説明

非粘着性材料、平面材料層の一部を除去する方法、多層構造体、およびそれらの使用

本発明は、実質的平面材料層(2)の一部(11)を除去する間に使用される非粘着性材料に関し、実質的平面材料層(2)は、接続段階において、少なくとも1つのさらなる実質的平面材料層(9)に接続される。本発明によれば、非粘着性材料(8)は、隣接する実質的平面材料層(2、9)とは異なる極性を有する。本発明はまた、実質的平面材料層(2)の一部(11)を除去する方法、相互に接続される少なくとも2つの実質的平面材料層(2、9)から構成される多層構造体、および特に多層プリント回路基板におけるその使用に関し、実質的平面材料層(2)は、接続段階において、少なくとも1つのさらなる実質的平面材料層(9)に接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実質的平坦または平面材料層の一部またはサブポーションの除去で用いる接着防止すなわち防着または非粘着性材料に関し、実質的平坦または平面材料層は、接着手順において、少なくとも1つのさらなる実質的平坦材料層と接着される。本発明は、さらに、実質的平坦または平面材料層の一部またはサブポーションを除去する方法、互いに接着される少なくとも2つの実質的平坦材料層によって形成される多層構造体、および特に、多層プリント回路基板の製造の状況におけるそれらの使用に関し、実質的平坦または平面材料層は、接着手順において、少なくとも1つのさらなる実質的平坦または平面材料層と接着される。
【背景技術】
【0002】
後の説明は、多層プリント回路基板の製造に少なくとも部分的に言及するが、本発明による方法は、本発明による単一構造体または多層構造体と同様に、非常に多様な用途で使用されてもよく、ここで、実質的平坦または平面材料層からサブポーションまたは一部を、少なくとも1つのさらなる実質的平坦または平面材料層と接着した後に除去することを目的としていることに留意すべきである。本発明は、一般的に多層構造体と関連して塗布可能であり、ここで、多層構造体の製造後、サブポーションが剥ぎ取られ、または、層のうちの1つが除去されることになる。この状況では、複雑な方法および構造体が例えば知られており、それらは、特に、接着される材料層を接着するために使用される少なくとも1つの接着層の予備調製、および必要とされる高い操作費用、同様に従って高い、接着される材料層の後の適切な配向または位置合わせ精度に必要な費用のために、接着後にそのような材料層から一部の部分またはサブポーションを剥ぎ取るまたは除去することを目標とする。実質的平坦材料層は、例えば、接着される紙状またはボール紙状の層または素子、例えば、箔、シートまたは金属板等の実質的板状またはシート状素子から構成されてもよい。実質的平坦または板状材料を接着する状況では、例えば、特に、少なくとも1つのそのサブポーションの任意の後の必要な除去の目的で、接着手順の間に、接着される材料層の接着を確保する箔のサブポーションが凹部を備えるように、従って、予備調製箔が接着特性を有することが知られている。実質的連続接着箔に加えて、予備調製された分離箔が、その後除去されるサブポーションに応じて任意選択的に使用されてもよい。そのような接着箔または粘着性箔および/または分離箔の予備調製は、従って高い費用を必要とし、さらに、そのような特に予備調製された箔の介在によって接着される材料層の位置合わせ精度および配向に従って高い要求があることはすぐに明らかとなる。
【0003】
そのような電子部品の設計は、多層電子部品、特に、多層プリント回路基板の製造の状況では、過去数年間で複雑性が増大しており、能動部品とプリント回路基板の部品との間の接着ポイント数の増大に概して結びつき、ここで、サイズ低減の進行は、同時に、そのような接着ポイント間の距離の低減を伴った。プリント回路基板の製造の状況では、いわゆる高密度相互接続(HDI)におけるいくつかの回路基板層を通るマイクロビアによってそのような部品接着ポイントの複雑さを解消することが提案されている。
【0004】
プリント回路基板の設計および構成の複雑性の増大および必要とされる小型化に加えて、回路基板において折りたたみ可能または曲げ可能な接着をもたらす目的でさらなる要求が注目され、それらは、ハイブリッド技術の開発、およびいわゆるリジッドフレキシブルプリント回路基板の使用をもたらした。プリント回路基板のリジッド部またはサブポーションを含むそのようなリジッドフレキシブルプリント回路基板は、そのようなリジッド部を接着するフレキシブル部と同様に、信頼性が向上し、設計と構成の点から他のまたはさらなる選択の自由を提示し、さらなる小型化を可能にした。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そのようなリジッドフレキシブルプリント回路基板の製造のために、回路基板のリジッド部およびフレキシブル部に対応し、誘電体から構成される接着層が、上記部分間に設けられ、それによって、適切なシート状の層またはフィルムの配置が、例えば、熱処理によって、接着される回路基板のリジッド部およびフレキシブル部の接着を引き起こし、通常、比較的厚い層という結果になる。そのような厚い層は、多層回路基板の製作において所望の小型化を相殺するだけでなく、マイクロビアの形成のための後のレーザーボアホール形状および従って狭い間隙を介した接続または接着サイトに必要な位置合わせ精度の損失を伴う。非導電性材料すなわち誘電体層のそのような厚い知られている層は、特に、適切な予備調製または構成が、プリント回路基板のリジッド部の後の分割に応じて行なわれるので、回路基板のリジッド部とフレキシブル部との間で要求される接続の製造のためのさらなる処理または工程段階および/またはより複雑な設計をさらに伴う。
【0006】
本発明は、特に、接着素子または箔すなわち分離箔の予備調製または構成に関する上記先行技術の問題を回避しながら、少なくとも2つの平坦または平面材料層間の接着を生成する場合、製造し使用することが簡単で信頼できる防着または非粘着性材料、および工程を提供することを目的とする。さらに、本発明は、多層構造体およびその使用と同様に、実質的平坦材料層のサブポーションを除去するための方法を提供することを目的とし、それらは、特に、本発明によるそのような防着材料を使用することによって、それぞれ行うとともに製造することが従って簡単で信頼できる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
これらの目的を解決するために、最初に定義された種類の防着または非粘着性材料は、防着材料が、隣接する実質的平坦または平面材料層に対して極性の相違を有することを実質的に特徴とする。それにより、接着される材料層が、その後除去されるサブポーションの領域で接着されることを防止することは、簡単で信頼できる方法で実現可能であり、その結果、例えば、それぞれの接着箔または分離箔を使用する場合に先行技術で要求されるような高価な調製および位置決め段階が除去され得、ここで、本発明による防着材料は、その後除去されるサブポーションまたは一部に応じて、簡単で信頼できる方法で塗布または配置され得る。接着の防止、すなわち分離効果は、隣接する実質的平坦材料層の材料と防着材料との間の不適合および極性の相違に実質的に基づく。この点で、非極性化合物が、防着材料または接着防止材料におそらく用いられるはずであり、ここで、例えば、天然または合成系のワックスが、より詳細に以下に説明されるようにこの目的に適する。
【0008】
接着防止材料または防着材料の特に簡単で信頼できる処理を可能にするために、防着材料は、分離成分、バインダーおよび溶媒を含むことが好ましい実施形態によってもたらされる。分離成分は、接着される材料層間で、その後除去されるサブポーションの領域における接着が確実に防止されることを確保する。バインダーは、特に、支持体すなわち接着手順の間に接着される材料層の1つに防着材料を固定する役割を果たし、完全で問題がない塗布を可能にするレオロジーを調節する。さらに、そのようなバインダーは、例えば、分離効果すなわち接着防止作用をさらに向上するように隣接する平面材料層の材料中に移動する。溶媒は、例えば、防着材料の簡単で信頼できる処理を可能にする役割を果たす。
【0009】
この状況では、防着材料が、炭化水素系ワックスおよび油、ポリエチレン化合物系またはポリプロピレン化合物系ワックスおよび油、有機ポリフルオロ化合物系ワックスおよび油、脂肪酸類とアルコール類またはポリアミド類とのエステル類、有機シリコン化合物、および/またはそれらの混合物を含むことが、さらなる好ましい実施形態によって提案される。そのようなワックスおよび油は、使用目的に応じて、接着される材料層に応じて選択可能なように、異なる構成で、異なる化学特性および物理特性で数多く利用可能である。炭化水素系ワックスおよび油は、例えばパラフィン類などの合成または天然系であってもよい。特に、ポリエチレンまたはポリプロピレン化合物系合成ワックスおよび油に加えて、この製品グループの変形例も使用されてもよい。ポリフルオロ有機化合物または有機ポリフルオロ化合物系合成ワックスおよび油に関する限り、PTFEが例として挙げられてもよい。脂肪酸エステル系ワックスおよび油、および一価アルコールまたは多価アルコールが、例えば、パルミチン酸またはステアリン酸誘導体、カルナバワックス等の合成または天然系であってもよい。有機シリコン化合物の例としては、例えば、シリコーン、シリコーン油が挙げられる。
【0010】
その後除去されるサブポーションの領域に設けられる接着される材料層間に接着がない状態に保たれる部分の信頼できる形成と同様に、本発明による防着材料の簡単な塗布を可能とするために、防着材料が、ペーストから構成されることがさらに好ましい実施形態によって提案される。その後除去されるサブポーションの領域に、結果的に非接着領域または材料層間の粘着性接着がない部分が、ワックスペーストの形態で接着防止材料の塗布によって設けられるので、そのようなペーストまたはワックスペーストは、簡単で信頼できる方法で、従って正確にサブポーションの後の分離または除去に応じて、接着される材料層の接着後、結果的に単純化された工程制御で、上記サブポーションの簡単な除去を可能にするように、接着される材料層の1つ上またはその1つに確実で正確に塗布され得る。
【0011】
材料層の1つのサブポーションの後の除去の目的で、接着がない状態に保たれる部分の特に簡単で位置が正確な塗布については、防着材料が、印刷法、特に、スクリーン印刷、ステンシル印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、タンポン印刷、インクジェット印刷等によって塗布可能であることがさらに好ましい実施形態によって提案される。
【0012】
簡単な処理については、そのようなワックスペーストは、例えば、極性有機溶媒または無極性有機溶媒中でミクロ分散の形態で塗布され得る。
【0013】
特に、接着される材料層の、塗布および取り扱いを容易にするために、防着材料は、さらに好ましい実施形態として、無機フィラーおよび/または有機フィラーならびに無機添加剤および/または有機添加剤を含むことがさらに提案される。
【0014】
防着材料の塗布によって、非接着による所望の分離効果を得るために、防着材料が、少なくとも100℃、特に120℃の軟化点または融点を有することがさらなる好ましい実施形態によって提案される。防着材料の層のそのような高い軟化点または融点は、例えば、プリント回路基板の製造において、さらに塗布された接着層を、積層手順の間に、接着または加圧成形サイクルの間のさらなる温度上昇で硬化させ、本発明による防着材料または接着防止材料を液化させ、従って、防着材料によって設けられるとともにサブポーションの後の除去を可能にすることが要求される未接着領域が確実に維持されることを保証する。接着手順の間に、その後除去されるサブポーション内に液体層を形成することによって、防着材料は、接着される材料層の連続的な接着、例えば、同時接着を防止することとなる。
【0015】
本発明によって提供されるように、除去されるサブポーションの未接着領域を維持しながら、またはその接着を防止しながら、薄い層厚を望ましく得るために、防着材料が、25μm未満、特に、15μm未満の層厚で塗布可能であることがさらに好ましい実施形態によって提案される。さらに、50μm以下の層厚、または、任意により大きい層厚が、予想されてもよい。
【0016】
本発明による防着材料に比較的高い軟化点をもたらす状況では、防着材料は溶媒等を含み、溶媒は、220℃未満、特に、約180から200℃の沸点を有することがさらに好ましい実施形態によって提案される。これは、例えば、早期の乾燥の点から、防着材料の塗布の間に問題が生じないことを確実にする。そのような沸点は、さらに、溶媒が、実質的に完全に除去される、またはさらなる温度上昇で蒸発することを確実にする。
【0017】
本発明による防着材料の特に簡単で信頼できる処方物については、セルロース誘導体、または水溶性化合物、好ましくはアルカリけん化性化合物が、上記バインダーとして含まれていることがさらなる好ましい実施形態によって提案される。
【0018】
上述の目的を解決するために、最初に定義された種類の方法は、サブポーションまた一部の後の除去の領域において、材料層間の直接接着がない状態に保たれる部分は、本発明またはその好ましい実施形態による防着材料または非粘着性材料を塗布することによって提供されることをさらに実質的に特徴とする。本発明による防着材料の塗布または配置により、本発明によってサブポーションの後の分割または除去の領域に未接着領域を設けて、特に、その後除去されるサブポーションの、設けられるさらなる材料層に対する接着を防止することによって、除去されるサブポーションを含む材料層の後の分割は、例えば、上記サブポーションの後の除去のための分割深さに対して、分割段階の実現に対する極めて正確な許容範囲に注意を払うことなく確実に行うことができる。未接着領域を設けることによって、配置および接着される材料層および接着に用いる層の製造または調製のための調製段階が容易とされるように、特に、サブポーションの後の分割および除去の領域における接着可能層の任意の予備調製および/または構成を放棄することがさらに可能となった。サブポーションの後の分割または除去の領域において、接着層または接合層、すなわち設けられる層の予備調製が放棄され得るということにより、接着される金属層間の接着防止材料または防着材料の薄いまたはより薄いそのような中間層または接着層で済ませることがさらに実現可能である。このように、実質的連続材料層を使用することが本発明によって実現可能であり、ここで、未接着領域を形成するための接着防止部分は、簡単な方法で塗布または設けることができる。
【0019】
プリント回路基板の製造の状況では、そのようなプリント回路基板、特に、リジッドフレキシブルプリント回路基板の小型化が、特に、製造される全体のプリント回路基板を最小限にすることにより実現可能になり、それによって、中間層の必要な予備調製または構成を必要とする時に厚い層を設ける場合、位置合わせ精度に関する知られている先行技術の状況においての上記されるような問題さえ確実に回避されることとなる。
【0020】
本発明による防着材料の簡単な処理を特に可能にするために、防着材料が、その塗布後の乾燥工程および/または硬化工程を受けることが、本発明による方法の好ましい実施形態によって提案される。そのような乾燥工程および/または硬化工程は、防着材料に使用されるとともに、特に隣接する材料層に対応して選択された材料に応じて行なわれ得る。
【0021】
本発明によって提供されるように、除去されるサブポーションの未接着領域を維持しながら、またはその接着を防止しながら、薄い層厚を望ましく得るために、防着材料が25μm未満、特に、15μm未満の層厚で塗布されることがさらに好ましい実施形態によって提案される。
【0022】
既に上記数回指摘されたように、本発明による方法は、特に、プリント回路基板の製造において特に有益な方法で塗布され得、その状況では、接着される実質的平坦材料層が多層プリント回路基板の層によって形成されることがさらに好ましい実施形態によって提案される。
【0023】
この状況では、接着される材料層が、積層工程によって接着されることがさらに好ましく提案され、それによって、例えば、上記材料に含まれた溶媒の沸点と同様に、防着材料の軟化点の点から、本発明による防着材料の上述の材料特性により、特に、多層プリント回路基板の製造およびそのような多層プリント回路基板の製造で使用される材料に関する特別の要件が考慮され得る。
【0024】
接着される平面材料層を接着した後に除去されるサブポーションの特に信頼でき簡単な除去または分離については、除去されるサブポーションの端領域が、本発明による方法のさらに好ましい実施形態によって、ミリング、スクラッチング、切断、特にレーザー切断によって画定および/または除去されることがさらに提案される。そのようなミリング、スクラッチング、切断等の手順は、従って、接着される平坦材料と適合して正確かつ確実に行われ得、ここで、わずかな厚みを有する材料を使用しても、例えば、多層プリント回路基板の製造の状況では、分割手順の結果的に正確で信頼できる実行が実現可能になる。既に上記指摘されたように、注意を払う許容範囲に関する要件は、さらに、結果的に接着防止材料層によって低減される。
【0025】
上記目的を解決するために、最初に定義された種類の多層構造体は、さらに、材料層間の接着を実現した後に除去されるサブポーションの領域では、本発明またはその好ましい実施形態による防着材料の塗布によって、接着される材料層間の直接接着がない状態に保たれる領域が設けられることを本質的に特徴とする。このように、除去されるサブポーションの後の除去が、接着防止材料すなわち防着材料の設置および簡単な塗布によって可能にされた状態で、少なくとも2つの実質的平坦材料層間の接着をもたらすことは、容易に実現可能である。さらに、接着される実質的平坦材料層の向上した配向または位置合わせが確保されることとなる。
【0026】
接着される実質的平坦材料層の、その後除去されるサブポーションの領域における未接着領域の簡単な形成については、防着材料がワックスペーストから構成されることが提案される。
【0027】
本発明による多層構造体の結果的に薄い全体厚みを達成するために、本発明による多層構造体の更に好ましい実施形態によって、25μm未満、特に、15μm未満の層厚で防着材料が塗布されることがさらに提案される。
【0028】
さらに好ましい実施形態によって、接着される実質的平坦材料層が、多層プリント回路基板の層によって形成されることがさらに提案される。
【0029】
特に信頼できる接着は、接着される材料層が積層工程によって接着されるという点でもたらされることとなる。
【0030】
接着される実質的平坦材料層の接着後に除去されるサブポーションの信頼できる除去は、さらに、除去されるサブポーションの端領域が、本発明による多層構造体のさらなる好ましい実施形態によって、ミリング、スクラッチング、切断、特に、レーザー切断によって画定可能および/または除去可能であるという点で達成されることとなる。
【0031】
既に数回指摘されたように、本発明またはその好ましい実施形態による防着材料、および/または本発明またはその好ましい実施形態による方法、および/または本発明またはその好ましい実施形態による多層構造体が、多層プリント回路基板の製造に使用されることが本発明によってさらに提案される。
【0032】
特に、本発明によるそのような使用の状況では、本発明による方法、またはプリント回路基板における空洞、特に、三次元空洞の製造のために本発明による多層構造体を使用することが好ましい方法でさらに提案される。
【0033】
本発明による方法および/または本発明による多層構造体のさらに好ましい用途としては、プリント回路基板の少なくとも1つのチャンネル、プリント回路基板の空洞、特に、三次元空洞の製造のための未接着領域の製造、プリント回路基板のオフセットおよび/または階段状のサブポーションの製造、多層プリント回路基板の内部または内部層内の少なくとも1つの素子、特に、レジスタ素子の非接着、および/またはリジッドフレキシブルプリント回路基板の製造が挙げられる。
【0034】
以下では、本発明は、本発明による防着材料を使用することにより、本発明による多層構造体を製造するための本発明による方法の、添付図面で概略的に説明された例示の実施形態によって詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明による多層構造体としてのリジッドフレキシブルプリント回路基板のリジッド部の形態の、本発明によって製造される多層構造体の平坦材料層の第1の実施形態の概略断面図である。
【図2】図1の断面図に類似する説明図において、リジッドフレキシブルプリント回路基板のリジッド部の断面図であり、ここで、ミリング端が、除去されるリジッド部のサブポーションの後の分割の領域に設けられている図である。
【図3】図1および図2の断面図に類似する説明図において、リジッドフレキシブルプリント回路基板のリジッド部の断面図であり、ここで、未接着領域を形成して、プリント回路基板のリジッド部およびフレキシブル部によって形成される実質的平坦材料層間の直接接着を防ぐために、ミリング端と同様に、後の分割の領域に、本発明による防着材料が設けられるまたは塗布されている図である。
【図4】図1から図3の断面図に類似するさらに他の断面図であり、ここで、第2の実質的平坦材料層としての非導電性材料すなわち誘電体の層およびリジッドフレキシブルプリント回路のフレキシブル部が、第1の材料層のリジッド部上に配置または固定されている図である。
【図5】さらなる同様の断面図において、本発明による多層構造体を、リジッド部の分割後のリジッドフレキシブルプリント回路基板の形態で表す図である。
【図6】本発明の方法によって製造される本発明による多層構造体としてのプリント回路基板の実質的平坦材料層の改変された実施形態の概略断面図である。
【図7】本発明による接着防止材料すなわち防着材料の層が塗布された状態の、図6で説明された平坦材料層の概略断面図である。
【図8】図6および図7で説明された平坦材料層の概略断面図であり、平坦材料層が、少なくとも1つのさらなる平坦材料層と接着されて、本発明による多層構造体としての多層プリント回路基板を製造する図である。
【図9】図8の断面図に類似する説明図において、切断によって範囲を定められ、または画定され、その後除去される多層構造体のサブポーションの概略断面図である。
【図10】切断されたまたは範囲が定められたサブポーションが除去された状態の、図9の断面図に類似する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明による多層構造体の第1の実施形態は、本発明による方法を使用してリジッドフレキシブルプリント回路基板として製造され、本発明による防着材料は、図1から図5を参照して説明される。
【0037】
図1は、多層構造体としてその後製造されるリジッドフレキシブルプリント回路基板の第1の実質的平坦または平面材料層としてのリジッド多層部1の概略説明図である。個々の金属層すなわち銅層2が、例えば、プリプレッグ層3およびコア4によって分離されている。個々の銅層2間の接続は、マイクロビア5および通路6を介してそれぞれ示されている。
【0038】
リジッドフレキシブルプリント回路基板の製造については、図2に示すように、製造されるリジッドフレキシブルプリント回路基板のリジッド多層部1の後の分割の領域に、ミリング端7が形成されている。
【0039】
未接着領域を設ける、またはその後分割されるプリント回路基板のリジッド部1と、フレキシブル部に接着するためのプリント回路基板の第2の実質的平坦材料層として設けられるとともに配置される非導電性材料または誘電体の層との直接接着を防ぐために、そのような接着を防ぐ材料すなわち防着材料8が、図1から図5に表された実施形態において、後の分割の領域内およびミリング端7によって形成されたチャンネルまたは溝内にミリング端7の形成後に設けられる。防着または非粘着性材料は、例えば、ワックスペースト8から構成されてもよく、そのようなワックスペースト8は、簡単な方法段階、例えば、印刷法、特に、スクリーン印刷またはステンシル印刷によって、ミリング端7内へと同様に、後の分割の領域内で塗布または導入される。用いる材料8すなわちワックスペーストに応じて、乾燥工程および/または硬化工程が、材料すなわちペースト8の塗布後に設けられてもよい。
【0040】
材料すなわちペースト8は、極性または無極性有機溶媒中で、ミクロ分散の形態で塗布され得る。簡単な加工性、および簡単な取り扱いのために、ペースト8が、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、テフロン(登録商標)系ワックスおよび/またはそれらの混合物から構成されることがさらにもたらされる。
【0041】
加工性をさらに向上するために、ペースト8は、無機フィラーおよび/または有機フィラーならびに無機添加剤および/または有機添加剤を含むことがさらに意図されてもよい。
【0042】
従って、製造されるリジッドフレキシブルプリント回路基板の薄い層厚または全体厚みを達成するために、ペーストすなわち防着材料8が、後の分割の領域内において、25μm未満、特に、15μm未満の層厚で塗布されることがさらにもたらされる。
【0043】
使用される防着材料のさらなる例示の実施形態が以下に付与される。
【0044】
一方、図1から図5で表される実施形態において、ミリング端7の形成は、防着材料すなわちペースト8の塗布に先立ってもたらされ、ペースト8は、プリント回路基板のリジッド、特に、多層部分の後の分割の領域に任意選択的に塗布されてもよく、その後、ミリング端7は、塗布された材料8を貫通する。
【0045】
図4に示すように、ミリング端7と同様に、後の分割の領域における防着材料すなわちワックスペースト8の塗布後、非導電性材料または誘電体の接着層9の塗布または配置を行い、上記接着層9は、それ自体知られている箔、例えば、プリプレッグまたはRCC箔、または液体誘電体でさえから構成される。非導電性材料すなわち誘電体の層9に次いで、製造されるリジッドフレキシブルプリント回路基板のフレキシブルサブポーション10が示されており、ここで、製造されるリジッドフレキシブルプリント回路基板のフレキシブル部10は、リジッド部1のように、いくつかの層からなってもよい。
【0046】
非導電性すなわち誘電体層9が設けられる準備段階が、単純化または低減されるように、特に、ミリング端7の領域における後の分割の領域で、防着材料8すなわちワックスペーストの配置によって、非導電性すなわち誘電体層9が設けられるための予備調製および/または構成が放棄され得る。
【0047】
製造されるリジッドフレキシブルプリント回路基板のリジッド部1上の、材料8の塗布の領域に、未接着領域を設けることによって、層9のより薄い層厚が、さらに可能であり、上記厚みは、例えば、50μm未満、特に、40μm以下であるように選択される。非導電性材料の層のそのような薄い層厚を設けて、製造されるリジッドフレキシブルプリント回路基板のリジッド部1とフレキシブル部10との間に層が配置されることは、製造されるリジッドフレキシブルプリント回路基板の全体厚みの低減を容易にするだけでなく、接着される部分および後の通路またはマイクロビアの位置決めおよび位置合わせ精度も向上する。
【0048】
図5は、多層構造体としての、リジッド部1およびフレキシブル部10によって形成されたリジッドフレキシブルプリント回路基板の断面図を表し、ここで、ミリング端7の領域において、次いで分離されるリジッドサブポーション12、13間に分割11が作製される。上記分割11は、平坦材料層の接着後に、その後除去されるサブポーションを構成する。プリント回路基板のフレキシブル部10と次いで分離されるリジッドサブポーション12、13との接続が、さらなるマイクロビアすなわち通路14によって達成可能であることがさらに示されている。
【0049】
図5による説明からさらに明らかなように、除去される分割またはサブポーション11の切断深さの点から非常に正確な許容範囲を検討または許容範囲に注意を払う必要なく、防着材料8の塗布によって、非接着表面を設けるすなわち接着を防ぐことによって、分割の製造、従って、後の方法段階も容易にすることが可能である。
【0050】
防着材料すなわちワックスペースト8、およびリジッド部1すなわちその後分離されるそれぞれリジッド部12、13とプリント回路基板のフレキシブル部10との間に配置される非導電性または誘電体の層9の適切な選択によって、電気・電子機器において、特定の危険物を使用する場合に必要な法的制限を考慮に入れることが容易に実現可能であろう。
【0051】
特に、分割を実現するためのその後の方法段階と同様に、フレキシブル部10とリジッド部1との間に配置される層9の調製または製造において、防着材料すなわちワックスペースト8を塗布して、未接着領域を設けることによって、簡単な方法段階が可能となる。
【0052】
リジッド部1と同様にフレキシブル部10およびそれぞれ相互に分離されたリジッド部12および13を接着するための薄い層厚、および位置合わせ精度の従って生じる改良と同様にこのように達成可能な薄い層厚を使用することによって、大きな構成においてでさえ、例えば、18×24インチより大きいHDI回路基板の製造構成において、プリント回路基板に非常に複雑な部品のためのフレキシブル層10を備えることがさらに可能となった。
【0053】
多層リジッドプリント回路基板、すなわちプリント回路基板のリジッド部1の実施形態は、図1から図5に表され、例示の目的のために多層構造体としてのそのような多層プリント回路基板の単純化された例を単に表し、ここで、多数または複数の、特に、導電層2およびマイクロビア5または通路6および14を介してのフィードスルーも、それぞれ、製造される部品の所望の複雑性に応じて使用されてもよい。
【0054】
図6から図10で説明される改変された多層構造体の例示の実施形態において、さらに、製造される多層プリント回路基板の形態で、そのようなプリント回路基板の構造化されたコアは、概して20で表され、コア20は、特に、図6に図示される上部層が結果的に構造化された状態でいくつかの層を含む。
【0055】
コア20は、1つまたはいくつかの層から構成されるとともに実質的平坦材料層を構成し、サブポーション内に、さらなる実質的平坦材料層としてのさらなる層と接着するための接着防止材料すなわち防着材料21をその後備え、図7で説明されるように、上記防着材料は、例えば、スクリーン印刷によって塗布される。
【0056】
図7に説明されるようにコア20によって形成された実質的平坦材料層上への接着防止材料21の塗布後に、複数のさらに実質的平坦材料層22、23と平坦コア20の、それ自体が知られている方法、例えば、積層工程による接着が達成され、サブポーションは、図8において21でさらに表される防着材料を備える。図8に説明される平面材料層23は、さらに、その上面上に、従って構造化されてもよい。
【0057】
図8に説明された接着手順後に、図9から明らかなように、切断ラインすなわち圧痕24を形成しながら、複数の実質的平坦材料層20、22、23の間に、実質的平坦材料層23のサブポーション25の限界または画定が、例えば、切断、特に、レーザー切断によって達成される。除去されるサブポーション25の下に設けられる防着材料21は、切断ラインすなわち限界圧痕24の形成後に簡単な方法で実現可能な状態であり、図10に説明または示されるように、サブポーション25の除去は、簡単で信頼できる。
【0058】
図6から図10に図示される実施形態において、さらなる層が、個々の実質的平面材料層間に示されており、さらなる層が、多層プリント回路基板の製作の状況などで公知であり、従って、詳細に検討しない。
【0059】
また、図6から図10による実施形態から、例えば、ワックスペーストから構成される防着材料21を塗布することによって、実質的平坦材料、すなわち材料層20、22、23を接着する状況で設けられる未接着領域が、接着される少なくとも1つの実質的平坦層23のサブポーション25の簡単で信頼できる除去をその後可能にすることがはっきりと明らかである。
【0060】
図9で説明され検討された切断、例えばレーザー切断操作は、例えば、図1から図5による実施形態に記載されるようなミリング操作、またはスクラッチングまたは少なくとも1つの材料層23の同様の分割操作によって置換されてもよい。
【0061】
図6から図10による実施形態から、サブポーション25を除去することによって、多層プリント回路基板のサブポーションまたは個々の層内に空洞26、特に、三次元空洞が例えば作り出され得ることは明らかである。
【0062】
さらに、多層プリント回路基板の内部領域または内部層内に分離された素子をその後に配置するために、サブポーションまたは素子25を除去することによって形成されたそのような空洞26を使用することができる。
【0063】
さらに、サブポーションを除去することによって、特別の用途用のオフセットおよび/または階段状のサブポーションを備えたプリント回路基板の製作が可能となる。
【0064】
接着防止材料すなわち防着材料8および21は、それぞれ、上記実施形態で言及された材料に加えて、例えば、炭化水素系ワックスおよび油、ポリエチレン化合物系またはポリプロピレン化合物系ワックスおよび油、有機ポリフルオロ化合物系ワックスおよび油、脂肪酸類とアルコール類またはポリアミド類とのエステル類、有機シリコン化合物、および/またはそれらの混合物も含む。
【0065】
そのような多層構造体はまた、多層プリント回路基板の多層構造体を形成する代わりに、上記例示の実施形態に開示されるように、プリント回路基板の製造に使用される材料と異なる材料、例えば、箔またはシート状材料または板状材料によって形成されてもよい。例えば、接着剤または接着箔の予備調製または構成が接着層のために放棄される、実質的平坦材料層の簡単で信頼できる接着後、またはその接着の間に、実質的連続材料層のそのような単純化された接着後に、防着材料8または21をそれぞれ設けるまたは塗布することによって、簡単で確実にサブポーションを除去することができる。
【0066】
防着材料8または21の塗布のための上記例示の実施形態において言及された印刷法、例えば、スクリーン印刷に加えて、オフセット印刷、フレキソ印刷、タンポン印刷、インクジェット印刷等が、それぞれ、特に、防着材料の種類に応じて設けられるか、または使用されてもよい。
【0067】
この防着材料は、それぞれその後除去される部分11、25の信頼できる分離または除去のために、特に、ワックスペーストの形態で、特に、防着材料8または21を使用する場合、隣接する実質的平坦材料層との不適合と同様に極性の適切な相違を示すことが注意される。
【0068】
プリント回路基板の製造の状況において、多層プリント回路基板の頻繁に使用される層としてのエポキシ樹脂、フェノール樹脂および銅との極性の相違および不適合が、例えば考慮される。
【0069】
防着材料8または21の構造化された塗布の、本発明によってもたらされる選択によって、後の方法段階は、特に、多層構造体のその後除去可能なサブポーション11または25の除去に関連して、簡単な方法で容易にされる。
【0070】
例えば、簡単な印刷技術によって塗布可能である防着材料層8または21を使用することによって、先行技術において、例えば、分離箔のために設けられる構成および調製技術が取り除かれ得る。
【0071】
ワックスペーストを防着材料8または21に使用する場合、例えば、サブポーション11または25の除去後に任意に残る防着材料8または21の残留物が、さらに、簡単で、信頼でき、特に、完全な方法で除去され得ることがさらに有利である。
【0072】
サブポーション11または25の除去後の防着材料8または21のそのような除去は、例えば、上記材料8から21の完全な除去を確保するように、湿式化学方法または機械的研磨方法またはレーザーでも用いて達成されてもよい。材料8から21を除去した後、上記材料8の下に位置された構造体、例えば、パッド、導体トラック、ブラインドホール穴等がさらなる部品と接触するために使用されてもよい。
【0073】
特に、プリント回路基板の製造または処理の状況において、非接着、すなわち防着材料8または21を設けると、既に言及されたように、例えば、局部的な厚みの低減によって、さらなる部品のためのスペース26の形成が可能となる。そのようにスペース26を設けると、特に、そのような多層プリント回路基板の内部に実質的に、プリント回路基板の小型化の要求を考慮するように、そのような部品の埋め込みによってそのような多層プリント回路基板の全体厚みの低減が可能となる。
【0074】
局部的な厚みの低減によって、例えば、さらなる部品を接触して、そのような凹部すなわち空洞26の底に直接、図10に示されるように、特に、任意に残る防着材料21の除去後に、除去されたサブポーション25の領域にさらなる部品が配置されることが可能となった。そうする場合、図10に説明されるように、その後製造される空洞26の領域に、図6に設けられた材料層20の場合には、例えば、それぞれの接触素子または導電構造体を配置することが簡単な方法で可能である。
【0075】
既に上に指摘されるように、空洞26を形成しながらのサブポーション25の後の除去も、従って三次元の開口または任意に閉じた空洞が設けられることを実現可能にし、ここで、例えば、図10で表した状態から逸脱する場合、多層プリント回路基板のさらなる層を設けることが実現可能である。
【0076】
防着材料8から21の適切な選択または配置によって、さらに、例えば、第1の実施形態を参照して図5に示すように、そのような多層導電構造体のいくつかの層にわたって空洞26の形成を可能にすることができる。
【0077】
プリント回路基板の製造の状況では、このように、例えば、サブポーション25を除去することにより、レジスタ素子の従って単純化された非接着をもたらすこともできる。
【0078】
階段状のまたはオフセットのサブポーションの形成は、例えば、多層プリント回路基板のはさまれた部分またはオーバーラップする部分の生成を可能にする。
【0079】
例えば、防着材料が、その完全な代用を要求するのではなく、そのような部品がない場合には、サブポーションの除去によってプリント回路基板の修理を可能にするように、高い不良または損傷率を任意に受ける部品の分野における予防策として従って設けられるなら、接着防止材料すなわち防着材料8または21の塗布によるサブポーションの除去によって、さらに、既存または実装プリント回路基板の修理オプションに埋め込み部品を備えさせることが実現可能であり、従って、部品の簡単な交換および接着される少なくとも2つの実質的平坦材料層から構成される多層構造体の簡単な設置を可能にする。
【0080】
以下では、接着防止材料すなわち防着材料のいくつかの例示の実施形態が説明される。
【実施例1】
【0081】
アクリル系増粘剤50gが、水370gで希釈され、25%アンモニア溶液5.5gが攪拌しながら添加された。形成された粘着性ワニスは、製造される防着材料用のバインダーとして使用された。
【0082】
ポリエチレンワックス粉末200gが、真空ミキサーを用いて上記調製されたバインダー200g中で分散された。
【0083】
そのような処方物すなわち防着材料は、スクリーン印刷によって塗布されるのに特に適切である。
【実施例2】
【0084】
実施例1によるバインダーから逸脱して、ポリエチレン/カルナバワックス混合物系防着材料が、実施例1に類似する方法で製造された。
【実施例3】
【0085】
実施例1と同様に、アクリル系増粘剤50gが、水370gで希釈されて、油成分またはワックス成分とともに使用するためのバインダーを形成した。この混合物は、nアンモニア溶液を加える代わりに、20%ソーダアルカリ溶液2gでけん化された。
【0086】
そのようなバインダーで製造された防着材料は、印刷工程において向上した溶解性を示す。
【実施例4】
【0087】
実施例1によるバインダーから逸脱して、バインダーは、アンモニア溶液を加える代わりに、トリエタノールアミン5gでけん化された。そのようなバインダーで同様に製造された防着材料は、印刷工程において向上した溶解性を示す。
【実施例5】
【0088】
溶媒系バインダー混合物が、エトキシプロパノール89.2g中にエチルセルロース10.8gを溶解することによって調製された。形成された粘着性ワニスは、防着材料の製造用のバインダーとして使用された。
【0089】
ポリエチレンワックス粉末40gが、上記調製されたバインダー160gに加えられ、真空ミキサーを用いて分散された。
【0090】
そのような防着材料は、印刷工程、特に、スクリーン印刷工程によって塗布されるのに適切であり、特に、良好なレオロジー特性を示す。
【実施例6】
【0091】
溶媒系バインダー混合物が、DPGMA(ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート)384g中にエチルセルロース36gを溶解することによって調製された。形成された粘着性ワニスは、防着材料の製造用のバインダーとして使用された。
【0092】
ポリアミドワックス粉末180gが、真空ミキサーを用いて上記調製されたワニスまたはバインダー420g中で分散された。
【0093】
スクリーン印刷に適し、加工性と同様に良好なレオロジー特性、良好な溶解性および印刷適性を示す処方物が得られた。
【0094】
混合物の視認性を向上するために、染料、例えば、可溶性染料2g、例えば、Neozapon Blue807が添加された。
【実施例7】
【0095】
バインダーの調製に使用されたDPGMAは、ナフテン芳香族溶媒と置換された。
【0096】
防着材料のさらなる処方物は、実施例6のものに相当する。
【実施例8】
【0097】
防着材料を製造するために、シリコーン樹脂が、適切な溶媒に溶解された。
【実施例9】
【0098】
熱重合シリコーンが、防着材料として直接使用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的平坦または平面材料層(2)の一部またはサブポーション(11)の除去で用いる防着または非粘着性材料にして、実質的平坦または平面材料層(2)が、接着手順において、少なくとも1つのさらなる実質的平坦材料層(9)と接着される、防着または非粘着性材料であって、
防着材料(8、21)が、隣接する実質的平坦材料層(2、9、20、23)に対して極性の相違を有することを特徴とする、防着または非粘着性材料。
【請求項2】
防着材料(8、21)が、分離成分と、バインダーと、溶媒とを含むことを特徴とする、請求項1に記載の防着材料。
【請求項3】
防着材料(8、21)が、炭化水素系ワックスおよび油、ポリエチレン化合物系またはポリプロピレン化合物系ワックスおよび油、有機ポリフルオロ化合物系ワックスおよび油、脂肪酸類とアルコール類またはポリアミド類とのエステル類、有機シリコン化合物、および/またはそれらの混合物を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の防着材料。
【請求項4】
防着材料(8、21)が、ペーストから構成されることを特徴とする、請求項1、2または3に記載の防着材料。
【請求項5】
防着材料(8、21)が、印刷法、特に、スクリーン印刷、ステンシル印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、タンポン印刷、インクジェット印刷等によって塗布可能であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の防着材料。
【請求項6】
防着材料(8、21)が、無機フィラーおよび/または有機フィラーならびに無機添加剤および/または有機添加剤を含むことを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の防着材料。
【請求項7】
防着材料(8、21)が、少なくとも100℃、特に、120℃の軟化点または融点を有することを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の防着材料。
【請求項8】
防着材料(8、21)が、25μm未満、特に、15μm未満の層厚で塗布可能であることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の防着材料。
【請求項9】
溶媒が、220℃未満、特に、約180から200℃の沸点を有することを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の防着材料。
【請求項10】
セルロース誘導体、または水溶性化合物、好ましくはアルカリけん化性化合物が、前記バインダーとして含まれていることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の防着材料。
【請求項11】
実質的平坦または平面材料層(2)の一部またはサブポーション(11)を除去する方法にして、実質的平坦または平面材料層(2)が、接着手順において、少なくとも1つのさらなる実質的平坦または平面材料層(9)と接着される方法であって、
サブポーション(11、25)の後の除去の領域において、材料層(2、9、20、23)間の直接接着がない状態に保たれる領域が、請求項1から10のいずれか一項に記載の防着または非粘着性材料(8、21)を塗布することによって設けられることを特徴とする、方法。
【請求項12】
防着材料(8、21)が、その塗布後に乾燥工程および/または硬化工程を受けることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
防着材料(8、21)が、25μm未満、特に、15μm未満の層厚で塗布されることを特徴とする、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
接着される実質的平坦材料層が、多層プリント回路基板の層(2、4、9、20、22、23)によって形成されることを特徴とする、請求項11から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
接着される材料層(2、4、9、20、22、23)が、積層工程によって接着されることを特徴とする、請求項11から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
除去されるサブポーション(11、25)の端領域(7、24)が、ミリング、スクラッチング、切断、特に、レーザー切断によって画定および/または除去されることを特徴とする、請求項11から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
互いに接着される少なくとも2つの実質的平坦材料層によって形成された多層構造体であって、
材料層(2、9、20、23)間の接着を実現した後に除去されるサブポーション(11、25)の領域において、接着される材料層間の直接接着がない状態に保たれる領域が、請求項1から10のいずれか一項に記載の防着材料(8、21)を塗布することによって設けられることを特徴とする、多層構造体。
【請求項18】
防着材料(8、21)が、25μm未満、特に、15μm未満の層厚で塗布されることを特徴とする、請求項17に記載の多層構造体。
【請求項19】
接着される実質的平坦材料層が、多層プリント回路基板の層(2、4、9、20、22、23)によって形成されることを特徴とする、請求項17または18に記載の多層構造体。
【請求項20】
接着される材料層(2、4、9、20、22、23)が、積層工程によって接着されることを特徴とする、請求項17、18または19に記載の多層構造体。
【請求項21】
除去されるサブポーション(22、24)の端領域(7、24)が、ミリング、スクラッチング、切断、特に、レーザー切断によって画定可能および/または除去可能であることを特徴とする、請求項17から20のいずれか一項に記載の多層構造体。
【請求項22】
請求項1から10のいずれか一項に記載の防着または非粘着性材料、または請求項12から16のいずれか一項に記載の方法、または多層プリント回路基板を製造するための請求項17から21のいずれか一項に記載の多層構造体の使用。
【請求項23】
プリント回路基板内に、空洞、特に、三次元空洞を製造するための請求項22に記載の使用。
【請求項24】
プリント回路基板内に、少なくとも1つのチャンネルを製造するための請求項22に記載の使用。
【請求項25】
多層プリント回路基板の内部または内部層内における、少なくとも1つの素子、特に、レジスタ素子の非接着のための請求項22に記載の使用。
【請求項26】
プリント回路基板のオフセットおよび/または階段状のサブポーションを製造するための請求項22に記載の使用。
【請求項27】
リジッドフレキシブルプリント回路基板を製造するための請求項22に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2010−518648(P2010−518648A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−549742(P2009−549742)
【出願日】平成20年1月30日(2008.1.30)
【国際出願番号】PCT/AT2008/000029
【国際公開番号】WO2008/098271
【国際公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願人】(505420013)アーテー・ウント・エス・オーストリア・テヒノロギー・ウント・ジュステームテッヒニク・アクチェンゲゼルシャフト (19)
【氏名又は名称原語表記】AT & S AUSTRIA TECHNOLOGIE & SYSTEMTECHNIK AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】