説明

食品包装体

【課題】包装した食品容器を複数段に積み重ねた際に、上段に載っている食品容器が転落せずに安定した状態で積み重ねられ、また、蓋部の廃止で包装資材を節減する。
【解決手段】食品Rを収容した食品容器Pを開放したまま包装するための透明シートによる食品包装体を形成するもので、食品容器Pの底部側に位置する包装体1面に、互いに連通する区画した複数の底部保護嚢袋4を並設形成し、該底部保護嚢袋4は、包装体1面に当該底部保護嚢袋4が気圧で膨らんだ状態で略蛇行状に連通するよう開口方向に沿う前後から互い違いに延びる複数本の保護嚢袋形成用シール線6cによって略蛇行状を呈するガス充填路となして形成する。また、食品容器Pの上部開口側に位置する包装体1面には、食品容器P内で発生する蒸気圧によって破断可能とした蒸気抜き用の蒸気排出孔10を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばスーパーマーケットストア、コンビニエンスストア等で販売する弁当類、惣菜等を収容する容器等の開口部を蓋部で施蓋せずにそのまま容器全体を包装し、また低温管理、搬送にも好適なるものとし、しかも包装資材の節減化を図れるようにした食品包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、弁当類、惣菜等を収容する身となる容器体である食品容器等では当該食品容器の開口部を施蓋するには、食品容器の開口部を覆う蓋部を食品容器に固定している。該蓋部としては、食品容器に収容した中味が見えるように例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の透明なプラスチック材を用いて形成されている。
【0003】
しかし、蓋部素材自体の肉厚は薄くなっているため、弁当類、総菜等の食品を収容して食品容器自体を積み重ねた時に、蓋部が凹んだり、潰れたりして収納食品の形状を歪めたり、蓋部に食品が付着して中を見え難くしたりする等となって、商品価値を低下させるという欠点がある。
【0004】
この欠点を解決するために、例えば、特許文献1に開示されているような抄造容器なるものが提案されている。すなわち、これは、蓋部を嵌合できるよう形成されている抄造容器内に区画用の仕切りを設け、該仕切りの少なくとも一部が蓋部の内面に当接することで当該蓋部を支えるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−355199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、この従来の抄造容器においては、蓋部を形成することは面倒であり、コストも掛かる。このため、食品容器を蓋部で施蓋せずにそのまま容器全体を包装することで、供食時に蓋部を取り外す手間を省いた透明プラスチックフィルム・シートによる包装体が使用されるようになってきている。
【0007】
ただ、このような包装体によって弁当類、総菜等を単に包装したのでは、容器内の食品に当該包装体における上面部分が直接に接触し、総菜等が押し潰され、体裁が悪くなることがある。そのために食品容器と共に収容するに際し、当該包装体の内部に例えば空気等のガス等を充填し膨らますことで、食品容器内の食品に当該包装体が直接に接触しないような工夫がなされている。
【0008】
ところが、このようにフィルム・シート製の包装体を所定ガス等の充填によって膨らましたとき、食品容器の底部側における包装体面が内圧力で円弧状に出っ張った状態となってしまう。そうすると、包装体によって包装された食品容器を上下で複数段に積み重ねた場合、上段に載せられている食品容器が下段側の包装体上部の出っ張りによって不安定となり転落してしまうという問題点を有していた。
【0009】
そればかりでなく、近時は環境保全を図る上から、包装資材を可能な限り節減することが望まれるが、上述したような食品容器では食品を収納する身となる本体と、これの開口部を施蓋し、収容食品を保護する蓋部とが必要とされるも、特に蓋部は供食時では不要であるから、これの削減が検討されてもいる。ただ、収容食品を保護するためには、これを不要とするには上述したように極めて困難であり、また肉厚に形成する等で、ある程度の剛性を保持しているから、不要後に廃棄するのに例えば圧壊し、減容化するにも面倒であった。
【0010】
また、特にコンビニエンスストアで販売される弁当類、総菜等は賞味・消費期限等による陳列・販売時限を遵守するように厳格に管理されており、それが生産されてから陳列・販売時限までが比較的に短い場合には、例えば1日に3回程度で商品の供給が必要となり、その配送の手間等は非常に面倒である。これの解消には、生産されてからの販売時限までが長くなるように例えば冷蔵方式で配送、陳列されることが一案として提案されているも、従来の包装形態では温度管理に耐え得る構造とはなっていないために、これに対応するには困難である。
【0011】
しかも、冷蔵管理された食品容器であれば、その供食時には例えば電子レンジ機器等による加熱調理が好適であっても、その食品容器そのもので加熱調理すると、高温雰囲気となっている容器内の熱気によって容器自体を直接に持つことができず、その取り扱いが面倒ともなるのであった。
【0012】
そこで、本発明は叙上のような従来存した諸事情に鑑み創出されたもので、包装体によって包装された食品容器を複数段に積み重ねた際に、上段に載せられている食品容器が転落せずに安定した状態で順次積み重ね可能にでき、蓋部を不要とすることで包装資材を節減し、環境保全にも役立つばかりでなく、配送・陳列時においての冷蔵管理に対応可能にし、またそれの電子レンジ機器による加熱でも取り扱いが容易であるようにした食品包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決するために、本発明にあっての一つは、食品Rを収容した食品容器Pの上部開口部を開放したまま包装する透明シートによる食品包装体であって、食品容器Pの底部側に位置する包装体1面に、互いに連通する区画された複数の底部保護嚢袋4を並設形成したものである。
底部保護嚢袋4は、包装体1面に当該底部保護嚢袋4が気圧で膨らんだ状態で略蛇行状に連通するよう包装体1の開口方向の前後から互い違いに延びる複数本の保護嚢袋形成用シール線6cによって略蛇行状を呈するガス充填路となって形成するものとすることができる。
さらに、食品容器Pの上部開口側に位置する包装体1面には、食品容器P内で発生する蒸気圧によって破断可能とした蒸気抜き用の蒸気排出孔10を設けて成るものとすることができる。
また、本発明にあっての他の一つは、食品Rを収容した食品容器Pの上部開口部を開放したまま包装する透明シートによる食品包装体であって、食品容器Pの周囲全体の包装体1面に、区画された複数の周囲保護嚢袋5を並設形成したものである。
周囲保護嚢袋5のいずれかには、包装体1開披用のハーフカット状の開披部7を設けることができる。
さらには、食品容器Pの上部開口側に位置する包装体1面には、提手15を形成することができ、この提手15は例えば包装体1を閉止する開口部閉止用シール線6b部位の外側に延設形成され、提手口16が開口されているものとして構成することができる。
【0014】
以上のように構成された本発明に係る食品包装体にあって、袋状の包装体1内に食品容器Pが収容され、同時に包装体1内に例えば清浄化された空気または不活性気体等のガスを充填した際に、当該ガスは、前後から互い違いに延びる複数本の保護嚢袋形成用シール線6cによって形成された略蛇行状のガス充填路を通って充填され、各底部保護嚢袋4を気圧で膨らませた状態で略蛇行状に連通配置させる。
そして、包装体1によって包装された上部開放の食品容器Pを複数段に積み重ねた際に、食品容器Pの底部側に位置する包装体1面で膨らませた各底部保護嚢袋4がクッション性を有し、下段の食品容器Pにおいて収容されている食品Rその他を損傷させず、また、内部に収容した食品Rに対する外部温度との遮断性を図る。。
区画されて並設形成された複数の底部保護嚢袋4は、全体として平坦化されていることで、下段側の食品容器Pの上部開口側に位置する包装体1面に積み重ね配置した上段の食品容器Pを安定した状態となして保持させる。
蒸気抜き用の蒸気排出孔10は、包装体1によって包装された食品容器Pを電子レンジ機器等で加熱して当該食品容器P内に収納された食品Rを加熱調理するとき、その食品Rが発生した当該蒸気の圧力により蒸気排出孔10を押し上げ破断開放させて蒸気を放散させる。
一方、包装体1の全面に周囲保護嚢袋5を並設形成した食品包装体にあって、包装体1内外を遮断し、特にその断熱性によって内部が冷蔵雰囲気中であると高温下の外部影響を低減して保存・保管に好適にし、また、例えば電子レンジ機器等による加熱調理で内部が高温雰囲気中であっても、常温下にある外部への伝熱も少なく、常温雰囲気中で通常に取り扱わせる。
開披部7は、包装体1における周囲保護嚢袋5のいずれかに備えることで、例えばフィルム・シート材による二重化構成であっても、これの開披操作を容易にし、収納した食品R等の取り出し、供食等を円滑にさせる。
包装体1面に形成した提手15は、食品容器Pを包装したままでの個別の持ち運び、取り扱いを容易にさせる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、上部開口部が開放されて、包装体1によって包装された食品容器Pを複数段に積み重ねた際に、上段に載せられている食品容器Pが転落せずに安定した状態で、しかも下段の食品容器Pにおける食品R等を押し潰すことなく、順次に積み重ねておくことができる。また、従来のようにポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の透明なプラスチック材による蓋部を使用しないため、包装資材を減少させ、その廃棄も容易となることで環境保全に大きく役立てることができる。そればかりでなく、包装体1内外での熱遮断性によって例えばコンビニエンスストア等への商品提供に際し、配送・陳列時においての冷蔵管理に対応可能にし、またそれの電子レンジ機器等による加熱調理も容易にし、調理加熱後でも高温化された内部食品Rの影響を受けずに簡単に取り扱うことができ、取り出し、供食等を円滑にすることができる。
【0016】
すなわち、これは本発明が、包装された上部開放の食品容器Pの底部側に位置する包装体1面に、互いに連通する区画された複数の底部保護嚢袋4を形成したからであり、これにより、包装体1によって包装された食品容器Pを複数段に積み重ねた際に、食品容器Pの底部側に位置する包装体1面で膨らませた各底部保護嚢袋4のクッション性によって、例えば下段の食品容器Pに収容の食品Rその他の損傷、上段の食品容器Pの転落等が生じないのである。
【0017】
また、底部保護嚢袋4は、包装体1面に当該底部保護嚢袋4が所定のガス圧で膨らんだ状態で略蛇行状に連通するよう開口方向に沿う前後から互い違いに延びる複数本の保護嚢袋形成用シール線6cによって略蛇行状を呈するガス充填路を形成して成るので、袋状の包装体1内に食品容器Pが収容され、同時に所定のガスを充填した際に、当該ガスは略蛇行状のガス充填路を通って充填され、各底部保護嚢袋4はその全体が平坦化されることになる。そのため、下段の食品容器Pの上に積み重ねられる上段の食品容器Pの保持安定性を極めて良好にし、上下段に多数で積み重ねても転落・転倒することはなく、安定した状態で確実に保持することができる。
【0018】
さらに、食品容器Pの上部開口側に位置する包装体1面には、食品容器P内で発生する蒸気圧によって破断可能とした蒸気抜き用の蒸気排出孔10を設けて成るので、包装体1によって包装された食品容器Pを電子レンジ機器等で加熱して当該食品容器P内に収納された食品Rを加熱調理するとき、その食品Rが発生した当該蒸気の圧力により破断可能な蒸気排出孔10を押し上げ開放させることで蒸気を容易に放散させることができる。しかも、透明プラスチックフィルム・シートのような肉薄の包装体1であっても、蒸気を放散させるための弁を確実且つ低コストに形成することができる。
【0019】
また、本発明では、食品容器Pの周囲全体の包装体1面に、区画された複数の周囲保護嚢袋5(さらには底部保護嚢袋4)を並設形成したものであるから、これによって包装体1内外を効率的に熱遮断し、その保温、耐熱性等を大きく向上できる。特にその断熱性によって例えば内部が冷蔵雰囲気中であると、外部が常温下あるいはある程度の高温下であってもその外部影響を低減して食品R等の保存・保管に好適にすることができる。また、例えば電子レンジ機器等による加熱調理によって食品Rが高温となり、内部が加熱蒸気等で高温雰囲気下となっても、常温下にある外部への伝熱を少なくし、例えば手指でも直接に接触することがあっても火傷等をすることなく、通常通りに簡単に取り扱うことができる。
【0020】
さらに、周囲保護嚢袋5のいずれかには包装体1開披用のハーフカット状の開披部7を設けてあるので、この包装体1自体が例えばフィルム・シート材による二重化構成によって周囲保護嚢5が形成されていても、これを容易に開封破断でき、収納した食品R等を容易に取り出し、供食することができる。
【0021】
また、食品容器Pの上部開口側に位置する包装体1面に提手15を形成してあるので、これを利用して食品容器P毎の個別の持ち運びを可能にし、例えば販売時においての包装を不要にして取り扱いが容易となる。しかも、包装体1として閉止する部位を食品容器Pの上部側に設定し、その上部で開口部閉止用シール線6bによって閉止するとき、包装体1の形成素材をそのまま延設することで形成できると共に、提手口16を開口することで、例えば手指等の挿入によってそのまま持ち運ぶことができ、可搬性を良好にすることができる。
【0022】
尚、上記の課題を解決するための手段、発明の効果の項それぞれにおいて付記した符号は、図面中に記載した構成各部を示す部分との参照を容易にするために付したもので、図面中の符号によって示された構造・形状に本発明が限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明を実施するための一形態における積み重ねたときの使用状態を示す斜視図である。
【図2】同じく包装体自体の縦断面図である。
【図3】同じく複数段に積み重ねた状態の縦断面図である。
【図4】同じく食品容器を包装体によって包装する工程を示すもので、(a)は上シート材に下シート材を取り付ける状態の斜視図、(b)は開口部閉止用シール線、保護嚢袋形成用シール線それぞれを形成した状態の包装体の斜視図、(c)は包装体内に食品容器を収容する状態の斜視図、(d)は包装体内にガスを充填する状態の斜視図、(e)はガス充填後に包装体の開口部分に開口部閉止用シール線を施した状態の斜視図である。
【図5】同じく蒸気排出孔の一例を示し、(a)は蒸気圧によって破断する前の断面図、(b)は蒸気圧によって破断した状態の断面図である。
【図6】蒸気排出孔の他例を示し、(a)は蒸気圧によって破断する前の断面図、(b)は蒸気圧によって破断した状態の断面図である
【図7】本発明を実施するための他の形態における縦断面図である。
【図8】同じくその斜視図である
【図9】本発明を実施するための他の形態における斜視図である
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明すると、図1乃至図6において示される第1の実施の形態においての符号1は、例えばスーパーマーケットストア、コンビニエンスストア等で販売する弁当、惣菜等の食品Rその他を収容する食品容器Pを施蓋せずにそのまま容器全体を包装するための例えば透明且つ肉薄なプラスチックフィルム・シートによって形成された食品包装体である(以下、包装体1と略称する)。尚、包装体1自体は透明性ある素材によって形成されていて、包装される食品容器P内に収容した各種の食品Rが外部から透視可能とされている。
【0025】
包装体1は、図1乃至図3に示すように、略角袋状に形成されることで食品容器Pが収納されるようにした第1シート体2の片面側、すなわち収納される食品容器Pの底部に当接される下面部分の内側に矩形状の第2シート体3を挿入し、複数本の保護嚢袋形成用シール線6cによって第1シート体2に固着させることで、第1シート体2下面部片と第2シート体3との間で、例えば区画された3つの底部保護嚢袋4が並設形成されるようにしてある。
【0026】
すなわち、包装体1は、筒状になるように丸めた第1シート体2の縁部裏面同士を合致させてから両側縁部閉止用シール線6aで固着されると共に、相対向する左右両側に共に断面略Σ形状となった折り込み部分(マチ/襠)8が形成され、さらに筒状部の一端開口部側には開口部閉止用シール線6bを施すことで全体が略角袋状に形成される。そして、底部保護嚢袋4を形成するための長方形状の肉薄なプラスチックフィルム・シートによる第2シート体3が第1シート体2の内側に当接するようにして挿入され、第2シート体3の端部は第1シート体2の一端開口部側に施した開口部閉止用シール線6bによって固着される。
【0027】
第2シート体3は、筒状に丸めた第1シート体2の開口方向に沿う前後の開口縁側から互い違いに延びる複数本、例えば4本の並行な保護嚢袋形成用シール線6cによって、互いに余裕幅を持たせた状態で第1シート体2における下面部片に固着され、これにより略蛇行状のガス充填路となるように構成された互いに連通する区画された3つの底部保護嚢袋4が並設形成されるものとなっている。
【0028】
包装体1の他端開口側は食品容器Pを収容するために予め開放されており、食品容器Pの包装に際し、第1シート体2の上面部片と第2シート体3とで形成される包装体1の本体内部に食品容器Pが収容されると同時に、各底部保護嚢袋4内及び包装体1内に例えば清浄化された空気または不活性気体等の所定のガスを充填してから包装体1の他端開口側に開口部閉止用シール線6bが施されることで各底部保護嚢袋4と共に包装体1は気密状に封止されるものとなっている。このとき、各底部保護嚢袋4それぞれは共に所定のガス圧によって略円柱状に膨らんだ状態で略蛇行状に連通し、全体では略平坦化された状態となる。
【0029】
また、包装体1は、図1、図5、図6に示すように、略角袋状に形成された第1シート体2の他方の片面側である上面部片、すなわち収容される食品容器Pの上部開口側を覆う包装体1の上面部分には、例えばハーフカット構造(11)、もしくは肉薄シート12とカットシート13との二層構造による蒸気排出孔10を設けてあり、包装体1内で生じた蒸気圧力で破断可能にしてある。
【0030】
ハーフカット構造による蒸気排出孔10は、図5(a)に示すように、第1シート体2に上側から略半分程度の所定の深さ位置まで例えば平面円形状の切り込みによるハーフカット部分11が形成されており、包装体1によって包装された食品容器Pを電子レンジ機器等で加熱して食品容器P内に収納されている食品Rを加熱調理するとき、図5(b)に示すように、その食品Rから発生した加熱蒸気の圧力により蒸気排出孔10が押し上げられてハーフカット部分11が破断開放させられることで、内部の蒸気が放散されるようにしてある。
【0031】
一方、肉薄シート12とカットシート13との二層構造による蒸気排出孔10は、図6(a)に示すように、第1シート体2を、下側の破断し易い肉薄シート12の上に、例えば平面円形状の切り込み部13aが形成された上側のカットシート13が層状に接合されたものとなっており、包装体1によって包装された食品容器Pを電子レンジ機器等で加熱して当該食品容器P内に収納されている食品Rから蒸気を発生させた際には、図6(b)に示すように、カットシート13に接合する肉薄シート12が円形の切り込み部13aに沿って破断開放させられることで、内部の蒸気が放散されるようにしてある。
【0032】
また、食品容器Pの開口側縁部には、当該食品容器Pに収容されている食品Rを保護するために、左右両側で前後一対となった包装体1支持用の所定高さを有する例えば円弧状に膨出された頂部を備えた保護突出部Qが形成されている。該保護突出部Qによって、食品容器Pが包装体1の内部に収納される際には包装体1の上面が押し退けられながら当該食品容器Pが挿入されることで、食品容器P内の食品Rが包装体1の上部内面に接触しないようにしていると同時に、食品容器P内での所定の収納容積を確保できるようにしている。
【0033】
尚、上記したような底部保護嚢袋4およびガス充填路の形状・配置・個数等は、これに限らず他の形状・配置・個数等による構成であっても良い。例えば、互いに連通された底部保護嚢袋4はこれらにガスを充填し膨らませることで全体が略平坦化されるものであれば足り、他の配置例として、底部保護嚢袋4を例えば碁盤目状を呈するシール線によって多数の矩形部に区画並設すると共に互いに連通部分を設けるものとしたり、互いに連通する高さが低い円柱形状の膨出部を配列形成するものとしたり等の構成であっても良い。
【0034】
次に、以上のように構成された形態についての組立、使用の一例について説明すると、包装体1の形成に際し、先ず、図4(a)に示すように、第1シート体2を筒状に丸めてから、底部保護嚢袋4形成用の第2シート体3を内側に挿入しておく。尚、第1シート体2における上面部片となる部位の面には蒸気排出孔10を設けてある。
【0035】
図4(b)に示すように、包装体1の相対向する箇所が共に断面略Σ形状に折り込まれて折り込み部分8を形成すると共に、丸めた第1シート体2の縁部裏面同士を合致させてから両側縁部閉止用シール線6aが施されて固着される一方では、一端開口部側に第2シート体3の端部と共に開口部閉止用シール線6bを施すことで全体として略角袋状に形成される。そして、底部保護嚢袋4形成用の第2シート体3は、角袋体の開口方向に沿う前後から互い違いに延びる複数本、例えば4本の並行な保護嚢袋形成用シール線6cによって第1シート体2の下面部片に固着され、これにより略蛇行状のガス充填路によって構成された互いに連通する区画された3つの底部保護嚢袋4が並設形成される(図2参照)。このように形成することで、これを包装原反として一時的にでも保管しても良く、あるいは連続処理して次のように食品容器Pを収納、密封する。
【0036】
すなわち、図4(c)に示すように、包装体1の本体内部である第1シート体2の上面部片と第2シート体3との間の空隙内に、所定の食品Rを収容した食品容器Pを収納する。このとき、食品容器Pは、その開口側縁部に形成された各保護突出部Qが包装体1の上面を押し退けながら挿入されることで、収容した食品の包装体1との接触を回避するようにしている。
【0037】
図4(d)に示すように、包装体1内への食品容器Pの収納と共に例えば清浄化された空気または不活性気体等の所定のガスを包装体1の本体内部及び各底部保護嚢袋4内部に充填する。このときの所定のガスは略蛇行状のガス充填路を通じて3つの底部保護嚢袋4全体を膨らませ、各底部保護嚢袋4それぞれは共に所定圧のガスによっていわば略円柱状に膨らんだ状態で略蛇行状に連通し、全体では略平坦化した状態となる。
【0038】
図4(e)に示すように、包装体1の他端開口側に開口部閉止用シール線6bが施され、包装体1は各底部保護嚢袋4と共に外部とは遮断された気密状に封止される。
【0039】
図1および図3に示すように、包装体1によって包装された食品容器Pを複数段に積み重ねた際には、食品容器Pの底部側に位置する包装体1面で膨らませたそれぞれの底部保護嚢袋4が下段の食品容器Pの上部開口側に位置する包装体1上面に当接される。このようにして積み重ねても、包装体1面は膨らませた各底部保護嚢袋4によって、下段側の食品容器P内の食品Rに荷重が負荷されることはなく、それが保護され、平坦化されているために下段の食品容器P上から滑って転落することはない。
【0040】
また、供食する際には、包装体1によって包装された食品容器Pを例えば電子レンジ機器等で加熱調理する。このとき、食品容器P内に収納された食品Rより蒸気が発生し、当該蒸気の圧力により蒸気排出孔10が押し上げられ、破断開放させられて蒸気が放散される。そして、加熱後には、包装体1を破断して食品容器Pを取り出して供食すれば良い。
【0041】
一方、図7及び図8には第2の実施の形態が示されている。尚、この実施の形態においては、上述した第1の実施の形態におけるのと同構成の部分は共通する符号を付すことでその説明は省略される。すなわち、食品容器Pの周囲全体の包装体1面に、区画された複数の周囲保護嚢袋5(底部保護嚢袋4を含む)を並設形成するのであり、これらの周囲保護嚢袋5それぞれは例えば隣接配置される他の周囲保護嚢袋5と例えば略蛇行状に連続しているガス充填路となっていても、あるいは独立分離した形態となっていても良い。尚、独立分離形態であると、一部の破断・損傷等は他に影響を与えず、そのクッション性、保温性等を維持できる。
【0042】
周囲保護嚢袋5は、例えば包装体1全体を内外で二重に重ね合わせたフィルム・シート材にて構成すると共に、その重ね合わせ部分の所定位置に保護嚢袋形成用シール線6cにて固着することで形成される。尚、これらの周囲保護嚢袋5は細長く形成された長方形状である場合に限らず、内部に所定のガスが充填されたときに全体が平坦化されていれば良く、前後・左右に連続して隣接配置された矩形部、円形部その他の所定の形状であったり、それぞれが連通あるいは独立したものであったりしても良いものである。
【0043】
そして、包装体1自体は、このように周側部に複数の周囲保護嚢袋5が配列形成されて全体が筒状体となっていて、その一端開口部側に施した開口部閉止用シール線6bによって固着されることで、内部に食品容器Pが収納可能となる容積を有する筒袋状に形成される。このように形成された包装体1自体は、これを包装原反として一時的にでも保管しておいても良く、あるいは包装体1として形成された後に食品容器Pを包装するように連続処理されて収納、密封するようにしても良い。
【0044】
また、この包装体1の筒状内部の空隙部に所定の食品Rが収容された食品容器Pが収納されるとき、収納空隙部及び周囲保護嚢袋5にも所定のガスが充填され、その後に開口部閉止用シール線6bが施されることで包装体1が気密状に封止されるのも同様である。
【0045】
さらに、周囲保護嚢袋5のいずれかには、包装体1開披用のハーフカット状の開披部7が設けられている。この開披部7は、図7に示すように例えば包装体1における上下面の所定の周囲保護嚢袋5のいずれかに、望ましくはいずれかの開口部閉止用シール線6b位置に連続するようにして上下で相対した部位に配置形成する。こうすることで、例えば電子レンジ機器による加熱調理後で包装体1を開封するとき、開口部閉止用シール線6b位置の開披部7における始端部位から開披部7に沿って順次に破断することで包装体1を破断開封することができる。
【0046】
また、図9にはさらなる第3の実施の形態が示されており、この実施の形態では、食品容器Pの上部開口側に位置する包装体1面に提手15を形成したのであり、この提手15は図示のように、例えば包装体1を閉止する開口部閉止用シール線6b部位の外側に延設形成されていて、この提手15自体に提手口16を開口したものである。提手15自体は、例えば所定大きさ、形状の包装資材によって食品容器Pを包装し、閉止するときの開口部閉止用シール線6bを食品容器Pの上部側に設定すると共に、開口部閉止用シール線6bの外側に包装資材自体を、例えば重ね合わせた状態にして所定幅員・長さでそのまま延設することで形成でき、提手15自体には提手口16を開口形成する。提手口16は例えば手指等の挿入が可能となるように、提手15の中央部位で矩形状、円形状等にして切り抜くことで形成され、場合によっては上記の延設部分自体を帯状、紐状等に形成することで特別な提手口16を開口形成しないことでも良い。
【符号の説明】
【0047】
P…食品容器 Q…保護突出部
R…食品
1…包装体 2…第1シート体
3…第2シート体 4…底部保護嚢袋
5…周囲保護嚢袋 6a…両側縁部閉止用シール線
6b…開口部閉止用シール線 6c…保護嚢袋形成用シール線
7…開披部 8…折り込み部分
10…蒸気排出孔 11…ハーフカット部分
12…肉薄シート 13…カットシート
13a…切り込み部 15…提手
16…提手口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品を収容した食品容器の上部開口部を開放したまま包装する透明シートによる食品包装体であって、食品容器の底部側に位置する包装体面に、互いに連通する区画された複数の底部保護嚢袋を並設形成したことを特徴とする食品包装体。
【請求項2】
底部保護嚢袋は、包装体面に当該保護嚢袋が気圧で膨らんだ状態で略蛇行状となって連通するよう包装体の開口方向の前後から互い違いに延びる複数本の保護嚢袋形成用シール線によって略蛇行状を呈するガス充填路となって形成されている請求項1記載の食品包装体。
【請求項3】
食品容器の上部開口側に位置する包装体面には、食品容器内で発生する蒸気圧によって破断可能とした蒸気抜き用の蒸気排出孔を設けて成る請求項1または2記載の食品包装体。
【請求項4】
食品を収容した食品容器を開放したまま包装する透明シートによる食品包装体であって、食品容器の底部側に位置する包装体面に、互いに連通する区画された複数の底部保護嚢袋を形成し、該底部保護嚢袋は、包装体面に当該底部保護嚢袋が気圧で膨らんだ状態で略蛇行状となって連通するよう開口方向の前後から互い違いに配した複数本の保護嚢袋形成用シール線によって略蛇行状を呈するガス充填路となって形成され、食品容器の上部開口側に位置する包装体面には、食品容器内で発生する蒸気圧によって破断可能とした蒸気抜き用の蒸気排出孔を設けて成ることを特徴とする食品包装体。
【請求項5】
食品を収容した食品容器の上部開口部を開放したまま包装する透明シートによる食品包装体であって、食品容器の周囲全体の包装体面に、区画された複数の周囲保護嚢袋を並設形成したことを特徴とする食品包装体。
【請求項6】
周囲保護嚢袋のいずれかには、包装体開披用のハーフカット状の開披部を設けてある請求項1乃至5のいずれか記載の食品包装体。
【請求項7】
食品容器の上部開口側に位置する包装体面には、提手を形成してある請求項1乃至6のいずれか記載の食品包装体。
【請求項8】
提手は、包装体を閉止する開口部閉止用シール線部位の外側に延設形成され、提手口が開口されている請求項7記載の食品包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−73717(P2011−73717A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−226444(P2009−226444)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(593118933)フジフーズ株式会社 (7)
【Fターム(参考)】