説明

風邪及びインフルエンザ様症状の予防及び治療のためのキレート化亜鉛を含む組成物

本発明は、気道ウイルス感染による風邪及びインフルエンザ様症状の予防及び治療に非常に有効である気道用組成物、特に鼻用組成物に関する。これらの組成物はキレート化亜鉛イオンと非キレート化亜鉛イオンとを含み、その際キレート化亜鉛イオンの量が少なくとも約50.1%である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気道のウイルス感染による風邪及びインフルエンザ様症状の予防及び治療のための気道用組成物に関し、その際該組成物は、風邪及びインフルエンザの症状の開始の予防又は個人が既にそのような症状に苦しんでいる場合にはその大幅な緩和のいずれにも有効である。特に、本発明は、風邪及びインフルエンザ様症状の予防及び治療のためのキレート化イオン性亜鉛化合物と非キレート化イオン性亜鉛化合物との組み合わせを含む気道用組成物、特に鼻用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
感冒及びインフルエンザ関連症状を包含する呼吸器ウイルス感染の関連症状を引き起こす多数の異なるウイルス及びウイルス性株が知られている。感冒及びインフルエンザの症状を緩和するための多数の治療薬が示唆されてきた。感冒の症状を緩和するための典型的な治療薬としては、次の活性物質を1つ以上含有する咳/風邪用製品が挙げられる:プソイドエフェドリン、オキシメタゾリンのような鼻鬱血除去剤、ドキシルアミンのような抗ヒスタミン剤、デキストロメトルファンのような鎮咳剤、グアイフェネシンのような去痰剤、及びアセトアミノフェンのような解熱剤。インフルエンザ関連症状の治療としては、予防接種並びにA.エリオット(A.Elliot)及びJ.エリス(J.Ellis)、2000年、ファーマシューティカル・ジャーナル(Pharmaceutical Journal)、265号、446〜451頁に論評された抗ウイルス薬を包含する、特定の抗ウイルス薬の使用が挙げられる。
【0003】
既存の風邪治療薬を改良するための試みで、当該分野の専門家は、数種類の代替薬物療法を示唆し、続いてその効力を試験するため風邪への試用を実施した。これらの療法の例としては、以下が挙げられる:インターフェロン−α2の使用、ダグラス(Douglas)ら、家族環境におけるライノウイルス感染に対する鼻腔内α2−インターフェロンの予防的効力(Prophylactic Efficacy of Intranasal Alpha 2-Interferon Against Rhinovirus Infection in the Family Setting)、ニューイングランド医学会誌(The New England Journal of Medicine)、314、65〜70頁、1986年;ブラジキニン拮抗薬、ヒギンス(Higgins)ら、ヒトボランティアのライノウイルス感染におけるブラジキニン拮抗薬NPC567の効力の研究(A Study of the Efficacy of the Bradykinin Antagonist,NPC567,in Rhinovirus Infections in Human Volunteers)、抗ウイルス研究(Antiviral Research)第14巻、339〜344頁、1990年;糖質コルチコイド、ファー(Farr)ら、実験的ライノウイルス感染に対する糖質コルチコイド予防の無作為化比較試験(A Randomized Controlled Trial of Glucocorticoid Prophylaxis Against Experimental Rhinovirus Infection)、感染病学会誌(Journal of Infectious Diseases)、第162巻、1173〜1177頁、1990年;ネドクロミル、バロー(Barrow)ら、ヒトボランティアのウイルス性上気道感染に対するネドクロミルナトリウムの影響(The Effect of Intranasal Nedocromil Sodium on Viral Upper Respiratory Tract Infections in Human Volunteers)、臨床及び実験的アレルギー(Clinical and Experimental Allergy)、第20巻、45〜51頁、1990年;インターフェロン−α2、イプラトロピウム及びナプロキセンの組み合わせ、ガルトニー(Gwaltney)、抗ウイルスと抗メディエータとを組み合わせたライノウイルス風邪の治療(Combined Antiviral and Antimediator Treatment of Rhinovirus Colds)、感染病学会誌(The Journal of Infectious Diseases)第166巻、776〜782頁、1992年;亜鉛塩、ポッター(Potter)ら、感冒治療用DIAS剤、亜鉛トローチ剤(DIAS Rounds,Zinc Lozenges for Treatment of Common Colds)、薬物療法会誌(The Annals of Pharmacotherapy)、第27巻、589〜592頁、1993年。
【0004】
感冒の予防及び治療のための組成物及び方法のその他の開示としては、米国特許第5,240,694号、第5,422,097号、及び第5,492,689号(すべてガルトニー(Gwaltney))が挙げられ、これは抗ウイルス化合物と抗炎症化合物との組み合わせを使用する治療を開示している。さらなる開示としては、亜鉛塩を使用する治療を開示している米国再発行特許第33,465号及び米国特許第5,409,905号(いずれもエビー(Eby))、経口投与アミノカルボン酸化合物を使用する治療を開示している米国特許第5,626,831号(バン・モーカーケン(Van Moerkerken))、NSAIDSのような非ステロイド系抗炎症薬をクロルフェニラミンのような抗ヒスタミン的に有効な物質と共に使用する咳及び風邪の治療を開示している米国特許第4,619,934号及び第4,552,899号(いずれもサンシャイン(Sunshine))が挙げられる。
感冒の予防及び治療のための組成物及び方法のより具体的な開示としては、米国特許第4,689,223号、第6,187,332号、第6,080,783号、第6,365,624号、第5,622,724号、及び第4,956,385号に記載されているような鼻用組成物が挙げられる。米国特許第6,080,783号、第6,365,624号、第5,622,724号、及び第4,956,385号は、感冒の予防及び/又は治療のための組成物及び方法を開示しており、その際該組成物はイオン性亜鉛が鼻腔膜に接触するようなイオン性亜鉛を含む。
【0005】
米国特許第5,622,724号は、実質的に非キレート化された亜鉛イオンとしてのイオン性亜鉛を記載している。この開示は、鼻用組成物、特に鼻用スプレーは、製剤に実質的に非キレート化されたイオン性亜鉛化合物を組み込むことによって、キレート化された亜鉛化合物と比較して、感冒の治療又は予防を提供することができると述べている。
驚くべきことに、感冒の予防及び治療のための組成物は、キレート化亜鉛イオンと非キレート化亜鉛イオンとの組み合わせを、特に該組成物が実質的にキレート化された亜鉛イオンを含有するよう処方された時に該組み合わせが風邪症状の治療に非常に有効であるように含むよう処方できることが見出された。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、経鼻投与が可能であり、イオン性亜鉛に関連しうる知覚される刺激が最小であるか又は存在しないイオン性亜鉛を含むことができる、感冒の予防及び治療のための組成物を処方することが望ましい。これらの組成物は、キレート化亜鉛イオン又は非キレート化亜鉛イオンのいずれかを含む組成物、又は実質的に非キレート化された亜鉛イオンを含む組成物と等しいか又はそれより優れる感冒予防及び治療効力を提供するようにキレート化亜鉛イオンと非キレート化亜鉛イオンとの組み合わせを含むように処方することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、気道用組成物並びに風邪及び気道のウイルス感染によるインフルエンザ様症状の予防及び治療のためのそのような組成物の使用方法に関する。本発明の気道用組成物は、好ましくは鼻腔のような気道の領域に適用され、pH約3.0〜約5.5の鼻腔組織の表面pHを提供する。これらの組成物は、キレート化亜鉛イオンと非キレート化亜鉛イオンとの組み合わせを組成物に組み込むことによってウイルス感染に厳しい環境を作る。
【0008】
好ましくは、本発明は、キレート化及び非キレート化亜鉛イオンを含み、該亜鉛イオンの量が少なくとも50.1%のキレート化亜鉛イオンである鼻用組成物、特に鼻用スプレーに関する。具体的には、本発明は、(a)約0.1%〜約49.9%の量の非キレート化亜鉛イオンを提供する約0.001重量%〜約20重量%のイオン性亜鉛化合物と、(b)約50.1%〜約99.9%の量のキレート化亜鉛イオンを提供する約0.001重量%〜約20重量%のイオン性亜鉛化合物とを含む鼻用組成物のような気道用組成物の好ましい実施形態に関する。
【0009】
本発明は、好ましくは風邪又はインフルエンザの症状の治療方法にも関し、該方法が(a)(i)約0.1%〜約49.9%の量の非キレート化亜鉛イオンを提供する約0.001重量%〜約20重量%のイオン性亜鉛化合物と、(ii)約50.1%〜約99.9%の量のキレート化亜鉛イオンを提供する約0.001重量%〜約20重量%のイオン性亜鉛化合物とを含む気道用組成物を調製する工程、及び(b)該気道用組成物を粘膜組織及び粘膜液と接触させるために該組成物を鼻呼吸器領域に投与する工程を含む。気道用組成物は、該組成物が鼻用スプレーを使用して投与された時に特に有効である。
【0010】
本発明の気道用組成物は、鼻組織への適用時にウイルスに厳しい環境を作ることが見出された。このような環境は、気道ウイルス感染が起こり得る鼻腔にウイルスが感染するのを阻止する。本発明の気道用組成物は、風邪及びインフルエンザ様症状を緩和するための既に感染した患者の治療にも好適であり、並びに学校及びオフィスビルを包含する危険度の高い公共環境に直面した時にこのようなウイルスの獲得の可能性を低減又は排除する方法適用にも好適である。
本発明の気道用組成物は、組成物がイオン性亜鉛を含有するが刺激がないことも見出された。イオン性亜鉛は、ウイルス感染の予防又はウイルス感染の重篤度及び持続時間の低減を得るためにウイルスに厳しい環境を提供すると考えられている。本明細書で定義される気道用組成物は、感冒又はインフルエンザの症状を予防及び治療するためにキレート化イオン性亜鉛と非キレート化イオン性亜鉛との組み合わせを含み、このキレート化イオン性亜鉛と非キレート化イオン性亜鉛との組み合わせは、少なくとも50.1%というキレート化イオン性亜鉛の量で風邪又はインフルエンザ様症状の有効な予防及び治療を提供することが見出された。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の組成物は、風邪及びインフルエンザ様症状の予防及び治療に有効な気道用組成物である。これらの組成物は、組成物が鼻用組成物の形態で投与される時に、風邪及びインフルエンザ様症状の予防及び治療に特に有効である。本発明の気道用組成物は、一般的に、時々キャリアシステムと呼ばれる製薬上許容できるビヒクルを使用して投与される。
【0012】
本明細書で使用する時、用語「気道用組成物」は、鼻及び口から気道に直接放出できる形態の組成物を指す。これらの組成物としては、スポイト、ポンプ噴霧器、洗浄装置、加圧噴霧器、噴霧器、空気吸入装置及びその他の既知の又はまだ開発されていないパッケージング及び機器が挙げられるがこれらに限定されない。
【0013】
気道用組成物は、「風邪及びインフルエンザ様症状」の予防及び治療のために投与される。本明細書で使用する時、「風邪及びインフルエンザ様症状」は、気道ウイルス感染に一般的に関連する症状を指す。これらの症状としては、鼻詰まり、胸部鬱血、くしゃみ、鼻漏、疲労又は倦怠感、せき、発熱、悪寒、体の痛み、咽頭炎、頭痛、及びその他の既知の風邪及びインフルエンザ様症状が挙げられるがこれらに限定されない。
【0014】
用語「呼吸器ウイルス」は、本明細書で使用する時、風邪及びインフルエンザ様症状の原因物質であるウイルスを指す。これらのウイルスとしては、ライノウイルス、ミクソウイルス(インフルエンザウイルス)、パラミクソウイルス(パラインフルエンザ・ウイルス)、呼吸器合胞体ウイルス、アデノウイルス及びコロナウイルスが挙げられる。
【0015】
用語「製薬上許容できるビヒクル」は、本発明の気道用組成物の構成成分をユーザーの気道に放出するために構成成分と組み合わされるいかなる固体、液体又は気体も指す。これらのビヒクルは一般に、ヒトへの使用が安全であるとみなされ、キャリアシステムとして既知でもある。
【0016】
用語「キレート化(された)」は、本明細書で使用する時、亜鉛イオンの配位子との結合、又は部分的結合を包含する亜鉛イオンの錯化であって、その際該亜鉛イオンが一つの配位子分子に結合する少なくとも2つの部位を有する錯化を指す。代わりに、用語「非キレート化(された)」は、亜鉛イオンの遊離解離、又は亜鉛イオンと配位子との錯化であって亜鉛イオンが1つの配位子分子への結合部位を1つ有する錯化を指す。
【0017】
本発明の気道用組成物は、本明細書に記載される本発明の要素及び限定、並びに本明細書に記載されるいずれかの追加若しくは任意成分、構成成分、又は限定を含み、それらから成り、又はそれらから本質的に成ることができる。
【0018】
全ての百分率、割合及び比は、特に指定のしない限り、気道用組成物の重量に基づく。列挙する成分に関するこのようなすべての重量は、具体的成分の濃度に基づいており、そのため特に指定しない限り、市販の材料に包含される場合があるキャリアや副生成物を包含しない。
【0019】
本明細書に記載される出版物、特許出願、及び本明細書に記述する発行された特許を包含する本明細書で引用する全ての文献は、関連部分において、本明細書に参考として組み込まれる。いかなる文献の引用も、本発明に対する従来技術として利用できることの決定に関する容認ではない。
【0020】
(イオン性亜鉛化合物)
本発明の気道用組成物は、安全且つ有効な量のイオン性亜鉛化合物を含む。イオン性亜鉛化合物は一般に「金属塩」と呼ばれ、その際亜鉛イオン置換基は風邪及びインフルエンザウイルスに厳しい環境を提供する主要構成成分であると考えられる。用語「イオン性亜鉛化合物」及び「イオン性亜鉛化合物類」は、これらの用語の単数及び複数の状況を包含するために本明細書で交換可能に使用される。用語「安全且つ有効な量」は、本明細書で使用する時、拒絶反応が最小限又はなしで治療効果を提供する量を指す。
【0021】
亜鉛のような金属イオンは、風邪及びインフルエンザ様症状の予防及び治療のための抗ウイルス特性を提供できることが知られている。特に、亜鉛及びその感冒へ及ぼす可能性のある効果は、感冒治癒のためのハンドブック(The Handbook for Curing the Common Cold)、ジョージ・A・エビー(George A.Eby)、1994年発行、ジョージ・エビー・リサーチ(George Eby Research)(米国テキサス州)に広範に記録されている。その作用のメカニズムは、多因子であると考えられる。亜鉛イオンは、抗ウイルス性及び抗菌性のいずれでもあることが証明された。亜鉛イオンは、ライノウイルスポリペプチドの開裂を阻害し、感染性ウイルスの複製及び生成を防止すると考えられている。亜鉛イオンは、一部には細胞間接着分子ICAMの発現を低下することによって、ライノウイルスの細胞膜への浸透能力を低減する。亜鉛イオンは、天然抗ウイルスのインターフェロン−γの産生を包含する、T細胞リンパ球を刺激することも証明された。亜鉛イオンは、細胞形質膜を安定化し、細胞を細胞毒性剤から保護し、細胞漏出を防止する。
【0022】
イオン性亜鉛化合物は好ましくは、本発明の気道用組成物のキレート化又は非キレート化亜鉛イオンのいずれかを提供する。組成物、特に水性組成物中のキレート化及び非キレート化亜鉛イオンの量は、組成物のpHに大いに依存して変動しうる。本発明の気道用組成物は、好ましくは約3.0〜約5.5の範囲のpHを有する水性組成物であり、典型的には約50.1%〜約99.9%、好ましくは約50.1%〜約65%の範囲の量のキレート化亜鉛イオンを含み、その際非キレート化亜鉛イオンの量は約0.1%〜約49.9%、好ましくは約35%〜約49.9%である。
【0023】
キレート化亜鉛イオンの提供に好適なイオン性亜鉛化合物は、個別のイオン性亜鉛化合物として又はイオン性亜鉛化合物の組み合わせとして気道用組成物に包含されることができる。気道用組成物中のイオン性亜鉛化合物の総濃度は、典型的には組成物の約0.001重量%〜約20重量%、好ましくは約0.01重量%〜約10重量%、より好ましくは約0.05重量%〜約5重量%、最も好ましくは約0.05重量%〜約2重量%の範囲である。同様に、非キレート化亜鉛イオンを提供するための1以上のイオン性亜鉛化合物を、組成物の約0.001重量%〜約20重量%、好ましくは約0.01重量%〜約10重量%、より好ましくは約0.05重量%〜約5重量%、最も好ましくは約0.05重量%〜約2重量%の範囲の総濃度で気道用組成物に包含することができる。
【0024】
キレート化亜鉛イオンを提供する好適なイオン性亜鉛化合物としては、亜鉛イオンが配位子、例えばキレート化剤配位子に、配位子の少なくとも2つの結合部位で結合又は部分的に結合しているイオン性亜鉛化合物が挙げられる。そのようなイオン性亜鉛化合物の具体的な非限定例としては、クエン酸亜鉛、亜鉛エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩(亜鉛−EDTA)、コハク酸亜鉛、酒石酸亜鉛、リンゴ酸亜鉛、及びこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。
【0025】
非キレート化亜鉛イオンを提供する好適なイオン性亜鉛化合物としては、水性溶液中で亜鉛イオンの遊離解離を可能にするイオン性亜鉛化合物、又は配位子分子の1つの部位に結合する亜鉛イオンを有するイオン性亜鉛化合物が挙げられる。好適なイオン性亜鉛化合物としては、酢酸亜鉛、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、グルコン酸亜鉛、乳酸亜鉛、アスコルビン酸亜鉛、及びこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。
【0026】
(亜鉛イオンの決定)
本発明の気道用組成物はキレート化及び非キレート化亜鉛イオンを含む。イオン性亜鉛化合物は組成物に組み込まれ、その際これらのイオン性亜鉛化合物は好ましくはキレート化又は非キレート化亜鉛イオン種を提供する。ただし、イオン性亜鉛化合物は、組成物のpH、イオン性亜鉛化合物の溶解度等の要因に依存して、キレート化及び非キレート化の両方の亜鉛イオンを提供することができることが理解される。本発明の気道用組成物は、少なくとも50.1%の亜鉛イオンがキレート化亜鉛イオンであるようなイオン性亜鉛化合物を含む。
【0027】
気道用組成物中のキレート化及び非キレート化亜鉛イオンの決定方法としては、水性溶液中の種形成濃度を定量するための既知のないしは別の方法で有効な手法が挙げられる。好適な方法としては、エンバイロンメンタル・リサーチ・ソフトウエア(Environmental Research Software)(米国)より入手可能なMINEQLデータベース、バージョン4.5、並びにいずれも英国にあるアカデミック・ソフトウエア(Academic Software)より入手可能なIUPAC安定度定数データベース(Stability Constants Database)、バージョン5.16(データ・バージョン4.22)及びスピーシズ・プログラム(Species Program)、バージョン3.2のようなアカデミック・ソフトウエア(Academic Software)より入手可能な安定度定数データベース及び種プログラムが挙げられる。
【0028】
典型的には、本発明の気道用組成物のような組成物中のキレート化及び非キレート化亜鉛イオンの量を決定するためには、反応物質の総濃度及び考慮される亜鉛錯体の全体的な安定度定数より、全ての亜鉛種のモル濃度が計算される。安定度定数は、生成定数(金属−配位子平衡生成)及びプロトン化定数(プロトン−配位子平衡)に基づき、MINEQLデータベース、バージョン4.5;「重要安定度定数」(Critical Stability Constants)データベース、R.E.スミス(R.E.Smith)及びA.E マーテル(A.E Martell)著、プレナム・プレス(Plenum Press)、ニューヨーク、1976年;及びアカデミック・ソフトウエア(Academic Software)より入手可能なIUPAC安定度定数データベース(Stability Constants Database)、バージョン5.16(データ・バージョン4.22)のようなデータベースに見ることができ、これらのデータベースを参考として本明細書に組み入れる。続いて、キレート化及び非キレート化亜鉛イオンの量をZn2+イオン及び各Zn−配位子種について計算する。
【0029】
例のため、以下に、3.5のpHを有し、酢酸亜鉛及び亜鉛−EDTAのようなイオン性亜鉛化合物並びにコハク酸、ピログルタミン酸(PCA)、及びコハク酸二ナトリウムのような任意の亜鉛種形成分子を含む気道用組成物中のキレート化及び非キレート化イオンの量の計算過程を例証する。以下の表1に列挙されているように、濃度百分率に基づく容量モル濃度の計算を包含する製剤物質の化学情報が得られる。
【0030】
【表1】

*気道用組成物中の物質の百分率から計算された容量モル濃度
**R.E.スミス(R.E.Smith)及びA.E.マーテル(A.E.Martell)重要安定度定数(CriticalStabilityConstants);プレナム・プレス(Plenum Press);ニューヨーク、1976年
【0031】
次に、以下の表2に列挙されるように、Zn(2+)及び亜鉛種形成分子の容量モル濃度が求められる。
【0032】
【表2】

【0033】
続いて、以下の表3及び図1に列挙するように、キレート化及び非キレート化亜鉛の量を、容量モル濃度、及びMINEQL入力及び出力データベースを使用した安定度定数に基づいて計算する。
【0034】
【表3】

【0035】
【表4】

上に例証した過程によって明らかなように、気道用組成物は少なくとも50.1%のキレート化亜鉛イオンを含む。驚くべきことに、キレート化亜鉛イオンと非キレート化亜鉛イオンとの組み合わせを含む気道用組成物であって、該亜鉛イオンの少なくとも50.1%がキレート化された気道用組成物は、感冒又はインフルエンザに関連する症状の予防及び治療に特に有効であることが見出された。
【0036】
(製薬上許容できるビヒクル)
本発明の気道用組成物は、一般的に、製薬上許容できるビヒクル又はキャリアシステムを含む製剤として気道領域に投与される。液体、固体、又は気体の形態のいかなる製薬上許容できるビヒクルも、風邪及びインフルエンザ様症状を予防及び治療するための気道用組成物の放出に好適である。
【0037】
所望の形態及び使用される放出装置に依存して、本発明の気道用組成物を、水;エタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、トランスクトール、グリセロールを包含する水混和性溶媒及びその他の既知のないしは別の方法で有効な水混和性溶媒;液体エアゾール噴射剤;及びこれらの混合物のような製薬上許容可能なビヒクルと組み合わせることができる。
【0038】
気道用組成物が、製薬上許容できるビヒクルとして水を使用して投与される時、該水は好ましくは精製又は脱イオン水であり、有機不純物を含まない。気道用組成物を気道領域に放出するための最終製品に処方するために使用される水の濃度は、最終製品製剤の約40重量%〜約99.98重量%、好ましくは約80重量%〜約99.95重量%の範囲である。製薬上許容できるビヒクルとして水を含む気道用組成物は、組成物中に存在するキレート化及び非キレート化亜鉛イオンの量を計算するための修正有り又は無しで分析することができる。
【0039】
本発明の気道用組成物が固体の製薬上許容できるビヒクルを使用して投与される時、該ビヒクルは粉末形態で適用されてもよい。換言すれば、本発明の気道用組成物は、必須のイオン性亜鉛化合物及び本明細書に記載されている任意成分を含有する固体粉末として、いかなる既知の又は別の方法で有効な固化助剤有り又は無しで、適用することができる。ただし、製薬上許容できる固体ビヒクルは、組成物の加工で補佐を提供するため、組成物の濃度を補佐するため、改善された安定性を提供するため、取り扱いを容易にするため、吸湿性効果のため等の目的で添加することができる。製薬上許容できる固体ビヒクル物質としては、微粒子及び粉末充填剤、例えばラクトース粉末のような成分が挙げられる。固体粉末の製薬上許容できるビヒクルを使用して投与される鼻用組成物の形態の気道用組成物については、粉末の粒径は、特に該鼻用組成物が鼻吸入剤である時に、典型的には10μmを超える。固体の製薬上許容できるビヒクルを含む気道用組成物は、典型的には、組成物中に存在するキレート化及び非キレート化亜鉛イオンの量を決定する前に水性媒質に溶解又は分散される。
【0040】
(任意成分)
本発明の気道用組成物は、医薬組成物における使用が既知のないしは別の方法で有効な1以上の任意成分を、該任意成分が本明細書に上述されたイオン性亜鉛化合物と物理的及び化学的に適合し、ないしは別の方法で製品の安定性、審美性、若しくは性能を過度に損なわないという条件で、さらに含んでもよい。本明細書に用いるのに好適な任意成分としては、亜鉛含有金属化合物以外の金属化合物、ピログルタミン酸、有機酸、粘膜付着性ポリマー、pH調整剤、キレート化剤、防腐剤、感覚剤、甘味剤、着香剤、揮発性油、粘漿剤、界面活性剤展着助剤(ポリソルベート(Polysorbate)80として市販されているポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエートを包含する)等が挙げられる。任意成分は、気道用組成物に組成物の約0.001重量%〜約30重量%、好ましくは約0.01重量%〜約10重量%の範囲の濃度で包含されることができる。
【0041】
本発明の気道用組成物は、任意にホメオパシー成分を含むことができる。このようなホメオパシー成分の詳細な、しかし必ずしも完全ではないリストが、米国ホメオパシー薬局方(The Homeopathic Pharmacopoeia of the United States)、1999年版、米国ホメオパシー協会の薬局方協議会(The Pharmacopoeia Convention of the American Instistute of Homeopathy)により出版、(著作権)1982年、1〜4巻に見られ、その記載は本明細書に参考として組み込まれる。本明細書で使用するのに好適な既知のホメオパシー、ないしは別の方法で有効な任意構成成分の具体的な非限定例を以下に更に詳細に記載する。
【0042】
(任意の金属化合物)
本発明の気道用組成物は、本明細書で上に定義された必須のイオン性亜鉛化合物以外の金属化合物を任意に含む。好適な任意の金属化合物としては、例えば鉄、銀及び銅金属イオン置換基を含有する一般的に「金属塩」と呼ばれるものが挙げられる。
【0043】
好適な任意の金属化合物としては、マンガン(Mn)、銀(Ag)、スズ(Sn)、鉄(Fe)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、及びこれらの混合物から成る群から選択される金属イオンを含有する金属化合物が挙げられる。好ましい任意の金属化合物としては、Cu、又はFe、金属イオン類、又はそれらの組み合わせを含有する金属化合物が挙げられる。
【0044】
本明細書に用いるのに好適な任意の金属化合物の非限定例としては、サリチル酸塩類、フマル酸塩類、安息香酸塩類、グルタル酸塩類、乳酸塩類、クエン酸塩類、マロン酸塩類、酢酸塩類、グリコール酸塩類、チオサリチル酸塩類、アジピン酸塩類、コハク酸塩類、グルコン酸塩類、アスパラギン酸塩類、グリシン酸塩類、酒石酸塩類、リンゴ酸塩類、マレイン酸塩類、アスコルビン酸塩類、塩化物類、硫酸塩類、硝酸塩類、リン酸塩類、フッ化物類、ヨウ化物類、ピドレート(pidolates)、及びこれらの混合物と呼ばれる金属化合物が挙げられる。存在する場合、任意の金属成分は、本発明の気道用組成物に組成物の約0.001重量%〜約20重量%の範囲の濃度で包含される。
【0045】
(任意のピログルタミン酸)
本発明の気道用組成物は、好ましくは任意のピログルタミン酸を含む。任意のピログルタミン酸は、約3.0〜約5.5のpKa値を有する任意の有機酸と組み合わせて使用した時に、pH約3.0〜5.5の鼻腔組織表面pHを提供するのに有効であることが見出された。本発明の気道用組成物は、任意のピログルタミン酸を、組成物の約0.01重量%〜約20重量%、好ましくは約0.1重量%〜約10重量%、より好ましくは約0.25重量%〜約8重量%、最も好ましくは約0.1重量%〜約5重量%の範囲の濃度で含む。
【0046】
本発明の気道用組成物への使用に好適な任意のピログルタミン酸は、ピログルタミン酸の立体異性体及び互変異性体として集合的に呼ばれるピログルタミン酸化合物を包含する。ピログルタミン酸は、ピロリドンカルボン酸とも呼ばれ、2つの立体異性体(D及びL)を有し、各々が本明細書で任意の使用に好ましい。ピログルタミン酸の製薬上許容できる塩も本明細書で任意の使用に好適である。
【0047】
ピログルタミン酸のD立体異性体は、次の名前でも知られる:D−プロリン、5−オキソ−(+)−2−ピロリドン−5−カルボン酸、(+)−ピログルタミン酸、(R)−2−ピロリドン−5−カルボン酸、5−オキソ−D−プロリン、D−2−ピロリドン−5−カルボン酸、D−ピログルタミン酸、D−ピロリジノンカルボン酸、及びD−ピロリドンカルボン酸。
【0048】
ピログルタミン酸のL立体異性体は、次の名前でも知られる:L−プロリン、D−5−オキソ−(−)−2−ピロリドン−5−カルボン酸、(−)−ピログルタミン酸、(5S)−2−オキソピロリジン−5−カルボン酸、(S)−(−)−2−ピロリドン−5−カルボン酸、(S)−2−ピロリドン−5−カルボン酸、(S)−5−オキソ−2−ピロリジンカルボン酸、(S)−ピログルタミン酸、2−L−ピロリドン−5−カルボン酸、2−ピロリジノン−5−カルボン酸、5−カルボキシ−2−ピロリジノン、5−オキソ−L−プロリン、5−オキソプロリン、5−ピロリジノン−2−カルボン酸、グルチム酸(Glutimic acid)、グルチミン酸(Glutiminic acid)、L−2−ピロリドン−5−カルボン酸、L−5−カルボキシ−2−ピロリジノン、L−5−オキソ−2−ピロリジンカルボン酸、L−5−オキソプロリン、L−グルタミン酸、γ−ラクタム、L−グルチム酸(Glutimic acid)、L−グルチミン酸(Glutiminic acid)、L−ピログルタミン酸、L−ピロリジノンカルボン酸、L−ピロリドンカルボン酸、オキソプロリン、PCA、ピドリン酸(Pidolic acid)、ピログルタミン酸、ピロリジノンカルボン酸、ピロリドン−5−カルボン酸、及びピロリドンカルボン酸。
【0049】
ピログルタミン酸のDL体(D及びL立体異性体の混合物)は次の名前で知られる:DL−プロリン、5−オキソ−(.+−.)−2−ピロリドン−5−カルボン酸、(.+−.)−ピログルタミン酸、5−オキソ−DL−プロリン、DL−2−ピロリジノン−5−カルボン酸、DL−2−ピロリドン−5−カルボン酸、DL−ピログルタメート、DL−ピログルタミン酸、DL−ピロリドンカルボン酸、及びオキソプロリン。DL体は、味の素(Ajinomoto)からアジデュー(Ajidew)A100及びアジデュー(Ajidew)N50(Na−PCA)の商標名で市販されている。
【0050】
上記の立体異性体のいくつかは、バーネットプロダクツ社(Barnet Products Corp.)(ニュージャージー州)を介してUCIB(フランス)より市販されている。このような化合物は、クイブリドン(Cuivridone)(Cu−PCA)及びL−FERピドレート(Pidolate)(Fe−PCA)、及びピドリドン(Pidolidone)の商標名で販売されている。
【0051】
(任意の有機酸)
本発明の気道用組成物は好ましくは本明細書で上述されている任意のピログルタミン酸と組み合わせて使用するのに好適な任意の有機酸を含む。気道用組成物が有機酸とピログルタミン酸との組み合わせを含む時、風邪及びインフルエンザ様症状に寄与することが知られているウイルスに対してより厳しい組成物が作られると考えられている。
【0052】
本明細書に用いるのに好適な任意の有機酸は、有機酸の総濃度が組成物の約0.01重量%〜約10重量%、好ましくは約0.05重量%〜約5重量%、より好ましくは約0.10重量%〜約2.5重量%であるという条件で、単独の有機酸として又は有機酸の組み合わせとして気道用組成物に包含されることができる。任意の有機酸は、約3.0〜約5.5の解離定数(pKa)を有する。有機酸がPCAと組み合わされた時、気道用組成物は緩衝能が増大し、鼻腔又は鼻甲介内の治療される組織に約3.0〜約5.5の表面pHを提供する。
【0053】
本明細書に用いるのに好適な任意の有機酸の非限定例としては、アスコルビン酸類、モノカルボン酸類、ジカルボン酸類、トリカルボン酸類、及びこれらの混合物が挙げられる。好適なモノカルボン、ジカルボン、又はトリカルボン酸類の非限定例としては、サリチル酸、フマル酸、安息香酸、グルタル酸、乳酸、クエン酸、マロン酸、酢酸、グリコール酸、リンゴ酸、マレイン酸、アジピン酸、コハク酸、アスパラギン酸、フタル酸、酒石酸、グルタミン酸、グルコン酸、アスコルビン酸、及びこれらの混合物が挙げられる。有機酸は気道組織に対する潜在的刺激物であることが既知であるにもかかわらず、これらの任意の有機酸は、鼻組織のような気道の特定の領域を著しく刺激することなくウイルスに厳しい環境を作るために、定義された濃度で本発明の気道用組成物に組み込むことができることが見出された。
【0054】
任意の有機酸は、ピログルタミン酸と組み合わせて使用した時に有効であることが明らかにされたが、有機酸とイオン性亜鉛化合物との組み合わせも風邪及びインフルエンザ様症状の予防及び治療に有効であることが見出された。有機酸とイオン性亜鉛化合物との組み合わせは、ピログルタミン酸の添加有り又は無しのいずれでも気道用組成物に包含されて、風邪及びインフルエンザ様症状の予防及び治療における治療的効果を提供することができる。
【0055】
(任意の粘膜付着性ポリマー)
本発明の気道用組成物は、好ましくは、鼻の刺激を生じることなく風邪及びインフルエンザ様症状の改善された予防及び治療を得るために、鼻腔のような気道の領域における組成物の保持の改善を提供する任意の粘膜付着性ポリマーを含む。粘膜付着性ポリマーは、鼻用組成物のような気道用組成物に組み込むことができ、刺激反応性を示すことが知られている。刺激反応性とは、粘膜液又は粘膜組織との接触時に、組成物が組織に接着するのに十分に粘着性又は粘稠になり及び素早く表面から糜爛させないことを意味する。
【0056】
本明細書に用いるのに好適な任意の粘膜付着性ポリマーは、単独で又は組み合わせて使用されて、組成物の接触時にpH、体温、イオン濃度の変化等のような刺激で気道組成物の粘度に変化を付与するいかなる固体又は液体も包含する。したがって、粘膜付着性ポリマーは時々一般的に粘性構築ポリマーと呼ばれる。粘度の変化を提供する任意の粘膜付着性ポリマーの組み込みの結果、本発明の気道用組成物の酸性の性質によって生じうる知覚される刺激、特に知覚される鼻の刺激が低減及び/又は排除されることが見出された。
本明細書に用いるのに好適な任意の粘膜付着性ポリマーは、気道用組成物の粘膜組織、特に鼻粘膜組織への接着を提供し、その結果酸性の気道用組成物が粘膜組織及び粘膜液に接触し、気道領域で組成物の粘度変化を生じる。結果として、本発明の気道用組成物は、一般的な気道用組成物よりも長時間粘膜表面上に保持され、したがって風邪及びインフルエンザ様症状の改善された予防及び治療のためのウイルスに厳しい環境を保持する。例えば、本発明の気道用組成物が任意の粘膜付着性ポリマーを含有し、及び液体気道用組成物として投与される場合、該組成物は噴霧器を使用して適用され、鼻腔のような気道領域内への噴霧時に該組成物が素早く高分子被膜、好ましくは高分子粘稠被膜を形成し、それが鼻組織に接着する。高分子被膜は好ましくは薄い高分子被膜、より好ましくは薄い高分子粘稠被膜であり、くしゃみの時の糜爛、鼻をかむ、又は粘膜繊毛の間隙にも耐える。任意の粘膜付着性ポリマーは、粘膜組織及び粘膜液への気道用組成物の適用時にその場で組成物の粘度を変化することもできる。
【0057】
任意の粘膜付着性ポリマーは、粘膜付着性ポリマーの総濃度が組成物の約0.01重量%〜約30重量%、好ましくは約0.1重量%〜約20重量%、より好ましくは約1重量%〜約15重量%の範囲であるという条件で、単独の粘膜付着性ポリマーとして又は粘膜付着性ポリマーの組み合わせとして本発明の気道用組成物に包含されることができる。
【0058】
本発明の気道用組成物に任意の粘膜付着性ポリマーを組み込むことで、典型的には、約0.001Pa・s(1センチポアズ(cps))〜約2Pa・s(2000cps)、好ましくは約0.001Pa・s(1cps)〜約1Pa・s(1000cps)、より好ましくは約0.005Pa・s(5cps)〜約0.5Pa・s(500cps)、最も好ましくは約0.005Pa・s(5cps)〜約0.3Pa・s(300cps)の範囲の粘度を有する組成物が生じる。組成物の粘度は、粘度を決定するいずれかの既知のないしは別の有効な技術で測定することができる。一般に、本発明の気道用組成物の粘度は、ASTM D1824−87、ASTM D1084−88、及びASTM D2196−86に記載されているもののような既知の方法を使用して決定される。粘度の測定に用いられる典型的な粘度計としては、ブルックフィールド・シンコ・レクトリック粘度計(Brookfield Syncho-Lectric Viscometer)及びハッケ粘度計(Haake Viscometer)が挙げられる。例えば、ブルックフィールド・シンコ・レクトリック粘度計(Brookfield Syncho-Lectric Viscometer)を粘度測定に使用する時、この粘度計は典型的には、所与の回転速度において低剪断で8Pa・s(8,000センチポアズ)未満の粘度を測定するためにスピンドル4が装備される。同様に、ハッケ粘度計(Haake Viscometer)を使用する時、好適なハッケ粘度計(Haake Viscometer)は、5.2rad/s(1分当たり50回転(rpm)/秒(s))で5℃〜40℃の温度範囲にわたって粘度測定が実施されるプローブC35/2Tのようなプローブ(即ち、スピンドル)が装備されたレオストレス(Rheostress)1型である。
【0059】
本明細書に用いるのに好適な既知の任意の粘膜付着性ポリマーは、カルボキシポリメチレン類、カルボキシビニルポリマー、ペンタエリスリトールのアリルエーテルで架橋したアクリル酸のホモポリマー、スクロースのアリルエーテルで架橋したアクリル酸のホモポリマー、ジビニルグリコールで架橋したアクリル酸のホモポリマー、及びこれらの混合物から成る群から選択される。
【0060】
ペンタエリスリトールのアリルエーテル又はスクロースのアリルエーテルで架橋した好適なアクリル酸のホモポリマー類の非限定例は、B.F.グッドリッチ社(B.F.Goodrich Company)より「カーボポール」(Carbopol)の商標名で入手できる。具体的なカーボポール類としては、カーボポール(Carbopol)934、940、941、956、980及びこれらの混合物が挙げられる。カーボポール(Carbopol)980は、任意のカーボポール粘膜付着性ポリマー類の中でとりわけ好ましい。この種類のポリマー類は、弱酸性のカルボキシル置換基を有する。このようなポリマー類は一般に、水中で約3のpHを有し、一般に、粘稠な被膜及び/又はゲルを生成するために組成物の調製中に中和によって使用される。本発明の気道用組成物が1以上の任意のカーボポール粘膜付着性ポリマー類を含む時、一般に、これらのポリマー類は組成物の約0.01重量%〜約2.5重量%の範囲の濃度で使用される。
【0061】
ジビニルグルコールで架橋した好適なアクリル酸のホモポリマー類の非限定例は、B.F.グッドリッチ社(B.F.Goodrich Company)より商標名「ノベオン」(Noveon)でポリカルボフィルとして入手できる。
【0062】
本明細書に用いるのに好適な任意の粘膜付着性ポリマーのその他の非限定例としては、天然ポリマー類、高分子セルロース誘導体、ポリビニルピロリドン類(PVP)、デキストランポリマー類、ポリエチレンオキシドポリマー類、ポリオックス(Polyox)−600、熱可逆性ポリマー類、イオン反応性ポリマー類、ポリメチルビニルエーテルと無水マレイン酸とのコポリマー類、及びこれらの混合物が挙げられる。高分子セルロース誘導体及び熱可逆性ポリマー類が好ましい。
本明細書で任意の粘膜付着性ポリマーとしての使用に好適な天然ポリマー類の具体的な非限定例には、アラビアガム類、トラガカントガム類、アガーポリマー類、キサンタンガム類、アルギン酸とアルギン酸ナトリウムとのコポリマー類、キトサンポリマー類、ペクチン類、カラギーナン類、プルランポリマー類、加工デンプン類、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0063】
本明細書で好ましい任意の粘膜付着性ポリマーとして用いるのに好適な高分子セルロース誘導体類の具体的な非限定例には、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)及びヒドロキシプロピルセルロース(HPC)を包含するヒドロキシアルキルセルロースポリマー類、メチルセルロースポリマー類、カルボキシメチルセルロース(CMC)ポリマー類、カルボキシメチルセルロースの塩類(カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩を包含する)、及びこれらの混合物が挙げられる。
本明細書で好ましい任意の粘膜付着性ポリマーとして用いるのに好適な熱可逆性ポリマー類の具体的な非限定例には、ルトロール(Lutrol)F−127及びルトロール(Lutrol)F−68の商標名で販売されているポロキサマー類を包含するポロキサマー類、エチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)、及びこれらの混合物が挙げられる。
本明細書で任意の粘膜付着性ポリマーとして用いるのに好適なイオン反応性ポリマー類としては、ゲルライト(gelrite)、ジェランガム、ケルコゲル(Kelcogel)F、及びこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。
本明細書で任意の粘膜付着性ポリマーとして用いるのに好適なポリメチルビニルエーテルと無水マレイン酸とのコポリマー類の具体的な非限定例としては、ガントレツ(Gantrez)S及びガントレツ(Gantrez)MS型コポリマー類を包含するガントレツ(Gantrez)の商標名で販売されているそのようなコポリマー類が挙げられる。
本明細書で使用するのに好適な任意の粘膜付着性ポリマーは、薬学薬理学誌(Journal Pharmacy Pharmacology)53、3〜22頁、(2001年版);国際薬学誌(the International Journal of Pharmaceutics)(1988年、1996年及び1998年版);及びコントロールリリース誌(the Journal Controlled Release)62、101〜107頁、(1999年版)に更に完全に記載されており、これらの記載は本明細書に参考として組み込まれる。
【0064】
(任意のpH調整剤)
本発明の気道用組成物は任意にpH調整剤を含むことができる。任意のpH調整剤は、組成物のpHを約4.5未満の値に調整するために本発明の気道用組成物に包含されることができる。したがって、組成物が鼻組織のような気道領域に適用される時、鼻組織上の組成物のpHは約3.0〜約5.5のままであるが、鼻組織の刺激を生じるほど低くない。このような任意のpH調整剤としては、重炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、トリエタノールアミン、クエン酸ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、及びこれらの混合物のような化合物を包含する鼻用組成物での使用に通常関連するものが挙げられる。存在する場合、任意のpH調整剤は、一般に、組成物の約0.01重量%〜約5.0重量%の範囲の濃度で包含される。
【0065】
(任意のキレート化剤)
本発明の気道用組成物は、増強された抗ウイルス活性を提供すると考えられるキレート化剤を任意に含むことができる。本発明の気道用組成物に有用な任意のキレート化剤としては、鉄、銅、亜鉛及びその他のこのような金属のような遷移金属イオンをキレート化するものが挙げられる。理論に束縛されないが、金属イオン類、具体的には金属カチオン類が酸化種の形成において主要な役割をすると仮定するのが合理的である。酸化反応及びフリーラジカル形成は、炎症性疾患における細胞損傷の一因となる可能性がある。本明細書で有用な任意のキレート化剤類は、酸化反応を緩衝することが知られている。任意のキレート化剤は、非水性及び水性媒質中で安定及び有効であり、約3〜約6の範囲のpHである。好適な任意のキレート化剤類の非限定例には、フィチン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)の二ナトリウム及びカルシウム塩、EDTA四ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム(SHMP)、ジ(ヒドロキシエチル)グリシン、8−ヒドロキシキノリン、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0066】
任意のキレート化剤は、キレート化亜鉛イオンを提供するイオン性亜鉛化合物に加えて、気道用組成物に包含されることができる。したがって、本発明の気道用組成物が任意のキレート化剤を含む時、キレート化亜鉛イオンの量が増えると考えられる。しかし、イオン性亜鉛化合物が気道用組成物に任意のキレート化剤有りで組み込まれるか無しで組み込まれるかに関わらず、キレート化亜鉛イオンを提供するイオン性亜鉛化合物は少なくとも50.1%のキレート化亜鉛イオンを提供する。
【0067】
本発明の気道用組成物が1以上の任意のキレート化剤類を含む場合、キレート化剤類は、組成物の約0.001重量%〜10重量%、好ましくは約0.005重量%〜5.0重量%、より好ましくは約0.01重量%〜2重量%の範囲の濃度で包含される。
【0068】
(任意の防腐剤)
本発明の気道用組成物は任意に防腐剤を含むことができる。防腐剤は、投与装置又は鼻に適用される気道用組成物から起こる微生物汚染を防止するために包含されることができる。このような任意の防腐剤としては、塩化ベンザルコニウム、クロルヘキシジングルコネート、フェニルエチルアルコール、フェノキシエタノール、ベンジルアルコール、ソルビン酸、チメロサール、フェニル酢酸水銀、及びこれらの混合物を包含する鼻用組成物への使用に通常関連するものが挙げられる。
【0069】
(製造方法)
本発明の気道用組成物は、風邪及びインフルエンザ様症状の予防及び治療において治療的効果を提供する医薬組成物の提供に好適ないかなる既知のないしは別の方法で有効な手法によって調製されてもよい。気道用組成物は、本明細書に記載されているイオン性亜鉛化合物を含むよう処方され、その際これらの組成物はその後、気道ウイルス感染による症状を予防及び治療するために呼吸器領域に投与するための液体、スプレー、粉末、洗浄剤、吸入剤、ポンプ、滴剤等の最終製品形態に製造される。
【0070】
気道用組成物が、スプレー、ポンプ、液滴等の製品形態の組成物を放出するために液体のような製薬上許容できるビヒクルを使用して投与される時、気道用組成物は一般に、水のような液体ビヒクル中に任意の粘膜付着性ポリマーが可溶化されたプレミックス溶液にイオン性亜鉛化合物を添加することによって調製される。攪拌しながら、任意のピログルタミン酸及び任意の有機酸を、イオン性亜鉛化合物と任意の粘膜付着性ポリマーとの溶液に添加することができる。次に、該溶液を攪拌し続けながら、感覚剤ミックスを添加する。感覚剤ミックスは、典型的には、エタノール、メントール、ペパーミント油、及びスペアミント油の組み合わせのような成分の組み合わせを含有できるプレミックス溶液として添加される。得られる製品のpHは約3.0〜約5.5の間であるべきであるが、得られる製品のpHを約3.0〜約5.5の間に維持するために、水酸化ナトリウム及び/又はコハク酸二ナトリウムのようなpH調整剤を添加することができる。液体の最終製品形態で投与されるこれらの気道用組成物は、点滴バイアル瓶への組み込みに特に好適であり、その際組成物は、風邪及びインフルエンザ様症状の有効な予防及び治療のために鼻孔又は鼻甲介のような気道領域に噴霧される。典型的には、約100μlの組成物が各鼻孔又は鼻甲介内へ噴霧される。
【0071】
本発明の気道用組成物が、粉末のような製薬上許容できるビヒクルを使用して投与される時、組成物は一般に、イオン性亜鉛化合物、任意のピログルタミン酸、及び任意の有機酸をV−ミキサーを使用してドライブレンドすることによって調製される。クエン酸ナトリウムのようなpH調整剤を前記ドライブレンドに添加することができる。続いて、ドライブレンドを、流体エネルギーミルを使用して微紛化する。得られる微紛化されたドライブレンドを、続いて、ラクトース粉末のような粉末充填剤とドライミックスする。最終的な粉末気道用組成物を、任意に、既知のスプレーコーティング手法を使用して感覚剤プレミックスでコーティングすることができる。最終的な粉末気道用組成物を、風邪及びインフルエンザの症状を予防及び治療するために鼻吸入計量ポンプに充填することができ、その際約10ミリグラム(mg)の最終粉末を鼻孔又は鼻甲介のような気道領域に投与することができる。
【0072】
本明細書で記載されているように、本発明の気道用組成物は、液体、スプレー、ポンプ、吸入剤、粉末等の最終製品形態での投与に好適である。これらの最終的な気道用組成物の投与への利用に好適な装置としては、一般に用いられるか又は別の方法で有効な液体容器、スポイト、加圧スプレーを包含するスプレー容器、洗浄装置、粉末容器、噴霧器等が挙げられる。
【実施例】
【0073】
以下の実施例は、本発明の範囲内の実施形態を更に説明及び明示する。これらの実施例は、単に説明の目的で与えられるに過ぎず、本発明の精神及び範囲から逸脱することなくそれらの多くの変形形態が可能であるため、本発明を制限するものと解釈すべきではない。すべての例示した濃度は、特に指定のない限り、重量−重量パーセントである。
【0074】
代表的な本発明の気道用組成物を、以下の表IIに例証する。これらの気道用組成物は、好ましくは以下の表Iに例証される感覚剤プレミックスを含む。表Iの例証された感覚剤プレミックスは、味覚、香味、色、臭い等において審美的に満足な気道用組成物を提供する。
【0075】
以下の表IIに例証されている気道用組成物は、典型的には、水のような液体ビヒクル中に可溶化された任意の粘膜付着性ポリマーのプレミックスにイオン性亜鉛化合物を添加することによって調製される。攪拌しながら、所望であれば、続いて任意のピログルタミン酸及び/又は任意の有機酸を、イオン性亜鉛化合物と任意の粘膜付着性ポリマーとの溶液に添加する。次に、該溶液を攪拌し続けながら、感覚剤ミックスを添加する。得られる製品のpHは約3.0〜約5.5の間であるべきであるが、得られる製品のpHを約3.0〜約5.5の間に維持するために、水酸化ナトリウム及び/又はコハク酸二ナトリウムのようなpH調整剤を添加することができる。これらの最終的な気道用組成物は、点滴バイアル瓶へ充填に好適であり、その際組成物は、風邪及びインフルエンザ様症状の有効な予防及び治療のために鼻孔又は鼻甲介のような気道領域に噴霧される。典型的には、約100μlの組成物が各鼻孔又は鼻甲介内へ噴霧される。これらの組成物は、少なくとも約50.1%のキレート化亜鉛イオンを有する。
【0076】
【表5】

【0077】
【表6】

重量%−重量パーセント
1−バーネットプロダクツ社(Barnet Products Corp.)(ニュージャージー州)を介してUCIB(フランス)より入手可能なピログルタミン酸
2−DSMファインケミカルズ(DSM Fine Chemicals)(英国)より入手可能なコハク酸
3−ベルドグト社(Verdugt B.V.)(ベルギー)より入手可能な酢酸亜鉛二水和物
4−アクゾ・ノーベル・ファンクショナル・ケミカルズ社(Akzo Nobel Functional Chemicals bv)(オランダ)より入手可能な亜鉛−EDTA
5−B.F.グドリッチ社(B.F.Goodrich Company)(米国)より入手可能なカーボポール(Carbopol)980
6−カラコン社(Colorcon Ltd)(英国ケント)より入手可能なヒドロキシプロピルメチルセルロース
7−BASFスペシャルティ・ケミカルズ(BASF Speciality Chemicals)(米国ニュージャージー州マウントオリバー)より入手可能なルトロール(Lutrol)F−127
【0078】
本発明の特定の実施形態を記載したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本発明の様々な変更及び修正が可能であることは、当業者には明らかである。本発明の範囲内にあるこのような全ての修正については、添付の特許請求の範囲に包含されるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気道用組成物であって:
総亜鉛イオンの0.1%〜49.9%の非キレート化亜鉛イオンを提供する0.001重量%〜20重量%のイオン性亜鉛化合物;及び
総亜鉛イオンの50.1%〜99.9%のキレート化亜鉛イオンを提供する0.001重量%〜20重量%のイオン性亜鉛化合物、
を含む気道用組成物。
【請求項2】
前記非キレート化亜鉛イオンを提供するイオン性亜鉛化合物が、酢酸亜鉛、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、グルコン酸亜鉛、乳酸亜鉛、アスコルビン酸亜鉛、及びこれらの混合物から選択される、請求項1に記載の気道用組成物。
【請求項3】
前記キレート化亜鉛イオンを提供するイオン性亜鉛化合物が、クエン酸亜鉛、亜鉛エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩(亜鉛−EDTA)、コハク酸亜鉛、酒石酸亜鉛、リンゴ酸亜鉛、及びこれらの混合物から選択される、請求項1又は2に記載の気道用組成物。
【請求項4】
前記組成物が、水、エタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、トランスクトール(transcutol)、グリセロール、液体エアゾール噴射剤、及びこれらの混合物から選択される製薬上許容できるビヒクルを40重量%〜99.98重量%さらに含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の気道用組成物。
【請求項5】
前記組成物が、0.01重量%〜20重量%のピログルタミン酸をさらに含む、請求項4に記載の気道用組成物。
【請求項6】
前記組成物が、アスコルビン酸、サリチル酸、フマル酸、安息香酸、グルタル酸、乳酸、クエン酸、マロン酸、酢酸、グリコール酸、リンゴ酸、マレイン酸、アジピン酸、コハク酸、アスパラギン酸、フタル酸、酒石酸、グルタミン酸、グルコン酸、アスコルビン酸、及びこれらの混合物から選択される有機酸を0.01重量%〜10重量%さらに含む、請求項4に記載の気道用組成物。
【請求項7】
前記組成物が、カルボキシポリメチレン類、カルボキシビニルポリマー類、ペンタエリスリトールのアリルエーテルで架橋したアクリル酸のホモポリマー類、スクロースのアリルエーテルで架橋したアクリル酸のホモポリマー類、ジビニルグリコールで架橋したアクリル酸のホモポリマー類、天然ポリマー類、高分子セルロース誘導体類、ポリビニルピロリドン(PVP)類、デキストランポリマー類、ポリエチレンオキシドポリマー類、熱可逆性ポリマー類、イオン反応性ポリマー類、ポリメチルビニルエーテルと無水マレイン酸とのコポリマー類、及びこれらの混合物から選択される粘膜付着性ポリマーを0.01重量%〜30重量%さらに含む、請求項4に記載の気道用組成物。
【請求項8】
前記組成物が、3.0〜5.5の範囲のpHを有し;さらに
重炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、トリエタノールアミン、クエン酸ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、及びこれらの混合物から選択されるpH調整剤を含む、請求項5に記載の気道用組成物。
【請求項9】
前記組成物が、点鼻液、鼻用スプレー、鼻吸入剤、鼻洗浄剤、鼻用パウダー、点鼻剤、及びこれらの混合物から選択される鼻用組成物である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の気道用組成物。
【請求項10】
前記組成物を気道の粘膜組織又は粘膜液に投与することによって風邪又はインフルエンザの症状を治療するための請求項1〜9のいずれか一項に記載の気道用組成物の製造におけるイオン性亜鉛化合物の使用。

【公表番号】特表2006−526026(P2006−526026A)
【公表日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−515104(P2006−515104)
【出願日】平成16年6月1日(2004.6.1)
【国際出願番号】PCT/US2004/017390
【国際公開番号】WO2004/110463
【国際公開日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】