説明

風力タービンのロータブレードシステムのブレードピッチ角アンバランスを検出する方法および装置

【課題】改善された風力タービンのロータブレードシステムのブレードピッチ角アンバランスを検出する方法および装置を提供する。
【解決手段】風力タービンのロータブレードシステムのブレードピッチ角アンバランスを検出する方法であって、ロータブレードシステムはロータ回転軸を中心として回転するものであり、該方法は、ロータ回転軸に対して横向きの、有利には垂直なヨー軸を中心としてロータ回転軸をヨー制御するステップと、ヨー制御による負荷を表す負荷信号(y)を取得するステップと、負荷信号の周波数成分(f1)に関して負荷信号を分析するステップと、分析した負荷信号に基づいてブレードピッチ角アンバランスを検出するステップと、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータ回転軸を中心として回転するロータブレードシステムを含む風力タービンのロータブレードシステムのブレードピッチ角アンバランスを検出する方法および装置に関する。有利には、本発明は、風力タービンのタワー頂部、ベッドフレーム、メインシャフトおよびロータブレードにおける疲労および不必要な負荷を低減しうる、風力タービンのロータブレードシステムのブレードピッチ角アンバランスを検出する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
風力タービンは、風力タービンタワーと、風力タービンタワーの頂部に取り付けられたナセルとを備える。ナセルは1つまたは複数のロータブレードが取り付けられたロータ回転シャフトを支持する。さらに、瞬間的な風向きに従ってロータブレードを配向させるため、ロータ回転軸すなわちロータ回転シャフトはヨー軸を中心として回転可能である。ヨー軸は、ロータ回転シャフトのロータ回転軸に対して横向き、有利には垂直であり、有利には風力タービンタワーの長軸に沿って延びる。有利には、ロータ回転シャフトを保持または支持するナセルは、風に向かってロータブレードを配向させるために、風力タービンタワーに平行なヨー軸を中心として回転可能である。
【0003】
従来の風力タービンシステムにおいて、ロータ回転シャフトに接続された1つまたは複数のロータブレードのピッチ角は、たとえばある種のゼロマークを用いて設定される。さらに、ピッチ角は種々の方法、たとえば、光学的方法などを用いてブレードのテンプレートを取り付けることにより測定される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、観察によれば、風力タービンの動作中、風力タービンの回転シャフトの空力学的アンバランスが風力タービンの頂部、ベッドフレーム、メイン回転シャフトおよびロータブレードにおける過剰な疲労と極度の負荷を生じさせている。このため、風力タービンの信頼性、耐久性が阻害され、特に低下してしまう。
【0005】
ロータブレードシステムが有するロータブレードのブレードピッチ角のアンバランスを検出可能な、有利には風力タービンの動作中に検出可能な、風力タービンのロータブレードシステムのロータブレードピッチ角アンバランスを検出する方法および装置に対する要望があった。特に、コスト効率がよく、信頼性が高く、費用のかかる測定装置を必要しない簡便なやり方で実行可能な、ロータブレードピッチ角アンバランスを検出する方法および装置に対する要望があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この要望は、独立請求項に係る発明により満たされる。本発明の有利な実施形態は従属請求項に記載されている。
【0007】
本発明の一実施形態では、風力タービンの(ロータ回転シャフトに設けられた2、3、4、5、6、7、8またはそれ以上のロータブレードを有する)ロータブレードシステムのブレードピッチ角アンバランス(有利には、ロータブレードシステムが有する少なくとも2つのロータブレードが異なるブレードピッチ角を有する状態である。ブレードピッチ角は、たとえば、ロータブレードの長軸に沿ったロータブレードの回転時における、相当するロータブレードの回転位置を定義する。)を検出する(有利にはブレードピッチ角アンバランスを識別する、有利にはブレードピッチ角アンバランスの程度を求める)方法が提供され、上記ロータブレードシステムはロータ回転軸を中心として回転するものである。上記方法は、上記ロータ回転軸に対して横向きの、有利には垂直なヨー軸を中心として(有利にはヨー軸がロータ回転軸に平行ではないように)上記ロータ回転軸(有利には、ロータ回転軸を中心として回転するロータ回転シャフトを支持するナセルも)をヨー制御する(有利には、回転させるまたは回すまたは旋回させる)ステップと、上記ヨー制御(有利には、ロータ回転軸を回転させるための、力および/またはトルクおよび/または電力の付加を必要とするヨー制御であり、該負荷信号は、トルク、力および/または回転させるために必要とされるエネルギーが得られる任意の信号であってよい)による負荷(有利には、電力またはトルク)を表す負荷信号(たとえば電気的負荷信号および/または光学的負荷信号)を取得する(有利には電気信号を取得する、有利には測定する、有利には計算する)ステップと、上記負荷信号(該負荷信号はたとえば複数の異なる周波数成分から構成されており、有利には該負荷信号は有利には周波数成分の存在、周波数成分の大きさおよび/または周波数成分の位相を求めるために、該負荷信号は特定の周波数成分に関して有利には分析される)の周波数成分(有利には予め定めた周波数、有利には動的に求められる周波数成分)に関して上記負荷信号(または、有利には、負荷信号から得られる任意の値)を分析する(有利には、時間経過に関してまたはロータアジマス角に関して負荷信号を分析するものである。該ロータアジマス角はロータ回転軸を中心として回転する場合のロータブレードシステムの角位置を表す。)ステップと、(有利には、周波数成分の大きさおよび/または位相が1つまたは複数の基準を満たす場合に)上記分析した負荷信号に基づいてブレードピッチ角アンバランスを検出するステップと、を含む。
【0008】
本方法は、風力タービンの製造中または製造後、風力タービンの保守中、風力タービンの監視中および/または風力タービンの動作中に行うことができる。有利には、本方法は、ブレードピッチ角アンバランスを検出し、これに基づいて、検出されたブレードピッチ角アンバランスを動的に低減可能なリアルタイム方法として実現可能であり、以下でさらに詳細に説明される。
【0009】
有利には、本方法は、従来の風力タービンにおいて利用可能な値および/または信号、たとえば、ヨー制御アクチュエータの作動に用いられる電力信号およびロータアジマス角信号を利用することができる。有利には、たとえば、風力タービンは、風向きに対して正しく向けられるように、左右に周期的にヨー制御される。ヨー制御動作(すなわち、ヨー軸を中心としたロータ回転軸の回転)の間、ヨー制御アクチュエータたとえば電気モータの駆動に用いられる電力は、負荷信号を得るための効果的な指標となりうる。有利には、ヨー制御アクチュエータに用いられる電力の使用は、ロータ回転シャフトに設けられた1つまたは複数のロータブレードのピッチ角が校正される必要があることを示すロータブレードピッチアンバランスを検出するのに適している。
【0010】
有利には、本方法を適用することにより、1つまたは複数のブレードの静的なピッチ角校正エラーを求めることができる。1つまたは複数のヨー制御アクチュエータたとえば電気および/または油圧作動モータの電力測定信号、(たとえば、加速度計またはエンコーダにより得られる)ロータアジマス角および/または(たとえば、風力計による測定により得られる)風速信号を用いることができる。ブレードピッチ角アンバランス、たとえば、ブレードピッチ角の校正エラーが、保存されまたは連続的に得られた負荷信号の分析により検出されたとき、ピッチ角はたとえば、校正エラーを有するこれらのブレードのすべてにまたは連続的に一度補正される。
【0011】
負荷信号のデータ処理は、いくつかのやり方で行うことができる。一実施形態では、負荷信号はヨー制御が行われる複数の(有利には互いに隣り合う)時間間隔において保存される。例を挙げれば、有利には、ヨー制御が行われる時間間隔はたとえば10〜30秒間である。たとえば、得られた負荷信号は後の処理のために保存される。有利には、ヨー制御アクチュエータの信号、アジマス信号および風速信号(ならびに風速タービンからの他の信号または測定結果)の保存データは、インターネット接続、モデムおよび/または任意の種類のネット接続たとえばイーサネット(登録商標)または同様の接続を介してアクセス可能である。
【0012】
別の実施形態では、負荷信号は、風力タービンの動作中(すなわち、発電し、この電力を電力系統に供給する間)に取得される。有利には十分な量の負荷信号が得られた後、ブレードピッチ角アンバランスを検出することは、有利には、たとえば連続的に行われる。いずれにせよ、たとえば負荷信号に関するデータは後の処理のために保存される。有利には、たとえば、ロータブレードシステムの一回転分(または複数回の回転)にわたる負荷信号を取得することが必要とされる。
【0013】
一実施形態では、負荷信号を分析するステップは、周波数成分の大きさを求めるステップを含む。有利には、周波数成分の大きさは、有利には、たとえば、負荷信号に含まれる別の周波数成分の重みの1つ以上と比較されたこの周波数成分の重みを示す。有利には、たとえば、この大きさは周波数成分の振幅として参照される。有利には、負荷信号を複数の周波数成分の連続またはひとかたまりに分解する際、複数の周波数成分のそれぞれはたとえば振幅および位相により特徴付けられる。周波数成分の振幅または大きさを求めることにより、ブレードピッチ角アンバランスを容易に検出することができる。これにより、本方法は、簡単なものとなり、容易に実行可能なものとされる。
【0014】
本発明の一実施形態では、上記負荷信号を取得するステップは、複数の時点に関して負荷信号を取得するステップを含む。有利には、たとえば、負荷信号はたとえば一定間隔離れた複数の時点においてサンプリングされる。さらに、負荷信号を取得するステップは、負荷信号中のエラーを低減するために、負荷信号をフィルタリングし、平均化し、または、処理するステップを含んでよい。さらに、ローパスフィルタリングおよび/またはバンドパスフィルタリングを負荷信号に適用してもよい。これにより、本ブレード角ピッチアンバランスを検出する方法は改善可能である。有利には、ロータブレードの1回または複数回の全回転がカバーされるように、たとえば、負荷信号は、複数の時点で取得される。
【0015】
本発明の一実施形態では、上記ブレードピッチ角アンバランスを検出する方法は、上記ロータブレードシステムのアジマス角を表す(ロータブレードシステムの角位置、すなわち、ロータブレードシステムがロータ回転軸を中心として回転する量を示す)ロータアジマス信号を取得するステップをさらに含み、上記ブレードピッチ角アンバランスを検出するステップは、上記ロータアジマス信号にさらに基づいている。
【0016】
有利には、たとえば、特定の時点で取得される負荷信号は、同じ時点で取得されるロータアジマス信号と関連している。有利には、上記ロータアジマス信号を取得するステップは、負荷信号もまた取得される複数の時点に関して上記ロータアジマス信号を取得するステップを含む。さらに、たとえば、複数の時点で取得される負荷信号は対応する複数の時点において取得されるロータアジマス信号と関連している。したがって、たとえば、負荷信号は、ロータアジマス信号に依存して取得される。有利には、たとえば、特定の時点で取得される各負荷信号は、同じ時点で取得される特定のアジマス角信号と関連している。これにより、負荷信号を分析するステップおよびブレードピッチ角アンバランスを検出するステップは、簡略化可能である。
【0017】
本発明の一実施形態では、上記周波数成分は、上記ロータブレードシステムの回転周波数に相当する。有利には、ロータブレードシステムの回転周波数、およびしたがって、周波数成分の周波数も、たとえば風速の変化により経時的に変化しうる。たとえば、ロータブレードシステムの回転周波数が0.25Hzである場合、負荷信号は0.25Hzの周波数を有する周波数成分の大きさおよび/または位相に関して分析することができる。一実施形態における本検出方法に関して、たとえば他の周波数成分は無視される。
【0018】
本発明の一実施形態では、上記分析ステップは、上記ロータブレードシステムが有するロータブレードの数と掛け合わされた回転周波数に相当する(上記周波数成分の周波数とは異なる周波数を有する)別の周波数成分の大きさをさらに求めるステップを含む。たとえば、ロータブレードシステムの回転周波数の上記周波数成分の周波数が0.25Hzであり、ロータブレードシステムが有するロータブレードの数が3の場合、上記別の周波数成分の周波数は0.75Hzである。有利には、ロータブレードシステムが有するロータブレードの数は、2、3、4、5、6、7またはそれ以上であってよい。一実施形態では、たとえば、負荷信号は上記周波数成分および上記別の周波数成分に関して分析されるが、他の周波数成分は無視される。これにより、本方法は、簡略化および高速化が可能となる。
【0019】
一実施形態では、上記ブレードピッチ角アンバランスを検出する方法は、上記検出ステップは、上記大きさをしきい値と比較するステップ、および/または、上記別の大きさを別のしきい値と比較するステップ、および/または、上記大きさと上記別の大きさとの差が差のしきい値を超えるか比較するステップ、および/または、上記大きさと上記別の大きさとの比を比のしきい値と比較するステップと、を含む。有利には、上記大きさと上記別の大きさとの差は、上記別の大きさから上記大きさを引くことにより得ることができる。有利には、上記大きさと上記別の大きさとの比は、上記大きさを上記別の大きさで除することにより得ることができる。これらの値を相当するしきい値と比較することにより、本方法は簡略化可能である。
【0020】
本発明の一実施形態では、上記大きさが上記しきい値を超える、および/または、上記別のしきい値が上記別のしきい値未満に低下する、および/または、上記大きさと上記別の大きさとの差が上記差のしきい値を超える、および/または、上記大きさと上記別の大きさとの比が上記比のしきい値を超えるとき、上記ブレードピッチアンバランスを検出する。
【0021】
他の実施形態では、ブレードピッチ角アンバランスが存在するかどうかを決定するために他の基準を適用することができる。
【0022】
一実施形態では、上記検出ステップは、上記ロータブレードシステムの回転を生じさせる(たとえば測定可能な)風速にさらに基づいている。これにより、本方法はさらに改善可能である。
【0023】
有利には、ロータブレードシステムの回転周波数に相当する周波数成分の振幅の大きさまたは振幅が特に大きい、有利にはしきい値よりも特に高い場合、これはブレードピッチ角アンバランスが実際に存在することを示しうる。これに対し、ロータブレードシステムの回転周波数に相当する周波数成分の大きさまたは振幅が比較的小さい、有利には別のしきい値よりも小さい場合、これはブレードピッチ角アンバランスが全くまたは僅かしか存在しないことを示しうる。さらに、上記別の周波数成分の大きさまたは振幅が、上記周波数成分の大きさまたは振幅と比べて大きいほど、ブレードピッチ角は良好なバランスとされている可能性がある。
【0024】
一実施形態では、上記分析ステップは、(有利には、高速フーリエ変換FFTを用いて)時間に関する(負荷信号が時間に依存して記述されている場合)上記負荷信号のフーリエ変換を計算するステップ、および/または、上記ロータアジマス角の複数のビン(実施例としては、たとえば、10°、20°、30°または45°の角度範囲にわたるビン)における、上記ロータアジマス角に関する上記負荷信号のビニングを実行するステップをさらに含む。ヨー制御が制限された角度にかけてのみ行われ、たとえば10秒〜40秒の制限された時間内で得られる場合、フーリエ変換計算が正確には実行できない場合があり、有利には、ビニング法を適用することができる。
【0025】
一実施形態では、上記分析ステップは、上記周波数成分のロータのアジマス方向位相を求めるステップ(有利には、ロータアジマス角に関して記述された負荷信号にサインまたはコサイン関数を一致させるステップを含む)を更に含み、上記ピッチ角アンバランスを検出するステップは、有利には、上記求められたロータのアジマス方向位相に基づいて上記ロータブレードシステムの少なくとも1つのロータブレードを識別するステップをさらに含み、上記少なくとも1つのロータブレードは、上記ロータブレードシステムの少なくとも1つの他のロータブレードとは異なるブレードピッチ角を有する。
【0026】
周波数成分のロータのアジマス位相は、サインまたはコサイン関数と一致された位置を示す。有利には、周波数成分のロータアジマス位相を用いて、他のロータブレードのブレードピッチ角に関してそのブレードピッチ角の最大の差を有するロータブレードを識別することができる。さらに、上記周波数成分および/または上記別の周波数成分の大きさおよび/または位相に基づいて、他のロータブレードのブレードピッチ角に対する識別されたロータブレードのブレードピッチ角のサインおよび/または偏差の大きさを求めることができ、または、計算することができる。これにより、ブレードピッチ角アンバランスを低減することが簡略化可能である。
【0027】
一実施形態では、上記負荷信号を取得するステップは、上記ヨー制御を作動させるヨー制御アクチュエータにより消費される電力を取得するステップ、および/または、ヨー制御におけるトルクの運動量を取得するステップを含む。これにより、負荷信号は、任意の付加的な設備を設けることなく、簡単なやり方で取得することができる。
【0028】
一実施形態では、風力タービンのロータブレードシステムのブレードピッチ角アンバランスを低減する方法が提供され、ロータブレードシステムはロータ回転軸を中心として回転する。これにより、本方法は、上述のブレードピッチ角アンバランスを低減する方法の一実施形態に係るブレードピッチ角アンバランスを検出するステップと、検出されたブレードピッチ角アンバランスを低減するために、検出されたブレードピッチ角アンバランスを検出に基づいてロータブレードシステムが有する少なくとも1つのロータブレードのブレードピッチ角を変化させるステップと、を含む。
【0029】
ブレードピッチを変化させるステップは、風力タービンの設置、設定、保守および/または動作の間に、マニュアルでまたは自動で行うことができる。少なくとも1つのロータブレードのブレードピッチ角の変化の種類は、有利には、上記周波数成分および/または上記別の周波数成分の振幅および/または位相を考慮することにより、負荷信号の分析結果により取得可能である。さらに、ブレードピッチ角を変化させるステップは、繰り返して行ってもよく、ブレードピッチ角アンバランスの検出に際して、第1のオフセットがブレードピッチ角に適用され、その後、ブレードピッチ角アンバランスが再び検出される。このとき、たとえば、第2のブレードピッチ角オフセットが適用され、ブレードピッチ角アンバランスが検出されなくなるまで、ブレードピッチ角アンバランスが再度検出される。さらに、たとえば、ブレードピッチ角の変化の方向および/または量は、負荷信号のデータセットおよびブレードピッチ角アンバランスを検出する際に適用されたブレードピッチ角オフセットのデータセットを含むトレーニングデータから学習される。
【0030】
ブレードピッチ角アンバランスを低減する方法により、風力タービンの予想寿命、耐久性および信頼性は向上される。さらに、生産効率が向上可能である。
【0031】
ブレードピッチ角アンバランスを検出する方法またはブレードピッチ角アンバランスを低減する方法に関して、開示され、記載され、用いられたすべての(個別のまたは組み合わせの)特徴は、ブレードピッチ角アンバランスを検出する装置にも(個別にまたは組み合わせで)適用することができ、逆もまた成り立つことは理解されるべきである。
【0032】
一実施形態では、風力タービンのロータブレードシステムのブレードピッチ角アンバランスを検出するための装置が提供され、上記ロータブレードシステムはロータ回転軸を中心として回転するものであり、該装置は、上記ロータ回転軸に対して横向きの、有利には垂直なヨー軸を中心として上記ロータ回転軸をヨー制御することによる負荷を表す負荷信号を取得する入力端と、上記負荷信号の周波数成分に関して上記負荷信号を分析し、上記分析した負荷信号に基づいてブレードピッチ角アンバランスを検出するプロセッサと、を備える。
【0033】
有利には、ブレードピッチ角アンバランスを検出する装置は、たとえば、上述のようなブレードピッチ角アンバランスを検出する方法を実行可能なように構成されている。
【0034】
有利には、負荷信号および本方法に用いられる任意の他の信号のデータ処理は、たとえば、オフラインで行われるか、または、ブレードピッチ角アンバランスを検出する装置、有利には、風力タービンのコントローラまたはコンピュータにより直接行われる。有利には、ブレードピッチ角アンバランスを検出する方法は、たとえば、風力タービンのコントローラにおいて実行されているコンピュータプログラムにおいて実行される。このプログラムは、たとえば、必要な保存された信号(ヨー制御電力、ロータアジマス角、風速)を用いてインストールされた後、連続的に実行されているか、または、所定の期間、たとえば風力タービンの所定の立ち上げ期間において実行されている。風力タービンのコントローラまたはコンピュータは次いで、たとえば、ローカルにおよび/または中央タービン監視システムにステータスおよび/または警報を報告する。その後、保守技術員はたとえば、報告および/または警報に基づいて必要であれば、風力タービンの保守に関連して1つまたは複数のロータブレードのピッチ校正を調べる。
【0035】
ヨー制御動作(すなわち、ロータ回転軸の回転)の間、ヨー制御アクチュエータを制御するコントローラが一定のヨー速度の実現を試みる際、ヨー制御アクチュエータの電力消費はヨー負荷に基づいて変動しうる。有利には、電力消費をヨー制御による負荷を表す負荷信号として用いることができる。
【0036】
風力タービンのロータブレードシステムが有する全てのロータブレードのピッチ角が適切に計算されると、ヨー制御アクチュエータ信号(たとえば負荷信号を表す)は、3P成分(3つのロータブレードがロータ回転シャフトに接続されている場合は、ロータブレードシステムの3倍の回転周波数に相当する別の周波数成分を表す)が支配的となり、一方で、ピッチアンバランスは1P成分(ロータブレードシステムの回転周波数に相当する負荷信号の周波数成分の大きさを表す)を増加させる。ヨー負荷が明確となるには、ある程度の量の風速が必要な場合がある。負荷信号の十分なデータ量が集まるまで、選択されたシーケンスが保存される。後処理に必要なデータとしては、たとえば、ヨー制御アクチュエータ信号(負荷信号を表す)、風速、ロータ平面のアジマス角(ロータアジマス信号を表す)が挙げられる。後処理によりまたは連続的に、1Pおよび3P成分は、たとえば、上述のようにFFT法またはビニング法により求められる。
【0037】
本発明の実施形態は、異なる対象について記載されていることに留意されたい。有利には、いくつかの実施形態が方法タイプの請求項に関連して記載され、一方で、他の実施形態は、装置タイプの請求項に関連して記載されている。しかし、上記および下記の記載から、他の言及しない限り、一方のタイプの対象に属する特徴の任意の組み合わせに加え、異なる発明に関連する特徴の任意の組み合わせ、有利には方法タイプの請求項の特徴と装置タイプの請求項の特徴との任意の組み合わせも、本明細書に開示されているものと見なされることは当業者は理解するであろう。
【0038】
本発明の上記態様および別の態様は、以下に記載される実施形態の実施例から明らかであり、実施形態の実施例に関連して説明される。本発明は、実施形態の実施例を参照して以下より詳細に説明されるが、本発明はこれに限定されない。
【0039】
本発明の実施形態について添付図面を参照して以下説明する。本発明は、開示のまたは例示の実施形態に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】一実施形態に係るブレードピッチ角アンバランスを検出する方法において考慮されるグラフを示す。
【図2】一実施形態に係るブレードピッチ角アンバランスを検出する方法において考慮されるグラフを示す。
【図3】一実施形態に係るブレードピッチ角アンバランスを検出する方法により取得される負荷信号の周波数成分を示すグラフを示す。
【図4】一実施形態に係るブレードピッチ角アンバランスを検出する方法により取得される負荷信号の周波数成分を示すグラフを示す。
【図5】一実施形態に係るブレードピッチ角アンバランスを検出する方法を実行する際に取得されるロータアジマスピッチ角に依存した負荷信号のグラフを示す。
【図6】一実施形態に係るブレードピッチ角アンバランスを検出する方法を実行する際に取得されるロータアジマスピッチ角に依存した負荷信号のグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図面中の記載は、概略的なものである。異なる図面中、同様のまたは同一の要素は、同一の参照符号または相当する参照符号と最初の桁のみ異なる参照符号が付される。
【0042】
図1は、1°のピッチアンバランスを有する3つのロータブレード(実際のピッチ角オフセットは3つのブレードに関してそれぞれ0.0°、0.7°および1.0°。すなわち、最大の差は1°=ピッチアンバランス)を有する2.3MW(定格出力電力)の風力タービンによる測定結果を示す。
【0043】
図1には、上段のグラフ、中段のグラフおよび下段のグラフが示されている。図中、横軸には時間t(秒。図面中の時間軸は分:秒)が示されており、これらは回転シャフトに取り付けられた3つのロータブレードを有する風力タービンに関連する。
【0044】
上段のグラフには、縦軸にヨー速度vyが示されており、これはロータ回転軸に垂直な垂直軸を中心としたロータ回転軸の回転速度である。図1の上段のグラフからわかるように、開始時間から10分35秒までの時間において、ヨー速度は0である。10分35秒から11分3秒までの時間101において、ヨー速度は約−40であり、これはロータ回転軸の特定の回転速度および回転方向を示している。
【0045】
この時間101における負荷信号yが、図1の中段のグラフに示されている。グラフ中、ヨー負荷yが縦軸に示されている。図1の中段のグラフからわかるように、ヨー負荷yは山103および谷105を有して変動する。したがって、山103および谷105は、約4秒の特定の周期T1を有する。有利には、ロータブレードシステムが回転する回転期間は、一回転分が期間T1にも相当する。したがって、図1の中段のグラフに示されるヨー負荷は、ロータ回転の周波数に基本的に相当する周波数で変動する。図1の中段のグラフに示されるヨー負荷のこのパターンは、3つのロータブレードを有するロータブレードのブレードピッチ角アンバランスが存在することを示す。
【0046】
図1の下段のグラフは、縦軸に有効風速vwが示されている。図から、中段のグラフ中に示されるヨー負荷データが得られた時間101においては、風速が大きく変化していないことがわかる。
【0047】
図2は、ロータが、すべてのブレードについて等しいピッチ角に空力学的にバランスが取られた後の相当する信号を示す。
【0048】
図1の中段のグラフに示されるヨー負荷信号yに基づいてブレードピッチ角アンバランスを検出した後、ロータブレードシステムが有する1つまたは複数のロータブレードが識別され、これらのブレード角が調整される。その後、さらなる測定が図2に示されるように行われる。有利には、図2の上段のグラフに示される、ヨー速度がゼロより大きい時間201の間、ロータ回転軸は垂直軸を中心として回転される。時間201の間、負荷信号y、有利には、ヨー負荷が取得される。ヨー負荷は図2の中段に示されている。図2の中段のグラフからわかるように、ヨー負荷は、図1の中段のグラフから求められるように、繰り返し期間T1の1/3である、長さT3の特定の繰り返し期間を有して変動する。したがって、ブレードピッチ角の一致の後、ヨー負荷は、ブレードピッチ角が補正される前にヨー負荷が変動していた周波数の3倍の周波数で変動する。さらに、T1の繰り返し期間を有する周波数成分は、図2の中段のグラフに示されるヨー負荷において振幅が低減されている。これは、ブレードピッチ角アンバランスが図1の状態と比較して低減されていることを示す。
【0049】
図1と図2とを比較して、a)ヨー制御信号yが、ヨーモーメントの1Pおよび3Pモーメントを反映し、かつ、b)図1中の信号の1P成分が後処理なしで容易に見て取れることがわかる。
【0050】
測定前後のFFTが、図3および4にそれぞれ示されている。
【0051】
図3は、図1の中段のグラフに示されるヨー負荷yに含まれる周波数成分の周波数f(Hz)を横軸に、振幅Aを横軸に示すグラフを示す。有利には、図3は図1の中段のグラフに示されるヨー負荷信号yに含まれる周波数成分のスペクトル307を示す。スペクトル307は、約0.25Hzにおいて山309を有し、約0.75Hzの周波数においてより低い山311を有する。山309の高さ313は、繰り返し期間T1および周波数f1を有する周波数成分の振幅を示す。周波数f1はロータブレードシステムのロータ回転周波数に相当する。山311の高さ315は、周波数f3に相当する繰り返し期間T3を有する周波数成分の振幅を示す。有利には、周波数f3は周波数f1の3倍である。周波数f1に相当する周波数成分の高さ313は、周波数f3に相当する周波数成分の振幅315よりも高いので、ブレードピッチ角アンバランスを示す。
【0052】
図4は、図2の中段のグラフに示されるヨー負荷yのスペクトル407、すなわち、ブレードピッチ角の補正後のスペクトルを示す。スペクトル407は、周波数f1に相当する山409と、周波数f3に相当する、はるかに高い山411とを含む。山409の低い高さ413および/または山411の高い高さ415は、ブレードピッチ角アンバランスが図3に示される状態と比較して低減されていることを示す。
【0053】
従って、このブレードピッチ角アンバランスの検出方法およびブレードピッチ角アンバランスの低減方法の効率性は明らかである。
【0054】
1P(0.25Hz)レベルは図3において図4におけるよりも非常により大きく、ピッチアンバランスが存在し、一方で、ピッチアンバランスが補正された後は3P(0.78Hz)レベルが支配的であり、1Pレベルはほとんど存在しない。
【0055】
図5および6のグラフ中、ブレードピッチアンバランスの補正前後における、ロータアジマス角φ(°)が横軸に示され、ヨー負荷信号yが縦軸に示されている。
【0056】
FFTを用いることに代えて、ヨー制御信号のアジマス角でのビニング(および各ビン内の平均化)を用いることができる。図5の下段は、1°のピッチアンバランスでの結果(13m/sにおけるシミュレーションデータ)を示し、図6はピッチが補正された後の相応するビニングされた曲線を示す。
【0057】
これらの2つの曲線は、1P成分と3P成分とについて非常に容易に分析できる。1P成分を見れば非常に明確にピッチアンバランスが判別できる。
【0058】
図5および6は、同じ風が入る場合を示している。唯一の違いは、図5についてのタービンモデルが1°のピッチアンバランスを有していることである。ピッチアンバランスの補正(図6)により、約1200kNmから約500kNmまでの負荷サイクルが低減されることがわかる。ヴェーラー指数3.5と仮定して、ヨー構造部材の寿命の消費は約14%まで低下する。
【0059】
図5は、ロータアジマス角30°でのビンへのビニング後の、図1の中段のグラフに示されるヨー負荷信号yを示し、横軸はアジマス角φである。特に、ビニング後、曲線が一致する点521が得られる。曲線523の形状から評価できるように、たとえば、360°の期間を有するサイン関数が曲線523に一致される。したがって、図1の中段のグラフに示されるヨー負荷yの変動周波数は、アジマス角φの変動周波数に相応している。
【0060】
図6は、ブレードピッチ角アンバランスの補正後、および、図5のグラフを得るために行われるものに似た手法で図2の中段のグラフに示されるヨー負荷信号yのビニング後のグラフ623を示す。図6に見られるように、負荷信号yは120°の周期で変動し、負荷信号yが図5に示される曲線523よりも3倍早く変動することを示す。したがって、ブレードピッチ角アンバランスの補正後、図6に示される得られた曲線623はブレードピッチ角アンバランスが低減されたことを示す。
【0061】
有利には、図5および6において、ヨー制御アクチュエータ信号yは0〜30°、30〜60°、60〜90°、…、330〜360°のアジマスビンに分割され、その後、各ビンの平均が計算される。その後、全てのビンの平均が個々のビンの平均から引かれ、これによりバイアスまたはDC成分が除かれる。次いで、ビニングされたヨー制御アクチュエータ信号yの振幅が、すべてのビンの標準偏差の二乗の平方根として求められる。ビニングされたヨー制御アクチュエータ信号と推定された振幅のサインとの二乗、1P周波数、および、位相オフセット値の和が計算される。これは、0°、90°、180°.270°の位相オフセット値について行われる。さらに、これら4つの和が、ロータ平面のx、y方向におけるヨーモーメントを求めるために用いられる。ヨー負荷のx、y成分の決定後、ヨー負荷成分の位相および大きさが三角法を用いて求められる。
【0062】
この結果により、本発明の実施形態において、1P成分の量が確定され、これにより、ピッチアンバランスの指標が確定される。この後処理方法を用いて、ヨー制御アクチュエータ信号を、風測定装置、および、アジマス信号を含む各タービンは正しくまたは誤って校正されたピッチ角のグループに分類することができる。ヨー負荷成分から個々のピッチ角を求めることができないが、補償するまたは打ち消すヨー負荷成分を得て、ロータ平面内のピッチバランスを再構築するために、ピッチ角の新たな組を求めることはできる。
【0063】
3Pのヨー負荷の位相および大きさは同様にして求めることができ、上記のようなサイン関数との一致により推定を改善するためのいくつかの方法により最適化可能である。
【0064】
本発明の実施形態は、既に利用可能な保存データを用いて自動的に、タービンをピッチアンバランスが存在するグループと存在しないグループとに分類することができ、これにより、ピッチアンバランスのマニュアルでの検査コストを低減することができる。本発明の一実施形態により、検出されたピッチアンバランスは、1つまたは複数のブレードを、検出されたピッチアンバランスが消失するピッチ角位置にピッチングすることにより、直接に補正可能である。
【0065】
さらに、別の解決策が提案される。
【0066】
風力タービンのピッチアンバランスの検出後、各ブレードのピッチ角は保守技術員によりマニュアルで校正されてもよい。
【0067】
風速信号を、風速が比較可能であり、低すぎない、たとえば10〜12m/sまたは8〜10m/s(典型的には5m/s以上でたとえば+2m/sまたは同様の間隔の風速)であるヨー制御期間の捕捉に用いることができる。ヨーモーメントがあまりはっきりせず、低い風速での測定に用いることができないことから(ヨー制御システムの摩擦および測定または補償が容易ではない同様の事項により)、これが必要な場合がある。
【0068】
ヨー速度基準信号を、風力タービンのヨー制御システムがオン状態にある所定の期間を特定するための分割のために用いてもよい。
【0069】
他の解決策には以下のものが含まれる。
【0070】
検出アルゴリズムはFFTまたはアジマスビニングまたは他の同様の方法であってよい。ヨー制御信号はヨー制御アクチュエータ電力以外の源から得てもよい。この信号はヨーモーメントの代わりでなければならないだけである。
【0071】
「含む」、「有する」、「から構成される」の語は、他の要素またはステップを除外するものではなく、「一」、「1つ」の語は、複数を除外するものではない。また、異なる実施形態に関連して記載された要素は、組み合わされてもよい。特許請求の範囲における参照番号は、特許請求の範囲を限定するものと解されるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力タービンのロータブレードシステムのブレードピッチ角アンバランスを検出する方法であって、前記ロータブレードシステムはロータ回転軸を中心として回転するものであり、該方法は、
前記ロータ回転軸に対して横向きの、有利には垂直なヨー軸を中心として前記ロータ回転軸をヨー制御するステップと、
前記ヨー制御による負荷を表す負荷信号(y)を取得するステップと、
前記負荷信号の周波数成分(f1)に関して前記負荷信号を分析するステップと、
前記分析した負荷信号に基づいてブレードピッチ角アンバランスを検出するステップと、
を含む、ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記負荷信号を分析するステップは、前記周波数成分(f1)の大きさ(313、413)を求めるステップを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記負荷信号(y)を取得するステップは、複数の時点(101、105)に関して前記負荷信号を取得するステップを含む、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記ロータブレードシステムのアジマス角(φ)を表すロータアジマス信号を取得するステップをさらに含み、
前記ブレードピッチ角アンバランスを検出するステップは、前記ロータアジマス信号にさらに基づいている、
請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記ロータアジマス信号を取得するステップは、複数の時点(101、201)に関して前記ロータアジマス信号を取得するステップを含む、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記周波数成分は、前記ロータブレードシステムの回転周波数(f1)に相当する、請求項1から5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記分析ステップは、前記ロータブレードシステムが有するロータブレードの数と掛け合わされた回転周波数に相当する別の周波数成分(f3)の大きさ(315、415)をさらに求めるステップを含む、請求項2から6のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記検出ステップは、前記大きさをしきい値と比較するステップ、および/または、前記別の大きさを別のしきい値と比較するステップ、および/または、前記大きさと前記別の大きさとの差が差のしきい値を超えるか比較するステップ、および/または、前記大きさと前記別の大きさとの比を比のしきい値と比較するステップと、を含む、請求項1から7のいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記大きさが前記しきい値を超える、および/または、前記別のしきい値が前記別のしきい値未満に低下する、および/または、前記大きさと前記別の大きさとの差が前記差のしきい値を超える、および/または、前記大きさと前記別の大きさとの比が前記比のしきい値を超えるとき、前記ブレードピッチアンバランスを検出する、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記検出ステップは、前記ロータブレードシステムの回転を生じさせる風速(vw)にさらに基づいている、請求項1から9のいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記分析ステップは、時間(t)に関する前記負荷信号(y)のフーリエ変換を計算するステップ、および/または、前記ロータアジマス角の複数のビンにおける、前記ロータアジマス角(φ)に関する前記負荷信号(y)のビニングを実行するステップをさらに含む、請求項1から10のいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
前記分析ステップは、前記周波数成分(309、f1)のロータのアジマス方向位相を求めるステップを更に含み、
前記ブレードピッチ角アンバランスを検出するステップは、有利には、前記求められたロータのアジマス方向位相に基づいて前記ロータブレードシステムの少なくとも1つのロータブレードを識別するステップをさらに含み、
前記少なくとも1つのロータブレードは、前記ロータブレードシステムの少なくとも1つの他のロータブレードとは異なるブレードピッチ角を有する、
請求項1から11のいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
前記負荷信号(y)を取得するステップは、前記ヨー制御を作動させるヨー制御アクチュエータにより消費される電力を取得するステップ、および/または、ヨー制御におけるトルクの運動量を取得するステップを含む、請求項1から12のいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
風力タービンのロータブレードシステムのブレードピッチ角アンバランスを低減させる方法であって、前記ロータブレードシステムはロータ回転軸を中心として回転するものであり、該方法は、
請求項1から13のいずれか1項記載の方法によってブレードピッチ角アンバランスを検出するステップと、
検出されたブレードピッチ角アンバランスを低減させるために、該検出されたブレードピッチ角アンバランスに基づいて、前記ロータブレードシステムの少なくとも1つのロータブレードのブレードピッチ角を変化させるステップと、
を含む、ことを特徴とする方法。
【請求項15】
風力タービンのロータブレードシステムのブレードピッチ角アンバランスを検出するための装置であって、前記ロータブレードシステムはロータ回転軸を中心として回転するものであり、該装置は、
前記ロータ回転軸に対して横向きの、有利には垂直なヨー軸を中心として前記ロータ回転軸をヨー制御することによる負荷を表す負荷信号(y)を取得する入力端と、
前記負荷信号(y)の周波数成分(f1)に関して前記負荷信号を分析し、前記分析した負荷信号に基づいてブレードピッチ角アンバランスを検出するプロセッサと、
を備える、ことを特徴とする装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−189080(P2012−189080A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−53507(P2012−53507)
【出願日】平成24年3月9日(2012.3.9)
【出願人】(390039413)シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト (2,104)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Wittelsbacherplatz 2, D−80333 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】