説明

音声案内装置と交通信号機及び音量調節方法

【課題】周囲の騒音の大きさに対応して最適な音量の音声信号を発生して明瞭に聞き取れるとともに騒音レベルが小さいときでも音声信号が騒音になること防ぐ。
【解決手段】騒音計測部6は帯域フィルタ5で抽出した騒音信号の変化を計測する。追従パターン生成部7は騒音計測部6で計測した騒音信号の最小値を追跡して暗騒音を求め、暗騒音の音圧レベルの変化から追従制御値の増加と減少の応答時定数を定める複数の追従パターンを決定する。応答フィルタ8は騒音計測部6で計測した騒音信号を追従パターン生成部7で決定した複数の追従パターンで示す応答時定数により騒音信号に対して追従制御し、各追従パターンに応じた音量を示す追従制御値を求め、音量調節部9は求めた追従制御値に2〜6dBを加算して出力音量を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、道路の交差点や横断路や駅構内に設けた音声案内装置と交通信号機及び音量調節方法、特に、騒音環境に適合した音量の音声出力に関するものである。
【背景技術】
【0002】
道路の交差点の横断歩道で視覚障害者の歩行の安全と誘導を支援するため、歩行者用信号機の青点灯のタイミングで音声信号、例えば「ピヨピヨ」と「カッコウ」の誘導音を出力する交通信号機が使用されている。
【0003】
この交通信号機で発生する音声信号は、交差点における騒音レベルに対応するため、特許文献1に示すように、騒音レベルの長時間における変動の平均値と騒音レベルの短時間における変動の平均値のいずれか高い方のレベルから5〜10dBだけ高いレベルで誘導音を発生するようにしている。また、特許文献2や特許文献3に示すように、騒音レベルが小さい場合は利得が小さく、騒音レベルが大きくなると利得が大きくなる可変利得増幅器を使用して自動車の騒音や周辺の騒音より一定レベルだけ高いレベルで音声信号を発生するようにしている。
【特許文献1】特開昭52−109900号公報
【特許文献2】特開昭56−129999号公報
【特許文献3】特開平8−317497号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように交通騒音より一定レベルだけ高いレベルで音声信号を発生していると、夜間の騒音レベルが小さいときや騒音レベルが比較的小さな場所では音声信号の音量が過剰になり、周辺住民にとっては騒音になってしまう。
【0005】
この夜間に音声信号が騒音になることを防止するため、特許文献2に示すように、夜間には音声信号の発生を停止するようにしている。交通信号機で夜間に音声信号の発生を停止すると、視覚障害者にとっては交通信号機として機能しなくなってしまう短所がある。
【0006】
この発明は、このような短所を改善し、周囲の騒音の大きさに対応して最適な音量の音声信号を発生して明瞭に聞き取れるとともに騒音レベルが小さいときや騒音レベルが比較的小さな場所でも騒音になること防止することができる音声案内装置と交通信号機及び音量調節方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の音声案内装置は、騒音入力装置と音量制御装置及び音声出力装置とを有し、前記騒音入力装置は設置位置における騒音を検出し、前記音声制御装置は、帯域制限手段と騒音計測手段と追従パターン生成手段と応答速度可変手段及び音量調節手段を有し、前記帯域制限手段は、前記騒音入力装置で検出した騒音信号のなかで特定の二つの周波数帯域にある騒音信号を抽出し、前記騒音計測手段は、前記帯域制限手段で抽出した騒音信号の変化を計測し、前記追従パターン生成手段は、前記騒音計測手段で計測した騒音信号の最小値を追跡して前記応答速度可変手段で追従制御を行うときの追従制御値の増加と減少の応答時定数を定める複数の追従パターンを決定し、前記応答速度可変手段は、前記騒音計測手段で計測した騒音信号を前記追従パターン生成手段で決定した複数の追従パターンで示す応答時定数により追従制御し、各追従パターンに応じた音量を示す追従制御値を求め、前記音量調節手段は、前記応答速度可変手段で求めた追従制御値に2〜6dBを加算して出力音量を出力し、前記音声出力装置は、前記音量調節手段から出力された出力音量で案内音を出力することを特徴とする。
【0008】
前記追従パターン生成手段は、最小値追従積分器及びパターン生成部を有し、前記最小値追従積分器は入力電圧−V1を出力する第1の入力電源部と、入力電圧+V2を出力する第2の入力電源部と、入力電圧を切り換える切換手段を有する積分回路及び比較器を有し、前記積分回路の第1の入力電源部から出力する入力電圧−V1の電圧値は第2の入力電源部から出力する入力電圧+V2の電圧値の1/2〜1/5に設定され、前記比較器は、前記騒音計測手段で計測した騒音信号と積分回路の出力電圧を比較し、騒音信号が積分回路の出力電圧より大きいとき前記切換手段を第1の入力電源部側に接続し、騒音信号が積分回路の出力電圧より小さいとき前記切換手段を第2の入力電源部側に接続し、前記パターン生成部は、前記最小値追従積分器から出力する騒音信号の最小値の変化と、あらかじめ設定された追従パターン閾値テーブルにより複数段階の追従パターンを決定する。また、前記パターン生成部は5段階の追従パターンを決定することが望ましい。
【0009】
この発明の交通信号機は、前記いずれかの音声案内装置を有することを特徴とする。この音声案内装置の帯域制限手段は、遮断周波数100Hzと遮断周波数1kHzの帯域にある周波数の交通騒音信号を抽出すると良い。
【0010】
この発明の音量調節方法は、プログラムされたコンピュータによって出力する音量を制御する音量調節方法であって、帯域制限手段が、騒音入力装置で検出した騒音信号のなかで特定の二つの周波数帯域にある騒音信号を抽出するステップと、騒音計測手段が、前記帯域制限手段で抽出した騒音信号の変化を計測するステップと、追従パターン生成手段が、前記騒音計測手段で計測した騒音信号の最小値を追跡して騒音信号に対して追従制御を行うときの追従制御値の増加と減少の応答時定数を定める複数の追従パターンを決定するステップと、応答速度可変手段が、前記騒音計測手段で計測した騒音信号を前記追従パターン生成手段で決定した複数の追従パターンで示す応答時定数により騒音信号に対して追従制御し、各追従パターンに応じた音量を示す追従制御値を求めるステップとを有し、求めた追従制御値に基づいて出力音量を決定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
この発明は、騒音信号の最小値を追跡して暗騒音を求め、暗騒音の音圧レベルの変化から複数の追従パターンを決定し、決定した複数の追従パターンに応じた音量で案内音を発生するようにしたから、案内音の音量を周囲の雑音に正確に追従させることができ、案内音を明瞭に聞き取れることができる。
【0012】
また、交通騒音信号の最小値を追跡して暗騒音を求め、暗騒音の音圧レベルの変化から複数の追従パターンを決定し、決定した複数の追従パターンに応じた音量で誘導音を発生することにより、深夜、早朝、昼間、夜間等のフェーズに正確に追従させることができ、誘導音を明瞭に聞き取れるとともに誘導音の音量を交通量とも良く整合させることができ夜間や深夜及び騒音レベルが比較的小さな場所で誘導音が騒音になること防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1はこの発明の音声案内装置の構成を示すブロック図である。図に示すように、音声案内装置1はマイク2と音量制御装置3及び音声出力装置4を有する。マイク2は、例えば道路の交差点や横断歩道で歩行者の安全と誘導を支援する歩行者用信号機に設けられ、横断歩道近傍の騒音を検出する。音量制御装置3は、帯域フィルタ5と騒音計測部6と追従パターン生成部7と応答フィルタ8及び音量調整部9を有する。帯域フィルタ5は、マイク2で検出した騒音信号のなかで特定の二つの周波数、例えば遮断周波数100Hzと遮断周波数1kHzの帯域にある周波数の交通騒音信号だけを取り込む。騒音計測部6は帯域フィルタ5で取り込んだ交通騒音信号の変化を計測する。
【0014】
追従パターン生成部7は、図2に示すように、騒音計測部6で計測した騒音信号Vinに対して応答フィルタ8で追従制御を行うときの追従制御値Vspの増加と減少の応答時定数を定める複数の追従パターンを決定するものであり、図3の構成図に示すように、最小値追従積分器71及びパターン生成部72を有する。最小値追従積分器71は、騒音計測部6で計測した騒音信号Vinの最小値を追従して深夜、早朝、昼間、夜間等のフェーズを抽出するものであり、例えば抵抗RとコンデンサCと演算増幅器73と、−V1の入力電圧を出力する第1の入力電源部74と、+V2の入力電圧を出力する第2の入力電源部75と、入力電圧を切り換えるスイッチ76を有する積分回路77及び比較器78を有する。第1の入力電源部74から出力する入力電圧−V1の絶対値|V1|は第2の入力電源部75から出力する入力電圧+V2の絶対値|V2|より小さく、例えば1/2〜1/5になっている。比較器78は騒音計測部6で計測した騒音信号Vinと積分回路77の出力電圧Voを比較し、騒音信号Vinが積分回路77の出力電圧Voより大きいとき、スイッチ76を第1の電源部74側に接続して積分回路77から電圧Vo=(V1/CR)・tを出力し、騒音信号Vinが積分回路77の出力電圧Voより小さいとき、スイッチ76を第2の電源部75側に接続して積分回路77から電圧Vo=−(V2/CR)・tを出力し、騒音信号Vinと積分回路77の出力電圧Voが等しいときスイッチ76を遮断する。パターン生成部72は最小値追従積分器7から出力する騒音信号Vinの最小値の変化と、図4に示すように、あらかじめ設定された追従パターン閾値テーブル79により例えば5段階の追従パターンA〜Eを決定する。この追従パターンA〜Eは、図5に示すように、追従パターンAの応答時定数が最も大きく、追従パターンEの応答時定数が最も小さく、かつ増加時の応答時定数より減少時の応答時定数が小さくなっており、そして増加と減少の応答時定数が大きい追従パターンAの場合、追従制御値Vspは、図2(a)に示すように緩やかに変化し、応答時定数が小さい追従パターンEの場合、追従制御値Vspは、図2(b)に示すように急激に変化する。
【0015】
応答フィルタ8は、騒音計測部6で計測した騒音信号Vinに対して追従パターン生成部7で決定した追従パターンA〜Eで示す応答時定数により追従制御を行い、追従制御値Vspを出力するものであり、図6に示すように、ダイオードD1と抵抗R1とコンデンサC1で構成する増加応答回路と、ダイオードD2と抵抗R2とコンデンサC1で構成する減少応答回路を有する。抵抗R1と抵抗R2は追従パターン生成部7から出力される追従パターンA〜Eの応答時定数に応じて抵抗値を可変し、増加応答のとき、抵抗R1の抵抗値は追従パターンAの場合に大きくなって追従制御値Vspを緩やかに変化させ、追従パターンEの場合に小さくなって追従制御値Vspを急激に変化させる。また、減少応答のとき、抵抗R2の抵抗値は追従パターンAの場合に小さくなって追従制御値Vspを急激に変化させ、追従パターンEの場合に比較的大きくなって追従制御値Vspを緩やかに変化させる。音量調節部9は応答フィルタ8から出力する追従制御値Vspに2〜6dBを加算して音量信号を音声出力装置4に出力する。
【0016】
音声出力装置4は、音声信号発生部10と増幅器11及びスピーカ12を有する。音声信号発生部10は、交通信号機の信号制御装置13から出力される歩行者用信号機の青点灯のタイミングで、例えば「ピヨピヨ」と「カッコウ」の誘導音の信号を増幅器11に出力する。増幅器11は入力した音声信号のゲインを音量調節部9から入力する音量信号により可変してスピーカ12に出力し、スピーカ12から音量調節部9から入力する音量信号に応じた音量の音声で例えば「ピヨピヨ」と「カッコウ」の誘導音を発生させる。
【0017】
この音声案内装置1で交通騒音を検出して音声出力装置4から出力する音声信号の音量を制御するときの処理を図7のフローチャートを参照して説明する。
【0018】
マイク2で横断歩道の測定地点における騒音を常時検出して音量制御装置3に入力する(ステップS1)。音量制御装置3の帯域フィルタ5は入力した信号のなかから例えば遮断周波数100Hzと遮断周波数1kHzの帯域にある周波数の交通騒音信号だけを抽出して騒音計測部6に出力する(ステップS2)。ここで100Hz以下の騒音を排除するのは風による騒音を除去するためであり、1kHz以上の騒音を排除するのは音声出力装置4自体が出力する誘導音を除去して交通騒音だけ得るためである。騒音計測部6は入力した交通騒音信号を最小時間、例えば50ms毎のデータを1秒間蓄積して、その平均値を騒音値として追従パターン生成部7と応答フィルタ8に逐次出力する(ステップS3)。
【0019】
追従パターン生成部7の最小値追従積分器71は入力した騒音値の時間的な変化を示す騒音信号Vinの最小値を追跡する(ステップS4)。この騒音信号Vinのレベルの追跡には最大値追従と平均値追従及び最小値追従の3種類の追跡方法があるが、瞬間的に大きくなる交通騒音の影響を排除して深夜、早朝、昼間、夜間等のフェーズを抽出するために最小値追従を用いていわゆる暗騒音を求めて、図8に示すように、暗騒音の音圧レベルの変化を追跡する。この追跡した騒音信号Vinの最小値である暗騒音の音圧レベルの変化からパターン生成部72は追従パターンA〜Eを決定して、決定した追従パターンA〜Eで示す応答時定数を応答フィルタ8に出力する(ステップS5)。この暗騒音の音圧レベルで決定した追従パターンA〜Eは、図8に示すように、夕方から夜間にかけて追従パターンEから徐々に追従パターンD,C,Bと変化し、深夜では追従パターンAと追従パターンBとなり、早朝から追従パターンCから追従パターンEと変化し、昼間ではほとんど追従パターンEと追従パターンDになり、深夜、早朝、昼間、夜間等のフェーズに正確に追従させることができる。また、昼間でも交通量が少なくなる正午前後では追従パターンBや追従パターンBになり、交通量とも良く整合させることができる。
【0020】
応答フィルタ8は、騒音計測部6から入力した騒音信号を追従パターン生成部7から入力した追従パターンA〜Eで示す応答時定数により追従制御し、入力した追従パターンA〜Eに応じた音量を示す追従制御値Vspを求めて音量調節部9に出力する(ステップS6)。例えば追従パターン生成部7で追従パターンAを決定した深夜の場合は、図9(a)に示すように追従制御値Vspの増加は緩やかで、減少は急激になり、音量は小さくなる。これに対して追従パターン生成部7で追従パターンEを決定した昼間の場合は、図9(b)に示すように追従制御値Vspの増加は急激で、減少は比較的緩やかになり、音量は大きくなる。音量調節部9は入力した追従制御値Vspに2〜6dBを加算して出力音量を示す音量信号を音声出力装置4に出力する(ステップS7)。
【0021】
この状態で信号制御装置13から歩行者用信号機の青点灯を示す信号が音声出力装置4に送られると(ステップS8)、音声信号発生部10は例えば「ピヨピヨ」と「カッコウ」の誘導音の音声信号を増幅器11に出力する(ステップS9)。増幅器11は入力した音声信号を音量調節部9から入力する音量信号により可変してスピーカ12に出力し(ステップS10)、スピーカ12から追従パターンA〜Eに応じた音量で例えば「ピヨピヨ」と「カッコウ」の誘導音を発生させる(ステップS11)。そして信号制御装置13から歩行者用信号機の赤点灯を示す信号が送られると音声出力装置4は誘導音の発生を停止する。この処理を継続して繰り返す(ステップS12)。
【0022】
このように騒音信号Vinの最小値を追跡して暗騒音を求め、暗騒音の音圧レベルの変化から追従パターンA〜Eを決定し、決定した追従パターンA〜Eに応じた音量で誘導音を発生するようにしたから、誘導音の音量を深夜、早朝、昼間、夜間等のフェーズに正確に追従させることができ、誘導音を明瞭に聞き取れるとともに誘導音の音量を交通量とも良く整合させることができ夜間や深夜及び騒音レベルが比較的小さな場所で誘導音が騒音になること防止することができる。
【0023】
前記説明では音声案内装置1に帯域フィルタ5と騒音計測部6と追従パターン生成部7と応答フィルタ8及び音量調整部9を有する音量制御装置3を設けた場合について説明したが、音量制御装置3をコンピュータで構成しても良い。図10はコンピュータで構成した音量制御装置3aを有する音声案内装置1aの構成を示すブロック図である。図に示すように、音声案内装置1aの音量制御装置3aは中央処理部13と騒音入力部14と記憶部15と音量制御値出力部16及び音量調節部9を有する。騒音入力部14はマイクロホン2で検出した騒音信号をA/D変換して記憶部15に格納する。
【0024】
中央処理部13は、図7に示したフローチャートのステップS2からステップS6までの処理を実行するものであり、図11のブロック図に示すように、帯域制限手段17と騒音計測手段18と追従パターン生成手段19及び応答速度可変手段20を有する。帯域制限手段17は記憶部15に格納した騒音信号のなかで遮断周波数100Hzと遮断周波数1kHzの帯域にある周波数の交通騒音信号だけを取り込む。騒音計測手段18は帯域制限手段17で取り込んだ交通騒音信号の変化を計測する。追従パターン生成手段19は騒音計測手段18で計測した騒音信号の最小値を追跡して応答速度可変手段20で追従制御を行うときの追従制御値の増加と減少の応答時定数を定める複数の追従パターンA〜Eを決定する。応答速度可変手段20は騒音計測手段18で計測した交通騒音信号を追従パターン生成手段19で決定した追従パターンA〜Eで示す応答時定数により追従制御し、入力した追従パターンA〜Eに応じた音量を示す追従制御値を求める。音量制御値出力手段16は応答速度可変手段20で求めた追従制御値をD/A変換して出力する。音量調節部9は音量制御値出力手段16から出力された追従制御値に2〜6dBを加算して出力音量を示す音量信号を音声出力装置4に出力する。
【0025】
このように中央処理部13で交通騒音信号を抽出して交通騒音信号の最小値を追跡して暗騒音を求め、暗騒音の音圧レベルの変化から追従パターンA〜Eを決定し、決定した追従パターンA〜Eに応じた音量を示す追従制御値を求めることにより、簡単な構成で誘導音の音量を深夜、早朝、昼間、夜間等のフェーズに正確に追従させることができる。
【0026】
前記説明では暗騒音の音圧レベルの変化から5段階の追従パターンA〜Eを決定する場合について説明したが、追従パターンを深夜、早朝、昼間、夜間のフェーズに合わせて4段階に設定しても良い。
【0027】
また、前記説明では道路の交差点の横断歩道で視覚障害者の歩行の安全と誘導を支援するための誘導音を出力する場合について説明したが、駅構内や遊園地等に設けた音声案内装置にも同様に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】この発明の音声案内装置の構成を示すブロック図である。
【図2】騒音信号に対する追従制御値の増加と減少を示す模式図である。
【図3】追従パターン生成部の構成図である。
【図4】追従パターンを決定する追従パターン閾値テーブルの模式図である。
【図5】追従パターンで特定する増加と減少の応答時定数を示す模式図である。
【図6】応答フィルタの構成図である。
【図7】音声案内装置の処理を示すフローチャートである。
【図8】暗騒音の音圧レベルに応じた追従パターンを示す変化特性図である。
【図9】追従パターンで決定した追従制御値の変化特性図である。
【図10】この発明の他の音声案内装置の構成を示すブロック図である。
【図11】中央処理部の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0029】
1;音声案内装置、2;マイクロホン、3;音量制御装置、4;音声出力装置、
5;帯域フィルタ、6;騒音計測部、7;追従パターン生成部、8;応答フィルタ、
9;音量調整部、10;音声信号発生部、11;増幅器、12;スピーカ、
13;中央処理部、14;騒音入力部、15;記憶部、16;音量制御値出力部、
17;帯域制限手段、18;騒音計測手段、19;追従パターン生成手段、
20;応答速度可変手段、71;最小値追従積分器、72;パターン生成部、
74;第1の入力電源部、75;第2の入力電源部、76;スイッチ、
77;積分回路、78;比較器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
騒音入力装置と音量制御装置及び音声出力装置とを有し、
前記騒音入力装置は設置位置における騒音を検出し、
前記音声制御装置は、帯域制限手段と騒音計測手段と追従パターン生成手段と応答速度可変手段及び音量調節手段を有し、
前記帯域制限手段は、前記騒音入力装置で検出した騒音信号のなかで特定の二つの周波数帯域にある騒音信号を抽出し、
前記騒音計測手段は、前記帯域制限手段で抽出した騒音信号の変化を計測し、
前記追従パターン生成手段は、前記騒音計測手段で計測した騒音信号の最小値を追跡して前記応答速度可変手段で追従制御を行うときの追従制御値の増加と減少の応答時定数を定める複数の追従パターンを決定し、
前記応答速度可変手段は、前記騒音計測手段で計測した騒音信号を前記追従パターン生成手段で決定した複数の追従パターンで示す応答時定数により追従制御し、各追従パターンに応じた音量を示す追従制御値を求め、
前記音量調節手段は、前記応答速度可変手段で求めた追従制御値に2〜6dBを加算して出力音量を出力し、
前記音声出力装置は、前記音量調節手段から出力された出力音量で案内音を出力することを特徴とする音声案内装置。
【請求項2】
前記追従パターン生成手段は、最小値追従積分器及びパターン生成部を有し、
前記最小値追従積分器は入力電圧−V1を出力する第1の入力電源部と、入力電圧+V2を出力する第2の入力電源部と、入力電圧を切り換える切換手段を有する積分回路及び比較器を有し、前記積分回路の第1の入力電源部から出力する入力電圧−V1の電圧値は第2の入力電源部から出力する入力電圧+V2の電圧値の1/2〜1/5に設定され、前記比較器は、前記騒音計測手段で計測した騒音信号と積分回路の出力電圧を比較し、騒音信号が積分回路の出力電圧より大きいとき前記切換手段を第1の入力電源部側に接続し、騒音信号が積分回路の出力電圧より小さいとき前記切換手段を第2の入力電源部側に接続し、
前記パターン生成部は、前記最小値追従積分器から出力する騒音信号の最小値の変化と、あらかじめ設定された追従パターン閾値テーブルにより複数段階の追従パターンを決定する請求項1記載の音声案内装置。
【請求項3】
前記パターン生成部は5段階の追従パターンを決定する請求項2記載の音声案内装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載した音声案内装置を有することを特徴とする交通信号機。
【請求項5】
前記音声案内装置の帯域制限手段は、遮断周波数100Hzと遮断周波数1kHzの帯域にある周波数の交通騒音信号を抽出する請求項4記載の交通信号機。
【請求項6】
プログラムされたコンピュータによって出力する音量を制御する音量調節方法であって、
帯域制限手段が、騒音入力装置で検出した騒音信号のなかで特定の二つの周波数帯域にある騒音信号を抽出するステップと、
騒音計測手段が、前記帯域制限手段で抽出した騒音信号の変化を計測するステップと、
追従パターン生成手段が、前記騒音計測手段で計測した騒音信号の最小値を追跡して騒音信号に対して追従制御を行うときの追従制御値の増加と減少の応答時定数を定める複数の追従パターンを決定するステップと、
応答速度可変手段が、前記騒音計測手段で計測した騒音信号を前記追従パターン生成手段で決定した複数の追従パターンで示す応答時定数により騒音信号に対して追従制御し、各追従パターンに応じた音量を示す追従制御値を求めるステップとを有し、
求めた追従制御値に基づいて出力音量を決定することを特徴とする音量調節方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate