説明

音響装置

【課題】 盗難対象となりにくくする効果を十分に得ることができるようにすると共に利便性を向上可能な音響装置を提供すること。
【解決手段】 カーオーディオ機器10から操作装置12を分離、独立させ、取り外して持ち運べるようにすると共に、操作装置12に記録メディアの挿入口13と、イヤホン接続端子14と、USB接続端子15を設け、操作装置12をオーディオ機器本体11から取り外した後も、操作装置12単独で、記録メディアの再生等を行えるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に装備されるカーオーディオ装置等の音響装置に関する。
【背景技術】
【0002】
音響装置の一態様として、自動車等に装備されるカーオーディオ機器が普及している。このようなカーオーディオ機器は、車荒し等によって盗難される恐れがある。この盗難の恐れを低減するために、カーオーディオ機器の前面のパネルを着脱自在とし、自動車の持ち主が降車する際に、パネルを取り外すことができるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このパネルを取り外すことにより、カーオーディオ機器を使用することができないため、車両に搭載されている、パネルが取り外された状態のカーオーディオ装置は利用価値が無く、結果的に盗難の対象となりにくくなる。
【0004】
図4は、前面のパネルが着脱自在なカーオーディオ装置の構成例を示す図である。図4において、カーオーディオ装置の本体1に、パネル2が着脱自在に取り付けられている。
【0005】
本体1にパネル2を取り付けた状態では、所定の表示およびカーオーディオ装置本体1の操作が可能である。一方、カーオーディオ装置本体1からパネル2を取り外し、例えば、自動車の所有者がパネル2を持ち歩くようにすることで、本体1の使用が不能となり、間接的に盗難防止の効果が得られる。
【特許文献1】特開平11−53874号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の音響装置にあっては、取り外したパネルは、本体に取り付けない限りその役割はなく、また、そのサイズが大きく、持ち歩きには不便である。すなわち、本体に着脱可能なパネルは、それ単独では使用価値がなく、取り外した後の容積も大きく、邪魔になるため、面倒くさがって取り外しをしないユーザが出てくる。これでは、折角の盗難防止機能(すなわち、パネルを取り外すことで、カーオーディオ機器の使用価値を一時的に無くし、その結果として、盗難の対象となりにくくする機能)を、充分に生かすことができなくなる。
【0007】
本発明は、上記従来の事情に鑑みてなされたものであって、盗難対象となりにくくする効果を十分に得ることができるようにすると共に利便性を向上可能な音響装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の音響装置は、音響装置本体と、前記本体に脱着可能に取り付けられる操作装置と、を備え、前記本体は、前記操作装置によってのみ操作可能であって、前記操作装置が取り外された状態において動作不能であり、前記操作装置は、操作情報を入力するための操作キーを含む操作部と、前記本体との着脱状態を検出する着脱検出部と、前記操作装置が前記本体に取り付けられている状態では、前記操作部から入力された操作信号を前記本体に送り、また、前記操作装置が前記本体から取り外されている状態では、前記操作信号に従って前記本体から独立した機能を動作させる制御部と、を有する。
【0009】
この構成により、操作装置を取り外して持ち歩く部分とすることで、ユーザが持ち運び易くなり、さらに、操作装置に独立した機能(例えば、音楽メディア再生機能)を付与することにより、利便性を高め、操作装置の使用頻度を高めることができ、結果として盗難防止につながる。
【0010】
また、本発明の音響装置において、前記操作装置は記録媒体を装着するためのインタフェース部と、前記操作部から入力された操作情報にしたがって前記記録媒体を再生する再生部と、をさらに有する。
【0011】
この構成により、操作装置の独立した機能として、記録媒体の再生機能を有することにより、操作装置の利便性を高め、操作装置の使用頻度を更に高めることができる。
【0012】
また、本発明の音響装置において、前記操作装置は、その内部に設けられた電源をさらに有し、前記制御部は、前記操作装置が前記本体に取り付けられている状態では、前記本体を経由して供給される電力を、前記操作装置内の各回路に供給し、前記操作装置が前記本体から取り外されている状態では、前記操作装置の内部に設けられた電源から供給される電力を前記操作装置内の各回路に供給する。
【0013】
この構成により、電源供給の面でも、操作装置が本体と一体として使用される場合ならびに単独で使用される場合の双方に、無理なく対応することができる。
【0014】
また、本発明の音響装置において、前記本体は、前記操作装置との間で認証動作を行い、正規の操作装置が取り付けられたことが判明した場合にのみ前記操作装置からの操作を受け付ける。
【0015】
この構成により、装置本体は正規の操作装置に対してのみ操作を受け付けるので、操作装置を取り外すことによる盗難抑止効果を高めることができる。
【0016】
また、本発明の音響装置において、前記操作装置は、さらに、イヤホン端子を装備し、このイヤホン端子を介して音声出力が可能である。
【0017】
この構成により、操作装置を、音声再生が可能なポータブル機器としても、手軽に利用できるようになり、利便性が向上する。
【0018】
また、本発明の音響装置において、前記記録媒体は、メモリカード、磁気を利用した記録媒体、ハードディスク装置のいずれかである。
【0019】
この構成により、各種の記録メディアを手軽に利用することができる。
【0020】
また、本発明の音響装置において、前記操作装置は、さらに、USB端子、IEEE端子の少なくとも一つを装備し、コンピュータとの接続が可能である。
【0021】
この構成により、操作装置をコンピュータに接続し、コンピュータから記録メディア内の情報の編集を行うといった動作を実行することができる。
【0022】
また、本発明の音響装置において、前記本体の所定の面の主要部には表示部が固定的に設けられており、前記操作装置は、前記所定の面における前記表示部を除いたスペースに、着脱自在に取り付けられる。
【0023】
この構成により、本体から取り外した操作装置には、余分な表示パネル等が存在しないため、外観がシンプルであり、実用的な外観の確保も容易である。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、盗難装置を盗難対象となりにくくする効果を十分に得ることができるようにすると共に利便性を向上可能な音響装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態に係る音響装置を、図面を参照して説明する。なお、本発明の実施形態では、音響装置の一例として、カーオーディオ機器に適用した場合について説明する。
【0026】
図1は、操作装置を取り外した状態における、本発明の実施形態のカーオーディオ機器の斜視図である。図1において、参照符号10は、カーオーディオ機器である。
【0027】
図示されるように、カーオーディオ機器10は、オーディオ機器本体11と、このオーディオ機器本体11の前面の主要部に配置される表示パネル部(表示部)16とを有して構成される。また、参照符号12は、オーディオ機器本体11に着脱自在に取り付けられる操作装置である。
【0028】
操作装置12には、記録メディアの挿入口13と、イヤホン端子14と、USB接続端子(IEEE端子でもよい)15が設けられている。カーオーディオ機器の使用時(ユーザが乗車している時)には、操作装置12は、オーディオ機器本体11に取り付けられた状態となっている。そして、ユーザが車を離れる時は、操作装置12を取り外し、ユーザが持ち運ぶようにする。
【0029】
操作装置12が無ければ、オーディオ機器本体11が動作できないため、操作装置12を取り外すことにより、オーディオ機器本体11の使用価値がなくなり、結果的に、盗難の対象となりにくくなる。ここで、図4(従来例)との比較から明らかなように、図1に示すカーオーディオ機器では、操作装置12に、表示パネル部(表示部)16が含まれないことから、操作装置12の小型化、軽量化が実現されている。
【0030】
したがって、ユーザは、操作装置12を手軽に持ち運ぶことができ、結果的に、ユーザによる操作装置12の取り外し頻度が増える。よって、オーディオ機器本体11を、盗難の対象となりにくくするという効果が発揮されやすい。
【0031】
さらに、図1の操作装置12は、従来例と異なり、単独で所定の機能(ここでは、メディアプレイ機能)を発揮することができるようになっている。つまり、操作装置12は、音楽メディア等を再生可能なポータブル機器としても利用可能であり、それ自体で動作する機器となっている。
【0032】
すなわち、取り外した操作装置12の挿入口13に記録メディア(メモリカードやMD等)を挿入し、イヤホン端子14にイヤホン(図1では不図示)を取り付けることにより、操作装置12を、ポータブルオーディオ機器として使用可能になる。また、操作装置12にラジオ受信機(テレビ受信機)としての機能が付加されていれば、イヤホンを介してラジオ放送を聞くこと(あるいは、テレビの視聴)も可能である。
【0033】
また、操作装置12にUSB接続端子(または、IEEE端子)15を設けることにより、コンピュータを用いて記録メディア内部の編集、追加、更新作業が可能になる。また、コンピュータと連携した動作(例えば、コンピュータに接続されたインターネットを介して、外部機器と通信を行う等)も可能である。この場合は、操作装置12が、通信機能をもつ機器として機能していることになる。また、操作装置12をポータブルゲーム機として使用することも可能である。
【0034】
このように、操作装置12自体が、独立した機能を発揮できるようになることにより、ユーザが、操作装置12を取り外して持ち運ぶ頻度が、さらに高まり、結果的に、オーディオ機器本体11を、盗難の対象となりにくくするという効果が、さらに発揮されることになる。
【0035】
また、オーディオ機器本体11から取り外した操作装置12には、余分な表示パネル等が存在しないため、外観がシンプルであり、実用的な外観の確保も容易である。また、操作装置12自体が小さいため、その操作装置12を取り外した後の、オーディオ機器本体11の外観(美観)も不自然なく保たれ(つまり、オーディオ機器本体11の前面の主要部は、通常どおり、表示部16で覆われていて外観の変化が少なく)、操作装置12を取り外した状態における機器本体11のデザインという観点からも、違和感がなく、従来の装置よりも有利である。
【0036】
次に、カーオーディオ機器10(オーディオ機器部11、表示パネル部16、操作装置12)の内部構成について説明する。図2は、本発明の実施形態のカーオーディオ機器(特に、オーディオ機器部と表示パネル部)の内部構成の一例を示すブロック図である。なお、操作装置12の内部構成については、図3を用いて説明することにし、図2では、主に、操作装置12に設けられている操作キーの内容(概要)を説明するにとどめる。
【0037】
図2に示されるように、カーオーディオ機器10のオーディオ機器部11は、ラジオ受信用アンテナ(ANT)と、ラジオチューナ(AM/FM放送受信手段)102と、音声信号を増幅する増幅器104と、音声を出力するスピーカ(SP)と、車両のバッテリー(EV)に接続される電源安定化回路106(電解コンデンサや、サージアブソーバ等を含む)と、DSP108(デジタルサウンドプロセッサ等:最低限電子ボリューム機能を有し、ユーザの操作に応じて音量や音質調整を実行することができる)と、音楽ソース110(図示されないDVD再生装置等からの音声信号やチューナからの音声信号自体や、そのインタフェース回路を含む)と、電源コントローラ111と、CPU112と、脱着検出器114と、コネクタ116と、を有する。
【0038】
電源コントローラ111には、電源安定化回路106から安定化された電源電圧が入力され、電源コントローラ111は、電力を増幅器104、DSP108、CPU112等の各電子部品に供給し、かつ、その電力供給を制御する。すなわち、電源コントローラ111は、レベルシフト機能や、CPU112とシリアル通信を行い、どのタイミングでどの部品への電力供給をオン/オフさせるかなどのコントロール機能も有する。
【0039】
また、CPU112は、カーオーディオ機器10全体の動作を統括的に制御する。このCPU112は、例えば、操作装置12に設けられている操作キーの操作に応じてモード変更を実施したり、音量制御のための信号をDSP108に出力したり、モード変更による表示内容変更のための信号を表示ドライバ122に出力したり、あるいは、操作装置12の脱着を示す脱着検出信号(脱着検出器114から供給される)を受けて、電源コントローラ111に制御信号を与える等の制御動作を実施する。
【0040】
また、CPU112は、操作装置12が取り付けられた場合に、その操作装置12から送られてくる認証コードを受信して、正規の操作装置12が接続されているか否かをチェックし、正規の操作装置12以外からの操作を拒絶するという、認証動作も実施する。また、CPU112は、操作装置12に対して、自己の認証コードを発出するという動作も行う場合がある。
【0041】
なお、認証は、誤った操作装置12による、オーディオ機器本体11の操作を防止するために行うものであり、認証方式として種々の方式を採用可能であるが、あまり高度な認証は必要なく、一般的な認証技術の利用で十分であると考えられる。例えば、オーディオ機器本体11ならびに操作装置12の双方に認証コードを記録するメモリを設け、操作装置12の装着時に、相互に、メモリに記録されている認証コードの確認を実施する方式や、操作装置12の装着毎に、ユーザが、暗証番号を入力する方式を採用することができる。
【0042】
そして、認証動作を行うことにより、仮に操作装置12を取り外した状態でオーディオ機器本体11が盗難に遭ったとしても、他の操作装置で盗難されたオーディオ機器本体11を操作することができなくなる。すなわち、オーディオ装置本体11は正規の操作装置12に対してのみ操作を受け付けるので、この機能を事前に公に知らしめることで盗難抑止効果を得ることができる。
【0043】
また、脱着検出器114は、操作装置12の、オーディオ機器本体11に対する着脱を検出する。オーディオ機器本体に対する操作装置12の着脱の検出に関しては、2値(例えばH/L)の検出ができればよい。したがって、基本的には、スイッチングトランジスタを用いた簡単なインタフェース回路を用いて、着脱の検出を行うことができる。
【0044】
すなわち、オーディオ機器本体11側において、着脱検出用の信号ラインの一端を数Vの電圧でプルアップしておき、一方、操作装置12側にインタフェース用のスイッチングトランジスタを設け、オーディオ機器本体11に操作装置12が接続された状態(着状態)では、そのスイッチングトランジスタがオンして、着脱検出用の信号ラインをグランドにプルダウンできるようにしておく。これにより、脱着検出器114は、着脱検出用の信号ラインのレベルが“H”であるか“L”であるかをチェックすることにより、操作装置12の脱着を、容易に検出することができる。
【0045】
なお、操作装置12の着脱を、無線技術のみを用いて検出することも可能である。この場合には、予め定められている特定の信号をオーディオ機器本体11が受信したときに、オーディオ機器本体11が、操作装置12が接続されている(着状態)と認識する構成とすればよい。
【0046】
また、コネクタ116は、オーディオ機器本体11と操作装置12とを接続するための一般的なコネクタを使用可能である。このコネクタ116を介して、オーディオ機器本体11と操作装置12との間で、やり取りされる信号としては、「操作信号」と、「電源電圧(操作装置12がオーディオ機器本体11に接続されている状態のみ)」と、「着脱検出信号」と、「認証コード(正規の、一対の機器本体と操作装置が接続されているかをチェックするための認証信号であり、例えば、オーディオ機器本体11および操作装置12の各々に搭載されるCPUが相互に出力する)」と、が最低限あればよい。なお、コネクタ116を用いる有線接続に代えて、無線を用いた接続も採用することができる。
【0047】
また、図2の表示パネル部16は、表示ドライバ122と、表示パネル124と、を有する。表示ドライバ122は、オーディオ機器本体11内のCPU112に接続されると共に、コネクタ116を介して、操作装置12と接続されており、ユーザによって、操作装置12に設けられている、どの操作ボタンが操作されたかを検出し(キーマトリクスなどを利用して検出する)、そのキー操作情報をCPU112に送信すると共に、操作に応じた表示を表示パネル(LCD等)に表示させるための表示信号を供給する。また、表示パネル(LCD等)124は、表示ドライバ122から送られてきた表示信号に応じて、現在のモード表示や音量値表示あるいは音質表示などを行う。
【0048】
次に、操作装置12について説明する。図示されるように、操作装置12には、表示部150付きのイヤホン152が接続されている。操作装置12には、VoL,MENU、P−SET、DISC、TUNE、TRACK、PWR等の操作キーが設けられている。
【0049】
ここで、VoLは、音量調整のための操作キーである。MENUは、モード選択などのための操作キーである。P−SETは、プリセット設定のための操作キーである。DISCは、ディスクモードへ移行する際の操作ボタン(ディスクモードへ移行する方法としては他にディスク挿入口にディスクが挿入されたことを検出して自動的にディスクモードへ移行させる方法もある)。TUNEは、ラジオモード時の選局操作キーである。TRACKは、ディスクトラック選択用のキーである。PWRは、電源のオン/オフ用のキーである。
【0050】
次に、操作装置12の内部構成について説明する。図3は、操作装置の内部の構成例を示すブロック図である。この操作装置12は、図2に示されるオーディオ機器本体11を操作する機能(第1の操作機能)と、オーディオ機器本体11から取り外された操作装置12単独で、記録メディアの再生を行うための機能(第2の操作機能)を併せ持っている。したがって、操作装置12の着脱状態に応じて、操作信号の送り先が異なり、また、使用する電源も異なる。
【0051】
図示されるように、操作装置12は、オーディオ機器本体11と有線接続するためのコネクタ132(図2のコネクタ116と同様に、一般的なコネクタである)と、装着される記録メディア160との間で、必要な信号や情報の授受を行うためのインタフェース手段(メディアI/F)と、操作装置12の動作を統括的に制御するCPU136と、着脱検出器138と、充電式電源装置140と、ボリュームコントローラ142と、操作部144(操作キーおよび入力される操作信号のインタフェース回路等を含む)と、イヤホンジャック146と、を有する。
【0052】
イヤホンジャック146には、表示部(表示ドライバ内蔵)150付きのイヤホン(あるいはヘッドホン)152が接続される。
【0053】
次に、操作装置12の各部の動作を説明する。着脱検出器138は、オーディオ機器本体11内の着脱検出器114と同様に、所定の検出信号ラインの“H”,“L”を検出し、その検出信号をCPU136に送る。
【0054】
検出信号ラインが“H”のときは、オーディオ機器本体11から操作装置12が取り外された状態であり、“L”のときは、操作装置12がオーディオ機器本体11に取り付けられている状態である。
【0055】
操作装置12の着脱検出結果に応じて、CPU136は、以下の制御を実施する。まず、電源供給については、以下の動作を行う。
【0056】
すなわち、CPU136は、操作装置12が取り付けられている状態では、オーディオ機器本体11の電源コントローラ111、コネクタ116ならびにコネクタ132を介して供給される安定化された電源電圧を、操作装置12内の各部の回路に印加する。また、これと並行して、充電式電源装置(小型電源)140を充電する。
【0057】
また、操作装置12が取り外された状態では、オーディオ機器本体11からの電源供給が遮断されるため、CPU136は、充電式電源装置140からの電力を、操作装置12内の各回路に供給する。また、操作信号の送信先も、着脱検出の結果に応じて、切り替えられる。
【0058】
操作装置12が取り付けられているときは、CPU136は、操作部144からの信号を、コネクタ132を介して、オーディオ機器本体側のCPU112に送信する。一方、操作装置12が取り外されているときは、操作装置12の単独で記録メディア160の再生を行えるようにする必要がある。したがって、CPU136は、操作部144からの信号を受けて、操作信号に応じた、操作装置12内の各部の動作の制御、信号処理等を実施する。すなわち、CPU136は、SDカード等の記録メディア160に記録されている音楽情報等を再生し、その再生信号は、ボリュームコントローラ142、ジャック146を介して、イヤホン(ヘッドホン)142に送られる。
【0059】
このように、操作装置12は、オーディオ機器本体11に従属する側面と、オーディオ機器本体11からは独立した、別個のポータブル機器としての側面を併せもっている。そして、この結果、操作装置12を取り外した状態では、異なる2つの効果を奏することになる。
【0060】
すなわち、操作装置12が取り外されると、オーディオ機器本体11の操作ができなくなり、オーディオ機器本体11(および表示部16)を盗難の対象となりにくくするという効果(盗難防止効果)が得られる。これと同時に、取り外した操作装置12をポータブル機器として活用して、手軽に、記録メディアの再生を行ったり、コンピュータと接続して記録メディアの編集を行うこと(さらに、インターネットを介して通信を行う等)が可能となり、ユーザの利便性を向上させるという効果(利便性向上効果)が得られる。
【0061】
この2つの効果が同時に得られることにより、カーオーディオ機器全体としての使い勝手が良くなり、付加価値が向上し、また、ユーザが車を離れる際に操作装置12を取り外して持ち運ぶ頻度が増え、本来の盗難防止効果を十分に発揮させることもできるようになる。
【0062】
また、機能面だけでなく、本発明のカーオーディオ装置は、デザインの面でも効果を発揮する。すなわち、機器本体から取り外した操作装置には、余分な表示パネル等が存在しないため、外観がシンプルであり、実用的な外観の確保も容易である。また、操作装置自体が小さいため、その操作装置を取り外した後の、オーディオ機器本体の外観(美観)も不自然なく保たれる。また、オーディオ機器本体の前面の主要部には、表示パネルが存在するため、この点でも、違和感を与えることがなく、デザインの点でも有利である。
【0063】
以上説明したように、本発明の実施形態のカーオーディオ機器は、操作装置を機器本体から分離、独立させ、機器本体に着脱自在な構成を採用することにより、操作装置が小型化され、ユーザが持ち運び易くなるという効果を有する。さらに、操作装置に独立した機能(例えば、音楽メディア再生機能)を付与することにより、ユーザからみた利便性を高め、操作装置の使用頻度を高めることができる。
【0064】
したがって、カーオーディオ機器本体を使用しないとき(すなわち、ユーザが車から離れる際)における、ユーザの操作装置の取り外し頻度を自然に高めることができ、結果的に、カーオーディオ機器を盗難対象となりにくくする効果が十分に発揮されるようになる。また、ポータブル機器(携帯機器)として使用可能な操作装置が備わることによって、カーオーディオ機器全体としての価値が高まり、カーオーディオ機器自体の高機能化ならびに利便性の向上を達成することもできる。
【0065】
また、着脱検出の結果に応じて、操作信号の送り先や電力の供給ルートを切り替えることにより、簡単な構成でもって、操作装置が、本体と一体として使用される場合、および単独で使用される場合の双方に、無理なく対応できる。また、オーディオ機器本体が認証動作を実行することにより、正規の操作装置が取り付けられた場合にのみ、その操作装置からの操作信号を受け入れるようにすることができる。よって、操作装置を着脱自在にしたことによる、カーオーディオ機器全体としての信頼性の低下を防止することができる。
【0066】
また、操作装置にイヤホンを接続できるようにすることにより、操作装置を、音声再生が可能なポータブル機器(各種の機能をもつ携帯機器)としても手軽に利用できるようになり、カーオーディオ機器の利便性が向上する。また、操作装置に、各種の記録メディアを装着可能とすることにより、操作装置の独立した機能を多様化することができる。
【0067】
また、USB端子等を介して、操作装置をコンピュータに接続可能とすることにより、コンピュータから記録メディア内の情報の編集を自由に行うこと等が可能となる。また、オーディオ機器本体の前面のうちの、ディスプレイ部分を除く残余の部分が、本発明に係る操作装置が取り付けられる領域であり、従来に比べ、操作装置(取り外しが可能な装置部分)の小型化、軽量化が可能である。したがって、操作装置を、オーディオ機器本体から取り外し易くなり、また、手軽に持ち運ぶことができるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明の音響装置は、盗難対象となりにくくする効果を十分に得ることができるようにすると共に利便性を向上可能な効果を有し、カーオーディオ機器等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】操作装置を取り外した状態における、本発明の実施形態のカーオーディオ機器の斜視図
【図2】カーオーディオ機器(特に、オーディオ機器部と表示パネル部)の内部構成の一例を示すブロック図
【図3】操作装置の内部の構成例を示すブロック図
【図4】前面のパネルが着脱自在のカーオーディオ機器(従来例)の構成を示す図
【符号の説明】
【0070】
10 カーオーディオ機器
11 オーディオ機器本体
12 操作装置
13 記録メディア挿入口
14 イヤホン接続端子
15 USB接続端子
16 表示パネル部
102 ラジオチューナ
104 音声信号を増幅する増幅器
106 電源安定化回路
108 DSP
110 音楽ソース
111 電源コントローラ
112 CPU
114 脱着検出器
116 コネクタ
ANT ラジオ受信用アンテナ
SP スピーカ
EV 車のバッテリー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音響装置本体と、
前記本体に脱着可能に取り付けられる操作装置と、
を備え、
前記本体は、前記操作装置によってのみ操作可能であって、前記操作装置が取り外された状態において動作不能であり、
前記操作装置は、操作情報を入力するための操作キーを含む操作部と、前記本体との着脱状態を検出する着脱検出部と、前記操作装置が前記本体に取り付けられている状態では、前記操作部から入力された操作信号を前記本体に送り、また、前記操作装置が前記本体から取り外されている状態では、前記操作信号に従って前記本体から独立した機能を動作させる制御部と、を有する音響装置。
【請求項2】
請求項1記載の音響装置であって、
前記操作装置は記録媒体を装着するためのインタフェース部と、前記操作部から入力された操作情報にしたがって前記記録媒体を再生する再生部と、をさらに有する音響装置。
【請求項3】
請求項2記載の音響装置であって、
前記操作装置は、その内部に設けられた電源をさらに有し、前記制御部は、前記操作装置が前記本体に取り付けられている状態では、前記本体を経由して供給される電力を、前記操作装置内の各回路に供給し、前記操作装置が前記本体から取り外されている状態では、前記操作装置の内部に設けられた電源から供給される電力を前記操作装置内の各回路に供給する音響装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか一項記載の音響装置であって、
前記本体は、前記操作装置との間で認証動作を行い、正規の操作装置が取り付けられたことが判明した場合にのみ前記操作装置からの操作を受け付ける音響装置。
【請求項5】
請求項2ないし4のいずれか一項記載の音響装置であって、
前記操作装置は、さらに、イヤホン端子を装備し、このイヤホン端子を介して音声出力が可能である音響装置。
【請求項6】
請求項2ないし5のいずれか一項記載の音響装置であって、
前記記録媒体は、メモリカード、磁気を利用した記録媒体、ハードディスク装置のいずれかである音響装置。
【請求項7】
請求項2ないし5のいずれか一項記載の音響装置であって、
前記操作装置は、さらに、USB端子、IEEE端子の少なくとも一つを装備し、コンピュータとの接続が可能である音響装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか一項記載の音響装置であって、
前記本体の所定の面の主要部には表示部が固定的に設けられており、前記操作装置は、前記所定の面における前記表示部を除いたスペースに、着脱自在に取り付けられる音響装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2006−65994(P2006−65994A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−249652(P2004−249652)
【出願日】平成16年8月30日(2004.8.30)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】