説明

風邪予防用組成物

本発明は、ビタミンC及びギンゲチンを含む風邪予防用組成物、風邪予防用医薬を製造するための前記組成物の用途、風邪の予防方法及び風邪予防剤の製造方法に関するものであり、本発明の組成物は、インフルエンザウイルス、コロナウイルス、ライノウイルス、アデノウイルスなどの抑制効果及び免疫増強効果が優れ、細胞毒性がないので、風邪を予防するための健康機能食品や医薬品として使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はビタミンCおよびギンゲチン(ginkgetin)を含む風邪予防用組成物、風邪予防用医薬を製造するための前記組成物の用途、風邪の予防方法及び風邪予防剤の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
人に最も危険な伝染性疾患の原因は、サイズ、形状、化学組成及び宿主に及ぶ影響が多様に出てくるウイルスである。現在までは、B型肝炎(hepatitis B)、A型インフルエンザ、B型インフルエンザ及び、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)などにのみ治療と予防に効果がある抗ウイルス剤が開発されて使用されている。ウイルスは宿主に対する毒性が大きいため、抗ウイルス製剤が局所的にのみ使用されている。したがって、宿主に対する毒性が無く、様々なウイルスに効果的な抗ウイルス剤が必要であるが、今までは、このような製剤がない実情である。
【0003】
人に最も多いウイルスによる疾患は風邪である。風邪は最も頻繁に治療及び相談を必要とする疾患であり、一般内科病院を訪ねる患者の25〜33%程度が急性上気道感染、即ち、風邪患者である。風邪は上気道の粘膜に炎症反応を起こして鼻水が出たり、咳、発熱、悪寒、筋肉痛、頭痛がおこる疾患であり、毎年全世界に大人の10〜15%或は3億名の風邪患者が発生し、これによる経済的損失が10億ドルを上回ると知られている。風邪の原因菌はライノウイルス、インフルエンザウイルス、アデノウイルス、呼吸器発疹ウイルス、エンテロウイルス、コロナウイルス、コクサッキーウイルス、エコーウイルス、オルトミクソウイルス、パラミクソウイルス等の200余種類のいろいろなウイルスによって誘発されると言われており、風邪自体よりも風邪による2次感染による病気がさらに深刻である。小児の気道感染は特に深刻であり、命を脅することもでき、風邪は5歳以下の子供において、気道感染による肺疾患で死亡する最も重要な原因と考えられる。一方、大人の風邪の30〜50%はその原因が不明であり、残りの大人の風邪の原因と子供の風邪の原因は同じと言われている。
【0004】
多様な風邪の原因のうち、インフルエンザによる風邪は高熱による悪寒と筋肉痛、無気力症、呼吸器痛症、頭痛、腹痛などを伴って、ミクソウイルス(myxoviruses)のA、B、Cグループが原因ウイルスである。このインフルエンザウイルスは類似の症状を誘発するが、まったく異なる抗原特性を有する。全世界的にインフルエンザウイルスの流行は周期的なので、A型インフルエンザの場合2〜3年、B型インフルエンザの場合4〜5年の発病周期を有する。インフルエンザは現代医学で予防することができる数少ないウイルスのうちの一つであるが、その効果は非常に低い。現在インフルエンザワクチンはA型とB型ウイルスに対して予防効果があるが、予防率は60〜70%に過ぎない。標準ワクチンは新しい変異に対して毎年新しく製造しなければならない。また、その免疫力が維持される期間も短い。インフルエンザの予防と治療に効果的な薬物は、塩酸アマンタジンと塩酸リマンタジンである。しかし、これらの薬物は、A型インフルエンザウイルスにのみ効果があり、非常にひどい感染の場合は効果が十分に得られないということが報告された。
【0005】
ライノウイルス(Rhinoviruses)は、大人の風邪原因の30〜35%を占め、初秋、春、夏に最も活発に活動する。今まで110種の変異が発見された。
【0006】
コロナウイルス(Coronaviruses)は、大人の風邪原因のうち大部分を占めると言われている。主に冬と春にかけて発生する風邪の原因となり、30個の変異が発見された。このうちの約3/4が人に感染される。コロナウイルスは実験室では培養が難しいので、その特性と毒性がライノウイルスに比べ、十分に知られていない。
【0007】
これらのウイルスによる感染疾患を予防するためにワクチン投与が一般的な方法として使用されている。しかし、数多くの種類のウイルスによって誘発される疾患の予防のためのワクチンを製造することは事実上不可能である。各ウイルスは人体内特定の防御タンパク質形成を誘導する固有の抗原を有するからである。今までさまざまなウイルス抗原を含めたワクチンの開発は進んでおらず、毎年多様な変異の発見によって効果があるワクチンの製造はますます難しくなっている。
【0008】
したがって、ウイルスによる疾患予防において最も良い方法は、人体の免疫力を高めて抗原抗体の反応を高め、これによって疾患が誘発しないようにするものである。免疫力増加は風邪の予防と治療に良い手段になり得る。人体内でウイルスに対する免疫反応はT細胞によって行われ、ウイルス感染細胞を殺すことにより、ウイルスの増殖を抑制し、ウイルスを除去するものである。
【0009】
免疫係は自然抵抗、即ち、非特異性免疫系と特異性免疫系に分けられる。自然抵抗とは人体に入って来る全ての侵入者を防ぐ解剖生理学的要素を指し、非特異的免疫系は自然抵抗を突破して体内に入ってきた侵入者を除去する食細胞で構成された防御系、そして特異性免疫係はリンパ球からなる免疫系を指す。このうち特異性免疫係は、記憶能、そして自分と非自分を区別することができる能力を有する免疫系である。白血球は2次、又は3次防御線を構成して1次防御線を突破して体内に入ってきた異物を担当する。
【0010】
このうち大食細胞は多くのリソソームを有し、これらは酸性加水分解酵素とペルオキシダーゼ(過酸化酵素)を含み、微生物や腫瘍細胞などを活発に貪食する。
【0011】
この細胞はINF−γ などのサイトカイン受容体を有する。これらは補体成分、インターフェロン、インターロイキン−1及び腫瘍壊死因子のようなサイトカインを生産し、T−細胞から生産されるさまざまなサイトカインによって機能が増強され得る。また、白血球の一種である T−細胞は、血中小リンパ球の約70%を占める。これは胸腺から分化され、T−細胞抗原受容体TCRを有する。末梢血液T−細胞はCD4陽性であるTh細胞(helpert−cell)と、CD8陽性であるTC(cytotoxic T-cell)に分類される。CD4+Th細胞はMHC class II分子に結合された抗原を認識して活性化され、B細胞を助けて抗体生成を可能にしたり、他のT細胞の機能を助ける。
【0012】
CD4+Th細胞は、またこれらが生産するサイトカインを基いて、Th1及びTh2に分類することができる。実験用マウスのTh1細胞は、インターロイキン−2、インターフェロン-ガンマ(inf-gamma)などを分泌する一方、Th2細胞はIL−4、5、6、9、10、13などを分泌する。しかし、人におけるIL−2、6、10、13などの生成が厳密に分類されない。この外にIL−3、腫瘍壊死因子TNF−α、GM−CSF(granulocyte-marophage colony stimulating factor)、 メチオニンエンケファリン(Metenkephalin)、ケモカイン(chemokine)などの分類なしに共通に分泌する。Th1細胞は、細胞免疫反応に関与して細胞毒性及び炎症性反応を活性化する。Th2細胞で生成されたサイトカインは、抗体形成を促進させ、特にIgEの生成を助けて好酸球の増殖と機能を増強させる。
【0013】
だから、Th2サイトカインは、抗体生成及びアレルギー反応で頻繁に発見される。Th1、Th2サイトカインは互いに抑制機能を有し、動物の感染症で抗IL−4抗体と、抗INF−γ抗体に疾患の経過を変化できることが明らかになり、リウマチ関節炎の患者にINF−γ を注射して症状が改善された場合もある。以上のようにIL−2やINF−γ などの生成能力の優れる物質は、免疫増強効果が期待され、それによる風邪予防や初期の風邪の治療に役に立つと期待される。
【0014】
また、免疫力低下の他の原因で、発生期酸素が、Tリンパ球の主要組織適合遺伝子複合(major histocompatibility gene complex:MHC)に傷つけて、ウイルスを効果的に攻撃できない機作も提案された。
【0015】
このように免疫機能が様々な病気の要因から生体を防御するので、免疫機能を強化することにより、疾病を予防して治療する予防接種、抗毒素利用方法などが試みられており、最近には、免疫機能を調節できる免疫調節物質を直接利用しようとする試みが行われている。免疫調節物質は、非特異的に免疫細胞を刺激して生体の免疫機能を増進させることにより、疾病要因から生体防御力を増強させる。このような免疫調節物質には化学合成物質、微生物組成物、生物製剤などがある。現在、市販されている免疫調節物質は、アレルギー反応、中枢神経系副作用、消化不良、吐き気、嘔吐、食欲不振、下痢などの副作用を誘発することができる。
【0016】
したがって、人体の副作用が無く、免疫増強効果を高めることができる免疫増強剤の開発が重要である。最近、免疫調節物質に対する研究は毒性のない食品素材、 自然薬品から抽出した有効成分、既存の漢方薬などの効能検証によって行われている。特に自然薬品から生体調節及び生体防御系を亢進させる生理活性物質の探索が活発に進行され、代替医学の治療剤又は健康補助食品として実用化段階に入っている。現在、ウイルスによる疾患予防及び治療のための代替医薬品の市場は、急激に成長しており、アメリカの場合の全人口の1/3がワクチンと化学薬品ではない代替医薬品に依存していることが報告された。ヨーロッパでは、その比重がさらに大きいと調査されている。このような趨勢に合せ、代替医薬品として免疫機能を増加させる効果を有する医薬又は、食品組成物の開発が切望されている。
【0017】
本発明の必須成分のうちで一つであるビタミンCは、アスコルビン酸(ascorbic acid)で、六炭糖と類似しているが、エンジオール基を有し、グルコースやガラクトースなどの糖質前駆物質から合成される一種の炭水化物である。ビタミンCの水溶液は酸性で強い還元(脱酸素)作用があるので、有害酸素の生成と遮断効果があり、水溶液である場合に最も不安定である。ビタミンCは、副腎、網膜などに多く分布し、肝臓、脾臓、骨髄、膵臓、胸腺、大脳、脳下垂体、腎臓に相当量が分布する。ビタミンCは、人体内でプロリンの水酸化反応に関与し、コラーゲンタンパク質合成に重要な役割をして、フェニルアラニン、チロシン代謝に関与して、副腎皮質ホルモン生成を助けることができる。この外にも動脈硬化、糖尿病にも効果があり、コレステロールの過酸化を防止する効果がある。ビタミンCが不足すると、壊血病、皮下出血、歯周炎、関節痛、体重減少、貧血などを誘発することができる。過剰服用は、下痢、吐き気、腹部膨張、腎臓病などを誘発することができるが、今までは議論の対象となり、大量投与の場合にも一日5、000mgの服用量程度は副作用が報告されたことがない。
【0018】
本発明必須成分のうちの一つであるギンゲチン(ginkgetin)は、銀杏(Ginko biloba)の葉あるいは実に含まれた5個ビフラボノイド(BIFLAVONOIDS)のうちの一つとして、伝統的に抗炎症、抗アレルギー、抗リウマチ作用薬剤として使用されてきた。現在、ビフラボノイド及びその誘導体は、抗癌作用及び鎮痛作用があると知られており、細胞毒性がほとんどない安定した鎮痛剤として知られている。一般的にビフラボノイドが属しているフラボノイドグループは、葉で最も多く発見され、ビフラボノイドは、約20種のフラボノイド配糖体のうちの一つである。特に、本発明の組成物の必須成分であるギンゲチンは、7個ビフラボノイドのうちの一つとして動脈拡張、けいれん、毛細血管浸透現象の軽減、血栓溶解などの薬理効果が知られており、これはカテコールアミン( catecholamines)の間接的な血管調節作用や、プロスタグランジンの刺激によって作用する。そして、抗酸化剤の役割をすると知られている。より具体的に、ギンゲチンは関節炎治療、皮膚抗炎症薬、関節炎補助治療剤、抗癌剤、脳活動促進剤、抗真菌薬への使用に対して研究が行った事がある。
【0019】
本発明の組成物に使用され得るマルトールは、トケイソウ(passionflower)に多く含有された化合物として、最近に紅参の主要薬効成分のうちの一つとして研究が活発に進行されている。マルトールは、風味剤、安定剤などの食品添加剤として広く使用されており、非水溶性でチコリ、ココア、コーヒーなどにも含まれている。薬理作用としてマルトールは、人間や動物の癌細胞成長抑制、認知症予防、血小板凝集、体重減少、血中脂質減少、皮膚病減少などに効果があるという研究結果が発表されている。
【0020】
本発明の組成物に使用され得るビタミンAは、自然界でビタミンAあるいはその前駆体として存在し、緑黄色野菜、メロン類、きゅうり、じゃがいも類、トマト、卵、牛乳、肝油などに含まれている。緑黄色野菜に含まれているカロチノイドがビタミンA前駆体である。ビタミンAにはレチノール、レチナール、レチノリン酸など三つの生体活性物質があり、アルファ( α)カロチン、ベータ( β)カロチン、ガンマカロチン、クリプトキサンチンなどが腸管粘膜からビタミンAに転換される。体内に貯蔵されたビタミンAのうち、約90%は肝に入っており、残りは肺、皮下脂肪、腎臓、副腎に入っている。
【0021】
ビタミンA活性物質のうちのレチナールは、正常な視力維持に必要であり、レチノールは動物の生殖機能に関係する。レチノリン酸は成長を助ける。ビタミンAは、視力維持、上皮組織の成長及び分化、成長維持、生殖機能維持、生体膜構造と機能維持、網膜機能調節、抗癌作用、免疫機構調節作用などの薬理作用がある。欠乏症には角膜乾燥症と角膜軟化症による夜盲症、結膜乾燥、角膜乾燥、壊死性潰瘍、目の二次感染、失明などがあり得り、中毒症には疲れ、倦怠感、頭痛、脱毛、筋肉と骨の痛症、脳浮腫、嘔吐、皮膚乾燥、発熱、肝の拡大、貧血などがある。
【0022】
本発明の組成物に使用され得るビタミンB1は、小麦、オート麦、ピーナッツ、野菜、牛乳、各種肉類、玄米などに含まれており、体内でATPと反応してTPP(thiamine pyrophosphate)形態に活性化され、アセチル CoA生成に関与し、これを利用する糖、脂質、アミノ酸代謝に重要な役割をし、五炭糖と六炭糖の転換でも補助酵素として作用する。また、神経筋伝導の調節因子として作用し、リン酸化誘導体は、ナトリウム・チャンネルと係わり、軸索伝導に関与する。即ち、人体に吸収された炭水化物をエネルギー化させる代謝促進機能を有する一方、心臓機能正常化、脳の中枢神経、末梢神経に作用する。体内組織に均等に分布し、欠乏時には脚気、食欲不振、消化不良、潰瘍性腸炎、慢性下痢、筋肉疲労、運動異常、神経系不均衡などが起こる。
【0023】
また、本発明の組成物に使用され得るビタミン Dは、カルシウムの吸収、骨の破壊と再生に関するいろいろな因子調節、腸でカルシウム、リン吸収増加、副甲状腺ホルモンの分泌を抑制、造骨細胞の分化促進、IL-1、IL-6、TNFaなどの生成抑制を通じる破骨細胞の機能抑制、腎臓でカルシウム及びリンの再吸収促進などの効果があり、健康な人は日光を浴びると特別に摂取する必要がない。高カルシウム血症、食欲不振、悪心、嘔吐、口渇症、頻尿、筋肉減退、下痢、関節痛、骨格減少などが過剰副作用であり、不足な場合、突背、虫歯、骨軟化症、子供の発育不全、筋無力症、焦燥などの症状が報告された事がある。
【0024】
本発明の組成物に使用され得るビタミンEは、小腸で吸収される時、胆汁酸を必要とし、リンパ系を通じて血管系に入る。脂肪と摂取量の増加により吸収率が低下され、血液でリポタンパクによって運ばれ、形態は主にトコフェロール αである。抗酸化剤としての機能をし、高度不飽和脂肪酸が遊離基(自由基)によって酸化、かつ破壊を防止する役割をする。欠乏時には、赤血球の溶血現象が起こり、中毒時には、頭痛、吐き気、疲れ、目眩、視力障害、上皮組織の変化、そして、ビタミンK欠乏患者から出血の危険を高めることができる。
【0025】
本発明の組成物に使用され得るビタミンBは、葉酸、ホウレンソウから分離され、プテロイルモノグルタミン酸、プテリン環、パラアミノ安息香酸、グルタミン酸の複合体である。熱には安定であるが、酸性溶液では簡単に破壊され、還元剤によっても破壊される。フニン(funin)やピリミジンの生合成、セリングリシン代謝で非常に重要な役割をする。ビタミンBは健康な毛髪、皮膚、神経、粘膜、血液の全てに重要であり、免疫機能を助け、動脈硬化と粘膜の癌抑制を助ける。欠乏症には、無力感、鬱病、健忘症、巨赤芽球性貧血、体重減少、消化器系の障害、成長阻害などが見られる。
【0026】
これらの必須成分及び任意成分では、部分的に免疫増強効果と、一部ウイルスに対する抑制効果があるが、これらの成分の適切な配合による風邪ウイルスに対する優れる消滅効果が報告されたことがない。
【0027】
ここに、本発明者は、前記の要求を満足させるための最適の配合を有する天然素材の組成物を探すために、前記の例の研究を繰り返えした結果、従来に抗ウイルス効果が知られていない前記の新しい成分を必須成分とし、任意的にビタミン類などを追加することにより、風邪ウイルスの抑制効果及び免疫増強効果が優れ、細胞毒性が無い新しい組成物を開発して本発明を完成するに至った。
【0028】
本発明のウイルス疾患予防のための組成物は、臨床試験及び動物試験で効果が非常に優れ、かつ安全に使用できることが証明され、製造の便利性及び原料の特性上、様々な形態の製造が可能である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
本発明は、生薬成分及びビタミンを主原料とする新しい組成物を提供することを目的とし、コロナウイルス、ライノウイルス、アデノウイルス、インフルエンザウイルスなどの風邪ウイルスに対する抑制効果が優れ、細胞毒性が無く、免疫力を非常に効率よく増加させることができる。本発明の組成物は、組成物の理想的な配合によって特異抗原に反応するCTL活性化、遊離酸素ラジカルの効率的な除去、悪性細胞の選択的な死滅などが可能であり、より詳しくは、特異抗原の免疫反応増加によるウイルス感染細胞消滅、インフルエンザウイルス特異抗原であるCTLの急増による感染細胞消滅、Th1 CD4+ 細胞活性化による感染細胞消滅などが作用機構である。これは免疫系の活性化と、ウイルスに感染された細胞を消滅させるこにより、風邪などのウイルス性疾患を予防することができる。
【0030】
本発明の他の目的は、前記組成物を含む健康機能食品を提供する。
【0031】
本発明のまた他の目的は、風邪予防用医薬を製造するためのビタミンC及びギンゲチンを含む組成物の用途を提供する。
【0032】
本発明のまた他の目的は、風邪予防に有効な量のビタミンC及びギンゲチンを風邪予防を必要とする患者に投与することを含む風邪の予防方法を提供することにある。
【0033】
本発明のまた他の目的は、ビタミンC及びギンゲチンを混合して風邪予防剤を製造する方法を提供することにある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
前記目的を達成するため、本発明はビタミンC及びギンゲチンを含む風邪予防用組成物を提供する。
【0035】
本発明の組成物において、ビタミンC20〜90重量部及びギンゲチン1〜20重量部からなることが望ましく、特に追加的にマルトールを含むことが望ましい。
【0036】
また、本発明の組成物は、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンB1、ビタミンD、ビタミンE から選択される1種以上のビタミンを追加的に含むことができる。
【0037】
本発明の望ましい具体例において、ビタミンC20〜90重量部、ギンゲチン1〜10重量部、マルトール0.01〜5重量部、ビタミンA、B1、E、D、Bそれぞれ0.01〜7重量部を含むことが望ましい。
【0038】
前記成分の組成比は、繰り返した実験結果に基いて得られたものであり、最低限度より低い場合には、その成分の生理活性効果が減少し、その最高限度値より高い場合には、他の成分の生理活性効果が減少できるので、組成物の相乗作用及び相互作用が低下する恐れがある。
【0039】
本発明は、また、前記組成物を含む健康機能食品を提供する。
【0040】
また、風邪予防用医薬を製造するための前記ビタミンC及びギンゲチンを含む組成物の用途を提供する。
【0041】
本発明は、また、風邪予防の有効な量のビタミンC及びギンゲチンを風邪予防を必要とする患者に投与することを含む風邪の予防方法を提供する。
【0042】
また、ビタミンC及びギンゲチンを混合して風邪予防剤を製造する方法を提供する。
【0043】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0044】
本発明の組成物は、必須成分としてビタミンC及びギンゲチンを含む。下記実験例で分かるように、ビタミンC投与群でも少しの風邪予防効果を発揮しているが、ビタミンCのみを投与すると、風邪予防に限界があることが分かる。従って、ビタミンCとギンゲチンを同時に投与することにより、ほとんど完璧に風邪を予防することができた。今までギンゲチンの投与によって風邪を予防できるということが知られていない。従って、ビタミンC及びギンゲチンの併用投与によって風邪を効果的に予防できるということは、本発明によって初めて開示される内容である。
【0045】
本発明の組成物で使用されるギンゲチンは、銀杏の葉又は実で、水又はアルコールなどの溶媒として使用し、熱湯抽出、超音波処理など通常の方法で抽出し、通常の精製法及び/又は凍結乾燥法を実施して粉末化して使用することができる。
【0046】
また、下記実験で分かるように、特にマルトールを追加的に含めた群で、風邪の予防効果が非常に優れ、追加的なビタミン成分を含む群から100%に達する風邪予防効果を達成した。
【0047】
本発明の組成物は、薬剤学的分野で公知の方法によって製剤化することができ、薬剤学的に許容される担体、賦形剤などと混合して通常の薬学的製剤、例えば、ドリンク剤のような液剤、シロップ剤、カプセル剤などで製剤化が可能であり、これらは経口又は非経口で投与することができる。本発明の組成物は、カプセル剤又はドリンク剤として、食前及び/又は食後に経口投与することが望ましい。
【0048】
前記本発明の組成物を含むカプセル剤、液剤などは、健康機能食品として使用することが望ましく、本発明で使用している用語 "健康機能食品"とは、人体に有用な機能性を有する原料や成分を使用して精製、カプセル、粉末、顆粒、液剤、丸薬などの形態で製造加工した食品を言う。
【0049】
本発明の組成物は、体内で活性成分の吸収度、排泄率、患者の年齢及び体重、性別及び健康状態、病気の重症度などに応じて適切に選択可能であり、一般的に大人に1日0.01〜500g/kg、望ましくは0.1〜200mg/kgで投与することが望ましい。
【0050】
このように剤形化した単位投与型製剤は、必要に応じて一定時間の間隔で数回投与することができる。
【0051】
以下、本発明を下記実施例によってより具体的に説明するが、ここに、本発明の範囲が制限されるものではない。
【0052】
(実施例1〜8の製造)
表1の組成比率で、ビタミンC、ギンゲチン、マルトール及び他のビタミン類を混合し、本発明による実施例1〜8を製造した。各成分の単位は、全組成物中の各成分の重量%を意味する。
【0053】
【表1】

【0054】
製剤例1. カプセル剤の製造
実施例1の組成物 100mg
乳糖 100mg
でんぷん 93mg
タルク 2mg
ステアリン酸マグネシウム 適量
前記の成分を混合して、通常のカプセル剤の製造方法により、ゼラチンカプセルに充填してカプセル剤を製造する。
【0055】
製剤例2. カプセル剤の製造
実施例3の組成物 200mg
乳糖 100mg
でんぷん 93mg
タルク 2mg
ステアリン酸 マグネシウム 適量
前記の成分を混合して通常のカプセル剤の製造方法により、ゼラチンカプセルに充填してカプセル剤を製造する。
【0056】
製剤例3. カプセル剤の製造
実施例8の組成物 200mg
乳糖 100mg
でんぷん 93mg
タルク 2mg
ステアリン酸 マグネシウム 適量
前記の成分を混合して通常のカプセル剤の製造方法により、ゼラチンカプセルに充填してカプセル剤を製造する。
【0057】
製剤例4. 液剤の製造
実施例4の組成物 300mg
蔗糖 20g
異性化糖 20g
レモン香 適量
精製水を添加した後の総量 100ml
前記の成分を通常の液剤の製造方法によって混合して、100mlの褐色瓶に充填して滅菌して液剤を製造する。
【0058】
製剤例5. 液剤の製造
実施例8の組成物 300mg
蔗糖 20g
異性化糖 20g
レモン香 適量
精製水を添加した後の総量 100ml
前記の成分を通常の液剤の製造方法によって混合して、100mlの褐色瓶に充填して滅菌して液剤を製造する。
【0059】
製剤例6. 飲料の製造
実施例8の組成物10重量%と、クエン酸0.1重量%、食品色素0.05重量%、オレンジエッセンス0.05重量%、果糖5.0重量%を含む一般機能性飲料ベースを添加した組成物を製造した後、精製水を添加して飲料を製造した。
【0060】
(実験例1)
2000年から2003年にわたって40ヶ月の間、二重盲検法(double blinded placebo test)によって実験群15人と対照群15人に対して、それぞれ本発明の組成物(実施例1の組成物投与)と、偽薬で効果を検証した。本発明の実施例1の組成物と偽薬は、食後1グラムずつを一日に3回投与した。この時、偽薬は小麦粉で製造した。実験結果をそれぞれ下記の表2及び3に示した。本発明の組成物を摂取した実験群では、下記の表2のように48ヶ月にわたって著しく風邪のひいた回数が減少し、対照群ではみんな162件、一人当たり、一年平均2.7回の風邪症状を報告した。ここで、風邪とは、高熱や微熱、咽喉痛、乾咳、頭痛、筋肉痛及び悪寒などの症状が現れると定義した。
【0061】
【表2】

【0062】
【表3】

【0063】
(実験例2)
本実験例では、1999年から2003年まで全部40ヶ月にわたって、実験群12人と対照群9人の風邪発病事例を分析したものであり、実験群は実施例3の組成物を食後1グラムずつ一日3回摂取し、対照群は何の薬も投与しなかった。ここで風邪は高熱や微熱、咽喉痛、乾咳、頭痛、筋肉痛及び悪寒などの症状が現れると定義した。実験結果をそれぞれ下記の表4及び 5に示した。実験群では、一件の風邪が報告されたが、これは本発明の組成物攝取の中断のためと実験者が報告し、対照群では、全て123件、即ち、一人当たり一年平均3.5回の風邪が発生したと報告された。
【0064】
【表4】

【0065】
【表5】

【0066】
(実験例3)
本実験例では、1999年から2003年まで40ヶ月にわたって、前記実施例8の組成物を摂取した実験群と、ビタミンCと偽薬(小麦粉投与)摂取した対照群IとIIの風邪発病事例を分析し、その結果をそれぞれ下記の表6、7、及び8に示した。摂取量は全て食後1グラムで同じであり、ここで、風邪とは、高熱や微熱、咽喉痛、乾咳、頭痛、 筋肉痛及び悪寒などの症状が現れると定義した。
【0067】
【表6】

【0068】
【表7】

【0069】
【表8】

【0070】
以上の結果、本発明の組成物を摂取した実験群と、ビタミンCを摂取した対照群I、そして偽薬を摂取した対照群IIの間には、平均一人当たり、年平均風邪回数がそれぞれ0回、1.5回、5.6回の差があり、全体の有意確率 0.05%水準で統計的に有意差があることが分かった。このように本発明の組成物は100%に達する風邪予防効果を達成した。
【0071】
(実験例4)
本実験では、本発明の実施例1の組成物が免疫力を増強させる効果を成長因子の一種であるサイトカインのうち、IL−2、INF−γ、IL−4、IL−10、IL−12などを測定することにより明かすためのものである。実験はまず、96-ウェルプレートを各抗体4pg/mlで4℃で18時間コーティングして、0.05%のトゥイーン20を混ぜた蒸留水で洗浄した後、1%のBSAと0.05 %トゥイーンで37℃で1時間ブロックしたのである。その後、試料と標準試料を1ウェル当たり100 mlずつ入れて37℃で2時間培養した。培養後プレートを洗浄してビオチン化された二次抗体を1mlあたり0.75mlを入れ、ストレプトアビジン ALPを添加した後、37℃で30分間培養した。また、洗浄後、アルカリホスファターゼ PNPPを入れて30分間培養した後、酵素免疫測定器(ELISA reader)で 405nmで測定した。各試料は偽薬、ビタミンC、本発明の組成物を40ヶ月ずつ摂取した実験者から測定した結果である。
【0072】
【表9】

【0073】
この結果は、Th1免疫反応が本発明の組成物を投与した実験群で、非常に意味深く増加したことを示している。特にINF−γと、IL−12水準の場合、本発明の組成物を投与した実験群と、偽薬及びビタミンCを投与した対照群で、両側の有意確率0.005以下で非常に有意差を示す。しかし、Th2免疫反応の尺度であるIL-4とIL-10の場合は、有意確率0.09以下であまり有意差を示していない。本実験の結果は、本発明の組成物の摂取によってTh1免疫反応を増強して風邪又はインフルエンザを予防し、症状を緩和できることを示している。
【産業上の利用可能性】
【0074】
以上で分かるように、本発明の組成物は、コロナウイルス、ライノウイルス、アデノウイルス、インフルエンザウイルスの抑制効果が優れるので、風邪を完璧に予防し、40ヶ月の服用にも副作用がほとんどないので、風邪を予防するための健康機能食品や医薬品として使用することができる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビタミンC及びギンゲチンを含む風邪予防用組成物。
【請求項2】
請求項1において、ビタミンC20〜90重量部及びギンゲチン1〜20重量部を含む組成物。
【請求項3】
請求項1において、マルトールを追加的に含む組成物。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のうちいずれか1つににおいて、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンB1、ビタミンD、ビタミンEから選択される1種以上のビタミンを追加的に含む組成物。
【請求項5】
請求項4において、ビタミンC20〜90重量部、ギンゲチン1〜10重量部、マルトール0.01〜5重量部及びビタミンA、B1、E、D、Bそれぞれ0.01〜7重量部を含む組成物。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のうちいずれか1つの組成物を含む健康機能食品。
【請求項7】
風邪予防用医薬を製造するためのビタミンC及びギンゲチンを含む組成物の用途。
【請求項8】
請求項7において、ビタミンC20〜90重量部及びギンゲチン1〜20重量部を含む組成物の用途。
【請求項9】
請求項7において、マルトールを追加的に含む組成物の用途。
【請求項10】
請求項7乃至請求項9のうちいずれか1つににおいて、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンB1、ビタミンD、ビタミンEから選択される1種以上のビタミンを追加的に含む組成物の用途。
【請求項11】
請求項10項において、ビタミンC20〜90重量部、ギンゲチン1〜10重量部、マルトール0.01〜5重量部及びビタミンA、B1、E、D、Bそれぞれ0.01〜7重量部を含む組成物の用途。
【請求項12】
風邪を予防するための有効な量のビタミンC及びギンゲチンを風邪予防を必要とする患者に投与することを含む風邪の予防方法。
【請求項13】
請求項12において、ビタミンC20〜90重量部及びギンゲチン1〜20重量部を投与することを含む方法。
【請求項14】
請求項12において、マルトールを追加的に投与することを含む方法。
【請求項15】
請求項12乃至請求項14のうちいずれか1つににおいて、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンB1、ビタミンD、ビタミンEから選択される1種以上のビタミンを追加的に投与することを含む方法。
【請求項16】
請求項15において、ビタミンC20〜90重量部、ギンゲチン1〜10重量部、マルトール0.01〜5 重量部及びビタミンA、B1、E、D、Bそれぞれ0.01〜7重量部を投与することを含む方法。
【請求項17】
ビタミンC及びギンゲチンを混合して風邪予防剤を製造する方法。
【請求項18】
請求項17において、ビタミンC20〜90重量部及びギンゲチン1〜20重量部を混合する方法。
【請求項19】
請求項17において、マルトールを追加的に混合する方法。
【請求項20】
請求項17乃至請求項19のうちいずれか1つににおいて、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンB1、ビタミンD、ビタミンEから選択される1種以上のビタミンを追加的に混合する方法。
【請求項21】
請求項19において、ビタミンC20〜90重量部、ギンゲチン1〜10重量部、マルトール0.01〜5重量部及びビタミンA、B1、E、D、 Bそれぞれ0.01〜7重量部を混合する方法。


【公表番号】特表2007−523157(P2007−523157A)
【公表日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−554025(P2006−554025)
【出願日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【国際出願番号】PCT/KR2005/000445
【国際公開番号】WO2005/076761
【国際公開日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(506282399)バイオテック インスティテュート フォー インターナショナル イノヴェーション インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】