説明

頭髪染色方法

【課題】操作性に優れ、簡便に色むら無く染めることができ、しかも部分染めにも全頭染めにも対応できる頭髪染色方法の提供。
【解決手段】アルカリ剤を含有する第1剤と酸化剤を含有する第2剤とを含み、第1剤と第2剤の少なくとも一方に界面活性剤を含有する染毛剤組成物を、
見掛け密度が15〜70kg/m3であり、硬さが50〜250Nである柔軟性多孔質材料を含む構造体に含浸させ、柔軟性多孔質材料に対する外力の付与と解放によってこれを変形させる操作を行うことで泡立て、
この泡状の染毛剤組成物を毛髪に適用し、3〜60分間放置した後、洗い流す
ことによる頭髪染色方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭髪を染色する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液体状あるいはクリーム状の染毛剤組成物で毛髪を染毛する技術は広く普及しており、液だれを防止しつつ頭髪に充分量の染毛剤組成物を適用するため、粘性を有する染毛剤組成物を専用の櫛あるいはブラシを用いて頭髪に適用して染毛を行うものである。このような染毛剤組成物を毛髪にムラなく適用するのは難しく、特に、毛髪の根元部分や後頭部の適用にはブロッキング、合わせ鏡等のスキルが必要とされる。
【0003】
これに対して、液状染毛剤組成物を頭髪上で泡立てて染毛する、いわゆるシャンプー式染毛剤が知られているが、液だれを防ぐために要求される高粘度と泡立てを容易にするための低粘度との相反する要求を両立させることが難しく、好適な方法ではなかった。
【0004】
そこで、特許文献1では、二剤式染毛剤と泡状に吐出するフォーマー容器からなる毛髪化粧品が提案されている。これによれば、専用の櫛やブラシを用いる必要は無く、ブロッキング、合わせ鏡等のスキルを駆使する必要もない。このメリットのため、当該実施品は多くのユーザーから支持を受けている。
【0005】
しかし、この技術提案ではフォーマー容器という複雑な構造の薬剤混合・吐出容器を用いる必要があるためコストアップが避けられない上、フォーマー容器から吐出できる染毛剤の粘度には制限があるため、組成設計上も制約を受けることになる。さらに、フォーマー容器内の染毛剤組成物を全て使い切らざるをえず、部分白髪染めや染め残しへの追加染めでは不経済なため、新たな染毛方法が求められている。
【0006】
また、特許文献2では、染毛剤組成物を含浸した構造体で頭髪を挟み、染毛剤組成物を適用するシステムが提案されている。この技術提案によれば、部分染めや染め残しへの追加染めは容易であるものの、頭髪全部を染色するには煩雑であり、好適とは言いがたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004-339216号公報
【特許文献2】国際公開第2008/044198号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、操作性に優れ、簡便に色むら無く染めることができ、しかも部分染めにも全頭染めにも対応できる頭髪染色方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、染毛剤組成物を、柔軟性多孔質材料を含む構造体に含浸させて泡立て、泡状とし、頭髪に適用して染色すれば上記課題が解決されることを見出した。
【0010】
すなわち本発明は、アルカリ剤を含有する第1剤と酸化剤を含有する第2剤とを含み、第1剤と第2剤の少なくとも一方に界面活性剤を含有する染毛剤組成物を、
見掛け密度が15〜70kg/m3であり、硬さが50〜250Nである柔軟性多孔質材料を含む構造体に含浸させ、柔軟性多孔質材料に対する外力の付与と解放によってこれを変形させる操作を行うことで泡立て、
この泡状の染毛剤組成物を毛髪に適用し、3〜60分間放置した後、洗い流す
ことによる頭髪染色方法を提供するものである。
【0011】
また本発明は、アルカリ剤を含有する第1剤と酸化剤を含有する第2剤とを含み、第1剤と第2剤の少なくとも一方に界面活性剤を含有する染毛剤組成物と、
第1剤と第2剤の混合液を泡立てるための、見掛け密度が15〜70kg/m3であり、硬さが50〜250Nである柔軟性多孔質材料を含む構造体を有する染毛キットを提供するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の頭髪染色方法は、操作性が良く、簡便に色むら無く頭髪を染めることができる。しかも部分染めにも全頭染めにも対応できる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明において、頭髪とは頭に生えた状態の毛髪をいい、かつらやトレスといった頭から切り離された毛髪は含まない概念である。また頭髪であれば、人形や、どのような動物であってもよいが、人間の頭髪が好ましい。
【0014】
本発明において染毛剤組成物とは、染料を含有する染毛剤組成物と、染料を含有しない脱色剤組成物との両方を含む概念である。頭髪染色方法とは、頭髪脱色方法を含む概念である。
【0015】
本発明にいう染毛剤組成物とは、使用直前まで別々に保存する、アルカリ剤を含有する第1剤と酸化剤を含有する第2剤よりなる二剤式組成物、更にこれら第1剤と第2剤に加え、酸化助剤を含有する第3剤よりなる三剤式組成物などの多剤式組成物をいい、「全組成」というときは、これらを混合した、実際に頭髪に適用する組成物全体をいう。
【0016】
本発明において、「外力」とは特に断りのない場合「重力以外の外力」をいうものとする。
【0017】
〔アルカリ剤〕
第1剤が含有するアルカリ剤としては、例えば、アンモニア、エタノールアミン等のアルカノールアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を使用することができる。また、適宜、緩衝剤として、炭酸水素アンモニウム、塩化アンモニウム等のアンモニウム塩や、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム等の炭酸塩などを添加することができる。
【0018】
本発明で用いる染毛剤組成物における第1剤と第2剤の混合液のpH(25℃)は、8〜12、更には9〜11が好ましく、アルカリ剤の使用量は、全組成のpHが上記となるように適宜調整される。
【0019】
〔酸化剤〕
酸化剤としては、例えば、過酸化水素;過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩;過ホウ酸ナトリウム等の過ホウ酸塩;過炭酸ナトリウム等の過炭酸塩;臭素酸ナトリウム、臭素酸カリウム等の臭素酸塩などが挙げられる。なかでも、毛髪に対する脱色性及び酸化剤自体の安定性及び有効性の点から、過酸化水素が好ましい。また、過酸化水素と共に、酸化助剤として上記過硫酸塩等の他の酸化剤を組み合わせて用いることもできる。この場合、酸化助剤を含有する組成物を第3剤とし、三剤式染毛剤組成物とすることができる。このうち、過酸化水素と過硫酸塩とを組み合わせて用いるのが好ましい。
【0020】
酸化剤は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができ、その含有量は、全組成中の0.5〜30質量%が好ましく、更には1〜20質量%が好ましい。
【0021】
酸化剤として過酸化水素のみを用いる場合、第2剤中の含有量は、1〜9質量%、更には3〜6質量%が好ましく、全組成中の過酸化水素の含有量は、1〜6質量%、更には2〜5質量%が好ましい。また、第2剤のpHは、過酸化水素の分解抑制のため、2〜6、更には2.5〜4とすることが好ましい。
【0022】
過酸化水素と過硫酸塩とを組み合わせて用いる場合には、過酸化水素の含有量が全組成中の0.5〜10質量%であり、過硫酸塩の含有量が全組成中の0.5〜25質量%であり、両者の合計の含有量が1〜30質量%であるのが好ましい。
【0023】
〔界面活性剤〕
柔軟性多孔質材料を含む構造体によって空気と染毛剤組成物が混合されて容易に泡が形成され、かつその泡が安定となるようにするため、第1剤と第2剤のいずれか一方、又は両方に界面活性剤を含有させる。
【0024】
界面活性剤としては、カチオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、アニオン界面活性剤のいずれを使用することもできるが、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、アニオン界面活性剤が好ましい。
【0025】
カチオン界面活性剤としては、モノ長鎖アルキル4級アンモニウム塩が好ましく、具体的には、セトリモニウムクロリド、ステアルトリモニウムクロリド、ベヘントリモニウムクロリド、ステアラルコニウムクロリド、ベンザルコニウムクロリド等が挙げられる。
【0026】
非イオン界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、高級脂肪酸ショ糖エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、高級脂肪酸モノ又はジエタノールアミド、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、アルキルサッカライド、アルキルアミンオキサイド、アルキルアミドアミンオキサイド等が挙げられる。
【0027】
両性界面活性剤としてはイミダゾリン、カルボベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン、ヒドロキシスルホベタイン、アミドスルホベタイン等が挙げられる。
【0028】
アニオン界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル又はアルケニルエーテル硫酸塩、アルキル又はアルケニル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、飽和又は不飽和脂肪酸塩、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、α-スルホ脂肪酸塩、N-アシルアミノ酸、リン酸モノ又はジエステル、スルホコハク酸エステル等が挙げられる。アルキルエーテル硫酸塩としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩が挙げられる。これらアニオン界面活性剤のアニオン性基の対イオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオン;カルシウムイオン、マグネシウムイオン等のアルカリ土類金属イオン;アンモニウムイオン;炭素数2又は3のアルカノール基を1〜3個有するアルカノールアミン(例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等)由来のカチオンが挙げられる。
【0029】
界面活性剤は、二種以上を併用することもでき、全組成中の含有量は、1〜50質量%が好ましく、感触、乳化性能の点で、2〜30質量%、更には3〜25質量%が好ましい。
【0030】
〔柔軟性多孔質材料〕
柔軟性多孔質材料とは、内部に細かな孔が無数に開いた、柔軟で変形復元性を有する材料であればよく、水生生物の海綿を加工して得られる天然スポンジ、JIS規格K6400-1:2400で示すような軟質発泡材料のいずれをも含むものとする。軟質発泡材料としては、例えばエーテル系ポリウレタン、エステル系ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン等を挙げることができる。柔軟性多孔質材料の見掛け密度とは、JIS規格K7222:2005で定義される見掛け密度をいうものとし、染毛剤組成物を泡立てる効率の観点から15〜70kg/m3であり、18〜60kg/m3が好ましく、20〜50kg/m3がより好ましい。また、柔軟性多孔質材料の硬さとは、JIS規格K6400-2:2004D法で定義される硬さをいうものとし、染毛剤組成物を泡立てる効率の観点から50〜250Nであり、70〜200Nが好ましく、80〜170Nがより好ましい。JIS規格K6400-1:2004付属書1によって求める柔軟性多孔質材料のセル数には制限は無いが、例えば5〜100個/25mm、更には15〜85個/25mm、特に20〜80個/25mmが好ましい。
【0031】
柔軟性多孔質材料を含む構造体は、1種の柔軟性多孔質材料を有しても、セル数、見掛け密度、硬さ等が異なる2種以上の柔軟性多孔質材料を有してもよく、2種以上の柔軟性多孔質材料を有する場合には、例えば層状又はモザイク状に組み合わされてもよく、層状に組み合わされることがより好ましい。特に、柔軟性多孔質材料のセル数が5〜35個/25mmと少ないような場合には、液状の染毛剤組成物の流れ落ちを防ぐ観点から2種以上の柔軟性多孔質材料を層状に組み合わせて構造体とすることも好ましい。柔軟性多孔質材料を含む構造体が、一層あるいは二層以上を有する場合、層内又は層間に、染毛剤組成物の第1剤及び/又は第2剤を包埋してもよい。柔軟性多孔質材料を織布、不織布又は網で包んだ構造体も好ましい。織布、不織布又は網は、天然繊維、半合成繊維、合成繊維のいずれであってもよく、例えば木綿、レーヨン、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン等を挙げることができる。
【0032】
柔軟性多孔質材料の大きさは、染毛剤組成物を保持し、効率よく泡立てることができ、かつ片手で使用することのできる大きさであればよく、見掛け体積が20〜500mL、好ましくは30〜450mL、より好ましくは50〜200mLである。ここで見掛け体積とは、外力を加えない状態で、構造体を形作る柔軟性多孔質材料の内部にある細かな孔の部分を含めた体積を意味し、柔軟性多孔質材料の上記見掛け密度と質量から求められる体積である。したがって、柔軟性多孔質材料を織布、不織布又は網を張り合わせたり、そのようなもので包んだりした構造体であっても、織布、不織布又は網そのもの、及び織布、不織布又は網と柔軟性多孔質材料との間の空間は含まれないものとする。
【0033】
柔軟性多孔質材料を含む構造体の形状は、幾何学的立体であっても、不定形立体であってもよいが、制作の容易さから、直方体、立方体、球体、回転楕円体、円柱、楕円柱が好ましく、これらを1個又は2個以上の平面又は曲面で切断してなる立体、例えば半円柱、半楕円柱も好ましい。また、構造体表面の一部に染毛剤組成物を受け止め、あるいは一時的に溜めるための窪みやくり抜きを具備させることも好ましい。窪みやくり抜きの形状としては、例えば直方体、立方体、半球、円柱などを挙げることができる。
【0034】
〔酸化染料中間体〕
本発明で用いる染毛剤組成物に好適な酸化染料中間体としては、通常染毛剤に使用されている公知のプレカーサー及びカップラーを用いることができる。
【0035】
プレカーサーとしては、例えばパラフェニレンジアミン、トルエン-2,5-ジアミン、2-クロロパラフェニレンジアミン、パラアミノフェノール、パラメチルアミノフェノール、オルトアミノフェノール、2,4-ジアミノフェノール、N-フェニルパラフェニレンジアミンとこれらの塩等が挙げられる。
【0036】
また、カップラーとしては、例えばメタフェニレンジアミン、2,4-ジアミノフェノキシエタノール、メタアミノフェノール、2-メチル-5-アミノフェノール、2-メチル-5-(2-ヒドロキシエチルアミノ)フェノール、レゾルシン、1-ナフトール、1,5-ジヒドロキシナフタレン、ヒロドキノンとこれらの塩等が挙げられる。
【0037】
プレカーサーとカップラーは、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよく、その含有量は、それぞれ全組成中の0.01〜10質量%が好ましく、0.1〜5質量%がより好ましい。
【0038】
〔直接染料〕
一方、直接染料としては、染毛剤に利用可能である公知の酸性染料、塩基性染料、分散染料、反応性染料等を用いることができる。
【0039】
酸性染料としては、例えば青色1号、紫色401号、黒色401号、だいだい色205号、赤色227号、赤色106号、黄色203号、酸性橙3等が挙げられる。塩基性染料としては、例えば塩基性青99、塩基性茶16、塩基性茶17、塩基性赤76、塩基性黄57等が挙げられる。
【0040】
酸性染料及び塩基性染料以外の直接染料としては、例えば2-ニトロ-p-フェニレンジアミン、2-アミノ-6-クロロ-4-ニトロフェノール、3-ニトロ-p-ヒドロキシエチルアミノフェノール、4-ニトロ-o-フェニレンジアミン、4-アミノ-3-ニトロフェノール、4-ヒドロキシプロピルアミノ-3-ニトロフェノール、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-ニトロ-p-フェニレンジアミン、分散紫1、分散青1、分散黒9、HC青2、HC橙1、HC赤1、HC赤3、HC黄2、HC黄4、HC黄5等が挙げられる。
【0041】
これらの直接染料は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよく、またその含有量は、それぞれ第1剤と第2剤からなる組成物全量の0.001〜5質量%が好ましく、0.01〜4質量%がより好ましい。また、酸化染料と直接染料を併用することもでき、この場合の酸化染料と直接染料の合計量は第1剤と第2剤からなる組成物全量の0.05〜10質量%が好ましく、0.1〜8質量%がより好ましい。
【0042】
〔高級アルコール〕
本発明で用いる染毛剤組成物は、柔軟性多孔質材料を含む構造体に保持されやすく、しかも泡立て後の泡もちを良くし、本発明で用いる染毛剤組成物を頭髪に適用した後、放置している間の液だれを抑制するため、更に皮膚及び頭皮への刺激改善、組成物の保存安定性の観点から、第1剤、第2剤のいずれか1以上に、高級アルコールを含有することができる。
【0043】
高級アルコールとしては、炭素数が10〜30、更には12〜24、特に14〜22のアルキル基又はアルケニル基を有するものが好ましく、なかでもアルキル基、特に直鎖アルキル基を有するものが好ましい。例えば、ミリスチルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、オレイルアルコール等が挙げられる。
【0044】
高級アルコールは、二種以上を併用することもできる。高級アルコールの第1剤と第2剤の混合液中における含有量は、柔軟性多孔質材料を含む構造体に保持されやすく、泡立ち、きめ細かく柔らかな泡質、また放置している間の液だれを抑制する点から、0.01〜1質量%が好ましく、更には0.1〜0.8質量%、更には0.2〜0.7質量%、特に0.3〜0.6質量%が好ましい。また、高級アルコールを第1剤に含有させる場合の第1剤中における含有量は、0.01〜2質量%が好ましく、更に0.1〜1.5質量%、特に0.2〜1質量%が好ましい。高級アルコールを第2剤に含有させる場合の第2剤中における含有量は、0.01〜2質量%が好ましく、更に0.1〜1.5質量%、特に0.5〜1質量%が好ましい。
【0045】
〔不揮発性親水性溶剤〕
本発明で用いる染毛剤組成物には、媒体として、水及び/又は有機溶剤が使用される。有機溶剤としては、不揮発性親水性溶剤を使用することができる。これにより、本発明で用いる染毛剤組成物を頭髪に適用した後、放置している間に、染毛剤組成物から水分が蒸発して酸化剤の刺激性の成分が濃縮されることによる頭皮に対する刺激を軽減することができる。不揮発性親水性溶剤としては、ポリオール類やその低級(炭素数1〜4)アルキルエーテル類などの消泡作用のないものが好ましい。ポリオール類としては、炭素数2〜6のものが好ましく、例えば、グリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、イソプレングリコール、ソルビトール等が挙げられる。ポリオールの低級アルキルエーテル類としては、前掲のポリオールのモノ低級アルキルエーテルやポリ低級アルキルエーテル(例えば、ジ低級アルキルエーテル)などが挙げられる。なかでもポリオールのモノメチルエーテル又はモノエチルエーテルが好ましく、具体的には、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルが挙げられる。これらは、二種以上を併用することができる。
【0046】
染毛剤組成物全組成中における不揮発性親水性溶剤の含有量は、頭皮刺激を低減する効果と液温が低い時でも泡質を良好なものとする点から、0.01〜4質量%が好ましく、更には0.1〜3質量%、特に0.2〜2質量%が好ましい。
【0047】
〔pH調整剤〕
本発明で用いる染毛剤組成物は、組成物の保存安定性の観点から、前記アルカリ剤のほかに、pH調整剤として、塩酸、リン酸等の無機酸、クエン酸、グリコール酸、乳酸等の有機酸、塩化アンモニウム、塩酸モノエタノールアミン等の塩酸塩、リン酸二水素一カリウム、リン酸一水素二ナトリウム等のリン酸塩等を用いることができる。
【0048】
〔他の成分〕
本発明で用いる染毛剤組成物には、上記成分のほかに、通常化粧品原料として用いられる他の成分を加えることができる。
【0049】
このような成分の配合目的としては、浸透促進、パール化、防腐、金属封鎖、安定化、酸化防止、紫外線吸収、保湿、製品着色、付香等を挙げることができ、より具体的には動植物油脂、高級脂肪酸、防腐剤、キレート剤、タンパク質、タンパク質加水分解物、アミノ酸、植物抽出物、紫外線吸収剤、ビタミン、色素、香料等が挙げられる。
【0050】
〔粘度〕
第1剤の粘度(25℃)は、好ましくは1〜1,200mPa・s、より好ましくは3〜1,000mPa・s、より好ましくは5〜900mPa・sである。第2剤の粘度(25℃)は、好ましくは1〜300mPa・s、より好ましくは3〜200mPa・s、より好ましくは5〜100mPa・sである。第1剤と第2剤との混合液の粘度(25℃)は、1〜1,000mPa・s、好ましくは3〜800mPa・s、より好ましくは5〜500mPa・s、さらに好ましくは10〜250mPa・sである。なお、粘度の数値は、東京計器社製B型回転粘度計(モデルTV-10)で、ローターNo.1を用い、ローターを1分間回転させた後の値である。なお、回転数の大きい測定から順番に行い、表示が振り切れることなく測定できた時点で測定を完了し、以降の回転数の小さい測定は行わない。混合液の粘度を上述の範囲とすることにより、柔軟性多孔質材料を含む構造体に保持されやすく、かつ構造体上で泡立てるまでの間に液だれしにくく、しかも泡立ての効率がよい。くわえて泡状にした際に、頭髪へ適用し易く、頭髪との泡馴染みがよく、頭髪に適用した後の液だれが生じにくい染毛剤組成物とすることができる。
粘度を前述の範囲に調整するためには、エタノール等の水溶性溶剤の添加、あるいは界面活性剤、ポリオール類、高級アルコール等の含有量や種類の適宜調整を行えばよい。
【0051】
〔頭髪染色方法〕
本発明の頭髪染色方法では、泡状にした染毛剤組成物を頭髪に適用する前に、予め頭髪を梳かしておくことが好ましい。これにより、再度泡立てる処理中に髪がからみにくくなるので、染毛剤組成物が飛び散るおそれがない。また、頭髪を梳かした後、染毛剤組成物の適用で汎用されているブロッキング操作を行う必要はなく、更にはブロッキング操作を行わないことが好ましい。これにより、後述する染毛剤組成物を頭髪に適用する操作や再度泡立てる操作がやりやすくなる。
【0052】
染毛剤組成物を適用する頭髪には、ムラなく染毛できるとともに、液だれを防止し、かつ十分な染毛効果を得るという観点から、染毛処理の直前では整髪料が適用されていないことが好ましい。また、混合液が薄まらず、むらなく染毛できるとともに、液だれを防止し、かつ十分な染毛効果を得るという観点から、乾いた頭髪であることが好ましい。染色処理の直前に洗髪を行う場合には、染色処理を行うまでに頭髪を乾燥させることが好ましい。頭髪を乾燥させるとは、少なくとも洗髪によって付着した水を主とする液体が、自然状態で垂れない程度まで除かれていることをいう。具体的には、タオルドライ状態やドライヤー乾燥状態とすることが好ましい。
【0053】
本発明の頭髪染色方法では、アルカリ剤を含有する第1剤と酸化剤を含有する第2剤を混合し、混合液を、柔軟性多孔質材料を含む構造体に含浸させ、柔軟性多孔質材料に対する外力の付与と解放によってこれを変形させる操作を行うことで泡立てる。ここで「変形させる」とは、外力の付与と解放の過程により、形状が変化する過程のことを意味し、外力を完全に解放したときに原形の形状に復帰するか否かは問わない。また外力の解放には、外力の完全な解放、部分的な解放のいずれをも含む概念であるものとする。また、第1剤と第2剤を混合せずに構造体に含浸させ、混合と泡立てを同時に行ってもよい。その際に、構造体上に含浸させる順序は第1剤が先であっても、第2剤が先であっても、第1剤と第2剤とを交互に複数回ずつ含浸させてもよい。染毛剤組成物が多剤式である場合には、第3剤を混合するのは、第1剤と第2剤の混合と同時であっても、混合後であってもよく、第1剤と第2剤の混合液の泡立てを同時に行ってもよい。
【0054】
該構造体には、染毛剤組成物を含浸させる前あるいは泡立てる前に、水などの液体を適宜含浸させることもできる。さらに、泡立て時に水などの液体を追加することもできる。含浸させる液体には、本発明で用いる染毛剤組成物に用いられる、界面活性剤、高級アルコール、不揮発性親水性溶剤などが含まれていてもよい。この場合、染毛剤組成物の全組成物とは、構造体に含浸させる液体を含めた概念である。
【0055】
該構造体に染毛剤組成物を含浸させる際は、あらかじめ該構造体に外力を加えて変形させ、その後外力を解放しながら染毛剤組成物を含浸させれば、該構造体内に一回当たり多くの染毛剤組成物を含ませることができ、好ましい。
【0056】
泡立ては、該構造体に外力を加えて変形する操作を繰り返して行う。外力の加え方は、例えば該構造体を特定の道具で挟む、押す、捻る、擦る等でもよく、手で握る、押す、捻る、擦る等のいずれであってもよい。手を用いる場合、両手を用いても片手のみを用いてもよいが、片手で握ることが簡便で効率よく染毛剤組成物を泡立てることができるので好ましい。該構造体を変形させる回数は、構造体に剤を含浸させるごとに少なくとも1回、好ましくは2〜50回、より好ましくは3〜40回、さらに好ましくは3〜25回である。該構造体を変形する操作を繰り返す頻度は、1秒当たり0.1〜4回、好ましくは0.2〜3回、より好ましくは0.4〜2回である。また、該構造体を変形する操作は、連続的に行っても、間隔を空けて行ってもよく、間隔を空ける場合には、その間隔は1分以内、好ましくは30秒以内、より好ましくは10秒以内である。なお、手を用いて該構造体を変形させる場合、染毛剤組成物が不透過性である合成樹脂製、合成ゴム製又は天然ゴム製の手袋を手に装着することが好ましい。
【0057】
泡状染毛剤組成物を頭髪に適用するには、該構造体から泡状染毛剤組成物を手ですくい取って適用してもよく、ブラシなどに載せて適用してもよく、該構造体を直接頭髪に当てて泡状とした染毛剤組成物を直接適用してもよい。
【0058】
泡状染毛剤組成物を頭髪に適用するには、泡状染毛剤組成物を頭髪に押し付ける、こすり付ける、梳くなど泡状染毛剤組成物を頭髪に移動させることができればいかなる方法であってもよい。また、この泡を適用する過程で、泡状染毛剤組成物に外力が加わることで泡の状態が変化し、より泡立つこともあるが、この段階での泡の状態の変化は、後述する「再度泡立てる」には含まれないものとする。
【0059】
手ですくい取って適用する場合は、染毛剤組成物が不透過性である合成樹脂製、合成ゴム製又は天然ゴム製の手袋を手に装着することが好ましい。泡状の染毛剤組成物をレモンの大きさ程度毎に頭髪に適用すると、片手に取るのにちょうどよく、しかも手で頭髪に適用しやすいので好ましい。この場合、一方の手で該構造体上の染毛剤組成物を泡立てる操作を行い、もう一方の手で泡をすくい取る。そして一旦手にすくい取った泡状染毛剤組成物を頭髪に適用した後、再度該構造体上で泡立てる操作を行い、頭髪に適用する操作を繰り返す。この一連の操作は、非常に簡便かつ短時間で行うことができる。該手袋の一方又は両方の一部又は全部と、1個又は複数の前記構造体とが連結又は接着して一体となっていると、該構造体を持ち直す煩雑さが軽減でき、好ましい。
【0060】
また、泡を適用する範囲は、頭髪全体であってもよく、特定の部分のみであってもよい。すなわち染色する頭髪領域は、頭髪全体あるいは特定の部分のみのいずれでもよい。適用操作は、泡立てた染毛剤組成物全量を1回で適用してもよく、複数回に分けて適用してもよい。複数回に分けて適用する場合には、染色する頭髪領域全体に適用することを繰り返しても、領域の異なる部分に適用することを繰り返して染色する頭髪領域全体に適用してもよい。適用と次の適用との間には、再度泡立てを行っても行わなくてもよい。
【0061】
本発明の頭髪染色方法によれば、一般に染毛剤組成物の適用で汎用されているブロッキング操作は不要であるので、短時間で泡状染毛剤組成物を適用することができる。よって泡を適用する頭髪部位はどこからでもよく、従来の液状乃至クリーム状の二剤式染毛剤組成物のように襟足から適用することは不要である。気になる部分から適用すればよく、頭髪の生え際又は分け目部分から適用することが好ましい。
【0062】
頭髪に適用した泡状染毛剤組成物を髪の根元まで行き亘らせる、消えかかった泡をしっかりした泡にもどす、一部染めの場合での染める境界をぼかすなどの目的で、頭髪に適用した泡状染毛剤組成物を頭髪上で再度泡立てることが好ましい。適用後に再度泡立てて放置するのみでもよく、再度泡立てと放置を繰り返してもよい。また、泡状染毛剤組成物の適用、再度泡立て、放置を繰り返してもよい。再度泡立てるには、気体を注入しても、振動機やブラシのような器具を用いても、あるいは指を用いてシャンプーをするような動作をしてもよいが、頭髪の根元にも二剤式染毛剤組成物を十分に行き亘らせることが可能になるので、指を用いてシャンプーをするような動作をするのがより好ましい。振動機やブラシ、あるいは指を用いてシャンプーをするような動作により再度泡立てる速度は、泡が飛び散らないように制御されていることが好ましい。
【0063】
ここで再度泡立てる時期は、完全に泡が消えた後であってもよく、泡が消える途中であってもよく、あるいは適用した泡が変化する前であってもよい。あるいは泡を適用したい範囲全てに適用完了した後であっても、適用途中であってもよい。再度泡立ては、連続的に1回で行ってもよく、断続的に複数回繰り返してもよい。ここで、再度泡立てるために用いる、振動機やブラシあるいは指が頭髪の一部と連続して接触し続けているか、又は一旦離れる時があっても1秒以内に再び接触するならば、再度泡立ては連続的である。要は適用した場所を観察し、少なくとも適用した泡から液が垂れる前に適宜泡立てればよい。消えかかった泡を再度泡立たせることにより、泡の性質にかかわらず液だれが防止できる。更に、染毛剤組成物の組成や該構造体によって、泡の性質に違いがあっても、再度泡立てにより、頭髪染色に適した泡質に変えることもできる。染毛剤組成物の組成や該構造体を特定のものとすれば、液だれを防止でき、そのままでも頭髪染色に適した泡質を保ちやすくなる場合も考えられるが、その場合でも泡状の染毛剤組成物適用が完了した後のできるだけ早い時期までに少なくとも1度は再度泡立てることが好ましい。早い時期に再度泡立てることで、適用したい範囲での色むらを防止することができる。時期としては、泡状の染毛剤組成物の頭髪への適用完了後5分以内であることが好ましく、3分以内がより好ましく、1分以内であることがさらに好ましい。
【0064】
最後の泡状染毛剤組成物適用後、3〜60分間、好ましくは5〜30分間放置し、頭髪を洗浄、乾燥する。本発明において、最後の泡状染毛剤組成物適用後の放置時間は、全頭あるいは所望の部分に泡状の染毛剤組成物を全て適用完了した後、洗い流すまでにおける全所要時間をいい、単に放置する時間以外に再度の泡立てに要する時間を含む概念である。洗浄は、単なる水洗でもよく、シャンプーを用いてもよいが、水洗後シャンプー洗浄することが好ましい。シャンプー後コンディショナー等のアフターシャンプー毛髪化粧料で処理することも好ましい。
【実施例】
【0065】
実施例1
以下に示す染毛剤及び構造体を用いて、日本人男性(白髪含有率;前頭部約5%、右側頭部約60%、左側頭部約40%、後頭部約10%)の右側頭部(平均毛髪長4cm)を染毛した。
【0066】
・染毛剤 :表1記載の第1剤A、表2記載の第2剤A
第1剤と第2剤を質量比1:1で混合後の全組成の粘度15mPa・s、pH10.0
・構造体A:柔軟性多孔質材料を7×5×4cmの直方体とし、7×5cmの一平面中央部に直径2cmの半球状凹部を設けた。柔軟性多孔質材料は、イノアックコーポレーション社製カラーフォーム一般品EGT-Cを用いた。この柔軟性多孔質材料は、見掛け密度22kg/m3、硬さ115Nである。
【0067】
第1剤A5gと第2剤A5gを均一になるまで混合し、該混合液の全てを一度に構造体Aに含浸させ、構造体Aを15秒間に20回握って泡立てた。構造体Aを右側頭部にあて、泡状となった染毛剤組成物を毛髪に適用した。適用後、右側前頭部から右側後頭部までの間で指を10秒間に15往復させるシャンプーをするような動作により再度泡立てし、3分間放置した。再び右側前頭部から右側後頭部までの間で指を10秒間に15往復させるシャンプーをするような動作により再度泡立てし、15分間放置した。染毛剤組成物を水洗後、全頭をシャンプーで2回洗った。
乾燥後、右側頭部の白髪は認められなくなるとともに、前頭部又は後頭部との不自然な不連続は認められなかった。
次いで、左側頭部を染毛した。第1剤A5gと第2剤A5gを均一になるまで混合し、該混合液の全てを一度に構造体Aに含浸させ、構造体Aを15秒間に20回握って泡立てた。構造体Aを左耳上にあて、泡状となった染毛剤組成物を毛髪に適用した。上の右側頭部染毛と同じ処理を行ったところ、右側頭部と左側頭部に差異はなく、いずれも白髪は認められなくなっていた。また、前頭部及び後頭部には白髪があるものの、左右側頭部と比べて不自然な不連続は認められなかった。
【0068】
実施例2
以下に示す染毛剤及び構造体を用いて、日本人女性(白髪含有率;全頭で偏り無く約10%)の全頭(ミディアムヘア、平均毛髪長約15cm)を染毛した。
【0069】
・染毛剤 :表1記載の第1剤B、表2記載の第2剤B
第1剤と第2剤を質量比1:1で混合後の全組成の粘度200mPa・s、pH10.0
・構造体B:柔軟性多孔質材料を長軸長8cm×短軸長5cmの回転楕円体とした。柔軟性多孔質材料は、ブリヂストン社製エバーライトクリーナー用SDを用いた。この柔軟性多孔質材料は、見掛け密度28kg/m3、硬さ160Nである。
【0070】
第1剤B25gと第2剤B25gを200mLの蓋付き容器に入れ、容器を振盪して混合した。混合した全組成物の約四分の一量を構造体Bに含浸させ、構造体Bを15秒間に20回握って泡立てた。構造体Bを右側頭部から前頭部にあて、泡状となった染毛剤組成物を毛髪に適用した。適用後、適用場所近辺を10秒間に15回円を描くように指を動かすシャンプーをするような動作により再度泡立てた。次いで、残りの全組成物も同様に、約三分の一量ずつを構造体Bに含浸させ、「泡立て、初回の適用場所近辺の頭髪に適用、適用場所近辺で再度泡立てする操作」を3回行った。
さらに第1剤B25gと第2剤B25gを前述の200mLの蓋付き容器に入れ、容器を振盪して混合した。混合した全組成物の約四分の一量を構造体Bに含浸させ、構造体Bを15秒間に20回握って泡立て、構造体Bを左側頭部から前頭部にあて、泡状となった染毛剤組成物を毛髪に適用した。適用後、適用場所近辺を10秒間に15回円を描くように指を動かすシャンプーをするような動作により再度泡立てた。次いで、残りの全組成物も同様に、約三分の一量ずつを構造体Bに含浸させ、「泡立て、左側初回の適用場所近辺の頭髪に適用、適用場所近辺で再度泡立てする操作」を3回行った。
染毛剤組成物の頭髪への適用量は、合計100gである。最後に20秒間に30回円を描くように指を動かすシャンプーをするような動作により再度泡立て、全頭に泡状の染毛剤組成物が適用されているようにし、15分間放置した。染毛剤組成物を水洗後、全頭をシャンプーで2回洗った。
乾燥後、全頭で白髪は認められなかった。
【0071】
【表1】

【0072】
【表2】

【0073】
実施例3〜6
用いる構造体を構造体C〜Fに換える以外は実施例1と同様にして、日本人男性の右側頭部を染毛する。
【0074】
・構造体C:柔軟性多孔質材料1を7×5×2cmの直方体とし、7×5cmの一平面中央部に半径1cmの半球状凹部を設ける。さらに、柔軟性多孔質材料2を7×5×2cmの直方体とし、前記柔軟性多孔質材料1製の直方体と7×5cmの一平面で貼り合わせる。
柔軟性多孔質材料1は、イノアックコーポレーション社製カラーフォーム一般品EFFを用いる。この柔軟性多孔質材料1は、見掛け密度21kg/m3、硬さ59Nである。
柔軟性多孔質材料2は、イノアックコーポレーション社製カラーフォーム一般品ECAを用いる。この柔軟性多孔質材料2は、見掛け密度26kg/m3、硬さ130Nである。
染毛剤組成物は柔軟性多孔質材料1側に含浸させ泡立てる。
【0075】
・構造体D:柔軟性多孔質材料を7×5×3cmの直方体とし、15デニールのナイロン製ストッキング先端に入れ、挿入部を工業用ポリエステル製ミシン糸#80で封じる。
前記柔軟性多孔質材料は、ブリヂストン社製エバーライトSBを用いる。この柔軟性多孔質材料は、見掛け密度28kg/m3、硬さ140Nである。
【0076】
・構造体E:柔軟性多孔質材料を7×14×1.5cmの直方体とし、ポリエステル製の食器クリーナー用網袋に入れ、挿入口を工業用ポリエステル製ミシン糸#80で封じる。
前記柔軟性多孔質材料は、ブリヂストン社製エバーライトTDを用いる。この柔軟性多孔質材料は、見掛け密度20kg/m3、硬さ90Nである。
【0077】
・構造体F:柔軟性多孔質材料を半径4cmの半球体とし、平面部中央に3×2×1cmの直方体状窪みを設ける。
前記柔軟性多孔質材料は、イノアックコーポレーション社製カラーフォームECAを用いる。この柔軟性多孔質材料は、見掛け密度26kg/m3、硬さ130Nである。
【0078】
実施例7、実施例8、比較例1〜3
表3記載の柔軟性多孔質材料を含む構造体に、まず第1剤A5gを含浸させた後、ただちに第2剤A5gを含浸させ、表4記載の手順により泡立てて右側頭部頭髪(白髪含有率約10%)に適用した。
【0079】
【表3】

【0080】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ剤を含有する第1剤と酸化剤を含有する第2剤とを含み、第1剤と第2剤の少なくとも一方に界面活性剤を含有する染毛剤組成物を、
見掛け密度が15〜70kg/m3であり、硬さが50〜250Nである柔軟性多孔質材料を含む構造体に含浸させ、柔軟性多孔質材料に対する外力の付与と解放によってこれを変形させる操作を行うことで泡立て、
この泡状の染毛剤組成物を毛髪に適用し、3〜60分間放置した後、洗い流す
ことによる頭髪染色方法。
【請求項2】
染毛剤全組成中の界面活性剤の含有量が、1〜50質量%である請求項1記載の頭髪染色方法。
【請求項3】
泡状の染毛剤組成物を頭髪の一部に適用し、頭髪の一部又は全体を染める請求項1又は2記載の頭髪染色方法。
【請求項4】
構造体が、柔軟性多孔質材料からなる層を1層又は2層以上含むものである請求項1〜3のいずれかに記載の頭髪染色方法。
【請求項5】
泡状の染毛剤組成物を毛髪に適用した後、洗い流すまでの間に、頭髪上で再度泡立てる請求項1〜4のいずれかに記載の頭髪染色方法。
【請求項6】
アルカリ剤を含有する第1剤と酸化剤を含有する第2剤とを含み、第1剤と第2剤の少なくとも一方に界面活性剤を含有する染毛剤組成物と、
第1剤と第2剤の混合液を泡立てるための、見掛け密度が15〜70kg/m3であり、硬さが50〜250Nである柔軟性多孔質材料を含む構造体を有する染毛キット。

【公開番号】特開2010−215576(P2010−215576A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−65440(P2009−65440)
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】