説明

音響インピーダンス整合層を用いた容器部内の圧力測定装置(Pressuremeasuringapparatusinsideavesselusingacousticimpedancematchinglayers)

【課題】本発明は、圧力測定に必要な超音波発信及び受信の効率を増加させて、正確度を向上させ、高真空でも圧力測定が可能な測定装置を提供する。
【解決手段】本発明の圧力測定装置は、容器部10の外壁に密着された超音波加振部20と、超音波加振部20位置の容器部10の内壁に付着された音響インピーダンス整合層50aと、容器部10の外壁に密着された超音波受信部30と、超音波受信部30位置の容器部10の内壁に付着された第2の音響インピーダンス整合層50bと、超音波加振部20と連結されて超音波を制御する制御部22、及び、制御部22と連結されて超音波加振部20から出力される超音波と超音波受信部30で受信された超音波の信号とに基づいて、容器部10の内部圧力を測定する圧力測定部60、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音響インピーダンス整合層を用いた圧力測定装置に関するものであり、より詳しくは、圧力を測定しようとする容器の内部に音響インピーダンス整合層を形成して、圧力測定に必要な超音波の発信、及び受信効率を増加させて正確度を向上させ、低真空以外に、高真空状態、高圧の状態でも圧力測定が可能な装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、半導体工程、及びLCD生産工程で、容器部の内部圧力は重要な変数で作用する。真空度、即ち、容器部の圧力を測定するためには、一般的に静電容量型隔膜真空計(Capacitance Diaphragm Gauge)を使用する。
【0003】
このような静電容量型隔膜真空計は、測定しようとする容器部の内部に設置して、容器部の圧力を測定する方式である。このような静電容量型隔膜真空計を用いた真空度、即ち、圧力測定の前には、真空の漏洩程度を確認する必要があり、静電容量型隔膜真空計を設置した後、一旦内部を真空にする面倒さがあった。また、静電容量型隔膜真空計は、低真空状態で効率的であるという限界がある。
【0004】
高真空領域の圧力を測定する真空計としては、電離真空計(Ionization Gauge)がある。圧力の変化が生じると、電子が気体分子と衝突する確率が変化し、電子衝突時に生じる陽イオンに変化が発生する原理に基づいたものである。高真空領域である10−1Pa 〜10−10Paの領域まで測定可能であるが、実際に10−6Paの以下では、線型性が劣るという問題がある。
【0005】
高圧計の場合、圧力は各種の超高圧発生装置のある限定された小さい圧力室内で作られるため、この圧力室内の発生圧力を直接推定しなければならない。超高圧は、ピストンーシリンダー型などの試料圧縮装置に由圧プレス装置で力を加えて試料を圧縮することによって発生されるので、加えた力の大きさを試料室の断面積で割ると、試料の平均圧力を求めることができる。しかしながら、この方法では試料を密封するガスケットの中の圧力分布が一定ではなく、また、摩擦による力の損失も大きいから圧力の数値がおおよそ推定されるだけである。
【0006】
尚、容器内の流体の圧力を測定するに際して、音響インピーダンスを用いて測定する装置も提案されている(例えば特許文献1)。
【特許文献1】特開2006−284523号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、容器部の大略的真空の程度を考慮して、その状態に適合な圧力測定装置を時々刻々選択して設置しなければならないという問題がある。また、測定方法も異なり、使用上の不便さが存在する。
【0008】
又、容器部の漏洩を最小化し、漏洩程度を確認する面倒さをなくすための装置として、容器部の外部に超音波変換器を備えた圧力測定装置がある。しかし、一般的には、容器部はその内部圧力と外部圧力との差を耐えるためにステンレス鋼などの金属材質から構成される。よって、圧力測定のために容器部の外部から内部に超音波を伝達させる場合、容器部材質と内部気体との間の音響インピーダンスの差が大きいため、超音波エネルギーが容器部内部の気体に伝達されないという問題がある。同様の理由で、容器部内部の気体に伝達される超音波は、音響インピーダンスの差により容器部の材質に殆ど伝達されないという問題がある。
【0009】
このため、超音波を用いた圧力測定では、容器部の外部から容器部の内部に超音波の伝達及び受信効率が低まることとなる欠点がある。従って、超音波を用いて容器部の内部圧力を測定するためには、容器部の内部に超音波を効果的に伝達させる装置が必要となる。
【0010】
本発明は、上記の問題点を解決するためのものであって、本発明の目的は、音響インピーダンス整合層を使用して容器部の内部に超音波の出力、及び受信効率の増加を誘導する。また、容器部の内部に超音波の伝達効率を増加させることによって、容器部内部の圧力測定時に、高い分解能、及び正確度の向上を期待することができ、高真空の場合にも、圧力測定が可能な圧力測定装置を提供する。また、一つの圧力測定装置で高真空から低真空や高圧の状態まで容器部内部の圧力を測定可能な装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記のような目的を達成するための具体的な手段として、音響インピーダンス整合層を用いた圧力測定装置は、容器部10の外壁に密着されて容器部10の内部に超音波を出力する超音波加振部20と、容器部10の内壁に付着されて超音波加振部20から出力された超音波の伝達効率を増大させる第1の音響インピーダンス整合層50aと、容器部10の外壁に密着されて容器部10の内部を進行する超音波を受信する超音波受信部30と、容器部10の内壁に付着されて超音波受信部30に受信される超音波の受信効率を増大させる第2の音響インピーダンス整合層50bと、超音波加振部20と連結されて容器部10の内部に出力される超音波を制御する制御部22と、及び、制御部22と連結されて超音波加振部20から上記容器部10の内部に出力される超音波と超音波受信部30で受信された超音波信号とに基づいて容器部10の内部圧力を測定する圧力測定部60と、を含むことが望ましい。
【0012】
また、超音波加振部20と超音波受信部30は、同一軸線上に位置することが望ましい。
【0013】
そして、第1の音響インピーダンス整合層50a、又は第2の音響インピーダンス整合層50bは、1個層、又は音響インピーダンスが互いに異なる複数個の層から構成される。
【0014】
また、第1の音響インピーダンス整合層50a、又は第2の音響インピーダンス整合層50bは、容器部10の音響インピーダンス値と容器部10の内部気体の音響インピーダンス値との間に該当する音響インピーダンス値を有する。
【0015】
また、制御部22は、超音波加振部20から出力された超音波が第1の音響インピーダンス整合層50aと第2の音響インピーダンス整合層50bとの間で共振されるように、超音波加振部20を制御することができる。
【0016】
また、超音波加振部20と超音波受信部30は、圧電超音波変換器、磁気変形超音波変換器、電磁気超音波変換器、又は、電気変形超音波変換器である。
【0017】
上記のような目的を達成するための本発明の他の具体的な手段として、音響インピーダンス整合層を用いた容器部の内部圧力を測定する装置は、容器部10の外壁に密着されて容器部10の内部に超音波を出力し、容器部10の内壁に反射されて戻る超音波を受信する超音波送受信部40と、容器部10の内壁に付着されて超音波が送信又は受信される場合に超音波の伝達効率を増大させる音響インピーダンス整合層50と、超音波送受信部40に連結されて容器部10の内部に出力される超音波を制御する制御部22と、及び、制御部22と連結されて容器部10の内部に出力される超音波と超音波送受信部40が受信した超音波信号とに基づいて容器部10の内部圧力を測定する圧力測定部60と、を含む。
【0018】
また、容器部10の内部には、超音波送受信部40から出力された超音波を反射させる反射板70が更に含まれることが望ましい。
【0019】
また、超音波送受信部40は、圧電超音波変換器、電気変形超音波変換器、磁気変形超音波変換器、又は、電磁気超音波変換器である。
【0020】
また、音響インピーダンス整合層50は、1個層、又は、音響インピーダンスが互いに異なる複数個の層から構成される。
【0021】
また、音響インピーダンス整合層50は、容器部10の音響インピーダンス値と容器部10の内部気体の音響インピーダンス値との間に該当する音響インピーダンス値を有する。
【0022】
また、制御部22は、超音波送受信部40から出力される超音波が、超音波送受信部40と容器部10の内壁との間で共振を起こすように、又は、超音波送受信部40と反射板70との間で共振を起こすように、超音波送受信部40を制御することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の音響インピーダンス整合層を用いた圧力測定装置は、容器部の内部に音響インピーダンス整合層を形成して、圧力測定に必要する超音波の発信、及び/又は受信効率を増大させることで、容器部の穿孔などの変形無しに圧力を測定する場合にも、正確度を向上させることができるという長所がある。
【0024】
そして、音響インピーダンス整合層だけでなく、反射板を形成したり超音波の共振を誘導したりして超音波の伝達効率を増大させるので、一つの圧力測定装置で高圧、又は高真空の状態でも、容器部内部の真空度、即ち、圧力の測定が可能であるという長所がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施例に対して詳細に説明する。下記に使用されて、図1乃至図3における符号‘U’は、容器部10の内部を進行する超音波を示し、符号‘P’は、超音波が容器部10の内壁に反射されて進行する経路を示す。
【0026】
<圧力測定装置の構成>
(実施例1)
図1は、本発明の音響インピーダンス整合層を用いた圧力測定装置の第1の実施例である。図1に示されたように、超音波加振部20と超音波受信部30とは、容器部10の外壁に密着されている。超音波加振部20と超音波受信部30とは、圧電方式を用いる圧電振動子、分極現象を用いる電気変形振動子、磁気変形振動子、又は電磁気振動子などから構成された超音波変換器を使用することができる。
【0027】
圧電振動子から構成された超音波変換器(以下、‘圧電超音波変換器’という)は、 水晶、ロッシェル塩(Rochelle salt)、ADP(Ammonium Dihydrogen Phosphate)などの結晶板に振動電圧を加え、電気的振動を力学的振動に変えて超音波を発生させるものであって、固体、液体、気体媒質の中でも使用可能である。
【0028】
電気変形振動子から構成された超音波変換器(以下、‘電気変形超音波変換器’という)は、チタン酸バリウム(BaTiO3)のような誘電体に電場を加える時、発生する分極現象を用いるものであって、主に液体媒質に有用である。又、磁気変形振動子から構成された超音波変換器(以下、‘磁気変形超音波変換器'という)は、強磁性体であるニッケル、Terfenol−D、アルフェ(ALL2%〜Fe88%の合金)、及びフェライトなどに磁気場を加えると、磁化されながら変形が生ずる時、周りの媒質に超音波を発生させるものであって、固体、液体、気体の媒質に有用である。
【0029】
電磁気振動子から構成された超音波変換器(以下、‘電磁気超音波変換器’という)は、ダイナミックスピーカーのように、可動コイル型振動子を使用するものであって、高周波の交流発振器を使用して、周りの媒質を振動させる。
【0030】
超音波受信部30は、超音波加振部20と同一軸(A−A′)線上に位置するのが望ましい。そして、超音波受信部30は、前述した超音波加振部20と逆に駆動されて、超音波を受信して電気的信号に変換する。 超音波受信部30は、前述した超音波加振部20に対する説明と同一である。
【0031】
第1と第2の音響インピーダンス整合層50a、50bは、容器部10の内壁に付着される。即ち、図1に示されたように、容器部10の内壁に付着され、第1の音響インピーダンス整合層50aは、超音波加振部20と対向する位置に付着される。また、超音波受信部30と対向する容器部10の内壁には、第2の音響インピーダンス整合層50bを、更に加えることが望ましい。
【0032】
第1と第2の音響インピーダンス整合層50a、50bは、所定の厚さを有し、一個の層、又は、音響インピーダンスが互いに異なる複数個の層から構成される。第1と第2の音響インピーダンス整合層50a、50bの音響インピーダンスは、超音波加振部20や容器部10材質の音響インピーダンス値と容器部10の内部の気体音響インピーダンス値との間の値を有する。第1の音響インピーダンス整合層50は、超音波加振部20と容器部10との壁を通過する超音波の効果的な伝達のためのものであり、第2の音響インピーダンス整合層50bは、容器部10の壁を通じて超音波受信部30に受信される超音波の到達効率を増加させるためのものである。
【0033】
第1と第2の音響インピーダンス整合層50a、50bは、容器部10の壁と容器部10の内部の間の音響インピーダンスに対する差の不一致を改善して、超音波エネルギーの透過性を増加させるためのものである。一般的に、超音波は、超音波変換器と負荷との間の音響インピーダンス差が大きくなると、その伝達効率が減るためである。従って、第1と第2の音響インピーダンス整合層50a、50bは、容器部10の材質、測定対象である容器部10の真空度、又は圧力の範囲、容器部10の厚さなどを考慮して製作される。
【0034】
即ち、第1と第2の音響インピーダンス整合層50a、50bの設計パラメーターは、第1と第2の音響インピーダンス整合層50a、50bを構成する一個、又は複数個層の各々の音響インピーダンス、各々の厚さ、層の個数、各々の超音波エネルギーの減衰率などとなる。この時、複数個層の各々の厚さは、超音波の周波数を考慮して決まる。第1と第2の音響インピーダンス整合層50a、50bを構成する複数個層は、接着剤を使用したり、器具を用いて押すなどの方法で構成することができる。接着剤、又は器具を使用する場合、接着剤の音響インピーダンスと、器具を使用して押す場合に複数個層の各々の厚さの変化などを考慮しなければならない。
【0035】
フィルター部(図示せず)は、受信された超音波信号中に含まれた各種の雑音信号を除去するためのものであって、超音波受信部30に受信された超音波信号が圧力測定部60へ印加される前に更に付加することが望ましい。フィルター部の一例として、ハイパスフィルター(HPF)、又はバンドパスフィルタ(BPF)が使用され得る。
【0036】
圧力測定部60は、超音波受信部30、又は/及びフィルター部(図示せず)を通過した超音波信号に基づいて、容器部10の内部圧力を測定する。本発明は、内部圧力により音響インピーダンスが変化する原理に基づく。従って、圧力測定部60は、受信された超音波信号を分析し、振幅の変化、周波数の変化、容器部10内部での超音波の進行時間などに基づいて、音響インピーダンスの変化を算出し、音響インピーダンスの変化によって、容器部10の内部圧力を測定する。
【0037】
(実施例2)
図2は、本発明である音響インピーダンス整合層を用いた圧力測定装置の第2の実施例である。本発明である音響インピーダンス整合層を用いた圧力測定装置は、図2に示されたように、超音波送受信部40と、音響インピーダンス整合層50と、圧力測定部60から構成される。
【0038】
超音波送受信部40は、容器部10の外壁に密着して設けられる。超音波送受信部40は、前述した実施例1の超音波加振部20と超音波受信部30の両方の役割をする一つの装置であって、前述したように、圧電振動子、電気変形振動子、磁気変形振動子、電磁気振動子などから構成された超音波変換器が使用される。超音波送受信部40で、容器部10の内部に出力された超音波は、容器部10の内部を進行して、容器部10の内壁に反射されて超音波送受信部40に戻るパルス反射(pulse-echo)方式で受信される。
【0039】
音響インピーダンス整合層50は、前述した実施例1の第1と第2の音響インピーダンス整合層50a、50bの構成と同一であり、圧力測定部60は、前述したものと同様である。
【0040】
(実施例3)
図3は、本発明である音響インピーダンス整合層を用いた圧力測定装置の第3の実施例である。図3に示されたように、実施例2と同様に、パルス反射方式で超音波信号が受信される場合、容器部10の内部で超音波のエネルギーの減衰を減らすために、更に超音波送受信部40と近接した距離に反射板70を設置することが望ましい。
【0041】
符号の‘22’は、制御部であって、第1の実施例の超音波加振部20、又は第2と第3の実施例の超音波送受信部40から出力される超音波を制御するための手段である。容器部10の内部を進行する超音波が、第1の音響インピーダンス整合層50aと第2の音響インピーダンス整合層50bとの間で共振したり(実施例1の場合)、音響インピーダンス整合層50と容器部10の内壁の間で共振したり(実施例2の場合)、音響インピーダンス整合層50と反射板70との間で共振すると(実施例3の場合)、超音波の伝達効率が増加する。伝達効率が増加するというのは、容器部10の内部圧力を測定することにおいて、正確度を向上させることを表すものであって、制御部22は、共振が起こるように超音波加振部20、又は超音波送受信部40に所定の制御信号を印加する。共振は、高真空の測定など、高出力の超音波信号の発生を必要とする時に有効である。
【0042】
また、符号の‘110’は、容器部10の内部を真空状態にするための真空ポンプであって、符号の‘100’は、 真空状態に作るため使用されるバルブを示す。このような補助装置は、容器部10の内部を真空にするためのものであり、本発明である圧力測定装置において必須構成要素ではない。
【0043】
<圧力測定方法>
本発明である圧力測定装置を用いた容器部10の内部の圧力測定方法は、次の通りである。
【0044】
まず、図1乃至図3に示されたように、圧力測定装置を設置する(S10)。その次の段階は、実施例別に窺って見る。
【0045】
(実施例1)
超音波加振部20と超音波受信部30は容器部10の外壁に密着され、超音波加振部20、超音波受信部30、第1の音響インピーダンス整合層50a、第2の音響インピーダンス整合層50bは、図1に示されたように、同一軸(A−A′)線上に位置するようにする。
【0046】
圧力測定装置の設置が終わると、制御部22を操作して、容器部10の内部に出力する超音波を制御することが望ましい(S20′)。超音波受信部30の受信効率を増加させるために、超音波が第1の音響インピーダンス整合層50aと第2の音響インピーダンス整合層50bとの間で共振するように制御することが望ましい。
【0047】
超音波加振部20から出力された超音波は、容器部10の内壁に付着された第1の音響インピーダンス整合層50aによって、伝達効率が増加されて、容器部10の内部を進行するようになる(S30′)。容器部10の内部気体は、容器部10の内部圧力(即ち、気体の密度)によって、その音響インピーダンスが変わる。そして、気体の音響インピーダンスによって、超音波の振幅、波形などが変化させられる。
【0048】
容器部10の内部を進行した超音波は、超音波受信部30に受信される(S40′)。容器部10の内壁に付着された第2の音響インピーダンス整合層50bによって受信される超音波のエネルギー効率が増加されるため、信号は容器部10の外部に位置した超音波受信部30に十分に伝達される。
【0049】
次は、圧力測定段階であって、超音波受信部30に受信された超音波信号は圧力測定部60に印加されて、圧力測定部60では超音波加振部20から容器部10に出力した超音波と、超音波受信部30に受信された超音波信号の振幅、波形、周波数などを比較し、容器部10の内部を進行する超音波の進行時間などに基づいて、容器部10の内部圧力を測定する(S50′)。この時、超音波加振部20から容器部10に出力した超音波は、制御部22から圧力測定部60に印加される。
【0050】
(実施例2)
超音波送受信部40は、図2に示されたように、容器部10の外壁に密着され、超音波送受信部40と音響インピーダンス整合層50は、実施例1と同様に、同一軸(A−A′)線上に位置するのが望ましい。
【0051】
圧力測定装置の設置が終わると、制御部22を操作して、容器部10の内部に出力される超音波を制御することが望ましい(S20′′)。第1の音響インピーダンス整合層50a、又は第2の音響インピーダンス整合層50bと、反射板70、又は容器部10の内壁との間で超音波の共振を誘導して、超音波受信部30の受信効率が増加されるようにするためである。
【0052】
超音波送受信部40から出力された超音波は、容器部10の内壁に付着された音響インピーダンス整合層50によりエネルギーの効率が増加されて、容器部10の内部を進行するようになる(S30′′)。この時にも、実施例1と同様に、容器部10の内部の気体は容器部10の内部圧力(即ち、気体の密度)によって、その音響インピーダンスが変わり、超音波は気体の音響インピーダンスによって、超音波の振幅、波形などが変化させられる。
【0053】
但し、実施例2はパルス反射方式を取るため、容器部10の内部を進行した超音波は、容器部10の内壁に反射されて、再び超音波受信部40に受信される(S40′′)。超音波が受信される場合、音響インピーダンス整合層50によって、受信効率が増加されるというのは前述したことと同様である。
【0054】
次は、圧力測定段階(S50′′)であって、実施例1の場合と同様であるので、関連内容は前の説明による。
【0055】
(実施例3)
実施例3の場合、圧力測定装置を設置する段階(S10)と、制御部22で超音波送受信部40を制御する段階(S20′′′)と、超音波が受信される段階(S40′′′)と圧力測定段階(S50′′′)は前の場合と同様であるので、詳しい説明は省略する。
【0056】
但し、異なる点があるとすれば、図3に示されたように、容器部10の内壁に反射板70が形成されるという事である。この場合、実施例2の場合とは違って、超音波の電波距離が短くなり、受信される超音波の振幅、及び進行時間の差が発生する。反射板70の設置で、超音波エネルギーの減衰が減少して圧力測定の正確度が更に向上される。
【0057】
そして、圧力測定装置の設置時(S10)、共振条件を考慮して反射板70を設置する。一例として、容器部10の内部に出力される超音波波長λの1/2となる支点や、その倍数(λ/2×n)となる支点に設置可能である。これは、反射板70設置の例示であるだけ、本発明の構成がこれに限ることではない。
【0058】
<変形例>
本発明の他の実施例として、容器部10は、1〜10−5 Paの低真空状態の場合だけではなく、10−5 〜10−9 Paの高真空状態の場合でも適用可能である。また、高圧の大気圧以上の状態でも適用可能である。
【0059】
本発明の他の実施例として、容器部10に対し前述したが、真空状態ではない場合で、特定な容器の内部圧力を測定しようとする場合にも適用可能であることは勿論、容器の内部が気体ではなく、固体、液体で満たした場合にも適用可能である。
【0060】
本発明の他の実施例として、前記の圧力測定装置、及び測定方法は、半導体工程、又はLCD工程で使用される容器部に対して説明したが、所定の容器内部の真空度、即ち、圧力の程度を測定しようとする産業分野では、勿論全て適用可能である。
【0061】
本発明は上記の望ましい実施例として説明したが、発明の要旨と範囲との内においては、多様な修正や変形をすることができる。従って、添付した特許請求の範囲は、本発明の要旨に属する限り、このような修正や変形を含む。
【0062】
本明細書で添付する次の図面は、本明細書の望ましい実施例を例示するものであり、発明の詳細な説明と共に本発明の技術思想を更に理解させる役割をするのであるので、本発明はそのような図面に記載した事項にのみ限定されて解析してはいけない。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明である音響インピーダンス整合層を用いた圧力測定装置の第1の実施構成図。
【図2】本発明である音響インピーダンス整合層を用いた圧力測定装置の第2の実施構成図。
【図3】本発明である音響インピーダンス整合層を用いた圧力測定装置に反射板が形成された第3の実施構成図。
【符号の説明】
【0064】
10 容器部
20 超音波加振部
22 制御部
30 超音波受信部
40 超音波送受信部
50 音響インピーダンス整合層
50a 第1の音響インピーダンス整合層
50b 第2の音響インピーダンス整合層
60 圧力測定部
70 反射板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波を用いて容器部10の内部圧力を測定する装置において、
前記容器部10の外壁に密着され、前記容器部10の内部へ超音波を出力する超音波加振部20と、
前記容器部10の内壁に付着されて、前記超音波加振部20から出力された超音波の伝達効率を増大させる第1の音響インピーダンス整合層50aと、
前記容器部10の外壁に密着されて、前記容器部10の内部を進行した超音波を受信する超音波受信部30と、
前記容器部10の内壁に付着され、前記超音波受信部30に受信される超音波の受信効率を増大させる第2の音響インピーダンス整合層50bと、
前記超音波加振部20と連結されて、前記容器部10の内部に出力される超音波を制御する制御部22と、及び、
前記制御部22と連結されて、前記超音波加振部20から前記容器部10の内部に出力される超音波と前記超音波受信部30から受信された超音波信号に基づいて、前記容器部10の内部圧力を測定する圧力測定部60と、
を含むことを特徴とする音響インピーダンス整合層を用いた圧力測定装置。
【請求項2】
前記超音波加振部20と前記超音波受信部30とは、同一軸線上に位置することを特徴とする請求項1に記載の音響インピーダンス整合層を用いた圧力測定装置。
【請求項3】
前記第1の音響インピーダンス整合層50a、又は前記第2の音響インピーダンス整合層50bは、一個の層、又は音響インピーダンスが互いに違う数個の層から構成されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の音響インピーダンス整合層を用いた圧力測定装置。
【請求項4】
前記第1の音響インピーダンス整合層50a、又は前記第2の音響インピーダンス整合層50bは、前記容器部10の音響インピーダンス値と前記容器部10の内部気体の音響インピーダンス値との間に該当する音響インピーダンス値を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の音響インピーダンス整合層を用いた圧力測定装置。
【請求項5】
前記制御部22は、前記超音波加振部20から出力された超音波が前記第1の音響インピーダンス整合層50aと前記第2の音響インピーダンス整合層50bとの間で共振されるように、前記超音波加振部20を制御することを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の音響インピーダンス整合層を用いた圧力測定装置。
【請求項6】
前記超音波加振部20と、前記超音波受信部30とは、圧電超音波変換器、磁気変形超音波変換器、電磁気超音波変換器、又は、電気変形超音波変換器であることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載の音響インピーダンス整合層を用いた圧力測定装置。
【請求項7】
超音波を用いて容器部10の内部圧力を測定する装置において、
前記容器部10の外壁に密着されて、前記容器部10の内部に超音波を出力し、前記容器部10の内壁に反射されて戻る超音波を受信する超音波送受信部40と、
前記容器部10の内壁に付着されて、超音波が送信又は受信される場合に超音波の伝達効率を増大させる音響インピーダンス整合層50と、
前記超音波送受信部40に連結されて、前記容器部10の内部に出力される超音波を制御する制御部22と、
前記制御部22と連結され、前記容器部10の内部に出力される超音波と前記超音波送受信部40が受信した超音波信号に基づいて、前記容器部10の内部圧力を測定する圧力測定部60と、
を含むことを特徴とする音響インピーダンス整合層を用いた圧力測定装置。
【請求項8】
前記超音波送受信部40は、圧電超音波変換器、電気変形超音波変換器、磁気変形超音波変換器、又は、電磁気超音波変換器であることを特徴とする請求項7に記載の音響インピーダンス整合層を用いた圧力測定装置。
【請求項9】
前記音響インピーダンス整合層50は、1個層、又は、音響インピーダンスが互いに異なる複数個の層から構成されたことを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の音響インピーダンス整合層を用いた圧力測定装置。
【請求項10】
前記音響インピーダンス整合層50は、前記容器部10の音響インピーダンス値と前記容器部10の内部気体の音響インピーダンス値との間に該当する音響インピーダンス値を有することを特徴とする請求項7乃至請求項9の何れかに記載の音響インピーダンス整合層を用いた圧力測定装置。
【請求項11】
前記制御部22は、前記超音波送受信部40から出力される超音波が、前記超音波送受信部40と前記容器部10の内壁との間で共振を起きるように、前記超音波送受信部40を制御することを特徴とする請求項7乃至請求項10の何れかに記載の音響インピーダンス整合層を用いた圧力測定装置。
【請求項12】
前記容器部10の内部には、超音波送受信部40から出力された超音波を反射させる反射板70をさらに含むことを特徴とする請求項7乃至請求項10の何れかに記載の音響インピーダンス整合層を用いた圧力測定装置。
【請求項13】
前記制御部22は、前記超音波送受信部40から出力される超音波が、前記超音波送受信部40と前記反射板70との間で共振を起きるように、前記超音波送受信部40を制御することを特徴とする請求項12に記載の音響インピーダンス整合層を用いた圧力測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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