説明

食品の在庫管理グッズ、食品の在庫管理装置

【課題】非接触型IDタグを用いた食品等の物品の在庫管理に関し、食品便利グッズにIDタグを設けることにより、入出庫の際に面倒な入出庫の情報入力操作をなくし、簡単な方法で確実に在庫管理ができる食品の在庫管理装置を提供する。
【解決手段】食品に関する情報を記録し書き換えできる非接触型IDタグを、注ぎ口や封し栓など補助的に食品の容器などに取り付けられる食品便利グッズに備えた食品在庫管理グッズ(牛乳パック用キャップ)12と、食品在庫管理グッズ12に備えられた非接触型IDタグの情報を読み取ることのできるタグ情報読込装置4を備えたことにより、簡便に在庫管理が行える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品の在庫管理グッズと食品の在庫管理装置に係わり、詳しくは、非接触型IDタグを用いた食品等の物品の在庫管理に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、個体の自動認識は多くのサービス産業、販売業、流通業、生産業、製造業、および物流などの分野で非常に一般的になってきている。非接触技術を用いてデータと電力の転送が非接触で行われるシステムは、世界的にはRFID(Radio Frequency Identification)、非接触型ID識別システムと呼ばれている(非特許文献1参照)。
【0003】
このようなシステムを用いた食品の在庫管理方式が最近提案されている(例えば特許文献1、特許文献2参照)。
【0004】
また、非接触型IDタグは、情報タグ、メモリーラベル、非接触ICタグ、RFIDタグなど様々な名称で呼ばれている。
【0005】
以下、図面を参照しながら上記従来例の食品の在庫管理装置について説明する。
【0006】
図5は従来の食品の在庫管理装置の概略構成図であり、食品の保管庫として冷蔵庫に適用した例である。図6はその冷蔵庫の正面図である。
【0007】
図5より冷蔵庫1の前面扉1aを開いた状態が図示されている。図5中、パッケージ、容器に保護された食品2には、それぞれ非接触型IDタグ3が付されている。冷蔵庫1の本体内部または外部、もしくは双方には、非接触型IDタグ3の情報を読み取る非接触型IDタグ用リーダ4(アンテナと共用)と、図6に示すよう扉の外面には、前面扉に非接触型IDタグ3に対する非接触型IDタグ用リーダライタ5と読み取った内容、警告等を表示する表示部6が設けられている。
【0008】
また、冷蔵庫1は、読み取った食品に関する情報を蓄積するデータベースを備えることになる。
【0009】
表示部6は、液晶等のディスプレイが好ましく、保存食品の内容や賞味期限、必要な警告等を表示できるようにされている。リーダライタ5は読み取り書き込みを兼用するもので、IDタグ3に対してデータの記録も行うことができる。この場合は日付等を入力するテンキーを備えればさらに好ましい。
【0010】
非接触型IDタグ用リーダライタは、非接触型IDタグに書き込みする場合に必要であり、例えば、食品を購入した家人が、冷蔵庫に収納する前に希望の保存期間や他用途禁止等を記録するためのものである。非接触型IDタグのない鮮魚や野菜の生鮮食品について手入力する場合にも必要となる。非接触型IDタグ用リーダライタは、利用の便利のため冷蔵庫の前面扉等に設けるのが好ましく、食品を入庫する際に非接触型IDタグ3を読み取らせて入庫させることができる。これには接近した距離で書き込めば良いので交信距離の長い非接触型IDタグであっても弱い出力で書き込めば良い。
【0011】
食品を入庫する際に非接触型IDタグ3のデータをリーダライタで読み取らせる場合は、入庫後に冷蔵庫内のリーダ4が読み取るデータと重複することになるが、食品には原則として重複しないIDコードが与えられることになるので、重複したIDコードによるデータは削除されるので同一の食品を複数の食品として冷蔵庫が誤認することはない。したがって、同一食品の同一製造日のものであっても、パッケージが異なれば異なるIDコードを有することが、食品の重複を避ける上では好ましい。
【0012】
操作者は、非接触型IDタグ3の付いたパッケージ2を冷蔵庫の庫内に単に入れるか、または非接触型IDタグ用リーダライタ5が冷蔵庫前面にある場合は、冷蔵庫前面にかざすだけで良い。これによりデータが入力され、かつデータベースに蓄積される。アンテナ4は、非接触型IDタグの共振周波数である電波を非接触型IDタグに送信して該当する非接触型IDタグの付いた食品からの応答波を検索するスキャナ装置を備え、これにより非接触型IDタグ用リーダ4としての機能を行う。アンテナは採用する交信方式により、「電磁誘導方式」「電磁結合方式」「静電誘導方式」を選択しまたは復号方式とすることができる。
【0013】
冷蔵庫内のアンテナの場合は50cm〜1m程度の交信距離が必要とされるのでマイクロ波型や近傍型(ISO/IEC15693)が必要となる。アンテナを庫内に設置する場合は、プラスチック成形品内にインモールド成形し、プラスチックフィルムでラミネートするなどして、金属部分が露出しないように加工し、庫内の水分で錆などが発生しないように処理する。
【0014】
冷蔵庫内には多種類、多数の食品が収容されるので、それに付する非接触型IDタグには重複しないIDコードを設けておく必要がある。多数の非接触型IDタグから一斉に応答する場合はデータのコリジョン(衝突)が生じるが衝突を回避して特定の非接触型IDタグと順次交信する手法が、各種提案されている(特許文献3参照)。
【0015】
非接触型IDタグ3に記録される情報としては、具体例としては、一般的には以下のものがある。(1)入庫日(年/月/日)、(2)メーカー名(コード化)、(3)食品名(文字列)、(4)内容量(何人前)(数値)、(5)調理方法、(6)保存温度帯(コード化)、(7)消費期限(年/月/日)、(8)賞味期限(年/月/日)、(9)栄養成分(文字列<カロリー、脂質、ビタミンなど>)、(10)忌避成分(文字列<アレルギー、病人食>)などである。
【0016】
これらの情報に基づいて、調理のメニュー提案や食品の購入提案がなされる。例えば、賞味期限の近い缶詰やレトルト食品があれば、その使用を含めた調理メニューが提案される。また、定常的に使用される鶏卵やミルクの数や量が少なくなれば、その購入が提案される。
【0017】
また、在庫管理装置である冷蔵庫を家庭内のホームサーバまたは、パーソナルコンピュータに接続し、外部から冷蔵庫のデータベースにアクセスできるようにし、携帯情報端末に表示できるようにしているものもある(特許文献2参照)。
【0018】
また、図7、図8に示すように、食品にはよく注ぎ口や封し栓など補助的に食品の容器などに取り付けられる食品便利グッズが使われる(特許文献4参照)。
【0019】
具体的には、ペットボトル注ぎ口7(図7)、食品保存日クリップ8(図8)、紙パック専用ハンドル、豆腐パック、ボトルキャップ、パスタクリップ、牛乳キャップ、スナッククリップ、ポリ袋用クリップ、チューブパックル、などである。
【非特許文献1】RFIDハンドブック(日刊工業新聞社2001年2月発行)
【特許文献1】特開2001−317862号公報
【特許文献2】特開2001−319043号公報
【特許文献3】特開平8−36623号公報
【特許文献4】登録実用新案第3007823号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
しかしながら、上記従来の構成は、食品工場から出荷される際に、パッケージや容器に非接触型IDタグが実装されて出荷されることを前提としており、実際には現状ではあまり普及されていないため、消費者が自ら食品に非接触型IDタグを添付する必要がでてくる。そのため、添付する際に情報を書き込む手間が必要である。
【0021】
さらに、食品を使い切った後に食品容器とともに非接触型IDタグが捨てられてしまうため非経済的である。
【0022】
本発明は従来の課題を解決するものであり、非接触型IDタグを有効に使い、なおかつ簡便に食品の在庫管理ができる食品の在庫管理グッズ、および食品の在庫管理装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記目的を達成するために、本発明の食品の在庫管理グッズ、食品の在庫管理装置は、注ぎ口や封し栓など補助的に食品の容器などに取り付けられる食品便利グッズに非接触型IDタグを備えており、使い回しが利き、再利用可能であり、経済的である。
【発明の効果】
【0024】
本発明の食品の在庫管理グッズ、食品の在庫管理装置は、注ぎ口や封し栓など補助的に食品の容器などに取り付けられる食品便利グッズに非接触型IDタグを備えており、使い回しが利き、再利用可能であり、経済的である。また、食品在庫管理グッズを間接的に管理することにより食品の在庫管理が行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明の請求項1に記載の食品在庫管理グッズの発明は、補助的に食品の容器に取り付けられる食品便利グッズに、非接触型IDタグを備えたものであり、使い回しが利き、再利用可能であり、経済的である。
【0026】
請求項2に記載の食品の在庫管理装置の発明は、請求項1記載の食品在庫管理グッズに備えられた非接触型IDタグの情報を読み取ることのできるタグ情報読込装置を備えたものであり、食品在庫管理グッズを間接的に管理することにより食品の在庫管理が行える。
【0027】
請求項3に記載の食品の在庫管理装置の発明は、請求項1記載の食品在庫管理グッズに備えられた非接触型IDタグの情報を読み書きすることのできるタグ情報読込/書出装置を備えたものであり、非接触接触型IDタグの情報を読み込むことができ、さらに情報の追加や上書きができる。
【0028】
請求項4に記載の食品の在庫管理装置の発明は、請求項2または請求項3記載の発明において、請求項1記載の食品在庫管理グッズの食品保管庫からの入出庫の回数、時間を管理することにより、食品の消耗度を推定し、買い物購入提案を行うものである。
【0029】
請求項5に記載の食品の在庫管理装置の発明は、請求項4に記載の発明において、請求項1記載の食品在庫管理グッズの食品保管庫からの入出庫を管理し、入庫された時の時間を記憶する入庫時間記憶部と、入庫されてからの時間を計測する在庫タイマと、在庫タイマによって計測された時間が賞味期間など予め決められた時間を超過すると利用者に超過した旨を通知する保管期間超過通知手段を備えたものであり、食品を無駄なく使用できるよう喚起することができる。
【0030】
請求項6に記載の食品の在庫管理装置の発明は、請求項4記載の発明において、請求項1記載の食品在庫管理グッズの食品保管庫からの入出庫を管理し、出庫されたときの時間を計測する出庫タイマと、出庫タイマによって計測された時間が予め決められた時間を超過すると食品を消費したと判断し前回までの情報をリセットする情報リセット手段を備えたものであり、自動的に食品の消費を認識することができる。
【0031】
以下、本発明による食品の在庫管理装置における実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、従来と同一構成については、同一符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0032】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1による、食品の在庫管理装置を冷蔵庫に適用した例である。
【0033】
まず、食品は、物流、小売の家庭を経て、消費者が購入する。消費者が購入した食品は、直ちに調理、飲食される場合もあるが、通常は、一旦は食品保管庫である冷蔵庫1に保存される。以下牛乳を例にとって説明する。
【0034】
牛乳11は、まとめて3本程度購入する場合があるが、まずは冷蔵庫にすべて保存される。そのとき、3本全てに牛乳パック用キャップ12を取り付けるようにしておく。牛乳パック用キャップ12は非接触型IDタグ13が内蔵されている。図2、図3に食品の在庫管理グッズの一例であり、非接触型IDタグを内蔵した牛乳パック用キャップ12とペットボトル用装着栓14を示す。
【0035】
図4に本実施の形態の在庫管理装置15のブロック図を示す。
【0036】
在庫管理装置15では、予め牛乳パック用キャップ12に備えられた非接触型IDタグ13には1000mlの牛乳パックを認識するように設定している。また、IDによりそれぞれ3本が個別に認識される。
【0037】
以上のように構成された食品の在庫管理装置について、以下その動作を説明する。
【0038】
まず、タグ情報読込装置(リーダ)4に牛乳パック用キャップ12に備えられた非接触型IDタグ13の情報を読み込み、牛乳3本を認識する。
【0039】
在庫管理の方法としては、例えば3本のうち、2本が無くなり、残り1本目が冷蔵庫から2回取り出されると、在庫が残り少なくなってきた旨を警告し、買い物購入提案を行う。例えば、出庫回数記憶部15aにより牛乳11の出庫回数が出庫カウンタ15bにより記憶されている。そして限界回数設定部15cにより2と設定されていると、食品消耗度判定部15dにより2回目に在庫が残り少なくなってきた旨購入提案通知手段15eにより購入提案を発する。この購入提案を発するタイミング時期については、ユーザー側で自 由に設定できるものとする。
【0040】
また、限界回数設定については、消費者の消耗度から、自動的に推定しても良い。
【0041】
また、入庫時間記憶部15fにより購入日の設定を行う。入庫から一定期間超過すると、例えば牛乳の場合、保管期間設定部15gにおいて賞味期間を1週間と設定すると、初めて入庫されてから1週間が超過すると、保管期間判定部15hにより保管期間超過通知手段15iより保管期間超過した旨を通知し消費を促す。この場合在庫タイマ15jによ ってカウントされている。
【0042】
また、一旦取り出されると出庫時間事億部15kに出庫時間が記憶される、そのまま一定期間入庫されなければ、例えば消費時間設定部15lに4時間と設定しておくと、出庫タイマ15mで4時間以上を計測して再入庫されない場合は、消費時間判定部15nにおいて牛乳が1本全て消費されたと判断し、情報リセット手段15oにより在庫情報をリセ ットし在庫リストから削除する。
【0043】
この後、再度、牛乳に牛乳パック用キャップ12を取り付けて、冷蔵庫に収納すると新しく購入された牛乳であると認識される。
【0044】
食品の在庫管理グッズに備えられた非接触型IDタグの情報は、食品情報を全て記録させても良いし、個別認識のID情報だけでもよく、ID情報に基づいて在庫管理装置の記憶部でID情報と対応する食品情報を記録管理するようにしてもよい。
【0045】
また、同様に情報タグを付するという作業から開放するために、予め食品容器に情報タグを配設しておくことで、収納する食品を食品保管容器に食品を入れて入庫するだけで自動的に在庫管理が行えるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
以上のように、本発明にかかる食品の在庫管理グッズ、食品の在庫管理装置は、冷蔵庫などの食品の在庫管理の分野に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施の形態1における食品の在庫管理装置を示す概略構成図
【図2】本発明の実施の形態1における食品の在庫管理グッズの一例の外観図
【図3】本発明の実施の形態1における食品の在庫管理グッズの他の例の外観斜視図
【図4】本発明の実施の形態1における食品の在庫管理装置を示すブロック図
【図5】従来の食品の在庫管理装置を示す概略構成図
【図6】同従来の食品の在庫管理装置の正面図
【図7】従来の食品便利グッズであるペットボトル注ぎ口の分解斜視図
【図8】従来の食品便利グッズである食品保存日クリップの斜視図
【符号の説明】
【0048】
4 タグ情報読込装置
5 タグ情報読込/書出装置
12,14 食品在庫管理グッズ
13 非接触型IDタグ
15 食品の在庫管理装置
15f 入庫時間記憶部
15g 在庫タイマ
15j 保管期間超過通知手段
15l 出庫タイマ
15c 情報リセット手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
補助的に食品の容器に取り付けられる食品便利グッズに、非接触型IDタグを備えたことを特徴とする食品在庫管理グッズ。
【請求項2】
請求項1記載の食品在庫管理グッズに備えられた非接触型IDタグの情報を読み取ることのできるタグ情報読込装置を備えたことを特徴とする食品の在庫管理装置。
【請求項3】
請求項1記載の食品在庫管理グッズに備えられた非接触型IDタグの情報を読み書きすることのできるタグ情報読込/書出装置を備えたことを特徴とする食品の在庫管理装置。
【請求項4】
請求項1記載の食品在庫管理グッズの食品保管庫からの入出庫の回数、時間を管理することにより、食品の消耗度を推定し、買い物購入提案を行う請求項2または請求項3記載の食品の在庫管理装置。
【請求項5】
請求項1記載の食品在庫管理グッズの食品保管庫からの入出庫を管理し、入庫された時の時間を記憶する入庫時間記憶部と、入庫されてからの時間を計測する在庫タイマと、在庫タイマによって計測された時間が賞味期間など予め決められた時間を超過すると利用者に超過した旨を通知する保管期間超過通知手段を備えた、請求項4に記載の食品の在庫管理装置。
【請求項6】
請求項1記載の食品在庫管理グッズの食品保管庫からの入出庫を管理し、出庫されたときの時間を計測する出庫タイマと、出庫タイマによって計測された時間が予め決められた時間を超過すると食品を消費したと判断し前回までの情報をリセットする情報リセット手段を備えたことを特徴とする請求項4記載の食品の在庫管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−298554(P2006−298554A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−122086(P2005−122086)
【出願日】平成17年4月20日(2005.4.20)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】