説明

食品加熱容器

【課題】食品を均一に加熱することができる食品加熱容器を提供すること。
【解決手段】食品トレイ11;食品トレイの下側に配置されている、水との接触により発熱する発熱剤及び易引裂性水袋が内部に収容され、上面が易引裂性フィルム14で被覆されている水密容器15と、水密容器の易引裂性フィルム及び水袋を引裂開封する長尺状の開封具16とを備える加熱具;食品トレイ及び加熱具を収容している箱体18;および箱体の蓋体19を含み、そして前記の長尺状の開封具の先端部が箱体の側壁を貫通して箱体の外側に引き出されている食品加熱容器であって、前記の食品トレイが、食品トレイの底面と加熱具の上面の周縁部との間、そして食品トレイの側壁の頂部と蓋体の下面との間のそれぞれに間隙が形成された状態で箱体により支持され、そして食品トレイの側壁と箱体との間に、前記の両者の間隙を結ぶ気体通路22が形成されていることを特徴とする食品加熱容器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱具を備えた食品加熱容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、弁当などの食品を食前に加熱するため、加熱具を備えた食品加熱容器が用いられている。
【0003】
特許文献1には、食品トレイ;食品トレイの下側に配置されている、水との接触により発熱する発熱剤及び易引裂性水袋が内部に収容されていて、上面が易引裂性フィルム(保護シート)で被覆されている水密容器と、水密容器の易引裂性フィルム及び水袋を引裂開封する長尺状の開封具(ティアーテープ)とを備える加熱具(加熱装置);食品トレイ及び加熱具を収容している、上端に開口部を備える箱体(容器本体);および箱体の開口部を塞ぐ蓋体を備える食品加熱容器(携帯食品用容器)が開示されている。この食品加熱容器の開封具の先端部は、食品加熱容器の箱体の側壁を貫通して箱体の外側に引き出されている。
【0004】
この食品加熱容器の箱体、食品トレイ、そして蓋体は、ポリ塩化ビニル樹脂、スチレン系樹脂、あるいはポリプロピレン樹脂などの樹脂材料から形成されたフィルムを真空成形機で成形して作製される。
【0005】
そして、使用者が、食前に食品加熱容器の箱体の外側に引き出された開封具の先端部を引っ張ることにより、易引裂性水袋が水密容器の易引裂性フィルムと共に開封具によって引き裂かれ、水袋から水が流れ出る。この水と発熱剤とが反応することにより発生した熱あるいは高温水蒸気により、食品トレイに収容された食品(例、弁当)が加熱される。この食品加熱容器では、食品トレイの下面及び外側側面に前記の高温水蒸気が接触することにより、食品トレイに収容された食品が加熱される。
【0006】
特許文献2の食品加熱容器(弁当箱)には、複数の水蒸気透過性孔部が形成された食品トレイが用いられている。前記の孔部は、食品トレイの底面と、食品トレイの内部を区画する仕切り板の頂面との各々に形成されている。食品トレイは、その周縁部にて箱体の周壁の頂部に支持されている。この食品加熱容器は、食品トレイの下面及び外側側面に高温水蒸気を接触させることにより、食品トレイに収容された食品を加熱する。更に、この食品加熱容器は、食品トレイに収容された食品を、食品トレイの底面の孔部あるいは仕切り板の頂面の孔部を透過した高温水蒸気に接触させることにより加熱する。
【特許文献1】特開2006−346329号公報
【特許文献2】特開2007−259966号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記の特許文献1の食品加熱容器は、加熱具にて発生した高温水蒸気を接触させて食品トレイを加熱することにより、食品トレイに収容された食品を間接的に加熱している。このような加熱方法の場合、食品トレイの底板あるいは側壁に接触する食品が部分的に加熱され易く、このため食品トレイに収容された食品を均一に加熱することが難しいという問題がある。
【0008】
特許文献2の食品加熱容器は、食品トレイに収容された食品を、前記の特許文献1の食品加熱容器の場合と同様に間接的に加熱するだけでなく、食品トレイの底面の孔部あるいは仕切り板の頂面の孔部を透過した高温水蒸気に接触させて直接的にも加熱している。従って、食品トレイの底面の孔部の近傍にある食品が、この孔部を透過した高温水蒸気との接触により効率良く加熱され、そして食品の上側の表面部分が、前記仕切り板の頂面の孔部を透過した高温水蒸気との接触により効率良く加熱される。しかしながら、食品トレイの底面の孔部は食品によって塞がれているため、この孔部を透過した高温水蒸気は食品の上側の表面部分にまでは到達し難い。このため、食品トレイの底面の孔部の近傍にある食品が部分的に加熱され易い。また、食品トレイの仕切り板の頂面の孔部を透過する高温水蒸気は少量であるため、食品の上側の表面部分を十分に加熱することは難しい。このため、特許文献2の食品加熱容器により、食品トレイに収容された食品を均一に加熱することは難しいという問題がある。
【0009】
本発明の課題は、食品トレイに収容された食品を均一に加熱することができる食品加熱容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、食品トレイ;食品トレイの下側に配置されている、水との接触により発熱する発熱剤及び易引裂性水袋が内部に収容されていて、上面が易引裂性フィルムで被覆されている水密容器と、水密容器の易引裂性フィルム及び水袋を引裂開封する長尺状の開封具とを備える加熱具;食品トレイ及び加熱具を収容している、上端に開口部を備える箱体;および箱体の開口部を塞ぐ蓋体を含み、そして前記の長尺状の開封具の先端部が箱体の側壁を貫通して箱体の外側に引き出されている食品加熱容器であって、
前記の食品トレイが、食品トレイの底面と加熱具の上面の周縁部との間、そして食品トレイの側壁の頂部と蓋体の下面との間のそれぞれに間隙が形成された状態で箱体により支持され、そして食品トレイの側壁と箱体との間に、前記の両者の間隙を結ぶ気体通路が形成されていることを特徴とする食品加熱容器にある。
【0011】
本発明の食品加熱容器の好ましい態様は、次の通りである。
(1)箱体が、食品トレイを前記気体通路を構成するための間隙が形成された状態で支持する支持具を備える。
(2)箱体が紙製である。更に好ましくは、箱体が、上端開口部の面積よりも下端開口部の面積が小さな面積に設定された筒状の外箱と、外箱の内側に上げ底状態で嵌め合わされて支持されている、上端に開口部を備える内箱とからなる。
(3)外箱が、縞状の凹凸面を外側に露出させた段ボールシートから構成されている。
(4)凹凸面の縞の長さ方向が、外箱の底辺に対して傾斜した方向に配置されている。
(5)長尺状の開封具が、箱体の外側に引き出された先端部の側から、箱体の側壁を貫通して前記側壁の側とは逆側の水密容器の後端の側へと伸び、次いで水密容器の上面の後方側から水密容器の内部に挿入されて前方側に折り返され、そして前方側から水袋の上を通って水袋の後方側にて折り返されて水袋の下を通るか、あるいは前方側から水袋の下を通って水袋の後方側にて折り返されて水袋の上を通るかしたのち、水袋の上面もしくは下面に前記開封具を挟んだ状態で備えられた支持板の前方側に固定されている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の食品加熱容器は、食品トレイの側壁と箱体との間に形成された気体通路を流通する高温水蒸気及び高温の空気を利用して、食品トレイに収容された食品を、食品トレイの底板の側、食品トレイの側壁の側、更には上側からも加熱する。このため、本発明の食品加熱容器を用いることにより、食品トレイに収容された食品を極めて均一に加熱することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、本発明の食品加熱容器を、添付の図面を用いて説明する。図1は、本発明の食品加熱容器の構成例を示す斜視図である。図2は、図1の食品加熱容器10の分解斜視図である。図3は、図1に記入した切断線III−III線に沿って切断した食品加熱容器10の拡大断面図である。そして図4は、図1に記入した切断線IV−IV線に沿って切断した食品加熱容器10の拡大断面図である。
【0014】
図1〜図4に示す食品加熱容器10は、食品トレイ11;食品トレイ11の下側に配置されている、水との接触により発熱する発熱剤12及び易引裂性水袋13が内部に収容されていて、上面が易引裂性フィルム14で被覆されている水密容器15と、水密容器15の易引裂性フィルム14及び水袋13を引裂開封する長尺状の開封具16とを備える加熱具17;食品トレイ11及び加熱具17を収容している、上端に開口部を備える箱体18;および箱体18の開口部を塞ぐ蓋体19などから構成されており、そして前記の長尺状の開封具16の先端部16aは箱体18の側壁に形成された切り込み29を貫通して箱体18の外側に引き出されている。この食品加熱容器10は、食品トレイ11が、食品トレイ11の底面と加熱具17の上面の周縁部との間、そして食品トレイ11の側壁の頂部と蓋体19の下面との間のそれぞれに間隙21a、21bが形成された状態で箱体18により支持され、そして食品トレイ11の側壁と箱体18との間に、前記の両者の間隙21a、21bを結ぶ気体通路22が形成されていることに大きな特徴がある。
【0015】
後に詳しく説明するように、食品加熱容器10の長尺状の開封具16の先端部16aを図4に記入した矢印が示す方向に引っ張ると、この開封具16により、先ず易引裂性フィルム14が引き裂かれて水密容器15が開封され、次いで易引裂性水袋13が引き裂かれて開封される。そして水袋13から流れ出た水と、透水性の袋体25に収容されている発熱剤12とが接触そして反応することにより高温水蒸気が発生する。この高温水蒸気は、前記の開封具16での引き裂きにより易引裂性フィルム14に形成された開口から水密容器15の外部に拡散する。
【0016】
図3に示すように、食品加熱容器10の食品トレイ11は、食品トレイ11の底面と加熱具17の上面の周縁部との間に間隙21aが形成され、そして食品トレイ11の側壁の頂部と蓋体19の下面との間に間隙21bが形成された状態で箱体18により支持されている。そして食品トレイ11の側壁と箱体18との間には、前記の両者の間隙21a、21bを結ぶ気体通路22が形成されている。このため、前記のように加熱具17の水密容器15から外部に拡散した高温水蒸気は、この気体通路22を通って食品トレイ11と蓋体19との間の空間に流入する。
【0017】
このような気体通路22を形成することにより、加熱具17にて発生した高温水蒸気は、前記の気体通路22を通って、先ず食品トレイ11の下面に接触し、次いで食品トレイ11の外側側面に接触し、そして食品トレイ11と蓋体19との間の空間に流入して、食品トレイ11に収容された食品の上側の表面部分に接触する。従って、食品トレイ11に収容された食品は、食品トレイ11の底板の側、食品トレイ11の側壁の側、更には上側からも加熱される。このため、本発明の食品加熱容器10を用いることにより、食品トレイ11に収容された食品を極めて均一に加熱することができる。
【0018】
なお、前記の特許文献2の食品加熱容器では、食品トレイの内部を区画する仕切り板の頂面に孔部が形成されており、加熱具にて発生した高温水蒸気は前記孔部を通って食品トレイと蓋体との間の空間に流入する。しかしながら、このような仕切り板は、食品トレイの内部を複数の種類の食品が混ざらないように仕切る厚みの薄いものであるため、仕切り板の頂面に形成することのできる孔部の数には制限がある。このため、食品トレイと蓋体との間の空間に十分な量の高温水蒸気を流入させることは難しい。また、一種類の食品を収容するために用いる食品トレイは仕切り板を備えていないため、食品トレイと蓋体との間の空間に高温水蒸気を流入させることはできない。
【0019】
本発明の食品加熱容器の箱体には、食品トレイを前記の気体通路を構成するための間隙が形成された状態で支持する支持具が備えられていることが好ましい。図1〜図4に示す食品加熱容器10の箱体18には、食品トレイ11を気体通路22を構成するための間隙21cが形成された状態で支持する支持具23が備えられている。
【0020】
このように、食品トレイ11を、気体通路22を構成するための間隙21cが形成された状態にて支持具23で支持することにより、前記のように食品トレイに収容された食品の均一な加熱が実現されるのみでなく、更に下記のような優れた効果を示す。
【0021】
一般に、加熱機能を持たない食品容器は、食品トレイと、食品トレイの上端の開口を塞ぐ蓋体とから構成される。そして食品トレイは、収容する食品の種類や量によって様々な形状やサイズに設定される。例えば、ご飯のみ、あるいは惣菜のみを収容する食品トレイとしては、比較的に小さなサイズのものが用いられ、そして弁当のようにご飯と惣菜とを収容する食品トレイとしては、比較的に大きなサイズのものが用いられる。また、天丼やカツ丼などを収容する食品トレイとしては円形のもの、カレーやスパゲティーなどを収容するトレイとしては楕円形のもの、そして幕の内弁当などを収容するトレイとしては矩形のものが用いられる。
【0022】
従って、前記の特許文献2の食品加熱容器のように、底面あるいは仕切り板の頂面に孔部を備える食品トレイを用いると、これらの孔部を透過した高温水蒸気を食品の加熱に利用することはできるものの、収容する食品の種類や量によって様々なサイズや形状に設定され、かつ前記の孔部を備える食品トレイを用意する必要がある。このような孔部を備える食品トレイは、前記の加熱機能を持たない食品容器の食品トレイに機械加工によって孔部を形成して作製することができる。しかしながら、薄いフィルムから成形された食品トレイの底部、あるいは仕切り板の頂面に機械加工によって孔部を形成することは非常に手間がかかり、また機械加工を施した後に食品トレイを洗浄する必要がある。このような食品トレイの機械加工や洗浄を、様々な形状やサイズに設定された多数のトレイに実施することは現実的とは云えない。また、このような食品トレイの機械加工や洗浄を行なわずに、例えば、真空成形機を用いて孔部を備える食品トレイを作製することもできる。しかしながら、食品トレイは、前記のように様々な形状やサイズに設定されるため、高価な真空成形用の金型を多数用意する必要がある。
【0023】
前記のような支持具23を用いると、加熱機能を持たない食品容器の食品トレイ(孔部を持たないもの)を支持具23で支持して気体通路22を形成することにより、簡単に且つ低コストで食品加熱容器10を作製することができる。
【0024】
支持具の材料の例としては、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂に代表される樹脂材料、および厚紙や段ボールシートに代表される紙材が挙げられる。厚紙や段ボールシートなどの紙材は、加熱具にて発生する高温水蒸気との接触による強度の低下を抑制するため、耐水加工(例、ワックスの塗布や含浸)が施されていることが好ましい。また、耐水性を向上させるため、紙材の表面にアルミニウム箔に代表される金属箔、あるいは樹脂フィルムを積層することもできる。
【0025】
図2〜図4に示す支持具23は、一枚の段ボールシートを折り曲げることによって構成されている。このような支持具23は、組み立てが容易であり、そして多数の支持具を展開した状態で重ね合わせて小さなスペースで保管することができる。また、使用後の食品加熱容器を廃棄する際の樹脂廃棄物の発生量を低減することができる。
【0026】
この支持具23は、各々段ボールシートを山形に折り曲げて構成した一対の側壁部23a、23bと、これらの側壁部23a、23bを互いに連結する連結部23cから構成されている。側壁部23aは、加熱具17の開封具16を通すための切り欠き部23dを備えている。また、側壁部23bは、加熱具17の移動を防止する突き出し部23eを備えている。
【0027】
そして、これらの側壁部23a、23bは、連結部23cにより安定に支持されている。このため、食品トレイ11は、前記の気体通路22を形成した状態で側壁部23a、23bにより安定に支持される。連結部23cは、加熱具17にて発生した熱の箱体18の底面の側への熱伝達を抑制する機能も有している。
【0028】
食品トレイと蓋体との間の空間に流入させる高温水蒸気の量を増加させるため、支持具により、食品トレイをその上面の外周縁部の周方向の長さの30〜100%(好ましくは45〜100%)の範囲内の長さの部位が箱体の内壁面に非接触な状態で支持することが好ましい。図3及び図4に示すように、支持具23により、食品トレイ11をその上面の外周縁部の全体(外周縁部の周方向の長さの100%の長さの部位)が箱体18の内壁面に非接触な状態で支持すると、食品トレイ11の上面の外周縁部の外側から、食品トレイ11と蓋体19との間の空間に、食品の加熱に十分な量の高温水蒸気を流入させることができる。
【0029】
なお、支持具23を用いない場合には、例えば、食品トレイの上端開口の周縁部から外側に延びる鍔部に複数の孔が形成された食品トレイを用意して、この食品トレイの鍔部を前記の複数個の孔よりも外側の位置にて箱体の上端開口の周縁部で支持することにより、前記の気体通路を形成することができる。但し、このような食品トレイを予め準備する必要がある。
【0030】
本発明の食品加熱容器において、食品トレイと加熱具とを収容する箱体の材料としては、公知の食品容器あるいは食品加熱容器の箱体を形成する樹脂材料あるいは紙材を用いることができるが、この箱体は紙製であることが特に好ましい。図1〜図4に示す食品加熱容器10には、紙製の箱体18が用いられている。
【0031】
前記のように、食品トレイは、収容する食品の種類や量によって様々なサイズや形状に設定される。このため、食品トレイを収容する箱体も、食品トレイに応じて様々なサイズや形状に設定される。この箱体を、例えば、樹脂材料を用いて真空成形機で作製するためには、箱体の形状やサイズに応じて高価な真空成形用の金型を多数用意する必要がある。紙製の箱体を用いると、高価な真空成形用の金型を多数用意する必要はなく、また使用後の食品加熱容器を廃棄する際の樹脂廃棄物の発生量を大幅に削減することができる。
【0032】
図1〜図4に示すように、前記の紙製の箱体18は、上端開口部の面積よりも下端開口部の面積が小さな面積に設定された筒状の外箱18aと、外箱18aの内側に上げ底状態で嵌め合わされて支持されている、上端に開口部を備える内箱18bとから構成されていることが好ましい。これにより、箱体18の側壁が、外箱18aの側壁と内箱18bの側壁との二重の壁体から構成され、箱体18の側壁での熱伝達が抑制されるため、使用者が食品を加熱中に外箱18aの外側側面を手で触れた際の火傷あるいは不快感の発生を抑制することができる。そして、食品加熱容器10を、例えば、耐熱性が低い樹脂製のテーブルの上に置いた場合でも、食品を加熱中に高温となる内箱18bがテーブルの表面に接触することがないため、前記テーブルの表面の軟化等を防止することができる。また、外箱18aの上端開口部の面積よりも下端開口部の面積が小さな面積に設定されていると、この外箱18aの上端開口部に内箱18bを挿入するという簡単な作業によって、内箱18bが外箱18aの内壁面にて支持されて、上げ底の箱体18を簡単に作製することができる。
【0033】
なお、食品加熱容器10の場合には、前記の支持具23の連結部23cにより、加熱具17にて発生した熱の内箱18bの底面への熱伝達が抑制されている。この熱伝達を効果的に抑制するため、支持具23と内箱18bの底面との間に、更に段ボールシートなどを挿入することもできる。また、使用者が食品を加熱中に内箱18bの底面に触れないように、外箱18aに底板を付設することもできる。
【0034】
図1に示すように、外箱18aは、縞状の凹凸面を外側に露出させた段ボールシート(一般に、片面段ボールシートと呼ばれている)から構成されている。これにより、使用者が食品を加熱中に外箱18aの凹凸面(片面段ボールシートの中しん)に手を触れた場合であっても、使用者の手と外箱18aの凹凸面との接触面積は小さく、使用者の手に熱が伝わり難いため、食品加熱容器の安全性が更に向上する。また、使用者が一方の手で食品加熱容器10を外箱18aの凹凸面にて確実に支持しながら、他方の手で長尺状の開封具16を安定に引っ張ることができる。
【0035】
前記の凹凸面の縞の長さ方向、すなわち片面段ボールシートのフルートの長さ方向は、外箱18aの底辺に対して傾斜した方向に配置されていることが好ましい。仮に前記の凹凸面の縞の長さ方向が外箱18aの底辺に対して垂直に配置されていると、外箱18aの上下方向の荷重に対する強度は高くなる。しかしながら、外箱18aの互いに隣接する側壁と側壁との接続部の強度が低下する(外箱が前記の接続部にて破れ易くなる)傾向にある。その一方で、仮に前記の凹凸面の縞の長さ方向が外箱18aの底辺に対して平行に配置されていると、外箱18aの上下方向の荷重に対する強度が低くなる。そして、前記のように凹凸面の縞の長さ方向が外箱18aの底辺に対して傾斜した方向に配置されていると、外箱18aの上下方向の荷重に対する強度と、外箱18aの互いに隣接する側壁と側壁との接続部における強度とを、それぞれ実用的に十分に高い強度に設定することができる。
【0036】
前記の凹凸面の縞の長さ方向と外箱の底面とのなす鋭角の角度は、2乃至80度の範囲内にあることが好ましく、3乃至45度の範囲内にあることが更に好ましい。この角度が大き過ぎると、外箱の互いに隣接する壁体と壁体との間の辺と、凹凸面の縞の長さ方向とのなす角度が小さくなるため、片面段ボールシートを前記の辺にて折り曲げようとした際に、この段ボールシートが凹凸面の凹部にて折れ曲がってしまう場合がある。
【0037】
図5は、本発明の食品加熱容器の別の構成例を示す断面図である。そして図6は、図5の食品加熱容器50が備える食品トレイ51及び支持具63の分解斜視図である。
【0038】
食品加熱容器50の構成は、箱体18に、食品トレイ51を気体通路62を構成するための間隙61cが形成された状態で支持する片面段ボールシート製の支持具63が備えられていること、そして厚紙製の食品トレイ51が用いられていること以外は図3の食品加熱容器10と同様である。なお、前記の間隙61cは、食品トレイ51の側壁と、支持具63を構成する片面段ボールシートの凹凸面の凹部との間に形成されている。
【0039】
この食品加熱容器50の食品トレイ51は、食品トレイ51の底面と加熱具17の上面の周縁部との間に間隙61aが形成され、そして食品トレイ51の側壁の頂部と蓋体19の下面との間に間隙61bが形成された状態で箱体18が備える支持具63により支持されている。そして食品トレイ51の側壁と箱体18との間には、前記の両者の間隙61a、61bを結ぶ気体通路62が形成されている。このため、前記のように加熱具17の水密容器15から外部に拡散した高温水蒸気は、この気体通路62を通って食品トレイ51と蓋体19との間の空間に流入する。
【0040】
このような気体通路62を形成することにより、食品トレイ51に収容された食品は、食品トレイ51の底板の側、食品トレイ51の側壁の側、更には上側からも加熱される。このため、食品加熱容器50を用いることにより、食品トレイ51に収容された食品を極めて均一に加熱することができる。
【0041】
食品加熱容器50は、前記の気体通路62を構成するために使用する支持具63を、片面段ボールシートを折り曲げて簡単に作製することができるという利点を有している。
【0042】
また、本発明の食品加熱容器の食品トレイとしては、公知の食品容器あるいは食品加熱容器が備える樹脂材料製の食品トレイを用いることができるが、図6に示すような紙製の食品トレイ51を用いることにより、使用後の食品加熱容器を廃棄する際の樹脂廃棄物の発生量を低減することができる。
【0043】
図7は、本発明の食品加熱容器の更に別の構成例を示す分解斜視図である。そして図8は、図7に記入した切断線VIII−VIII線に沿って切断した食品加熱容器70の断面図である。但し、図7の食品加熱容器70は、箱体78の蓋体79を閉じた状態で記入してある。
【0044】
食品加熱容器70の構成は、箱体78と蓋体79とが一体に構成されていること、比較的に多くの種類の食品を収容可能な大きなサイズの食品トレイ71が用いられていること、そして食品トレイ71を支持する支持具83の構成が異なること以外は図1〜図4に示す食品加熱容器10と同様である。
【0045】
支持具83は、一枚の段ボールシートを折り曲げることによって構成されている。このような支持具83は、組み立てが容易であり、そして多数の支持具を展開した状態で重ね合わせて小さなスペースで保管することができる。また、使用後の食品加熱容器を廃棄する際の樹脂廃棄物の発生量を低減することができる。
【0046】
この支持具83は、各々加熱具17にて発生した高温水蒸気を透過させる開口部84aを持つ合計で四つの側壁部84と、各々の側壁部84の下端から外側へと延びる脚部85とから構成されている。これらの脚部85により、各々の側壁部84の箱体78の内部での配置が固定される。このため、食品トレイ71は、気体通路82を構成するための間隙81cが形成された状態で支持具83に支持される。
【0047】
支持具83は、食品トレイ71を、支持具83の合計で四つの側壁部84の頂面にて支持している。このため、支持具83を用いることにより、多くの種類の食品を収容した際の食品トレイ71の変形(例、撓み)を抑制することができる。
【0048】
食品加熱容器70の食品トレイ71は、食品トレイ71の底面と加熱具17の上面の周縁部との間に間隙81aが形成され、そして食品トレイ71の側壁の頂部と蓋体79の下面との間に間隙81bが形成された状態で、箱体78が備える支持具83により支持されている。そして食品トレイ71の側壁と箱体78との間には、前記の両者の間隙81a、81bを結ぶ気体通路82が形成されている。このため、前記のように加熱具17の水密容器から外部に拡散した高温水蒸気は、この気体通路82を通って食品トレイ71と蓋体79との間の空間に流入する。
【0049】
このような気体通路82を形成することにより、食品トレイ71に収容された食品は、食品トレイ71の底板の側、食品トレイ71の側壁の側、更には上側からも加熱される。このため、食品加熱容器70を用いることにより、食品トレイ71に収容された食品を極めて均一に加熱することができる。
【0050】
本発明の食品加熱容器には、例えば、前記の特許文献1あるいは特許文献2に記載されているような公知の加熱具を用いることもできる。しかしながら、前記の各文献に記載されているような公知の加熱具は、長尺状の開封具によって、使用の際に水密容器の上面の易引裂性フィルムと、水袋の上下面を構成する二枚のフィルムとを同時に引き裂く必要がある。すなわち、使用者は、長尺状の開封具を十分に大きな力で引っ張って、合計で三枚のフィルムを同時に引き裂く必要がある。
【0051】
ところが、使用者は、このような加熱具の構造を熟知していないことが多いため、大きな力を加えると長尺状の開封具が切れたり、あるいは加熱具が壊れたりすると誤解して、長尺状の開封具を小さな力で引っ張ったり、あるいは引っ張ることを途中で止めてしまうことがある。このようなことから、前記のような公知の加熱具を用いると、使用者により水袋が開封されないことが原因で食品を加熱することができなかったり、あるいは水密容器の易引裂性フィルムが不十分な大きさで開口され、この開口から外部に拡散した高温水蒸気が食品トレイの下面の一部分にのみ集中して接触することが原因で食品を均一に加熱できなかったりする場合(以下、加熱具の誤操作と云う)がある。
【0052】
以下、本発明の食品加熱容器に用いる加熱具を、図4に示す前記の誤操作を防止することができる加熱具17を例として説明する。
【0053】
加熱具17は、水との接触により発熱する発熱剤12及び易引裂性水袋13が内部に収容されていて、上面が易引裂性フィルム14で被覆されている水密容器15と、水密容器15の易引裂性フィルム14及び水袋13を引裂開封する長尺状の開封具16とを備えている。
【0054】
発熱剤12としては、水との接触により発熱する公知の発熱剤、例えば、生石灰粉末、あるいは生石灰粉末とアルミニウム粉末との混合物などを用いることができる。
【0055】
生石灰粉末とアルミニウム粉末との混合物からなる発熱剤は、例えば、特開2001−226668号公報に詳しく記載されている。また、より大きな発熱量を得るために、発熱剤(あるいは水袋に封入する水)に塩化ナトリウム等を添加することも好ましい。塩化ナトリウム等を添加した発熱剤については、例えば、特開2006−152090号公報に詳しく記載されている。
【0056】
発熱剤12は、例えば、不織布あるいは和紙などから形成された透水性の袋体25に収容されていることが好ましい。発熱剤12を透水性袋体25に収容すると、発熱剤12の取り扱いや位置決めが容易になる。なお、袋体25の「透水性」とは、発熱剤12を袋体25の外部に大量には透過させず、かつ内部に水を透過させことができる程度の透水性を持つことを意味している。
【0057】
易引裂性水袋13は、使用者が長尺状の開封具16を手で引っ張ることにより容易に引き裂くことができる程度の引裂性(易引裂性)を持つことが必要である。図4に示すように、水袋13の袋体13aには、開封具16による引き裂きを補助する切り込み26が設けられていてもよい。
【0058】
袋体13aは、例えば、ポリエチレン樹脂フィルム、ポリプロピレン樹脂フィルム、ポリスチレン樹脂フィルム、ポリアミド樹脂フィルム、ポリエステル樹脂フィルム、ポリカーボネート樹脂フィルム、もしくはポリ塩化ビニル樹脂フィルムなどの樹脂フィルム、あるいはこれらの樹脂フィルムのうちの二以上を積層した積層樹脂フィルムから形成される。樹脂フィルムは、水袋の引き裂きを容易にするため、一軸延伸処理されたものであることが好ましい。
【0059】
また、袋体13aの透湿度が高いと、加熱具17を製造してから使用する迄の間に、袋体13aに収容されている水が外部に水蒸気として透過して、この水蒸気が水密容器15に収容されている発熱剤12に接触するため、加熱具17を使用する際(食品を加熱する際)に十分な発熱量が得られなくなる場合がある。このため、袋体13aは、低い透湿度を示す樹脂フィルム(あるいは積層樹脂フィルム)から形成することが好ましい。樹脂フィルムの透湿度は、フィルムの厚みや材料の選定によって容易に調節することができる。
【0060】
袋体13aの透湿を効果的に抑制するため、袋体13aは、アルミニウム層などの金属層が積層された樹脂フィルム(以下、金属層付き樹脂フィルムという)から形成することが好ましい。袋体13aを金属層付き樹脂フィルムから形成すると、金属層が水蒸気を殆ど透過させないため、樹脂フィルムの厚みを小さくすることができる。このため、袋体13aを、低透湿度を示し且つ容易に引き裂くことができる厚みの薄いフィルムから形成することができる。
【0061】
このような理由により、図4に示す加熱具17の水袋13の袋体13aを形成するフィルム(および易引裂性フィルム14)としては、厚みが12μmのアルミ蒸着ポリエステルフィルムの蒸着面に、厚みが60μmのポリプロピレンフィルムをラミネートした構成の市販の金属層付き樹脂フィルム(透湿度:0.2g/(m2・24時間))が用いられている。
【0062】
この水袋13の上には支持板24が備えられている。水袋13と支持板24とは、ステープラの綴じ針27により、支持板24の後端(図4にて右端)の近傍の位置にて互いに固定されている。支持板24は、使用者により長尺状の開封具16が図4に記入した矢印が示す方向に(すなわち前方に)引っ張られ、これにより開封具16の水袋13の後方側にて折り返された部分が前方側に移動しながら水袋13を引き裂く際に水袋13を支持する機能を有している。水袋13と支持板24との固定方法に特に制限はなく、例えば、両者を接着テープ(あるいは接着剤)を用いて互いに固定してもよい。
【0063】
支持板24は、中央に開口部24aを備えていることが好ましい。これにより、水袋13から流れ出た水が発熱剤12に接触し易くなる。
【0064】
支持板24は、例えば、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂に代表される樹脂材料、あるいは厚紙や段ボールに代表される紙材などから形成される。
【0065】
前記の発熱剤12、水袋13、そして支持板24は、上面が易引裂性フィルム14で被覆された水密容器15の内部に収容される。水密容器15としては、上面が易引裂性フィルム14で被覆された樹脂製の容器が用いられている。
【0066】
易引裂性フィルム14は、水袋13の袋体13aの場合と同様に、使用者が長尺状の開封具16を手で引っ張ることにより容易に引き裂くことができる程度の引裂性(易引裂性)を持つことが必要である。易引裂性フィルム14としては、前記の水袋13の袋体13aを形成するフィルムとして例示したものを用いることができる。
【0067】
水密容器は、上面が易引裂性フィルムで形成されている限り、その構成に特に制限はない。水密容器としては、例えば、その上面が易引裂性フィルムから形成された袋体を用いることもできる。前記のように水密容器に樹脂製の容器を用いると、この容器を成形するために高価な金型を用意する必要がある。水密容器として袋体を用いると、その製造に金型を用いる必要がなく、このため各種の食品加熱容器のサイズや形状に応じて水密容器のサイズ(すなわち加熱具のサイズ)を柔軟に変更することが可能になる。また、上記の樹脂製の容器は、僅かではあるが水蒸気を透過させる。水密容器として、例えば、上記の金属層付き樹脂フィルムに代表される極めて低い透湿度を持つフィルムから形成された袋体を用いることにより、水密容器の内部に水蒸気が殆ど侵入しなくなるため、長期保管性に優れる加熱具を提供することが可能になる。
【0068】
水密容器15の易引裂性フィルム14と水袋13とを引裂開封する長尺状の開封具16としては、長尺状の紐、あるいは長尺状のテープが用いられる。長尺状のテープは、例えば、樹脂フィルムや合成紙から形成することができる。
【0069】
そして、本発明の食品加熱容器においては、前記のような加熱具の誤操作を防止するため、長尺状の開封具が、箱体の外側に引き出された先端部の側から、箱体の側壁を貫通して前記側壁の側とは逆側の水密容器の後端の側へと伸び、次いで水密容器の上面の後方側から水密容器の内部に挿入されて前方側に折り返され、そして前方側から水袋の上を通って水袋の後方側にて折り返されて水袋の下を通るか、あるいは前方側から水袋の下を通って水袋の後方側にて折り返されて水袋の上を通るかしたのち、水袋の上面もしくは下面に前記開封具を挟んだ状態で備えられた支持板の前方側に固定されている加熱具を用いることが好ましい。
【0070】
図4に示す加熱具17の長尺状の開封具16は、箱体18の外側に引き出された先端部16aの側から、箱体18の側壁を貫通して前記側壁の側とは逆側の水密容器15の後端の側へと伸び、次いで水密容器15の上面の後方側から水密容器15の内部に挿入されて前方側に折り返され、そして前方側から水袋13の下を通って水袋13の後方側にて折り返されて水袋13の上を通ったのち、この水袋13の上面に前記の開封具16を挟んだ状態で備えられた支持板24の前方側に固定されている。
【0071】
このような構成の加熱具17の長尺状の開封具16の先端部16aを前方(図4に記入した矢印が示す方向)に引っ張ると、この開封具16により、先ず水密容器15の上面の易引裂性フィルム14が引き裂かれて開口する。このように、水密容器15は、長尺状の開封具16に大きな力を加えなくても、その上面の一枚の易引裂性フィルム14を引き裂くだけで簡単に開封することができる。
【0072】
そして、水密容器15が開封されたのちに、更に長尺状の開封具16を引っ張ると、この開封具16の水袋13の後方側(図4において右側)にて折り返された部分が前方側に移動しながら水袋13を引き裂き、水袋13から水密容器15の内部に水が流れ出る。このように、水袋13は、長尺状の開封具16に大きな力を加えなくても、その上下面を構成する二枚のフィルムを引き裂くだけで簡単に開封することができる。
【0073】
水密容器15の内部に流れ出た水は、透水性の袋体25を透過して発熱剤12に接触し、そして発熱剤12が発熱する。この発熱により生じた高温水蒸気は、水密容器15の易引裂性フィルム14の開口から外部に拡散する。この高温水蒸気は、図3に記入した気体通路22を通って食品トレイ11と蓋体19との間の空間に流入し、そして食品トレイ11に収容された食品が均一に加熱される。
【0074】
このように、加熱具17を用いると、長尺状の開封具16によって、先ず一枚のフィルム(水密容器15の上面の易引裂性フィルム14)が引き裂かれ、その次に二枚のフィルム(水袋13の袋体13aの上下面を構成するフィルム)が引き裂かれる。すなわち、加熱具17においては、使用の際に三枚以上のフィルムを同時に引き裂くことがないため、長尺状の開封具16に大きな力を加える必要はない。このため、このような加熱具を用いた食品加熱容器10は、使用者に長尺状の開封具16が切れたり、あるいは加熱具17が壊れたりするとの誤解を生じさせることなく開封具16を十分に引っ張らせることができるため、食品を確実に且つ均一に加熱することができる。
【0075】
また、箱体18の厚みにも依るが、通常は、前記のように食品加熱容器10に紙製の箱体18を用いると、樹脂製の箱体を用いる場合と比較して、使用者が長尺状の開封具16を引っ張った際の箱体の変形量が大きくなる。このような変形が生じると、使用者が長尺状の開封具16に加えた力が箱体18の変形に用いられるため、開封具16により水密容器15や水袋13を開封し難くなる。加熱具17は、使用の際に長尺状の開封具16に大きな力を加える必要がなく、従って前記のような箱体18の変形を抑制することができるため、紙製の箱体を用いた本発明の食品加熱容器に特に好ましく用いることができる。
【0076】
なお、長尺状の開封具16の基端部に形成された結び目16bは、切り込み24bに挟まれた状態で支持板24に離脱可能に仮固定されている。このため、前記のように水袋13の開封を終えたのちに更に長尺状の開封具16を引っ張ると、開封具16の結び目16bが支持板24の切り込み24bから外れて、開封具16の全体を箱体18の外側に引き抜くことができる。このように、長尺状の開封具16の引き抜きを可能にすると、開封具16を力の大きさを加減しながら引っ張る必要がない。このため、使用者に、食品加熱容器10を長尺状の開封具16を引き抜いて使用するよう予め説明しておくことにより、開封具16を引っ張る際の力の加減によって開封具16が切れたり、あるいは加熱具17が壊れたりするとの誤解を生じさせることなく、使用者に開封具16を十分に大きな力で引っ張らせることができる。このため、前記の加熱具の誤操作を更に確実に防止することができる。また、食事中に長尺状の開封具16が箱体18から垂れ下がって邪魔になることもない。
【0077】
図9は、本発明の食品加熱容器に用いられる加熱具の別の構成例を模式的に示す図である。但し、図9(及び後に説明する図10〜図14)においては、長尺状の開封具16の配置の理解を容易にするため、発熱剤袋28、水袋13、そして支持板24を互いに離隔された状態にて記入した。
【0078】
図9の加熱具97の構成は、透水性の袋体25に発熱剤12を収容した発熱剤袋28が、水袋13の下に配置されていること以外は図4に示す加熱具17と同様である。
【0079】
加熱具97の長尺状の開封具16は、前記のように食品加熱容器の箱体の外側に引き出された先端部16aの側から、箱体の側壁を貫通して前記側壁の側とは逆側の水密容器15の後端(図9にて右端)の側へと伸び、次いで水密容器15の上面の後方側から水密容器15の内部に挿入されて前方側に折り返され、そして前方側から水袋13の下を通って水袋13の後方側にて折り返されて水袋13の上を通ったのち、水袋13の上面に開封具16を挟んだ状態で備えられた支持板24の前方側に固定されている。
【0080】
図9の加熱具97もまた、長尺状の開封具16の先端部16aを引っ張ることにより、先ず易引裂性フィルム14が引き裂かれて水密容器15が開封され、次いで水袋13が引き裂かれて開封される。従って、加熱具97を本発明の食品加熱容器に用いることにより、使用者に開封具16が切れたり、あるいは加熱具97が壊れたりするとの誤解を生じさせることなく開封具16を十分に引っ張らせることができるため、食品を確実に且つ均一に加熱することができる。
【0081】
図10は、本発明の食品加熱容器に用いられる加熱具の更に別の構成例を模式的に示す図である。
【0082】
図10の加熱具107の構成は、長尺状の開封具16が、前記のように食品加熱容器の箱体の外側に引き出された先端部16aの側から、箱体の側壁を貫通して前記側壁の側とは逆側の水密容器15の後端の側へと伸び、次いで水密容器15の上面の後方側から水密容器15の内部に挿入されて前方側に折り返され、そして前方側から水袋13の上を通って水袋13の後方側にて折り返されて水袋13の下を通ったのち、水袋の上面に開封具16を挟んだ状態で備えられた支持板24の前方側に固定されていること以外は図4に示す加熱具17と同様である。
【0083】
図10の加熱具107もまた、長尺状の開封具16の先端部16aを引っ張ることにより、先ず易引裂性フィルム14が引き裂かれて水密容器15が開封され、次いで水袋13が引き裂かれて開封される。従って、加熱具107を本発明の食品加熱容器に用いることにより、使用者に開封具16を十分に引っ張らせることができるため、食品を確実に且つ均一に加熱することができる。
【0084】
図11は、本発明の食品加熱容器に用いられる加熱具の更に別の構成例を模式的に示す図である。
【0085】
図11の加熱具117の構成は、発熱剤袋28が水袋13の下に配置されていること以外は図10の加熱具107と同様である。
【0086】
図11の加熱具117もまた、長尺状の開封具16の先端部16aを引っ張ることにより、先ず易引裂性フィルム14が引き裂かれて水密容器15が開封され、次いで水袋13が引き裂かれて開封される。従って、加熱具117を本発明の食品加熱容器に用いることにより、使用者に開封具16を十分に引っ張らせることができるため、食品を確実に且つ均一に加熱することができる。
【0087】
図12は、本発明の食品加熱容器に用いられる加熱具の更に別の構成例を模式的に示す図である。
【0088】
図12の加熱具127の構成は、長尺状の開封具16が、前記のように食品加熱容器の箱体の外側に引き出された先端部16aの側から、箱体の側壁を貫通して前記側壁の側とは逆側の水密容器15の後端の側へと伸び、次いで水密容器15の上面の後方側から水密容器15の内部に挿入されて前方側に折り返され、そして前方側から水袋13の下を通って水袋13の後方側にて折り返されて水袋13の上を通ったのち、水袋13の下面に開封具16を挟んだ状態で備えられた支持板24の前方側に固定されていること以外は図4に示す加熱具17と同様である。
【0089】
図12の加熱具127もまた、長尺状の開封具16の先端部16aを引っ張ることにより、先ず易引裂性フィルム14が引き裂かれて水密容器15が開封され、次いで水袋13が引き裂かれて開封される。従って、加熱具127を本発明の食品加熱容器に用いることにより、使用者に開封具16を十分に引っ張らせることができるため、食品を確実に且つ均一に加熱することができる。
【0090】
図13は、本発明の食品加熱容器に用いられる加熱具の更に別の構成例を模式的に示す図である。
【0091】
図13の加熱具137の構成は、発熱剤袋28が支持板24の下に配置されていること以外は図12の加熱具127と同様である。
【0092】
図13の加熱具137もまた、長尺状の開封具16の先端部16aを引っ張ることにより、先ず易引裂性フィルム14が引き裂かれて水密容器15が開封され、次いで水袋13が引き裂かれて開封される。従って、加熱具137を本発明の食品加熱容器に用いることにより、使用者に開封具16を十分に引っ張らせることができるため、食品を確実に且つ均一に加熱することができる。
【0093】
図14は、本発明の食品加熱容器に用いられる加熱具の更に別の構成例を模式的に示す図である。
【0094】
図14の加熱具147の構成は、長尺状の開封具16が、前記のように食品加熱容器の箱体の外側に引き出された先端部16aの側から、箱体の側壁を貫通して前記側壁の側とは逆側の水密容器15の後端の側へと伸び、次いで水密容器15の上面の後方側から水密容器15の内部に挿入されて前方側に折り返され、そして前方側から水袋13の上を通って水袋13の後方側にて折り返されて水袋13の下を通ったのち、水袋13の下面に開封具16を挟んだ状態で備えられた支持板24の前方側に固定されていること以外は図4に示す加熱具17と同様である。
【0095】
図14の加熱具147もまた、長尺状の開封具16の先端部16aを引っ張ることにより、先ず易引裂性フィルム14が引き裂かれて水密容器15が開封され、次いで水袋13が引き裂かれて開封される。従って、加熱具147を本発明の食品加熱容器に用いることにより、使用者に開封具16を十分に引っ張らせることができるため、食品を確実に且つ均一に加熱することができる。
【0096】
図15は、本発明の食品加熱容器に好ましく用いることができる箱体及び蓋体の別の構成例を示す図である。図16は、図15に示す箱体158の展開図である。そして図17は、図15に示す蓋体159の展開図である。
【0097】
図15に示す箱体158は、図16の展開図に示す一枚の段ボールシート(あるいは厚紙などの紙材)を折り曲げることにより、極めて簡単に組み立てることができる。
【0098】
図16に示す段ボールシートは、矩形の底面部161、底面部の四辺のそれぞれに折り目線を介して接続している合計で四つの矩形の側壁部162a、162b、162c、162d、互いに対向する一対の側壁部162a、162bの各々の底面部161の側とは反対側の辺に折り目線を介して接続している折込部163a、163b、一方の折込部163aの側壁部162aとは反対側の辺から突き出されている二つの爪部164a、164b、他方の折込部163bの側壁部162bとは反対側の辺から突き出されている二つの爪部164c、164d、残りの一対の側壁部162c、162dのうちの一方の側壁部162cの各々の側辺に折り目線を介して接続している折込部165a、165c、他方の側壁部162dの各々の側辺に折り目線を介して接続している折込部165b、165d、および折込部165a、165b、165c、165dの各々の底辺から突き出されている、それぞれ前記爪部164a、164b、164c、164dと係合する孔166a、166b、166c、166dを持つ爪止め部167a、167b、167c、167dから構成されている。
【0099】
そして先ず、図16に示す段ボールシートを、底面部161と側壁部162c、162dの各々との間の折り目線で折り曲げることにより、側壁部162c、162dの各々を立ち上げる。この際に、側壁部162cと折込部165aとを両者の間の折り目線にて約90度の角度にて折り曲げることにより、折込部165aを側壁部162cの内側に立ち上げ、そして爪止め部167aを折込部165aの底辺にて折り曲げることにより、爪止め部167aを底面部161の上面の内側に突き出た状態で配置させる。同様にして、折込部165b、165c、165dの各々を立ち上げ、そして爪止め部167b、167c、167dの各々を底面部161の上面の内側に突き出た状態で配置させる。
【0100】
次に、底面部161と側壁部162aとを両者の間の折り目線で折り曲げることにより、側壁部162aを立ち上げる。この際に、側壁部162aと折込部163aとを両者の間の折り目線にて折り曲げ、折込部163aを側壁部162aとの間に折込部165a、165bを挟んだ状態で内側に折り込むことにより、折込部163aの爪部164aが爪止め部167aの孔166aに、そして爪部164bが爪止め部167bの孔166bに挿入され仮固定される。これにより、側壁部162aが底面部161から立ち上げられた状態で仮固定される。
【0101】
そして図15に示すように、底面部161と側壁部162bとを両者の間の折り目線で折り曲げることにより、側壁部162bを立ち上げ、この際に側壁部162bと折込部163bとを両者の間の折り目線にて折り曲げ、折込部163bを側壁部162bとの間に折込部165c、165dを挟んだ状態で内側に折り込むことにより、折込部163bの爪部164cが爪止め部167cの孔166cに、そして爪部164dが爪止め部167dの孔166dに挿入され仮固定される。これにより、側壁部162bが底面部161から立ち上げられた状態で仮固定される。
【0102】
このように、箱体158は、ステープラあるいは接着剤などを用いることなく、一枚の段ボールシートを折り曲げることによって簡単に組み立てることができる。また、箱体158は、合計で四つの側壁のうちの二つの側壁(側壁部162c及び側壁部162dの各々から構成される側壁)が一枚の段ボールシートから構成されているため、段ボールシートの使用量が少ないという利点も有している。
【0103】
図15に示す蓋体159は、図17の展開図に示す一枚の段ボールシート(あるいは厚紙などの紙材)を、箱体158の場合と同様にして折り曲げることにより、極めて簡単に組み立てることができる。
【0104】
図17に示す段ボールシートは、矩形の蓋部171、蓋部171の四辺のそれぞれに折り目線を介して接続している合計で四つの矩形の側壁部172a、172b、172c、172d、互いに対向する一対の側壁部172a、172bの各々の蓋部171の側とは反対側の辺に折り目線を介して接続している折込部173a、173b、一方の折込部173aの側壁部172aとは反対側の辺から突き出されている二つの爪部174a、174b、他方の折込部173bの側壁部172bとは反対側の辺から突き出されている二つの爪部174c、174d、残りの一対の側壁部172c、172dのうちの一方の側壁部172cの各々の側辺に折り目線を介して接続している折込部175a、175c、他方の側壁部172dの各々の側辺に折り目線を介して接続している折込部175b、175d、および折込部175a、175b、175c、175dの各々の底辺から突き出されている、それぞれ前記爪部174a、174b、174c、174dと係合する孔176a、176b、176c、176dを持つ爪止め部177a、177b、177c、177dから構成されている。
【0105】
このような箱体158及び蓋体159を用いることにより、食品加熱容器の組み立てが極めて容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】本発明の食品加熱容器の構成例を示す斜視図である。
【図2】図1の食品加熱容器10の分解斜視図である。
【図3】図1に記入した切断線III−III線に沿って切断した食品加熱容器10の拡大断面図である。
【図4】図1に記入した切断線IV−IV線に沿って切断した食品加熱容器10の拡大断面図である。
【図5】本発明の食品加熱容器の別の構成例を示す断面図である。
【図6】図5に示す食品トレイ51及び支持具63の分解斜視図である。
【図7】本発明の食品加熱容器の更に別の構成例を示す分解斜視図である。
【図8】図7に記入した切断線VIII−VIII線に沿って切断した食品加熱容器70の断面図である。但し、食品加熱容器70は、箱体78の蓋体79を閉じた状態で記入してある。
【図9】本発明の食品加熱容器に用いられる加熱具の別の構成例を模式的に示す図である。
【図10】本発明の食品加熱容器に用いられる加熱具の更に別の構成例を模式的に示す図である。
【図11】本発明の食品加熱容器に用いられる加熱具の更に別の構成例を模式的に示す図である。
【図12】本発明の食品加熱容器に用いられる加熱具の更に別の構成例を模式的に示す図である。
【図13】本発明の食品加熱容器に用いられる加熱具の更に別の構成例を模式的に示す図である。
【図14】本発明の食品加熱容器に用いられる加熱具の更に別の構成例を模式的に示す図である。
【図15】本発明の食品加熱容器に好ましく用いることができる箱体及び蓋体の別の構成例を示す図である。
【図16】図15に示す箱体158の展開図である。
【図17】図15に示す蓋体159の展開図である。
【符号の説明】
【0107】
10 食品加熱容器
11 食品トレイ
12 発熱剤
13 易引裂性水袋
13a 袋体
14 易引裂性フィルム
15 水密容器
16 長尺状の開封具
16a 開封具16の先端部
16b 開封具16の結び目
17 加熱具
18 箱体
18a 外箱
18b 内箱
19 蓋体
21a、21b、21c 間隙
22 気体通路
23 支持具
23a、23b 側壁部
23c 連結部
23d 切り欠き部
23e 突き出し部
24 支持板
24a 開口部
24b 切り込み
25 透水性の袋体
26 切り込み
27 綴じ針
28 発熱剤袋
29 切り込み
50 食品加熱容器
51 食品トレイ
61a、61b、61c 間隙
62 気体通路
63 支持具
70 食品加熱容器
71 食品トレイ
78 箱体
79 蓋体
81a、81b、81c 間隙
82 気体通路
83 支持具
84 側壁部
84a 開口部
85 脚部
97、107、117、127、137、147 加熱具
158 箱体
159 蓋体
161 底面部
162a、162b、162c、162d 側壁部
163a、163b 折込部
164a、164b、164c、164d 爪部
165a、165b、165c、165d 折込部
166a、166b、166c、166d 孔
167a、167b、167c、167d 爪止め部
171 蓋部
172a、172b、172c、172d 側壁部
173a、173b 折込部
174a、174b、174c、174d 爪部
175a、175b、175c、175d 折込部
176a、176b、176c、176d 孔
177a、177b、177c、177d 爪止め部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品トレイ;食品トレイの下側に配置されている、水との接触により発熱する発熱剤及び易引裂性水袋が内部に収容されていて、上面が易引裂性フィルムで被覆されている水密容器と、水密容器の易引裂性フィルム及び水袋を引裂開封する長尺状の開封具とを備える加熱具;食品トレイ及び加熱具を収容している、上端に開口部を備える箱体;および箱体の開口部を塞ぐ蓋体を含み、そして前記の長尺状の開封具の先端部が箱体の側壁を貫通して箱体の外側に引き出されている食品加熱容器であって、
前記の食品トレイが、食品トレイの底面と加熱具の上面の周縁部との間、そして食品トレイの側壁の頂部と蓋体の下面との間のそれぞれに間隙が形成された状態で箱体により支持され、そして食品トレイの側壁と箱体との間に、前記の両者の間隙を結ぶ気体通路が形成されていることを特徴とする食品加熱容器。
【請求項2】
箱体が、食品トレイを前記気体通路を構成するための間隙が形成された状態で支持する支持具を備える請求項1に記載の食品加熱容器。
【請求項3】
箱体が紙製である請求項1もしくは2に記載の食品加熱容器。
【請求項4】
箱体が、上端開口部の面積よりも下端開口部の面積が小さな面積に設定された筒状の外箱と、外箱の内側に上げ底状態で嵌め合わされて支持されている、上端に開口部を備える内箱とからなる請求項3に記載の食品加熱容器。
【請求項5】
外箱が、縞状の凹凸面を外側に露出させた段ボールシートから構成されている請求項4に記載の食品加熱容器。
【請求項6】
凹凸面の縞の長さ方向が、外箱の底辺に対して傾斜した方向に配置されている請求項5に記載の食品加熱容器。
【請求項7】
長尺状の開封具が、箱体の外側に引き出された先端部の側から、箱体の側壁を貫通して前記側壁の側とは逆側の水密容器の後端の側へと伸び、次いで水密容器の上面の後方側から水密容器の内部に挿入されて前方側に折り返され、そして前方側から水袋の上を通って水袋の後方側にて折り返されて水袋の下を通るか、あるいは前方側から水袋の下を通って水袋の後方側にて折り返されて水袋の上を通るかしたのち、水袋の上面もしくは下面に前記開封具を挟んだ状態で備えられた支持板の前方側に固定されている請求項1乃至6のうちのいずれかの項に記載の食品加熱容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−240364(P2009−240364A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−87442(P2008−87442)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(596064857)株式会社ヨシザワ (11)
【Fターム(参考)】