説明

類似症例閲覧システム、類似症例閲覧方法

【課題】医療機関に適する類似症例閲覧システム等を提供する。
【解決手段】
読影端末10は、医用画像データベースサーバ210より取得した医用画像を基に医用診断レポートを作成する。医用診断レポートサーバ100は、前記医用診断レポートに対応するベクトル空間モデルを作成して類似する医用診断レポートを検索する類似症例検索部115と、類似する医用診断レポートの閲覧履歴を記録管理する類似症例閲覧履歴記録部116と、類似する医用診断レポートの閲覧元となる医用診断レポートの情報を前記読影端末に表示する類似症例閲覧履歴表示部117を有し、診断画像や医用診断レポートなどの症例集の検索・閲覧を効率的に行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機関等に適する類似症例閲覧システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
医療機関等において、医用画像撮影装置によって撮影された医用画像の解析を行い、画像の特徴を記録するとともに、これらの特徴から診断される病名などを記録したレポートは「医用診断レポート」と呼ばれる。読影医は、画像解析に基づく医用診断レポートの作成を専門に行う。近年、読影医が医用診断レポートを作成する際に、類似する症例を過去の診断画像およびレポートから検索して閲覧することが出来る医用診断レポートシステムが実用化されている。
【0003】
例えば、特許文献1の医用診断レポートシステムでは、診断画像に対するメタデータの付与ならびに検索条件の入力が容易で、かつ診断画像やレポートの検索精度が高い技術を提供している。
一方、オンラインショッピングサイト等においては、ユーザが商品を検索する際に、ユーザの指定した商品に似ている商品を検索して結果を表示する類似商品検索の技術が提供されており(例えば、特許文献2)、さらに、該当商品の閲覧者が他の類似商品を閲覧していればその類似商品を提示する技術も実現されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−052544号公報
【特許文献2】特開2004−171051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の医用診断レポートシステムでは、類似する医用診断レポートを提示することはできるが、その類似する医用診断レポートを作成した読影医がどのエビデンスを参考にして、レポートを作成したかを把握することは困難であった。また、特許文献2の類似商品提示技術や類似閲覧商品提示技術では、関連する類似情報を提示可能であるが、閲覧者が何を基にしてその類似情報を閲覧しているか、どこに注目して閲覧しているかの目的を把握するには、いずれも不十分なものであった。
【0006】
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、診断画像や医用診断レポートなどの症例集の検索・閲覧を効率的に行い、医療従事者の負担を軽減するとともに、質の高い医用診断レポートの作成を支援する類似症例閲覧システムおよび類似症例閲覧方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するために、第1の発明は、医用画像を記録管理する医用画像データベースサーバと、前記医用画像に基づいた医用診断レポートを記録管理する医用診断レポートサーバと、読影端末と、からなる類似症例閲覧システムであって、前記読影端末は、前記医用画像データベースサーバに接続し、前記医用画像を取得する取得手段と、前記医用画像に対応する医用診断レポートを作成する作成手段と、前記医用診断レポートサーバに接続し、前記医用診断レポートを検索条件として入力する入力手段と、を備え、前記医用診断レポートサーバは、前記医用診断レポート、前記医用診断レポートの閲覧履歴、及び前記医用診断レポートに類似する医用診断レポートの閲覧履歴を記録管理する記録手段と、前記読影端末より受信した前記医用診断レポートと類似する医用診断レポートを検索する検索手段と、前記の医用診断レポートの前記閲覧履歴より、閲覧対象の医用診断レポートを参照して作成された医用診断レポートを特定し、前記類似する医用診断レポートの閲覧元となる医用診断レポートの情報を前記読影端末に送信する送信手段と、を備え、前記読影端末は、受信した前記類似する医用診断レポートの閲覧元となる医用診断レポートを表示する表示手段、を備えることを特徴とする類似症例閲覧システムである。
【0008】
第2の発明は、医用画像を記録管理する医用画像データベースサーバと、前記医用画像に基づいた医用診断レポート、前記医用診断レポートの閲覧履歴、及び前記医用診断レポートに類似する前記医用診断レポートの閲覧履歴を記録管理する医用診断レポートサーバと、読影端末と、からなる類似症例閲覧システムにおける類似症例閲覧方法であって、前記読影端末が、前記医用画像データベースサーバに接続し、前記医用画像を取得するステップと、前記読影端末が、前記医用画像に対応する医用診断レポートを作成するステップと、前記読影端末が、前記医用診断レポートサーバに接続し、前記医用診断レポートを検索条件として入力するステップと、前記医用診断レポートサーバが、前記読影端末より受信した前記医用診断レポートと類似する医用診断レポートを検索するステップと、前記医用診断レポートサーバが、前記の医用診断レポートの前記閲覧履歴より、閲覧対象の医用診断レポートを参照して作成された医用診断レポートを特定し、前記類似する医用診断レポートの閲覧元となる医用診断レポートの情報を前記読影端末に送信するステップと、前記読影端末が、受信した前記類似する医用診断レポートの閲覧元となる医用診断レポートを表示するステップと、を含むことを特徴とする類似症例閲覧方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、診断画像や医用診断レポートなどの症例集の検索・閲覧を効率的に行い、さらに、類似する医用診断レポートの作成者を特定し読影依頼ができることで、医療従事者の負担を軽減するとともに、質の高い医用診断レポートを作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施の形態における類似症例閲覧システム1の機器構成の一例を示すブロック図
【図2】医用診断レポートサーバ100の構成を示すブロック図
【図3】医用診断レポートサーバ100の制御部102の構成を示すブロック図
【図4】類似症例閲覧システム1における医用診断レポートの作成処理を示すフロー図
【図5】類似症例閲覧システム1におけるベクトル空間モデルの作成処理を示すフロー図
【図6】類似症例閲覧システム1における類似症例の検索処理を示すフロー図
【図7】類似症例閲覧システム1における類似症例閲覧履歴の記録処理を示すフロー図
【図8】類似症例閲覧システム1における類似症例閲覧履歴の表示処理を示すフロー図
【図9】医用診断レポートの一覧画面の表示例
【図10】医用診断レポートの作成画面の表示例
【図11】類似症検索条件設定画面の表示例1
【図12】類似症検索条件設定画面の表示例2
【図13】類似症例検索結果画面の表示例
【図14】類似症例詳細画面の表示例
【図15】類似症例閲覧履歴情報のレコード300を示す図
【図16】第2の実施の形態におけるネットワーク環境の一例
【図17】データセンタ1001内における類似症例閲覧システム1の機器構成の一例
【図18】医療機関内における類似症例閲覧システム1の機器構成の一例
【図19】医療機関で発生した医用画像をデータセンタ1001で保存する処理を示すフロー図
【図20】データセンタ1001で保存した医用画像を基に医用診断レポートを作成する処理を示すフロー図
【図21】医療機関からデータセンタ1001に対して類似症例を検索する処理を示すフロー図
【図22】第3の実施の形態におけるネットワーク環境の一例
【図23】データセンタ3001内における類似症例閲覧システム1の機器構成の一例
【図24】読影機関3005内における類似症例閲覧システム1の機器構成の一例
【図25】データセンタ3001で保存した医用画像を基に医療機関から読影機関3005に読影依頼する処理を示すフロー図
【図26】医用診断レポート読影依頼画面の表示例
【図27】読影依頼された医用画像に対応する医用診断レポートを読影機関3005で作成し医療機関に回答する処理を示すフロー図
【図28】医用診断レポート読影依頼情報の一覧画面の表示例
【図29】医用診断レポート読影依頼回答画面の表示例
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面に基づいて、本発明に係る類似症例閲覧システム等の好適な実施形態について詳細に説明する。
本発明の第1の実施の形態として、図1を参照しながら説明する。
図1に示すように、本発明の類似症例システム1は、医療機関内にあるルータ20とルータ20からネットワーク(LAN:Local Area Network)を介して接続される読影端末10と少なくとも一つ以上の医用画像撮影装置200と、医用画像データベース211を含む医用画像データベースサーバ210と、医用診断レポートデータベース101を含む医用診断レポートサーバ100とから構成される。なお、読影端末10の数は、任意であり、図1に示されるように一つに限られるものではない。
読影端末10は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、およびHDD(Hard Disc Drive)などを実装したコンピュータシステムであり、医用画像データベースサーバ210に接続して医用画像データベース211に保存されている医用画像を取得し、その医用画像に基づく医用診断レポートを作成し、医用診断レポートサーバ100に接続して医用診断レポートデータベース101に保存する。
医用画像撮影装置200は、X線CT装置やMRI装置、超音波診断装置など生体の診断に用いる装置で、CPU、ROM、RAM、およびHDDなどを実装したコンピュータシステムであり、撮影した医用画像を医用画像データベースサーバ210に接続して医用画像データベース211に保存する。
医用画像データベースサーバ210は、CPU、ROM、RAM、およびHDDなどを実装したコンピュータシステムであり、少なくとも一つ以上の医用画像撮影装置200とネットワーク(LAN)を介して接続する。
医用診断レポートサーバ100は、CPU、ROM、RAM、およびHDDなどを実装したコンピュータシステムであり、読影端末10で作成された医用診断レポートを医用診断レポートデータベース101に格納し管理する。
【0012】
なお、図1では読影端末10、医用画像データベースサーバ210、医用診断レポートサーバ100がそれぞれ別の筐体としているが、同じ筐体あるいは一つのコンピュータシステムとして構成されていてもよい。
図2に示すように、医用診断レポートサーバ100は、制御部102と、制御部102に接続されたモニタ103、入力部104、医用診断レポートデータベース101を有している。制御部102については図3にて後述する。モニタ103は、過去に読影を行った医用診断レポート、読影に利用する医用画像および所見箇所を簡略化したシェーマ図など医用情報を表示する。入力部104はキーボード、マウスを含む各種ポインティングデバイス、音声認識に用いるマイクなどの入力手段およびカードリーダ、指紋認証装置などのセキュリティ機器を備えており、操作者は、入力手段およびセキュリティ機器を利用して医用診断レポートサーバにログインする。ログインした操作者は、モニタ103に表示される医用画像を観察し、入力部104を用いて医用診断レポートの所見を入力する。
医用診断レポートデータベース101には、医用診断レポート、医用画像およびシェーマ図など医用情報および操作者のユーザ情報などが予め記憶されており、これらの情報を基に読影医は医用診断レポートを作成する。医用診断レポートデータベース101は、RAID装置に代表されるデータベース装置を保護する機能を持った記憶ドライブや、CD−R,DVD−Rなどのメディアを読み書きすることのできる記憶ドライブが接続されており、これらの記憶ドライブに医用情報および医用診断レポートを保存できる。また、このデータベースは既知のものであって、例えばリレーショナルデータベースなどがあり、ネットワークを介してデータの入出力ができる。なお、複数台の医用診断レポートサーバ100を基幹となる医用診断レポートデータベース101に接続して、情報を共有することもできる。
【0013】
制御部102は、図3に示すように、ログイン処理部111と、レポート選択部112と、レポート作成部113と、ベクトル空間モデル作成部114と、類似症例検索部115と、類似症例閲覧履歴記録部116と、類似症例閲覧履歴表示部117とを有している。
ログイン処理部111は、操作者のログイン情報を基に医用診断レポートデータベース101からユーザ情報を取得する。
レポート選択部112は、医用診断レポートに関連する患者関連情報及びオーダ情報、レポート情報を含むレポートインデックス情報を入力部104又は医用診断レポートデータベース101の少なくとも一方の入力によって一覧表示し操作者に所望の医用診断レポートを選択させる。
レポート作成部113は、診断情報を入力部104又は医用診断レポートデータベース101の少なくとも一方によって入力し医用診断レポートを作成する。
ベクトル空間モデル作成部114は、レポート作成部113で作成した医用診断レポートの所見を単語単位に分割してベクトル空間モデルを作成する。医用診断レポートとベクトル空間モデルの組み合わせを医用診断レポートデータベース101に格納する。
【0014】
類似症例検索部115は、ベクトル空間モデル作成部114で作成したベクトル空間モデルを検索キーとして、医用診断レポートデータベース101に格納された類似する医用診断レポートを検索し、類似度の高い順番に類似する医用診断レポートの一覧リストを表示する。
類似症例閲覧履歴記録部116は、類似症例検索部115で検索した類似する医用診断レポートの閲覧履歴を、閲覧時間を含む類似症例閲覧履歴情報として医用診断レポートデータベース101に記録する。
類似症例閲覧履歴表示部117は、類似症例検索部115で検索した類似する医用診断レポートに対応する類似症例閲覧履歴記録部116で記録した類似症例閲覧履歴情報を表示する。
【0015】
次に、図4から図8のフロー図を参照しながら、類似症例閲覧システム1の一連の処理について説明する。
まず、図4のフロー図と関連する図9および図10の画面表示を参照しながら、医用診断レポート作成の処理について説明する。
操作者は、医用診断レポートサーバ100に入力部104を利用してログインする。ここでログイン処理部111は、ユーザ番号、ユーザ名、パスワード、生体情報などのログイン情報を基に医用診断データベース101からユーザ名、ユーザレベルなどの操作者のユーザ情報を取得する(ステップ101)。
レポート選択部112は、医用診断データベース101から患者関連情報及びオーダ情報、レポート情報を含むレポートインデックス情報を読み出し、モニタ103に図9(後述)に示す医用診断レポートの一覧を表示する(ステップ102)。
【0016】
医用診断レポートは、一意のIDが割り振られ、患者情報と検査情報と所見情報を含む。患者情報は、患者のID、患者名、性別、年齢、体重、身長、移動方法、入外区分、特記事項などからなる。検査情報は、患者を担当する医師情報(依頼医師名、依頼科など)
と、当該医師の希望する複数の撮影画像に関する情報(撮影ID、撮影日時、検査装置、検査部位、検査方法など) とからなる。所見情報は、レポートID、レポート作成日時、レポート作成者、所見やコメントなどとからなる。
【0017】
ここで図9の画面表示について説明する。図9の画像上部には、医用診断レポートのインデックス情報となる検索項目および自由文検索項目の記入欄がある。操作者は、所望する医用診断レポートの条件を記入欄に入力し、検索ボタン201を押下すると、条件に合った医用診断レポートに対応するレポートインデックス情報を医用診断レポートデータベース101から読み出し、一覧を表示する。
さらに操作者は、一覧表示された医用診断レポートのインデックス情報から所望する医用診断レポートを選択しレポート表示ボタンを押下すると、選択した医用診断レポートが表示される。
また、操作者は、医用診断レポートを新規に作成する場合には、図9に示す新規作成ボタン202を押下する。レポート作成部113は、新規作成ボタン202が押下されると、図10(後述)に示す各診断項目を空欄にした医用診断レポート作成画面をモニタ103に表示する。
【0018】
操作者は、入力部104を操作してモニタ103に表示された診断項目に従って診断情報を入力して医用診断レポートを作成する(ステップ103)。
また、操作者は、過去に読影を行った医用診断レポートなど医用診断レポートデータベース101に記憶されている診断情報を読み出し、利用することで医用診断レポートを作成することもできる。その場合は、操作者が、図9の画面において医用診断レポートの一覧から、一つの医用診断レポートを選択した後、新規作成202ボタンを押下すると、レポート作成部113は、医用診断レポートデータベース装置101から該医用診断レポートを読み出し、図10(後述)に示す医用診断レポート作成画面の各診断項目に読み出した医用診断レポートの内容が入力された状態でモニタ103に表示する。
【0019】
ここで図10の医用診断レポート作成画面について説明する。図10の医用診断レポート作成画面は、前述の患者情報と検査情報とレポート情報の各項目の内容を表示する。医用診断レポートを新規に作成する場合は、各項目が空欄の状態で表示し、過去の医用診断レポートを利用して作成する場合は、各項目に内容が入力され編集可能な状態で表示する。画面上部には、作成した医用診断レポートに類似する医用診断レポートを検索する類似症例検索ボタン204があり、画面下部には、作成した医用診断レポートを医用診断レポートデータベース101に保存する保存ボタン203と、他の読影医に読影依頼を出す(後述)読影依頼ボタン205がある。
【0020】
操作者が、保存ボタン203を押下すると、作成した医用診断レポートにレポートインデックス情報を付して医用診断レポートデータベース101に格納する(ステップ104)。
【0021】
次に、図5のフロー図を用いて、ベクトル空間モデルの作成の処理について説明する。
ベクトル空間モデル作成部114は、レポート作成部113で作成した医用診断レポートの所見を形態素解析し、単語単位に分割する。分割した単語を基に、医用診断レポートの所見に対してテキストマイニング(ベクトル空間モデルの作成)する(ステップ105)。
ここで、ベクトル空間モデルは、文書中にどの単語がどの程度出現しているかをベクトルの形で表現する手法で公知の技術である。このベクトル空間モデルを利用することで、検索キーの文章に類似した文章を取得できる。商用・研究用を問わずさまざまな手法が公開されており、本発明ではこれらの手法については特定しない。
またステップ105では、医用診断レポートの所見全体に対するベクトル空間モデルを作成しているが、医用診断レポートの所見を文章単位に区切り抽出し、抽出した各文章に対するベクトル空間モデルを作成してもよい。こうすることで、検索キーからノイズ成分が含まれる文章に対応するベクトル空間モデルを除くことで、より適切な類似する医用診断レポートを取得することができる。
【0022】
なおステップ105では、医用診断レポートの所見(テキスト部分)に対するベクトル空間モデルを作成しているが、医用診断レポートを作成する元となった医用画像を検査情報または撮影情報から取得し、その医用画像を画像解析して画像特徴量をベクトル値として算出して、ベクトル空間モデルを作成してもよい。具体的には、画像内の部位を特定すべく、画像中の部位の輪郭線を抽出するためのエッジ抽出を行うとともに、疾患箇所を抽出すべく、テクスチャ(模様)の分析やラベリング処理におけるオブジェクト抽出を行って、それぞれの画像の特徴量のベクトル値を算出する。画像の特徴量のベクトル値の導出方法についても既存技術を用いることができ、本発明ではこれらの手法については特定しない。
【0023】
ベクトル空間モデル作成部114は、医用診断レポートにステップ105で作成したベクトル空間モデルと、検索キーの出現頻度に基づいたプライオリティの値を付して医用診断レポートデータベース101に格納する(ステップ106)。
【0024】
ここで、プライオリティの値は、医用診断レポートの所見の中で出現頻度が高い文章ほど大きく設定されている。また、プライオリティの付与に関しては検索キーの出現頻度だけでなく、例えば、診断経験の少ない読影医と診断経験の多い読影医で、プライオリティの付与度が異なるようにしたり、実際に検索後に医用診断レポートを参照した上で内容に問題があった場合は、プライオリティの値を下げることができる(後評価によるプライオリティ制御)システムにしても構わない。このようにすることで、より質の高い医用診断レポートを検索することができる。
さらに、プライオリティの値は、医用画像を画像解析してベクトル空間モデルを作成した場合には、出現頻度の高い画像特徴量(ベクトル値)が算出されるほど大きく設定されている。またプライオリティの付与に関しては画像特徴量の出現頻度だけでなく、例えば、実際に算出された画像特徴量(ベクトル値)を評価した上で問題があった場合は、プライオリティの値を下げることができる(後評価によるプライオリティ制御)システムにしても構わない。このようにすることで、より質の高い医用診断レポートを検索することができる。
【0025】
次に、図6のフロー図と関連する画面表示の図11から図13を参照しながら、類似症例の検索の処理について説明する。
図4のステップ104において、操作者が、医用診断レポートを作成する時に類似する医用診断レポートを参照するために類似症例を検索する場合、図10の画面で類似症例検索ボタン204を押下すると、前述の図5のステップ105、ステップ106のベクトル空間モデルを作成する処理が行われる。
ベクトル空間モデル作成部114が、ステップ105において、医用診断レポートの所見を文章単位に区切り抽出し、抽出した各文章に対するベクトル空間モデルを作成した場合には、制御部102は、図11(後述)の類似症例検索条件設定画面をモニタ103に表示する。
【0026】
ここで図11、図12の画面表示について説明する。図11の類似症例検索条件設定画面では、図10の医用診断レポート作成画面で操作者が入力した各項目の内容に従って、検査情報と患者情報と所見情報などが表示され、各項目を検索条件として設定するかしないかを選択できるようになっている。具体的には、図12に示すように、操作者は、各項目を検索キーとして設定する場合は、入力部104によって(図12にはマウスカーソル105を図示)、「○」を選択し、検索キーとして選択しない場合は、「―」を選択する。検索条件を選択して、検索キーからノイズ成分が含まれる文章に対応するベクトル空間モデルを除くことで、より適切な類似する医用診断レポートを取得することができる。
【0027】
操作者が検索条件を全て設定した後、図11および図12の画面下部にある検索ボタンを押下すると、類似症例検索部115が類似する医用診断レポートを検索する。
類似症例検索部115は、ステップ105で作成したベクトル空間モデルを検索キーとして医用診断レポートデータベース101に格納された医用診断レポートに対応するベクトル空間モデルを比較して類似度を算出することで、類似する医用診断レポートを取得する(ステップ107)。
ここで、類似症例検索部115は、図5のステップ106により医用診断レポートデータベース101に格納したプライオリティの値を基に重み付けをして類似度を算出してもよい。
【0028】
類似症例検索部115は、図13(後述)に示すように類似度の値が高い順に類似する医用診断レポートの一覧リストを類似症例検索結果表示画面としてモニタ103に表示する(ステップ108)。
図13の類似症例検索結果表示画面では、類似する医用診断レポートの概要を類似度の値の高い順に並べて一覧表示する。また、同じ画面上に検索条件に設定した項目と内容を表示し、操作者は検索結果に不満が有る場合は、検索条件を設定し直して、検索ボタンを押下して再度類似症例の検索をすることができる。
【0029】
ステップ108でモニタ103に表示した類似する医用診断レポートの一覧リストから、操作者が任意の類似する医用診断レポートを選択すると、類似症例検索部115は図14(後述)に示すように操作者が選択した類似する医用診断レポートの詳細表示画面をモニタ103に表示する(ステップ109)。また、後述する類似症例閲覧履歴表示部117により、類似症例の閲覧履歴を表示する。
【0030】
図7のフロー図では類似症例の閲覧履歴を記録する処理について説明する。
類似症例閲覧履歴記録部116は、図6のステップ109において操作者が図13の医用診断レポートの一覧より選択した類似する医用診断レポートの詳細表示画面をモニタ103に表示するタイミングで、閲覧を開始した類似する医用診断レポートの類似症例閲覧開始時刻を医用診断レポートデータベース101に記録する(ステップ110)。
類似症例閲覧履歴記録部116は、ステップ110で操作者が閲覧開始した類似する医用診断レポートの詳細表示画面を閉じたタイミングで、閲覧終了した類似する医用診断レポートの類似症例閲覧終了時刻を記録する(ステップ111)。
【0031】
類似症例閲覧履歴記録部116は、ステップ104における図10の医用診断レポート作成画面で、操作者が類似症例検索ボタン203を押下したタイミングで作成している医用診断レポートのレポート番号、閲覧した操作者のユーザ番号、閲覧した医用診断レポートのレポートID、ステップ110で記録した類似症例閲覧開始日時、ステップ111で記録した類似症例閲覧終了日時を、類似症例閲覧履歴情報として医用診断レポートデータベース101の類似症例閲覧履歴情報のレコード300(図15)に格納する(ステップ112)。
【0032】
ここで、図15にステップ112で医用診断レポートデータベース101に格納される類似症例閲覧履歴情報のレコードの例を示す。
類似症例閲覧履歴情報のレコード300は、医用診断レポートを作成および閲覧する操作者のユーザID310、作成する医用診断レポートのレポートID320、閲覧した医用診断レポートのレポートID330、類似症例閲覧開始日時340、類似症例閲覧終了日時350から構成される。
【0033】
次に、図8のフロー図と関連する画面表示の図14を参照しながら、類似症例閲覧履歴の表示の処理について説明する。
類似症例閲覧履歴表示部117は、ステップ112で医用診断レポートデータベース101に格納した類似症例閲覧履歴情報を基に類似症例閲覧履歴情報を類似症例閲覧履歴表示画面として前述のステップ109の類似する医用診断レポートの詳細表示画面(図14)に埋め込み表示する(ステップ113)。
【0034】
ここで図14について説明する。
図14の類似症例閲覧履歴表示画面では、医用診断レポートの検査情報、患者情報と所見情報を表示し、さらに、類似症例閲覧履歴情報を表示する。
図14の類似症例閲覧履歴表示画面206a、206bは、類似症例閲覧履歴表示画面の表示例である。
類似症例閲覧履歴表示画面206aは、ステップ109で操作者が選択した類似する医用診断レポートのレポート番号を基に、ステップ112で医用診断レポートデータベース101に格納した類似症例閲覧履歴情報から、本医用診断レポートを作成した操作者である読影医が参考のために閲覧した類似する医用診断レポートのレポートIDを取得し、一覧リストを表示する。
類似症例閲覧履歴表示画面206bは、ステップ109で操作者が選択した類似する医用診断レポートのレポートIDを基に、ステップ112で医用診断レポートデータベース101に格納した類似症例閲覧履歴情報から、本医用診断レポートを閲覧した操作者(読影医)のユーザ名と、本医用診断レポートを閲覧した操作者(読影医)が閲覧するきっかけとなった医用診断レポートのレポートIDを取得し一覧表示する。
【0035】
ここで、操作者が、類似症例閲覧履歴表示画面206a、類似症例閲覧履歴表示画面206bに表示された医用診断レポートのレポートIDを選択すると、選択した医用診断レポートに関する図14の類似症例詳細表示画面を表示してもよい。類似症例閲覧履歴表示画面206aのレポート一覧ボタン207を押下すると、類似症例閲覧履歴表示画面206aの一覧リストに表示したレポート番号に対応する医用診断レポートを、図13の類似症例検索結果画面に表示してもよい。
【0036】
図14の類似症例閲覧履歴表示画面の表示例について具体的に説明する。
図10の医用診断レポート作成画面に戻り、2007/01/18に撮影ID"00000001"の医用画像について、操作者名"日立読影医A"の操作者が、レポートID"00000001"の医用診断レポートを作成中に、類似する医用診断レポートを参考にするため、類似症例検索ボタン204を押下した場合、前述までのステップ(ステップ107―113)は、例えば次のように処理される。
ステップ107において、類似度を算出することで、類似する医用診断レポートを取得する。ステップ108において、類似度の値が高い順に類似する医用診断レポートの一覧リスト (図13の類似症例検索結果表示画面)を表示する。ここで、類似する医用診断レポートとして、レポートIDが"00000011"―"00000014"の医用診断レポート4件が表示されたとする。そして、操作者名"日立読影医A"の操作者が、図13の類似症例検索結果表示画面でレポートID"00000011"から"00000014"の類似する4件の医用診断レポートの一覧リストのうち、レポートID "00000011"、"00000012"、"00000013"の、3件の医用診断レポートを選択し、図14の類似症例詳細表示画面を表示して閲覧したとする(ステップ109)。その際、類似症例閲覧履歴記録部116は医用診断レポートデータベース101の類似症例閲覧履歴情報レコードに類似症例閲覧履歴データを格納する(ステップ110―112)。
【0037】
具体的には、図15に示すように、操作者のユーザID310、作成する医用診断レポートのレポートID320、閲覧した医用診断レポートのレポートID330、類似症例閲覧開始日時340、類似症例閲覧終了日時350に、類似症例閲覧履歴情報レコード301はデータ"00000001"、"00000001"、"00000011"、"2007/01/19
12:00:00"、"2007/01/19 12:02:00"を格納し、類似症例閲覧履歴情報レコード302は、"00000001"、"00000001"、"00000012"、"2007/01/19
12:05:00"、"2007/01/19 12:07:00"を格納し、類似症例閲覧履歴情報レコード303は、"00000001"、"00000001"、"00000013"、"2007/01/19
12:10:00"、"2007/01/19 12:12:00"を格納する。
ここで、前述の操作者(ユーザ)がレポートID"00000001"の医用診断レポートを作成した後日の2009/10/12にユーザID"00000002"のユーザ名"日立読影医B"の操作者が図10に示すレポート作成画面でレポートID"00000002"の医用診断レポートを作成中に、ステップ108で類似度の値が高い順に類似する医用診断レポートの一覧リストからレポートID"00000001"の医用診断レポートを選択した場合、図14の類似症例閲覧履歴表示画面206aには、3件の医用診断レポートがレポートID"00000001"を作成する際に閲覧された医用診断レポートとしてリストされ、レポートIDの"00000011"、"00000012"、"00000013"が表示される。
【0038】
続いてさらに、ユーザID"00000002"の操作者は、レポートID"00000001"の医用診断レポートを閲覧したので、類似症例閲覧履歴記録部16は、医用診断レポートデータベース101に類似症例閲覧履歴情報レコードとして、ユーザID"00000002"、作成している医用診断レポートのレポートID"00000002"、閲覧した医用診断レポートのレポートID"00000001"、類似症例閲覧開始日時"2009/10/12
12:00:00"、類似症例閲覧終了日時"2009/10/12 12:02:00"を格納する。
また後日、2009/11/12にユーザID"00000003"のユーザ名"日立読影医C"の操作者が、図10に示すレポート作成画面でレポートID"00000003"の医用診断レポートを作成中に、ステップ108で類似度の値が高い順に類似する医用診断レポートの一覧リストからレポートID"00000001"の医用診断レポートを選択した場合、図14の類似症例閲覧履歴表示画面206aには、3件の医用診断レポートがレポートID"00000001"を作成する際に閲覧された医用診断レポートとしてリストされ、レポートIDの"00000011"、"00000012"、"00000013"が表示される。
そして、同時に、類似症例閲覧履歴表示画面206bには、操作者"日立読影医C"が閲覧しているレポートID"00000001"を過去に閲覧した読影医のユーザ名とその読影医が作成した医用診断レポートのレポートIDが表示される。具体的には前述の場合、レポートID"00000001"を閲覧した読影医のユーザ名"日立読影医B"と、レポートID"00000001"を閲覧するきっかけとなった医用診断レポート、すなわちレポートID"00000001"を閲覧した際に"日立読影医B"が作成していた医用診断レポートのレポートID"00000002"を表示する。
【0039】
以上のように、第1の実施形態では、通常はログイン処理部111、レポート選択部112、レポート作成部113、ベクトル空間モデル作成部114、類似症例検索部115のステップ101〜109の順に処理が実施される。しかしながら、ステップ105〜ステップ106のベクトル空間モデルをまとめて作成してもよいし、ステップ101〜109の順に処理を実施して、ベクトル空間モデルを作成してもよいし、また、予めステップ101〜104の処理が実施されていれば、ステップ105〜ステップ106の処理を別のタイミングにまとめて実施してベクトル空間モデルを作成してもよい。
【0040】
第1の実施の形態は医療機関内における類似症例閲覧システム1であるが、次に、複数の医療機関間で医用画像および医用診断レポートの情報を共有して利用する場合の類似症例閲覧システム1の第2の実施の形態について、図16から図21を参照しながら説明する。
【0041】
図16に複数の医療機関間で類似症例閲覧システム1を利用した場合のネットワーク環境の一例を示す。第2の実施の形態における類似症例閲覧システム1では、ネットワークで繋がれた複数の医療機関の間で医用画像及び医用診断レポートを共有し利用するために、データセンタ1001によって医用画像検索サービス、医用診断レポート検索サービス、類似症例検索サービスと、ベクトル空間モデル作成サービスをまとめて提供することが前提となっている。少なくとも一つ以上の診療所1002と中核病院1003は、データセンタ1001とネットワーク1004で繋がっている。データセンタ1001は、いずれかの医療機関の中に存在していてもよい。データセンタ1001は、中心的な役割を担う拠点とし、その他の医療機関(診療所1002や中核病院1003など)はネットワークに接続される各要素(ノード)を表し、ネットワーク1004はノード間を繋ぐものである。
【0042】
図17では、データセンタ1001内における類似症例閲覧システム1の構成の一例を示す。
図17に示すように類似症例閲覧システム1はデータセンタ1001内にあるルータ1109とルータ1109からネットワーク(LAN:Local Area Network)を介して接続される、医用画像データベース1102を含む医用画像データベースサーバ1101、医用診断レポートデータベース1104を含む医用診断レポートサーバ1103、類似症例集インデックスデータベース1106を含む類似症例集検索サーバ1105、ベクトル空間モデルデータベース1107を含むベクトル空間モデル作成サーバ1108で構成される。
【0043】
医用画像データベースサーバ1101は、医用画像を保存し通信によりネットワーク接続される機器との間で医用画像のやり取りを行う医用画像検索サービスを提供する。医用画像データベース1102と医用画像データベースサーバ1101は、第1の実施の形態の図1の医用画像データベース211と医用画像データベースサーバ210と同様である。
【0044】
医用診断レポートサーバ1103は、医用画像データベースサーバ1101で保存された医用画像を読影医が読影して画像の特徴を所見として記録するとともに、これらの特徴から判断される病名(診断名)などを記録した医用診断レポートを医用画像に関連付けて保存し、ネットワーク1004で接続される複数の医療機関の間で医用診断レポートのやり取りを行う医用診断レポート検索サービスを提供する。医用診断レポートデータベース1104と医用診断レポートサーバ1103は、第1の実施の形態の図1の医用診断レポートデータベース101と医用診断レポートデータベースサーバ100とほぼ同様であるが、医用診断レポートサーバ1103は制御部102のログイン処理部111、レポート選択部112、レポート作成部113のみを有する。
【0045】
類似症例集検索サーバ1105は、CPU、ROM、RAM、およびHDDなどを実装したコンピュータシステムであり、第1の実施の形態における医用診断レポートサーバ100の制御部102のログイン処理部111、類似症例検索部115、類似症例閲覧履歴記録部116、類似症例閲覧履歴表示部117を抜き出して有するもので、医用診断レポートの類似症例集検索サービスを提供する。
【0046】
類似症例集インデックスデータベース1106は、類似症例集検索サーバ1105内に格納され、医用診断レポートと、後述のベクトル空間モデル作成サーバ1107で作成したベクトル空間モデルの対応付けを行う。
さらに、類似症例集インデックスデータベース1106は、医用診断レポートの類似症例閲覧履歴を記憶する。類似症例集インデックスデータベース1106で用いる医用診断レポートは、医用画像データベース1101の医用画像及び医用診断レポートサーバ1103の医用診断レポートとベクトル空間モデルの対応付けができればよいので、医用画像属性情報及び医用診断レポートの所見情報の一部を用いてもよい。
【0047】
ベクトル空間モデル作成サーバ1107は、CPU、ROM、RAM、およびHDDなどを実装したコンピュータシステムであり、医用診断レポートの類似症例集を作成する目的で利用され、各医用診断レポートに対応するベクトル空間モデルをベクトル空間モデルデータベース1108に格納するベクトル空間モデル作成サービスを提供する。ここで、ベクトル空間モデル作成サーバ1107は、第1の実施の形態における医用診断レポートサーバ100の制御部102のベクトル空間モデル作成部114を抜き出して有する。なお、ベクトル空間モデルデータベース1108は、ベクトル空間モデル作成サーバ1107内に格納される。
さらに、ベクトル空間モデル作成サーバ1107は、医用診断レポートの所見(テキスト)に対するベクトル空間モデルを作成しているが、医用診断レポートを作成する元となった医用画像を医用画像属性情報により取得し、その医用画像を画像解析して画像特徴量をベクトル値として算出してベクトル空間モデルを作成してもよい。
ルータ1109は、データセンタ1001が接続されるローカルネットワークと外部に繋がるインターネットなど外部ネットワークに接続する。
【0048】
このように、第2の実施の形態における類似症例閲覧システム1のデータセンタ1001の構成では、4種類のサーバが存在するが、それは機能としてのサーバであり、必ずしも1台の物理的なサーバ機器や1つのプログラムとして独立している必要はなく、1つの機能を複数台の機器やプログラムで行ってもよい。
【0049】
図18では、図17の診療所1002または中核病院1003などの医療機関での構成の一例を示す。
図18に示すように、診療所1002または中核病院1003などの医療機関において、類似症例閲覧システム1は、医療機関内にあるルータ1209とルータ1209からネットワーク(LAN:Local Area Network)を介して接続される、医用画像データベース1202を含む医用画像データベースサーバ1201、医用診断レポートデータベース1204を含む医用診断レポートサーバ1203、医用画像撮影装置1206、読影端末1205、診療情報サーバ1207、診療情報端末1208で構成される。
【0050】
医用画像データベース1202および医用画像データベースサーバ1201は、図17の医用画像データベース1102および医用画像データベースサーバ1101と同じ機能を有している。また、医用診断レポートデータベース1204および医用診断レポートサーバ1203は、図17の医用診断レポートデータベース1104および医用診断レポートサーバ1103と同じ機能を有している。
【0051】
医用画像撮影装置1206は、図1の医用画像撮影装置200と同じ機能を有し、該医療機関で患者の撮影に利用される。
読影端末1105は、図1の読影端末10と同じ機能を有し、医用画像データベースサーバ1201で管理する医用画像を取得し、医用診断レポートを作成する処理を行う。
【0052】
診療情報サーバ1207は、CPU、ROM、RAM、およびHDDなどを実装したコンピュータシステムであり、医用画像および医用診断レポート以外の診療に関わる情報を管理する。具体的には、医師から他の医療従事者に指図や指示などのオーダを伝えるプロセスをコンピュータ管理するオーダシステムや電子カルテシステムなどのサーバを示す。
診療情報端末1208は、CPU、ROM、RAM、およびHDDなどを実装したコンピュータシステムであり、医療機関内の医師から指図や指示の入力、他の医療従事者による指図や指示の確認、患者の診療情報の入力・確認などに利用する。診療情報端末1208は、診療情報サーバ1207で管理する診療情報にアクセスすることができる。
ルータ1209は図17のルータ1109と同じ機能を有している。
【0053】
このように、類似症例閲覧システム1の診療所1002または中核病院1003などの医療機関での構成は一例であり、各サーバは機能としてのサーバであり、必ずしも1台の物理的なサーバ機器や1つのプログラムとして独立している必要はなく、1つの機能を複数台の機器やプログラムで行ってもよい。
【0054】
図16から図18の構成をもとに、診療所1002または中核病院1003などの医療機関で発生した医用画像をデータセンタ1001で保存する仕組みと、データセンタ1001で保存した医用画像を基に医療機関で医用診断レポートを作成する仕組みと、医療機関からデータセンタ1001に対して類似症例を検索する仕組みとを、図19から図21のフロー図を用いて説明する。
【0055】
まず、図19のフロー図を用いて、診療所1002または中核病院1003などの医療機関で発生した医用画像をデータセンタ1001で保存する一連の処理を説明する。
診療所1002または中核病院1003などの医療機関において、医用画像撮影装置1206の操作者は診療情報端末1208を用いて、医師からの撮影指示がないかオーダを確認する(ステップ2101)。
【0056】
医師からの撮影指示があった場合、医用画像撮影装置1206の操作者は、医用画像撮影装置1206を操作して患者を撮影する(ステップ2102)。
医用画像撮影装置1206の操作者は、撮影した画像を医療機関内の医用画像データベースサーバ1201に接続し、医用画像データベース1202に格納する(ステップ2103)。
医用画像データベースサーバ1201は、ルータ1209を介して、データセンタ1001の医用画像データベースサーバ1101に接続し、ステップ2103で保存した医用画像の複製(コピー)を医用画像データベース1102に格納する(ステップ2104)。
なお、ステップ2104はステップ2103と同時もしくはすぐ後に実施するのが好ましいが、ネットワーク負荷が少ない時間帯に実施するなど、各医療機関のネットワーク状況や運用を考慮して、ずらしてもよい。
【0057】
次に、図20のフロー図を用いて、データセンタ1001で保存した医用画像を基に医療機関で医用診断レポートを作成する一連の処理について説明する。
診療所1002または中核病院1003などの医療機関において、読影医は、読影端末1205を操作して、撮影済のオーダを確認して選択する(ステップ2201)。この時、図9に示すように医用診断レポートのインデックス情報を一覧表示してもよい。
読影医は、ステップ2201で選択したオーダに対応する医用画像を医用画像データベースサーバ1201で検索する(ステップ2202)。医用画像データベースサーバ1201は、医用画像データベース1202が保有しているかどうかを調べ(ステップ2203)、有る場合すなわちローカル(医療機関内)の医用画像データベース1202が保有している場合は、ステップ2212へ、無い場合は、データセンタ1001内の医用画像データベースサーバ1101に接続し該当する医用画像の検索を依頼する(ステップ2204)。
【0058】
データセンタ1001内の医用画像データベースサーバ1101は、医療機関内の医用画像データベースサーバ1201からの医用画像検索依頼を受け、内蔵する医用画像データベース1102に該当する医用画像が有るかを検索し、その結果を医療機関の医用画像データベースサーバ1201へ返す(ステップ2205)。
医療機関内の医用画像データベースサーバ1201は、データセンタ1011内の医用画像データベースサーバ1101の検索結果を受け(ステップ2206)、医用画像データベースサーバ1101に所望する医用画像が有る場合は、データセンタ1011内の医用画像データベースサーバ1101に対して所望する医用画像の送信を依頼し(ステップ2207)、無い場合は読影端末1205に結果を表示する(ステップ2217)。
データセンタ1001内の医用画像データベースサーバ1101は、医療機関の医用画像データベースサーバ1201からの医用画像送信依頼を受け、内蔵する医用画像データベース1102から該当する医用画像を読み出し(ステップ2208)、医療機関内の医用画像データベースサーバ1201に送信する(ステップ2209)。
【0059】
医療機関内の医用画像データベースサーバ1201は、データセンタ1001内の医用画像データベースサーバ1101から送信された医用画像を受信し(ステップ2210)、内蔵する医用画像データベース1202に保存する(ステップ2211)。
読影医は、医用画像データベース1202に保存した医用画像を読影端末1205に表示する(ステップ2212)。
読影医は、ステップ2212で表示された医用画像を観察して診断し(ステップ2213)、読影端末1205を操作して、医用診断レポートを作成する(ステップ2214)。
この時、図10に示すようにレポート作成画面に所見などのレポート情報を入力するようにしてもよい。作成された医用診断レポートは、診断の基になる医用画像に対応付けられて医用診断レポートサーバ1203内の医用診断レポートデータベース1204に保存される(ステップ2215)。
医用診断レポートサーバ1203は、ルータ1209を通じて、データセンタ1001の医用診断レポートサーバ1103にステップ2215で保存した医用診断レポートの複製(コピー)を保存する(ステップ2216)。
なお、ステップ2216はステップ2215のすぐ後に実施するのが好ましいが、ネットワーク負荷が少ない時間帯に実施するなど、各医療機関の運用を考慮して、ずらしてもよい。
【0060】
次に図21のフロー図を用いて、医療機関からデータセンタ1001に対して類似症例を検索する一連の処理を説明する。
診療所1002または中核病院1003などの医療機関において、読影医は、読影端末1205を操作して、読影済の医用診断レポートを確認する(ステップ2301)。
読影医は、医用診断レポートの正確さの向上や質の向上のため、データセンタ1001の類似症例検索サーバ1105に検索依頼を依頼する(ステップ2302)。この時、図10に示す医用診断レポート作成画面にて類似症例検索ボタン204の押下により、データセンタ1001に類似症例の検索を依頼するようにしてもよい。
読影端末1205からの類似症例検索依頼を受け、データセンタ1001内の類似症例集検索サーバ1105は、類似する医用診断レポートの検索キーとなるベクトル空間モデルの作成をデータセンタ1001内のベクトル空間モデル作成サーバ1107に依頼する(ステップ2303)。
データセンタ1001内のベクトル空間モデル作成サーバ1107は、該当する医用診断レポートの所見をテキストマイニング(形態素解析)し、単語単位に分割する。分割した単語を基に、医用診断レポートの所見に対してテキストマイニング(ベクトル空間モデルの作成)する(ステップ2304)。
【0061】
なお、ベクトル空間モデル作成サーバ1107に内蔵するベクトル空間モデルデータベース1108に作成したベクトル空間モデルを保存してもよい。
また、ステップ2304では、ベクトル空間モデル作成サーバ1107は、医用診断レポートの所見全体に対するベクトル空間モデルを作成しているが、医用診断レポートの所見を文章単位に区切り抽出し、抽出した各文章に対するベクトル空間モデルを作成してもよい。これにより、検索キーからノイズ成分が含まれる文章に対応するベクトル空間モデルを除くことで、より適切な類似する医用診断レポートを取得することができる。
さらにステップ2304では、ベクトル空間モデル作成サーバ1107は、医用診断レポートの所見(テキスト)に対するベクトル空間モデルを作成しているが、医用診断レポートを作成する元となった医用画像を医用画像属性情報により取得し、その医用画像を画像解析して画像特徴量をベクトル値として算出してベクトル空間モデルを作成してもよい。
【0062】
ここで、ベクトル空間モデル作成サーバ1107に内蔵するベクトル空間モデルデータベース1108には、あらかじめ検索対象となる作成済のベクトル空間モデルが複数格納されているものとする。データセンタ1001内の類似症例集検索サーバ1105は、ステップ2304で作成したベクトル空間モデルを検索キーとしてベクトル空間モデル作成サーバ1107に対して類似する医用診断レポートの検索を依頼する(ステップ2305)。
ステップ2304において、ベクトル空間モデル作成サーバ1107が医用診断レポートの所見を文章単位に区切り抽出し、抽出した各文章に対するベクトル空間モデルを作成した場合には、図11に示す類似症検索条件設定画面をモニタ103に表示して、図12に示すように操作者は検索条件を選択することで、検索キーからノイズ成分が含まれる文章に対応するベクトル空間モデルを除くことで、より適切な類似する医用診断レポートを取得できる。
類似する医用診断レポートの検索依頼を受けたデータセンタ1001内のベクトル空間モデル作成サーバ1107は、ベクトル空間モデルデータベース1108に格納された医用診断レポートに対応するベクトル空間モデルを比較し類似度を算出する(ステップ2306)。
【0063】
データセンタ1001内の類似症例集検索サーバ1105は、ベクトル空間モデル作成サーバ1107からステップ2306で算出した類似度および対応する医用診断レポートを特定する情報(レポートIDなど)を取得する(ステップ2307)。
医療機関の読影端末1205は、ステップ2307で取得した類似度および対応する医用診断レポートを特定する情報(レポートIDなど)を基に、類似度の値が高い順に類似する医用診断レポートの一覧リストを図13に示すような類似症例検索結果表示画面で表示する(ステップ2308)。
ステップ2308で表示した類似する医用診断レポートの一覧リストから、読影医が類似する医用診断レポートを選択する(ステップ2309)と、データセンタ1001内の類似症例集検索サーバ1105は、読影医が選択した類似する医用診断レポートの詳細情報を読影端末1205に送信する(ステップ2310)。
読影端末1205は、データセンタ1001内の類似症例集検索サーバ1105から送信された類似する医用診断レポートの詳細情報を受信し(ステップ2311)、図14に示すような医用診断レポート詳細表示画面を表示する(ステップ2312)。
【0064】
また、医用診断レポート詳細表示画面には、後述するステップ2318で、データセンタ1001内の類似症例集検索サーバ1105に内蔵する類似症例集インデックスデータベース1106に保存した類似症例閲覧履歴情報も合わせて表示する。この時、図14の類似する医用診断レポートの詳細画面において、類似症例閲覧履歴表示画面206a、類似症例閲覧履歴表示画面206bに表示された医用診断レポートのレポートIDを選択すると、選択した医用診断レポートに関する類似症例詳細表示画面を表示してもよい。類似症例閲覧履歴表示画面206aの医用診断レポート一覧ボタン207を選択すると、類似症例閲覧履歴表示画面206aの一覧リストに表示したレポートIDに対応する医用診断レポートを、図13の類似症例検索結果画面に表示してもよい。
図21のフロー図に戻り、読影端末1205は、ステップ2312で読影医が選択した類似する医用診断レポートの詳細表示画面を表示するタイミングで、閲覧開始した類似する医用診断レポートの類似症例閲覧開始時刻を記録する(ステップ2313)。
読影端末1205は、ステップ2313で読影医が閲覧開始した類似する医用診断レポートの詳細表示画面を閉じた(ステップ2314)タイミングで、閲覧終了した類似する医用診断レポートの類似症例閲覧終了時刻を記録する(ステップ2315)。
読影端末1205は、ステップ2302で類似症例検索依頼を行った基となる医用診断レポートのレポートID、閲覧した操作者のユーザID、閲覧した医用診断レポートのレポートID、ステップ2313、ステップ2315で記録した類似症例閲覧開始日時、類似症例閲覧終了日時を類似症例閲覧履歴情報としてデータセンタ1001内の類似症例集検索サーバ1105に送信する(ステップ2316)。
【0065】
データセンタ1001内の類似症例集検索サーバ1105は、読影端末1205から送信された類似症例閲覧履歴情報を受信し(ステップ2317)、類似症例集検索サーバ1105に内蔵する類似症例集インデックスデータベース1106に保存する(ステップ2318)。
なお、ステップ2319は医用診断レポートの一覧リストから、読影医が再び任意の医用診断レポートを選択した場合にステップ2309に戻り、前述までの一連の処理を行う。読影医が他の医用診断レポートを閲覧しない場合は、ステップ2320に進む。ステップ2320では、データセンタ1001に対して、読影医が再び類似症例の検索を依頼した場合にステップ2302に戻り、前述までの一連の処理を行う。読影医が他の類似症例の検索をしない場合は読影端末1205は処理を終了する。
【0066】
このように第2の実施の形態においては、医用画像をデータセンタ1001に保存した医療機関と、医用画像を観察して対応する医用診断レポートを作成しデータセンタ1001に保存した医療機関を、同じ医療機関と想定して説明したが、医用画像を保存した医療機関と異なる医療機関が医用診断レポートを作成しデータセンタ1001に保存してもよい。
また、本実施の形態においては、データセンタ1001に検索時に該当する医用画像および医用診断レポートが保存されているものとして説明したが、データセンタ1001と接続する他の医療機関に該当する医用画像および医用診断レポートが保存されている場合には、その医用画像および医用診断レポートを用いてもよい。
【0067】
次に本発明の第2の実施の形態で示した図16の複数の医療機関間における類似症例閲覧システム1の構成例に対して、図22に示すように読影機関3005を加えた第3の実施の形態について、図22から図29を参照しながら説明する。
【0068】
まず図22に第3の実施の形態のネットワーク環境の一例を示す。前述のとおり、図22は、第2の実施の形態における図16のネットワーク環境図に対して、読影機関3005を追加した構成である。読影機関3005は相互に診療所3002や中核病院3003と医用画像及び医用診断レポートを情報共有できるようにネットワーク3004で接続されている。ここで、読影機関3005は診療所3002や中核病院3003から医用画像の読影を依頼され医用診断レポートを回答する機関である。データセンタ3001、診療所3002、中核病院3003、ネットワーク3004は、図16のネットワーク環境図のデータセンタ1001、診療所1002、中核病院1003、ネットワーク1004と同一である。
【0069】
図23はデータセンタ3001内での構成の一例を示す。
図23は第2の実施の形態の図17のデータセンタ1001内の機器構成図に対して、読影依頼サーバ3110、読影依頼データベース3111を追加した構成である。
読影依頼サーバ3110は、読影依頼情報および読影依頼回答情報を管理し、ネットワーク3004を介して接続される機器との間で、医療機関から読影機関3005に対する読影依頼および読影依頼の回答のやり取りを行う読影依頼サービスを提供する。読影依頼データベース3111は、読影依頼サーバ3110内に格納され、読影依頼先、読影依頼内容などの読影依頼情報および読影結果などの読影依頼回答情報を各医用診断レポートに対応付けて管理する。
【0070】
なお、図23の医用画像データベースサーバ3101、医用画像データベース3102、医用診断レポートサーバ3103、医用診断レポートデータベース3104、類似症例集検索サーバ3105、類似症例集インデックスデータベース3106、ベクトル空間モデル作成サーバ3107、ベクトル空間モデルデータベース3108、ルータ3109は、図17における医用画像データベースサーバ1101、医用画像データベース1102、医用診断レポートサーバ1103、医用診断レポートデータベース1104、類似症例集検索サーバ1105、類似症例集インデックスデータベース1106、ベクトル空間モデル作成サーバ1107、ベクトル作成モデルデータベース1108、ルータ1109と同じ機能を有している。
【0071】
図23のデータセンタ3001の構成では5種類のサーバが存在するが、それは機能としてのサーバであり、必ずしも1台の物理的なサーバ機器や1つのプログラムとして独立している必要はなく、1つの機能を複数台の機器やプログラムで行ってもよい。また本発明の適用が上記に限定されるものではない。
【0072】
図24は、前述の読影機関内での構成の一例を示す。
図24に示すように類似症例閲覧システム1は読影機関3005内にあるルータ3106とルータ3106からネットワーク(LAN:Local Area Network))を介して接続される、医用画像データベース3201を含む医用画像データベースサーバ3202、医用診断レポートデータベース3204を含む医用診断レポートサーバ3203、読影端末3205で構成される。
【0073】
医用画像データベースサーバ3201と医用画像データベース3202は、図23の医用画像データベースサーバ3101と医用画像データベース3101と同じ機能を有している。また、医用診断レポートサーバ3203と医用診断レポートデータベース3204は、図23の医用診断レポートサーバ3103と医用診断レポートデータベース3104と同じ機能を有している。読影端末3205は、医用画像を観察し、診断のための医用診断レポートを作成する処理を行う。読影端末3205は、図18の読影端末1205と同じ機能を有する。ルータ3206は、図23のルータ3109と同じ機能を有している。
【0074】
診療所3002または中核病院3003などの医療機関における機器の構成は、図18の医療機関内の機器構成図と同一として説明するが、本構成は一例であり、本発明の適用は以下に限定されるものではない。
また、これらの医療機関の構成は一例であり、各サーバは機能としてのサーバであり、必ずしも1台の物理的なサーバ機器や1つのプログラムとして独立している必要はなく、1つの機能を複数台の機器やプログラムで行ってもよい。
図22から図24および図18の構成をもとに、データセンタ1001で保存した医用画像を基に医療機関から読影機関3005に読影依頼する仕組みと、読影依頼された医用画像に対応する医用診断レポートを読影機関3005で作成し、読影依頼をした医療機関に回答する仕組みとを図25から図29のフロー図と関連する表示画面を用いて説明する。
【0075】
まず、図25を用いて、データセンタ3001で保存した医用画像を基に診療所3002または中核病院3003などの医療機関から読影機関3005に読影依頼する仕組みを、第2の実施の形態における図20の医用診断レポートの作成におけるステップ2201からステップ2217の手順を行った後に、図10に示すレポート作成画面にて読影依頼ボタン205の押下する場合から説明する。ここで、図16の診療所1002および中核病院1003は、図22の診療所3002および中核病院3003と同様であり、図20の読影端末1205は図24の読影端末3205と同様である。
【0076】
診療所3002または中核病院3003などの医療機関において、読影医は、読影端末3205を操作し、図10のレポート作成画面にて読影依頼ボタン205を押下する。
読影端末3205は、図26に示す医用診断レポート読影依頼画面(後述)をモニタ103に表示する。未読影の場合は図26に示す各診断項目を空欄にして表示する。読影医は表示されたレポート読影依頼画面の記入項目に従って読影依頼情報を入力する(ステップ4101)。
【0077】
ここで図26の医用診断レポート読影依頼画面について説明する。図26の医用診断レポート読影依頼画面は、図10の医用診断レポート作成画面に、読影を依頼したい依頼先の読影医名を選択し、依頼内容を記入する項目が追加されたものである。さらに、画面下部にはその読影依頼を送信する読影依頼送信ボタン401がある。
【0078】
図25のフロー図にもどり、読影医がステップ4101で読影依頼情報を入力し、図26の読影依頼送信ボタンを押すと、読影端末3205は、読影依頼情報をデータセンタ内の読影依頼サーバ3110に送信する(ステップ4102)。
データセンタ3001内の読影依頼サーバ3110は、読影依頼情報を受信する(ステップ4103)と、対応する医用画像および医用診断レポートに対応付けた読影依頼情報を読影依頼データベース3111に保存する(ステップ4104)。
【0079】
次に図27のフロー図を用いて、読影依頼された医用画像に対応する医用診断レポートを読影機関3005で作成し診療所3002または中核病院3003などの医療機関に回答する一連の処理について説明する。
読影機関3005に所属する読影医は読影端末3205を操作して、読影依頼された医用診断レポートを確認する。ここで読影端末3205は、データセンタ3001内の読影依頼データベース3111に保存する読影依頼情報を読影依頼サーバ3110から取得し、図28(後述)に示す読影依頼一覧画面で一覧表示する(ステップ4201)。
【0080】
ここで図28の読影依頼一覧画面について説明する。図28の読影依頼一覧画面では、図26において、図28の読影依頼一覧画面の操作者である読影医を依頼先に指定して送信された読影依頼情報を依頼を受け付けた順番でその医用診断レポートの情報と依頼内容を表示するものである。
【0081】
再び図27のフロー図に戻る。ステップ4201の後、読影医はステップ4202からステップ4217の手順に従って読影端末3205を操作して、データセンタ3001内の医用画像データベースサーバ3101から読影依頼情報に対応する医用画像を取得して読影し、医用診断レポートを作成してデータセンタ3001内のレポートサーバ3101に保存する。このステップ4202からステップ4217の手順は、第2の実施の形態で説明した図20のステップ2202からステップ2217の手順において、読影端末1205、医用画像データベースサーバ1201、医用診断レポートサーバ1203を、読影端末3205、医用画像データベースサーバ3201、医用診断レポートサーバ3203に置き換えたものであるため、説明を省略する。
【0082】
続いて、ステップ4218において、読影機関3005に所属する読影医は読影端末3205を操作して、医用診断レポートの読影依頼に対する回答として読影依頼回答情報を入力する(ステップ4218)。ここで、読影端末3205には図29に示すレポート読影依頼回答画面が表示される。具体的には、図29のレポート読影依頼回答画面は、図26の医用診断レポート読影依頼画面の依頼内容の下に回答欄が追加されて表示されるものであり、読影医は、その回答欄に所見や診断情報など読影依頼情報に対する読影依頼回答情報を入力する。画面下部には読影依頼回答入力後に送信する読影依頼回答送信ボタン402がある。
【0083】
図29の医用診断レポート読影依頼回答画面において、読影医が図29の読影依頼回答送信ボタン402を押下すると、読影機関3005の読影端末3205はステップ4218で入力した読影依頼回答情報をデータセンタ3001内の読影依頼サーバ3110に送信する(ステップ4219)。
データセンタ3001内の読影依頼サーバ3110は、ステップ4219で読影機関3005の読影端末3205から送信された読影依頼回答情報を受信し(ステップ4220)、図25のステップ4104で保存した読影依頼情報に対応付けて読影依頼データベース3111に保存する(ステップ4221)。
【0084】
このように、第3の実施の形態においては、データセンタ3001に医用画像および医用診断レポート、ベクトル空間モデル、類似症例閲覧履歴情報、読影依頼情報、読影依頼回答情報などの医療情報が保存されているものとして説明したが、データセンタ3001と接続する他の医療機関に医療情報を分散して保存してもよい。この場合、医療機関のトラフィックや通信速度、検索元の医療機関からの距離などにより医療情報を取得する医療機関を選択できるようにしてもよい。
【0085】
[発明の実施の形態における効果]
1.以上のように、診断画像や医用診断レポートなどの症例集の検索・閲覧を効率的に行えることで、医療従事者の負担を軽減するとともに、質の高い医用診断レポートの作成を支援することができる。
2.医用診断レポートのテキストおよび医用画像の特徴量を抽出するベクトル空間モデルの作成と自由度の高い検索項目を設定できることで、より適切で類似する医用診断レポートを検索することができる。
3.医用診断レポートや医用画像などの患者情報を匿名化してデータセンタで管理することで、患者の個人情報保護を可能とし、個人情報漏洩のリスクを低減した安全な医療情報ネットワークシステムを構築できる。
4.類似症例の読影経験がある読影医に対してセカンドオピニオンなどの読影依頼ができ、さらに、複数の読影医により診断できるため、所見の見落しを少なくすることができる。また、患者の予後、バリアンスなどのリスト管理、注意点など医用診断レポートだけでは判断できない点についてもアドバイスをもらえるため、診断・治療に役立つ。
【0086】
以上、添付図面を参照しながら、本発明に係る類似症例閲覧システム等の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0087】
1…類似症例閲覧システム
10…読影端末
100…医用診断レポートサーバ
101…医用診断レポートデータベース
210…医用画像データベースサーバ
211…医用画像データベースサーバ
200…医用画像撮影装置
102…制御部
103…モニタ
104…入力部
111…ログイン処理部
112…レポート選択部
113…レポート作成部
114…ベクトル空間モデル作成部
115…類似症例検索部
116…類似症例閲覧履歴記録部
117…類似症例閲覧履歴表示部
1001…データセンタ
1002…診療所
1003…中核病院
1004…ネットワーク
1205…読影端末
3001…データセンタ
3002…診療所
3003…中核病院
3004…ネットワーク
3005…読影機関
3205…読影端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用画像を記録管理する医用画像データベースサーバと、前記医用画像に基づいた医用診断レポートを記録管理する医用診断レポートサーバと、読影端末と、からなる類似症例閲覧システムであって、
前記読影端末は、
前記医用画像データベースサーバに接続し、前記医用画像を取得する取得手段と、
前記医用画像に対応する医用診断レポートを作成する作成手段と、
前記医用診断レポートサーバに接続し、前記医用診断レポートを検索条件として入力する入力手段と、
を備え、
前記医用診断レポートサーバは、
前記医用診断レポート、前記医用診断レポートの閲覧履歴、及び前記医用診断レポートに類似する医用診断レポートの閲覧履歴を記録管理する記録手段と、
前記読影端末より受信した前記医用診断レポートと類似する医用診断レポートを検索する検索手段と、
前記の医用診断レポートの前記閲覧履歴より、閲覧対象の医用診断レポートを参照して作成された医用診断レポートを特定し、前記類似する医用診断レポートの閲覧元となる医用診断レポートの情報を前記読影端末に送信する送信手段と、
を備え、
前記読影端末は、
受信した前記類似する医用診断レポートの閲覧元となる医用診断レポートを表示する表示手段、
を備えることを特徴とする類似症例閲覧システム。
【請求項2】
前記医用診断レポートサーバが備える前記検索手段は、特定するための指標として、医用診断レポートの所見を単語および文章単位に分割し、その分割した単語および文章を基にしたベクトル空間モデルを作成し、さらに、入力された任意の検索条件によって、検索対象となる前記ベクトル空間モデルを変更することを特徴とする請求項1に記載の類似症例閲覧システム。
【請求項3】
前記医用診断レポートサーバが備える前記検索手段は、更に、特定するための指標として、前記医用診断レポートを作成する元となった医用画像を医用画像属性情報により取得し、前記医用画像を解析して画像特徴量をベクトル値として算出し、ベクトル空間モデルを作成することを特徴とする請求項2に記載の類似症例閲覧システム。
【請求項4】
前記医用診断レポートサーバが備える前記記録手段は、前記医用画像、前記医用診断レポートなど患者の個人情報を特定できる情報について匿名化して記録管理することを特徴とする請求項3に記載の類似症例閲覧システム。
【請求項5】
ネットワークを介して複数の医療機関が接続される場合に、
前記読影端末が備える前記入力手段は、更に、作成した医用診断レポートに対して他の読影医の所見を求める読影依頼を入力し、
前記医用診断レポートサーバが備える前記記録手段は、受信した前記読影依頼情報を記録管理し、
前記医用診断レポートサーバが備える前記送信手段は、前記読影依頼を前記ネットワークを介して接続する他の読影端末に送信する
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の類似症例閲覧システム。
【請求項6】
前記読影端末は、
前記読影依頼を受信し、読影結果および回答を入力し前記医用診断レポートサーバに送信する回答手段、
を備え、
前記医用診断レポートサーバが備える前記記録手段は、受信した前記読影依頼の回答を記録管理し、
前記医用診断レポートサーバが備える前記送信手段は、前記読影依頼の回答を依頼元の読影端末に送信し、
前記読影端末が備える前記表示手段は、受信した前記読影依頼の回答を表示する
ことを特徴とする請求項5に記載の類似症例閲覧システム。
【請求項7】
医用画像を記録管理する医用画像データベースサーバと、前記医用画像に基づいた医用診断レポート、前記医用診断レポートの閲覧履歴、及び前記医用診断レポートに類似する前記医用診断レポートの閲覧履歴を記録管理する医用診断レポートサーバと、読影端末と、からなる類似症例閲覧システムにおける類似症例閲覧方法であって、
前記読影端末が、前記医用画像データベースサーバに接続し、前記医用画像を取得するステップと、
前記読影端末が、前記医用画像に対応する医用診断レポートを作成するステップと、
前記読影端末が、前記医用診断レポートサーバに接続し、前記医用診断レポートを検索条件として入力するステップと、
前記医用診断レポートサーバが、前記読影端末より受信した前記医用診断レポートと類似する医用診断レポートを検索するステップと、
前記医用診断レポートサーバが、前記の医用診断レポートの前記閲覧履歴より、閲覧対象の医用診断レポートを参照して作成された医用診断レポートを特定し、前記類似する医用診断レポートの閲覧元となる医用診断レポートの情報を前記読影端末に送信するステップと、
前記読影端末が、受信した前記類似する医用診断レポートの閲覧元となる医用診断レポートを表示するステップと、
を含むことを特徴とする類似症例閲覧方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2012−198846(P2012−198846A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−63982(P2011−63982)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000153498)株式会社日立メディコ (1,613)
【Fターム(参考)】