説明

頭皮用育毛剤

【課題】頭皮深部への浸透効果と成分の徐放効果を兼備し、発毛・育毛効果及び白髪防止効果の高い頭皮用育毛剤を提供する。
【解決手段】ステビア抽出物と、セラミド前駆体と、セラミドと、血流促進成分とをそれぞれ生体適合性ナノ粒子内に封入して頭皮用育毛剤とする。このナノ粒子が毛穴や頭皮表面から頭皮の深部にまで浸透することにより、育毛成分を頭皮深部にまで到達させるとともに、頭皮深部において作用機序の異なる4種類の育毛成分をナノ粒子から徐々に放出させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、白髪や細毛の予防・改善のための頭皮用育毛剤に関する。
【背景技術】
【0002】
人の毛髪は、発毛と脱毛のサイクル(毛周期)を繰り返すことにより新たな毛髪に生え替わる。この毛周期は、毛母細胞の分裂により新しい毛球が作られ、毛乳頭が皮下組織に達して盛んに栄養を吸収し、毛が毛孔から頭皮表面に出て伸びていく成長期、毛母細胞の分裂が止まって毛根が上に押し上げられ、毛乳頭が毛球から離れて抜けるための準備を行う移行期、毛乳頭と毛が離れ抜け落ちた後、毛乳頭が休止する休止期から成り、2ヶ月〜1年間の休止期を経て、再び毛母細胞が分裂し、成長期に入る。
【0003】
脱毛症には、成長期に毛が十分発育しないまま移行期へ移ってしまう結果、毛が細く柔らかいまま毛周期的に短い状態で脱毛に至ってしまう壮年性、若年性脱毛症(男性型脱毛症)、抜毛期間(休止期)が延長する休止期性脱毛症(女性形脱毛症)、ストレスによる円形脱毛症などがある。
【0004】
例えば男性型脱毛症の場合、男性ホルモンの一種であるテストステロンが血液中から毛母細胞に達すると、細胞内に存在する還元酵素の5αリダクターゼの作用によりテストステロンがジヒドロテストステロン(DHT)に変化する。このDHTが細胞核に入り、特に細胞分裂のエネルギー源として不可欠のアデノシン3リン酸(ATP)の産生を阻害する。これにより毛母細胞は不活性化し、成長期毛が休止期毛に変化して脱毛するに至る。なお、脱毛には、男性ホルモン以外にも、血液循環の不全、栄養障害、遺伝、皮脂分泌異常や頭皮常在微生物の増殖に起因するフケ・かゆみの発生等、様々な原因が考えられている。
【0005】
一方、白髪は、遺伝、加齢、生活環境、病気、ストレスなどの要因の一つ或いは複数が重なることによって色素細胞(メラノサイト)の働きが弱まったり消失したりして、髪を黒くするメラニン色素が作れなくなるために発生すると考えられている。
【0006】
近年、新たな育毛成分の開発が盛んに行われており、脱毛の防止及び育毛を目的とする育毛剤が多数上市されている。これらの商品は、上述したような脱毛の原因を改善するため、血管拡張剤、栄養補給剤、男性ホルモン拮抗成分、抗炎症成分、抗アレルギー剤、殺菌成分、保湿成分等、作用機序の異なる成分を種々組み合わせて配合されている。これらの成分の中には、マウス等の動物実験により発毛効果が実証されているものもある。
【0007】
例えば特許文献1には、育毛成分としてステビア抽出物を含有する育毛組成物が開示されている。また、特許文献2には、生体膜の構成成分であるスフィンゴ脂質(セラミド)を育毛成分とする育毛剤が開示されている。
【0008】
しかし、これらの育毛剤を使用したにもかかわらず、発毛効果が現れない場合があった。この原因には、多数の要因が関与していると考えられるが、その一つに有効成分の頭皮浸透性の問題がある。従来、外用薬剤を塗布するのは、指による直接塗布や、脱脂綿、刷毛などの器具を利用して塗布する方法が一般的である。
【0009】
塗布部分に滞留して薬効を発現する薬剤については、確実な薬効発現のためには、一定面積の皮膚に対しては一定量の薬剤塗布が必要である。ところが、脱毛症に悩む人の多くは、頭皮が過剰な皮脂、フケ或いはゴミ等で汚れていることもあり、従来の方法では、たとえ毛根に作用する有効成分を塗布しても、塗布部位の頭皮の状態や薬剤の性質により、塗布部にはじかれてしまい十分に薬剤を投与することができないなど、塗布量に見合うだけの効果が得られないと考えられる。
【0010】
そこで、頭皮内部に存在する毛根や血管等に作用する有効成分を作用部位まで到達させるための方法が種々提案されており、例えば特許文献3には、シクロプロスリンやフィナステライド等の育毛促進物質や、セラミド、スフィンゴシン(セラミド代謝物)等の生体膜の構成成分を両親媒性高分子中に捕集した自己集合性ナノ粒子を有効成分として含有する皮膚外用剤組成物が開示されている。
【0011】
一方、白髪対策としてはカラーリングが一般的であるが、毛髪に「パサつき」「きしみ」「切れ毛」等のダメージを生じる不都合がある。白髪予防を強調した頭皮用育毛剤は現在市販されてはいないが、例えば特許文献4、5には、各種の植物由来物(抽出エキス)等を有効成分とする白髪防止剤が提案されている。これらは、例えばメラニン合成細胞の増殖促進・活性化等により、白髪の予防・改善を実現しようとするものである。
【特許文献1】特開平10−36229号公報
【特許文献2】特開2001−278750号公報
【特許文献3】特表2007−520576号公報
【特許文献4】特開2004−161639号公報
【特許文献5】特開2006−69967号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ここで、育毛、養毛剤の発毛効果をより確実に発現させるためには、作用部位までの有効成分の確実な到達に加えて、有効成分を長期間に亘って放出させる、いわゆる徐放性を有することが望ましい。さらに、作用機序の異なる複数の有効成分の組み合わせにより相乗的な発毛効果を発現させることが望ましい。しかしながら、上記特許文献1、2においては、有効成分の徐放性については何ら考慮されていなかった。また、特許文献3の方法では両親媒性ナノ粒子内に薬剤を保持させるため、ある程度の徐放性は期待されるが、作用機序の異なる複数の有効成分の組み合わせについては何ら記載されておらず、発毛効果は十分なものとは言えなかった。
【0013】
また、特許文献4、5に記載されている従来の白髪防止剤においては、主としてメラニン合成の活性化に着目したものであり、頭髪の重要な成分であるセラミド産生の観点からは十分な白髪防止法とはいえなかった。
【0014】
本発明は、上記問題点に鑑み、頭皮内部への浸透効果と成分の徐放効果を兼備し、発毛・育毛効果及び白髪防止効果の高い頭皮用育毛剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために本発明は、ステビア抽出物と、セラミド前駆体と、セラミドと、血流促進成分とをそれぞれ生体適合性高分子に封入して成る生体適合性ナノ粒子を含む頭皮用育毛剤である。
【0016】
また本発明は、上記構成の頭皮用育毛剤において、前記セラミド前駆体がグルコシルセラミドであることを特徴としている。
【0017】
また本発明は、上記構成の頭皮用育毛剤において、前記セラミドが以下の化学式(1)、(2)で表される化合物から選ばれた少なくとも1つであることを特徴としている。
【化1】

【化2】

【0018】
また本発明は、上記構成の頭皮用育毛剤において、前記血流促進成分がビタミンE誘導体であることを特徴としている。
【0019】
また本発明は、上記構成の頭皮用育毛剤において、前記生体適合性ナノ粒子に対する前記各成分の封入率が0.5重量%以上20重量%以下であることを特徴としている。
【0020】
また本発明は、上記構成の頭皮用育毛剤において、生体適合性ナノ粒子を形成する生体適合性高分子が、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸・グリコール酸共重合体、若しくはアスパラギン酸・乳酸共重合体のいずれかであることを特徴としている。
【0021】
また本発明は、上記構成の頭皮用育毛剤において、前記生体適合性ナノ粒子と共に糖アルコールが複合化されることを特徴としている。
【0022】
また本発明は、上記構成の頭皮用育毛剤において、前記生体適合性ナノ粒子と共にビタミンまたはビタミン誘導体が複合化されることを特徴としている。
【0023】
また本発明は、上記構成の頭皮用育毛剤において、複合化された前記生体適合性ナノ粒子を液中に分散させて成ることを特徴としている。
【0024】
また本発明は、上記構成の頭皮用育毛剤において、前記液中に他の育毛成分を配合したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0025】
本発明の第1の構成によれば、ステビア抽出物、セラミド前駆体、セラミド、血流促進成分の4成分を育毛成分として用いることにより、作用機序の異なる育毛成分の相乗効果で顕著な白髪抑制効果と育毛効果を得ることができる。また、育毛成分が封入された生体適合性ナノ粒子が毛穴や頭皮表面から頭皮の深部にまで浸透することにより、育毛成分を毛根部にまで到達させるとともに、毛根部においてナノ粒子から徐々に育毛成分を放出させることができる。その結果、頭皮深部へのナノ粒子の浸透と育毛成分の徐放により優れた持続性を発揮する頭皮用育毛剤が提供される。
【0026】
また、本発明の第2の構成によれば、上記第1の構成の頭皮用育毛剤において、セラミド前駆体としてセラミド2及びセラミド5を産生するグルコシルセラミドを用いることにより、グルコシルセラミドの分解に伴い毛髪成分の一部であるセラミド2及びセラミド5が継続的に補給されるため毛髪ダメージや毛髪強度を長期間に亘り効果的に改善できる。
【0027】
また、本発明の第3の構成によれば、上記第1又は第2の構成の頭皮用育毛剤において、セラミドとして毛髪成分の一部であるセラミド2又はセラミド5のうち少なくとも1つを用いることにより、毛髪成分の一部であるセラミド2又はセラミド5が直接且つ速やかに補給されるため、毛髪ダメージや毛髪強度を短期間で効果的に改善できる。
【0028】
また、本発明の第4の構成によれば、上記第1乃至第3のいずれかの構成の頭皮用育毛剤において、血流促進成分として効果の高いビタミンE誘導体を用いることにより、育毛効果をより向上させることができる。
【0029】
また、本発明の第5の構成によれば、上記第1乃至第4のいずれかの構成の頭皮用育毛剤において、生体適合性ナノ粒子に対する各成分の封入率を0.5重量%以上20重量%以下とすることにより、ナノ粒子の粒子径を頭皮から良好に浸透できる程度に抑え、且つナノ粒子内に封入される育毛成分量を高めることができる。
【0030】
また、本発明の第6の構成によれば、上記第1乃至第5のいずれかの構成の頭皮用育毛剤において、生体適合性高分子としてポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸・グリコール酸共重合体、若しくはアスパラギン酸・乳酸共重合体のいずれかを用いることにより、生体への刺激・毒性が低く、育毛成分を内包可能であり、当該成分の効力を保持したまま長期間保存できるとともに、生体適合性高分子の分解により数日から1ヶ月単位の徐放が可能となる。
【0031】
また、本発明の第7の構成によれば、上記第1乃至第6のいずれかの構成の頭皮用育毛剤において、ナノ粒子と共に糖アルコールを複合化することにより、複合化されたナノ粒子の分散性、耐熱性が向上するとともに、一旦封入された育毛成分の粒子表面への再漏出を防止できる。尚、糖アルコールのうち、特にトレハロースでは、保湿作用による育毛効果の向上が実現される。
【0032】
また、本発明の第8の構成によれば、上記第1乃至第7の構成の頭皮用育毛剤において、ナノ粒子と共にビタミンまたはビタミン誘導体を複合化することにより、ナノ粒子内に封入された各成分と、ビタミン類やビタミン誘導体とが相乗的に作用して、一層顕著な育毛効果が発現される。
【0033】
また、本発明の第9の構成によれば、上記第7又は第8の構成の頭皮用育毛剤において、生体適合性ナノ粒子を液中に分散させることにより、ナノ粒子内に封入され各成分の育毛効果を有効に発現させることができる。
【0034】
また、本発明の第10の構成によれば、上記第9の構成の頭皮用育毛剤において、液中に他の育毛成分を配合することにより、作用機序の異なるより多くの育毛成分を毛母細胞や毛乳頭へ供給できる。また、頭皮表面に作用する成分を配合しておけば、これらの薬剤の頭皮表面への即効性を確保しつつ、頭皮深部においてはナノ粒子からの育毛成分の徐放により長期間に亘る育毛効果が期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
本発明の頭皮用育毛剤は、育毛効果を有するステビア抽出物、セラミド前駆体、セラミド、及び血流促進成分の各育毛成分をそれぞれ生体適合性高分子内に封入して、ナノ単位の大きさの粒子とした生体適合性ナノ粒子を含有するものである。このナノ粒子が毛穴や頭皮表面から頭皮の深部にまで浸透することにより、育毛成分を頭皮深部にまで到達させるとともに、頭皮深部においてナノ粒子から徐々に育毛成分を放出させることができるため、頭皮用育毛剤として好適に用いることができる。
【0036】
本発明に用いられる生体適合性高分子は、生体への刺激・毒性が低く、投与後分解して代謝される生体内分解性のものが望ましい。また、内包する育毛成分を持続して徐々に放出する粒子であることが好ましい。このような素材としては、特に乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA)を好適に用いることができる。PLGAは薬物を内包可能であり、当該育毛成分の効力を保持したまま長期間保存できることが知られている。さらに、PLGAの加水分解・長期半減期の特徴から、数日から1ヶ月単位の徐放ができると考えられる。
【0037】
PLGAの分子量は、5,000〜200,000の範囲内であることが好ましく、15,000〜25,000の範囲内であることがより好ましい。乳酸とグリコール酸との組成比は1:99〜99:1であればよいが、乳酸1に対しグリコール酸1/3であることが好ましい。また、乳酸およびグリコール酸の含有量が25重量%〜65重量%の範囲内であるPLGAは、非晶質であり、かつアセトン等の有機溶媒に可溶であるから、好適に使用される。
【0038】
また、水溶性の育毛成分を封入する場合、PLGAの表面をポリエチレングリコール(PEG)で修飾しておくと、育毛成分とPLGAとの親和性が向上し、封入量を増やせるため好ましい。生体適合性高分子としては、ほかに、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリアスパラギン酸等が挙げられる。また、これらのコポリマーであるアスパラギン酸・乳酸共重合体(PAL)やアスパラギン酸・乳酸・グリコール酸共重合体(PALG)を用いても良く、アミノ酸のような荷電基あるいは官能基化し得る基を有していてもよい。
【0039】
上記以外の生体適合性高分子としては、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエチレンのようなポリアルキレン、ポリプロピレン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテルおよびポリビニルエステルのようなポリビニル化合物、アクリル酸とメタクリル酸とのポリマー、セルロースおよび他の多糖類、ならびにペプチドまたはタンパク質、あるいはそれらのコポリマーまたは混合物が挙げられる。
【0040】
次に、生体適合性ナノ粒子内に封入される育毛成分について説明する。ステビア抽出物は、ステビア、アマハステビア等のステビア属植物の葉、茎、根、花、実等の各部位、若しくは全草から有機溶媒または水を用いて抽出して得られるステビオール配糖体を主成分とするエキスであり、毛乳頭細胞、毛母細胞を賦活化して毛髪の産生を促進する(細胞賦活作用)とともに、メラノサイトを活性化して黒色色素の産生を促進する(白髪抑制作用)。さらに、頭皮の炎症を抑制する効果(抗炎症作用)も備えている。
【0041】
抽出に使用される有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、酢酸エチル等のエステル類、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類等が挙げられるが、毛髪や頭皮への残留溶媒の安全性の面からエタノールが好ましい。
【0042】
セラミドは、角層の細胞間脂質の約50%を占めるスフィンゴ脂質のことを指し、ヒト角層に存在するセラミドの種類と化学構造はセラミド1〜セラミド7の7種類があることが知られている。セラミドはセリンとパルミトイル−CoAから種々の酵素の働きにより生成され、一旦グルコシルセラミド又はスフィンゴミエリン(セラミド前駆体)として蓄積された後、角質最下層において細胞外に排出される。そして、角質細胞間でグルコセレブロシダーゼ又はスフィンゴミエリナーゼにより再度セラミドに変換され、他の細胞間脂質と共にセラミド分子が一定の方向に隙間無く並び積み重なった層状構造(ラメラ構造)を構築する。そして、セラミダーゼによってスフィンゴシンと脂肪酸に分解される。
【0043】
ここで、セラミドは疎水性部分(親油基)と親水性部分(親水基)を有しているため、ラメラ構造中に水分を保持できる。これにより、角層は保湿機能及びバリア機能を発揮することができる。通常はグルコセレブロシダーゼ、スフィンゴミエリナーゼ及びセラミダーゼの3つの酵素がバランス良く作用することによって細胞間脂質内のセラミド量は一定に保たれている。しかし、酵素のバランスが崩れてセラミド量が減少すると保湿機能やバリア機能も低下する。
【0044】
そこで、セラミド自体やセラミド前駆体を頭皮に供給することにより、毛髪ダメージや毛髪強度を改善し、ハリやコシのある健やかな毛髪を産生することができる。また、セラミドの有する保湿作用により頭皮の乾燥を防ぎ、ハリのある頭皮環境を構築することができる。
【0045】
本発明に用いられるセラミドとしては、セラミド1〜セラミド7の中でも毛髪成分の一部である下記の化学式(1)で表されるセラミド2、及び化学式(2)で表されるセラミド5が好ましく、このうち毛髪成分の88%を占めるセラミド2が特に好ましい。
【化1】

【0046】
【化2】

セラミド2及びセラミド5は毛髪成分であるため、セラミド2またはセラミド5の配合により毛髪成分を頭皮に直接且つ速やかに補給することができ、毛髪ダメージや毛髪強度を短期間で効果的に改善し、ハリやコシのある健やかな毛髪を産生することができる。
【0047】
セラミド前駆体は、生体内での代謝によりセラミドを産生する物質であり、例えば毛乳頭細胞や毛母細胞に取り込まれた後、セラミドに変換されるグルコシルセラミドやスフィンゴミエリンの他、ヒト以外の動植物から抽出されるスフィンゴ糖脂質が挙げられる。スフィンゴ糖脂質は、セラミドに糖が結合したものであり、グルコースが結合したグルコシルセラミドやガラクトースが結合したガラクトシルセラミド等がある。
【0048】
本発明に用いられるセラミド前駆体としては、セラミド2及びセラミド5の産生能が高いグルコシルセラミドが好ましく、中でも工業的に入手容易なコメヌカスフィンゴ糖脂質が好ましい。コメヌカスフィンゴ糖脂質は、米ぬか(米の胚芽)から抽出精製される植物性スフィンゴ糖脂質の一種である。
【0049】
グルコシルセラミドの配合により、グルコシルセラミドが代謝されて産生されるセラミド2及びセラミド5が頭皮に継続的に補給される。これにより、毛髪ダメージや毛髪強度の改善効果を長期間に亘り持続させることができる。なお、これら天然物由来のスフィンゴ脂質は高価であるため、化学的に合成されたスフィンゴ脂質及びその類縁体をセラミド前駆体として用いても良い。
【0050】
血流促進成分は、毛乳頭細胞や毛母細胞に繋がる血液の流れを改善する成分であり、毛髪の成長に必要な酸素や栄養素を効率的に供給して細胞の代謝を活性化する。このような血流促進成分としては、ビタミンE、酢酸トコフェロール等のビタミンE誘導体、ニコチン酸及びニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル等のニコチン酸誘導体、セファランチン、塩化カルプロニウム、アセチルコリン、γ−オリザノール、サークレチン、クロマカリム、ニコランジル、ピナシジル、フタリド類、ジアルキルモノアミン誘導体、イチョウエキス、カミツレエキス、トウキエキス、センキュウエキス、ローズマリーエキス、オランダカラシエキス、ベニバナエキス、トウガラシチンキ、チンピエキス、ショウキョウチンキ、人参エキス、ショウブ根エキス、シナノキエキス、延命草エキス、当薬エキス、フユボダイジュ花エキス、ブドウ種子エキス、センブリエキス、ユズエキス等が挙げられる。中でも、血流促進作用が高いビタミンE誘導体が好ましい。
【0051】
上述したような育毛成分のナノ粒子内への封入率が高いほど、育毛成分含有量も高くなるため好ましいが、封入率に比例してナノ粒子の粒子径も大きくなるため、ナノ粒子が頭皮深部まで到達し難くなる。そのため、育毛成分の封入率は、生体適合性高分子に対し0.5重量%以上20重量%以下が好ましく、5重量%以上20重量%以下が特に好ましい。
【0052】
一般に、毛穴の直径は200μm程度であるため、本発明に用いられる生体適合性ナノ粒子は、1000nm未満の平均粒子径を有するものであれば特に制限はないが、頭皮深部への浸透効果を高めるためには平均粒子径を300nm以下とすることが好ましい。また、皮膚細胞の大きさは15,000nm、皮膚細胞間隔は皮膚の浅い所と深い所でバラツキがあり70nm程度であると考えられているが、細胞の脈動により皮膚細胞間隔が広がるため、粒子径が200nm程度であれば毛穴以外の部分からも頭皮深部へ十分浸透する。一方、前述したようにナノ粒子の粒子径が小さくなるほど封入率も低くなるため、平均粒子径は30nm以上とすることが好ましい。
【0053】
以上のようにして得られたナノ粒子は、凍結乾燥等により粉末化させる際に再分散可能な複合粒子にできる。また、流動層乾燥造粒法(例えば、アグロマスタAGM−SD(ホソカワミクロン製))または乾式機械式粒子複合化法(例えば、メカノフュージョンシステムAMS(ホソカワミクロン製))によって複合化しても、再度分散可能な状態で一体化できる。これにより、使用前まではナノ粒子が集まった取り扱いやすい複合粒子となっており、使用時には水分に触れることでナノ粒子に戻って高反応性等の特性を復元できる。
【0054】
なお、封入される育毛成分が水溶性の場合、一旦封入された育毛成分がナノ粒子表面へ漏出すると、周囲に存在する水に再溶解する。この水を凍結乾燥等により除去すると、その分だけ育毛成分が減少して封入率にばらつきが発生してしまう。そこで、有機または無機の物質を再分散可能に複合化させ、育毛成分の溶解した水を除去せずにそのままナノ粒子と共に乾燥させることが好ましい。例えば、糖アルコールやショ糖を適用することにより、封入率のばらつきを効果的に防止するとともに、複合化されたナノ粒子の分散性、耐熱性が向上する。さらに、糖アルコール等が賦形剤となりナノ粒子の取り扱い性を高めることができる。糖アルコールとしては、マンニトール、トレハロース、ソルビトール、エリスリトール、マルチトース、キシリトースなどが挙げられ、この中でも特にトレハロースが、保湿作用により育毛効果を向上させる点で好ましい。
【0055】
また、複合化の際に、複合粒子(ナノコンポジット)の表面にさらにビタミンやプロビタミン等の薬剤を付着させることにより、ナノ粒子から放出される育毛成分とは別に、頭皮浸透直後に複合粒子表面から溶け出す即効性の薬剤を作用させることができる。このような構成とすることで、複合粒子にさらに即効性を与えられる。
【0056】
このような薬剤としては、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンF、ビタミンK、ビタミンP、ビタミンU、カルニチン、フェルラ酸、γ−オリザノール、α−リポ酸、オロット酸及びこれらの成分又は誘導体である酢酸レチノール、酢酸リボフラビン、ピリドキシンジオクタノエート、L−アスコルビン酸ジパルミチン酸エステル、L−アスコルビン酸−2−硫酸ナトリウム、L−アスコルビン酸リン酸エステル、DL−トコフェロール−L−アスコルビン酸リン酸ジエステルジカリウム、パントテニルエチルエーテル、D−パントテニルアルコール、アセチルパントテニルエチルエーテル、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール、酢酸トコフェロール、ニコチン酸トコフェロール、コハク酸トコフェロール等のビタミンまたはビタミン誘導体、或いは水溶性のプロビタミン類、例えば、VC−PMG(水溶性リン酸アスコルビルMg)、AA2G(アスコルビン酸グルコシド)、パンテノール(水溶性ビタミンB5)、L−システイン等が挙げられる。
【0057】
また、ナノ粒子の表面に粘膜付着性を高めるキトサンを複合化したり、リン脂質(レシチン/フォスファチジルコリン)を複合化させたりして頭皮親和性を高めてもよい。
【0058】
このようにして製造した育毛成分が封入された生体適合性ナノ粒子は、液中に分散させた頭皮用育毛剤として使用することで有効な育毛効果を生じる。しかしながら、PLGAは水分と混合させると加水分解されてしまい、短期間にナノ粒子の運搬性能が失われてしまう。そこで、このような頭皮用育毛剤として使用する場合は、ナノ粒子粉末とそれを分散させる液(以下、ローションという)とを別々の容器に充填して保存しておき、使用直前にナノ粒子粉末とローションとを所定量混合して分散液として使用することが好ましい。
【0059】
ローションとしては、ナノ粒子が短時間で均一に分散するとともに、人体に対し安全性の高いものを用いる必要があり、水、エタノールの混合液が好適に用いられる。なお、水に対するエタノールの容量比が1/2以上になるとナノ粒子の凝集が起こるため、1/10から3/10の範囲とすることが好ましい。
【0060】
また、発毛、育毛効果及び白髪抑制効果を促進するためには、様々な作用機序を有する育毛成分の複合的使用が必要である。そこで、育毛成分の1種以上をローション中に配合することにより、ナノ粒子の頭皮深部への浸透に伴い、ナノ粒子表面に吸着されたローション中の育毛成分も同時に頭皮深部まで送達されるため、より多くの育毛成分を毛母細胞や毛乳頭へ供給することができる。また、頭皮表面においてはローション中の育毛成分が直接且つ速やかに作用するとともに、頭皮深部においてはナノ粒子内部から育毛成分が徐放されることにより、育毛効果の即効性及び長期間に亘る持続性の両方が期待できる。
【0061】
ローション中に配合される育毛成分としては、細胞賦活成分、抗炎症・抗菌成分、男性ホルモン拮抗成分、血流促進成分、保湿成分、収斂成分等の、育毛効果を有する種々の成分が挙げられる。細胞賦活成分は、毛母細胞や毛乳頭細胞に直接作用し、或いは細胞分裂のエネルギー源となるATPを増加させて細胞分裂を活性化するものである。このような細胞賦活成分としては、パンテノール、パントテン酸カルシウム、パントテン酸エチル、パントテニルエチルエーテル等のパンテノール誘導体、オタネニンジンエキス、ボタンエキス、ジオウエキス、加水分解コメエキス等が挙げられる。
【0062】
抗炎症・抗菌成分は、頭皮の炎症や発毛に悪影響のある雑菌の繁殖を抑えてフケやかゆみを抑制するものである。このような抗炎症・抗菌成分としては、β−グリチルレチン酸及びその誘導体、グリチルリチン酸ジカリウム、ヒノキチオール、アルニカ花エキス、オウゴンエキス、ローズマリーエキス、ローマカミツレエキス、カミツレエキス、チンピエキス、オドリコソウ花エキス、ニンニクエキス、ヒキオコシエキス、セイヨウキズタエキス、マツエキス、ムクロジエキス等が挙げられる。
【0063】
男性ホルモン拮抗成分は、5αリダクターゼ阻害剤のように毛母細胞の分裂を鈍くする男性ホルモンの活動を抑制するものである。このような男性ホルモン拮抗成分としては、キナエキス、クララエキス、冬虫夏草エキス、チョウジエキス等が挙げられる。
【0064】
血流促進成分は生体適合性ナノ粒子内に封入する育毛成分として既に述べたものと同様である。
【0065】
保湿成分は、頭皮の乾燥を防止して柔軟にすることで、発毛環境を整えるものである。このような保湿成分としては、褐藻エキス、トレハロース、ゴボウエキス、アルテア根エキス、セリン、ベタイン、ソルビトール、グリシン、アラニン、プロリン、トレオニン、アルギニン、リシン、グルタミン酸、マルトデキストリン、スクワラン、イノシトール、ビオチン、酵母エキスなどが挙げられる。中でも、酵母エキスは活性酸素を消去して頭皮の老化や弾力性低下を予防する抗酸化作用も有している。
【0066】
収斂成分は、皮膚または粘膜組織のタンパク質を沈殿させる性質をもち、被膜を形成して細胞膜の透過性を減少するものである。このような収斂成分としては、ビワ葉エキス、モモ葉エキス等が挙げられる。
【0067】
なお、上記ローション中に、育毛成分以外の任意の成分、例えばエタノールや多価アルコール等のアルコール類、セルロース類、界面活性剤、油脂、水溶性高分子、着色料、香料、紫外線吸収剤、防腐剤等を本発明の効果を妨げない範囲で配合することができる。
【0068】
このようにして得られた頭皮用育毛剤を頭皮に塗布すると、ナノ粒子は毛母細胞や毛乳頭が存在する毛穴内部の毛根に効率よく浸透する。即ち、頭皮に塗布されたナノ粒子を含有する液滴は、ナノ粒子により表面張力が低下しているため界面エネルギーが下がる方向(頭皮内部へ浸透する方向)に移動し易くなる。さらに、液滴内のナノ粒子又は水に対し頭皮内部からの吸着も起こるため、ナノ粒子は毛根へと効率よく送達されることとなる。そして、ナノ粒子中に封入された育毛成分は毛根部において長期間に亘って徐放される。
【0069】
さらに本発明の頭皮用育毛剤においては、ステビア抽出物、セラミド、セラミド前駆体、血流促進成分をそれぞれ内包した生体適合性ナノ粒子を併用するため、それぞれの育毛成分が相乗的に作用して顕著な育毛効果を発揮する。
【0070】
すなわち、本発明の頭皮用育毛剤を頭皮に適用すると、ステビア抽出物とセラミド前駆体が毛根深部の毛乳頭や毛母細胞に伝達され、当該毛根深部における毛髪成長過程において、毛母細胞に取り込まれたセラミド前駆体から毛髪成分であるセラミドが産生されるときのセラミド合成能が細胞賦活作用を有するステビア抽出物の併用によって高められる。また、セラミド前駆体の代謝によってセラミドが継続的に産生されるため、毛髪ダメージや毛髪強度の改善効果が長期間に亘り持続する。
【0071】
また、同時に毛髪成分であるセラミドそのものも供給されるため、毛髪ダメージや毛髪強度の改善効果や頭皮の保湿効果が即効的に現れる。つまり、セラミド自体の供給により頭皮環境を短期間で整えるとともに、セラミド前駆体の供給によりセラミドを徐々に産生して頭皮環境を継続的に維持することができる。
【0072】
加えて、血流促進成分が毛根深部の毛乳頭や毛母細胞に伝達され、当該毛根深部において血流促進成分の作用により毛髪の成長に必要な酸素、栄養素が毛乳頭や毛母細胞、或いはメラノサイトに効率良く供給される。その結果、ステビア抽出物とセラミド前駆体、及びセラミドによる、太くしなやかな黒髪の成長が一層促進される。
【0073】
また、ローション中に配合された育毛成分が頭皮表面及び毛根深部へ即座に供給されるため、ナノ粒子中に封入された育毛成分の徐放による育毛効果の持続性に加えて即効性も兼ね備えた実用性の高い頭皮用育毛剤となる。
【0074】
本発明の頭皮用育毛剤に用いられる生体適合性ナノ粒子の製造方法としては、目的の物質を1000nm未満の粒子径を有する粒子に加工することができる方法であれば特に限定されるものではないが、球形晶析法を用いることが非常に好ましい。球形晶析法は、化合物合成の最終プロセスにおける結晶の生成・成長プロセスを制御することで、球状の結晶粒子を設計し、その物性を直接制御して加工することができる方法である。球形晶析法には、晶析する結晶の生成・凝集機構の違いによって球形造粒法(SA法)と、エマルジョン溶媒拡散法(ESD法)とに分けることができる。
【0075】
SA法は、二種類の溶媒を用いて薬物結晶を析出させて、球形造粒結晶を形成する方法である。具体的には、まず、目的の薬物を溶解し難い貧溶媒と、該薬物を良好に溶解でき、かつ貧溶媒にも混和拡散できる良溶媒とを準備する。そして、良溶媒に溶解させた薬物溶液を、撹拌下、貧溶媒中に滴下する。このとき、良溶媒の貧溶媒への移行や温度効果等による溶解度の低下を利用することで、薬物の結晶が系内に析出する。
【0076】
さらに、系内に、薬物と親和性を有し貧溶媒には混和しない少量の液体(液体架橋剤)を添加すると、液体架橋剤が遊離する。そして、結晶の間に架橋が形成され、界面張力および毛細管力により、結晶が凝集し始める。なお、この状態をファニキュラー状態という。
【0077】
ファニキュラー状態の系に対してさらに機械的剪断力を加えると、凝集した結晶は圧密化され、略球状の造粒物となる。なお、この状態をキャピラリー状態という。キャピラリー状態の造粒物がランダムに合一することで、最終的な球形造粒結晶が形成される(ナノ粒子形成工程)。
【0078】
ESD法も、二種類の溶媒を用いる方法であるが、SA法とは異なり、エマルジョンを形成してから、良溶媒と貧溶媒との相互拡散を利用して薬物を球状に結晶化させる方法である。具体的には、まず、良溶媒中に溶解した薬物溶液を撹拌下、貧溶媒中に滴下する。このとき、薬物と良溶媒とが親和性を持つため、良溶媒の貧溶媒への移行が遅れ、エマルジョン滴が形成される。そして、エマルジョン滴の冷却、並びに、良溶媒および貧溶媒の相互拡散により、エマルジョン滴内で薬物の溶解度が低下していき、薬物の球形結晶粒子が、エマルジョン滴の形状を保持したまま析出、成長する。
【0079】
上記球形晶析法では、物理化学的な手法でナノ粒子を形成でき、しかも得られるナノ粒子が略球形であるため、均質なナノ粒子を、触媒や原料化合物の残留といった問題を考慮する必要なく、容易に形成することができる。その後、良溶媒である有機溶媒を減圧留去し(溶媒留去工程)、懸濁液を乾燥し(乾燥工程)、生体適合性ナノ粒子を得る。そして、得られたナノ粒子をそのまま、或いは必要に応じて乾燥工程時に凍結乾燥等により複合化し(複合化工程)、複合粒子とした後、容器内に充填する。
【0080】
上記良溶媒および貧溶媒の種類、並びに液体架橋剤の種類は、封入される育毛成分の種類等に応じて決定されるものであり特に限定されるものではないが、製造されたナノ粒子は頭皮へ直接塗布する育毛剤の原料として用いられるため、人体に対して安全性が高く、且つ環境負荷の少ないものを用いる必要がある。このような貧溶媒としては、例えばポリビニルアルコール水溶液が好適に用いられ、良溶媒としては、例えばアセトンとエタノールの混合液が好適に用いられる。
【0081】
ポリビニルアルコール水溶液の濃度、或いはアセトンとエタノールの混合比や、結晶析出時の条件や機械的剪断力の加え方は特に限定されるものではなく、封入される育毛成分の種類や、球形造粒結晶の粒子径(本発明の場合ナノオーダー)等に応じて適宜決定すればよいが、ポリビニルアルコール水溶液の濃度が高いほどナノ粒子の粒子径が細かくなる。反面、ポリビニルアルコール水溶液の濃度が所定以上になると、乾燥後のナノ粒子の水への再分散性が低下する。
【0082】
ポリビニルアルコールの添加量の増大と共に嵩密度が小さくなり充填性(容器への充填のしやすさ)が悪くなる。また、針状形状になりやすい点からも充填性、使用感が損なわれる。さらに皮膚に塗布した場合、ポリビニルアルコール特有の「糊」機能により肌の引張り感(つっぱり感)が強くでる。
【0083】
これを防ぐためには、ナノ粒子の晶析、溶媒留去後に過剰のポリビニルアルコールを除去する除去工程を設けることが好ましい。除去工程としては、通常はポリビニルアルコールの除去のために、遠心分離で粒子を単離させ、余分なポリビニルアルコールを含む上澄み液を廃棄して、精製水に置換して、再度遠心分離することでポリビニルアルコールを除去することが考えられる。しかし、この遠心分離操作は大変手間のかかる操作であり、工業化を視野に入れると、ナノ粒子を効率よく製造するうえでの障害となる。
【0084】
そこで、この除去工程(遠心分離等)を行わない製造方法を検討した結果(実施例参照)、最終的な複合粒子に含まれるべきポリビニルアルコール量だけしか含まない溶液で複合粒子を製造することにより、除去作業を不要とすることができることを見出した。最終的な複合粒子に含まれるべきポリビニルアルコール量は、ポリビニルアルコールの重合度やけん化度によっても異なるが、ポリビニルアルコール濃度としては約0.2重量%程度であり、多くても0.5重量%未満、好ましくは0.2重量%以下のものを使用することが好ましい。
【0085】
ポリビニルアルコール濃度が0.2%と低い場合は、晶析操作後の留去工程を時間をかけてゆっくりと行えば凝集や膜が生成されることはないが、これは工業化における障害となる。一方、急速な留去(例えば留去速度80mL/分以上)をした場合、溶媒を留去しつつ溶液を濃縮するにしたがい、生体適合性高分子の残存している良溶媒への部分的な再溶解を招き、強い凝集塊や膜を形成してしまうので、再分散ができなくなる。
【0086】
そこで、この凝集や膜形成を抑制する目的で、濃縮とともに水を供給し、ナノ粒子の水中での分散性を維持させている。この場合、以下の実施例に示すとおり、水の添加は、留去とともに一定の添加速度で供給することが必要である。
【0087】
このとき添加する水は、留去工程のうちの最初から所定期間、すなわち、留去工程開始から水を加えずに留去を行っても凝集や膜形成をしなくなるまでの間加えつづけることが好ましい。また、このとき加える水の量は、1分間の溶媒留去量の1重量%以上であることが好ましく、4重量%以上であることがより好ましい。また、1分間の留去量の10重量%以下で加えることが好ましく、5重量%以下で加えることがより好ましい。
【0088】
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【実施例1】
【0089】
[ステビア抽出物封入PLGAナノ粒子の作製]
0.25重量%のポリビニルアルコール(PVA EG05:日本合成化学工業製)水溶液80mLを調製し貧溶媒とした。乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA7520:和光純薬工業製)2gをアセトン40mLに溶解し、精製水4mLで溶解したステビア抽出物(丸善製薬製)60mgを添加、混合し良溶媒とした。この良溶媒を、先の貧溶媒中に40℃、400rpmで攪拌下、一定速度(4mL/分)で滴下し、良溶媒の貧溶媒中への拡散によってステビア抽出物封入PLGAナノ粒子の懸濁液を得た。
【0090】
続いて、減圧下40℃、200rpmで攪拌を続けながら、有機溶媒のアセトンとエタノールを留去した。なお、溶媒留去開始と同時にこの懸濁液に20mLの精製水を4mL/分で滴下した。約2時間有機溶媒を留去した後、懸濁液をフィルター(孔径32μm)でろ過した。得られたナノ粒子の平均粒子径は263nmで良好な分散状態を示した。懸濁液を凍結乾燥し、懸濁液中の粒子重量から粒子濃度を算出した結果、19.8mg/mLであった。また、HPLCにより、粒子内のステビア抽出物の封入率(PLGA重量に対するステビア抽出物の重量パーセント)を定量したところ2.66%であった。
【実施例2】
【0091】
[コメヌカスフィンゴ糖脂質封入PLGAナノ粒子の作製]
0.375重量%のポリビニルアルコール(PVA EG05:日本合成化学工業製)水溶液80mLを調製し貧溶媒とした。乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA7520:和光純薬工業製)2gをアセトン40mLに溶解し、エタノール20mLで溶解したコメヌカスフィンゴ糖脂質(日本製粉製)100mgを添加混合し良溶媒とした。この良溶媒を先の貧溶媒中に40℃、400rpmで攪拌下、一定速度(4mL/分)で滴下し、良溶媒の貧溶媒中への拡散によって、コメヌカスフィンゴ糖脂質封入PLGAナノ粒子の懸濁液を得た。
【0092】
続いて、減圧下40℃、200rpmで攪拌を続けながら、有機溶媒のアセトンとエタノールを留去した。なお、溶媒留去開始と同時にこの懸濁液に20mLの精製水を4mL/分で滴下した。約2時間半溶媒留去を行った後、懸濁液をフィルター(孔径32μm)でろ過した。ナノ粒子の平均粒子径は172nmで良好な分散状態を示した。懸濁液を凍結乾燥し、懸濁液中の粒子重量から粒子濃度を算出した結果、23.9mg/mLであった。また、HPLCにより、粒子内のコメヌカスフィンゴ糖脂質の封入率を定量したところ4.17%であった。
【実施例3】
【0093】
[セラミド2封入PLGAナノ粒子の作製]
0.375重量%のポリビニルアルコール(PVA EG05:日本合成化学工業製)水溶液80mLを調製し貧溶媒とした。乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA7520:和光純薬工業製)2gをアセトン40mLに溶解し、エタノール20mLで溶解したセラミド2(高砂香料工業製)20mgを添加混合し良溶媒とした。この良溶媒を先の貧溶媒中に40℃、400rpmで攪拌下、一定速度(4mL/分)で滴下し、良溶媒の貧溶媒中への拡散によって、セラミド2封入PLGAナノ粒子の懸濁液を得た。
【0094】
続いて、減圧下40℃、200rpmで攪拌を続けながら、有機溶媒のアセトンとエタノールを留去した。なお、溶媒留去開始と同時にこの懸濁液に20mLの精製水を4mL/分で滴下した。約2時間溶媒留去を行った後、懸濁液をフィルター(孔径32μm)でろ過した。ナノ粒子の平均粒子径は196nmで良好な分散状態を示した。懸濁液を凍結乾燥し、懸濁液中の粒子重量から粒子濃度を算出した結果、13.4mg/mLであった。また、HPLCにより、粒子内のセラミド2の封入率を定量したところ0.86%であった。
【実施例4】
【0095】
[酢酸トコフェロール封入PLGAナノ粒子の作製]
0.25重量%のポリビニルアルコール(PVA EG05:日本合成化学工業製)水溶液80mLを調製し貧溶媒とした。乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA7520:和光純薬工業製)2gをアセトン40mLに溶解し、エタノール20mLで溶解した酢酸トコフェロール(エーザイ製)200mgを添加混合し良溶媒とした。この良溶媒を先の貧溶媒中に40℃、400rpmで攪拌下、一定速度(4mL/分)で滴下し、良溶媒の貧溶媒中への拡散によって、酢酸トコフェロール封入PLGAナノ粒子の懸濁液を得た。
【0096】
続いて、減圧下40℃、200rpmで攪拌を続けながら、有機溶媒のアセトンとエタノールを留去した。なお、溶媒留去開始と同時にこの懸濁液に20mLの精製水を4mL/分で滴下した。約2時間半溶媒留去を行った後、懸濁液をフィルター(孔径32μm)でろ過した。ナノ粒子の平均粒子径は307nmで良好な分散状態を示した。懸濁液を凍結乾燥し、懸濁液中の粒子重量から粒子濃度を算出した結果、22.6mg/mLであった。また、HPLCにより、粒子内の酢酸トコフェロールの封入率を定量したところ8.33%であった。
【実施例5】
【0097】
[凍結乾燥によるナノ粒子の複合化]
上記の方法で作製したステビア抽出物封入PLGAナノ粒子、コメヌカスフィンゴ糖脂質封入PLGAナノ粒子、セラミド2封入PLGAナノ粒子、酢酸トコフェロール封入PLGAナノ粒子の懸濁液を、各懸濁液の粒子濃度に基づいて各粒子の凍乾後の重量がそれぞれ17.0mg、6.0mg、6.0mg、5.8mgとなるように調整混合してバイアル瓶分注した。さらに、水で溶解した賦形剤のトレハロース32.0mgとビタミンC誘導体5.7mgを添加し混合した(固形分濃度1.45重量%)。その後、真空凍結乾燥機(宝製作所製)にて、3日間凍結乾燥してPLGA複合粒子を得た。該PLGA複合粒子の水分散時におけるナノ粒子の平均粒子径は280nmであり、再分散が良好であった。また、HPLCにより、複合粒子内のステビア抽出物、コメヌカスフィンゴ糖脂質、セラミド3、及び酢酸トコフェロールの封入率を定量したところ、それぞれ0.62%、0.35%、0.07%、及び0.69%であった。
【実施例6】
【0098】
[ローションの調製]
次に、上記PLGA複合粒子を分散させるローションの処方1、処方2、処方3を表1〜表3に示す。なお、表1、表2において、6番目以降の各成分は微量(1%以下)であり、これらを加えた処方液全体で100%となるように調製した。
【0099】
処方1
【表1】

【0100】
処方2
【表2】

【0101】
処方3
【表3】

【0102】
このローションには、前述のステビア抽出物封入PLGAナノ粒子、コメヌカスフィンゴ糖脂質封入PLGAナノ粒子、セラミド2封入PLGAナノ粒子、及び酢酸トコフェロール封入PLGAナノ粒子の複合粒子を良好に分散させることができるため、複合粒子とローションとを別々の容器に充填しておくことにより、用時分散型の育毛剤としての応用が可能となった。なお、ローション中に配合される育毛成分の種類や配合量については一例であり、ナノ粒子内に封入される育毛成分や対象とする脱毛症の種類等に応じて適宜設定すれば良い。
【試験例1】
【0103】
[C3Hマウスによる発毛効果の評価]
上記実施例において作製した各育毛成分(ステビア抽出物、コメヌカスフィンゴ糖脂質、セラミド2、酢酸トコフェロール)含有PLGAナノ粒子の発毛効果を、C3H/HeN Slcマウスを用いて以下の手順により評価した。このC3H/HeN Slcマウスは、毛刈りをすると毛周期が休止期に入る特徴があり、毛刈り後15日間は発毛しないことがわかっている。
1)1週間馴化したC3H/HeN Slcマウス(雄、生後8週齢、試験区毎にn=8、同一ケージ内で飼育)の背部下部(2×4cm)の毛を、皮膚を傷つけたり、刺激したりしないように注意深くバリカンで刈り取り、一日後シェーバーで剃毛し皮膚を露出させた。
2)マウスの剃毛部に本発明、比較例1〜9の検体溶液100μLをピペットで塗布した後、ピペットチップの側面で刺激を与えないようにして薄く全体に広げた。各検体溶液は1日1回100μLを14日間連日塗布した。また、対照例として検体溶液を塗布しない無処理区を設けた。なお、各検体溶液の調製は7日おきに行い、冷蔵保管した。検体溶液の処方を表4に示す。
【0104】
【表4】

※1;いずれの検体も15%エタノール・水混合液に分散ないし溶解
※2;実施例1〜4で作製した各ナノ粒子を3:1:1:1の割合で混合
【0105】
3)塗布開始15日後にジエチルエーテルの吸入麻酔でマウスの動きを止め、剃毛部を写真撮影した。視覚評価により、以下の5段階の評価基準に従って、剃毛部位の面積に対する披毛再生面積の占める割合をマウス毎にスコア化し、8匹の平均値と標準偏差(mean±SD)を各試験区の育毛度として判定した。
(評価基準)
スコア : 状態
0 : 黒化が全く見られない
1 : 黒化が見られる
2 : 育毛(毛の伸張が認められる、披毛再生率30%未満)
3 : 育毛(毛の伸張が認められる、披毛再生率30〜60%未満)
4 : 育毛(毛の伸張が認められる、披毛再生率60%以上)
観察結果を表5に示す。
【表5】

【0106】
表5において、各育毛成分(ステビア抽出物、コメヌカスフィンゴ糖脂質、セラミド2、酢酸トコフェロール)の溶解液を塗布した比較例5〜8に対して、各育毛成分を内包したPLGAナノ粒子(実施例1〜4で作製)の分散液を塗布した比較例1〜4は、いずれも育毛度が高値を示し、PLGAナノ粒子による育毛促進の効果が認められた。
【0107】
ナノ粒子に封入した場合と封入しなかった場合とで育毛効果に大きな差が見られたのは、ナノ粒子に封入しない場合は、各育毛成分が頭皮表面付近にとどまり、頭皮深部まで到達しない上、塗布後まもなく代謝、分解されてしまうのに対し、ナノ粒子に封入した場合は、育毛成分の安定性が向上するとともに、頭皮深部まで到達したナノ粒子から徐々に育毛成分が放出されるため、長期間育毛効果が得られるためであると考えられる。さらに、PLGAが加水分解されて生成する乳酸の皮脂分解効果もプラスに作用しているものと考えられる。
【0108】
さらに、実施例1〜4で作製したPLGAナノ粒子をすべて投与した本発明では、作用機序の異なる各育毛成分の併用投与による相乗的な育毛促進効果が認められた。また、本発明は、比較例5〜8の各成分をすべて投与した比較例9と比べても明らかに高い育毛度を示していることが分かる。これらは、PLGAナノ粒子によって内包成分の毛根への浸透が促進されたためであると共に、連日投与によりPLGAナノ粒子から徐放された内包成分がマウス毛母・毛乳頭細胞を持続的に活性化し、ヘアサイクル(毛周期)の休止期から成長期への移行を促進したためではないかと考える。
【試験例2】
【0109】
[白髪・細毛改善効果の確認]
上記実施例5で作製した各育毛成分(ステビア抽出物、コメヌカスフィンゴ糖脂質、セラミド2、酢酸トコフェロール)含有PLGA複合粒子(実施例1〜4で作製した各ナノ粒子を3:1:1:1の割合で複合)を、処方1のローションに混合分散させたナノ粒子分散液を用いて細毛・白髪の抑制効果を評価した。このときの複合粒子とローションの混合割合は、複合粒子約0.07gに対してローション28mLとした。そして、白髪が気になると感じる被験者(年齢32〜60歳、平均年齢49.6歳の女性15名)に1日1回の洗髪後、ナノ粒子分散液を4mLずつ6ヶ月にわたって頭皮に擦り込んでもらった。白髪の多い箇所の使用前、使用開始3ヶ月後、6ヶ月後の毛穴拡大写真をマイクロスコープを用いて撮影し、各被験者について黒髪と白髪の本数、並びに太毛(60μm以上)、細毛(40〜60μm)、産毛(40μm以下)の本数をカウントして平均値を算出し、白髪・毛髪成長効果について評価した。白髪の評価結果を図1に、毛髪成長の評価結果を図2に示す。
【0110】
図1から明らかなように、使用開始から3ヶ月、6ヶ月と経過するに従って白髪の割合が減少しており、白髪の抑制効果が確認できた。また、図2から明らかなように、使用開始から3ヶ月、6ヶ月と経過するに従って、全体の毛髪密度が徐々に増大している。産毛・細毛の量はほぼ変化がないのに対し、太毛の量が徐々に増大していることから、毛髪の太毛化ならびに発毛効果が確認できた。以上より、一般的に女性の脱毛・薄毛は、成長期、退行期、休止期から成る毛周期のうち休止期の延長により生じると言われているが、本発明の頭皮用育毛剤(ナノ粒子分散液)を頭皮に塗布することにより、白髪の抑制と共に毛髪密度が増加し、毛周期の休止期から成長期への移行が促進されて薄毛が改善されたものと考察される。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明の頭皮用育毛剤は、作用機序の異なるステビア抽出物、セラミド前駆体、セラミド、血流促進成分から成る4種類の育毛成分をそれぞれ封入した生体適合性ナノ粒子を含有することにより、各成分の相乗効果で顕著な白髪抑制効果及び育毛効果を得ることができ、育毛成分を頭皮の深部まで確実に到達させるとともに、頭皮深部において育毛成分を徐放させることにより、長期間に亘って白髪や細毛の予防・改善効果が得られる有用な頭皮用育毛剤として使用できる。特に、セラミド前駆体としてグルコシルセラミド、セラミドとしてセラミド2又はセラミド5、血流促進成分としてビタミンE誘導体を用いた場合に好適な頭皮用育毛剤となる。
【0112】
また、生体適合性ナノ粒子を形成する材料として、生体への刺激・毒性が低く、投与後分解して代謝される生体適合性高分子を用いるので、人体への安全性を確保することができる。特にPLGAを用いると、PLGAの加水分解・長期半減期の特徴から、数日から1ヶ月単位の徐放が可能となる。
【0113】
また、生体適合性ナノ粒子を糖アルコールやビタミン類と共に複合化しておけば、複合ナノ粒子の分散性、耐熱性が向上するとともに、封入される育毛成分が水溶性の場合でも、一旦封入された育毛成分の粒子表面への漏出を防止でき、又、ビタミンによる育毛効果も期待できる。
【0114】
そして、使用直前に複合粒子を液中に所定量混合して分散させ、育毛剤として使用することで有効な育毛効果を生じる。また、液中にも育毛成分を配合しておけば、ナノ粒子表面に吸着されてナノ粒子と共に頭皮深部まで送達されるので、作用機序の異なるより多くの育毛成分を毛母細胞や毛乳頭へ供給できる。一方、頭皮表面に作用するような成分を配合しておけば、これらの薬剤の頭皮表面への即効性を確保しつつ、頭皮深部においてはナノ粒子からの育毛成分の徐放により長期間に亘る育毛効果が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】は、本発明の頭皮用育毛剤による白髪抑制効果を示すグラフである。
【図2】は、本発明の頭皮用育毛剤による毛髪成長効果を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステビア抽出物と、セラミド前駆体と、セラミドと、血流促進成分とをそれぞれ封入した生体適合性ナノ粒子を含む頭皮用育毛剤。
【請求項2】
前記セラミド前駆体がグルコシルセラミドであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の頭皮用育毛剤。
【請求項3】
前記セラミドが以下の化学式(1)、(2)で表される化合物から選ばれた少なくとも1つであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の頭皮用育毛剤。
【化1】

【化2】

【請求項4】
前記血流促進成分がビタミンE誘導体であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の頭皮用育毛剤。
【請求項5】
前記生体適合性ナノ粒子に対する前記各成分の封入率が0.5重量%以上20重量%以下であることを特徴とする請求項1乃至請求4のいずれか1項に記載の頭皮用育毛剤。
【請求項6】
前記生体適合性ナノ粒子を形成する生体適合性高分子が、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸・グリコール酸共重合体、若しくはアスパラギン酸・乳酸共重合体のいずれかであることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の頭皮用育毛剤。
【請求項7】
前記生体適合性ナノ粒子と共に糖アルコールが複合化されることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の頭皮用育毛剤。
【請求項8】
前記生体適合性ナノ粒子と共にビタミンまたはビタミン誘導体が複合化されることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の頭皮用育毛剤。
【請求項9】
複合化された前記生体適合性ナノ粒子を液中に分散させて成る請求項7又は請求項8に記載の頭皮用育毛剤。
【請求項10】
前記液中に他の育毛成分を配合したことを特徴とする請求項9に記載の頭皮用育毛剤。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−107941(P2009−107941A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−279347(P2007−279347)
【出願日】平成19年10月26日(2007.10.26)
【出願人】(502360363)株式会社ホソカワ粉体技術研究所 (59)
【Fターム(参考)】