説明

音響インピーダンス測定方法、音響インピーダンス測定装置、物体特性評価方法、及び物体特性評価装置

【課題】被検査物の音響インピーダンスを迅速に測定することができる音響インピーダンス測定装置を提供すること。
【解決手段】音響インピーダンス測定装置1において、超音波振動子13は超音波伝達体12を介して被検査物16と対向配置されており、超音波振動子13の振動面14での反射作用により被検査物16の表面にて超音波が多次的に反射される。それらの反射波のうちの一次反射波及び二次反射波の信号強度が検出される。各反射波の信号強度、超音波伝達体12の固有音響インピーダンス及び超音波振動子13の固有音響インピーダンスに基づいて、被検査物16の音響インピーダンスが算出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波を利用した音響インピーダンス測定方法、音響インピーダンス測定装置、物体特性評価方法、及び物体特性評価装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
音響インピーダンスは、密度と音速との積により決定され、硬さを反映したパラメータとして利用される。具体的には、例えば、軟組織(表層部)及び骨(コア部)の音響インピーダンスを測定して、その測定値に基づいて骨粗鬆症の診断を行う技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の音響インピーダンス測定装置は、被検査物に超音波を照射するためのトランスデューサを備える。このトランスデューサは、超音波振動子を主要部として構成された超音波センサと、その超音波センサに接合された中間媒体とからなる。この装置では、パルス信号を供給することにより、超音波振動子が振動して超音波が照射されるようになっている。
【0004】
この音響インピーダンス測定装置において、被検査物(軟組織及び骨)の音響インピーダンスを測定する場合、先ず、初期校正としてトランスデューサを空気中にセットしてトランスデューサから超音波を照射することにより、中間媒体と空気との境界面からの反射波信号が取得される。その後、既知の音響インピーダンスを有する校正媒体にトランスデューサを当接させた状態で、トランスデューサから超音波を照射することにより、中間媒体と校正媒体との境界面からの反射波信号が取得される。そして、音圧反射係数の関係式を利用し、中間媒体と空気との境界面からの反射波信号と、中間媒体と校正媒体との境界面からの反射波信号と、空気の音響インピーダンスと、校正媒体の音響インピーダンスとに基づいて、中間媒体の音響インピーダンスが算出される。
【0005】
次いで、トランスデューサを軟組織の表面に当接させた状態で、トランスデューサから超音波を照射することにより、中間媒体と軟組織との境界面からの反射波信号と、軟組織と骨との境界面からの反射波信号とが取得される。そして、音圧反射係数の関係式を利用し、中間媒体と軟組織との境界面からの反射波信号と、中間媒体の音響インピーダンスとに基づいて、軟組織の音響インピーダンスが求められる。さらに、軟組織と骨との境界面からの反射波信号と軟組織の音響インピーダンスとに基づいて、骨の音響インピーダンスが求められ、その音響インピーダンスに応じて骨粗鬆症の診断が行われる。
【特許文献1】特開2000−102537号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1の音響インピーダンス測定装置では、被検査物の音響インピーダンスを測定するのに先立ち初期校正が行われる。この初期校正では、空気中に超音波を照射した後に、校正媒体に向けて超音波を照射する必要がある。従って、被検査物の音響インピーダンスを測定するためには超音波を複数回照射しなければならない。また、中間媒体の音響インピーダンスを求めてから、被検査物の音響インピーダンスを求める必要があるので、その演算処理が複雑になり、測定時間が長くなるといった問題や装置サイズが大型化するといった問題が生じる。
【0007】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡単な構成で被検査物の音響インピーダンスを迅速に測定することができる音響パラメータ測定方法、及び音響パラメータ測定装置を提供することにある。また、別の目的は、簡単な構成で被検査物の特性評価を迅速に行うことができる物体特性評価方法、及び物体特性評価装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明では、超音波を被検査物に照射し、得られた反射波に基づいて前記被検査物の音響インピーダンスを測定する音響インピーダンス測定方法であって、既知の固有音響インピーダンス及び振動面を有する超音波振動子と前記被検査物とを対向配置するとともに、前記超音波振動子と前記被検査物との間に前記超音波振動子及び前記被検査物とは異なる既知の固有音響インピーダンスを有する超音波伝達体を介在させるステップと、前記超音波振動子から前記被検査物に向けて超音波を照射し、その照射された超音波を前記超音波振動子の前記振動面での反射作用により前記被検査物の表面にて多次的に反射させ、前記超音波振動子に時間差で到達するn次反射波(ただしnは自然数)及びm次反射波(ただしmはnよりも大きい自然数)の信号強度を検出するステップと、前記n次反射波の信号強度、前記m次反射波の信号強度、前記超音波伝達体の固有音響インピーダンス及び前記超音波振動子の固有音響インピーダンスに基づいて、前記被検査物の音響インピーダンスを算出するステップとを含むことを特徴とする音響インピーダンス測定方法をその要旨とする。
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、超音波振動子と被検査物との間に超音波伝達体が介在され、超音波振動子から被検査物に向けて超音波が照射される。超音波振動子と被検査物とは超音波伝達体を介して対向配置されており、超音波振動の振動面での反射作用により被検査物の表面にて超音波が多次的に反射される。このとき、それらの反射波のうちの任意の2つの反射波であるn次反射波及びm次反射波の信号強度が検出される。そして、n次反射波の信号強度、m次反射波の信号強度、超音波伝達体の固有音響インピーダンス及び超音波振動子の固有音響インピーダンスに基づいて、被検査物の音響インピーダンスが算出される。この測定方法によると、従来技術のように超音波を複数回照射する必要がなく、超音波振動子から超音波を1回照射すれば、被検査物の音響インピーダンスを求めることができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、超音波を被検査物に照射し、得られた反射波に基づいて前記被検査物の音響インピーダンスを測定する音響インピーダンス測定装置であって、既知の固有音響インピーダンスを有しかつ前記被検査物の表面からの反射波を反射可能な振動面を有し、電気信号を振動に変換して超音波を発生させるとともに、前記反射波を受信して電気信号に変換する超音波振動子と、前記被検査物及び前記超音波振動子とは異なる既知の固有音響インピーダンスを有し、基端が前記超音波振動子の前記振動面に接合される一方、先端が前記被検査物に対して直接接触するように配置される超音波伝達体と、前記超音波振動子の前記振動面での反射作用により前記超音波振動子に時間差で到達するn次反射波(ただしnは自然数)及びm次反射波(ただしmはnよりも大きい自然数)に基づいて、それらの信号強度を検出する信号強度検出手段と、前記n次反射波の信号強度、前記m次反射波の信号強度、前記超音波伝達体の固有音響インピーダンス及び前記超音波振動子の固有音響インピーダンスに基づいて、前記被検査物の音響インピーダンスを算出する演算手段とを備えることを特徴とする音響インピーダンス測定装置をその要旨とする。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、超音波伝達体の基端が超音波振動子の振動面と接合されるとともにその先端が被検査物に対して直接接触するよう配置される。そして、超音波振動子が電気信号を振動に変換することにより、その超音波振動子の振動面から超音波伝達体を介して被検査物に超音波が照射される。超音波振動子と被検査物とは超音波伝達体を介して対向配置されており、超音波振動の振動面での反射作用により被検査物の表面にて超音波が多次的に反射される。このとき、信号強度検出手段により、それらの反射波のうちの任意の2つの反射波であるn次反射波及びm次反射波の信号強度が検出される。そして、演算手段により、n次反射波の信号強度、m次反射波の信号強度、超音波伝達体の固有音響インピーダンス及び超音波振動子の固有音響インピーダンスに基づいて、被検査物の音響インピーダンスが算出される。この音響インピーダンス測定装置によると、従来技術のように超音波を複数回照射する必要がなく、超音波振動子から超音波を1回照射すれば、被検査物の音響インピーダンスを求めることができる。またこの測定装置では、音響インピーダンスを簡単に求めることができ、従来技術と比較して処理回路の簡素化が可能となる。従って、装置を小型化して携帯が可能な測定装置を実現することができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項2において、前記n次反射波は、前記超音波振動子が発した超音波が前記被検査物の表面で反射される結果、前記超音波振動子に最初に到着する一次反射波であり、前記m次反射波は、前記振動面で反射された前記一次反射波が再び前記被検査物の表面で反射される結果、前記一次反射波の次に到着する二次反射波であることをその要旨とする。
【0013】
本発明のように、被検査物の表面にて超音波を多次的に反射させる場合、反射が繰り返される度に反射波の信号強度は小さくなるとともに、その反射波を超音波振動子で電気信号に変換する時刻も遅くなってしまう。従って、請求項3に記載の発明のように、比較的に信号強度が大きく超音波振動子に到達する時間が早い一次反射波及び二次反射波の信号強度を用いることにより、音響インピーダンスを正確かつ迅速に求めることができる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項3において、前記信号強度検出手段は、前記一次反射波及び前記二次反射波を検出してそれら信号強度に応じた電圧値をそれぞれ前記演算手段に出力し、前記演算手段は、それら電圧値に基づいて前記被検査物の音響インピーダンスを算出することをその要旨とする。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、信号強度検出手段により、一次反射波及び二次反射波が検出され、それら反射波の信号強度に応じた電圧値が演算手段に出力される。演算手段により、それら電圧値に基づいて、一次反射波と二次反射波との反射率の関係を求めることができ、その関係を利用して被検査物の音響インピーダンスを正確に算出することができる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項2乃至4のいずれか1項において、前記演算手段が算出した音響インピーダンスを表示する表示装置をさらに備えることをその要旨とする。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、演算手段により算出された音響インピーダンスが表示装置に表示されるので、その音響インピーダンスに基づいて、被検査物の性状を容易に確認することができる。
【0018】
請求項6に記載の発明は、請求項2乃至5のいずれか1項において、全体としてペン状を呈するハンドピースをさらに備え、そのハンドピースの先端に前記超音波振動子及び前記超音波伝達体が配置されていることをその要旨とする。
【0019】
請求項6に記載の発明によれば、ユーザはハンドピースを手で持ってその先端の超音波伝達体を被検査物に当接させることで、被検査物の音響インピーダンスを測定することができるので、操作性に優れた音響インピーダンス測定装置を実現することができる。また、ハンドピースに信号強度検出手段及び演算手段が収容されていることが好ましく、さらに、ハンドピースに表示装置が設けられることが好ましい。この構成を採用すれば、携帯型の音響インピーダンス測定装置を実現することができる。
【0020】
請求項7に記載の発明は、超音波を被検査物に照射し、得られた反射波に基づいて前記被検査物の特性を評価する方法であって、既知の固有音響インピーダンス及び振動面を有する超音波振動子と前記被検査物とを対向配置するとともに、前記超音波振動子と前記被検査物との間に前記超音波振動子及び前記被検査物とは異なる既知の固有音響インピーダンスを有する超音波伝達体を介在させるステップと、前記超音波振動子から前記被検査物に向けて超音波を照射し、その照射された超音波を前記超音波振動子の前記振動面での反射作用により前記被検査物の表面にて多次的に反射させ、前記超音波振動子に時間差で到達するn次反射波(ただしnは自然数)及びm次反射波(ただしmはnよりも大きい自然数)の信号強度を検出するステップと、前記n次反射波の信号強度、前記m次反射波の信号強度、前記超音波伝達体の固有音響インピーダンス及び前記超音波振動子の固有音響インピーダンスに基づいて、前記被検査物の特性評価のための要素となるパラメータを算出するステップとを含むことを特徴とする超音波を利用した物体特性評価方法をその要旨とする。
【0021】
請求項7に記載の発明によれば、超音波振動子と被検査物との間に超音波伝達体が介在され、超音波振動子から被検査物に向けて超音波が照射される。超音波振動子と被検査物とは超音波伝達体を介して対向配置されており、超音波振動の振動面での反射作用により被検査物の表面にて超音波が多次的に反射される。このとき、それらの反射波のうちの任意の2つの反射波であるn次反射波及びm次反射波の信号強度が検出される。そして、n次反射波の信号強度、m次反射波の信号強度、超音波伝達体の固有音響インピーダンス及び超音波振動子の固有音響インピーダンスに基づいて、被検査物の特性評価のための要素となるパラメータが算出される。この評価方法によると、超音波を複数回照射する必要がなく、超音波振動子から超音波を1回照射すれば、被検査物のパラメータを算出することができ、それに応じて被検査物の特性評価を迅速に行うことができる。
【0022】
請求項8に記載の発明は、超音波を被検査物に照射し、得られた反射波に基づいて前記被検査物の特性を評価する装置であって、既知の固有音響インピーダンスを有しかつ前記被検査物の表面からの反射波を反射可能な振動面を有し、電気信号を振動に変換して超音波を発生させるとともに、前記反射波を受信して電気信号に変換する超音波振動子と、前記被検査物及び前記超音波振動子とは異なる既知の固有音響インピーダンスを有し、基端が前記超音波振動子の前記振動面に接合される一方、先端が前記被検査物に対して直接接触するように配置される超音波伝達体と、前記超音波振動子の前記振動面での反射作用により前記超音波振動子に時間差で到達するn次反射波(ただしnは自然数)及びm次反射波(ただしmはnよりも大きい自然数)に基づいて、それらの信号強度を検出する信号強度検出手段と、前記n次反射波の信号強度、前記m次反射波の信号強度、前記超音波伝達体の固有音響インピーダンス及び前記超音波振動子の固有音響インピーダンスに基づいて、前記被検査物の特性評価のための要素となるパラメータを算出する演算手段とを備えることを特徴とする超音波を利用した物体特性評価装置をその要旨とする。
【0023】
請求項8に記載の発明によれば、超音波伝達体の基端が超音波振動子の振動面と接合されるとともにその先端が被検査物に対して直接接触するよう配置される。そして、超音波振動子が電気信号を振動に変換することにより、その超音波振動子の振動面から超音波伝達体を介して被検査物に超音波が照射される。超音波振動子と被検査物とは超音波伝達体を介して対向配置されており、超音波振動の振動面での反射作用により被検査物の表面にて超音波が多次的に反射される。このとき、信号強度検出手段により、それらの反射波のうちの任意の2つの反射波であるn次反射波及びm次反射波の信号強度が検出される。そして、演算手段により、n次反射波の信号強度、m次反射波の信号強度、超音波伝達体の固有音響インピーダンス及び超音波振動子の固有音響インピーダンスに基づいて、被検査物の特性評価のための要素となるパラメータが算出される。この評価装置によると、超音波を複数回照射する必要がなく、超音波振動子から超音波を1回照射すれば、被検査物のパラメータを求めることができ、それに応じて被検査物の特性評価を迅速に行うことができる。またこの評価装置では、被検査物のパラメータを簡単に求めることができ、処理回路の簡素化が可能となる。従って、装置を小型化して携帯が可能な評価装置を実現することができる。
【発明の効果】
【0024】
以上詳述したように、請求項1〜6に記載の発明によると、簡単な構成で被検査物の音響インピーダンスを迅速に測定することができる。また、請求項7,8に記載の発明によると、簡単な構成で被検査物の特性評価を迅速に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明を具体化した一実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。図1は音響インピーダンス測定装置を示す斜視図である。
【0026】
図1に示されるように、音響インピーダンス測定装置1は、全体としてペン状を呈するハンドピース2と、そのハンドピース2の先端に設けられる超音波センサ3とを備える。超音波センサ3の基端部はゴムなどの制振部材4を介してハンドピース2の先端取付口に固定されており、超音波センサ3はハンドピース2に対して音響的に絶縁されている。装置の不使用時には、ハンドピース2の先端に図示しないキャップを被せ、超音波センサ3を保護するようにしてもよい。本実施の形態の音響インピーダンス測定装置1は、携帯型の装置であり、ユーザがハンドピース2をペンのように手で持って被検査物に超音波センサ3を押し付けることでその音響インピーダンスを測定する。また、音響インピーダンス測定装置1において、ハンドピース2の外周面には操作パネル5やディスプレイ6が設けられるとともに、その内部には各種の処理回路が収納されている。操作パネル5やディスプレイ6は、ハンドピース2の上端面に設けてもよい。
【0027】
図2は音響インピーダンス測定装置1の電気的な回路構成を示している。図2に示すように、ハンドピース2内には、処理回路として発信機7、受信機8、受信電圧測定器9、マイクロコンピュータ(マイコン)10などが収納されている。マイコン10は操作パネル5、ディスプレイ6、発信機7、及び受信電圧測定器9と電気的に接続されており、発信機7及び受信機8が超音波センサ3に電気的に接続されている。
【0028】
図1及び図2に示されるように、本実施の形態の超音波センサ3は、例えば、アクリル樹脂を用いて円柱状に形成された超音波伝達体12と、例えば、圧電セラミックであるチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を用いて円板状に形成された超音波振動子13とを備える。超音波振動子13は超音波伝達体12と同じ直径を有する。この超音波振動子13の振動面14に超音波伝達体12の基端が接合される一方、超音波伝達体12の先端が被検査物(例えば、生体組織)16に直接接触するよう配置される。すなわち、この超音波センサ3では、超音波振動子13と被検査物16との間に超音波伝達体12が介在され、超音波振動子13と対向するよう被検査物16が配置される。
【0029】
操作パネル5には、例えば、電源ボタン17や測定開始ボタン18などが設けられ、そのボタン操作に応じた信号がマイコン10に入力される。
【0030】
発信機7は、マイコン10から入力されるトリガー信号に応答して励起パルスを生成し、それを超音波センサ3に出力する。そして、超音波センサ3において、励起パルスが超音波振動子13に供給され、該超音波振動子13が振動することで、超音波が超音波伝達体12を介して被検査物16に照射される。本実施の形態では、超音波伝達体12において、超音波振動子13は被検査物16と対向する位置に配置されている。そのため、照射された超音波は、超音波振動子13の振動面14での反射作用により被検査物16の表面にて多次的に反射される。
【0031】
超音波センサ3の超音波振動子13は、送受信兼用の振動子であり、被検査物16で反射した超音波(反射波)を電気信号に変換する。
【0032】
受信機8は、図示しない信号増幅回路、遅延回路、ゲート回路などを含んで構成されていて、超音波振動子13で変換された反射波信号を増幅するとともに、その反射波信号を抽出する。具体的には、超音波の照射タイミングから所定時間が経過したときに遅延回路からゲートパルスが出力される。そして、そのゲートパルスに応じてゲート回路が動作することで、超音波振動子13に最初に到達する一次反射波とその次に到達する二次反射波との反射波信号が抽出される。
【0033】
受信電圧測定器9は、A/D変換器19を含んで構成されていて、受信機8から入力される反射波信号の電圧値(アナログ値)をA/D変換し、その変換後のデジタルデータをマイコン10に出力する。
【0034】
マイコン10は、各種の演算処理を行うCPU21や処理プログラムやデータを記憶するメモリ22などを含んで構成されていて、装置全体を統括的に制御する。処理プログラムとしては、音響インピーダンスを算出するためのプログラムや、算出した音響インピーダンスなどをディスプレイ6に表示するためのプログラムを含む。
【0035】
次に、本実施の形態における音響インピーダンスの測定方法を説明する。図3は、測定原理を示す説明図であり、図4は、音響インピーダンス測定装置1の動作波形を示すタイミングチャートである。
【0036】
図3及び図4に示すように、励起パルスPを超音波振動子13に供給しその励起パルスPにより超音波振動子13を振動させることで、超音波振動子13から被検査物16に向けて超音波(入射波)Sが照射される。この超音波Sは、超音波伝達体12において被検査物16の表面(超音波伝達体12と被検査物16との境界面)及び超音波振動子13の振動面14(超音波伝達体12と超音波振動子13との境界面)で反射を繰り返す。本実施の形態においては、超音波Sが被検査物16の表面で反射される結果、超音波振動子13に最初に到着する一次反射波St1と、振動面14で反射された一次反射波St1が再び被検査物16の表面で反射される結果、一次反射波St1の次に到着する二次反射波St2とを抽出する。そして、それらの反射波信号の電圧値V,Vを取得する。
【0037】
反射波信号の電圧値V,Vは、音圧反射率の関係を利用し、超音波振動子13と超音波伝達体12との間の透過波、被検査物16や超音波振動子13での反射波を考慮すると、次式(1),(2)のように表すことができる。
【0038】
【数1】

【0039】
【数2】

【0040】
ここで、Vは、超音波振動子13で発生する超音波(入射波)Sに対応する電圧値であり、Zは、超音波振動子13の音響インピーダンスである。また、Zは、超音波伝達体(アクリル樹脂)の音響インピーダンスであり、Zは、被検査物16の音響インピーダンスである。なお、音響インピーダンスZ,Zは、超音波振動子13や超音波伝達体12の形成材料に応じて決定される既知の固有音響インピーダンスであり、マイコン10のメモリ22に予め記憶されている。
【0041】
上記式(1),(2)を用いると、電圧値の比V/Vは、次式(3)のようになる。
【0042】
【数3】

【0043】
この式(3)を次式(4)〜(7)のように整理すると、被検査物16の音響インピーダンスZが求まる。
【0044】
【数4】

【0045】
【数5】

【0046】
【数6】

【0047】
【数7】

【0048】
また、上式(7)は、次式(8)のように簡素化することができる。
【0049】
【数8】

【0050】
ここで、Aは、超音波振動子13及び超音波伝達体12の音響インピーダンスZ,Zで決定される装置固有の係数であり、Bは、各反射波信号の電圧比である(次式9参照)。
【0051】
【数9】

従って、測定した電圧値V,Vと既知の音響インピーダンスZ,Zとを式(8)に代入することにより、被検査物16の音響インピーダンスZを求めることができる。
【0052】
次に、本実施の形態において、被検査物(生体組織)16の音響インピーダンスZを測定するためにマイコン10が実行する処理例について、図5のフローチャートに従い説明する。なお、図5の処理は、ユーザにより操作パネル5の測定開始ボタン18が操作され、その操作に応じた信号がマイコン10に入力されたときに開始される。
【0053】
先ず、マイコン10は、発信機7にトリガー信号を供給して発信機7から励起パルスPを出力させる(ステップ100)。この励起パルスPが超音波センサ3の超音波振動子13に供給されると、その超音波振動子13が振動して振動面14から超音波Sが照射される。すると、所定時間後に生体組織16の表面で反射した最初の反射波St1が超音波振動子13に到着し、その超音波振動子13で電気信号(反射波信号)に変換される。そして、その反射波信号が受信機8で抽出され、その反射波信号の信号強度に応じた電圧値が受信電圧測定器9でA/D変換される。
【0054】
次に、マイコン10は、受信電圧測定器9で変換されたデジタルデータを取得し、一次反射波St1の電圧値Vとしてメモリ22に記憶する(ステップ110)。
【0055】
さらに、超音波伝達体12においては、超音波振動子13の振動面14と組織表面との間で反射が繰り返され、受信機8が一次反射波St1に続いて時間差で到着する二次反射波St2を受信する。そして、その反射波St2の信号強度に応じた電圧値が受信電圧測定器9でA/D変換される。
【0056】
次に、マイコン10は、受信電圧測定器9で変換されたデジタルデータを取得し、二次反射波St2の電圧値Vとしてメモリ22に記憶する(ステップ120)。
【0057】
次に、マイコン10は、超音波振動子13の音響インピーダンスZと超音波伝達体12の音響インピーダンスZとをメモリ22から読み出し、それら音響インピーダンスZ,Zと各反射波St1,St2の電圧値V,Vとを用いて上式(8)に対応した演算を行うことで、生体組織16の音響インピーダンスZを求める(ステップ130)。
【0058】
次に、マイコン10は、その音響インピーダンスZに基づいて生体組織16を診断する(ステップ140)。ここで、例えば癌化した生体組織においてコラーゲン線維が増加すると、正常組織に比較して硬化するので、算出した音響インピーダンスZに基づいて癌化した組織か否かを診断する。また、マイコン10は、算出した生体組織16の音響インピーダンスZ及びその診断結果に応じたデータをディスプレイ6に送信し、その音響インピーダンスZと診断結果とをディスプレイ6に表示させた後(ステップ150)、本処理を終了する。
【0059】
従って、本実施の形態によれば以下の効果を得ることができる。
【0060】
(1)本実施の形態の音響インピーダンス測定装置1を用いれば、従来技術のように超音波を複数回照射する必要がなく、超音波振動子13から超音波Sを1回照射すれば、生体組織16の音響インピーダンスZを求めることができる。また、音響インピーダンスZを簡単に求めることができ、従来技術と比較して処理回路を簡素化することができるので、装置の小型化が可能となる。
【0061】
(2)本実施の形態の音響インピーダンス測定装置1では、比較的に信号強度が大きく超音波振動子13に到達する時間が早い一次反射波St1と二次反射波St2とを用いているので、生体組織16の音響インピーダンスZを正確かつ迅速に求めることができる。
【0062】
(3)本実施の形態の音響インピーダンス測定装置1の場合、生体組織16の音響インピーダンスZと生体組織16の診断結果がディスプレイ6に表示されるので、生体組織16の性状を容易に確認することができる。
【0063】
(4)本実施の形態の音響インピーダンス測定装置1は、ペン状を呈するハンドピース2内に、信号強度検出手段としての受信機8及び受信電圧測定器9や演算手段としてのマイコン10などが収納されており、そのハンドピース2を手で持って生体組織16の音響インピーダンスZを測定することができる。このように構成すると、操作性に優れた携帯型の測定装置を実現することができる。
【0064】
(5)本実施の形態の場合、超音波振動子13は、超音波伝達体12と同じ直径を有し、その超音波伝達体12と接合される超音波振動子13の振動面14は平面であるので、この振動面14にて超音波Sを確実に反射させることができる。
【0065】
なお、本発明の実施の形態は以下のように変更してもよい。
【0066】
・上記実施の形態では、超音波振動子13に最初に到着する一次反射波St1と次に到着する二次反射波St2とを検出し、それらの反射波信号の電圧値V,Vに基づいて、生体組織16の音響インピーダンスZを求めるものであったが、これに限定されるものではない。具体的には、一次反射波St1や二次反射波St2以外に三次反射波以降の各反射波を用いてもよい。すなわち、各反射波のうちの任意の2つの反射波を抽出して、それら反射波の信号強度に基づいて音響インピーダンスZを求めるように構成してもよい。ただし、三次反射波以降の反射波を用いる場合、その信号強度が小さくなることに加え、超音波振動子13に到着するまでの時間が長くなるため、信号検出が困難になる。そのため、上記実施の形態のように一次反射波St1と二次反射波St2とに基づいて音響インピーダンスZを求めることが好ましい。
【0067】
・上記実施の形態では、ペン状を呈する音響インピーダンス測定装置1に具体化するものあったが、これに限定されるものではない。例えば、図6に示す音響インピーダンス測定装置31のように、ボックス状の装置本体32に信号ケーブル33を介して超音波センサ34を接続した構成の測定装置に具体化してもよい。音響インピーダンス測定装置31は、手のひらに収まるサイズの装置本体32を有しており、携帯型の測定装置として使用される。この音響インピーダンス測定装置31の装置本体32には、ディスプレイ35と操作パネル36とが設けられている。また、超音波センサ34は、超音波伝達体12と超音波振動子13と支持部材39とを備える。そして、信号ケーブル33の接続端子37が装置本体32に設けられたコネクタ38に挿入されることで、超音波センサ34が信号ケーブル33を介して装置本体32内の処理回路と接続される。なお、装置本体32内の処理回路としては、上記実施の形態と同様に、発信機7、受信機8、受信電圧測定器9、マイクロコンピュータ(マイコン)10などを含む。
【0068】
この音響インピーダンス測定装置31では、超音波センサ34(信号ケーブル33の接続端子37)が装置本体32のコネクタ38に着脱可能に設けられ、被検査物の種類やサイズなどに応じた超音波センサ34に交換することができる。また、装置本体32には、比較的に画面サイズが大きなディスプレイ35を設けることができ、より多くの情報をディスプレイ35に表示させることが可能となる。さらに、超音波センサ34を任意の位置に移動させることができるので、被検査物16における複数個所の音響インピーダンスZを迅速に測定することができる。
【0069】
・上記実施の形態では、携帯型の音響インピーダンス測定装置1,31に具体化したが、これ以外に据え置き型の音響インピーダンス測定装置として具体化してもよい。
【0070】
・上記実施の形態の音響インピーダンス測定装置1,31では、1つの超音波センサ3,34を備えるものであったが、これに限定されるものではなく複数の超音波センサを備える測定装置を構成してもよい。この測定装置において、例えば、複数の超音波センサをマトリクス状に配置させ、それら超音波センサを用いて被検査物16における複数の測定点の音響インピーダンスZを測定する。このようにすれば、被検査物16における音響インピーダンスZの分布を容易に確認することができる。またこの場合、各測定点での音響インピーダンスZに基づいて被検査物16の音響インピーダンス像を表示装置に表示させるよう構成してもよい。この音響インピーダンス像を確認することにより、被検査物16の性状をより的確に判定することができる。
【0071】
・上記実施の形態では、超音波センサ3,34の超音波伝達体12としてアクリル樹脂を用いたが、それ以外の樹脂やステンレスなどの金属材料を用いてもよい。勿論、超音波伝達体12としては、樹脂や金属などの固体に限定する必要はなく、超音波を伝達可能な液体(水など)を用いることもできる。
【0072】
・上記実施の形態では、被検査物16として生体組織の音響インピーダンスZを測定するものであったが、肉、魚類、うどん、蕎麦などの食材の音響インピーダンスや液体の音響インピーダンスを測定してもよい。
【0073】
・上記実施の形態では、測定した被検査物16の音響インピーダンスZに基づいて組織診断を行い、その診断結果をディスプレイ6に表示させるものであったがこれに限定されるものではない。例えば、肉、魚類の音響インピーダンスを測定してその測定値に基づいて鮮度診断を行い、その診断結果をディスプレイ6に表示させてもよい。また、測定した音響インピーダンスに基づいて、うどんや蕎麦などの水分量を表示させてもよいし、液体の塩分濃度などをディスプレイ6に表示させてもよい。
【0074】
・上記実施の形態では、被検査物16の音響インピーダンスZ3を求め、その音響インピーダンスZに基づいて被検査物16の特性評価を行うものであったが、音響インピーダンスZ以外のパラメータを用いて被検査物16の特性評価を行ってもよい。なお、この特性評価のための要素となるパラメータは、上記構成のような超音波センサ3を用いて各反射波St1,St2の信号強度を検出し、それら信号強度、超音波伝達体12の音響インピーダンスZ及び超音波振動子13の音響インピーダンスZに基づいて算出する。
【0075】
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施の形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
【0076】
(1)請求項6において、前記ハンドピース内に前記信号強度検出手段及び前記演算手段が収容されていることを特徴とする音響インピーダンス測定装置。
【0077】
(2)請求項6において、前記ハンドピースに前記表示手段が設けられていることを特徴とする音響インピーダンス測定装置。
【0078】
(3)請求項2乃至6のいずれか1項において、前記振動面は平面であることを特徴する音響インピーダンス測定装置。
【0079】
(4)請求項2乃至6のいずれか1項において、前記信号強度検出手段は、前記一次反射波及び前記二次反射波を検出するためのゲート回路と、前記各反射波の信号強度に応じた電圧値をA/D変換するA/D変換器とを含むことを特徴とする音響インピーダンス測定装置。
【0080】
(5)請求項5において、前記演算手段が算出した音響インピーダンスに基づいて、前記被検査物の性状を判定し、その判定結果を前記表示装置に表示する判定手段をさらに備えたことを特徴とする音響インピーダンス測定装置。
【0081】
(6)請求項2乃至5のいずれか1項において、前記信号強度検出手段及び演算手段が装置本体に設けられ、前記超音波振動子及び超音波伝達体を有する超音波センサが装置本体に対して着脱可能に設けられることを特徴とする音響インピーダンス測定装置。
【0082】
(7)技術的思想(6)において、前記被検査物の種類に応じて前記超音波センサが交換されることを特徴とする音響インピーダンス測定装置。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明を具体化した一実施の形態の音響インピーダンス測定装置を示す斜視図。
【図2】音響インピーダンス測定装置の電気的構成を示すブロック図。
【図3】(a)〜(c)は超音波センサにおける超音波の反射を示す説明図。
【図4】音響インピーダンス測定装置の動作波形を示すタイミングチャート。
【図5】マイコンが実行する処理例を示すフローチャート。
【図6】別の実施の形態の音響インピーダンス測定装置を示す斜視図。
【符号の説明】
【0084】
1,31…音響インピーダンス測定装置
2…ハンドピース
6,35…表示装置としてのディスプレイ
8…信号強度検出手段を構成する受信機
9…信号強度検出手段を構成する受信電圧測定器
10…演算手段としてのマイコン
12…超音波伝達体
13…超音波振動子
14…振動面
16…被検査物としての生体組織

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波を被検査物に照射し、得られた反射波に基づいて前記被検査物の音響インピーダンスを測定する音響インピーダンス測定方法であって、
既知の固有音響インピーダンス及び振動面を有する超音波振動子と前記被検査物とを対向配置するとともに、前記超音波振動子と前記被検査物との間に前記超音波振動子及び前記被検査物とは異なる既知の固有音響インピーダンスを有する超音波伝達体を介在させるステップと、
前記超音波振動子から前記被検査物に向けて超音波を照射し、その照射された超音波を前記超音波振動子の前記振動面での反射作用により前記被検査物の表面にて多次的に反射させ、前記超音波振動子に時間差で到達するn次反射波(ただしnは自然数)及びm次反射波(ただしmはnよりも大きい自然数)の信号強度を検出するステップと、
前記n次反射波の信号強度、前記m次反射波の信号強度、前記超音波伝達体の固有音響インピーダンス及び前記超音波振動子の固有音響インピーダンスに基づいて、前記被検査物の音響インピーダンスを算出するステップと
を含むことを特徴とする音響インピーダンス測定方法。
【請求項2】
超音波を被検査物に照射し、得られた反射波に基づいて前記被検査物の音響インピーダンスを測定する音響インピーダンス測定装置であって、
既知の固有音響インピーダンスを有しかつ前記被検査物の表面からの反射波を反射可能な振動面を有し、電気信号を振動に変換して超音波を発生させるとともに、前記反射波を受信して電気信号に変換する超音波振動子と、
前記被検査物及び前記超音波振動子とは異なる既知の固有音響インピーダンスを有し、基端が前記超音波振動子の前記振動面に接合される一方、先端が前記被検査物に対して直接接触するように配置される超音波伝達体と、
前記超音波振動子の前記振動面での反射作用により前記超音波振動子に時間差で到達するn次反射波(ただしnは自然数)及びm次反射波(ただしmはnよりも大きい自然数)に基づいて、それらの信号強度を検出する信号強度検出手段と、
前記n次反射波の信号強度、前記m次反射波の信号強度、前記超音波伝達体の固有音響インピーダンス及び前記超音波振動子の固有音響インピーダンスに基づいて、前記被検査物の音響インピーダンスを算出する演算手段と
を備えることを特徴とする音響インピーダンス測定装置。
【請求項3】
前記n次反射波は、前記超音波振動子が発した超音波が前記被検査物の表面で反射される結果、前記超音波振動子に最初に到着する一次反射波であり、前記m次反射波は、前記振動面で反射された前記一次反射波が再び前記被検査物の表面で反射される結果、前記一次反射波の次に到着する二次反射波であることを特徴とする請求項2に記載の音響インピーダンス測定装置。
【請求項4】
前記信号強度検出手段は、前記一次反射波及び前記二次反射波を検出してそれら信号強度に応じた電圧値をそれぞれ前記演算手段に出力し、前記演算手段は、それら電圧値に基づいて前記被検査物の音響インピーダンスを算出することを特徴とする請求項3に記載の音響インピーダンス測定装置。
【請求項5】
前記演算手段が算出した音響インピーダンスを表示する表示装置をさらに備えることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の音響インピーダンス測定装置。
【請求項6】
全体としてペン状を呈するハンドピースをさらに備え、そのハンドピースの先端に前記超音波振動子及び前記超音波伝達体が配置されていることを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1項に記載の音響インピーダンス測定装置。
【請求項7】
超音波を被検査物に照射し、得られた反射波に基づいて前記被検査物の特性を評価する方法であって、
既知の固有音響インピーダンス及び振動面を有する超音波振動子と前記被検査物とを対向配置するとともに、前記超音波振動子と前記被検査物との間に前記超音波振動子及び前記被検査物とは異なる既知の固有音響インピーダンスを有する超音波伝達体を介在させるステップと、
前記超音波振動子から前記被検査物に向けて超音波を照射し、その照射された超音波を前記超音波振動子の前記振動面での反射作用により前記被検査物の表面にて多次的に反射させ、前記超音波振動子に時間差で到達するn次反射波(ただしnは自然数)及びm次反射波(ただしmはnよりも大きい自然数)の信号強度を検出するステップと、
前記n次反射波の信号強度、前記m次反射波の信号強度、前記超音波伝達体の固有音響インピーダンス及び前記超音波振動子の固有音響インピーダンスに基づいて、前記被検査物の特性評価のための要素となるパラメータを算出するステップと
を含むことを特徴とする超音波を利用した物体特性評価方法。
【請求項8】
超音波を被検査物に照射し、得られた反射波に基づいて前記被検査物の特性を評価する装置であって、
既知の固有音響インピーダンスを有しかつ前記被検査物の表面からの反射波を反射可能な振動面を有し、電気信号を振動に変換して超音波を発生させるとともに、前記反射波を受信して電気信号に変換する超音波振動子と、
前記被検査物及び前記超音波振動子とは異なる既知の固有音響インピーダンスを有し、基端が前記超音波振動子の前記振動面に接合される一方、先端が前記被検査物に対して直接接触するように配置される超音波伝達体と、
前記超音波振動子の前記振動面での反射作用により前記超音波振動子に時間差で到達するn次反射波(ただしnは自然数)及びm次反射波(ただしmはnよりも大きい自然数)に基づいて、それらの信号強度を検出する信号強度検出手段と、
前記n次反射波の信号強度、前記m次反射波の信号強度、前記超音波伝達体の固有音響インピーダンス及び前記超音波振動子の固有音響インピーダンスに基づいて、前記被検査物の特性評価のための要素となるパラメータを算出する演算手段と
を備えることを特徴とする超音波を利用した物体特性評価装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−195743(P2007−195743A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−18036(P2006−18036)
【出願日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(000243364)本多電子株式会社 (255)
【Fターム(参考)】