説明

非線形素子の電流電圧特性のフィッティング方法及び電子回路

【課題】非線形素子の電流電圧特性のフィッティング方法において、電圧の範囲によって電流電圧特性が著しく異なる場合にフィッティング精度を向上させる。
【解決手段】測定等により得られた離散的な電流値を第1のステップとして変換関数により離散的な変換値に変換する。第2のステップとして離散的な変換値に対してスプライン関数を用いたフィッティングを実行し、連続的な変換値を与える出力関数を得る。第3のステップとして逆変換関数により、スプライン関数より与えられる連続的な変換値を連続的な電流値に逆変換する。非線形素子に印加される電圧の範囲として、電圧区間A,Bを設定し、それぞれの電圧区間A,Bについて、第2のステップのフィッティングを別々に実行し、電圧区間Aに対応するスプライン関数H(Vd)、電圧区間Bに対応するスプライン関数H(Vd)を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非線形素子の電流電圧特性のフィッティング方法に関するものである。特に、このフィッティング方法は、ダイオード等の非線形素子を含む電子回路を設計する場合に、回路シミュレーション用モデルを作成するために用いられる。
【背景技術】
【0002】
半導体素子等の非線形素子を含む大規模な電子回路を設計する場合、SPICE等のアナログ・回路シミュレータを用いて電子回路の動作の検証を行う。この際に実際の非線形素子の電流−電圧特性をもとに、そのモデル化を行わなければならない。すなわち、非線形素子に印加される電圧バイアス条件を変えて測定された電流値の離散的な集合から連続して微分可能な関数にフィッティングを行う必要がある。
【0003】
一般的な半導体プロセスにおいては物理的・理論的な考察に基づいた定式を用い、パラメータ(係数)のみをフィッティングすることでモデル化を行う。しかしながら、比較的新規のプロセスや材料を用いた素子はその挙動が理論的に十分に解明されていない場合が多く、このような定式が存在しないことがある。
【0004】
このようなケースにおいて、物理理論に基づく公式ではなく、純粋に数学的なフィッティングを用いることは実用的な解となる。具体的な手法として、変換関数y=f(x)を使って離散的な電流値を離散的な変換値に変換した後、この変換値に対して数学的なフィッティングを行い、連続的な変換値を得て、変換関数y=f(x)に対する逆関数x=g(y)により、連続的な変換値を連続的な電流値に逆変換するという手法が特許文献1に紹介されている。特許文献1にも記載されているとおり、指数関数的な振る舞いをする非線形素子は変換関数として対数関数である、y=log(x/x0)又はy=log(x/x0)+x/x0 [x0は定数]を用いると良い精度でフィッティングできる。
【特許文献1】特開平11−260926号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のフィッティング方法では、変換関数、およびフィッティング関数(フィッティングの結果、得られた連続的な変換値)を全ての電圧範囲で同一としているが、電圧バイアス区間によって電流電圧特性が著しく異なる場合、フィッティング精度が低下するという問題点を有する。
【0006】
また、変換関数として、対数関数を使用するとx<0のときは変換不能になるという問題を有する。ここでxとは変換する前の測定値、すなわち電流(I)であって、常に負であるならx=−Iとすることで問題を回避できるが、電流(I)が正から負の値をとる場合、このような対数関数を含んだ変換関数は使用できない。
【0007】
このような問題は一般的な電界効果型トランジスタにおいては問題にならない。というのも、nチャネル型トランジスタであればその定義からVds(ソース・ドレイン間電圧)は常に0以上であって、従ってIds(ソース・ドレイン間電流)も常に0以上であるからである。Pチャネル型の場合、Vdsは常に0以下、Idsも常に0以下になるから、−Idsを使って変換すればよい。
【0008】
しかしながら、例えばダイオード素子の場合、Vd(アノード・カソード間電圧)によってId(アノード・カソード間電流)は正から負の値をとるため、問題が生じる。そこで、Idの絶対値を対数関数で変換することが考えられる。つまり、x=|Id|、y=logx となる。しかしながら、これではyからIdへ逆変換する際に逆変換が一意にならないし、x及びyの電圧に対する曲線が必ずしも電圧に対して微分可能とはならないという問題が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の非線形素子の電流電圧特性のフィッティング方法は、非線形素子の電流電圧特性における、測定、シミュレーションまたはその他の方法により得られた離散的な電流値を、第1のステップとして変換関数により離散的な変換値に変換し、第2のステップとして前記離散的な変換値に対してフィッティングを実行し、連続的な変換値を与える出力関数を得て、第3のステップとして前記変換関数に対する逆変換関数により、前記出力関数より与えられる連続的な変換値を連続的な電流値に逆変換する、という3ステップを有し、前記非線形素子に印加される電圧の範囲として、少なくとも第1の電圧区間と第2の電圧区間を設定し、前記第1及び第2の電圧区間のそれぞれについて前記第2のステップのフィッティングを別々に実行し、前記出力関数として、前記第1の電圧区間に対応する第1の出力関数と、前記第2の電圧区間に対応する第2の出力関数を得ることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、非線形素子の電流電圧特性のフィッティング方法において、電圧バイアス区間によって電流電圧特性が著しく異なる場合にフィッティング精度を向上することが可能になる。また、ダイオード素子のように、Vd(アノード・カソード間電圧)によってId(アノード・カソード間電流)が正から負の値をとる場合であっても、フィッティング精度を向上することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(第1の実施の形態)
この実施の形態では、pin接合ダイオードの電流電圧特性のフィッティング方法について説明する。
【0012】
図1にpin接合ダイオード10と、その電流電圧特性の測定系を示す。pin接合ダイオード10は、p型半導体層11とn型半導体層12の間の接合界面にi型半導体層13(真性半導体層)を挟んでなるダイオードであり、p型半導体層11がアノードに、n型半導体層12がカソードに対応する。そして、アノード・カソード間に印加した電圧Vdを印加し、アノード・カソード間に流れる電流Idを測定する。
【0013】
図2はpin接合ダイオード10に一定の照度の光を照射した状態での電流電圧特性の実測値であり、横軸はアノード・カソード間に印加した電圧Vdであり、縦軸はアノード・カソード間の電流Idを表している。そして、電圧Vdをある電圧ステップで変化させて、電流Idを測定することにより、各測定点nにおいて、離散的な測定データ(Vd=Vn、Id=In)の集合が得られる。
【0014】
このpin接合ダイオード10の電流電圧特性によれば、ゼロバイアス状態Vd=0Vで、Id=Iz(Iz<0)となる。このIzはpin接合ダイオードに照射される光に起因する光起電力電流である。そして、Vd<0V(逆バイアス条件)でId<Iz、Vd>0V(順バイアス条件)でId>Izとなる。そして、順バイアス条件では指数関数的に電流Idは増大する。
【0015】
Vd<−Vqによって規定される電圧Vdの範囲を電圧区間Aとし、Vd>+VqのVdの範囲を電圧区間Bとする。Vqは任意の十分小さな値であるが、測定時の電圧Vdの電圧ステップと同程度かそれより小さい値をとることが好ましい。また、−Vq≦Vd≦+Vqによって規定され電圧Vdの範囲を電圧区間Cとする。このままでは電圧区間Bにおいて電流Idは正負の値を示すため、対数関数で変換することができない。
【0016】
そこで、第0のステップとして全ての測定電流値InからIzを減じ、電流値In’(=In−Iz)に変換する。各測定データ(Vn,In’)をプロットすると、図3のようにVd=0Vのとき、Id’=0を通る曲線となる。(図3の縦軸をId’とする)このような操作を行うことで光の照射量の大小(すなわちIzの大小)に関わらず、電圧区間A(Vd<−Vq)では、常にId’<0、電圧区間B(Vd>+Vq)では常にId’>0となる。
【0017】
次に第1のステップとして、電圧区間Aで変換関数f(Id’)=log(−Id’)=y、電圧区間Bで変換関数f(Id’)=log(Id’)=yを用いてId’をyに変換する。(図4参照)
【0018】
次に第2のステップとして電圧区間Aおよび電圧区間Bをそれぞれ別個にスプライン関数を用いてフィッティングを行い、電圧区間Aに対応するスプライン関数(出力関数)としてH(Vd)、電圧区間Bに対応するスプライン関数(出力関数)としてH(Vd)を得る。(図5参照)スプライン関数を用いたフィッティングについては、
「スプライン関数入門」(東京電機大学出版局 桜井明著)、「パソコンによるスプライン関数(東京電機大学出版局 桜井明著)などの文献に説明されている。スプライン関数フィッティングではなく、他のフィッティング方法を用いてもよい。
【0019】
第3のステップとして、スプライン関数H(Vd)、H(Vd)より得られた連続的な変換値を電圧区間Aに対応する逆変換関数Id’=−exp(y)で逆変換して電圧区間Aの連続的な電流値I(Vd)を、電圧区間Bに対応する逆変換関数Id’=exp(y)で逆変換して電圧区間Bの連続的な電流値I(Vd)をそれぞれ得る。(図6参照)
【0020】
次に電圧区間Cの電流値は4次多項式、I(Vd)=a×Vd+b×Vd3+c×Vd2+d×Vd+e によって補完する。I(Vd)は電圧区間Cの電流値である。Vd=0VでId’=0であるからe=0である。また、I(Vd)、I(Vd)、I(Vd)は各電圧区間の境界で連続かつ微分可能でなくてはならないから、I(Vq)=I(Vq)、I(−Vq)=I(−Vq)、dI(Vq)/dVd=dI(Vq)/dVd、dI(−Vq)/dVd=dI(−Vq)/dVdよりa、b、c、dを得ることができる。(図7参照)
【0021】
図7中の電圧区間Cの点線がI(Vd)の曲線を表している。このようにして連続的な電流値Id’が得られる。なお、電圧区間CのI(Vd)は、上記の境界条件を満たす限り、4次以上の多項式で表されてもよいし、多項式以外のVdの関数、例えば、指数関数や三角関数で表されてもよい。
【0022】
最後に第4のステップとして、得られた連続的な電流値Id’にIzを加え、電流値Idに変換する。(図8参照)このようにして、pin接合ダイオードの離散的な電流電圧特性の測定データ(Vn,In)から連続的な電流電圧特性曲線を容易に求めることができる。これをもとにアナログ・シミュレータ用の素子モデルを作成し、シミュレーションすることで複雑な回路構成であっても正しくシミュレーションを行うことが出来るため、十分な動作マージンを持った電子回路を短期間で開発することが可能になり、品質の向上とコストの低減が可能になる。なお、本実施形態では、pin接合ダイオードの離散的な電流電圧特性のデータを測定により求めたが、シミュレーションやその他の方法により求めてもよい。
【0023】
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態ではIzを一定の値として取り扱った。しかしながら、実際のpin接合ダイオードではIzはpin接合ダイオードに照射される光量(L)に応じて変動する。図14はpin接合ダイオードにおけるLとIzの実際の測定結果である。一定の照度以下ではほぼ線形に|Iz|は増加するが、一定以上の照度で上昇は頭打ちになっていく。
【0024】
そこで、本実施の形態では連続的な光量(L)を与えられた時に電流(Iz)を精度良く与えられるように、図14で示した離散的な実測値をフィッティングする。まず、変換関数y=log(|Iz|)で変換を行い、離散的な変換値を得る(第4のステップ)。次に第4のステップで得られた離散的な変換値をスプライン関数でフィッティングし、連続的な出力関数y=HIZ(L)を得る(第5のステップ)。図15に第4のステップで得られた離散的な変換値を白丸で、第5のステップで得られた出力関数y=HIZ(L)を実線でそれぞれ示す。次に逆変換関数Iz=−exp(y)により、第5のステップで得られた連続値を逆変換し、照度Lに対して連続的なIzを得る。この結果を図16の実線で示す。
【0025】
このようにして得られたIzの値を用いて、第1の実施の形態で示した第4のステップを実施する。第0から第3のステップは第1の実施の形態と全く同様に実施する。すなわち、本実施の形態における第0のステップで用いるIzと第4のステップで用いるIzは必ずしも等しくない。
【0026】
このような計算方法により、実際には限られた照度でしか素子の電流値を測定していなくとも、連続的な照度設定でアナログシミュレーションを実施できるのである。すなわち、測定の手間やコストを削減しつつ、光の照射量による電流量の変動を加味した高精度なアナログシミュレーションが実施できるようになるのである。
【0027】
なお、本実施の形態ではIzが照度に対して変化する事例について述べたが、例えば温度など、別の物理量によって変動する場合も全く同様にすればよいし、温度と光量の両方に対してIzが変動する場合も同様に三次元スプライン関数を用いて出力関数を求めればよい。
【0028】
また、本実施の形態では変換関数としてy=log(|Iz|)を用いたが、変換関数としてy=Iz+log(|Iz|)を用いても良いし、y=Iz、すなわち無変換で第5のステップのみを実施してもよい。いずれを用いるかは測定結果を最も精度よくフィッティングできる式を選択すればよい。また、Izが正負にまたがるような場合や特異点を持つような場合には第1の実施の形態で電圧電流特性に対して行ったのと同様に照度を第1の電圧区間と第2の電圧区間に分け、それぞれで変換関数や出力関数を別々に与えてもよいし、第1の電圧区間と第2の電圧区間の間に第3の電圧区間を設定し、第3の電圧区間では変換を行わず、多項式で第1の電圧区間と第2の電圧区間を繋げてもよい。
【0029】
(第3の実施の形態)
この実施の形態では、薄膜ポリシリコンを能動層としたNチャネル型電界効果型トランジスタの電流電圧特性のフィッティング方法について説明する。図9にNチャネル型電界効果型トランジスタ20と、その電流電圧特性の測定系を示す。Nチャネル型電界効果型トランジスタ20は絶縁基板21上に形成された薄膜ポリシリコン22を能動層とし、薄膜ポリシリコン22中にn+型ドレイン22d、n+型ソース22sが形成され、n+型ドレイン22d、n+型ソース22sの間にチャネル領域22cが形成されている。チャネル領域22cの上にはゲート絶縁膜23を介してゲート電極24が形成されている。
【0030】
図10は、ドレイン・ソース間に一定電圧Vds1を印加した時のトランジスタ素子の伝達特性(ゲート・ソース電圧−ドレイン・ソース電流)の実測値であり、測定点nにおいて、離散的な測定データ(Vgs=Vn,Ids=In)の集合が得られる。横軸(Vgs)はゲート・ソース間に印加した電圧であり、縦軸(Ids)はドレイン・ソース間の電流である。なお、実際にはドレイン・ソース間電圧(Vds)もスイープさせてVgsとVds条件でメッシュ状にデータを測定してフィッティングを行うのであるが、ここでは説明の簡略化のため、あるVds条件のみを図示している。Vdsは常に定義から0V以上であり、Idsも0以上である。
【0031】
本実施の形態ではIds>0なので全域で変換関数y=log(x=Ids)を使用できる。これを用いて変換を行い、図11のような結果を得る。この変換結果を全域でスプライン関数などでフィッティングを行うと、特異点Pにおいて変換された曲線が急激に変化するため、滑らかにフィッティングできずにフィッティング曲線が振動してしまう。そこで、図12のように特異点Pの前後で電圧区間A’(Vgs<V1)、電圧区間B’(V1≦Vgs≦V2)、電圧区間C’(Vgs>V2)の3つを設定する。特異点Pは電圧区間C’に含まれことになる。ここで、特異点Pとはその点の前後で急速に一次微分係数が急速にあるいは不連続に変化する点を指している。
【0032】
以下は、第1の実施の形態と同様にして電圧区間A’,および電圧区間B’をそれぞれ別個にスプライン関数を用いてフィッティングを行い、電圧区間A’に対応するスプライン関数としてy=HA’(Vgs)、電圧区間B’に対応するスプライン関数としてy=HB’(Vgs)を得た後、逆変換関数Ids=exp(y)で電圧区間A’の連続的な電流値IA’(Vgs)、電圧区間B’の連続的な電流値IB’(Vgs)をそれぞれ得る。
【0033】
さらに電圧区間C’の電流値を4次多項式IC’(Vgs)=a×Vgs+b×Vgs3+c×Vgs2+d×Vgs+eで補完する。IC’(Vgs)は特異点Pを通り、IA’(Vgs)、IB’(Vgs)、IC’(Vgs)が各電圧区間の境界で連続かつ微分可能でなくてはならないことから、IC’(V1)=IB’(V1)、IC’(V2)=IA’(V2)、dIC’(V1)/dVgs=dIB’(V1)/dVgs、dIC’(V2)/dVgs=dIA’(V2)/dVsよりa、b、c、d、eの各条件が決定する。
【0034】
以上の手順で図13のような連続的で振動のない、滑らかな電流電圧特性が得られる。なお、第1から第3の実施の形態では、電圧区間A(A’)、電圧区間B(B’)ともに変換関数としてy=log(x)を用いたが、電圧区間A(A’)と電圧区間B(B’)で変換関数として別のものを使用しても良い。例えば電圧区間Aではy=log(x)、電圧区間Bではy=x+log(x)などである。
【0035】
また、第1から第3の実施の形態では電圧区間A(A’)と電圧区間B(B’)の間に電圧区間C(C’)を設けることで全ての電圧領域で微分可能な電流値を得たが、電圧区間C(C’)を設けず、電圧区間A(A’)と電圧区間B(B’)のみとしてもよい。この場合、電圧区間A(A’)と電圧区間B(B’)の境界で微分不可能となるが、この時の電流絶対値が十分小さければシミュレーションに支障は無い。また、第2の実施の形態のように、電圧区間A’と電圧区間B’で一次微分の極性(傾き)が逆になっており、かつ値の正負が同じである場合、IA’+IB’=Idsのようにして2つの電圧区間A’B’の変換値を合成して微分可能な曲線を得ても良い。また、電圧区間は2つ以上のいくつに区分しても構わない。例えば極大点・極小点を複数持つ場合、それらの全ての点を境界にして、あるいはそれらの全ての点の前後で、電圧区間を区分してもよい。これらの電圧区間の決定は操作者がマニュアルで設定してもよいし、ソフトウェア上で二次微分係数が大きくなる点、極大・極小をとる点などを自動計算して指定するようにしてもよい。
【0036】
また、本発明の非線形素子の電流電圧特性のフィッティング方法は、ダイオードやトランジスタだけでなく、あらゆる種類の非線形素子に適用可能である。その場合、素子の特性に応じて変換関数は対数関数のみならず、あらゆる関数を用いて構わないし、出力関数としてもスプライン関数のみならず、あらゆる関数を用いて構わない。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第1の実施の形態によるpin接合ダイオードと、その電流電圧特性の測定系を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態によるpin接合ダイオードに一定の照度の光を照射した状態での離散的な電流電圧特性図である。
【図3】図2の測定電流値InからIzを減じ、In’に変換した電流電圧特性図である。
【図4】図3の電流値を変換関数で変換した結果の電流電圧特性図である。
【図5】図4の電流電圧特性に対して、スプライン関数を用いてフィッティングを行った結果を示す図である。
【図6】スプライン関数より得られた連続的な変換値を逆変換関数で逆変換した結果を示す図である。
【図7】電圧区間Cの電流値を4次多項式で補完して連続的な電流値Id’を得た状態を示す図である。
【図8】図7の連続的な電流値Id’にIzを加えて、Idに変換した電流電圧特性図である。
【図9】第3の実施の形態によるNチャネル型電界効果型トランジスタと、その電流電圧特性の測定系を示す図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態によるNチャネル型電界効果型トランジスタの離散的な電流電圧特性図である。
【図11】図10の電流値を変換関数で変換した結果の電流電圧特性図である。
【図12】図12の電流電圧特性において、電圧区分の設定を説明する図である。
【図13】本発明の第3の実施の形態によるNチャネル型電界効果型トランジスタの電流電圧特性のフィッティングを行った結果を示す図である。
【図14】本発明の第2の実施の形態によるpin接合ダイオードの照射する光量と電圧=0での電流量の関係を示す離散的な照度電流特性図である。
【図15】本発明の第2の実施の形態による電流値を変換関数で変換し、スプライン関数を用いてフィッティングを行った結果を示す図である。
【図16】本発明の第2の実施の形態による逆変換によって得られた連続的な照度電流特性図である。
【符号の説明】
【0038】
10 pin接合ダイオード
11 p型半導体層
12 n型半導体層
13 i型半導体層
20 Nチャネル型電界効果型トランジスタ
21 絶縁基板
22 薄膜ポリシリコン
22c チャネル領域
22d n+型ドレイン
22s n+型ソース
23 ゲート絶縁膜
24 ゲート電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非線形素子の電流電圧特性における、測定、シミュレーションまたはその他の方法により得られた離散的な電流値を、第1のステップとして変換関数により離散的な変換値に変換し、第2のステップとして前記離散的な変換値に対してフィッティングを実行し、連続的な変換値を与える出力関数を得て、第3のステップとして前記変換関数に対する逆変換関数により、前記出力関数より与えられる連続的な変換値を連続的な電流値に逆変換する、という3ステップを有し、
前記非線形素子に印加される電圧の範囲として、少なくとも第1の電圧区間と第2の電圧区間を設定し、前記第1及び第2の電圧区間のそれぞれについて前記第2のステップのフィッティングを実行し、前記出力関数として、前記第1の電圧区間に対応する第1の出力関数と、前記第2の電圧区間に対応する第2の出力関数を得ることを特徴とする非線形素子の電流電圧特性のフィッティング方法。
【請求項2】
前記第1の電圧区間と前記第2の電圧区間の間に第3の電圧区間を設定し、この第3の電圧区間については前記第1のステップ、第2のステップ及び前記第3のステップが行われず、電流値が電圧の関数で補完されることを特徴とする請求項1に記載の非線形素子の電流電圧特性のフィッティング方法。
【請求項3】
前記第1の電圧区間での第1の変換関数をy=f(x)、第1の逆変換関数をx=g(y)、前記第2の電圧区間での第2の変換関数をy=f(x)、第2の逆変換関数をx=g(y)とし、f(x)とf(x)、g(y)とg(y)は互いに異なった関数であることを特徴とする請求項1、2に記載の非線形素子の電流電圧特性のフィッティング方法。
【請求項4】
x0をある定数として前記変換関数として、y=log(x/x0)または、y=log(x/x0)+x/x0を用いることを特徴とする請求項1、2、3に記載の非線形素子の電流電圧特性のフィッティング方法。
【請求項5】
前記第1のステップの前に前記離散的な電流値からオフセット値x1を減じる第0のステップを有し、前記第3のステップの後に得られた電流値に前記オフセット値x1を加算する第4のステップを有することを特徴とする請求項1、2、3、4のいずれかに記載の非線形素子の電流電圧特性のフィッティング方法。
【請求項6】
前記第1の電圧区間において前記第3のステップで得られる電流値と、前記第2の電圧区間において前記第3のステップを経て得られる電流値とは互いに極性が異なることを特徴とする請求項1、2、3、4、5のいずれかに記載の非線形素子の電流電圧特性のフィッティング方法。
【請求項7】
前記離散的な変換値が急激に変化する特異点を有する場合に、前記特異点の前後に、前記第1の電圧区間と前記第2の電圧区間を設定することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6のいずれかに記載の非線形素子の電流電圧特性のフィッティング方法。
【請求項8】
前記第0のステップにおける前記オフセット値x1は前記非線形素子の電流電圧特性における電圧=0での電流値であって、測定、シミュレーションまたはその他の方法により得られた光量と電流の離散値をフィッティングすることで得られる連続的な値を前記オフセット値x1として用いることを特徴とした請求項5、6、7いずれかに記載の非線形素子の電流電圧特性のフィッティング方法。
【請求項9】
前記オフセット値x1は、前記光量と電流の離散値群を第4のステップとして変換関数により離散的な変換値に変換し、第5のステップとして前記離散的な変換値に対してフィッティングを実行し、連続的な変換値を与える出力関数を得て、第6のステップとして前記変換関数に対する逆変換関数により、前記出力関数より与えられる連続的な変換値を連続的な電流値に逆変換する、という3ステップで計算されることを特徴とした請求項8に記載の非線形素子の電流電圧特性のフィッティング方法。
【請求項10】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9のいずれかに記載の非線形素子の電流電圧特性のフィッティング方法を用いて作成した回路シミュレーション用モデルで回路シミュレーションを行い、回路設計された電子回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−218834(P2007−218834A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−42191(P2006−42191)
【出願日】平成18年2月20日(2006.2.20)
【出願人】(304053854)エプソンイメージングデバイス株式会社 (2,386)
【出願人】(597065329)学校法人 龍谷大学 (120)
【Fターム(参考)】