説明

音響装置、音声再生方法、音声再生プログラム及び記録媒体

【課題】
適切な反射残響音効果を付与する。
【解決手段】
個別反射残響音付与部210A1において、信号SCDL,SCDSRを受けた無相関化部215が、信号SCDLに対して、信号SCDSRとの相関を除去する無相関化処理を施し、信号NCDLを生成する。引き続き、反射音信号生成部216が、信号NCDLに基づいて反射残響音信号RDALを生成する。そして、加算部212が、信号SCDSRと反射残響音信号RDALとを加算し、信号SCDSRに、信号SCDSRとは相関のない反射残響音信号RDALを重畳させ、信号SCDSRに対応するスピーカユニットへ向けて送る信号PCDSRを生成する。また、個別反射残響音付与部210A2において、個別反射残響音付与部210A1の場合と同様にして、信号SCDSLに、信号SCDSLとは相関のない反射残響音信号RDARを重畳させ、信号SCDSLに対応するスピーカユニットへ向けて送る信号PCDSLを生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音響装置、音声再生方法、音声再生プログラム、及び、当該音声再生プログラムが記録された記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、楽曲等を再生する音響装置が広く普及している。こうした音響装置は、一般に一般家屋内や車両内に設置され、利用者の利用に供せられる。かかる音響装置に関する技術の発展は目覚しく、コンサートホール等において発生する反射残響音までも模擬的に発生させる技術が提案されている(特許文献1等参照:以下、「従来例」という)。
【0003】
かかる従来の技術では、メイン音響信号の所定チャンネル信号に基づいて振幅レベル及び遅延時間が規則的に変化する反射残響音信号を生成する。そして、生成された反射残響音信号と、反射残響音を出力すべきスピーカに対応するチャンネル信号とを加算するようになっている。
【0004】
【特許文献1】実公平8−2720号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来例の技術では、生成された反射残響音信号と、その反射残響音を出力すべきスピーカに対応するチャンネル信号とを加算して、そのスピーカから再生出力すべき音響信号を生成している。この結果、反射残響音信号が重畳されるチャンネル信号において既に反射残響音効果が考慮されており、強い同相の相関を有している場合には、加算される各信号が強め合うため、過大な反射残響音効果を奏することになってしまう。また、反射残響音信号が重畳されるチャンネル信号が反射残響音信号と強い逆相の相関を有している場合には、加算される各信号が打ち消し合うため、反射残響音効果を実現できないばかりではなく、そのチャンネル信号で表現しようと意図されていた音響効果を低減させることになってしまう。
【0006】
このため、反射残響音信号が重畳されるチャンネル信号の態様を考慮して、反射残響音効果を適切に発揮することができる技術が望まれている。かかる要請に応えることが、本発明が解決すべき課題の一つとして挙げられる。
【0007】
本発明は、上記の事情を鑑みてなされたものであり、適切な反射残響音効果を付与することができる音響装置及び音声再生方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、第1スピーカ及び第2スピーカを含む複数のスピーカから音場空間へ向けて音声を出力させる音響装置であって、前記第1スピーカに対応する第1チャンネル信号に基づいて、前記第1スピーカからの再生音声の反射残響音に対応する反射残響音信号を生成する生成手段と;前記生成手段により生成された前記反射残響音信号と、前記第2スピーカに対応する第2チャンネル信号とを合成し、前記第2スピーカに供給する合成手段と;を備え、前記生成手段は、前記第2チャンネル信号との相関を考慮した前記反射残響音信号を生成する、ことを特徴とする音響装置である。
【0009】
請求項6に記載の発明は、第1スピーカ及び第2スピーカを含む複数のスピーカから音場空間へ向けて音声を出力させる音声再生方法であって、前記第1スピーカに対応する第1チャンネル信号に基づいて、前記第1スピーカからの再生音声の反射残響音に対応する反射残響音信号を生成する生成工程と;前記生成工程において生成された前記反射残響音信号と、前記第2スピーカに対応する第2チャンネル信号とを合成し、前記第2スピーカに供給する合成工程と;を備え、前記生成工程では、前記第2チャンネル信号との相関を考慮した前記反射残響音信号を生成する、ことを特徴とする音声再生方法である。
【0010】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の音声再生方法を演算手段に実行させる、ことを特徴とする音声再生プログラムである。
【0011】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の音声再生プログラムが、演算手段により読み取り可能に記録されている、ことを特徴とする記録媒体である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を、添付図面を参照して説明する。なお、以下の説明及び図面においては、同一又は同等の要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0013】
[第1実施形態]
まず、本発明の第1実施形態を、図1〜図8を参照して説明する。
【0014】
<構成>
図1には、第1実施形態に係る音響装置100Aの概略的な構成がブロック図にて示されている。なお、以下の説明においては、音響装置100Aは、車両CR(図2参照)に搭載される装置であるものとする。また、この音響装置100Aは、マルチチャンネルサラウンド方式の1つである4チャンネルサラウンド方式の音響信号に対する処理を行うものとする。ここで、4チャンネルサラウンド方式の音響信号とは、レフトチャンネル(以下、「Lチャンネル」という)、ライトチャンネル(以下、「Rチャンネル」という)、サラウンドレフトチャンネル(以下、「SLチャンネル」という)及びサラウンドライトチャンネル(以下、「SRチャンネル」という)の4チャンネル構成の音響信号をいうものとする。
【0015】
図1に示されるように、音響装置100Aは、制御ユニット110Aと、ドライブユニット120とを備えている。また、音響装置100Aは、スピーカユニット130L〜130SRと、表示ユニット140と、操作入力ユニット150とを備えている。
【0016】
上記の制御ユニット110Aは、音響装置100Aの全体を統括制御する。この制御ユニット110Aの詳細については、後述する。
【0017】
上記のドライブユニット120は、音声コンテンツが記録されたDVD等の記録媒体RMがドライブユニット120に挿入されると、その旨を制御ユニット110Aに報告する。そして、ドライブユニット120は、記録媒体RMが挿入された状態で、制御ユニット110Aから音声コンテンツの再生指令DVCを受けると、再生指定がなされた音声を記録媒体RMから読み出す。かかる音声コンテンツの読み出し結果は、オーディオ信号であるコンテンツデータCTDとして、制御ユニット110Aへ向けて送られる。なお、記録媒体RMには、音声コンテンツが、4チャンネルサラウンド方式で記録されているものとする。
【0018】
上記のスピーカユニット130L〜130SRは、L〜SRチャンネルに対応している。これらのスピーカユニット130j(j=L〜SR)のそれぞれは、制御ユニット110Aから送られてきた出力音声信号における出力音声信号AOSjに従って、音声を再生して出力する。
【0019】
本実施形態では、図2に示されるように、スピーカユニット130Lは、助手席側の前方ドア筐体内に配置される。このスピーカユニット130Lは、助手席側を向くように配設されている。
【0020】
また、スピーカユニット130Rは、運転席側の前方ドア筐体内に配置される。このスピーカユニット130Rは、運転席側を向くように配設されている。
【0021】
また、スピーカユニット130SLは、助手席側後部の筐体内に配置される。このスピーカユニット130SLは、助手席側の後部座席を向くように配設されている。
【0022】
また、スピーカユニット130SRは、運転席側後部の筐体内に配置される。このスピーカユニット130SRは、運転席側の後部座席を向くように配設されている。
【0023】
以上のように配置されたスピーカユニット130L〜130SRから、音場空間ASPへ向けて音声が出力されるようになっている。
【0024】
なお、音場空間ASPにおける運転席の位置に想定聴取位置Pがあるものとする。この結果、想定聴取位置Pに対して、スピーカユニット130Lとスピーカユニット130SRとが互いに対角位置に配置され、スピーカユニット130Rとスピーカユニット130SLとが互いに対角位置に配置されるようになっている。
【0025】
図1に戻り、上記の表示ユニット140は、例えば、(i)液晶パネル、有機EL(Electro Luminescence)パネル、PDP(Plasma Display Panel)等の表示デバイスと、(ii)制御ユニット110Aから送出された表示制御データに基づいて、表示ユニット140全体の制御を行うグラフィックレンダラ等の表示コントローラと、(iii)表示画像データを記憶する表示画像メモリ等を備えて構成されている。この表示ユニット140は、制御ユニット110Aからの表示データIMDに従って、操作ガイダンス情報等を表示する。
【0026】
上記の操作入力ユニット150は、音響装置100Aの本体部に設けられたキー部、及び/又はキー部を備えるリモート入力装置等により構成される。ここで、本体部に設けられたキー部としては、表示ユニット140の表示デバイスに設けられたタッチパネルを用いることができる。なお、キー部を有する構成に代えて、又は併用して音声認識技術を利用して音声にて入力する構成を採用することもできる。
【0027】
この操作入力ユニット150を利用者が操作することにより、音響装置100Aの動作内容の設定が行われる。例えば、音声コンテンツの再生指令等の利用者による入力が、操作入力ユニット150を利用して行われる。こうした入力内容は、操作入力データIPDとして、操作入力ユニット150から制御ユニット110Aへ向けて送られる。
【0028】
次に、上記の制御ユニット110Aについて説明する。上述したように、制御ユニット110Aは、音響装置100Aの全体を統括制御する。この制御ユニット110Aは、図3に示されるように、チャンネル分離部111と、反射残響音付与部112Aとを備えている。また、制御ユニット110Aは、アナログ処理部113と、制御処理部115とを備えている。
【0029】
上記のチャンネル分離部111は、ドライブユニット120からのコンテンツデータCTDを受ける。そして、チャンネル分離部111は、コンテンツデータCTDを展開し、オーディオ信号であるデジタル音データ信号を生成する。引き続き、チャンネル分離部111は、生成されたデジタル音データ信号を解析し、デジタル音データ信号に含まれるチャンネル指定情報に従って、デジタル音データ信号を、4チャンネルサラウンド方式におけるL〜SRチャンネルに対応する4個の信号SCDL,SCDR,SCDSL,SCDSRに分離する。このようにして分離された信号SCDL〜SCDSRは、反射残響音付与部112Aへ送られる。
【0030】
なお、コンテンツデータCTDがL,Rチャンネルの2チャンネルステレオ方式のデータであった場合には、コンテンツデータCTDに基づいて、信号SCDL,SCDRを生成するとともに、信号SCDSL,SCDSRとして、いわゆるゼロレベル信号を生成するようになっている。
【0031】
上記の反射残響音付与部112Aは、チャンネル分離部111からの信号SCDL〜SCDSRを受ける。そして、反射残響音付与部112Aは、信号SCDL〜SCDSRに反射残響音付与処理を施す。
【0032】
なお、本第1実施形態では、スピーカユニット130に対応する信号SCDLに関する反射残響音信号を、想定聴取位置Pに対してスピーカユニット130の対角位置に配置されたスピーカユニット130SRに対応する信号SCDSRに重畳させるようになっている。また、スピーカユニット130Rに対応する信号SCDRに関する反射残響音信号を、想定聴取位置Pに対してスピーカユニット130Rの対角位置に配置されたスピーカユニット130SLに対応する信号SCDSLに重畳させるようになっている。
【0033】
かかる機能を有する反射残響音付与部112Aは、図4に示されるように、個別反射残響音付与部210A1,210A2を備えている。なお、反射残響音付与部112Aは、信号SCDLをそのままの態様で、信号PCDLとしてアナログ処理部113へ送るとともに、信号SCDRをそのままの態様で、信号PCDRとしてアナログ処理部113へ送るようになっている。
【0034】
上記の個別反射残響音付与部210A1は、チャンネル分離部111からの信号SCDL,SCDSRを受ける。そして、個別反射残響音付与部210A1は、信号SCDLに関する反射残響音信号を信号SCDSRに重畳させる。
【0035】
上記の個別反射残響音付与部210A2は、チャンネル分離部111からの信号SCDR,SCDSLを受ける。そして、個別反射残響音付与部210A2は、信号SCDRに関する反射残響音信号を信号SCDSLに重畳させる。
【0036】
以上の機能を有する個別反射残響音付与部210A1(210A2)は、図5に示されるように、生成手段としての反射残響音信号生成部211Aと、合成手段としての加算部212とを備えている。
【0037】
上記の反射残響音信号生成部211Aは、チャンネル分離部111からの信号SCDL(SCDR),SCDSR(SCDSL)を受ける。そして、反射残響音信号生成部211Aは、信号SCDL(SCDR)に関する反射残響音信号を生成する。かかる機能を有する反射残響音信号生成部211Aは、無相関化手段としての無相関化部215と、信号生成手段としての反射音信号生成部216とを備えている。
【0038】
上記の無相関化部215は、チャンネル分離部111からの信号SCDL(SCDR),SCDSR(SCDSL)を受ける。そして、無相関化部215は、信号SCDL(SCDR)に対して、信号SCDSR(SCDSL)との相関を除去する無相関化処理を施す。この無相関化処理により生成された信号NCDL(NCDR)は、反射音信号生成部216へ送られる。
【0039】
なお、本第1実施形態では、無相関化部215は、適応フィルタとして構成されている。すなわち、無相関化部215は、図6に示されるように、デジタルフィルタ部251と、減算部252と、係数算出部253とを備えている。
【0040】
上記のデジタルフィルタ部251は、本実施形態では、FIR(Finite Impulse Response)フィルタとして構成されている。このデジタルフィルタ部251は、チャンネル分離部111からの信号SCDSR(SCDSL)を受ける。そして、デジタルフィルタ部251は、係数算出部253からの係数指定CEFに従って、フィルタリング演算を行う。かかる機能を有するデジタルフィルタ部251は、M個の遅延器2561〜256Mと、(M+1)個の係数倍器2570〜257Mと、加算器258とを備えている。
【0041】
上記の遅延器256j(j=1〜M)のそれぞれは、入力した信号Xj-1(T)を単位遅延時間τだけ遅延させ、信号Xj(T)として出力する。ここで、信号X0(T)が、チャンネル分離部111からの信号SCDSR(SCDSL)となっている。この結果、信号Xj(T)と信号X0(T)との関係は、次の(1)式で表される。
j(T)=X0(T−j・τ) …(1)
【0042】
なお、本実施形態では、遅延器256jのそれぞれは、周期τの不図示の基準クロックに同期して信号Xj-1(T)をサンプリングして出力する。このため、単位遅延時間τの間、サンプリング結果が遅延器256jに保持されて、出力されるようになっている。
【0043】
遅延器256jにより生成された信号Xj(T)は、係数倍器257jへ向けて送られる。なお、係数倍器2570へは、信号X0(T)が送られるようになっている。また、信号XM(T)は、係数算出部253へも送られるようになっている。
【0044】
上記の係数倍器257m(m=0〜M)のそれぞれは、信号Xm(T)、及び、係数算出部253からの係数指定CEFにおけるタップ係数Vm(T)を受ける。そして、係数倍器257mは、信号Xm(T)とタップ係数Vm(T)とを乗算する。この乗算の結果は、加算部258へ送られる。
【0045】
上記の加算部258は、係数倍器2570〜257Mによる乗算結果[X0(T)・V0(T)]〜[XM(T)・VM(T)]を受ける。そして、加算部258は、次の(2)式により、信号Y(T)を算出し、減算部252へ送る。
Y(T)=X0(T)・V0(T)+…+XM(T)・VM(T) …(2)
【0046】
上記の減算部252は、チャンネル分離部111からの信号SCDL(SCDR)(=Z(T))及びデジタルフィルタ部251からの信号Y(T)を受ける。そして、減算部252は、次の(3)式により、誤差信号E(T)を算出する。
E(T)=Z(T)−Y(T) …(3)
【0047】
こうして算出された信号E(T)が、信号NCDL(NCDR)として、反射音信号生成部216及び係数算出部253へ送られる。
【0048】
上記の係数算出部253は、デジタルフィルタ部251からの信号XM(T)及び減算部252からの信号E(T)を受ける。そして、係数算出部253は、次の(4)式により、次回に利用されるタップ係数Vm(T+τ)を算出する。
m(T+τ)=Vm(T)+μ・E(T)・Xm(T) …(4)
ここで、値μは、適応制御における収束強度を決める更新ステップパラメータであり、適切な反射残響音効果の発揮の観点から、実験、シミュレーション、経験等に基づいて、予め定められる。
【0049】
こうして算出されたタップ係数V0(T+τ)〜VM(T+τ)が、時刻(T+τ)における利用のために、係数指定CEFとしてデジタルフィルタ部251へ送られる。より詳しくは、タップ係数Vm(T+τ)が、上述した係数倍器257mへ送られる。この結果、係数倍器257mに供給されるタップ係数が更新される。
【0050】
以上のような構成の無相関化部215により、信号SCDL(SCDR)から、信号SCDSR(SCDSL)との相関が除去される。
【0051】
図5に戻り、上記の反射音信号生成部216は、無相関化部215からの信号NCDL(NCDR)を受ける。そして、反射音信号生成部216は、信号NCDL(NCDR)に基づいて、反射音を生成する。かかる機能を有する反射音信号生成部216は、図7に示されるように、M個の遅延部2611〜261Mと、M個の減衰部2621〜262Mと、加算部263とを備えている。
【0052】
上記の遅延部261m(m=1〜M)のそれぞれは、入力した信号Xm-1(T)を遅延時間TDだけ遅延させ、信号Xm(T)を生成する。遅延部261mにより生成された信号Xm(T)は、減衰部262mへ送られる。
【0053】
ここで、信号X0(T)が、無相関化部215からの信号NCDL(NCDR)となっている。この結果、信号X0(T)と信号Xm(T)との関係は、次の(5)式で表される。
m(T)=X0(T−m・TD) …(5)
【0054】
なお、遅延時間TDは、反射音効果の観点から、実験、シミュレーション、経験等に基づいて、予め定められる。
【0055】
上記の減衰部262m(m=0〜M)のそれぞれは、信号Xm(T)を受ける。そして、減衰部262mは、係数Kmを信号Xm(T)に乗じる。この乗算結果は、加算部263へ送られる。
【0056】
ここで、係数Kmは、次の(6)式で表される。
m=rm …(6)
【0057】
なお、定数rは、1未満の定数であり、反射音効果の観点から、実験、シミュレーション、経験等に基づいて、予め定められる。
【0058】
上記の加算部263は、減衰部2621〜262Mによる乗算結果[K1・X1(T)]〜[KM・XM(T)]を受ける。そして、加算部263は、これらの乗算結果を加算することにより、反射音信号を生成する。こうして信号SCDSR(SCDSL)とは相関を有していない反射音信号が生成され、反射残響音信号RDAL(RDAR)として、加算部212へ送られる。
【0059】
図5に戻り、加算部212は、チャンネル分離部111からの信号SCDSR(SCDSL)及び反射残響音信号生成部211Aからの反射残響音信号RDAL(RDAR)を受ける。そして、加算部212は、信号SCDSR(SCDSL)と反射残響音信号RDAL(RDAR)とを加算する。
【0060】
この結果、信号SCDSR(SCDSL)に反射残響音信号RDAL(RDAR)が重畳された信号PCDSR(PCDSL)が生成される。こうして生成された信号PCDSR(PCDSL)は、アナログ処理部113へ送られる。
【0061】
図3に戻り、上記のアナログ処理部113は、反射残響音付与部112Aからの信号PCDL〜PCDSRを受ける。そして、アナログ処理部113は、制御処理部115による制御のもとで、出力音声信号AOSL〜AOSSRを生成し、スピーカユニット130L〜130SRへ送る。かかる機能を有するアナログ処理部113は、図8に示されるように、DA(Digital to Analogue)変換部231と、音量調整部232と、パワー増幅部233とを備えている。
【0062】
上記のDA変換部231は、反射残響音付与部112Aからの信号PCDL〜PCDSRを受ける。そして、DA変換部231は、信号PCDL〜PCDSRをアナログ信号に変換する。このDA変換部231は、4種のデジタル信号に対応して、互いに同様に構成された4個のDA変換器を備えている。DA変換部231による変換結果であるアナログ信号ACSL〜ACSSRは、音量調整部232へ送られる。
【0063】
上記の音量調整部232は、DA変換部231からのアナログ信号ACSL〜ACSSRを受ける。そして、音量調整部232は、制御処理部115からの音量調整指令VLCに従って、アナログ信号ACSL〜ACSSRに対して音量調整処理を施す。この音量調整部232は、本実施形態では、4種のアナログ信号に対応して、互いに同様に構成された4個の電子ボリューム素子等を備えて構成されている。音量調整部232による調整結果であるアナログ信号VCSL〜VCSSRは、パワー増幅部233へ送られる。
【0064】
上記のパワー増幅部233は、音量調整部232からのアナログ信号VCSL〜VCSSRを受ける。そして、パワー増幅部233は、アナログ信号VCSL〜VCSSRをパワー増幅する。このパワー増幅部233は、4種のアナログ信号に対応して、互いに同様に構成された4個のパワー増幅器を備えている。パワー増幅部233による増幅結果である出力音声信号AOSL〜AOSSRは、スピーカユニット130L〜130SRへ送られる。
【0065】
図3に戻り、次に、制御処理部115について説明する。この制御処理部115は、他の構成要素を制御しつつ、音響装置100Aの機能を発揮させる。この制御処理部115は、表示データIMDを出力し、利用者が再生すべき音声コンテンツの指定を支援するための案内画面を表示ユニット140に表示させる。そして、操作入力ユニット150から音声コンテンツを指定した再生指令が入力されると、制御処理部115は、再生指令DVCをドライブユニット120へ向けて発行し、再生コンテンツのデータ読み出しを制御する。
【0066】
また、制御処理部115は、音量調整部232を制御して、スピーカユニット130L〜130SRからの出力音量を調整する。この出力音量の制御に際して、制御処理部115は、操作入力ユニット150に入力された音量指定に従って音量調整指令VLCを生成し、音量調整部232へ向けて送る。
【0067】
<動作>
次に、上記のように構成された音響装置100Aの動作について、反射残響音付与処理に主に着目して説明する。
【0068】
利用者が、ドライブユニット120に記録媒体RMを挿入して、操作入力ユニット150に音声コンテンツを指定した再生指令を入力すると、その旨が、操作入力データIPDとして、制御処理部115へ送られる(図3参照)。この再生指令を受けると、制御処理部115は、再生指令DVCをドライブユニット120へ向けて発行し、再生コンテンツのデータ読み出しを制御する。
【0069】
かかる制御のもとで、記録媒体RMから読み出されたコンテンツデータCTDは、チャンネル分離部111へ送られる(図3参照)。コンテンツデータCTDを受けたチャンネル分離部111は、コンテンツデータCTDを展開して解析し、4チャンネルサラウンド方式におけるL〜SRチャンネルに対応する4個の信号SCDL〜SCDSRに分離する。こうして分離された信号SCDL〜SCDSRは、反射残響音付与部112Aへ送られる(図3参照)。
【0070】
信号SCDL〜SCDSRを受けた反射残響音付与部112Aは、信号SCDLをそのままの態様で、信号PCDLとしてアナログ処理部113へ送るとともに、信号SCDRをそのままの態様で、信号PCDRとしてアナログ処理部113へ送る(図4参照)。一方、反射残響音付与部112Aでは、個別反射残響音付与部210A1,210A2が、反射残響音付与処理を行う。
【0071】
かかる反射残響音付与処理では、個別反射残響音付与部210A1が、信号SCDLの関する反射残響音信号を信号SCDSRに重畳させる。また、個別反射残響音付与部210A2が、信号SCDRに関する反射残響音信号を信号SCDSLに重畳させる。
【0072】
より詳細には、個別反射残響音付与部210A1では、信号SCDL,SCDSRを受けた無相関化部215が、信号SCDLに対して、信号SCDSRとの相関を除去する無相関化処理を施し、信号NCDLとして反射音信号生成部216へ送る。信号NCDLを受けた反射音信号生成部216は、上述したように、信号NCDLに基づいて反射音を生成し、反射残響音信号RDALとして加算部212へ送る(図5参照)。
【0073】
そして、加算部212が、信号SCDSRと反射残響音信号RDALとを加算することにより、信号SCDSRに、信号SCDSRとは相関のない反射残響音信号RDALを重畳させ、信号PCDSRを生成する。こうして生成された信号PCDSRは、アナログ処理部113へ送られる(図5参照)。
【0074】
一方、個別反射残響音付与部210A2では、上記の個別反射残響音付与部210A1と同様にして、信号SCDRに関する反射残響音信号RDARを信号SCDSLに重畳させ、信号PCDSLを生成する。こうして生成された信号PCDSLは、アナログ処理部113へ送られる(図5参照)。
【0075】
この後、信号PCDL〜PCDSRは、DA変換部231においてアナログ信号ACSL〜ACSSRに変換される。引き続き、音量調整部232が、制御処理部115からの音量調整指令VLCに従って、アナログ信号ACSL〜ACSSRに対して音量調整処理を施し、アナログ信号VCSL〜VCSSRとして、パワー増幅部233へ送る(図8参照)。
【0076】
アナログ信号VCSL〜VCSSRを受けたパワー増幅部233は、アナログ信号VCSL〜VCSSRをパワー増幅して、出力音声信号AOSL〜AOSSRを生成し、スピーカユニット130L〜130SRへ送る。そして、スピーカユニット130L〜130SRが、出力音声信号AOSL〜AOSSRに従って、音声を再生出力する。
【0077】
この結果、スピーカユニット130L,130Rからは、音声コンテンツにおけるL,Rチャンネル音声が再生出力される。また、スピーカユニット130SLからは、音声コンテンツにおけるSLチャンネル音声に、当該SLチャンネル音声とは相関のない態様のRチャンネル音声の反射残響音が重畳された音声が再生出力される。また、スピーカユニット130SRからは、音声コンテンツにおけるSRチャンネル音声に、当該SRチャンネル音声とは相関のない態様のLチャンネル音声の反射残響音が重畳された音声が再生出力される。
【0078】
以上説明したように、本第1実施形態では、個別反射残響音付与部210A1において、信号SCDL,SCDSRを受けた無相関化部215が、信号SCDLに対して、信号SCDSRとの相関を除去する無相関化処理を施し、信号NCDLを生成する。引き続き、反射音信号生成部216が、信号NCDLに基づいて反射残響音信号RDALを生成する。そして、加算部212が、信号SCDSRと反射残響音信号RDALとを加算することにより、信号SCDSRに、信号SCDSRとは相関のない反射残響音信号RDALを重畳させ、スピーカユニット130SRへ向けて供給すべき信号PCDSRを生成する。
【0079】
また、個別反射残響音付与部210A2において、個別反射残響音付与部210A1の場合と同様にして、信号SCDSLに、信号SCDSLとは相関のない反射残響音信号RDARを重畳させ、スピーカユニット130SLへ向けて供給すべき信号PCDSLを生成する。
【0080】
このため、スピーカユニット130SLから、音声コンテンツにおけるSLチャンネル音声に、当該SLチャンネル音声とは相関のない態様のRチャンネル音声の反射残響音が重畳された音声を再生出力させることができる。また、スピーカユニット130SRからは、音声コンテンツにおけるSRチャンネル音声に、当該SRチャンネル音声とは相関のない態様のLチャンネル音声の反射残響音が重畳された音声を再生出力させることができる。
【0081】
したがって、本第1実施形態によれば、反射残響音効果が過大になったり、反射残響音が重畳されるチャンネルで表現しようと意図されていた音響効果を低減させたりすることを抑止し、適切な反射残響音効果を実現することができる。
【0082】
本第1実施形態では、スピーカユニット130Lから再生出力されるLチャンネル音声の反射残響音を、想定聴取位置Pに対して、スピーカユニット130Lの対角位置に配置されたスピーカユニット130SRから出力させる。また、スピーカユニット130Rから再生出力されるRチャンネル音声の反射残響音を、想定聴取位置Pに対して、スピーカユニット130Rの対角位置に配置されたスピーカユニット130SLから出力させる。このため、さらに適切な反射音効果を実現することができる。
【0083】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を、主に図9〜図11を参照して説明する。
【0084】
<構成>
図9には、第2実施形態に係る音響装置100Bの概略的な構成がブロック図にて示されている。この図9に示されるように、音響装置100Bは、上述した第1実施形態の音響装置100A(図1参照)と比べて、制御ユニット110Aに代えて制御ユニット110Bを備える点が異なっている。この制御ユニット110Bは、上述した制御ユニット110A(図3参照)と比べて、反射残響音付与部112Aに代えて、図10に示される構成の反射残響音付与部112Bを備えている点のみが異なっている。以下、この相違点に主に着目して説明する。
【0085】
図10に示されるように、反射残響音付与部112Bは、上述した反射残響音付与部112B(図4参照)と比べて、個別反射残響音付与部210A1,210A2に代えて、個別反射残響音付与部210B1,210B2を備えている。これらの個別反射残響音付与部210B1,210B2は、図11に示されるように、上述した個別反射残響音付与部210A1,210A2と比べて、反射残響音信号生成部211Aに代えて反射残響音信号生成部211Bを備える点が異なっている。
【0086】
図11に示されるように、反射残響音信号生成部211Bは、評価手段としての相関評価部217と、減衰手段としての減衰部218とを備えている。また、反射残響音信号生成部211Bは、反射音信号生成手段としての反射音生成部216を備えている。
【0087】
上記の相関評価部217は、チャンネル分離部111からの信号SCDL(SCDR),SCDSR(SCDSL)を受ける。引き続き、相関評価部217は、信号SCDL(SCDR)と信号SCDSR(SCDSL)との間の相関を評価することにより、ひいては、信号SCDSR(SCDSL)と、後述する反射残響音信号RDBL(RDBR)との間の相関の評価を行う。そして、当該評価の結果に基づいて、減衰部218に設定する係数を指定した減衰制御信号ACBL(ACBR)を生成する。
【0088】
こうした減衰制御信号ACBL(ACBR)の生成に際して、相関評価部217は、信号SCDL(SCDR),SCDSR(SCDSL)間の相関量に対応して、同相又は逆相で相関が強いほど係数を小さくし、相関が弱いほど係数を大きくする態様で、当該係数の値を決定する。なお、本第2実施形態では、当該係数が「0」から「1」までの範囲で変化するようになっている。こうして決定された係数を指定した減衰制御信号ACBL(ACBR)は、減衰部218へ向けて送られる。
【0089】
上記の減衰部218は、チャンネル分離部112からの信号SCDL(SCDR)を受けるとともに、相関評価部217からの減衰制御信号ACBL(ACBR)を受ける。そして、減衰部218は、減衰制御信号ACBL(ACBR)により指定された係数を信号SCDL(SCDR)に乗じる。この結果、信号SCDL(SCDR),SCDSR(SCDSL)が同相又は逆相で相関が強いほど大きく、相関が弱いほど小さな減衰率で、信号SCDL(SCDR)が減衰される。減衰部218による乗算結果は、信号ATDL(ATDR)として、反射音信号生成部216へ送られる。
【0090】
上記の反射音信号生成部216は、信号ATDL(ATDR)に基づいて、上述した第1実施形態の場合と同様に動作して、反射音信号を生成する。こうして生成された反射音信号が、反射残響音信号RDBL(RDBR)として、加算部212へ送られる。
【0091】
<動作>
次に、上記のように構成された音響装置100Bの動作について、反射残響音付与処理に主に着目して説明する。
【0092】
利用者が、ドライブユニット120に記録媒体RMを挿入して、操作入力ユニット150に音声コンテンツを指定した再生指令を入力すると、第1実施形態の場合と同様に、その旨が、操作入力データIPDとして、制御処理部115へ送られる。この再生指令を受けると、制御処理部115は、再生指令DVCをドライブユニット120へ向けて発行し、再生コンテンツのデータ読み出しを制御する。
【0093】
かかる制御のもとで、第1実施形態の場合と同様に、記録媒体RMから読み出されたコンテンツデータCTDは、チャンネル分離部111へ送られる。コンテンツデータCTDを受けたチャンネル分離部111は、コンテンツデータCTDを展開して解析し、4チャンネルサラウンド方式におけるL〜SRチャンネルに対応する4個の信号SCDL〜SCDSRに分離する。こうして分離された信号SCDL〜SCDSRは、反射残響音付与部112Bへ送られる。
【0094】
信号SCDL〜SCDSRを受けた反射残響音付与部112Bは、第1実施形態における反射残響音付与部112Aと同様に、信号SCDLをそのままの態様で、信号PCDLとしてアナログ処理部113へ送るとともに、信号SCDRをそのままの態様で、信号PCDRとしてアナログ処理部113へ送る(図10参照)。一方、反射残響音付与部112Bでは、個別反射残響音付与部210B1,210B2が、反射残響音付与処理を行う。
【0095】
かかる反射残響音付与処理では、個別反射残響音付与部210B1が、信号SCDLの関する反射残響音信号を信号SCDSRに重畳させる。また、個別反射残響音付与部210B2が、信号SCDRに関する反射残響音信号を信号SCDSLに重畳させる。
【0096】
より詳細には、個別反射残響音付与部210B1では、信号SCDL,SCDSRを受けた相関評価部217が、信号SCDLと信号SCDSRとの間の相関の評価することにより、ひいては、信号SCDSRと、後述する反射残響音信号RDBLとの間の相関の評価を行う。そして、相関評価部217は、当該評価の結果に基づいて、減衰部218に設定する係数を指定した減衰制御信号ACBLを生成し、減衰部218へ送る(図11参照)。
【0097】
こうした減衰制御信号ACBLの生成に際して、相関評価部217は、信号SCDL,SCDSR間の相関量に対応して、同相又は逆相で相関が強いほど係数を小さくし、相関が弱いほど係数を大きくする態様で、「0」から「1」までの範囲で、当該係数の値を決定する。
【0098】
減衰制御信号ACBLを受けた減衰部218は、チャンネル分離部112からの信号SCDLに、減衰制御信号ACBLにより指定された係数を乗じ、その乗算結果を信号ATDL(ATDR)として、反射音信号生成部216へ送る(図11参照)。ここで、信号SCDL,SCDSRが同相又は逆相で相関が強いほど大きく、相関が弱いほど小さな減衰率で、信号SCDLが減衰されて、信号ATDLが生成される。
【0099】
信号ATDLを受けた反射音信号生成部216は、信号ATDLに基づいて、上述した第1実施形態の場合と同様にして、反射音信号を生成し、反射残響音信号RDBLとして加算部212へ送る(図11参照)。そして、加算部212が、信号SCDSRと反射残響音信号RDBLとを加算することにより、信号SCDSRに、信号SCDLとの相関に対応して信号レベルが調整された反射残響音信号RDBLを重畳させ、信号PCDSRを生成する。こうして生成された信号PCDSRは、アナログ処理部113へ送られる(図11参照)。
【0100】
一方、個別反射残響音付与部210B2では、上記の個別反射残響音付与部210B1での場合と同様にして、信号SCDRに関する反射残響音信号RDBRを信号SCDSLに重畳させ、信号PCDSLを生成する。こうして生成された信号PCDSLは、アナログ処理部113へ送られる(図11参照)。
【0101】
この後、第1実施形態の場合と同様にして、信号PCDL〜PCDSRは、DA変換部231においてアナログ信号ACSL〜ACSSRに変換される。引き続き、音量調整部232が、制御処理部115からの音量調整指令VLCに従って、アナログ信号ACSL〜ACSSRに対して音量調整処理を施し、アナログ信号VCSL〜VCSRSRとして、パワー増幅部233へ送る(図8参照)。
【0102】
アナログ信号VCSL〜VCSSRを受けたパワー増幅部233は、第1実施形態の場合と同様にして、アナログ信号VCSL〜VCSSRをパワー増幅して、出力音声信号AOSL〜AOSSRを生成し、スピーカユニット130L〜130SRへ送る。そして、スピーカユニット130L〜130SRが、出力音声信号AOSL〜AOSSRに従って、音声を再生出力する。
【0103】
この結果、スピーカユニット130L,130Rからは、音声コンテンツにおけるL,Rチャンネル音声が再生出力される。また、スピーカユニット130SLからは、音声コンテンツにおけるSLチャンネル音声に、当該SLチャンネル音声との相関に対応する音量レベルのRチャンネル音声の反射残響音が重畳された音声が再生出力される。また、スピーカユニット130SRからは、音声コンテンツにおけるSRチャンネル音声に、当該SRチャンネル音声との相関に対応する音量レベルのLチャンネル音声の反射残響音が重畳された音声が再生出力される。
【0104】
以上説明したように、本第2実施形態では、個別反射残響音付与部210B1において、信号SCDL,SCDSRを受けた相関評価部217が、信号SCDLと信号SCDSRとの間の相関を評価することにより、信号SCDSRと反射残響音信号RDBLとの間の相関の評価を行う。そして、相関評価部217は、当該評価の結果に基づいて、減衰部218に設定する係数を指定した減衰制御信号ACBLを生成し、減衰部218へ送る。
【0105】
引き続き、減衰制御信号ACBLを受けた減衰部218が、チャンネル分離部112からの信号SCDLに、減衰制御信号ACBLにより指定された係数を乗じ、その乗算結果を信号ATDLとして、反射音信号生成部216へ送る(図11参照)。ここで、信号SCDL,SCDSRが同相又は逆相で相関が強いほど大きく、相関が弱いほど小さな減衰率で、信号SCDLが減衰されて、信号ATDLが生成される。
【0106】
次に、信号ATDLを受けた反射音信号生成部216が、信号ATDLに基づいて、反射音信号を生成し、反射残響音信号RDBLとして加算部212へ送る。そして、加算部212が、信号SCDSRと反射残響音信号RDBLとを加算することにより、信号SCDSRに、信号SCDLとの相関に対応して信号レベルが調整された反射残響音信号RDBLを重畳させ、スピーカユニット130SRへ向けて供給すべき信号PCDSRを生成する。
【0107】
また、個別反射残響音付与部210B2が、個別反射残響音付与部210B1と同様に動作して、信号SCDSLに、信号SCDRとの相関に対応して信号レベルが調整された反射残響音信号RDBRを重畳させ、スピーカユニット130SLへ向けて供給すべき信号PCDSLを生成する。
【0108】
このため、スピーカユニット130SLから、音声コンテンツにおけるSLチャンネル音声に、Rチャンネル音声との相関に対応する音量レベルのRチャンネル音声の反射残響音が重畳された音声が再生出力される。また、スピーカユニット130SRから、音声コンテンツにおけるSRチャンネル音声に、Lチャンネル音声との相関に対応する音量レベルのLチャンネル音声の反射残響音が重畳された音声が再生出力される。
【0109】
したがって、本第2実施形態によれば、上述した第1実施形態の場合と同様に、反射残響音効果が過大になったり、反射残響音が重畳されるチャンネルで表現しようと意図されていた音響効果を低減させたりすることを抑止し、適切な反射残響音効果を実現することができる。
【0110】
本第2実施形態では、スピーカユニット130Lから再生出力されるLチャンネル音声の反射残響音を、想定聴取位置Pに対して、スピーカユニット130Lの対角位置に配置されたスピーカユニット130SRから出力させる。また、スピーカユニット130Rから再生出力されるRチャンネル音声の反射残響音を、想定聴取位置Pに対して、スピーカユニット130Rの対角位置に配置されたスピーカユニット130SLから出力させる。このため、上述した第1実施形態の場合と同様に、さらに適切な反射音効果を実現することができる。
【0111】
[第3実施形態]
次いで、本発明の第3実施形態を、主に図12〜図14を参照して説明する。
【0112】
<構成>
図12には、第3実施形態に係る音響装置100Cの概略的な構成がブロック図にて示されている。この図12に示されるように、音響装置100Cは、上述した第1実施形態の音響装置100A(図1参照)と比べて、制御ユニット110Aに代えて制御ユニット110Cを備える点が異なっている。この制御ユニット110Cは、上述した制御ユニット110A(図3参照)と比べて、反射残響音付与部112Aに代えて、図13に示される構成の反射残響音付与部112Cを備えている点のみが異なっている。以下、この相違点に主に着目して説明する。
【0113】
図13に示されるように、反射残響音付与部112Cは、上述した反射残響音付与部112A(図4参照)と比べて、個別反射残響音付与部210A1,210A2に代えて、個別反射残響音付与部210C1,210C2を備えている。これらの個別反射残響音付与部210C1,210C2は、図14に示されるように、上述した個別反射残響音付与部210A1,210A2と比べて、反射残響音信号生成部211Aに代えて反射残響音信号生成部211Cを備える点が異なっている。
【0114】
図14に示されるように、反射残響音信号生成部211Cは、反射音信号生成手段としての反射音生成部216と、評価手段としての相関評価部217とを備えている。また、反射残響音信号生成部211Bは、減衰手段としての減衰部218を備えている。
【0115】
上記の反射音信号生成部216は、チャンネル分離部111からの信号SCDL(SCDR)に基づいて、上述した第1及び第2実施形態の場合と同様に動作して、反射音信号RFDL(RFDR)を生成する。こうして生成された反射音信号RFDL(RFDR)は、相関評価部217及び減衰部218へ送られる。
【0116】
上記の相関評価部217は、チャンネル分離部111からの信号SCDSR(SCDSL)及び反射音信号生成部216からの反射音信号RFDL(RFDR)を受ける。引き続き、相関評価部217は、第2実施形態の場合と同様に動作して、信号SCDSR(SCDSL)と反射音信号RFDL(RFDR)との間を相関の評価することにより、ひいては、信号SCDSR(SCDSL)と、後述する反射残響音信号RDCL(RDCR)との間の相関の評価を行う。そして、当該評価の結果に基づいて、減衰部218に設定する係数を指定した減衰制御信号ACCL(ACCR)を生成する。
【0117】
こうした減衰制御信号ACCL(ACCR)の生成に際して、相関評価部217は、信号SCDSR(SCDSL),RDCL(RDCR)間の相関量に対応して、上述の第2実施形態の場合と同様に、同相又は逆相で相関が強いほど係数を小さくし、相関が弱いほど係数を大きくする態様で、当該係数の値を決定する。なお、本第3実施形態でも、第2実施形態の場合と同様に、当該係数が「0」から「1」までの範囲で変化するようになっている。こうして決定された係数を指定した減衰制御信号ACCL(ACCR)は、減衰部218へ向けて送られる。
【0118】
上記の減衰部218は、反射音信号生成部216からの反射音信号RFDL(RFDR)を受けるとともに、相関評価部217からの減衰制御信号ACCL(ACCR)を受ける。そして、減衰部218は、減衰制御信号ACCL(ACCR)により指定された係数を信号反射音信号RFDL(RFDR)に乗じる。この結果、信号SCDSR(SCDSL),RDCL(RDCR)が同相又は逆相で相関が強いほど大きく、相関が弱いほど小さな減衰率で、信号RFDL(RFDR)が減衰される。減衰部218による乗算結果は、反射残響音信号RDCL(RDCR)として、加算部212へ送られる。
【0119】
<動作>
次に、上記のように構成された音響装置100Cの動作について、反射残響音付与処理に主に着目して説明する。
【0120】
利用者が、ドライブユニット120に記録媒体RMを挿入して、操作入力ユニット150に音声コンテンツを指定した再生指令を入力すると、第1及び第2実施形態の場合と同様に、その旨が、操作入力データIPDとして、制御処理部115へ送られる。この再生指令を受けると、制御処理部115は、再生指令DVCをドライブユニット120へ向けて発行し、再生コンテンツのデータ読み出しを制御する。
【0121】
かかる制御のもとで、第1及び第2実施形態の場合と同様に、記録媒体RMから読み出されたコンテンツデータCTDは、チャンネル分離部111へ送られる。コンテンツデータCTDを受けたチャンネル分離部111は、コンテンツデータCTDを展開して解析し、4チャンネルサラウンド方式におけるL〜SRチャンネルに対応する4個の信号SCDL〜SCDSRに分離する。こうして分離された信号SCDL〜SCDSRは、反射残響音付与部112Cへ送られる。
【0122】
信号SCDL〜SCDSRを受けた反射残響音付与部112Cは、第1及び第2実施形態における反射残響音付与部112A,112Bと同様に、信号SCDLをそのままの態様で、信号PCDLとしてアナログ処理部113へ送るとともに、信号SCDRをそのままの態様で、信号PCDRとしてアナログ処理部113へ送る(図13参照)。一方、反射残響音付与部112Cでは、個別反射残響音付与部210C1,210C2が、反射残響音付与処理を行う。
【0123】
かかる反射残響音付与処理では、個別反射残響音付与部210C1が、信号SCDLの関する反射残響音信号を信号SCDSRに重畳させる。また、個別反射残響音付与部210C2が、信号SCDRに関する反射残響音信号を信号SCDSLに重畳させる。
【0124】
より詳細には、個別反射残響音付与部210C1では、チャンネル分離部111からの信号SCDLを受けた反射音信号生成部216が、信号SCDLに基づいて、反射音信号RFDLを生成する。こうして生成された反射音信号RFDLは、相関評価部217及び減衰部218へ送られる(図14参照)。
【0125】
引き続き、チャンネル分離部111からの信号SCDSR及び反射音信号生成部216からの反射音信号RFDLを受けた相関評価部217が、信号SCDSRと反射音信号RFDLとの間の相関の評価することにより、信号SCDSRと反射残響音信号RDBLとの間の相関の評価を行う。そして、相関評価部217は、当該評価の結果に基づいて、減衰部218に設定する係数を指定した減衰制御信号ACCLを生成し、減衰部218へ送る(図14参照)。
【0126】
こうした減衰制御信号ACCLの生成に際して、相関評価部217は、信号SCDSRと反射音信号RFDLとの間の相関量に対応して、同相又は逆相で強い相関があるほど係数を小さくし、相関が弱いほど係数を大きくする態様で、「0」から「1」までの範囲で、当該係数の値を決定する。
【0127】
減衰制御信号ACCLを受けた減衰部218は、反射音信号生成部216からの反射音信号RFDLに、減衰制御信号ACCLにより指定された係数を乗じ、その乗算結果を覇者残響音信号RDCLとして、加算部212へ送る(図14参照)。ここで、信号SCDSRと反射音信号RFDLとが、同相又は逆相で相関が強いほど大きく、相関が弱いほど小さな減衰率で、反射音信号RFDLが減衰されて、反射残響信号RDCLが生成される。
【0128】
そして、加算部212が、信号SCDSRと反射残響音信号RDCLとを加算することにより、信号SCDSRに、反射音信号RFDLとの相関に対応して信号レベルが調整された反射残響音信号RDCLを重畳させ、信号PCDSRを生成する。こうして生成された信号PCDSRは、アナログ処理部113へ送られる(図14参照)。
【0129】
一方、個別反射残響音付与部210C2では、上記の個別反射残響音付与部210C1での場合と同様にして、信号SCDRに関する反射残響音信号RDCRを信号SCDSLに重畳させ、信号PCDSLを生成する。こうして生成された信号PCDSLは、アナログ処理部113へ送られる(図14参照)。
【0130】
この後、第1及び第2実施形態の場合と同様にして、信号PCDL〜PCDSRは、DA変換部231においてアナログ信号ACSL〜ACSSRに変換される。引き続き、音量調整部232が、制御処理部115からの音量調整指令VLCに従って、アナログ信号ACSL〜ACSSRに対して音量調整処理を施し、アナログ信号VCSL〜VCSRSRとして、パワー増幅部233へ送る(図8参照)。
【0131】
アナログ信号VCSL〜VCSSRを受けたパワー増幅部233は、第1及び第2実施形態の場合と同様にして、アナログ信号VCSL〜VCSSRをパワー増幅して、出力音声信号AOSL〜AOSSRを生成し、スピーカユニット130L〜130SRへ送る。そして、スピーカユニット130L〜130SRが、出力音声信号AOSL〜AOSSRに従って、音声を再生出力する。
【0132】
この結果、スピーカユニット130L,130Rからは、音声コンテンツにおけるL,Rチャンネル音声が再生出力される。また、スピーカユニット130SLからは、音声コンテンツにおけるSLチャンネル音声に、当該SLチャンネル音声との相関に対応する音量レベルのRチャンネル音声の反射残響音が重畳された音声が再生出力される。また、スピーカユニット130SRからは、音声コンテンツにおけるSRチャンネル音声に、当該SRチャンネル音声との相関に対応する音量レベルのLチャンネル音声の反射残響音が重畳された音声が再生出力される。
【0133】
以上説明したように、本第3実施形態では、個別反射残響音付与部210C1において、信号SCDLを受けた反射音信号生成部216が、信号SCDLに基づいて、反射音信号RFDLを生成し、相関評価部217及び減衰部218へ送る。引き続き、相関評価部217が、信号SCDSRと反射音信号RFDLとの間を相関の評価することにより、信号SCDSRと反射残響音信号RDBLとの間の相関の評価を行う。そして、相関評価部217は、当該評価の結果に基づいて、減衰部218に設定する係数を指定した減衰制御信号ACCLを生成し、減衰部218へ送る。
【0134】
次に、減衰制御信号ACCL受けた減衰部218が、反射音信号生成部216からの反射音信号RFDLに減衰制御信号ACCLにより指定された係数を乗じ、その乗算結果を反射残響信号RDCLとして、加算部212へ送る。ここで、信号SCDSRと反射音信号RFDLとが、同相又は逆相で相関が強いほど大きく、相関が弱いほど小さな減衰率で、反射音信号RFDLが減衰されて、反射残響音信号RDCLが生成される。
【0135】
そして、加算部212が、信号SCDSRと反射残響音信号RDCLとを加算することにより、信号SCDSRに、反射音信号RFDLとの相関に対応して信号レベルが調整された反射残響音信号RDCLを重畳させ、スピーカユニット130SRへ向けて供給すべき信号PCDSRを生成する。
【0136】
また、個別反射残響音付与部210C2が、個別反射残響音付与部210C1と同様に動作して、信号SCDSLに、反射音信号RFDRとの相関に対応して信号レベルが調整された反射残響音信号RDBRを重畳させ、スピーカユニット130SLへ向けて供給すべき信号PCDSLを生成する。
【0137】
このため、スピーカユニット130SLから、音声コンテンツにおけるSLチャンネル音声に、Rチャンネル音声の反射音との相関に対応する音量レベルのRチャンネル音声の反射残響音が重畳された音声が再生出力される。また、スピーカユニット130SRから、音声コンテンツにおけるSRチャンネル音声に、Lチャンネル音声の反射音との相関に対応する音量レベルのLチャンネル音声の反射残響音が重畳された音声が再生出力される。
【0138】
したがって、本第3実施形態によれば、上述した第1及び第2実施形態の場合と同様に、反射残響音効果が過大になったり、反射残響音が重畳されるチャンネルで表現しようと意図されていた音響効果を低減させたりすることを抑止し、適切な反射残響音効果を実現することができる。
【0139】
本第3実施形態では、スピーカユニット130Lから再生出力されるLチャンネル音声の反射残響音を、想定聴取位置Pに対して、スピーカユニット130Lの対角位置に配置されたスピーカユニット130SRから出力させる。また、スピーカユニット130Rから再生出力されるRチャンネル音声の反射残響音を、想定聴取位置Pに対して、スピーカユニット130Rの対角位置に配置されたスピーカユニット130SLから出力させる。このため、上述した第1及び第2実施形態の場合と同様に、さらに適切な反射音効果を実現することができる。
【0140】
[実施形態の変形]
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0141】
例えば、上記の第1〜第3実施形態では、4チャンネルサラウンド構成におけるL,Rチャンネル音声の反射残響音を、SR,SLチャンネル音声用のスピーカユニットから出力させるようにした。これに対し、SL,SRチャンネル音声の反射残響音を、R,Lチャンネル音声用のスピーカユニットから出力させるようにすることもできる。
【0142】
また、上記の第1〜第3実施形態では、4チャンネルサラウンド方式の音響装置に本発明を適用したが、5.1チャンネルサラウンド方式や、7.1チャンネルサラウンド方式を採用する音響装置に対しても、本発明を適用することができる。
【0143】
また、第2及び第3実施形態における相関評価部217が行う相関評価は、周知の相関係数を用いて行うようにしてもよい。この相関係数の絶対値は、同相又は逆相で相関が強いほど「1」に近い値をとり、相関が弱いほど「0」に近い値を取ることになる。このため、相関評価部217が、減衰部218に設定する係数を、相関係数の絶対値が「1」のときに「0」となり、相関係数の絶対値が「0」のときに「1」となるようにすればよい。
【0144】
また、上記の第2及び第3実施形態では、減衰部218に設定する係数値の可変範囲を0〜1としたが、任意の範囲とすることができる。
【0145】
また、上記の第2実施形態では、減衰部217により、チャンネル分離部111からの信号SCDL(SCDR)を減衰させることにしたが、第3実施形態の場合と同様に、信号SCDL(SCDR)に基づいて反射音信号生成部216により生成された反射音信号を減衰させるようにしてもよい。
【0146】
また、上記の第2及び第3実施形態では、減衰部218に設定する係数の可変範囲、及び、相関評価の変化に対する当該係数の変化態様を固定的とした。これに対し、例えば、操作入力ユニット150を介した利用者の指定に対応して、制御処理部115が、当該係数の可変範囲や当該係数の変化態様を、相関評価部216に対して指定することができるようにしてもよい。
【0147】
また、上記の第1〜第3実施形態では、反射音信号生成部216の反射音信号生成の態様を固定的とした。これに対し、例えば、操作入力ユニット150を介した利用者の指定に対応して、制御処理部115が、減衰係数rの値を反射音信号生成部216に対して指定できるようにしてもよい。
【0148】
また、上記の第1〜第3実施形態では、ドライブユニット120で記録媒体RMに記録された音声コンテンツを読み取ることにしたが、ラジオ放送や地上デジタルテレビ放送を受信して、音声コンテンツを取得するようにすることもできる。
【0149】
なお、上記の第1〜第3実施形態における制御ユニットを中央処理装置(CPU:Central Processor Unit)やDSP(Digital Signal Processor)を備えるコンピュータシステムとして構成し、チャンネル分離部、反射残響音付与部及び制御処理部の機能を、プログラムの実行によっても実現するようにすることができる。これらのプログラムは、CD−ROM、DVD等の可搬型記録媒体に記録された形態で取得されるようにしてもよいし、インターネットなどのネットワークを介した配送の形態で取得されるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0150】
【図1】本発明の第1実施形態に係る音響装置の構成を概略的に示す図である。
【図2】図1の4個のスピーカの配置位置及び想定聴取位置を説明するための図である。
【図3】図1の制御ユニットの構成を説明するためのブロック図である。
【図4】図3の反射残響音付与部の構成を説明するためのブロック図である。
【図5】図4の個別反射残響音付与部の構成を説明するためのブロック図である。
【図6】図5の無相関化部の構成を説明するためのブロック図である。
【図7】図5の反射音信号生成部の構成を説明するためのブロック図である。
【図8】図3のアナログ処理部の構成を説明するためのブロック図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る音響装置の構成を概略的に示す図である。
【図10】図9の制御ユニット内の反射残響音付与部の構成を説明するためのブロック図である。
【図11】図10の個別反射残響音付与部の構成を説明するためのブロック図である。
【図12】本発明の第3実施形態に係る音響装置の構成を概略的に示す図である。
【図13】図12の制御ユニット内の反射残響音付与部の構成を説明するためのブロック図である。
【図14】図13の個別反射残響音付与部の構成を説明するためのブロック図である。
【符号の説明】
【0151】
100A〜100C … 音響装置
211A〜211C … 反射残響音信号生成部(生成手段)
212 … 加算部(合成手段)
215 … 無相関化部(無相関化手段)
216 … 反射音信号生成部(信号生成手段、反射音信号生成手段)
217 … 相関評価部(評価手段)
218 … 減衰部(減衰手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1スピーカ及び第2スピーカを含む複数のスピーカから音場空間へ向けて音声を出力させる音響装置であって、
前記第1スピーカに対応する第1チャンネル信号に基づいて、前記第1スピーカからの再生音声の反射残響音に対応する反射残響音信号を生成する生成手段と;
前記生成手段により生成された前記反射残響音信号と、前記第2スピーカに対応する第2チャンネル信号とを合成し、前記第2スピーカに供給する合成手段と;を備え、
前記生成手段は、前記第2チャンネル信号との相関を考慮した前記反射残響音信号を生成する、
ことを特徴とする音響装置。
【請求項2】
前記生成手段は、
前記第1チャンネル信号の前記第2チャンネル信号に対する相関を低減させる無相関化手段と;
前記無相関化手段により生成された無相関化信号に基づいて、前記反射残響音信号を生成する信号生成手段と;
を備えることを特徴とする請求項1に記載の音響装置。
【請求項3】
前記生成手段は、
前記第1チャンネル信号と前記第2チャンネル信号との相関を評価する評価手段と;
前記評価手段による評価結果に基づいて決定された減衰率で、前記第1チャンネル信号を減衰させる減衰手段と;
前記減衰手段による減衰結果に基づいて、前記反射残響音信号を生成する反射音信号生成手段と;
を備えることを特徴とする請求項1に記載の音響装置。
【請求項4】
前記生成手段は、
前記第1チャンネル信号に基づいて、反射音信号を生成する反射音生成手段と;
前記反射音信号と前記第2チャンネル信号との相関を評価する評価手段と;
前記評価手段による評価結果に基づいて決定された減衰率で、前記反射音信号を減衰させて、前記反射残響音信号を生成する減衰手段と;
を備えることを特徴とする請求項1に記載の音響装置。
【請求項5】
前記第2スピーカは、前記音場空間における想定聴取位置にとって、前記第1スピーカの配置位置とは反対側の位置に配置される、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の音響装置。
【請求項6】
第1スピーカ及び第2スピーカを含む複数のスピーカから音場空間へ向けて音声を出力させる音声再生方法であって、
前記第1スピーカに対応する第1チャンネル信号に基づいて、前記第1スピーカからの再生音声の反射残響音に対応する反射残響音信号を生成する生成工程と;
前記生成工程において生成された前記反射残響音信号と、前記第2スピーカに対応する第2チャンネル信号とを合成し、前記第2スピーカに供給する合成工程と;を備え、
前記生成工程では、前記第2チャンネル信号との相関を考慮した前記反射残響音信号を生成する、
ことを特徴とする音声再生方法。
【請求項7】
請求項6に記載の音声再生方法を演算手段に実行させる、ことを特徴とする音声再生プログラム。
【請求項8】
請求項7に記載の音声再生プログラムが、演算手段により読み取り可能に記録されている、ことを特徴とする記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−225407(P2009−225407A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−70769(P2008−70769)
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】