説明

飛行回転体上で写真撮影する方法とこの方法を実施するシステム

本発明は、飛行体上で写真撮影する方法と、この方法を実施するシステムに関する。本発明によれば、写真(V0、V90、V180、V270)が、上記飛行体の所定角度位置で、その飛行体の前面に硬く固定された装置により撮られ、それらを映し出すため幾何学的変位処理される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛行物体が、その長手方向軸を中心にして回転しながら向かっていく地点の連続映像を、固定台に配置されたディスプレイ上に形成する方法に関し、また、この方法を実施するシステムにも関する。
これに限るものではないが、本発明は、特に、目標物に向かっていく回転攻撃ミサイルの誘導に適している。それを本願に関し以下に特記する。
【背景技術】
【0002】
そのような回転ミサイルが、固定台に配置され、写真撮影用装置とディスプレイ装置とを備えた発射台により目標物(例えば、戦車)に向けて発射され、誘導されることは既知である。こうして、その目標物が在る地点の連続映像は上記の写真撮影装置によりディスプレイに向けられ、操作者はその映像をディスプレイ上で見ることができ、それによって、操作者は目標物に向けてミサイルを誘導することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そのようなシステムは、ミサイル自体もその映像上に現れ、ミサイルのモータにより出される炎および/または煙が当該地点を部分的に隠し、これによりミサイルの誘導の正確さを阻害する虞があるという欠点を有する。
【0004】
そのような欠点を解消することを図って、回転ミサイルにカメラを搭載し、軌道曲線上に横転安定せられたいくつかのミサイルからその地点を類推することが出来る。然し、そのカメラを受けるための横転安定台を設けることが不可欠である。そのような横転安定台の費用はかなりなもので、最初の使用で破壊してしまうことが避けられないものをミサイルに搭載することは非常識である。
本発明の目的は、これらの欠点を解消するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このため、本発明によると、飛行体がその長手方向軸を中心に回転しながら向かっていく地点の連続映像を、固定台に配置されたディスプレイに形成する方法であって、上記の飛行体は、接続手段で上記の固定台と連携しているものにおいて、
写真撮影用の装置が、上記の長手方向軸を中心に上記の飛行体と共に回転するように、この飛行体の前面に硬く固定されており、
上記の飛行体がその長手方向軸を中心に回転する回転毎に、この長手方向軸を中心とする飛行体の所定の角度位置に対応する上記地点の幾つかの写真を、上記の装置で撮り、その写真の輪郭は、相互に異なるように傾斜し、各写真では、上記の地点の映像と上記の輪郭が相対的位置を占め、その位置は、上記の飛行体の対応する所定の角度位置に依存し、そしてその他の写真のものとは異なり、
それらの写真の中で、基準写真が決められ、その基準写真では、上記の地点の映像と上記の輪郭と間の相対的位置が相対的基準位置となり、
その基準写真以外の各写真では、上記の地点の映像が幾何学的映像変位処理され、輪郭に対する上記の地点の変位映像の相対的位置が上記の相対的基準位置に類似し、
上記の基準写真と、上記の幾何学的映像変位処理を受けた写真が上記のディスプレイ上に連続的に写し出されることを特徴とするもの。
よって、上記の飛行体の映像は、上記の写真上には無く、この飛行体上に安定台を設ける必要も無い。
【0006】
本発明の上記の方法を実施するシステムは
飛行中その長手方向軸を中心に回転する1つ以上の飛行体と、
その飛行体が回転しながら向かう地点の連続映像を写しだすことのできるディスプレイを備えた固定台と、
上記の飛行体と上記の固定台との間を連携する接続手段とからなり、
上記の地点を見るため上記の飛行体前面に硬く固定された写真撮影用装置と、
上記の長手方向軸を中心とする飛行体の幾つかの角度位置の各々の箇所で上記の写真撮影用装置を制御する手段と、
異なる角度位置において上記の装置で撮った写真に、それらの写真の輪郭に対する上記地点の映像の類似の相対的位置を提供できる幾何学的な映像変位処理手段とからなることを特徴とするもの。
【0007】
上記の写真撮影用装置の制御手段は、上記の飛行体上に搭載され、その飛行体の長手方向軸の輪郭の回転に敏感であるジャイロスコープ・システムからなるのが好ましい。
【0008】
他方、飛行体上の積載量という自明の理由から、上記の映像処理手段は、固定台に配置するのが好ましい。この場合、写真撮影用装置と上記の映像処理手段との連携は、上記の飛行体と上記の固定台との間の接続手段によりなされる。
【0009】
加えて、上記の映像処理手段は、上記の飛行体と上記の固定台との間の接続手段を介してジャイロスコープ・システムにより制御されるのが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
上記の地点の満足ゆく写真を撮るのに照明が不十分である場合、本発明によるシステムは、上記の飛行体に搭載され、上記の地点を照らすことのできる照明手段を備えることが出来る。上記の照明手段の操作は、上記の写真撮影用装置の操作と同期させることができる。この照明手段は、写真撮影用装置と一体化させることが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
添付図面は本発明を実施する方法を明らかにするものである。これらの図中、同一符号は、同一要素を示す。
【0012】
図1には、他の要素(E)(1つのみが図示されている)と共に地点(S)の一部を形成する目標物(T)に向けて飛行する攻撃ミサイル(M)が略示されている。更に、ミサイル(M)は、図1から図3の円形矢印(F)によって示されているようにその長手方向軸(L−L)を中心に回転する。
【0013】
ミサイル(M)は、少なくとも一人の操作者(図示略)が仕えている発射台(PT)から発射され、誘導される。ミサイル(M)と発射台(PT)とは、情報交換を可能にするリンク(1)によって連携されている。そのようなリンク(1)は、上記のミサイル(M)から広がるRF波あるいは電気ケーブルあるいは光学ケーブルによって実施される。
【0014】
ミサイル(M)は、その先端に、例えば、CCDあるいはCMOSタイプのカメラ(2)
を有し、このカメラ(2)が地点(S)を見て、そこからの光線を受ける。ミサイル(M)には、光線(I)を当てて上記の地点(S)を照らす、カメラ(2)に組み込むことが可能な照明装置を備えることが可能である。
【0015】
加えて、発射台にはディスプレイ(3)が備えられており、このディスプレイ上に、カメラ(2)で撮り、リンク(1)で上記のディスプレイに伝達された地点(S)の映像が現れる。
【0016】
通常、ミサイル(M)には、更に、ミサイルに関するdeviometry測定に必要なジャイロスコープ・システム(4) が備えられている。その構造により、ジャイロスコープ・システム(4)は垂直線Z−Z(図3)に対するミサイル(M)の回転角度の瞬間値(θ)を発することができる。
【0017】
カメラ(2)は、角度(θ)が各角度0度、90度、180度および270度(図3参照)を採ると、上記ミサイルがその長手方向軸L−Lを中心に回転する毎に、上記のカメラが地点の映像V0、V90、V180およびV270を撮るようジャイロスコープ・システム(4)によって制御される。
【0018】
よって、ミサイル(M)の回転率が毎秒5から10回転の間にあると、カメラ(2)は、毎秒20から40の映像を撮る。
【0019】
映像のかすみを避けるため、映像は非常に短い時間、スナップ写真として知られている方式で撮られ、それにより、短い積算時間で、カメラ(2)の感度の高いマトリックスの全ての画素上で映像が瞬時に撮られる。
【0020】
加えて、発射台(PT)には、カメラ(2)で撮られ、リンク(1)を介して伝達される電子形態の映像を受け取る映像取得装置(5)を備えている。更に、この取得装置(5)とディスプレイ(3)との間には、幾何学的映像変位装置(6)が介在する。この幾何学的映像変位装置は、一般には、WARPERの名称で表示されているもので、特に、アメリカの会社TRW LSIによって作製され、”Image Resampling Sequencer”の名で示されているTMC構成要素を備える。
【0021】
カメラ(2)と同様、幾何学的映像変位装置(6)は、リンク(7)で示されているように、ジャイロスコープ・システム(4)から出て、リンク(1)により伝達される連続信号によって連続されている。
【0022】
よって、図3によって示されているように、ミサイル(M)がその長手方向軸を中心に回転している間、カメラ(2)は以下の写真を撮る。
θ=0度に対応する地点(S)の映像(s) (図3では、目標物(T)のシルエットによってのみ示されている)であって、その輪郭(C)が下方縁(B)と上方縁(H)を示すものが現れている基準写真V0 と、
θ=90度に対応する写真V90であって、その方向は、基準写真V0に対し90度回転したもので、この写真V90の輪郭(C)の左側縁と右側縁は、各々、基準写真V0の下方縁(B)と上方縁(H)に対応するものと、
θ=180度に対応する写真V180であって、その方向は、基準写真V0に対し180度回転したもので、この写真V180の輪郭(C)の上側縁と下側縁は、各々、基準写真V0の下方縁(B)と上方縁(H)に対応するものと、
θ=270度に対応する写真V270であって、その方向は、基準写真V0に対し270度回転したもので、この写真V270の輪郭(C)の左側縁と右側縁は、各々、基準写真V0の上方縁(H)と下方縁(B)に対応するものとである。
【0023】
ディスプレイの上で、地点(S)の映像(s)とその輪郭(C)との相対的位置が上記の写真V0、V90、V180およびV270で確実に同じになるように、上記の幾何学的映像変位装置(6)は以下の変位をする。
変位(t1)により、写真V90は、地点(S)の映像(s)が90度回転した写真V90’に変位し、この写真V90’の輪郭(C)の下方縁と上方縁とは基準写真V0の下方縁(B)と上方縁(H)とに、各々対応し、
変位(t2)により、写真V180は、地点(S)の映像(s)が180度回転した写真V180’に変位し、この写真V180’の輪郭(C)の下方縁と上方縁とは基準写真V0の下方縁(B)と上方縁(H)とに、各々対応し、
変位(t3)により、写真V270は、地点(S)の映像(s)が270度回転した写真V270’に変位し、この写真V270’の輪郭(C)の下方縁と上方縁とは基準写真V0の下方縁(B)と上方縁(H)とに、各々対応する。
【0024】
よって、写真V0’、V90’、V180’およびV270’が連続してディスプレイ(3)上に現れ、操作者に地点(S)の映像が連続しているとの印象を与える。
地点(S)の照明が非常に弱いという好ましくないケースでは、写真撮影用装置(2)に組み込まれた照明手段が作動して、地点(S)を照らし(光線R)、装置(2)の撮影に同期してその照明を増すことが可能である。この照明手段は、照明要素としてレーザ・ダイオードあるいはVcselレーザを含むのが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明による方法を採用しているシステムの略図である。
【図2】上記システムの線図である。
【図3】図1および図2のシステムの操作方法の略図である。
【符号の説明】
【0026】
M…飛行体、L…長手方向軸、S…地点、s…映像、PT…固定台、3…ディスプレイ、1…接続手段、2…写真撮影用装置、C…写真の輪郭、V…基準写真、4…写真撮影用装置制御手段、6…映像処理手段。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛行体(M)がその長手方向軸(L−L)を中心に回転しながら向かっていく地点(S)の連続映像(s)を、固定台(PT)に配置されたディスプレイ(3)に形成する方法であって、上記の飛行体(M)は、接続手段(1)で上記の固定台(PT)と連携しているものにおいて、
写真撮影用の装置(2)が、上記の長手方向軸(L−L)を中心に上記の飛行体(M)と共に回転するように、この飛行体(M)の前面に硬く固定されており、
上記の飛行体(M)がその長手方向軸(L−L)を中心に回転する回転毎に、この長手方向軸を中心とする飛行体の所定の角度位置に対応する上記地点(S)の幾つかの写真を、上記の装置(2)で撮り、その写真の輪郭(C)は、相互に異なるように傾斜し、各写真では、上記の地点(S)の映像(s)と上記の輪郭が相対的位置を占め、その位置は、上記の飛行体の対応する所定の角度位置に依存し、そしてその他の写真のものとは異なり、
それらの写真の中で、基準写真(V)が決められ、その基準写真(V)では、上記の地点の映像(S)と上記の輪郭(C)と間の相対的位置が相対的基準位置となり、
その基準写真以外の各写真では、上記の地点(S)の映像(s)が幾何学的映像変位処理され、上記の輪郭に対する上記の地点の変位映像の相対的位置が上記の相対的基準位置に類似し、
上記の基準写真と、上記の幾何学的映像変位処理を受けた写真が上記のディスプレイ上に連続的に写し出されることを特徴とするもの。
【請求項2】
飛行中その長手方向軸(L−L)を中心に回転する1つ以上の飛行体(M)と、
その飛行体(M)が回転しながら向かう地点(S)の映像を写しだすことのできるディスプレイ(3)を備えた固定台(PT)と、
上記の飛行体(M)と上記の固定台(PT)との間を連携する接続手段(1)とからなり、
上記の地点(S)を見るため上記の飛行体前面に硬く固定された写真撮影用装置(2)と、
上記の長手方向軸(L−L)を中心とする飛行体(M)の幾つかの角度位置の各々の箇所で上記の写真撮影用装置を制御する手段(4)と、
異なる角度位置において上記の装置で撮った写真に、それらの写真の輪郭に対する上記地点の映像の類似の相対的位置を提供できる幾何学的な映像変位処理手段とからなることを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項2のシステムであって、上記の写真撮影用装置(2)の制御手段(4)が、上記の飛行体(M)上に搭載され、その飛行体の長手方向軸の輪郭の回転に敏感であるジャイロスコープ・システムからなるもの。
【請求項4】
請求項2あるいは請求項3のシステムであって、
映像処理手段(6)が、固定台(PT)に配置されているもの。
【請求項5】
請求項4のシステムであって、
写真撮影用装置(2)と上記の映像処理手段(6)との連携は、上記の飛行体(M)と上記の固定台(PT)との間の接続手段(1)によりなされるもの。
【請求項6】
請求項3および請求項4のシステムであって、上記の映像処理手段(6)の操作の連続は、上記の飛行体(M)と上記の固定台(PT)との間の接続手段(1)を介してジャイロスコープ・システム(4)により制御されるもの。
【請求項7】
請求項2から請求項6のいずれかのシステムであって、上記の飛行体(M)に搭載され、上記の地点(S)を照らすことのできる照明手段を備えるもの。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−514116(P2007−514116A)
【公表日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530416(P2006−530416)
【出願日】平成16年10月5日(2004.10.5)
【国際出願番号】PCT/FR2004/002507
【国際公開番号】WO2005/036458
【国際公開日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願人】(502303430)エムべーデーアー フランス (5)
【氏名又は名称原語表記】MBDA France
【住所又は居所原語表記】37 Bld de Montmorency F−75116 PARIS France
【Fターム(参考)】