説明

面状ヒータ集合体

【課題】 自動貼り付け機に高速下に適用されるような円滑な切り離し特性を有する面状ヒータ集合体を提供することにある。
【解決手段】 長尺状基材(5)上にその長手方向に沿って、複数枚の面状ヒータ(1)を固着・連接し、その際、隣り合う面状ヒータ(1)間の連接部(7)には該長尺状基材(5)の長手方向と直交する方向に沿って貫通孔(9)を間歇的に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、面状ヒータ集合体、特にテープ形状の面状ヒータ集合体に関する。さらに詳しくは、本発明は、電子炊飯器、電子ポット、さらには洋式便器の便座などにおける保温・保湿用の面状ヒータを一方向に連接してなる面状ヒータ集合体に関する。
【0002】
ここに、“面状ヒータ集合体”とは、独立した面状ヒータが一方向に連接されてはいるが、各面状ヒータは適宜切り離されるようになっている集合体を意味する。
【背景技術】
【0003】
従来の面状ヒータ集合体においては、長尺状基材の長手方向に沿って、複数枚の面状ヒータが固着・連接され、その際、連接部にハーフカット部が設けられている。このような集合体の例は、図4に平面図(a)および側面図(b)として示されている。ここで、(1)はそれぞれに独立した面状ヒータで、両面接着シート(2a)の表面に載置されたヒータ線ユニット(3)と該ヒータ線ユニット(3)を被覆しつつ該両面接着シート(2a)の表面に固着された金属箔(4a)とを含んでいる。そして、これらの面状ヒータ(1)は、長尺状基材(5)の長手方向に沿って固着・連接されている。このときの長尺状基材(5)は、両面接着シート(2b)とその表面に貼付された金属箔(4b)とその裏面に貼付された離型紙(6)とを含んでいる。なお、ヒータ線ユニット(3)は、ヒータ線(3a)、接続子(3b)およびリード線(3c)を含んでいる。
【0004】
ところで、上述の集合体においては、個々の面状ヒータへの切り離しを容易にするため、隣り合う面状ヒータ(1)間の連接部(7)にはハーフカット部(8)が設けられている。そして、各面状ヒータ(1)の機器本体への装着に際しては、ハーフカット部(8)にて、さらに厚み方向に切断した後、離型紙(6)を剥離し、露出した接着面を機器本体に貼付する。
【0005】
しかし、このようなハーフカット部(8)にはカット深さのバラツキが生じる。カットが浅い場合には、該厚み方向の切断に支障をきたし、逆にカットが深すぎる場合には、貼付作業中に容易に切断してしまい、いずれにしても作業性が悪いという問題があった。この問題は、手作業で行う場合はまだしも、自自動貼り付け機による作業にあっては、益々深刻になる。したがって、これら自動貼り付け機は、昨今要求されている高速且つ円滑な切断・貼付作業に対応し切れていないのが現状である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の課題は、自動貼り付け機に高速下に適用されるような円滑な切り離し特性を有する面状ヒータ集合体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、隣り合う面状ヒータ間の連接部に、面状ヒータの切り離し用貫通孔を設けることに着目した結果、上記の課題を一挙に解決するに至った。
【発明の効果】
【0008】
本発明の面状ヒータ集合体においては、各面状ヒータ(1)は一定の切断力で切り離されるので、自動貼り付け機に容易に適用され、機器本体への装着効率が大幅に向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の面状ヒータについて、添付図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係る面状ヒータの一態様を示す一部破断平面図である。
図2は、本発明に係る面状ヒータの他の態様を示す一部破断平面図である。
図3は、本発明で採用する貫通孔の拡大平面図である。
図4(a)は、従来の面状ヒータの一態様を示す一部破断平面図である。
図4(b)は、図4(a)のA−A線に沿う側面図である。
【0010】
図1および図2において、符号(1)〜(7)は、図4(a)および図4(b)の場合と同じである。しかしながら、これら図1および図2で特徴的なことは、図4のハーフカット部(8)の代えて、隣り合う面状ヒータ(1)間の連接部(7)の幅方向(長尺状基材(5)の長手方向と直交する方向)に、貫通孔(9)を間歇的に設けたことにある。この例では、貫通孔(9)は、文字どおり、金属箔(4a)、両面接着シート(2a)、金属箔(4b)、両面接着シート(2b)および離型紙(6)を通して穿孔されている。
このとき、連接部(7)の幅方向の両端部には欠切部(10)が形成されていると、面状ヒータの切リ離し特性はさらに向上する。
【0011】
さらに、本発明に係る面状ヒータ集合体の他の態様について、図2を参照しながら述べる。
【0012】
この図における面状ヒータ集合体は、図1に示した長尺状基材(5)上に、予め準備した同一仕様の面状ヒータ(1)の所要枚数を連接部(7)に相当する間隔(L1)をおいて順次貼付したものである。したがって、この場合の貫通孔(9)は、金属箔(4b)、両面接着シート(2b)および離型紙(6)を通して穿孔されることになる。
【0013】
上記の貫通孔(9)の詳細について述べる。
【0014】
図3には、図2の連接部(7)が拡大平面図として示されている。ここで、貫通孔(9)の幅(W)、長さ(L)およびピッチ(P)は、連接部(7)の材質、厚さおよび幅にもよるが、一般には、面状ヒータ(1)の切り離し力と面状ヒータ(1)間の連接保持力の兼ね合いを考慮して設定すればよい。面状ヒータが電子炊飯器、電子ポット、さらには洋式便器の便座などに採用される際の連接部の長さ(L1)および幅(W1)はそれぞれに5mm〜15mmおよび7mm〜100mmであることから、貫通孔(9)については、その幅(W)を0.3mm〜2.0mm、長さ(L)を0.5mm〜3.0mm、そして、ピッチ(P)を1mm〜5mm程度にすればよい。ここで、連接部(7)の幅(W1)は両面粘着シート(2b)の幅を基準とする。また、図では、貫通孔(9)の断面形状は、面状ヒータの切り離し易さの面から、連接部(7)の幅方向に沿う細長形状で示したが、この他、必要に応じて円形、楕円形、または方形等の各種形状が選択される。
【0015】
本発明に係る面状ヒータ集合体の作成態様の例についてのべる。
【0016】
図1に示した面状ヒータ集合体の作成に際しては、まず、裏面に離型紙(6)を残した長尺状両面接着シート(2b)の接着性表面に金属箔(4b)を貼付して、長尺状基材(5)を得る。そして、この金属箔(4b)上に両面接着シート(2a)を貼付し、さらにその接着性表面に、ヒータ線ユニット(3)を連接部(7)の長さ(L1)に相当する間隔をあけて載置した後、金属箔(4a)を被覆・固着すればよい。最後に、トムソン刃などの穿孔器で連接部(7)に貫通孔(9)を穿けていく。他方、図2に示した面状ヒータ集合体の作成に際しては、長尺状基材(5)を得る手順は、図1の場合と同じである。ただ、面状ヒータ(1)については、個々に予め製造されたものを必要枚数用意しておき、これらを金属箔(4b)上に、連接部(7)の長さ(L1)に相当する間隔をあけて順次貼付していく。この場合、面状ヒータ(1)の幅は両面接着シート(2b)の幅と同じであることが好ましい。最後に、トムソン刃などの穿孔器で連接部(7)に貫通孔(9)を穿けていく。
【実施例】
【0017】
この例は、図2に示した面状ヒータ集合体の製造例である。
【0018】
a.長尺状基材(5)の準備
長さ88m、幅25mm、厚さ0.15mmの両面接着シート(2b)の表面に、厚さ0.05mm、幅25mmのアルミ箔(4b)が、そして、裏面には幅25mmの離型紙(6)が貼付された長尺状基材(5)を準備した。次いで、この長尺状基材(5)の端部から880mm毎に、これに直交する方向に、幅(W)0.3mm×長さ(L)1.5mmの貫通孔(9)をピッチ3.5mmで4個、さらに両端部には深さ(d)0.15mm、幅(W)が0.3mmの欠切部(10)2個を設けた。
【0019】
b.面状ヒータの準備
100枚の同一仕様の面状ヒータ(1)を準備した。この仕様は、幅25mm、長さ860mm、ワット数40W、ヒータ線(3a)の配置パターンは図示したようなU字状とした。
【0020】
ここでは、ヒータ線(3a)として、ガラス芯に抵抗値250Ω、外径0.18mmのニクロム線を巻き、さらにシースとしてシリコーンゴムを被覆した長さ1513mm、外径2.2mmのシリコーンゴムシースヒータ線を用い、これを、幅25mm、長さ860mm、厚さ0.15mmの両面接着シート(2a)の表面にU字状に配置した。また、接続子(3b)は黄銅製のものを、そして、リード線(3c)としては、長さ174mmと186mm、0.3sqの2本のシリコーンゴム電線を用いた。各リード線の先端には黄銅製のファストン端子を設けた。
【0021】
さらに、上記U字状に配置されたヒータ線(3a)を長さ860mm、幅25mm、厚さ0.05mmのアルミ箔(4a)で被覆しながら両面接着シート(2a)表面に貼付して、面状ヒータ(1)を得た。以後、同様の作業を繰り返して、同一仕様の100枚の面状ヒータ(1)を作成する。
【0022】
c.面状ヒータ集合体の作成
a項で得た基材(5)上に、b項で得た面状ヒータ(1)を順次貼付していった。その際、最初の一枚の面状ヒータ(1)は基材(5)の一方の端部から貼りはじめ、最初の貫通孔(9)との間に5mmの間隔が形成された。二枚目の面状ヒータ(1)は、最初の貫通孔(9)から同じ間隔5mmで貼付し、以後同様な手順を追って、本発明の面状ヒータ集合体が完成した。このときの連接部(7)の長さ(L1)は10mmである。
【0023】
d.評価結果
c項にて得た面状ヒータ集合体を電子炊飯器胴部用ヒータ用の自動貼り付け機にセットし、離型紙(6)を剥がすと同時に個々の面状ヒータ(1)を貫通孔(9)の箇所で切り離して該炊飯器胴部に貼付けた。結果は、離型紙(6)の剥離作業、面状ヒータ(1)の切り離しと貼りつけ作業ともに円滑に進行した。貼りつけ速度は10枚/分の高速に達し、貼りつけ作業性が大幅に向上することが確認された。この際、カット不良の問題は一切生じなかった。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明の面状ヒータ集合体は、電子炊飯器のみならず、給湯器あるいは水道管凍結防止ヒータ等各種加熱器への展開が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る面状ヒータの一態様を示す一部破断平面図である。
【図2】本発明に係る面状ヒータの他の態様を示す一部破断平面図である。
【図3】本発明で採用する貫通孔の拡大平面図である。
【図4】従来の面状ヒータの一態様を示す一部破断平面図(図4(a))および図4(a)のA−A線に沿う側面図(図(4b))である。
【符号の説明】
【0026】
1 面状ヒータ
2a、2b 両面接着シート
3 ヒータ線ユニット
4a、4b 金属箔
5 長尺状基材
6 離型紙
7 連接部
8 ハーフカット部
9 貫通孔
10 欠切部
L 貫通孔の長さ
W 貫通孔の幅
P 貫通孔のピッチ



【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状基材上にその長手方向に沿って、複数枚の面状ヒータが固着・連接され、その際、隣り合う面状ヒータ間の連接部には該長尺状基材の長手方向と直交する方向に沿って貫通孔が間歇的に設けられていることを特徴とする面状ヒータ集合体。
【請求項2】
該面状ヒータが、両面接着シートと該両面接着シートの表面に載置されたヒータ線ユニットと該ヒータ線を被覆しつつ該両面接着シートの表面に固着された金属箔とからなる請求項1に記載の面状ヒータ集合体。
【請求項3】
該両面接着シートの裏面が該長尺状基材表面に固着されている請求項2に記載の面状ヒータ集合体。
【請求項4】
該長尺状基材が、表面に金属箔が、そして、裏面に離型紙が貼付された両面接着シートである請求項1〜3のいずれかに記載の面状ヒータ集合体。









【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−134283(P2007−134283A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−328788(P2005−328788)
【出願日】平成17年11月14日(2005.11.14)
【出願人】(000226932)日星電気株式会社 (98)
【Fターム(参考)】