音響空間制御装置
【課題】車両空間で音場制御する場合において、視聴者の嗜好を反映した音場制御が可能であるとともに操作性に優れたインターフェースを備える音場制御装置を提供することを課題とする
【解決手段】車両50に複数配置されたスピーカ10a〜10lより出力する音を制御することにより音響空間を形成する音響空間制御装置であって、音声再生装置1と、インターフェース部30と、制御部20とを備え、制御部20は音響空間の形状を算出し、算出した前記音響空間の形状に基づいて前記音声再生装置1より入力された音声信号について所定の処理し、所定の処理を実行した音声信号を前記複数のスピーカ10a〜10lから出力することとした。
【解決手段】車両50に複数配置されたスピーカ10a〜10lより出力する音を制御することにより音響空間を形成する音響空間制御装置であって、音声再生装置1と、インターフェース部30と、制御部20とを備え、制御部20は音響空間の形状を算出し、算出した前記音響空間の形状に基づいて前記音声再生装置1より入力された音声信号について所定の処理し、所定の処理を実行した音声信号を前記複数のスピーカ10a〜10lから出力することとした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作性に優れたインターフェースを備えるとともに空間内に複数配置されたスピーカより出力する音を制御する音響空間を形成する音響空間制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
室内において空間制御を行う技術として、FIRフィルタを利用して残響音を付与する技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。この技術によれば、FIRフィルタを利用することで初期反射音や残響音を形成することが可能である。また、車両空間において定位制御と空間制御を行い、車両空間内の広さやスピーカの配置、聴取位置に応じて、音場をより好適なものとする技術が知られている(例えば、特許文献2を参照)。この技術によれば、定位制御によって求められた車両空間内の各スピーカから出力される各音響信号の遅延時間および減衰量と、対象車両空間内の対応する各スピーカから出力される各音響信号の遅延時間および減衰量とを同等にすることで対象車両空間内の定位制御を行うことができる。
【特許文献1】実開平6−26399号公報
【特許文献2】特開2003−274495号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
空間内において音場を制御する際には、視聴者の嗜好をより反映した音場制御が可能であるとともに操作性に優れたインターフェースを備えていることが要求される。特に車両空間では、車両空間における視聴者には、車両の運転者も含まれることから安全性を確保する上でも重要である。
【0004】
本発明では、上記した問題に鑑み、空間内で音場制御する場合において、視聴者の嗜好を反映した音場制御が可能であるとともに視聴者が直感的に音響空間をイメージしながら音場を操作できる優れたインターフェースを備える音場制御装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明では、上記した課題を解決するため、以下の手段を採用した。すなわち、空間内に複数配置されたスピーカより出力する音を制御部が制御することにより音響空間を形成する音響空間制御装置であって、視聴者の嗜好に合わせた前記音響空間を形成するための指示を受け付ける操作受付手段と、前記音響空間に対応するイメージ画像であって、前記操作受付手段で受け付けた視聴者の指示に合わせて変化する該イメージ画像を表示する表示手段と、前記視聴者の指示に基づいて形成された前記音響空間のイメージ画像に対応するように音声信号について所定の処理を実行する音声信号処理手段と、を備えることを特徴とする。
【0006】
このような構成とすることで、本発明に係る音響空間制御装置は、操作性に優れているとともに視聴者の嗜好を反映した音場制御が可能となる。すなわち、イメージ画像を見ながら簡単な操作によりイメージ画像を変化させることができ、音響空間は該イメージ画像に基づいて形成されるため、例えば前方向のみ開放感(音響空間の拡がり)を持たせるなど、きめ細かな制御が可能となる。なお、本発明に係る空間とは、閉ざされた空間であれば特に限定されるものではないが、車両空間が適していると言える。
【0007】
空間内には、スピーカが複数配置される。スピーカの配置箇所は特に限定されるもので
はない。例えば、空間として車両空間に適用する場合を考えると車両の運転席からみて、前方左側、前方右側、後方左側、後方右側、および天井の5つのスピーカを配置することができる。このような複数配置されたスピーカより出力される音を構成する各音声信号を制御部が制御することで視聴者の嗜好を反映した音響空間を形成することができる。なお、音響空間とは、前記スピーカから出力される音を構成する音声信号を制御することにより得られる音の拡がりにより形成される空間である。したがって車両空間には依存せずに形成される。また、車両空間は、閉ざされた空間であるとともにその大きさも一義的であるのに対して、音響空間は、音の拡がりで表される空間であってその大きさも一義的ではない。
【0008】
また、本発明に係る音響空間制御装置は、音声信号を入力する音声信号入力手段を備える構成としてもよい。この場合、音声信号入力手段は、前記複数のスピーカに出力する音を構成する音声信号の発信源となるものである。すなわち、音を再生できるものであればよく、例えばCD・MD等を備えるヘッドユニット等が例示できる。
【0009】
表示手段は、音響空間に対応するイメージ画像を表示するものである。イメージ画像は、例えば車両と音響空間を表す仮想線とで構成され、実際に形成される音響空間を所定の倍率で縮小された画像である。そして、さらに前記イメージ画像は、車両上方からみた上面画像や、車両側方からみた側面画像により構成することができる。上面画像からは、車両の前方向、後方向、左方向、右方向についての音響空間(音の拡がり)を認識することができる。また、側面画像からは、車両の前方向、後方向、上方向についての音響空間を認識することができる。なお、これらの画像は並記して表示するものとしてもよいし、画像切替手段を更に備えさせることで、画像を切り替えて表示できるようにしてもよい。また、イメージ画像は上記に限らず、例えば車両後方から見た背面画像を備えることとしてもよい。背面画像からは、車両の左方向、右方向、上方向の音響空間を認識することができる。
【0010】
上記のような表示手段を備えることで、視聴者は目で見て音響空間の形状を確認することができる。すなわち、音響空間は音で形成されるものであるが、視聴者は耳から入る音の感覚のみならず視覚により音響空間を認識可能であり、直感的に音響空間の形状を確認することができる。また、前記イメージ画像は、前記操作受付手段で受け付けた視聴者の指示に合わせて変化するものであることから、視聴者は常に音響空間を視覚により確認することができる。なお、表示手段には上述したイメージ画像の他、実際に所定の処理を実行した後に形成された音響空間、すなわち視聴者の嗜好が反映された現在形成されている音響空間を表示することとしてもよい。これにより、視聴者は現在形成されている音響空間を視覚によっても認識することができる。すなわち、操作時においてイメージした音響空間と実際に形成された音響空間とを比較することができる。これにより、次回の操作時において、自らの嗜好をより反映した音響空間を形成するための指示をすることが可能となり、結果としてより視聴者の嗜好が反映された音響空間が形成されることになる。
【0011】
操作受付手段は、前記イメージ画像に基づいて視聴者の嗜好に合わせた音響空間を形成するための指示を受け付けるものである。換言すると、上述のように表示手段にはイメージ画像として車両と音響空間を表す仮想線が表示することができるが、操作受付手段はこのイメージ画像を操作する手段である。これにより、イメージ画像を容易に操作することができる。なお、操作受付手段としては、ボタン操作によりイメージ画像に表示される車両位置や仮想線を操作するものや表示手段をタッチパネルとして直接イメージ画像を操作できるものが例示できる。
【0012】
上述した表示手段および操作受付手段は、本発明に係る音響空間制御装置のインターフェースとしての機能を発揮する。前記インターフェースは、操作性にも優れており、また
、視聴者の直感的な指示を受け付けること、すなわち視聴者の嗜好をきめ細かに受け付けることが可能となる。その結果、本発明に係る音響空間制御装置は、視聴者の嗜好をきめ細かに反映した音場制御をすることができる。
【0013】
音声信号処理手段は、音響空間の形状に基づいて所定の処理を実行するものである。すなわち、表示手段に表示されるイメージ画像に対応する音響空間を形成するために、音声信号に残響音を付加する等の所定の処理を実行する。
【0014】
また、本発明において、前記音響空間の形状は、基準点からの方向および距離で表されるものであり、前記音声信号処理手段は、前記基準点からの方向に対応するスピーカに出力する音声信号を選択し、選択した音声信号について所定の処理を実行するものとしてもよい。
【0015】
このように音響空間の形状を基準点からの方向および距離で表すことで、前記方向に対応するスピーカから出力される音を構成する音声信号を選択し、選択した音声信号について前記算出した距離に基づいて所定の処理を実行することが可能となる。なお、基準点には例えば視聴者の位置が例示される。
【0016】
また、本発明は、前記音声信号処理手段により所定の処理を実行した音声信号を前記複数のスピーカに出力する再生音出力手段を備える構成としてもよい。再生音出力手段は、前記音声信号処理手段により所定の処理を実行した音声信号を前記複数のスピーカに出力するものである。前記複数のスピーカは、前述したように例えば車両空間であれば、車両の運転席からみて、前方左側、前方右側、後方左側、後方右側、および天井の5つを配置することができる。このような複数のスピーカ、所定の処理が実行された音声信号を出力することで視聴者の嗜好を反映した音響空間を形成することができる。
【0017】
また、本発明において、前記音声信号処理手段における所定の処理は、前記音声信号入力手段により入力された音声信号を畳み込み演算するフィルタ手段と、前記音声信号入力手段により入力された音声信号をイコライジングするイコライジング手段と、前記音声信号入力手段により入力された音声信号を遅延させる遅延手段と、前記音声信号入力手段により入力された音声信号に残響音を付与する残響音付与手段と、のうち少なくともいずれか一つを備えることとすることができる。フィルタ手段は、FIRフィルタに所定のフィルタ係数を設定して畳み込み演算するものが例示できる。前記フィルタ係数を変化させることで初期反射音や残響音を形成することもできる。イコライジング手段には、イコライザが例示でき、音声信号の周波特性を調整することができる。遅延手段には、遅延器が例示でき、音声信号の出力を遅らせることができる。これらの処理を適宜行うことで、視聴者の嗜好を反映した音響空間を形成することが可能となる。
【0018】
また、本発明は、前記基準点からの方向および距離に対応するパラメータを有する記憶手段を更に備え、前記音声信号処理手段は、前記基準点からの方向および距離に対応する前記記憶手段に格納されたパラメータを抽出して前記所定の処理を実行するものとしてもよい。これにより、音響空間を制御する処理をより容易に行うことができる。
【0019】
また、本発明は、前記イメージ画像を分析して前記音響空間の形状を算出するイメージ画像分析手段を更に備え、前記音声信号処理手段は、前記イメージ画像分析手段により算出した前記音響空間の形状に基づいて前記音声信号入力手段により入力された音声信号について所定の処理を実行するものとすることができる。
【0020】
イメージ画像分析手段は、前記表示手段に表示される視聴者の嗜好が反映された音響空間に対応するイメージ画像を分析し、音響空間の形状を算出するものである。音響空間の
形状を算出するとは、前記イメージ画像を分析して、例えば視聴者からの方向を特定し、その方向における音響空間を示す仮想線までの距離を算出することを意味する。このように実際に表示されるイメージ画像を基準として音響空間の形状を算出することで、より視聴者の嗜好を反映した音響空間を形成することができる。具体的には、例えば、前記イメージ画像分析手段で視聴者からの方向を特定し、その方向における音響空間を示す仮想線までの距離を算出した場合には、方向により音の出力先のスピーカを特定し、出力先のスピーカが特定されることにより音声信号を特定できることから、係る音声信号に残響音付加やフィルタ処理を実行することができる。
【0021】
また、本発明において、前記記憶手段に格納されたパラメータは、前記複数のスピーカにそれぞれ対応するとともに前記基準点からの距離に応じて段階的に設定され、前記イメージ画像は、前記音響空間を示す仮想線および視聴者の位置を示す基準点により構成され、前記音声信号処理手段は、前記基準点を基準として前記仮想線上の所定の点の方向および距離を算出し、算出した方向及び距離に基づいてパラメータを抽出して前記所定の処理を実行するものとすることができる。これにより、音響空間を制御する処理をより容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、空間内で音場制御する場合において、視聴者が直感的に音響空間をイメージしながら音場を操作できるとともに視聴者の嗜好を反映した音場制御が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
次に、本発明に係る音響空間制御装置の実施形態について図面に基づいて説明する。なお、同一の構成要素については同一の参照番号を付すことでその詳細な説明を省略する。
【0024】
図1は、本発明に係る音響空間制御装置を含む音響システム60が搭載される車両50の概略図である。車両50には閉ざされた空間である車両空間51が設けられ、車両50には本発明に係る視聴者に相当する運転者を含む搭乗者52が滞在可能である。車両50の前方左側にはFLスピーカ10a、前方右側にはFRスピーカ10b、後方左側にはRLスピーカ10c、後方右側にはRRスピーカ10dが設けられている。更に、前方中央にはFCスピーカ10f、天井にはSPスピーカ10e、後方中央にはSWスピーカ10g、運転席にはシートSLスピーカ10hおよびシートSRスピーカ10i、助手席にはシートSLスピーカ10jおよびシートSRスピーカ10k、後部座席にはそれぞれシートスピーカ10lが設けられている。
【0025】
図2は、本発明に係る音響空間制御装置の概略構成を示す図である。図2に示すように、車両50に音響システム60が搭載され、音響システム60は、CD、DVD、MD、チューナ、テープ、TVなどからなる音声再生装置1、前記音声再生装置1の中から使用する再生装置を選択するセレクタ2、A/Dコンバータ3、DSP4(Digital Signal Processor)、D/Aコンバータ5、表示部7および操作部8からなるインターフェース部30、HDD9、ナビ部12、エンコーダ・デコーダ13、制御部20からなる音響装置70と、メインアンプ6、スピーカ10a〜10lからなるスピーカ10、により構成される。なお、制御部20は、マイクロコンピュータ(以下「マイコン」という)21、メモリ22を備える。
【0026】
上記音響システム60の動作は以下のようになる。すなわち、音声再生装置1から出力された音声信号は、A/Dコンバータ3によりデジタル信号に変換される。デジタル信号に変換された音声信号は、DSP4にて所定の処理が実施され、D/Aコンバータ5にてアナログ信号に変換され、メインアンプ6で音声信号が増幅され、スピーカ10より出力
される。ここで、DSP4にて実施される所定の処理は、インターフェース部30から受け付けた視聴者の指示を反映すべく、制御部20が行う。なお、インターフェース部30を構成する表示部7および操作部8、DSP4の構成の詳細については後述する。
【0027】
なお、上記構成においてはメインアンプ6およびスピーカ10a〜10l以外を一つのユニット30としているがこれに限定されるわけではなく、例えばメインアンプ6をユニット30に含ませる構成としてもよい。また、音声再生装置1としてCD、MD、DVD等を選択した場合には、これらの媒体には予め音声信号がデジタル信号として記録されているため、A/Dコンバータ3を介さず、直接DSP4に直接入力する構成とすることもできる。なお、このように直接DSP4に入力する構成は、上記に限らずTV等の信号についても、デコードされたデジタル信号を直接DSP4に入力する構成とすることができる。
【0028】
また、HDD9にMPEG方式などで圧縮した音楽データを記録しておきこれを再生することも可能であるが、この場合はHDD9から圧縮データを読み出してバス11経由でデコーダ13に入力し、デコードされたデジタル音声信号をDSP4に直接入力する構成としてもよい。
【0029】
次に、DSP4の詳細について説明する。図3は、DSP4の構成の一例を示す図である。同図に示すように、DSP4は可変器4a、遅延器4b、イコライザ4c、FIRフィルタ4d、加算器4e等を備える。また、これらの可変器4a、遅延器4b、イコライザ4c、FIRフィルタ4d、加算器4eは、電気的に制御部20と接続されている。音声信号X1〜X6は、スピーカ10a〜10lのそれぞれから出力される音を構成するものである。なお、可変器4a等の配置する順序は、これに限定されるわけではない。
【0030】
DSP4の動作は以下のようになる。すなわち、例えば音声信号X1についてみると、A/Dコンバータ3によりデジタル信号化された音声信号X1は可変器4aでゲイン調整後、音声信号X1a〜X1eに分割される。分割された音声信号X1a〜X1eのうち、例えばX1aについてみると、遅延器4bで所定の時間出力が遅延され、イコライザ4cでイコライジングされ、FIRフィルタ4dでフィルタ処理された後、可変器4aで再びゲイン調整される。その後、音声信号X1aは、音声信号X1aと同様所定の処理が実施された音声信号X1bと加算器4eにて加算されてメインアンプ6に出力され、最終的にスピーカ10より出力される。なお、例えば遅延器4bにおける所定の時間出力時間を遅らせる処理は、電気的に接続された制御部20に格納されたマイコン21がパラメータテーブル26よりパラメータを抽出し、操作部8で受け付けた指示に応じた所定の処理を実行することにより実現される。また、イコライザ4c、FIRフィルタ4c等における所定の処理も同様に制御部20が行うことになる。
【0031】
ここで、パラメータテーブル26の例を図4〜図6に示す。図4は、スピーカ10a〜10e(図1参照)を用いる場合のパラメータの設定例である。(a)は前方向の音響空間(音の拡がり)を形成するためのパラメータ、(b)は左方向の音響空間を形成するためのパラメータ、(c)は右方向の音響空間を設定するためのパラメータ、(d)は後方の音響空間を設定するためのパラメータ、(e)は上方向の音響空間を形成するためのパラメータを示す。例えば(a)に示すように、前方向の音響空間を制御するためのパラメータは、大別するとFLスピーカ10aから出力される音を構成する音声信号(FLチャンネル)とFRスピーカ10bから出力される音を構成する音声信号(FRチャンネル)から構成され、設定レベルはOFFから設定レベル5までの6段階により構成されている。そして、各スピーカは、更に初期遅延量、イコライザ(EQ)、付加音パターンにより構成されている。このように、前方向の音響空間は、FLスピーカ10aおよびFRスピーカ10bより出力される音を構成する音声信号により制御され、操作部8により受け付
けた指示に基づいて各信号毎に所定の処理が実行されることになる。なお、設定レベルは、例えばレベル1を基準点からの距離1m、レベル2を基準点からの距離2mのようにレベルの数字が実際の距離に対応するように設定してもよいし、レベル1を基準点からの距離2m、レベル2を基準点からの距離4mのように実際の距離とは異なるものとしてもよい。
【0032】
図5は、スピーカ10f(図1参照)を更に用いる場合のパラメータの設定例であり、図6は、シートスピーカであるスピーカ10h〜10lを更に用いる場合のパラメータの設定例である。なお、シートスピーカにおいては初期音を出力せずに付加音のみ出力するようにしてもよい。また、シートスピーカを備えることにより、運転席、助手席のように座席毎に独立して音の拡がりを制御することも可能となる。
【0033】
次に、インターフェース部30を構成する表示部7および操作部8の詳細について説明する。図7は、インターフェース部30の一例を示す図である。(a)はイメージ画像としてディスプレイ7aに上面画像を表示した例、(b)はイメージ画像としてディスプレイ7aに側面画像を表示した例を示す。(a)に示すように、本実施例では表示部7と操作部8が一体構成となっている。表示部7には、車両50と、視聴者の位置に対応する基準点7bと、音響空間に対応する仮想線7cと、カーソル7dが表示されている。また、操作部8は、カーソル7dを選択するカーソル選択ボタン8aと、カーソル7dを移動するカーソル移動ボタン8bと、決定ボタン8cにより構成されている。なお、上面画像と側面画像は、操作部8に切り替えボタンを設けて必要に応じて画面を切り替えるようにすることができる。
【0034】
次に、インターフェース部30を構成する表示部7および操作部8の使用方法について説明する。まず、図7(a)に示す表示部7に上面画像を表示した場合には、車両50の前方向、後方向、右方向、左方向の音響空間(音の拡がり)を設定することができる。まず、視聴者は、音の拡がりの中心となる基準点、すなわち視聴者の位置に対応する基準点7bを操作部8のカーソル選択ボタン8a、カーソル移動ボタン8b、決定ボタン8cを用いて決定する。同図では、基準点7bを運転席に設定しているが、助手席、または後部座席等任意に設定することができる。また、視聴者ごとに基準点を設定してもよく、シートスピーカであるスピーカ10h〜10lを用いる場合等に有効である。これにより、視聴者すなわち座席毎に独立して音の拡がりを設定することも可能となる。なお、基準点の設定位置は上記に限定されるわけではない。車両の中央に設定してもよいし、視聴者が複数存在する場合には、視聴者と視聴者との中間に設定してもよい。
【0035】
次に、カーソル7dを多角形で構成される仮想線7c上の頂点に移動し、音の拡がりを持たせたい方向に合わせて仮想線7cの形状を変化させて視聴者の嗜好する音響空間を設定する。また、視聴者の上方向に音の拡がりを持たせたい場合には、側面画像により前記と同様の操作により視聴者の嗜好する仮想空間を設定することができる。なお、本実施例においては、基準点7aを設定後に仮想線7cの形状を変化させて音響空間を設定することとしたが、これに限らず、先に仮想線7cの形状を設定し、仮想線7cを移動して基準点7aとの相対的位置を決定するようにしてもよい。
【0036】
また、上記操作完了後にこれらの設定状況をメモリ22に記憶させてパラメータを設定してもよい。これにより同設定の音響空間を次回設定する際の操作を簡易化することができる。
【0037】
なお、図7におけるインターフェース部30は、ボタン操作により仮想線7cを操作して音響空間を設定する構成としたが、表示部7を構成するディスプレイ7aをタッチパネルとし、直接仮想線の頂点等を操作して視聴者の嗜好する音響空間を設定する構成として
もよい。これにより、より簡易な操作により音響空間を設定することが可能となる。
【0038】
図8は、インターフェース部30のその他の例を示す図である。(a)はイメージ画像としてディスプレイ7aに上面画像を表示した例、(b)はイメージ画像としてディスプレイ7aに側面画像を表示した例を示す。同図に示すように、本実施例においては、前方向、後方向、左方向、右方向についての音の拡がりを数値化して示している。なお、前述した音響空間を示す仮想線も表示し、これと数値を並記する構成としてもよい。
【0039】
図8に示すインターフェース部30の使用方法は、基本的には上述した図7に示すインターフェース部30と同様であるので説明を簡略化する。すなわち、基準点7bを設定後、音の拡がりを持たせたい方向にカーソル7dを移動し、距離入力ボタン8dを用いて基準点からの距離を入力する。これにより視聴者の嗜好する音響空間を設定することができる。なお、図7に示す表示部等と図8に示す表示部は、視聴者の好みにより選択的に使用できる構成としてもよい。
【0040】
図9は、インターフェース部30の上述した例とは別の一例を示す図である。(a)はタッチパネルを用いて視聴者が画面上を直接指等で音響空間を描いた場合を示す図、(b)は直接指等で描いた音響空間を数値化して表示した例を示す。同図に示すように、本実施例においては、インターフェース部30にタッチパネルを用い、画面を直接指等で音響空間を軌跡として描くことが可能であり、より簡易な操作により視聴者の嗜好する音響空間を設定することができる。また、視聴者が画面上に描いた音響空間を数値化して表示することで、視聴者は自らが設定した音の拡がり感をより正確に認識することができる。
【0041】
次に、本発明に係る音響空間制御装置の動作例についてインターフェース部30の動作と制御部20の動作を関連づけて図面に基づいて説明する。なお、以下の説明はスピーカ10aから10e(図1参照)を用いる場合について説明する。
【0042】
図10は、本発明に係る音響空間制御装置の動作例を示すフロー図である。まず、視聴者は表示部7のイメージ画像を確認しながら操作部8に基づいて音響空間の基準となる基準点を設定する(ステップS101)。具体的には、図11に示すように、視聴者は、音の拡がりの中心となる基準点、すなわち視聴者の位置に対応する基準点7bを操作部8のカーソル選択ボタン8a、カーソル移動ボタン8b、決定ボタン8cを用いて決定する。
【0043】
次に、視聴者は、音響空間の形状を設定する(ステップS102)。具体的には、図11に示すように、先ず基準点7aに位置するカーソル7dをカーソル選択ボタン8aを用いて車両50の前方向に移動し、レベル選択ボタン8dを用いてレベル4に設定する。次にカーソル7dをカーソル選択ボタン8aにより車両50の右方向に移動し、レベル選択ボタン8dを用いてレベル2に設定する。この動作を順次繰り返し、車両の後方向についてはレベル1、左方向についてはレベル2に設定する。その後、画面切り替えボタンによりディスプレイ7aに表示される画面を側面図に切り替え、操作部8の各ボタンを用いて上方向のレベルを2に設定する。
【0044】
次に、視聴者がインターフェース部30により設定した音響空間を形成するための情報に基づいて制御部20に格納されたマイコン21が音声再生装置1より出力された音声信号に所定の処理を実行して音声を制御する(ステップS103)。音声制御の詳細については後述する。
【0045】
所定の処理が実行された音声信号は、複数のスピーカ10a〜10eより出力され、音響空間が形成される(ステップS104)。
【0046】
次に前述した音声制御(ステップS103)の詳細について説明する。
【0047】
なお、ここでは、あらかじめメモリ22にパラメータテーブル26を格納しておき、マイコン21がパラメータテーブル26のパラメータを参照して本発明に係る所定の処理を実行する場合について説明する。
【0048】
図12は、制御部20が実行する音声制御を示すフロー図である。まず、制御部20に格納されたマイコン21は、ユーザの操作を判断して音響空間の形状を算出する(ステップS201)。具体的には、操作部8により視聴者が設定した音響空間を形成するための値を取得すること意味する。すなわち、基準点7aとして運転席、前方向レベル4、右方向レベル2、後方向レベル1、左方向レベル2、上方向レベル2を取得する(図11参照)。これにより音響空間の形状の算出が完了する。
【0049】
次に、マイコン21は、基準点7bからの各方向に対応するスピーカに出力する音声信号を選択し、選択した音声信号について所定の処理を実行する(ステップS202)。具体的には、まず、マイコン21は基準点7aとして運転者を選択した場合のパラメータを選択する(図4参照)。そして、前方向については、図4(a)のレベル4を選択する。すなわち、前方向において、FLスピーカに出力する信号については初期遅延量25msec、イコライザについては7kHzLPF、付加音パターンはBパターンを選択し処理を実行する。また、FLスピーカに出力する信号については初期遅延量22msec、イコライザについては7kHzLPF、付加音パターンはBパターンを選択し処理を実行する。ここで付加音パターンとは、図13で示すような反射音をパターン化したものである。縦軸は音のレベル、横軸は時間を表す。
【0050】
同様に、左方向については図4(b)のレベル2、右方向については図4(c)のレベル2、後方向については図4(d)のレベル1、上方向についてはレベル1を選択し、それぞれのスピーカに出力する信号について初期遅延量、イコライザ、付加音パターンを選択し、処理を実行する。各音声信号について所定の処理を実行後、メインアンプ6に出力し(ステップS203)、音声信号制御が完了する。
【0051】
以上のような音響空間制御装置によれば、車両空間で音場制御する場合において、優れた操作性を有するインターフェース部30により操作が容易であるとともに、インターフェース部30を構成する表示部7に表示されるイメージ画像に基づいて操作できることから、聴覚のみならず視覚を通じて音響空間を設定することができ、視聴者の嗜好を反映した音場制御が可能となる。
【0052】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明に係る音響空間制御装置はこれらに限らず、可能な限りこれらの組合せを含むことができる。また、本実施例ではメモリ22に記憶されたパラメータテーブル26を用いることとしたが、音声制御にあたっては、所定のアルゴリズムに基づいたプログラムをマイコン21が読み込んで順次行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】音響空間制御装置が搭載される車両の概略図である。
【図2】音響空間制御装置の概略構成を示す図である。
【図3】DSPの構成を示す図である。
【図4】第1のパラメータの設定例である。
【図5】第2のパラメータの設定例である。
【図6】第3のパラメータの設定例である。
【図7】インターフェースの第1の例を示す図である。
【図8】インターフェースの第2の例を示す図である。
【図9】インターフェースの第3の例を示す図である。
【図10】音響空間制御装置の動作例を示すフロー図である。
【図11】操作時おけるインターフェースの表示状態を示す図である。
【図12】制御部が実行する音声制御を示すフロー図である。
【図13】反射音のパターン例を示すものである
【符号の説明】
【0054】
1・・・再生装置
2・・・セレクタ
3・・・A/Dコンバータ
4・・・DSP
5・・・D/Aコンバータ
6・・・メインアンプ
7・・・表示部
8・・・操作部
9・・・HDD
10・・・スピーカ
12・・・ナビ部
13・・・エンコーダ・デコーダ
20・・・制御部
21・・・マイコン
22・・・メモリ
26・・・パラメータテーブル
30・・・インターフェース部
50・・・車両
51・・・車両空間
52・・・搭乗者
60・・・音響空間システム
X1〜X6・・・音声信号
70・・・音響装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作性に優れたインターフェースを備えるとともに空間内に複数配置されたスピーカより出力する音を制御する音響空間を形成する音響空間制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
室内において空間制御を行う技術として、FIRフィルタを利用して残響音を付与する技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。この技術によれば、FIRフィルタを利用することで初期反射音や残響音を形成することが可能である。また、車両空間において定位制御と空間制御を行い、車両空間内の広さやスピーカの配置、聴取位置に応じて、音場をより好適なものとする技術が知られている(例えば、特許文献2を参照)。この技術によれば、定位制御によって求められた車両空間内の各スピーカから出力される各音響信号の遅延時間および減衰量と、対象車両空間内の対応する各スピーカから出力される各音響信号の遅延時間および減衰量とを同等にすることで対象車両空間内の定位制御を行うことができる。
【特許文献1】実開平6−26399号公報
【特許文献2】特開2003−274495号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
空間内において音場を制御する際には、視聴者の嗜好をより反映した音場制御が可能であるとともに操作性に優れたインターフェースを備えていることが要求される。特に車両空間では、車両空間における視聴者には、車両の運転者も含まれることから安全性を確保する上でも重要である。
【0004】
本発明では、上記した問題に鑑み、空間内で音場制御する場合において、視聴者の嗜好を反映した音場制御が可能であるとともに視聴者が直感的に音響空間をイメージしながら音場を操作できる優れたインターフェースを備える音場制御装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明では、上記した課題を解決するため、以下の手段を採用した。すなわち、空間内に複数配置されたスピーカより出力する音を制御部が制御することにより音響空間を形成する音響空間制御装置であって、視聴者の嗜好に合わせた前記音響空間を形成するための指示を受け付ける操作受付手段と、前記音響空間に対応するイメージ画像であって、前記操作受付手段で受け付けた視聴者の指示に合わせて変化する該イメージ画像を表示する表示手段と、前記視聴者の指示に基づいて形成された前記音響空間のイメージ画像に対応するように音声信号について所定の処理を実行する音声信号処理手段と、を備えることを特徴とする。
【0006】
このような構成とすることで、本発明に係る音響空間制御装置は、操作性に優れているとともに視聴者の嗜好を反映した音場制御が可能となる。すなわち、イメージ画像を見ながら簡単な操作によりイメージ画像を変化させることができ、音響空間は該イメージ画像に基づいて形成されるため、例えば前方向のみ開放感(音響空間の拡がり)を持たせるなど、きめ細かな制御が可能となる。なお、本発明に係る空間とは、閉ざされた空間であれば特に限定されるものではないが、車両空間が適していると言える。
【0007】
空間内には、スピーカが複数配置される。スピーカの配置箇所は特に限定されるもので
はない。例えば、空間として車両空間に適用する場合を考えると車両の運転席からみて、前方左側、前方右側、後方左側、後方右側、および天井の5つのスピーカを配置することができる。このような複数配置されたスピーカより出力される音を構成する各音声信号を制御部が制御することで視聴者の嗜好を反映した音響空間を形成することができる。なお、音響空間とは、前記スピーカから出力される音を構成する音声信号を制御することにより得られる音の拡がりにより形成される空間である。したがって車両空間には依存せずに形成される。また、車両空間は、閉ざされた空間であるとともにその大きさも一義的であるのに対して、音響空間は、音の拡がりで表される空間であってその大きさも一義的ではない。
【0008】
また、本発明に係る音響空間制御装置は、音声信号を入力する音声信号入力手段を備える構成としてもよい。この場合、音声信号入力手段は、前記複数のスピーカに出力する音を構成する音声信号の発信源となるものである。すなわち、音を再生できるものであればよく、例えばCD・MD等を備えるヘッドユニット等が例示できる。
【0009】
表示手段は、音響空間に対応するイメージ画像を表示するものである。イメージ画像は、例えば車両と音響空間を表す仮想線とで構成され、実際に形成される音響空間を所定の倍率で縮小された画像である。そして、さらに前記イメージ画像は、車両上方からみた上面画像や、車両側方からみた側面画像により構成することができる。上面画像からは、車両の前方向、後方向、左方向、右方向についての音響空間(音の拡がり)を認識することができる。また、側面画像からは、車両の前方向、後方向、上方向についての音響空間を認識することができる。なお、これらの画像は並記して表示するものとしてもよいし、画像切替手段を更に備えさせることで、画像を切り替えて表示できるようにしてもよい。また、イメージ画像は上記に限らず、例えば車両後方から見た背面画像を備えることとしてもよい。背面画像からは、車両の左方向、右方向、上方向の音響空間を認識することができる。
【0010】
上記のような表示手段を備えることで、視聴者は目で見て音響空間の形状を確認することができる。すなわち、音響空間は音で形成されるものであるが、視聴者は耳から入る音の感覚のみならず視覚により音響空間を認識可能であり、直感的に音響空間の形状を確認することができる。また、前記イメージ画像は、前記操作受付手段で受け付けた視聴者の指示に合わせて変化するものであることから、視聴者は常に音響空間を視覚により確認することができる。なお、表示手段には上述したイメージ画像の他、実際に所定の処理を実行した後に形成された音響空間、すなわち視聴者の嗜好が反映された現在形成されている音響空間を表示することとしてもよい。これにより、視聴者は現在形成されている音響空間を視覚によっても認識することができる。すなわち、操作時においてイメージした音響空間と実際に形成された音響空間とを比較することができる。これにより、次回の操作時において、自らの嗜好をより反映した音響空間を形成するための指示をすることが可能となり、結果としてより視聴者の嗜好が反映された音響空間が形成されることになる。
【0011】
操作受付手段は、前記イメージ画像に基づいて視聴者の嗜好に合わせた音響空間を形成するための指示を受け付けるものである。換言すると、上述のように表示手段にはイメージ画像として車両と音響空間を表す仮想線が表示することができるが、操作受付手段はこのイメージ画像を操作する手段である。これにより、イメージ画像を容易に操作することができる。なお、操作受付手段としては、ボタン操作によりイメージ画像に表示される車両位置や仮想線を操作するものや表示手段をタッチパネルとして直接イメージ画像を操作できるものが例示できる。
【0012】
上述した表示手段および操作受付手段は、本発明に係る音響空間制御装置のインターフェースとしての機能を発揮する。前記インターフェースは、操作性にも優れており、また
、視聴者の直感的な指示を受け付けること、すなわち視聴者の嗜好をきめ細かに受け付けることが可能となる。その結果、本発明に係る音響空間制御装置は、視聴者の嗜好をきめ細かに反映した音場制御をすることができる。
【0013】
音声信号処理手段は、音響空間の形状に基づいて所定の処理を実行するものである。すなわち、表示手段に表示されるイメージ画像に対応する音響空間を形成するために、音声信号に残響音を付加する等の所定の処理を実行する。
【0014】
また、本発明において、前記音響空間の形状は、基準点からの方向および距離で表されるものであり、前記音声信号処理手段は、前記基準点からの方向に対応するスピーカに出力する音声信号を選択し、選択した音声信号について所定の処理を実行するものとしてもよい。
【0015】
このように音響空間の形状を基準点からの方向および距離で表すことで、前記方向に対応するスピーカから出力される音を構成する音声信号を選択し、選択した音声信号について前記算出した距離に基づいて所定の処理を実行することが可能となる。なお、基準点には例えば視聴者の位置が例示される。
【0016】
また、本発明は、前記音声信号処理手段により所定の処理を実行した音声信号を前記複数のスピーカに出力する再生音出力手段を備える構成としてもよい。再生音出力手段は、前記音声信号処理手段により所定の処理を実行した音声信号を前記複数のスピーカに出力するものである。前記複数のスピーカは、前述したように例えば車両空間であれば、車両の運転席からみて、前方左側、前方右側、後方左側、後方右側、および天井の5つを配置することができる。このような複数のスピーカ、所定の処理が実行された音声信号を出力することで視聴者の嗜好を反映した音響空間を形成することができる。
【0017】
また、本発明において、前記音声信号処理手段における所定の処理は、前記音声信号入力手段により入力された音声信号を畳み込み演算するフィルタ手段と、前記音声信号入力手段により入力された音声信号をイコライジングするイコライジング手段と、前記音声信号入力手段により入力された音声信号を遅延させる遅延手段と、前記音声信号入力手段により入力された音声信号に残響音を付与する残響音付与手段と、のうち少なくともいずれか一つを備えることとすることができる。フィルタ手段は、FIRフィルタに所定のフィルタ係数を設定して畳み込み演算するものが例示できる。前記フィルタ係数を変化させることで初期反射音や残響音を形成することもできる。イコライジング手段には、イコライザが例示でき、音声信号の周波特性を調整することができる。遅延手段には、遅延器が例示でき、音声信号の出力を遅らせることができる。これらの処理を適宜行うことで、視聴者の嗜好を反映した音響空間を形成することが可能となる。
【0018】
また、本発明は、前記基準点からの方向および距離に対応するパラメータを有する記憶手段を更に備え、前記音声信号処理手段は、前記基準点からの方向および距離に対応する前記記憶手段に格納されたパラメータを抽出して前記所定の処理を実行するものとしてもよい。これにより、音響空間を制御する処理をより容易に行うことができる。
【0019】
また、本発明は、前記イメージ画像を分析して前記音響空間の形状を算出するイメージ画像分析手段を更に備え、前記音声信号処理手段は、前記イメージ画像分析手段により算出した前記音響空間の形状に基づいて前記音声信号入力手段により入力された音声信号について所定の処理を実行するものとすることができる。
【0020】
イメージ画像分析手段は、前記表示手段に表示される視聴者の嗜好が反映された音響空間に対応するイメージ画像を分析し、音響空間の形状を算出するものである。音響空間の
形状を算出するとは、前記イメージ画像を分析して、例えば視聴者からの方向を特定し、その方向における音響空間を示す仮想線までの距離を算出することを意味する。このように実際に表示されるイメージ画像を基準として音響空間の形状を算出することで、より視聴者の嗜好を反映した音響空間を形成することができる。具体的には、例えば、前記イメージ画像分析手段で視聴者からの方向を特定し、その方向における音響空間を示す仮想線までの距離を算出した場合には、方向により音の出力先のスピーカを特定し、出力先のスピーカが特定されることにより音声信号を特定できることから、係る音声信号に残響音付加やフィルタ処理を実行することができる。
【0021】
また、本発明において、前記記憶手段に格納されたパラメータは、前記複数のスピーカにそれぞれ対応するとともに前記基準点からの距離に応じて段階的に設定され、前記イメージ画像は、前記音響空間を示す仮想線および視聴者の位置を示す基準点により構成され、前記音声信号処理手段は、前記基準点を基準として前記仮想線上の所定の点の方向および距離を算出し、算出した方向及び距離に基づいてパラメータを抽出して前記所定の処理を実行するものとすることができる。これにより、音響空間を制御する処理をより容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、空間内で音場制御する場合において、視聴者が直感的に音響空間をイメージしながら音場を操作できるとともに視聴者の嗜好を反映した音場制御が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
次に、本発明に係る音響空間制御装置の実施形態について図面に基づいて説明する。なお、同一の構成要素については同一の参照番号を付すことでその詳細な説明を省略する。
【0024】
図1は、本発明に係る音響空間制御装置を含む音響システム60が搭載される車両50の概略図である。車両50には閉ざされた空間である車両空間51が設けられ、車両50には本発明に係る視聴者に相当する運転者を含む搭乗者52が滞在可能である。車両50の前方左側にはFLスピーカ10a、前方右側にはFRスピーカ10b、後方左側にはRLスピーカ10c、後方右側にはRRスピーカ10dが設けられている。更に、前方中央にはFCスピーカ10f、天井にはSPスピーカ10e、後方中央にはSWスピーカ10g、運転席にはシートSLスピーカ10hおよびシートSRスピーカ10i、助手席にはシートSLスピーカ10jおよびシートSRスピーカ10k、後部座席にはそれぞれシートスピーカ10lが設けられている。
【0025】
図2は、本発明に係る音響空間制御装置の概略構成を示す図である。図2に示すように、車両50に音響システム60が搭載され、音響システム60は、CD、DVD、MD、チューナ、テープ、TVなどからなる音声再生装置1、前記音声再生装置1の中から使用する再生装置を選択するセレクタ2、A/Dコンバータ3、DSP4(Digital Signal Processor)、D/Aコンバータ5、表示部7および操作部8からなるインターフェース部30、HDD9、ナビ部12、エンコーダ・デコーダ13、制御部20からなる音響装置70と、メインアンプ6、スピーカ10a〜10lからなるスピーカ10、により構成される。なお、制御部20は、マイクロコンピュータ(以下「マイコン」という)21、メモリ22を備える。
【0026】
上記音響システム60の動作は以下のようになる。すなわち、音声再生装置1から出力された音声信号は、A/Dコンバータ3によりデジタル信号に変換される。デジタル信号に変換された音声信号は、DSP4にて所定の処理が実施され、D/Aコンバータ5にてアナログ信号に変換され、メインアンプ6で音声信号が増幅され、スピーカ10より出力
される。ここで、DSP4にて実施される所定の処理は、インターフェース部30から受け付けた視聴者の指示を反映すべく、制御部20が行う。なお、インターフェース部30を構成する表示部7および操作部8、DSP4の構成の詳細については後述する。
【0027】
なお、上記構成においてはメインアンプ6およびスピーカ10a〜10l以外を一つのユニット30としているがこれに限定されるわけではなく、例えばメインアンプ6をユニット30に含ませる構成としてもよい。また、音声再生装置1としてCD、MD、DVD等を選択した場合には、これらの媒体には予め音声信号がデジタル信号として記録されているため、A/Dコンバータ3を介さず、直接DSP4に直接入力する構成とすることもできる。なお、このように直接DSP4に入力する構成は、上記に限らずTV等の信号についても、デコードされたデジタル信号を直接DSP4に入力する構成とすることができる。
【0028】
また、HDD9にMPEG方式などで圧縮した音楽データを記録しておきこれを再生することも可能であるが、この場合はHDD9から圧縮データを読み出してバス11経由でデコーダ13に入力し、デコードされたデジタル音声信号をDSP4に直接入力する構成としてもよい。
【0029】
次に、DSP4の詳細について説明する。図3は、DSP4の構成の一例を示す図である。同図に示すように、DSP4は可変器4a、遅延器4b、イコライザ4c、FIRフィルタ4d、加算器4e等を備える。また、これらの可変器4a、遅延器4b、イコライザ4c、FIRフィルタ4d、加算器4eは、電気的に制御部20と接続されている。音声信号X1〜X6は、スピーカ10a〜10lのそれぞれから出力される音を構成するものである。なお、可変器4a等の配置する順序は、これに限定されるわけではない。
【0030】
DSP4の動作は以下のようになる。すなわち、例えば音声信号X1についてみると、A/Dコンバータ3によりデジタル信号化された音声信号X1は可変器4aでゲイン調整後、音声信号X1a〜X1eに分割される。分割された音声信号X1a〜X1eのうち、例えばX1aについてみると、遅延器4bで所定の時間出力が遅延され、イコライザ4cでイコライジングされ、FIRフィルタ4dでフィルタ処理された後、可変器4aで再びゲイン調整される。その後、音声信号X1aは、音声信号X1aと同様所定の処理が実施された音声信号X1bと加算器4eにて加算されてメインアンプ6に出力され、最終的にスピーカ10より出力される。なお、例えば遅延器4bにおける所定の時間出力時間を遅らせる処理は、電気的に接続された制御部20に格納されたマイコン21がパラメータテーブル26よりパラメータを抽出し、操作部8で受け付けた指示に応じた所定の処理を実行することにより実現される。また、イコライザ4c、FIRフィルタ4c等における所定の処理も同様に制御部20が行うことになる。
【0031】
ここで、パラメータテーブル26の例を図4〜図6に示す。図4は、スピーカ10a〜10e(図1参照)を用いる場合のパラメータの設定例である。(a)は前方向の音響空間(音の拡がり)を形成するためのパラメータ、(b)は左方向の音響空間を形成するためのパラメータ、(c)は右方向の音響空間を設定するためのパラメータ、(d)は後方の音響空間を設定するためのパラメータ、(e)は上方向の音響空間を形成するためのパラメータを示す。例えば(a)に示すように、前方向の音響空間を制御するためのパラメータは、大別するとFLスピーカ10aから出力される音を構成する音声信号(FLチャンネル)とFRスピーカ10bから出力される音を構成する音声信号(FRチャンネル)から構成され、設定レベルはOFFから設定レベル5までの6段階により構成されている。そして、各スピーカは、更に初期遅延量、イコライザ(EQ)、付加音パターンにより構成されている。このように、前方向の音響空間は、FLスピーカ10aおよびFRスピーカ10bより出力される音を構成する音声信号により制御され、操作部8により受け付
けた指示に基づいて各信号毎に所定の処理が実行されることになる。なお、設定レベルは、例えばレベル1を基準点からの距離1m、レベル2を基準点からの距離2mのようにレベルの数字が実際の距離に対応するように設定してもよいし、レベル1を基準点からの距離2m、レベル2を基準点からの距離4mのように実際の距離とは異なるものとしてもよい。
【0032】
図5は、スピーカ10f(図1参照)を更に用いる場合のパラメータの設定例であり、図6は、シートスピーカであるスピーカ10h〜10lを更に用いる場合のパラメータの設定例である。なお、シートスピーカにおいては初期音を出力せずに付加音のみ出力するようにしてもよい。また、シートスピーカを備えることにより、運転席、助手席のように座席毎に独立して音の拡がりを制御することも可能となる。
【0033】
次に、インターフェース部30を構成する表示部7および操作部8の詳細について説明する。図7は、インターフェース部30の一例を示す図である。(a)はイメージ画像としてディスプレイ7aに上面画像を表示した例、(b)はイメージ画像としてディスプレイ7aに側面画像を表示した例を示す。(a)に示すように、本実施例では表示部7と操作部8が一体構成となっている。表示部7には、車両50と、視聴者の位置に対応する基準点7bと、音響空間に対応する仮想線7cと、カーソル7dが表示されている。また、操作部8は、カーソル7dを選択するカーソル選択ボタン8aと、カーソル7dを移動するカーソル移動ボタン8bと、決定ボタン8cにより構成されている。なお、上面画像と側面画像は、操作部8に切り替えボタンを設けて必要に応じて画面を切り替えるようにすることができる。
【0034】
次に、インターフェース部30を構成する表示部7および操作部8の使用方法について説明する。まず、図7(a)に示す表示部7に上面画像を表示した場合には、車両50の前方向、後方向、右方向、左方向の音響空間(音の拡がり)を設定することができる。まず、視聴者は、音の拡がりの中心となる基準点、すなわち視聴者の位置に対応する基準点7bを操作部8のカーソル選択ボタン8a、カーソル移動ボタン8b、決定ボタン8cを用いて決定する。同図では、基準点7bを運転席に設定しているが、助手席、または後部座席等任意に設定することができる。また、視聴者ごとに基準点を設定してもよく、シートスピーカであるスピーカ10h〜10lを用いる場合等に有効である。これにより、視聴者すなわち座席毎に独立して音の拡がりを設定することも可能となる。なお、基準点の設定位置は上記に限定されるわけではない。車両の中央に設定してもよいし、視聴者が複数存在する場合には、視聴者と視聴者との中間に設定してもよい。
【0035】
次に、カーソル7dを多角形で構成される仮想線7c上の頂点に移動し、音の拡がりを持たせたい方向に合わせて仮想線7cの形状を変化させて視聴者の嗜好する音響空間を設定する。また、視聴者の上方向に音の拡がりを持たせたい場合には、側面画像により前記と同様の操作により視聴者の嗜好する仮想空間を設定することができる。なお、本実施例においては、基準点7aを設定後に仮想線7cの形状を変化させて音響空間を設定することとしたが、これに限らず、先に仮想線7cの形状を設定し、仮想線7cを移動して基準点7aとの相対的位置を決定するようにしてもよい。
【0036】
また、上記操作完了後にこれらの設定状況をメモリ22に記憶させてパラメータを設定してもよい。これにより同設定の音響空間を次回設定する際の操作を簡易化することができる。
【0037】
なお、図7におけるインターフェース部30は、ボタン操作により仮想線7cを操作して音響空間を設定する構成としたが、表示部7を構成するディスプレイ7aをタッチパネルとし、直接仮想線の頂点等を操作して視聴者の嗜好する音響空間を設定する構成として
もよい。これにより、より簡易な操作により音響空間を設定することが可能となる。
【0038】
図8は、インターフェース部30のその他の例を示す図である。(a)はイメージ画像としてディスプレイ7aに上面画像を表示した例、(b)はイメージ画像としてディスプレイ7aに側面画像を表示した例を示す。同図に示すように、本実施例においては、前方向、後方向、左方向、右方向についての音の拡がりを数値化して示している。なお、前述した音響空間を示す仮想線も表示し、これと数値を並記する構成としてもよい。
【0039】
図8に示すインターフェース部30の使用方法は、基本的には上述した図7に示すインターフェース部30と同様であるので説明を簡略化する。すなわち、基準点7bを設定後、音の拡がりを持たせたい方向にカーソル7dを移動し、距離入力ボタン8dを用いて基準点からの距離を入力する。これにより視聴者の嗜好する音響空間を設定することができる。なお、図7に示す表示部等と図8に示す表示部は、視聴者の好みにより選択的に使用できる構成としてもよい。
【0040】
図9は、インターフェース部30の上述した例とは別の一例を示す図である。(a)はタッチパネルを用いて視聴者が画面上を直接指等で音響空間を描いた場合を示す図、(b)は直接指等で描いた音響空間を数値化して表示した例を示す。同図に示すように、本実施例においては、インターフェース部30にタッチパネルを用い、画面を直接指等で音響空間を軌跡として描くことが可能であり、より簡易な操作により視聴者の嗜好する音響空間を設定することができる。また、視聴者が画面上に描いた音響空間を数値化して表示することで、視聴者は自らが設定した音の拡がり感をより正確に認識することができる。
【0041】
次に、本発明に係る音響空間制御装置の動作例についてインターフェース部30の動作と制御部20の動作を関連づけて図面に基づいて説明する。なお、以下の説明はスピーカ10aから10e(図1参照)を用いる場合について説明する。
【0042】
図10は、本発明に係る音響空間制御装置の動作例を示すフロー図である。まず、視聴者は表示部7のイメージ画像を確認しながら操作部8に基づいて音響空間の基準となる基準点を設定する(ステップS101)。具体的には、図11に示すように、視聴者は、音の拡がりの中心となる基準点、すなわち視聴者の位置に対応する基準点7bを操作部8のカーソル選択ボタン8a、カーソル移動ボタン8b、決定ボタン8cを用いて決定する。
【0043】
次に、視聴者は、音響空間の形状を設定する(ステップS102)。具体的には、図11に示すように、先ず基準点7aに位置するカーソル7dをカーソル選択ボタン8aを用いて車両50の前方向に移動し、レベル選択ボタン8dを用いてレベル4に設定する。次にカーソル7dをカーソル選択ボタン8aにより車両50の右方向に移動し、レベル選択ボタン8dを用いてレベル2に設定する。この動作を順次繰り返し、車両の後方向についてはレベル1、左方向についてはレベル2に設定する。その後、画面切り替えボタンによりディスプレイ7aに表示される画面を側面図に切り替え、操作部8の各ボタンを用いて上方向のレベルを2に設定する。
【0044】
次に、視聴者がインターフェース部30により設定した音響空間を形成するための情報に基づいて制御部20に格納されたマイコン21が音声再生装置1より出力された音声信号に所定の処理を実行して音声を制御する(ステップS103)。音声制御の詳細については後述する。
【0045】
所定の処理が実行された音声信号は、複数のスピーカ10a〜10eより出力され、音響空間が形成される(ステップS104)。
【0046】
次に前述した音声制御(ステップS103)の詳細について説明する。
【0047】
なお、ここでは、あらかじめメモリ22にパラメータテーブル26を格納しておき、マイコン21がパラメータテーブル26のパラメータを参照して本発明に係る所定の処理を実行する場合について説明する。
【0048】
図12は、制御部20が実行する音声制御を示すフロー図である。まず、制御部20に格納されたマイコン21は、ユーザの操作を判断して音響空間の形状を算出する(ステップS201)。具体的には、操作部8により視聴者が設定した音響空間を形成するための値を取得すること意味する。すなわち、基準点7aとして運転席、前方向レベル4、右方向レベル2、後方向レベル1、左方向レベル2、上方向レベル2を取得する(図11参照)。これにより音響空間の形状の算出が完了する。
【0049】
次に、マイコン21は、基準点7bからの各方向に対応するスピーカに出力する音声信号を選択し、選択した音声信号について所定の処理を実行する(ステップS202)。具体的には、まず、マイコン21は基準点7aとして運転者を選択した場合のパラメータを選択する(図4参照)。そして、前方向については、図4(a)のレベル4を選択する。すなわち、前方向において、FLスピーカに出力する信号については初期遅延量25msec、イコライザについては7kHzLPF、付加音パターンはBパターンを選択し処理を実行する。また、FLスピーカに出力する信号については初期遅延量22msec、イコライザについては7kHzLPF、付加音パターンはBパターンを選択し処理を実行する。ここで付加音パターンとは、図13で示すような反射音をパターン化したものである。縦軸は音のレベル、横軸は時間を表す。
【0050】
同様に、左方向については図4(b)のレベル2、右方向については図4(c)のレベル2、後方向については図4(d)のレベル1、上方向についてはレベル1を選択し、それぞれのスピーカに出力する信号について初期遅延量、イコライザ、付加音パターンを選択し、処理を実行する。各音声信号について所定の処理を実行後、メインアンプ6に出力し(ステップS203)、音声信号制御が完了する。
【0051】
以上のような音響空間制御装置によれば、車両空間で音場制御する場合において、優れた操作性を有するインターフェース部30により操作が容易であるとともに、インターフェース部30を構成する表示部7に表示されるイメージ画像に基づいて操作できることから、聴覚のみならず視覚を通じて音響空間を設定することができ、視聴者の嗜好を反映した音場制御が可能となる。
【0052】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明に係る音響空間制御装置はこれらに限らず、可能な限りこれらの組合せを含むことができる。また、本実施例ではメモリ22に記憶されたパラメータテーブル26を用いることとしたが、音声制御にあたっては、所定のアルゴリズムに基づいたプログラムをマイコン21が読み込んで順次行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】音響空間制御装置が搭載される車両の概略図である。
【図2】音響空間制御装置の概略構成を示す図である。
【図3】DSPの構成を示す図である。
【図4】第1のパラメータの設定例である。
【図5】第2のパラメータの設定例である。
【図6】第3のパラメータの設定例である。
【図7】インターフェースの第1の例を示す図である。
【図8】インターフェースの第2の例を示す図である。
【図9】インターフェースの第3の例を示す図である。
【図10】音響空間制御装置の動作例を示すフロー図である。
【図11】操作時おけるインターフェースの表示状態を示す図である。
【図12】制御部が実行する音声制御を示すフロー図である。
【図13】反射音のパターン例を示すものである
【符号の説明】
【0054】
1・・・再生装置
2・・・セレクタ
3・・・A/Dコンバータ
4・・・DSP
5・・・D/Aコンバータ
6・・・メインアンプ
7・・・表示部
8・・・操作部
9・・・HDD
10・・・スピーカ
12・・・ナビ部
13・・・エンコーダ・デコーダ
20・・・制御部
21・・・マイコン
22・・・メモリ
26・・・パラメータテーブル
30・・・インターフェース部
50・・・車両
51・・・車両空間
52・・・搭乗者
60・・・音響空間システム
X1〜X6・・・音声信号
70・・・音響装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間内に複数配置されたスピーカより出力する音を制御部が制御することにより音響空間を形成する音響空間制御装置であって、
視聴者の嗜好に合わせた前記音響空間を形成するための指示を受け付ける操作受付手段と、
前記音響空間に対応するイメージ画像であって、前記操作受付手段で受け付けた視聴者の指示に合わせて変化する該イメージ画像を表示する表示手段と、
前記視聴者の指示に基づいて形成された前記音響空間のイメージ画像に対応するように音声信号について所定の処理を実行する音声信号処理手段と、
を備えることを特徴とする音響空間制御装置。
【請求項2】
前記音響空間の形状は、基準点からの方向および距離で表されるものであり、
前記音声信号処理手段は、前記基準点からの方向に対応するスピーカに出力する音声信号を選択し、選択した音声信号について所定の処理を実行するものであることを特徴とする請求項1に記載の音響空間制御装置。
【請求項3】
前記音声信号処理手段における所定の処理は、
前記音声信号入力手段により入力された音声信号を畳み込み演算するフィルタ手段と、
前記音声信号入力手段により入力された音声信号をイコライジングするイコライジング手段と、
前記音声信号入力手段により入力された音声信号を遅延させる遅延手段と、
前記音声信号入力手段により入力された音声信号に残響音を付与する残響音付与手段と、
のうち少なくともいずれか一つを備えることを特徴とする請求項1または2に記載の音響空間制御装置。
【請求項4】
前記基準点からの方向および距離に対応するパラメータを有する記憶手段を更に備え、
前記音声信号処理手段は、前記基準点からの方向および距離に対応する前記記憶手段に格納されたパラメータを抽出して前記所定の処理を実行するものであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の音響空間制御装置。
【請求項5】
前記イメージ画像を分析して前記音響空間の形状を算出するイメージ画像分析手段を更に備え、
前記音声信号処理手段は、前記イメージ画像分析手段により算出した前記音響空間の形状に基づいて前記音声信号入力手段により入力された音声信号について所定の処理を実行するものであることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の音響空間制御装置。
【請求項6】
前記記憶手段に格納されたパラメータは、前記複数のスピーカにそれぞれ対応するとともに前記基準点からの距離に応じて段階的に設定され、
前記イメージ画像は、前記音響空間を示す仮想線および視聴者の位置を示す基準点により構成され、
前記音声信号処理手段は、前記基準点を基準として前記仮想線上の所定の点の方向および距離を算出し、算出した方向及び距離に基づいてパラメータを抽出して前記所定の処理を実行するものであることを特徴とする請求項4又は5に記載の音響空間制御装置。
【請求項1】
空間内に複数配置されたスピーカより出力する音を制御部が制御することにより音響空間を形成する音響空間制御装置であって、
視聴者の嗜好に合わせた前記音響空間を形成するための指示を受け付ける操作受付手段と、
前記音響空間に対応するイメージ画像であって、前記操作受付手段で受け付けた視聴者の指示に合わせて変化する該イメージ画像を表示する表示手段と、
前記視聴者の指示に基づいて形成された前記音響空間のイメージ画像に対応するように音声信号について所定の処理を実行する音声信号処理手段と、
を備えることを特徴とする音響空間制御装置。
【請求項2】
前記音響空間の形状は、基準点からの方向および距離で表されるものであり、
前記音声信号処理手段は、前記基準点からの方向に対応するスピーカに出力する音声信号を選択し、選択した音声信号について所定の処理を実行するものであることを特徴とする請求項1に記載の音響空間制御装置。
【請求項3】
前記音声信号処理手段における所定の処理は、
前記音声信号入力手段により入力された音声信号を畳み込み演算するフィルタ手段と、
前記音声信号入力手段により入力された音声信号をイコライジングするイコライジング手段と、
前記音声信号入力手段により入力された音声信号を遅延させる遅延手段と、
前記音声信号入力手段により入力された音声信号に残響音を付与する残響音付与手段と、
のうち少なくともいずれか一つを備えることを特徴とする請求項1または2に記載の音響空間制御装置。
【請求項4】
前記基準点からの方向および距離に対応するパラメータを有する記憶手段を更に備え、
前記音声信号処理手段は、前記基準点からの方向および距離に対応する前記記憶手段に格納されたパラメータを抽出して前記所定の処理を実行するものであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の音響空間制御装置。
【請求項5】
前記イメージ画像を分析して前記音響空間の形状を算出するイメージ画像分析手段を更に備え、
前記音声信号処理手段は、前記イメージ画像分析手段により算出した前記音響空間の形状に基づいて前記音声信号入力手段により入力された音声信号について所定の処理を実行するものであることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の音響空間制御装置。
【請求項6】
前記記憶手段に格納されたパラメータは、前記複数のスピーカにそれぞれ対応するとともに前記基準点からの距離に応じて段階的に設定され、
前記イメージ画像は、前記音響空間を示す仮想線および視聴者の位置を示す基準点により構成され、
前記音声信号処理手段は、前記基準点を基準として前記仮想線上の所定の点の方向および距離を算出し、算出した方向及び距離に基づいてパラメータを抽出して前記所定の処理を実行するものであることを特徴とする請求項4又は5に記載の音響空間制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−116363(P2007−116363A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−304687(P2005−304687)
【出願日】平成17年10月19日(2005.10.19)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月19日(2005.10.19)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】
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