説明

音叉型水晶振動子の周波数測定方法および周波数測定装置

【課題】負荷容量を付加した音叉型水晶振動子を、複数個同時発振させる場合の周波数干渉を抑え、正確な発振周波数を測定する。
【解決手段】狭い間隔で配置された複数個の音叉型水晶振動子と対応するプローブ6を備えたプローブホルダ7をシールドし、負荷容量を付加した状態で、複数個同時発振させ音叉型水晶振動子の発振周波数を測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音叉型水晶振動子の周波数測定方法および周波数測定装置に関するものである。さらに詳しくは、周波数調整工程において、負荷容量CLを付加し、複数の音叉型水晶振動子の発振周波数を同時に測定する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
所定の発振周波数を有する水晶振動子の周波数調整工程において、周波数調整前後の水晶振動子の正確な発振周波数を測定することは、作業効率や、歩留向上などの観点から、重要な作業である。
【0003】
また、複数の水晶振動子を同時に処理することも、水晶振動子を大量生産する上で、非常に重要であり、特許文献1に示すように、複数の音叉型水晶振動子を同時に発振させ、周波数を測定する方法などが、考えられてきた。
【0004】
また、音叉型水晶振動子の発振周波数を補償する上で、ユーザーの使用環境に合わせる必要がある。即ち、ユーザーが、音叉型水晶振動子を組み込む回路と同等の負荷容量CLを付加した状態で、音叉型水晶振動子の発振周波数を確認していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平1−31059
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
負荷容量CLを付加しない状態で、音叉型水晶振動子の発振周波数を所定の値に調整しても、実際に負荷容量CLを付加した状態では、個々の音叉型水晶振動子によって、発振周波数のシフト量が異なり、発振周波数が所定の値から外れてしまう不具合が生じる。
【0007】
より正確に周波数調整を行うためには、周波数調整時に、負荷容量CLを付加した状態で、周波数測定を行うことが望まれ、例えば、図7に示すような樹脂製のプローブホルダ7を用いて、音叉型水晶振動子に負荷容量CLを付加し、所定の間隔で配置し複数個同時発振させる方法が考えられる。
【0008】
しかしながら、負荷容量CLを付加した音叉型水晶振動子では、高インピーダンスとなり、図5に示すように、複数個同時発振させると、隣接する音叉型水晶振動子の発振信号がノイズとなり、周波数干渉を引き起こし、正確な周波数測定が出来ない問題がある。周波数干渉を回避するためには、複数個同時配置する際の間隔を、30mm程度離して配置する必要がある。
【0009】
複数の音叉型水晶振動子を広い間隔で配置し測定を行うため、作業効率の低下と装置の大型化、コスト高が生じていた。よって、狭い間隔で音叉型水晶振動子を複数個配置しても、周波数干渉を抑え、正確な発振周波数を測定し、周波数調整を行う方法が望まれる。
【0010】
本発明は、複数の音叉型水晶振動子の正確な発振周波数を測定する方法、および装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
所定の間隔で整列させた複数の音叉型水晶振動子を、同時に発振させ、音叉型水晶振動子の発振周波数を測定する周波数測定方法において、それぞれの音叉型水晶振動子と対応するプローブをプローブホルダでシールドし、負荷容量CLを付加した状態で、前記音叉型水晶振動子の発振周波数を測定する音叉型水晶振動子の周波数測定方法とする。
【0012】
所定の間隔でマトリクス状に整列させた複数の音叉型水晶振動子を、複数のブロックに分割し、前記ブロック毎に音叉型水晶振動子の発振周波数を測定する音叉型水晶振動子の周波数測定方法とする。
【0013】
所定の間隔で整列させた複数の音叉型水晶振動子を、同時に発振させ、音叉型水晶振動子の発振周波数を測定する周波数測定装置において、それぞれの音叉型水晶振動子と対応するプローブをプローブホルダでシールドするシールド手段を備え、負荷容量CLを付加した状態で、前記音叉型水晶振動子の発振周波数を測定する音叉型水晶振動子の周波数測定装置とする。
【発明の効果】
【0014】
上記周波数測定方法および、周波数測定装置を用いることで負荷容量CLを付加した音叉型水晶振動子を狭い間隔で複数個同時に発振させても、周波数干渉を抑える事が出来る。
【0015】
本発明によって、複数の音叉型水晶振動子の正確な発振周波数を測定する方法、および装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明における、周波数干渉を説明する図。
【図2】表面実装型の音叉型水晶振動子を複数個配置した図。
【図3】本発明におけるプローブホルダを説明する断面図。
【図4】本発明におけるプローブホルダの部分拡大図。
【図5】周波数干渉の発生を説明する概念図。
【図6】集合状態で配置された音叉型水晶振動子の上面図。
【図7】従来の樹脂製のプローブホルダを説明する断面図。
【図8】表面実装型音叉型水晶振動子の外観図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態を、表面実装型の音叉型水晶振動子を例に図を用いて説明する。図1は、本発明における周波数干渉を説明する図である。図2は、表面実装型の音叉型水晶振動子を複数個配置した図である。図3は、本発明におけるプローブホルダを説明する断面図である。図4は、本発明におけるプローブホルダの部分拡大図である。図6は、集合状態で配置された音叉型水晶振動子の上面図である。図8は、表面実装型音叉型水晶振動子の外観図である。
【0018】
一般的に、表面実装型の音叉型水晶振動子1は、図8に示すように、セラミック製のパッケージ2の凹部に、音叉型水晶振動片(不図示)を収容し、凹部を被う金属製の蓋3で気密封止されている。
【0019】
音叉型水晶振動片の製造工程とセラミック製のパッケージへの搭載工程は省略し、周波数調整工程のみ説明する。
【0020】
まず、セラミック製のパッケージ2に音叉型水晶振動片1を収容した後、図2に示すように、トレイ5に約4mmの間隔で複数個整列配置する。
【0021】
表面実装型の音叉型水晶振動子1を真空状態で、周波数調整前の発振周波数の測定を、負荷容量CLを付加した状態で行う。この時、パッケージ2の電極4に周波数測定装置のプローブ6をコンタクトし、発振させる。
【0022】
図3に示すように、周波数測定装置のプローブホルダ7は、例えばステンレススチールやアルミニウム等の導電性のある金属で構成され、装置のGNDに接続し、プローブ6に入るノイズをシールドしている。
【0023】
この時、図4に示すように、電極4間のショートを防ぐため、絶縁材のスリーブ8で電極4間の絶縁とGNDとの絶縁を確保している。
【0024】
このような構成とすることで、図1に示すように、負荷容量CLを付加した音叉型水晶振動子1を、シールドせず狭い間隔で配置し複数個同時発振させると12.2ppmの周波数干渉が生じていたが、シールド効果を兼ねたプローブホルダ7を用いることで、配置間隔はそのままで周波数干渉を2.9ppmに抑えることが出来、より正確な発振周波数測定が出来るようになり、装置の小型化と効率化が可能となる。
【0025】
測定した発振周波数に基づいて、調整量を算出し所定の発振周波数に調整する。
【0026】
周波数調整後、金属製の蓋3をセラミック製のパッケージ2に接合し、気密封止し、表面実装型の音叉型水晶振動子1が完成する。
【0027】
本発明は音叉型水晶振動子であれば、パッケージ構成、問わず適用できる。例えばガラス製パッケージや、図6に示すような集合状態のパッケージでも、周波数測定時に適用出来る。集合状態のパッケージでは、隣接する音叉型水晶振動子に限らず所定の配列の音叉型水晶振動子を複数個同時に発振させ周波数測定を行っても良い。
【符号の説明】
【0028】
1 音叉型水晶振動子
2 パッケージ
3 蓋
4 電極
5 トレイ
6 プローブ
7 プローブホルダ
8 スリーブ
CL 負荷容量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の間隔で整列させた複数の音叉型水晶振動子を、同時に発振させ、
音叉型水晶振動子の発振周波数を測定する周波数測定方法において、
それぞれの音叉型水晶振動子と対応するプローブを備えたプローブホルダをシールドし、
負荷容量CLを付加した状態で、
前記音叉型水晶振動子の発振周波数を測定することを特徴とする音叉型水晶振動子の周波数測定方法。
【請求項2】
請求項1記載の音叉型水晶振動子の周波数測定方法において、
所定の間隔でマトリクス状に整列させた複数の音叉型水晶振動子を、複数のブロックに分割し、
前記ブロック毎に音叉型水晶振動子の発振周波数を測定することを特徴とする音叉型水晶振動子の周波数測定方法。
【請求項3】
所定の間隔で整列させた複数の音叉型水晶振動子を、同時に発振させ、
音叉型水晶振動子の発振周波数を測定する周波数測定装置において、
それぞれの音叉型水晶振動子と対応するプローブを備えたプローブホルダをシールドするシールド手段を備え、
負荷容量CLを付加した状態で、
前記音叉型水晶振動子の発振周波数を測定することを特徴とする音叉型水晶振動子の周波数測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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