説明

音響処理装置、音響処理方法、および携帯電話端末

【課題】筐体等と衝突する任意の物体から発生する音響ノイズを含む音響信号から、この音響ノイズを除去することが可能な音響処理装置を提供する。
【解決手段】所定の筐体に所定の物体が衝突した際に筐体から発生する音響信号の特性をノイズサンプルとして保持するノイズサンプルデータ保持部12と、周囲音を入力音響信号として入力する音響信号入力部と、入力音響信号に含まれる信号成分のうち、ノイズサンプルと略同一の特性を有する一次ノイズ成分を検出する一次ノイズ検出部13と、入力音響信号に含まれる信号成分のうち、一次ノイズ成分の特性と近似する特性を有する二次ノイズ成分を検出する二次ノイズ検出部15と、一次ノイズ成分および二次ノイズ成分を減衰させる一次ノイズ除去用データ生成部14、二次ノイズ除去用データ生成部16、音合成部17とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音響ノイズの除去または低減を行う音響処理装置および音響処理方法ならびに音響処理装置を搭載した携帯電話端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の携帯電話端末やデジタルカメラなどの機器には、音声や、静止画や、動画などの情報を入力してこれらの情報を所定の記録媒体に保存し、保存された情報を後で再生したり編集したりする機能が搭載されている場合が多い。
【0003】
音声などの音響をマイクで拾って音響信号に変換し、この音響信号を録音する場合には、目的の音声以外の不要なノイズが音響信号に含まれている場合があり、録音された音声を再生する際に音声の内容が聞き取りにくくなったり、録音の品質が低下したりする場合がある。ノイズが音響(空気などの振動)としてマイクから入力された場合には、再生時にはこのノイズが除去された状態であることが望ましい。
【0004】
このようなノイズを除去するために、例えば、デジタルカメラにおいて録音される音声データに含まれるノイズを低減するための技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。具体的には、デジタルカメラ自体に搭載されているフォーカス駆動用モータや、ズーム駆動用モータの駆動時に発生する音響(ノイズ)はほぼ一定であるので、このノイズ成分を音声の信号から除去するために、ノイズの音響波形を予めサンプリングし、既知信号として保存しておく。そして、録音対象の音声信号の中に既知信号の波形が現れたら、このノイズ成分を除去するように信号処理を行う。
【0005】
一方、近年の携帯電話端末には、バイブレータ機能を有する場合が多く、例えば着信時にそれをユーザに知らせるためにバイブレータ機能により振動して筐体を振動させるようになっている。ところが、携帯電話端末を机の上などに置いたままにしている状態でバイブレータ機能により端末が振動すると、携帯電話端末の筐体と机などとの衝突が繰り返されるため、比較的大きな騒音が発生する。
【0006】
そこで、バイブレータによる騒音の発生を防止するための技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。具体的には、外光を検知する光センサや、異なる物体との接触を検知する接触センサなどを端末に搭載し、所定の条件においては、騒音の発生を防止するために、バイブレータの振動強度を自動的にレベルダウンすることが開示されている。
【0007】
【特許文献1】特開2004−120264号公報
【特許文献2】特開2008−54283号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、携帯電話端末の筐体には、ストラップ等を介してユーザが付加したアクセサリーなどの異物が付属されている場合が多く、この異物と携帯電話端末の筐体とが衝突することによってノイズ(異音)が発生し易い。このノイズは、音声の録音時あるいは録音を伴う動画の撮影時に音声と共に記録されることがある。
【0009】
この場合、異物と筐体との衝突によって、筐体が振動することにより生じる音響のノイズ成分(筐体側のノイズ)については、特許文献1の技術を適用して除去することも可能である。すなわち、このノイズの音響波形を予めサンプリングし、既知信号として保存しておき、再生時や編集時に音声信号の中にこの既知信号の波形が現れたら、このノイズ成分を除去するように信号処理を行うことが可能である。
【0010】
しかしながら、異物と筐体との衝突によって、異物自体が振動して発生する音響のノイズ成分(異物側のノイズ)については、周波数等が異物の特性に依存するために周波数や波形が一定とならず、携帯電話端末であらかじめサンプリングして保存しておくことができため、異物側のノイズを除去できない。
【0011】
同様に、携帯電話端末が机の上などに置かれている状態で、バイブレータ機能による振動により携帯電話端末の筐体と机とが周期的に衝突を繰り返した場合には、衝突によって筐体に生じる振動による音響のノイズ成分は除去することが可能であるが、机側の振動によって生じる音響のノイズ成分は除去できない。
【0012】
また、特許文献2の技術を採用すれば、バイブレータ機能による振動によって生じる騒音を緩和することが可能であるが、バイブレータを停止しない限り騒音を完全に除去することはできないし、更に光センサや接触センサなどを設ける必要があり、コストの増大は避けられない。
【0013】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、筐体等と衝突する任意の物体から発生する音響ノイズを含む音響信号から、この音響ノイズを除去することが可能な音響処理装置、音響処理方法、および携帯電話端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の音響処理装置は、所定の筐体に所定の物体が衝突した際に前記筐体から発生する音響信号の特性をノイズサンプルとして保持するノイズサンプル保持部と、周囲音を入力音響信号として入力する音響信号入力部と、前記入力音響信号に含まれる信号成分のうち、前記ノイズサンプルと略同一の特性を有する第1の音響信号の信号成分を検出する第1音響信号検出部と、前記入力音響信号に含まれる信号成分のうち、前記第1の音響信号の特性と近似する特性を有する第2の音響信号の信号成分を検出する第2音響信号検出部と、前記第1の音響信号の信号成分および前記第2の音響信号の信号成分を減衰させる音響信号減衰部と、を備える。
【0015】
この音響処理装置によれば、筐体等と衝突する任意の物体から発生する音響ノイズを含む音響信号から、この音響ノイズを除去することが可能である。具体的には、筐体に発生する音響ノイズのように、既知の波形(予めサンプリングして記録しておいた波形)と略同一の特性を有する第1のノイズ成分だけでなく、筐体の周囲の物体(例えばアクセサリー、机など)の振動によって発生する未知の波形で構成される第2のノイズ成分をも、特別なセンサを設置することなく、抑制あるいは除去することができる。例えば、筐体と物体との衝突によって筐体側に生じる振動と、物体側に生じる振動とは、同じ衝突をきっかけとして両者の振動が引き起こされるので、両者の振動の間には所定の関係がある。そこで、ノイズ成分のうち、第1のノイズ成分と所定の関係を有する(近似する)未知の波形を第2のノイズ成分として検出する。
【0016】
また、本発明の音響処理装置は、前記第2音響信号検出部が、入力音響信号に含まれる信号成分のうち、前記第1の音響信号の信号成分以外で、前記第1の音響信号の振動開始時刻と略同時に振動を開始し、かつ、時間経過に伴って振幅が減衰する信号成分を、前記第2の音響信号の信号成分として検出する。
【0017】
この音響処理装置によれば、筐体の周囲の物体(例えばアクセサリー、机など)の振動によって発生する未知の波形で構成される第2のノイズ成分を正しく検出することができる。筐体と物体との衝突によって筐体側及び物体側にそれぞれ振動が生じる場合には、衝突のタイミングを開始時点として、筐体側の振動及び物体側の振動がそれぞれ発生し、それ以降に再び衝突が生じない限り、それぞれの振動の振幅は時間の経過に伴って徐々に減衰することになるので、上記の条件を満たす第2のノイズ成分は、衝突によって物体側に生じた振動に相当するノイズ成分として検出することが可能である。
【0018】
また、本発明の音響処理装置は、前記第2音響信号検出部が、前記第2の音響信号の信号成分の周波数情報を前記音響信号減衰部に通知し、前記音響信号減衰部が、前記第2音響信号検出部からの前記周波数情報に基づいて、前記第2の音響信号の信号成分が含まれる周波数帯の信号成分を減衰させるフィルタ部を備える。
【0019】
この音響処理装置によれば、第2のノイズの信号成分が含まれる周波数帯域を識別し、第2のノイズ成分を低減することができる。
【0020】
また、本発明の音響処理装置は、前記音響信号減衰部が、前記第2音響信号検出部が検出した前記第2の音響信号の信号成分と周波数および振幅が略同一であり、かつ、逆位相の特性を有する減衰用信号を生成する減衰用信号生成部を備える。
【0021】
この音響処理装置によれば、第2のノイズ成分を含む音響信号に逆位相の信号を生成し、入力音響信号に加算することにより、第2のノイズ成分を逆位相の信号によって打ち消すことができる。
【0022】
また、本発明の音響処理装置は、前記入力音響信号を録音する音響信号録音部と、前記第1音響信号検出部が検出した前記第1の音響信号の信号成分の特性情報と、前記第2音響信号検出部が検出した前記第2の音響信号の信号成分の特性情報と、を保持する信号特性情報保持部と、を備え、前記音響信号減衰部が、前記音響信号記録部に録音された入力音響信号を読み出し、前記信号特性情報保持部に保持された特性情報に基づいて、前記第1の音響信号の信号成分および前記第2の音響信号の信号成分を減衰させる。
【0023】
この音響処理装置によれば、入力音響信号の録音の際に検出された第1のノイズ成分及び第2のノイズ成分の特性情報を保存するので、録音された音響信号を読み出して編集する際にノイズを除去することができる。
【0024】
また、本発明の音響処理装置は、入力操作を受け付ける操作部を備え、前記操作部が、前記音響信号録音部に録音された入力音響信号における、前記第1の音響信号の信号成分および前記第2の音響信号の信号成分を減衰させる時間範囲および減衰度合いの情報を前記入力操作として受け付け、前記音響信号減衰部が、前記入力操作に基づいて、前記第1の音響信号の信号成分および前記第2の音響信号の信号成分を低減させる。
【0025】
この音響処理装置によれば、録音された音響信号を読み出して編集する際に、入力操作により、ノイズを除去すべき位置やノイズの低減度合いを指定することができる。
【0026】
また、本発明の音響処理装置は、前記筐体を振動させる振動部と、前記第1音響信号検出部が検出した第1の音響信号の信号成分および前記第2音響信号検出部が検出した第2の音響信号の信号成分が、前記振動部の振動周期と同期しているか否かを判定する同期判定部と、前記同期判定部によって同期していると判定された場合、前記振動部の振動レベルを制限する振動制御部とを備える。
【0027】
この音響処理装置によれば、バイブレータ機能による振動によって筐体とその周囲の物体(机など)とが衝突し、この衝突を原因として第1のノイズ成分及び第2のノイズ成分が発生している場合に、振動レベルを自動的に抑制するので、第1のノイズ成分及び第2のノイズ成分を低減できる。さらに、特別なセンサを追加する必要はないので、装置のコストを低減できる。
【0028】
また、本発明の音響処理装置は、前記所定の筐体が、当該音響処理装置の筐体であり、前記音響信号入力部が、前記筐体上に配置されている。
【0029】
この音響処理装置によれば、マイク等の音響信号入力部が筐体上に配置されている場合には、音響ノイズの信号成分がより大きくなるが、効率的にノイズ成分の減衰処理が可能である。
【0030】
また、本発明の携帯電話端末は、上記いずれかの音響処理装置を搭載している。
【0031】
この携帯電話端末によれば、携帯電話端末の筐体と衝突する任意の物体から発生する音響ノイズを含む音響信号から、この音響ノイズを除去することが可能である。
【0032】
また、本発明の音響処理方法は、周囲音を入力音響信号として入力するステップと、前記入力音響信号に含まれる信号成分のうち、所定の筐体に所定の物体が衝突した際に前記筐体から発生する音響信号の特性をノイズサンプルとして保持するノイズサンプル保持部に保持されたノイズサンプルと略同一の特性を有する第1の音響信号の信号成分を検出するステップと、前記入力音響信号に含まれる信号成分のうち、前記第1の音響信号の特性と近似する特性を有する第2の音響信号の信号成分を検出するステップと、前記第1の音響信号の信号成分および前記第2の音響信号の信号成分を減衰させるステップと、を備える。
【0033】
この音響処理方法によれば、筐体等と衝突する任意の物体から発生する音響ノイズを含む音響信号から、この音響ノイズを除去することが可能である。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、筐体等と衝突する任意の物体から発生する音響ノイズを含む音響信号から、この音響ノイズを除去することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
本発明の実施形態における音響処理装置、音響処理方法、および携帯電話端末について、図面を参照しながら以下に説明する。
【0036】
本実施形態における音響処理装置について説明する前に、この音響処理装置が使用される環境について説明する。音響処理装置は、少なくともマイクを介して入力される音響信号(音声、音楽、その他の音など、音に関する信号を広く含む)を録音する機能を有する機器に搭載される。例えば、図6に示す例では、音声などの音響と共に動画を撮影して音響を含む動画の情報を録画する機能を有する端末(具体的にはデジタルカメラやその機能を搭載した携帯電話端末60など)に搭載することを想定している。図6は本実施形態の音響処理装置が搭載される携帯電話端末の外観の具体例を示す正面図である。
【0037】
図6に示す携帯電話端末60においては、動画を録画しようとする際に、この端末60に搭載されている撮像部(イメージセンサ:図示せず)で撮影対象の被写体61を撮影して得られる動画像のデータと、マイク64から入力される音響信号のデータとを時系列の情報として、所定の記録媒体上に順次記録し保存することができる。
【0038】
図6に示す携帯電話端末60においては、その筐体に可撓性のストラップ62を介してアクセサリーなどの物体63(ここでは車型の物体)が装着されているので、端末60の筐体と物体63とが衝突する可能性があり、この衝突によって例えば「コツン」などの不要な音響ノイズが、録画中に、携帯電話端末60の筐体側および物体63側の双方において発生し、これらの音響ノイズが録音対象音とともに録音されてしまうことがある。
【0039】
本実施形態の携帯電話端末60では、以下に具体的に説明するように、衝突によって携帯電話端末60の筐体側に発生する機械的な振動によって生じる音響ノイズとともに、物体63側に発生する機械的な振動によって生じる音響ノイズも除去可能であり、これらのノイズが除去された音響信号を再生可能である。
【0040】
図1は本発明の実施形態における音響処理装置の構成例を示すブロック図である。図1に示した音響処理装置10は、上記のような衝突によって物体側が発生する音響ノイズの成分も含めて減衰(除去または低減)させる機能を有している。この音響処理装置は、上述したように、携帯電話装置等の携帯端末装置、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ等に搭載される。
【0041】
図1を参照すると、この音響処理装置10は、音入力制御部11、ノイズサンプルデータ保持部12、一次ノイズ検出部13、一次ノイズ除去用データ生成部14、二次ノイズ検出部15、二次ノイズ除去用データ生成部16、音合成部17、及び音出力制御部18を備えている。
【0042】
音入力制御部11は、この装置10の筐体に搭載されたマイクにより音声などの目的の音響(空気などの振動)を対象音として取り込み、アナログ電気信号に変換し、更にこの信号をデジタル信号に変換し、音響信号データSG11として出力する機能を有している。
【0043】
音響信号データSG11の波形W1の具体例が図7に示されている。図7を参照すると、この波形W1には目的の対象波形W1aの他に、2種類のノイズ成分の波形W1b、W1cが含まれている。図8には波形W1bの成分だけが示してあり、図9には波形W1cの成分だけが示してあり、図10には対象波形W1aの成分だけが示してある。
【0044】
なお、図7〜10では、横軸は時間、縦軸は振幅を示しており、縦軸中央部の目盛り「Inf」は無限大(Infinity)を示している。これは、後述する図11〜図14においても同様である。
【0045】
図7に示したノイズ成分の波形W1b、W1cは、装置10の筐体と任意の物体(例えば、図6に示したようなストラップに接続された物体)との衝突によって生じるノイズを表している。波形W1bは筐体側の振動によって生じる成分であり、ここでは一次ノイズ成分と呼ぶ。また、波形W1cは物体側の振動によって生じる成分であり、ここでは二次ノイズ成分と呼ぶ。図7に示すように、一次ノイズ成分、二次ノイズ成分の各波形W1b、W1cは、同じタイミングt1で振動を開始しており、図8、図9に示すように、それぞれ発生してから徐々に減衰する(振幅が時間の経過に伴って小さくなる)ような波形になっている。
【0046】
図1に示すノイズサンプルデータ保持部12は、予め測定したノイズサンプルのデータを保持している記憶装置である。このノイズサンプルは、一次ノイズ成分を検出するために利用可能なデータである。すなわち、任意の物体との衝突によって筐体側に発生する振動により生じる一次ノイズ成分については、概ね筐体に固有の周波数でノイズが発生するため、あらかじめノイズサンプルとして、筐体と物体とが衝突した際の筐体から発生する音響信号を測定し、保持しておく。
【0047】
一次ノイズ検出部13は、音入力制御部11から出力される音響信号データSG11を処理すると共に、ノイズサンプルデータ保持部12が保持しているデータをノイズサンプルデータSG2として入力し、音響信号データSG11の中から一次ノイズ成分を検出する。ノイズサンプルデータSG2の波形W2の具体例が図11に示されている。
【0048】
具体的には、一次ノイズ検出部13は、音響信号データSG11に含まれている各種信号成分の中で、ノイズサンプルデータSG2(波形W2)と周波数がほぼ同じで、波形の相関性が高い(略同一の特性を有する)成分を抽出し、一次ノイズデータSG3として出力する。従って、抽出された一次ノイズデータSG3の波形W3は波形W2(図11参照)と同等である。なお、一次ノイズ検出部13から出力される音響信号データSG12は入力される音響信号データSG11と同等であるが、処理にかかる時間を考慮してタイミングを少しずらしてある。
【0049】
一次ノイズ除去用データ生成部14は、一次ノイズ検出部13が出力する一次ノイズデータSG3から一次ノイズ除去用データSG4を生成する。具体的には、一次ノイズデータSG3の波形の位相を180度ずらして逆位相の波形を生成すると共に、振幅を調整した結果を一次ノイズ除去用データSG4として出力する。一次ノイズ除去用データSG4の波形W4の具体例が図12に示されている。図12に示す波形は図11に示した波形と位相が逆になっている。つまり、一次ノイズ除去用データ生成部14の機能は反転増幅器と同等である。
【0050】
二次ノイズ検出部15は、一次ノイズ検出部13から出力される音響信号データSG12及び一次ノイズデータSG3を入力し、音響信号データSG12の中から一次ノイズデータSG3に特性が近似する二次ノイズ成分を検出する。
【0051】
例えば、図7に示すように、一次ノイズ成分(W1b)と二次ノイズ成分(W1c)とは互いに同じタイミング(t1)で振動を開始し、しかも図8、図9に示すようにそのタイミングから徐々に減衰する波形になっている。また、新たに一次ノイズ成分(W1b)が発生しない限り、次の二次ノイズ成分(W1c)も発生しない。
【0052】
そこで、二次ノイズ検出部15は、音響信号データSG12に含まれる各種信号成分の中で、一次ノイズ成分(W1b:SG3)とは異なる成分であって、一次ノイズ成分(W1b:SG3)とほぼ同じタイミング(t1)で振動を開始し、そのタイミングで所定以上の音出力レベルを有し、更に次の一次ノイズ成分が発生するまでは振幅が時間の経過と共に徐々に減衰する波形の成分を二次ノイズ成分として検出し、これを二次ノイズデータSG5として出力する。二次ノイズデータSG5は、二次ノイズ検出部15が検出した二次ノイズ成分のタイミングや、周波数や、振幅の減衰カーブなどを示す情報を含んでおり、二次ノイズデータSG5として想定している波形W5は、図9に示した波形(図7中のW1c)と同等である。なお、二次ノイズ検出部15から出力される音響信号データSG13は、入力の音響信号データSG12と同等であるが、処理にかかる時間を考慮してタイミングを少しずらしてある。
【0053】
二次ノイズ除去用データ生成部16は、二次ノイズ検出部15から出力される抽出された二次ノイズデータSG5に基づいて二次ノイズ除去用データSG6を生成する。具体的には、二次ノイズ検出部15によって検出された前記二次ノイズ成分と発生タイミングが同一で、周波数や振幅も同等で、且つ位相が逆相の信号波形(W6)を有する信号を二次ノイズ除去用データ生成部16が生成し、二次ノイズ除去用データSG6として出力する。二次ノイズ除去用データSG6の波形(W6)の具体例が図13に示されている。
【0054】
音合成部17は、二次ノイズ検出部15から出力される音響信号データSG13と、一次ノイズ除去用データ生成部14から出力される一次ノイズ除去用データSG4と、二次ノイズ除去用データ生成部16から出力される二次ノイズ除去用データSG6とを互いにタイミングを合わせて加算し、これらを合成した信号であるノイズ除去済音響信号データSG8を出力する。
【0055】
すなわち、一次ノイズ除去用データSG4は音響信号データSG13に含まれている一次ノイズ成分(W1b)と周波数、振幅、タイミングなどが同等であり、逆位相なので、これらを加算することにより、一次ノイズ成分を打ち消すことができる。更に、二次ノイズ除去用データSG6は音響信号データSG13に含まれている二次ノイズ成分(W1c)と周波数、振幅、タイミングなどが同等であり、逆位相なので、これらを加算することにより二次ノイズ成分を打ち消すことができる。
【0056】
従って、音合成部17から出力されるノイズ除去済音響信号データSG8の波形W8は、音響信号データSG13に含まれている対象データの波形(図7のW1aの成分)と同等になる。つまり、物体と筐体との衝突によって生じた一次ノイズ成分及び二次ノイズ成分を除去したデータが得られる。なお、一次ノイズ除去用データSG4の波形の振幅を調整することにより、除去後に一次ノイズ成分の一部分を減衰した状態で残すこともできるし、二次ノイズ除去用データSG6の波形の振幅を調整することにより、除去後に二次ノイズ成分の一部分を減衰した状態で残すこともできる。
【0057】
音出力制御部18は、入力されるノイズ除去済音響信号データSG8を録音データ記憶部20に記録するための録音処理を実施したり、入力されるノイズ除去済音響信号データSG8や録音データ記憶部20から読み出したノイズ削除済みの音響信号データを、図示しないスピーカなどから音響として出力するための再生処理を実施したりする。
【0058】
図1に示した音響処理装置10の動作に関する基本的な制御の内容が図2に示されている。図2に示す制御の内容について以下に説明する。
【0059】
ステップS11では、音入力制御部11が、音を入力するための処理を実施する。すなわち、マイクで入力した音響を電気信号に変換すると共に、この電気信号の波形を時系列のデジタルデータに変換し、音響信号データSG11として出力する。
【0060】
ステップS12では、一次ノイズ検出部13が、ノイズサンプルデータSG2を参照しながら音響信号データSG11の中から一次ノイズ成分を検出するための処理を実施する。
【0061】
ステップS13では、一次ノイズ検出部13が、ステップS12において一次ノイズ成分を検出したか否かを識別する。一次ノイズ成分を検出しない場合はステップS14に進み、検出した場合はステップS15に進む。
【0062】
ステップS14では、音出力制御部18が、音合成部17から出力される音響信号データSG8を入力して録音データ記憶部20に保存したり、音合成部17から出力される音響データSG8もしくは録音データ記憶部20から読み出したデータを音響として再生するための処理を実施する。
【0063】
ステップS15では、二次ノイズ検出部15が、一次ノイズ検出部13から出力される音響信号データSG12と一次ノイズデータSG3とに基づき、二次ノイズ成分の検出処理を実施する。
【0064】
ステップS16では、二次ノイズ検出部15が、ステップS15において二次ノイズ成分を検出したか否かを識別する。二次ノイズ成分を検出しない場合はステップS18に進み、検出した場合はステップS17に進む。
【0065】
ステップS17では、二次ノイズ除去用データ生成部16が、二次ノイズ検出部15から出力される二次ノイズデータSG5に基づいて、二次ノイズ除去用データSG6を生成し、これを出力する。
【0066】
ステップS18では、一次ノイズ除去用データ生成部14が、一次ノイズデータSG3に基づいて、一次ノイズ除去用データSG4を生成し、これを出力する。
【0067】
ステップS19では、音合成部17が、音響信号データSG13と一次ノイズ除去用データSG4と二次ノイズ除去用データSG6とを加算して、これらを合成した信号をノイズ除去済音響信号データSG8として出力する。つまり、一次ノイズ成分及び二次ノイズ成分を除去した結果をノイズ除去済音響信号データSG8として出力する。
【0068】
なお、一次ノイズ成分及び二次ノイズ成分が検出されない場合には、音合成部17に入力される音響信号データSG13と同じ信号が音合成部17からノイズ除去済音響信号データSG8として出力される。
【0069】
図1に示した音響処理装置10の代わりに、図3に示した音響処理装置10Bのように構成しても良い。図3は図1に示した音響処理装置の変形例の構成を示すブロック図である。
【0070】
図1に示した音響処理装置10においては、音響信号データSG13に含まれる二次ノイズ成分を打ち消すために、二次ノイズ除去用データ生成部16が、二次ノイズ成分と逆位相の二次ノイズ除去用データSG6を生成しているが、図3に示した音響処理装置10Bにおいては、同等の機能を二次ノイズ帯域フィルタリング除去部19を備えている。
【0071】
すなわち、図3に示す二次ノイズ帯域フィルタリング除去部19は、入力される信号(SG13)の中から特定の周波数帯域の信号成分を除去又は低減するためのフィルタを備えており、二次ノイズ検出部15が検出した二次ノイズ成分の情報D2に従って、二次ノイズ成分を除去し、二次ノイズ成分除去後の信号SG14を出力する。情報D2については、検出された二次ノイズ成分の周波数やタイミングの情報が含まれている。二次ノイズ除去後データSG14の波形(W7)の具体例が図14に示されている。
【0072】
図3に示す音合成部17は、信号SG14と一次ノイズ除去用データSG4とを加算してその結果をノイズ除去済音響信号データSG8として出力する。従って、図3に示した音響処理装置10Bにおいても、一次ノイズ成分及び二次ノイズ成分を除去することができる。
【0073】
図1に示した音響処理装置10及び図3に示した音響処理装置10Bにおいては、音響信号を再生して出力するまでに、音響信号に含まれている一次ノイズ成分及び二次ノイズ成分を除去して、ノイズ成分を含まない音響信号を再生する。この場合、ノイズを除去するタイミングは、録音時、後述する編集時、再生時のいずれであってもよい。
【0074】
例えば音を録音する際にノイズを除去する場合には、予め定めた条件でノイズを除去することになるので、検出された全てのノイズ成分が除去の対象になり、除去(ノイズ低減)の程度も固定される。しかし、一部のノイズ成分については、例えば音を再生する際の視聴者の臨場感を高めるためにノイズを含む方がかえって効果的である場合もあるので、それぞれの位置のノイズ成分について、除去あるいは低減するか否かや、低減する程度をユーザの入力操作により決定できる機能があると便利である。そこで、録音時にはノイズ成分を除去する前の音響信号をそのまま記録し、録音後にユーザの指示に従ってデータを編集し、必要に応じてノイズ成分を除去するようにしてもよい。
【0075】
このような編集機能を図1に示した音響処理装置10に搭載する場合に、音響処理装置10が実施する制御の内容が図4に示されている。図4は図1に示した音響処理装置を用いて録音、編集及び再生を行う場合の制御例を示すフローチャートである。図4に示す制御の内容について以下に説明する。
【0076】
ステップS30では、音響処理装置10を制御する制御部(図示せず)が、所定の操作部(複数のボタンや表示器を備える)の状態を監視してユーザからの入力操作の有無及び入力操作の内容を識別し、録音開始指示があるか否かを識別する。録音開始指示ありならステップS31に進み、そうでなければステップS36に進む。
【0077】
ステップS31では、制御部が、録音処理を実施する。この録音処理においては、図1に示す音合成部17で音響信号データSG13、一次ノイズ除去用データSG4、二次ノイズ除去用データSG6の合成を行わずに、音出力制御部18が、音響信号データSG13、一次ノイズ除去用データSG4、二次ノイズ除去用データSG6をそのまま録音データ記憶部20に記録する。つまり、ノイズを除去する前の音響データ並びにそれに含まれるノイズに関するデータ(特性情報)を録音データ記憶部20に保存する。
【0078】
なお、この例では、一次ノイズ除去用データSG4及び二次ノイズ除去用データSG6を録音データ記憶部20に記録する場合を想定しているが、これらの代わりに抽出された一次ノイズデータSG3や抽出された二次ノイズデータSG5を録音データ記憶部20に記録するようにしても良い。
【0079】
ステップS32では、制御部が、操作部の状態を監視して、ユーザからの入力操作の有無及び入力操作の内容を識別し、録音終了指示があるか否かを識別する。録音終了指示ありなら、あるいは所定の終了条件を満たした場合はステップS33に進み、そうでなければステップS31に戻る。
【0080】
ステップS33では、制御部が、操作部の状態を監視して、ユーザからの入力操作の有無及び入力操作の内容を識別し、編集開始指示があるか否かを識別する。編集開始指示ありならステップS34に進み、そうでなければステップS36に進む。
【0081】
ステップS34では、制御部が、編集処理を実施する。この編集処理においては、録音データ記憶部20に保存されているノイズを除去する前の音響データについて、入力操作によって指定されたノイズ削除対象領域の範囲(ノイズ削除対象の時間的な開始位置及び終了位置を含む)と、ノイズ低減レベル(例えば50%低減)に従って、該当する範囲の一次ノイズ成分及び二次ノイズ成分を指定されたレベルで低減する。すなわち、録音データ記憶部20に記録されている一次ノイズ除去用データSG4、二次ノイズ除去用データSG6を、記憶部20に記録されている音響信号データSG13の内容に合成する(つまり、音合成部17の動作と同様に加算する)ことにより、ノイズ成分を低減もしくは除去する。また、編集処理の際には、ユーザが編集対象のデータの範囲を選択できるように、録音データ記憶部20に記録されている音響信号データSG13を音響として再生しながら、ユーザの入力操作(開始位置、終了位置の指定、低減レベルの指定)を検出してもよい。
【0082】
ステップS35では、制御部が、操作部の状態を監視して、ユーザからの入力操作の有無及び入力操作の内容を識別し、編集終了指示があるか否かを識別する。編集終了指示ありならステップS37に進み、そうでなければステップS34に戻る。
【0083】
ステップS37では、制御部が、ステップS34の編集処理によってノイズ成分が編集された後に得られた音響信号データを編集済みのデータ(ノイズ除去済音響信号データSG8に相当)として録音データ記憶部20に保存する。
【0084】
ステップS36では、制御部が、操作部の状態を監視して、ユーザからの入力操作の有無及び入力操作の内容を識別し、再生指示があるか否かを識別する。再生指示ありならステップS38に進み、そうでなければステップS30に戻る。
【0085】
ステップS38では、制御部が、音響再生処理を実施する。この音響再生処理においては、音出力制御部18が、録音データ記憶部20に保存されている音響信号データSG13又は編集済みのデータを録音データ記憶部20から取り出して、順次、音響信号のアナログ波形に変換して出力し、スピーカなどから音として出力する。
【0086】
ステップS39では、制御部が、操作部の状態を監視して、ユーザからの入力操作の有無及び入力操作の内容を識別し、再生終了指示があるか否かを識別する。再生終了指示ありの場合、もしくは再生対象のデータの最後尾に到達した場合にはこの処理を終了し、そうでなければステップS38に戻る。
【0087】
このように、録音時にはノイズ除去もしくは低減せずに、編集時もしくは再生時にノイズ除去等を行うことで、過剰にノイズ除去を行うことなく、所望の音響信号を再生することが可能となる。
【0088】
ところで、音響処理装置10を、ユーザに対して着信などを通知するために筐体を振動させるバイブレータ機能を有する携帯電話端末等の機器に搭載する場合、録音時に筐体が振動していると、この振動によって筐体とその下にある机などの物体とが衝突を繰り返し、この衝突によって発生する比較的レベルの大きい音響ノイズが録音されてしまう。このような場合には、バイブレータの駆動レベルを抑制することにより、録音される音響ノイズを更に効果的に低減可能である。ここで、図示はしないが、音響処理装置10もしくは携帯電話端末は、筐体を振動させる振動部を備えている。
【0089】
音響処理装置10を搭載した携帯電話端末がバイブレータ機能による振動の制御を行う際の処理内容が図5に示されている。図5に示す処理の内容について以下に説明する。
【0090】
ステップS51では、音響処理装置10もしくは携帯電話端末を制御する制御部(図示せず)が、端末の状態を検出し、録音(録画の場合も含む)状態か否かを識別する。録音中であればステップS52に進み録音中でなければこの処理を終了する。また、録音状態か否かの識別に代わり、マナーモードのように周囲に音を出力しない設定であるか否かを識別するようにしてもよい。
【0091】
ステップS52では、制御部が、バイブレータ機能による振動制御を現在実行中か否かを識別する。振動制御実行中であればステップS53に進み、実行中でなければこの処理を終了する。
【0092】
ステップS53では、制御部が、音響処理装置10に含まれている一次ノイズ検出部13によって一次ノイズ成分を検出したか否かを識別する。一次ノイズ成分を検出した場合はステップS54に進み、検出してなければこの処理を終了する。
【0093】
ステップS54では、制御部が、音響処理装置10に含まれている一次ノイズ検出部13によって検出した一次ノイズ成分の振動周期と、二次ノイズ検出部15によって検出した二次ノイズ成分の振動周期と、前記バイブレータ機能による振動周期とが、同期しているか有無を識別する。同期している場合はステップS55に進み、同期していなければこの処理を終了する。
【0094】
バイブレータ機能による振動によって、筐体と机等の物体とが衝突を繰り返すことによって生じる一次ノイズ成分及び二次ノイズ成分のタイミングについては、バイブレータ機能による振動周期と同期することになる。つまり、一定の周期Tでバイブレータ機能による振動を繰り返すときには、例えば図7に示す時刻t1で振動が開始された1組の一次ノイズ成分(W1b)及び二次ノイズ成分(W1c)の振動周期が、周期Tと同等になるので、検出された一次ノイズ成分及び二次ノイズ成分の振動周期とバイブレータ機能による振動周期(T)とがほぼ一致するか否かを識別することにより、これらの同期の有無を検出できる。
【0095】
ステップS55では、制御部が、バイブレータ機能による振動レベルを現在よりも下げて、筐体の振動強度(振幅)を抑制する。これにより、衝突の強度が緩和され、録音中に発生する騒音が低減される。この場合、当該衝突を検出するために特別なセンサを設ける必要はない。
【0096】
以上説明したように、図1に示した音響処理装置10や図3に示した音響処理装置10Bを用いることにより、録音時に筐体と他の物体との衝突によって生じる騒音について、波形をあらかじめサンプルとして保持することで既知信号として扱うことのできる筐体側の一次ノイズ成分だけでなく、周波数や波形が未知の物体側の二次ノイズ成分についても除去あるいは低減することができる。
【0097】
なお、図1に示した音響処理装置10の一次ノイズ除去用データ生成部14、二次ノイズ除去用データ生成部16、音合成部17等の機能についてはデジタル信号を処理する場合を想定しているが、同等の機能をアナログ信号処理によって実現することも可能である。また、例えば入力される音響信号データSG11に二次ノイズ成分として互いに周波数が異なる複数のノイズ成分あるいはその高調波が含まれている場合には、複数の二次ノイズ除去用データ生成部16を設け、それぞれの周波数の二次ノイズ成分を二次ノイズ検出部15で検出し、二次ノイズ成分の周波数毎に独立した二次ノイズ除去用データ生成部16で該当する二次ノイズ除去用データをそれぞれ生成すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0098】
以上のように、筐体等と衝突する任意の物体から発生する音響ノイズを含む音響信号から、この音響ノイズを除去することが可能な音響処理装置および携帯電話端末等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の実施形態における音響処理装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態における音響処理装置に関するノイズ除去のための基本的な制御の内容を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施形態における音響処理装置の変形例の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施形態における音響処理装置を用いて、録音、編集、及び再生を行う場合の制御例を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施形態におけるバイブレータ機能を有する機器に音響処理装置を搭載した場合の制御例を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態における音響処理装置が搭載される端末の外観の具体例を示す正面図である。
【図7】本発明の実施形態における音響信号データSG11の波形W1の具体例を示す波形図である。
【図8】本発明の実施形態における音響信号データSG11に含まれる一次ノイズ波形W1bの具体例を示す波形図である。
【図9】本発明の実施形態における音響信号データSG11に含まれる二次ノイズ波形W1cの具体例を示す波形図である。
【図10】本発明の実施形態における音響信号データSG11に含まれる対象波形W1aの具体例を示す波形図である。
【図11】本発明の実施形態におけるノイズサンプルデータSG2の波形W2の具体例を示す波形図である。
【図12】本発明の実施形態における一次ノイズ除去用データSG4の波形W4の具体例を示す波形図である。
【図13】本発明の実施形態における二次ノイズ除去用データSG6の波形W6の具体例を示す波形図である。
【図14】本発明の実施形態における二次ノイズ除去後データSG14の波形W7の具体例を示す波形図である。
【符号の説明】
【0100】
10,10B 音響処理装置
11 音入力制御部
12 ノイズサンプルデータ保持部
13 一次ノイズ検出部
14 一次ノイズ除去用データ生成部
15 二次ノイズ検出部
16 二次ノイズ除去用データ生成部
17 音合成部
18 音出力制御部
19 二次ノイズ帯域フィルタリング除去部
20 録音データ記憶部
SG11,SG12,SG13 音響信号データ
SG2 ノイズサンプルデータ
SG3 抽出された一次ノイズデータ
SG4 一次ノイズ除去用データ
SG5 抽出された二次ノイズデータ
SG6 二次ノイズ除去用データ
SG8 ノイズ除去済音響信号データ
W1〜W8 波形
60 携帯電話端末
61 撮影対象の被写体
62 ストラップ
63 物体
64 マイク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の筐体に所定の物体が衝突した際に前記筐体から発生する音響信号の特性をノイズサンプルとして保持するノイズサンプル保持部と、
周囲音を入力音響信号として入力する音響信号入力部と、
前記入力音響信号に含まれる信号成分のうち、前記ノイズサンプルと略同一の特性を有する第1の音響信号の信号成分を検出する第1音響信号検出部と、
前記入力音響信号に含まれる信号成分のうち、前記第1の音響信号の特性と近似する特性を有する第2の音響信号の信号成分を検出する第2音響信号検出部と、
前記第1の音響信号の信号成分および前記第2の音響信号の信号成分を減衰させる音響信号減衰部と、
を備える音響処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の音響処理装置であって、
前記第2音響信号検出部は、入力音響信号に含まれる信号成分のうち、前記第1の音響信号の信号成分以外で、前記第1の音響信号の振動開始時刻と略同時に振動を開始し、かつ、時間経過に伴って振幅が減衰する信号成分を、前記第2の音響信号の信号成分として検出する
音響処理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の音響処理装置であって、
前記第2音響信号検出部は、前記第2の音響信号の信号成分の周波数情報を前記音響信号減衰部に通知し、
前記音響信号減衰部は、前記第2音響信号検出部からの前記周波数情報に基づいて、前記第2の音響信号の信号成分が含まれる周波数帯の信号成分を減衰させるフィルタ部を備える
音響処理装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の音響処理装置であって、
前記音響信号減衰部は、前記第2音響信号検出部が検出した前記第2の音響信号の信号成分と周波数および振幅が略同一であり、かつ、逆位相の特性を有する減衰用信号を生成する減衰用信号生成部を備える
音響処理装置。
【請求項5】
請求項1に記載の音響処理装置であって、更に、
前記入力音響信号を録音する音響信号録音部と、
前記第1音響信号検出部が検出した前記第1の音響信号の信号成分の特性情報と、前記第2音響信号検出部が検出した前記第2の音響信号の信号成分の特性情報と、を保持する信号特性情報保持部と、
を備え、
前記音響信号減衰部は、前記音響信号記録部に録音された入力音響信号を読み出し、前記信号特性情報保持部に保持された特性情報に基づいて、前記第1の音響信号の信号成分および前記第2の音響信号の信号成分を減衰させる
音響処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の音響処理装置であって、更に、
入力操作を受け付ける操作部を備え、
前記操作部は、前記音響信号録音部に録音された入力音響信号において、前記第1の音響信号の信号成分および前記第2の音響信号の信号成分を減衰させる時間範囲および減衰度合いの情報を前記入力操作として受け付け、
前記音響信号減衰部は、前記入力操作に基づいて、前記第1の音響信号の信号成分および前記第2の音響信号の信号成分を低減させる
音響処理装置。
【請求項7】
請求項1に記載の音響処理装置であって、更に、
前記筐体を振動させる振動部と、
前記第1音響信号検出部が検出した第1の音響信号の信号成分および前記第2音響信号検出部が検出した第2の音響信号の信号成分が、前記振動部の振動周期と同期しているか否かを判定する同期判定部と、
前記同期判定部によって同期していると判定された場合、前記振動部の振動レベルを制限する振動制御部と
を備える音響処理装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の音響処理装置であって。
前記所定の筐体は、当該音響処理装置の筐体であり、
前記音響信号入力部は、前記筐体上に配置された
音響処理装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか1項に記載の音響処理装置を搭載した携帯電話端末。
【請求項10】
周囲音を入力音響信号として入力するステップと、
前記入力音響信号に含まれる信号成分のうち、所定の筐体に所定の物体が衝突した際に前記筐体から発生する音響信号の特性をノイズサンプルとして保持するノイズサンプル保持部に保持されたノイズサンプルと略同一の特性を有する第1の音響信号の信号成分を検出するステップと、
前記入力音響信号に含まれる信号成分のうち、前記第1の音響信号の特性と近似する特性を有する第2の音響信号の信号成分を検出するステップと、
前記第1の音響信号の信号成分および前記第2の音響信号の信号成分を減衰させるステップと、
を備える音響処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−81363(P2010−81363A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−248352(P2008−248352)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】