説明

鞍乗り型車両

【課題】燃料タンクのタンク容量を十分に確保することができ、しかも、バッテリーのレイアウト設計を容易に行えるようにする。
【解決手段】メインパイプ10にはエンジン20を懸架して取り付ける。また、燃料タンク30をエンジン20の後側に配置する。さらに、エアクリーナ70をエンジン20の上方でメインパイプ10の中間パイプ11に固定する。そして、バッテリー80を、燃料タンク30とエアクリーナ70との間の位置でメインパイプ10の中間パイプ11に固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば二輪自動車等の鞍乗り型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、二輪自動車は、車体の骨組みを構成するフレームにエンジンが懸架して取り付けられている。また、前記フレームには、エンジンの上方に位置して燃料タンクが取り付けられている。そして、この種の従来技術による二輪自動車としては、バッテリーをエンジンとエンジンの上方に位置する燃料タンクとの間に配置する構成としたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開昭56−82677号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、前記特許文献1に記載の二輪自動車では、バッテリーを燃料タンクの下側で燃料タンクの近傍に配置しているため、このバッテリーが邪魔になって燃料タンクのタンク容量を確保することが難しいという問題がある。また、燃料タンクを大型化してタンク容量を確保しようとすると、燃料タンクを大型化した分だけ車高が高くなってしまうので、車高を低く抑えるために二輪自動車の各種構成部品のレイアウトに工夫を施す必要があるという問題ある。さらに、燃料タンクとエンジンとの間の狭いスペースにバッテリーを配置しているため、バッテリーのレイアウト設計が難しいという問題もある。
【0004】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたもので、燃料タンクのタンク容量を十分に確保することができ、しかも、バッテリーのレイアウト設計を容易に行えるようにした鞍乗り型車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記従来技術の問題点を解決するための本発明に係る鞍乗り型車両はエンジンの上方に配置されたエアクリーナと、該エアクリーナの後方で前記エンジンの上方に配置されたバッテリーと、該バッテリーの後方に配置された燃料タンクと、を備え、バッテリーの上端よりも燃料タンクの上端が下方に位置していると共に、前記バッテリーの下端よりも燃料タンクの下端が下方に位置している。
【0006】
バッテリーの後方に燃料タンクを配置することにより、バッテリーと燃料タンクとが干渉することが抑制され、燃料タンクのタンク容量を容易に確保することができる。また、エンジンの上方にエアクリーナ及びバッテリーを配置することにより、燃料タンクをエンジン上方に配置する場合と比較して、車高を低く抑えることができる。また、バッテリーの下端よりも燃料タンクの下端が下方に位置しているので、車高を低く抑えることができる。さらに、車両上下方向で燃料タンクとエンジンとの間の狭いスペースにバッテリーを配置する場合と比較して、バッテリーレイアウトも容易である。
【0007】
また、本発明の一態様においては、エアクリーナおよびバッテリーを覆うカバーと、燃料タンクの上方を覆うシートとをさらに備えることができる。このように構成すれば、カバーでエアクリーナおよびバッテリーを覆うことができるため、燃料タンクでこれらエアクリーナおよびバッテリーの上方を覆う場合に較べて車高を低く抑えることができる。
【0008】
バッテリーは、カバーとシートとの接合部に配設されることができる。このように構成すれば、カバーとシートを取り外すだけで、バッテリーを車体の上方から容易に着脱することができる。
【0009】
さらに、本発明の一態様においては、バッテリーは車両の前後方向に延びるフレームの屈曲面に沿って配置されることができる。このように構成すれば、バッテリーは上方に突出することなく、カバーとシートとのつなぎ形状を形成することができる。
【0010】
さらに、本発明の一態様においては、エンジンは前側気筒と後側気筒とを有するV型エンジンであり、バッテリーは前記後側気筒の上方でかつ当該後側気筒の軸線上に配設されることができる。このように構成すれば、カバーとシートを取り外すだけで、エンジンとバッテリーとを接続する配線の着脱を容易に行うことができる。
【0011】
また、本発明の一態様においては、バッテリーは、車両の幅方向よりも前後方向が長くなるように前記フレームに取り付けられることができる。このように構成すれば、バッテリーが車体から左右の幅方向外側に突出することがなくなり、運転者が車体に跨ったときの膝あたりの車体の幅を狭く形成でき、乗り心地を高めることができる。
【0012】
また、本発明の一態様においては、燃料タンクは、その少なくとも一部が前記バッテリーの後端よりも前方に膨出していることができる。このように構成すれば、燃料タンクの少なくとも一部をバッテリーの後端よりも前方に膨出させた分だけ燃料タンクのタンク容量を増やすことができる。
【0013】
また、本発明の一態様においては、燃料タンク内に配置される燃料ポンプはバッテリーの後端よりも後方に位置していることができる。このように構成すれば、燃料ポンプがバッテリーと干渉することが抑制され、燃料ポンプのレイアウトを容易に行うことができる。
【0014】
さらに、本発明の一態様においては、車両の前後方向に延びるフレームはその後部にエンジンの後部に向かって下向きに延びる後側フレームを備え、前記後側フレームにはスイングアームが揺動可能に連結され、後輪は前記スイングアームに連結され、側面視で前記後側フレームと前記スイングアームと前記後輪とにより囲まれた空間内には少なくとも前記燃料タンクの一部が配設されていることができる。このように構成すれば、燃料タンクをフレームとスイングアームと後輪で囲まれた空間を利用して容易に配置することができ、燃料タンクのタンク容量を確実に確保することができる。
【0015】
さらに、本発明の一態様においては、エンジンの後方では一対の後側フレームが上下方向に延び、後側フレームと燃料タンクとは側面視で部分的に重なり合っていることができる。このように構成すれば、一対の後側フレーム間のスペースを利用して燃料タンクを容易に配置することができ、燃料タンクのタンク容量を増やすことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る鞍乗り型車両によれば、エンジンの上方に配置されたエアクリーナと、エアクリーナの後方でエンジンの上方に配置されたバッテリーと、バッテリーの後方に配置された燃料タンクと、を備え、バッテリーの上端よりも燃料タンクの上端が下方に位置していると共に、バッテリーの下端よりも燃料タンクの下端が下方に位置している構成としたので、バッテリーの後方に燃料タンクを配置することにより、バッテリーと燃料タンクとが干渉することが抑制され、燃料タンクのタンク容量を容易に確保することができる。また、エンジンの上方にエアクリーナ及びバッテリーを配置することにより、燃料タンクをエンジン上方に配置する場合と比較して、車高を低く抑えることができる。また、バッテリーの下端よりも燃料タンクの下端が下方に位置しているので、車高を低く抑えることができる。さらに、車両上下方向で燃料タンクとエンジンとの間の狭いスペースにバッテリーを配置する場合と比較して、バッテリーレイアウトも容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の第1の実施の形態に係る鞍乗り型車両を二輪自動車に適用した場合を例に挙げ、図1ないし図5を参照して説明する。本発明の実施の形態に係る二輪自動車1は、図1および図2に示すように、左右のメインパイプ10,10(図3参照)、エンジン20、燃料タンク30、エアクリーナ70およびバッテリー80を含んで構成されている。
【0018】
メインパイプ10は、車体の骨組みを構成するフレームとして形成されている。そして、メインパイプ10は、エンジン20の上方を車体の前後方向でかつ略水平方向に延びる中間パイプ11と、上端側が中間パイプ11の前端11A側に溶接され、当該前端11A側からエンジン20の前方を下向きに延びる前側パイプ12と、上端側が中間パイプ11の後端側に溶接され、当該後端側からエンジン20の後方を下向きに延びる後側フレームである後側パイプ13とを備えている。なお、中間パイプ11の前端11Aは、後述する後側パイプ13のエンジンブラケット13A,13Bよりも前側に位置している。なお、後側パイプ13は中間パイプ11に一体形成してもよい。
【0019】
また、前側パイプ12の下端側にはエンジンブラケット12Aが突設され、このエンジンブラケット12Aには後述するエンジン20の前側気筒22が固定されている。また、中間パイプ11の長手方向中間部にはエンジンブラケット11Bが設けられている。このエンジンブラケット11Bは中間パイプ11から後述するエンジン20の前側気筒22と後側気筒23との間に向けて垂下して延び、その下端側は二又状に分離している。そして、このエンジンブラケット11Bの下端側にはエンジン20の前側気筒22および後側気筒23がそれぞれ固定されている。
【0020】
また、メインパイプ10の後部側に位置する後側パイプ13は、図1および図2に示すように、中間パイプ11の後端11Cから後述するピポット軸41の後側へと廻り込むように円弧状に湾曲しながら下向きに延びている。そして、後側パイプ13の下端側には上下に離間して上側エンジンブラケット13Aおよび下側エンジンブラケット13Bが突設され、これら上側エンジンブラケット13A、下側エンジンブラケット13Bには、後述するエンジン20の上側ケース21A、下側ケース21Bがそれぞれ固定されている。また、後側パイプ13は後述する燃料タンク30の前側部位30Aと側面視で重なり合うように配置されている。さらに、後側パイプ13の上側部位13Cは側面視で幅狭に形成されると共に、下側部位13Dは側面視で幅広に形成されている。
【0021】
また、後側パイプ13の下側部位13Dにはスイングアーム40の前端側がピポット軸41を介して揺動可能に連結されている。また、スイングアーム40の後端側は後輪60の回転軸に回転可能に連結されている。
【0022】
さらに、メインパイプ10には、後側パイプ13の上側部位13Cから後方へと延びるシートレール24がボルト止めされている。そして、後側パイプ13の下側部位13Dには後方へと斜め上向きに湾曲して延びるバックステー25がボルト止めされ、このバックステー25の上端側はシートレール24の途中部位にボルト止めされている。また、バックステー25の上端側とスイングアーム40の後端側との間にはショックアブソーバ26が設けられている。
【0023】
また、メインパイプ10を構成する中間パイプ11の前端にはヘッドパイプ14が溶接され、このヘッドパイプ14にはハンドル2に設けられた回転軸(図示せず)が回転可能に挿嵌されている。また、ハンドル2の回転軸は左右方向に延びるアンダーブラケット16の長手方向中間部に固定されると共に、このアンダーブラケット16の左右両端側には左右のフロントフォーク17(一方のみ図示)の上端側が挿入して固定されている。そして、このフロントフォーク17の下端側には前輪50が回転可能に連結されている。なお、4は外装カバーで、この外装カバー4は、シートレール24、バックステー25および燃料タンク30等を外側から覆うものである。
【0024】
エンジン20は、所謂V型4気筒のエンジンとして構成されている。そして、このエンジン20は、上側ケース21Aと下側ケース21Bとによって上下2分割されたクランクケース21と、前記上側ケース21Aの上部前側から上斜め前方に延びる左右の前側気筒22(一方のみ図示)と、前側気筒22の後側に位置して前記上側ケース21Aの上部から上斜め後方に延びる左右の後側気筒23(一方のみ図示)とを含んで構成される。そして、このエンジン20は、エンジンブラケット11B,12A,13A,13B等を介してメインパイプ10に懸架して取り付けられている。
【0025】
燃料タンク30は、エンジン20の後方、詳しくはメインパイプ10の後側パイプ13の後側でかつ運転者が座るシート32の下側に配設されている。このシート32は燃料タンク30の上方を覆うように配置されている。また、燃料タンク30はバッテリー80の後方に配置されている。
【0026】
さらに、燃料タンク30は、その上端30Bがバッテリー80の上端80Aよりも下方に配置されると共に、下端30Cがバッテリー80の下端80Bよりも下方に配置されている。また、この燃料タンク30は、図1に示すように、側面視でメインフレーム10の後側パイプ13とスイングアーム40と後輪60によって取り囲まれた空間S内に配設されている。さらに、燃料タンク30は側面視でメインフレーム10の後側パイプ13と部分的に重なり合うように一対の後側パイプ13の間に配設されている。
【0027】
また、この燃料タンク30は、シートレール24およびバックステー25等にボルト止めされている。また、燃料タンク30は図5に示すように車体の後方からの視線で見て略四角形状に形成され、左右の外装カバー4,4とシート32とスイングアーム40とで取り囲まれた空間内に収容されている。また、バッテリー80、燃料タンク30、後輪60の車体幅方向の中心は車体の幅方向中心、つまり図5中の中心線Bに沿って配設されている。車体中心からのバッテリー80の左右の張り出しが均一となり、運転者が車体に跨ったときの膝あたりが左右均一となり、乗り心地の向上を図ることができる。
【0028】
そして、燃料タンク30にはエンジン20に供給するためのガソリンが収容されている。なお、燃料タンク30の前部側には、メインパイプ10の後側パイプ13の近傍に位置してエンジン20に燃料を供給するための燃料ポンプ31が配置されている。この燃料ポンプ31はバッテリー80の後端80Cよりも後方に配設されている。
【0029】
エアクリーナ70は、エンジン20に供給される空気中に含まれる塵埃等の異物を除去するものである。そして、このエアクリーナ70は図2に示すようにメインパイプ10の中間パイプ11の上面から突出して配置されている。そして、エアクリーナ70はエンジン20の上方に配設され、メインパイプ10の中間パイプ11にボルト止めされている。また、エアクリーナ70は外装カバー33によって外側から覆われている。
【0030】
なお、図2および図4に示すように、エアクリーナ70とエンジン20の前側気筒22との間は前側吸気管34によって接続され、この前側吸気管34の途中にはエアクリーナ70から前側気筒22に吸入される吸入空気の量を調整するための前側スロットルボディ35が設けられている。また、同じくエアクリーナ70とエンジン20の後側気筒23との間は後側吸気管36によって接続され、この後側吸気管36の途中にはエアクリーナ70から後側気筒23に吸入される吸入空気の量を調整するための後側スロットルボディ37が設けられている。
【0031】
バッテリー80は、エンジン20の出力の一部で発電した電力を充電して蓄え、この電力を必要に応じて、エンジン20、照明、計器(いずれも図示せず)等に供給するものである。そして、このバッテリー80は図2および図3に示すように略直方体状に形成され、燃料タンク30の前方でかつエアクリーナ70の後方に配設されている。また、バッテリー80は図2に示すようにエアクリーナ70と共にメインパイプ10の中間パイプ11の上面から突出して配置されると共に、外装カバー33とシート32との接合部Lに配設されている。さらに、このバッテリー80は図2に示すように中間パイプ11の屈曲面に沿って配設されている。また、バッテリー80は図5に示すようにその上端側がシート32よりも上方に突出している。
【0032】
また、バッテリー80は、エンジン20の後側気筒23の上方でかつ当該後側気筒23の軸線A(図2参照)上に沿って配置されている。このバッテリー80には、図3に示すように、その左右の側面および後面にブラケット80A,80B,80Cが取り付けられている。そして、バッテリー80は車両の幅方向よりも前後方向が長くなった状態、つまり長手方向が前後方向に向いた状態で例えばメインパイプ10を構成する中間パイプ11の後端側および左右の中間パイプ11を連結する連結板13Fにブラケット80A,80B,80Cを介してボルト止めにより固定されている。また、このバッテリー80はエアクリーナ70と共に外装カバー33によって外側から覆われている。
【0033】
なお、エンジン20と前輪50との間には、上側ラジエータ90と下側ラジエータ91とが配置されている。上側ラジエータ90は例えばメインパイプ10の前側パイプ12に固定されると共に、下側ラジエータ91は、エンジン20のクランクケース21に固定されている。
【0034】
また、フロントフェンダー51とフロントフォーク17には略三角形状の板材からなるブラケット52が取り付けられている。このブラケット52にはフロントフォーク17を前方から側方にかけて覆うように幅方向に対して円弧状に湾曲した略長方形状の板材からなるカバー53が固定されている。このカバー53は、走行時に埃や虫等の異物がフロントフォーク17に衝突するのを防止するための保護カバーとしての機能を有している。
【0035】
このように構成される本実施の形態に係る二輪自動車1は、バッテリー80を、メインフレーム10の中間パイプ11に取り付けられるエアクリーナ70の後方でかつ後側パイプ13の後方に配置される燃料タンク30の前方に形成される広いスペースに配置することができ、バッテリー80のレイアウト設計を容易に行うことができる。
【0036】
しかも、バッテリー80の後方に燃料タンク30を配置し、バッテリー80の上端80Aよりも燃料タンク30の上端30Bを下方に配設すると共に、このバッテリー80の下端80Bよりも燃料タンク30の下端30Cを下方に配設する構成としたので、バッテリー80と燃料タンク30との干渉が抑制され、燃料タンク30のタンク容量をより一層容易に確保することができる。また、エンジン20の上方にエアクリーナ70及びバッテリー80を配置することにより、燃料タンク30をエンジン20上方に配置する場合と比べて、車高を低く抑えることができる。また、バッテリー80の下端80Bよりも燃料タンク30の下端30Cが下方に位置しているので、車高を低く抑えることができる。また、エアクリーナ70、バッテリー80、燃料タンク30が車両前後方向でオフセット配置されているので、それぞれ上方からアクセスし易くメンテナンス性の向上を図ることができ、給油も容易にできる。
【0037】
また、バッテリー80を燃料タンク30の前方で燃料タンク30から十分に間隔をおいて配置する構成としているため、燃料タンク30を大型化して形成した場合でも、燃料タンク30とバッテリー80との干渉が抑制され、燃料タンク30のタンク容量を確保することができる。
【0038】
また、バッテリー80を、その長手方向が前後方向に向くように配置する構成としているため、バッテリー80が車体から左右の幅方向外側に突出することがなくなり、運転者が車体に跨ったときの膝あたりの車体の幅を狭く形成でき、乗り心地を高めることができる。
【0039】
さらに、比較的重量の重いバッテリー80を車体の前部側に位置するエアクリーナ70の近傍に配置する構成としているため、バッテリー80によって前輪分担荷重を大きく設定することができ、二輪自動車1の乗り心地を高めることができる。
【0040】
さらに、バッテリー80を外装カバー33とシート32との接合部Lに配設したので、メンテナンス時には外装カバー33とシート32とを取り外すだけで、バッテリー80のメンテナンス作業(交換等)を容易に行うことができ、メンテナンス時の作業性を向上することができる。
【0041】
また、バッテリー80を後側気筒23の上方でかつ後側気筒23の軸線A上に配設したので、メンテナンス時にはエンジン20とバッテリー80とを接続する配線(図示せず)の着脱を容易に行うことができ、メンテナンス時に作業性を高めることができる。
【0042】
一方、本実施の形態では、メインパイプ10の後部側に位置する後側パイプ13を円弧状に湾曲させる構成としている。このため、メインパイプ10の後側パイプ13をエンジン20のクランクケース21に連結したときには、前記従来技術で述べたようにエンジンからの荷重がメインパイプの屈曲部に局所的に集中して加えられることがなくなり、エンジン20からの荷重をメインパイプ10全体に均等に加えることができ、メインパイプ10の剛性を高めることができる。
【0043】
また、メインパイプ10の後部側に位置する後側パイプ13を、中間パイプ11の後端からピポット軸41の後側へと廻り込むようにしてエンジン20のクランクケース21に連結させる構成としているから、前記従来技術のように前側パイプの後端側からほぼ垂直下向きに後側パイプをストレートに延ばしてエンジンのクランクケースに連結した場合に比べて、メインパイプ10に伝わるエンジン20からの後方への荷重を、後側パイプ13で確実に受け止めることができ、これによってもメインパイプ10の剛性を高めることができ、自動二輪車1の性能、信頼性等を向上することができる。
【0044】
次に、図6は本発明の第2の実施の形態を示している。なお、本実施の形態では、第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0045】
ここで、本実施の形態に用いる燃料タンク100は、前記第1の実施の形態で述べた燃料タンク30と同様に、前側部位100A、上端100Bおよび下端100Cを有し、前記第1の実施の形態で述べた燃料タンク30とほぼ同様位置に配置されている。
【0046】
しかし、本実施の形態による燃料タンク100は、その前側部位100A側がバッテリー80の後端を通る図6中に示すラインLよりも前方に膨出した膨出部100Eとして形成されている点で、第1の実施の形態とは異なっている。
【0047】
このように構成される本実施の形態では、燃料タンク100の前側部位100A側をバッテリー80の後端よりも前方に膨出させる構成としたので、この膨出させた膨出部100Eの分だけ燃料タンク100のタンク容量を増やすことができる。
【0048】
なお、本実施の形態では、鞍乗り型車両として二輪自動車1を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、例えば三輪自動車、バギー等の他の鞍乗り型車両に適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る二輪自動車を示す側面図である。
【図2】図1中のメインフレーム、エンジン、燃料タンク、エアクリーナおよびバッテリーを示す部分拡大図である。
【図3】図1中のメインパイプ、エアクリーナ、バッテリー等を示す斜視図である。
【図4】図1中の矢示IV−IV方向からみた断面図である。
【図5】図1中の矢示V−V方向からみた断面図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係るメインフレーム、エンジン、燃料タンク、エアクリーナおよびバッテリーを図2と同様位置からみた部分拡大図である。
【符号の説明】
【0050】
1 自動二輪車(鞍乗り型車両)、10 メインパイプ(フレーム)、13 後側パイプ(後側フレーム)、20 エンジン、23 後側気筒、30,100 燃料タンク、33 外装カバー(カバー)、70 エアクリーナ、80 バッテリー、100E 膨出部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの上方に配置されたエアクリーナと、
該エアクリーナの後方で前記エンジンの上方に配置されたバッテリーと、
該バッテリーの後方に配置された燃料タンクと、
を備え、
前記バッテリーの上端よりも燃料タンクの上端が下方に位置していると共に、前記バッテリーの下端よりも燃料タンクの下端が下方に位置していることを特徴とする鞍乗り型車両。
【請求項2】
前記エアクリーナおよび前記バッテリーを覆うカバーと、燃料タンクの上方を覆うシートとをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の鞍乗り型車両。
【請求項3】
前記バッテリーは、前記カバーと前記シートとの接合部に配設されたことを特徴とする請求項2に記載の鞍乗り型車両。
【請求項4】
前記バッテリーは車両の前後方向に延びるフレームの屈曲面に沿って配置されたことを特徴とする請求項3に記載の鞍乗り型車両。
【請求項5】
前記エンジンは前側気筒と後側気筒とを有するV型エンジンであり、前記バッテリーは前記後側気筒の上方でかつ当該後側気筒の軸線上に配設されたことを特徴とする請求項4に記載の鞍乗り型車両。
【請求項6】
前記バッテリーは、車両の幅方向よりも前後方向が長くなる状態で前記フレームに取り付けられたことを特徴とする請求項1に記載の鞍乗り型車両。
【請求項7】
前記燃料タンクは、その少なくとも一部が前記バッテリーの後端よりも前方に膨出していることを特徴とする請求項1に記載の鞍乗り型車両。
【請求項8】
前記燃料タンク内に配置される燃料ポンプは前記バッテリーの後端よりも後方に位置していることを特徴とする請求項1に記載の鞍乗り型車両。
【請求項9】
車両の前後方向に延びるフレームはその後部に前記エンジンの後部に向かって下向きに延びる後側フレームを備え、前記後側フレームにはスイングアームが揺動可能に連結され、後輪は前記スイングアームに連結され、側面視で前記後側フレームと前記スイングアームと前記後輪とにより囲まれた空間内には少なくとも前記燃料タンクの一部が配設されていることを特徴とする請求項1に記載の鞍乗り型車両。
【請求項10】
前記エンジンの後方では一対の後側フレームが上下方向に延び、後側フレームと前記燃料タンクとは側面視で部分的に重なり合っていることを特徴とする請求項1に記載の鞍乗り型車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−137408(P2007−137408A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−249869(P2006−249869)
【出願日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】