコンピュータにより実行されるプログラムであって、
動作命令信号を前記上位制御装置から受信する受信機能と、
当該非破壊検査装置の記録手段に記録されている、前記動作命令信号の内容に応じた、当該非破壊検査装置の内部設定状態を切り替えるための内部プログラムを実行する内部プログラム実行機能と、
前記動作命令信号に対する応答信号を前記上位制御装置へ送信する送信機能と、
を実現させるためのプログラム。
【請求項7】
操作手段を有する非破壊検査装置のコンピュータにより実行されるプログラムであって、
当該非破壊検査装置の記録手段に記録されている、前記操作手段の操作に応じて入力された動作命令信号の内容に応じた、当該非破壊検査装置の内部設定状態を切り替えるための内部プログラムを実行する内部プログラム実行機能、
を実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−172378(P2006−172378A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−367565(P2004−367565)
【出願日】平成16年12月20日(2004.12.20)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】