説明

非黄変アルデヒド縮合生成物

本願は、任意にスルフォン化によって可溶化させる、ヒドロキシル基含有芳香族体を用いるアルデヒド縮合生成物及び安定化還元剤を含む、非黄変仕上げ剤に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窒素含有繊維材料の染色中又は蛍光増白中に優れた固着を付与し、そして任意にスルフォン化によって可溶化させる、ヒドロキシル基含有芳香族体を用いるアルデヒド縮合生成物を含む、非黄変性染色助剤及び安定化用の還元剤に関する。さらに、本発明は、窒素含有繊維材料の染色中又は蛍光増白中に優れた固着を付与し、そして任意にスルフォン化によって可溶化させる、ヒドロキシル基含有芳香族体を用いるアルデヒド縮合生成物を含む、貯蔵安定染色助剤及び安定化用の還元剤に関する。
【背景技術】
【0002】
天然又は合成のポリアミド繊維材料等の窒素含有繊維材料(例えば、羊毛及び/又はポリアミド、特にポリアミドマイクロファイバー)を染色する場合(又は任意に増白する場合)、固着によって、染色及び印刷の堅牢性が向上する。
アルデヒド縮合生成物の固着剤の短所は、染色品の黄変か、又はこの固着剤が使用される前であっても、黄変してしまう(であろう)事実にある。この黄変性は、室温等の一般的な貯蔵条件下でさえも生じる場合がある。
【0003】
ドイツ国特許第3446922号明細書は、ポリエステル/セルロース繊維のテキスタイルブレンドの還元洗浄に関するものであり、このテキスタイルブレンドは、スルフォ基を含む合成重縮合生成物の水溶性アンモニウム塩又はアミン塩をベースとする分散剤の存在下、分散染料を用いて、連続的に染色されている。
ドイツ国特許第4401390号明細書(米国特許第5672674号明細書)は、ポリアクリル酸と組み合わせてスルフォ基含有芳香族ホルムアルデヒド縮合生成物を用いて、これらのテキスタイル材料を処理することによる、ポリアミド含有繊維材料に対する抗汚染仕上げ処理に関するものである。そして所望の順序を用いた処理か又は同時にこの2成分を用いた処理を実施する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、上記短所を有しない染色固着剤を提供することにあり、例えば、黄変があるとしても、顕著には黄変しない。本発明のさらなる目的は、ポリアミド(特にポリアミドマイクロファイバー及びエラスタンとのポリアミドブレンド)上の染色又は印刷の固着に有用である、貯蔵安定性を有し、効果的で、酸安定性を有する固着剤を提供することにある。さらに、処理基材は、黄変があるとしても著しく黄変しないはずである。
【0005】
本発明の組成物、さらに任意にスルフォン化によって可溶化させる、ヒドロキシル基含有芳香族体を用いるアルデヒド縮合生成物が、安定化用の還元剤をも含む場合、本発明の組成物は、黄変しないか又はすぐには黄変しないことを見出した。
本発明の組成物、さらに任意にスルフォン化によって可溶化させる、ヒドロキシル基含有芳香族体を用いるアルデヒド縮合生成物が、安定化用の還元剤も含む場合、本発明の組成物を用いて処理する基材は、黄変しないか又はすぐには黄変しないことを見出した。
【0006】
本発明のさらなる態様は、黄変があるとしても顕著には黄変しない、非黄変かつ貯蔵安定性を有する染色固着剤を製造する方法を提供することである。本発明のさらにいっそうの態様は、本発明に従う方法によって得られる組成物に関するものである。
本発明のさらなる態様は、本発明に従う組成物を用いて処理する染色品、及び本発明に従う組成物を用いる染色品に関する方法にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
有用な縮合性芳香族化合物には、C1〜C4−アルキル基及び/又はヒドロキシル基及び/又はシクロアルキル基及び/又はC1〜C4−アルコキシ基及び/又はC1〜C4−ヒドロキシアルコキシ基及び/又はアロキシ基及び/又はアラルコキシ基及び/又はカルボキシル基及び/又はカルバルコキシ基及び/又はスルフォネート基及び/又はアリールスルフォニル基によって置換された、ベンゼン誘導体及びナフタレン誘導体等が含まれる。
【0008】
有用な芳香族体には、フェノール自体だけでなく、フェノールのアルキル誘導体類(クレゾール類、キシレノール類、ノニルフェノール類、オクチルフェノール)、及びフェノールのアリール誘導体類(フェニルフェノール)、二価フェノール類(レゾルシノール、ビスフェノールA)、及びナフトール類が含まれる。例として、フェノール、クレゾール類、キシレノール類、ブチルフェノール、シクロヘキシルフェノール、アニソール、フェノキシエタノール、フェノキシプロパノール、フェノキシ酢酸、フェノールスルフォン酸、アニソールスルフォン酸、ジフェニルエーテル、ジトリルエーテル、ジヒドロキシジフェニルスルフォン、2,2−ビス−4−ヒドロキシフェニルプロパン、4−ヒドロキシジフェノールスルフォン、ビス(ヒドロキシエトキシフェニル)スルフォン、サリチル酸、4−ヒドロキシ安息香酸、ナフトール類、イソブチルナフタレン、ナフトールスルフォン酸、ナフチルメチルエーテル、ビフェニルスルフォン酸、スルフォン化ジヒドロキシジフェニルスルフォン、オキシジベンゼンスルフォン酸を挙げることができる。
原則として、さらに最大0.2モル%のナフタレンを、用いることもできる。
【0009】
さらに、ヒドロキシ基含有芳香族体を用いるアルデヒド縮合生成物は、ジヒドロキシジフェニルエーテル類として知られる化合物、特にジフェノールエーテル類又はビス(ヒドロキシフェニル)エーテル類と称する化合物としても知られる化合物であることもできる。4,4’−,2,2’−又は4,2’−ジヒドロキシジフェニルエーテル類及びそれらの混合物として主に好適なのは、ジヒドロキシビフェニルとしても知られる化合物、特にジフェノール又はビス(ヒドロキシフェニル)としても知られる化合物のような、特に工業的グレードの異性体混合物である。4,4’−,2,2’−又は4,2’−ジヒドロキシビフェニル及びそれらの混合物として主に好適なのは、特に工業グレードの異性体混合物である。さらに、ヒドロキシ基含有芳香族体を用いるアルデヒド縮合生成物も、ジヒドロキシジフェニルスルフォン類として知られる化合物、特にスルフォニルジフェノール類又はビス(ヒドロキシフェニル)スルフォン類としても知られる化合物を含むことができる。4,4’−,2,2’−又は4,2’−ジヒドロキシ−ジフェニルスルフォン(それぞれ4,4’−,2,2’−又は4,2’−スルフォニルジフェノール等)及びそれらの混合物として特に好適なのは、特に工業グレードの異性体混合物である。
好ましいのは、ジヒドロジフェニルスルフォン類及びフェノール類、特に4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフォン類及びフェノールそれ自体である。
【0010】
最も重要なアルデヒド成分は、幅広い供給形態(水溶液、パラアルデヒド、ヘキサメチレンテトラミン等のホルムアルデヒド−脱離化合物)のホルムアルデヒドである。カルボニル成分として、他のアルデヒド類又はその他のケトン類も用いることができる。
【0011】
アルデヒド類(ホルムアルデヒド)とフェノール類との縮合反応は、反応物のモル比、反応条件及び用いる触媒によって決まり、いわゆるノボラック類(酸性条件下での縮合)、及びレゾール類(アルカリ性条件下での縮合)をもたらす、未変性のフェノール樹脂を生じさせる。
酸性条件下で調製するそれらのアルデヒド縮合生成物が、好ましい。
【0012】
ヒドロキシル基含有芳香族体を用いるアルデヒド縮合生成物が、スルフォン化される場合、慣用のスルフォン化条件下で、好ましくは、発煙硫酸、100%硫酸、濃硫酸、クロロスルフォン酸を用いて、芳香族体のスルフォン化を行うことができる。室温(=20℃)〜150℃、好ましくは70℃〜135℃の温度範囲内で、スルフォン化を実施することが有利であるといえる。特に好ましい100%硫酸又は濃硫酸を用いるスルフォン化の場合には、必要に応じて、反応により生じた水を取り除く(適切な場合、減圧下で、蒸留するか又は蒸発させる等)様な条件下で実施することができる。
【0013】
このスルフォン化によって、芳香族体の1分子あたり、平均0.1〜2個、そして有利には0.2〜1.5個のスルフォ基が導入され、有利には、芳香族体のモルあたり、0.12〜2.5モル、好ましくは0.25〜1.75モルのスルフォン化剤を用いる。100%硫酸又は濃硫酸(すなわち、特にHSO・HO〜HSO)を用いる好ましいスルフォン化の場合では、スルフォン化反応をさらに維持するため、減圧下で反応により生じた水を蒸留することが有利であり、そして同時に、スルフォン化しない反応物を、同様に蒸留することができる。スルフォン化生成物は、主として0.15〜2の、そして有利には0.25〜1.5のスルフォン化度を達成し、それらの中で、0.25〜1.5の範囲の平均スルフォン化度を有する生成物が、特に好ましい。
【0014】
芳香族体のオリゴマースルフォンを調製するため、オリゴマースルフォンを形成する所望の縮合度を達成するまで、スルフォン化生成物を、さらに反応させることが可能であ離、有利である。高温(好ましくは、140℃〜200℃の温度範囲で、特に150℃〜180℃の範囲の温度)で、減圧下(有利には50mbar未満、そしてさらに好ましくは20mbar未満)で、スルフォンを形成する縮合を実施することが有利である。縮合生成物の酸含有率の減少が止まり、そしてこの酸含有率が250〜450、そして好ましくは300〜400ミリグラム当量/100gの範囲まで、このスルフォンへの縮合を続けることが有利である。反応混合物中の過剰の硫酸は、分離されないことが有利であるが、ホルムアルデヒドと又はホルムアルデヒド源との縮合のため、この硫酸混合物を直接用い、そして適切な酸性条件下でこの縮合(ノボラック)を実施することが有利である。
【0015】
一般的に、ホルムアルデヒド又はアルデヒドの量は、ヒドロキシル基含有芳香族体の量によって決まる。0.5〜0.8の範囲が有利である。ホルムアルデヒドと生成物の縮合を完了させないことが有利であるといえ(例えば、浸漬プロセスによって、最終生成物を適用する場合)、そしてホルムアルデヒド率は、0.25〜0.5の範囲内、そして特に0.27〜0.48の範囲内であることが有利である。
【0016】
ヒドロキシル基含有芳香族体を用いるアルデヒド又はホルムアルデヒドの反応を、一般的な様式、有利には50〜110℃、そして好ましくは80〜105℃の範囲内の温度で、強酸性媒体中(例えば、3未満、そして好ましくは1未満のpH値)で、実施することができる。有利には、アルデヒド又はホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド源を用いる反応を水性酸性媒体中で実施し、そしてアルデヒド成分を添加し、水で希釈することができ、そして/又は有利には重量で10%〜50%の含水率まで、アルデヒド成分を水で希釈することができる。
【0017】
ヒドロキシル基含有芳香族体のアルデヒド又はホルムアルデヒドの反応の後、スルフォン化を実施できる場合、スルフォン化には、一般的に酸の添加を要件とする。この酸は、無機系強酸又はその他の有機系強酸であることができる。スルフォン化後の縮合では、酸の添加を通常は要件としない。
【0018】
得られる(スルフォン化)縮合生成物は、遊離酸形態のスルフォン酸基を含み、そして実質的にカチオン種を含まない、特に多価金属カチオン種を含まない、主に重金属カチオン種を含まない。すなわち、金属カチオン種、特に多価金属カチオン種又は重金属カチオン種が、混合物中に微少量存在する場合、これら金属の微少量は、ある種の容器(輸送容器又は反応容器)又は反応装置(スターラー、漏斗等)中の、他の金属部分を用いることを介して発生するような、本質的に望ましくない副生成物であり、そして一般的に数ppmオーダー、そして特に大きさにおいて10ppm未満である。
【0019】
スルフォン化を行った後、好適なアルカリ性化合物と得られた生成物とを、反応により所望のpHまで混合することができる。得られた酸性縮合生成物は、ヒドロキシル基含有芳香族体を用いるアルデヒド縮合生成物を準備するためのものであり、そして有利にはpHが2より上まで、特に10重量%の固形分率を有する水性希釈物のpHが3より上まで、好ましくは9より上まで、さらに好ましくは3〜7の範囲となるまで、塩基と混合する。主にアルカリ金属水酸化物類又はカーボネート類(アルカリ金属=リチウム、ナトリウム又はカリウム等)、アンモニア又は脂肪族アミン類(例えば、モルホリン、モノ−、ジ−又はトリ−(C2-3−ヒドロキシアルキル)アミン、モノ−、ジ−又はトリ−(C1-2−アルキル)アミン)から、用いるアルカリ化合物又は塩基を選択する。
【0020】
用いる塩基は、好ましくは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム又はアンモニアである。水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及びアンモニアを用いることが特に好ましい改良法であり、有利には、アンモニアの1モルあたり0.2〜10モル、そして好ましくは0.4〜4モルのKOH又は/及びNaOHのモル比である。得られる生成物(任意にスルフォン化する、ヒドロキシル基含有芳香族体を用いるアルデヒド縮合生成物)は、水溶性であって、そして任意に、例えば5〜60重量%、そして好ましくは10〜50重量%の固形分含有量に対する水含有量に調節した後か、又は必要に応じてそれらを乾燥し、噴霧乾燥又は(選択的に造粒助剤の添加を伴う)造粒等によって乾燥生成物を形成した後に、合成物として直接取り扱うことができる。
【0021】
例えば一般的な実施で扱いやすさを向上させるため、必要に応じて、各有機溶媒、有利には、アルコール類、主に脂肪族C2-8−アルコール類(特にエタノール、イソプロパノール、及びモノ−又はジエチレングリコール並びにそれらのC1-4−アルキルモノエーテル類、例えばブチルグリコール)と、この溶液とを混合することができる。
【0022】
有用な安定化用の還元剤には、エンジオール種が含まれる。エンジオールはレダクトンとして知られており、そして強力な還元作用を有する。効果的なレダクトンには、例えば、ヒドロキシマロンアルデヒド、(R)−5−[(S)−1,2−ジヒドロキシエチル]−3,4−ジヒドロキシ−5H−フラン−2−オン(アスコルビン酸、ビタミンC)、(R)−5−[(R)−1,2−ジヒドロキシエチル]−3,4−ジヒドロキシ−5H−フラン−2−オン(イソビタミンC,エリソルビン酸,イソアスコルビン酸)、ヒドロキシプロパンジオール(トリオースレダクトン)又は2,3−ジヒドロキシ−2−シクロペンテンオン(還元酸)が、含まれる。
【0023】
好ましい態様において、この安定化用の還元剤は、アスコルビン酸である。
用いる安定化用の還元剤の量(あらかじめ生成した縮合生成物に基づき)は、0.05%〜20%、そして好ましくは0.2%〜5%の範囲にわたる。
任意にスルフォン化によって可溶化させる、ヒドロキシル基含有芳香族体を用いるアルデヒド縮合生成物の仕上げに、これらの還元剤種を、単なる混合によって添加することができる。これらの安定化用の還元剤種を、室温で撹拌によって導入することもできる。均一な混合物又は溶液が形成されるまで、撹拌を続ける。
【0024】
さらなる態様において、還元剤を混入する前に、任意にスルフォン化によって可溶化させる、ヒドロキシル基含有芳香族体を用いるアルデヒド縮合生成物の仕上り品を、さらに漂白する。漂白後、単なる混合によって、この安定化用の還元剤を順に添加することができる。原則として、安定化用の還元剤を添加した後、漂白することも可能である。
【0025】
好ましい漂白剤種は、還元剤種である。還元剤として、化学反応に用いることができる慣用の還元剤種を用いることができる。例として、水素、活性化水素、金属水素化物類(水素化ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム又は水素化アルミニウムリチウム等)、還元性硫黄化合物類(亜硫酸ナトリウム除いた亜硫酸塩、重亜硫酸ナトリウムを除いた重亜硫酸塩類、ヒドロ亜硫酸塩類、ピロ亜硫酸ナトリウムを除いたピロ亜硫酸塩、亜ジチオン酸類、チオ硫酸塩、スルフォキシレート類、ヒドロキシメタンスルフィネート類、スルフィネート類又はチオウレアジオキシド等)、還元性リン化合物(亜リン酸、次亜リン酸又はそれらの塩等)、及び有機還元剤(グルコース、グルコン酸又はヒドロキシアセトン等)を挙げることができる。
【0026】
好ましい漂白剤は、亜ジチオン酸、特に亜ジチオン酸ナトリウムである。
還元剤の使用量(あらかじめ生成された縮合生成物に基づき)は、0.01%〜2%、そして好ましくは0.05%〜1%の範囲にわたる。10分〜5時間、20℃から90℃において、撹拌を伴い、漂白操作を行う。
【0027】
本発明の混合物は、例えば、3ヶ月又は実に1年の、非常に長い貯蔵期間の後でさえ、仮に黄変がある場合でも、ほとんど黄変を呈しない。同様に、本発明の薬剤を用いて仕上げた繊維材料は、黄変せず、印刷した材料の色調に影響を及ぼさない。同様に、本発明の薬剤を用いて染色又は印刷される繊維材料は、黄変しない。
【0028】
この非黄変染色助剤(任意にスルフォン化によって可溶化させる、ヒドロキシル基含有芳香族体を用いるアルデヒド縮合生成物及び安定化用の還元剤を含む)は、天然又は合成のポリアミド(羊毛、絹又は合成ポリアミド類等、主にナイロン6又はナイロン66)又は繊維材料(特に織物類、ループ形状ニット類及びパイル材料の形態で、構成される)の上に、染色を固着させるようにはたらく。そして有利には、右側面又は(カーペットの場合には)表面がそのような天然又は/及び合成のポリアミド類又はポリアミド含有繊維ブレンド類から成る、椅子張りカバー材料又はカーペット類を仕上げるようにはたらく。好ましいポリアミド繊維類は、ポリアミドマイクロファイバー及びポリアミド繊維類又はエラスタン繊維類とブレンドしたポリアミドマイクロファイバーである。
【0029】
染色を固着する場合、吸尽プロセスでは、その温度は、例えば15〜130℃(適切な場合には加圧下で)、そして有利には40〜100℃の範囲内で、広い範囲に渡って変わることができる。吸尽溶液が、操作の終わりにpH2.5〜7の範囲にあるように、各添加及び吸尽プロセスを制御することが有利である。pHをスライドさせることで、特別な態様を実施する。すなわち、吸尽プロセスの途中ではpHを下げ(有利にはpH9〜3の範囲とし、そして特にアルカリpH値で開始させるため、有利にはpH7.5〜9、そして好ましくは8〜9)、そしてこのプロセスの途中では、このpHを中性値又は酸性値(有利にはpH7〜2.5、そして好ましくは6〜3)に下げる。
【0030】
例えば、制御して酸(低分子量脂肪族カルボン酸等の酸の添加、特にギ酸、酢酸、乳酸、シュウ酸、クエン酸、りんご酸、コハク酸、又はヒドロキシ酪酸等の炭素原子数1〜4の酸の添加)の添加を介して、又は/及びプロセスの途中(好ましくは加水分解によって)で、酸を生成する化合物の添加を介して、pHのスライド化を実施することができる。そのような酸を生成する化合物は、けん化性エステル類、主に上述の酸類のエステル類、特にヒドロキシカルボン酸類に対応するラクトン類(例えば、ブチロラクトン)、又は加水分解による操作の過程において塩酸を生成する不安定塩素化合物類(2,2−ジクロロプロパノール又はモノクロロ酢酸等)又は塩素置換エステル類、特にクロロ酢酸エステルであり、例えばドイツ国特許第A2803309号明細書(米国特許第4168142号明細書に対応)に開示されている。
【0031】
任意の望ましい慣用方法(浸染、パジング、スプレーイング、フォームアプリケーション、ナイフ塗布又はロールアプリケーション等)によって、この浸漬プロセスを実施することができる。浸漬プロセスの場合、浸漬溶液 (少なくとも浸漬プロセスの終わり、乾燥操作)は、有利にはpH3〜7、そして好ましくはpH3〜6の範囲にある。そして浸漬溶液に適正な酸生成化合物(特に上述の化合物)を添加する場合、pHのスライド化(この操作の始めにおけるpHが、例えば6〜8であり、そしてこの方法の終わりにおけるpHが3〜6、そして好ましくは3〜5の範囲にある)を用いて、この浸漬プロセスを実施することもできる。
【0032】
浸漬の後、様々な方法(低温でのドエリング(いわゆるコールドパッドバッチ法に従う)によるか、若しくは加熱(例えば約15℃〜102℃の温度範囲)及び好適な様々な時間(例えば10分〜48時間の範囲)でのドエリング(例えば室温で数時間〜102℃で数分間)によるか、又は例えば95〜140℃、そして好ましくは100〜110℃の範囲の温度で蒸熱し、又は/及び乾熱処理(好ましくは130℃〜160℃)による方法等)によって、浸漬材料を固着させることができる。適切な場合(基材、利用水準及び固着条件等により決定される)には、水洗を省略することができる。
【0033】
上述の混合物及び生成物は、染料固着特性を有している。これらの固着剤を用いることによって、色調が影響を受けることなく、印刷又は染色に対する改良されたウェット堅牢度が導かれる。さらに具体的には、黄変が生じない。本発明の調製品を水で希釈することができる。この水は、50℃を超えないことが好ましく、理想の水温は40℃である。しかし、原則として、希釈に用いる水は、室温〜人肌の範囲の温度である。
【0034】
染色材料の後処理をするため、本発明の生成物0.1%〜10%を、20℃〜60℃の新しい浴、そして好ましくは30℃〜50℃の範囲の温度の浴に添加する。本発明の薬剤0.5%〜5%を添加することが好ましい。必要に応じて、均一化の後、pHが4又はそれよりわずかに低くなるように、酸(好ましくは酢酸又は蟻酸)を添加することができる。これには、通例0.5%〜1%の酸を必要とする。その後、好ましくは85℃を超えず、さらに好ましくは75℃を超えないように、この浴を加熱する。好ましい浴温度は、70℃である。あらかじめ入念に水洗された染色材料の処理には、10〜30分要し、そして15〜20分要することが好ましい。入念な水洗がこれに続く。
【0035】
冷染浴中の処理は、好ましいとまではいえないが、完全に可能である。冷水及び温水を用い、染色品を入念に水洗いすることが好ましい。入念な水洗の前に、通常の界面活性剤(例えばポリグリコールエーテル誘導体を含む水)を用いて、染色品を水洗いすることができる。
【0036】
同様の様式で、印刷した材料を後処理することができる。しかし、好ましい態様において、印刷品は、塩基性(pH8.5〜11.5、好ましくはpH9〜11、例えば、pH約10において)条件下で、任意に界面活性剤(ポリグリコールエーテル誘導体等)を用いて、洗浄し及び水洗することができる。
【0037】
有用な基材には、全ての慣用のアニオン染色性で、主に窒素含有の繊維材料、特にレザー、又は繊維材料(カチオン変性ポリオレフィン類、ポリウレタン類、又は天然若しくは合成のポリアミド類から構成される)が含まれ、その中で、特にアミド基含有繊維材料、とりわけ天然及び/又は合成のポリアミド類から構成されるテキスタイル材料が好ましく、それらポリアミド類には、主に羊毛、絹、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン46、キアナ(商標)、及びお互いとの混合物又はエラストマー繊維類とのそれらの混合物が挙げられる。この基材は、染色のため、慣用的に(特に水性媒体から)用いるような、任意の所望の形態(ルーズファイバー類、スレッド類、フィラメント類、子縄類、ボビン類、織物類、ループ状ニット類、フェルト類、不織布類、ビロード類、カーペット類、タフテッド材料、及びまた中間又は仕上がった物品類)で存在することができる。この繊維類を、機械的及び/又は熱的に処理(延伸するか又はクリンプする等)することができ、異種繊維又はその他の異なる処理の繊維類(例えば、異なる染色が好適)のブレンドを、用いることも可能である。
【0038】
任意の所望の慣用染色法に従って(特に水性溶液から、又は各水性溶液若しくは各調製品を用いて浸漬する、吸尽法に従って)、上述の基材を染色することができる。
【実施例】
【0039】
調製例1
スルフォン化フェノール−ホルムアルデヒド縮合生成物(Nylofixan MF2N fl k固着剤、Clariant(Switzerland)AG)100部を、亜ジチオン酸ナトリウム0.1部と混合し、50℃で1時間撹拌した。
【0040】
調製例2
スルフォン化フェノール−ホルムアルデヒド縮合生成物(Nylofixan MF2N fl k固着剤、Clariant(Switzerland)AG)100部を、アスコルビン酸0.5部と室温で混合し、そして均一になるまで撹拌した。
【0041】
調製例3
スルフォン化フェノール−ホルムアルデヒド縮合生成物(Nylofixan MF2N fl k固着剤、Clariant(Switzerland)AG)100部を、初めに亜ジチオン酸ナトリウム0.1部と混合し、50℃で1時間撹拌し、そして室温まで冷却した後、アスコルビン酸0.5部と室温で混合し、そして均一になるまで撹拌した。
【0042】
【表1】

【0043】
使用例1
延伸ループ状N6,6製ニット(Nylsuisse Artikel2044)100部を、脱塩水2000部、及び
a) 固着剤なし
b) 未処理の固着剤3部
c) 調製例1の生成物3部
d) 調製例2の生成物3部
e) 調製例3の生成物3部
を用いて、70℃で20分間、ラボ用染色機(Zeltex Polycolor)で処理し、その後、酢酸で4.0〜4.5のpHに調整した。
このニットを、冷水洗し、そして風乾した。
分光光度計で、基材の白色度及び黄変インデックスを決定した(表2参照)。
【0044】
使用例2
20:1の浴比で、pH6(酢酸を用いて調整)で、98℃において、45分間、C.I.Acid Yellow 49を0.3部含む染料配合物を用いて、ラボ用染色機内で、延伸ループ状N6,6製ニット(Nylsuisse Artikel 2044)100部を染色し、温水洗及び冷水洗し、そして風乾した。
その後、染色ニットを、脱塩水2000部、及び
a) 固着剤なし
b) 未処理の固着剤3部
c) 調製例1の生成物3部
d) 調製例2の生成物3部
e) 調製例3の生成物3部
を用いて、70℃で20分間、上述のように、ラボ用染色機(Zeltex Polycolor)で処理し、その後、酢酸で4.0〜4.5のpHに調整した。
このニットを、冷水洗し、そして風乾した。
全体の色差(CMC,Cielab 1976,D65/10)を、比色計で決定した(表2参照)。
【0045】
使用例3
20:1の浴比で、pH6(酢酸を用いて調整)で、98℃において、45分間、C.I.Acid Blue 72を1.7部含む染料配合物を用いて、ラボ用染色機内で、延伸ループ状N6,6製ニット(Nylsuisse Artikel 2044)100部を染色し、温水洗及び冷水洗し、そして風乾した。
その後、染色ニットを、脱塩水2000部、及び
a) 固着剤なし
b) 未処理の固着剤3部
c) 調製例1の生成物3部
d) 調製例2の生成物3部
e) 調製例3の生成物3部
を用いて、60℃で20分間、上述のように、ラボ用染色機(Zeltex Polycolor)で処理し、その後、酢酸で4.0〜4.5のpHに調整した。
このニットを、冷水洗し、そして風乾した。
ISO A04(近接するPA布帛の汚染度)に対し、この染色のアルカリ汗堅牢度(ISO E04)及び60℃の洗濯堅牢度(ISO105/C06 B2S)も、比色計を用いて決定した(表2参照)。
【0046】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
還元剤を含み、任意にスルフォン化によって可溶化させるヒドロキシル基含有芳香族体を用いるアルデヒド縮合生成物を含む、貯蔵安定性を有しかつ非黄変の組成物であって、当該還元剤がエンジオールであることを特徴とする組成物。
【請求項2】
前記エンジオールが、ヒドロキシマロンアルデヒド又はアスコルビン酸又はイソアスコルビン酸又はヒドロキシプロパンジオール又は2,3−ジヒドロキシ−2−シクロペンテンオンであることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記エンジオールがアスコルビン酸であることを特徴とする、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
ヒドロキシル基含有芳香族体を用いるアルデヒド縮合生成物の溶液を用意する段階、そして安定化還元剤を前記溶液に混ぜる段階を含む、アルデヒド縮合生成物を含む、貯蔵安定性を有し、非黄変の組成物の調製方法であって、当該還元剤がエンジオールであることを特徴とする組成物の調製方法。
【請求項5】
追加の還元剤の添加が、安定化用の還元剤の添加に先行するか、又は安定化用の還元剤の添加に続き、そして前記アルデヒド縮合生成物を前記追加の還元剤と一緒に撹拌することを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記追加の還元剤が、亜ジチオン酸であることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
天然又は合成のポリアミド繊維材料の染料固着のための、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物又は請求項4〜6のいずれか一項に記載の方法によって得られる組成物の用途。
【請求項8】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のアルデヒド縮合生成物を用いることにより調製されるか若しくは当該生成物を用いて処理されるか、又は請求項4〜6のいずれか一項に記載の方法によって得られるアルデヒド縮合生成物を用いることにより調製されるか若しくは当該生成物を用いて処理される繊維材料。
【請求項9】
請求項4〜6のいずれか一項に記載の方法によって得られる、貯蔵安定性を有しかつ非黄変の組成物。

【公表番号】特表2006−517622(P2006−517622A)
【公表日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−502400(P2006−502400)
【出願日】平成16年1月29日(2004.1.29)
【国際出願番号】PCT/IB2004/000288
【国際公開番号】WO2004/067831
【国際公開日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【出願人】(596033657)クラリアント インターナショナル リミティド (48)
【Fターム(参考)】