説明

顕微鏡装置の制御方法、顕微鏡装置

【課題】顕微鏡装置を用いる蛍光観察において、標本保持部材や光学系等の自家蛍光に影響されることなく、標本が写っている標本保持部材の全体像を効率よく得る。
【解決手段】観察光学系の合焦点位置に標本1を位置させてシャーレ103の全体画像(自家蛍光画像)を含む画像データAを撮影し、標本1を焦点深度外においたシャーレ103の全体画像を含む画像データBを撮影し、画像データBの階調を減じて生成された画像データB1を画像データAから差し引くことで、シャーレ103の自家蛍光画像が除去され、しかも階調差分だけ外枠部103aの形状が残ったシャーレ103の全体画像と標本1の画像とを含む画像データA1(マクロ観察画像)を得る。この画像データA1をユーザに提示して、ポインタ13bを用いた標本1の任意の観察部位の探索を行わせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は顕微鏡装置およびその制御技術に関し、たとえば標本保持部材ホルダを具備した顕微鏡装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、細胞等の標本を観察する場合、顕微鏡による蛍光観察が用いられる。その場合、シャーレ内に細胞を生やし、細胞の特定の部位を観察することが行われる。またウエルプレートの複数の穴(ウエル)に細胞を生やし、何らかの実験後、細胞が光っているかどうかを調べる時にも蛍光観察が用いられる。
【0003】
通常、顕微鏡観察で検鏡者はまず低倍の対物レンズを用いて、どこに自分が見たい標本があるか観察する。その後、高倍の対物レンズを用いて見たい標本の拡大像を観察する。このとき低倍の対物レンズの倍率は低くてもせいぜい1×程度であり、ウエルプレート、スライドガラスなどの標本保持部材に対して、どこに見たい標本があるか分からなかった。そのため検鏡者は標本保持部材をくまなく観察することで、見たい標本を探していた。
【0004】
この見たい標本を探すために透過照明観察においては以下の方法がある。低倍の対物レンズで取得した画像を貼り合せる事で標本が写っている標本保持部材全体の画像を取得して、その全体画像から標本の位置を特定する。また、マクロ光路を用いて標本保持部材全体の画像を取得して、その全体画像から標本の位置を特定する。
【0005】
しかしながら、蛍光観察においては顕微鏡内部の対物レンズ、プリズムなどの観察光学系や、プラディッシュなどの標本保持部材の自家蛍光が非常に多い。そのため画像を貼り合わせたり、マクロ光路で撮像しても自家蛍光が邪魔をして、標本保持部材のどこに標本があるか分かるような標本保持部材の全体画像を取得できなかった。
【0006】
さらに顕微鏡内部の観察光学系の自家蛍光を低減する方法は種々提案されているが、標本保持部材の自家蛍光については配慮されていない。
なお、特許文献1には、レーザ解剖システムにおけるサンプルホルダに識別用のコード(櫛状突起)を設けるとともに、サンプルホルダ保持部材には、コードを認識する部位を設けることにより、レーザ顕微解剖システム内でサンプルホルダの識別を可能にした技術が開示されている。これにより、切除した標本をサンプルホルダの個々の収容コンテナに割り当てる等の処理を自動化し、顕微解剖法を自動で実施しようとするものである。
【0007】
また、他の特許文献2では、顕微鏡のステージに備えられる標本ホルダにおいて、シャーレを保持するシャーレ保持部と、スライドガラスを保持するスライドガラス保持部とで構成し、シャーレ保持部をホルダ基板に対して移動可能に配置して異なるサイズのシャーレを保持可能とし、スライドガラスをホルダ基板に設けられた段部で保持する構成とした技術が開示されている。これによりシャーレの直径が異なるものであっても、スライドガラスであっても確実に保持することを可能にしようとしている。
【特許文献1】特表2006−506672号公報
【特許文献2】特開平11−202213号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述の特許文献1の技術では、サンプルホルダのコード情報を元に収容デバイスを自動操作できるが、サンプルホルダの自家蛍光の除去など観察像の補正については開示がなく、よって蛍光観察において標本が写っているサンプルホルダの自家蛍光を除いた全体像を得ることができない、という技術的課題がある。
【0009】
同様に上述の特許文献2の技術では、シャーレやスライドガラス等の種々の標本保持部材を保持することができるが、上記特許文献1の場合と同様に標本保持部材の自家蛍光の除去など観察像の補正を行うことはできない。よって標本が写っている標本保持部材の自家蛍光を除いた全体像を得ることができない、という技術的課題がある。
【0010】
本発明の目的は、顕微鏡装置を用いる蛍光観察において、標本保持部材や光学系等の自家蛍光に影響されることなく、標本が写っている標本保持部材の全体像を効率よく得ることが可能な技術を提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、顕微鏡装置を用いる蛍光観察において、標本が写っている標本保持部材の全体像であるマクロ観察画像を用いて、観察部位の探索等を効率良く行うことが可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の態様は、標本を保持する標本保持部材の種別を認識する第1ステップと、
前記標本保持部材の種別に応じて、前記標本保持部材の全体が写っている標本保持部材全体画像および前記標本の画像を含む第1画像と、前記標本保持部材全体画像のみを含む第2画像を取得する第2ステップと、
前記第1画像と第2画像とに基づいて、前記標本以外の自家蛍光を除去したマクロ観察画像を得る第3ステップと、
を含む顕微鏡装置の制御方法を提供する。
【0013】
本発明の第2の態様は、標本を保持する標本保持部材と、前記標本の画像を取得する観察光学系及び撮像装置と、前記観察光学系を構成する対物レンズの合焦点位置で取得した前記標本の画像を含む第1画像と、前記合焦点位置以外で取得した第2画像を用いて、前記標本以外の自家蛍光画像を除去する画像処理装置と、を含む顕微鏡装置を提供する。
【0014】
上記した本発明によれば、たとえば、標本保持部材の種類を特定し、顕微鏡装置の制御部に伝送する。制御部はその情報を元に命令を出し、標本保持部材の全体像を取得するために、無駄のない顕微鏡駆動をさせ、標本が写っている標本保持部材の全体像を取得する。さらに制御部の命令から、標本が見えずかつ標本保持部材が見える位置へ焦点位置(ピント)をずらし、標本が写っていない標本保持部材の全体像を取得する。この標本が写っている標本保持部材の全体像から、標本を写っていない標本保持部材の全体像を画像処理により差し引くことで、自家蛍光が殆どない、標本が写っている標本保持部材の全体画像を取得できる。これにより蛍光観察において効率よく標本が写っている標本保持部材の全体像(マクロ観察画像)を得ることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、顕微鏡装置を用いる蛍光観察において、標本保持部材や光学系等の自家蛍光に影響されることなく、標本が写っている標本保持部材の全体像を効率よく得ることができる。
【0016】
また、顕微鏡装置を用いる蛍光観察において、標本が写っている標本保持部材の全体像であるマクロ観察画像を用いて、観察部位の探索等を効率良く行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の顕微鏡装置の制御方法を実施する顕微鏡装置の一実施の形態である倒立顕微鏡の構成の一例を示す側面図であり、図2および図3は、本実施の形態の倒立顕微鏡の一部を取り出して示す分解斜視図である。
【0018】
図1において、本実施の形態の倒立顕微鏡100の倒立顕微鏡本体101にはステージ102が固定されており、ステージ102の上に標本1他が載置されている。標本1の下方に配置された対物レンズ104は倍率などが異なる対物レンズ(図においては対物レンズ104−1、対物レンズ104−2)と共にレボルバ105に保持固定され、レボルバ105を回転させることにより選択的に光軸0上に配置されるようになっている。対物レンズ104−1は低倍観察ができる倍率、例えば1×などで構成されている。
【0019】
レボルバ105はレボルバ保持台106に固定されており、このレボルバ保持台106は倒立顕微鏡本体101の内部の図示されないラック-ピニオン機構により回転焦準部107に接続され、回転焦準部107の回転運動がレボルバ保持台106の光軸0方向への直線運動に変換される。
【0020】
ランプハウス108は光源108aを内蔵しており、投光管109はランプハウス108を保持し倒立顕微鏡本体101に着脱可能に固定されている。励起フィルタ111a、ダイクロイックミラー111b及び吸収フィルタ111cはミラーユニット111dに固定されている。ミラーユニット111dは図示されないモータによりミラーカセット111内で光軸0上に挿脱可能に構成されている。
【0021】
倒立顕微鏡本体101はミラー112、リレーレンズ群113を備えており、対物レンズ104が取りこんだ標本1からの光を鏡筒114へ偏向させる。鏡筒114の内部にはプリズム115があり、リレーレンズ群113からの光を偏向し、接眼レンズ116に伝達させる。鏡筒114は倒立顕微鏡本体101に着脱可能に固定されている。
【0022】
倒立顕微鏡本体101は透過照明支柱118及びランプハウス117及びコンデンサ119(集光光学系)を具備しており、ランプハウス117内の光源117aから出た光線は透過照明支柱118内のミラー118aにより進行方向を90度変え、コンデンサ119を通りシャーレ103に照射される。コンデンサ119の図1においての上下方向の移動はハンドル118bで行う。
【0023】
さらに、倒立顕微鏡本体101は対物レンズ104からの光を、プリズム120を介して穴121を通って図1において紙面手前方向に射出することができる。プリズム120は図示されないモータにより光軸0に挿脱可能に構成されている。円筒部122はCCDなどのカメラ123を固定できる。カメラ123は図1において説明の都合上、省略してある。
【0024】
ステージ102は起動時に必ずステージ中心が光軸0まで移動して、その時にステージ102内部に設置された図示されないセンサが、光軸0の位置を認識する。よってステージ102を駆動させて標本1を移動させても、光軸0に対する後述するXY方向の位置が常に認識される。
【0025】
図2はステージ102の詳細例を示している。ステージ102は、台座102a、中ステージ102b、モータ102c、上ステージ102dを備えている。
台座102aは倒立顕微鏡本体101に取付けられている。中ステージ102bはモータ102cと図示されないラック−ピニオン機構により台座102aに対して図中X方向に動く。上ステージ102dはモータ102eと図示されないラック−ピニオン機構により中ステージ102bに対して図中Y方向に動く。
【0026】
中ステージ102bにガイド部102jがあり、上ステージ102dには、ガイド部102jに嵌合する凹部102j−1がある。さらに台座102aにガイド102k、中ステージ102bには、ガイド102kに嵌合する凹部102k−1がある。このそれぞれのガイド部と凹部の摺動により中ステージ102bはX方向に、上ステージ102dはY方向に移動できる。
【0027】
また上ステージ102d,中ステージ102b、台座102aには開口部102hがあり、中ステージ102b、上ステージ102dが移動しても対物レンズ104で観察が出来るように十分大きく構成されている。上ステージ102dは凹部102iが設けられており、シャーレホルダ16の着脱が容易にできる。
【0028】
また、シャーレホルダ16には開口部16cと段付部16bが設けられており標本1が載置されたシャーレ103を挿入、保持できる。この開口部16cはシャーレ103が落下しない程度に可能な限り大きくしてある。また開口部16cと段付部16bは、シャーレホルダ16を上ステージ102dに設置したときにステージ102の中心と、シャーレ103の中心が一致するように構成されている。
【0029】
シャーレホルダ16には、シャーレホルダ16に保持されるシャーレ103を識別するための磁石16a、16a−1がそれぞれ固定されている。すなわち、磁石の固定位置は本実施の形態の場合、3箇所あり、そのいずれに磁石を配置するか否かで、3ビットの識別情報を構成する。
【0030】
上ステージ102dにはシャーレホルダ16側の磁石の磁性の有無で通電の有無が決定するホール素子102g、ホール素子102g−1、ホール素子102g−2を具備したステージ制御基板102fが配置されている。
【0031】
ステージ制御基板102fには、後述のように、複数の標本保持部材の外形情報が登録されており、それぞれのホール素子の通電の有無に基づく識別情報により標本保持部材の外形情報が選定できるようになっている。
【0032】
図3はウエルプレート17とウエルプレートホルダ18を示す。ウエルプレート17には標本1を生やす凹形の複数の穴(ウエル17a)が複数設けられている。ウエルプレートホルダ18には磁石18aが固定されている。ウエルプレートホルダ18にはシャーレホルダ16と同様に開口部18cと段付部18bが設けられており、ウエルプレート17を挿入、保持できる。この開口部18cはウエルプレート17が落下しない程度に、ウエルプレート17の外周にもっとも近い標本載置用のウエル17aが隠れないように、可能な限り大きくしてある。また開口部18cと段付部18bは、ウエルプレートホルダ18を上ステージ102dに設置したときにステージ102の中心と、ウエルプレート17の中心が一致するように構成されている。
【0033】
図4に例示されるように、本実施の形態のステージ制御基板102fは、演算部102f−3、記憶部102f−4を備えている。
記憶部102f−4には、外形判別テーブル400が格納されている。この外形判別テーブル400は、通電情報401、外形情報402、自家蛍光量403等の情報が対応付けられて格納されている。
【0034】
通電情報401は、3つのホール素子102g、ホール素子102g−1、ホール素子102g−2の各々の通電状態の有無(シャーレホルダ16の磁石16aの有無、ウエルプレートホルダ18の磁石18aの有無)を1ビットで表したもので、シャーレホルダ16に支持されるシャーレ103、ウエルプレートホルダ18に支持されるウエルプレート17等の種別を示す情報である。
【0035】
外形情報402は、シャーレ103、ウエルプレート17等の外形寸法を示す情報である。
自家蛍光量403は、シャーレ103、ウエルプレート17等の各々の自家蛍光量を示す情報である。
【0036】
図5は第1の実施の形態における倒立顕微鏡100の制御系の接続関係の一例を示すブロック図である。倒立顕微鏡本体101の内部に配置された本体制御基板101cはケーブル10bにより制御装置10と接続されている。回転焦準部107の図示されないモータは本体制御基板101cに図示されないケーブルで接続されている。よって制御装置10は回転焦準部107を回転することができる。制御装置10には記憶部10eがある。
【0037】
図6に例示されるように、この記憶部10eには、外形情報402、テーブル移動パラメータテーブル500、等の情報が記憶されている。
外形情報402は、ステージ制御基板102fから入力されるシャーレ103、ウエルプレート17等の標本保持部材の外形寸法等を示す情報である。
【0038】
テーブル移動パラメータテーブル500は、撮影倍率501、画像解像度502、テーブル移動換算値503が対応付けて格納されている。
また本体制御基板101cは図示されないケーブルにより、それぞれレボルバ105、ミラーカセット111、プリズム120に接続されており、それぞれに図示されないモータが搭載されている。よって回転焦準部107の時と同様に制御装置10はそれぞれのモータを駆動させることが可能である。
【0039】
また、モータ102c、モータ102e、ステージ制御基板102fは制御装置10にケーブル10aで接続されている。よってステージのXY方向の位置の情報はケーブル10aを介して制御装置10に転送される。
【0040】
カメラ123はケーブル123a、制御装置10はケーブル10cで、パーソナルコンピュータ等からなる操作端末11に接続されている。操作端末11にはカメラ123で取得した画像を貼り合せる機能がある。またカメラ123はケーブル10dにより制御装置10と接続されている。
【0041】
操作端末11には、ケーブル12a、ケーブル13a、ケーブル14a、ケーブル15aを介して、それぞれモニタ12、マウス13、キーボード14、画像処理装置15が接続されている。
【0042】
以下、本実施の形態の作用の一例について説明する。図7は、本実施の形態の倒立顕微鏡100の作用の一例を示すフローチャートであり、図8は、倒立顕微鏡100内の各構成要素間における情報の授受を例示したシーケンス図である。図8のシーケンス図には、対応する制御装置10のステップ番号を適宜付してある。
【0043】
検鏡時はシャーレ103をシャーレホルダ16にはめ込み、シャーレホルダ16を上ステージ102dに置く。この時、磁石16a、16a−1の磁性をホール素子102g、102g−1が受ける。ステージ制御基板102fには上述のように記憶部102f−4と演算部102f−3があり、記憶部102f−4には製品出荷前に、ホール素子の通電情報に対応する標本保持部材の外形情報の対応表(外形判別テーブル400)が入力してある。
【0044】
演算部102f−3はホール素子の通電情報(通電情報401)が入力されると、記憶部102f−4の外形判別テーブル400を参照し、標本保持部材の外形情報402を出力できる。よってステージ制御基板102fはホール素子の通電情報からシャーレ103の外形を選定し、制御装置10へ転送する(ステップ601)。
【0045】
制御装置10に送られたシャーレ103の外形情報402は記憶部10eに保存され、シャーレ103の外形情報402から後述するカメラ撮影時のステージ102の走査範囲が決定される。
【0046】
さらに、シャーレ103の外形情報402が制御装置10に転送されると、制御装置10はレボルバ105を回転させて対物レンズ104−1を光軸0上に入れる(ステップ602)。また制御装置10はステージ102が光軸0上にステージ102とシャーレ103の中心が来るように移動させる(ステップ603)。この対物レンズ104−1の光軸0上への挿入とステージ102中心の光軸0上への移動は制御装置10にシャーレ103などの標本保持部材の外形情報402が転送される毎に行われる。
【0047】
次に検鏡者はマウス13、キーボード14を操作して操作端末11から制御装置10を動作させ、プリズム120を光軸0上から退避させて、接眼レンズ116に観察像が出射されるようにする(ステップ604)。光源108aを出た光線は励起フィルタ111aを通り、ダイクロイックミラー111bで反射されて対物レンズ104−1を通りシャーレ103内の標本1に照射される。
【0048】
そして標本1で励起された蛍光は対物レンズ104−1、ダイクロイックミラー111b、吸収フィルタ111c、結像レンズ110を通り、ミラー112で反射されて、リレーレンズ群113、プリズム115を通り接眼レンズ116で観察される(ステップ605)。
【0049】
このとき標本1が検鏡者の所望の合焦点位置(ピント位置)でない場合は、検鏡者がマウス13やキーボード14を操作して操作端末11から制御装置10を動作させ、その情報から回転焦準ノブ107aを回転させ所望の合焦点位置に移動させる。
【0050】
次に上述と同様の操作でプリズム120を光軸0上に挿入する。検鏡者はマウス13やキーボード14を操作して操作端末11から制御装置10を動作させ、シャーレ103内の標本1からの光をカメラ123で撮像する(ステップ606)。
【0051】
ここで撮影が終了したという信号がカメラ123から制御装置10に送られる。この撮影終了信号がトリガーとなり、撮像した画像データは操作端末11へ自動転送され、さらに画像処理装置15へ自動転送される。
【0052】
さらに撮影終了信号により記憶部10eで選定されたステージ102の走査範囲内において、制御装置10はステージ102をX、Y方向に自動で、あるステップ幅毎に走査させる(ステップ607)。そのステップ幅は撮像した時の隣あう画像同士がつながる走査ステップである。
【0053】
この走査ステップの大きさは対物レンズ104−1の倍率で決まる。そのため対物レンズ104−1を用いたとき、どの程度位置を移動させれば画像が重なりあうかは既知であるので、製品出荷時に制御装置10に設定してある。図9に例示されるように、この走査ステップ毎に今度は自動で部分画像A0を撮像する(ステップ608、ステップ609)。この部分画像A0を接ぎあわせて、シャーレ103の全体像を得るために取得する。このシャーレ103の外形情報から決定される走査範囲は、シャーレ103の全体像を取得するのに必要な大きさに設定される。
【0054】
シャーレホルダ16の開口部16cは十分大きく構成されているので、ステージ102の走査により対物レンズ104−1でシャーレ103の全体像を取得できる。
先ほど取得した、ステージ102の走査ステップ毎の部分画像A0は操作端末11へ自動で転送され、操作端末11の内部の画像貼り合せ機能により、標本1が写っているシャーレ103の全体画像(自家蛍光画像)を取得できる(ステップ610)。この画像を画像データAとする。最初の画像を撮像した後は自動で画像データAが取得される。
【0055】
この画像データAが画像処理装置15に自動で伝送される(ステップ611)。
図10に例示されるように、本実施の形態の場合、画像処理装置15は、演算部15−1とメモリ15−2を備えている。
【0056】
画像処理装置15は伝送されてきた複数の画像をピクセル毎に演算部15−1において演算することが可能である。また受光した光量によりピクセル毎で異なる画像の階調を、増減させることもできる。さらにメモリ15−2に、製品出荷前にしきい値15−2aを設定しておく。本実施の形態で、自家蛍光の有無による演算の要否を判定するために、しきい値15−2aとしては自家蛍光量403を設定しておく。出荷前にメーカ側でシャーレ103、ウエルプレート17等の容器毎の自家蛍光量403を測定して外形判別テーブル400に設定しておき、その値を、しきい値15−2aに設定する。
【0057】
ここで、シャーレ103、ウエルプレート17等の標本保持部材の自家蛍光の階調のステージ102のXY方向の分布は、標本1の階調のステージ102のXY方向の分布に比べて急峻でなく、なだらかであるから、標本1のピント位置のシャーレ103、ウエルプレート17等の標本保持部材の画像であっても、標本保持部材の自家蛍光としきい値15−2aとの比較が可能である。
【0058】
画像処理装置15の演算部15−1はしきい値15−2aを元に、画像処理の要否を判断できる。これにより、例えば自家蛍光の少ないガラスディッシュであれば後述の差分演算をせず、プラディッシュであれば演算をするという設定ができる。よって画像処理装置15は、標本保持部材の自家蛍光量403の違いから画像処理の要否を判別し、必要であれば画像処理を行う。
【0059】
まず前述の通り設定されたしきい値15−2aと画像データAと比較する(ステップ612)。シャーレ103がプラスチックでできている場合には、画像処理装置15は画像データAの自家蛍光量が多く、演算が必要と判断する(ステップ613)。そして演算が必要という命令が画像処理装置15から制御装置10へ伝送される。
【0060】
そして制御装置10は標本1が対物レンズ104−1の焦点深度外となる位置に対物レンズ104−1を移動させる(ステップ614)。この位置はシャーレ103の観察像は見える。標本1の光軸0方向の厚さに対してシャーレ103の外枠部103a等の光軸0方向の厚さは十分厚いので、シャーレ103の観察像は消えない。そして上述と同様にステージ102を走査し、図9のように、ステージ走査ステップ毎にカメラで撮像することによって部分画像B0を取得する。
【0061】
その後、同様に操作端末11で画像の接ぎ合わせを行い、標本1が写っているシャーレ103の全体画像(自家蛍光画像)を取得する。この画像データを画像データBとする(ステップ615)。画像データBの取得は全て自動で行われる。この画像データBは画像データA取得時と同一の露光時間で取得する。
【0062】
さらに画像処理装置15のメモリ15−2に画像データBが伝送され(ステップ616)、画像データAと画像データBの画像処理を行う。
図11は、この画像処理装置15における画像処理の一例を示す概念図である。
【0063】
この画像処理は、画像処理装置15で、画像データA(標本1が写っているシャーレ103の画像)から、画像データB(標本1が写っていないシャーレ103の画像)を差し引く。ここで、ただ差し引くだけでは標本1のみの画像(純標本画像A2)となってしまうので、画像処理装置15は画像データBのそれぞれのピクセル毎の階調を例えば95%に減らした画像データB1を生成し(ステップ617)、この画像データB1を画像データAから差し引く(ステップ618)。よってシャーレ103の外形(外枠部103a)の画像の階調が5%の、標本1が写っているシャーレ103の全体画像が取得できる。この画像データを画像データA1とする(ステップ619)。
【0064】
この画像データA1は、対物レンズ、プリズム等の光学系や、シャーレ103の自家蛍光や、シャーレ103に付着したゴミを殆ど除いた画像となる。よって標本1がシャーレ103のどの位置にあるか分かるシャーレ103の全体像を画像データA1として取得できる。
【0065】
そして、この画像データA1を操作端末11へ転送してモニタ12に表示する(ステップ620)。よってシャーレ103のどの位置に標本があるかを検鏡者は、画像データA1を参照することで判別できる。この画像データA1の取得も全て自動で行われる。
【0066】
ここで、シャーレ103がもしプラスチック製でなく、ガラス製の場合は設定されたしきい値15−2aより自家蛍光量403が低いため、演算は不要と判断され(ステップ613)、画像データAと画像データBの演算は行われない。その場合は、画像データBの取得などの画像データAが取得された以降の駆動は行われず、画像データAが、そのままモニタ12に表示される(ステップ621)。
【0067】
また、本装置は常にステージ102のXY方向の位置情報を、制御装置10を介し操作端末11に転送する。前述の通り、ステージ102のXY方向の位置情報とは光軸0に対しての位置を示している。また制御装置10内の記憶部10eに、テーブル移動パラメータテーブル500として上述のように登録されている、撮影倍率501と画像データA1のピクセル数(画像解像度502)との関係から画像データA1の何ピクセル分がステージ102のXY方向において何mmになるか(テーブル移動換算値503)を得ることができる。
【0068】
よってステージ102のXY方向の位置情報と、撮影倍率情報とから、画像データA1のピクセルとステージの移動量を画像処理装置15に転送し、画像処理装置15で光軸0位置を示す矢印などのポインタ13bと画像データA1を重ね合わせる。その後、画像処理装置15から操作端末11へ転送する事で、モニタ12上の画像データA1にポインタ13bで光軸0の位置を示すことができる。
【0069】
また、モニタ12に表示された画像データA1上のポインタ13bをマウス13で動かした場合には、画像データA1上のポインタ13bの移動したピクセル数の情報を制御装置10に転送する。制御装置10内の記憶部10eに登録してある画像データA1のピクセル数とステージ102のXY方向の移動量の関係(テーブル移動換算値503)から、ステージ102の駆動量をステージ102に命令する。またステージ102のXY方向の位置情報は制御装置10を介し操作端末11に転送できる。よって画像データA1上のポインタ13bの移動とステージ102を連動させることが可能である。
【0070】
高倍で観察する場合は、検鏡者は画像データA1を確認して見たい位置を決める。マウス13、キーボード14を操作してポインタ13bを見たい位置に移動させる。前述の通り、ポインタ13bの移動とステージの移動は連動しているので、ポインタ13bで指定した位置に対応するシャーレ103の位置が光軸0上に移動する。ここでマウス13、キーボード14を操作して、対物レンズ104を光軸0上に入れて観察を行う。
【0071】
一方、シャーレ103ではなくウエルプレート17を用いた時の検鏡を説明する。ウエルプレート17をウエルプレートホルダ18にはめ込み、ウエルプレートホルダ18を上ステージ102dに置く。この時、磁石18aの磁性をホール素子102gが受けて、ステージ制御基板102fはホール素子の通電情報からウエルプレート17の外形情報402を選定し、制御装置10へ転送する。送られたシャーレ103の外形情報402は記憶部10eに保存される。ここでウエルプレート17の外形情報402からカメラ撮影時のステージ102の走査範囲が決定される。ウエルプレートホルダ18の開口部18cは十分大きく構成されているので、ステージ102の走査により対物レンズ104−1でウエルプレート17の全体像を取得できる。
【0072】
その他のここから画像データA1の取得までの流れはシャーレ103の場合と同様であるので説明は省略する。
上記説明で標本保持部材の全体像と述べているのは、正確には標本保持部材ホルダの下側開口部であるが、標本と標本保持部材の位置関係を確認する用途においては全く差し支えない。
【0073】
この構成により以下の効果がある。シャーレ103、ウエルプレート17のそれぞれに専用のシャーレホルダ16、ウエルプレートホルダ18等の標本保持部材ホルダを設け、可能な限り標本保持部材ホルダの下側の開口を大きくしたことと、部分画像A0、部分画像B0等の画像の接ぎ合わせ機能とにより、下側の対物レンズで、シャーレ103、ウエルプレート17等の標本保持部材の全体画像(画像データA、画像データB)を取得できる。
【0074】
画像処理により、対物レンズ、プリズムなどの観察光学系と標本保持部材の自家蛍光や、標本保持部材に付着したゴミを除いた画像(画像データA1)を得ることができる。つまり標本1の位置が分かる標本保持部材の全体の画像(画像データA1)を得る事ができる。
【0075】
シャーレ103、ウエルプレート17という外形の異なる標本保持部材を、標本保持部材ホルダ毎により異なるホール素子の通電情報と、ホール素子の通電情報と標本保持部材の外形情報との対応表(外形判別テーブル400)と、その対応表から標本保持部材の外形情報402を選定することで選別し、撮像手順を制御することで、効率よく、シャーレ103、ウエルプレート17等の標本保持部材の画像(画像データB)を得る事ができる。
【0076】
また、予め、画像処理装置15に自家蛍光の値をしきい値15−2aとして設定することで、画像処理装置15が、ガラスディッシュとプラディッシュなどの標本保持部材(シャーレ103)の自家蛍光量の違いを判別し、画像データA−画像データB1等の画像処理の要否を選択し、不要な時は画像処理を行わないことも効率向上に寄与する。
【0077】
シャーレ103やウエルプレート17等の標本保持部材の画像処理後の画像(画像データA1)と倒立顕微鏡100の光軸0とを表示し、画像データA1に対して光軸0の位置を指定するとステージ102が連動することで、効率よく標本を探して細部まで観察することができる。
【0078】
なお、本実施の形態では標本保持部材としてシャーレ103、ウエルプレート17の場合を説明したが、同じ手順でスライドガラス、フラスコなど標本保持部材の場合でも同様の効果が得られる。またホール素子を用いた標本保持部材の認識方法を示したが、これに限定せずバーコードなど光学的に認識するコードを用いたり、標本保持部材ホルダ毎に異なる突起を設けて、突起が圧電素子を押す構造にしても良い。また、標本保持部材に識別部を付加してステージで識別部を認識する構成にしても良い。
【0079】
さらに、標本保持部材の種類情報を検鏡者が、たとえば操作端末11から入力して、その情報を元に撮像手順を制御しても良い。
また標本保持部材の画像が全く不要で、接ぎ合わせた画像に標本のみ表示したい場合は画像処理において、画像処理装置15の設定を変更し、差し引く画像の階調を減らさずに100%の階調(画像データBのまま)で画像処理を行えば良い。このとき、差し引く側(画像データB)と差し引かれる側(画像データA)の標本保持部材全体の画像、観察光学系と標本保持部材の自家蛍光や、標本保持部材に付着したゴミの画像は同一である。よってそれらを差し引く事により標本のみの画像を得ることもできる。この画像を純標本画像A2(図11参照)と定義する。
【0080】
さらに上述の純標本画像A2を用いた、以下のような画像表示方法も考えられる。すなわち、画像処理装置15のメモリ15−2に、標本保持部材の外形や、穴や穴間などを模式的に書いた擬似的な標本保持部材の画像(標本保持部材疑似画像データ510)を登録しておき、標本保持部材の外形情報402から標本保持部材の標本保持部材疑似画像データ510を選定できるようにしておく。
【0081】
そして標本保持部材を設置したときに選定した標本保持部材の標本保持部材疑似画像データ510と、上述の画像処理によって取得した純標本画像A2とを、再度画像処理により重ね合わせる。これにより、先ほど述べた自家蛍光やゴミ像が全くなく、標本保持部材上のどの位置に標本1があるかわかる標本保持部材全体像を取得することができる。
【0082】
また、観察光学系と標本保持部材の自家蛍光や標本保持部材に付着したゴミを除いた標本保持部材の全体の画像(画像データA1)を使用することで、例えば、標本保持部材がウエルプレート17であった場合は、全体の画像の階調を認識することで標本を生やすためのウエル17a(穴)の数や、個々のウエル17aの間の距離の情報を得ることができる。さらに取得したウエル17aの数、ウエル17aの間の距離情報を制御装置10に転送することで、個々のウエル17aごとの撮像なども可能になる。
【0083】
図12は第1の実施の形態の倒立顕微鏡100の変形例を示す側面図である。図12において、対物レンズ104など図1と同一符号のものの構成と機能は同一であるので、同一の符号を付して説明を省略する。また、リレーレンズ群113から接眼レンズ116までの構成は図1と同一であるが紙面のスペース上、図を省略してある。本変形例の倒立顕微鏡本体101−1は最低倍率が1×程度の対物レンズ104−1からなる観察光学系と、最低倍率が0.07×程度のマクロ対物レンズ204、マクロ対物レンズ204−1からなるマクロ観察光学系を具備している。
【0084】
マクロ対物レンズ204はシャーレ103の全体像が写り、マクロ対物レンズ204−1はウエルプレート17の全体像が写るような倍率と開口数で構成されている。このマクロ対物レンズ204、204−1はレボルバ105を回転させることにより選択的に光軸0−1上に配置されるようになっている。
【0085】
レボルバ保持台206は図示されないラック-ピニオン機構により光軸0−1方向の直線運動ができる。レボルバ205、レボルバ保持台206、ミラーカセット211は図示されないモータを具備している。
【0086】
励起フィルタ211a、ダイクロイックミラー211b及び吸収フィルタ211cはミラーユニット211dに固定されている。ミラーユニット211dは図示されないモータによりミラーカセット211内で光軸0−1上に挿脱可能に構成されている。またミラーカセット211には光源108aからの照明光の光線を広げるためのレンズ211fが具備されている。
【0087】
倒立顕微鏡本体101−1は結像レンズ210、ミラー212bを持ち、マクロ対物レンズ204が取りこんだ標本1からの光をプリズム120−1に出射できる。プリズム120−1はミラー212bからの光を図12の紙面手前方向に偏向できるようになっている。さらに倒立顕微鏡本体101−1はプリズム120−2を持ち、ミラー212bからの光をミラー112方向へ偏向できる。プリズム120、120−1、120−2は同一のプリズムユニットに固定されている。プリズムユニットも図示されないモータを具備している。また、ミラー212aにより、対物レンズ104、マクロ対物レンズ204からの観察像を接眼レンズにて観察することができる。
【0088】
ステージ102−1は光軸0、光軸0−1それぞれを中心としてウエルプレート17の全周を移動することが可能である。
図13に例示されるように、本変形例では、記憶部10eには、上述の外形情報402、テーブル移動パラメータテーブル500の他に、標本保持部材疑似画像データ510と、マクロ対物レンズ登録テーブル520が格納されている。
【0089】
標本保持部材疑似画像データ510は、シャーレ103や、ウエルプレート17の輪郭画像データであり、上述のように、標本1の画像に合成するために用いられる。
マクロ対物レンズ登録テーブル520は、外形情報521(外形情報402)とマクロ対物レンズ名522が対応付けて格納されており、後述のように、シャーレ103やウエルプレート17等のサイズに応じて全体画像の撮影に用いるべきマクロ対物レンズ204が登録されている。
【0090】
すなわち、マクロ対物レンズ登録テーブル520には、標本保持部材の外形情報毎(外形情報521、外形情報402)に、どのマクロ対物レンズ(マクロ対物レンズ名522)を光軸0−1上に挿入するかの情報が、設定されている。
【0091】
本実施の形態における制御系の接続構成は以下の通りである。レボルバ205、レボルバ保持台206、ミラーカセット211、プリズムユニットのそれぞれの図示されないモータは、ケーブルにより本体制御基板101cに接続されている。
【0092】
検鏡時はシャーレ103をシャーレホルダ16にはめ込み、シャーレホルダ16を上ステージ102dに置く。このシャーレ103の外形情報402は第1の実施の形態と同様に制御装置10の記憶部10eに保存される。記憶部10eで選定されたマクロ対物レンズの種類情報(マクロ対物レンズ名522)から、制御装置10はマクロ対物レンズ204を光軸0−1上に挿入させる。またシャーレ103の外形情報402が制御装置10に転送されると、制御装置10はステージ102の中心を光軸0−1上に移動させる。また制御装置10は光源108aからの光をレンズ211fに投光できるようにミラーユニット111dを光軸0から退避させる。このマクロ対物レンズの選定と、選定されたマクロ対物レンズの光軸0−1上への挿入、ステージ102中心の光軸0−1への移動、ミラーユニット111dの退避は制御装置10に標本保持部材の外形情報が転送される毎に、マクロ対物レンズ登録テーブル520を参照して行われる。
【0093】
次に検鏡者はマウス13、キーボード14を操作して操作端末11から制御装置10を動作させ、プリズム120−2を光軸0上に入れて接眼レンズ116に観察像が出射されるようにする。光源108aを出た光線は励起フィルタ211aを通り、ダイクロイックミラー211bで反射されてマクロ対物レンズ204を通りシャーレ103内の標本1に照射される。
【0094】
そして標本1で励起された蛍光はマクロ対物レンズ204、ダイクロイックミラー211b、吸収フィルタ211c、結像レンズ210を通る。その後、蛍光はミラー212b、プリズム120−2、ミラー112、ミラー212aで反射されて、リレーレンズ群113、プリズム115を通り接眼レンズ116で観察される。
【0095】
このとき標本1が検鏡者の所望のピント位置でない場合は、検鏡者がマウス13やキーボード14を操作して操作端末11から制御装置10を動作させ、その情報からレボルバ保持台206、レボルバ205、及びマクロ対物レンズ204を光軸0−1方向に移動させ、検鏡者が所望のピント位置に移動させる。
【0096】
次に上述と同様の操作でプリズム120−1を光軸0上に配置する。検鏡者はマウス13やキーボード14を操作して操作端末11から制御装置10を動作させ、シャーレ103内の標本1からの光をカメラ123で撮像する。ここで撮影が終了したという信号がカメラ123から制御装置10に送られる。この撮影終了信号がトリガーとなり、撮像した画像データは操作端末11へ自動転送される、さらに画像処理装置15へ自動転送される。よって標本1が写っているシャーレ103の全体画像を取得できる。この画像を画像データAとする。
【0097】
その後、標本1がマクロ対物レンズ204の焦点深度外になる位置にマクロ対物レンズ204を移動させる。この位置はシャーレ103の観察像は見える。標本1の光軸0−1方向の厚さに対して標本保持部材の光軸0−1方向の厚さは十分厚いので、シャーレ103の観察像は消えない。よって標本1を含まないシャーレ103の全体画像を取得できる。この画像データを画像データBとする。画像データBの取得は全て自動で行われる。
【0098】
ここから画像データA1の取得までの流れは第1の実施の形態と同様であるので説明は省略する。画像データA1の取得後、操作端末11は画像データA1を取得したというA1画像取得情報を制御装置10へ伝送する。A1画像取得情報を受けた制御装置10はステージ102の中心を光軸0上に移動させる。
【0099】
標本保持部材がガラスディッシュであった場合は、しきい値により画像処理を行わなかったというA1画像未取得情報を制御装置10へ転送する。A1画像未取得情報を受けた制御装置はステージ102の中心を光軸0上に移動させる。その後の、画像データBの取得などの画像データAが取得された以降の駆動は行われず、画像データAがそのままモニタ12に表示される。
【0100】
高倍で観察する場合も第1の実施の形態と同様であるので説明は省略する。
一方、シャーレ103ではなくウエルプレート17を用いた時の検鏡を説明する。ウエルプレート17をウエルプレートホルダ18にはめ込み、ウエルプレートホルダ18を上ステージ102dに置く。ウエルプレート17の外形情報402は第1の実施の形態と同様に制御装置10に伝送される。制御装置10内の記憶部10eのマクロ対物レンズ登録テーブル520で選定されたマクロ対物レンズの種類情報から制御装置10はマクロ対物レンズ204−1を光軸0−1上に挿入させる。
【0101】
その後の画像データA1の取得までの流れは上述と同様であるので説明を省略する。
このような変形例の構成により以下の効果がある。接ぎ合わせでない標本保持部材の全体画像(画像データA、画像データB)を取得できる。そのため全体画像の信頼性が接ぎ合わせ画像より高い。その他の効果は第1の実施の形態と同様である。
【0102】
また、本変形例では、シャーレ103、ウエルプレート17の標本保持部材の全体像を取得するために複数のマクロ対物レンズを用いたが、1本のマクロ対物レンズと変倍光学系の組み合わせでも良い。さらに標本1の画像を含まない標本保持部材画像を取得するときに、レボルバ保持台206を動かしたが、図12の紙面鉛直方向の移動機構を備えたカメラ123を、制御装置10から移動させて、標本を含まない標本保持部材の画像を取得しても良い。
【0103】
(第2の実施の形態)
図14は本発明の第2の実施の形態である倒立顕微鏡におけるステージを示す斜視図である。この図14において、ステージ102の台座102a、中ステージ102bなどは上述の第1の実施の形態で述べた内容と同一のものなので重複した説明は省略する。
【0104】
本実施の形態のステージ102の場合、上ステージ102dには軸方向に可動なシャフト301の長手方向の挿脱変位量により出力電圧が変化する圧電素子を備えた標本保持部材判別機構300が配置されている。
【0105】
標本保持部材判別機構300は内部にバネなどの弾性体があり、常にシャフト301を開口部102hの中心に押している。また標本保持部材判別機構300とシャフト301には、シャフト301が回転しないように図示されないキー溝が設けられている。
【0106】
シャフト301の先端には標本保持部302があり、その標本保持面の下部には凸部303が設けられている。標本保持部材判別機構300、シャフト301、標本保持部302はステージ102の中心を挟んで対向する2箇所の位置に設けられており、シャーレ103、ウエルプレート17等の標本保持部材を挟みこむことができる。
【0107】
また標本保持部材判別機構300とステージ制御基板102f−1は図示されないケーブルで接続され、ステージ制御基板102f−1は制御装置10にケーブル10aで接続されている。ステージ制御基板102f−1は、上述の図4に例示したステージ制御基板102fと同様に、演算部102f−3、および記憶部102f−4を備えている。
【0108】
そして、図15に例示されるように、ステージ制御基板102f−1の記憶部102f−4には、複数の標本保持部材の外形情報が、外形判別テーブル530として登録されている。外形判別テーブル530は、個々のシャーレ103やウエルプレート17の外形寸法に応じて出入りするシャフト301の変位量に応じて標本保持部材判別機構300の圧電素子等の変位−電圧(電気信号)変換素子に発生する電圧値531と、外形情報532(外形情報402)が対応付けられて格納されている。
【0109】
そして、シャフト301の押圧力(変位量)に対して、標本保持部材判別機構300内の圧電素子が電圧を発生し、電圧値531をステージ制御基板102f−1に伝送することで標本保持部材の外形情報532(外形情報402)が選定できるようになっている。
【0110】
検鏡時はシャーレ103の中心と開口部102hの中心を概略合わせて、シャフト301を開口部102hの中心と反対側に押しながら左右の凸部303に載せる。この時、シャフト301は常に開口部102hの中心方向へ押圧しているので、シャーレ103を落下することなく保持できる。
【0111】
シャフト301の標本保持部材判別機構300に対する押圧量(押し込み量)に対して、標本保持部材判別機構300内の圧電素子が電圧を発生しステージ制御基板102f−1に電圧値531を伝送する。
【0112】
上述のように演算部102f−3は標本保持部材判別機構300からの圧電素子の電圧値531が入力されると、記憶部102f−4の圧電素子の電圧値と標本保持部材の外形情報との対応表(外形判別テーブル530)を参照し、標本保持部材の外形情報532(外形情報402)を出力できる。よってステージ制御基板102f−1は、標本保持部材判別機構300のそれぞれの圧電素子の電圧値531からシャーレ103の外形情報532(外形情報402)を選定し、制御装置10へ転送する。送られたシャーレ103の外形情報402は記憶部10eに保存される。
【0113】
これ以降の作用は第1の実施の形態の場合と同様であるので説明は省略する。
シャーレ103でなくウエルプレート17を用いた時も同様に、ウエルプレート17の中心と開口部102hの中心を概略合わせて、シャフト301を開口部102hの中心と反対側に押しながら左右の凸部303に載せる。これ以降の作用はシャーレの場合と同様であるので説明は省略する。
【0114】
この本第2の実施の形態の倒立顕微鏡におけるステージ102の構成により、以下の効果がある。第1の実施の形態と同じ効果が得られるとともに、さらに、シャーレ103、ウエルプレート17等の標本保持部材の外形情報532を、標本保持部材判別機構300の圧電素子から出力される電圧値531によって、圧電素子の電圧値と標本保持部材の外形情報との対応表である外形判別テーブル530を参照することによって、その外形判別テーブル530から標本保持部材の外形情報532を選定することで判別する。これにより標本保持部材毎の、シャーレホルダ16、ウエルプレートホルダ18等のホルダを用意する必要がなく、安価に倒立顕微鏡100を構成できる。
【0115】
本発明の上述の各実施の形態によって得られる効果を列記すれば以下の通りである。
(1).画像処理により、顕微鏡の観察光学系と標本保持部材の自家蛍光や、標本保持部材に付着したゴミを除いた、標本画像を取得できる。
(2).(1)の効果に加え、標本が写っていない画像を用いて画像処理を行うのでより効果的に、顕微鏡の観察光学系と標本保持部材の自家蛍光や、標本保持部材に付着したゴミを除いた、標本画像を取得できる。
(3).(1)の効果に加え、標本が写っている標本保持部材全体の画像を取得できる。
(4).(3)の効果に加え、標本保持部材の種類を識別した結果を元に顕微鏡を自動で駆動させるので、効率よく標本保持部材全体の画像を取得できる。
(5).(3)の効果に加え、識別手段を設けないために、安価に顕微鏡装置を構成できるという効果が得られる。また既存でない新しい標本保持部材を用いる時も対応が容易であるので汎用性が高い。
(6)また自家蛍光の量が多いか少ないか判別ができ、自家蛍光が少ない場合は画像処理が不要であるので処理を行わないようにできる。よってより効率的に検鏡者は観察できる。
(7).(3)の効果に加え、前記標本保持部材全体画像が接ぎ合わせ画像でないため、画像の接ぎ合わせ時のエラーがなく画像の信頼性が高い。
(8).(4)の効果に加え、標本保持部材ホルダがないため、安価に顕微鏡装置を構成できるという効果が得られる。
(9).(4)の効果に加え、識別部がなく、認識部の代わりにセンサを用いることで、さらに安価に顕微鏡装置を構成できるという効果が得られる。
【0116】
なお、本発明は、上述の実施の形態に例示した構成に限らず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【0117】
(付記1)
標本を保持する標本保持部材の種別を認識する第1ステップと、
前記標本保持部材の種別に応じて、前記標本保持部材の全体が写っている標本保持部材全体画像および前記標本の画像を含む第1画像と、前記標本保持部材全体画像のみを含む第2画像を取得する第2ステップと、
前記第1画像と第2画像とに基づいて、前記標本以外の自家蛍光を除去したマクロ観察画像を得る第3ステップと、
を含むことを特徴とする顕微鏡装置の制御方法。
【0118】
(付記2)
付記1記載の顕微鏡装置の制御方法において、
前記第2ステップでは、前記標本に対する観察光学系の合焦点位置で前記第1画像を取得し、前記標本を前記観察光学系の焦点深度外においた状態で前記第2画像を取得することを特徴とする顕微鏡装置の制御方法。
【0119】
(付記3)
付記1記載の顕微鏡装置の制御方法において、
前記第2ステップでは、観察光学系で得られる複数の部分画像を接ぎ合わせて前記第1および第2画像を構成することを特徴とする顕微鏡装置の制御方法。
【0120】
(付記4)
付記1記載の顕微鏡装置の制御方法において、
前記第2ステップでは、観察光学系として、前記標本保持部材全体画像を1度に取得できる倍率のマクロ光学系を用いて前記第1および第2画像を取得することを特徴とする顕微鏡装置の制御方法。
【0121】
(付記5)
付記1記載の顕微鏡装置の制御方法において、
前記第3ステップでは、前記第1画像と、階調補正した前記第2画像との差分から、前記標本保持部材の輪郭画像と前記標本の画像を含む前記マクロ観察画像を得ることを特徴とする顕微鏡装置の制御方法。
【0122】
(付記6)
付記1記載の顕微鏡装置の制御方法において、
前記第3ステップでは、前記第1画像と前記第2画像との差分として得られた前記標本の画像のみを含む純標本画像に対して、前記標本保持部材の擬似的な輪郭画像を合成することで、前記マクロ観察画像を得ることを特徴とする顕微鏡装置の制御方法。
【0123】
(付記7)
付記1記載の顕微鏡装置の制御方法において、
さらに、前記マクロ観察画像をユーザに提示し、当該マクロ観察画像内でポインタにて指定された位置を観察光学系の光軸上に移動させる第4ステップを含むことを特徴とする顕微鏡装置の制御方法。
【0124】
(付記8)
標本を保持する標本保持部材と、前記標本の画像を取得する観察光学系及び撮像装置と、前記観察光学系を構成する対物レンズの合焦点位置で取得した前記標本の画像を含む第1画像と、前記合焦点位置以外で取得した第2画像を用いて、前記標本以外の自家蛍光画像を除去する画像処理装置と、を含むことを特徴とする顕微鏡装置。
【0125】
(付記9)
付記8記載の顕微鏡装置において、
前記第2画像は、前記標本が前記対物レンズの焦点深度外の位置にある状態で取得されることを特徴とする顕微鏡装置。
【0126】
(付記10)
付記8または付記9記載の顕微鏡装置において、
前記第1および第2画像は、前記標本保持部材の全体が写っている標本保持部材全体画像を含むことを特徴とする顕微鏡装置。
【0127】
(付記11)
付記10記載の顕微鏡装置において、
さらに、前記標本保持部材の種類を識別する識別手段と、前記識別手段の識別結果により、前記観察光学系における前記標本保持部材全体画像を含む前記第1および第2画像の取得動作を制御する制御手段と、を含むことを特徴とする顕微鏡装置。
【0128】
(付記12)
付記10記載の顕微鏡装置において、
さらに、前記標本保持部材の種類を入力する入力手段と、前記入力手段の入力結果により、前記観察光学系における前記標本保持部材全体画像を含む前記第1および第2画像の取得動作を制御する制御手段と、を含むことを特徴とする顕微鏡装置。
【0129】
(付記13)
付記11または付記12記載の顕微鏡装置において、
前記観察光学系における対物レンズを、前記制御手段で光軸方向に移動させ前記撮像装置で前記第1および第2画像を取得することを特徴とする顕微鏡装置。
【0130】
(付記14)
付記8記載の顕微鏡装置において、
前記画像処理装置は、前記合焦点位置で取得した前記第1画像の階調と、既定のしきい値とを比較し、前記自家蛍光画像を除去するための前記第2画像との演算の要否を判断する判断機能を備えたことを特徴とする顕微鏡装置。
【0131】
(付記15)
付記10、付記11、付記12のいずれか1項に記載の顕微鏡装置において、
前記標本保持部材全体画像を含む前記第1および第2画像は、前記撮影装置により取得した複数の部分画像を接ぎあわせて構成されることを特徴とする顕微鏡装置。
【0132】
(付記16)
付記10、付記11、付記12のいずれか1項に記載の顕微鏡装置において、
前記観察光学系は、前記標本保持部材全体画像を含む前記第1および第2画像を1度に取得できる倍率のマクロ光学系であり、前記マクロ光学系と前記撮像装置で前記標本保持部全体画像を含む前記第1および第2画像を取得することを特徴とする顕微鏡装置。
【0133】
(付記17)
付記11記載の顕微鏡装置において、
前記識別手段は、個々の前記標本保持部材を支持する標本保持部材ホルダに設けられ、当該標本保持部材毎に固有な識別部と、前記標本保持部材ホルダを保持するホルダ保持部材に設けられ、前記識別部を認識する認識部とを含むことを特徴とする顕微鏡装置。
【0134】
(付記18)
付記11記載の顕微鏡装置において、
前記識別手段は、前記標本保持部材に設けられ、当該標本保持部材毎に固有な識別部と、前記標本保持部材が載置される顕微鏡ステージに設けられ、前記識別部を認識する認識部とを含むことを特徴とする顕微鏡装置。
【0135】
(付記19)
付記11記載の顕微鏡装置において、
前記識別手段は、前記標本保持部材が載置される載置部に設けられ、当該標本保持部材の大きさを検出することで当該標本保持部材の種類を識別するセンサであることを特徴とする顕微鏡装置。
【0136】
(付記20)
付記11または付記12記載の顕微鏡装置において、
前記制御手段は、前記観察光学系を構成する複数の対物レンズを切り換える切換部と、前記標本保持部材が支持される顕微鏡ステージと、前記対物レンズを光軸方向に移動させる焦準部とを含むことを特徴とする顕微鏡装置。
【図面の簡単な説明】
【0137】
【図1】本発明の顕微鏡装置の制御方法を実施する顕微鏡装置の一実施の形態である倒立顕微鏡の構成の一例を示す側面図である。
【図2】本発明の一実施の形態である倒立顕微鏡の一部を取り出して示す分解斜視図である。
【図3】本発明の一実施の形態である倒立顕微鏡の一部を取り出して示す分解斜視図である。
【図4】本発明の一実施の形態である倒立顕微鏡のステージ制御基板の構成例を示す概念図である。
【図5】本発明の一実施の形態である倒立顕微鏡の制御系の接続関係の一例を示すブロック図である。
【図6】本発明の一実施の形態である倒立顕微鏡の制御装置の構成例を示す概念図である。
【図7】本発明の一実施の形態である倒立顕微鏡の作用の一例を示すフローチャートである。
【図8】本発明の一実施の形態である倒立顕微鏡内の各構成要素間における情報の授受を例示したシーケンス図である。
【図9】本発明の一実施の形態である倒立顕微鏡におけるマクロ観察画像の部分画像の撮影方法の一例を示す概念図である。
【図10】本発明の一実施の形態である倒立顕微鏡における画像処理装置の構成例を示す概念図である。
【図11】本発明の一実施の形態である倒立顕微鏡における画像処理装置における画像処理の一例を示す概念図である。
【図12】本発明の一実施の形態である倒立顕微鏡の変形例を示す側面図である。
【図13】本発明の一実施の形態である倒立顕微鏡の制御装置の変形例を示す概念図である。
【図14】本発明の第2の実施の形態である倒立顕微鏡におけるステージを示す斜視図である。
【図15】本発明の第2の実施の形態である倒立顕微鏡におけるステージ制御基板の構成例を示す概念図である。
【符号の説明】
【0138】
0 光軸
0−1 光軸
1 標本
10 制御装置
10a ケーブル
10b ケーブル
10c ケーブル
10d ケーブル
10e 記憶部
11 操作端末
12 モニタ
12a ケーブル
13 マウス
13a ケーブル
13b ポインタ
14 キーボード
14a ケーブル
15 画像処理装置
15−1 演算部
15−2 メモリ
15−2a しきい値
15a ケーブル
16 シャーレホルダ
16a 磁石
16b 段付部
16c 開口部
17 ウエルプレート
17a ウエル
18 ウエルプレートホルダ
18a 磁石
18b 段付部
18c 開口部
100 倒立顕微鏡
101 倒立顕微鏡本体
101−1 倒立顕微鏡本体
101c 本体制御基板
102 ステージ
102−1 ステージ
102a 台座
102b 中ステージ
102c モータ
102d 上ステージ
102e モータ
102f ステージ制御基板
102f−1 ステージ制御基板
102f−3 演算部
102f−4 記憶部
102g ホール素子
102g−1 ホール素子
102g−2 ホール素子
102h 開口部
102i 凹部
102j ガイド部
102j−1 凹部
102k ガイド
102k−1 凹部
103 シャーレ
103a 外枠部
104 対物レンズ
104−1 対物レンズ
104−2 対物レンズ
105 レボルバ
106 レボルバ保持台
107 回転焦準部
107a 回転焦準ノブ
108 ランプハウス
108a 光源
109 投光管
110 結像レンズ
111 ミラーカセット
111a 励起フィルタ
111b ダイクロイックミラー
111c 吸収フィルタ
111d ミラーユニット
112 ミラー
113 リレーレンズ群
114 鏡筒
115 プリズム
116 接眼レンズ
117 ランプハウス
117a 光源
118 透過照明支柱
118a ミラー
118b ハンドル
119 コンデンサ
120 プリズム
120−1 プリズム
120−2 プリズム
121 穴
122 円筒部
123 カメラ
123a ケーブル
204 マクロ対物レンズ
204−1 マクロ対物レンズ
205 レボルバ
206 レボルバ保持台
210 結像レンズ
211 ミラーカセット
211a 励起フィルタ
211b ダイクロイックミラー
211c 吸収フィルタ
211d ミラーユニット
211f レンズ
212a ミラー
212b ミラー
300 標本保持部材判別機構
301 シャフト
302 標本保持部
303 凸部
400 外形判別テーブル
401 通電情報
402 外形情報
403 自家蛍光量
500 テーブル移動パラメータテーブル
501 撮影倍率
502 画像解像度
503 テーブル移動換算値
510 標本保持部材疑似画像データ
520 マクロ対物レンズ登録テーブル
521 外形情報
522 マクロ対物レンズ名
530 外形判別テーブル
531 電圧値
532 外形情報
A0 部分画像
A 画像データ(第1画像)
A1 画像データ(マクロ観察画像)
A2 純標本画像
B0 部分画像
B 画像データ(第2画像)
B1 画像データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
標本を保持する標本保持部材の種別を認識する第1ステップと、
前記標本保持部材の種別に応じて、前記標本保持部材の全体が写っている標本保持部材全体画像および前記標本の画像を含む第1画像と、前記標本保持部材全体画像のみを含む第2画像を取得する第2ステップと、
前記第1画像と第2画像とに基づいて、前記標本以外の自家蛍光を除去したマクロ観察画像を得る第3ステップと、
を含むことを特徴とする顕微鏡装置の制御方法。
【請求項2】
請求項1記載の顕微鏡装置の制御方法において、
前記第2ステップでは、前記標本に対する観察光学系の合焦点位置で前記第1画像を取得し、前記標本を前記観察光学系の焦点深度外においた状態で前記第2画像を取得することを特徴とする顕微鏡装置の制御方法。
【請求項3】
請求項1記載の顕微鏡装置の制御方法において、
前記第2ステップでは、観察光学系で得られる複数の部分画像を接ぎ合わせて前記第1および第2画像を構成することを特徴とする顕微鏡装置の制御方法。
【請求項4】
請求項1記載の顕微鏡装置の制御方法において、
前記第2ステップでは、観察光学系として、前記標本保持部材全体画像を1度に取得できる倍率のマクロ光学系を用いて前記第1および第2画像を取得することを特徴とする顕微鏡装置の制御方法。
【請求項5】
請求項1記載の顕微鏡装置の制御方法において、
前記第3ステップでは、前記第1画像と、階調補正した前記第2画像との差分から、前記標本保持部材の輪郭画像と前記標本の画像を含む前記マクロ観察画像を得ることを特徴とする顕微鏡装置の制御方法。
【請求項6】
請求項1記載の顕微鏡装置の制御方法において、
前記第3ステップでは、前記第1画像と前記第2画像との差分として得られた前記標本の画像のみを含む純標本画像に対して、前記標本保持部材の擬似的な輪郭画像を合成することで、前記マクロ観察画像を得ることを特徴とする顕微鏡装置の制御方法。
【請求項7】
請求項1記載の顕微鏡装置の制御方法において、
さらに、前記マクロ観察画像をユーザに提示し、当該マクロ観察画像内でポインタにて指定された位置を観察光学系の光軸上に移動させる第4ステップを含むことを特徴とする顕微鏡装置の制御方法。
【請求項8】
標本を保持する標本保持部材と、前記標本の画像を取得する観察光学系及び撮像装置と、前記観察光学系を構成する対物レンズの合焦点位置で取得した前記標本の画像を含む第1画像と、前記合焦点位置以外で取得した第2画像を用いて、前記標本以外の自家蛍光画像を除去する画像処理装置と、を含むことを特徴とする顕微鏡装置。
【請求項9】
請求項8記載の顕微鏡装置において、
前記第2画像は、前記標本が前記対物レンズの焦点深度外の位置にある状態で取得されることを特徴とする顕微鏡装置。
【請求項10】
請求項8または請求項9記載の顕微鏡装置において、
前記第1および第2画像は、前記標本保持部材の全体が写っている標本保持部材全体画像を含むことを特徴とする顕微鏡装置。
【請求項11】
請求項8記載の顕微鏡装置において、
前記画像処理装置は、前記合焦点位置で取得した前記第1画像の階調と、既定のしきい値とを比較し、前記自家蛍光画像を除去するための前記第2画像との演算の要否を判断する判断機能を備えたことを特徴とする顕微鏡装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図9】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−64977(P2008−64977A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−241783(P2006−241783)
【出願日】平成18年9月6日(2006.9.6)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】