説明

音声出力装置及び放送受信装置

【課題】簡素な構成で高品質のエコーを付与する。
【解決手段】入力された1の音声信号を予め設定された第1遅延時間だけ遅延させて出力する第1遅延回路153aと、第1遅延回路153aから出力された音声信号S1を、3個のスピーカの中から予め設定された第1スピーカ154aを介して出力する第1出力部113と、を備え、入力された1の音声信号S2を、3個のスピーカの中から予め設定され、第1スピーカ154aとは相違するスピーカである第2スピーカ154cを介して出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、隣接する2以上の所定数のスピーカを備え、入力された1の音声信号を前記所定数のスピーカを介して音声を出力する音声出力装置に関する。特に、テレビジョン放送を受信し、受信した1の音声信号を隣接する2以上の所定数のスピーカに出力可能に接続された放送受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
テレビジョン放送を受信し、外部から視認可能にモニタに出力可能に構成された放送受信装置では、臨場感を醸し出すために、エコー等の種々の音響効果を付与することが提案されている。例えば、入力された音声信号と、その音声信号を遅延器及び減衰器を介して遅延減衰させた音声信号と、を重畳させてスピーカに出力する残響音付加装置が開示されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平4−174900号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記残響音付加装置では、複数の音声信号が重畳されて1のスピーカから出力されるため、複雑な音声信号を忠実に再現可能な(=高性能の)スピーカを配設する必要があった。また、複数の音声信号が重畳される際に、ノイズが混入する場合があり、ノイズ対策を講じる必要があった。
【0004】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、簡素な構成で高品質のエコーを付与することの可能な音声出力装置及び放送受信装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために請求項1に記載の音声出力装置は、隣接する2以上の所定数のスピーカを備え、入力された1の音声信号を前記所定数のスピーカを介して音声を出力する音声出力装置であって、入力された1の音声信号を予め設定された第1遅延時間だけ遅延させて出力する第1遅延手段と、前記第1遅延手段から出力された音声信号を、前記所定数のスピーカの中から予め設定された第1スピーカを介して出力する第1出力手段と、を備え、入力された1の音声信号を、前記所定数のスピーカの中から予め設定され、前記第1スピーカとは相違するスピーカである第2スピーカを介して出力することを特徴としている。
【0006】
請求項2に記載の音声出力装置は、請求項1に記載の音声出力装置であって、前記第1遅延時間を、エコーのレベルを示すレベル情報と対応付けて予め格納する遅延時間記憶手段と、外部からの操作入力を受け付けて、受け付けられた操作入力に基づいて、エコーのレベルを設定するレベル受付手段と、前記レベル受付手段によって設定されたエコーのレベルに対応する第1遅延時間を、前記遅延時間記憶手段から読み出して設定する第1時間設定手段と、を備えることを特徴としている。
【0007】
請求項3に記載の音声出力装置は、請求項2に記載の音声出力装置であって、前記所定数は、3以上であって、入力された1の音声信号を予め設定された第2遅延時間だけ遅延させて出力する第2遅延手段と、前記第2遅延手段から出力された音声信号を、前記所定数のスピーカの中から予め設定され、前記第1スピーカ及び第2スピーカとは相違するスピーカである第3スピーカを介して出力する第2出力手段と、を備えることを特徴としている。
【0008】
請求項4に記載の音声出力装置は、請求項3に記載の音声出力装置であって、前記第2遅延時間を設定する第2時間設定手段を備え、前記遅延時間記憶手段が、前記第2遅延時間を、前記レベル情報と対応付けて予め格納しており、前記第2時間設定手段が、前記レベル受付手段によって設定されたエコーのレベルに対応する第2遅延時間を、前記遅延時間記憶手段から読み出して設定することを特徴としている。
【0009】
請求項5に記載の音声出力装置は、請求項4に記載の音声出力装置であって、前記遅延時間記憶手段が、前記第2遅延時間の対応する第1遅延時間に対する比率を略一定値とするべく、前記第1遅延時間及び第2遅延時間が設定されていることを特徴としている。
【0010】
請求項6に記載の音声出力装置は、請求項3〜請求項5のいずれかに記載の音声出力装置であって、前記第1遅延手段及び第2遅延手段が、それぞれ、入力された音声信号を遅延させて出力すると共に、遅延時間が可変に構成された遅延回路からなることを特徴としている。
【0011】
請求項7に記載の放送受信装置は、テレビジョン放送を受信する受信手段と、請求項1〜請求項6のいずれかに記載の音声出力装置と、を備え、前記受信手段を介して前記1の音声信号が入力されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の音声出力装置によれば、入力された1の音声信号が予め設定された第1遅延時間だけ遅延されて出力され、出力された音声信号が、所定数のスピーカの中から予め設定された第1スピーカを介して出力される。また、入力された1の音声信号が、所定数のスピーカの中から予め設定され、第1スピーカとは相違するスピーカである第2スピーカを介して出力されるため、簡素な構成で高品質のエコーを付与することができる。
【0013】
すなわち、第2スピーカからは、入力された1の音声信号に対応する音声が出力され、第2スピーカに隣接する第1スピーカからは、入力された1の音声信号が第1遅延時間だけ遅延されて出力されるため、音声信号を重畳する処理を施すことなくエコーを付与することができるので、簡素な構成で高品質のエコーを付与することができるのである。
【0014】
請求項2に記載の音声出力装置によれば、第1遅延時間が、エコーのレベルを示すレベル情報と対応付けて遅延時間記憶手段に予め格納されており、外部からの操作入力が受け付けられて、受け付けられた操作入力に基づいて、エコーのレベルが設定され、設定されたエコーのレベルに対応する第1遅延時間が、遅延時間記憶手段から読み出されて設定されるため、利便性良好に簡素な構成で高品質のエコーを付与することができる。
【0015】
すなわち、設定されたエコーのレベルに対応する第1遅延時間が、遅延時間記憶手段から読み出されて設定されるため、ユーザは、所望するエコーのレベルを設定することによって、容易に所望するレベルのエコーが付加されるので、利便性良好に簡素な構成で高品質のエコーを付与することができるのである。
【0016】
請求項3に記載の音声出力装置によれば、入力された1の音声信号が予め設定され、第1遅延時間より長い第2遅延時間だけ遅延されて出力され、出力された音声信号が、3以上の所定数のスピーカの中から予め設定され、第1スピーカ及び第2スピーカとは相違するスピーカである第3スピーカを介して出力されるため、簡素な構成で更に高品質のエコーを付与することができる。
【0017】
すなわち、第2スピーカからは、入力された1の音声信号に対応する音声が出力され、第2スピーカに隣接する第1スピーカからは、入力された1の音声信号が第1遅延時間だけ遅延されて出力され、更に、第1スピーカ及び第2スピーカに隣接する第3スピーカからは、入力された1の音声信号が第1遅延時間より長い第2遅延時間だけ遅延されて出力されるため、音声信号を重畳する処理を施すことなく複雑なエコーを付与することができるので、簡素な構成で更に高品質のエコーを付与することができるのである。
【0018】
請求項4に記載の音声出力装置によれば、遅延時間記憶手段に、第2遅延時間がレベル情報と対応付けて予め格納しており、設定されたエコーのレベルに対応する第2遅延時間が、遅延時間記憶手段から読み出されて設定されるため、利便性良好に簡素な構成で更に高品質のエコーを付与することができる。
【0019】
すなわち、設定されたエコーのレベルに対応する第2遅延時間が、遅延時間記憶手段から読み出されて設定されるため、ユーザは、所望するエコーのレベルを設定することによって、容易に所望するレベルのエコーが付加されるので、利便性良好に簡素な構成で高品質のエコーを付与することができるのである。
【0020】
請求項5に記載の音声出力装置によれば、遅延時間記憶手段に格納された第1遅延時間及び第2遅延時間が、第2遅延時間の対応する第1遅延時間に対する比率を略一定値とするべく設定されているため、簡素な構成で更に高品質のエコーを付与することができる。
【0021】
すなわち、第2遅延時間の対応する第1遅延時間に対する比率を略一定値とするべく設定されているため、第1スピーカ、第2スピーカ及び第3スピーカから出力される音声が、高品質なエコーを生成するべく第1遅延時間及び第2遅延時間が設定されるので、簡素な構成で更に高品質のエコーを付与することができるのである。
【0022】
請求項6に記載の音声出力装置によれば、入力された音声信号を遅延させて出力すると共に遅延時間が可変に構成された遅延回路によって入力された音声信号が遅延されるため、更に簡素な構成で更に高品質のエコーを付与することができる。
【0023】
請求項7に記載の放送受信装置によれば、テレビジョン放送を受信する受信手段を介して1の音声信号が入力され、請求項1〜請求項6のいずれかに記載の音声出力装置を備えため、簡素な構成で更に高品質のエコーを付与することが可能な放送受信装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る音声出力装置を備えるデジタル放送受信機1の構成の一例を示すブロック図である。デジタル放送受信機1(放送受信装置に相当する)は、リモートコントローラ(=Remotecontroller:以下、「リモコン」という)2と赤外線通信を介して通信可能に接続されている。
【0025】
デジタル放送受信機1は、リモコン2を介してユーザからの操作入力を受け付けて、テレビジョン放送を受信し、ディスプレイ173及びスピーカ154に、それぞれ映像及び音声を出力するものであって、MPU11、RAM12、ROM13、受信部14、音声出力部15、MPEG2デコード部16、画像出力部17、及び、赤外線通信部18を備えている。
【0026】
MPU(Micro Processing Unit)11は、デジタル放送受信機1全体の動作を制御するものである。RAM(Random Access Memory)12は、音声情報、映像情報等の情報を読み書き自在に格納するものである。ROM(Read Only Memory)13は、MPU11を動作させる制御プログラム等を格納するものである。
【0027】
受信部14(受信手段に相当する)は、テレビジョン放送を受信して復調するものであって、アンテナ部141、チューナ部142、A/D変換部143、復調部144、及び、TSデマルチプレクサ145を備えている。
【0028】
アンテナ部141は、テレビジョン放送波を受信するものである。チューナ部142は、アンテナ部141で受信されたテレビジョン放送波から、予め設定されたチャンネルの放送を選局するものである。A/D変換部143は、チューナ部142からの出力信号(=アナログ信号)をデジタル情報に変換するものである。復調部144は、A/D変換部143からの出力情報を復調するものである。TS(Transport Stream)デマルチプレクサ145は、復調部144によって復調された出力情報を種別毎に分離して出力するものである。
【0029】
音声出力部15は、受信部14によって受信されたテレビジョン放送に対応する音声を出力するものであって、D/A変換部151、音声信号出力部152、遅延回路153、及び、スピーカ154を備えている。D/A変換部151は、TSデマルチプレクサ145から出力された音声情報(=デジタル情報)をアナログ信号に変換するものである。音声信号出力部152は、D/A変換部151によってアナログ信号に変換された音声信号を出力するものである。
【0030】
遅延回路153(第1遅延手段、第2遅延手段に相当する)は、音声信号出力部152から出力された音声信号を予め設定された遅延時間だけ遅延させる回路であって、ここでは、第1遅延回路153a、第2遅延回路153bを備えている。スピーカ154は、音声信号出力部152又は遅延回路153から出力された音声信号に対応する音声を出力するものであって、ここでは、第1スピーカ154a、第3スピーカ154b、第2スピーカ154cを備えている(図2、図3参照)。
【0031】
MPEG(Motion Picture Experts Group)2デコード部16は、TSデマルチプレクサ145から出力された映像情報を圧縮前の映像情報に復号化するものである。
【0032】
画像出力部17は、MPEG2デコード部16によって復号化された映像情報を出力するものであって、NTSCエンコード部171、映像信号出力部172、及び、ディスプレイ173を備えている。NTSC(National Television Standards Committee)エンコード部171は、MPEG2デコード部16によって復号化された映像情報をNTSC方式のテレビジョン信号に変換するものである。映像信号出力部172は、NTSCエンコード部171から出力されたNTSC方式のテレビジョン信号をディスプレイ173に対して出力するものである。ディスプレイ173は、LCD(Liquid Crystal Display)、PDP(Plasma Display Panel)等からなり、映像信号出力部172から出力されたテレビジョン信号に対応する映像を表示するものである。
【0033】
赤外線通信部18は、リモコン2からの電源のON、OFF操作、選局、デジタル放送受信機1の各種設定等の各種操作を受け付けるものである。リモコン2(レベル受付手段の一部に相当する)は、種々のキーを備え、キーの押下を介してユーザからの操作入力を受け付けて、操作入力に対応する赤外線信号を生成して、デジタル放送受信機1に対して出力するものである。
【0034】
次に、デジタル放送受信機1が放送を受信する場合の動作について説明する。まず、送信されてきたデジタル放送波がアンテナ部141で受信される。リモコン2を介して選局操作が受け付けられた場合には、チューナ部142によって受信するトランスポンダ(Transponder)の切り換えが行われる。受信されたデジタル放送波は、A/D変換部143によりデジタル情報に変換され、復調部144によって復調される。
【0035】
なお、デジタル放送波は、送信側(送信局)からTS(Transport Stream)パケットとして送信される。このTSパケットは、映像情報、音声情報、制御情報等からなり、これらの情報がTSデマルチプレクサ145によって、分離して出力され、RAM12に格納される。そして、RAM12から読み出された音声情報がD/A変換部151によってアナログ信号に変換され、音声信号出力部152を介してスピーカ154から音声が出力される。
【0036】
また、RAM12から読み出された映像情報がMPEG2デコード部16によって圧縮前の映像情報に復号化され、NTSCエンコード部171によってNTSC方式のテレビジョン信号に変換されて、映像信号出力部172を介してディスプレイ173に映像が表示される。
【0037】
図2は、デジタル放送受信機1の一例を示す正面図である。デジタル放送受信機1は、床面上等に載置され、MPU11、RAM12、ROM13、受信部14等が収納された装置本体10と、装置本体10の上部に載置されたディスプレイ173と、ディスプレイ173の両側に装置本体10の上部に載置されたスピーカ154と、を備えている。
【0038】
スピーカ154は、ここでは、上側から順に、第1スピーカ154a、第3スピーカ154b、及び、第2スピーカ154cが配設されている。なお、図1に示す受信部14を介して、ステレオ音声(右側から出力するべき1の音声信号と、左側から出力するべき他の1の音声信号)が入力される場合には、右側に配設された第1スピーカ154a、第3スピーカ154b、及び、第2スピーカ154cからは、右側から出力するべき1の音声信号に対応する音声が出力され、左側に配設された第1スピーカ154a、第3スピーカ154b、及び、第2スピーカ154cからは、左側から出力するべき他の1の音声信号に対応する音声が出力される。
【0039】
以下の説明においては、便宜上、右側から出力するべき1の音声信号が、右側に配設された第1スピーカ154a、第3スピーカ154b、及び、第2スピーカ154cから出力される場合について説明し、左側から出力するべき他の1の音声信号に関してはその説明を省略する。また、第1スピーカ154a、第3スピーカ154b、及び、第2スピーカ154cがそれぞれディスプレイ173の両側に配設されている場合について説明するが、ディスプレイ173の下側等に横方向に隣接して配設されている形態でもよい。
【0040】
図3は、本発明に係るデジタル放送受信機1に配設された音声出力装置における主要部の構成の一例を示すブロック図である。MPU11は、機能的に、レベル受付部111、第1時間設定部112、第1出力部113、第2時間設定部114、及び、第2出力部115を備え、RAM12は、機能的に、遅延時間記憶部121を備えている。
【0041】
ここでは、MPU11が、図1に示すROM13等に予め格納された制御プログラムを読み出して実行することにより、レベル受付部111、第1時間設定部112、第1出力部113、第2時間設定部114、第2出力部115等の機能部として機能すると共に、RAM12を、遅延時間記憶部121等の機能部として機能させるものである。
【0042】
また、RAM12、図1に示すROM13に格納された各種データのうち装着脱可能な記録媒体に格納され得るデータは、例えばハードディスクドライブ、光ディスクドライブ、フレキシブルディスクドライブ、シリコンディスクドライブ、カセット媒体読み取り機等のドライバで読み取り可能にしてもよく、この場合、記録媒体は、例えばハードディスク、光ディスク、フレキシブルディスク、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disk)、半導体メモリ等である。
【0043】
遅延時間記憶部121(遅延時間記憶手段に相当する)は、第1遅延回路153aに設定する遅延時間である第1遅延時間ΔT1及び第2遅延回路153bに設定する遅延時間である第2遅延時間間ΔT2を、エコーのレベルを示すレベル情報と対応付けて予め格納するものである。遅延時間記憶部121に格納された第1遅延時間ΔT1及び第2遅延時間ΔT2は、それぞれ、第1時間設定部112及び第2時間設定部114によって読み出されるものである。
【0044】
また、遅延時間記憶部121は、第2遅延時間ΔT2の対応する第1遅延時間ΔT1に対する比率R(=ΔT2/ΔT1)を略一定値(例えば、2)とするべく、第1遅延時間ΔT1及び第2遅延時間ΔT2が設定されている(図4(a)参照)。
【0045】
図4(a)は、遅延時間記憶部121に格納された第1遅延時間ΔT1及び第2遅延時間ΔT2の一例を示す図表である。図では左欄から順に、エコーのレベルを示すレベル情報、第1遅延時間ΔT1、及び、第2遅延時間ΔT2である。例えば、レベル情報が「1」である場合(弱いエコーを発生させる場合)には、第1遅延時間ΔT1が「10msec」に設定され、第2遅延時間ΔT2が「20msec」に設定される。また、例えば、レベル情報が「3」である場合(強いエコーを発生させる場合)には、第1遅延時間ΔT1が「30msec」に設定され、第2遅延時間ΔT2が「60msec」に設定される。
【0046】
このように、遅延時間記憶部121に格納された第1遅延時間ΔT1及び第2遅延時間ΔT2は、比率R(=ΔT2/ΔT1)を略一定値(ここでは、2)とするべく設定されている。
【0047】
再び、図3を用いて、音声出力装置における主要部の構成について説明する。レベル受付部111(レベル受付手段の一部に相当する)は、リモコン2を介してユーザからの操作入力を受け付けて、受け付けられた操作入力に基づいて、エコーのレベルを設定するものである。ここでは、レベル受付部111は、ディスプレイ173に図4(b)に示すエコー設定画面400を表示し、エコー設定画面400を介してエコーのレベルを設定するものである。
【0048】
図4(b)は、レベル受付部111によってディスプレイ173に表示されるエコー設定画面の一例を示す画面図である。エコー設定画面400には、画面略中央部に、レベル表示部401が表示され、画面下部に、設定ボタン403、及び、キャンセルボタン404が表示されている。エコー設定画面400は、例えば、レベル受付部111によって、リモコン2に配設されたメニューキーが押下されたことが受け付けられた場合に表示されるものである。
【0049】
レベル表示部401は、エコーのレベルを選択可能に表示するものであって、ここでは、4段階(エコーレベル:「0」〜「3」)の中から1のレベルを設定可能に構成されている。また、レベル表示部401には、4段階のレベルにおいて選択状態とされているレベルを示す選択表示マーク402(ここでは、太枠で示すマーク)が表示されている。
【0050】
例えば、レベル受付部111によって、リモコン2に配設された方向キーが押下されたことが受け付けられた場合に、選択表示マーク402が押下された方向キーの種類に応じて移動可能に構成されている。すなわち、上方向キーが押下されたことが受け付けられた場合には、選択表示マーク402が、選択中のレベル表示部401(例えば、レベル「2」に対応するレベル表示部401)の上側のレベル表示部401(例えば、レベル「1」に対応するレベル表示部401)に移動される。
【0051】
設定ボタン403は、選択状態にあるレベル表示部401に対応するレベルを設定する場合に押下されるボタンである。キャンセルボタン404は、選択状態をキャンセルする場合に押下されるボタンである。ここで、「押下される」とは、例えば、リモコン2に配設された方向キーによって選択状態とされ、リモコン2に配設された決定キーが押下されたことが受け付けられた場合を意味している。
【0052】
再び、図3を用いて、音声出力装置における主要部の構成について説明する。第1時間設定部112(第1時間設定手段に相当する)は、レベル受付部111によって設定されたエコーのレベルに対応する第1遅延時間ΔT1を、遅延時間記憶部121から読み出して、第1遅延回路153aに対して設定するものである。
【0053】
第1出力部113(第1出力手段に相当する)は、音声信号出力部152から第1遅延回路153aを介して出力された音声信号(=第1遅延時間ΔT1だけ遅延された音声信号)を、第1スピーカ154aを介して出力するものである。
【0054】
第2時間設定部114(第2時間設定手段に相当する)は、レベル受付部111によって設定されたエコーのレベルに対応する第2遅延時間ΔT2を、遅延時間記憶部121から読み出して、第2遅延回路153bに対して設定するものである。
【0055】
第2出力部115(第2出力手段に相当する)は、音声信号出力部152から第2遅延回路153bを介して出力された音声信号(=第2遅延時間ΔT2だけ遅延された音声信号)を、第3スピーカ154bを介して出力するものである。
【0056】
また、音声信号出力部152から出力された音声信号S2は、第2スピーカ154cを介して出力される。すなわち、図1に示す受信部14を介して受信された音声信号S2は、第2スピーカ154cを介して出力され、音声信号S2に対して第1遅延時間ΔT1だけ遅延された音声信号S1が、第1スピーカ154aを介して出力され、音声信号S2に対して第2遅延時間ΔT2だけ遅延された音声信号S3が、第3スピーカ154bを介して出力される。
【0057】
このようにして、入力された1の音声信号S2が予め設定された第1遅延時間ΔT1だけ遅延されて出力され、出力された音声信号S1が、所定数のスピーカの中から予め設定された第1スピーカ154aを介して出力される。また、入力された1の音声信号S2が、所定数のスピーカの中から予め設定され、第1スピーカ154aとは相違するスピーカである第2スピーカ154cを介して出力されるため、簡素な構成で高品質のエコーを付与することができる。
【0058】
すなわち、第2スピーカ154cからは、入力された1の音声信号S2に対応する音声が出力され、第2スピーカ154cに隣接する第1スピーカ154aからは、入力された1の音声信号S2が第1遅延時間ΔT1だけ遅延されて出力されるため、音声信号を重畳する処理を施すことなくエコーを付与することができるので、簡素な構成で高品質のエコーを付与することができるのである。
【0059】
また、第1遅延時間ΔT1が、エコーのレベルを示すレベル情報と対応付けて遅延時間記憶部121に予め格納されており、リモコン2を介してユーザからの操作入力が受け付けられて、受け付けられた操作入力に基づいて、エコーのレベルが設定され、設定されたエコーのレベルに対応する第1遅延時間ΔT1が、遅延時間記憶部121から読み出されて設定されるため、利便性良好に簡素な構成で高品質のエコーを付与することができる。
【0060】
すなわち、設定されたエコーのレベルに対応する第1遅延時間ΔT1が、遅延時間記憶部121から読み出されて設定されるため、ユーザは、所望するエコーのレベルを設定することによって、容易に所望するレベルのエコーが付加されるので、利便性良好に簡素な構成で高品質のエコーを付与することができるのである。
【0061】
更に、入力された1の音声信号S2が予め設定され、第1遅延時間ΔT1より長い第2遅延時間ΔT2だけ遅延されて出力され、出力された音声信号S3が、3以上の所定数のスピーカの中から予め設定され、第1スピーカ154a及び第2スピーカ154cとは相違するスピーカである第3スピーカ154bを介して出力されるため、簡素な構成で更に高品質のエコーを付与することができる。
【0062】
すなわち、第2スピーカ154cからは、入力された1の音声信号S2に対応する音声が出力され、第2スピーカ154cに隣接する第1スピーカ154aからは、入力された1の音声信号S2が第1遅延時間ΔT1だけ遅延されて出力され、更に、第1スピーカ154a及び第2スピーカ154cに隣接する第3スピーカ154bからは、入力された1の音声信号S2が第1遅延時間ΔT1より長い第2遅延時間ΔT2だけ遅延されて出力されるため、音声信号を重畳する処理を施すことなく複雑なエコーを付与することができるので、簡素な構成で更に高品質のエコーを付与することができるのである。
【0063】
加えて、遅延時間記憶部121に、第2遅延時間ΔT2がレベル情報と対応付けて予め格納しており、設定されたエコーのレベルに対応する第2遅延時間ΔT2が、遅延時間記憶部121から読み出されて設定されるため、利便性良好に簡素な構成で更に高品質のエコーを付与することができる。
【0064】
すなわち、設定されたエコーのレベルに対応する第2遅延時間ΔT2が、遅延時間記憶部121から読み出されて設定されるため、ユーザは、所望するエコーのレベルを設定することによって、容易に所望するレベルのエコーが付加されるので、利便性良好に簡素な構成で高品質のエコーを付与することができるのである。
【0065】
また、遅延時間記憶部121に格納された第1遅延時間ΔT1及び第2遅延時間ΔT2が、第2遅延時間ΔT2の対応する第1遅延時間ΔT1に対する比率R(=ΔT2/ΔT1)を略一定値(ここでは、「2」)とするべく設定されているため、簡素な構成で更に高品質のエコーを付与することができる。
【0066】
すなわち、第2遅延時間ΔT2の対応する第1遅延時間ΔT1に対する比率Rを略一定値(ここでは、「2」)とするべく設定されているため、第1スピーカ154a、第2スピーカ154c及び第3スピーカ154bから出力される音声が、高品質なエコーを生成するべく第1遅延時間ΔT1及び第2遅延時間ΔT2が設定されるので、簡素な構成で更に高品質のエコーを付与することができるのである。
【0067】
更に、入力された音声信号S2を遅延させて出力すると共に遅延時間ΔT1(又はΔT2)が可変に構成された遅延回路(第1遅延回路153a、第2遅延回路153b)によって入力された音声信号S2が遅延されるため、更に簡素な構成で更に高品質のエコーを付与することができる。
【0068】
なお、本発明は、以下の形態にも適用可能である。
(A)本実施形態では、放送受信装置が、デジタル放送を受信するデジタル放送受信機1である場合について説明したが、放送受信装置が、デジタル放送及びアナログ放送の少なくとも一方を受信する形態であればよい。例えば、放送受信装置が、デジタル放送及びアナログ放送を受信する形態でもよいし、放送受信装置が、アナログ放送を受信する形態でもよい。
【0069】
(B)本実施形態では、音声出力装置がデジタル放送受信機1に配設されている場合について説明したが、その他の音声を出力する装置(例えば、CDプレーヤ、DVDプレーヤ、パーソナルコンピュータ等)に配設されている形態でもよい。
【0070】
(C)本実施形態では、音声出力装置が、1の音声信号S2に対して3個のスピーカ(第1スピーカ154a、第2スピーカ154c、及び、第3スピーカ154b)を備える場合について説明したが、音声出力装置が、1の音声信号S2に対して2以上の所定数のスピーカを備える形態であればよい。例えば、音声出力装置が、1の音声信号S2に対して2個のスピーカを備える形態でもよいし、4個以上のスピーカを備える形態でもよい。
【0071】
(D)本実施形態では、MPU11が、レベル受付部111、第1時間設定部112、第1出力部113、第2時間設定部114、第2出力部115等の機能部を備える場合について説明したが、レベル受付部111、第1時間設定部112、第1出力部113、第2時間設定部114、及び、第2出力部115の内、少なくとも1の機能部が、回路等のハードウェアによって実現されている形態でもよい。
【0072】
(E)本実施形態では、第2遅延時間ΔT2の対応する第1遅延時間ΔT1に対する比率Rが「2」に設定されている場合について説明したが、第2遅延時間ΔT2の対応する第1遅延時間ΔT1に対する比率Rがその他の値に設定されている形態でもよいし、リモコン2を介してユーザからの操作入力を受け付けて、受け付けられた操作入力に基づいて、比率Rの値を設定する形態でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】は、本発明に係る音声出力装置を備えるデジタル放送受信機の構成の一例を示すブロック図である。
【図2】は、デジタル放送受信機の一例を示す正面図である。
【図3】は、本発明に係るデジタル放送受信機に配設された音声出力装置における主要部の構成の一例を示すブロック図である。
【図4】は、遅延時間記憶部に格納された第1遅延時間ΔT1及び第2遅延時間ΔT2の一例を示す図表、及び、レベル受付部によってディスプレイに表示されるエコー設定画面の一例を示す画面図である。
【符号の説明】
【0074】
1 デジタル放送受信機(音声出力装置)
11 MPU
111 レベル受付部(レベル受付手段の一部)
112 第1時間設定部(第1時間設定手段)
113 第1出力部(第1出力手段)
114 第2時間設定部(第2時間設定手段)
115 第2出力部(第2出力手段)
12 RAM
121 遅延時間記憶部(遅延時間記憶手段)
14 受信部(受信手段)
15 音声出力部
151 D/A変換部
152 音声信号出力部
153 遅延回路
153a 第1遅延回路(第1遅延手段)
153b 第2遅延回路(第1遅延手段)
154 スピーカ
154a 第1スピーカ
154b 第3スピーカ
154c 第2スピーカ
17 画像出力部
173 ディスプレイ
2 リモコン(レベル受付手段の一部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣接する2以上の所定数のスピーカを備え、入力された1の音声信号を前記所定数のスピーカを介して音声を出力する音声出力装置であって、
入力された1の音声信号を予め設定された第1遅延時間だけ遅延させて出力する第1遅延手段と、
前記第1遅延手段から出力された音声信号を、前記所定数のスピーカの中から予め設定された第1スピーカを介して出力する第1出力手段と、
を備え、
入力された1の音声信号を、前記所定数のスピーカの中から予め設定され、前記第1スピーカとは相違するスピーカである第2スピーカを介して出力することを特徴とする音声出力装置。
【請求項2】
前記第1遅延時間を、エコーのレベルを示すレベル情報と対応付けて予め格納する遅延時間記憶手段と、
外部からの操作入力を受け付けて、受け付けられた操作入力に基づいて、エコーのレベルを設定するレベル受付手段と、
前記レベル受付手段によって設定されたエコーのレベルに対応する第1遅延時間を、前記遅延時間記憶手段から読み出して設定する第1時間設定手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の音声出力装置。
【請求項3】
前記所定数は、3以上であって、
入力された1の音声信号を予め設定され、前記第1遅延時間より長い第2遅延時間だけ遅延させて出力する第2遅延手段と、
前記第2遅延手段から出力された音声信号を、前記所定数のスピーカの中から予め設定され、前記第1スピーカ及び第2スピーカとは相違するスピーカである第3スピーカを介して出力する第2出力手段と、
を備えることを特徴とする請求項2に記載の音声出力装置。
【請求項4】
前記第2遅延時間を設定する第2時間設定手段を備え、
前記遅延時間記憶手段は、前記第2遅延時間を、前記レベル情報と対応付けて予め格納しており、
前記第2時間設定手段は、前記レベル受付手段によって設定されたエコーのレベルに対応する第2遅延時間を、前記遅延時間記憶手段から読み出して設定することを特徴とする請求項3に記載の音声出力装置。
【請求項5】
前記遅延時間記憶手段は、前記第2遅延時間の対応する第1遅延時間に対する比率を略一定値とするべく、前記第1遅延時間及び第2遅延時間が設定されていることを特徴とする請求項4に記載の音声出力装置。
【請求項6】
前記第1遅延手段及び第2遅延手段は、それぞれ、入力された音声信号を遅延させて出力すると共に、遅延時間が可変に構成された遅延回路からなることを特徴とする請求項3〜請求項5のいずれかに記載の音声出力装置。
【請求項7】
テレビジョン放送を受信する受信手段と、
請求項1〜請求項6のいずれかに記載の音声出力装置と、
を備え、
前記受信手段を介して前記1の音声信号が入力されることを特徴とする放送受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−60550(P2009−60550A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−228445(P2007−228445)
【出願日】平成19年9月4日(2007.9.4)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】