説明

顔認証装置および顔認証方法および入場管理装置

【課題】「共連れ」が発生した可能性を履歴情報により容易に検出でき、かつ、顔検出の誤りによって通行不能となってしまったり、高処理能力を持つハードウエアが必要となったりするという弊害を回避できる顔認証装置を提供する。
【解決手段】通行者を認証対象とし、当該通行者から取得した顔画像をあらかじめ登録された辞書情報としての顔画像と照合することにより当該通行者はあらかじめ登録された人物であるかを判定する顔認証装置において、取得された同一画像内で複数の顔画像が検出された場合、その時点では最も顔としての確度が高い顔画像のみで顔照合処理および通行制御を行ない、その顔照合結果およびそのときの取得画像とともに複数の顔画像が検出されたという情報を履歴情報として通行履歴保存部に保存する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば、通行者を認証対象とし、当該通行者から取得した顔画像をあらかじめ登録された辞書情報としての顔画像と照合することにより当該通行者はあらかじめ登録された人物であるかを判定する顔認証装置および顔認証方法に関する。
【0002】
また、本発明は、上記顔認証装置あるいは顔認証方法を用いてセキュリティを必要とする部屋や施設等の入場対象エリアに対する入場を管理する入場管理装置に関する。
【背景技術】
【0003】
一般に、顔認証装置を用いた入場管理装置は、ビデオカメラなどのカメラを有していて、認証対象となる人物がカメラの前に立ち止まり、カメラのレンズに顔を向けることで、人物の顔画像をカメラが撮像して入力し、この入力した顔画像から得られる当該人物固有の顔の特徴情報をあらかじめ登録されている辞書情報と照合することにより、当該人物はあらかじめ登録された人物であるかを判定し、あらかじめ登録された人物である場合、入場対象エリア(部屋や施設等)のドアを開放する(たとえば、特許文献1参照)。
【0004】
この種の入場管理装置(顔認証装置)にあっては、上記したように、認証する人物がカメラの前に立ち止まることで、当該人物の顔を撮像するようになっているため、認証対象が通行者(移動する人物)であって、当該通行者がドア(特定の位置)に接近するまでに顔認証を行なう目的に使用する場合、このような移動する人物の顔を撮像することはできないという問題がある。
【0005】
そこで、入場対象エリアの入口の近傍にカメラと表示部を配設し、入口のドアに向かって移動する通行者の顔認証を行なうものが考えられている。これは、入口のドアに向かって移動する通行者の顔画像をカメラで撮像して入力し、この入力した顔画像から得られる当該人物固有の顔の特徴情報をあらかじめ登録されている辞書情報と照合することにより、当該通行者はあらかじめ登録された人物であるかを判定し、あらかじめ登録された人物である場合、入口のドアを開いて通行を許可し、そうでなければ、入口のドアを閉じたままにして通行を阻止するものである。
このように、通行者が入口のドアに到達するまでに、顔認証処理を終了することで、あらかじめ登録された通行者は立ち止まることなしに入口を通過できる。
【0006】
ところが、この種の入場管理装置(顔認証装置)においては、たとえば、正当に顔照合された人物に連なって通行(入場)を行なういわゆる「共連れ」が発生する場合がある。このような「共連れ」を検出する技術として、照合時に複数の顔画像が検出された場合、検出された複数の顔画像それぞれに対して顔照合処理を行ない、その照合の結果、1人でも非登録者(不正侵入者)と判定された場合は、「共連れ」がいるものと判断して通行不可(入場不可)としたり、不正侵入者の顔画像を表示して威嚇したりする等の方法が公知である(たとえば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2001−266152号公報
【特許文献2】特開2006−133899号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記した公知の技術においては、複数の顔画像に対する照合処理を並列的あるいは超高速に行なう必要があり、そのために計算処理能力の高いハードウエアが必要となる。また、周辺領域で検出された顔画像は、顔画像としての検出自体を誤っている可能性もあり、それらの顔照合結果によって最も顔としての確度が高い顔照合結果に影響を与えるという問題もある。
【0008】
そこで、本発明は、「共連れ」が発生した可能性を履歴上方により容易に検出でき、かつ、顔検出の誤りによって通行不能となってしまったり、高処理能力を持つハードウエアが必要となったりするという弊害を回避できる顔認証装置および顔認証方法および入場管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の顔認証装置は、移動する人物の少なくとも顔を含む画像を取得する画像取得手段と、この画像取得手段により取得された画像から人物の顔画像を検出する顔検出手段と、この顔検出手段において前記画像取得手段により取得された同一画像内に複数の顔画像が検出されたか否かを判定する判定手段と、この判定手段による判定の結果、同一画像内に複数の顔画像が検出された場合、当該複数の顔画像のうち最も顔として確度が高い顔画像をあらかじめ登録された辞書情報としての顔画像と照合することにより当該人物はあらかじめ登録された人物であるか否かを判定する顔照合手段と、この顔照合手段の照合結果および当該照合の対象となった前記取得画像および複数の顔画像が検出されたという情報を履歴情報として保存する履歴保存手段とを具備している。
【0010】
また、本発明の顔認証装置は、移動する人物の少なくとも顔を含む画像を取得する画像取得手段と、この画像取得手段により取得された画像から人物の顔画像を検出する顔検出手段と、この顔検出手段において前記画像取得手段により取得された同一画像内に複数の顔画像が検出されたか否かを判定する判定手段と、この判定手段による判定の結果、同一画像内に複数の顔画像が検出された場合、当該複数の顔画像のうち最も顔として確度が高い顔画像をあらかじめ登録された辞書情報としての顔画像と照合することにより当該人物はあらかじめ登録された人物であるか否かを判定する第1の顔照合手段と、前記顔検出手段により検出された複数の顔画像のうち最も顔として確度が高い顔画像を除いた残りの顔画像をあらかじめ登録された辞書情報としての顔画像とそれぞれ照合することにより当該人物はあらかじめ登録された人物であるか否かを判定する第2の顔照合手段と、前記第1の顔照合手段の照合結果および前記第2の顔照合手段の照合結果および当該照合の対象となった前記取得画像を履歴情報として保存する履歴保存手段とを具備している。
【0011】
また、本発明の顔認証方法は、移動する人物の少なくとも顔を含む画像を取得する画像取得ステップと、この画像取得ステップにより取得された画像から人物の顔画像を検出する顔検出ステップと、この顔検出ステップにおいて前記画像取得ステップにより取得された同一画像内に複数の顔画像が検出されたか否かを判定する判定ステップと、この判定ステップによる判定の結果、同一画像内に複数の顔画像が検出された場合、当該複数の顔画像のうち最も顔として確度が高い顔画像をあらかじめ登録された辞書情報としての顔画像と照合することにより当該人物はあらかじめ登録された人物であるか否かを判定する顔照合ステップと、この顔照合ステップの照合結果および当該照合の対象となった前記取得画像および複数の顔画像が検出されたという情報を履歴情報として保存する履歴保存ステップとを具備している。
【0012】
また、本発明の顔認証方法は、移動する人物の少なくとも顔を含む画像を取得する画像取得ステップと、この画像取得ステップにより取得された画像から人物の顔画像を検出する顔検出ステップと、この顔検出ステップにおいて前記画像取得ステップにより取得された同一画像内に複数の顔画像が検出されたか否かを判定する判定ステップと、この判定ステップによる判定の結果、同一画像内に複数の顔画像が検出された場合、当該複数の顔画像のうち最も顔として確度が高い顔画像をあらかじめ登録された辞書情報としての顔画像と照合することにより当該人物はあらかじめ登録された人物であるか否かを判定する第1の顔照合ステップと、前記顔検出ステップにより検出された複数の顔画像のうち最も顔として確度が高い顔画像を除いた残りの顔画像をあらかじめ登録された辞書情報としての顔画像とそれぞれ照合することにより当該人物はあらかじめ登録された人物であるか否かを判定する第2の顔照合ステップと、前記第1の顔照合ステップの照合結果および前記第2の顔照合ステップの照合結果および当該照合の対象となった前記取得画像を履歴情報として保存する履歴保存ステップとを具備している。
【0013】
また、本発明の入場管理装置は、入場対象エリアに向かって移動する人物の少なくとも顔を含む画像を取得する画像取得手段と、この画像取得手段により取得された画像から人物の顔画像を検出する顔検出手段と、この顔検出手段において前記画像取得手段により取得された同一画像内に複数の顔画像が検出されたか否かを判定する判定手段と、この判定手段による判定の結果、同一画像内に複数の顔画像が検出された場合、当該複数の顔画像のうち最も顔として確度が高い顔画像をあらかじめ登録された辞書情報としての顔画像と照合することにより当該人物はあらかじめ登録された人物であるか否かを判定する顔照合手段と、この顔照合手段の照合結果に基づき前記入場対象エリアに対する入場制御を行なう入場制御手段と、前記顔照合手段の照合結果および当該照合の対象となった前記取得画像および複数の顔画像が検出されたという情報を履歴情報として保存する履歴保存手段とを具備している。
【0014】
さらに、本発明の入場管理装置は、入場対象エリアに向かって移動する人物の少なくとも顔を含む画像を取得する画像取得手段と、この画像取得手段により取得された画像から人物の顔画像を検出する顔検出手段と、この顔検出手段において前記画像取得手段により取得された同一画像内に複数の顔画像が検出されたか否かを判定する判定手段と、この判定手段による判定の結果、同一画像内に複数の顔画像が検出された場合、当該複数の顔画像のうち最も顔として確度が高い顔画像をあらかじめ登録された辞書情報としての顔画像と照合することにより当該人物はあらかじめ登録された人物であるか否かを判定する第1の顔照合手段と、この第1の顔照合手段の照合結果に基づき前記入場対象エリアに対する入場制御を行なう入場制御手段と、前記顔検出手段により検出された複数の顔画像のうち最も顔として確度が高い顔画像を除いた残りの顔画像をあらかじめ登録された辞書情報としての顔画像とそれぞれ照合することにより当該人物はあらかじめ登録された人物であるか否かを判定する第2の顔照合手段と、前記第1の顔照合手段の照合結果および前記第2の顔照合手段の照合結果および当該照合の対象となった前記取得画像を履歴情報として保存する履歴保存手段とを具備している。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、同一画像内で複数の顔画像が検出された場合、その時点では最も顔としての確度が高い顔画像のみで顔照合処理を行ない、その顔照合結果とともに複数の顔画像が検出されたという情報を履歴情報として保存する、あるいは、最も顔としての確度が高い顔画像の顔照合を行なった後に、他に検出された顔画像の顔照合をも行なって、それらの顔照合結果を履歴情報として保存することにより、「共連れ」が発生した可能性を履歴情報により容易に検出でき、かつ、顔検出の誤りによって通行不能となってしまったり、高処理能力を持つハードウエアが必要となったりするという弊害を回避できる顔認証装置および顔認証方法および入場管理装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
まず、本発明の概要について簡単に説明する。本発明では、たとえば、図1に示すように、通行帯1を図示矢印a方向に移動して入退場対象エリア(部屋や施設等)2の入口に設けられたドア(入退場用ゲート)3に向う通行者(以下、人物ともいう)Mの少なくとも顏を含む画像をカメラ11で取得し、取得した画像によって、当該通行者Mがあらかじめ登録された人物であるか否かを判定し、あらかじめ登録された人物と判定した場合にはドア3を開錠して、通行者Mの通行を許可する。
【0017】
図1は、本実施の形態に係る顔認証装置が適用される入場管理装置の構成を概略的に示すものである。この入場管理装置は、通行者Mの少なくとも正面の顔を含む画像を取得する画像取得手段としてのビデオカメラ(以降、単にカメラと略称する)11、カメラ11により取得された画像から通行者Mの顔画像を検出する顔検出手段としての顔検出部12、あらかじめ登録された入場許可者の顔画像が辞書情報として格納(記憶)されている顔認証辞書部13、顔検出部12で検出された顔画像と顔認証辞書部13にあらかじめ登録された顔画像とを照合することにより当該通行者Mはあらかじめ登録された人物であるか否かを判定する顔照合手段としての顔照合部14、顔照合部14の照合結果に基づき前記ドア3を制御する入場制御手段としてのドア制御部15、顔照合部14の照合結果および当該照合の対象となった取得画像などを履歴情報として保存する履歴保存手段としての通行履歴保存部16を有して構成されている。
【0018】
顔検出部12は、カメラ11から得られる画像に対して顔の存在する領域(顔画像)を検出する。顏領域の検出処理には、たとえば、文献(三田,金子,堀,“微小な差異を含む画像の照合に適した空間差分確率テンプレートの提案”,第9会画像センシングシンポジウム講演論文集,SSII03,2003)に記載されている手法を用いることができる。これは、事前に顏の学習パターンから検出用辞書パターンを作成しておき、検出用辞書パターンと高い類似度を持つパターンを入力画像中から探す手法である。
【0019】
顔照合部14は、顔検出部12で検出された通行者Mの顔画像と顔認証辞書部13に登録されている顔画像との類似度を計算し、得られた類似度とあらかじめ設定された判定用閾値とを比較し、判定用閾値以上である場合、当該通行者Mはあらかじめ登録された人物であると判定し、類似度が判定用閾値未満である場合、当該通行者Mはあらかじめ登録された人物でないと判定し、その判定結果をドア制御部15に出力する。
【0020】
ここに、顔照合部14における顔照合処理には、たとえば、文献(山口.福井.前田,”動画像を用いた顔認識システム”,信学技報PRMU97−50,pp.17−23,1997−06)に記載されている相互部分空間法を用いることで実現可能である。
【0021】
次に、上記のような構成において、第1の実施の形態に係る動作について図2に示すフローチャートを参照して説明する。
カメラ11は、たとえば、ドア3前方の通行帯1を常時撮影していて、その撮影画像は顔検出部12へ送られる(ステップS1)。顔検出部12は、カメラ11から常時送信されてくる通行帯1の撮影画像(以降、取得画像とも言う)から、顔画像と判断される領域(顔画像)を検出し(ステップS2)、その検出情報(顔画像)を、そのときの取得画像とともに顔照合部12へ送る。
【0022】
顔照合部12は、顔検出部12からの検出情報に基づき、顔検出部12において同一取得画像内で複数の顔画像が検出されたか否かを判定し(ステップS3)、同一取得画像内で複数の顔画像が検出されなかった場合、顔検出部12で検出された顔画像と顔認証辞書部13にあらかじめ登録された顔画像とを照合することにより当該通行者Mはあらかじめ登録された人物であるか否かを判定する(ステップS4)。
【0023】
顔照合部12の照合結果は、ドア制御部15に対して送られる(ステップS5)。ドア制御部15は、顔照合部12からの照合結果に対応してドア3の施錠/解錠を制御するドア制御信号をドア3に送る(ステップS6)。
【0024】
また、顔照合部14の照合結果および当該照合の対象となった取得画像は、通行履歴保存部16に対して送られる。通行履歴保存部16は、送られてきた照合結果および取得画像に対して日付情報等の属性情報を付加し、それを履歴情報として保存する(ステップS7)。
【0025】
ステップS3における判定の結果、同一取得画像内で複数の顔画像が検出された場合、顔検出部12で検出された複数の顔画像のうち最も顔として確度が高い1つの顔画像のみを選択し、この選択した顔画像と顔認証辞書部13にあらかじめ登録された顔画像とを照合することにより当該通行者Mはあらかじめ登録された人物であるか否かを判定する(ステップS8)。
なお、最も顔として確度が高い顔画像のみを選択する方法としては、たとえば、顔検出部12において検出用辞書パターンと最も高い類似度が得られた顔画像を選択する方法が考えられる。
【0026】
顔照合部12の照合結果は、ドア制御部15に対して送られる(ステップS9)。ドア制御部15は、顔照合部12からの照合結果に対応してドア3の施錠/解錠を制御するドア制御信号をドア3に送る(ステップS10)。
【0027】
また、顔照合部14の照合結果および当該照合の対象となった取得画像は、通行履歴保存部16に対して送られる。通行履歴保存部16は、送られてきた照合結果および取得画像に対して複数の顔画像が検出されたという情報を付加するとともに、日付情報等の属性情報を付加し、それを履歴情報として保存する(ステップS11)。
【0028】
このように、第1の実施の形態に係る処理によれば、同一画像内で複数の顔画像が検出された場合、その時点では最も顔としての確度が高い顔画像のみで顔照合処理および通行制御を行ない、その顔照合結果およびそのときの取得画像とともに複数の顔画像が検出されたという情報を履歴情報として通行履歴保存部16に保存することにより、「共連れ」が発生した可能性を通行履歴保存部16内の履歴情報により容易に検出でき、かつ、顔検出の誤りによって通行不能となってしまったり、高処理能力を持つハードウエアが必要となったりするという弊害を回避することができる。
【0029】
次に、第2の実施の形態に係る動作について図3に示すフローチャートを参照して説明する。
カメラ11は、たとえば、ドア3前方の通行帯1を常時撮影していて、その撮影画像は顔検出部12へ送られる(ステップS1)。顔検出部12は、カメラ11から常時送信されてくる通行帯1の撮影画像(以降、取得画像とも言う)から、顔画像と判断される領域(顔画像)を検出し(ステップS2)、その検出情報(顔画像)を、そのときの取得画像とともに顔照合部12へ送る。
【0030】
顔照合部12は、顔検出部12からの検出情報に基づき、顔検出部12において同一取得画像内で複数の顔画像が検出されたか否かを判定し(ステップS3)、同一取得画像内で複数の顔画像が検出されなかった場合、顔検出部12で検出された顔画像と顔認証辞書部13にあらかじめ登録された顔画像とを照合することにより当該通行者Mはあらかじめ登録された人物であるか否かを判定する(ステップS4)。
【0031】
顔照合部12の照合結果は、ドア制御部15に対して送られる(ステップS5)。ドア制御部15は、顔照合部12からの照合結果に対応してドア3の施錠/解錠を制御するドア制御信号をドア3に送る(ステップS6)。
【0032】
また、顔照合部14の照合結果および当該照合の対象となった取得画像は、通行履歴保存部16に対しても送られる。通行履歴保存部16は、送られてきた照合結果および取得画像に対して日付情報等の属性情報を付加し、それを履歴情報として保存する(ステップS7)。
【0033】
ステップS3における判定の結果、同一取得画像内で複数の顔画像が検出された場合、顔検出部12で検出された複数の顔画像のうち最も顔として確度が高い1つの顔画像を選択し、この選択した顔画像と顔認証辞書部13にあらかじめ登録された顔画像とを照合することにより当該通行者Mはあらかじめ登録された人物であるか否かを判定する(ステップS8)。
【0034】
顔照合部12の照合結果は、ドア制御部15に対して送られる(ステップS9)。ドア制御部15は、顔照合部12からの照合結果に対応してドア3の施錠/解錠を制御するドア制御信号をドア3に送る(ステップS10)。
【0035】
次に、顔照合部12は、顔検出部12で検出された複数の顔画像のうち最も顔として確度が高い1つの顔画像(ステップS8で顔照合に用いた顔画像)を除いた残りの顔画像を顔認証辞書部13にあらかじめ登録された顔画像とそれぞれ照合することにより、各顔画像ごとに当該通行者Mはあらかじめ登録された人物であるか否かを判定する(ステップS12)。
【0036】
次に、顔照合部14の照合結果(ステップS8の照合結果、ステップS12の照合結果)および当該照合の対象となった取得画像は、それぞれ通行履歴保存部16に対して送られる。通行履歴保存部16は、送られてきた各照合結果および取得画像に対して日付情報等の属性情報を付加し、それを履歴情報として保存する(ステップS13)。
【0037】
このように、第2の実施の形態に係る処理によれば、同一画像内で複数の顔画像が検出された場合、その時点では最も顔としての確度が高い顔画像で顔照合処理および通行制御を行なった後に、他に検出された残りの顔画像の顔照合をも行なって、それらの顔照合結果およびそのときの取得画像を履歴情報として通行履歴保存部16に保存することにより、「共連れ」が発生した可能性を通行履歴保存部16内の履歴情報により容易に検出でき、かつ、顔検出の誤りによって通行不能となってしまったり、高処理能力を持つハードウエアが必要となったりするという弊害を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施の形態に係る顔認証装置が適用される入場管理装置の構成を概略的に示す構成図。
【図2】第1の実施の形態に係る動作について説明するフローチャート。
【図3】第2の実施の形態に係る動作について説明するフローチャート。
【符号の説明】
【0039】
1…通行帯、2…入退場対象エリア、3…ドア(入退場用ゲート)、M…通行者(人物)、11…カメラ(画像取得手段)、12…顔検出部(顔検出手段)、13…顔認証辞書部、14…顔照合部(顔照合手段)、15…ドア制御部(入場制御手段)、16…通行履歴保存部(履歴保存手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動する人物の少なくとも顔を含む画像を取得する画像取得手段と、
この画像取得手段により取得された画像から人物の顔画像を検出する顔検出手段と、
この顔検出手段において前記画像取得手段により取得された同一画像内に複数の顔画像が検出されたか否かを判定する判定手段と、
この判定手段による判定の結果、同一画像内に複数の顔画像が検出された場合、当該複数の顔画像のうち最も顔として確度が高い顔画像をあらかじめ登録された辞書情報としての顔画像と照合することにより当該人物はあらかじめ登録された人物であるか否かを判定する顔照合手段と、
この顔照合手段の照合結果および当該照合の対象となった前記取得画像および複数の顔画像が検出されたという情報を履歴情報として保存する履歴保存手段と、
を具備したことを特徴とする顔認証装置。
【請求項2】
移動する人物の少なくとも顔を含む画像を取得する画像取得手段と、
この画像取得手段により取得された画像から人物の顔画像を検出する顔検出手段と、
この顔検出手段において前記画像取得手段により取得された同一画像内に複数の顔画像が検出されたか否かを判定する判定手段と、
この判定手段による判定の結果、同一画像内に複数の顔画像が検出された場合、当該複数の顔画像のうち最も顔として確度が高い顔画像をあらかじめ登録された辞書情報としての顔画像と照合することにより当該人物はあらかじめ登録された人物であるか否かを判定する第1の顔照合手段と、
前記顔検出手段により検出された複数の顔画像のうち最も顔として確度が高い顔画像を除いた残りの顔画像をあらかじめ登録された辞書情報としての顔画像とそれぞれ照合することにより当該人物はあらかじめ登録された人物であるか否かを判定する第2の顔照合手段と、
前記第1の顔照合手段の照合結果および前記第2の顔照合手段の照合結果および当該照合の対象となった前記取得画像を履歴情報として保存する履歴保存手段と、
を具備したことを特徴とする顔認証装置。
【請求項3】
移動する人物の少なくとも顔を含む画像を取得する画像取得ステップと、
この画像取得ステップにより取得された画像から人物の顔画像を検出する顔検出ステップと、
この顔検出ステップにおいて前記画像取得ステップにより取得された同一画像内に複数の顔画像が検出されたか否かを判定する判定ステップと、
この判定ステップによる判定の結果、同一画像内に複数の顔画像が検出された場合、当該複数の顔画像のうち最も顔として確度が高い顔画像をあらかじめ登録された辞書情報としての顔画像と照合することにより当該人物はあらかじめ登録された人物であるか否かを判定する顔照合ステップと、
この顔照合ステップの照合結果および当該照合の対象となった前記取得画像および複数の顔画像が検出されたという情報を履歴情報として保存する履歴保存ステップと、
を具備したことを特徴とする顔認証方法。
【請求項4】
移動する人物の少なくとも顔を含む画像を取得する画像取得ステップと、
この画像取得ステップにより取得された画像から人物の顔画像を検出する顔検出ステップと、
この顔検出ステップにおいて前記画像取得ステップにより取得された同一画像内に複数の顔画像が検出されたか否かを判定する判定ステップと、
この判定ステップによる判定の結果、同一画像内に複数の顔画像が検出された場合、当該複数の顔画像のうち最も顔として確度が高い顔画像をあらかじめ登録された辞書情報としての顔画像と照合することにより当該人物はあらかじめ登録された人物であるか否かを判定する第1の顔照合ステップと、
前記顔検出ステップにより検出された複数の顔画像のうち最も顔として確度が高い顔画像を除いた残りの顔画像をあらかじめ登録された辞書情報としての顔画像とそれぞれ照合することにより当該人物はあらかじめ登録された人物であるか否かを判定する第2の顔照合ステップと、
前記第1の顔照合ステップの照合結果および前記第2の顔照合ステップの照合結果および当該照合の対象となった前記取得画像を履歴情報として保存する履歴保存ステップと、
を具備したことを特徴とする顔認証方法。
【請求項5】
入場対象エリアに向かって移動する人物の少なくとも顔を含む画像を取得する画像取得手段と、
この画像取得手段により取得された画像から人物の顔画像を検出する顔検出手段と、
この顔検出手段において前記画像取得手段により取得された同一画像内に複数の顔画像が検出されたか否かを判定する判定手段と、
この判定手段による判定の結果、同一画像内に複数の顔画像が検出された場合、当該複数の顔画像のうち最も顔として確度が高い顔画像をあらかじめ登録された辞書情報としての顔画像と照合することにより当該人物はあらかじめ登録された人物であるか否かを判定する顔照合手段と、
この顔照合手段の照合結果に基づき前記入場対象エリアに対する入場制御を行なう入場制御手段と、
前記顔照合手段の照合結果および当該照合の対象となった前記取得画像および複数の顔画像が検出されたという情報を履歴情報として保存する履歴保存手段と、
を具備したことを特徴とする入場管理装置。
【請求項6】
入場対象エリアに向かって移動する人物の少なくとも顔を含む画像を取得する画像取得手段と、
この画像取得手段により取得された画像から人物の顔画像を検出する顔検出手段と、
この顔検出手段において前記画像取得手段により取得された同一画像内に複数の顔画像が検出されたか否かを判定する判定手段と、
この判定手段による判定の結果、同一画像内に複数の顔画像が検出された場合、当該複数の顔画像のうち最も顔として確度が高い顔画像をあらかじめ登録された辞書情報としての顔画像と照合することにより当該人物はあらかじめ登録された人物であるか否かを判定する第1の顔照合手段と、
この第1の顔照合手段の照合結果に基づき前記入場対象エリアに対する入場制御を行なう入場制御手段と、
前記顔検出手段により検出された複数の顔画像のうち最も顔として確度が高い顔画像を除いた残りの顔画像をあらかじめ登録された辞書情報としての顔画像とそれぞれ照合することにより当該人物はあらかじめ登録された人物であるか否かを判定する第2の顔照合手段と、
前記第1の顔照合手段の照合結果および前記第2の顔照合手段の照合結果および当該照合の対象となった前記取得画像を履歴情報として保存する履歴保存手段と、
を具備したことを特徴とする入場管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−158677(P2008−158677A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−344772(P2006−344772)
【出願日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】