説明

音データ処理装置

【課題】可動部を有した音データ処理装置において、録音時のマイクロホンの位置が予め設定された位置と異なっても、音源分離後の音データの劣化を防ぐ。
【解決手段】音データ処理装置は、第1の筐体201と、第1の筐体201に対して相対的に位置を変更することが可能な第2の筐体202と、から構成される。第1の筐体201と第2の筐体202にはそれぞれマイクロホン102〜105が配置される。音データ処理装置は、第1の筐体201と第2の筐体202の位置関係を検出し、この位置関係からマイクロホン102〜105の位置関係を求め、求めた位置関係に基づいて、マイクロホン102〜105から取り込んだ音データに音源分離処理を施し、特定の音源からの音データを強調或いは減衰する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のマイクロホンを備える音データ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のマイクロホンで音声を取り込み、特定の音声を抽出あるいは抑圧する音源分離技術が知られている(例えば、非特許文献1)。この音源分離技術は、近年では、ビデオカメラ、携帯電話、ICレコーダ等の携帯機器に広く適用されている。
例えば、特許文献1には、音源分離機能を備えるビデオカメラの録音装置が開示されている。この録音装置は、ビデオカメラの被写体へのフォーカシングに同期して、マイクロホンの指向特性を被写体にフォーカシングし、被写体からの音声信号を抽出して臨場感の高い録音を可能とする。
また、特許文献2には、動画撮影時に複数マイクロホンの音声を画像と共に記録し、撮影後に、画像内に表示された音源の音に対して音源分離を行う音声データ編集装置が開示されている。
【0003】
上記のような、音源分離の性能・解像度の保持のためには、一定数のマイクロホンが必要である。また、各マイクロホンの間隔も一定の間隔が必要な場合がある。さらに、音源の分析方向の範囲を広げるためには、マイクロホンを平面的に配置するだけでなく、立体的に配置する必要がある。しかし、ビデオカメラや、携帯電話等の携帯端末においては、マイクロホンを設置可能な部位が限られているため、複数のマイクロホンを理想的な位置に設置することは難しい。
【0004】
そこで、可動部(例えば、ビデオカメラのモニタ部を有した筐体、折り畳みタイプやスライドタイプの携帯電話のモニタ部を有した筐体)を有する携帯端末にあっては、可動部にもマイクロホンを配置している。
【0005】
可動部にマイクロホンを配置した場合、可動部の動きにより、マイクロホンが予定位置からずれてしまい、音源処理を適切に実行できず、音源分離処理後の音データの品質が低下する場合がある。さらに、原音声をも劣化させてしまう事態が想定される。しかし、上述した特許文献1及び2に開示されている技術は、マイクロホンの位置(マイク位置)が撮影時に変化することは考慮していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−308553号公報
【特許文献2】特開2008−131168号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】戸上真人,天野明雄,新庄広,鴨志田亮太,“人間共生ロボットEMIEWの聴覚機能”,人工知能学会,pp.59−64,2005/10/14
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、録音時のマイクロホンの位置が予め設定された位置と異なっても、音源分離後の音データの劣化を防ぐことを目的とする。
また、本発明は、可動部にマイクロホンが設置された電子機器において、適切に音源分離処理を可能とすることを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る音データ処理装置は、
第1の筐体と、
第1の筐体に対して相対的に位置を変更することが可能な第2の筐体と、
前記第1の筐体に設けられる少なくとも1つ以上のマイクロホンと、
前記第2の筐体に設けられる少なくとも1つ以上のマイクロホンと、
前記第1の筐体と前記第2の筐体との位置関係を検出する位置検出手段と、
前記位置検出手段により検出された位置関係から、前記第1の筐体に設けられる少なくとも1つ以上のマイクロホンと前記第2の筐体に設けられる少なくとも1つ以上のマイクロホンとから構成される複数のマイクロホンの位置関係を求めるマイク位置取得手段と、
前記マイク位置取得手段により取得された前記複数のマイクロホンの前記位置関係に基づいて、前記複数のマイクロホンから取り込んだ音データに音源分離処理を施す音源分離手段と、
を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の第2の観点に係る音データ処理装置は、
第1の筐体と、
第1の筐体に対して相対的に位置を変更することが可能な第2の筐体と、
前記第1の筐体に設けられる少なくとも2つ以上のマイクロホンと、
前記第2の筐体に設けられる少なくとも1つ以上のマイクロホンと、
前記第1の筐体と前記第2の筐体との位置関係が所定の位置関係であるか否かを判別する位置判別手段と、
前記第1の筐体と前記第2の筐体との前記位置関係が前記所定の位置関係と同じ場合、前記第1及び第2の筐体に設けられたマイクロホンを選択し、前記第1の筐体と前記第2の筐体の前記位置関係が前記所定の位置関係と異なる場合、前記第1の筐体に設けられたマイクロホンを選択するマイクロホン選択手段と、
前記選択されたマイクロホンの位置関係に基づいて、前記選択されたマイクロホンから取り込んだ音データに音源分離処理を施す音源分離手段と、
を備えることを特徴とする。
【0011】
好ましくは、
前記第1の筐体と前記第2の筐体の前記位置関係が前記所定の位置関係と同じ場合に、前記第1の筐体に設けられる少なくとも2つ以上のマイクロホンと前記第2の筐体に設けられる少なくとも1つ以上のマイクロホンとから構成される複数のマイクロホンの位置関係を求めるマイク位置取得手段をさらに備え、
前記音源分離手段は、前記複数のマイクロホンの前記位置関係が前記所定の位置関係と同じ場合に、前記マイク位置取得手段により取得された前記複数のマイクロホンの前記位置関係に基づいて、前記複数のマイクロホンから取り込んだ音データに音源分離処理を施す、
ことを特徴とする。
【0012】
さらに好ましくは、
前記音源分離手段により音源分離処理が施された音データを記録する手段をさらに備える、ことを特徴とする。
【0013】
本発明の第3の観点に係る音データ処理装置は、
第1の筐体と、
第1の筐体に対して相対的に位置を変更することが可能な第2の筐体と、
前記第1の筐体に設けられる少なくとも1つ以上のマイクロホンと、
前記第2の筐体に設けられる少なくとも1つ以上のマイクロホンと、
前記マイクロホンの位置関係を特定するための情報を取得するマイク位置特定情報取得手段と、
前記マイクロホンから取り込んだ音データと、前記マイク位置特定情報取得手段で取得したマイク位置特定情報とを記録媒体に記録させる記憶手段と、
を備えることを特徴とする。
【0014】
本発明の第4の観点に係る音データ処理装置は、
第1の筐体と、
第1の筐体に対して相対的に位置を変更することが可能な第2の筐体と、
前記第1の筐体に設けられる少なくとも2つ以上のマイクロホンと、
前記第2の筐体に設けられる少なくとも1つ以上のマイクロホンと、
前記第1の筐体と前記第2の筐体との位置関係が所定の位置関係であるか否かを判別する位置判別手段と、
前記第1の筐体と前記第2の筐体との前記位置関係が前記所定の位置関係と同じ場合、前記第1及び第2の筐体に設けられたマイクロホンを選択し、前記第1の筐体と前記第2の筐体との前記位置関係が前記所定の位置関係と異なる場合、前記第1の筐体に設けられたマイクロホンを選択するマイクロホン選択手段と、
前記マイクロホン選択手段で選択した前記マイクロホンの位置関係を特定するための情報を取得するマイク位置特定情報取得手段と、
前記マイクロホン選択手段で選択した前記マイクロホンから取り込んだ音データと、前記マイク位置特定情報取得手段で取得したマイク位置特定情報とを記録媒体に記録させる記憶手段と、
を備えることを特徴とする。
【0015】
好ましくは、
前記マイク位置特定情報取得手段は、前記第1の筐体と前記第2の筐体との前記位置関係を検出する位置検出手段をさらに備え、
前記マイク位置特定情報は、前記第1の筐体と前記第2の筐体との前記位置関係を示す情報を含む、
ことを特徴とする。
【0016】
また、好ましくは、
前記第1の筐体と前記第2の筐体との前記位置関係を検出する位置検出手段と、
前記位置検出手段により検出された位置関係から、前記第1の筐体に設けられる少なくとも2つ以上のマイクロホンと前記第2の筐体に設けられる少なくとも1つ以上のマイクロホンとから構成される複数のマイクロホンの位置関係を求めるマイク位置取得手段と、
をさらに備え、
前記マイク位置特定情報は、前記マイク位置取得手段により取得された前記複数のマイクロホンの前記位置関係を特定する情報を含む、
ことを特徴とする。
【0017】
さらに好ましくは、
前記マイク位置特定情報は、前記マイクロホンの位置関係が変化したタイミングを特定する情報、または、録音時点でのマイクロホンの位置関係を特定する情報、を含む、
ことを特徴とする。
【0018】
また、さらに好ましくは、
前記第1の筐体と第2の筐体との前記位置関係が前記所定の位置関係と異なる場合に警告を行う警告手段
をさらに備えることを特徴とする。
【0019】
また、さらに好ましくは、
音データ処理装置により記録媒体に記録された音データを読み出す読み出し手段と、
前記記録媒体に記録されているマイク位置特定情報に基づいて録音時のマイクロホンの位置関係を特定するマイク位置特定手段と、
前記読み出し手段により読み出された音データに、前記マイク位置特定手段で特定されたマイクロホンの位置関係に基づいて、音源分離処理を施す音源分離手段と、
前記音源分離処理を施した音データを再生する再生手段と、
を備えることを特徴とする。
【0020】
また、さらに好ましくは、
音データ処理装置により記録媒体に記録された音データを読み出す読み出し手段と、
前記記録媒体に記録されているマイク位置特定情報に基づいて録音時のマイクロホンの位置関係を特定するマイク位置特定手段と、
前記読み出し手段により読み出された音データに、前記マイク位置特定手段で特定されたマイクロホンの位置関係に基づいて、音源分離処理を施す音源分離手段と、
前記音源分離処理を施した音データを再生する再生手段と、
を備え、
音データ処理装置により記録媒体に前記マイクロホンの位置関係が変化したタイミングを特定する情報に基づいて、前記読み出し手段により読み出した音データが、前記マイクロホンの位置関係が変化したタイミングに達することを契機として、前記位置関係から前記複数のマイクロホンの位置関係を求めるマイク位置取得手段と、
をさらに備えることを特徴とする。
【0021】
また、さらに好ましくは、
音データ処理装置により記録媒体に記録された音データを読み出す読み出し手段と、
前記記録媒体に記録されているマイク位置特定情報に基づいて録音時のマイクロホンの位置関係を特定するマイク位置特定手段と、
前記読み出し手段により読み出された音データに、前記マイク位置特定手段で特定されたマイクロホンの位置関係に基づいて、音源分離処理を施す音源分離手段と、
前記音源分離手段により音源分離処理が施された音データを記憶する音源分離データ記憶手段と、
を備えることを特徴とする。
【0022】
また、さらに好ましくは、
音データ処理装置により記録媒体に記録された音データを読み出す読み出し手段と、
前記記録媒体に記録されているマイク位置特定情報に基づいて録音時のマイクロホンの位置関係を特定するマイク位置特定手段と、
前記読み出し手段により読み出された音データに、前記マイク位置特定手段で特定されたマイクロホンの位置関係に基づいて、音源分離処理を施す音源分離手段と、
前記音源分離手段により音源分離処理が施された音データを記憶する音源分離データ記憶手段と、
を備え、
音データ処理装置により記録媒体に前記マイクロホンの位置関係が変化したタイミングを特定する情報に基づいて、前記読み出し手段により読み出した音データが、前記マイクロホンの位置関係が変化したタイミングに達することを契機として、前記位置関係から前記複数のマイクロホンの位置関係を求めるマイク位置取得手段と、
をさらに備えることを特徴とする。
【0023】
また、さらに好ましくは、
前記記録媒体に記録された音データ、又は、前記音源分離手段により音源分離処理が施された音データに対し音編集処理を施す音編集手段
をさらに備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、可動部に設置されたマイクロホンを有する携帯機器において、可動部が撮影又は録音中に動かされたとしても、音源分離後の音データの劣化を防ぐことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態1に係る携帯装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【図2】(a)及び(b)は、本発明の実施形態1に係る携帯装置の外観上の構成例を示す図である。
【図3】本発明の実施形態1に係る携帯装置の録画処理の流れを示すフローチャート図である。
【図4】(a)は、マイクロホンの基準位置を示すテーブルの例であり、(b)は、ヒンジ角θとφの変化とマイクロホンの位置との関係を示すテーブルの例である。
【図5】本発明の実施形態2に係る携帯装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【図6】本発明の実施形態2に係る携帯装置の録画処理の流れを示すフローチャート図である。
【図7】本発明の実施形態2に係る録画データの例を示す図である。
【図8】本発明の実施形態2に係る携帯装置の再生編集処理の流れを示すフローチャート図である。
【図9】本発明の実施形態3に係る携帯装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【図10】(a)及び(b)は、本発明の実施形態3に係る携帯装置の外観上の構成例を示す図である。
【図11】本発明の実施形態3に係る携帯装置の録画処理の流れを示すフローチャート図である。
【図12】(a)は、携帯装置901aにおける、スイッチ判別信号とマイクロホンの位置との対応関係の例を示す図であり、(b)は、携帯装置901bにおける、スイッチ判別信号とマイクロホンの位置との対応関係の例を示す図である。
【図13】本発明の実施形態4に係る携帯装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【図14】本発明の実施形態4に係る携帯装置の録画処理の流れを示すフローチャート図である。
【図15】本発明の実施形態4に係る録画データの例を示す図である。
【図16】本発明の実施形態4に係る携帯装置の再生編集処理の流れを示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、音データ処理機能及び動画撮影機能を有する折り畳み型の携帯電話等の携帯装置に本発明が適用される実施の形態を説明する。また、特定の音源のみの抽出又は抑圧を行う技術を総称して音源分離処理と呼ぶ。
【0027】
(実施形態1)
<録画時に、可動部を有する携帯装置の姿勢を判別し、判別した姿勢に従って音源分離処理を適切に行う例>
本実施形態では、本体部と可動部とを備える携帯装置101において、本体部と可動部とがなす角度に応じて、音源分離処理を適切に行い、音源分離処理を施した音データを画像と共に記憶する携帯装置101について説明する。
【0028】
本実施形態の携帯装置101は、図1に示すように、マイクロホン102〜105と、ADC(Analog to Digital Converter)106と、撮影部107と、入力部108と、角度センサ109と、制御部110と、記憶部113と、表示部114と、DAC(Digital to Analog Converter)115と、スピーカ116と、を備える。
【0029】
マイクロホン102〜105は、音を集音し、集音した音をアナログ信号に変換する。後述するように、マイクロホン102〜104は、本体に、マイクロホン105は、可動部に配置されている。
【0030】
ADC106はマイクロホン102〜105から入力された音データのアナログ信号をデジタル信号に変換し、そのデジタル信号を制御部110に送る。
【0031】
撮影部107は、本体に設置され、CCD(Charge Coupled Device)カメラ、CMOS(Complimentary MOS)センサ等から構成され、映像を電気信号に変換し、映像信号を制御部110に送る。
【0032】
入力部108は、電源スイッチや録音又は録画ボタン、映像ズーム倍率の指定、音源抽出や抑圧等の音源分離処理の効果(音源分離効果)を指定するためのボタン等から構成される。ユーザよりズーム制御や音源分離処理等の各種制御処理の指示を受け付け、その指示情報を制御部110に送る。
【0033】
角度センサ109は、ロータリー・エンコーダ、ジャイロセンサ等から構成され、表示部114を備える可動部に設置される。角度センサ109は、本体部と可動部とのなす角度(後述するヒンジ部の角度(ヒンジ角度))を検出し、その角度情報を制御部110に送る。
【0034】
制御部110は、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)とから構成される。制御部110は、記憶部113に格納されているプログラムを実行し、携帯装置101本来の機能を実行すると共に、音データ処理装置としての動作も実行し、例えば、図3のフローチャートに示す処理を実行する。
【0035】
制御部110は、機能的に、音源分離処理部111及びマイク位置取得部112を有する。
【0036】
音源分離処理部111はADC106から送られた複数の音データに対し、入力部108から送られた指示に基づいて音源分離処理を施す。音源分離処理部111は、角度センサ109の検出値に基づいて、その時点におけるマイクロホン102〜105の実際の位置に基づいて、音源分離を行う。
なお、音源分離処理部111で行われる音源分離は、所定のデジタル信号処理に基づいた処理や、あるいはそれ以外のアルゴリズムを任意に適用可能である。
【0037】
マイク位置取得部112は、可動部の位置が基準位置(例えば、図2(b)においてθ=90°、φ=0°等)でない場合に、角度センサ109が検出したヒンジ角度を基に、マイクロホン102〜105の位置を、幾何学的な計算で求め、音源分離処理部111にその情報を送る。なお、マイク位置の求め方自体は任意である。
【0038】
記憶部113は、ROM、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等から構成され、撮影部107から取り込んだ画像データ、音源分離処理後の音データ、マイクロホンの基準位置(可動部が基準位置にあるときのマイクロホンの位置)の情報等の音源分離処理の際に使用される諸情報(音源分離パラメータ)、及び音源分離処理部111から得た情報等を格納する。また、制御部110が行う処理に係るプログラム等を格納する。
予め記憶部113に記憶される音源分離パラメータは、マイクロホンの基準位置の情報と、音源分離効果に関する情報(音源の強調量、周囲音の抑圧量等)と、音源到来方向の範囲(その範囲内に位置する音源からの音を強調又は減衰する)等から構成される。例えば、音源到来方向の範囲は撮影時の映像ズームの段階と、予め対応付けて記憶されてもよい。
【0039】
表示部114は、LCD(Liquid Crystal Display)又は有機ELディスプレイ(organic Electro-Luminescence display)、及びドライバ等から構成され、撮影部107で撮影した映像や、撮影モード等の諸情報を表示する。
【0040】
DAC115は音データを出力する際に、デジタル信号をアナログ信号に変換し音出力部116に送る。
【0041】
音出力部116は増幅器、スピーカ等から構成され、DAコンバータ115からの信号に基づいて音を出力する。
【0042】
次に、携帯装置101の機械的構成について説明する。
携帯装置101は、図2(a)、(b)に例示するように、本体部201と、可動部202と、これらを連結するヒンジ部と、から構成される。
本体部201には、マイクロホン102〜105,撮影部107が固定されており、可動部202には、マイクロホン105が配置されている。
図2(a)は、可動部202が一方向に開閉する携帯装置101aを、図2(b)は、可動部202が2軸の周りを動く携帯装置101bを、それぞれ、示している。
【0043】
図2(a)に示す携帯装置101aにおいて、ヒンジ部は、1軸型のヒンジ機構から構成され、角度センサ109はヒンジ部に設置され、本体部201と可動部202がなす角度θを測定する。可動部202に設置されたマイクロホン105の位置はヒンジ角度θから求まる。
【0044】
一方、図2(b)に示す携帯装置101bにおいて、ヒンジ部は2軸型ヒンジ機構から構成される。2軸型ヒンジ機構は相互に直交する軸(回転軸x、回転軸y)を有し、可動部202は回転軸x周りに回転可能であると共に回転軸y周りに回転可能である。角度センサ109は、回転軸x周りにおける本体部201と可動部202とがなす角度θと、回転軸y周りにおける本体部201と可動部202とがなす角度φと、を検出する。可動部202に設置されたマイクロホン105の位置はヒンジ角度θ及びφから求まる。
【0045】
なお、以下の説明では、理解を容易にするため、携帯装置101bに関して説明する。
【0046】
マイクロホン102〜104は本体部201に配置され、マイクロホン105は可動部202に配置される。ここで、図2(b)に示すように、撮影部107の光軸をz軸とし、互いに垂直なx軸、y軸、及びz軸から構成される直交座標系を設定する。マイクロホン102〜105の3次元空間上の位置は、この直交座標系で定義される。マイクロホン105の位置及びマイクロホン102〜105の位置関係は、携帯装置101bの姿勢によって変化する。
【0047】
以下、携帯装置101bにおいて実行される録画処理について説明する。なお、映像の撮影・保存等の一般的な撮影装置としての動作は従来と同一であるため、本実施形態に特有な音源分離処理を中心に説明する。
【0048】
ユーザが入力部108に録画処理開始及び音源分離処理開始の指示を入力すると、入力部108はその指示を制御部110に送る。制御部110は、録画処理開始及び音源分離処理開始の指示に応答し、図3のフローチャートに示す録画処理を開始する。
【0049】
制御部110は、まず、撮影部107に画像の取り込みを開始させ、マイクロホン102〜105に音の取り込みを開始させる。さらに、制御部110は、撮影部107及びマイクロホン102〜105から取り込んだデータを一時的に制御部110のRAM等に記憶させる(ステップS301)。
【0050】
続いて、制御部110は、予め記憶部113に記憶された音源分離パラメータをRAM等に読み出す(ステップS302)。
【0051】
次に、制御部110は、角度センサ109から送られたヒンジ角度θとφが基準角度と同一か否か、即ち、θ=90°、φ=0°であるか否かを判別する(ステップS303)。
【0052】
ヒンジ角度θ、φが共に基準角度と同一ならば(ステップS303;No)、制御部110は、ステップS302で読み出しておいたマイクロホンの基準位置の情報を音源分離処理部111に送り、音源分離処理部111は初期マイクロホンの基準位置の情報を音源分離パラメータとして設定する(ステップS310)。
続いて、音源分離処理部111は音源分離パラメータを基に、ADC106を介して供給されるマイクロホン102〜105からの音データに、音源分離処理を施す(ステップS307)。例えば、ユーザが指示した分離対象音源が撮影部107のフォーカス位置の音源、音源分離処理の効果を「抽出(強調)」であるとすると、制御部110は、マイクロホン102〜105からACDC106を介して供給される音データに、フォーカス位置からの音を抽出する音源分離処理を実行する。
制御部110は、画像データと、音源分離処理後の音データとを記憶部113に書き込む(ステップS308)。
【0053】
次に、制御部110は、録画処理終了の指示の有無を判別する(ステップS309)。録画処理終了の指示がない場合(ステップS309;No)、制御部110は、ヒンジ角度θ、φに変更があるか否かを判別する(ステップ311)。
ヒンジ角度θ、φが変更された場合(ステップS311;Yes)、制御部110は、ステップS303に進み、ヒンジ角度θ、φに変更がない場合は(ステップS311;No)、音データに対して引き続き同一の音源分離処理を施す(ステップS307)。
【0054】
一方、録画開始時点で、ヒンジ角度θとφの少なくも一方が基準角度でない場合(ステップS303;Yes)、或いは、録画開始後、可動部202が操作されて、ヒンジ角度θとφの少なくも一方が基準角度でなくなった場合(ステップS311;Yes,ステップS303;Yes)、制御部110は、可動部202が基準位置ではない旨を表示部114に表示させる(ステップS304)。例えば、撮影中の表示部114に“マイクの位置が動かされました。”等のメッセージを表示する。
【0055】
次に、マイク位置取得部112はヒンジ角度θ、φの値に基づいて、その時点のマイクロホン105の位置を新たに取得する(ステップS305)。例えば、図2(b)の座標系において、可動部の基準位置を、θ=90°、φ=0°とし、基準位置でのマイクロホン105の座標を(x0,y0,z0)と定義する。ここで、可動部が閉じた状態にある時は、θ=0°、可動部が図2(b)の状態にある時は、θ=90°である。可動部が、φ=0°のままで、x軸周りに移動した時のヒンジ角度θの差分を、Δθ=θ’−θ(θ:移動前のヒンジ角度、θ’:移動後のヒンジ角度)とすると、移動後のマイクロホン105の座標(x1,y1,z1)は、(x0,y0・cosΔθ,y0・sinΔθ)と求まる。また、可動部が、θ=90°のままで、y軸周りに移動したときのヒンジ角度φの差分を、Δφ=φ’−φ(φ:移動前のヒンジ角度、φ’:移動後のヒンジ角度)とすると、移動後のマイクロホン105の座標(x2,y2,z2)は、(x0・cosΔφ,y0,x0・sinΔφ)と求まる。
その後、マイク位置取得部112は、取得した新たなマイク位置の情報を音源分離処理部111に送り、音源分離処理部111は受け付けた新たなマイク位置を音源分離パラメータとして設定する(ステップS306)。
【0056】
音源分離処理部111は、設定されたマイク位置を含む音源分離パラメータに基づいて音源分離処理を行う(ステップS307)。前述の例で説明すると、撮影部107のフォーカス位置からの音をマイクロホン102〜105の新たな位置関係を用いて抽出する。
制御部110は、画像データと、音源分離処理後の音データとを記憶部113に書き込む(ステップS308)。
【0057】
録画処理終了の指示を受け付けた場合は(ステップS309:Yes)、録画処理を終了する。
【0058】
本実施形態によれば、可動部202を有する携帯装置101において、音源分離処理後の音データを記憶する場合に、マイクロホンが設置された可動部202が録画又は録音中に基準位置から動いても、角度センサ109の情報から可動部、マイク位置を取得し、そのマイクロホン位置を音源分離処理に適用することで、音源分離処理後のデータの品質を保ったままで録音を行うことができる。また、マイクロホンが設置された可動部が撮影中に動いても、撮影者に可動部202の位置が基準位置でないことを知らせることができる。
【0059】
なお、図2(b)に示す構成を例に実施形態を説明したが、図2(a)に示す構成の場合には、φ=0と設定すればよい。
【0060】
また、以上の説明においては、ヒンジ角θ或いはφが基準角度以外の場合に、ステップS305で、マイクロホン105の位置を演算処理で求めたが、例えば、ヒンジ角θとφについて、所定の分解能で、マイクロホン105の位置を予め求めておき、図4(b)に示すようにテーブル化して、記憶部113に格納しておき、ステップS302で、このテーブルをRAM上に展開し、ステップS305では、ヒンジ角θとφをキーにこのテーブルを検索してマイクロホン105の位置を求めるようにしてもよい。
【0061】
なお、本発明は、折り畳み型携帯電話に限定されるものではなく、可動部を有した録画装置、又は録音装置全般に適用できる。例えば、スライド型の携帯電話、その他複数の使用スタイルを選択できる携帯電話、ビデオカメラ、電子カメラ、ムービ、PDA、ノートパソコン、ウェアラブルパソコン、電卓、電子辞書等に適用できる。また、アプリケーションも動画撮影や録音のみに限定されず、TV電話や通話、音声認識アプリケーション等にも適用可能である。
【0062】
また、本実施形態では、可動部202が回転軸x、回転軸yの2軸周りを可動する2軸型ヒンジを備える携帯装置について説明したが、可動する範囲はこれに限定されるものでは無い。さらに、可動部202が基準位置でない場合、警告の方法は、モニタへのメッセージ表示に限定されるものでは無く、筐体に設置されたランプの点滅や、筐体部分の振動、スピーカ116からの警告音等の方法でもよい。
【0063】
また、本実施形態では、4つのマイクロホンを図2(a)及び図2(b)のように配置したが、マイクロホンの数が2つ以上でかつ、マイクロホンが本体部201と可動部202のそれぞれに配置されている場合であるならば、本発明を適用可能である。
【0064】
(実施形態2)
<撮影後、再生編集時に音源分離を行う例>
実施形態1においては、録画・録音時に音源分離処理を実行し、音源分離処理を施した音データを記憶部113に記録したが、録画・録音時には、生の音データを記録し、再生・編集時に音源分離処理を施すことも可能である。このような構成の携帯装置501を以下に説明する。
【0065】
携帯装置501は、図5に示すように、マイクロホン102〜105と、ADC106と、撮影部107と、入力部108と、角度センサ109と、制御部110と、記憶部113と、表示部114と、DAC115と、スピーカ116と、から構成される。
制御部110以外は、実施形態1の携帯装置101と同様の機能構成を有する。また、実施形態2における携帯装置501の外観の構成例は図2に示すものと同様とする。以下、実施形態1と異なる機能構成を有する制御部110について説明する。
【0066】
制御部110は、機能的に、音源分離処理部111と、マイク位置取得部112と、再生編集処理部511と、計時部512と、を有する。音源分離処理部111及びマイク位置取得部112は実施形態1と同様の機能を有する。
制御部110は、さらに、角度センサ109により計測されたヒンジ角度θ、φが変更されたか否かを判別する。そして、変更されたタイミングを表す情報とヒンジ角度θ、φを対応付けて、記憶部113に記憶させる。
【0067】
再生編集処理部511は、記憶部113に記憶されている画像データや音データの再生編集や、音源分離処理部111が処理した音データの再生又は書き込み等を行う。例えば、再生編集処理部511は、記憶部113に記憶されている音データや音源分離処理部111が処理した音データに対して、特定の周波数帯域の強調や音量変換等を行う。
【0068】
計時部512は、録画処理開始からの経過時間を計測する。制御部110は、ヒンジ角度θ、φが変更された場合に、計時部512が計測した経過時間を新たなヒンジ角度θ、φの情報に対応付けて記憶部113に記憶させる。
【0069】
また、記憶部113に記憶される録画データのデータ構造の例を図7に示す。録画データは、撮影部107から取り込んだ画像データと、マイクロホン102〜105から取り込んだ音データと、マイクロホンの基準位置等の音源分離パラメータと、録画処理開始時の可動部のヒンジ角度、φ(可動部の角度1)と、ヒンジ角度θ、φが変更された時刻及び変更されたヒンジ角度θ、φと(可動部の角度2、・・・)、から構成される。
【0070】
以下、携帯装置501が行う、録画処理の動作と、再生編集処理の動作について説明する。
【0071】
ユーザが入力部108に録画処理開始の指示を入力すると、入力部108は録画処理開始の指示を制御部110に送る。制御部110は、録画処理開始の指示を受け付けると、図6のフローチャートに示す録画処理を開始する。
【0072】
制御部110は、撮影部107に画像の取り込みと、マイクロホン102〜105に音の取り込みとを開始させ、撮影部107及びマイクロホン102〜105から取り込んだデータを一時的に制御部110のRAM等に記憶させる(ステップS301)。
【0073】
続いて、制御部110は、マイクロホンの数とそれらの3次元空間上の基準位置とを、図7に示すように、記憶部113に記憶する録画データのヘッダ領域に書き込む(ステップS602)。
【0074】
次に、制御部110は、角度センサ109から送られたヒンジ角度θ、φが、基準角度と同一か否かの判別を行う(ステップS303)。
【0075】
ヒンジ角度θ、φが基準角度と同じならば(ステップS303;No)、制御部110は、計時部512が計測した経過時間と、角度センサ109が検出したヒンジ角度θ、φの値とを録画データのヘッダ領域に書き込む(ステップ605)。ここで、録画開始時には、開始時のヒンジ角度θ、φが書き込まれる(図7の例では、経過時間=0[sec]、θ=90°、φ=0°)。
【0076】
一方、ヒンジ角度θ又はφが基準角度でない場合(ステップS303;Yes)、制御部110は、可動部202が基準位置ではない旨を表示部114に表示する(ステップS304)。そして、制御部110は、計時部512が計測した経過時間と、角度センサ109が検出したヒンジ角度θ、φの値とを、録画データのヘッダ領域に書き込む(ステップS605)。例えば、可動部202が撮影開始から8秒後に基準位置から動かされ、ヒンジ角度θが45°になったとすると、制御部110は、図7に示すように、可動部202の位置が変更された時の経過時間(変更時間)と、新たなヒンジ角度θ、φとを録画データのヘッダに書き込む。以後、可動部202の位置が変更された場合は、“可動部の位置の変更3”、“可動部の位置4”…、とその都度、経過時間(変更時間)とヒンジ角度θ、φを記憶する。
【0077】
ヘッダへの書き込みが終了すると、制御部110は、記憶部113に画像データと、音データとを書き込む(ステップS606)。
【0078】
次に、制御部110は、録画処理終了の指示の有無を判別する(ステップS309)。録画処理終了の指示がなければ(S309;No)、制御部110は、ヒンジ角度θ、φに変更があるか否かを判別する(ステップ311)。ヒンジ角度θ、φに変更がある場合(ステップS311;Yes)、制御部110は、ステップS303以降の処理を繰り返す。ヒンジ角度θ、φに変更がない場合は(ステップS311;No)、引き続き画像データと音データとを記憶部113に書き込む(ステップS606)。
【0079】
録画処理終了の指示を受け付けた場合(ステップS309;Yes)、録画処理を終了する。
【0080】
このようにして、記録部113には、録画・録音開始後の各時点における、画像データと音データ、さらに、各マイクロホンの位置を特定し得る情報が蓄積される。
【0081】
次に、記憶部113に記憶されたデータを再生、編集する動作について図8を用いて説明する。
【0082】
ユーザが入力部108に、録画データの選択、再生編集の開始及び音源分離処理開始の指示を入力すると、入力部108はその指示を制御部110に送る。制御部110は、指示を受け付けると、図8のフローチャートに示す処理を開始する。
【0083】
制御部110は、まず、記憶部113に記憶された録画データを選択し、必要な情報の読み込み等を開始する(ステップS801)。続いて、制御部110は、録画時におけるマイクロホンの数とそれらの3次元空間上の基準位置等のパラメータを録画データのヘッダ領域から呼び出す(ステップS802)。次に、ユーザより音源分離処理を行う指示が与えられているかどうかの判別を行う(ステップS803)。
【0084】
ユーザより音源分離指示が与えられていなければ(ステップS803;No)、記憶された音データを呼び出し(ステップS812)、画像データとともに、音データをそのまま再生する(ステップS810)。例えば、ユーザがデータの再生後しばらくは録音された音データをそのまま再生したい場合は、モノラル再生の場合は記憶部113に記憶された複数の音データの内一つを再生し、ステレオ再生の場合は、二つの音データを再生する。例えば、マイクロホン102〜105から取り込んだ音データを再生する。
【0085】
ユーザより音源分離処理を行う指示が与えられると(ステップS803;Yes)、制御部110は、記憶部113に記憶された複数の音データを用いて音源分離処理を行う。まず、制御部110は、ユーザより指示された音源分離効果に対応した音源分離パラメータを取得する(ステップS804)。例えば、ユーザがタッチパネル等で画面内に存在する音源に接触して指定し、その音源のみを抽出する指示をした場合、制御部110は、その画面内に存在する音源の位置から、抽出すべき音源の到来方向の範囲等を取得する。
【0086】
次に、制御部110は、再生編集中の録画データの経過時間が、可動部202の位置が変更された変更時間に達しているかどうかの判別を行う(ステップS805)。経過時間が変更時間に達した場合(ステップS805;Yes)、そのタイミングにおけるヒンジ角度θ203、φ204に基づき、マイク位置を取得する(ステップS806)。この時、ヒンジ角度θ203が90°、φ204が0°の場合を基準位置であるとした場合に、ヒンジ角度θ203が90°、φ204が0°であるならば、マイク位置を新たに取得する必要は無く、録画データのヘッダ領域に書き込まれている初期マイク位置を読み出せばよい。また、実施形態1と同様に、マイク位置の取得方法は、θ203、φ204の値に基づいて幾何学的な計算で求めてもよいし、図4のようなテーブルから求めるようにしてもよい。そして、制御部110は求めたマイク位置を音源分離処理部111に送り、音源分離処理部111は、受け付けたマイク位置を音源分離パラメータとして設定する(ステップ807)。
【0087】
一方、再生編集中の録画データの経過時間が変更時間に達していない場合(ステップS805;No)、すでに求めたマイク位置を音源分離パラメータとして設定する(ステップS813)。
【0088】
音源分離処理部111は、記憶部113に記憶されたマイクロホン102〜105より取り込んだ全音データを読み出す(ステップS808)。その後、音源分離処理部111は、音源分離パラメータを基に、複数の音データに対し音源分離を行う(ステップS809)。
【0089】
再生編集処理部511は、音源分離処理後の音データを記憶された画像データとともに再生を行い、又は音源分離処理後の音データを記憶部113に記憶させる(ステップS810)。
【0090】
次に、制御部110はユーザによる再生編集終了の指示があるか否かを判別する(ステップS811)。再生編集終了の指示を受け付けた場合(ステップS811;Yes)、再生編集処理を終了する。制御部110は、再生編集終了の指示を受け付けない場合(ステップS811;No)、ステップS803からの処理を繰り返す。
【0091】
本実施形態によれば、可動部202を有する携帯装置101において、再生編集時に音源分離処理を行う場合に、可動部202の位置が基準位置と異なっていても、保存された経過時間とマイク位置を用いることによって、音源分離処理後の音データの品質劣化を防ぐことが可能となる。また、撮影時に、撮影者に可動部202の位置が基準位置でないことを知らせることができる。
【0092】
なお、本実施形態において、録画、録音時に可動部202が動かされた場合に、その経過時間とヒンジ角度θ203、φ204の値を記憶する例を挙げたが、一定時間毎に逐一ヒンジ角度θ203、φ204の値を記憶してもよい。さらに、録画、録音時にθ、φの値を保存するのではなく、録画、録音の時点でθ、φの値からマイク位置を取得し、記憶部113にマイク位置そのものを保存してもよい。これによって、データ記憶時のファイル容量は増加するが、再生、編集時に音源分離処理を行う際のマイク位置取得処理は省けるため、計算リソースが限られていて、リアルタイム性が求められる場合等に有効である。
【0093】
また、実施形態2では、計時部512は録画処理開始からの経過時間を計測したが、記憶された音データにおいて何時ヒンジ角度が変更されたかがわかればよいので、例えば日時等を計測するようにしてもよい。
【0094】
また、実施形態2では、音源分離効果の例を任意の音源の抽出としたが、任意の音源を抑圧する場合も同様に実施可能である。さらに、任意の1点の音源だけでなく、複数の音源に対しても、抽出、抑圧の音源分離効果を指定できる。
【0095】
また、撮影後、記憶データの編集処理を行う場合において、編集後のデータは、元の複数の音声データを上書きする場合や、別のデータ領域に記憶する方法が考えられ、それらの判断は編集時にユーザが決めることができる。元の音声データを上書きせずに残しておいた場合は、何度でも音源分離効果の編集処理が可能である。保存後の音データについて、一般的な動画再生機器で再生できる形式(例えば、PCで再生可能な動画フォーマットAVI(Audio Video Interleave)やビデオカメラの録画フォーマットであるAVCHD(Advanced Video Codec High Definition)など)で画像データと合わせて記憶することもできる。このような一般的な動画記録形式で保存しておけば、再生機器を問わず録画データの再生が可能となる。
【0096】
また、実施形態1で述べたものと同様に、マイクロホンが2つ以上であるならば、本実施形態は適用でき、可動部の可動方向については図2における回転軸x、回転軸yの軸に限定されるものでは無く、さらに可動部が撮影時に所定の位置では無い旨を伝える手段も本実施形態に限定されるものではない。
【0097】
(実施形態3)
<可動部が所定の位置かどうかのみが判別できるスイッチ判別機構を有する携帯装置において、音源分離と同時に録画を行う例>
実施形態1及び実施形態2では、角度センサを有している携帯装置について説明したが、コスト、デザイン等の点で、角度センサが設置できないような場合が想定される。
実施形態3では、可動部の位置が基準位置かどうかのみがわかるスイッチ判別機構を有し、録画もしくは録音時に音源分離処理を行い、音源分離処理を施した音データを記憶する携帯装置901について説明する。
【0098】
携帯装置901は、図9に示すように、マイクロホン102〜105と、ADC106と、撮影部107と、入力部108と、スイッチ判別機構902と、制御部110と、記憶部113と、表示部114と、DAC115と、スピーカ116と、から構成される。
【0099】
また、本実施形態の携帯装置901は、外観上、携帯装置901a及び携帯装置901bの2つの構成を取り得る。携帯装置901aは一般的なビデオカメラや、動画撮影機能付きの携帯電話等に用いられる形態である。携帯装置901aは本体部201と可動部202と、携帯装置901bは本体部205と可動部206とから構成され、可動部202、205はヒンジ機構を介して本体部201、205に設置される。携帯装置901aにおいて、マイクロホン102、103、104は本体部201に、マイクロホン105は可動部202に設置される。一方、携帯装置901bにおいては、マイクロホン102は本体部205に設置され、マイクロホン103、104、105は可動部206に設置される。実施形態1と同様に、撮影部107を基準に直行座標系を設定し、この座標系でマイク位置を決定する。
【0100】
以下、携帯装置901の特徴的な機能を提供するスイッチ判別機構902について説明する。
【0101】
スイッチ判別機構902は、可動部202、206の位置が基準位置か否かの判別ができる機構であり、マイクロスイッチ或いはマグネットスイッチ等から構成される。スイッチ判別機構902は、判別結果(スイッチ判別信号)を制御部110に送る。例えば、可動部202、206が基準位置にある場合は、スイッチ判別機構902は、制御部110に“1”の信号を送り、そうでない場合は“0”の信号を送る。
【0102】
スイッチ判別機構902を有する携帯装置901において、携帯装置901の姿勢が変更されると、本体部201、205と可動部202、206の位置関係を検出することができない。したがって、基準となる撮影部107と異なる筐体に設置されたマイクロホンのマイク位置を検出することができない。このような場合、マイク位置を検出できないマイクロホンから取り込んだ音データを用いて音源分離処理を施すと、音源分離処理後の音データの品質が低下するおそれがある。以下、上記マイクロホンから取り込んだ音データを音源分離処理に使用しない録画処理について説明する。
【0103】
ユーザが入力部108に録画処理開始及び音源分離処理開始の指示を入力すると、入力部108はその指示を制御部110に送る。制御部110は、録画処理開始及び音源分離処理開始の指示を受け付けると、図11のフローチャートに示す録画処理を開始する。
【0104】
制御部110は、まず、撮影部107に画像の取り込みと、マイクロホン102〜105に音の取り込みとを開始させ、一時的に制御部110のRAM等に記憶させる(ステップS301)。
【0105】
続いて、制御部110は、予め記憶部113に記憶された音源分離パラメータをRAM等に呼び出す(ステップS302)。
【0106】
次に、制御部110は、スイッチ判別機構902から送られたスイッチ判別信号を判別する(ステップS1103)。
【0107】
スイッチ判別信号が“1”の(可動部の位置が基準位置である)場合(S1103;No)、制御部110は、初期マイク位置を音源分離処理部111に送り、音源分離処理部111は初期マイク位置を音源分離パラメータとして設定する(ステップS310)。
【0108】
一方、スイッチ判別信号が“0”の(可動部の位置が基準位置でない)場合(ステップS1103;Yes)、制御部110は、可動部202、206が基準位置ではない旨を表示部114に表示させる(ステップS304)。例えば、撮影中の表示部114に“マイクの位置を基準位置にして下さい。”等のメッセージを表示する。
【0109】
次に、制御部110は、スイッチ判別機構902の結果に基づいて、音源分離処理に用いる音データを取り込むマイクロホンを選択する(ステップS1105)。携帯装置901aにおいて、撮影部107を備える本体部201に設置されたマイクロホン102〜104は、撮影部107との位置関係に変更が生じずマイクロホンの基準位置のままである。一方、可動部202が基準位置から動かされるとマイクロホン105の位置が初期マイク位置からずれる。従って、スイッチ判別信号=“1”の場合、制御部110はマイクロホン102〜105を選択し、スイッチ判別信号=“0”の場合、制御部110はマイクロホン102〜104を選択する。
【0110】
また、携帯装置901bの場合には、可動部206が動かされても、可動部206に設置されたマイクロホン103〜105と撮影部107の位置関係に変更は生じない。一方、本体部205に設置されたマイクロホン102は、撮影部107との位置関係が変化するので、マイクロホンの基準位置からずれることになる。従って、スイッチ判別信号=“1”の場合、制御部110はマイクロホン102〜105を選択し、スイッチ判別信号=“0”の場合、制御部110はマイクロホン103〜105を選択する。
【0111】
さらに、制御部110は、選択したマイクロホンのマイク位置を求める。音源分離処理用の音データを取り込むマイクロホンは、筐体の姿勢から求まる。したがって、スイッチ判別信号とマイク位置の対応関係を、図12(a)(携帯装置901aの場合)又は図12(b)(携帯装置901bの場合)のようなテーブルにしておき、予め音源分離処理部111や、記憶部113に記憶させておくことができる。制御部110は、スイッチ判別信号の値をキーにしてマイク位置の情報を求める。
【0112】
制御部110は選択したマイクロホンとマイク位置の情報とを音源分離処理部111に送り、音源分離処理部111は選択したマイクロホンのマイク位置を音源分離パラメータとして設定する(ステップS1106)。
【0113】
音源分離処理部111は、音源分離パラメータを基に選択されたマイクロホンから取り込んだ音データに対して音源分離を行う(ステップS1107)。すなわち、携帯装置901aにおいては、初期マイク位置からずれたマイクロホン105以外から取り込んだ音データを、携帯装置901bにおいては、初期マイク位置からずれたマイクロホン102以外から取り込んだ音データを、音源分離処理に用いる。これにより音源分離後の音データの品質劣化を防ぐことができる。制御部110は、画像データと、音源分離処理後の音データとを記憶部113に書き込む(ステップS308)。
【0114】
次に、制御部110は、録画処理終了の指示の有無を判別する(ステップS309)。録画処理終了の指示がない場合(ステップS309;No)、制御部110は、スイッチ判別信号に変更があるか否かを判別する(ステップS1111)。スイッチ判別信号に変更がある場合(ステップS1111;Yes)、ステップS1103以降の処理を繰り返す。スイッチ判別信号に変更がない場合(ステップS1111;No)、音データに対して引き続き音源分離処理を施し(ステップS1107)、処理後の音データを記憶部113に書き込む(ステップS308)。
【0115】
録画処理終了の指示を受け付けた場合(ステップS309;Yes)、録画処理を終了する。
【0116】
本実施形態によれば、可動部202、206を撮影中に動かしてしまっても、可動部202、206の位置が基準位置か否かのみが判別できる廉価なスイッチ判別機構を用いて、音源分離処理後の音データの品質劣化を防ぐことができる。また、モニタ上に警告等を表示し基準位置に戻すことを促すことができる。
【0117】
なお、本実施形態で説明した発明は、図10に示したような外観上の構成例に限定されるものではなく、複数のマイクロホンが本体部と可動部のそれぞれに設置された情報処理装置に適用可能である。
【0118】
(実施形態4)
<可動部が所定の位置かどうかのみが判別できるスイッチ判別機構を有する携帯装置において、撮影後、再生編集時に音源分離を行う例>
実施形態4では、可動部の位置が基準位置かどうかのみがわかるスイッチ判別機構を有し、複数のマイクロホンの取り込んだ音データを記憶部に記憶し、再生編集時に音源分離処理を行う携帯装置1301について説明する。
【0119】
携帯装置1301は、図13に示すように、マイクロホン102〜105と、ADC106と、撮影部107と、入力部108と、スイッチ判別機構902と、制御部110と、記憶部113と、表示部114と、DAC115と、スピーカ116と、から構成される。
制御部110は実施形態2と同様の機能構成を有する。
制御部110以外は、実施形態3の携帯装置901と同様の機能構成を有する。
また、携帯装置1301の外観上の構成は図10に示すものと同様とする。
【0120】
以下、スイッチ判別機構902を備える携帯装置1301が行う録画処理について説明する。
【0121】
ユーザが入力部108に録画処理開始の指示を入力すると、入力部108は録画処理開始の指示を制御部110に送る。制御部110は、録画処理開始の指示を受け付けると、図14のフローチャートに示す処理を開始する。
【0122】
制御部110は、撮影部107に画像の取り込みと、マイクロホン102〜105に音の取り込みとを開始させ、撮影部107及びマイクロホン102〜105から取り込んだデータを一時的に制御部110のRAM等に記憶させる(ステップS301)。
【0123】
続いて、制御部110は、マイクロホンの数とそれらの3次元空間上の基準位置とを、記憶部113に記憶する録画データのヘッダ領域に書き込む(ステップS602)。
【0124】
次に、制御部110はスイッチ判別機構902から送られたスイッチ判別信号を判別する(ステップS1103)。スイッチ判別信号が“1”の場合(ステップS1103;No)、計時部512が計測した時間とスイッチ判別信号の値“1”を、図15のように、録画データのヘッダ領域に書き込む(ステップS1405)。
【0125】
一方、スイッチ判別信号が“0”の場合(ステップS1103;Yes)、制御部110は、可動部202、206が基準位置ではない旨を表示部114に表示させる(ステップS304)。そして、制御部110は、計時部512が計測した経過時間とスイッチ判別信号の値“0”を録画データのヘッダ領域に書き込む(ステップS1405)。例えば、可動部202が撮影開始から8秒後に基準位置から動かされたとすると、制御部110は、図15に示すように、可動部202の位置が変更された時の経過時間(変更時間)と、スイッチ判別信号“0”を録画データのヘッダに書き込む。
【0126】
ヘッダへの書き込みが終了すると、制御部110は、ステップS1105と同様に、スイッチ判別信号の値に基づいて、記憶する音データを取り込んだマイクロホンを選択する(ステップS1406)。
【0127】
そして、制御部110は、画像データと、選択したマイクロホンから取り込んだ音データとを記憶部113に書き込む(ステップS1407)。
【0128】
次に、制御部110は、録画処理終了の指示の有無を判別する(ステップS309)。録画処理終了の指示がない場合(S309;No)、制御部110は、スイッチ判別信号に変更があるか否かを判別する(ステップS1111)。スイッチ判別信号に変更がある場合(ステップS1111;Yes)、ステップS1103以降の処理を繰り返す。スイッチ判別信号に変更がない場合(ステップS1111;No)、引き続き画像データと音データとを記憶部113に書き込む(ステップS1407)。
【0129】
録画処理終了の指示を受け付けた場合(ステップS309;Yes)、録画処理を終了する。
【0130】
次に、記憶部113に記憶されたデータを再生、編集する動作について図16を用いて説明する。
【0131】
ユーザが入力部108に、録画データの選択、再生編集の開始及び音源分離処理開始の指示を入力すると、入力部108はその指示を制御部110に送る。制御部110は、指示を受け付けると、図16に示すフローチャートの処理を開始する。
【0132】
制御部110は、まず、記憶部113に記憶された録画データを選択し、必要な情報の読み込み等を開始する(ステップS801)。続いて、制御部110は、録画時におけるマイクロホンの数とそれらの3次元空間上の基準位置等のパラメータを録画データのヘッダ領域から呼び出す(ステップS802)。次に、ユーザより音源分離処理を行う指示が与えられているかどうかの判別を行う(ステップS803)。
【0133】
ユーザより音源分離指示が与えられていなければ(ステップS803;No)、記憶された音データを呼び出し(ステップS812)、画像データとともに、音データをそのまま再生する(ステップS810)。
【0134】
ユーザより音源分離処理を行う指示が与えられると(ステップS803;Yes)、制御部110は、記憶部113に記憶された複数の音データを用いて音源分離処理を行う。まず、ユーザより指示された音源分離処理の種類に対応した音源分離パラメータを取得する(ステップS804)。
【0135】
次に、制御部110は、再生編集中の録画データの経過時間が、可動部202の位置が変更された変更時間に達しているかどうかの判別を行う(ステップS805)。経過時間が変更時間に達した場合(ステップS805;Yes)、音源分離に悪影響を与えないマイクロホンのマイク位置を、ヘッダ領域に記録されたスイッチ判別信号と図12(a)又は図12(b)のテーブルとから求める(S1606)。そして、音源分離処理部111は求めたマイク位置の情報を音源分離パラメータとして設定する(S1607)。
【0136】
一方、再生編集中の録画データの経過時間が変更時間に達していない場合(ステップS805;No)、すでに求めたマイク位置を音源分離パラメータとして設定する(ステップS813)。
【0137】
次に、選択されたマイクロホンの音データを、記憶部113から呼び出す(S1608)。その後、音源分離処理部111は、音源分離パラメータを基に、複数の音データに対し音源分離を行う(ステップS809)。
【0138】
以下、実施形態2のステップ810以降と同様の処理を行う。
【0139】
本実施形態によれば、可動部202及び廉価なスイッチ判別機構を有する携帯装置1301において、再生編集時に音源分離処理を行う場合に、可動部202の位置が基準位置と異なっていても、保存された経過時間とマイク位置を用いることによって、音源分離処理後の音データの品質劣化を防ぐことが可能となる。
【0140】
なお、本実施形態では録画時の動作において、可動部の位置にかかわらず、マイクロホン4個の音声データ全てを常に記憶したが、可動部の位置が所定の位置で無い場合、音源分離に悪影響を与えるマイクロホンの入力データは音源分離には使用しないので、記憶をしなくてもよい。これによって保存データの容量を削減することができる。
【符号の説明】
【0141】
101、101a、101b、501、901、1301…携帯装置、102、103、104、105…マイクロホン、106…ADC、107…撮影部、108…入力部、109…角度センサ、110…制御部、111…音源分離処理部、112…マイク位置取得部、113…記憶部、114…表示部、115…DAC、116…スピーカ、201、205…本体部、202、206…可動部、203…回転軸x周りに本体部と可動部がなすヒンジ角度θ、204…回転軸y周りに本体部と可動部がなすヒンジ角度φ、511…再生編集処理部、512…計時部、902…スイッチ判別機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の筐体と、
第1の筐体に対して相対的に位置を変更することが可能な第2の筐体と、
前記第1の筐体に設けられる少なくとも1つ以上のマイクロホンと、
前記第2の筐体に設けられる少なくとも1つ以上のマイクロホンと、
前記第1の筐体と前記第2の筐体との位置関係を検出する位置検出手段と、
前記位置検出手段により検出された位置関係から、前記第1の筐体に設けられる少なくとも1つ以上のマイクロホンと前記第2の筐体に設けられる少なくとも1つ以上のマイクロホンとから構成される複数のマイクロホンの位置関係を求めるマイク位置取得手段と、
前記マイク位置取得手段により取得された前記複数のマイクロホンの前記位置関係に基づいて、前記複数のマイクロホンから取り込んだ音データに音源分離処理を施す音源分離手段と、
を備えることを特徴とする音データ処理装置。
【請求項2】
第1の筐体と、
第1の筐体に対して相対的に位置を変更することが可能な第2の筐体と、
前記第1の筐体に設けられる少なくとも2つ以上のマイクロホンと、
前記第2の筐体に設けられる少なくとも1つ以上のマイクロホンと、
前記第1の筐体と前記第2の筐体との位置関係が所定の位置関係であるか否かを判別する位置判別手段と、
前記第1の筐体と前記第2の筐体との前記位置関係が前記所定の位置関係と同じ場合、前記第1及び第2の筐体に設けられたマイクロホンを選択し、前記第1の筐体と前記第2の筐体の前記位置関係が前記所定の位置関係と異なる場合、前記第1の筐体に設けられたマイクロホンを選択するマイクロホン選択手段と、
前記選択されたマイクロホンの位置関係に基づいて、前記選択されたマイクロホンから取り込んだ音データに音源分離処理を施す音源分離手段と、
を備えることを特徴とする音データ処理装置。
【請求項3】
前記第1の筐体と前記第2の筐体の前記位置関係が前記所定の位置関係と同じ場合に、前記第1の筐体に設けられる少なくとも2つ以上のマイクロホンと前記第2の筐体に設けられる少なくとも1つ以上のマイクロホンとから構成される複数のマイクロホンの位置関係を求めるマイク位置取得手段をさらに備え、
前記音源分離手段は、前記複数のマイクロホンの前記位置関係が前記所定の位置関係と同じ場合に、前記マイク位置取得手段により取得された前記複数のマイクロホンの前記位置関係に基づいて、前記複数のマイクロホンから取り込んだ音データに音源分離処理を施す、
ことを特徴とする請求項2に記載の音データ処理装置。
【請求項4】
前記音源分離手段により音源分離処理が施された音データを記録する手段をさらに備える、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の音データ処理装置。
【請求項5】
第1の筐体と、
第1の筐体に対して相対的に位置を変更することが可能な第2の筐体と、
前記第1の筐体に設けられる少なくとも1つ以上のマイクロホンと、
前記第2の筐体に設けられる少なくとも1つ以上のマイクロホンと、
前記マイクロホンの位置関係を特定するための情報を取得するマイク位置特定情報取得手段と、
前記マイクロホンから取り込んだ音データと、前記マイク位置特定情報取得手段で取得したマイク位置特定情報とを記録媒体に記録させる記憶手段と、
を備えることを特徴とする音データ処理装置。
【請求項6】
第1の筐体と、
第1の筐体に対して相対的に位置を変更することが可能な第2の筐体と、
前記第1の筐体に設けられる少なくとも2つ以上のマイクロホンと、
前記第2の筐体に設けられる少なくとも1つ以上のマイクロホンと、
前記第1の筐体と前記第2の筐体との位置関係が所定の位置関係であるか否かを判別する位置判別手段と、
前記第1の筐体と前記第2の筐体との前記位置関係が前記所定の位置関係と同じ場合、前記第1及び第2の筐体に設けられたマイクロホンを選択し、前記第1の筐体と前記第2の筐体との前記位置関係が前記所定の位置関係と異なる場合、前記第1の筐体に設けられたマイクロホンを選択するマイクロホン選択手段と、
前記マイクロホン選択手段で選択した前記マイクロホンの位置関係を特定するための情報を取得するマイク位置特定情報取得手段と、
前記マイクロホン選択手段で選択した前記マイクロホンから取り込んだ音データと、前記マイク位置特定情報取得手段で取得したマイク位置特定情報とを記録媒体に記録させる記憶手段と、
を備えることを特徴とする音データ処理装置。
【請求項7】
前記マイク位置特定情報取得手段は、前記第1の筐体と前記第2の筐体との前記位置関係を検出する位置検出手段をさらに備え、
前記マイク位置特定情報は、前記第1の筐体と前記第2の筐体との前記位置関係を示す情報を含む、
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の音データ処理装置。
【請求項8】
前記マイク位置特定情報取得手段は、
前記第1の筐体と前記第2の筐体との前記位置関係を検出する位置検出手段と、
前記位置検出手段により検出された位置関係から、前記第1の筐体に設けられる少なくとも2つ以上のマイクロホンと前記第2の筐体に設けられる少なくとも1つ以上のマイクロホンとから構成される複数のマイクロホンの位置関係を求めるマイク位置取得手段と、
をさらに備え、
前記マイク位置特定情報は、前記マイク位置取得手段により取得された前記複数のマイクロホンの前記位置関係を特定する情報を含む、
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の音データ処理装置。
【請求項9】
前記マイク位置特定情報は、前記マイクロホンの位置関係が変化したタイミングを特定する情報、または、録音時点でのマイクロホンの位置関係を特定する情報、を含む、
ことを特徴とする請求項5乃至8のうちいずれか1項に記載の音データ処理装置。
【請求項10】
前記第1の筐体と第2の筐体との前記位置関係が前記所定の位置関係と異なる場合に警告を行う警告手段
をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至9のうちいずれか1項に記載の音データ処理装置。
【請求項11】
請求項5乃至9のいずれか1項に記載の音データ処理装置により記録媒体に記録された音データを読み出す読み出し手段と、
前記記録媒体に記録されているマイク位置特定情報に基づいて録音時のマイクロホンの位置関係を特定するマイク位置特定手段と、
前記読み出し手段により読み出された音データに、前記マイク位置特定手段で特定されたマイクロホンの位置関係に基づいて、音源分離処理を施す音源分離手段と、
前記音源分離処理を施した音データを再生する再生手段と、
を備えることを特徴とする音データ処理装置。
【請求項12】
請求項9に記載の音データ処理装置により記録媒体に記録された音データを読み出す読み出し手段と、
前記記録媒体に記録されているマイク位置特定情報に基づいて録音時のマイクロホンの位置関係を特定するマイク位置特定手段と、
前記読み出し手段により読み出された音データに、前記マイク位置特定手段で特定されたマイクロホンの位置関係に基づいて、音源分離処理を施す音源分離手段と、
前記音源分離処理を施した音データを再生する再生手段と、
を備え、
請求項9に記載の音データ処理装置により記録媒体に前記マイクロホンの位置関係が変化したタイミングを特定する情報に基づいて、前記読み出し手段により読み出した音データが、前記マイクロホンの位置関係が変化したタイミングに達することを契機として、前記位置関係から前記複数のマイクロホンの位置関係を求めるマイク位置取得手段と、
をさらに備えることを特徴とする音データ処理装置。
【請求項13】
請求項5乃至9のいずれか1項に記載の音データ処理装置により記録媒体に記録された音データを読み出す読み出し手段と、
前記記録媒体に記録されているマイク位置特定情報に基づいて録音時のマイクロホンの位置関係を特定するマイク位置特定手段と、
前記読み出し手段により読み出された音データに、前記マイク位置特定手段で特定されたマイクロホンの位置関係に基づいて、音源分離処理を施す音源分離手段と、
前記音源分離手段により音源分離処理が施された音データを記憶する音源分離データ記憶手段と、
を備えることを特徴とする音データ処理装置。
【請求項14】
請求項9に記載の音データ処理装置により記録媒体に記録された音データを読み出す読み出し手段と、
前記記録媒体に記録されているマイク位置特定情報に基づいて録音時のマイクロホンの位置関係を特定するマイク位置特定手段と、
前記読み出し手段により読み出された音データに、前記マイク位置特定手段で特定されたマイクロホンの位置関係に基づいて、音源分離処理を施す音源分離手段と、
前記音源分離手段により音源分離処理が施された音データを記憶する音源分離データ記憶手段と、
を備え、
請求項9に記載の音データ処理装置により記録媒体に前記マイクロホンの位置関係が変化したタイミングを特定する情報に基づいて、前記読み出し手段により読み出した音データが、前記マイクロホンの位置関係が変化したタイミングに達することを契機として、前記位置関係から前記複数のマイクロホンの位置関係を求めるマイク位置取得手段と、
をさらに備えることを特徴とする音データ処理装置。
【請求項15】
前記記録媒体に記録された音データ、又は、前記音源分離手段により音源分離処理が施された音データに対し音編集処理を施す音編集手段
をさらに備えることを特徴とする請求項13又は14に記載の音データ処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−278918(P2010−278918A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−131317(P2009−131317)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】