説明

頭部保護エアバッグ装置

【課題】簡便な構成として、エアバッグの後部側を円滑かつ安定してリヤピラー部付近の車内側に展開膨張させることができる頭部保護エアバッグ装置の提供。
【解決手段】頭部保護エアバッグ装置のエアバッグ20は、後窓W2付近を覆う後膨張部26を備える。後膨張部は、開いたピラーガーニッシュ上端6aとエアバッグカバー下縁8cとの間で、楔のように配設される楔用膨張部29を有した入口膨張部27と、膨張本体部35とを備える。膨張本体部と入口膨張部との間には、帯状閉じ部50が配設される。帯状閉じ部の上下には、上側連通口32と下側連通口33とが配設される。両連通口は、下側連通口の開口面積を上側連通口の開口面積より大きくして、ガス供給路部23からの膨張用ガスを、通常膨張時、下側連通口33を経て、膨張本体部の後下部37bに流し、下側連通口の閉塞時の異常膨張時、上側連通口32を経て、膨張本体部の後下部37bに流す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の窓(サイドウインド)の上縁側から、膨張用ガスを流入させて下方に展開膨張し、乗員の頭部を保護可能なエアバッグ、を備えた頭部保護エアバッグ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、頭部保護エアバッグ装置としては、エアバッグが、ジャンプ台等の車体側に取り付けるような部材を利用することなく、簡便な構成で、リヤピラー部の車内側を覆うピラーガーニッシュの上端付近から、円滑に車内側に展開膨張するものが知られていた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この頭部保護エアバッグ装置のエアバッグは、後部側の後席側方の後窓(リヤサイドウインド)やリヤピラー部の車内側を覆う後膨張部が、膨張本体部と、膨張本体部の上方に配置されて、後膨張部に膨張用ガスを流入させるためのガス供給路部の後方に連通される上縁側膨張部と、ガス供給路部の後端と連通して、膨張用ガスを膨張本体部に流入させる分岐膨張部と、を備えて構成されていた。さらに、エアバッグは、展開膨張時に、膨張本体部をピラーガーニッシュの上端を乗り越えて車内側に押し出し可能に、上縁側膨張部とガス供給路部とが、それぞれ、折り畳まれた膨張本体部と分岐膨張部との車外側の位置に、折り畳まれて収納されていた。
【0004】
この頭部保護エアバッグ装置では、窓の上縁側に折り畳まれて収納されたエアバッグに対して膨張用ガスが流入されれば、後膨張部では、前後方向に沿って配置されたガス供給路部とガス供給路部の後方側に前後方向に沿って延設された上縁側膨張部とが、前方側から後方側にかけて迅速に膨張して、膨張完了時のそれらの下方に配置される膨張本体部と分岐膨張部とを車内側に押し出すことから、膨張本体部は、ピラーガーニッシュの上端を乗り越えて、分岐膨張部の部位とともに、リヤピラー部とリヤピラー部の前側で隣接する窓との車内側を覆うように円滑に展開できた。
【0005】
また、上縁側膨張部の下縁側の少なくとも前端側が、エアバッグの膨張完了時、エアバッグカバーの開き前の状態におけるピラーガーニッシュの上端とエアバッグカバーの下縁との車内側の見切り線の下方側に配置されていることから、上縁側膨張部が、少なくとも前端側を、楔用膨張部として、ピラーガーニッシュの上端の車内側に位置させて、ピラーガーニッシュの上端の車内側とリヤピラー部の上方に位置するエアバッグカバーの下縁の車外側との間で、楔のように膨張し、エアバッグカバーを車内側に大きく開かせてその開き状態を維持できた。その結果、膨張本体部は、リヤピラー部とリヤピラー部の前側で隣接する窓との車内側を覆うように展開した後、リヤピラー部の上方側で上縁側膨張部によって大きく開いたエアバッグカバーの下方において、車内側に大きく突出することなく、ピラーガーニッシュと隣接する後窓との車内側を覆った状態で、後窓の車内側に沿うように、下縁側の前部から後部に向かい、さらに、後部の下縁側から上縁側に向かうように、厚みを増して膨張を完了させることができた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−69721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来のエアバッグでは、膨張本体部と上縁側膨張部とが、区画部により、全域を上下で分離させていた。この区画部は、エアバッグの後縁の非流入部の部位に対して後端を結合させて、前方に延びるように配設され、膨張本体部と上縁側膨張部との間の全域を分断していた。
【0008】
そのため、エアバッグの展開膨張途中に、分岐膨張部で乗員頭部を受け止めた場合、膨張本体部への膨張用ガスの流れが抑制されて、上縁側膨張部だけに膨張用ガスが流れてしまう虞れがあり、膨張本体部の後下部付近を厚く膨らませることができなくなってしまう。この時、上縁側膨張部が、内圧上昇により、その周縁から膨張用ガスを漏らしてしまえば、一層、膨張本体部の後下部付近を厚く膨らませることができなくなってしまう。
【0009】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、簡便な構成として、エアバッグの後部側を円滑かつ安定してリヤピラー部付近の車内側に展開膨張させることができる頭部保護エアバッグ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
<請求項1の説明>
本発明に係る頭部保護エアバッグ装置は、車両の車内側の窓の上縁側に折り畳まれて収納され、膨張用ガスの流入時、エアバッグカバーを押し開いて、前記窓を覆い可能に下方へ展開膨張するエアバッグを備え、
該エアバッグが、膨張用ガスを流入させて、車内側壁部と車外側壁部とを離すように膨らむガス流入部と、前記車内側壁部と前記車外側壁部とを結合させた状態として膨張用ガスを流入させない非流入部と、を備えて、膨張完了時の上縁側を車両の車体側に取り付けて配設され、
前記ガス流入部が、
前記エアバッグの後部側に配置されて、リヤピラー部の車内側を覆うピラーガーニッシュと前記リヤピラー部の前側で隣接する後窓との車内側を、覆い可能な後膨張部と、
膨張完了時の前記後膨張部の前方側の上縁側で前後方向に沿うように配置されて、前記後膨張部に膨張用ガスを供給するガス供給路部と、
を備えて構成され、
前記エアバッグが、少なくとも後部側において、前記エアバッグの上縁側における前記ガス供給路部の下縁付近までの上縁部位を、前記エアバッグの前記上縁部位の下方の部位より、車外側に配置させて、折り畳まれて収納され、
前記後膨張部が、
前記エアバッグの展開膨張時、前記エアバッグカバーの開き前の状態における前記ピラーガーニッシュの上端と前記エアバッグカバーの下縁との車内側の見切り線の少なくとも前端部の前方から前端部の上下に跨るエリアで、連なって膨張するように配設されて、前記ピラーガーニッシュの上端の車内側と開いた前記エアバッグカバーの下縁の車外側との間で、楔のように配設される楔用膨張部、
を備えて構成される頭部保護エアバッグ装置であって、
前記エアバッグの後膨張部が、
該後膨張部の後下部の部位を含んだエリアで膨張する膨張本体部と、
前記ガス供給路部の後端に連通され、後上部側に前記楔用膨張部を有し、前下部側に前記膨張本体部の前下部側と連通する連通膨張部を有して、前記後膨張部の前上部の部位を含んだエリアで膨張する入口膨張部と、
を備えて構成され、
前記非流入部が、前記ガス供給路部と前記後膨張部との周囲を囲む周縁部と、該周縁部から離れて前記膨張本体部と前記入口膨張部との間に配置されて前記膨張本体部と前記入口膨張部とを区画する帯状の帯状閉じ部と、前記後膨張部の前方で前記周縁部の下縁から前記ガス供給路部までの上方に延びるように配設される板状の板状閉じ部と、を備えて構成され、
前記帯状閉じ部が、上端側の前記周縁部との間に、前記膨張本体部と前記入口膨張部の楔用膨張部とを連通させる上側連通口と、下端側の前記板状閉じ部若しくは前記周縁部の下縁側との間に、前記膨張本体部と前記入口膨張部の連通膨張部とを連通させる下側連通口と、を設けて配設され、
前記上側連通口と前記下側連通口とが、
前記エアバッグの通常膨張時、前記楔用膨張部を膨張させた前記入口膨張部から前記上側連通口を経て前記膨張本体部の後下部に到達する膨張用ガスの流れを抑制して、前記入口膨張部の連通膨張部から、前記下側連通口を経て前記膨張本体部の後下部に膨張用ガスを到達可能に流し、
前記膨張本体部の前記下側連通口からの膨張用ガスの流入を規制された状態で膨張する前記エアバッグの異常膨張時、前記楔用膨張部を膨張させた前記入口膨張部の前記楔用膨張部から、前記上側連通口を経て前記膨張本体部の後下部に、前記膨張用ガスを到達可能に流せるように、
前記下側連通口の開口面積を前記上側連通口の開口面積より大きくして、配設されていることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る頭部保護エアバッグ装置では、窓の上縁側に折り畳まれて収納されたエアバッグに膨張用ガスが流入されれば、後膨張部では、前後方向に沿って配置されたガス供給路部とガス供給路部の後方側に連なる入口膨張部とが迅速に膨張して、膨張完了時にそれらの下方側の部位となる膨張本体部を含めた部位を、車内側に押し出すことから、膨張本体部は、ピラーガーニッシュの上端を乗り越えて、リヤピラー部とリヤピラー部の前側で隣接する後窓との車内側を覆うように展開する。
【0012】
さらに、入口膨張部が、後上部側の楔用膨張部を、ピラーガーニッシュの上端の車内側とリヤピラー部の上方に位置するエアバッグカバーの下縁の車外側との間で、楔のように配置させて膨張させることから、エアバッグカバーを車内側に大きく開かせてその開き状態を維持する。
【0013】
そのため、入口膨張部とガス供給路部との膨張によって車内側に押し出された膨張本体部は、入口膨張部の連通膨張部から下側連通口を経て流入する膨張用ガスにより、後窓に沿って、膨張する。すなわち、膨張本体部は、上側連通口より開口面積の大きな下側連通口から膨張用ガスを流入させて膨張することから、膨張用ガスが、板状閉じ部の後縁側を下方に向かい、さらに、膨張本体部の下縁側で、前下部側から後下部側に向かい、さらに、後下部側から後上部側の上方に向かって流れて、その流れに伴って、順に、厚さを厚くするように円滑に膨張する。この時、入口膨張部の楔用膨張部が、既に、エアバッグカバーの押し開き状態を確保しているため、膨張本体部の上側連通口付近が膨らんでいなくとも、その下方の膨張本体部の後下部は、ガス供給路部と入口膨張部との膨張当初の車内側へ押し出された膨張本体部の前部側に、引きずられて下方に円滑に展開して、ピラーガーニッシュの車内側を覆うように配置されており、円滑に、厚さを厚くするように膨張できる。
【0014】
一方、膨張本体部が、入口膨張部とガス供給路部との膨張によって車内側に押し出されて後窓やピラーガーニッシュの車内側に展開した際、例えば、入口膨張部の下部側で、乗員頭部等が車外側方向に移動して、膨張用ガスの流れを規制するように下側連通口付近を塞いでも、膨張本体部は、次のように、膨張を完了させることができる。すなわち、膨張本体部は、入口膨張部の楔用膨張部から上側連通口を経て流入する膨張用ガスにより、上縁側で、後上部が膨んで、ついで、後上部側から後下部側に膨らみ、さらに、後下部から前下部が順に厚さを増すように膨張する。その結果、膨張本体部が、ピラーガーニッシュとピラーガーニッシュ近傍の後窓との車内側を覆って膨張できることから、下側連通口付近で受け止めている乗員頭部をさらに車外側に移動させることを防止でき、安定して乗員を車内側に拘束できる。
【0015】
したがって、本発明に係る頭部保護エアバッグ装置では、エアバッグの上側連通部や下側連通部の開口面積や入口膨張部の設定によるエアバッグ自体の簡便な構成によって、エアバッグの後部側を円滑かつ安定してリヤピラー部付近の車内側に展開膨張させることができて、安定した乗員の拘束性能を発揮できる。
【0016】
<請求項2の説明>
本発明に係る頭部保護エアバッグ装置では、前記エアバッグは、前記帯状閉じ部を、車内側から見て上端を下端より後方にオフセットさせたブーメラン形状として、配設させるとともに、前記帯状閉じ部の上端と、前記周縁部の上縁の前後方向に沿って配設される部位と、の間に、前記上側連通口を配設させることが望ましい。
【0017】
このような構成では、エアバッグの帯状閉じ部の後方において、膨張本体部が、後膨張部の下縁側から上縁側までの範囲で、閉じ部を設けられること無く、上下に幅広く厚く膨張できる。そのため、膨張を完了させたエアバッグの後膨張部は、その後部側の上下に広い範囲で、クッション性良く、乗員頭部を受け止めることができる。
【0018】
<請求項3の説明>
本発明に係る頭部保護エアバッグ装置では、前記下側連通口の開口面積は、前記上側連通口の開口面積の5〜8倍の範囲内に、好ましくは6〜7倍の範囲内に設定することが望ましい。
【0019】
すなわち、下側連通口の開口面積を上側連通口の開口面積の5倍未満とすれば、上側連通口の開口面積が下側連通口の開口面積より相対的に大きくなりすぎ、エアバッグの通常膨張時に、上側連通口から膨張本体部に流入する膨張用ガスの流入量が多くなって、上側連通口からの膨張用ガスが下側連通口から流入する膨張用ガスと当り、膨張本体部の前下部から後下部に向かい、さらに、後下部から後上部に向かう順で膨張するような、後窓に沿って安定して膨張する挙動を確保し難くなって、車幅方向にぶれて膨張する挙動となり易く、好ましくない。
【0020】
一方、下側連通口の開口面積を上側連通口の開口面積の8倍を越えるようにすれば、上側連通口の開口面積が下側連通口の開口面積より相対的に小さくなりすぎ、エアバッグの異常膨張時に、上側連通口から膨張本体部に流入する膨張用ガスの流入量が少なくなって、膨張本体部の後下部付近から下側連通口付近にわたる部位の膨張が遅延し、迅速な拘束性能を発揮し難くなって、好ましくない。
【0021】
<請求項4の説明>
本発明に係る頭部保護エアバッグ装置では、前記エアバッグは、展開膨張完了時、前記後膨張部の下縁を、前記後窓の下縁側におけるベルトラインの下方まで配置させるように、構成することが望ましい。
【0022】
このような構成では、エアバッグの膨張完了時、後膨張部が、ピラーガーニッシュの前方で、後窓の上縁から下縁までを覆い、かつ、後膨張部の下縁自体を自由端とせずに後窓の下縁部材で支持させることができて、車外側に移動し難くできることから、通常膨張時に限らず、異常膨張時であっても、後窓を経て車外側に向かう乗員を、一層的確に、車内側に拘束しておくことができる。
【0023】
<請求項5の説明>
本発明に係る頭部保護エアバッグ装置では、前記エアバッグの収納時における前記エアバッグの下縁側を上縁側に接近させる折り畳みの前記エアバッグの折り畳み完了形状は、
前記エアバッグの後端側の前記車体側への取付部位の後方側に、上下方向の折目を付け、かつ、前記上側連通口の後方側部位を車幅方向で重ねるように、前記エアバッグの後縁を前方に折り返した状態として、
前記エアバッグの下縁側を上縁側に接近させた折り畳み形状とすることが望ましい。
【0024】
このような構成では、エアバッグの後部側では、折り畳み収納時より、折り返した寸法分、後方に延ばした状態で、後膨張部を展開させて膨張させることができて、ピラーガーニッシュや後窓の車内側を広い範囲で覆うことができる。
【0025】
また、このような構成では、エアバッグの膨張初期、すなわち、ガス供給路部や入口膨張部がその下方の膨張本体部を車内側に押し出す際、展開膨張完了時の膨張本体部の後縁側が、入口膨張部から離れた後方側に配置される状態としていても、折り畳み収納時に、折り返されて、入口膨張部に接近する前方側に配置されている。そのため、入口膨張部付近が、膨張初期に、展開膨張完了時の膨張本体部の後縁側を、円滑に、ピラーガーニッシュの上端を乗り越えさせて車内側に押し出し、そしてその後、膨張本体部が、前方に折り返した折目を解消させつつ、後縁側を延ばした状態として、円滑に全域を展開させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る実施形態の頭部保護エアバッグ装置の車内側から見た正面図である。
【図2】実施形態の頭部保護エアバッグ装置に使用するエアバッグを平らに展開させた状態を示す図である。
【図3】実施形態のエアバッグの後部側を平らに展開させた状態を示す図である。
【図4】実施形態のエアバッグの膨張時の断面図であり、図3のIV−IV部位に対応する。
【図5】実施形態のエアバッグの膨張時の断面図であり、図3のV−V部位に対応する。
【図6】実施形態のエアバッグの膨張時の断面図であり、図3のVI−VI部位に対応する。
【図7】実施形態のエアバッグの膨張時の断面図であり、図3のVII−VII部位に対応する。
【図8】実施形態のエアバッグの折り畳み完了形状を説明する図である。
【図9】実施形態の頭部保護エアバッグ装置の作動時を順に示す断面図であり、図3のIX−IX部位の位置に対応する。
【図10】実施形態の頭部保護エアバッグ装置の作動時を順に示す断面図であり、図3のX―X部位の位置に対応する。
【図11】実施形態の頭部保護エアバッグ装置の作動時を順に示す断面図であり、図3のXI−XI部位の位置に対応する。
【図12】実施形態の頭部保護エアバッグ装置の作動時を順に示す断面図であり、図11の後の状態を示す。
【図13】実施形態の頭部保護エアバッグ装置の作動時を順に示す断面図であり、図3のXIII−XIII部位の位置に対応する。
【図14】実施形態の頭部保護エアバッグ装置の作動時を順に示す断面図であり、図13の後の状態を示す。
【図15】実施形態の頭部保護エアバッグ装置の作動完了時の車内側から見た正面図である。
【図16】実施形態のエアバッグの異常膨張時を説明する図である。
【図17】実施形態の頭部保護エアバッグ装置の作動時を順に示す断面図であり、エアバッグの異常膨張時における図16のXVII−XVII部位の位置に対応する。
【図18】実施形態の頭部保護エアバッグ装置の作動時を順に示す断面図であり、図17の後の状態を示す。
【図19】実施形態のエアバッグの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明すると、図1に示すように、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Sは、エアバッグ20と、インフレーター13と、取付ブラケット10,14と、エアバッグカバー8と、を備えて構成されている。そして、エアバッグ20は、車両Vの車内側における窓(サイドウインド)W1,W2の上縁側において、フロントピラー部FPの下縁側から、ルーフサイドレール部RRの下縁側を経て、リヤピラー部RPの上方側までの範囲に、折り畳まれて収納されている。
【0028】
インフレーター13は、図1,8に示すように、略円柱状のシリンダタイプとして、エアバッグ20における膨張用ガスを流入させるための接続口部22に挿入され、接続口部22の外周側から締め付けるクランプ16を利用して、エアバッグ20と連結されている。そして、インフレーター13は、取付ブラケット14を利用して、センターピラー部CPの上方付近におけるルーフサイドレール部RRのインナパネル2に、ルーフヘッドライニング5の下縁5aに覆われて、取付固定されている。なお、インナパネル2は、車両Vのボディ(車体)1側の部材である。また、取付ブラケット14は、板金製として、インフレーター13を保持し、取付ボルト15を利用して、インナパネル2に固定されている。
【0029】
各取付ブラケット10は、取付ボルト11によって、エアバッグ20の各取付部42をインナパネル2に取付固定している(図9,13参照)。なお、各取付ボルト11は、ナット2bを設けてインナパネル2に形成された取付孔2aに、締結されている。
【0030】
エアバッグカバー8は、フロントピラー部FPに配置されるフロントピラーガーニッシュ4とルーフサイドレール部RRに配置されるルーフヘッドライニング5とのそれぞれの下縁4a,5a側から構成されている。なお、フロントピラーガーニッシュ4とルーフヘッドライニング5とは、合成樹脂製とし、フロントピラー部FPとルーフサイドレール部RRとにおいて、それぞれ、ボディ1のインナパネル2における車内側に、取付固定されている。また、ルーフヘッドライニング5は、フロントピラー部FPの上方付近から、センターピラー部CPの上方を経て、リヤピラー部RPの上方付近まで、配設されている。
【0031】
なお、エアバッグカバー8は、後窓W2付近では、後窓W2の上方の窓側部位8aと、リヤピラーガーニッシュ6の上方のピラー側部位8cとを備えて構成されている。
【0032】
そして、リヤピラー部RPとセンターピラー部CPとの車内側には、それぞれ、合成樹脂製のリヤピラーガーニッシュ6とセンターピラーガーニッシュ7とが配設されている。なお、センターピラーガーニッシュ7には、実施形態の場合、上端に車外側に延びてインナパネル2に当接支持させるジャンプ台兼用の支持リブが形成されている。この支持リブの上面は、展開膨張時のエアバッグ20をセンターピラーガーニッシュの上端に引っ掛かることなく車内側に案内する案内面となる。
【0033】
一方、リヤピラーガーニッシュ6には、図10に示すように、上端6aから下がった車外側Oに、インナパネル2に当接支持される支持リブ6cが車外側O方向に向かって突設され、上端6aと支持リブ6cとの間に凹部6bが形成されている。このリヤピラーガーニッシュ6は、下端側の取付部6d(図1参照)をインナパネル2にボルト3止めした状態で、上端6a側をインナパネル2側の車外側Oに押し付けて、ルーフヘッドライニング5の下縁5a(ピラー側部位8c)における下端5b(ピラー側部位8cの下縁8d)の凹部5cに嵌め込むように取り付けるものであり、取り付け時に支持リブ6cが下端5bに当たらないように、上端6aの車外側Oには、ジャンプ台を形成できず、凹部6bが形成されている。
【0034】
エアバッグ20は、図1〜7に示すように、インフレーター13からの膨張用ガスGを流入させて、折り畳み状態から展開して、サイドウインドW1,W2やセンターピラー部CP,リヤピラー部RPのセンターピラーガーニッシュ7やリヤピラーガーニッシュ6の車内側Iを覆うように、展開膨張する。そして、エアバッグ20は、図2〜7に示すように、膨張用ガスGを流入させて車内側壁部21aと車外側壁部21bとを離すように膨張可能なガス流入部21と、車内側壁部21aと車外側壁部21bとを結合させた状態として膨張用ガスGを流入させない非流入部40と、を備えて構成されている。このエアバッグ20は、前端側の三角板状の板状部54を除いて、ポリアミドやポリエステル等の糸から袋織りして製造されている。なお、板状部54は、エアバッグ20の前端側に縫合等を利用して結合されている。また、実施形態の場合、エアバッグ20は、前席側方の前窓(フロントサイドウインド)W1とセンターピラー部CPとの車内側のエリアで膨らむ前膨張部24と、後席側方の後窓(リヤサイドウインド)W2とリヤピラー部RPとの車内側のエリアで膨らむ後膨張部26と、を備えて構成されている。
【0035】
そして、エアバッグ20の非流入部40は、周縁部41、取付部42、閉じ部44、及び、板状部54から構成されている。周縁部41は、ガス流入部21の周囲を囲むように、形成されている。
【0036】
取付部42は、エアバッグ20の上縁20a側における周縁部41から上方へ突出するように、複数(実施形態では5個)形成されている。各取付部42には、取付ボルト11(図9参照)を挿通させる取付孔42aが、形成されている。各取付部42は、既述したように、インナパネル2に取り付けるための取付ブラケット10が固着され、そして、各取付孔42aを挿通する取付ボルト11が、ナット2bに螺合されることにより、インナパネル2に固定されている。
【0037】
板状部54は、ポリエステル等の織布から形成されて、エアバッグ20の前端に縫合等を利用して結合されている。なお、板状部54の前端にも取付部42(42A)が形成されている。
【0038】
閉じ部44は、周縁部41から延びる等して前膨張部24と後膨張部26との領域内に侵入するように配設されて、膨張用ガスGの流れを制御したり、あるいは、エアバッグ20を板状に膨張できるように厚さを規制するために配設されている。閉じ部44は、周縁部41の内周側から突出する前閉じ部45、前下閉じ部46、前上閉じ部47、前下閉じ部48、帯状閉じ部50、及び、板状閉じ部52、を備えて構成されている。
【0039】
板状閉じ部52は、長方形板状として、前膨張部24と後膨張部26との間で前膨張部24と後膨張部26とを区画するように、エアバッグ20の下縁20b側となる周縁部41の下縁41bから、ガス供給路部23の下方まで、上方に延びるように、配設されている。そして、後縁52aが、略上下方向に延びて、後膨張部26の前縁26a側を区画している。この板状閉じ部52は、エアバッグ20の全体形状を確保するとともに、ガス流入部21の容積を小さくして、膨張完了までの時間を短くするために、配設されている。
【0040】
前閉じ部45、前下閉じ部46、前上閉じ部47、及び、前下閉じ部48は、前膨張部24内に進入するように配設されて、前膨張部24を、複数の膨張部位とした本体セル部24a、前側セル部24b、先端セル部24c、及び、調圧室24dに分割している。なお、前下閉じ部48は、後述する調圧室24dを前後に分割している。
【0041】
後膨張部26内に配置される帯状閉じ部50は、下部側(下端50b側)を上下方向に沿わせ、上部側(上端50a側)を斜め後方向に傾斜させて、車内側から見て上端50aを下端50bより後方にオフセットさせたブーメラン形状として、配設されている。帯状閉じ部50は、周縁部41の上縁41a、下縁41b、及び、後縁41c、さらには、板状閉じ部52の後縁52aから離れて、配設されている。帯状閉じ部50は、後述するように、後膨張部26内における前上部26c側の入口膨張部27と後下部26d側の膨張本体部35とを区画するように、配設されている。
【0042】
ガス流入部21は、実施形態の場合、接続口部22、ガス供給路部23、前膨張部24、及び、後膨張部26から構成されている。ガス供給路部23は、エアバッグ20の上縁20a側で車両Vの前後方向に沿って直線状に配設され、板状閉じ部52の上方で前膨張部24と後膨張部26とを連結するように配設されている。接続口部22は、エアバッグ20の上縁20a側の前後方向の中間部位から上方へ延びて、インフレーター13からの膨張用ガスGをガス流入部21内に流入させるように、インフレーター13と接続される。そして、接続口部22内には、ガス供給路部23内に挿入されて、インフレーター13からの膨張用ガスGを前後両側に分岐させて、ガス供給路部23において車両Vの前後方向両側に向けて流す図示しない整流布が配設されている。
【0043】
なお、ガス供給路部23は、車両搭載状態で膨張を完了させた際、上縁23a側が、エアバッグカバー8に覆われるとともに、下縁23b側が、エアバッグカバー8から下方へ突出するように、構成されている(図15参照)。
【0044】
前膨張部24は、エアバッグ20の前部側に配設され、図15に示すように、前窓W1とセンターピラー部CPとの車内側の領域で展開膨張するように構成されており、既述したように、閉じ部44(前閉じ部45、前下閉じ部46、前上閉じ部47、及び、前下閉じ部48)により、複数の膨張部位の本体セル部24a、前側セル部24b、先端セル部24c、及び、調圧室24dに分割されている。調圧室24dは、本体セル部24a等の内圧上昇時、本体セル部24aから膨張用ガスを流入させて、本体セル部24aの急激な内圧上昇を防止している。先端セル部24cは、フロントピラーガーニッシュ4の下縁4aを円滑に開かせるために配設されている。
【0045】
後膨張部26は、エアバッグ20の後部側に配設され、図2〜7に示すように、後膨張部26の後下部26dの部位を含んだエリアで膨張する膨張本体部35と、後膨張部26の前上部26cの部位を含んだエリアで膨張する入口膨張部27と、を備えて構成されている。膨張本体部35と入口膨張部27とは、帯状閉じ部50を間に配置させ、かつ、後述する上側連通口32と下側連通口33とで連通させた状態で、帯状閉じ部50により区画されるように配設されている。
【0046】
なお、実施形態の場合、後膨張部26は、調圧室を配設させることなく、一つだけの帯状閉じ部50によって区画された二つだけの膨張部位としての入口膨張部27と膨張本体部35とから構成されている。
【0047】
また、実施形態の場合、上側連通口32は、帯状閉じ部50の上端50aと、周縁部41の上縁41aにおける前後方向に沿って配置されて、最も上端50aに接近している後上部位41dと、の間に配設されている。詳しくは、上端50aが上膨らみの半円形としており、その頂点部位と周縁部41の後上部位41dとの間に、上側連通口32が配設されている。下側連通口33は、帯状閉じ部50の下端50b付近と板状閉じ部52の後縁52aとの間で、最も接近している部位に、配設されている。詳しくは、下端50bが下膨らみの半円形とし、後縁52aも上コーナ付近を上膨らみの1/4円状の曲線部位52cとしており、下端50b近傍の相互の直線部位50c,52b間に、下側連通口33が配設されている。
【0048】
入口膨張部27は、ガス供給路部23の後端23cに連通される前端膨張部28と、前端膨張部28の後方とした入口膨張部27の後上部側に配置される楔用膨張部29と、前端膨張部28の下方とした入口膨張部27の下部側に配置される連通膨張部30と、を備えて構成されている。前端膨張部28は、ガス供給路部23より厚く膨張するように、ガス供給路部23より上下方向の幅寸法を大きくして、配設されている。
【0049】
楔用膨張部29は、帯状閉じ部50と、帯状閉じ部50の直上における周縁部41の上縁41aと、の間に配設されて、帯状閉じ部50の上縁50d側の前端50eの上方から上側連通口32までの部位としている。楔用膨張部29は、エアバッグカバー8の開き前の状態におけるリヤピラーガーニッシュ6の上端6aとエアバッグカバー8のピラー側部位8cの下縁8dとの車内側の見切り線PLの少なくとも前端部PLfの前方から前端部PLfの上下に跨るエリアで、連なって膨張するように配設されており、エアバッグ20の膨張時、リヤピラーガーニッシュ6の上端6aの車内側Iと開いたエアバッグカバー8のピラー側部位8cの下縁8dの車外側Oとの間で、楔のように配設されることとなる(図10〜12参照)。
【0050】
連通膨張部30は、前端膨張部28の下方における下側連通口33までの部位であり、実施形態の場合、帯状閉じ部50の直線部位50cと、その前方側における板状閉じ部52の後縁52aの曲線部位52cと、の間の部位である。
【0051】
膨張本体部35は、実施形態の場合、帯状閉じ部50の後縁50f、上側連通口32、上側連通口32の後方の周縁部41の後上部位41d、後膨張部26自体の後縁26bとなる周縁部41の後縁41c、周縁部41の下縁41bにおける後膨張部26の下縁26e、下側連通口33までの後膨張部26自体の前縁26aの一部となる板状閉じ部52の後縁52a、及び、下側連通口33、によって囲まれる部位とした広い範囲で構成されている。
【0052】
この膨張本体部35は、エアバッグ20の展開膨張完了時、リヤピラー部RPの前側で隣接する後窓W2とリヤピラー部RPとの車内側Iを覆い可能に膨らむこととなる。さらに、実施形態の場合、膨張完了時の膨張本体部35は、下縁35bを、後窓W2の下縁側におけるベルトラインBLの下方まで配置させるように、構成されている。
【0053】
そして、上側連通口32と下側連通口33とは、下側連通口33の開口面積DSを上側連通口32の開口面積USより大きくして、開口面積US,DS相互の大きさの関係を次のように設定されている。すなわち、後膨張部26において、ガス供給路部23から膨張用ガスGが入口膨張部27に流入した際、通常時には、楔用膨張部29を膨張させた入口膨張部27から上側連通口32を経て膨張本体部35の後下部37bに到達する膨張用ガスGの流れを抑制して、入口膨張部27の連通膨張部30から、下側連通口33を経て膨張本体部35の後下部37bに膨張用ガスGを到達可能に流す。そして、膨張本体部35の下側連通口33からの膨張用ガスGの流入を規制された状態で膨張する異常膨張時には、楔用膨張部29を膨張させた入口膨張部27の楔用膨張部29から、上側連通口32を経て膨張本体部35の後下部37bに、膨張用ガスGを到達可能に流せるように、設定されている。
【0054】
具体的には、下側連通口33の開口面積DSは、図5,7に示すように、上側連通口32の開口面積USの5〜8倍の範囲内、好ましくは6〜7倍の範囲内に設定されている。実施形態では、エアバッグ20を平らに展開した状態での下側連通口33の幅寸法BD(図3参照)が100mm、上側連通口32の幅寸法BUが40mmとしており、下側連通口33の開口面積DSは、上側連通口32の開口面積USの約6.3倍としている。
【0055】
このエアバッグ20の製造は、袋織りで製造した後、板状部54を縫合等を利用してエアバッグ20の前縁側に結合させ、接続口部22内に図示しない整流布を配設させれば、製造することができる。
【0056】
このエアバッグ20の車両へ搭載する前の折り畳み時には、エアバッグ20の下縁20b側を、取付部42を設けた上縁20a側に接近させるように折り畳むとともに、エアバッグ20の展開膨張時に、膨張本体部35を、リヤピラーガーニッシュ6の上端6aを乗り越えて車内側Iに押し出し可能に、ガス供給路部23の下縁23b付近までのガス供給路部23、楔用膨張部29、及び、前端膨張部28のエアバッグ20における上部側とした上縁部位56が、その下方の下方部位57(膨張本体部35や連通膨張部30)の折り畳まれた状態での車外側Oの位置に、折り畳まれて収納されている(図9〜11参照)。実施形態の場合、上縁部位56より下方の下方部位57(膨張本体部35や連通膨張部30)の下縁20bを車外側Oに向けるように巻くロール折りをし、上縁部位56を、蛇腹折りして、折り畳んだ下方部位57の車外側Oに配置させて、エアバッグ20の折り畳みを完了させている。
【0057】
なお、この折り畳みは、実施形態の場合、前膨張部24においても、後膨張部26と一致させる折目や折幅等を設けて折り畳んでいる。
【0058】
但し、実施形態では、エアバッグ20の下縁20b側を上縁20a側に接近させるように折り畳む際、図8に示すように、予め、エアバッグ20の後端側の取付部42Bの後方側に、上下方向の折目VCを付け、かつ、上側連通口32の後方側部位58を車幅方向で重ねるように、エアバッグ20の後縁20cを前方の車内側に折り返した状態としており、その状態で、下方部位57をロール折りし、上縁部位56を蛇腹折りして、折り畳み形状を完成させた折り畳み完了体59を形成している。
【0059】
そして、折り畳み完了体59では、破断可能な図示しない折り崩れ防止用のラッピング材により、エアバッグ20を巻く。ついで、取付ブラケット14を取付済みのインフレーター13を、クランプ16を利用して、エアバッグ20の接続口部22と接続させ、また、エアバッグ20の各取付部42に取付ブラケット10を取り付ければ、図8に示すように、エアバッグ組付体60を形成できる。
【0060】
その後、各取付ブラケット10,14を、ボディ1側のインナパネル2の所定位置に配置させ、各取付孔42aを挿通させる等して、取付ボルト11,15を締め付けて、各取付ブラケット10,14をインナパネル2に固定して、エアバッグ組付体60をボディ1に取り付ける。ついで、インフレーター13に、所定のインフレーター作動用の制御装置から延びる図示しないリード線を結線し、フロントピラーガーニッシュ4やルーフヘッドライニング5をボディ1に取り付け、さらに、リヤピラーガーニッシュ6,センターピラーガーニッシュ7をボディ1に取り付ければ、頭部保護エアバッグ装置Sを、車両Vに搭載することができる。
【0061】
頭部保護エアバッグ装置Sの車両Vへの搭載後、インフレーター13が作動されれば、インフレーター13からの膨張用ガスGが、図2の二点鎖線に示すように、エアバッグ20における接続口部22からガス供給路部23に流入し、前後方向両側に向かってガス供給路部23を流れて、エアバッグ20の前膨張部24と後膨張部26とに流入することから、前膨張部24と後膨張部26とが、くるんでおいた図示しないラッピング材を破断させ、さらに、フロントピラーガーニッシュ4やルーフヘッドライニング5の下縁4a,5a側のエアバッグカバー8を押し開いて、下方へ突出しつつ、図1の二点鎖線や図15に示すように、サイドウインドW1,W2,センターピラー部CP,リヤピラー部RPの車内側Iを覆うように、大きく展開膨張することとなる。
【0062】
その際、エアバッグ20の展開膨張の初期段階では、後膨張部26では、前後方向に沿って配置されたガス供給路部23及びガス供給路部23の後方側に連なる入口膨張部27の前端膨張部28や楔用膨張部29からなる上縁部位56が、迅速に膨張して、図9のAや図10のAの二点鎖線に示すように、膨張完了時にそれらの下方の膨張本体部35を含めた下方部位57を車内側Iに押し出すことから、膨張本体部35は、リヤピラーガーニッシュ6の上端6aを乗り越えて、リヤピラー部RPとリヤピラー部RPの前側で隣接する後窓W2との車内側Iを覆うように展開する。
【0063】
さらに、入口膨張部27が、図9のBや図10のBに示すように、後上部側の楔用膨張部29を、リヤピラーガーニッシュ6の上端6aの車内側Iとエアバッグカバー8のピラー側部位8cの下縁8dの車外側Oとの間で、楔のように配置させて、膨張させるため、ピラー側部位8cの下縁8dを車内側Iに大きく開かせてその開き状態を維持する。
【0064】
そのため、入口膨張部27とガス供給路部23との膨張によって車内側Iに押し出された膨張本体部35は、入口膨張部27の連通膨張部30から下側連通口33を経て流入する膨張用ガスGにより、後窓W2の車内側Iに沿って、膨張する。すなわち、膨張本体部35は、上側連通口32より開口面積DSの大きな下側連通口33から膨張用ガスGを流入させて膨張することから、膨張用ガスGが、図3に示すように、板状閉じ部52の後縁52a側を下方に向かい、さらに、膨張本体部35の下縁35b側で、前下部36b側から後下部37b側に向かい、さらに、後下部37b側から後上部37a側の上方に向かって流れて、その流れに伴って、順に、厚さを厚くする。
【0065】
詳しく説明すれば、膨張用ガスGが板状閉じ部52の後縁52a側を下方に向かうことにより、図9のB,Cに示すように、入口膨張部27の前端膨張部28から連通膨張部30が膨張して、膨張本体部35の前下部36bが膨張する。さらに、膨張用ガスGが、膨張本体部35の下縁35b側で、前下部36b側から後下部37b側に向かう際には、既に、図11のA,Bや図13のA,Bに示すように、膨張本体部35の下縁35bの略全域が展開を完了させており、その後の前下部36bから後下部37bへの膨張用ガスGの流れにより、図12のAや図14のAに示すように、下縁35b側が全域で膨らみ、さらに、膨張用ガスGの後下部37bから後上部37aの流れにより、図12のBや図14のBに示すように、上縁35a側の全域も厚く膨張することとなる。
【0066】
そして、この膨張本体部35の膨張時、入口膨張部27の楔用膨張部29が、既に、エアバッグカバー8のピラー側部位8cの押し開き状態を確保しているため、膨張本体部35の上側連通口32付近が膨らんでいなくとも、その下方の膨張本体部35の後下部37bは、ガス供給路部23と入口膨張部27との膨張当初の車内側Iへ押し出された膨張本体部35の前部36側に、引きずられて下方に円滑に展開して、リヤピラーガーニッシュ6の車内側Iを覆うように配置されており、円滑に、厚さを厚くするように膨張できる。
【0067】
一方、膨張本体部35が、入口膨張部27とガス供給路部23との膨張によって車内側Iに押し出されて後窓W2やリヤピラーガーニッシュ6の車内側Iに展開した際、例えば、図16の二点鎖線や図9のCの二点鎖線に示すように、入口膨張部27の下部側で、乗員Mの頭部Hが車外側O方向に移動して、膨張用ガスGの流れを規制するように下側連通口33付近を塞いだ場合には、膨張本体部35は、次のように膨張を完了させる。
【0068】
すなわち、図16に示すように、膨張用ガスGが、入口膨張部27の楔用膨張部29から上側連通口32を経て、膨張本体部35の上縁35aに流れ、さらに、後縁35c側を上縁35a側から下縁35b側に流れ、さらに、下縁35b側で前方に流れる。この時、膨張本体部35は、図13のA,Bに示すと略同様に、図17のA,Bに示すように、予め、下縁35bまで展開しており、膨張用ガスGの流入により、上側連通口32に連なる前上部36aが膨張して、さらに、後上部37aが膨張する。そして、図18のA,Bに示すように、後上部37a側から後下部37b側に膨らむ。そしてさらに、膨張本体部35では、後下部37bから前下部36bが厚さを増すように膨張する。
【0069】
その結果、膨張本体部35が、リヤピラーガーニッシュ6とリヤピラーガーニッシュ6近傍の後窓W2との車内側Iを覆って膨張できることから、下側連通口33付近で受け止めている乗員Mの頭部Hをさらに車外側Oに移動させることを防止でき、安定して乗員Mを車内側Iに拘束できる。
【0070】
したがって、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Sでは、エアバッグ20の上側連通口32や下側連通口33の開口面積US,DSや入口膨張部27の設定によるエアバッグ20自体の簡便な構成によって、エアバッグ20の後部側を円滑かつ安定してリヤピラー部RP付近の車内側Iに展開膨張させることができて、安定した乗員Mの拘束性能を発揮できる。
【0071】
そして、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Sでは、エアバッグ20が、帯状閉じ部50を、車内側Iから見て上端50aを下端50bより後方にオフセットさせたブーメラン形状として、配設させるとともに、帯状閉じ部50の上端50aと、周縁部41の上縁41aの前後方向に沿って配設される後上部位41dと、の間に、上側連通口32を配設させている。
【0072】
そのため、実施形態では、エアバッグ20の帯状閉じ部50の後方において、膨張本体部35が、後膨張部26の下縁側から上縁側までの範囲で、閉じ部44を設けられること無く、図6、図14のB,図18のBに示すように、後部37を上下に幅広く厚く膨張できる。そのため、膨張を完了させたエアバッグ20の後膨張部26は、その後部26f側の上下に広い範囲で、クッション性良く、乗員頭部を受け止めることができる。
【0073】
なお、図3、6の二点鎖線で示す閉じ部51は、従来と同様に、周縁部41の後縁41cに結合されるように配設したものであり、閉じ部51を設けた場合は、図6のエアバッグ220のように、閉じ部51を設けたことにより、車幅方向の厚さ寸法T0が、実施形態の厚さ寸法T1より、小さくなっている。
【0074】
ちなみに、図19に示すエアバッグ20Aのように、上下方向に延びる縦線部51aと、縦線部51aの上端から後方に延びる横線部51bとを有したブーメラン形状の帯状閉じ部51Aを設けてもよい。この帯状閉じ部51Aは、上端側の横線部51bの先端(後端)と周縁部41の後縁41cとの間に、上側連通口32を配設して構成されている。このエアバッグ20Aでは、後部37での厚さ寸法を確保し難いものの、通常膨張時と異常膨張時において、実施形態と同様に、上側連通口32と下側連通口33とが協働して、円滑に膨張本体部35を展開膨張させることができる。
【0075】
なお、実施形態では、下側連通口33を帯状閉じ部50と板状閉じ部52とのの間に配設させた場合を示したが、帯状閉じ部50の下端50bと周縁部41の下縁41bとの間に下側連通口33を配設させてもよい。
【0076】
また、上側連通口32を帯状閉じ部50の上端50aと周縁部41の後上部位41dとの間に配設して、膨張本体部35の後部37側を厚く膨らませる際、帯状閉じ部50の上端50a側と膨張本体部35の後縁35cとの間の長さ寸法L1(図2参照)は、下側連通口33を確保できる状態で、後膨張部26の前縁26aから後縁26bまでの長さ寸法L0の1/3〜2/3の範囲内(実施形態では1/2)とすれば、エアバッグ20の上縁20aから下縁20bまでの広い範囲で、クッション性よく、膨張本体部35を膨張させることができる。
【0077】
さらに、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Sでは、下側連通口33の開口面積DSが、上側連通口32の開口面積USの5〜8倍の範囲内に、好ましくは6〜7倍の範囲内の6.3倍に設定されており、エアバッグ20の通常異常膨張時と下側連通口33の閉塞された異常膨張時において、共に、エアバッグ20が円滑に展開膨張することができる。
【0078】
すなわち、下側連通口33の開口面積DSを上側連通口32の開口面積USの5倍未満とすれば、上側連通口32の開口面積USが下側連通口33の開口面積DSより相対的に大きくなりすぎ、エアバッグ20の通常膨張時に、上側連通口32から膨張本体部35に流入する膨張用ガスGの流入量が多くなって、上側連通口32からの膨張用ガスGが下側連通口33から流入する膨張用ガスGと当り、膨張本体部35の前下部36bから後下部37bに向かい、さらに、後下部37bから後上部37aに向かう順で膨張するような、後窓W2に沿って安定して膨張する挙動を確保し難くなって、車幅方向にぶれて膨張する挙動となり易く、好ましくない。
【0079】
一方、下側連通口33の開口面積DSを上側連通口32の開口面積USの8倍を越えるようにすれば、上側連通口32の開口面積USが下側連通口33の開口面積DSより相対的に小さくなりすぎ、エアバッグ20の異常膨張時に、上側連通口32から膨張本体部35に流入する膨張用ガスGの流入量が少なくなって、膨張本体部35の後下部37b付近から下側連通口33付近にわたる部位の膨張が遅延し、迅速な拘束性能を発揮し難くなって、好ましくない。
【0080】
さらに、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Sでは、エアバッグ20は、展開膨張完了時、後膨張部26の下縁26eを、後窓W2の下縁側におけるベルトラインBLの下方まで配置させるように、構成されている。
【0081】
このような構成では、エアバッグ20の膨張完了時、後膨張部26が、リヤピラーガーニッシュ6の前方で、後窓W2の上縁から下縁までを覆い、かつ、後膨張部26の下縁26e自体を自由端とせずに後窓W2のドアトリム等の下縁部材DTで支持させることができて、車外側に移動し難くできることから、通常膨張時に限らず、異常膨張時であっても、後窓W2を経て車外側Oに向かう乗員を、一層的確に、車内側Iに拘束しておくことができる。
【0082】
なお、実施形態では、エアバッグ20の膨張完了時、膨張本体部35の下縁35b付近がベルトラインBLより下方に配置されて、膨張本体部35の下縁35b側の車外側Oが下縁部材DTにより支持されることから、一層、拘束性能を良好にできて、エアバッグ20の下縁20b側を潜り抜けるような乗員Mの挙動を的確に防止できる。
【0083】
さらにまた、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Sでは、図8に示すように、エアバッグ20の収納時におけるエアバッグ20の下縁20b側を上縁20a側に接近させる折り畳みの折り畳み完了体59の形状が、エアバッグ20の後端側の取付部42Bの後方側の後方側に、上下方向の折目VCを付け、かつ、上側連通口32の後方側部位58を車幅方向で重ねるように、エアバッグ20の後縁20cを前方に折り返した状態として、エアバッグ20の下縁20b側を上縁20a側に接近させた折り畳み形状としている。
【0084】
そのため、実施形態では、エアバッグ20の後部側では、折り畳み収納時より、折り返した寸法分、後方に延ばした状態で、後膨張部26を展開させて膨張させることができて、リヤピラーガーニッシュ6や後窓W2の車内側Iを広い範囲で覆うことができる。
【0085】
また、このような構成では、エアバッグ20の膨張初期、すなわち、ガス供給路部23や入口膨張部27がその下方の膨張本体部35を車内側Iに押し出す際、展開膨張完了時の膨張本体部35の後縁35c側が、入口膨張部27から離れた後方側に配置される状態としていても、折り畳み収納時に、折り返されて、入口膨張部27に接近する前方側に配置されている。そのため、入口膨張部27付近が、膨張初期に、図13のA,Bや図17のA,Bに示すように、展開膨張完了時の膨張本体部35の後縁35c側を、円滑に、リヤピラーガーニッシュ6の上端6aを乗り越えさせて車内側Iに押し出し、そしてその後、膨張本体部35が、前方に折り返した折目VCを解消させつつ、後縁35c側を延ばした状態として、円滑に全域を展開させることができる。
【0086】
なお、実施形態では、エアバッグ20の後縁20cを前方に折り返す際、車内側に折り返したが、車外側に折り返したり、あるいは、後縁20cを膨張本体部35内に入れ込むようにして、前方に折り返してもよい。
【符号の説明】
【0087】
1…(車体)ボディ、
6…リヤピラーガーニッシュ、
6a…(リヤピラーガーニッシュの)上端、
8…エアバッグカバー、
8a…(エアバッグカバーの)窓側部位、
8b・8d…(エアバッグカバーの)下縁、
8c…(エアバッグカバーの)ピラー側部位、
20,20A…エアバッグ、
20a…(エアバッグの)上縁、
20b…(エアバッグの)下縁、
20c…(エアバッグの)後縁、
23…ガス供給路部、
23c…(ガス供給路部の)後端、
26…後膨張部、
27…入口膨張部、
29…楔用膨張部、
30…連通膨張部、
32…上側連通口、
33…下側連通口、
35…膨張本体部、
42B…(取付部位)取付部、
50,51A…帯状閉じ部、
52…板状閉じ部、
59…(エアバッグの)折り畳み完了体、
VC…(エアバッグの)折目、
RP…リヤピラー部、
W2…(リヤサイドウインド)後窓、
BL…ベルトライン、
G…膨張用ガス、
S…頭部保護エアバッグ装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車内側の窓の上縁側に折り畳まれて収納され、膨張用ガスの流入時、エアバッグカバーを押し開いて、前記窓を覆い可能に下方へ展開膨張するエアバッグを備え、
該エアバッグが、膨張用ガスを流入させて、車内側壁部と車外側壁部とを離すように膨らむガス流入部と、前記車内側壁部と前記車外側壁部とを結合させた状態として膨張用ガスを流入させない非流入部と、を備えて、膨張完了時の上縁側を車両の車体側に取り付けて配設され、
前記ガス流入部が、
前記エアバッグの後部側に配置されて、リヤピラー部の車内側を覆うピラーガーニッシュと前記リヤピラー部の前側で隣接する後窓との車内側を、覆い可能な後膨張部と、
膨張完了時の前記後膨張部の前方側の上縁側で前後方向に沿うように配置されて、前記後膨張部に膨張用ガスを供給するガス供給路部と、
を備えて構成され、
前記エアバッグが、少なくとも後部側において、前記エアバッグの上縁側における前記ガス供給路部の下縁付近までの上縁部位を、前記エアバッグの前記上縁部位の下方の部位より、車外側に配置させて、折り畳まれて収納され、
前記後膨張部が、
前記エアバッグの展開膨張時、前記エアバッグカバーの開き前の状態における前記ピラーガーニッシュの上端と前記エアバッグカバーの下縁との車内側の見切り線の少なくとも前端部の前方から前端部の上下に跨るエリアで、連なって膨張するように配設されて、前記ピラーガーニッシュの上端の車内側と開いた前記エアバッグカバーの下縁の車外側との間で、楔のように配設される楔用膨張部、
を備えて構成される頭部保護エアバッグ装置であって、
前記エアバッグの後膨張部が、
該後膨張部の後下部の部位を含んだエリアで膨張する膨張本体部と、
前記ガス供給路部の後端に連通され、後上部側に前記楔用膨張部を有し、前下部側に前記膨張本体部の前下部側と連通する連通膨張部を有して、前記後膨張部の前上部の部位を含んだエリアで膨張する入口膨張部と、
を備えて構成され、
前記非流入部が、前記ガス供給路部と前記後膨張部との周囲を囲む周縁部と、該周縁部から離れて前記膨張本体部と前記入口膨張部との間に配置されて前記膨張本体部と前記入口膨張部とを区画する帯状の帯状閉じ部と、前記後膨張部の前方で前記周縁部の下縁から前記ガス供給路部までの上方に延びるように配設される板状の板状閉じ部と、を備えて構成され、
前記帯状閉じ部が、上端側の前記周縁部との間に、前記膨張本体部と前記入口膨張部の楔用膨張部とを連通させる上側連通口と、下端側の前記板状閉じ部若しくは前記周縁部の下縁側との間に、前記膨張本体部と前記入口膨張部の連通膨張部とを連通させる下側連通口と、を設けて配設され、
前記上側連通口と前記下側連通口とが、
前記エアバッグの通常膨張時、前記楔用膨張部を膨張させた前記入口膨張部から前記上側連通口を経て前記膨張本体部の後下部に到達する膨張用ガスの流れを抑制して、前記入口膨張部の連通膨張部から、前記下側連通口を経て前記膨張本体部の後下部に膨張用ガスを到達可能に流し、
前記膨張本体部の前記下側連通口からの膨張用ガスの流入を規制された状態で膨張する前記エアバッグの異常膨張時、前記楔用膨張部を膨張させた前記入口膨張部の前記楔用膨張部から、前記上側連通口を経て前記膨張本体部の後下部に、前記膨張用ガスを到達可能に流せるように、
前記下側連通口の開口面積を前記上側連通口の開口面積より大きくして、配設されていることを特徴とする頭部保護エアバッグ装置。
【請求項2】
前記エアバッグが、
前記帯状閉じ部を、車内側から見て上端を下端より後方にオフセットさせたブーメラン形状として、配設させるとともに、
前記帯状閉じ部の上端と、前記周縁部の上縁の前後方向に沿って配設される部位と、の間に、前記上側連通口を配設させていることを特徴とする請求項1に記載の頭部保護エアバッグ装置。
【請求項3】
前記下側連通口の開口面積が、前記上側連通口の開口面積の5〜8倍の範囲内に設定されていることを特徴とする請求項1若しくは請求項2に記載の頭部保護エアバッグ装置。
【請求項4】
前記エアバッグが、展開膨張完了時、前記後膨張部の下縁を、前記後窓の下縁側におけるベルトラインの下方まで配置させるように、構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の頭部保護エアバッグ装置。
【請求項5】
前記エアバッグの収納時における前記エアバッグの下縁側を上縁側に接近させる折り畳みの前記エアバッグの折り畳み完了形状が、
前記エアバッグの後端側の前記車体側への取付部位の後方側に、上下方向の折目を付け、かつ、前記上側連通口の後方側部位を車幅方向で重ねるように、前記エアバッグの後縁を前方に折り返した状態として、
前記エアバッグの下縁側を上縁側に接近させた折り畳み形状としていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の頭部保護エアバッグ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate


【公開番号】特開2012−206658(P2012−206658A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−75075(P2011−75075)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】