説明

音響改善装置及び塗料並びに音響改善部品

【課題】従来非常に手間も時間もコストも掛かっていた楽器音響板自体の振動特性の向上を、マイナスイオン効果を持たせたテープ、焼成物、塗装、樹脂により改善させることを目的としたものである。
【解決手段】音響改善装置は鉱物系原料、窯業系原料、甲殻類や貝類の殻を1種類以上、又は上記の異なる原料を複数使用し、生成されるマイナスイオンを発生させる粉体と発生量を励起する粉体とを混合した粉体を樹脂状、繊維状、フィルム状、プレート状、シート状のものに包含させるか、又は粘着材に包含させた物を共鳴板を有する楽器へ貼り付けることで、マイナスイオンにより楽器の音量の増大や音響効果を改善することができるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、楽器の音響を改善する音響改善装置や部品並びに楽器本体、塗料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、楽器の音質改善方法には種々の技術が提案されている。
【0003】
レゾルシンやホルムアルデヒド等の化学薬品を用いた化学処理による材質の改善方法が存在するが、それらは楽器の製造段階で施されるものであって、既に製造された楽器に施すことは、一般的に好ましい方法ではない。
【0004】
他に木製楽器の木材自体の細胞が経年変化により非常に硬く響きやすい状態になることが分かっているが、良好な状態に変化するまでには20〜30年という時間がかかってしまう。
【0005】
さらに、ギターのブレーシング材等に見られる楽器の強度を持たせた構造があるが、音響特性を向上させようとした場合には薄く作るか削る等をすることで、強度を犠牲にしなければならなかった。
【0006】
楽器の保護材やケース等にマイナスイオンを発生させる材質を使用した音響改善器具が存在するが、保管した状態でしかイオンを与える事ができないことから、その効果は微小なもので、ケース等から楽器を出していた場合はイオン交換により元の状態に戻ってしまうことからあまり効果的な方法ではなかった。(特許文献1参照)
【特許文献1】特開2004−245974号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はマイナスイオン効果を持たせたテープ、焼成物、塗装、樹脂により従来非常に手間も時間もコストも掛かっていた楽器の音響板自体の振動特性を改善させることを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1に記載の音響改善装置は鉱物系原料、窯業系原料、甲殻類や貝類の殻を1種類以上、又は上記の異なる原料を複数使用し、生成されるマイナスイオンを発生させる粉体と発生量を励起する粉体とを混合した粉体を樹脂状、繊維状、フィルム状、プレート状、シート状のものに包含させるか、又は粘着材に包含させた物を共鳴板を有する楽器へ貼り付けることで、マイナスイオンにより楽器の音量の増大や音響効果を改善することができるものである。
【0009】
本発明の請求項2に記載の音響改善装置は、上記原料の混合粉体を樹脂状、繊維状、フィルム状、プレート状、シート状のものに散布することで粉体の層を持たせ、その粉体の層を維持するためにその上から塗装やシート状の物の貼り付け、又は樹脂を塗ることで粉体を保持し粘着材を備えた物を共鳴板を有する楽器へ貼り付けることで、マイナスイオンにより楽器の音量の増大や音響効果を改善することができるものである。
【0010】
本発明の請求項3に記載の音響改善装置は、上記原料の混合粉体を焼成させ粘着材を持たせた物を共鳴板を有する楽器へ貼り付けることで、楽器の音量の増大や音響効果を改善することができる。
【0011】
本発明の請求項4は、上記原料を微細な粉末になるまで粉砕し、楽器用塗料に混合し攪拌したものである。
【0012】
本発明の請求項5は、請求項4に記載の音響改善楽器用塗料を楽器本体や楽器部品へ吹き付けたことによって、常時マイナスイオンによる音響改善効果を図ったものである。
【0013】
また、上記混合粉体を楽器用樹脂部品に練りこむことで音響効果を改善する樹脂部品を製造することもできる。
【0014】
請求項4はマイナスイオンを発生させる粉体と、発生量を励起する粉体と塗料の混合比を容易に変化させることができる為、使用用途に合わせて粉体を調整できるものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明におけるイオン発生体が楽器に作用して楽器の音量、音質を大幅に改善することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明のマイナスイオンを発生させる物質には実に様々なものがあるが、代表的なものとして自発分極の大きいトルマリンという鉱石がある。その構造は実に複雑な組成をもったアルミニウムとホウ素のケイ酸塩であるが同型置換のため、非常に広範な化学組成変化を示す。鉄、マグネシウム、リチウムなどがアルミニウムおよびホウ素と組み合わさって含まれている。一般化学式は(Na,ca)(Mg,Fe2+,Fe3+,Al,Li)3Al6(BO3)3(Si6O18)(OH,F)4と表される。電気石は六方晶系に結晶し、長細くなる傾向をもった柱状結晶でありその特徴として摩擦電気を生じ、焦電効果や圧電効果を見せる鉱石であり様々な外的エネルギーによりマイナスイオンを発生させるものである。
【0017】
そして、遠赤外線と呼ばれる電磁波を放射しマイナスイオンを発生させるセラミックス粉体を焼成し、粉砕することで直径1/1000mm以下の気孔部分にイオンを発生させる粉体を付着させることでマイナスイオンの発生量を大幅に引き出すことができる。
【0018】
図1は上記自発分極や放射線を発生する粉体とマイナスイオンを発生するように励起する励起剤の粉体とを混合して含有させ、柔軟性を持たせた繊維1の底面に粘着材2を設けたテープで、使用者が楽器の任意の場所に貼り付けることが出来る音響改善装置である。
【0019】
また上記混合粉体を粘着材に練りこむことも可能であることから、片面のテープだけでなく両面テープも作成可能である。
【0020】
図2は上記自発分極を有する粉体とマイナスイオンを発生するように励起する例機材の粉体に、遠赤外線と呼ばれる電磁波を放射しマイナスイオンを発生させるセラミックス粉体を混合し焼成したもの3で、底面に粘着性を持たせ使用者が楽器の任意の場所に貼り付けることが出来る音響改善装置である。
【0021】
そして上記の混合粉体を焼成することで、使用用途に応じた多種多様な形状を製造することが可能である。
【0022】
図3は本発明である音響改善装置1を共鳴板を有する楽器としてアコースティックギターの表板に装着したもので、楽器の音量を増大させ音響を改善させるものである。また、演奏時において発音時の音の立ち上がり速度が速くなり、音の余音は長くなる傾向にある。
【0023】
図4は、上記混合粉体を1%〜30%の割合で楽器用塗料に混ぜ音響改善塗料としたものを楽器外部、もしくは内部へ任意の濃度で吹き付けたものである。木材4の上に均等に下地として音響改善塗料5を吹き付ける必要が生じるため製造段階もしくは修理の段階にて行うのが望ましい。また、楽器に使用される駒等の樹脂部品への塗装なども効果的である。
【0024】
上記混合粉体は塗料に混合することに限らず、楽器に使用される駒等の樹脂部品の製造時に樹脂と混合させ成形することで、音響改善装置としての機能を持たせた樹脂部品を製造することができる。
【0025】
また、上記粉体は塗装の際の下処理として使用する目止め材としても使用可能である。
【0026】
また上記粉体は振動という外的要因によりイオン放射率が大幅に跳ね上がることが分かっていることから、振動エネルギーを空気中に放射する構造を持つ楽器自体に接触使用することにより、理想的かつ効率良くマイナスイオンを発生させる使用方法であり、自発分極自体は外的要因をエネルギー源としてマイナスイオンを永久に発生させることから、事実上テープ、塗装、部品等が破損してしまわない限り使用可能である。
【0027】
上記共嗚板を有する楽器の共鳴板は、その大きさや形状により共鳴し振動する部分が高音と低音で異なるため、本発明である音響改善装置を共鳴板の振動させたい特定の部分へ貼り付けることで、自在に音質のバランスを変えることが出来、また貼る枚数を増減することで音量も音質も自在にコントロール出来る。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の繊維質体音響改善装置の(A)は斜視図であり、(B)はその断面図である。
【図2】本発明の焼成セラミック体音響改善装置の(A)上面図であり、(B)はその断面図である。
【図3】本発明の繊維質体音響改善装置をアコースティックギターの表板裏に貼り付けた図である。
【図4】本発明の音響改善塗料をギター表面に散布した図である。
【符号の説明】
【0029】
1 音響改善テープ 2 粘着材
3 音響改善セラミック 4 木材
5 音響改善塗料 6 楽器用塗料
7 音響改善装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉱物系原料、窯業系原料、甲殻類や貝類の殻を1種類以上、又はこれら異なる原料を複数使用し生成されるマイナスイオンを発生させる粉体と発生量を励起する粉体とを包含させた樹脂状、繊維状、フィルム状、プレート状、シート状のもの、又は上記粉体を包含させた粘着材を設けたものを共鳴板を有する楽器へ貼り付け、もしくは脱着可能であることを特徴とした音響改善装置。
【請求項2】
請求項1に記載の粉体を、樹脂状、繊維状、フィルム状、プレート状、シート状のものに散布し粉体の層を保持した物、又は上記混合粉体を包含した塗料、樹脂を散布したことを特徴とした請求項1に記載の音響改善装置。
【請求項3】
請求項1に記載の粉体を、焼成させ粘着材を持たせた物を共鳴板を有する楽器へ貼り付け、もしくは脱着可能であることを特徴とした音響改善装置。
【請求項4】
請求項1に記載の粉体を、楽器に使用することを目的とした楽器用塗料と混合させた音響改善塗料。
【請求項5】
請求項1に記載の粉体や請求項4に記載の音響改善塗料を、一部以上に使用したことを特徴とした楽器本体や楽器部品、又は上記混合粉体を包含した楽器に使用する部品。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2007−133341(P2007−133341A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−356912(P2005−356912)
【出願日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(505456713)
【Fターム(参考)】