説明

風力タービンの電気装置を制御する方法およびシステム

【課題】ユーティリティグリッドの安定性を維持することができまたは少なくとも改善することができる、風力タービンの電気装置を制御する方法およびシステムならびに風力タービンを提供する。
【解決手段】風力タービン(100)の電気装置(117、121、123、125、127、129)の制御方法であって、該電気装置に電気的に接続されたユーティリティグリッド(115)の状態信号(f)を受信するステップと、該状態信号に基づいて該電気装置の動作を制御するステップと、を有する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風力タービンの電気装置を制御する方法およびシステムに関し、当該電気装置を制御するシステムを有する風力タービンに関する。特に、本発明は、電気装置がユーティリティグリッドからのエネルギーを消費し、または、ユーティリティグリッドにエネルギーを送り、または、風力タービンプラントからの電力を消費する、風力タービンの電気装置を制御する方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の発電施設では、かなりの数の風力タービンが電気エネルギーをユーティリティグリッドに送ることができる。法人消費者および/または個人消費者はユーティリティグリッドからのエネルギーを消費することができる。したがって、これらの消費者のエネルギー需要または電力需要は時間と共に変化する。
【0003】
特に、消費者のエネルギー需要が大きく変化する間、消費者のエネルギー需要または電力需要は電力生産体(特に風力タービン)からユーティリティグリッドに送られるエネルギーと一致しない場合がある。この状況において、従来の風力タービンでは、風力タービンの電力出力またはエネルギー出力、特に、風力タービンのコンバータの電力出力が短期的に増大され、これによって、風力タービンからユーティリティグリッドに送られるエネルギー量と、ユーティリティグリッドから取り出される消費者のエネルギー需要とのバランスを改善させていた。特に、消費者のエネルギー需要が電力生産体(特に風力タービン)からユーティリティグリッドに送られるエネルギーよりも大きい場合、周波数が低下する。対して、電力生産体(特に風力タービン)からユーティリティグリッドに送られるエネルギーが消費者により消費されるエネルギーよりも大きい場合、ユーティリティグリッドの周波数が上昇する。
【0004】
ユーティリティグリッドの周波数(例えば欧州では50Hz、米国では60Hz)を回復するために、短期間、風力タービンのコンバータの出力を増大させるとき、より多くの運動エネルギーが風力タービンのロータから引き出され、ロータの回転速度が低下する。これにより、風力タービンの効率が低下する場合がある。したがって、風力タービンのコンバータの出力の増大した後に回復時間が来るが、このときはより低い電力生産が出力される。
【0005】
US2007/0120369はユーティリティおよび風力タービンの制御のためのシステムおよび方法を開示しており、この風力タービンシステムは、コンバータに接続されかつ風力タービン発電機の内部参照フレームを含むコントローラを備えており、内部参照フレームに関するユーティリティシステムの周波数動揺または電力動揺に応じてコンバータを介して電力フローを調整するよう構成されている。周波数低下状態で一時的に出力を増大させるため、風力タービンのコンバータは一時的に過負荷にする必要がある。これはコンバータの負荷を増大させるだけでなく、タービンのドライブラインへの負荷を増大させることともなりうる。これにより、不具合が生じるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】US2007/0120369
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ユーティリティグリッドの安定性を維持することができまたは少なくとも改善することができる、風力タービンの電気装置を制御する方法およびシステムに対する要求が存在する。特に、電力動揺の間に風力タービンのコンバータを過負荷にする必要がなく、関連する不具合が回避される、風力タービンの電気装置を制御する方法およびシステムに対する要求が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この要求は独立請求項にかかる発明によって満たされる。本発明の有利な実施形態は従属請求項に記載されている。
【0009】
一実施形態では、風力タービンの(風力タービンに含まれる、特に、風力タービンの内部または風力タービンに少なくとも隣接する)電気装置の制御方法であって、該電気装置に電気的に接続された(特に2つの相対する方向における電力フローを可能としまたは容易とする)、(法人および/または個人消費者への電力供給のために用意された)ユーティリティグリッドの状態信号(ユーティリティグリッドの状態を示す任意の信号、特に、電圧、電流および/または周波数に関するようなユーティリティグリッドの電気的状態を示す信号)を受信する(たとえば、供給する、アクセスする、取得する、測定する、決定する、および/または得る)ステップと、該状態信号に基づいて該電気装置の動作を制御する(たとえば、停止させる、切断する、オンにする、および/または調整する)ステップと、を有する方法が提供される。特に、電気装置の動作の制御は状態信号に依存する。特に、一実施形態では、電気装置の動作が制御される一方で、風力タービンはアイドル状態であってよく、ユーティリティグリッドに電気エネルギーを供給しなくともよい。
【0010】
特に、電気装置の動作を制御する間、風力タービンのコンバータの過負荷は避けることができ、風力タービンの動作の不具合を避けることができる。したがって、イナーシャの応答が簡単な方法でできる。特に、風力タービンのコンバータは風力タービンの定格電力およびイナーシャの消費を管理するよう設計され、測定された得られる電力出力を確実にセールス電力曲線のレベルに達するようにする。過渡的状態の間、コンバータを過負荷する代わりに、風力タービンの電気装置の、少なくとも1つの(有利には全ての)不可欠でないイナーシャの消費は短期間、除去される。したがって、タービン動作については限定的な影響で、風力タービンの寿命に対する大きな影響もなく、コンバータを過負荷にする必要性を低くすることができる。任意の所与のタービンがこの機能をサポートする限られた能力しか有しない場合があるため、この制御方法の全体的効果はいくぶん統計的であるが、しかし、多数(たとえば1000超)の風力タービンがこの制御機能を備えている場合、統計的には、(特にユーティリティグリッドの周波数に関して)グリッドの安定性に良い影響を与えうる。
【0011】
特に、状態信号は、たとえば、ユーティリティグリッドに供給されるエネルギーまたは電力とユーティリティグリッドから引き出されるエネルギーまたは電力との比率に依存する。したがって、状態信号は、エネルギーまたは電力の生産と消費の比に依存する。電気装置(または1つの風力タービンが有する複数の電気装置)の動作を制御することにより、(特にユーティリティグリッドの周波数に関する)ユーティリティグリッドの安定性は改善されうる。同時に、風力タービンの、コンバータなどの構成要素は、過負荷されない。
【0012】
一実施形態では、電気装置の動作を制御する方法は、電気装置のユーティリティグリッドからの電力消費(動作中に電気装置により消費される電力)、または、電気装置のユーティリティグリッドへの電力移動(バッテリーまたはアキュムレータなどの電気装置からユーティリティグリッドに供給される電力またはエネルギー)を制御するステップを有する。特に、風力タービンからユーティリティグリッドに供給されるエネルギーまたは電力が、ユーティリティグリッドから法人消費者または個人消費者に送られるエネルギーまたは電力よりも小さいことを状態信号が示す場合、電気装置の電力消費は低減されおよび/または電気装置のユーティリティグリッドへの電力移動は増大される。これにより、ユーティリティグリッドの安定性は改善される。
【0013】
一実施形態では、電気装置の動作を制御する方法は、風力タービンのロータに機械的に接続された発電機からの電力をユーティリティグリッドに供給するステップをさらに有する。したがって、風力タービンは、電気装置に接続されているユーティリティグリッドに電気エネルギーを送る。特に、電気装置は、風力タービンの発電機に内部で電気的に接続されていなくともよいが、ユーティリティグリッドにのみ接続されている。したがって、電気エネルギーは風力タービンがアイドル状態の(電気エネルギーを生産しない)ときにも作動されうる。したがって、風力タービンの動作は、風力タービンがエネルギーを生産するか、エネルギーを生産しないかによらない。
【0014】
一実施形態では、電気装置の動作を制御する方法は、発電機からの電力を公称周波数(たとえば50Hzまたは60Hz)を有する電力に変換するステップをさらに有する。特に、電力の変換は、風力タービンのロータから引き出されるエネルギーの制御を可能とするフルコンバータを用いて行うことができる。したがって、風力タービンによって生成されたエネルギーまたは電力のユーティリティグリッドへの供給は容易化される。特に、出力の増大は、グリッドのバランスの回復に寄与し、これによりグリッド周波数を公称まで回復しうる。特に、所定の周波数がユーティリティグリッドの(公称)周波数と一致するよう調整される。
【0015】
一実施形態では、発電機からユーティリティグリッドに供給される電力の量は、ユーティリティグリッドの状態信号の変化に際して(少なくともおよそ)一定に維持される。特にこの機能は、単独で適用されるか、ロータRPMを低減する電力上昇の別のタイプと組み合わせて適用される。しかし、組み合わされた場合は、コンバータへの潜在的負荷は依然低減可能であり、回復時間は、コンバータの調整のみを用いるシステムと比較してさらに低減可能である。従って、風力タービンの発電機および/またはコンバータの過負荷は回避可能であり、風力タービンの効率および/または寿命を向上させる。
【0016】
一実施形態では、電気装置の制御方法は、状態信号に基づいて、風力タービンのエネルギーバッファ(たとえば、バッテリーまたはアキュムレータ、特に、無停電電源装置)からユーティリティグリッドに電力を供給するステップをさらに有する。特に、ユーティリティグリッドの周波数がしきい値未満まで低下したとき(消費者のエネルギー需要が風量タービンのエネルギー生産よりも大きいことを示す)、追加的なエネルギーまたは電力が、少なくともおおよそユーティリティグリッドの所望の周波数に回復するため、エネルギーバッファからユーティリティグリッドへ供給される。
【0017】
一実施形態では、電気装置の制御方法は、ユーティリティグリッドの状態信号を決定する(特に、測定し、計算し、取得し、アクセスし、受信し、および/または変換することを含む)ステップをさらに有する。特に、測定システム、(たとえば既存のタービンコントローラに設けられている)計算システムおよび/または変換システムは、状態信号を決定するために用いることができる。特に、状態信号の決定は、風力タービン内または風力タービンのコントローラ内で行われうる。
【0018】
一実施形態では、状態信号は、ユーティリティグリッドの周波数(AC電力の周波数)を含む。特に、ユーティリティグリッドの周波数変化は電力生産と電力消費とのアンバランスが存在することを示しうる。電力生産と電力消費とのこのアンバランスは望ましくなく、一実施形態ではこのアンバランスを低減することができる。さらに、多くの消費者装置が所定の周波数のAC電力を必要としているため、ユーティリティグリッドの周波数変化は望ましくない。したがって、最適な電気状態からのユーティリティグリッドの偏差は、ユーティリティグリッドの周波数の測定により容易に求めることができる。
【0019】
一実施形態では、電気装置の動作の制御は、ユーティリティグリッドの周波数を基準値、たとえば50Hzまたは60Hzと比較するステップを有する。
【0020】
一実施形態では、ユーティリティグリッドの周波数が基準値より小さい場合、電気装置のユーティリティグリッドからの電力消費は低下される。別の実施形態では、ユーティリティグリッドの周波数が基準値よりも小さい場合、電気装置からのユーティリティグリッドへの電力移動が増大される。これにより、ユーティリティグリッドの所定周波数は(直接的にまたは間接的に)少なくともおおよそ回復可能である。
【0021】
一実施形態では、ユーティリティグリッドの周波数が少なくとも所定のしきい値分、基準値より小さい場合、電気装置のユーティリティグリッドからの電力消費は停止される。所定のしきい値は、たとえば、0.1Hz、0.5Hz、0.05Hz、0.01Hzまたは他の値である。別の実施形態では、ユーティリティグリッドの周波数が基準値よりも小さい場合、電気装置の電力消費は漸減され、そして、エネルギー消費の漸減は、基準値からのユーティリティグリッドの周波数の偏差が大きいほど増大される。したがって、ユーティリティグリッドの安定性は(特にその周波数に関して)改善される。
【0022】
一実施形態では、風力タービンにおける電気装置を制御するシステムであって、ユーティリティグリッドに電気的に接続された(風力タービンに含まれる、特に、風力タービンの内部または風力タービンに少なくとも隣接する)電気装置と、ユーティリティグリッドの状態信号を受信し、状態信号に基づいて電気装置の動作を制御するコントローラと、を備えるシステムが提供される。特に、風力タービンの電気装置を制御するシステムは、複数の風力タービンを制御する中央制御システムに接続されていなくともよいが、中央制御システムから独立していても良い。これにより、電力生産プラントまたはウインドファームの各風力タービンは、対応する風力タービンの(少なくとも1つの、特に全ての)電気装置を制御するシステムを備えていてもよい。
【0023】
一実施形態では、電気装置を制御するシステムは、状態信号を測定するための測定システムをさらに備える。また、電気装置を制御するシステムは、状態信号を取得し、計算しおよび/または測定するための、計算システム、記憶システム、数学的/論理システムを有しても良い。また、システムは、状態信号を測定するためのセンサおよび/または検出装置を有しても良い。
【0024】
一実施形態では、電気装置は、風の方向に関連して風力タービンを配向させるためのヨーモータと、風力タービンの構成要素を動かすための油圧系と、風力タービンの構成要素を加熱するためのヒータと、風力タービンの構成要素を冷却するための冷却装置と、無停電電源装置と、光源と、冷却流体を循環させるためのポンプと、の少なくとも1つを備える。これらの種類の装置のいくつかは、風力タービンの動作を損なうことなく、電力消費を一時的に減少させることができる。
【0025】
一実施形態では、上記風力タービンの電気装置を制御するシステムを備える風力タービンが提供される。
【0026】
風力タービンの電気装置を制御する方法に関連して開示され、記載され、説明され、言及された特徴(独立のまたは組み合わせの)は、風力タービンの電気装置を制御するシステムに用いることができ、当該電気装置を制御するシステムを備える風力タービンに用いることができる。
【0027】
一実施形態では、風力タービンシステムは、ユーティリティシステムに風力パワーを供給するよう動作可能な風力タービンと、ユーティリティシステムにおける周波数変化を検出するために設けられたグリッド測定装置と、グリッド測定装置により検出された周波数変化にしたがって風力タービン内部の少なくとも1つの電気構成要素の電力消費を増大または減少させるコントローラと、を備える。特に、周波数が所定のしきい値未満に低下した場合、風力タービン内部の電気構成要素の電力消費は低減されるか、またはスイッチオフされる。さらに、特に、周波数が所定のしきい値を超えて上昇した場合、風力タービン内部の電気構成要素の電力消費は上昇されるか、またはスイッチオンされる。
【0028】
本発明の実施形態について、種々の対象に関連して記載した。特に、いくつかの実施形態は、方法タイプの請求項に関連して記載し、他の実施形態は、装置タイプの請求項に関連して記載した。しかし、当業者は、上記または後述の記載から、特に他に示さない限り、1つのタイプの対象に属する特徴の任意の組み合わせに加え、異なる対象に関連する特徴の間の任意の組み合わせ、特に、方法タイプの請求項の特徴と装置タイプの請求項の特徴の間の組み合わせが、本書面に開示されたものとして考慮される。
【0029】
本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。上記で定義された態様および本発明の他の態様は、以下に説明され、実施例を参照して説明される実施例から明らかである。本発明について、以下、実施例を参照してより詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】実施の形態にかかる風力タービンの一部を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、実施の形態にかかる風力タービン100およびユーティリティグリッドに接続されたパッド変圧器を概略的に示す。風力タービン100は、複数のロータブレード107が接続されたロータシャフト105を備えたロータを備える。ロータシャフトはロータシャフトの回転により電気エネルギーを生成する発電機109に機械的に接続されている。発電機109により生成される電気エネルギーは、可変周波数のAC電力をDC電力に変換する可変周波数AC−DCコンバータ111に供給される。DC電力は、DC電力を、たとえば50Hzまたは60Hzの所定の定格周波数を有する周波数AC信号に変換する周波数DC−ACコンバータに供給される。AC電力は、ユーティリティグリッド115に供給される。ユーティリティグリッドまたは代替的に風力タービン100は、コンバータ113から出力されたAC電力を所定の電圧(または所定の最大または最小電圧)を有するAC電力に変換するパッド(pad)変圧器を有する。
【0032】
風力タービン100は、さらに風力タービン100の電気装置を制御するシステム101を備える。システム101は、風力タービン100のいくつかの電気装置、たとえば、風の方向119に関連して風力タービンを配向させるヨー117、風力タービン100の構成要素を動かすための油圧構成要素、風力タービン100の構成要素を加熱するためのヒータ123、風力タービン100の構成要素を冷却するための冷却装置125、ユーティリティシステム115から引き出し可能な電気エネルギーが無い場合の無停電電源装置(UPS)127、および、風力タービン100の内部を照らすためのまたは風力タービン100の外側を照らすためのまたは風力タービン100の他の要素を照らすための光源129を有する。
【0033】
また、風力タービン100の電気装置を制御するシステム101は、ユーティリティグリッド115の周波数を測定するグリッド測定システム131を備える。さらに、システム101はグリッド測定システム131により測定されるユーティリティグリッドの周波数fを受信するコントローラ133を備える。コントローラ133は、グリッドの測定周波数fを少なくとも1つの基準値(たとえば50Hzまたは60Hz)と比較し、基準値からのグリッド周波数の偏差を決定する。特に、グリッド測定システム131により測定される周波数は、ユーティリティグリッド115の電気的性質または電気的状態の指標であるユーティリティグリッドの状態信号を表す。グリッド測定システム131により測定または決定された状態信号に基づいて、コントローラ133は風力タービン100の少なくとも1つの電気装置117、121、123、125、127および/または129の動作を制御する。
【0034】
特に、ユーティリティグリッド115の周波数が参照周波数または基準値未満である場合、コントローラ133は少なくとも1つの電気装置117、121、123、125、127および/または129を停止させるか、または、少なくともエネルギー消費を低減させる。これにより、ユーティリティグリッドの周波数は少なくともおおよそ参照周波数まで回復されうる。さらに、この場合、無停電電源装置127は、ユーティリティグリッド115に電力を送達しうる。
【0035】
反対に、グリッド測定システムが参照周波数を超えているグリッド周波数を測定する場合、コントローラ133は、グリッド周波数を低減させるか、または、少なくとも参照周波数をおおよそ回復するよう、今度は少なくとも1つの電気装置117、121、123、125、127および/または129の動作をオンにするか、または、少なくともその(それらの)エネルギー消費を増大させる。
【0036】
タービンは適切な風向きに向けられるので、ヨー117は強風状態では重要である。しかし、風が弱い状態では、風力タービンの向きはあまり重要ではなく(したがってヨーを必要としない)、ユーティリティグリッド115の周波数が低いレベルにある場合、タービンから出力された電力への影響は数秒間ヨーの駆動を延ばすことによりあまり影響されない。ヨーの駆動を延ばす場合の制限および特定の条件は、特定の用途および必要とされる性能に依存している。
【0037】
油圧構成要素121は、ブレーキ系、ヨー、ピッチ角などの風力タービンの構成要素の全ての種類の動きに必要とされうる。しかし、これらの動きのいくつかは、所定の状態では必要とされず、これらの油圧構成要素はスイッチオフされるか、エネルギー消費において少なくとも低減されうる。
【0038】
ヒータ123は、ベアリング、ベアリング中のオイル、パネルなどの電気構成要素を加熱し、また、発電機を加熱するよう構成されている。風力タービンのほとんどの場合または動作状態に関して、短期間ほとんどのヒータを動作不能とすることによって大きな影響を受けない。ギアボックス中のヒータ、コントローラおよび発電機はいくぶん消費するが、寒冷地用パッケージ付きタービンは大きく寄与する。これにより、ヒータまたは少なくともヒータの一部を動作不能とすることは、短期間可能である。
【0039】
冷却装置125は、コンバータ111、113を冷却するために、油圧オイルを冷却するために、パネルを冷却するために、他の電気または電子構成要素を冷却するために設けられている。ほとんどの場合、短期間ほとんどの冷却を動作不能とすることにほとんど大きな影響はない。
【0040】
無停電電源装置127は、十分に充電されたとき、周波数低下時に充電されないことにより、グリッドの安定性にアクティブに寄与する。無停電電源装置は、消費要素となる代わりに、タービンを一時的にわずかに大きい電力を出すことを可能とする制御の動作をサポートするような状態において用いられうる。
【0041】
光源は、バッテリーおよび/またはユーティリティグリッドにより電力供給されうる。タービンの全ての部分のライトにバッテリーバックアップがある場合でも、ライトが一時的に暗くなる可能性があることによって重大な作業者の安全の問題が存在し、全てのステップは非常に注意深く考慮する必要がある。しかし、UPSについてと同様に、これらのバッテリーシステムは、少しだけグリッドの安定性に寄与し得る。個々のバッテリーの量は、たいした量ではないように思われるが、これらのバッテリーの組み合わせた効果は、タービンが高い使用率(penetration)に達したときにおいても、未だいくぶんかのグリッドサポートを提供する。
【0042】
ポンプ126は、風力タービンのいくつかの構成要素を冷却するために、冷却液を循環させる。
【0043】
タービン100は、上述のように、風力タービン100の電気装置を制御する方法を実行するよう構成されている。
【0044】
「有する」、「備える」、「含む」の語は他の要素またはステップを除外するものではなく、「1つの」の語は複数を除外するものではない。異なる実施形態に関連して記載された要素は組み合わせても良い。請求項における参照番号は、請求項にかかる発明の範囲を限定するものではない。
【符号の説明】
【0045】
100 風力タービン、 115 ユーティリティグリッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力タービン(100)の電気装置(117、121、123、125、127、129)の制御方法であって、
該電気装置に電気的に接続されたユーティリティグリッド(115)の状態信号(f)を受信するステップと、
該状態信号に基づいて該電気装置の動作を制御するステップと、
を有する、ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記電気装置の動作を制御するステップは、前記電気装置の前記ユーティリティグリッドからの電力消費、または、前記電気装置の前記ユーティリティグリッドへの電力移動を制御するステップを有する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記風力タービンのロータに機械的に接続された発電機からの電力を前記ユーティリティグリッドに供給するステップをさらに有する、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記発電機からの電力を、公称周波数を有する電力に変換するステップをさらに有する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記発電機から前記ユーティリティグリッドに供給される電力の量は、前記ユーティリティグリッドの前記状態信号の変化に際して一定に維持される、請求項3又は4記載の方法。
【請求項6】
前記状態信号に基づいて、前記風力タービンのエネルギーバッファから前記ユーティリティグリッドに電力を供給するステップをさらに有する、請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記ユーティリティグリッドの前記状態信号を決定するステップをさらに有する、請求項1〜6のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記状態信号は、前記ユーティリティグリッドの周波数を含む、請求項1〜7のいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記ユーティリティグリッドの周波数を基準値と比較するステップを有する、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記ユーティリティグリッドの周波数が前記基準値より小さい場合、前記電気装置の前記ユーティリティグリッドからの電力消費を低下させる、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記ユーティリティグリッドの周波数が少なくとも所定のしきい値分、前記基準値より小さい場合、前記電気装置の前記ユーティリティグリッドからの電力消費を停止させる、請求項9または10記載の方法。
【請求項12】
風力タービンにおける電気装置を制御するシステムであって、
ユーティリティグリッド(115)に電気的に接続された電気装置(117、121、123、125、127、129)と、
前記ユーティリティグリッドの状態信号(f)を受信し、前記状態信号に基づいて前記電気装置の動作を制御するコントローラ(133)と、
を備える、ことを特徴とするシステム。
【請求項13】
前記状態信号を測定するための測定システム(131)をさらに備える、請求項12記載のシステム。
【請求項14】
前記電気装置は、
風の方向に関連して前記風力タービンを配向させるためのヨーモータ(117)と、
前記風力タービンの構成要素を動かすための油圧系(121)と、
前記風力タービンの構成要素を加熱するためのヒータ(123)と、
前記風力タービンの構成要素を冷却するための冷却装置(125)と、
無停電電源装置(127)と、
光源(129)と、
冷却流体を循環させるためのポンプ(126)と、
の少なくとも1つを備える、請求項12または13記載のシステム。
【請求項15】
請求項12〜14のいずれか1項記載のシステムを備える風力タービン。

【図1】
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【公開番号】特開2012−112385(P2012−112385A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259193(P2011−259193)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(390039413)シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト (2,104)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Wittelsbacherplatz 2, D−80333 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】