説明

顕微鏡照明装置及び顕微鏡照明装置のアダプタ

顕微鏡の照明装置(10)は、顕微鏡観察のために試料を照射する光を生成する少なくとも1つの光源(32)と、光源によって生成された光をコリメートする少なくとも1つのコリメートレンズ(50、52)と、コリメートされた光を受光し、観察中の試料に中空の円錐状の光を向ける暗視野コンデンサ(14)とを備える。この照明装置は、更に、中心に配置されたスペーサと、スペーサを取り囲む複数の光ファイバとを備え、暗視野コンデンサに伝達する中空の円筒状の光を生成して、光源から試料への光の伝達効率を高めるアダプタを備えていてもよい。照明装置は、蛍光顕微鏡法に好適に適用され、分解能及びコントラストを向上させる。

【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2004年4月16日に出願された米国仮特許出願第60/563,175号、2004年12月10日に出願された米国仮特許出願第60/634,850号、2005年2月7日に出願された米国仮特許出願第60/650,607号、2005年2月24日に出願された米国仮特許出願第60/655,805号、及び2005年3月10日に出願された米国仮特許出願第60/660,484号の優先権を主張し、これらの特許文献は、あらゆる目的で、参照により全体が本願に援用される。
【技術分野】
【0002】
本発明は、広くは、暗視野顕微鏡法の分野に関連し、詳しくは、蛍光顕微鏡法に任意に組み合わせることができ、分解能が向上した装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
人間を含む全ての生物は、細胞から形成されている。生物の大多数は、個々の生命を維持するために必要な機能を実行する単一の細胞として存在している。殆どの細胞は、微細であり、肉眼で見ることができず、したがって、これらの振る舞いを観察するためには、強力な顕微鏡を使用する必要がある。光学顕微鏡は、16世紀後半に発明され、これにより、生物学、生理学及び解剖学、生物医学、医療診断、材料科学に関する人類の知識が向上した。顕微鏡法の技術は進歩し、分解能を高めるための様々な技術が開発されている。
【0004】
微生物学を更に進歩させるためには、細胞レベル及び細胞内レベルで生じる生化学的な事象をより詳細に研究する必要がある。今日の顕微鏡法では、分解能を向上させるだけではなく、観察プロセスにおいて生物学的試料を破壊することなく、実時間で発生する生化学的な事象を観察するための技術の発達も望まれている。
【0005】
分解能とは、非常に接近している2個のオブジェクトを見分ける顕微鏡の能力である。1,000Å(1,000Å=100ナノメートル又は100×10−9メートル)の分解能を有する顕微鏡では、100ナノメートルの距離にある2つのオブジェクトを個別に観察することができる。100ナノメートルより小さいオブジェクト又は特徴は、分解(すなわち、区別)することができない。現在入手可能な幾つかの種類の顕微鏡の典型的な分解能又は実用的な分解能は、可視光顕微鏡では、約2,000Åであり、紫外線顕微鏡では1,000Åであり、走査型電子顕微鏡では、150〜300Åであり、透過電子顕微鏡では、2〜4Åである。
【0006】
紫外線顕微鏡は、通常の光学顕微鏡より高い分解能及びより高い倍率を提供するが、生体試料の研究に使用するには、重大な欠点がある。すなわち、紫外線は、多くの種類の生体生物学的試料を破損又は殺滅し、このため、多くの生物的プロセスの観察が不可能になる。紫外線が試料に当たると、試料の分子内で蛍光が励起され、試料自体が蛍光を放つ。試料が自然に蛍光を生成しない場合、蛍光染料によって試料を染色する必要がある。多くの蛍光染料は、例えば、生存細胞内の酵素等の分子に強く結合し、これらを変質させ、細胞の生化学的性質を著しく変えてしまう。他の染料は、過剰な蛍光を生成し、又は、紫外線を過剰に吸収するために、有用ではない。
【0007】
したがって、紫外線顕微鏡の操作には、熟練した技能が必要である。紫外線は、人間の目に害があるため、紫外線ビデオカメラ又は特別な機能を備えるスチルカメラによって画像を観察しなければならない。また通常、紫外線顕微鏡に必要なクォーツ光学部品は、可視光顕微鏡で用いられるガラス部品より遙かに高価である。
【0008】
殆どのバクテリア及びウイルスは、光学顕微鏡を用いても見ることができないくらい小さいので、このような有機体を見るためには、通常、電子顕微鏡が使用される。電子顕微鏡は、非常に高い分解能を提供するが、通常、試料を高真空脱水し、冷凍し、重金属によって浸透処理し、電子ビームで集中的に加熱する必要があるため、生きた試料を観察することは不可能である。また、脱水プロセスにより、試料が変質し、自然には存在しないアーチファクト及び細胞の破損が残る。また、生物的プロセスの各ステップを観察するために、このプロセスにおける所望の各ステップを捕捉するために、様々な段階における何十もの試料を観察しなければならない。このため、選択された各試料を準備しなければならず、このために、1つの試料あたり最大2時間もの時間が必要となることがある。
【0009】
電子顕微鏡のコストの高さもライフサイエンスにおける使用の障壁となっている。電子顕微鏡は、大きく、研究室全体を占有することも多い。電子顕微鏡の操作及び調整には、紫外線顕微鏡と同様に、非常に熟練した技術者が必要であり、このために、電子顕微観察設備の導入及び維持には、更なるコストが必要である。このように、現在使用可能な電子顕微鏡及び紫外線顕微鏡では、生物学的試料を変質させず、実時間で観察することができない。
【0010】
多くの生物学的特性は、生存細胞でしか観察できない。このような特性には、輸送、ストリーミング、ブラウン運動、散乱、食作用、飲作用、有糸分裂免疫蛍光及び細胞間相互作用等がある。以下に限定されるわけではないが、遺伝子療法、人工受精、新薬開発、細胞培養及びクローニング、細胞再生、着床、生物検出、及びバイオセラピクスを含む生物医学技術には、生存細胞及び細胞プロセスの視覚化が必要である。これらの現象の性質は、これらのプロセスが発生した前後の電子顕微鏡写真を調べることによって推定できることもあるが、これらのプロセスが発生している間に、これらのプロセスをより詳細に研究することが望ましい。
【0011】
バクテリア、動物及び植物細胞は、紫外線が照射されると、一次蛍光(自己蛍光)を示すため、これらの研究には、蛍光顕微鏡が有用である場合がある。蛍光顕微鏡は、微小なオブジェクトの蛍光によって、微小なオブジェクトを観察するための顕微鏡である。蛍光は、遙かに長い持続期間を有する燐光と比べて、持続期間が約10−8〜10−9秒の短時間の冷光現象である。蛍光は、多くの場合、光による励起によって生成される。放射される蛍光は、通常、励起光より長い波長を有する。蛍光のプロセスは、3つの主要なステップに分割できる。まず、入射する光子によって、最初の数フェムト秒(10−15秒)間、分子が励起される。次の数ピコ秒(10−12秒)間、分子は、励起状態電子の振動緩和により、中間状態の最低エネルギレベルになる。そして、最後の数ナノ秒(10−9秒)間、より波長が長い光子が出射され、分子が基底状態に回復する。蛍光顕微鏡は、励起光(excitation light:EL)による分子の励起から、より長い波長の蛍光(fluorescent light:FL)の発光までのプロセスの全体を用いる。
【0012】
蛍光顕微鏡に関する初期の研究は、20世紀の初頭に、オーガスト・コーラ(August Kohler)及びカール・レイチャートが行った。1911年には、オット・ハイムスタッド(Otto Heimstadt)及びハインリッヒ・レーマン(Heinrich Lehmann)が最初の実用的な蛍光顕微鏡を発表した。この後、スタニスラフ・フォン・プロバゼック(Stanislav von Provazek)及び及びアルフレッド・コールス(Alfred Coles)は、二次蛍光を安定させるために「蛍光色素」と呼ばれる有機染料を用いた。マックス・ハインティンガ(Max Haintinger)は、蛍光色素によって染色された組織及び器官のセクションの研究のための二次蛍光について詳細な研究を行った。更に、アルバート・コーンズ(Albert Coons)は、1941年に、蛍光顕微鏡における革命的な技術として、蛍光染料によって抗体に標識を付す技術(「蛍光標識抗体」)を開発し、これにより、免疫蛍光という概念が確立され、これは、現在の標準的な手法となっている。
【0013】
蛍光顕微鏡の主な機能は、特定の波長の光(励起光)によって試料を照射し、蛍光によって試料の分子を励起し、そして、出射された弱い蛍光を励起光から分離することによって、出射された蛍光を観察できるようにすることである。蛍光顕微鏡の光路は、通常、特別な光源と、2つのフィルタの存在によって特徴付けられる。第1のフィルタは、コンデンサの前に配置され、第2のフィルタは、対物レンズの後ろに配置される。第1のフィルタは、励起光だけを透過し、第2のフィルタは、発光した蛍光だけを透過する。これにより、試料に入射した励起光が取り除かれ、蛍光が観察者の目又は記録装置に入射する。光源は、紫外光及び/又は青紫光等の短波長光を供給する。現在、一般的な用途において、蛍光顕微鏡の2つの異なる光学的設計ある。一方の設計では、透過光照明を用い(「分離蛍光顕微鏡法:dia-fluorescence microscopy」)他方の設計では、反射光を用いる(「エピ蛍光顕微鏡法:epi-fluorescence microscopy」)。
【0014】
蛍光励起に必要な波長の光は、励起光だけを透過し、他の全ての波長の光を抑圧する励起フィルタによって選択される。励起光の一部は、試料によって吸収され、略々即座に、より長い波長の蛍光として、再発光する。バリアフィルタは、蛍光(発光光)を透過する。試料を透過し、又は試料から反射する励起光の残りの光は、バリアフィルタによって吸収される。この結果、暗い背景に対して、試料のカラー画像が観察(又は記録)される。
【0015】
初期の蛍光顕微鏡は、一般的に、励起及びバリアフィルタを備えた明視野透過型顕微鏡であった。透過型蛍光顕微鏡は、暗視野コンデンサを用いることによって大幅に改良された。暗視野コンデンサは、光を試料に斜角から投写し、励起光が対物レンズに直接入射することを防ぐ。従来の透過型蛍光顕微鏡の扱いの難しさから、多くのユーザが反射型蛍光顕微鏡を選択していた。透過型蛍光顕微鏡法は、様々な用途で有益であることがわかっているが、この技術には、以下のような幾つかの問題点がある。(1)励起光が対物レンズに入射することによって光強度及び分解能が低下することを防ぐために、対物レンズの開口数を減らす必要がある。(2)従来の暗視野法は、光を非常に無駄に使う(すなわち、効率的でない)。(3)ユーザによっては、暗視野コンデンサを調整することが困難である。(4)出射された蛍光は、対物レンズに到達する前に試料を通過し、このため、光は、部分的に吸収又は散乱され、これにより、画像が拡散され、強度が弱くなる。(5)従来の暗視野技術では、位相差顕微鏡法又はノマルスキー微分干渉顕微鏡法のために蛍光を同時に利用することができない。暗視野透過型蛍光顕微鏡法(分離蛍光顕微鏡法:dia-fluorescence microscopy)におけるこれらの問題のために、一般的には、明視野反射型蛍光顕微鏡法(エピ蛍光顕微鏡法:epi-fluorescence microscopy)が好まれている。
【0016】
光の性質
光波は、電場及び磁場の両方の形式のエネルギを有するため、光は、ある種の電磁放射と呼ばれることがある。人間が見ることができる光に加えて、電磁波スペクトルは、可視光より周波数が低い電波、マイクロ波、赤外光を含む。スペクトルの上側では、可視光より高い周波数の紫外線、エックス線、ガンマ線が存在する。
【0017】
波長は、連続した光波における対応する任意の2つの点の間の距離である。波長は、通常、1メートルの10億分の1の単位の距離で測定される。人間の目は、10億分の400〜700メートルの波長を見ることができる。周波数は、通常1秒である任意の期間に空間内の点を通過する波の数である。周波数は、1秒あたりの波の数又はヘルツ(Hz)で測定される。可視光の周波数は、色と呼ばれる。例えば、430兆Hzで伝搬する光は、赤色に見える。
【0018】
光の波長は、以下のような単純な式によって表される。
【0019】
f=c/L
ここで、cは、真空における光の速度(1秒あたり299,792,458メートル)を表し、fは、周波数をヘルツ(Hz)又は1秒あたりのサイクルで表し、Lは、波長をメートルで表している。
【0020】
顕微鏡分解能
光学顕微鏡の分解能又は分解能力は、アッベの式(Abbe's Formula)を用いて以下のように算出できる。
【0021】
D=L/2NA
Dは、顕微鏡の分解能をメートルで表し、Lは、入射光の波長をメートルで表し、NAは、顕微鏡の開口数を表している。一般に、開口数は、光が試料に当たる角度を示す。
【0022】
光の散乱
光波が試料を通り抜けると、光の大部分は、元の方向を維持するが、光の僅かな一部は、他の方向に散乱する。試料を照射するために用いられる光は、入射光と呼ばれる。様々な試料を介する入射光の散乱については、1800年代後半にジョン・ウィリアム・ストラット第3代レイリー男爵(Lord John William Strutt the third Baron Rayleigh:レイリー卿)が研究し、後に、アルベルト・アインシュタイン(Albert Einstein)らも研究した。
【0023】
レイリー卿は、散乱光の一部が入射光と同じ波長で現れることを発見した。この発見のため、入射光と同じ波長で光が散乱する現象は、レイリー散乱と呼ばれる(共鳴散乱又は弾性光散乱とも呼ばれる)。
【0024】
1922年、アーサー・H・コンプトン(Arthur H. Compton )は、幾つかの散乱光が入射光とは異なる波長を有することを発見した。コンプトンは、光が試料を通り抜ける際、幾つかの光は、試料の分子の電子を散乱し、スペクトルのX線領域における散乱光を生成することを発見した。
【0025】
ラマン散乱
1928年、チャンドラセカール・V・ラマン教授(Chandrasekhara V. Raman)及びK・S・クリスルマン教授(K.S. Krislman)は、コンプトンによって観測された散乱光は、試料の分子内の振動によって引き起こされることを発見した。この発見のため、試料の分子内の振動のために光が散乱する現象は、ラマン散乱と呼ばれる(非共鳴散乱又は非弾性光散乱とも呼ばれる)。ラマンは、1930年に、この発見によりノーベル物理学賞を受賞した。
【0026】
試料に入射光が当たると、試料の光と分子との間でエネルギが交換される。これにより分子が振動し、ラマン散乱として知られる現象が生じる。分子振動により、試料自体が散乱光を放射し、この散乱光の一部は、入射光周波数(f)より高い周波数(f+Δf)で散乱し、一部は、低い周波数(f−Δf)で散乱する。Δfは、ラマン散乱によって生じる周波数の変化を表す(振動数シフトとも呼ばれる)。
【0027】
要約すれば、入射光が試料に当たることにより生じる散乱光は、入射光と同じ周波数(f)のレイリー散乱光、高い周波数(f+Δf)のラマン散乱光、及び低い周波数(f−Δf)のラマン散乱光を含む。
【0028】
試料に依存する強度
ラマン散乱光は、試料内の分子振動によって生成されるので、ラマン散乱光の強度は、観察される試料の種類によって異なる。例えば、血球の試料は、強度が強いラマン散乱光を生成し、皮膚細胞の試料は、強度が弱いラマン散乱光を生成する。ラマン散乱光の分解能を利用する1つの手法は、暗視野コンデンサを用いて、入射光の焦点を試料に合わせることである。
【0029】
暗視野顕微鏡法
暗視野顕微鏡法では、コンデンサを用いて、入射光を、頂点又は焦点が試料に向けられた光錐として成形する。暗視野コンデンサは、通常、中心に配置された不透明な遮光体(opaque stop)と、1つ以上の内部のレンズ又はミラーとを備え、光を中空の円錐形に形成する。不透明な遮光体は、入射光の大半をブロックし、中空の円筒状の光だけがコンデンサに入射する。
【0030】
暗視野顕微鏡法では、顕微鏡載物台上に試料がなく、コンデンサの開口数が対物レンズの開口数より大きければ、円錐形の光線は、載物台上又は載物台近傍に収束し、載物台上で分散し、このため、この光線は対物レンズに入射せず、視野は暗く見える。一方、試料が存在する場合、円錐形の光線は、試料に当たり、試料の様々な特徴によって、散乱、回折、反射及び/又は屈折し、不連続な光を生成する。これらの光線の幾つかは、対物レンズに入射し、これにより、暗い背景に対して、試料の特徴が明らかになる。
【0031】
今日、多くの種類のコンデンサが使用され、入手可能である。カージオイド暗視野コンデンサでは、入射光は、中央の不透明な遮光体の周囲を通過し、凸面鏡に入射し、球面及びカージオイド面を有する次に内部の凹面鏡に入射する。放物面暗視野コンデンサは、内部のミラーが放物面を有する点を除いて、カージオイド暗視野コンデンサと同様に機能する。Abbe暗視野コンデンサでは、入射光は、中央の不透明な遮光体の周囲を通過し、略々凸状のレンズを通過し、最後に、第2のレンズを通過する。Abbe暗視野コンデンサは、可変の内部アパーチャを有していてもよい。他の種類の暗視野コンデンサとしては、バイセントリック(bicentric)暗視野コンデンサ、バイスフェリック(bispheric)暗視野コンデンサ、カセグレン(Cassegrain)暗視野コンデンサ、スポットリングバイセントリック(spot-ring bicentric)暗視野コンデンサ、ネルソン−カセグレン(Nelson-Cassegrain)暗視野コンデンサ等がある。
【0032】
入射光が中央の不透明な遮光体の周囲を通過することによって、光は、壁が薄い中空の円筒状に成形される。そして、中空の円筒状の光は、内部のレンズ又はミラーに当たり、所望の中空の円錐状の光に屈折する。光の屈折は、通常、光学的な矯正が最も甘いことが多い内部のレンズ素子の周辺の近傍で引き起こる。したがって、正確な中空の円錐状の光を得るためには、異常が生じないように、内部のレンズを高精度に形成する必要がある。レンズ及びミラーの精密な研削は、暗視野コンデンサのコストを大幅に高めている。
【0033】
暗視野コンデンサ内の不透明な遮光体は、一定の中空の円筒状の光を生成するために、中心に正確に揃えなくてはならない。遮光体が中心からずれると、中空の円錐状の光が歪曲し、照明光が不均一になると共に、画質を低下させる原因となる他の望ましくない光学的作用が生じる。コンデンサは、非常に正確なアラインメントを必要とするので、暗視野顕微鏡システムの調整には、非常に熟練したオペレータが必要となる。また、このようなアラインメントに敏感な性質のために、暗視野システムは、微小な振動に影響を受けやすい。
【0034】
入射光の大半は、不透明な遮光体によってブロックされるので、通常、強力な光源が必要である。大電力の光源は、電力を浪費することに加えて、操作及び維持も高コストであり、過剰な熱を発生し、コンデンサ本体、載物台及び試料の望ましくない加熱を引き起こすこともある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0035】
このように、実時間で、より高い分解能で、生きた生物学的試料の細胞構造及び機能を観察するために改良された装置、システム及び方法の実現が望まれている。本発明の目的は、これら及びこの他の要望を満たす装置、システム及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0036】
本発明は、様々な形式で、優れた分解能及び画像コントラストを実現し、試料照射のために光を非常に効率的に利用できる顕微鏡用の改良された照明装置を提供する。本発明の一実施の形態においては、照明システムは、暗視野コンデンサに連結された光源を有し、観察下の試料に中空の円錐状の光の焦点を合わせる照明装置を備える。また、発明は、試料への光伝達の効率を高めるアダプタを提供する。照明装置のコンポーネントは、好ましくは、一体的な筐体に収容され、及び/又は互いに実質的に固定されるように連結され、これによりアラインメントが維持され、効率的なセットアップ及び使用が容易になる。本発明に基づく照明装置及び照明方法は、特に蛍光顕微鏡法に好適に適用される。
【0037】
一側面として、本発明は、顕微鏡の照明装置を提供する。照明装置は、好ましくは、顕微鏡観察のために試料を照射する光を生成する少なくとも1つの光源と、光源によって生成された光をコリメートする少なくとも1つのコリメートレンズと、コリメートされた光を受光し、観察中の試料に中空の円錐状の光を向ける暗視野コンデンサとを備える。
【0038】
他の側面として、本発明は、顕微鏡のために照明装置の光を伝搬するライトガイド又はアダプタを提供する。アダプタは、アダプタ装置の長軸の中心に配設され、片端に略平面のスペーサ面を有するスペーサを備える。更に、アダプタは、スペーサの周囲に配設され、それぞれがアダプタ装置の長軸に実質的に垂直に向けられ、スペーサ面に近接する端面を有する複数の光ファイバとを備える。
【0039】
更に、他の側面として、本発明は、顕微鏡によって試料を観察する顕微鏡システムを提供する。顕微鏡システムは、好ましくは、透過型顕微鏡と、光源、コリメートレンズ及び暗視野コンデンサとを備え、顕微鏡によって観察される試料に光の焦点を合わせる照明装置とを備える。
【0040】
他の側面として、本発明が提供する観察方法は、試料に中空の円錐状の光の焦点を合わせる暗視野コンデンサと、暗視野コンデンサに光を供給する光源とを備え、光の内面反射を生成する照明装置を透過型顕微鏡に接続するステップを有する。
【0041】
他の側面として、本発明は、顕微鏡によって試料を観察し病原体の存在を診断する病原体同定方法を提供する。病原体同定方法は、試料に中空の円錐状の光の焦点を合わせる暗視野コンデンサと、暗視野コンデンサに光を供給する光源とを備える照明装置を透過型顕微鏡に接続するステップを有する。
【0042】
更に他の側面として、本発明が提供する照明装置は、顕微鏡の照明装置において、顕微鏡観察のために試料を照射する光を生成する少なくとも1つの光源と、上記光源によって生成された光をコリメートする少なくとも1つのコリメートレンズと、上記コリメートされた光を受光し、観察中の上記試料に中空の円錐状の光を向ける暗視野コンデンサと、光源から上記暗視野コンデンサへの光透過効率を向上させるアダプタとを備える。
【0043】
他の側面として、本発明は、顕微鏡観察下の試料のフルカラー蛍光画像を生成する画像生成方法を提供する。この画像生成方法は、少なくとも1つの強度ピーク波長を有し、照射される試料内で蛍光を誘発する光によって試料を照射するステップを有する。
【0044】
更に他の側面として、本発明が提供する観察方法は、試料を顕微鏡で観察する観察方法において、蛍光観察及び試料の超分解能イメージングを同時に行うステップを有する。
【0045】
更に他の側面として、本発明は、試料を実時間でイメージングするイメージング方法を提供する。イメージング方法は、複数の蛍光ラベルを試料に適用し、蛍光ラベルが付された複数の細胞特徴を同時に観察するステップを有する。
【0046】
更に他の側面として、本発明が提供するエバネセント波生成方法は、定在エバネセント波を生成するエバネセント波生成方法において、高開口コンデンサを介して照射光を方向付けるステップと、臨界角より大きい角度で、内部的に界面から光を反射するステップとを有する。
【0047】
更に他の側面として、本発明が提供する退色低減方法は、照射される試料の蛍光退色を低減する退色低減方法において、試料の蛍光を選択励起するステップを有する。
【0048】
更に他の側面として、本発明は、顕微鏡の分解能を向上させる分解能向上方法を提供する。分解能向上方法は、高開口コンデンサを介して指向され、全反射を生成する光によって照射された試料を観察するステップを有する。
【0049】
本発明のこれらの及びこの他の側面、特徴及び利点は、図面を参照する以下の詳細な説明によって実現され、添付の特許請求の範囲で特に定義した要素及びこれらの組合せによって実現される。なお、上述した包括的な説明、後述する図面の簡単な説明及び発明の詳細な説明は、本発明の例示的な実施の形態を説明するものであり、特許請求の範囲に定義する発明を限定するものではない。
【0050】
本特許又は特許出願は、少なくとも一枚の色付きの図面を含む。本特許又は特許出願の公報の色付きの図面は、要求及び手数料の支払いに応じて、受理官庁が提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
本発明は、この開示の一部を形成する添付の図面を参照する以下の発明の詳細な説明によって、より明瞭に理解される。なお、本発明は、本明細書に説明及び/又は記述する特定の機器、方法、状態又はパラメータに限定されず、本明細書で用いる用語は、特定の実施の形態を例示的に説明する目的で使用し、請求の範囲に記載されている発明を限定することを意図しない。また添付の特許請求の範囲及び明細書において、文脈的に他の解釈が明らかでない限り、不定冠詞「a,an」及び定冠詞「the」が付された単数形の名詞は、複数も含意し、特定の数値への参照は、少なくともその特定の値を含むことを意図する。本明細書では、範囲について、「約(about,approximately)」ある特定の値から、及び/又は「約(about,approximately)」他の特定の値まで、と表現することがある。範囲をこのように表現した場合、他の実施の形態では、ある特定の値から、及び/又は他の特定の値まで、が含まれる。同様に、特定の値に「約(about)」が付されている場合、他の実施の形態として、この特定の値そのものを用いてもよい。
【0052】
図1は、本発明の例示的な実施の形態に基づく暗視野顕微鏡法を採用した顕微鏡システム12と共に用いられる照明装置10の斜視図を示している。図1の斜視図及び図2の側面図からわかるように、照明装置10は、ビームディレクタ16の出射ポートに取り付けられた暗視野コンデンサ14を備える。暗視野コンデンサは、好ましくは、例えば、株式会社ニコンから市販されている暗視野コンデンサ(oil)Nikon#12000等のカージオイド暗視野コンデンサであり、この内部の光学的部品については、当業者に周知である。カージオイド暗視野コンデンサの開口数は、好ましくは、約1.2〜約1.4である。これに代えて、他の形式の暗視野コンデンサを用いてもよい。後に詳細に説明するように、暗視野コンデンサは、好ましくは、入射側のリング状のスリットを介して、光源から入射光を入射し、出射側から、中空の円錐状の光を顕微鏡観察下の試料に向け、その焦点を合わせる。ビームディレクタ16としては、例えば、エドモンドインダストリアルオプティクス社(Edmund Industrial Optics)から市販されているCマウントプレートビームスプリッタ(C-mounted plate beam splitter)#R54−825又は所望の手法で光路の方向を偏光するように構成された他の適切なビームディレクタを用いてもよい。
【0053】
ビームディレクタ16の入射ポートには、例えば、エドモンドインダストリアルオプティクスから市販されているテックスペックショートパスフィルタ(Tech Spec Shortpass Filter)450nmY478−286等のショートパスフィルタを収容する、例えば、エドモンドインダストリアルオプティクス社から市販されている単体レンズマウント(12.5mmホルダ)#R55−246等の単体のレンズマウント18が取り付けられている。ショートパスフィルタは、好ましくは、波長が約450nm以上の光をフィルタリングする。レンズマウント18には、例えば、エドモンドインダストリアルオプティクスから市販されているアイリス絞りバレル#R03−623等のアイリス絞りバレル20が連結されている。アイリス絞りバレル20には、例えば、エドモンドインダストリアルオプティクス社から市販されている高コントラストUV偏光子(12.5mm)#R47−327等の高コントラストUV偏光子22が連結されている。高コントラストUV偏光子22には、例えば、エドモンドインダストリアルオプティクス社から市販されている30mmバレル/Cマウント15mm拡張#R54−630等の関連するバレルマウント26を有するエドモンドインダストリアルオプティクス社から市販されている有限共役MVOマイクロビデオイメージングレンズ(finite conjugate MVO micro video imaging lense)#R54−854等のマイクロビデオイメージングレンズ24が連結されている。マイクロビデオイメージングレンズ24には、エドモンドインダストリアルオプティクス社から市販されているテックスペック熱線吸収ガラス(直径12.5mm)#R45−720等の熱線吸収ガラス28が取り付けられている。熱線吸収ガラス28には、例えば、エドモンドインダストリアルオプティクス社から市販されているCスレッド光導体マウントアダプタ等の(C-thread light guide mounting adapter)#R53−047720等の光導体マウントアダプタ30が連結されている。光導体マウントアダプタ30は、ライトガイド34を介して光源32を照明装置に連結する。ライトガイド34又は導光管は、以下に限定されるものではないが、単純なチューブ、チャンバ、光学的部品間の開路又は光ファイバケーブル等のケーブルを含む、光を収容し、光源から目的点に光を伝達する如何なる技術に基づいていてもよい。
【0054】
好ましくは、照明装置10は、入射光が試料に当たった際に散乱するラマン散乱光を発生させるように構成される。本発明の照明装置10は、単一の光源を備えていてもよく、複数の光源を備えていてもよい。光源32は、好ましくは、金属ハロゲン化物の光源、例えば、21ワットの金属ハロゲン化物の光源を備える。照明装置10が単一の光源を含む場合、光源は、好ましくは、複数の周波数で伝搬される光を発光する。複数の周波数の光が試料に当たると、結合現象がラマン散乱光を引き起こし、これにより高解像度の画像が生成される。単一の光源からの光から生じる散乱光、2つの光源からの光から生じる散乱光及びこれにより得られる結合現象については、あらゆる目的で、参照により全体が本願に援用される2004年2月10日に発行された米国特許番号6,690,509号及び2004年1月15日に出願された米国特許出願番号US2004−0008522 A1号に詳細に記述されている。
【0055】
更に、本発明の照明装置10は、2つの光源を備えていてもよく、これらは、例えば、金属ハロゲン化物の光源、レーザ光源、又は紫外線(UV)光源等、同じ種類又は異なる種類があってもよい。消費エネルギを抑制し、迷光の量を減少させるために、例えば、21ワットの金属ハロゲン化物の光源等の低電力光源を用いることが好ましい。このような実施の形態では、照明装置10は、例えば、米国特許番号6,690,509に開示されている光学結合器を備えていてもよい。光学結合器は、2つの光源から出射された光を結合し、単一の結合された光を生成し、顕微鏡に供給する。米国特許番号6,690,509に更に詳細に開示されているように、結合された光内の周波数が異なる光が試料に当たると、結合現象により、ラマン散乱光が発生し、高解像度の画像が生成される。
【0056】
図2の側面図から明らかなように、照明装置10は、好ましくは、外壁42及び内壁44を有する筐体40を備える。図を明瞭にするために、図2では、内部の光学的部品の幾つかを破線で表している。内壁44は、光源32からの光を収容するチャンバ46を画定する。光源32からの光48Aは、ライトガイド34を介して照明装置10のチャンバ46に入り、第1のコリメートレンズ50及び第2のコリメートレンズ52を通過する。第1及び第2のコリメートレンズ50、52は、光をコリメートし、すなわち、平行な光線を生成する。この観点から、コリメーションプロセスは、非平行な光線を除去又はフィルタリングするプロセスであるとも言える。試料を照射するために用いられる光をコリメートすることによって、これにより得られる画像の分解能を改善できる。更に、コリメートされた光は、顕微鏡システム内のいずれかの光学的部品における小さな損傷による歪みの影響を受けづらい。好ましくは、コリメートレンズ50、52の一方又は両方は、光の焦点を所望の位置に合わせるために、光路と平行な方向に調整又は移動させることができる。また、コリメートレンズ50、52及び/又は筐体40は、レンズのアラインメントを調整するための機構を有していてもよい。
【0057】
コリメートされた光は、ビームディレクタ16の平坦なミラー56に向けられ、暗視野コンデンサ14に反射する。図示した実施の形態では、平坦なミラー56は、約45度の角度で配設され、光48Cを90度のパスに沿って暗視野コンデンサ14に反射する。暗視野コンデンサ14は、中空の円錐状の光を出射する光路を操作するための内部の光学的部品を備える。例えば、図示した実施の形態では、暗視野コンデンサ14は、凸面鏡58を備え、凸面鏡58は、光を凹面鏡に反射し、凹面鏡は、光円錐の頂点が試料に向くように光の方向を変える。そして、光は、サンプル又は試料を照射し、サンプル又は試料は、ラマン散乱を生じさせることによって観察される。照明装置10では、焦点を精密に調整できるため、焦点の位置を試料内の如何なる深さにも合わせることができる。更に、試料に向けられる光の角度を調整することによって、分解能を高めることができる。
【0058】
光と試料との相互作用による特別な光学的効果によって、更なるコントラストメカニズムが実現する。照明装置10は、幾つかの側面で差動干渉コントラスト顕微鏡(differential interference contrast microscopy:DIC)に類似しているが、照明装置は、必要条件となる向きを有さず、より高いコントラストを実現し、非常に小さい粒子を視覚化することができ、複屈折が生じる試料にも用いることができる。
【0059】
図3は、本発明の他の例示的な実施の形態に基づく照明装置10’を示している。照明装置10’は、以下に述べる例外を除いて、照明装置10と実質的に同様である。照明装置10’は、光源32からの光をコリメートする3つのコリメートレンズ、50’、52’、54’を備える。光源からの光は、機能及び構造を後に詳細に説明するアダプタ100を介して伝達され、筐体40’内のチャンバ46’に入射する。この光は、コリメートレンズ50’、52’、54’によってコリメートされ、続いて、約45度の角度に向けられた平坦なミラー56’を有するビームディレクタ16’によって、暗視野コンデンサ14’に反射される。
【0060】
図4は、本発明の更に他の例示的な実施の形態に基づく照明装置10”を示している。照明装置10”は、以下に述べる例外を除いて、照明装置10と実質的に同様である。ライトガイド34”からの光は、筐体40”の内部のチャンバ46”に入射し、暗視野コンデンサ14”に向かって光を反射する、約45度の角度に向けられた平坦なミラー56”を備えるビームディレクタ16”の近傍に配置されている2つのコリメートレンズ50”、52”を通過する。そして、暗視野コンデンサ14”に入る光は、暗視野コンデンサの内部の光学的部品によって操作され、光は、暗視野コンデンサから、頂点が試料に向けられた中空の円錐の形状で出射される。図には示さないが、照明装置10”は、コリメートレンズ50”、52”の位置を変更するための1つ以上の位置変更機構を備えていてもよい。
【0061】
図5は、本発明の更に他の例示的な実施の形態に基づく照明装置10”’を示している。照明装置10”’は、以下に述べる例外を除いて、照明装置10”と実質的に同様である。ライトガイド34”’からの光は、アダプタ100を介して伝搬され、筐体40”’の内部チャンバ46”’に入射する。アダプタ100は、光効率を高め、この結果、ワット数が低い光源が使用できる。本発明に基づくアダプタ100の具体例については、以下に更に詳細に説明する。そして、アダプタ100からの光は、ビームディレクタ16”’によって暗視野コンデンサ14”’に反射する。ビームディレクタ16”’は、約45度の角度に向けられ、暗視野コンデンサに向けて光を反射する平坦なミラー56”’を備える。反射された光は、次に、ビームディレクタ16”’の出射ポートの近傍に配設された2つのコリメートレンズ50”’、52”’を通過する。そして、暗視野コンデンサ14”’に入射する光は、暗視野コンデンサの内部の光学的部品によって操作され、暗視野コンデンサから現れる光は、頂点が試料に向けられた中空の円錐の形状を有する。図5に示すように、照明装置10”’は、コリメートレンズ50”、52”の一方又は両方の位置を変更し、暗視野コンデンサの入射側に光の焦点を合わせる1つ以上の位置決め要素を備えていてもよい。ビームディレクタ16”’内の内部のミラー56”’、暗視野コンデンサ14”’又は他の部品に対するアダプタ100の整列、及び伝搬される光の光路内の何らかの要素の包括的なアラインメント等、本明細書に開示するいずれかの要素を調整する更なる位置変更機構を用いてもよい。上述の具体例では、1つのレンズ又は複数のレンズを用いているかにかかわらず、コリメートレンズ又は照明装置のレンズのフォーカス距離は、約10mmである。
【0062】
図6は、上述した照明装置10、10’、10”、10”’のいずれかを含む本発明に基づく照明装置と共に用いることができる顕微鏡システム12を示している。顕微鏡システム12は、好ましくは、振動を取り除くように設計された除振台又はプラットホーム72上に配設された顕微鏡70を含む。本発明は、如何なる透過型顕微鏡にも適用できるが、顕微鏡70は、例えば、オリンパス株式会社から市販されているオリンパスBX51顕微鏡であってもよい。除振台72は、例えば、テクニカルマニュファクチャリング社(Technical Manufacturing Corporation)から市販されている除振台TMC、モデル#66−501であってもよい。更に、顕微鏡システム12は、プロセッサ76、表示モニタ78及びキーボード80、マウス82等の入力装置を含むコンピュータ装置74を備える。例示的な実施の形態においては、コンピュータ装置74は、IBM社のコンピュータシステムP4−3.2Ghz/1GB/120GB/DVD−CD−RW/IEE1394PCI/XPPである。また、顕微鏡システム12は、例えば、好ましくは、試料の細胞プロセスを記録するために、アイピースの近くで顕微鏡70に接続された、関連する制御パネルを有するビデオカメラ84を備える。ビデオカメラ84は、インタフェース86を介してコンピュータのプロセッサ76に接続され、これにより、表示画面に画像を表示できる。例示的な実施の形態では、ビデオカメラ84は、AVAアストロ社(AVA Astro Corporation)から市販されている「Astrovid StellaCam-EX」である。例えば、カノープス株式会社から市販されているアドバンスデジタルビデオコンバータADVC等のインタフェース86は、ビデオカメラ84とコンピュータ装置74との間のインタフェースを司る。本発明では、互換性がある他の如何なるインタフェースを用いてもよい。
【0063】
以下に説明するように、本発明の照明装置の構成は、従来の装置に比べて固有の利点を有する。まず、照明装置は、例えば、ケーラー照明(Kohler illumination)等、非常に解像度が高いイメージングに適切な照明光を提供する。更に、照明装置は、細胞の特徴を約100〜250nm又はそれ以下に分解し、60nmより小さい特徴を検出することによって、「超高分解能イメージング」を実現する。また、空間分解能が非常に高く(150nm以下)、コントラストが良好で、検出限度は、60nm以下である。このように、本発明の照明装置は、位相コントラスト顕微鏡法に比べて、画像に重大な歪みを生じさせることなく、より高い分解能を実現できる。この照明装置では、生存細胞及び実時間に発生している細胞プロセスを観察できる(例えば、電子顕微鏡法では、細胞が「殺滅」し、非生存細胞しか観察できず、又は細胞構造が変化してしまう)。更に、本発明に基づく照明装置では、例えば、冷凍、脱水、染色、標識付与、金属蒸着等の試料/サンプルの前処理を行わなくて済む。図14A及び図14Bは、本発明に基づく照明装置を用いて生成された画像を示している。これらの画像は、図13A、図13Bに示す従来のシステムによって生成された画像に比べて、神経膠腫細胞をより高い分解能で表現している。
【0064】
更に、暗視野コンデンサ14は、本発明に基づく照明装置に固定され、一体化されたコンポーネントであり、非常に訓練されたオペレータが、試料に対して上又は下に位置決めする必要がなく、また、試料の下の水平軸に沿って、両辺を揃える必要がない。すなわち、本発明の全体の照明装置は、必要に応じて、試料に向かって下降させ、又は試料から離れるように上昇させることによって、光の焦点を試料に合わせることができる。本発明に基づく照明装置のコンポーネントは、好ましくは、例えば、実質的に固定された筐体内にコンポーネントを取り付け、及び/又はコンポーネントを直接又は間接的に相互に連結することによって、実質的に固定されたアセンブリにおいて相互に連結される。更に、本発明に基づく照明装置は、自己充足型であり、携帯可能であるため、市販されている様々な透過型顕微鏡に容易に取り付けることができる。本発明に基づく照明装置は、顕微鏡本体に如何なる修正も加えることなく、既存の顕微鏡と共に好適に動作するように構成することができる。これに代えて、使用される顕微鏡に固定された取付部材を必要とすることなく、照明装置をスタンドアロン型に構成してもよい。また、照明装置は、既存の顕微鏡への取付を容易にするために、任意の種類の顕微鏡のベース領域に適合するような特別な大きさ及び形状を有する1つ以上のブラケット又はカラーを備えていてもよい。
【0065】
図7は、例えば、本発明に基づく照明装置(上述した例示的な照明装置10、10’、10”、10”’のいずれであってもよい)に好適に用いられ、光効率を向上させるライトガイド又はアダプタ100を示している。更に、(本発明に基づく照明装置の追加的な部品の有無にかかわらず)暗視野コンデンサと組み合わせてアダプタ100を用いることができ、アダプタ100の大きさ及び形状は、暗視野コンデンサの空洞に適合するように形成され、これにより、光源及びコンデンサが適合する。このような実施の形態では、アダプタ100は、好ましくは、筒状の筐体を有し、筐体の外部には、暗視野コンデンサで空洞の内壁に切られたネジ山に螺合するネジ山を切ってもよい。なお、着脱可能な取り付けを実現する他の技術を用いてもよい。変形例として、アダプタ100を暗視野コンデンサに永久的に取り付け、単一の一体型ユニットを形成してもよい。
【0066】
アダプタ100は、本発明に基づく照明装置と組み合わせて用いられ、好ましくは、例えば、図5に示すように、光源及びビームディレクタの間に配設され、これに応じた寸法及び形状を有する。アダプタ100は、独立したコンポーネントであってもよく、又は、照明装置の1つ以上の他の部品と一体化してもよく、これらの部品に連結してもよい。例えば、アダプタ及び照明装置を筐体内に一体に設け、螺合し、又は圧入する等、アダプタと照明装置とを実質的に固定的に(直接又は間接的)連結することにより、本発明のシステムにおける光路のアラインメントを好適に維持でき、この結果、設定が効率的になり、操作が容易になる。図7〜図12から明らかなように、アダプタ100は、好ましくは、様々な形式で、筐体102と、筐体102の周辺部に向けて入射光を誘導するように配設された内部のスペーサ104とを備える。筐体102の周辺部には、1つ以上の光ファイバ106が配設され、これにより、入射光は、1つ以上の光ファイバ106を介して伝搬される。光ファイバ106又はフィラメントは、好ましくは、光ファイバのケーブル108として一緒に束ねられる。ケーブル108は、光源32から筐体102に向けて光を伝達し、個々の光ファイバ106は、スペーサ104の周囲に分散され、ファイバ端は、環状の束を形成している。
【0067】
図7に示すように、アダプタ100の中心軸110は、暗視野コンデンサ及び使用される顕微鏡の向きに略々平行な方向に延びている。光ファイバ106は、好ましくは、分離され。スペーサ104の周囲に並べられ、中心軸110に概ね平行な方向に出射される環状の光線を生成する。この光線の輪の直径及び厚さは、好ましくは、照明装置の暗視野コンデンサの環状のインレットスリットの寸法に概ね一致するように構成される。これにより、光線の輪は、中空の円筒状の光を形成し、この光は、好ましくは、照明装置の暗視野コンデンサの環状のスリットに揃えられ、これにより、光源からの実質的に全ての光が、試料に効果的に照射されるので、光の使用効率が高まり、ワット数が低い光源を用いることが可能になり、改善された照射が実現する。アダプタ及び照明装置の他の部品のアラインメントは、好ましくは、実質的に固定の筐体内に部品を収納することによって、及び/又は例えば、1又は複数の螺合によって、直接又は間接的にこれらを連結することによって維持される。
【0068】
筐体102は、第1の端部112、中間部114及び第2の端部116を有する。入射口118は、第1の端部112の先端部120に位置し、出射口122は、第2の端部116の基端部124に位置する。筐体102は、好ましくは、先端部120の方向に向けて狭くなる輪郭を有する。更に、第1の端部112は、好ましくは、略々筒状の形状を有し、光ファイバ106の束が挿入されるように形成される。中間部114は、好ましくは、第1の端部112との交線における最小の直径から、第2の端部116との交線における最大の直径に向けて徐々に広くなる滑らかな曲面状又は階段状に形成されている。第2の端部116は、好ましくは、光ファイバ106及び内部のスペーサ104を収容するために十分な直径を有する略々筒状の形状を有し、及び光ファイバ106が筐体102の出射口122に向かって、中心軸110に平行に向けられるように、十分な長さを有する。
【0069】
図7及び図8からわかるように、光ファイバ106は、スペーサ104の周囲を取り囲むように配置され、環140を形成する。光ファイバ106は、略々放射状に分散させることが望ましいが、光ファイバ内部の反射的な特性のために、放射状の配列を正確に行う必要はない。光ファイバ106は、摩擦力及び弾性力によってアダプタ100内で適切に保持でき、接着剤又は他の固着技術は用いても用いなくてもよい。光ファイバ106は、好ましくは、筐体102の出射口122において、又はこの近傍において、アダプタ100の端面126に端部を有する。各端面126は、好ましくは、ファイバ本体の一部からの光との非平行な干渉を低減するために、光ファイバ106の長軸に略々垂直にカットされている。更に、出射される光の精度を高めるために、端面126を滑らかに研磨してもよい。筐体102及び内部のスペーサ104は、好ましくは、光ファイバ106を、中心軸110に略々平行な向きに誘導するように構成される。更に、スペーサ104は、好ましくは、スペーサ104の上部近傍において、ファイバを更に好適に方向付けるために略々筒状の側面を備える。
【0070】
図9は、内部のスペーサ104の斜視図である。スペーサ104は、好ましくは、半球状の部分130と、略々筒状の部分132と、平坦な端面134とを備える。略々筒状の部分132は、端面134の近傍において、光ファイバ106の略々平行なアラインメントを維持するための外壁136を有する。略々筒状の部分132は、光ファイバ106を中心軸110により平行に向けるために十分な長さLを有する。スペーサ104は、光ファイバ106の分離を維持するために十分な硬度を有し、及びファイバを適切に保持するために十分な柔軟性を有するセミリジッドプラスチック又は他の適切な如何なる材料から形成してもよい。スペーサ104は、好ましくは、光ファイバ106の寸法及び数に基づいて、スペーサ104及び光ファイバ106が、筐体102内の空間を効率的に満たすことができる寸法及び形状を有する。例示的な実施の形態では、スペーサ104の直径は、暗視野コンデンサの不透明な遮光体の直径に略々等しい。他の実施の形態では、スペーサ104の直径は、生成される中空の円筒状の光が、コンデンサの入射アパーチャに等しいか、これ以下となるように、不透明な遮光体の直径より若干大きく形成される。これにより、光の大部分は、アダプタ100の周辺部に向けられ、暗視野コンデンサに入射し、試料を照射するために使用されるので、光の利用効率が向上する。
【0071】
また、本発明は、数学的モデルを用いて、利用可能な空間を満たすために、スペーサ寸法及びケーブル束寸法を算定する演算法を提供する。この演算法では、まず、図10に示すパラメータを用いて、アダプタ100の出射口122における環状開口部の表面積を算出する。
【0072】
【数1】

【0073】
ここで、Dは、筐体102の第2の端部116の内径であり、dは、スペーサ104の略々筒状の部分132の外径であり、pは、環状開口部140の平均半径であり、δは、環状開口部140の幅であり、dは、光ファイバ106の直径である。暗視野コンデンサに入射する光ビーム(S)の面積は、以下の式で表すことができる。
【0074】
【数2】

【0075】
空間を最適化するために、ファイバは、六角形状のアレイ又は格子として配列してもよい。この場合、充填密度(f)は、以下のような式で表される。
【0076】
【数3】

【0077】
式(1)及び式(3)から、密に収納されたファイバによって占有される表面積(S)は、以下のように近似できる。
【0078】
【数4】

【0079】
アダプタを満たすために必要な、直径dfを有するファイバの数(N)は、Sと、1つのファイバによって占有される面積との比率(pid/4)に等しい。したがって、Nfは、以下のように表すことができる。
【0080】
【数5】

【0081】
光ファイバの束の直径をdとすると、束の断面積(S)は、以下のように表される。
【0082】
【数6】

【0083】
式(1)及び式(6)から、以下のように束の直径を算出できる。
【0084】
【数7】

【0085】
このように、本発明は、算出された直径dを用いて、束又は光ケーブルの望ましい寸法を算定する演算法も含む。
【0086】
アダプタ100の効率(K)は、アダプタなしの場合のエネルギに対する、アダプタを用いた場合に暗視野コンデンサ14を通過する光のエネルギの比率として表現できる。ファイバ及びレンズにおける僅かな損失を無視すれば、効率Kは、式(1)及び(2)を用いて、以下のように近似できる。
【0087】
【数8】

【0088】
例えば、筐体102の第2の端部116の内径Dが16mmであり、スペーサ104の略々筒状の部分132の外径dが14mmであるアダプタ100では、各パラメータを以下のように近似できる。
・筐体の内径:R=D/2=8mm
・スペーサの外径:r=d/2=7mm
・環状開口部の平均半径:p=(R+r)/2=7.5mm
・環状開口部の幅:δ=R−r=1mm
直径(d)が0.1mmの光ファイバを仮定すると、光ファイバの束における光ファイバの数(Nfz)は、式(5)を用いて、以下のように推定できる。
=8×0.907×7.5×1 /(0.1)=5,442本のファイバ
束の直径は、式(7)から、以下のように表現することができる。
【0089】
【数9】

【0090】
アダプタの効率Kは、以下のように算出される。
K=15/(16−14)=4.27
この具体例では、上述したパラメータを有するアダプタ100は、アダプタを用いない場合の光エネルギに対して、約4倍以上の光エネルギを暗視野コンデンサ14に供給する。
【0091】
図11及び図12は、他の実施の形態におけるアダプタ100’を示している。この実施の形態では、アダプタ100’は、コリメーションチャンバ150を備える。上述の実施の形態では、光ファイバ106の端面126は、スペーサ104の端面134と共通の平面に合わせられていたが、この実施の形態では、光ファイバ106’は、図12に示すように、中間端面152で切れている。この実施の形態では、コリメーションチャンバ150は、中間端面152の面と、スペーサの外壁136’と、筐体102の第2の部分132の内壁154と、出射口122’の面とによって画定される。
【0092】
図11の断面図に示すように、中間端面152から出射される光線156は、平行光線156A及び非平行光線156Bを含む。好ましくは、内壁154及び外壁136’は、暗い又は不透明な色を有し、又は非平行光線156Bを吸収するように処理されている。このように、コリメーションチャンバ150は、(システムの構成に応じて)顕微鏡70又は照明装置10に入射する光のコリメーションに寄与する。好ましくは、全ての非平行光線156Bが吸収され、又はこの他の手法により暗視野コンデンサに入射することが防がれ、平行光線156Aは、出射口122’を通過し、暗視野コンデンサに入射する。コリメーションチャンバ150は、非平行光線156Bを吸収するために十分な長さL2を有する。ここに示す長さL2は、多くの場合、スペーサ104’の略々筒状の部分132’の長さL1より短いが、本発明のアダプタ100’のコリメート効果を実現するために十分であれば、この他の構成を用いてもよい。コリメーションチャンバを有するこのような実施の形態では、完全に研磨されていない表面から出射され、垂直方向を向かない如何なる光も、暗視野コンデンサに入射しないため、アダプタ100’によるコリメーションの精度に関しては、光ファイバ106’の中間端面152の精度及び研摩は、決定的ではない。なお、このような場合であってもファイバ端を研磨することが望ましい。筐体154の内面及びスペーサ104の外面を研磨し、鏡面加工すると、鏡面加工された表面間の反射によって、ファイバからの傾いた光も暗視野コンデンサに向けられるので、光の透過効率が最大化される。この場合、光の透過効率が非常に高くなり、画像は、完全に黒ではない背景(すなわち、僅かに「乳白色」の背景)の下で観察される。幾つかの用途では、このような構成が許容される。一方、筐体154の内面及びスペーサ104の外面を黒くした場合、光の透過効率は低下するが、画像の背景を完全に黒くすることができる。この構成は、高コントラスト及び高分解能を得るために有用である。
【0093】
1つの有益な用途として、本発明に基づくアダプタを備える又は備えない、本発明に基づく照明装置を、蛍光顕微鏡法と組み合わせて用いることによって、試料をより詳細に観察することができる。例えば、以下に限定されるわけではないが、テキサス赤色色素、フルオレセイン、DAPI(4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール)、有機蛍光染料、コンゴー赤色色素、例えば、金ナノ粒子等の金属ナノ粒子、又は量子ドット等の蛍光マーカ又は光学的な標識となるラベルを試料に適用し、発光する蛍光を観察する。このようなマーカを用いる一般的な蛍光顕微鏡マーキング技術は、当業者に周知である。暗視野顕微鏡法では、金属ナノ粒子及び量子ドットを用いることが望ましい。市販されている金属ナノ粒子は、通常数ナノメートルの寸法を有し、暗視野顕微鏡法に有効な非常に強い散光を生成する。量子ドットは、通常、数ナノメートルの寸法の半導体ナノ粒子である。これらは、暗視野イメージングによって観察できる強い蛍光を発する。本発明に基づき、既存の顕微鏡システム12に暗視野コンデンサを備える照明装置を取り付けることによって、顕微鏡システム12を用いて、試料を観察し、研究し又は記録できる。
【0094】
更に、本発明に基づくシステム及び方法によって、複数の蛍光ラベル(複数の色)を用いて、(すなわち、多重露出を必要とせず、異なるバンドパスフィルタを必要としないで)同時に実時間で画像を記録することができ、これによって、複数の細胞及び細胞内相互作用を観察し、記録できる。画像の具体例を図15Bに示す。図15Bの画像は、図15A(従来の技術)の画像より高い分解能を示している。ここでは、3つの異なるラベルを試料に適用している。フルオセルズ(FluoCells:商標)スライド#1は、ミトコンドリアに標識を付すためにミトトラッカ赤色CMXRos(MitoTrakcer Red CMXRos)と共に培養されたウシの肺動脈内皮細胞を示す。固定及び透過処理の後に、BODIPY−FL−ファラシジン(BODIPY FL phallacidin)によって細胞を染色してF−アクチンフィラメントに標識を付し、最終的に、DAPIによって対比染色し、核に標識を付した。図15Aは、テキサス赤色色素、フルオレセイン及びDAPIに適する個別のバンドパスフィルタを用いて撮影された多重露出画像を示している。図15Bは、フィルタを全く用いず、本発明に基づく照明装置によって生成された、より高い分解能を有する単一の画像を示している。上述したように、既知の技術では、殺滅された細胞又は非生存細胞しか観察できなかったが、本発明に基づく照明装置では、生存細胞の蛍光発光を観察できる。
【0095】
更に、分子プローブ(特定のタンパク質、細胞膜、核小体等に結合する抗体又はペプチド)と、光学的に識別可能なラベル(ナノ粒子、量子ドット又は染料)とを共役させ、及び細胞に錯体を導入してもよい。錯体がターゲット分子に結合すると、光学的に識別可能なラベルは、更に高いコントラストを提供する。また、光学的に識別可能なラベルと組み合わせて、例えば、ポリビニルピロリドン(polyvinyl pyrrolidone:PVP)又はジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide:DMSO)等の浸透増強剤を任意に用いてもよい。図16及び図17は、本発明に基づく照明装置によって生成された更なる画像を示している。以下、本発明に基づく技術の更なる利点について説明する。
【0096】
本発明に基づく照明装置と、蛍光技術との組合せは、例えば、クラミジア感染症等の性感染症の迅速且つ正確な検出等、様々な臨床現場で有用である。例えば、本発明の適用例として、医療関係者は、患者から尿試料を採取する。尿試料にフルオレセインで染色された抗体を付加し、クラミジア感染症バクテリアに結合させ、本発明に基づく照明装置を備える顕微鏡の光の下で蛍光を観察することによって、クラミジア感染症の有無を確認することができる。本発明の範囲内で、生物学的試料における感染因子又は病原体の存在の迅速且つ正確な検出を含むこの他の様々な用途に本発明を適用できることは、当業者には明らかである。
【0097】
蛍光顕微鏡法と組み合わせて用いられる本発明に基づく照明装置の1つの顕著な利点は、試料上のスポットサイズを最小化し、及び迷光を低減することによって、観察される画像の空間的な分解能及びコントラストが向上する点である。例えば、手動又は電気機械式の位置調整機構を用いて、(暗視野コンデンサだけではなく)照明装置の全体を観察する試料に近付けるように又は試料から遠ざけるように上下に移動させることによってスポットの位置を決めることができる。スポットサイズを最小化することにより、照度(1単位面積あたりのエネルギ)が増加し、この手法を用いなければ、観察に十分な光を生成しない試料の最も小さい粒子との相互作用が高まるために、コントラストが高まる。照度が増加すると、散光を発する微粒子と、その背景との間の光学的な差分が大きくなる。更に照度を高めると、より小さい粒子が、観察に十分な光を散光する。これにより、50nm以下の粒子でさえも観察できる。いずれも直径が100ナノメートルより小さい低分子タンパク質塊(プロテオン:proteon)及び嗅繊毛の動きは、見ることができないくらい小さく、明視野又は微分干渉顕微鏡法(differential interference contrast:DIC)の照明では観察できないが、本発明に基づくシステム及び方法によれば、観察及び撮像することができる。本発明に基づく照明装置の開口数は高く、このため、高開口数の対物レンズの利点を完全に享受でき、この結果、発光度が高い超分解能の画像を生成することができる。
【0098】
蛍光顕微鏡法と組み合わせて用いられる本発明に基づくシステム及び方法の他の顕著な利点として、本発明に基づく照明装置において例示的な形式で用いられるハロゲン化金属ランプは、通常、連続した光学スペクトルを有する白熱光源又はハロゲン光源とは異なり、幾つかの強いスペクトル線を生成し、これらのスペクトル線は、試料と相互作用し、特殊な光学効果を生じる。更に、本発明に基づく照明装置では、光をより効率的に使用することができる。ハロゲン化金属ランプの強度の顕著なピークは、313nm、334nm、365nm、406nm、435nm、546nm及び578nmに出現する。照明装置から出る光は、試料を通過し、分子と相互作用し、蛍光を誘発する。本発明に基づく照明装置は、効率的な照明を提供するので、光源からの殆ど全ての光は、試料を照らすために使用され、すなわち、光エネルギが効率的に利用される。例示的な照明装置のコンデンサの形状及び高開口により、定在エバネセント波の生成のための状態が実現し、顕微鏡分解能及び全反射蛍光(total internal reflection fluorescence:TIRF)が著しく向上する。エバネセント波は、臨界角(臨界角は、屈折角が90度である入射角である)より大きい角度で、光が界面から内部的に反射することによって形成され、これにより、全反射が生じる。サブミクロンサイズの構造がエバネセント波を発生する界面に非常に近い位置にある場合、エバネセント波は、その構造と相互作用し、散光及び蛍光が生成される。蛍光の選択励起により、焦点から外れる光がなくなり、従来のエピ蛍光において典型的に生じる蛍光退色が低減される。
【0099】
本発明に基づくシステムは、共焦点顕微鏡と異なり、焦点スポットを近視野に縮減することによって、立体的なセクション化を実現でき、これにより走査を行うことなく広視野の実時間検出を行うことができる。一般に、TIRF現象は、高屈折率の媒体から低屈折率の媒体に光が入射するガラス/試料の界面に非常に近い場所でのみ生じることが知られている。実際には、エバネセント波現象は、隣接する2つの表面の屈折係数に勾配がある限り、ガラス/水の界面を超えて拡張する。多くの内部細胞構造は、細胞内液の1つと比較して、高い屈折率を有する。細胞膜の屈折率は、約1.46であり、細胞質の塩水に対する平均屈折率は、1.02であり、細胞質の屈折率は、細胞の直径に亘って変化し、中心部では、端部の1.6倍程になる。このため、全反射角の下で細胞内界面に入射する光もまた、これらの表面に沿ってエバネセント波を生成し、これらの界面に近接する構造において蛍光を発する。このエバネセント波蛍光及び本発明に基づくシステムの高い出射開口数により、開口数が高い対物レンズの利点を完全に享受でき、例えば、21ワットの光源等、低い電力の光源を用いても、非常に明るい超分解能及び蛍光画像を生成できる。ガラス/金属界面がある場合、本発明に基づくシステムは、表面プラズモンを生成できる。また、本発明に基づくシステムは、円筒状の光によって、あらゆる角度において、定在波全反射蛍光の状態を生成する。
【0100】
また、本発明に基づく照明装置及び照明方法を蛍光技術と組み合わせて用いることによって、これにより得られる画像の鮮鋭度及び強度を向上させることができる。試料内の如何なる深さにも焦点及び位置を正確に合わせることができるため、照明装置は、対物レンズに非常に近い、試料の上面のすぐ下に照明光の焦点を合わせることができる。これにより、出射された蛍光が対物レンズに到達する前に試料の厚み全体を通過する必要性がなくなる。このようにして従来の顕微鏡の鮮鋭度が低い画像に比べて、非常に鋭い蛍光画像を得ることができる。
【0101】
また、本発明に基づく照明装置及び照明方法により、従来の蛍光顕微鏡では通常必要であった励起フィルタ及びバリアフィルタの必要性をなくすことができる。本発明に基づく照明装置は、入射光を、入射光及び試料の相互作用の結果として生成された光(散光及び蛍光)から非常に効率的に分離するので、励起フィルタ及びバリアフィルタは必要ない。フィルタを使用せず、蛍光色素が試料に存在している場合、本発明に基づく照明装置が取り付けられた透過型顕微鏡によって生成される画像は、蛍光色素がない場合に得られる超分解能の画像と、蛍光画像とが重畳した画像である。このように、本発明に基づく照明装置は、位相コントラスト顕微鏡法に比べて、画像に歪みを生じさせることなく、より高い分解能を実現できる。本発明に基づく照明装置を用いて生成された画像は、ノマルスキー微分干渉コントラスト(Nomarski differential interference contrast:DIC)顕微鏡法の画像に類似しているが、必須の向きを必要とせず、コントラスト及び分解能がより高く、ユーザは、非常に小さい粒子を視覚化でき、コストも比較的安価である。したがって、本発明に基づく照明装置の超分解能画像による蛍光観察は、位相及びDIC顕微鏡法による蛍光観察より好ましい。
【0102】
このように、本発明に基づく照明装置を蛍光顕微鏡法と組み合わせて用いることによって、従来の暗視野透過型蛍光顕微鏡法(分離蛍光顕微鏡法)の多くの問題を解決することができる。
【0103】
更に、本発明に基づく照明装置を採用した顕微鏡システムが提供する透過型蛍光顕微鏡法は、明視野反射型蛍光顕微鏡法(エピ蛍光顕微鏡法)に対しても顕著な利点を有する。本発明に基づく照明装置は、少なくとも4倍の光効率を実現し、これにより典型的なエピ蛍光顕微鏡が必要とする約75〜100ワットに対して、例えば、21ワット電源等、低ワット形電源を用いることができる。本発明に基づく照明装置は、ダイクロイックミラーを必要とせず、また、励起及びバリアフィルタを用いなくてもよく、このため、更に良好な効率を実現できる。従来のシステムにおけるダイクロイックミラーの透過効率は、約85%であり、フィルタの透過効率は、約80%であり、したがって、従来のシステムにおける3つの要素の総効率は、約54%(0.85×0.8×0.8=0.544)と算出できる。本発明に基づく照明装置の平坦なミラー56の透過効率は、約100%であるので、本発明の透過効率は、従来のエピ蛍光顕微鏡より少なくとも46%高い。
【0104】
本発明に基づく照明装置の他の有利な特徴として、生来的に「温度が低い」光を生成できる点がある。本発明に基づく照明装置の照射光は、典型的なエピ蛍光顕微鏡法における中空ではない円錐状の光に比べて、中空の円錐状の光と定義できる。例えば、開口数が約1.2〜約1.4の範囲であり、屈折率が1.51の中空の光の場合、開口数が1.33の中空ではない円錐に比べて、照射量は、約2.5分の1となる。このように、中空の円錐と、非中空の円錐との体積比に基づき、照射光及び蛍光退色に曝される試料の体積は、標準のエピ蛍光顕微鏡の場合の約2.5分の1になる。
【0105】
更に、本発明に基づくシステム及び方法により、超分解能イメージングと同時に蛍光観察を行うことができる。本発明では、明視野エピ蛍光顕微鏡では通常見ることができない量子ドット等の微小な粒子を観察できる。本発明では、多色蛍光のためにフィルタを変更する必要がなく、画像は、単一の「ショット(記録)」として記録できる。これは、染色(色)毎に適切な異なるバンドパスフィルタを用いて、個々の画像を取得した後、これらを重ねて単一の画像を生成する従来のシステムからの大幅な改善であると言える。本発明に基づくシステム及び方法では、フィルタが全く必要ないので、実時間で単一の画像を撮像することができる。このように、本発明に基づくシステム及び方法により、複数の蛍光ラベル(複数の色)を用いて実時間で画像を記録でき、したがって、複数の細胞及び細胞内相互作用を観察し、記録することができる。
【0106】
好ましい例示的な実施の形態を用いて本発明を説明したが、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の範囲内で様々な修正、追加及び省略を行うことができることは当業者にとって明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明の例示的な実施の形態に基づく顕微鏡システムのための照明装置の斜視図である。
【図2】破線によって内部の光学的部品を示す、図1の照明装置の側面図である。
【図3】本発明の他の例示的な実施の形態に基づく照明装置の断面図である。
【図4】本発明の更に他の例示的な実施の形態に基づく照明装置の断面図である。
【図5】本発明の更に他の例示的な実施の形態に基づく照明装置の断面図である
【図6】本発明に基づく照明装置が組み込まれた顕微鏡システムの斜視図である。
【図7】本発明の例示的な実施の形態に基づく照明装置と共に使用されるアダプタの斜視図である。
【図8】図7のアダプタの平面図である。
【図9】図7のアダプタの内部のスペーサ部の斜視図である。
【図10】図7のアダプタの部分的な平面図である。
【図11】本発明の他の例示的な実施の形態に基づくアダプタの一部の部分的な断面図である。
【図12】図11のアダプタの部分的な斜視図である。
【図13A】従来の照明装置を用いて生成された神経膠腫細胞の画像を示す図である。
【図13B】従来の照明装置を用いて生成された神経膠腫細胞の画像を示す図である。
【図14A】図13A及び図13Bに示す神経膠腫細胞の、本発明に基づく照明装置を用いて生成された、高分解能画像を示す図である。
【図14B】図13A及び図13Bに示す神経膠腫細胞の、本発明に基づく照明装置を用いて生成された、高分解能画像を示す図である。
【図15A】従来の技術照明装置を用いて、3つの光学的標識ラベルによって染色されたウシ科の肺動脈内皮細胞を、各染色用のフィルタを用いて3回撮像し、これにより得られた3つの画像を重ね合わせることによって生成された画像を示す図である。
【図15B】本発明に基づく照明装置を用いて撮像された、分解能が高められた、図15Aのスライドを示す図である。
【図16】F−アクチンをラベルする赤色蛍光テキサス赤色ファロイジン、微小管をラベルするマウス単クローン抗チューブリン及び緑色蛍光BODIPY FLヤギ抗マウス免疫グロブリン、及び原子核をラベルする青色蛍光DAPIで染色されたBPAE細胞の画像を示す図である。
【図17】パラフィン包埋組織をH(ヘマトキシリン)及びE(エオシン)染色した成長過程の霊長類の歯の画像である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顕微鏡の照明装置において、
顕微鏡観察のために試料を照射する光を生成する少なくとも1つの光源と、
上記光源によって生成された光をコリメートする少なくとも1つのコリメートレンズと、
上記コリメートされた光を受光し、観察中の上記試料に中空の円錐状の光を向ける暗視野コンデンサとを備える照明装置。
【請求項2】
上記光源から上記暗視野コンデンサに光を向けるビームディレクタを更に備える請求項1記載の照明装置。
【請求項3】
上記光源と暗視野コンデンサとの間でアラインメントを維持する実質的に固定された結合手段を更に有する請求項1記載の照明装置。
【請求項4】
上記光源は、金属ハロゲン化物の光源であることを特徴とする請求項1記載の照明装置。
【請求項5】
上記光源は、少なくとも2つの異なる波長を有する光を発光することを特徴とする請求項1記載の照明装置。
【請求項6】
上記少なくとも1つのコリメートレンズは、上記光源からの光をコリメートする複数のコリメートレンズを備えることを特徴とする請求項1記載の照明装置。
【請求項7】
透過型顕微鏡に取り付けるための取付部材を更に備える請求項1記載の照明装置。
【請求項8】
上記暗視野コンデンサの不透明な遮光体部は、中空の円錐状の光を生成するために、コンデンサの中心に揃える必要がないことを特徴とする請求項1記載の照明装置。
【請求項9】
上記暗視野コンデンサは、単一のコンポーネントであることを特徴とする請求項8記載の照明装置。
【請求項10】
中心に配置されたスペーサと、該スペーサを囲む複数の光ファイバとを有し、上記光源から上記暗視野コンデンサへの光透過効率を向上させるアダプタを更に備える請求項1記載の照明装置。
【請求項11】
顕微鏡の照明装置における光伝達のためのアダプタ装置において、
当該アダプタ装置の長軸の中心に配設され、片端に略平面のスペーサ面を有するスペーサと、
上記スペーサの周囲に配設され、それぞれが当該アダプタ装置の長軸に実質的に垂直に向けられ、上記スペーサ面に近接する端面を有する複数の光ファイバとを備える照明装置。
【請求項12】
上記複数の光ファイバ及びスペーサを収容する筐体を更に備える請求項11記載のアダプタ装置。
【請求項13】
上記筐体は、上記スペーサ面に近接する片端において、上記照明装置の暗視野コンデンサ部に連結するための第1の連結手段と、反対端において、上記照明装置の光源部に連結するための第2の連結手段とを備えることを特徴とする請求項12記載のアダプタ装置。
【請求項14】
上記光ファイバの端面に隣接した筐体内において、コリメーションチャンバが画定されていることを特徴とする請求項12記載のアダプタ装置。
【請求項15】
上記コリメーションチャンバは、上記長軸と平行な方向以外の方向に進む光の一部を吸収する表面を備える請求項14記載のアダプタ装置。
【請求項16】
上記スペーサは、長手方向の少なくとも一部に沿って、上記スペーサ面の近傍に、当該アダプタ装置の長軸に略平行な向きにおいて、複数のファイバのアラインメントを維持するために十分な距離、当該アダプタ装置の長軸に沿って延びる略筒状の部分を備えることを特徴とする請求項11記載のアダプタ装置。
【請求項17】
上記スペーサは、上記スペーサ面の反対側に丸められた端部を備えることを特徴とする請求項16記載のアダプタ装置。
【請求項18】
顕微鏡によって試料を観察する顕微鏡システムにおいて、
透過型顕微鏡と、
光源、コリメートレンズ、暗視野コンデンサとを備え、上記顕微鏡によって観察される試料に光の焦点を合わせる照明装置とを備える顕微鏡システム。
【請求項19】
中心に配置されたスペーサと、該スペーサを取り囲む複数の光ファイバとを備え、上記光源から試料への光の伝達効率を高めるアダプタを更に備える請求項18記載の顕微鏡システム。
【請求項20】
上記試料の画像を記録するカメラを更に備える請求項18記載の顕微鏡システム。
【請求項21】
上記照明装置は、中空の円錐状の光の焦点を上記試料に合わせることを特徴とする請求項18記載の顕微鏡システム。
【請求項22】
顕微鏡によって試料を観察する観察方法において、
上記試料に中空の円錐状の光の焦点を合わせる暗視野コンデンサと、該暗視野コンデンサに光を供給する光源とを備え、光の内面反射を生成する照明装置を透過型顕微鏡に接続するステップを有する観察方法。
【請求項23】
上記光源から光を受光し、上記暗視野コンデンサに中空の円筒状の光を供給する複数の光ファイバを備えるアダプタを介して光を伝達するステップを更に有する請求項22記載の観察方法。
【請求項24】
上記試料に蛍光マーカを適用するステップと、
上記試料を顕微鏡下で観察するステップとを更に有する請求項22記載の観察方法。
【請求項25】
上記観察するステップは、実時間で細胞プロセスを観察するために生体の試料を観察するステップを更に有する請求項24記載の観察方法。
【請求項26】
上記試料に中空の円錐状の光の焦点を合わせるステップは、分解能が向上するように光の円錐の角度を調整するステップを有することを特徴とする請求項24記載の観察方法。
【請求項27】
上記試料に合わせられる中空の円錐状の光の焦点のサイズは、近視野に縮小されることを特徴とする請求項24記載の観察方法。
【請求項28】
照明光の焦点を、対物レンズ近傍の試料の上面の直下位置決めし、出射された蛍光が、対物レンズに到達する前に、試料全体を通過することを防ぐステップを更に有する請求項22記載の観察方法。
【請求項29】
上記照明装置に伝搬された実質的に全ての光は、照明装置内で内部的に反射されることを特徴とする請求項22記載の観察方法。
【請求項30】
上記光源から伝搬された実質的に全ての光が試料を照射することを特徴とする請求項29記載の観察方法。
【請求項31】
上記照明装置は、エバネセント波を生成することを特徴とする請求項22記載の観察方法。
【請求項32】
上記エバネセント波は、全反射角の下で試料の細胞内界面において生成され、該界面に近接する構造において蛍光を発することを特徴とする請求項31記載の観察方法。
【請求項33】
上記照明装置に伝搬される光は、臨界角より大きい角度で、上記界面において、内部的に反射し、全反射が生じることを特徴とする請求項32記載の観察方法。
【請求項34】
上記暗視野コンデンサは、約1.2〜約1.4の開口数を有することを特徴とする請求項22記載の観察方法。
【請求項35】
上記光源は、金属ハロゲン化物の光源を含むことを特徴とする請求項22記載の観察方法。
【請求項36】
病原体を同定する同定方法において、
上記試料に中空の円錐状の光の焦点を合わせる暗視野コンデンサと、該暗視野コンデンサに光を供給する光源とを備える照明装置を透過型顕微鏡に接続するステップを有する同定方法。
【請求項37】
上記照明装置は、光の内面反射を生成することを特徴とすることを特徴とする請求項36記載の同定方法。
【請求項38】
上記試料を観察するステップは、実時間で生体の試料を観察するステップを更に有する36記載の同定方法。
【請求項39】
発光される蛍光を観察するために、上記試料に上記蛍光マーカを付すステップを更に有する請求項38記載の同定方法。
【請求項40】
顕微鏡の照明装置において、
顕微鏡観察のために試料を照射する光を生成する少なくとも1つの光源と、
上記光源によって生成された光をコリメートする少なくとも1つのコリメートレンズと、
上記コリメートされた光を受光し、観察中の上記試料に中空の円錐状の光を向ける暗視野コンデンサと、
上記光源から上記暗視野コンデンサへの光透過効率を向上させるアダプタとを備える照明装置。
【請求項41】
上記アダプタは、中心に配置されたスペーサと、該スペーサを囲む複数の光ファイバとを備えることを特徴とする請求項40記載の照明装置。
【請求項42】
上記アダプタは、上記スペーサ面に近接する片端において、上記照明装置の暗視野コンデンサ部に連結するための第1の連結手段と、反対端において、上記照明装置の光源部に連結するための第2の連結手段とを備える筐体を備えることを特徴とする請求項40記載の照明装置。
【請求項43】
上記アダプタは、当該照明装置と一体に形成されていることを特徴とする請求項40記載の照明装置。
【請求項44】
上記アダプタは、当該照明装置に着脱可能に取り付けられることを特徴とする請求項40記載の照明装置。
【請求項45】
顕微鏡観察下の試料のフルカラー蛍光画像を生成する画像生成方法において、
少なくとも1つの強度ピーク波長を有し、上記照射される試料内で蛍光を誘発する光によって上記試料を照射するステップを有する画像生成方法。
【請求項46】
上記顕微鏡観察下の試料は、蛍光マーカによってマークが付されることを特徴とする請求項45記載の画像生成方法。
【請求項47】
上記顕微鏡観察は、励起フィルタ及びバリアフィルタなしで行われることを特徴とする請求項45記載の画像生成方法。
【請求項48】
試料を顕微鏡で観察する観察方法において、
蛍光観察及び上記試料の超分解能イメージングを同時に行うステップを有する観察方法。
【請求項49】
上記試料の超分解能イメージングは、100ナノメートルより小さい物体のイメージングを含むことを特徴とする請求項48記載の観察方法。
【請求項50】
上記試料の超分解能イメージングは、50ナノメートルより小さい物体の検出を含むことを特徴とする請求項48記載の観察方法。
【請求項51】
上記観察下の試料に中空の円錐状の光の焦点を合わせるステップを更に有する請求項48記載の観察方法。
【請求項52】
上記焦点のスポットのサイズを最小化するステップを更に有する請求項51記載の観察方法。
【請求項53】
上記試料の迷光因子を低減するステップを更に有する請求項51記載の観察方法。
【請求項54】
試料を実時間でイメージングするイメージング方法において、
複数の蛍光ラベルを試料に適用し、該蛍光ラベルが付された複数の細胞特徴を同時に観察するステップを有するイメージング方法。
【請求項55】
生存細胞の複数の細胞特徴の観察を含むことを特徴とする請求項54記載のイメージング方法。
【請求項56】
定在エバネセント波を生成するエバネセント波生成方法において、
高開口コンデンサを介して照射光を方向付けるステップと、
臨界角より大きい角度で、内部的に界面から光を反射するステップとを有するエバネセント波生成方法。
【請求項57】
全反射を生成するステップを更に有する請求項56記載のエバネセント波生成方法。
【請求項58】
上記定在エバネセント波は、細胞構造近傍で生成され、全反射蛍光を生成することを特徴とする請求項57記載のエバネセント波生成方法。
【請求項59】
照射される試料の蛍光退色を低減する退色低減方法において、試料の蛍光を選択励起するステップを有する退色低減方法。
【請求項60】
上記蛍光の選択励起は、中空の円錐状の光の焦点を合わせる試料内に位置する点に合わせるステップを含むことを特徴とする請求項59記載の退色低減方法。
【請求項61】
上記蛍光の選択励起は、上記試料に入射する光点のサイズを最小化し、上記光点を超えて該試料に入射する迷光を低減するステップを含むことを特徴とする請求項59記載の退色低減方法。
【請求項62】
上記蛍光の選択励起は、低ワット形光源を用いて上記試料を照射するステップを含むことを特徴とする請求項59記載の退色低減方法。
【請求項63】
上記蛍光の選択励起は、100ワット以下の光源を用いて上記試料を照射するステップを含むことを特徴とする請求項62記載の退色低減方法。
【請求項64】
上記光源が生成した本質的に全ての光が上記試料に焦点を合わせられることを特徴とする請求項62記載の退色低減方法。
【請求項65】
上記蛍光の選択励起は、試料内で屈折率が異なる物質間の界面近傍で、定在エバネセント波を生成するステップを含むことを特徴とする請求項59記載の退色低減方法。
【請求項66】
上記蛍光の選択励起は、顕微鏡の対物レンズ近傍の上記試料の表面に隣接する試料内のスポットを照射するステップを含むことを特徴とする請求項59記載の退色低減方法。
【請求項67】
顕微鏡の分解能を向上させる分解能向上方法において、高開口コンデンサを介して指向され、全反射を生成する光によって照射された試料を観察するステップを有する分解能向上方法。
【請求項68】
上記試料を観察するステップは、ナノ粒子の観察を含むことを特徴とする請求項67記載の分解能向上方法。
【請求項69】
上記試料を観察するステップは、量子ドットの観察を含むことを特徴とする請求項67記載の分解能向上方法。
【請求項70】
上記分解能が向上するように、入射光が試料に入射する角度を調整するステップを更に有する請求項67記載の分解能向上方法。
【請求項71】
試料内の細胞構造を観察するステップを更に有し、該細胞構造に入射する光は、細胞内又は細胞間の界面において、エバネセント波を生成することを特徴とする請求項67記載の分解能向上方法。
【請求項72】
上記エバネセント波は、上記界面近傍で蛍光を発することを特徴とする請求項71記載の分解能向上方法。
【請求項73】
複数の蛍光ラベルによってマークされた複数の細胞特徴を同時に観察するステップを更に有する請求項72記載の分解能向上方法。
【請求項74】
上記細胞構造は、生存細胞の一部であることを特徴とする請求項71記載の観察方法。
【請求項75】
定在エバネセント波を生成するエバネセント波生成方法において、
高開口コンデンサを介して照射光を方向付けるステップと、
臨界角より大きい角度で、内部的に界面から光を反射するステップとを有し、
上記定在エバネセント波は、細胞構造近傍で生成され、全反射蛍光を生成するエバネセント波生成方法。
【請求項76】
ガラス/金属界面において表面プラズモンを生成する表面プラズモン生成方法において、該ガラス/金属界面近傍において、定在エバネセント波を生成するステップを有する表面プラズモン生成方法。
【請求項77】
全ての角度の光のシリンダを介して、定在波全反射蛍光を生成する定在波全反射蛍光生成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16】
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【図17】
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【公表番号】特表2007−532982(P2007−532982A)
【公表日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−508613(P2007−508613)
【出願日】平成17年4月15日(2005.4.15)
【国際出願番号】PCT/US2005/013054
【国際公開番号】WO2005/101086
【国際公開日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(506009109)オーバーン ユニバーシティ (5)
【Fターム(参考)】