説明

音声信号受信型音声玩具及び音声玩具装置

【課題】集客施設の来場者に対しサービスのパーソナライズを図り、来場者を充分に楽しませて、リピーターの増加を図ることができる音声信号受信型音声玩具及び音声玩具装置を提供する。
【解決手段】音声信号受信型音声玩具は、集客施設内で来場者が着用するキャップ型玩具1である。キャップ型玩具2の装着型玩具本体10の正面に、集光レンズ12を通して可視光を受光する受光素子13を有した受光器11が取り付けられ、受光器11から出力されたデジタル音声信号を積分してアナログオーディオ信号とし、スピーカー19に出力するフィルター回路18が、設けられる。テーマパーク内で音声信号を重畳して投光される可視光光源に、キャップ型玩具1の受光器11を向けたとき、受光器11が可視光を受光し、そこに重畳される音声信号を取り出し、スピーカー19から音声を発生させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テーマパークなどの集客施設内で販売或いは提供されるグッズに内蔵され、音声信号を受信して音声を発生させる音声信号受信型音声玩具、及びその音声信号受信型音声玩具と共に使用され、集客施設のイメージキャラクターの着ぐるみなどに内蔵され、当該音声玩具に対し音声信号を可視光通信により送信する可視光送信機を備えた音声玩具装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各地でテーマパークが開催されており、多くの人々がテーマパークの施設やそこでのアトラクションなどを楽しんでいる。それらのテーマパークでは、多くの来場者に楽しんでもらうために、イメージキャラクターの着ぐるみなどを会場内に出演させ、来場者にパフォーマンスなどを見せて、リピーターの増加を図っている。
【0003】
しかし、この種のイメージキャラクターの着ぐるみは、来場者に対して単にパフォーマンスを見せるのみであり、飽きられ易く、リピーターの獲得には必ずしも繋がらないという課題があった。
【0004】
また、来場者に対し、テーマパークのテーマやイメージキャラクターとの一体感を感じ、楽しんでもらうために、テーマパークでは、各種のイメージキャラクターのぬいぐるみ、キャップなどの各種のグッズを販売しているものの、この種の従来のグッズも、リピーターの増加に繋がるものではなかった。
【0005】
つまり、この種のイメージキャラクターなどのグッズは、テーマパークを離れた購入者の自宅などにおいて、動作態様や使用態様に何ら変わりがないため、単にイメージキャラクターへの愛着心を鼓舞させるファン化の効果を持つに留まり、その結果、テーマパークの顧客をリピーター化させるための強い動機付けとなるものとはなり得なかった。さらに、この種の従来のグッズは、販売期間が長くなると一般化し、テーマパークへの新たな来場者にとっても、飽きられ易いという課題があった。
【0006】
一方、従来、ぬいぐるみ玩具などにおいて、音声を発生する玩具が、下記特許文献1などで知られているが、この種のぬいぐるみ玩具が発生する音声は、ぬいぐるみに内蔵された音声発生器のメモリに予め記憶された音声信号を再生するのみであるため、繰り返し使用されると、やはり飽きられ易い。このため、テーマパークでは、リピーター来場者を増やすために、新たな魅力をもったグッズの開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−301942号公報
【特許文献2】特開2000−320238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
他方、音声案内を送信する装置として、従来、自動ドアに接近した視覚障害者に対し音声案内の音声信号を送信する音声案内装置が、上記特許文献2などで知られている。この音声案内装置は、自動ドアのドア開閉制御用センサが人の接近を検出したとき、赤外線、電波などの無線通信装置から赤外線または電波に重畳して音声案内用の音声信号をそのエリア付近に送信し、視覚障害者は、携帯端末または専用受信機によりその赤外線または電波の音声信号を受信する。携帯端末または専用受信機はその音声信号を受信すると、信号を復調して音声信号を再生し、スピーカーやヘッドフォンなどを通して、音声案内を発生させるように動作する。
【0009】
このような従来の音声案内装置を、テーマパークなどの集客施設内に設置し、例えばキャラクターグッズに受信機を内蔵させて受信機玩具とし、来場者がその受信機玩具を集客施設に持参して、単に音声案内装置から赤外線や電波により送信される音声案内の音声信号を使用者が受信機玩具を通して聞く場合、赤外線や電波は非選択的に使用者の受信機に到達し、各来場者に選択的に音声を到達させることはできない。このため、来場者に対し自然なサービスの選択としてパーソナライズを行なうことができず、来場者は楽しさや充分な満足感を満喫することが難しく、これによって集客施設のリピーターの増加を図ることは難しい。
【0010】
本発明は、上記の点に鑑みなされたもので、集客施設の来場者に対しサービスのパーソナライズを図り、来場者を充分に楽しませて、リピーターの増加を図ることができる音声信号受信型音声玩具とその音声信号受信型音声玩具を使用した音声玩具装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の音声信号受信型音声玩具は、集客施設内で来場者が装着して使用する音声信号受信型音声玩具であって、装着型玩具本体の正面に配置され、集光レンズを通して可視光を受光する受光素子を有した受光器と、該装着型玩具本体内に配設されたスピーカーと、該受光器から出力される信号を増幅する増幅器と、増幅器から出力されたデジタル音声信号を積分してアナログオーディオ信号とし、該スピーカーに出力するフィルター回路と、を備え、使用者が、該装着型玩具本体正面の受光器を、該集客施設内で音声信号を重畳して投光される、可視光光源に向けたとき、該可視光を該受光器が受光し、その受光信号に含まれる音声信号を取り出し、音楽、声などを含む音声を該スピーカーから発生させることを特徴とする。なお、ここでいうスピーカーとは、イヤホンなどの小型音声発生器を含む概念である。
【0012】
ここで、上記可視光として、青色光または青色光成分を含む白色光を使用することが好ましい。また、青色光または青色光成分を含む白色光を使用した場合、受光器の受光素子として、青色光を高感度に受光可能な青色レーザー用フォトダイオードを使用することが好ましい。また、上記装着型玩具本体としては、使用者がその頭部に被って装着するキャップ型玩具とすることができ、或いは顔面に装着する眼鏡型玩具若しくは胸に装着するペンダント型玩具とすることができる。装着型玩具本体としてキャップ型玩具を使用する場合、集光レンズを含む受光器はキャップ型玩具の正面略中央に配置し、スピーカーはキャップ型玩具の両側の耳部近傍に配置することができる。
【0013】
一方、本発明の音声玩具装置は、集客施設内で来場者が装着する音声信号受信型音声玩具と、該集客施設内のイメージキャラクターまたは該集客施設内の施設に装着され、該音声信号受信型音声玩具に向けて音声信号を重畳した可視光を投光する可視光送信機とを備え、
該音声信号受信型音声玩具は、装着型玩具本体の正面に配置され、集光レンズを通して可視光を受光する受光素子を有した受光器と、該装着型玩具本体内に配設されたスピーカーと、該受光器から出力される信号を増幅する増幅器と、増幅器から出力されたデジタル音声信号を積分してアナログオーディオ信号とし、該スピーカーに出力するフィルター回路と、を備え、使用者が、該装着型玩具本体正面の受光器を、該集客施設内で音声信号を重畳して投光される、可視光光源に向けたとき、該可視光を該受光器が受光し、その受光信号に含まれる音声信号を取り出し、音楽、声などを含む音声を該スピーカーから発生させるように構成され、
該可視光送信機は、音源としてのアナログ音声信号を出力する音源装置と、可視光を投光素子から投光する投光器と、該音源装置から出力されたアナログ音声信号を入力し、該アナログ音声信号を変調して音声送信信号を生成する変調回路と、該音声送信信号を可視光に重畳させるように該投光素子を駆動して可視光を投光する投光駆動回路とを備え、該音声信号受信型音声玩具に向けて集光され指向性を持った可視光を投光して音声信号を送信するように構成されたことを特徴とする。
【0014】
ここで、上記投光器が投光する可視光として青色光または青色光成分を含む白色光を使用し、投光素子として、青色発光ダイオードまたは白色発光ダイオードを使用することが好ましい。また、上記可視光送信機は、集客施設内でパフォーマンスを行うイメージキャラクターの頭部や胸部などに内蔵すると共に、その投光器は、イメージキャラクターの正面に前方を向けて取り付けられ、イメージキャラクターの頭部または体が向いた方向に、集光され指向性を持った可視光を投光するように、投光器が集光レンズを通して投光するように構成することができる。また、上記変調回路は、アナログ音声信号をPWM変調して音声送信信号を生成するPWM変調回路とすることが好ましい。
【0015】
上記構成の音声信号受信型音声玩具及び音声玩具装置では、音声信号受信型音声玩具の装着型玩具本体として、例えばキャップ型玩具を用いた場合、使用者は、テーマパークなどの集客施設において、頭に当該音声玩具を被り、可視光送信機は、集客施設内の例えばイメージキャラクターの着ぐるみの頭部などに装着され、可視光送信機の投光器から、音声信号を重畳した可視光が、集光され比較的狭い範囲の指向性を持って、イメージキャラクターの前方に投光される。
【0016】
このような状態で、投光された可視光は、例えば青色光または白色光であり、青色光または白色光が円錐状の光の束として投光されるため、集客施設の来場者は、その可視光を目印にして、イメージキャラクターによるサービスの発信源を容易に視認することができる。
【0017】
また、音声信号を重畳して投光する可視光として青色光または青色光成分を含む白色光を使用すると、高感度で高速応答性の青色レーザー用フォトダイオードを受光素子に使用することが可能となる。さらに、高速で動作する青色発光ダイオード、または青色発光ダイオードの青色光を黄色の蛍光体に当てて白色光を投光する白色発光ダイオードを、投光素子に使用することが可能となり、これにより、可視光通信に、数百KHzから数MHzの高い周波数信号により変調を行なうPWM変調を採用することが可能となる。
【0018】
このため、従来、音声信号を無線通信により送信する場合、一般的に採用されていたFM変調、FSK変調などを使用する場合に比べ、受信機側に複雑な復調回路や検波回路が不要となり、受信機が出力する音声の音質を良好に保ちつつ、受信側の電気回路を非常に簡単化、簡素化することができ、可視光受信機つまり音声信号受信型音声玩具の製造コストを極めて低減して、非常に安価な音声玩具を、ユーザーに提供することができる。
【0019】
また、PWM変調したデジタル信号は、平均レベルが常に一定であるため、信号を重畳した可視光の輝度は、音量や変調周波数に関係なく略一定となって変化しないので、可視光を見ている使用者に違和感を生じさせることはない。また、可視光送信機と音声信号受信型音声玩具の距離が近づき或いは離れた場合、受信側の受光信号のレベルが予め設定した閾値以上であれば、音量や音質に殆ど影響は生じない。さらに、それらの距離が遠く離れて受光信号のレベルが閾値未満に下った場合には、無音となるのみであるから、これは音声信号受信型音声玩具側の電源をオフしたときと同様であり、使用者に不快感を感じさせることはない。
【0020】
使用時、当該音声玩具を装着した使用者が、青色または白色の可視光を投光する、例えばイメージキャラクターの着ぐるみに近づき、その着ぐるみの正面にほぼ向き合う状態となると、音声玩具の受光器が可視光送信機の投光器に向けられ、可視光送信機の投光器から投光されて音声信号を重畳した可視光が、音声信号受信型音声玩具の受光器に受光される。
【0021】
このとき、受光器の受光素子は光を光電変換して受光信号を出力し、信号は増幅された後、フィルター回路で積分されてアナログオーディオ信号とされ、スピーカーに出力される。これにより、スピーカーから、例えば「私は○○です。こんにちは!」のような音声が発生し、使用者は、この音声を、恰も自分のみに発せられたイメージキャラクターからの挨拶として、大きな親近感を抱いて聞くことができる。
【0022】
また、音声玩具の使用者は、その挨拶の音声が、大勢の人々に対してなされる共通の言葉ではなく、極自然に言葉の内容が選択され、自分のためにのみ発せられたイメージキャラクターからの言葉であると認識し、大きな感動を覚えることができる。
【0023】
特に、集客施設内で、複数のイメージキャラクター(例えば、ジョンとメアリー)が並んで位置し、それらのイメージキャラクターの着ぐるみに付された可視光送信機から、使用者に向けて各々、指向性をもった可視光が投光される場合、音声玩具を装着した使用者が、ジョンの方向を向けば、そのジョンの音声を、例えば「私はジョンです。こんにちは!」などと聞くことができ、使用者がメアリーの方向を向けば、そのメアリーの音声を、例えば「私はメアリーです。こんにちは!」などと、選択的に聞くことができる。
【0024】
このため、使用者には、イメージキャラクターのジョンまたはメアリーに顔を向ければ、恰もそれらのキャラクターが自分に話しかけてくるように感じることができ、来場者に対し自然なサービスの選択とパーソナライズを効果的に行なうことができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の音声信号受信型音声玩具とその音声信号受信型音声玩具を使用した音声玩具装置によれば、集客施設の来場者に対しサービスのパーソナライズを図り、来場者を充分に楽しませることができる。また、使用者が上記音声信号受信型音声玩具を装着して集客施設内に入場した場合、使用者の自宅などに音声信号受信型音声玩具を置く場合より、遥かに新鮮で楽しい体験をすることができる。さらに、その体験はそこでしか得られないため、使用者が集客施設を再訪するという強い動機付けとなり得るので、このような音声信号受信型音声玩具を集客施設で使用することにより、リピーターの増大を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態を示すキャップ型玩具の正面図である。
【図2】キャップ型玩具の可視光受信機のブロック図である。
【図3】可視光送信機のブロック図である。
【図4】音声玩具装置の説明斜視図である。
【図5】音声玩具装置の説明平面図である。
【図6】三角波と音声信号を用いてPWM変調を行ったときの波形説明図である。
【図7】他の実施形態を示す音声信号受信型音声玩具としての眼鏡型玩具の斜視図である。
【図8】他の実施形態を示す音声信号受信型音声玩具としてのペンダント型玩具の斜視図である。
【図9】可視光送信機を内蔵したぬいぐるみのイメージキャラクターの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は音声信号受信型音声玩具としてのキャップ型玩具1の正面図を示し、図2はそこに内蔵される可視光受信機5の電気回路のブロック図を示し、図3は可視光送信機2のブロック図を示している。
【0028】
この音声信号受信型音声玩具としてのキャップ型玩具1は、図1に示すように、その装着型玩具本体10がキャップ(帽子)型に形成され、使用者が頭に被って使用される。また、装着型玩具本体10は、テーマパークなどの集客施設におけるイメージキャラクターの外観を模してキャップ(帽子)状に形成され、その前面略中央に、受光器11が正面を向けて取り付けられる。受光器11には、可視光を受光して光電変換を行い、受光信号を出力する受光素子13が設けられ、受光素子13の前面に集光レンズ12を配置して、前方から入射する可視光を集光して受光素子13に当てるようになっている。
【0029】
受光素子13は、青色の可視光を高感度で受光し、高い変換効率で光電変換を行い、且つ高い応答性を有して、受光信号を出力するために、受光素子13として、例えば、青色レーザー用フォトダイオードが使用される。
【0030】
このような青色レーザー用フォトダイオードを受光素子13に使用することにより、従来、一般に使用されていた赤色或いは黄色の可視光または赤外線を受光するフォトトランジスタなどの受光素子は、青色レーザー用フォトダイオードを用いた受光素子13に比べて、その感度や応答速度が低く、本発明のように、数百kHz〜数MHzという高い周波数でPWM変調された可視光を受光し、そこから忠実度が高く音質の優れた音声信号(オーディオ信号)を取出すことは不可能であったが、受光素子13に青色レーザー用フォトダイオードを使用することにより、そのような高い周波数でPWM変調された可視光を受光し、そこから忠実度が高く音質の優れた音声信号を取出すことが可能となる。
【0031】
受光器11は、ヘッドアンプ14を受光素子13に接続し、受光素子13から出力される受光信号を先ずヘッドアンプ14により増幅して出力する。図2に示すように、ヘッドアンプ14の出力側には、アナログアンプ15が接続され、入力された信号をそのままアナログ的に増幅する。アナログアンプ15の出力側はコンパレータを用いた波形整形回路16に接続され、この波形整形回路16では、受光信号から直流分が除去され、波形整形される。
【0032】
受光信号は、基本的にPWM変調された交流の矩形信号であるが、アナログアンプ15により増幅しているため、直流分が重畳することとなり、波形整形回路16を通すことにより、直流分を除去し、波形整形された矩形波信号として出力する。波形整形回路16の出力側には、デジタルアンプ17が接続され、波形整形回路16から出力された矩形波信号は、デジタルアンプ17に送られて、デジタル信号として増幅される。
【0033】
図2に示すように、デジタルアンプ17の出力側には、フィルター回路18が接続される。フィルター回路18は、コイルL、コンデンサCを用いたローパスフィルターから構成され、PWM変調された交流の矩形波信号を、滑らかなアナログ信号とすることにより、受信した信号を、PWM変調される前のアナログオーディオ信号に戻すように処理し、アナログの音声信号を出力する。フィルター回路18の出力側は、スピーカー19に接続され、スピーカー19の駆動により、キャップ型玩具1の可視光受信機5で受信された音声が、使用者の耳元で発生するようになっている。
【0034】
上記のように、音声信号を重畳して投光する可視光として、青色光を使用すると、高感度で高速応答性の青色レーザー用フォトダイオードを受光素子13に使用した場合、後述の可視光送信機2の投光素子23に、高速でスイッチング動作が可能な青色発光ダイオードを、使用することが可能となり、これにより、数百KHz〜数MHzの高い周波数信号により変調を行なうPWM変調を採用することが可能となる。
【0035】
このため、従来、音声信号を無線通信により送信する場合、一般的に採用されていたFM変調、FSK変調などを使用する場合に比べ、受信機側に複雑な復調回路や検波回路が不要となり、受信機が出力する音声の音質を良好に保ちつつ、受信側の電気回路を非常に簡単化、簡素化することができる。したがって、可視光受信機5つまりキャップ型玩具1の製造コストを極めて低減して、非常に安価な音声玩具を、集客施設の来場者に提供することができる。
【0036】
可視光送信機2は、図4,5に示すように、集客施設内のイメージキャラクター20の着ぐるみに装着され、キャップ型玩具1に向けて音声信号を重畳した可視光を投光するように構成される。可視光送信機2は、このような着ぐるみに取り付ける他、集客施設内の各種の施設、展示物などに装着することができる。
【0037】
可視光送信機2の電気回路は、図3に示すように、音源としてのアナログ音声信号を出力する音源装置27と、可視光を投光素子23から集光レンズ22を通して投光する投光器21と、音源装置27から出力されアナログ音声信号を入力し、アナログ音声信号をPWM変調して音声送信信号を生成するPWM変調回路25と、音声送信信号を可視光に重畳させるように投光素子23を駆動して可視光を投光する投光器21とを備え、キャップ型玩具1に向けて集光され指向性を持った可視光を投光して音声信号を送信するように構成される。
【0038】
音源装置27は、音源としての音声信号を出力する装置であり、例えば録音メディアとしてのMD、CD、半導体メモリ、或いはハードディスクなどに記録されたデジタル音声信号を読み出して再生し、アナログオーディオ音声信号として出力する形式の音声再生装置、ネットワークを通して送られた音声信号をアナログ音声信号に変換して出力する装置、或いはイメージキャラクターの着ぐるみ内の人が話す音声を、マイクを通して音声信号として出力する装置などを使用することができる。図3のように、音源装置27の出力側はPWM変調回路25に入力側に接続され、PWM変調回路25の三角波の入力側には、さらに三角波発振回路26が接続される。
【0039】
三角波発振回路26は、例えば800KHz程度の高い周波数の三角波を発振し出力する回路であり、PWM変調回路25は、この三角波発振回路26から三角波を取り込み、音源装置27からはアナログ音声信号を取り込む。そして、両信号をコンパレータの反転入力側と非反転入力側に各々入力し、コンパレータから、それらの信号の大小関係に応じてスイッチングするPWM信号が出力され、PWM変調を行う。
【0040】
このようなPWM変調によって、アナログ音声信号のレベルに応じてパルス幅を有するパルス状のPWM矩形信号が、図6のように、PWM変調回路25から投光駆動回路24に出力される。PWM変調回路25の出力側には、図3の如く、投光器21の投光駆動回路24が接続され、投光器21は、投光駆動回路24により投光素子23を投光駆動し、投光素子23から、特に認識されやすい青色光、または青色光成分を含む可視光を投光するようになっている。投光器21は、図4、5に示すように、集客施設のイメージキャラクター20の着ぐるみの、例えば頭部の前面に正面を向けて取り付けられ、正面に青色の可視光を、集光レンズ22を通して集光し指向性を持って投光する構造である。
【0041】
なお、イメージキャラクター20の着ぐるみは、通常、着ぐるみを着た人によって動き、各種のパフォーマンスがなされるが、人の外に、ロボットが着ぐるみを着て動くようにすることもでき、或いは、着ぐるみではなく、集客施設に設置された施設であってイメージキャラクターを形取ったものに可視光送信機2を取り付けることもできる。
【0042】
次に、上記構成の音声信号受信型音声玩具及び音声玩具装置の動作を説明する。音声信号受信型音声玩具としてのキャップ型玩具1は、上記のように、テーマパークなどの集客施設のイメージキャラクター20の頭部を模して形成されており、その集客施設などで販売され、使用者はそれを購入する。
【0043】
使用者(来場者)は、その頭にキャップ型玩具1を被り、集客施設内で、イメージキャラクター20のパフォーマンスなどを楽しむこととなる。可視光送信機2は、上記のように、イメージキャラクター20の着ぐるみの頭部に装着され、その投光器21は、着ぐるみの頭部前面に、正面を向けて配置されるため、イメージキャラクター20の着ぐるみがその頭部を向く方向に、投光器21から、音声信号を重畳した青色の可視光が、集光され狭い範囲の指向性を持って前方に投光される。
【0044】
このような状態で、投光された青色の可視光は、円錐状の光の束として投光されるため、来場者つまり使用者は、その青色の可視光を目印にして、イメージキャラクター20によるサービスの発信源を容易に視認することができる。
【0045】
キャップ型玩具1を装着した使用者が、青色の可視光を投光するイメージキャラクター20の着ぐるみに近づき、その着ぐるみの正面にほぼ向き合う状態となると、図4のように、音声玩具の受光器が可視光送信機2の投光器21に向けられ、可視光送信機2の投光器21から投光された、音声信号を重畳した可視光が、キャップ型玩具1の受光器11に受光される。
【0046】
受光器11は受光信号を出力し、信号は増幅された後、フィルター回路18で積分されてアナログオーディオ信号とされてスピーカー19に出力され、スピーカー19から音声が、例えば「私は○○です。こんにちは!」のように発生する。これにより、使用者は、この音声を、恰も自分のみに発せられたイメージキャラクター20からの挨拶として聞くことができる。
【0047】
このため、音声玩具の使用者は、その挨拶の音声が、大勢の人々に対してなされる共通の言葉ではなく、極自然に言葉の内容が選択され、自分のためにのみ発せられたイメージキャラクター20からの言葉であると認識し、大きな感動を覚えることができる。
【0048】
また、図4,5のように、集客施設内で、複数のイメージキャラクター(例えば、ジョンとメアリー)が並んで位置し、それらのイメージキャラクター20の着ぐるみに付された可視光送信機2から、使用者に向けて各々、集光して指向性をもった青色光、または青色光成分を含む可視光が投光される場合、キャップ型玩具1を装着した使用者が、ジョンの方向を向けば、そのジョンの音声を、例えば「私はジョンです。こんにちは!」を聞くことができ、使用者がメアリーの方向を向けば、そのメアリーの音声を、例えば「私はメアリーです。こんにちは!」を選択的に聞くことができる。
【0049】
このため、使用者には、イメージキャラクター20のジョンまたはメアリーに顔を向ければ、恰もそれらのキャラクターが自分に話しかけてくるように感じることができ、来場者に対し自然なサービスの選択とパーソナライズを効果的に行なうことができる。
【0050】
このように、使用者がキャップ型玩具1を装着して集客施設内に入場した場合、使用者の自宅などにキャップ型玩具を置く場合より、遥かに新鮮で楽しい体験をすることができ、また、その体験はそこでしか得られないため、使用者が集客施設を再訪するという強い動機付けとなり得るから、このようなキャップ型玩具1を集客施設の来場者に提供することにより、リピーターの増大を確実に図ることができる。
【0051】
なお、上記実施形態では、可視光として、青色光を使用したが、青色光とその波長が近似する紫色光、緑色光の単色光を使用しても、上記と同様の効果を奏するものである。また、青色発光ダイオードの青色光を黄色の蛍光体に当てて、黄色光を発光させ、青色光と黄色光を合わせて白色光を投光する白色発光ダイオードを使用し、青色光を含む可視光(白色光)を投光することもできる。このような白色光は青色光成分を多く含むため、受光素子として高感度で高速応答性の青色レーザー用フォトダイオードを使用することができる。
【0052】
また、上記実施形態では、音声信号受信型音声玩具としてキャップ型玩具1を使用したが、その他に、図7、図8に示すように、顔面に装着する眼鏡型玩具30若しくは胸に装着するペンダント型玩具40としてもよい。眼鏡型玩具30の場合、集光レンズを含む受光器31及び上述のヘッドアンプ14は眼鏡型玩具30の正面略中央に配置し、スピーカー32及び上述のアナログアンプ15、波形整形回路16、デジタルアンプ17、フィルター回路18は眼鏡型玩具30の両側の耳部近傍内部に配置すればよい。また、ペンダント型玩具40の場合、集光レンズを含む受光器41はペンダント型玩具40の正面に配置し、スピーカー42及び上述のヘッドアンプ14、アナログアンプ15、波形整形回路16、デジタルアンプ17、フィルター回路18はペンダント型玩具40の内部に配置すればよい。
【0053】
さらに、上記実施形態では、可視光送信機2は着ぐるみ型のイメージキャラクター20の頭部に内蔵したが、図9に示すように、ぬいぐるみ型のイメージキャラクター50の体内に内蔵し、投光器21はイメージキャラクター50の正面に前方を向けて取り付けてもよい。この場合、イメージキャラクター50は、集客施設などで来場者に提供され、来場者は、そのぬいぐるみ型のイメージキャラクター50を、キャップ型玩具1などと共に自宅に持ち帰り、自宅でも楽しむことができる。
【符号の説明】
【0054】
1 キャップ型玩具
2 可視光送信機
5 可視光受信機
10 装着型玩具本体
11 受光器
12 集光レンズ
13 受光素子
14 ヘッドアンプ
15 アナログアンプ
16 波形整形回路
17 デジタルアンプ
18 フィルター回路
19 スピーカー
20 イメージキャラクター
21 投光器
22 集光レンズ
23 投光素子
24 投光駆動回路
25 PWM変調回路
26 三角波発振回路
27 音源装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
集客施設内で来場者が装着して使用する音声信号受信型音声玩具であって、
装着型玩具本体の正面に配置され、集光レンズを通して可視光を受光する受光素子を有した受光器と、
該装着型玩具本体内に配設されたスピーカーと、
該受光器から出力される信号を増幅する増幅器と、
該増幅器から出力されたデジタル音声信号を積分してアナログオーディオ信号とし、該スピーカーに出力するフィルター回路と、
を備え、使用者が、該装着型玩具本体の正面の該受光器を、該集客施設内で音声信号を重畳して投光される、可視光光源に向けたとき、該可視光を該受光器が受光し、該受光器の受光信号に含まれる音声信号を取り出し、音楽、声などを含む音声を該スピーカーから発生させることを特徴とする音声信号受信型音声玩具。
【請求項2】
前記可視光が、青色光または青色光成分を含む白色光である請求項1記載の音声信号受信型音声玩具。
【請求項3】
前記受光器の受光素子として、青色光を高感度に受光可能な青色レーザー用フォトダイオードが用いられることを特徴とする請求項2記載の音声信号受信型音声玩具。
【請求項4】
前記装着型玩具本体が、使用者の頭部に被って装着するキャップ型玩具とされ、前記集光レンズを含む受光器が該キャップ型玩具の正面略中央に配置され、前記スピーカーが該キャップ型玩具の両側の耳部近傍に配置されたことを特徴とする請求項1乃至3記載の音声信号受信型音声玩具。
【請求項5】
前記装着型玩具本体が、使用者の顔面に装着する眼鏡型玩具とされ、前記集光レンズを含む受光器が該眼鏡型玩具の正面略中央に配置され、前記スピーカーが該眼鏡型玩具の両側の耳部近傍に配置されたことを特徴とする請求項1乃至3記載の音声信号受信型音声玩具。
【請求項6】
前記装着型玩具本体が、使用者の胸に装着するペンダント型玩具とされ、前記集光レンズを含む受光器が該ペンダント型玩具の正面略中央に配置され、前記スピーカーが該ペンダント型玩具内に配置されたことを特徴とする請求項1乃至3記載の音声信号受信型音声玩具。
【請求項7】
集客施設内で来場者が装着する音声信号受信型音声玩具と、該集客施設内のイメージキャラクター内または該集客施設内の施設に装着され、該音声信号受信型音声玩具に向けて、音声信号を重畳した可視光を投光する可視光送信機とを備え、
該音声信号受信型音声玩具は、装着型玩具本体の正面に配置され、集光レンズを通して可視光を受光する受光素子を有した受光器と、該装着型玩具本体内に配設されたスピーカーと、該受光器から出力される信号を増幅する増幅器と、増幅器から出力されたデジタル音声信号を積分してアナログオーディオ信号とし、該スピーカーに出力するフィルター回路と、を備え、該来場者が、該装着型玩具本体正面の受光器を、該集客施設内で前記可視光送信機に向けたとき、該可視光を該受光器が受光し、該受光器の受光信号に含まれる音声信号を取り出し、音楽、声などを含む音声を該スピーカーから発生させるように構成され、
該可視光送信機は、音源としてのアナログ音声信号を出力する音源装置と、可視光を投光素子から投光する投光器と、該音源装置から出力されアナログ音声信号を入力し、該アナログ音声信号を変調して音声送信信号を生成する変調回路と、該音声送信信号を可視光に重畳させるように該投光素子を駆動して可視光を投光する投光駆動回路とを備え、前記音声信号受信型音声玩具に向けて集光され指向性を持った可視光を投光して音声信号を送信するように構成されたことを特徴とする音声玩具装置。
【請求項8】
前記可視光として青色光が使用され、前記受光器の受光素子として、青色光を高感度に受光可能な青色レーザー用フォトダイオードが用いられ、前記投光器の投光素子として、青色発光ダイオードが用いられたことを特徴とする請求項7記載の音声玩具装置。
【請求項9】
前記可視光として青色光成分を含む白色光が使用され、前記受光器の受光素子として、青色光を高感度に受光可能な青色レーザー用フォトダイオードが用いられることを特徴とする請求項7記載の音声玩具装置。
【請求項10】
前記変調回路が前記アナログ音声信号をPWM変調して音声送信信号を生成するPWM変調回路である請求項7記載の音声玩具装置。
【請求項11】
前記可視光送信機は、集客施設内でパフォーマンスを行うイメージキャラクターの着ぐるみ内に内蔵され、前記投光器は、該イメージキャラクターの正面に前方を向けて取り付けられ、該イメージキャラクターの頭部または体が向いた方向に、集光レンズを通して集光され指向性を持った可視光を投光することを特徴とする請求項7記載の音声玩具装置。
【請求項12】
前記可視光送信機は、ぬいぐるみ型のイメージキャラクターの体内に内蔵され、前記投光器は、該イメージキャラクターの正面に前方を向けて取り付けられたことを特徴とする請求項7記載の音声玩具装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−213874(P2009−213874A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−12843(P2009−12843)
【出願日】平成21年1月23日(2009.1.23)
【出願人】(302045613)株式会社プランナーズランド (6)
【Fターム(参考)】