説明

顕微鏡用カメラ

【課題】顕微鏡の状態の変更に同期させて行う必要のあるカメラの設定の変更を適切に行えるようにする。
【解決手段】顕微鏡用デジタルカメラ3は、カメラヘッド部2と操作表示部6とを備えて構成される。操作表示部6の表示部位5は、顕微鏡本体1により取得される観察画像を表示する。操作表示部6の操作部位4内のCPUは、当該観察画像の変化を検知する。操作部位4に設けられている対物警告LEDが点灯することで、当該CPUによる当該観察画像の変化の検知結果を示す報知情報の出力がなされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顕微鏡の技術に関し、特に、顕微鏡での観察画像を撮影する顕微鏡用カメラの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
顕微鏡用カメラには、観察画像に表されている標本の実際の大きさを容易に把握できるようにするためのスケール機能や、観察画像中における任意の2点間の距離を計測する計測機能などを装備しているものがある。このうち、スケール機能とは、観察画像の大きさを把握するために、目盛り付きの定規を模した図形の画像や、顕微鏡の倍率を示す文字の画像を表示する等して観察者に報知する機能である。なお、この報知方法としては、これらの画像を観察画像上に重畳して表示するものが一般的である。
【0003】
このような顕微鏡用カメラでのスケール機能に関し、例えば特許文献1には、スケール表示可能な顕微鏡カメラにおいて、CCU(カメラ・コントロール・ユニット)が、使用中の顕微鏡対物レンズの情報を取得し、その情報に基づいてスケールの画像を作成することで、観察画像上に含まれるスケール画像の倍率や目盛りを最適化するという技術が開示されている。
【0004】
また、例えば特許文献2には、顕微鏡の観察倍率をカメラに設定することで、カメラ画像上にスケールを表示させることで、観察画像に適したスケール表示を可能とすると共に、ライブ画像と静止画記録画像との両方にスケール表示を重畳可能とする技術が開示されている。
【0005】
この他、本発明に関係する技術として、例えば特許文献3には、顕微鏡の対物レンズを切り替える顕微鏡操作によって顕微鏡光路が一旦遮断された後に開放されることで発生する、顕微鏡用カメラで撮像された動画像の高輝度発光を防止するための技術が開示されている。この技術では、カメラが光路遮断を検出すると、露出制御を一時停止する。このようにして、光路遮断中の露出制御に起因する、遮断開放時の露出オーバ(明るさオーバ)状態を抑制するというものがこの技術である。また、例えば特許文献4には、顕微鏡の対物レンズを保持する対物レボルバの回転操作により顕微鏡光路が遮断される際に、AGC(自動利得制御)を一旦停止することで、遮断開放時の画像の明るさオーバ状態を抑制するという技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−258495号公報
【特許文献2】特開2003−32524号公報
【特許文献3】特開2005−37683号公報
【特許文献4】特許第3909928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の技術では、カメラが顕微鏡から情報を取得するための通信手段が必要となるため、装置の大型化やコストの上昇を招くこととなる。また、顕微鏡の観察状態を示す情報(例えば使用中の対物レンズを特定する情報)を検出する手段を備えていない顕微鏡に接続する場合には、カメラが観察画像のスケール表示を最適化することはできない。
【0008】
また、特許文献2の技術においても、顕微鏡での対物レンズの変更をカメラが把握できないため、観察者が顕微鏡の倍率を変更する度に、カメラ側の設定も変更する必要があるが、設定ミスや設定忘れをする場合があり、画面に表示しているスケール表示が適切なものでなくなってしまう場合も考えられる。
【0009】
本発明は上述した問題に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、顕微鏡の状態の変更に同期させて行う必要のあるカメラの設定の変更を適切に行えるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の態様のひとつである顕微鏡用カメラは、顕微鏡により取得される観察画像を表示する観察画像表示手段と、該観察画像の変化を検知する検知手段と、該検知手段による該観察画像の変化の検知結果を示す報知情報を出力する報知手段と、前記観察画像についての表示倍率の情報を記憶している表示倍率情報記憶手段と、を有し、前記報知手段は、前記報知情報の出力として、前記表示倍率情報記憶手段に記憶されている前記観察画像の表示倍率の一覧を表示し、さらに、前記顕微鏡での観察対象である標本と前記観察画像に表されている該標本の像との大きさの関係を示すスケール情報を表示するスケール情報表示手段と、前記表示倍率の一覧からの選択の指示を取得する選択指示取得手段と、前記スケール情報表示手段による前記スケール情報の表示を、前記選択の指示に係る表示倍率に対応するスケール情報の表示に変更するスケール情報表示変更手段と、を有することを特徴とするものであり、この特徴によって前述した課題を解決する。
【0011】
なお、このとき、該報知手段は、該表示倍率の一覧を、該選択指示取得手段により取得された選択の指示に係る表示倍率が特定の並び順となるように並び替えて表示するように構成してもよい。
【0012】
あるいは、このとき、該報知手段は、該表示倍率の一覧の表示を開始してから所定時間が経過しても該選択指示取得手段が該選択の指示を取得しない場合には、該表示を中止するように構成してもよい。
【0013】
なお、このとき、該報知手段は、該表示倍率の一覧の表示を中止した場合には、該選択の指示を取得していない旨を報知するように構成してもよい。
【発明の効果】
【0014】
以上のように構成した顕微鏡システムによれば、顕微鏡の状態の変更に同期させて行う必要のあるカメラの設定の変更を適切に行えるようになるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】顕微鏡システムの構成を示す図である。
【図2】レボルバの詳細構成を示す図である。
【図3】カメラヘッド部の構成を示す図である。
【図4】操作表示部における操作部位の外観の構成を示す図である。
【図5】操作表示部における操作部位の電気的構成を示す図である。
【図6】対物変更判定部の構成の第一の例を示す図である。
【図7】操作表示部における表示部位の構成を示す図である。
【図8】スケールが重畳表示されているライブ画像の例を示す図である。
【図9】スケール表示の設定画面例(その1)を示す図である。
【図10】スケール表示の設定画面例(その2)を示す図である。
【図11】実施例1に係る顕微鏡用デジタルカメラの処理動作の流れを示すフローチャートである。
【図12】対物変更判定部の構成の第二の例を示す図である。
【図13】警告文字列が重畳表示されているライブ画像の例を示す図である。
【図14】対物変更判定部の構成の第三の例を示す図である。
【図15】実施例2に係る対物変更判定部の処理動作の流れを示すフローチャートである。
【図16】対物変更判定部の構成の第四の例を示す図である。
【図17】遮光時間計測器の構成を示す図である。
【図18】実施例3に係る対物変更判定部の処理動作の流れを示すフローチャートである。
【図19】観察画像の表示倍率の一覧の第一の表示例を示す図である。
【図20】実施例3に係る顕微鏡用デジタルカメラの処理動作の流れの一部を示すフローチャートである。
【図21】観察画像の表示倍率の一覧の第二の表示例を示す図である。
【図22】スケール表示の設定画面例(その3)を示す図である。
【図23】観察画像の表示倍率の一覧の第三の表示例を示す図である。
【図24】実施例5に係る顕微鏡用デジタルカメラの処理動作の流れの一部を示すフローチャートである。
【図25】観察画像の表示倍率の一覧の第四の表示例を示す図である。
【図26】観察画像の表示倍率の一覧の第五の表示例を示す図である。
【図27】図24に示したフローチャートの第一の変形例である。
【図28】表示倍率の選択指示を取得していない旨を報知しているライブ画像の例を示す図である。
【図29】図27に示したフローチャートの変形例である。
【図30】EXPOSE SWの押下操作の取得時に表示倍率の選択指示を取得していない旨を報知しているライブ画像の例を示す図である。
【図31】実施例7に係る顕微鏡用デジタルカメラの処理動作の流れの一部を示すフローチャートである。
【図32】対物変更判定部の構成の第五の例を示す図である。
【図33】観察画像の分割を説明する図である。
【図34】レボルバを左方向に回転操作した場合の観察画像の遮光状態の遷移を示す図である。
【図35】実施例8に係る対物変更判定部の処理動作の流れを示すフローチャートである。
【図36】スケール名とレボルバの各装着穴との関係の一例を示す図である。
【図37】観察画像の表示倍率の一覧の第六の表示例を示す図である。
【図38】観察画像の表示倍率の一覧の第七の表示例を示す図である。
【図39】図35に示したフローチャートの変形例である。
【図40】図24に示したフローチャートの第二の変形例である。
【図41】図11に示したフローチャートの変形例である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態である各実施例について、図面に基づいて説明する。
[実施例1]
図1は、本発明を実施する顕微鏡用カメラを含む顕微鏡システムの構成を示している。
この図1は、本発明の実施例である顕微鏡用デジタルカメラ3が、顕微鏡本体1に装着されている状態を示している。
【0017】
まず顕微鏡本体1について説明する。
顕微鏡本体1は、ステージ51と、対物レンズ52と、レボルバ53と、接眼レンズ54と、結像レンズ55と、ハーフミラー56とを備えて構成されている。
【0018】
ステージ51には標本50が載置される。対物レンズ52は、この標本50の像を拡大するものである。ハーフミラー56は、標本50の像を表している光の一部を反射して接眼レンズ54へ導くものである。接眼レンズ54は、ハーフミラー56で反射した光を標本像として結像させて観察者が覗き見るためのものである。結像レンズ55は、ハーフミラー56を透過した光をカメラヘッド部2の受光部において標本像として結像させるもの
である。
【0019】
レボルバ53は、顕微鏡本体1の光路(観察光軸)上に対物レンズ52を保持しておくものである。レボルバ53は回転機構を有しており、回転させることにより、標本50の観察に使用するため光路上に保持しておく対物レンズ52を、レボルバ53に装着されている別のものに切り替えることができる。なお、図1においては、対物レンズ52が光路上で保持されており、対物レンズ52−2は光路外で保持されているものを表している。
【0020】
レボルバ53の詳細構成を図2に示す。なお、図2においては、光路は紙面に対し垂直方向である。
図2に示したように、レボルバ53は最大で6つの対物レンズ52を装着可能な構成を有しており、例えば、2倍、4倍、10倍、20倍、40倍、100倍などと倍率が相異なる6種類の対物レンズ52をレボルバ53に装着することができる。ここで、観察者が必要に応じてレボルバ53を回転操作すると、レボルバ53に装着されている対物レンズ52のうちのいずれか1つが、光路上に配置される。
【0021】
また、レボルバ53は、対物レンズ52の装着部位以外(図2におけるで網掛け部分)では遮光構造を有している。つまり、レボルバ53を回転させて対物レンズ52を切り替える際には、対物レンズ52が光路から外れて他のものが光路上に配置されるまでの間に、光路を遮光する状態が発生するように構成されている。
【0022】
次に、顕微鏡用デジタルカメラ3について説明する。
顕微鏡用デジタルカメラ3は、シャッタ25を含むカメラヘッド部2と、カメラヘッド部2とは別体の構成である操作表示部6とがケーブル7で接続されて構成されている。
【0023】
カメラヘッド部2は、顕微鏡本体1から射出される、標本像を表している光の光路上に配置される。
シャッタ25は、結像レンズ55からカメラヘッド部2の受光部へ届く光を所望の時に遮断する。シャッタ25が設けられている。このシャッタ25は、機械的に光を遮断するメカニカルシャッタでよいが、その代わりに、電気信号に応じて光を遮断する電子シャッタを用いるようにしてもよい。
【0024】
操作表示部6は、観察者により操作される操作部位4と、カメラヘッド部2から導かれる標本像を表示する表示部位5とを一体的に備えて構成されている。なお、表示部位5は、操作部位4に対する観察者の操作により行われる、顕微鏡用デジタルカメラ3の撮影動作に関する各種の設定状態等を表示する機能も有している。
【0025】
カメラヘッド部2と操作表示部6とは、両者を接続しているケーブル7により、相互に電気信号の送受を行うことができる。従って、操作表示部6をケーブル7の許す範囲でカメラヘッド部2から離して設置しても、顕微鏡用デジタルカメラ3での標本像の撮影動作は可能である。
【0026】
操作表示部6において、操作部位4と表示部位5は一定の角度を保持しておくことができる。従って、操作表示部6を例えば机上に設置した場合、操作部位4は机上とほぼ水平、表示部位5は机上と0〜90°の範囲で観察者の操作しやすい角度、例えば90°程度として保持することができる。なお、0°の状態とは、操作部位4と表示部位5が水平の状態、すなわち、操作部位4と表示部位5とが同一平面上に開かれた状態を示している。
【0027】
なお、操作表示部6をPC100と通信ケーブル101で接続することにより、顕微鏡用デジタルカメラ3の動作のための各種指示を、PC100から行うことが可能になり、また、標本像の記録や表示をPC100で行うことも可能になる。
【0028】
次に図3について説明する。図3は、カメラヘッド部2の構成を示している。
カメラヘッド部2は、撮像素子20と、サンプリング回路21と、A/D変換器22と、画像処理部23とを備えて構成されている。
【0029】
撮像素子20はカメラヘッド部2における受光部であり、結像レンズ55が受光面に結像させた標本像(観察画像)を光電変換する。なお、撮像素子20としては、例えばCCD(電荷結合素子)が使用される。
【0030】
サンプリング回路21は、撮像素子20から出力される電気信号を一定の時間間隔でサンプリングし、その結果であるサンプリング信号を出力する。
A/D(アナログ−デジタル)変換器22は、アナログ電気信号であるサンプリング信号をデジタルデータへ変換する。
【0031】
画像処理部23は、A/D変換器22で変換されたデジタルデータに基づいて標本像が表されている観察画像のデータを生成する。
なお、観察者の撮影指示とは無関係に、観察画像の画像生成を連続して行うことにより、現在の観察画像(動画像)を表示部位5にほぼリアルタイムで表示させることができる。
【0032】
次に図4について説明する。図4は、操作表示部6における操作部位4の外観の構成を示している。
操作部位4には、EXPOSE SW31、モードSW32、露光補正SW33、メモリ装置34、電源SW60、左選択SW61、右選択SW62、通信端子37、及び対物変更警告LED72が備えられている。
【0033】
EXPOSE SW31は、顕微鏡用デジタルカメラ3で撮影動作を実行させる指示を行うために操作されるスイッチであり、顕微鏡本体1により得られる観察画像の撮影指示を取得する撮影指示取得手段である。
【0034】
モードSW32は、顕微鏡用デジタルカメラ3の動作状態(動作モード)を切り替える指示を行うために操作されるスイッチである。なお、顕微鏡用デジタルカメラ3は、撮影動作を行う「撮影モード」(REC)と、既に記録されている画像を再生表示させる「再生モード」(PLAY)と、顕微鏡用デジタルカメラ3の動作のための各種指示や画像表示などをPC100で行う「PCモード」(PC)とを少なくとも備えている。
【0035】
露光補正SW33は、画像撮像時における露光の補正値を設定するために操作されるスイッチである。
メモリ装置34は、カメラヘッド部2から送られてくる、標本50の観察画像が表されている画像のデータを記録して保存するための装置であり、EXPOSE SW31に対する押下操作が取得されたときの観察画像を記録する観察画像記録手段である。メモリ装置34は、例えばPC等で広く採用されているフレキシブルディスクやフラッシュメモリといった着脱可能なリムーバブルメディア35と、このリムーバブルメディア35に対し画像データの書き込み及び読み出しを行うメモリ読み出し書き込み部36とを有している。
【0036】
電源SW60は、顕微鏡用デジタルカメラ3の各部へ電力を供給する指示を行うために操作されるスイッチである。
左選択SW61及び右選択SW62は、顕微鏡用デジタルカメラ3に対する各種設定の切り替え指示等のために操作されるスイッチである。
【0037】
通信端子37は、操作表示部6とPC100とを繋ぐ通信ケーブル101が接続される端子である。
対物変更警告LED72は発光ダイオードであり、観察画像に変化が生じた場合に、その変化の発生を示す報知情報を出力する報知手段である。本実施例においては、対物変更警告LED72は、観察画像の遮光状態への変化が検知された場合に点灯して、その旨を警告する。
【0038】
前述したように、観察者がレボルバ53を回転させて対物レンズ52を切り替えると、対物レンズ52が光路から外れて他のものが光路上に配置されるまでの間に、光路を遮光する状態が発生する。このとき観察画像には著しい輝度の低下が一時的に発生する。つまり、対物変更警告LED72は、この輝度の低下が検知されたときに点灯することで、対物レンズ52の切り替えが行われた旨を警告するのである。
【0039】
次に図5について説明する。図5は、操作表示部6における操作部位4の電気的構成を示している。
制御回路(以下CPUとする)201は、中央演算装置、後述する各種の制御処理を当該中央演算装置に行わせるための制御プログラムが格納されたROM、当該中央演算装置が当該制御プログラムを実行するための作業用記憶領域として使用するRAM、及び、後述する図1の顕微鏡システム全体の総合倍率(観察画像の表示倍率)の一覧の情報などを記憶しておく不揮発性メモリ等を有している。図4に示した操作部位4の各スイッチに対する操作は、制御回路201により解析、処理される。
【0040】
例えば、観察画像等を表示部位5で表示させる場合には、CPU201が表示用RAM200へ表示用のデータを書き込む処理を行う。すると、表示部位5が当該データに基づいた表示を行う。また、撮影に関する制御では、CPU201は、操作部位4の各スイッチに対する操作に対応付けられている撮影に関する指示をカメラヘッド部2に与えるための所定の制御信号を生成して、カメラヘッドコネクタ203からケーブル7を介してカメラヘッド部2へ送る処理を行う。すると、カメラヘッド部2(シャッタ25を含む)の動作が当該指示によって制御される。また、カメラヘッド部2の画像処理部23からケーブル7を介して送られてくる観察画像の画像データを記録媒体であるリムーバブルメディア35へ記録する場合には、CPU201は、当該画像データを所定のファイル形式にしてメモリ装置34内のメモリ読み出し書き込み部36へ送付する処理を行う。なお、本実施形態においては、よく知られているMS−DOS(登録商標)のFAT(File Allocation Table )ファイルシステムを使用してリムーバブルメディア35内でのデータファイルの管理を行うものとする。
【0041】
また、CPU201には記号列ROM63が接続されている。記号列ROM63には、画像中にスケール目盛り等の記号列を書き込む際の文字、数字、各種記号といった記号列フォントデータが格納されている。
【0042】
更に、CPU201とメモリ読み出し書き込み部36との接続の間に撮影画像―記号列合成器64が挿入されており、CPU201と表示用RAM200との接続の間に観察画像―記号列合成器65が挿入されている。撮影画像―記号列合成器64は、リムーバブルメディア35へ記録する観察画像に、上述した記号列を書き込む画像合成処理を行う。また、観察画像―記号列合成器65は、表示部位5で表示させる観察画像に、上述した記号列を書き込む画像合成処理を行う。
【0043】
また、CPU201と通信端子37との接続の間に通信部38が挿入されている。通信部38は、通信端子37に接続されている通信ケーブル101が繋がっているPC100との間で行われる各種のデータ通信の管理を行う。
【0044】
更に、CPU201には、対物変更判定部66と対物変更警告LED制御部67とが接続されている。次に、対物変更判定部66と対物変更警告LED制御部67とについて説明する。
【0045】
まず、図6について説明する。図6は、対物変更判定部66の構成の第一の例を示している。
図6に示す対物変更判定部66は、観察画像の変化を検知する検知手段であり、Nフレーム用RAM66aと、N+1フレーム用RAM66bと、変化判定部66cとを備えている。
【0046】
Nフレーム用RAM66a及びN+1フレーム用RAM66bは、顕微鏡本体1により取得された観察画像(の画像データ)を1フレームずつ交互に格納する。
変化判定部66cは、Nフレーム用RAM66a及びN+1フレーム用RAM66bに各々格納されている観察画像を比較して、両者の違いの有無を判定する。ここで、この両者の画像に違いがない(すなわち、観察画像に変化がない)と判定したときには、対物変更判定部66は、その判定結果として、「観察中」を示すフラグ情報をCPU201に通知する。一方、この両者の画像に違いがある(すなわち、観察画像が変化した)と判定したときには、対物変更判定部66は、その判定結果として、「対物変更中」を示すフラグ情報をCPU201に通知する。
【0047】
本実施例においては、対物変更判定部66は、ある時刻に取得した観察画像が、その直前に取得した画像よりも著しく輝度が低下したか否かを以って、観察画像の変化を検知する。
【0048】
今、ある時刻の観察画像がNフレーム用RAM66aに格納され、その次のフレームの画像がN+1フレーム用RAM66bに格納された場合を想定する。ここで、対物変更判定部66は、Nフレーム用RAM66aの画像輝度値(の平均値)よりもN+1フレーム用RAM66bの画像輝度値(の平均値)が所定値以上に小さくなっている場合には、観察画像が遮光状態へ変化したと判定し、「対物変更中」を示すフラグ情報をCPU201に通知する。
【0049】
例えば、観察画像の各画素が取り得る最大輝度値(最も明るいときの輝度値)を「255」とし、最小輝度値(最も暗いときの輝度値)を「0」とした場合を想定する。このとき、Nフレーム用RAM66aの画像輝度値(の平均値)よりも次フレームの画像であるN+1フレーム用RAM66bの画像輝度値(の平均値)が所定値以上に小さくなっている場合には、変化判定部66cは、「対物変更中」を示すフラグ情報をCPU201に通知する。
【0050】
対物変更警告LED制御部67は、対物変更警告LED72の駆動制御を行うものである。CPU201は、観察画像の変化の検知結果、すなわち対物変更判定部66から通知されるフラグ情報が「観察中」であれば、対物変更警告LED制御部67に指示を与えて対物変更警告LED72を消灯させる。また、当該フラグ情報が「対物変更中」であれば、対物変更警告LED制御部67に指示を与えて対物変更警告LED72を点灯(例えば赤色点灯)させる。
【0051】
次に図7について説明する。図7は、操作表示部6における表示部位5の構成を示している。
表示部位5は、顕微鏡本体1により取得された観察画像を表示する観察画像表示手段である。表示部位5には、画像表示パネル41、情報表示パネル42、及びD/A変換器24が備えられている。
【0052】
画像表示パネル41は、顕微鏡本体1により取得されている観察画像の表示や、メモリ装置34に画像データとして保存されている観察画像の再生表示を行う。
情報表示パネル42は、顕微鏡用デジタルカメラ3での撮影動作の際における露光時間や露光補正量等の撮影情報や、観察画像の再生表示時における再生対象の画像ファイル等の再生情報などを表示する。
【0053】
D/A(デジタル−アナログ)変換器24は、表示用RAM200に格納したデジタル画像データを画像表示パネル41で表示させるために、デジタル画像データ信号をアナログ信号に変換する。
【0054】
次に、以上のように構成されている顕微鏡用デジタルカメラ3の動作について説明する。
結像レンズ55は、顕微鏡本体1により取得される標本50の標本像(観察画像)を撮像素子20の受光面に結像させる。撮像素子20は、この観察画像を電気信号に変換する。観察画像を表しているこの電気信号は、サンプリング回路21により空間サンプリング及び時間サンプリングがされた後にA/D変換器22でデジタルデータに変換される。このデジタルデータに対し、画像処理部23が所定の画像処理を施すことにより、元の観察画像を再現することのできる標本50のデジタル画像データが生成される。生成されたデジタル画像データは、ケーブル7を介して操作表示部6のCPU201へと伝送される。
【0055】
CPU201は、カメラヘッド部2から伝送されてきたデジタル画像データを表示用RAM200に記憶させる。記憶されたデジタル画像データ信号はその後読み出されて表示部位5へ伝達され、D/A変換器24によりアナログ信号化されて画像表示パネル41に入力される。すると、画像表示パネル41により観察画像の表示が行われる。
【0056】
ここで、以上の観察画像の表示動作を連続的に行う(1秒間に10〜30フレーム程度の割合で表示画像を更新する)ことで、動画像の表示が可能となる。以下の説明においては、このようにして表示部位5で表示される動画像の観察画像を、特に「ライブ画像」と称することとする。なお、このライブ画像を構成している各観察画像は、観察者からの記録指示(EXPOSE SW31に対する押下操作)がない限り、リムーバブルメディア35には記録されない。
【0057】
ところで、画像表示パネル41に観察画像を表示するには、モードSW32により、少なくとも「撮影モード」と「再生モード」が選択されている必要がある。ここで、「撮影モード」が選択されている場合には、カメラヘッド部2に対して「ライブ画像状態」と「撮影中状態(レックビュー)」の少なくとも2つの動作状態のいずれかが設定される。
【0058】
モードSW32により「撮影モード」が選択されており、カメラヘッド部2が「ライブ画像状態」に設定されている場合においては、カメラヘッド部2が標本50のライブ画像をリアルタイムに撮像して、画像表示パネル41がライブ画像を表示する。
【0059】
これに対し、モードSW32により「撮影モード」が選択されており、カメラヘッド部2が「ライブ画像状態」の場合においては、観察者がEXPOSE SW31を押下操作すると、シャッタ25が適正な露光時間に応じて開閉し、カメラヘッド部2が標本50の観察画像(静止画像である顕微鏡写真)を撮影する。
【0060】
このときに得られた撮影画像は、ライブ画像に代えて画像表示パネル41で表示される。また、この撮影における撮影条件等の情報は情報表示パネル42で表示される。更に、得られた撮影画像を表しているデジタル画像データは、メモリ装置34内のリムーバブルメディア35で記録されて、撮影画像の保存がされる。
【0061】
なお、「撮影中状態(レックビュー)」における画像表示パネル41での観察画像(静止画)の表示は、所定時間が経過した後に消去されてライブ画像の表示が再開される。この所定時間とは、例えば、撮影画像のリムーバブルメディア35への記録保存が完了までの時間としてもよく、また、観察者によるEXPOSE SW31の押下操作が検出されてから10秒としてもよい。
【0062】
ところで、顕微鏡用デジタルカメラ3に対し、「スケール書き込み」の設定が「ON」とされていた場合には、撮影画像にスケール(数値目盛付の定規形状)を表す所望の記号列が上書きされたデジタル画像データが作成される。
【0063】
すなわち、CPU201は、EXPOSE SW31に対する押下操作を検出すると、撮影画像―記号列合成器64を制御し、カメラヘッド部2から伝送されてきたデジタル画像データに、記号列ROM63に格納された記号列データのうち観察者が選択したものを追加させる画像合成処理を行わせる。これにより、そのデジタル画像データで表されている撮影画像の右下位置へ、当該選択に係る記号列が上書きされる。そして、この画像合成処理後のデジタル画像データが、メモリ装置34によりリムーバブルメディア35に記録される。
【0064】
また、このとき、CPU201は、観察画像―記号列合成器65も制御し、カメラヘッド部2から伝送されてきたデジタル画像データに、記号列ROM63に格納された記号列データのうち観察者が選択したものを追加させる画像合成処理を行わせる。そして、この画像合成処理後のデジタル画像データが、表示用RAM200で記憶される。このようにすることにより、画像表示パネル41で表示されるライブ画像上にもスケールが重畳表示(スーパーインポーズ)される。
【0065】
なお、顕微鏡用デジタルカメラ3に対し、「スケール書き込み」の設定が「OFF」とされていた場合には、リムーバブルメディア35に記録される撮影画像と画像表示パネル41で表示されるライブ画像とのどちらにも、スケールを表す所望の記号列の上書きがされることはない。
【0066】
ところで、観察画像やライブ画像に合成されるスケールにおける単位長さの値(スケール目盛り値)は、顕微鏡本体1の倍率(観察倍率)と、顕微鏡用デジタルカメラ3の倍率とで決定される、図1の顕微鏡システム全体の総合倍率(観察画像の表示倍率)に依存する。ここで、このスケール目盛り値の算出手法について説明する。
【0067】
まず、上記の総合倍率をNとし、観察視野に対するスケール幅率をSrateとしたときのスケール目盛り値Svalを、
Sval=Srate/N×n
とする。ここで、nは観察視野の大きさを示す。
【0068】
このようにして求められるスケール幅率Srate分のスケール線を画像に上書きすると共に、Svalで示される値をスケール目盛り値として重畳表示する。
スケールが重畳表示されているライブ画像の例を図8に示す。
【0069】
図8に示した画像には、スケール目盛り値として「10um」の表示がされており、画像上の定規形状のスケール線の1目盛り分の長さが、画像に表されている標本像における10マイクロメートルに相当することを示している。つまり、この表示により、標本50と観察画像に表されている標本50の像との大ききの関係が示されるので、画像上の観察部位の実際の長さを容易に知ることができる。
【0070】
なお、前述した総合倍率Nは、顕微鏡本体1の倍率(観察倍率)をNmとし、顕微鏡用デジタルカメラ3の倍率をNcとすると、
N=Nm×Nc
となる。
【0071】
顕微鏡用デジタルカメラ3では、総合倍率Nの値は観察者により指示される。CPU201は、総合倍率Nの値の指示を受け取ると、その値に応じた適切な(切りのいい)単位長さのスケール目盛り値及びスケール線を算出して画像に合成する処理を行う。このような構成とすることで、観察倍率Nmを通知する機能を有していない顕微鏡本体1であっても、図1の顕微鏡用デジタルカメラ3は、スケール表示を上書きした観察画像の記録・表示を行うことができる。
【0072】
しかしながら、顕微鏡観察においては、一般に、観察者が顕微鏡本体1の観察倍率Nm、特に対物レンズ52の倍率を頻繁に変更して行うものである。そこで、このような観察倍率Nmの変更に伴う総合倍率Nの変更に対応するために、複数種類の総合倍率Nの値を予め設定してその情報を不図示の不揮発性メモリに記憶させておく処理をCPU201が行うように、顕微鏡用デジタルカメラ3を構成する。そして、観察者が対物レンズ52を切り替えて観察倍率Nmを変更したときには、観察者は、予め記憶させておいた総合倍率Nの一覧から所望のものを選択する指示を顕微鏡用デジタルカメラ3へ行うようにする。CPU201は、この指示を受け取ったときには、選択された総合倍率Nに基づいてスケール目盛り値及びスケール線を算出して画像に合成する処理を行うように構成しておく。このように構成しておくことにより、対物レンズ52の変更等により顕微鏡本体1の総合倍率Nに変更が生じても、正しい総合倍率Nでのスケール表示の画像への書き込みを容易に行うことができる。
【0073】
ここで図9及び図10について説明する。これらは、どちらもスケール表示の設定画面例である。これらの設定画面は、操作表示部6における表示部位5に表示されるものである。
【0074】
観察画像若しくはライブ画像を表示部位5に表示させているときに、スケール表示設定画面を呼び出すための所定の操作を操作表示部6における操作部位4に対し観察者が行うと、図9の設定画面が表示部位5に表示される。
【0075】
この図9の設定画面が表示されているときに、操作部位4に対し所定の操作を観察者が行うと、スケール名選択小項目MENU91、スケールOFF小項目MENU92、及びスケール詳細設定小項目MENU93のうちのいずれか1つが選択される。
【0076】
図9は、スケール名選択小項目MENU91が選択されていることを、破線の長方形により表している。スケール名選択小項目MENU91が選択されている場合には、スケール表示の画像への書き込みが行われる。ここで、スケールOFF小項目MENU92が選択されている場合には、スケール表示の画像への書き込みは行われない。
【0077】
スケール名選択小項目MENU91では、予め設定されている総合倍率Nに対応付けられている名称(スケール名)の選択を行う。なお、ここでは、スケール名として、「ON1」、「ON2」、「ON3」、「ON4」、「ON5」、「ON6」、及び「TEMP」の7種類が予め定義されており、スケール名選択小項目MENU91では、このうちのいずれか1つを選択するものとする。なお、図9の画面ではスケール名「ON1」が選択されている状態を示している。
【0078】
スケール名選択小項目MENU91が選択されているときに、操作部位4の左選択SW61若しくは右選択SW62に対する押下操作を観察者が行うと、スケール名の選択が切り替わる。ここで、右選択SW62は図9におけるスケール名選択切り替え91bの下側に対応付けられており、押下操作を行う度にスケール名の選択が「ON1」→「ON2」→「ON3」→…と切り替わる。一方、左選択SW61は図9におけるスケール名選択切り替え91bの上側に対応付けられており、押下操作を行う度にスケール名の選択が「ON1」→「TEMP」→「ON6」→…と切り替わる。
【0079】
ところで、図9の設定画面において、スケール詳細設定小項目MENU93を選択した場合には、図10の設定画面が表示部位5に表示される。この図10の設定画面は、スケール表示の詳細設定のためのものである。
【0080】
図10の設定画面に示されているスケール詳細設定項目94は、図9の画面と同様のスケール名選択小項目MENU91に示されるスケール名と、そのスケール名に対応付ける総合倍率Nの入力欄とを有している。なお、図10の画面例では、スケール名「ON1」に、総合倍率Nとして「100.00」倍を対応付ける設定がされている。
【0081】
前述したように、ここでは7種類のスケール名が予め定義されているので、観察者は7種類の総合倍率をCPU201(の有する不図示の不揮発性メモリ)に記憶させておくことができる。このうち、「ON1」から「ON6」までの6種類のスケール名に対しては、対応する総合倍率の再設定が観察者により行われるまで、電源状態に関わらず、保持するように構成されている。従って、観察者は、レボルバ53に装着した頻繁に使用する6本の対物レンズ52の各々に相当する総合倍率Nをそれぞれ「ON1」から「ON6」までの各スケール名に対し設定しておく。このようにしておくことで、レボルバ53を回転させて対物レンズ52を切り替えたときには、図9の設定画面におけるスケール名選択小項目MENU91で、切り替え後の対物レンズ52に対応するスケール名を選択するだけで、観察画像に上書きされるスケール表示を素早く適切なものに変更することができる。
【0082】
一方、スケール名「TEMP」については、顕微鏡用デジタルカメラ3の電源が断(OFF)とされると、対応付けられている総合倍率の情報が消失するように構成されている。従ってスケール名「TEMP」は、例えば「ON1」から「ON6」までの各スケール名に対応付けられているものとは異なる総合倍率Nで突発的な顕微鏡観察を実施する場合に使用するとよい。このようにすることで、日常的に使用する「ON1」から「ON6」までの各スケール名と総合倍率Nとの対応付けの設定を一時的に変更する(その後は元に戻す)ような煩わしさを解消することができる。
【0083】
図9の設定画面でスケール名選択小項目MENU91が選択されているときに観察画像の撮影を行うと、以上のようにして、スケール表示を上書きした撮影像についてのデータファイルがリムーバブルメディア35に記録される。
【0084】
以上までの動作が「撮影モード」における動作である。
次に、顕微鏡用デジタルカメラ3の「再生モード」における動作について説明する。
操作表示部6における操作部位4のモードSW32を切り替えることで「再生モード」を観察者が選択すると、CPU201は、まず、メモリ装置34のメモリ読み出し書き込み部36を制御してリムーバブルメディア35に記録された撮影像のデータファイルの読み出しを行わせる。そして、読み出されたデータファイルについての撮影像を画像表示パネル41で表示させると共に、そのデータファイルについてのファイル名等の再生画像情報は情報表示パネル42で表示させる処理を行う。このデータファイルの記録時にスケール表示の上書き処理が行われていれば、画像表示パネル41で表示される画像には、スケール表示が重畳表示される。
【0085】
なお、この状態で、操作部位4の左選択SW61や右選択SW62に対する押下操作が観察者により行われると、CPU201は、リムーバブルメディア35に記録されている他の撮影像についてのデータファイルの読み出し処理を行い、読み出されたデータファイルについての撮影像を画像表示パネル41で表示させる処理と、そのデータファイルについてのファイル名等の再生画像情報は情報表示パネル42で表示させる処理とを順次行う。
【0086】
次に、顕微鏡用デジタルカメラ3の「PCモード」における動作について説明する。
操作表示部6における操作部位4のモードSW32を切り替えることで「PCモード」を観察者が選択した場合には、「撮影モード」及び「再生モード」で可能となる顕微鏡用デジタルカメラ3の動作をPC100が制御するようになる。また、「PCモード」においては、メモリ装置34内のリムーバブルメディア35が保存している画像のPC100側のメモリ装置への保存、当該画像のPC100の有する表示装置での表示も可能であり、表示部位5での表示内容を当該表示装置で表示させることも可能となる。もちろん、このときに、リムーバブルメディア35が保存している画像にスケール表示の上書き処理が行われていれば、当該表示装置で表示される画像にも、スケール表示が重畳表示される。
【0087】
また、顕微鏡用デジタルカメラ3のメモリ装置34からリムーバブルメディア35を取り外し、そこに記録されている画像を他のPCにて読み出して表示した場合にも、リムーバブルメディア35が保存している画像にスケール表示の上書き処理が行われていれば、そのPCで表示される画像にも、スケール表示が重畳表示される。
【0088】
次に、本実施例に係る顕微鏡用デジタルカメラ3の処理動作の流れを、図11に示したフローチャートに従って説明する。
図11において、まず、ステップS11において、操作表示部6における操作部位4の電源SW60に対する電源ONの操作が観察者により行われると、顕微鏡用デジタルカメラ3の各構成要素への電力の供給が必要に応じて開始される。CPU201は、電力の供給が開始されるとROMから所定の制御プログラムを読み込んでその実行を開始して所定の初期化処理を行う。なお、この初期化処理には、顕微鏡本体1により取得される画像の操作表示部6における表示部位5での表示を開始させる処理や、対物変更警告LED制御部67を制御して対物変更警告LED72を消灯状態とする処理を含んでいる。
【0089】
次に、ステップS12において、図9及び図10に例示したスケール表示の設定画面を表示部位5に表示させて各スケール名に総合倍率Nを観察者に設定させ、その設定結果を不図示の不揮発性メモリに記憶するスケール表示設定処理をCPU201が行う。
【0090】
スケール表示の設定が完了すると、ステップS13に処理が進み、CPU201は、観察画像の変化の検知を行っている対物変更判定部66から通知される判定結果を示すフラグ情報を取得し、そのフラグ情報が「対物変更中」を示すものであるか否かを判定する処理を行う。ここで、取得したフラグ情報が「対物変更中」を示すものであると判定したとき(判定結果がYesのとき)にはステップS14に処理を進め、取得したフラグ情報が「観察中」を示すものであると判定したとき(判定結果がNoのとき)にはステップS15に処理を進める。
【0091】
ステップS14では、CPU201は、対物変更警告LED制御部67に指示を与えて対物変更警告LED72を点灯(例えば赤色点灯)状態とする処理を行い、その後はステップS13へと処理を戻して上述した処理を繰り返す。
【0092】
ステップS15では、CPU201は、対物変更警告LED制御部67に指示を与えて対物変更警告LED72を消灯状態とする処理を行い、その後はステップS13へと処理を戻して上述した処理を繰り返す。
【0093】
このようにして対物変更警告LED72が点灯状態若しくは消灯状態となることで、対物変更判定部66による観察画像の変化の検知結果を示す報知情報の出力が行われる。つまり、対物変更警告LED72は、顕微鏡本体1の対物レンズ52を切り替えると点灯状態となる。従って、観察者は、対物変更警告LED72の点灯を認識することにより、対物レンズ52の切り替えに同期させて行う必要のある、顕微鏡用デジタルカメラ3に対するスケール表示の設定の変更指示を、忘れずに行うことができる。
【0094】
なお、対物変更判定部66による観察画像の変化の検知(観察画像に基づく「観察中」と「対物変更中」との判定)は以下のように行われる。
まず、CPU201は、カメラヘッド部2から伝送されてくるライブ画像の画像データを順次コピー(複写)して、1フレームずつNフレーム用RAM66aとN+1フレーム用RAM66bとに交互に格納する。ここで、Nフレーム用RAM66aとN+1フレーム用RAM66bとは、どちらも1フレーム分の画像を格納できる程度の容量でよく、次のフレームを新たに格納する場合には、それまで格納されていた前のフレームの画像は上書きされて消滅する。
【0095】
変化判定部66cは、Nフレーム用RAM66aとN+1フレーム用RAM66bとに各々格納されている画像の輝度を比較する。この比較は、各々の画像を構成する各画素の輝度値の平均値の差を算出して行う。例えば、Nフレーム用RAM66aの画像の輝度平均値をNaveとし、N+1フレーム用RAM66bの画像の輝度平均値をN+1aveとしたときに、
|(Nave)―(N+1ave)|=d
により算出される値dにより判定する。
【0096】
ここで、dの値が所定の閾値よりも大きいとき、すなわち、例えば輝度値の取り得る値の範囲を0〜255としたときに、
d>100
であるときには、対物変更判定部66の変化判定部66cは、レボルバ53の回転操作による対物レンズ52の切り替えが行われたことによるものと判定して、「対物変更中」のフラグ情報を出力する。一方、dの値が上記の閾値以下のとき、すなわち、例えば、
d≦100
であるときには、変化判定部66cは、「観察中」のフラグ情報を出力する。
【0097】
レボルバ53の回転操作の途中では、全ての対物レンズ52が光路から外れてレボルバ53の遮光部位が光路中にあるため、ライブ画像は遮光画像となる。この遮光画像と、その直前のフレームである観察画像とでは輝度値に著しい差が発生する。従って、Nフレーム用RAM66aとN+1フレーム用RAM66bとに各々格納されている画像の輝度値の差dの値について、上述したd>100が成立する場合には、対物変更判定部66は、両者の輝度値に著しい差が認められるとみなして、「対物変更中」と判定するのである。
【0098】
つまり、顕微鏡本体1の対物レンズ52をレボルバ53の回転操作により切り替えた場合には、光路中に暫時発生するレボルバ53の遮光構造が、遮光画像としてカメラヘッド部2により取得される。この遮光画像への変化を対物変更判定部位66が検知して「対物変更中」との判定結果を下すと、対物変更警告LED72が(赤色)点灯する。観察者は、対物変更警告LED72の点灯を認識することで、顕微鏡本体1の対物レンズ52が切り替わったことを改めて認識するのである。
【0099】
本実施例に係る顕微鏡用デジタルカメラ3は以上のように動作するので、顕微鏡本体1と顕微鏡用デジタルカメラ3との間に電気的な通信手段がなくても、顕微鏡本体1の設定状態や設定変更を顕微鏡用デジタルカメラ3で認識できる。従って、顕微鏡システムのシステム構成が容易になり、特に、顕微鏡本体1を電動化しなくても顕微鏡本体1の設定の変更を顕微鏡用デジタルカメラ3で把握できるので、顕微鏡システムのシステムコストの低減につながるという効果が得られる。
【0100】
また、本実施例に係る顕微鏡用デジタルカメラ3によれば、カメラの操作やライブ観察に集中していても、顕微鏡本体1の設定状態や設定変更を観察者が把握できるので、操作性が向上するという効果も得られる。
【0101】
更に、本実施例に係る顕微鏡用デジタルカメラ3によれば、顕微鏡本体1の対物レンズ52の切り替えに伴ってスケール表示の設定変更をするにあたり、スケール表示の設定変更を促す警告表示が対物変更警告LED72により行われるので、カメラに対するスケール表示の設定変更のための操作を忘れたり間違えたりすることがないという効果も得られる。
【0102】
なお、以上までに説明した本実施例においては、対物変更判定部66は、ライブ画像において連続している2フレームの観察画像の平均輝度値の変化に基づいて、観察画像の変化の検知を行うようにしていた。この代わりに、1フレームの画像の平均輝度値を所定の閾値と大小比較することで、観察画像の変化の検知を行うようにすることもできる。
【0103】
図12について説明する。図12は、対物変更判定部66の構成の第二の例を示している。
図12に示す対物変更判定部66は、観察画像の変化を検知する検知手段であり、フレーム用RAM66dと、変化判定部66eとを備えている。
【0104】
フレーム用RAM66dは、顕微鏡本体1により取得された観察画像(の画像データ)を格納する。
変化判定部66eは、フレーム用RAM66dに格納されている画像の輝度値の平均値Naveを算出する。ここで、Naveの値が所定の閾値よりも小さいとき、すなわち、例えば輝度値の取り得る値の範囲を0〜255としたときに、
Nave<10
であるときには、対物変更判定部66の変化判定部66eは、レボルバ53の回転操作による対物レンズ52の切り替えが行われたことによるものと判定して、「対物変更中」のフラグ情報を出力する。一方、Naveの値が上記の閾値よりも小さいとき、すなわち、例えば
Nave≧10
であるときには、変化判定部66eは、「観察中」のフラグ情報を出力する。
【0105】
前述したように、レボルバ53の回転操作の途中では、全ての対物レンズ52が光路から外れてレボルバ53の遮光部位が光路中にあるため、ライブ画像は遮光画像となる。変化判定部66eは、画像の輝度値の平均値Naveに基づき、この遮光画像を直接検知し
ようとするものである。
【0106】
なお、理想状態の遮光画像であれば輝度値は当然「0」のはずである。しかし、実際にはノイズや漏れ光等の影響により、遮光画像であってもNaveの値が「0」とならない場合が少なくない。変化判定部66eは、この点を考慮して、Nave<10が成立するか否かを、観察画像の変化の検知における判定条件としている。
【0107】
図12に示した対物変更判定部66を用いて顕微鏡用デジタルカメラ3を構成した場合には、観察画像を格納するために必要なフレーム用RAMが1つで済むので、コスト低減や部品実装スペースの小型化に寄与できるという効果が更に得られる。
【0108】
また、前述した本実施例においては、スケール表示の設定変更を促す警告表示を対物変更警告LED72により行うようにしていた。この代わりに、この警告表示を、操作表示部6における表示部位5の画像表示パネル41で表示するようにしてもよい。
【0109】
すなわち、前述した図11のステップS5において、CPU201が、対物変更警告LED制御部67に指示を与えて対物変更警告LED72を点灯状態とする処理を行う代わりに、観察画像―記号列合成器65を制御して、カメラヘッド部2から伝送されてきたデジタル画像データに、記号列ROM63に格納された記号列データのうち「対物変更中」なる文字列を表しているものを追加させる画像合成処理を行わせ、この画像合成処理後のデジタル画像データを、表示用RAM200に記憶させるようにする。このようにすることにより、図13に示すように、画像表示パネル41で表示される画像上に、「対物変更中」なる文字列が重畳されて表示される。
【0110】
このようにして警告表示を画像表示パネル41で表示するように顕微鏡用デジタルカメラ3を構成した場合には、対物変更警告LED72を削除することができるので、コスト低減や部品実装スペースの小型化に寄与できるという効果が更に得られる。更に、観察者が観察のために画像表示パネル41を凝視している場合などに、対物レンズ52の切り替えに伴うスケール表示の設定変更の警告の見落としが少なくなる。
【0111】
また、図1に示した顕微鏡用デジタルカメラ3では、操作表示部6における操作部位4に備えられている撮影画像―記号列合成器64、観察画像―記号列合成器65、及び対物変更判定部66を、CPU201とは別個に備えるようにしていた。この代わりに、これらの構成要素の機能の全部若しくは一部を、CPU201が提供するように構成することもできる。このためには、これらの機能を実現するための制御処理をCPU201の中央演算装置で行わせるための制御プログラムを作成してROMに予め格納しておき、当該中央演算装置がこの制御プログラムをROMから読み出して実行させるようにすればよい。
[実施例2]
本実施例に係る顕微鏡用デジタルカメラ3は、実施例1における検知手段である対物変更判定部66の構成を変更して、観察画像が一旦遮光状態へ変化し、その後に遮光状態から回復したことを検知するようにしたものである。
【0112】
なお、本実施例の説明では、実施例1と同一の部分についての説明を一部省略する。
図14について説明する。図14は、対物変更判定部66の構成の第三の例を示している。
【0113】
図14に示した対物変更判定部66は、レボルバ53の回転により、対物レンズ52が光路中に配置されている観察状態から遮光状態と一旦変化した後に、再び、対物レンズ52が光路中に配置されている観察状態へと変化した場合にのみ、変化判定部66gが「対物変換中」と判定する。
【0114】
フレーム用RAM66fには、カメラヘッド部2から伝送されてくるライブ画像である観察画像の画像データがCPU201によりコピー(複写)されて1フレームづつ格納される。
【0115】
変化判定部66gは、フレーム用RAM66fに格納されている画像の輝度値の平均値Naveを算出し、続いて、図12に示した変化判定部66eと同様に、Naveを所定の閾値と大小比較することで観察画像に遮光状態が発生しているかどうかを判定する。
【0116】
遮光検出保持器a68a及び遮光検出保持器b68bは、変化判定部66gによる観察画像についての判定結果を示す状態情報(「遮光中」若しくは「遮光なし」のどちらかの情報)を1フレーム毎に交互に保持しておくものである。なお、遮光検出保持器a68a及び遮光検出保持器b68bは、この状態情報を、顕微鏡用デジタルカメラ3の各構成要素への電力の供給が継続している期間(すなわち電源SW60がONとされている期間)保持していればよい。
【0117】
例えば、ライブ画像において、第Nt番フレームの観察画像についてのNave値であるNave_tに応じた状態情報を変化判定部66gが遮光検出保持器a68aに保持させたとすると、その次の第Nt+1番フレームの観察画像についてのNave値であるNave_t+1に応じた状態情報については、変化判定部66gは、もう一方の遮光検出保持器b68bに保持させる。このように、変化判定部66gは、ライブ画像を構成する各フレームの観察画像に関するNave値に応じた状態情報を、遮光検出保持器a68a及び遮光検出保持器b68bで交互に保持させる。
【0118】
次に、本実施例に係る対物変更判定部66の処理動作の流れを、図15に示したフローチャートに従って説明する。
なお、本実施例においては、観察画像の輝度値の取り得る値の範囲を0〜255とする。
【0119】
図15におけるステップS21及びステップS22の処理は、図11に示した顕微鏡用デジタルカメラ3の動作の流れにおけるステップS11の動作に応じて行われるものである。すなわち、まず、ステップS21において、操作表示部6における操作部位4の電源SW60に対する電源ONの操作が観察者により行われると、顕微鏡用デジタルカメラ3の各構成要素への電力の供給が必要に応じて開始され、これに伴い、変化判定部66gの動作も開始する。そして、続くステップS22において、変化判定部66gが、遮光検出保持器a68a及び遮光検出保持器b68bの初期化処理を行う。この初期化処理では、遮光検出保持器a68a及び遮光検出保持器b68bの両者に「遮光なし」を示す状態情報が設定される。
【0120】
このステップS22に続くステップS23からステップS30にかけての処理は、観察画像の変化を検知する処理である。CPU201は、この処理の結果として通知されるフラグ情報に基づいて、図11におけるステップS13の判定処理を実行する。
【0121】
まず、ステップS23において、CPU201がフレーム用RAM66fに格納していた画像データを読み出して、その画像データで表されている観察画像の平均輝度値Naveを算出する処理を変化判定部66gが行う。
【0122】
次に、ステップS24において、変化判定部66gは、ステップS23の処理により算出した平均輝度値Naveが所定の閾値(ここでは「10」とする)以上であるか否かを判定する処理を行う。ここで、平均輝度値Naveが当該閾値以上であると判定したとき(判定結果がYesのとき)にはステップS27に処理を進め、平均輝度値Naveが当該閾値未満であると判定したとき(判定結果がNoのとき)にはステップS25に処理を進める。
【0123】
ステップS25では、平均輝度値Naveが上記の閾値未満であったので、変化判定部66gは、「遮光中」を示す状態情報を、遮光検出保持部a68a及び遮光検出保持部b68bのうち今回の状態情報を保持させるもので保持させる処理を行う。本実施例に係る対物変更判定部66では、観察画像が一旦遮光状態へ変化しただけでは、観察画像が変化したとは判定しないので、このステップS25に続きステップS26に処理を進める。
【0124】
ステップS26では、変化判定部66gは、対物変更判定部66の判定結果として、「観察中」を示すフラグ情報を出力してCPU201に通知する処理を行い、その後はステップS23へと処理を戻し、次のフレームの観察画像について、上述した処理を繰り返す。
【0125】
ステップS27では、平均輝度値Naveが上記の閾値以上であったので、変化判定部66gは、遮光検出保持部a68a及び遮光検出保持部b68bでそれぞれ保持されている状態情報を参照し、前々回の状態情報が「遮光なし」を示しており、且つ、前回の状態情報が「遮光中」を示しているか否かを判定する処理を行う。ここで、「前々回の状態情報」とは、ステップS23においてフレーム用RAM66fから読み出したものの2フレーム前の画像データについての状態情報であり、「前回の状態情報」とは、ステップS23においてフレーム用RAM66fから読み出したものの1フレーム前の画像データについての状態情報である。
【0126】
このステップS27の判定処理において、前々回の状態情報が「遮光なし」を示しており、且つ、前回の状態情報が「遮光中」を示していると判定したとき(判定結果がYesのとき)にはS28に処理を進め、それ以外の判定を下したとき(判定結果がNoのとき)にはS30に処理を進める。
【0127】
ステップS28では、観察画像が変化したとの判定を本実施例に係る対物変更判定部66が下す条件を満たしたので、変化判定部66gが、遮光検出保持器a68a及び遮光検出保持器b68bの初期化処理(両者に「遮光なし」を示す状態情報を設定する処理)を行い、続くステップS29において、対物変更判定部66の判定結果として、「対物変更中」を示すフラグ情報を出力してCPU201に通知する処理を行う。そして、この処理を終えた後にはステップS23へと処理を戻して、次のフレームの観察画像について、上述した処理を繰り返す。
【0128】
ステップS30では、観察画像が変化したとの判定を本実施例に係る対物変更判定部66が下す条件を満たしてはいないが、ステップS24の判定処理により、平均輝度値Naveが上記の閾値以上であると判定したので、変化判定部66gは、「遮光なし」を示す状態情報を、遮光検出保持部a68a及び遮光検出保持部b68bのうち今回の状態情報を保持させるもので保持させる処理を行う。そして、この処理を終えた後にはステップS26に処理を進め、変化判定部66gが、対物変更判定部66の判定結果として「観察中」を示すフラグ情報を出力してCPU201に通知する処理を行い、その後はステップS23へと処理を戻して、次のフレームの観察画像について、上述した処理を繰り返す。
【0129】
本実施例に係る対物変更判定部66が以上の動作処理を行うことにより、観察画像が一旦遮光状態へ変化し、その後に遮光状態から回復した場合に「対物変換中」を示すフラグ情報が対物変更判定部66からCPU201へ通知され、この他の場合には、「観察中」を示すフラグ情報が対物変更判定部66からCPU201へ通知されるようになる。CPU201は、このフラグ情報に基づいて図11のステップS13の判定処理を実行する。そして、フラグ情報が「対物変換中」を示すものである場合にはステップS14の処理を続けて実行して対物変更警告LED72を点灯(例えば赤色点灯)状態とする処理を行い、フラグ情報が「観察中」を示すものである場合にはステップS15の処理を続けて実行して対物変更警告LED72を消灯状態とする処理を行う。
【0130】
従って、レボルバ53の回転操作による対物レンズ52の切り替えのように、光路が「遮光なし」→「遮光中」→「遮光なし」と変化する場合には対物変更警告LED72が点灯する。一方、例えば顕微鏡本体1の不図示の光源を消灯した場合などのように、レボルバ53の回転操作による対物レンズ52の切り替えに起因するものではない光路の遮光状態では、この遮光状態が継続するので、対物変更警告LED72は消灯状態が維持される。
【0131】
本実施例に係る顕微鏡用デジタルカメラ3は以上のように動作するので、実施例1に係るものにより得られるものと同様の効果が得られる上に、対物変更警告LED72の点灯によりなされる警告は、顕微鏡本体1のレボルバ53に対する回転操作による対物レンズ52の切り替えである可能性が極めて高いので、顕微鏡本体1の設定状態や設定変更を観察者がより正確に把握できるという効果が得られる。
[実施例3]
本実施例に係る顕微鏡用デジタルカメラ3は、実施例2における検知手段である対物変更判定部66の構成を変更して、観察画像が一旦遮光状態へ変化してから所定時間内に遮光状態から回復したことを検知するようにしたものである。
【0132】
なお、本実施例の説明では、実施例1若しくは実施例2と同一の部分についての説明を一部省略する。
図16について説明する。図16は、対物変更判定部66の構成の第四の例を示している。
【0133】
図16に示した対物変更判定部66は、レボルバ53の回転により、対物レンズ52が光路中に配置されている観察状態から遮光状態と一旦変化した後に、所定時間(本実施例においては2秒とする)内に、再び、対物レンズ52が光路中に配置されている観察状態と変化した場合にのみ、変化判定部66jが「対物変換中」と判定する。一方、対物レンズ52が観察状態から遮光状態と一旦変化したとしても、この所定時間を過ぎてから対物レンズ52が観察状態と変化した場合には、変化判定部66jは「観察中」と判定する。
【0134】
フレーム用RAM66hには、カメラヘッド部2から伝送されてくるライブ画像である観察画像の画像データがCPU201によりコピー(複写)されて1フレームづつ格納される。
【0135】
変化判定部66jは、フレーム用RAM66hに格納されている画像の輝度値の平均値Naveを算出し、続いて、図12に示した変化判定部66eと同様に、Naveを所定の閾値と大小比較することで観察画像に遮光状態が発生しているかどうかを判定する。
【0136】
遮光なし保持器68cは、変化判定部66gによる観察画像についての判定結果を示す状態情報が「遮光なし」を示している場合に、この状態情報を保持しておくものである。また、遮光中保持器68dは、変化判定部66gによる観察画像についての判定結果を示す状態情報が「遮光中」を示している場合に、この状態情報を保持しておくものである。なお、遮光なし保持器68c及び遮光中保持器68dは、この状態情報を、顕微鏡用デジタルカメラ3の各構成要素への電力の供給が継続している期間(すなわち電源SW60がONとされている期間)保持していればよい。
【0137】
遮光時間計測器69は、遮光中保持器68dが「遮光中」の状態情報の保持を開始してから所定時間(本実施例においては2秒)後に、その遮光中保持器68dを制御して保持されている状態情報をクリアする処理を行うものである。
【0138】
ここで図17につい説明する。図17は遮光時間計測器69の構成を示している。
計測用クロック69aは、計時を行うものである。
カウンタ69bは、計測用クロック69aによる計時結果を利用して、スプリットタイム(ある時点からある時点までの経過時間)を計測するものである。
【0139】
計測判定部69cは、カウンタ69bの初期化処理と、遮光中保持器68dで保持されている「遮光中」の状態情報をクリアさせる制御処理とを行うものである。
「遮光中」を示す状態情報を遮光中保持器68dで保持させる処理が変化判定部66jで行われると、計測判定部69cは、このときの時刻を計測用クロック69aからカウンタ69dに転送させる。カウンタ69bは、このときの時刻tを記録すると共に、計測用クロック69aの計時の監視を開始する。そして、時刻tから所定時間(本実施例においては2秒)後が計測用クロック69aで計時されたときに、カウンタ69bは、その旨を計測判定部69cに通知する。計測判定部69cは、この通知に応じ、遮光中保持器68dで保持されている「遮光中」の状態情報をクリアさせる制御処理を実行する。
【0140】
なお、カウンタ69dが時刻tを記録してから所定時間が経過するまでの間に、「遮光中」を示す状態情報を遮光中保持器68dで保持させる処理が変化判定部66jで再び行われても、カウンタ69dに時刻tの上書きが行われないようにする。すなわち、カウンタ69dは時刻tを一度記録すると、それから所定時間が経過するまでは、時刻tの記録を禁止するように構成しておく。従って、フレーム用RAM66hに次々と書き込まれる観察画像(例えば、1秒間に15〜30フレーム)に対し、変化判定部66jが「遮光中」の判定結果を下しても、遮光中保持器68dが「遮光中」の状態情報を保持しているのは、時刻tから所定時間(2秒)内に限定される。
【0141】
次に、本実施例に係る対物変更判定部66の処理動作の流れを、図18に示したフローチャートに従って説明する。
なお、本実施例においては、観察画像の輝度値の取り得る値の範囲を0〜255とする。
【0142】
図18におけるステップS31及びステップS32の処理は、図11に示した顕微鏡用デジタルカメラ3の動作の流れにおけるステップS11の動作に応じて行われるものである。すなわち、まず、ステップS31において、操作表示部6における操作部位4の電源SW60に対する電源ONの操作が観察者により行われると、顕微鏡用デジタルカメラ3の各構成要素への電力の供給が必要に応じて開始され、これに伴い、変化判定部66jの動作も開始する。そして、続くステップS32において、変化判定部66jが、遮光なし保持器68c及び遮光中保持器68dの初期化処理を行う。この初期化処理では、遮光なし保持器68c及び遮光中保持器68dの保持内容をクリアして状態情報が保持されていない状態とする。
【0143】
このステップS32に続くステップS33からステップS40にかけての処理は、観察画像の変化を検知する処理である。CPU201は、この処理の結果として通知されるフラグ情報に基づいて、図11におけるステップS13の判定処理を実行する。
【0144】
まず、ステップS33において、CPU201がフレーム用RAM66hに格納していた画像データを読み出して、その画像データで表されている観察画像の平均輝度値Naveを算出する処理を変化判定部66jが行う。
【0145】
次に、ステップS34において、変化判定部66jは、ステップS33の処理により算出した平均輝度値Naveが所定の閾値(ここでは「10」とする)以上であるか否かを判定する処理を行う。ここで、平均輝度値Naveが当該閾値以上であると判定したとき(判定結果がYesのとき)にはステップS37に処理を進め、平均輝度値Naveが当該閾値未満であると判定したとき(判定結果がNoのとき)にはステップS35に処理を進める。
【0146】
ステップS35では、平均輝度値Naveが上記の閾値未満であったので、変化判定部66jは、「遮光中」を示す状態情報を遮光中保持器68dで保持させる処理を行う。本実施例に係る対物変更判定部66では、観察画像が一旦遮光状態へ変化しただけでは、観察画像が変化したとは判定しないので、このステップS35に続きステップS36に処理を進める。
【0147】
ステップS36では、変化判定部66jは、対物変更判定部66の判定結果として、「観察中」を示すフラグ情報を出力してCPU201に通知する処理を行い、その後はステップS33へと処理を戻して、次のフレームの観察画像について、上述した処理を繰り返す。
【0148】
ステップS37では、平均輝度値Naveが上記の閾値以上であったので、変化判定部66jは、遮光なし保持器68c及び遮光中保持器68dの両者でそれぞれ状態情報が保持されているか否か判定する処理を行う。ここで、変化判定部66jは、遮光なし保持器68cに「遮光なし」を示す状態情報が保持されており、且つ、遮光中保持器68dに「遮光中」を示す状態情報が保持されている(すなわち、遮光中保持器68dが状態情報を保持してから所定時間(例えば2秒)以内である)と判定したとき(判定結果がYesのとき)にはS38に処理を進め、それ以外の判定を下したとき(判定結果がNoのとき)にはS40に処理を進める。
【0149】
ステップS38では、観察画像が変化したとの判定を本実施例に係る対物変更判定部66が下す条件を満たしたので、変化判定部66jが、遮光なし保持器68cの初期化処理(保持内容をクリアして状態情報が保持されていない状態とする処理)を行い、続くステップS39において、対物変更判定部66の判定結果として、「対物変更中」を示すフラグ情報を出力してCPU201に通知する処理を行う。そして、この処理を終えた後にはステップS33へと処理を戻して、次のフレームの観察画像について、上述した処理を繰り返す。
【0150】
ステップS40では、観察画像が変化したとの判定を本実施例に係る対物変更判定部66が下す条件を満たしてはいないが、ステップS34の判定処理により、平均輝度値Naveが上記の閾値以上であると判定したので、変化判定部66jは、「遮光なし」を示す状態情報を遮光なし保持器68cで保持させる処理を行う。そして、この処理を終えた後にはステップS36に処理を進め、変化判定部66jが、対物変更判定部66の判定結果として「観察中」を示すフラグ情報を出力してCPU201に通知する処理を行い、その後はステップS33へと処理を戻して上述した処理を繰り返す。
【0151】
本実施例に係る対物変更判定部66が以上の動作処理を行うことにより、観察画像が一旦遮光状態へ変化し、その後に遮光状態から回復した場合に「対物変換中」を示すフラグ情報が対物変更判定部66からCPU201へ通知され、この他の場合には、「観察中」を示すフラグ情報が対物変更判定部66からCPU201へ通知されるようになる。CPU201は、このフラグ情報に基づいて図11のステップS13の判定処理を実行する。そして、フラグ情報が「対物変換中」を示すものである場合にはステップS14の処理を続けて実行して対物変更警告LED72を点灯(例えば赤色点灯)状態とする処理を行い、フラグ情報が「観察中」を示すものである場合にはステップS15の処理を続けて実行して対物変更警告LED72を消灯状態とする処理を行う。
【0152】
従って、レボルバ53の回転操作による対物レンズ52の切り替えのように、上記の所定時間よりも短い時間(通常は1秒程度以下)で、光路が「遮光なし」→「遮光中」→「遮光なし」と変化する場合には対物変更警告LED72が点灯する。一方、レボルバ53の回転操作による対物レンズ52の切り替えに起因するものではない光路の長時間(上記の所定時間を越える時間)の遮光状態では、この遮光状態が継続するので、対物変更警告LED72は消灯状態が維持される。このような動作により、例えば、顕微鏡本体1に図示しないフィルタ交換機構や遮光機構などがある場合に、これらを操作することで発生する光路の長時間の遮光に対し、対物レンズ52の切り替えと観察者が誤判断してしまう可能性を低減することができる。
【0153】
本実施例に係る顕微鏡用デジタルカメラ3は以上のように動作するので、実施例1及び実施例2の各々に係るものにより得られるものと同様の効果が得られる上に、対物レンズ52の切り替えの判断精度が向上するので、観察者の操作性がより向上するという効果が得られる。
[実施例4]
これまでに説明した実施例1から3においては、観察画像の変化の検知結果を示す報知情報を出力する報知手段として、対物変更警告LED72を使用していた。これに対し、本実施例に係る顕微鏡用デジタルカメラ3では、対物変更警告LED72を削除し、その代わりに、CPU201(の有する不図示の不揮発性メモリ)に予め記憶させておいた、観察画像の表示倍率(すなわち顕微鏡システム全体の総合倍率)の一覧を、操作表示部6の表示部位5で表示させることを以って、観察画像の変化が検知されたことを示す。
【0154】
なお、ここで、観察状態を変更した後の観察画像の表示倍率を、表示されている表示倍率の一覧から観察者が選択すると、本実施例に係る顕微鏡用デジタルカメラ3は、選択された表示倍率に基づいたスケール表示(スケール目盛り値及びスケール線)を、観察画像に上書き合成して表示若しくは記録する。
【0155】
なお、本実施例の説明では、実施例1から3のいずれかと同一の部分についての説明を一部省略する。
まず図19について説明する。図19は、観察画像の表示倍率の一覧の第一の表示例を示している。
【0156】
図19の表示例では、「ON6: 100倍」の欄を網掛け表示としているが、これは、この表示倍率が観察者により選択されている状態を表している。この一覧の表示がされているときに、操作部位4の左選択SW61若しくは右選択SW62に対する押下操作を観察者が行うと、この表示倍率の選択が他のものに切り替わる。
【0157】
つまり、観察者がレボルバ53の回転操作により対物レンズ52の切り替えを行った場合には、図19に示したような表示倍率の一覧が、表示部位5の画像表示パネル41に表示中の観察画像に重ねられて表示される。ここで、観察者が、切り替え後の対物レンズ52に対応する表示倍率をこの一覧から選択すれば、観察画像に上書きされるスケール表示が、観察画像の表示倍率に対応した適切なものとなる。
【0158】
ここで図20について説明する。図20は、本実施例における顕微鏡用デジタルカメラ3の処理動作の流れの一部を、フローチャートで示したものである。この処理動作は、図11に示したフローチャートにおけるS14の処理の代わりに行われる。
【0159】
図11のステップS13の判定処理の結果がYesとなり、対物変更判定部66から通知されるフラグ情報が「対物変更中」を示すものであると判定されたときには、ステップS41において、CPU201が、不図示の不揮発性メモリに記憶されているスケール名毎の表示倍率(すなわち、前述した顕微鏡システムの総合倍率N)を読み出し、本実施例における報知手段である表示部位5の画像表示パネル41に、その一覧を表示させる処理を行う。
【0160】
次に、ステップS42では、CPU201が、現在設定中の表示倍率(すなわち、観察画像に現在上書きされているスケール表示に対応する表示倍率)を指し示す表示(図20の例では網掛け表示)を、表示中の表示倍率の一覧に表示させる処理を行う。
【0161】
ステップS43では、操作部位4の左選択SW61若しくは右選択SW62に対する押下操作が行われたか否かを判定する処理をCPU201が行う。ここで、当該押下操作が行われたと判定したとき(判定結果がYesのとき)には、表示倍率の一覧からの観察者による選択指示を左選択SW61若しくは右選択SW62が取得したものとみなし、ステップS44に処理を進める。一方、当該押下操作が行われていないと判定したとき(判定結果がNoのとき)には、このステップS43の判定処理を繰り返す。
【0162】
ステップS44では、現在設定中の表示倍率を指し示す表示を、左選択SW61若しくは右選択SW62に対する押下操作の状況に応じ、表示中の表示倍率の一覧内で移動させる処理をCPU201が行う。
【0163】
ステップS45では、ステップS44の処理による移動後の表示が指し示している表示倍率の値を取得する処理をCPU201が行う。
ステップS46では、ステップS45の処理で取得した表示倍率の値に基づいて、適切な単位長さのスケール目盛り値及びスケール線を前述したようにして算出する処理をCPU201が行い、続くステップS47では、撮影画像―記号列合成器64及び観察画像―記号列合成器65を制御して、この算出結果に従ったスケール表示を観察画像に上書き合成させる制御処理をCPU201が行う。その後は、図11のステップS12に処理を進め。
【0164】
以上の処理動作により、表示部位5に表示中の観察画像にそれまで上書き合成されていたスケール表示が、観察者の選択指示に係る表示倍率に対応したスケール表示に変更される。
【0165】
本実施例に係る顕微鏡用デジタルカメラ3は以上のように動作するので、実施例1から3の各々に係るものにより得られるものと同様の効果が得られる上に、顕微鏡本体1のレボルバ53の回転操作による対物レンズ52の切り替え時に、観察画像の表示倍率の一覧が操作表示部6の表示部位5に表示されるので、観察画像に上書きされるスケール表示を適切なものに変更するために必要となる、顕微鏡用デジタルカメラ3側への表示倍率の設定作業を、簡単に行えるようになるという効果が得られる。
【0166】
なお、以上までに説明した本実施例においては、CPU201の不揮発性メモリに予め記憶させておいた、レボルバ53に装着されている対物レンズ52に応じた表示倍率のみの一覧を表示部位5で表示させるようにしていた。この代わりに、図1の顕微鏡システムを使用した場合に取り得る全ての表示倍率の一覧を表示部位5で表示させるようにしてもよい。
【0167】
図21は、観察画像の表示倍率の一覧の第二の表示例を示しており、顕微鏡システムを使用した場合に取り得る全ての表示倍率の一覧の表示例を示している。
この表示例の一覧では、ライブ画像に重畳させて、「1倍」、「2倍」、「2.5倍」、…、「200倍」まで、表示倍率が表示されている。また、この表示例では、「100倍」の表示部分が網掛け表示になっているが、この表示倍率が観察者により選択されている状態を表している。この一覧の表示がされているときに、操作部位4の左選択SW61若しくは右選択SW62に対する押下操作を観察者が行うと、この表示倍率の選択が他のものに切り替わる。
【0168】
つまり、観察者がレボルバ53の回転操作により対物レンズ52の切り替えを行った場合には、図21に示したような表示倍率の一覧が表示部位5の画像表示パネル41に表示される。ここで、観察者が、切り替え後の対物レンズ52に対応する表示倍率をこの一覧から選択すれば、観察画像に上書きされるスケール表示が、観察画像の表示倍率に対応した適切なものとなる。
【0169】
このように、顕微鏡システムを使用した場合に取り得る全ての表示倍率の一覧を表示部位5で表示させるようにすることで、図10に示したような設定画面でのスケール表示の詳細設定が不要となるので、顕微鏡用デジタルカメラ3の操作が簡略化され、操作性が向上する。
【0170】
ここで図22について説明する。図22は、スケール表示の設定画面例を示しており、図21に示した表示倍率の一覧表示を行う場合における設定画面例である。
この図22の設定画面が表示されているときに、操作部位4に対し所定の操作を観察者が行うと、スケールON小項目MENU91cとスケールOFF小項目MENU92とのうちのどちらか一方が選択される。なお、図22の画面例は、スケールON小項目MENU91cが選択されていることを、破線の長方形により表している。
【0171】
スケールON小項目MENU91cが選択されている場合には、図9に示したように、ライブ画像上にスケールが表示可能となる。ここで、スケールOFF小項目MENU92が選択されている場合には、スケール表示の画像への書き込みは行われない。
【0172】
スケールON小項目MENU91cが選択されていることで、スケール表示が上書き表示されているライブ画像が画像表示パネル41で表示されているときに、対物変更判定部66が「対物変更中」と判定した場合は、観察画像の変化が検知されたことを報知するために、図21に示した表示倍率の一覧が画像表示パネル41に表示される。このとき、観察者は、操作部位4の左選択SW61若しくは右選択SW62に対し押下操作を行って、現在の顕微鏡本体1の観察状態において適切な表示倍率を選択する。すると、表示倍率の一覧表示が消えると共に、観察画像に上書きされるスケール表示が、観察画像の表示倍率に対応した適切なものとなる。
【0173】
なお、図22の設定画面においてスケールON小項目MENU91cが選択されたときに、直ちに図21に示した表示倍率の一覧を画像表示パネル41に表示して、表示倍率の選択を観察者に促すようにしてもよい。
[実施例5]
本実施例に係る顕微鏡用デジタルカメラ3は、実施例4において観察画像の変化が検知されたときに表示される表示倍率の一覧を、操作部位4の左選択SW61若しくは右選択SW62に対する押下操作により取得した選択指示に係る表示倍率が特定の並び順となるように並び替えて表示する。
【0174】
なお、本実施例の説明では、実施例1から4のいずれかと同一の部分についての説明を一部省略する。
まず図23について説明する。図23は、観察画像の表示倍率の一覧の第三の表示例を示している。
【0175】
図23の表示例では、操作表示部6の表示部位5に一覧表示されている表示倍率のうち、観察者により選択されていることを示す網掛け表示されている欄(「ON6: 100倍」の欄)が、一覧表示の最上位(並び順の先頭)に配置されているという特徴を有している。つまり、本実施例に係る顕微鏡用デジタルカメラ3では、観察者が操作部位4の左選択SW61若しくは右選択SW62に対し押下操作を行って「ON6: 100倍」を選択した場合には、一覧表示における各表示倍率の表示欄の配置順序が、図23に示すように、最上位から順に、「ON6: 100倍」→「ON1: 2倍」→「ON2: 4倍」→「ON3: 10倍」→…の順に並べられて表示される。
【0176】
ここで、例えば、観察者が操作部位4の左選択SW61若しくは右選択SW62に対し押下操作を行って「ON3: 10倍」を選択した場合には、一覧表示における各表示倍率の表示欄の配置順序が、先頭から順に、「ON3: 10倍」→「ON1: 2倍」→「ON2: 4倍」→「ON4: 20倍」→…の順に並べられて表示される。
【0177】
このように、観察者の指示に従って選択された表示倍率が特定の並び順(ここでは先頭)となるように一覧表示の表示順をソートして表示するようにすると、表示倍率の一覧から観察者がその一覧から表示倍率を選択する作業のための操作性が向上する。
【0178】
ここで図24について説明する。図24は、本実施例に係る顕微鏡用デジタルカメラ3の処理動作の流れの一部を、フローチャートで示したものである。この処理動作は、図11に示したフローチャートにおけるS14の処理の代わりに行われる。
【0179】
図11のステップS13の判定処理の結果がYesとなり、対物変更判定部66から通知されるフラグ情報が「対物変更中」を示すものであると判定されたときには、ステップS51において、CPU201が、不図示の不揮発性メモリに記憶されているスケール名毎の表示倍率(すなわち、前述した顕微鏡システムの総合倍率N)を読み出し、そのうちで、現在設定中の表示倍率(すなわち、観察画像に現在上書きされているスケール表示に対応する表示倍率)とそのスケール名とを表示倍率の一覧の最上位(並び順の先頭)に配置して、本実施例における報知手段である表示部位5の画像表示パネル41に表示(図24の例では網掛け表示)させる処理を行う。
【0180】
次に、ステップS52において、CPU201が、不図示の不揮発性メモリから読み出したスケール名毎の表示倍率のうち、ステップS51の処理で表示させたものを除く他の表示倍率の一覧を、ステップS51の処理による表示倍率の表示の下部に配置して、画像表示パネル41に表示させる処理を行う。
【0181】
ステップS53では、操作部位4の左選択SW61若しくは右選択SW62に対する押下操作が行われたか否かを判定する処理をCPU201が行う。ここで、当該押下操作が行われたと判定したとき(判定結果がYesのとき)には、表示倍率の一覧からの観察者による選択指示を左選択SW61若しくは右選択SW62が取得したものとみなし、ステップS54に処理を進める。一方、当該押下操作が行われていないと判定したとき(判定結果がNoのとき)には、このステップS53の判定処理を繰り返す。
【0182】
ステップS54では、表示倍率の一覧の最上位に配置されている表示倍率を、左選択SW61若しくは右選択SW62に対する押下操作の状況に応じ、不図示の不揮発性メモリから読み出した他の倍率のいずれかに変更して画像表示パネル41に表示させる処理をCPU201が行う。
【0183】
ステップS55では、CPU201が、不図示の不揮発性メモリから読み出したスケール名毎の表示倍率のうち、ステップS54の処理により表示させたものを除く他の表示倍率の一覧を、ステップS54の処理による表示倍率の表示の下部に配置して、画像表示パネル41に表示させる処理を行う。
【0184】
ステップS56では、ステップS54及びステップS55の処理による変更後の一覧表示の最上位に配置されている表示倍率の値を取得する処理をCPU201が行う。
ステップS57では、ステップS56の処理で取得した表示倍率の値に基づいて、適切な単位長さのスケール目盛り値及びスケール線を前述したようにして算出する処理をCPU201が行い、続くステップS58では、撮影画像―記号列合成器64及び観察画像―記号列合成器65を制御して、この算出結果に従ったスケール表示を観察画像に上書き合成させる制御処理をCPU201が行う。その後は、図11のステップS12に処理を進める。
【0185】
以上の処理動作により、観察画像の変化が検知されたときに表示される表示倍率の一覧が、観察者の選択指示に係る表示倍率が特定の並び順(先頭)となるように並び替えられて表示される。
【0186】
本実施例に係る顕微鏡用デジタルカメラ3は以上のように動作するので、実施例1から4の各々に係るものにより得られるものと同様の効果が得られる上に、観察者の指示に従って選択された表示倍率が特定の並び順となるように一覧表示の表示順がソートされて表示されるので、表示倍率の一覧から観察者がその一覧から表示倍率を選択する作業のための操作性が向上する。
【0187】
なお、以上までに説明した本実施例においては、観察画像の変化が検知されたときに表示される表示倍率の一覧を、観察者の選択指示に係る表示倍率が先頭となるように並び替えて表示するようにしていた。この代わりに、観察者の選択指示に係る表示倍率を並び順のほほ真ん中となるように並び替えて表示するようにしてもよい。
【0188】
図25について説明する。図25は、観察画像の表示倍率の一覧の第四の表示例を示しており、選択指示に係る表示倍率が並び順のほぼ真ん中となるように並び替えた表示例である。
【0189】
なお、図25の表示例では、一覧表示の並び順が、最上位から「ON4: 20倍」→「ON5: 40倍」→「ON6: 100倍」→「ON1: 2倍」→「ON2: 4倍」→「ON3: 10倍」の順に並べられて表示される。
【0190】
前述したように、表示倍率は、顕微鏡本体1の観察倍率、特に、対物レンズ52の倍率に基づいて決定される。顕微鏡本体1において、対物レンズ52は円形のレボルバ53が有する6個の装着穴に装着されている。
【0191】
ここで、レボルバ53において、スケール名「ON1」の表示倍率の基礎となる対物レンズ52の隣の位置に、スケール名「ON2」の表示倍率の基礎となる対物レンズ52を装着し、以下同様に、スケール名「ON3」から「ON6」の各々の表示倍率の基礎となる対物レンズ52を順に装着している状態を想定する。つまり、この想定の下では、スケール名「ON6」についての対物レンズ52の隣の位置には、スケール名「ON1」についての対物レンズ52が装着されており、スケール名「ON6」についての対物レンズ52の逆隣の位置には、スケール名「ON5」についての対物レンズ52が装着されている。
【0192】
図25に例示した表示倍率の一覧では、観察者により選択されている「ON6」についての表示倍率の上隣に「ON5」についての表示倍率が配置されており、「ON6」についての表示倍率の下隣に「ON1」についての表示倍率が配置されている。ここで、操作部位4の左選択SW61若しくは右選択SW62に対する1回の押下操作により、図25の一覧表示において、現在選択中の表示倍率から、その上下どちらかに隣接しているものへと表示倍率の選択が変更される。従って、レボルバ53の回転操作量に応じ、操作量の少ない対物レンズ52の切り替え操作であれば、同様に少ない操作量で、表示倍率切り替えのための選択が可能となる。
【0193】
例えば、レボルバ53の回転操作で対物レンズ52を隣接して装着されているものへとひとつ移動した場合を考える。ここで、当該回転操作前の光路上の対物レンズ52がスケール名「ON6」についてのものであったとすると、当該回転操作後の光路上の対物レンズ52はスケール名「ON1」若しくは「ON5」どちらかについてのものとなる。従って、この場合に図25に例示した表示倍率の一覧が表示されれば、現在選択中の「ON6」の表示倍率から、最も少ない操作量で「ON1」若しくは「ON5」どちらかの表示倍率を選択することができる。
【0194】
また、図25に示したように、スケール名「ON1」から「ON6」についての全ての表示倍率の一覧を表示する代わりに、図26に示す観察画像の表示倍率の一覧の第五の表示例のように、現在選択中の表示倍率を中心に配置し、レボルバ53において、その選択中の表示倍率についての対物レンズ52の両側に隣接している対物レンズ52についての表示倍率のみを、その上下に配置した表示倍率の一覧を表示するようにしてもよい。
【0195】
図26に例示した表示倍率の一覧では、観察者により選択されている「ON6」についての表示倍率の上隣に「ON5」についての表示倍率が配置されており、「ON6」についての表示倍率の下隣に「ON1」についての表示倍率が配置されている。つまり、図26の表示例では、一覧表示の並び順が、最上位から「ON5: 40倍」→「ON6: 100倍」→「ON1: 2倍」の順に並べられている。
【0196】
ここで、操作部位4の左選択SW61に対する1回の押下操作により、一覧表示における上方の表示倍率の選択が指示されると、一覧表示が、図26の右側に示されているもの、すなわち、最上位から順に「ON4: 40倍」→「ON5: 40倍」→「ON6: 100倍」の並び順のものに変更される。
【0197】
つまり、図26の表示例では、レボルバ53の回転操作に応じて選択する直近の表示倍率のみが一覧表示されるので、表示倍率の誤選択を減らすことができる。また、一覧表示される表示倍率の数が少なくなる結果、画像表示パネル41上での一覧表示のサイズが小さくなるので、一覧表示が見やすくなると共に、一覧表示の背景画となってしまっているライブ画像(観察画像)の視認性が向上する。
【0198】
また、本実施例に係る顕微鏡用デジタルカメラ3において、表示倍率の一覧の表示がされてから所定時間が経過しても、操作部位4の左選択SW61若しくは右選択SW62に対する押下操作による選択指示を取得しない場合には、その表示倍率の一覧の表示を中止するようにしてもよい。
【0199】
ここで図27について説明する。図27は、図24に示したフローチャートの変形例を示しており、上記の場合に、表示倍率の一覧の表示を中止させるための顕微鏡用デジタルカメラ3の処理動作を示したものである。
【0200】
図27は、図24に示したフローチャートにおけるステップS52とステップS53との間にステップS52−1の処理が挿入され、更に、ステップS53の判定処理の処理結果がNoの場合に、ステップS53−1及びステップS53−2の処理が行われることを示している。
【0201】
図24のステップS52の処理に続き、ステップS52−1では、CPU201が、自身の備える中央演算装置が有しているタイマ機能を起動して計時を開始させる処理を行う。
【0202】
ステップS53では、操作部位4の左選択SW61若しくは右選択SW62に対する押下操作が行われたか否かを判定する処理をCPU201が行う。ここで、当該押下操作が行われたと判定したとき(判定結果がYesのとき)には、表示倍率の一覧からの観察者による選択指示を左選択SW61若しくは右選択SW62が取得したものとみなし、ステップS54に処理を進める。一方、当該押下操作が行われていないと判定したとき(判定結果がNoのとき)には、ステップS53−1に処理を進める。
【0203】
ステップS53−1では、ステップS52−1で起動させたタイマ機能による計時が所定時間(例えば5秒)に達したか否かを判定する処理をCPU201が行う。ここで、当該所定時間を計時したと判定したとき(判定結果がYesのとき)には、ステップS53−2に処理を進める。一方、当該所定時間を未だ計時していないと判定したとき(判定結果がNoのとき)には、ステップS53に処理を戻して前述した処理を再度行う。
【0204】
ステップS53−2では、図24のステップS51及びステップS52の処理により本実施例における報知手段である表示部位5の画像表示パネル41に表示させた表示倍率の一覧の表示を中止させる処理をCPU201が行い、その後は図11のステップS12に処理を進める。
【0205】
以上の処理動作により、表示倍率の一覧の表示が本実施例における報知手段である表示部位5の画像表示パネル41で開始されてから所定時間(例えば5秒)が経過しても、操作部位4の左選択SW61若しくは右選択SW62に対する押下操作による選択指示が取得されない場合には、その表示倍率の一覧の表示が中止されて自動的に消去される。従って、表示倍率の選択の変更が不要な場合などには、観察者が特段の操作を行わなくても消表示倍率の一覧表示が消去されるので、操作性が更に向上する。
[実施例6]
本実施例に係る顕微鏡用デジタルカメラ3は、実施例4において観察画像の変化が検知されて表示倍率の一覧が表示されても、操作部位4の左選択SW61若しくは右選択SW62に対する押下操作による表示倍率の選択指示を取得しない場合には、その旨を報知して警告するというものである。
【0206】
なお、本実施例の説明では、実施例1から5のいずれかと同一の部分についての説明を一部省略する。
まず図28について説明する。同図は、表示倍率の選択指示を取得していない旨を報知しているライブ画像の例を示している。図28に説明されているように、このライブ画像は、合成されているスケール表示(スケール目盛り値及びスケール線)が赤色で表示されている点において、他のライブ画像(図8や図13など)と異なっている。図28の画像例では、この赤色表示により、表示倍率の選択指示を取得していない旨を報知している(なお、他のライブ画像におけるスケール表示は白色とする)。
【0207】
ここで図29について説明する。図29は、図27に示したフローチャートの変形例を示しており、表示倍率の一覧の表示を開始してから所定時間が経過しても観察者による選択指示を左選択SW61及び右選択SW62のどちらもが取得しなかったことによって表示倍率の一覧の表示を中止した場合に、表示倍率の選択の指示を取得していない旨を報知させるための顕微鏡用デジタルカメラ3の処理動作を示したものである。
【0208】
図29は、図27に示したフローチャートにおけるステップS53−2と図11に示したフローチャートにおけるステップS12との間にステップS61の処理が挿入されることを示している。
【0209】
前述したように、図27のステップS53−2の処理により、表示倍率の一覧の表示が表示部位5の画像表示パネル41で開始されてから所定時間(例えば5秒)が経過しても、操作部位4の左選択SW61若しくは右選択SW62に対する押下操作による選択指示が取得されない場合に、その表示倍率の一覧の表示が中止されて自動的に消去される。この処理に続き、図29のステップS61では、画像表示パネル41に表示されている観察画像に合成されているスケール表示の表示色を白色から赤色に変更して、当該選択指示を取得していない旨を報知して観察者へ警告する処理をCPU201が行い、その後は図11のステップS12に処理を進める。
【0210】
以上の処理動作により、表示倍率の一覧の表示を開始してから所定時間が経過しても選択指示を左選択SW61及び右選択SW62のどちらもが取得しなかったことによって表示倍率の一覧の表示を中止した場合に、表示倍率の選択の指示を取得していない旨の報知が行われる。これにより、顕微鏡本体1の光路上に配置されている対物レンズ52と顕微鏡用デジタルカメラ3におけるスケール表示の設定状態とが異なっている可能性を観察者に警告することができる。従って、観察者の誤操作や設定忘れを防止することができる。
[実施例7]
前述した実施例6では、表示倍率の選択の指示を取得していない旨の報知を、観察画像の変化が検知されて表示倍率の一覧の表示を開始してから所定時間が経過しても選択指示を左選択SW61及び右選択SW62のどちらもが取得しなかったことによって表示倍率の一覧の表示を中止した場合に行うようにしていた。一方、本実施例に係る顕微鏡用デジタルカメラ3は、観察画像の変化が検知されて表示倍率の一覧の表示を開始してから左選択SW61及び右選択SW62のどちらもが選択指示を取得することなくEXPOSE SW31が押下操作されて顕微鏡用デジタルカメラ3で撮影動作を実行させる指示を取得した場合には、撮影動作の実行を禁止すると共に、表示倍率の選択の指示を取得していない旨の報知を行って観察者へ警告するというものである。
【0211】
なお、本実施例の説明では、実施例1から6のいずれかと同一の部分についての説明を一部省略する。
まず図30について説明する。同図は、EXPOSE SW31の押下操作の取得時に表示倍率の選択指示を取得していない旨を報知しているライブ画像の例を示している。
【0212】
前述したように、図28に例示したライブ画像では、スケール表示が赤色で表示されており、表示倍率の選択の指示を取得していない旨の報知が行われている。このときに、観察者がEXPOSE SW31の押下操作を行って撮影動作の実行指示が行われても、当該撮像動作は禁止されてメモリ装置34での観察画像の記録が行われることはなく、その一方で、図30に示すように、「スケール表示の設定を確認してください。」なる文字列が、ライブ画像を表示中の表示部位5に上書き表示される。これにより、表示倍率の一覧の表示を開始してから後に左選択SW61及び右選択SW62のどちらもが表示倍率の選択の指示を取得することなくEXPOSE SW31により観察画像の撮影指示を取得した旨の報知が行われて、観察者への警告がなされる。
【0213】
ここで図31について説明する。図31は、本実施例に係る顕微鏡用デジタルカメラ3の撮影処理動作の流れをフローチャートで示したものである。
図31に示した処理は、操作表示部6における操作部位4のモードSW32が「撮影モード」に設定されると開始される。
【0214】
まず、ステップS71では、EXPOSE SW31に対する押下操作が行われたか否かを判定する処理をCPU201が行う。ここで、当該押下操作が行われたと判定したとき(判定結果がYesのとき)には、観察画像の撮影指示が取得されたとみなし、ステップS72に処理を進める。一方、当該押下操作が行われていないと判定したとき(判定結果がNoのとき)には、このステップS71の判定処理を繰り返す。
【0215】
次に、ステップS72では、表示部位5の画像表示パネル41で現在表示中の観察画像(ライブ画像)に合成されているスケール表示の表示色が赤色であるか否かを判定する処理をCPU201が行う。ここで、スケール表示の表示色が赤色であると判定したとき(判定結果がYesのとき)には、ステップS77に処理を進める。一方、スケール表示の表示色が赤色ではない(白色である)と判定したとき(判定結果がNoのとき)には、ステップS73に処理を進める。
【0216】
ステップS73からステップS76にかけての処理は観察画像の記録動作処理を示している。
すなわち、まず、ステップS73においてシャッタ25を制御して、適正な露光時間の開閉をさせる処理をCPU201が行う。
【0217】
次に、ステップS74では、このときに表示用RAM200に記憶されている、シャッタ25の開閉に応じて取得された観察画像の画像データを読み出して取得する処理をCPU201が行う。そして、続くステップS75において、撮影画像―記号列合成器64を制御し、スケール表示の書き込みの設定に応じ、書き込みを行う設定がされている場合には、観察画像にスケール表示を合成する処理をCPU201が行う。
【0218】
ステップS75では、メモリ装置34を制御して、観察画像の画像データをリムーバブルメディア35へ記録させる処理をCPU201が行い、その後はステップS71へと処理を戻して上述した処理を繰り返す。
【0219】
一方、ステップS77及びステップS78の処理は、ステップS72の判定処理により、スケール表示の表示色が赤色であると判定したとき(判定結果がYesのとき)、すなわち、表示倍率の一覧の表示を開始してから後に操作部位4の左選択SW61若しくは右選択SW62が選択指示の操作を取得することなくEXPOSE SW31が観察画像の撮影指示を取得したとみなされたときに行われる処理である。
【0220】
まず、ステップS77では、CPU201は、観察画像の記録動作処理の実行を禁止する処理を行う。そして、続くステップS78において、図30に示した文字列「スケール表示の設定を確認してください。」を表示部位5の画像表示パネル41に表示させる処理をCPU201が行う。その後はステップS71へと処理を戻して上述した処理を繰り返す。
【0221】
以上の撮影処理動作が本実施例に係る顕微鏡用デジタルカメラ3で行われることにより、表示倍率の一覧の表示を開始してから後に左選択SW61及び右選択SW62のどちらもが表示倍率の選択の指示を取得することなくEXPOSE SW31により観察画像の撮影指示を取得した旨の報知が行われる。この結果、顕微鏡本体1の光路上に配置されている対物レンズ52と顕微鏡用デジタルカメラ3におけるスケール表示の設定状態とが異なっている可能性が観察者に警告される。従って、間違った設定での観察画像の撮影が未然に防止されて、操作ミスが低減し、操作性も向上する。なお、図30に示した警告表示を行っても、観察画像の撮影は可能とするようにしてもよい。
[実施例8]
本実施例に係る顕微鏡用デジタルカメラ3は、検知手段である対物変更判定部66の構成を変更して、観察画像の遮光状態への変化を検知すると共に、観察画像が観察状態から遮光状態へと変化するときの当該観察画像の変化の遷移の様子に基づいてレボルバ53の回転操作方向を認識する。そして、このようして観察画像の変化が検知されたときには、前述した実施例4のように、観察画像の表示倍率の一覧を操作表示部6の表示部位5で表示させることを以って、観察画像の変化が検知されたことを示す。
【0222】
なお、本実施例の説明では、実施例1から7のいずれかと同一の部分についての説明を一部省略する。
まず図32について説明する。図32は、対物変更判定部66の構成の第五の例を示している。
【0223】
図32に示した対物変更判定部66は、観察画像の遮光状態への変化を検知する検知手段として機能すると共に、この観察画像の変化と、対物レンズ52を切り替えることでこの変化を発生させたレボルバ53の回転における回転方向との関係を、この観察画像に基づいて認識する回転方向認識手段としても機能する。この対物変更判定部66は、フレーム3分割器70、左1/3領域用フレーム用RAM66k、中央1/3領域用フレーム用RAM66m、右1/3領域用フレーム用RAM66n、遮光状態保持器68e、及び、変化判定部66pを備えている。
【0224】
フレーム3分割器70は、顕微鏡本体1により取得された1フレームの観察画像を左領域、中央領域、及び、右領域の3つの部分領域画像に分割する。この分割の様子について、図33を用いて説明する。
【0225】
図33に示されている通り、フレーム3分割器70は、1フレームの観察画像を縦方向に3分割する。この3分割により形成される部分画像領域を、それぞれ左1/3領域71a、中央1/3領域71b、及び右1/3領域71cと称することとする。
【0226】
左1/3領域用フレーム用RAM66k、中央1/3領域用フレーム用RAM66m、及び右1/3領域用フレーム用RAM66nは、フレーム3分割器70により3分割された観察画像の部分領域画像(の画像データ)を各々格納する。すなわち、左1/3領域用フレーム用RAM66kは、左1/3領域71aの部分領域画像を格納し、中央1/3領域用フレーム用RAM66mは、中央1/3領域71bの部分領域画像を格納し、右1/3領域用フレーム用RAM66nは、右1/3領域71cの部分領域画像を格納する。
【0227】
変化判定部66pは、左1/3領域用フレーム用RAM66k、中央1/3領域用フレーム用RAM66m、及び右1/3領域用フレーム用RAM66nに各々格納されている部分領域画像の輝度値の平均値Naveを算出する。ここで、Naveの値が所定の閾値よりも小さいとき、すなわち、例えば輝度値の取り得る値の範囲を0〜255としたときに、
Nave<10
であるときには、対物変更判定部66の変化判定部66pは、「遮光中」のフラグ情報を出力する。一方、Naveの値が上記の閾値よりも小さいとき、すなわち、例えば
Nave≧10
であるときには、変化判定部66pは、「遮光なし」のフラグ情報を出力する。
【0228】
遮光状態保持器68eは、変化判定部66pによる各部分領域画像についての判定結果を示す状態情報(「遮光中」若しくは「遮光なし」のどちらかの情報)を保持しておくものである。
【0229】
次に図34について説明する。図34は、レボルバ53を左方向に回転操作した場合の観察画像の遮光状態の遷移を示している。
なお、以下の説明では、上述したフラグ情報について、「遮光中」を「1」とし、「遮光なし」を「0」と定義する。
【0230】
図34において、(a)の観察画像は、フラグ情報が(0,0,0)である状態、すなわち、3つの部分画像領域がいずれも「遮光なし」の状態を示している。
ここで、観察者がレボルバ53の左回転操作を開始する。すると、観察画像は、まず(b)のようになり、フラグ情報は(0,0,1)、すなわち右1/3領域71cの部分領域画像のみが「遮光あり」の状態に遷移する。その後、観察画像の遮光状態への変化は更に(c)から(d)へ進み、フラグ情報は(1,1,1)、すなわち3つの分割画像領域全てが「遮光あり」の状態に遷移する。その後、観察画像は遮光状態から回復が始まって(e)、(f)、(g)へ順に進み、フラグ情報は(0,0,0)、すなわち、(a)の状態と同一である、3つの分割画像領域全てが「遮光あり」の状態に遷移する。このとき、対物レンズ52の1つ分の切り替えに相当するレボルバ53の回転操作が完了し、顕微鏡本体1は、当該回転操作前におけるものの右隣の対物レンズが光路に配置された状態となっている。
【0231】
図34に示したように、レボルバ53の左回転操作に伴う観察画像の遮光状態の遷移は以下のようになる。
(a)(0,0,0)→(b)(0,0,1)→(c)(0,1,1)
→(d)(1,1,1)→(e)(1,1,0)→(f)(1,0,0)
→(g)(0,0,0)
この観察画像の遮光状態の遷移において、(a)(0,0,0)と(g)(0,0,0)との状態は、対物レンズ52が光路中に適正に配置されている定常状態であり(但し、(a)と(g)との状態において光路中に配置されている対物レンズ52の種類は異なっている)、(b)から(f)にかけての状態は、レボルバ53の左回転操作における過渡状態である。
【0232】
遮光状態保持器68eには、上記の状態遷移(順番も含めた図27の(a)から(g)の各遮光遷移状態)を予め記憶させておく。なお、以降の説明では、この記憶内容を「左回転初期値」と称することとする。
【0233】
変化判定部66jは、各フレームの観察画像について、3分割部分領域画像の遮光状態が、図34に示した(a)から(g)のうちのいずれであるかを判定して遮光状態保持器68eに通知する。
【0234】
遮光状態保持器68eは、変化判定部66jからの各遮光状態を少なくとも過去7フレーム分保持し、「左回転初期値」と一致するか比較する。そして、その全てが「左回転初期値」と一致した場合には、遮光状態保持器68eは、変化判定部66pへ「対物変更中」を通知し、その他場合には、遮光状態保持器68eは、変化判定部66pへ「観察中」を通知する。この通知を受け取った変化判定部66pは、「観察中」若しくは「対物変更中」のどちらかを示すフラグ情報を出力してCPU201へ通知する。
【0235】
なお、上述した説明では、レボルバ53の左方向の回転操作の認識手法について説明したが、レボルバ53の右方向の回転操作についても、同様にして認識することができる。但し、レボルバ53の右方向の回転操作では、観察画像における遮光状態の遷移は、左方向の回転操作におけるものと逆の関係であり、以下のように遷移する。
【0236】
(g)(0,0,0)→(f)(1,0,0)→(e)(1,1,0)
→(d)(1,1,1)→(c)(0,1,1)→(b)(0,0,1)
→(a)(0,0,0)
遮光状態保持器68eには、上記の状態遷移についても予め記憶させておく。なお、以降の説明では、この記憶内容を「右回転初期値」と称することとする。
【0237】
次に、本実施例に係る対物変更判定部66の処理動作の流れを、図35に示したフローチャートに従って説明する。
なお、本実施例においては、観察画像の輝度値の取り得る値の範囲を0〜255とする。
【0238】
図35におけるステップS81及びステップS82の処理は、図11に示した顕微鏡用デジタルカメラ3の動作の流れにおけるステップS11の動作に応じて行われるものである。すなわち、まず、ステップS81において、操作表示部6における操作部位4の電源SW60に対する電源ONの操作が観察者により行われると、顕微鏡用デジタルカメラ3の各構成要素への電力の供給が必要に応じて開始され、これに伴い、変化判定部66pの動作も開始する。そして、続くステップS82において、変化判定部66pが、遮光状態保持器68eの初期化処理を行う。この初期化処理では、遮光状態保持器68eの保持内容をクリアして状態情報が保持されていない状態とすると共に、前述した「左回転初期値」及び「右回転初期値」を遮光状態保持器68eに記憶させる。
【0239】
このステップS82に続くステップS83からステップS89にかけての処理は、観察画像の変化を検知する処理である。CPU201は、この処理の結果として通知されるフラグ情報に基づいて、図11におけるステップS13の判定処理を実行する。
【0240】
まず、ステップS83において、フレーム3分割器70、左1/3領域用フレーム用RAM66k、中央1/3領域用フレーム用RAM66m、及び右1/3領域用フレーム用RAM66nに格納していた、3分割されている観察画像の各部分領域の画像データをCPU201が読み出して、その画像データで表されている部分領域画像の平均輝度値Naveを各部分領域について算出する処理を変化判定部66pが行う。
【0241】
ステップS84では、部分領域画像の平均輝度値Naveが所定の閾値(ここでは「10」とする)未満である部分領域について、「遮光中」を示すフラグ情報「1」を遮光状態保持器68eに保持させる処理を変化判定部66pが行う。
【0242】
ステップS85では、部分領域画像の平均輝度値Naveが上記の所定の閾値以上である部分領域について、「遮光なし」を示すフラグ情報「0」を遮光状態保持器68eに保持させる処理を変化判定部66pが行う。
【0243】
ステップS86では、遮光状態保持器68eでの過去7フレームに亘る観察画像の遮光状態の保持内容が、遮光状態保持器68eに記憶させておいた「左回転初期値」若しくは「右回転初期値」のどちらかと一致するか否かを判定する処理を遮光状態保持器68eが行う。ここで、遮光状態の保持内容がどちらかの初期値と一致したとき(判定結果がYesのとき)にはステップS87に処理を進める。一方、遮光状態の保持内容がどちらの初期値とも一致しないとき(判定結果がNoのとき)にはステップS89に処理を進める。
【0244】
ステップS87では、観察画像が変化したとの判定を本実施例に係る対物変更判定部66が下す条件を満たしたので、遮光状態保持器68eが、自身の保持している各部分領域のフラグ情報の履歴をクリアする処理を行い、続くステップS88において、対物変更判定部66の判定結果として、「対物変更中」を示すフラグ情報を、変化判定部66pを経由して出力してCPU201に通知する処理を行う。そして、この処理を終えた後にはステップS83へと処理を戻して、次のフレームの観察画像について、上述した処理を繰り返す。
【0245】
一方、ステップS89では、遮光状態保持器68eが、対物変更判定部66の判定結果として、「観察中」を示すフラグ情報を、変化判定部66pを経由して出力してCPU201に通知する処理を行い、その後はステップS83へと処理を戻して、次のフレームの観察画像について、上述した処理を繰り返す。
【0246】
本実施例に係る対物変更判定部66が以上の動作処理を行うことにより、観察画像が一旦遮光状態へ変化し、その後に遮光状態から回復した場合に「対物変換中」を示すフラグ情報が対物変更判定部66からCPU201へ通知され、この他の場合には、「観察中」を示すフラグ情報が対物変更判定部66からCPU201へ通知されるようになる。CPU201は、このフラグ情報に基づいて図11のステップS13の判定処理を実行する。
【0247】
なお、CPU201は、「対物変換中」を示すフラグ情報を受け取った場合には、実施例1のように、対物変更警告LED72を点灯させて観察画像の変化の検知結果を示す報知情報を出力するようにしてもよく、また、実施例4のように、観察画像の表示倍率の一覧を、操作表示部6の表示部位5で表示させることを以って、観察画像の変化が検知されたことを示すようにしてもよい。
【0248】
本実施例に係る顕微鏡用デジタルカメラ3は以上のように動作するので、顕微鏡本体1と顕微鏡用デジタルカメラ3との間に電気的な通信手段がなくても、顕微鏡本体1の設定状態や設定変更を顕微鏡用デジタルカメラ3で認識できる。従って、顕微鏡システムのシステム構成が容易になり、特に、顕微鏡本体1を電動化しなくても顕微鏡本体1の設定の変更を顕微鏡用デジタルカメラ3で把握できるので、顕微鏡システムのシステムコストの低減につながるという効果が得られる。
【0249】
また、本実施例に係る顕微鏡用デジタルカメラ3によれば、カメラの操作やライブ観察に集中していても、顕微鏡本体1の設定状態や設定変更を観察者が把握できるので、操作性が向上するという効果も得られる。
【0250】
更に、本実施例に係る顕微鏡用デジタルカメラ3によれば、顕微鏡本体1の対物レンズ52の切り替えに伴ってスケール表示の設定変更をするにあたり、スケール表示の設定変更を促す警告表示が行われるので、カメラに対するスケール表示の設定変更のための操作を忘れたり間違えたりすることがないという効果も得られる。
【0251】
なお、本実施例に係る顕微鏡用デジタルカメラ3において、「対物変換中」を示すフラグ情報を受け取ったCPU201が操作表示部6の表示部位5で表示させる観察画像の表示倍率の一覧を、レボルバ53の回転方向の認識結果に基づいて並び替えて表示させるようにしてもよい。
【0252】
今、図10に示したスケール表示の詳細設定画面における「ON1」から「ON6」までの6種類のスケール名に対して各々設定される総合倍率(すなわち観察画像の表示倍率)と、その総合倍率を顕微鏡本体1で得るために用いられる対物レンズ52が装着されているレボルバ53の装着位置(各装着穴)とが、図36に示した関係を有しているとする。つまり、CPU201の不揮発性メモリには、観察画像の表示倍率の情報が、レボルバ53における各対物レンズ52の装着位置に各々対応付けて予め記憶されており、更に、レボルバ53を回転させたときの対物レンズ52の切り替わり順序を示す順序情報も予め
記憶されているものとする。
【0253】
ここで、観察画像が一旦遮光状態へ変化し、その後に遮光状態から回復したこと、及びこのときのレボルバ53の回転操作における回転方向が左回転であったことを、本実施例に係る対物変更判定部66の遮光状態保持器68eが検知すると、CPU201は、観察画像の表示倍率の一覧として、図37に示すものを操作表示部6の表示部位5で表示させる。また、レボルバ53の回転操作における回転方向が右回転であったことが検出された場合には、CPU201は、図38に示す観察画像の表示倍率の一覧を操作表示部6の表示部位5で表示させる。
【0254】
図37及び図38は、どちらも、スケール名「ON6」についての対物レンズ52が光路中に配置されていることを、網掛けがされている「ON6」の欄をその一覧の最上位に配置することで示している。
【0255】
図36から明らかなように、スケール名「ON6」についての対物レンズ52は、レボルバ53を左回転させると、次には右隣のスケール名「ON1」についての対物レンズ52が光路中に配置され、以降、「ON2」→「ON3」→「ON4」→「ON5」の装着位置順(右回り順)に光路中の対物レンズ52が切り替わる。図37に例示した表示倍率の一覧の第六の例は、まさにこの順序で各スケール名が並べられている。
【0256】
また、スケール名「ON6」についての対物レンズ52は、レボルバ53を右回転させると、次には左隣のスケール名「ON5」についての対物レンズ52が光路中に配置され、以降、「ON4」→「ON3」→「ON2」→「ON1」の装着位置順(左回り順)に光路中の対物レンズ52が切り替わることも図36から明らかである。図38に例示した表示倍率の一覧の第七の例は、まさにこの順序、すなわち、図37に示したレボルバ53の左回転時とは反転した順序で、各スケール名が並べられている。
【0257】
つまり、レボルバ53の回転操作における回転方向を遮光状態保持器68eが判定した結果に応じ、CPU201が上述したような順序の表示倍率の一覧を表示部位5で表示させることにより、顕微鏡システムの操作性を更に向上させることができる。
【0258】
次に、観察画像の表示倍率の一覧を、レボルバ53の回転方向の認識結果に基づいて並び替えて表示させるために、本実施例における顕微鏡用デジタルカメラ3が行う処理動作について説明する。
【0259】
まず図39について説明する。図39は、図35に示したフローチャートの変形例であり、観察画像の表示倍率の一覧をレボルバ53の回転方向の認識結果に基づいて並び替えて表示させるために、対物変更判定部66により行われる処理動作の流れの一部を示したものである。この処理動作は、図35に示したフローチャートにおけるS88の処理に続いて行われる。
【0260】
図35のステップS88において、遮光状態保持器68eが、「対物変更中」を示すフラグ情報をCPU201に通知する処理を行った後、図39のステップS88−2では、レボルバ53の回転操作における回転方向が左回転であったか否か、すなわち、図35のステップS86において、遮光状態保持器68eでの観察画像の遮光状態の保持内容が一致したと判定したものが、「左回転初期値」であったか否か、を判定する処理を遮光状態保持器68eが行う。ここで、回転方向が左回転であったと判定したとき(判定結果がYesのとき)には、ステップS88−3に処理を進める。一方、回転方向が右回転であったと判定したとき(判定結果がNoのとき)には、ステップS88−4に処理を進める。
【0261】
ステップS88−3では、遮光状態保持器68eは、「左回転」を示す情報を、変化判定部66pを経由して出力してCPU201に通知する処理を行い、その後は図35のステップS83へと処理を戻す。
【0262】
ステップS88−4では、遮光状態保持器68eは、「右回転」を示す情報を、変化判定部66pを経由して出力してCPU201に通知する処理を行い、その後は図35のステップS83へと処理を戻す。
【0263】
以上の動作処理により、レボルバ53の回転操作における回転方向を示す情報がCPU201へ通知される。
次に図40について説明する。図40は、図24に示したフローチャートの第二の変形例であり、観察画像の表示倍率の一覧をレボルバ53の回転方向の認識結果に基づいて並び替えて表示させるために、顕微鏡用デジタルカメラ3で行われる処理動作の流れの一部を示したものである。この処理動作は、図39に示した対物変更判定部66の処理動作に応じて行われるものであり、図24に示したフローチャートにおけるS52の処理の代わりに行われる。
【0264】
図24のステップS51において、CPU201が、現在設定中の表示倍率とそのスケール名とを表示倍率の一覧の最上位(並び順の先頭)に配置して、画像表示パネル41に表示させる処理を行った後、図40のステップS90では、対物変更判定部66から受け取ったレボルバ53の回転方向の情報が「左回転」を示すものであったか否かを判定する処理をCPU201が行う。ここで、当該情報が「左回転」を示すものであると判定したとき(判定結果がYesのとき)にはステップS91に処理を進める。一方、当該情報が「右回転」を示すものであると判定したとき(判定結果がNoのとき)にはステップS92に処理を進める。
【0265】
ステップS91では、CPU201が、不図示の不揮発性メモリに記憶されているスケール名毎の表示倍率を読み出し、そのうちで、ステップS51の処理で表示させたものを除く他の表示倍率について、不揮発性メモリに記憶されている前述した順序情報に基づく右回り順(レボルバ53を左回転させたときの順)に並べた一覧を、ステップS51の処理による表示倍率の表示の下部に配置して、表示部位5の画像表示パネル41に表示させる処理を行い、その後は図24のステップS53に処理を進める。
【0266】
ステップS92では、CPU201が、不図示の不揮発性メモリに記憶されているスケール名毎の表示倍率を読み出し、そのうちで、ステップS51の処理で表示させたものを除く他の表示倍率について、不揮発性メモリに記憶されている前述した順序情報に基づく左回り順(レボルバ53を右回転させたときの順)に並べた一覧を、ステップS51の処理による表示倍率の表示の下部に配置して、表示部位5の画像表示パネル41に表示させる処理を行い、その後は図24のステップS53に処理を進める。
【0267】
以上の処理動作により、画像表示パネル41に表示される表示倍率の一覧が、対物変更判定部66により認識されたレボルバ53の回転方向と不揮発性メモリに記憶されている情報とに基づいて、表示倍率の並び順が変更されて表示される。これにより、顕微鏡システムの操作性が更に向上する。
【0268】
なお、顕微鏡用デジタルカメラ3において、上述したように、レボルバ53の回転方向の認識結果に基づいて並び順を変更した表示倍率の一覧を表示させる代わりに、当該認識結果に基づき、スケール表示の設定状態を直接変更して観察画像に合成表示させるようにしてもよい。
【0269】
つまり、例えば図36に示した状態、すなわち、スケール名「ON6」についての対物レンズ52が光路中に配置されている状態において、レボルバ53の左回転を対物変更判定部66が認識した場合には、顕微鏡用デジタルカメラ3に対する表示倍率の設定を、スケール名「ON6」についてのものからスケール名「ON1」についてのものへと直接変更するようにしてもよい。
【0270】
このようにすると、観察者が表示倍率一覧からの選択を行うことなく表示倍率の設定が変更されるので、操作性が更に向上し、操作ミスが低減される。
ここで図41について説明する。図41は、図11に示したフローチャートの変形例であり、レボルバ53の回転方向の認識結果に基づいてスケール表示の設定状態を直接変更して観察画像に合成表示させるために、対物変更判定部66により行われる処理動作の流れの一部を示したものである。この処理動作は、図39に示した対物変更判定部66の処理動作に応じて行われるものであり、図11に示したフローチャートにおけるS14の処理の代わりに行われる。
【0271】
図11のステップS13の判定処理の結果がYesとなり、対物変更判定部66から通知されるフラグ情報が「対物変更中」を示すものであると判定されたときには、図41のステップS93において、対物変更判定部66から受け取ったレボルバ53の回転方向の情報が「左回転」を示すものであったか否かを判定する処理をCPU201が行う。ここで、当該情報が「左回転」を示すものであると判定したとき(判定結果がYesのとき)にはステップS94に処理を進める。一方、当該情報が「右回転」を示すものであると判定したとき(判定結果がNoのとき)にはステップS95に処理を進める。
【0272】
ステップS94では、不図示の不揮発性メモリに記憶されているスケール名毎の表示倍率を読み出し、そのうちで、現在設定中の表示倍率につての対物レンズ52が装着されている装着穴の右隣のものに対応する表示倍率を取得する処理をCPU201が行い、その後はステップS96に処理を進める。
【0273】
ステップS95では、不図示の不揮発性メモリに記憶されているスケール名毎の表示倍率を読み出し、そのうちで、現在設定中の表示倍率につての対物レンズ52が装着されている装着穴の左隣のものに対応する表示倍率を取得する処理をCPU201が行い、その後はステップS96に処理を進める。
【0274】
ステップS96では、ステップS94若しくはステップS95の処理で取得した表示倍率の値に基づいて、適切な単位長さのスケール目盛り値及びスケール線を前述したようにして算出する処理をCPU201が行い、続くステップS97では、撮影画像―記号列合成器64及び観察画像―記号列合成器65を制御して、この算出結果に従ったスケール表示を観察画像に上書き合成させる制御処理をCPU201が行う。その後は、図11のステップS12に処理を進める。
【0275】
以上の処理動作により、観察画像に合成して表示されるスケール表示が、レボルバ53の回転方向の認識結果に基づき、当該回転方向における次の切り替わり順の対物レンズ52に対応付けられている表示倍率に応じたスケール表示へ変更される。従って、顕微鏡用デジタルカメラ3の操作性が更に向上し、操作ミスが低減される。
【0276】
以上、本発明の実施形態として、実施例を幾つか説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良・変更が可能である。例えば、前述した各実施例を幾つか組み合わせて実施することは可能である。
【0277】
例えば、実施例1等では、観察者への報知手段として、対物変更警告LED72を用いていたが、この代わりに、音声による警告を行うようにしてもよい。また、観察画像の画像データファイルのヘッダ部に所定の報知情報を書き込むようにすることも可能である。更には、通信ケーブル101を経由してPC100で警告を行うように構成することも可能である。
【0278】
また、各実施例では、観察画像の変化が検知された場合に、スケール表示に関する設定の変更を観察者に促すようにしていた。この他に、2点間距離測定、円測定(円周長さ、半径、面積)などの計測機能に関する設定の変更を観察者に促すようにしてもよい。
【0279】
また、各実施例では、観察画像の表示画面にスケール表示を合成する例を示したが、「倍率100倍」などといった、表示倍率の値を表示するものとすることもできる。
また、例えば、観察画像の変化が検知されたことを報知する機能の使用/非使用を、観察者の好みに応じ、操作部位4に装備する不図示のSWの操作やメニュー画面の選択により切り替えることができるように構成してもよい。
【0280】
また、各実施例において説明した表示倍率の一覧表示では、[ON6:100倍]のように、スケール名毎の表示倍率のみを表示するようにしていた。この代わりに、例えば、[ON1:2倍:10um]などのように、表示倍率と共に、当該表示倍率についてCPU201で算出される、適切な単位長さのスケール目盛り値も併せて当該一覧に表示させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0281】
1 顕微鏡本体
2 カメラヘッド部
3 顕微鏡用デジタルカメラ
4 操作部位
5 表示部位
6 操作表示部
7 ケーブル
20 撮像素子
21 サンプリング回路
22 A/D変換器
23 画像処理部
24 D/A変換器
25 シャッタ
31 EXPOSE SW
32 モードSW
33 露光補正SW
34 メモリ装置
35 リムーバブルメディア
36 メモリ読み出し書き込み部
37 通信端子
38 通信部
41 画像表示パネル
42 情報表示パネル
50 標本
51 ステージ
52、52−2 対物レンズ
53 レボルバ
54 接眼レンズ
55 結像レンズ
60 電源SW
61 左選択SW
62 右選択SW
63 記号列ROM
64 撮影画像―記号列合成器
65 観察画像―記号列合成器
66 対物変更判定部
66a Nフレーム用RAM
66b N+1フレーム用RAM
66c、66e、66g、66j、66p 変化判定部
66d、66f、66h フレーム用RAM
66k 左1/3領域用フレーム用RAM
66m 中央1/3領域用フレーム用RAM
66n 右1/3領域用フレーム用RAM
67 対物変更警告LED制御部
68a 遮光検出保持器a
68b 遮光検出保持器b
68c 遮光なし保持器
68d 遮光中保持器
68e 遮光状態保持器
69 遮光時間計測器
69a 計測用クロック
69b カウンタ
69c 計測判定部
70 フレーム3分割器
71a 左1/3領域
71b 中央1/3領域
71c 右1/3領域
72 対物変更警告LED
91 スケール名選択小項目MENU
91b スケール名選択切り替え
91c スケールON小項目MENU
92 スケールOFF小項目MENU
93 スケール詳細設定小項目MENU
94 スケール詳細設定項目
100 PC
101 通信ケーブル
200 表示用RAM
201 CPU
203 カメラヘッドコネクタ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
顕微鏡により取得される観察画像を表示する観察画像表示手段と、
前記観察画像の変化を検知する検知手段と、
前記検知手段による前記観察画像の変化の検知結果を示す報知情報を出力する報知手段と、
前記観察画像についての表示倍率の情報を記憶している表示倍率情報記憶手段と、
を有し、
前記報知手段は、前記報知情報の出力として、前記表示倍率情報記憶手段に記憶されている前記観察画像の表示倍率の一覧を表示し、
さらに、
前記顕微鏡での観察対象である標本と前記観察画像に表されている該標本の像との大きさの関係を示すスケール情報を表示するスケール情報表示手段と、
前記表示倍率の一覧からの選択の指示を取得する選択指示取得手段と、
前記スケール情報表示手段による前記スケール情報の表示を、前記選択の指示に係る表示倍率に対応するスケール情報の表示に変更するスケール情報表示変更手段と、
を有することを特徴とする顕微鏡用カメラ。
【請求項2】
前記報知手段は、前記表示倍率の一覧を、前記選択指示取得手段により取得された選択の指示に係る表示倍率が特定の並び順となるように並び替えて表示することを特徴とする請求項1に記載の顕微鏡用カメラ。
【請求項3】
前記報知手段は、前記表示倍率の一覧の表示を開始してから所定時間が経過しても前記選択指示取得手段が前記選択の指示を取得しない場合には、該表示を中止することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の顕微鏡用カメラ。
【請求項4】
前記報知手段は、前記表示倍率の一覧の表示を中止した場合には、前記選択の指示を取得していない旨を報知することを特徴とする請求項3に記載の顕微鏡用カメラ。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図20】
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【図24】
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【図27】
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【図29】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図35】
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【図36】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図1】
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【図8】
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【図9】
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【図13】
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【図19】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図25】
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【図26】
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【図28】
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【図30】
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【図34】
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【図37】
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【図38】
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【公開番号】特開2013−37382(P2013−37382A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−230470(P2012−230470)
【出願日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【分割の表示】特願2007−256259(P2007−256259)の分割
【原出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】