食品及び他の生物材料の熱処理法及び装置、並びにそれによって得られる製品
【課題】 流動可能な材料を電磁放射線を使用して熱処理するための方法及び装置、並びにそれによって得られる食品及び材料を提供すること。
【解決手段】 生物材料の連続流熱処理法、この方法を実行するための装置、並びに前記方法及び/又は装置を使用して調製された製品も提供される。
【解決手段】 生物材料の連続流熱処理法、この方法を実行するための装置、並びに前記方法及び/又は装置を使用して調製された製品も提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、それぞれその開示の全体が参照によって本明細書に組み込まれる、2004年11月12日出願の米国特許仮出願第60/627,499号及び2005年3月24日出願の米国特許仮出願第60/664,762号に基づき、これらの出願の優先権を主張するものである。
【0002】
(技術分野)
本出願によって開示される主題は、流動可能な材料を電磁放射線を使用して熱処理するための方法及び装置、並びにそれによって得られる食品及び材料に関する。より詳細には、本出願によって開示される主題は、生物材料(biomaterial)の連続流熱処理法、この方法を実行するための装置、並びに上記方法及び/又は装置を使用して調製された製品に関する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
食品を消費者に販売するためにはしばしば、その食料が収穫された時点と消費者によって購入される時点との間に起こりうる微生物の増殖を最小限に抑えるために、その食品を処理する必要がある。この目的のために商業上使用可能な一般的な方法はいくつかあり、そのうち最も普及した方法は、材料を適当な温度まで加熱し、その温度を十分な時間維持して、貯蔵温度で発芽し増殖する可能性があるその食品中に存在する一切の微生物及び/又は胞子を殺し、又はさもなければ不活化する方法である。例えば、牛乳の中に通常見られる細菌のレベルを低減させるため、牛乳は一般に殺菌され、これによって、殺菌処理を使用しない場合よりも長く牛乳を安全に貯蔵することができる。
【0004】
一般に間接加熱法が使用され、この方法では、熱に敏感な殺菌のために60℃超から100℃、最高150℃に加熱された室に生物材料を通して、材料を商業的に無菌(commercially sterile)にする。加熱された室の中に生物材料が存在する結果、生物材料の温度は、周囲の室と実質的に同じ温度に達するまで上昇する。しかし、多くの食料及び他の生物材料は、加熱によって、味、美観、栄養レベル又は他の特性に関して負の影響を受け、そのため、この材料を処理することができる方法は限定される。さらに、加熱された表面にさらされた多くの生物材料はその表面に焼き付き、熱流の低減、ランタイムの増大を引き起こす。ランタイムが増大し、加熱された材料が蓄積し、製品中へ剥離すると、製品にいやな矯味矯臭薬がつくことがある。
【0005】
例えば、食品産業におけるサツマイモの利用はしばしば、根をピューレに加工することを含み、このピューレは続いて、この製品を1年を通して利用できるようにするために冷凍され、又は缶詰にされる。サツマイモピューレ(sweet potato puree:SPP)は、ベビーフード、キャセロール料理、プディング、パイ、ケーキ、パン、再構成フライ(restructured fries)、パティ、スープ及び飲料を含むさまざまな製品の原料として使用することができる(Truong, 1992、Truongら, 1995、Woolfe, 1992)。
【0006】
冷凍によるSPPの保存は確立された方法だが、冷凍ピューレは、冷凍流通及び貯蔵、並びに使用前の長く制御が不完全な解凍処理に相当な投資を必要とする。一般に缶詰のピューレは、特に業務用サイズの包装の中で処理されるときに、過度の熱処理を要求し、貯蔵スペースの利用効率が悪く、製品の取扱い、開封及び分配、並びに空包装の処分に困難を伴う。ピューレの熱侵入特性の低さから、缶詰のサツマイモは121℃で2時間以上レトルト処理され、その結果、缶の中の製品の品質は、缶の中心から壁端に向かって急激に変化する。特に壁端部では、製品がしばしばひどく過剰処理され、黒ずみ及び焦げた矯味矯臭薬が生じる。したがって、実用的な缶サイズはしばしば缶サイズ番号10(すなわち容積約13カップ)に限定され、このサイズの限界は、食品加工業において缶詰のサツマイモピューレをより幅広く応用する上での大きな障害である。
【0007】
スクレープドサーフェス(scraped surface)熱交換器、フラッシュ滅菌処理などの他の熱処理技術も、SPPが低熱拡散率を特徴としている(Smithら, 1982)点で限界がある。Fasinaら(2003)は、SPPの熱拡散率を3×10−7m2/s程度、熱伝導率を0.54W/m・K程度と報告している。SPPのこの低い熱拡散率のため、従来の熱処理法を使用すると、必要な滅菌レベルを達成するための加熱時間が非常に長くなり、これは、SPP中の栄養素の分解及び劣等な製品品質につながる。
【0008】
したがって、当技術分野では、以前から、食品及び他の生物材料を熱処理する効果的な方法が継続的に求められている。本出願によって開示される主題は、この要求及び当技術分野の他の要求に対処する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
食品及び他の生物材料の熱処理法及び装置、並びにそれによって得られる製品を提供すること。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(要旨)
この要約では、本出願によって開示される主題のいくつかの実施態様を記載し、多くの場合に、これらの実施態様の変形及び置換を記載する。この要約は単に、これらの多くの多様な実施態様を例示するだけである。所与の実施態様の1つ又は複数の代表的な特徴への言及も同様に例示にすぎない。このような実施態様は一般に、記載される特徴の有無にかかわらず存在することができ、同様に、それらの特徴は、それがこの要約に載せられているか否かにかかわらず、本出願によって開示される主題の他の実施態様に適用することができる。過度の繰り返しを避けるため、この要約は、このような特徴の可能な全ての組合せを列挙し、又は提案することはしない。
【0011】
本出願によって開示される主題は、流動可能な材料を連続ストリームとして熱処理装置に通している間にこの流動可能な材料を熱処理する方法を提供する。いくつかの実施態様ではこの方法が、(a)少なくともその一部分が電磁放射線透過性導管に、流動可能な材料を連続的に通すこと、(b)電磁放射線透過性のこの導管の少なくとも一部分を暴露することによって、流動可能な材料を加熱すること、(c)導管内の流動可能な材料を混合して、流動可能な材料の少なくとも一部分の熱等化を提供することを含む。いくつかの実施態様では、流動が一定の流量で起こる。いくつかの実施態様では、流動が、流動生物材料の加熱出口での一定加熱力入力又は一定質量平均温度で起こる。
【0012】
いくつかの実施態様では、流動可能な材料が、流動可能な材料のレオロジー特性、誘電特性及び熱物理特性のうちの少なくとも1つ、又はこれらの特性の組合せに基づいて選択される。いくつかの実施態様では、流動可能な材料が生物材料である。いくつかの実施態様では、生物材料が食用生物材料である。いくつかの実施態様では、食用生物材料が、食用生物材料のレオロジー特性、誘電特性及び熱物理特性のうちの少なくとも1つ、又はこれらの特性の組合せに基づいて選択される。
【0013】
本出願によって開示される主題のいくつかの実施態様では、加熱の結果、流動可能な材料の、少なくとも1°F毎秒又は0.5℃毎秒の平均バルク温度上昇速度が得られる。いくつかの実施態様では、1つ又は複数の追加の加熱ステップが使用される。いくつかの実施態様では、この1つ又は複数の追加の熱ステップが、流動可能な材料の少なくとも1°F毎秒又は0.5℃毎秒の平均バルク温度上昇速度を与える加熱の前に、又はこの加熱と同時に、又はこの加熱の後に実施される。いくつかの実施態様では、この加熱が、流動可能な材料を、流動可能な材料自体の最高温度レベルを超える温度を有する表面と接触させることによる加熱を実質的に含まない。
【0014】
本出願によって開示される主題のいくつかの実施態様では、電磁放射線の波長が約1×10−4メートル以上である。いくつかの実施態様では、電磁放射線の周波数が約3×1012波毎秒以下である。
【0015】
本出願によって開示される主題のいくつかの実施態様では、混合が加熱の前に、又は加熱と同時に、又は加熱の後に実施される。いくつかの実施態様では、混合が、流動の断面形状を変更することによって達成される。いくつかの実施態様では、混合が、受動的に又は能動的に起こり、或いは受動的と能動的の両方で起こる。いくつかの実施態様では、混合が、受動混合デバイス、能動混合デバイス、又は受動混合デバイスと能動混合デバイスの両方の任意の組合せを使用することによって達成され、混合デバイスは、流動可能な材料の相対的に高い温度レベルを有する領域と流動可能な材料の相対的に低い温度レベルを有する領域との間の物理接触及び熱交換を増大させる働きをし、この増大は、混合デバイスがない場合には起こらないと考えられる。いくつかの実施態様では、混合が、流動可能な材料全域の温度分布の変動性(標準偏差)を、混合デバイスがない場合の流動可能な材料全域の温度分布の変動性(標準偏差)と比較したときに、少なくとも10%低減させる。いくつかの実施態様では、この方法が、導管の電磁放射線に暴露される部分の入口の1つ又は複数の点、この部分内の1つ又は複数の点、この部分の1つ又は複数の出口、及びこれらの組合せからなるグループから選択された位置に、混合デバイスを配置することを含む。
【0016】
本出願によって開示される主題のいくつかの実施態様では、流動可能な生物材料が加熱された表面にさらされず、それによって生物材料に焼き付かないヒータセクションを提供し、間接加熱システムと比較して有利なプロセスランタイムを与える。
いくつかの実施態様では、この加熱及び混合が、流動可能な材料の滅菌及び殺菌のうちの一方を達成するための十分な温度を、十分な時間提供する。
いくつかの実施態様では、この方法がさらに、流動可能な材料を冷蔵貯蔵用に包装することを含む。いくつかの実施態様では、この方法がさらに、流動可能な材料を無菌包装することを含む。
【0017】
本出願によって開示される主題のいくつかの実施態様では、流動可能生物材料との接触面が、流動可能な生物材料の導入前に滅菌される。いくつかの実施態様では、この方法が、流動可能な材料を、所定の時間、所定の温度に保ち、いずれも無菌条件下で、流動可能な材料を冷却し、流動可能な材料を滅菌された包装の中に包装し、流動可能な材料を溶接密封することを含む。いくつかの実施態様では、流動可能な材料と接触した包装表面の同時滅菌を達成するため、流動可能な材料が、所定の温度レベルで、非無菌包装の中に、大気圧条件下と加圧条件下のうちの一方で充填され、次いでこの包装を溶接密封する。
【0018】
本出願によって開示される主題はさらに、本明細書に開示された方法によって製造された製品を提供する。
【0019】
本出願によって開示される主題はさらに、ある熱処理法を使用して滅菌された基準食品又は他の生物材料に比べてより程度よく維持された1つ又は複数の品質属性を有する商業的に無菌の食用又は他の生物材料を提供し、この熱処理法は、基準食品又は他の生物材料を、基準食品又は他の生物材料の所定の処理温度よりも一貫して高い温度を有する表面と接触させることを含む。いくつかの実施態様では、前記1つ又は複数の品質属性が、約25°の貯蔵で少なくとも12週間維持される。いくつかの実施態様では、前記1つ又は複数の品質属性が、栄養素含量、色、テクスチャ、矯味矯臭薬及び全体的な外観からなるグループから選択される。いくつかの実施態様では、食品又は他の生物材料が、溶接密封包装されたもの、貯蔵安定性のあるもの、及び溶接密封包装された貯蔵安定性のあるもののうちの1つである。いくつかの実施態様では、食品又は他の生物材料が、サツマイモ又はジャガイモ(例えばIrish potato)である。
【0020】
本出願によって開示される主題はさらに、ある熱処理法を使用して滅菌された対照食品又は他の生物材料に比べてより程度よく維持された1つ又は複数の品質属性を有する商業的に無菌の食品又は他の生物材料において、この熱処理法が、基準食品又は他の生物材料を、基準食品又は他の生物材料の所定の処理温度よりも一貫して高い温度を有する表面と接触させることを含む、商業的に無菌の食品又は他の生物材料であって、(i)溶接密封包装された食品又は他の生物材料、貯蔵安定性のある食品又は他の生物材料、及び溶接密封包装された貯蔵安定性のある食用生物材料のうちの1つであり、(ii)サツマイモ又はジャガイモ(例えばIrish potato)であり、(iii)包装内の食品又は他の生物材料の体積が、タイプ10(Type 10)の缶に収容することができる食品又は他の生物材料の体積を上回る、商業的に無菌の食品又は他の生物材料を提供する。いくつかの実施態様では、追加の酸性成分が包装に追加されない。
【0021】
本出願によって開示される主題はさらに、処理されていない同じタイプの食品又は他の生物材料の品質プロファイルと実質的に一致する、1つ又は複数の品質属性を含む品質プロファイルを有する熱処理された食品又は他の生物材料であって、商業的に無菌で貯蔵安定性のある食品又は他の生物材料を提供する。いくつかの実施態様では、品質属性が、栄養素含量、色、テクスチャ、矯味矯臭薬及び全体的な外観からなるグループから選択される。いくつかの実施態様では、食品又は他の生物材料が溶接密封包装される。いくつかの実施態様では、食品又は他の生物材料が、サツマイモ又はジャガイモ(例えばIrish potato)である。
【0022】
本出願によって開示される主題はさらに、処理されていない同じタイプの食品又は他の生物材料の品質プロファイルと実質的に一致する、1つ又は複数の品質属性を含む品質プロファイルを有する熱処理された食品又は他の生物材料であって、(i)商業的に無菌で貯蔵安定であり、(ii)サツマイモ又はジャガイモ(例えばIrish potato)であり、(iii)包装内の食品又は他の生物材料の体積が、タイプ10(Type 10)の缶に収容することができる食品又は他の生物材料の体積を上回る、熱処理された食品又は他の生物材料を提供する。いくつかの実施態様では、追加の酸性成分が包装に追加されない。
【0023】
本出願によって開示される主題はさらに、流動可能な材料を熱処理する装置を提供する。いくつかの実施態様では、この装置が、(a)流動可能な材料を受け取る導管であって、その少なくとも一部分が電磁放射線透過性の導管と、(b)導管の少なくとも一部分に電磁放射線を供給するデバイスと、(c)流動可能な材料の少なくとも一部分に熱等化を提供するために導管の中又は導管に沿って配置された混合構造物とを含む。いくつかの実施態様では、電磁放射線を、約1×10−4メートル以上の波長で提供することができる。いくつかの実施態様では、電磁放射線を、約3×1012波毎秒以下の周波数で提供することができる。
【0024】
本出願によって開示される主題のいくつかの実施態様では、混合構造物が、導管の変更された断面形状を含む。いくつかの実施態様では、混合構造物が、1つ若しくは複数の受動混合構造物又は1つ若しくは複数の能動混合構造物、或いはその両方を含む。いくつかの実施態様では、この装置が、受動混合構造物又は能動混合構造物、或いはその両方の任意の組合せを含み、混合構造物は、流動可能な材料の相対的に高い温度レベルを有する領域と流動可能な材料の相対的に低い温度レベルを有する領域との間の物理接触及び熱交換を増大させる働きをし、この増大は、混合構造物がない場合には起こらないと考えられる。いくつかの実施態様では、混合構造物が、流動可能な材料全域の温度分布の変動性(標準偏差)を、混合構造物がない場合の流動可能な材料全域の温度分布の変動性(標準偏差)と比較したときに、少なくとも10%低減させる。
【0025】
本出願によって開示される主題のいくつかの実施態様では、この装置が、導管の電磁放射線透過性の前記部分の入口の1つ又は複数の点、この部分内の1つ又は複数の点、この部分の1つ又は複数の出口、及びこれらの組合せからなるグループから選択された位置に、混合構造物を含む。いくつかの実施態様では、この装置が、導管内の流動を一定流量に制御するための制御デバイスを含む。いくつかの実施態様では、この装置が、導管内の流動を、少なくとも0.25ガロン毎分の体積流量に制御するための制御デバイスを含む。いくつかの実施態様では、この装置が、電磁放射線を供給するデバイスのパワーレベルを制御して、導管内の流動可能な材料の加熱が、流動可能な材料中少なくとも1°F毎秒又は0.5℃毎秒の平均バルク温度上昇速度で起こるようにする制御デバイスを含む。いくつかの実施態様では、この装置が、電磁放射線を供給するデバイスのパワーレベルを制御して、導管内の流動可能な材料の加熱が導管の加熱よりも高い速度で起こるようにする制御デバイスを含み、その結果、流動可能な材料の加熱が、流動可能な材料を、流動可能な材料自体の最高温度レベルを超える温度を有する導管の表面と接触させることによる加熱を実質的に含まない。いくつかの実施態様では、この装置が、電磁放射線を供給するデバイスのパワーレベルを制御して、パワーレベルが一定に維持されるようにする制御デバイスを含む。いくつかの実施態様では、この装置が、電磁放射線を供給するデバイスのパワーレベルを制御し、パワーレベルを、所定の質量流量の流動可能な生物材料の所定の熱処理を提供するように予め定められたレベルに予め自動的に設定し、又は手動で調整することができるようにする制御デバイスを含む。いくつかの実施態様では、この装置が、流動可能な材料を冷蔵貯蔵用に包装するための包装デバイス、流動可能な材料を無菌包装するための包装デバイス、及び流動可能な材料を冷蔵貯蔵用に無菌包装するための包装デバイスのうちの1つを含む。いくつかの実施態様では、この装置が、導管と流体連通するように適合された保持管を含む。いくつかの実施態様では、この装置が、流動可能な生物材料の導入前に、流動可能生物材料製品との接触面を商業的に無菌にする能力を有する。
【0026】
したがって、本出願によって開示される主題の目的は、流動可能な材料を熱処理する方法を提供することにある。この目的及びその他の目的は、本出願によって開示される主題によって完全に、又は部分的に達成される。
上述の本出願によって開示される主題の目的、本出願によって開示される主題のその他の目的及び利点は、本出願によって開示される主題の以下の説明及び非限定的な実施例を検討した当業者には明白であろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
(詳細な説明)
I.一般的な考慮事項
連続流マイクロ波加熱は、高速且つ効率的な加熱を提供する食品加工における新しい技術の1つである。この技術を使用した乳製品の均一加熱が、以前の試験に示されている(Coronelら, 2003)。マイクロ波を使用した食品の加熱は材料の誘電特性に支配される。サツマイモピューレ(SPP)の誘電特性は、Fasinaら, 2003に報告されているように、連続流マイクロ波加熱システムを使用した処理に対して有望であると特定された他の製品(Coronetら, 2004)と同様の範囲にある。いくつかの実施態様では、本出願によって開示される主題が、連続流マイクロ波加熱システムによって処理された無菌包装された貯蔵安定性のある野菜ピューレ及びそれを調製するための方法に関する最初の開示を表す。
【0028】
本出願によって開示される主題は、プロセス及び新しい製品群を提供する。記載されるプロセスは、材料(ポンピング可能な食品又は他の生物材料)の輸送、電磁エネルギーに対する暴露、及び能動又は受動温度等化(temperature equalization)を介した温度制御の独自の組合せである。前述の温度等化は、マイクロ波(MW)及び/又は無線周波(RF)透過性材料でできた室又は管内でのポンピング中の流動食品又は他の生物材料の電磁エネルギー場(無線周波又はマイクロ波周波数範囲)への暴露によって達成される急速温度上昇ステージに先行、それと同時、又はその後に続くことにより、第2の熱等化手段を提供する。
【0029】
MW及び/又はRFエネルギー透過性流通室又は管の中での材料輸送(ポンピング)中の電磁エネルギー場への暴露は、加熱ステージのうちの少なくとも1つが、少なくとも1°F毎秒又は0.5℃毎秒の平均バルク温度上昇速度をもたらす限りにおいて、単一の又は複数のステージで実施することができる。
いくつかの実施態様では、処理中の材料が、少なくとも0.25ガロン毎分の体積流量で透過性室/管の中を輸送(ポンピング)されて、最低温度上昇速度が達成される。しかし異なる流量を使用することもできる。
【0030】
機械的温度等化ステップは、相対的に高い温度レベルを有する連続流材料領域と相対的に低い温度レベルを有する材料領域又はストリームとの間の物理接触及び熱交換を増大させる働きをする静的又は能動混合デバイスの任意の組合せを使用することによって実施することができ、これらの混合要素の導入なしでは通常は起こらないと考えられる。機械的温度等化ステップは、前述の電磁エネルギー場への暴露の前、暴露と同時に、又は暴露の後に、個々の処理又はデバイス、或いは処理又はデバイスの任意の組合せによって、実施することができる。機械的混合ステージは一般に、電磁エネルギー暴露ステージ(MW及び/又はRF透過性室/管)の入口点、内部点及び/又は出口の材料流の横断方向の温度分布の変動性(標準偏差)を、(前、同時及び後の能動又は受動)混合要素が実装されていない場合の温度分布の変動性(標準偏差)と比較したときに、少なくとも10%低減させる。
【0031】
開示のプロセスは、滅菌のために必要な温度上昇を達成するために実装された加熱面がない点でも独特である。このことは、通常の処理条件下で、処理材料が直接に接触しているどの表面の温度も、製品塊自体の内部の最大温度レベルを決して超えないことを意味する。
【0032】
上記の全ての処理及びデバイスは、商業滅菌の達成のために必要な適当な温度レベル及び/又は時間−温度履歴レベルの(測定による)確認の前に実施される。上述の手順の後、食品又は他の生物材料を、(a)(一般に無菌処理システムの保持管セクションを使用して)、所定の時間の間、所定の温度レベル又は温度範囲に維持し、無菌条件下で冷却し、予め別個に滅菌された包装に包装し、溶接密封し、或いは(b)滅菌中の食品又は他の生物材料と接触した包装表面と材料自体の同時滅菌を達成するため、(所定の温度レベル)で、非無菌包装の中に、大気圧条件下と加圧条件下のうちの一方で高温充填することができる。この場合には、内容物がまだ熱いうちに、包装を溶接密封する。
【0033】
いずれにせよ、その結果得られる、溶接密封された、貯蔵安定性のある、商業的に無菌の製品は、独自の化学及び物理特性を有する食品又は他の生物材料を含み、栄養素含量、色、テクスチャ、風味、全体的な外観などの品質属性は、商業的に使用可能な他の方法(インパック(in-pack)滅菌、管熱交換器、スクレープドサーフェス(scraped surface)熱交換器、又は高温面の従来の熱交換原理を実現する他のタイプの熱交換器の中に管を含む、従来の間接的な連続流加熱法を使用したホットフィリング(hot-filling))を使用してこれらの製品が滅菌されたときよりもはるかによく維持される。この1つ又は複数の品質属性を、食物又は他の対照生物材料を、食物又は他の対照生物材料の所定の処理温度よりも一貫して高い温度を有する表面と接触させることを含む熱処理法を使用して滅菌された食用又は他の対照生物材料に比べて、いくつかの実施態様では少なくとも5%、いくつかの実施態様では少なくとも10%、いくつかの実施態様では少なくとも15%、いくつかの実施態様では少なくとも20%、いくつかの実施態様では少なくとも25%、いくつかの実施態様では少なくとも30%以上高く、保存することができる。
【0034】
本出願によって開示される主題は、使用可能かつ新しく開発された処理要素の組合せを利用して、食用及び他の生物材料の急速滅菌を達成し、同時に、従来の(バッチ又は連続)熱処理を使用して滅菌された製品と比較して、品質の低下を最小化し、栄養素保持を最大化する、新規のプロセスを提供する。得られる製品の得られる包装サイズ及び範囲は、1回使い切りサイズから、非常に大きな量(例えば100ガロン以上)を含む包装までにわたることができる。製品品質は、包装サイズ範囲全体を通じて一様に高く、このことは、このプロセス及び生み出される製品を、更なる加工、大口配給(レストラン、カフェテリア、病院など)、及び直接消費向け又は他の付加価値製品への更なる加工向けの輸出市場を含む、潜在的な広範囲の被処理材料及び市場に適合したものにする。
【0035】
本開示は、熱処理された、貯蔵安定性のある、商業的に無菌の、食用及び他の生物材料製品を生産するための熱プロセス及び処理送達の条件を定義する。前述の方法によって処理される製品及び材料は、高酸(high acid)又は低酸(low acid)のものとすることができる。本出願によって開示される主題は、高い炭水化物及び/又はタンパク質含量を有する粘性の食用及び他の生物材料に適用されたときに、最も重要な利点を提供する。
【0036】
本出願によって開示される主題はさらに、透過性流通室又は管の中での連続流輸送中の電磁(マイクロ波及び/又は無線周波、或いは無線周波及び/又はマイクロ波として定義される範囲をカバーする周波数の任意の組合せ)エネルギーへの単段又は多段暴露による加熱前、加熱の最中及び/又は加熱後の温度等化手段として、能動及び/又は静的混合要素を導入する。
【0037】
貯蔵安定性のある商業的に無菌の製品を生産するための急速滅菌を達成するのに必要な温度レベル及び温度レベル分布を達成する現行の技術は主に、間接加熱及び食品又は他の生物材料と加熱された表面との接触による、熱交換に依存する。これは、低い熱交換速度及び低いバルク材料温度上昇速度をもたらし、高温面への長い暴露時間、及びこれに関連した栄養素含量、矯味矯臭薬、色、全体的な外観、テクスチャなどの品質属性の広範な劣化を必然的に伴う。しばしば、熱交換面に生物材料が焼け付き、熱伝達及びプロセスランタイムを低減させる。さらに、焼け付いた材料の剥離が完成した製品にいやな矯味矯臭薬を与えることもある。非常に限られたケースでは、製品内への水蒸気注入又は過熱水蒸気環境への製品の導入による、被処理材料と過熱水蒸気の直接接触によって、より急速な熱送達を達成することができる。どちらの場合も、材料組成物は負の影響を受け、後に、加えられた水を製品から除去する必要がある。さらに、これらの方法は、必要な急速加熱を達成するために必要な急速な熱放散を可能にする非常に高い熱拡散率を有する小さな限られた製品群にしか適用することができない。より濃厚な、より粘性の、又は懸濁固体粒子を含む均質な材料に対しては、これらの方法を適用することができない。
【0038】
いくつかの実施態様では、本出願によって開示される主題の要素の1つが、高い炭水化物含量及び/又は高いタンパク含有量を有する一群の粘性又はウイークゲル(weak gel)材料、並びに開示された滅菌手順を実施することによって得られる降伏応力でずり減粘を示す製品、具体的には貯蔵安定性のある高炭水化物及び/又はタンパク質含量製品である。
【0039】
これらの製品の独自の特性は材料ごとに異なるが、いくつかの共通の要素がある。
・加工及び包装ステージの全体を通じて連続輸送モードを達成するため、製品はポンピング可能な状態にある。
・本出願によって開示される主題を実施することによって得られる滅菌された貯蔵安定性のある製品の保持品質属性及び特性は、現在使用可能な他の任意の加工及び保存手順によって得られる製品及び材料の場合よりも、元の材料の属性及び特性に近い。これらの属性及び特性は例えば、タンパク質の劣化/変性速度(最小化);色、粘度、テクスチャ、矯味矯臭薬及び/又は栄養素含量の保持速度(最大化);並びに/或いは先に概説した基準以外の望ましくない化学及び物理変化の速度(最小化)である。被処理材料に応じて、これらの基準は、熱感受性ビタミン(ビタミンC/アスコルビン酸、βカロテン/ビタミンA、チアミンなど)、天然色素及び/又は抗酸化物(クロロフィル、カロテノイド、アントシアニンなど)などのさまざまな化学成分の保持を指す。
・包装のサイズ及び形状にかかわらず、高いレベルの保持属性及び特性が、包装環境全体を通じて均一である(すなわちこれらの特性の変動性及び範囲が、包装内の全ての点で最小である)(このことは、現在入手可能な貯蔵安定性のある同様の製品にはあてはまらない)。
【0040】
最近、食物及び他の生物材料の連続流ストリームに急速加熱処理を送達する新しい洗練されたデバイスについて多くのことが知られるようになった。オーム、電気加熱、無線周波及びマイクロ波エネルギーを使用した急速加熱のような処理は全て、所望の熱レベル及び熱速度を被処理材料に送達するのに必要な速度及び効率を要求する。
【0041】
おそらく、このタイプの最も洗練された先進のデバイス群は、米国ノースカロライナ州MorrisvilleのIndustrial Microwave Systems社製の特許された円筒形マイクロ波ヒータ/リアクタである。これらのデバイスは、ヒータ/リアクタ暴露キャビティを出た材料の内部の均一な加熱速度及び均一な温度分布を達成するために選択の標的材料に慎重に適合させた独自仕様の集束構造の正確なモデリング及び組立てを使用して構築される。
【0042】
残念なことに、選択された材料特性セットへこの設計を正確に組み合わせることは、理論的な意味で非常に明白で印象的な技術的利点を提示するが、同時に、実際の応用の意味でこの技術の最も重大な欠点を提示し、時が経つにつれて、そのより幅広い工業及び商業的実施において、最大の障害となる可能性がある。
【0043】
その理由は複数ある。厳密に定義された単一条件セットの下で、単一の材料に対する理論的に完璧な(均一な)温度分布を達成することは望ましいが、このような明確に定義された材料特性セット及び厳密に定義された条件セットは、食用及び他の生物材料加工の現実世界ではめったに遭遇しない。
加工業者が対象としうるおそらく非常に幅広い範囲から狭く定義された材料に対応するためにプロセスラインを分解、再組立てする必要があるいくつかの個別のリアクタ/ヒータデバイスに投資するこの選択肢は、非常に費用がかかり、わずらわしいであろう。
【0044】
連続流マイクロ波及び/又は無線周波処理の実施において考慮すべき特性及びプロセスパラメータ条件は数多く、それらの条件は、温度、実現される剪断速度、プロセス中に材料内に生じる付随する物理及び化学変化などの他の条件と相互依存関係にあることがあり、これには以下のものが含まれるが、これらに限定されるわけではない。
・材料の誘電特性(マイクロ波エネルギーの熱への変換の速度及び効率を決定する特性)は、温度、組成並びに付随する物理及び化学変化に依存する。食物及び他の生物材料の組成の変動性はよく知られており、そのため、たとえその処理が、ある材料特性セットに完全に適合されているときでも、生育条件、栽培法、栽培品種、季節、病害虫の有無、局所性及び季節性気候による自然変動が、材料の組成、したがってその結果生じる取合せ、並びにマイクロ波及び/又はRF処理の効率及び質に影響を及ぼすことがある。
・被集束アプリケータデバイスの設計は一般に、(処理中の単一の暴露温度又は限られた暴露温度範囲に基づいて仮定した)単一の誘電特性又は狭い範囲の誘電特性に重点を置く。しかし、加熱中に達成される温度差は、処理要素の設計において仮定した範囲をはるかに超える。場合によってはこれが、設計時には考慮しなかった製品タイプ及び温度範囲に関して、エネルギー結合効率の低減、温度均一性の低下、温度分布の変動性の(いくつかのケースでは急激な)拡大につながる。
・加熱中及び加熱後の製品の流動分布は、温度範囲、体積及び質量流量、並びに粘度、テクスチャなどの被輸送材料の物理特性に依存する。ほとんどの場合、これらの特性は温度と剪断速度の両方に依存する。層流及び乱流プロファイルの一般的なケースに加えて、局部加熱によって引き起こされる材料のチャネリング(channeling)並びに温度及び剪断速度の増大による粘度の低減を含む、中間的な独自の流動分布シナリオが無限にある。これらは全て、合理的に対処することができず、加熱モデル法のために選択された幅の狭い条件セットを使用するうまく制御された滅菌プロセスに組み込むことができない、遭遇する条件及び潜在的な条件の極めて複雑な条件セットとなる。
・滅菌された食物及び他の生物材料は、滅菌レベル熱処理への暴露中に、圧倒的な数の多種多様な化学及び物理変化を受ける。これらの変化には、食物及び他の生物材料中に存在するさまざまなバイオポリマー及び巨大分子構造からの水(タンパク質、炭水化物及び多糖分子に結合した水)の取込み及び放出が含まれる。この水は、pH、温度、溶質又は固体の濃度、環境のイオン強度などを含むさまざまな条件に基づいて結合し、放出される。ただし条件はこれらに限定されるわけではない。被処理材料の誘電、流動及び熱放散挙動に影響する変化にはこの他、タンパク質の変性(unfolding)及び変性(denaturation)、ゲル(ペクチン、デンプンベースのゲルなど)の形成及び分解、脂質成分の溶解及び/又は固化などの物理状態の変化などがある。最後に、化学変化及び化学反応は、物理特性、特に誘電特性に影響を及ぼすだけでなく、熱エネルギーの生成(発熱)又は消費(吸熱)をも引き起こし、これはさらに、加熱プロセス及び方法自体に無関係な、付随する温度上昇及び/又は材料の減少を引き起こす。
【0045】
まとめると、記載の因子及びパラメータ、並びに追加の因子及びパラメータは全て、狭く定義された標的集束デバイスの応用を、これらの変化が存在しないか又は最小限であり、或いは熱拡散特性又は自然流量乱流が非常に大きく、同時温度等化効果を流れに提供する、数少ないケースに限定する。残念なことに、これらの材料は一般に低価格であって、RF又はMW加熱ユニットなどの洗練された高コスト滅菌機器に投資する費用を正当化するには至らず、また、これらの材料は、使用可能な他の手段によって容易且つ経済的に処理することができる。
【0046】
さらに、現在使用可能なモデリング及びシミュレーション技法並びに計算装置は、上記の変化及び変動の近似しか提供することができない。これらの洗練さが増大し、より多くの要素がシミュレーションに組み込まれるにつれ、これらのモデルから非常に貴重な情報及び理解を得ることができる。しかし、現在のところそれらはまだ、これらの複雑なプロセスを適切に解釈するために必要な全ての要素及びパラメータに対処する十分な包括的ベースを提供するには至っていない。
【0047】
したがって本出願によって開示される主題は、これらの懸念に対する実際的な解決策を提示する。より幅の広い運転条件セット及び潜在的な材料のずっと幅広いターゲット範囲の下で、追加の混合及び温度等化デバイスをプロセスに組み込み、単一のタイプのエネルギー集束デバイス又はエネルギー集束デバイスの構造設計の使用を維持しながら、少なくとも2つの利点を達成することができる。例えば、電磁エネルギー場への暴露による加熱前、加熱中又は加熱後の温度等化の一方法として、静的又は能動機械混合を実施することによって、本出願によって開示される主題は、標的被処理製品の範囲、温度範囲、流量及び分布条件を拡張するための実際的な戦略を提供し、上記の全てのパラメータ及び事象からの効果にさらに対応し、それらの効果を等化することができ、(b)能動又は静的混合と組み合わせたときに、これらの方法及び高価な集束構造の実現は、許容される均一性及び分布条件での滅菌レベル温度の急速な達成のために重要ではない。別の言い方をすれば、本明細書に記載した装置及び方法は、電磁エネルギー暴露並びに急速滅菌速度及び効果の送達の代替の集束及び非集束法の適用可能性の範囲を拡張することができる。
【0048】
多数のさまざまな食物及び他の生物材料が、開示のプロセス及び装置に適合する。果実ピューレ及びホモジェネートを、高酸材料の滅菌保存に適した温度レベル(95〜100℃)で処理し、次いで高温又は低温で充填し、又は無菌条件下で充填することができる。
【0049】
遭遇した温度分布、及びプロセス中の静的又は能動混合によってこれらの分布に対処する必要性を評価し、例示するために、本発明の共同発明者らによって、再循環加熱技術を使用して、50種類を超える異なる食物及び材料の予備データが生成された。
【0050】
以下の特許及び特許公報の開示は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれている:米国特許第6,797,929号、6,583,395号、6,406,727号、6,265,702号、6,121,594号、6,087,642号及び5,998,774号;米国特許出願公開第20030205576号及び第20010035407号;並びにPCT国際特許出願公開第WO0143508号、第WO0184889号及び第WO0036879号。
【0051】
II.定義
以下の用語については当業者によって十分に理解されていると思われるが、本出願によって請求される内容の説明を容易にするため、以下に定義を記載する。
長年の特許法の慣例に従って、特許請求の範囲を含む本明細書において使用されるとき、用語「a」、「an」及び「the」は「1つ又は複数の」を指す。
本明細書で使用されるとき、用語「約」は、例えば別の測度に対する値又は量について言及するときに、それが適当であるときに、いくつかの実施態様では±20%、いくつかの実施態様では±10%、いくつかの実施態様では±5%、いくつかの実施態様では±1%、いくつかの実施態様では±0.1%の、指示値又は指示量からの変分を包含することを意味する。
【0052】
本明細書で使用されるとき、「有意性」又は「有意」は、2つの以上の構成要素間に無作為ではない関連性がある確率の統計的解析に関する。ある関係が「有意」であるか否か、又はある関係に「有意性」があるか否かを判定するためには、データの統計的操作を実行して、いくつかの実施態様では「p値」と表現される確率を計算することができる。ユーザ定義の切捨て点よりも低いp値は有意とみなされる。いくつかの実施態様では0.05以下、いくつかの実施態様では0.01未満、いくつかの実施態様では0.005未満、いくつかの実施態様では0.001未満のp値が有意とみなされる。
【0053】
本出願によって開示される主題は、流動可能な材料を熱処理するための連続流法を提供する。本明細書で使用されるとき、用語「流動可能な材料」は、1点から別の点へ実質的に均一に流すことができる任意の材料を指す。例えば、いくつかの実施態様では、流動可能な材料を、1つの位置から別の位置へ層流によって移動させることができる。いくつかの実施態様では、流動可能な材料が、降伏応力によって特徴づけられるずり減粘性又はずり増粘性である高粘性/半固体材料を含む。
【0054】
いくつかの実施態様では、生物材料が、生物材料のレオロジー特性、誘電特性及び熱物理特性に基づいて選択される。いくつかの実施態様では、生物材料が、高デンプン含量、高タンパク質含量、高固形物含量、高粘性(例えば従来の熱処理プロセスが望ましい方法でなくなるの約25℃における高粘性)、及び低熱伝導率(例えば1W/m・K未満)からなるグループから選択された、1つ又は複数の特性を有する。いくつかの実施態様では、生物材料が、濃厚な野菜ピューレ、薄い生物材料ゲルなどを含む。サツマイモピューレを含む濃い/粘性の食品又は生物材料の代表的な流動特性及び降伏応力を表1及び2に示す。
【表1】
【表2】
【0055】
本明細書で使用されるとき、用語「熱処理する」及びその文法上の異形は、流動可能な材料(例えば生物材料)を、時間が経つにつれて、又は混合しながら電磁放射線に暴露した後に、流動可能な材料の全体の温度が、それによってその処理を達成するのに適当なレベルまで増大する条件に暴露することを指す。いくつかの実施態様では、熱処理が、生物材料を殺菌又は滅菌するように設計される。
【0056】
本明細書で使用されるとき、用語「殺菌(pasteurization)」及び「殺菌された(pasteurized)」は、例えばサルモネラ属、リステリア属又は他の病原微生物による感染の恐れなく、その生物材料を食用とし又は被検者に投与することができる程度に、処理中の生物材料に含まれる病原微生物を十分に殺すのに足る処理を指す。実際上、殺菌は、冷蔵条件下で繁殖又は増殖できない状態に病原微生物を置く処理と考えることができる。殺菌法は、製品中の細菌を、いくつかの実施態様では少なくとも4対数サイクル(log cycle)、いくつかの実施態様では少なくとも6対数サイクル、いくつかの実施態様少なくとも9対数サイクルで減少させる。
【0057】
本明細書で使用されるとき、用語「超殺菌(ultrapasteurization)」は、周囲条件又は冷蔵条件(例えば4℃以下、ただし凍結温度以上)下で、以前に知られている殺菌法を使用して達成可能な販売可能な貯蔵期限よりも長い販売可能な貯蔵期限を有する殺菌された製品を与える殺菌を指す。例えば米国特許第4,808,425号を参照されたい(本明細書に引用される全ての特許の開示はその全体が本明細書に組み込まれる)。本明細書で使用されるとき、句「販売可能な貯蔵期限」は、貯蔵中に変化するいくつかの特性が、消費者に対する訴求力を失う程度まで製品を変化させる前に、製品を貯蔵できる、且つ/又は消費者の販売用途に使用可能である時間を指す。製品の貯蔵中に変化しうる代表的な特性には、色レベル、粘性レベル、食味特性、香気及び微生物レベルが含まれるが、これらに限定されるわけではない。したがって、超殺菌法は、販売可能な貯蔵期限の長い製品、例えば、いくつかの実施態様では10日超、いくつかの実施態様では14日超、いくつかの実施態様では4から6週間、いくつかの実施態様では36週以上の貯蔵期限を有する製品を生み出す。
【0058】
いくつかの実施態様では、超殺菌が、a)生物材料を導入する前に処理ユニットの接触面領域を滅菌し、b)通常の殺菌に付随する熱処理よりも強いが、商業的に無菌とみなされるほどには強くない(ただし商業的に無菌の範囲の処理を使用することもできる)熱処理を生物材料に加え、c)延長貯蔵期限詰込機(Extended Shelf Life (ESL) filler)及び/又は無菌詰込機内で包装し、d)貯蔵中、製品を冷蔵下に保持する、ことを指す。超殺菌製品は、生産を許可する米国食品医薬品局からの非拒絶書簡(no rejection letter)を必要とする低酸貯蔵安定製品とはみなさず、冷蔵されなければならず、限定された貯蔵期限を有する。
【0059】
いくつかの実施態様では、熱処理が、貯蔵安定性のある生物材料を与える。本明細書で使用されるとき、用語「貯蔵安定性がある」は、本明細書に記載されている熱処理がされていない同じ生物材料に比べて、腐敗又は微生物増殖なしで、室温でより長期間貯蔵することができる生物材料を指す。貯蔵安定性のある生物材料は、室温で、いくつかの実施態様では10日超、いくつかの実施態様では14日超、いくつかの実施態様では4から6週間、いくつかの実施態様では36週以上、腐敗又は微生物増殖なしで貯蔵することができる。貯蔵安定性のある商業的に無菌の製品が1年以上の貯蔵期限を有することは珍しくない。
【0060】
貯蔵安定性があると商業的に無菌とは、本出願によって開示される主題の目的上、相互に交換可能に使用することができる。構成要素には、a)生物材料を導入する前に処理ユニットの接触面領域を殺菌すること、b)統計的範囲において周囲温度での微生物及びその胞子の増殖の危険性を除去する熱処理を生物材料に加えること、c)無菌詰込機を使用して溶接密封された容器に包装すること、及びd)流通貯蔵の間、製品を周囲温度に保持すること、が含まれる。低酸貯蔵安定製品は、生産を許可する米国食品医薬品局からの非拒絶書簡を必要とする。
【0061】
「貯蔵安定性のある」と「販売可能な貯蔵期限」とは必ずしも相互に交換可能な用語ではないことに留意されたい。例えば、製品は、その販売可能な貯蔵期限を超える期間、貯蔵安定性でありうる。時間の経過とともに製品に起こりうるある種の変化が、微生物の増殖とは無関係であり、販売可能な貯蔵期限に負の影響を及ぼす場合、所与の製品の販売可能な貯蔵期限は一般に、それが貯蔵安定である期間よりも短い。
【0062】
用語「無菌包装する」又は無菌詰込機内で包装されるは、製品自体によって運ばれる微生物及びそれらの胞子以外の微生物及び胞子の排除を意味する。無菌包装詰込機は、生産運転の前に予め滅菌される。いくつかの実施態様では、熱処理された生物材料を導入する前に、無菌包装材料が予め滅菌される。
用語「生物材料」は、タンパク質、デンプン又は糖などの生体構成要素を含む任意の材料を意味する。代表的な生物材料は、例えば連続流熱プロセスなどの熱プロセスを使用した処理になじむ生物材料である。いくつかの実施態様では生物材料が食物又は食品である。
【0063】
用語「生物材料」はさらに、ある種の環境条件にさらされた場合、或いは標準品質又は標準特性に到達するように適切に処理されなかった場合に、標準品質又は標準特性からの逸脱を生じやすい固体又は流体材料或いは固体又は流体製品を指す。いくつかの実施態様では「生物材料」が食用材料を指す。したがって用語「生物材料」はさらに、消費者によって摂取され又は消費者に投入される材料又は製品を含むことを意図する。
【0064】
例えば食物及び他の生物材料は、標準品質又は標準特性からの逸脱を生じやすい。包装の中に含まれる食用また他の生物材料中での微生物増殖は、特に、包装の中の食品又は他の生物材料が適切に冷蔵されていない場合、或いは食品又は他の生物材料中の微生物及びそれらの胞子を殺すのに十分なレベルまで熱処理されていない場合に起こりうる。微生物の増殖は、食品又は他の生物材料の特性の標準特性からの逸脱を生み出す。例えば、微生物増殖は、食品又は他の生物材料を含む包装内にガスを発生させる。主に微生物の代謝プロセスによって生み出される二酸化炭素であるこのガスは、同様の包装の中の食品又は他の生物材料の標準特性からの逸脱を表し、同様の包装の中の標準品質の食品又は他の生物材料の中にこのようなガスは存在しないはずである。さらに、微生物の増殖自体が、標準、すなわち微生物増殖の不在に対する逸脱を表す。
【0065】
「生物材料」の例にはこの他、医薬品、血液及び血液製品、並びにシャンプーなどの個人用保健製品が含まれる。シャンプーのような個人用ヘルスケア製品は、消費者によって摂取されるものではないが、通常、タンパク質のような生体構成要素を含む。
【0066】
用語「特性」は、生物材料又は生物材料用の包装の特徴を意味する。具体的には、用語「特性」は、生物材料又は生物材料の包装が、消費者による使用及び/又は摂取に適しているか否かを判定する生物材料又は生物材料の包装の特徴を記述するものである。用語「品質属性」は、所与の生物材料にとって望ましいかもしれない本明細書に開示された任意の特性を含むことができる。したがって用語「品質プロファイル」は、所与の生物材料にとって望ましいかもしれない本明細書に開示された特性又は品質属性の任意の組合せを指すことができる。
【0067】
用語「標準特性」は、生物材料及び/又は生物材料用包装が消費者による使用に適していることを指示する、生物材料及び/又は生物材料用包装の特性を意味する。いくつかの実施態様では、用語「標準特性」が、所与の特性の標準又は品質レベルを意味し、これに対して未知の特性を比較することができる。
【0068】
例えば、生物材料の特性及び標準特性はそれぞれ、生物材料の組成物の特性を含むことができる。本明細書で使用されるとき、「特性」は、変化したときに、処理された生物材料の消費者にとっての望ましさに影響を及ぼす生物材料の特性を指す「品質属性」でありうる。代表的な品質属性には、栄養素含量、色、テクスチャ、矯味矯臭薬、全体的な外観、脂肪含量、水組成及びこれらの組合せが含まれる。ただしこれらに限定されるわけではない。
【0069】
本明細書で使用されるとき、用語「熱等化」は、生物材料の温度が、選択された領域(例えば断面)全体を通して実質的に均一な状態を指す。したがって「熱等化」は、選択された領域の全域の温度分布の変動性が最小化された状態である。選択された領域の温度が設定された温度値の範囲内にあることは要求されないが、熱等化は、いくつかの実施態様では20℃以下、いくつかの実施態様では15℃以下、いくつかの実施態様では10℃以下、いくつかの実施態様では8℃以下、いくつかの実施態様では6℃以下、いくつかの実施態様では5℃以下、いくつかの実施態様では3℃以下、いくつかの実施態様では1℃以下の温度変動性を包含することができる。熱等化は或いは、選択された領域(例えば断面)全体を通した変動性パーセントに関して表現することができる。したがって、変動性パーセントは、選択された領域内に存在する最も高い温度と最も低い温度の間の、いくつかの実施態様では20%未満、いくつかの実施態様では15%未満、いくつかの実施態様では10%未満、いくつかの実施態様では8%未満、いくつかの実施態様では5%未満、いくつかの実施態様では3%未満、いくつかの実施態様では2%未満、いくつかの実施態様では1%未満の差を包含することができる。
【0070】
いくつかの実施態様では、熱等化が、最低温度が熱処理の目標を達成するのに十分であり、選択された領域内のどの位置においても、生物材料の関心の特性に負の影響を及ぼすことがない、十分に小さい温度差を包含する。
【0071】
いくつかの実施態様では、流動可能な材料の混合が熱等化を促進する。いくつかの実施態様では、混合が、加熱/電磁エネルギーへの暴露の前、最中又は後に、導管の流通領域の断面の形状、輪郭及び/又は面積を静的又は動的に変化させることによって達成される。形状は、円形から楕円形、三角形などにわたる導管の断面形状を指し、輪郭の変化は、単一又は複数の混合バー、混合シャフト又は他のこのような突起などの挿入物の包含を指し、面積は、異なる断面を有すること、及び/或いは混合バー又は静止流動障害物への付着物による、導管の流通径の増大又は低減、及び流通面積の変動を指すことができる。
【0072】
当技術分野ではよく知られているように、用語「溶接密封された」は、材料(例えば生物材料)を含む包装を、微生物及びその胞子を排除して密封する任意の密封プロセスを意味する。生物材料の場合には、微生物及びその胞子を除去するため、密封の前に、生物材料が、熱処理又は他の方法によって処理される。包装に入れられ、適当に溶接密封された適当に処理された生物材料はおそらく、他の適当な貯蔵条件が必要に応じて実現されるならば、長期にわたり、消費者による摂取又は他の使用に対して適したものであり続けるであろう。したがって、用語「溶接密封された包装」或いは用語「溶接密封された」はまた、包装の中に含まれる生物材料を、消費者による摂取又は他の使用に適したものとして長期間保つ密封を有する包装と定義することができる。
【0073】
用語「滅菌する」、「滅菌」及びこれらの文法上の異形は、製品が、何らかの条件下で増殖する能力がある生存可能な生物又は胞子を含まない(分離することができず、最適な実験室条件で増殖させることができない)ことを意味する。いくつかの実施態様では商業的に無菌の製品が望ましい。用語「商業的に無菌」は、非冷蔵、周囲温度の流通及び貯蔵中に製品が保持されることを意図された条件において製品内で増殖することができる微生物及び/又は胞子を製品が含まないようにするのに十分な加熱によって、単独で、或いは他の材料及び/又は処理と組み合わせて、達成される状態を意味する。商業的に無菌の製品は、その製品に対して意図された貯蔵条件ではない条件で発芽し、増殖することができる胞子を有する可能性がある。商業的に無菌の製品中で増殖する胞子は決して病原性ではありえない。
【0074】
用語「熱特性」は、材料(例えば生物材料)が熱を受け取り又は放出する方法に関係した流動可能な材料(例えば生物材料)のあらゆる特性を意味する。その例には、熱伝導率又は熱侵入速度、冷却速度、温度及びこれらの組合せが含まれるが、これらに限定されるわけではない。代表的な熱特性には、熱侵入速度及び冷却速度を含む温度変化速度が含まれる。
本出願によって開示される主題の方法を、連続流処理において使用することができる。本明細書で使用されるとき、「連続流処理」は、使用中の処理装置内で製品の連続ストリームが維持される方法を指す。連続流熱処理装置は、加熱、保持及び冷却セクションを含むことができ、これらの中に製品の連続ストリームが維持される。
【0075】
連続流処理が使用されたときに、本出願によって開示される主題を実施する際に加えられた熱処理を、当量点法(equivalent point method)を使用して評価することができる。この方法は、連続流機器内の製品によって受け取られる熱処理全体を説明する。当量点法を使用して、連続流加熱中の製品に対する熱効果を分析する手順は、以前に概説されており(Swartzel, 1982、Swartzel, 1986、米国特許第4,808,425号)、当業者に知られている。
【0076】
いくつかの実施態様では、本出願によって開示される主題が、電磁スペクトルのマイクロ波及び無線受信に伴う部分(すなわち約500キロヘルツ(kHz)から約110メガヘルツ(MHz)の周波数を有する電波、又は約1メートルから104メートルの波長を有する電波)を利用する。具体的には、本出願によって開示される主題は高周波電磁放射線を使用する。本明細書で使用されるとき、句「高周波電磁放射線」(high frequency electromagnetic radiation (HFER))は、無線周波及びマイクロ波を含むと当業者によって理解されている電磁放射線を指す。したがって、HFERは、約3×1012波毎秒以下、いくつかの実施態様では約15MHzから約300GHzの周波数を有することができる。HFERは、約1×10−4メートル以上、いくつかの実施態様では約1ミリメートルから約20メートルの波長を有することができる。交流電流は、所望の周波数及び波長の電磁波を生成し、その電磁波は、自体が伝わる媒質の速力特性で伝わる。所与の流動可能な材料(例えば生物材料)の中の特定の波の波長(λ)は、(発生器の関数として)一定の周波数fと、製品中の波の速度に依存するvについての知識から決定される。
【0077】
いくつかの実施態様では、本出願によって開示される主題がマイクロ波加熱を含む。マイクロ波加熱のために使用される周波数は、マイクロ波として分類される周波数範囲全体を包含する。米国では工業加熱応用に対して特定の4つの周波数帯だけが使用される。これらの4つの周波数帯は米国連邦通信委員会によって割り当てられ、ISM(Industrial-Scientific-Medical)周波数と呼ばれている。これらの周波数帯の周波数は915MHz、2450MHz、5800MHz及び24,125MHzである。産業マイクロ波機器の使用者は、レーダ及び通信を妨害しないように選択されたこれらの4つの周波数帯に関して、無制限にパワーを生み出すことが許されている。本出願によって開示される主題はISM周波数加熱の適用を含むことができるが、本出願によって開示される主題はこれらの選択された周波数に限定されない。
【0078】
本出願によって開示される主題は、HFERを利用して、処理中の製品の内部に熱を生み出し、製品機能の損失なしで微生物の駆除を引き起こし、生物材料と直接に接触した表面への製品の付着を低減させ、又は排除する。電磁波を使用した微生物不活性化は、従来の加熱プロセスと同様の熱効果に起因し、微生物の生化学成分と電磁場との間の未知の相互作用による熱効果を含み、これらの組合せを含むことができる。例えばAdey, 1989を参照されたい。しかし、熱を生み出す電磁波は一般に、従来の熱だけを使用して生み出される微生物の駆除レベルと同様の微生物駆除を与える。例えばGoldblith, 1975を参照されたい。
【0079】
本出願によって開示される主題では、HFERが流動可能な材料(例えば生物材料)と相互作用するときに、HFERが熱に変換される。電磁エネルギーの吸収は、吸収媒質の分子の運動エネルギーを増大させ、吸収媒質の温度を上昇させる。熱は、加熱中の製品内で生み出されるため、熱伝達面の働きをする加熱された表面との接触は必要ない。したがって、HFER処理を使用するときには、加熱された表面と接触した生物材料の汚染又は燃焼は低減又は排除される。連続流機器では、このことが、プロセスランタイムの延長を可能にし、機器のクリーニングが必要となる前により高い製品処理量を達成することによってより大きな効率を与え、良好な機能特性を有する製品を生み出し、潜在的にいやな矯味矯臭薬を与える熱交換器壁に付着した焼けたフレーク状の材料を排除する。
【0080】
間接熱交換器を使用する大部分の連続流処理プロセスは、流動可能な材料(例えば生物材料)の全体を通じて効率的な熱伝達を達成するために、高剪断乱流を最大化するように設計される。HFER加熱では、粒子状物質が液体と同じ速度で暖まり、このことが、生物材料の流動特性についての心配がより小さくなるように連続流処理装置を設計することを可能にする。タンパク質に対する剪断応力を低減させることができ、生物材料から非常に均質な液体を作る必要性を排除することができる。したがって、本出願によって開示される主題を連続流装置で実施する際には低剪断力ポンプを使用することができる。
【0081】
HFER加熱は、ヒータ設計及び制御が、加熱中の材料の特定の比導電率に依存しない点で、オーム加熱から区別される。例えば、異なる生物材料は、十分に異なる導電率を有することができ、そのため、同じオームヒータでそれらを加熱することは極めて困難であるのに対して、本出願によって開示される主題に基づくHFERプロセス及び装置は、それぞれの製品を等しく効率的に加熱することができるはずである。HFER加熱は、フリーラジカルを生み出さず、その結果、高エネルギー電離放射線を使用してさまざまな生物材料を処理するときに見られる矯味矯臭薬の劣化を生じさせない。
【0082】
所望の周波数の電磁波を発生させる任意の方法を使用して、本出願によって開示される主題を実施することができる。高周波電波又はマイクロ波を生み出す能力を有する任意の商用又は工業用発生器を使用することができる。発生器を並列に又は直列に追加して、生成又は温度を増大させることができる。発生器は、所望の電磁放出に対する規格を満たすように調和的に抑制し、又は他の方法で構築することができる。
【0083】
本出願によって開示される主題の方法を実施するために使用される装置では、処理される製品とHFRW発生器の間に置かれる構造体が、電磁放射線透過性の材料から構築される。本明細書で使用されるとき、句「電磁放射線に透過性」は、電磁放射線(例えば無線周波又はマイクロ波)が材料を実質的に通過する材料の特性を指す。同様に、用語「放射線透過性」及び「マイクロ波透過性」はそれぞれ、放射線透過性及びマイクロ波透過性の材料を指す。例えば、図1に例示された連続流装置では、HFRW発生器に隣接した生物材料を運ぶ導管が、放射線透過性又はマイクロ波透過性材料から製造される。本明細書で使用されるとき、用語「放射線透過性」は、本出願によって開示される主題の方法で使用される周波数の電波を実質上通す材料を指し、材料は、他の周波数の電磁波に対して透過性であってもよいが、そうである必要はない。同様に、用語「マイクロ波透過性」は、マイクロ波に対して実質上透過性な材料を指す。適当な放射線透過性及び/又はマイクロ波透過性材料の例には、ポリテトラフルオロエチレン(例えばTEFLON(商標)又はHOSTAFLON(商標)として販売されている製品)、及びLEXAN(商標)などのポリカーボネート樹脂、又はガラス(例えばKIMAX(商標)強化ガラスプロセスパイプ)などがある。当業者には明白なことだが、放射線透過性及び/又はマイクロ波透過性材料の使用は、HFERへの生物材料の十分な暴露を可能にするのに必要な程度に限って必要である。
【0084】
本出願によって開示される主題の方法とともに使用される連続流装置では、流動可能な材料(例えば生物材料)の連続ストリームを確立するための任意のデバイスを使用して、本出願によって開示される主題を実施することができる。連続ストリームを確立するために使用することができる例示的なポンプは容積移送式ポンプだが、容積移送式ポンプ(タイミングポンプ)は一般に、保持セクション内の製品ストリームの保持時間を正確に規定するために必要である。容積移送式ポンプは、遠心ポンプなどの他のポンピングデバイスと組み合わせて使用することができる。
【0085】
本出願の開示を検討すると、流動可能な材料が処理装置内を適当な速度で運ばれるように、装置内に流動可能な材料の適当な流れが生み出されなければならないことが当業者には明白である。流動可能な材料(例えば生物材料)の流れを生み出すための代表的なデバイスには、重力流動導管及びSINE PUMPS(商標)(Sine Pumps社、Curacao、オランダ領アンティル)などのポンプ、オーガ型ポンプ又はこれらの組合せが含まれるが、これらに限定されるわけではない。可逆的熱硬化キャリア媒質ゲル(例えばメチルセルロース溶液)を使用することもできる。
【0086】
本出願によって開示される主題の方法及び装置を使用して、40°F未満(ただし凍結温度を超える)の温度から160°F超(ただし加熱(cooking)温度未満)の温度で生物材料を処理することが可能である。次いでその製品を、後に論じるように、有害細菌及び腐敗細菌を駆除するのに十分な時間、最終温度に維持することができる。
【0087】
HFER処理の前に、流動可能な材料(例えば生物材料)を約120°Fから155°Fの温度に予熱する任意選択の予熱ステップを使用することができる。予熱システムは、平板、スエプト(swept)、管熱交換器、オームシステム、蒸気噴射、熱水噴射、熱流動食品噴射などの従来の加熱システムを含むことができる。ただしこれらに限定されるわけではない。
【0088】
いくつかの実施態様では、処理中に流動可能な材料(例えば生物材料)が受ける総熱処理が、製品中の微生物個体数を許容されるレベルに低減させるのに十分なものでなければならない。適当な熱処理は、保持時間を予め設定することによって容易にすることができる。本明細書で使用されるとき、用語「保持時間」は、当業界で使用されているその通常の意味を有する。
【0089】
いくつかの実施態様では、この熱処理が、周囲条件又は冷蔵条件下で約4週から約36週の貯蔵期限を有する製品、いくつかの実施態様では周囲条件又は冷蔵条件下で約8週から約36週の貯蔵期限を有する製品を生産するのに十分な熱処理である。本明細書で使用されるとき用語「冷蔵」は、4℃以下の、ただし凍結温度よりも高い温度で貯蔵することを意味する。
【0090】
均一に処理された流動可能な材料(例えば生物材料)を生み出すためには、流動可能な材料(例えば生物材料)のそれぞれの単位量が、実質的に同じ熱処理を受けなければならない。これは、本出願によって開示される主題に従い、他の条件を実質的に均一にして、流動可能な材料(例えば生物材料)のそれぞれの単位量を同じHFERエネルギーに暴露し、混合することによって、達成することができる。
【0091】
熱処理に続いて、製品を、平板熱交換器、スエプトサーフェス(swept surface)熱交換器、液体窒素噴射、CO2ガス噴射又は他の不活性ガスの噴射、水浴への浸漬などの従来の冷却システムを使用して冷却することができる。ただし冷却システムはこれらに限定されるわけではない。
連続流装置の諸要素は、ステンレス鋼管などの従来の衛生的な材料から形成された製品ラインによって相互接続される。
【0092】
低微生物量の製品を得るために、生物材料を通す前に処理装置を滅菌することができる。滅菌は、当技術分野で知られているように、製品と接触する表面に、これらの表面を滅菌するのに十分な温度及び圧力で熱水が、これらの表面を滅菌するのに十分な時間接触するように、加圧された熱水を処理装置に通すことによって達成することができる。他の処理装置滅菌法を使用することもできる。
【0093】
未包装の流動可能な材料(例えば生物材料)を処理後に無菌包装することができる。用語「無菌包装する」は、材料自体によって運ばれる微生物がある場合にはそれを除く微生物を排除して包装することを意味する。生物材料を無菌包装するのに適した、TETRA PAK(商標)TBA/9、TETRA PAK(商標)TR7-ESL、TETRA PAK(商標)Model AB-3-250(全てTetra-Pak Inc.社(米国イリノイ州Vernon Hills)から入手可能である)、Evergreen EQ-4(Evergreen Packaging Equipment社(米国アイオワ州Cedar Rapids))などの機器が市販されている。当業界で「クリーン詰込機」として知られている、微生物を実質的に排除して製品を包装する機器もこのステップを実施する際には有用だが、特に、リステリア属及び冷蔵条件下で増殖する他の微生物の能力を考慮すれば、微生物をより排除する無菌詰込機の方が好ましい。
【0094】
任意選択で、未包装の流動可能な生体材料の均質化(homogenization)ステップを含めることもできるが、一般にそれは必要ない。本明細書で使用されるとき、用語「均質化」は、製品に物理的な力を加えて粒径を低減させることを意味する。このような手順は当技術分野では知られており、さまざまなタイプの機器で実施することができる。いくつかの実施態様では、この均質化ステップが、均質化機器を用いて、全圧約500ポンド/平方インチから約3,000ポンド/平方インチで実施される。
【0095】
次に図37を参照して、品質プロファイルの別の説明を提供する。これは1つには、タイムゼロ(time zero)に対して示すことができるものの概念に関する。具体的には図37は、コールドスポットと平均(バルク)加熱の両方において、MW技法が非常に均一であることを示している。Co値は、Ea値(品質成分範囲のz値)を有する品質係数−設計と相関する。したがって、この業界標準を使用して、タイムゼロにおける製品の品質変化(例えば品質プロファイル)を表すことができる。従来の無菌流動製品に対するコールドスポットも示されている(例えばピューレは一般に層流として最も速くバルクに流動し、したがって2xを任意選択で使用することができる)。したがって、従来の無菌処理及び缶詰法と対比して、コールドスポットの最小リーガルFoを満たすことと本明細書に開示されたMWベースのプロセスのために暴露されるバルクの間には大きな差が存在すると考えられる。例えば、缶詰法(加熱2時間−10番缶)で最小Fo値に対するコールドスポットを得るためには、バルクは80分となろう。さらに、野菜ピューレを缶詰にするのに、缶サイズ10番に対して必要な滅菌時間は121℃で165分であり(Lopez 1987)、Fo値はより長い時間でなければならない。
【0096】
貯蔵期限に関して、本出願によって開示される製品は、使用可能な製品に対する業界標準内にある(例えば粘度、色、香気及び訓練を積んだ官能検査に基づき、市場に出ている従来の使用可能な缶詰及び無菌製品と比較して、18カ月間貯蔵安定であり続ける)と考えられる。しかし、図37を参照すると、タイムゼロで、(100%タイムゼロ未処理から例えば95%タイムゼロ処理品質保持までの比としても示すことができるCo値に基づく)ずっと高いバルク(平均)品質保持から開始し、周囲温度で貯蔵された3つの全ての方法で同じ動的品質劣化を仮定することによって、従来の缶詰製品及び従来の無菌処理製品において、タイムゼロでバルクに対する30〜50%の損失が見られるかもしれない。したがって、貯蔵の間、この差が同じままであると仮定した場合、18カ月時の品質レベルは、本明細書に開示された製品では依然として満足のいくものであるはずであり、一方、缶詰法及び従来の無菌法では品質レベルはよくないと考えられる。
【0097】
したがって図37は、缶詰法及び従来の無菌法よりもMW法の方が優っていることを示していると考えられる。本明細書に開示されるMW法の利点にはさらに空間要件があり、例えばMW加熱管では<1フィートなのに対して従来の技術では250フィートになる。
【0098】
III.装置
III.A.処理装置
次に図面を参照すると、流動可能な材料を熱処理するための装置が全体を10として示されている。図面全体を通じて同様の参照符号は同様の部分を指す。次に図1、9及び10を参照する。装置10は、その中に生物材料調製物PRが供給されるホッパ12を含む。ホッパ12は、ポンプ14と流動(又は流体)連通しており、ポンプ14は、装置10に生物材料調製物PRの流れを供給するように制御される。図1、9及び10における流れの方向は矢印18、30及び44によって示されている。
【0099】
続けて図1、9及び10を参照すると、装置10は、調製物PRなどの流動可能な材料を受け取る導管15を含むことができる。導管15は、一連の導管セクション16、20、22、24、26、28、32、34、36及び38を含む。導管セクション22及び26は、電磁放射線、例えばMW及び/又はRF放射に対して透過性である。装置10はさらに、温度センサT1、T2、T3、T4、T5、T6、T7、T8及びT9のうちの1つ又は複数の温度センサを含み、これらの温度センサは、後述するように、装置10全体の温度を監視するために使用される。
【0100】
続けて図1、9及び10を参照すると、装置10は、導管15の少なくとも一部分に電磁放射線を供給するためのデバイス40及び42を含む。デバイス38及び40はそれぞれ、発生器G1及びG2、並びにヒータH1及びH2を含み、これらに限定されるわけではないが、マイクロ波(MW)放射、無線周波(RF)放射など、所望の任意の形態の電磁放射線を供給する。デバイス42が破線で示されているのは、図9及び10に示された装置10に任意選択で含まれるためである。デバイス40及び42は、矢印MW/RF(デバイス42では破線で示されている矢印)によって示されているように、導管セクション22及び26に電磁放射線を供給するように配置されている。
【0101】
続けて図9を参照すると、流動可能な調製物PRの少なくとも一部分の熱等化を提供するため、導管セクション20、22、24、26及び28の内部に、又は導管セクション20、22、24、26及び28に沿って、混合構造物M1が配置されている。特に図10を参照すると、装置10は、導管15の電磁放射線透過性のセクション22及び26の入口の1つ又は複数の点(例えばP1、P4)、1つ又は複数の内部点(P2、P5)、1つ又は複数の出口(P3、P6)、及びこれらの組合せを含む位置に、混合構造物M1’、M2、M3、M4及びM5を含む。ただし混合構造物の位置はこれらに限定されるわけではない。
【0102】
いくつかの実施態様では、混合構造物M1、M1’、M2、M3、M4及びM5が、導管セクションの変更された断面形状を含むことができる。いくつかの実施態様では、混合構造物M1、M1’、M2、M3、M4及びM5が、1つ又は複数の受動混合構造物、或いは1つ又は複数の能動混合構造物、或いはその両方を含む。実際に、いくつかの実施態様では、混合構造物M1、M1’、M2、M3、M4及びM5が、相対的に高い温度レベルを有する調製物PRの領域と相対的に低い温度レベルを有する調製物PRの領域との間の物理接触及び熱交換を増大させる働きをする、受動混合構造物又は能動混合構造物、或いは受動混合構造物と能動混合構造物の両方の任意の組合せを含むことができ、この増大は、混合構造物がない場合には起こらないと考えられる。いくつかの実施態様では、混合構造物M1、M1’、M2、M3、M4及びM5が、流動可能な調製物PRの横断方向の温度分布の変動性(標準偏差)を、混合構造物がない場合の流動可能な調製物PRの横断方向の温度分布の変動性(標準偏差)と比較したときに、少なくとも10%低減させることができる。
【0103】
再び図1、9及び10を参照すると、装置10は制御デバイスCDを含むことができる。制御デバイスCDは、導管15内の流れを制御することができる。流量は一定流量とすることができ、例えば少なくとも0.25ガロン毎分の体積流量とすることができる。制御デバイスCDは、電磁放射線を供給するデバイス40及び/又は42のパワーレベルを制御することができる。例えば、このパワーレベルを、少なくとも1°F毎秒又は0.5℃毎秒の流動可能な材料内の平均バルク温度上昇速度で導管内の流動可能な材料の加熱が起こるように制御することができる。制御デバイスCDは、電磁放射線を供給するデバイス40及び/又は42のパワーレベルを、導管15内の調製物PRの加熱が導管15の加熱よりも高い速度で起こるように制御することができ、その結果、調製物PRの加熱は、調製物PRを、流動可能な調製物PR自体の最高温度レベルを超える温度を有する導管15の表面と接触させることによる加熱を実質的に含まない。制御デバイスCDは、デバイス40及び/又は42のパワーレベルを、パワーレベルが一定に維持されるように制御することができる。制御デバイスCDは、デバイス40及び/又は42のパワーレベルを、所定の質量流量の流動可能な生物材料の所定の熱処理を提供するように予め定められたレベルに予め自動的に設定し、又は手動で調整することができるように、パワーレベルを制御することができる。本開示を検討した当業者は、これらの変量を、関心の生物材料に応じて予め定めることができる。
【0104】
続けて図1、9及び10を参照すると、装置10は、流動可能な調製物PRを冷蔵貯蔵用に包装するための包装デバイスPD、流動可能な調製物PRを無菌包装するための包装デバイスPD、及び流動可能な調製物PRを冷蔵貯蔵用に包装し、流動可能な調製物PRを無菌包装するための包装デバイスPDのうちの1つを含むことができる。一例として、装置10の包装デバイスは、例えば導管セクション32によって導管15と流動(又は流体)連通するように適合された保持管HT、例えば導管セクション34によって保持管HTと流動(又は流体)連通するように適合された冷却ユニットCU、例えば導管セクション36によって冷却ユニットCUと流動(又は流体)連通するように適合された充填ユニットFU、及び例えば導管セクション38によって冷却ユニットCUと流動(又は流体)連通するように適合された貯蔵ユニットSU、を含むことができる。任意選択で、貯蔵ユニットSUは冷蔵貯蔵ユニットである。任意選択で、流動可能な調製物PRを導入する前に、保持管HT、冷却ユニットCU、充填ユニットFU及び貯蔵ユニットSUの調製物PRと接触する表面を、商業的に無菌とする。制御デバイスCDは、包装デバイスPD及びその構成要素に対して適当な制御信号を供給することができる。図15は、充填ユニットFUによって無菌バッグSBにサツマイモ調製物SPを充填する様子を示す写真である。
【0105】
次に図13A〜13Cを参照すると、温度センサT1が開示されている。温度センサT1は、断面温度分布の測定及び監視のために使用される。温度センサT1は、材料流の方向(図9及び10参照)に垂直な領域の断面カバレージを提供する、単一の又はいくつかのマルチポイント熱電対プローブTPの組合せを含むことができる。温度プローブTPは、連結器COに動作可能に接続されており、連結器COは、制御デバイスCD(図9及び10参照)と連通する。図13Cに示された実施態様では、温度センサT1がさらにクランプアセンブリCAを含み、これは、温度センサT1の取付けを容易にするために使用することができる。鍵となる位置(ヒータの入口及び出口並びに混合要素の入口及び出口)にこのような感知/監視ツールを配置し、利用することを使用して、均一性及び/又は均一性の欠如を試験し、記録し、本出願によって開示される主題に従って温度等化を達成する際のさまざまな混合器具及び工具の効率を例証した。
【0106】
図14A及び14Bは、M1”と呼ぶ例示的な混合デバイスの概略図である。混合デバイスM1”は、以前に挙げた全ての標的位置(加熱前、加熱中及び/又は加熱後。図9及び10を参照されたい)に、同時に、同じデバイスを使用して、機械的混合効果を提供することができる。M1”は混合要素を含み、機械的混合効果は、この混合要素をこれらの領域全体に拡大適用ことによって達成することができる。混合要素は、MW透過性又はRF透過性材料から製造され、暴露領域内での同時回転/周回軌道運動を提供して、形状が固定されないことを保証し、透過性管又は透過性室内の過熱及び/又は暴走加熱の可能性を最小化する。
【0107】
最初に図14Aを参照すると、加熱される材料A’が、L型(elbow-shaped)ステンレス鋼管101を通して加熱セグメントに入り、続いてマイクロ波透過性管セグメント102に入り、そこで、マイクロ波アプリケータの集束構造物又はより単純なマイクロ波暴露領域設計103を使用してマイクロ波によって送達される加熱と、マイクロ波透過性ポリマー(例えばTEFLON(登録商標)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリスルホン、TPX(登録商標)ポリメチルペンテン(PMP)、ポリカーボネート、ULTEM(登録商標)ポリエーテルイミドなどだが、これらに限定されるわけではない)の単一の又は複数の混合要素109を用いた混合とを受ける。材料A’は、マイクロ波暴露領域を出、最初に、ステンレス鋼又はTEFLON(登録商標)で覆われた円筒形強磁性ミキサコア110を含むまっすぐなステンレス鋼管セグメント104に入る。単一の又は複数の混合要素109は、強磁性コアの底部のその円筒形の周縁に取り付けられている。円筒形強磁性コアの頂部にはステンレス鋼スペーサ要素111が取り付けられており、ステンレス鋼スペーサ要素111は、入って来る材料の上方への押出しと、半径方向外側に配置された4つから8つの電磁石a〜dのうちの1つの電磁石の遠心牽引力とを利用して、円筒形コア及びその要素自体の位置を垂直に維持する。電磁石a〜dは一度に1つずつオンにされ、パワーが循環する(ステップ1〜6が連続的に繰り返される)。パワー及び制御は、これに限定されるわけではないが図9及び10に示された制御デバイスCDによる方法など、適当な任意の方法で提供することができる。その結果、強磁性ミキサコア110の半径方向及び回転方向の運動、並びに単一の又は複数のミキサ要素109の回転運動及び周回軌道運動が生じる。これは、マイクロ波の経路に沿ったどの個別点においても集束マイクロ波エネルギー分布を瞬時といえども遮断することなく、マイクロ波暴露領域内での混合作用を提供し、混合要素の半径方向の位置及び流路のまっすぐなステンレス鋼管部分の内周に沿った混合要素の位置は絶えず変化する。この位置の変化速度、したがって混合作用の混合速度は、電磁石スイッチングステップ1から6の速度を増大又は低下させることによって制御することができる。円筒形強磁性ミキサコア110及びステンレス鋼スペーサ要素111は、流動している材料に対する追加の混合を提供する。材料は最後にL型ステンレス鋼管要素105に入り、加熱/混合処理セグメントA”を出る。任意選択で、ヒータ/ミキサ入口112a及び出口112b位置において、単一の又は複数の温度監視設備(例えば本明細書に開示された温度センサT1他)を使用して、達成された温度上昇及び温度分布を監視し、確認することができる。
【0108】
次に図14Bを参照すると、加熱される材料A’が、L型ステンレス鋼管101を通して加熱セグメントに入り、続いてマイクロ波透過性管セグメント102に入り、そこで、マイクロ波アプリケータの集束構造物又はより単純なマイクロ波暴露領域設計103を使用してマイクロ波によって送達される加熱と、マイクロ波透過性ポリマー(例えばTEFLON(登録商標)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリスルホン、TPX(登録商標)ポリメチルペンテン(PMP)、ULTEM(登録商標)ポリエーテルイミドなどだが、これらに限定されるわけではない)の単一の又は複数の混合要素109を用いた混合とを受ける。この材料は、マイクロ波暴露領域を出、最初に、ステンレス鋼又はTEFLON(登録商標)で覆われた円筒形強磁性ミキサコア110を含むまっすぐなステンレス鋼管セグメント104に入る。単一の又は複数の混合要素109は、強磁性コアの底部のその円筒形の周縁に取り付けられている。円筒形強磁性コアの頂部にはステンレス鋼スペーサ要素111が取り付けられており、ステンレス鋼スペーサ要素111は、入って来る材料の上方への押出しと、外側に配置された強力な永久磁石108の遠心牽引力を利用して、円筒形コア及びその要素自体の位置を垂直に維持する。強力な永久磁石108は、ドーナツ形ステージ107の周囲に固定されており、ドーナツ形ステージ107は、電動機駆動回転要素106とのスプロケット、ベルト又はクラッチ摩擦型のインタフェースによってステンレス鋼管のまわりを回転するように駆動される。永久磁石108の周回軌道運動の結果、強磁性ミキサコア110の半径方向及び回転方向の運動、並びにミキサ要素109の回転運動及び周回軌道運動が生じる。これは、マイクロ波の経路に沿ったどの個別点においても集束マイクロ波エネルギー分布を瞬時といえども遮断することなく、マイクロ波暴露領域内での混合作用を提供し、混合要素の半径方向の位置及び流路のまっすぐなステンレス鋼管部分の内周に沿った混合要素の位置は絶えず変化する。この位置の変化速度、したがって混合作用の混合速度は、電磁石スイッチングステップ1から6の速度を増大又は低下させることによって制御することができる。円筒形強磁性ミキサコア110及びステンレス鋼スペーサ要素111は、流動している材料に対する追加の混合を提供する。材料は最後にL型ステンレス鋼管要素105に入り、加熱/混合処理セグメントA”を出る。任意選択で、ヒータ/ミキサ入口112a及び出口112b位置において、単一の又は複数の温度監視設備を使用して、達成された温度上昇及び温度分布を監視し、確認することができる。
【0109】
III.B.マイクロ波及び/又は無線周波透過性管
本出願によって開示される主題は、食物、飲料、化学物質及び生物材料のマイクロ波熱処理中の流通(flow-through)管故障のこれまで知られている原因に対処する、マイクロ波透過性複合管と衛生フィッティング(fitting)の複合統合設計を使用することができる。
【0110】
新しいマイクロ波(MW)及び他の非接触加熱(例えば無線周波(radio frequency (RF)))技術の出現は、これらのシステムにおいて、比較的に高い温度及び圧力、単位面積当たりの非常に高いエネルギー密度及びスループット、化学的に攻撃的な被処理材料成分から高圧、膨張、ねじれ、振動及び衝撃の物理的応力にわたる高い化学的及び物理的応力の条件下で使用することができる、流通デバイス及びアセンブリの必要性を生み出した。
【0111】
食物、飲料、化学物質及び他の生物材料の連続流熱処理に対して使用される流通デバイス又はキャビティの特性は数が多く、高度に特異的である可能性がある。それらの特性は、以下の望ましい特性に分類することができる。
1.一般的に生じる運転条件下での極めて高いマイクロ波透過性性(非常に低い誘電損率及び誘電正接値)
2.分解又は特性変化なしに滅菌レベルの温度に耐える能力
3.分解又は特性変化なしに滅菌レベルの圧力に耐える能力
4.滅菌レベルの圧力下で、分解又は特性変化なしに滅菌レベルの温度に耐える能力
5.分解又は特性変化なしに、被処理材料の化学的に攻撃的な成分に耐える能力
6.プロセス中に定期的に遭遇する寸法、膨張、熱、振動及び衝撃応力に、分解又は特性変化なしに耐える能力
7.食物又は他の生物材料との接触面に対するFDA、USDA及び医薬品規制の遵守
8.現場清浄化及び衛生のための3A設計要件の遵守
【0112】
いくつかの実施態様において現れうる追加の特性には以下のものが含まれる。
1.可視光透過性又は半透過性。これは、後に付着及び/又は故障につながる可能性がある材料の欠陥を識別し、また、実際のプロセス中に被処理材料の望ましくない沸騰/フラッシングを識別し、ラン中に生じた付着又は欠陥をプロセス後に識別するためである。
2.高光沢であり、平滑で滑りがよく、こびりつかず、ピンホールのない材料接触面。
3.マイクロ波又はRF集束構造(放射体/コンセントレータ/反応器/ヒータ)に迅速且つ容易に挿入し、取り出すことができること。
4.既存の食物、飲料、化学物質及び生物材料処理ラインに、(一般に、トリクランプ(tri-clamp)又は他の衛生型フィッティングなどの標準無菌インタフェーシング構成要素及び標準器(standard)を使用することによって)組み込むことができること。
【0113】
これらの問題及び考慮事項の一部又は全部に適切に対処する容易に商業的に使用可能なデバイスがないことは、食物、飲料、化学物質及び他の生物材料の連続熱処理のための先進のマイクロ波及びRF技術を実現する際の主要な障害の1つに発展した。
【0114】
これまでに4つのタイプのアセンブリ/管が検討された。
タイプ1:それぞれの端部がステンレス鋼圧着式(crimp-on)カラー(collar)フィッティング/衛生接合部(Tri-Clamp)に取り付けられた、半透過性直線押出し−引抜きTEFLON(登録商標)管片からなる複合(3片)TEFLON(登録商標)管。これらのアセンブリは一般に、化学的に攻撃的な内容物又は高温内容物のタンク液面のぞき窓として使用されている。これらのアセンブリを購入し、続いて発明者らの実験室及び実験工場で試験した。
タイプ2:それぞれの端部がステンレス鋼ねじ式(screw-on)又は接着(glue-on)カラーフィッティング/衛生接合部(Tri-clamp)に取り付けられた、滑腔セラミック又はガラス管からなる複合(3片)ガラス又はセラミック管。これらのアセンブリを、マイクロ波製造者の命令及び仕様毎に特異的に組み立て、続いて発明者らの実験工場で試験した。
タイプ3:衛生接合部(Tri-clamp)を含む機械加工又は成形された端部フィッティングを有する滑腔セラミック又はガラス管からなる単片ガラス又はセラミック管。これらのアセンブリを、マイクロ波製造者の命令及び仕様毎に特異的に詳細に組み立てたが、試験には使用できなかった。
タイプ4:衛生接合部(Tri-clamp)を含む機械加工又は成形された端部フィッティングを有する機械加工された先進の平滑表面プラスチック管からなる単片管。これらのアセンブリを、ノースカロライナ州立大学のInstrument Shopで、選択された明細書に従って詳細に組み立て、徹底的に試験した。製造材料には、Ultem 1000(ポリエーテルイミド)、ポリスルホン、ポリメチルペンテン(TPX)及びPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、又は他の適当なマイクロ波透過性ポリマーが含まれる。
【0115】
検討された上記の4つのそれぞれの設計について、以下の望ましい特性が識別された。本発明によって提供される適当な代替解の必要性をさらに例示するため、タイプごとの故障モードも示した。
タイプ1:−平滑で、こびりつかない表面
−MW透過性
−FDA、USDA、Pharmaへの適合性
−一般市場で容易に入手可能であること
−温度抵抗性
−大部分の攻撃的な化学物質に対する抵抗性
典型的な故障モード:運転温度での圧力変形
タイプ2:−平滑で、こびりつかない表面
−MW透過性
−FDA、USDA、Pharmaへの適合性
−温度及び圧力抵抗性
−大部分の攻撃的な化学物質に対する抵抗性
典型的な故障モード:熱膨張率の違いによる鋼とセラミックの接合部における熱応力破損、衝撃破損、及び接着破壊。
タイプ3:−平滑で、こびりつかない表面
−FDA、USDA、Pharmaへの適合性
−温度及び圧力抵抗性
−大部分の攻撃的な化学物質に対する抵抗性
予想される故障モード:熱応力破損、衝撃破損
タイプ4:−温度及び圧力抵抗性
−安価な単一片設計
−FDA、USDA、Pharmaへの適合性
典型的な故障モード:表面が平滑でないことによる材料の付着、付着位置での局所的な過熱、弱い接合部(クランプフィッティング)での応力破損。
【0116】
次に図11A〜11Eを参照すると、一組の管の概略図が示されている。代表的な材料は一般に陰影を使用して示されており、これらは以下のように要約される:中実の陰影、圧着式ステンレス鋼衛生フィッティング;灰色の陰影、PTFE/押出成形PTFE;目の詰まった水平及び垂直のクロスハッチング、Ultem、ポリスルホン又はPEEKスリーブ;斜めのクロスハッチング、MW透過性ハイグレード(アルミナ)セラミック;疎な水平線、機械加工されたPTFE半円柱;密な水平線、複数の厚いPTFEフィルム層。
【0117】
次に、図11A及び11Fを参照すると、いくつかの実施態様では、本出願によって開示される主題に基づく管が、タイプ1アセンブリのTEFLON(登録商標)(又は平滑表面要件に従う他のマイクロ波透過性材料)圧力感受性管セグメント内壁IWの上にかぶせられた、タイプ4管アセンブリの温度及び圧力抵抗性材料(ポリエーテルイミド/Ultem、ポリスルホン、ポリメチルペンテン(TPX)又はPEEK)から製作された収縮円筒形スリーブOSLを含む。この設計は、それによって製品付着故障の発生を低減させる平滑な製品接触面(TEFLON(登録商標))、圧力抵抗特性の数倍の増大(Ultem、ポリスルホン、ポリメチルペンテン(TPX)又はPEEK)、及び衛生接合部点SF(ステンレス鋼でできたクランプフィッティング)における応力による破砕障害に対する高い抵抗性を与える。この設計の結果として、4片管アセンブリ(TEFLON(登録商標)の内壁IW、Ultem、ポリスルホン、ポリメチルペンテン(TPX)又はPEEKのスリーブ、及び2つの圧着式ステンレス鋼衛生クランプフィッティングSF)が得られる。
【0118】
次に図11Bを参照すると、いくつかの実施態様では、本出願によって開示される主題に基づく管が、平滑な製品接触面を提供するためにTEFLON(登録商標)(又は平滑表面要件に従う他のマイクロ波透過性材料)でコーティングされた内径表面IWを有する、タイプ4管アセンブリの製造で使用される先進のポリマーのうちの1つ(Ultem、ポリスルホン、ポリメチルペンテン(TPX)又はPEEK)から製造された、機械加工された単片管を含む。このようなアセンブリは、衛生クランプ接合において応力破損を幾分か受けやすいままであるが、これは、適当な監視によって管理できる。
【0119】
これらの代表的な実施態様に加えて、多数の派生的な設計を組み立てることができ、これには例えば、追加のマイクロ波及び/又は無線周波透過(MWRFT)層又はスリーブ、クリンプ衛生フィッティングの代替材料、並びに機械加工、押出成形及びクリンピングされた構成要素の組合せが含まれる。
【0120】
本明細書では、それによって製品付着故障の発生を低減させる平滑な製品接触面、圧力及び物理抵抗特性の数倍の増大、衛生接合部点(ステンレス鋼でできたクランプフィッティング)における応力による破砕障害に対する高い抵抗性を有する、代表的なMWRFT管アセンブリが開示される。この代表的な管は、MWRFT流通管アセンブリ故障の高い発生率に対処する。これらの故障の高い発生率は、連続流マイクロ波加熱/滅菌技術のより幅広い応用に対する障害の1つである。
【0121】
次に図11C及び11Gを参照すると、いくつかの実施態様では、MWRFT複合管が、MWRFTハイグレードポリマーの代わりに、ハイグレードアルミナセラミックスリーブCSLを外側MWRFT層として使用する。この層はさらに、押出成形内側TEFLON(登録商標)管層IWに対する圧力保護を提供することができる。図11C及び11Gは、任意選択でステンレス鋼を含むクランプフィッティングSFを含む、代表的な実施態様の構成要素及びその例示的な組立て順序を示している。
【0122】
図11C及び11GのMWRFT複合管の一実施態様を構築し、半工業生産条件(60KWヒータユニット、流量1〜2ガロン/分、温度上昇100から140℃)下で実験によって試験した。この実施態様は、以前に試験された他のどの管アセンブリよりもはるかに良好に機能した。一例では、この管を14回の連続ランに対して使用し、合計50時間を超える断続的なランタイムを得た。
【0123】
以前の試験において、他の管アセンブリは1回又は2回使用した後にしばしば故障した。さらに、図11C及び11Gに基づくアセンブリで経験した管故障モードは決して破滅的なものではなかった。すなわち、これらの管は処理ラン中に決して破れず、処理材料は処理システムから漏れなかった(それに対して以前のある種のアセンブリでは、圧力、温度及び付着物形成及び/又は過熱によって生じたさまざまな亀裂、穴及び引裂きによって漏れがしばしば生じた)。
【0124】
しかし、図11Cの管アセンブリも、ある使用期間の後にはついには故障した。したがって使用期間を監視することが望ましい。管故障は、粒子を含む被処理材料の懸濁液、その後の内部管壁への付着、過熱、及び内部管表面の局所的な汚染によって起こり得て、その結果被処理材料の風味及び/又は色の欠陥をもたらす。流通管の内面に付着物が生じた。この付着が十分に深刻であり、長時間の過熱にさらされた場合、管表面は永続的な損傷を受け、管アセンブリが使用不能になる可能性がある。いくつかの例では、アセンブリの1つの構成要素(押出成形内側TEFLON(登録商標)管IW)だけが故障したが、しばしばアセンブリ全体を廃棄する必要がある。ハイグレードセラミックアルミナの外層CSLは再利用できることもあるが、新しい要素を用いた再組立てのコストはかなり高くなることがある。
【0125】
管故障は、ヒータをオフにした後の寒冷ショックによっても引き起こされる。この場合、故障は、内側管層と外側管層の両方が130〜140℃超まで加熱される加熱ランの完了後に、MWヒータへのパワーが切られ、プロセスポンプが冷たい製品を管に供給し続けるときに生じ、管アセンブリの頂部/熱端の外層の寒冷ショック及び亀裂形成を引き起こす。構成要素の1つ(例えば外部セラミック管)だけが故障したときでも、組立てにおいて使用される手順のため、一般にアセンブリ全体を廃棄する必要がある。
【0126】
したがって、管アセンブリの実施態様を構築する追加の2つの目的は以下のとおりである。
1.故障した構成要素の1つの取外し及び交換、並びに新しい交換要素を含む管の再組立てを単純化するために、組立て順序及びプロセスを変更する。
2.過熱から外側セラミック管層を保護し、さらに、パワーをオフにすることよって引き起こされる急激な冷却及びその結果生じる低温の処理材料との直接接触から外側セラミック管層を保護するため、外側セラミック管層を熱的に絶縁する。
【0127】
これらの目的はともに、図11D及び11H並びに図11E及び11Iに示された本出願によって開示される主題の実施態様によって達せられた。図11D及び11Hに示されているように、予め組み立てられた市販の3片押出成形TEFLON(登録商標)のぞき窓IWを、長さに沿って縦に切断して全く同じ2つの半円筒形片とした精密機械加工されたTEFLON(登録商標)管SCで覆った。これらの2つの半円筒形は、ハイグレードセラミック管CSLの外層が、ステンレス鋼クランプSF越しに、機械加工されたTEFLON(登録商標)を含むこれらの2つの半円筒管SCの周囲に引っ張り込まれたときに、TEFLON(登録商標)の内管IWに対してプレスされた。これは、内側TEFLON(登録商標)管IWに対する適当な圧力及び温度保護、外側セラミック層CSLに対する熱的保護、並びに、損傷を受けていない構成要素を繰り返し使用するための組立て、分解及び部品交換の容易さを保証した。
【0128】
図11E及び11Iに、管アセンブリの他の実施態様を示す。予め組み立てられた市販の3片押出成形TEFLON(登録商標)のぞき窓IWの外周に厚いTEFLON(登録商標)フィルムFLを、管及び複数のフィルム層の外径がステンレス鋼クランプSFの外径に近い厚さに達するまで巻くことによって、のぞき窓IWを覆った。巻きつけられた厚いTEFLON(登録商標)フィルムFLの層は、ハイグレードセラミック管CSLの外層が、ステンレス鋼クランプSF越しに、複数のTEFLON(登録商標)フィルムFLの層の周囲に引っ張り込まれたときに、TEFLON(登録商標)の内管IWに対してプレスされ、そのまま保持される。これもやはり、内側TEFLON(登録商標)管IWに対する適当な圧力及び温度保護、外側セラミック層に対する熱的保護、並びに、損傷を受けていない構成要素を繰り返し使用するための組立て、分解及び部品交換の容易さを保証する。
【0129】
以上に詳細に説明した実施態様に加えて、多数の派生的な設計を組み立てることができ、これには例えば、追加のMWRFT層又はスリーブ、クリンプ衛生フィッティングの代替材料、並びに機械加工、押出成形及びクリンピングされた構成要素の組合せが含まれる。
【0130】
まとめると、本明細書では、製品付着故障の発生、圧力及び物理抵抗特性の数倍の増大、及び衛生接合部点(ステンレス鋼でできたクランプフィッティング)における応力による破砕障害に対する高い抵抗性低減させる平滑な製品接触面を有するMWRFT管アセンブリが開示される。開示された管は、さまざまな要因による、MWRFT流通管アセンブリ故障の高い発生率に対処する。これらの故障の高い発生率は、連続流マイクロ波加熱/滅菌技術のより幅広い応用に対する障害の1つである。
【実施例】
【0131】
以下の実施例は、本出願によって開示される主題の諸態様を例証するために含まれている。以下の実施例のある種の態様は、本発明の共同発明者らによって、本出願によって開示される主題の実施においてよく機能することが見出され又は企図された技法及び手順に関して説明される。これらの実施例は、本発明の共同発明者らの標準実施方法を例示する。本開示及び当技術分野の一般的な技術レベルを考慮して、以下の実施例が単なる例であることが意図されていること、及び本出願によって開示される主題の範囲から逸脱することなく多数の変化、修正及び変更を使用することができることを、当業者は理解されたい。
【0132】
(実施例1: サツマイモピューレ(Sweetpotato Puree (SPP))の調製
)
5kWマイクロ波ユニットでの色及びレオロジー分析試験、並びに誘電特性の測定のために、サツマイモの栽培品種Beauregardを、ノースカロライナ州立大学(米国ノースカロライナ州Raleigh)食品科学部(Department of Food Science)のFruit and Vegetable Pilot Plantで調製した。根を、30℃、相対湿度85〜90%で7日間保存処理し、13〜16℃、相対湿度80〜90%で貯蔵し、以前に記述されたとおりにピューレを調製した(Truongら, 1994)。根は、洗浄し、沸騰した5.5%NaOH溶液(104℃)中で4分間アルカリ剥皮し、回転リール式溶射洗浄機で徹底的に洗浄して、分離組織及びアルカリ残留物を除去した。剥皮した後の根を手で切り揃え、市販のスライサ(Louis Allis Co.社(米国ウィスコンシン州Milwaukee)のSlicer)を使用して厚さ約0.95cmにスライスした。これらのスライスを、サーモスクリュークッカ(thermoscrew cooker)(Rietz Manufacturing Co.社(米国カリフォルニア州Santa Rosa))で20分間蒸し、0.15cmスクリーンを取り付けたハンマーミル(Model D、Fitzpatrick Co.社(米国イリノイ州Chicago))で細砕した。このピューレを、ポリエチレンバッグに充填し、冷凍し、使用するまで−20℃で貯蔵した。
【0133】
60kWマイクロ波ユニットでの試験ラン向けには、Beauregard栽培品種の冷凍サツマイモピューレを、Bright Harvest Sweetpotato Company,Inc.社(米国アーカンソー州Clarksville)から購入した。実施例で使用したピューレ試料の水分含量は全て80〜82%であった。
【0134】
(実施例2: 誘電特性の測定)
開放型(open)同軸誘電プローブ(HP 85070B、Agilent Technologies社、米国カリフォルニア州Palo Alto)を、自動ネットワークアナライザ(HP 8753C、Agilent Technologies社)とともに使用して、SPP試料の誘電特性を測定した。誘電特性は、300から3000MHzの周波数範囲で、541の中間周波数を使用して測定した。このシステムを、メーカ提供の取扱説明書(Agilent 1998)に従った較正手順を使用して較正した。試料(<100g)を、水浴(Model RTE111、Neslab Instruments Inc.社、米国ニューハンプシャー州Newington)中で、所望の温度(10℃から145℃、5℃間隔)に達するまで加熱し、次いで、絶縁ブロックの中に入れて誘電特性を測定した。誘電特性を読み取った後に温度を再び測定して、温度が設定点から2℃以内にあることを確認した。2連のそれぞれの試料に対して測定を3回繰り返した。
【0135】
(実施例3: レオロジー試験)
剪断速度の関数としてのサツマイモピューレの粘度の定速測定を、StressTechレオメータ(Reologica Instruments AB社、スウェーデンLund)を用い、円錐/平板幾何形状(C40 4)を使用して、25℃で実施した。剪断速度を0.1/sから300/sまで変化させたときの見掛け粘度を記録した。2連のそれぞれの試料に対して測定を2回繰り返した。
【0136】
(実施例4: 色分析)
試料の客観的な色を、Hunter色彩計(Hunter Associates Laboratory inc.社、米国ヴァージニア州Reston)を用いて測定した。結果は、以下の三刺激値として表現した:L*(明度、黒が0、白が100)、a*(−a*=緑色み、+a*=赤み)、b*(−b=青み、+b=黄色み)。CIE, 1976を参照されたい。この機器(45°/0°幾何配置、D25光センサ)を、標準白色基準タイル(L*=92.75、a*=−0.76、b*=−0.07)に対して較正した。ピューレ試料は、ふた付き60×15mmペトリ皿(Becton Dickinson Labware社、米国ニュージャージー州Franklin Lakes)に満たした。試料ごとに測定を6回実施し、分析では平均値を使用した。
【0137】
(実施例5: 5kWマイクロ波ユニットでの試験)
連続流マイクロ波加熱ユニット(Industrial Microwave Systems社、米国ノースカロライナ州Morrisville)を使用して、SPPを処理した。このユニットは、915MHzで動作する5kWマイクロ波発生器、その中に方向性結合器が取り付けられた断面が長方形のウェーブガイド、及び特別に設計されたアプリケータを含む。呼び径1.5”(0.038m ID)のポリテトラフルオロエチレン(PTFE又はTEFLON(登録商標))製の管を、アプリケータの中心に置いた。マイクロ波に暴露する領域の長さは0.125mであった。マイクロ波発生器によって送達されたパワー及び再反射されたパワーを、方向性結合器の中に位置するダイオード及びLabViewソフトウェア(National Instruments Corp.社、米国テキサス州Austin)の中に書き込まれたソフトウェアを使用して測定した。このソフトウェアはさらに、発生器が製品に送達するパワーの量を制御する。
【0138】
SPP10リットルを、容積移送式ポンプ(Model MD012、Seepex GmbH+ Co.社、ドイツBottrop)を使用して、流量0.5L/分で送入した。半径方向のさまざまな位置の温度を、Coronelら, 2003に記載された熱電対配置を使用して測定し、データロガー(Keithley DAS-16、Keithley Metrabyte社、米国マサチューセッツ州Taunton)を使用して記録した。アプリケータの出口で製品の温度が必要な中心線温度に到達することを保証するため、上記制御ソフトウェアを使用して発生器のパワーを調整した。次いで製品を氷水浴中で冷却し、その後の分析のための試料を採取した。
【0139】
(実施例6: 60kWマイクロ波ユニットでの試験)
5kWユニットでの試験で得られた結果に基づいて、915MHzで動作する60kW連続流マイクロ波加熱ユニット(Industrial Microwave Systems社、米国ノースカロライナ州)(図12に示す)で試験するための処理条件を確立した。発生器によって送達されるパワーは、メーカ供給の制御パネルによって監視した。マイクロ波は、長方形断面のウェーブガイドによって製品に送達される。ウェーブガイドは2つのセクションに分割されており、特別に設計された2つのアプリケータに向けて調整されており、図1に示されているようにそれぞれに方向性結合器を備える。PTFE管(0.038m ID)をそれぞれのアプリケータの中心に置いた。それぞれのアプリケータの暴露領域の長さは0.2mであった。
【0140】
容積移送式ポンプ(Model A7000、Marlen Research Corp.社、米国カンザス州Overland Park)を使用して、システムに製品を送入した。システムの入口、それぞれのアプリケータの入口及び出口、並びに保持管の出口で温度を測定した。熱電対の配置はCoronelら, 2003の記載のとおりとした。温度は、データロギングシステム(HP 3497A、Hewlett Packard社、米国カリフォルニア州Palo Alto)を使用して、4秒間隔で記録した。マイクロ波システムによって生み出されるパワーを制御することによって、システムの出口の温度を達成した。
【0141】
最初に、このシステムを、NaClと糖の水溶液を使用して滅菌した。この水溶液は130℃に加熱し、30分間再循環させた。製品を135〜145℃まで加熱し、その温度を30秒間維持し、管状熱交換器の中で急速に冷却し、次いで、バッグインボックスユニット(bag-in-box unit)(Model PT.A.F.、Astepo社、イタリアParma)を使用して、アルミニウム−ポリエチレンラミネートバッグ(Scholle Corp.社、米国イリノイ州Chicago)に無菌包装した。ピューレバッグは周囲温度(22℃)で貯蔵し、1、15及び90日後に微生物分析用に2つのバッグをランダムに選んだ。標準平板計数検定法を使用して、サツマイモピューレ試料中の総好気性細菌数を計数した。試料50グラムを、無菌生理食塩水(0.85%NaCl)50mlを含む無菌フィルタバッグ(Spiral Biotech社、米国メリーランド州Bethesda)に無菌的に移し、それらのバッグを、Tekmarストマッカ(stomacher)(Model TR5T,Tekmar Co,米国オハイオ州Cincinnati)を用いて高速で160秒間解離させた。無菌生理食塩水を使用して適当な希釈度のストマッカ濾液を作成し、Autoplate 4000スパイラルプレータ(Spiral Biotech社)を使用して2連のPCA寒天平板上に広げた。総好気性細菌数を求めるため、それらのPCA平板を37℃で48時間培養し増殖させた。さらに、酵母及び糸状菌コロニーの計数のため、試料希釈液を、酵母/糸状菌寒天平板上に広げ、接種した。培地の調製は標準手順(DIFCO, 1998)に従って実施した。
データは分散分析(SAS Institute社、米国ノースカロライナ州Cary)にかけた。統計的検定を、信頼水準95%(p<0.05)で実行した。
【0142】
(実施例1〜6の考察)
(誘電特性) 本明細書に開示されたサツマイモピューレの誘電特性を、Fasinaら, 2003によって報告されたものと比較し、図2に示した。Fasinaら, 2003に記載された誘電特性の相関は、ε’(誘電率)及びε”(損失率)の測定値とよく一致していた。違いはε”値においてより顕著だった。これはおそらく、農産品において観察される組成及び水分変動(Sipahioglu and Barringer, 2003)の結果である。誘電率に対する温度の影響は、ともに915MHzと2450MHzで同様であった。ε’は温度の上昇とともに低下し、915MHzでは10℃で71.5、95℃で60.8、2450MHzでは10℃で67.1、95℃で61.1であった。損失率は、温度の上昇とともに増大するε”の傾向に従い、915MHzでは10℃で18.1、95℃で26.7であった。しかし2450MHzでは、温度の上昇とともにε”は低下し、10℃で18.4、95℃で16.1であった。
【0143】
アプリケータ内で使用される管の最大動作直径(maximum operating diameter:MOD)を、円柱座標におけるヘルムホルツの式の解を含むCoronel & Simunovic, 2004によって提案された方法を使用して計算した。結果を図3に示す。手短に言えば、直径38mm(1.5インチ)の円柱の外側の一定のE場を考慮して円柱座標における侵入式を解くことによって、マイクロ波の侵入深さを計算した。この微分方程式はヘルムホルツ型の方程式であった。
∇2E+γ2E=0
γ=α+jβ
B.C.
r=R E=E0
【0144】
このとき、γは伝搬定数であり、α及びβは下式により定義される。
【数1】
【0145】
この方程式の解は、下式の形のベッセル関数によって与えられる。
E(r)=C1J0(γr)+C2Y0(γr)
定数の値は、材料の誘電特性及び管の寸法によって定まった。MODは下式の直径と考えられ、このとき
Er=0/E0=1
であった。
【0146】
したがって、最大動作直径(MOD)は、断面全域の必要な加熱を得るために連続流処理において使用することができる最大直径と定義され、これをさまざまな温度で計算した。MODは温度の上昇とともに低下することが観察され、915MHzでは10℃で0.22m、95℃で0.12mであった。温度の上昇に伴う損失率の増大は、熱へのエネルギー変換をより効果的にし、したがって侵入深さ、したがってM.O.D.を低下させる(図3参照)。
【0147】
(5kWマイクロ波ユニットでの試験) 5kWマイクロ波ユニットを使用し、保持時間を一定に保ち、中心線出口温度を変化させて、製品を処理した。所望の中心線出口温度は110、130及び140℃、加熱セクションにおける暴露時間は17秒、保持時間は90秒であった。製品は、氷水浴中で急速に冷却し、レオロジー特性及び色の分析用の試料を採取した。
【0148】
アプリケータ管の壁と中心の間の大きな温度差が観察された。最大値と最小値の差は、中心線出口温度110、130及び140℃に対してそれぞれ35、40及び43℃であり、平均出口温度はそれぞれ80、101及び107℃であった。図4に、出口温度110及び130℃での、加熱セクションの出口における管の断面の補間された温度プロファイルを示す。図4では、最高温度が管の中心付近で達成され、最低温度が壁の近くで達成されることを観察することができる。
【0149】
異なる中心線出口温度に処理された試料のレオロジー特性を図5に示す。全ての試料がずり減粘挙動を示した(すなわち剪断速度が大きいほど見掛け粘度が低い)。このレオロジー挙動を、Steffe, 1996に記載されているHerschel-Bulkleyモデル(σ=σ0+Kyn)を使用してモデル化した。このときσは剪断応力(Pa)、σ0は降伏応力、Kは粘稠度指数(consistency index)(Pa sn)、yは剪断速度(1/s)、nは流動性指数(flow behavior index)である。パラメータの平均値は、降伏応力(σn)が89.01±2.67Pa、粘稠度指数(K)が18.78±1.76Pa、平均流動性指数(n)が0.39±0.07であった。図5では、異なるSPP試料の見掛け粘度が、処理間で有意な差を示さなかったことが分かる。
【0150】
異なる中心線出口温度に対応する試料の色測定値を図6に示す。全ての試料で、b*値(黄色み)の増大(110℃での処理で5%、130℃及び140℃での処理で10%)、及びa*値(赤み)の低下(110℃での処理で9%、130℃及び140℃での処理で10.5%)が見られ、一方で、L*値(明度)は全ての処理で2%の変化にとどまった。全体の色変化(total change in color:ΔE)は下式の結果として表現される。
ΔE=(ΔL*2+Δa*2+Δb*2)1/2
ΔE値は、中心線出口温度110、130及び140℃でそれぞれ10、20及び20であった。
【0151】
(60kWマイクロ波ユニットでの試験) 5kWマイクロ波ユニットでの試験から得られた情報を用いて、60kWユニットを使用した試験ランを、貯蔵安定性のある製品を得ることを目指す実験工場実験として実行した。流量は4.0L/分に設定し、貯蔵安定性のある製品を得るために必要な保持管の出口の中心線温度は、保持時間30秒(F0=30分)で135℃であった。必要な中心線出口温度を達成するため、システムによって生み出されるパワーを調整した。
【0152】
5kW試験での観察と同様に、管の中心線温度(135℃)と壁の温度(70℃)との差は、図7に示すように大きかった。SPPの高い粘性のため、保持管内で混合は起こらなかった。したがって、(F0<0.1分)で最も少ない熱処理を受け取った製品は、壁により近い製品であった。しかし、この製品を冷蔵しておいたところ、30日後に微生物の増殖は検出されなかった。
【0153】
製品内の温度の不均一性を最小化するため、システムの各マイクロ波アプリケータの出口に、スタティックミキサ(static mixer)を設置した。ヒータの出口での混合は、ヒータの出口におけるいかなる製品内の温度差を低下させて、熱処理を改善し、結果的に製品の貯蔵期限を向上させると考えられる。第2のヒータの出口の中心線出口温度140℃、保持時間30秒を使用して、第2の実験を実施した。中心線温度は、保持管の終端の最低温度135℃を達成するために増大させた。
【0154】
製品の混合により、断面内の温度はより均一だった。中心と壁の温度差は、第1のスタティックミキサの後で48.4℃から20.1℃に低下し、第2のスタティックミキサの後で37.6℃から11.7℃に低下した。保持管の入口でのSPPの温度プロファイルは図8に示すとおりであり、最低温度は135℃、最高温度は146.7℃であった。したがって、(管の中心の)最も速い粒子は最も少ない熱処理を受け取った。最も速い流体要素(中心)は、F0=23分に等しい熱処理を受け取り、この処理は、貯蔵安定でなければならない商業的に無菌の製品を与えた。微生物の駆除を確認するため、最終製品の微生物試験を実施した。総平板計数、糸状菌及び酵母に関する微生物試験の結果によれば、1、15及び90日後に微生物は存在しなかった。
【0155】
(結論) 連続流マイクロ波加熱システムを使用して、無菌包装されたサツマイモピューレを生産することに成功した。その結果得られた柔軟なプラスチック容器に包装された製品は無処理のピューレと同等の色及び見掛け粘度を有し、貯蔵安定であった。このプロセスは、他のいくつかの野菜及び果物ピューレに応用することができる。
【0156】
(実施例7: 温度等化に対するミキサの効果)
60kWユニットでSPPを前述のとおりに処理し、混合デバイスがない条件で、第1及び第2のヒータの出口の熱電対を使用して、材料の温度を調べた。図17及び19に、流れの断面の全域方向の熱の幅広い変動を示す。したがって、加熱ステージ後の混合器具の必要性が、温度分布の測定によって示され、(混合ステージのない)先行するランにおける滅菌の失敗によって証明された。
【0157】
次いでスタティックミキサを取り付け、実験を繰り返した。図18及び20に、はるかに幅の狭い温度分布によって示された、流れの断面全域の温度等化を示す。
これらの実験を、ジャガイモピューレ(すなわちマッシュポテト)を使用して繰り返した。図22及び24に、混合デバイスがない場合の第1及び第2のヒータの出口の温度分布を示し、図23及び25に、はるかに幅の狭い温度分布によって示された、流れの断面全域の温度等化を示す。
【0158】
(実施例8: グリーンピース、ニンジン及びジャガイモピューレの処理)
(試料調製) 冷凍グリーンピースピューレ及びニンジンピューレは、Stahlbush Island Farm Inc.社(米国オレゴン州Corvallis)から購入した。冷蔵マッシュポテトは、Reser's Fine Foods社(米国オレゴン州Beaverton)から得、マッシュポテト150ポンド当たり300グラムのアントシアニン溶液(San Red YM-EX、San-Ei Gen F.F.I.Inc.社(米国ニュージャージー州))及び7.5リットルの水を加えることによって紫色のピューレとした。これらの材料を、高剪断力ミキサ(Admix社(米国ニューハンプシャー州Manchester)のWoods Model WFC2007-5CHT AC Inverterによって制御されたBalder 7.5HP 1725 rpm モータを備えるRotosolver Mixer、モデル112RS113)を使用して完全に混合した。
【0159】
グリーンピースピューレ及びニンジンピューレを、実施例5で説明した5kWマイクロ波ユニットに通した。発生器のパワーは、前記制御ソフトウェアを使用して、アプリケータの出口で製品の中心線温度が75℃、100℃、110℃、120℃、125℃及び130℃に達するように調整した。マイクロ波加熱したピューレの試料を回収し、すぐに氷水浴中で冷却し、次いで4℃で貯蔵し、3〜4日以内に以降の分析を実施した。
【0160】
60kWマイクロ波ユニットを用い、これらの野菜ピューレ(グリーンピース、ニンジン及びジャガイモ)を、実施例6で説明したとおりに処理した。ただしシステムは無菌詰込機に接続されていなかった。マイクロ波加熱したピューレを、この60kWシステム内で、中心線出口温度125〜130℃で6時間連続的に再循環させた。複数の時間間隔で試料を採取し、すぐに冷却し、以降の分析のため4℃で貯蔵した。
【0161】
(レオロジー試験) StressTechレオメータ(Reologica Instruments AB社、スウェーデンLund)を使用し、20mm平行平板形状を用いて、動的レオロジー試験を25℃で実施した。レオメータの平板の上にピューレ試料を移した。このゲルの上に上板を、間隙が1.5mmになるように下ろし、過剰な材料を周縁から取り除いた。試料を平板上で1分間、25℃で平衡させた後、小ひずみ振動試験を25℃で実施した。試料は、0.01から20Hzの周波数範囲の振動スイープ(sweep)にかけた。振動応力は、試験ピューレの線形粘弾性領域内の2Paにセットした。貯蔵弾性率G’、損失弾性率G”及び動的粘度η*を調べた。それぞれのピューレ試料に対して測定を2回繰り返した。
(色分析) 色分析は実施例4に記載したとおりに実施した。
【0162】
(実施例8の考察)
(ニンジンピューレ) 5kWマイクロ波ユニットにおいてさまざまな温度で処理したニンジンピューレ試料のレオロジー特性を図26A及び26Bに示す。全てのニンジンピューレ試料の動的粘度(η*)は周波数の増大とともに低下し(図26A)、擬塑性挙動を示した。ニンジンピューレの機械的スペクトルは、G”よりも高いG’で周波数依存性を示した(図26B)。このことは、この材料をウイークゲル(weak gel)として分類することができることを示す。マイクロ波処理温度を75℃から130℃に増大させると、ニンジンピューレの動的粘度はわずかに増大した。
【0163】
マイクロ波処理温度の効果は、ゲル強度(G’)値においてさらに明らかにされた(図26B)。この現象は、冷却後により多くの網目形成をもたらす、細胞片の結合炭水化物成分のピューレの液体分画(liquid fraction)中への解離に起因している可能性がある。ニンジンピューレの流動性及びゲル化特性におけるマイクロ波処理温度のこの効果は、わずかに増大した粘稠度を有する製品が望ましい場合に、加工業者にとって有益となりうる。ピューレの粘性及びゲル強度を、非加熱ピューレのそれと同じに維持しなければならない状況では、マイクロ波処理の前にピューレの水分レベルを調整することを、容易に実施することができる。
【0164】
60kWユニット内でニンジンピューレを再循環させることによって、130℃でのマイクロ波処理時間を長くすると、η*及びG’のかなりの低下によって示されているように(図27A及び27B)、結合及びゲルネットワークは崩壊した。30分を超える加熱時間で、ニンジンピューレの粘稠度及びゲル強度の深刻な混乱が観察された。これらの結果は、野菜ピューレの従来の熱処理では必要な高温及び長時間プロセスにかけられたニンジンピューレの深刻な品質損失を証明した。
【0165】
(グリーンピースピューレ) 5kWマイクロ波ユニットにおいてさまざまな温度で処理したグリーンピースピューレ試料のレオロジー特性を図28に示す。全てのグリーンピースピューレ試料の動的粘度(η*)も周波数の増大とともに低下し(図28A)、擬塑性挙動を示した。グリーンピースピューレの機械的スペクトルは、G”よりも高いG’で周波数依存性を示す(図28B)ので、グリーンピースピューレはウイークゲルとみなすことができる。
【0166】
ニンジンピューレとは対照的に、75〜110℃に加熱すると、グリーンピースピューレのη*及びG’は最初、非加熱試料に比べて低下し、次いで、より高い温度(120〜130℃)でかなり増大した。この傾向は、グリーンピースピューレを125℃まで加熱し、6時間再循環させた、60kWユニット実験から回収された試料でも示された(図29)。この現象は、グリーンピースデンプンの高いアミロース含量(35%)、並びにゼラチン化及び溶解のために高エネルギー入力を必要とする高い結晶化度及び密な分子構造を有するそのC型粒状組織(Bograchevaら, 1998)によるものと考えられることができた。本明細書に記載されたマイクロ波処理技法としての高速加熱−高温プロセスは、グリーンピースピューレを、所望の粘稠度及びゲル特性を有する製品に加工する際に有益だろう。
【0167】
60kW試験から回収したグリーンピース試料の色も判定した。図30に示すように、L*値(明度)及びb*値(黄色み)は、マイクロ波処理温度及び時間の影響をわずかに受けた(<5%の低下)。しかし、125℃に加熱されたグリーンピースピューレの緑色み(a*値)の低下は、非加熱試料に比べて約30%であった。125℃での加熱時間を従来の熱処理の場合のように増大させると、ピューレの緑色み(a*値)は、非加熱試料に比べてさらに38%低下した。
【0168】
(実施例9: マイクロ波処理されたサツマイモピューレのシェルフスタビリティ)
(マイクロ波処理されたサツマイモピューレのシェルフスタビリティ)
Beauregard栽培品種の冷凍サツマイモピューレを、Bright Harvest Sweetpotato Company,Inc.社(米国アーカンソー州Clarksville)から購入した。解凍したピューレを、60kWユニットを使用して、実施例6に記載したとおりに滅菌し、無菌包装した。包装した無菌サツマイモピューレは周囲温度(22℃)で貯蔵し、1日、2週間、3カ月、6カ月及び18カ月後に微生物分析用に2つのバッグをランダムに選んだ。標準平板計数検定法を使用して、サツマイモピューレ試料中の総好気性細菌、酵母及び糸状菌数を計数した(実施例6)。総好気性細菌、酵母及び糸状菌の微生物試験の結果によれば、1日、2週間、3カ月、6カ月又は18カ月間22℃で貯蔵したピューレ試料において微生物の増殖は見られなかった。
【0169】
実施例8でグリーンピース及びニンジンピューレに関して説明したのと同じ方法で、レオロジー試験及びHunter色測定を実施した。図31に示すように、サツマイモピューレの130℃のマイクロ波処理及び無菌包装の周囲条件での貯蔵は、ピューレのレオロジー特性に影響を及ぼさなかった。貯蔵試料は、冷凍貯蔵ピューレのそれらと同等の動的粘度(η*)及びゲル強度(G’)を維持した。
【0170】
マイクロ波処理したサツマイモピューレの色値を、冷凍及び缶詰ピューレ(缶詰サツマイモピューレ(缶サイズ10番)は、地元のサツマイモ缶詰会社Bruce Foods Corporation社(米国ノースカロライナ州Wilson)から直接に購入した)との比較で、図32に示す。マイクロ波処理の結果、冷凍ピューレとの比較で、b*値(黄色み)の25%の増大、a*値(赤み;<1%)及びL*値(明度;<2%)のわずかな低下が見られた。22℃で3カ月間の無菌ピューレの貯蔵は、a*値及びL*値をさらにそれぞれ2.2%及び4.5%低下させたが、b*値は冷凍ピューレよりも約15%高かった。缶詰ピューレは暗褐色を呈し、L*値は冷凍ピューレのそれらよりも約10.5%及び7.5%低かった。
【0171】
(実施例10: 色劣化データ及び推定)
本明細書に開示された急速加熱法及び装置のある種の利点を例示するため、これらの製品の品質属性のうち最も敏感な属性である色の一連の実験測定を実施した。
【0172】
色は、産業使用者、シェフ、コック及び/又は消費者に明白な、開封時に評価できる最初の品質属性である。多くの標的材料(野菜及び果物のピューレ、ホモジェネート(homogenate)及びパルプ(pulp))に関して、色は、処理に対して最も敏感な属性の1つでもある。この敏感さは、標的食物又は生物材料が処理レベル温度の熱にさらされたときの色属性の急速な劣化によって証明される。感覚手段(人の視覚)及び機器手段(色測定)によって評価したとき、色は、溶接密封された形態と開封された形態の両方で、処理時及びその後の貯蔵中に、急速でしばしば深刻な劣化を受ける。
【0173】
従来の無菌滅菌及び急速マイクロ波支援熱滅菌中にさらされる温度を表す温度レベルでの色劣化を測定するため、また、その独特な円筒形マイクロ波ヒータデバイスを、本明細書に開示された条件下で、本明細書に開示されたデバイス及び手順と組み合わせて使用することにより達成される、熱処理の迅速さによって与えられる利点を明確に記録するために、色を測定、記録及び比較する新規の方法を考案した。
【0174】
高温色劣化アセンブリの概要を図38に示す。図38の左側の部分は、画像及び温度の制御及び捕捉設備を示し、図38の右側は、プロセスレベル温度下での試験材料のリアルタイム画像捕捉及び色値測定を可能にする画像捕捉ポートを構築するために使用される構成要素を示す。
【0175】
ディジタル方式で制御可能な温度レベル機能を備えた循環式油浴(Model RTE111、Neslab Inc.社、米国ニューハンプシャー州Newington)を使用して、標的材料を含む試験室を、選択したプロセスレベル温度まで予熱した。従来の連続流無菌システム及び本出願によって提示されるマイクロ波支援無菌滅菌システムの実際の運転条件(標的温度)を最も代表する温度レベルは約140℃である。したがって、試料を含む試験室を油浴に浸す前に、油浴システムを140℃まで予熱した。
上述の実験装置は、図39及び図40にも示されている。
【0176】
(急速な予熱を保証するため)できるだけ少量の試料を保持する試験室を、直径1.5インチのSmartガスケット(Model G-TH-150-S-1、Rubber Fab社(米国ニュージャージー州Andover))から組み立てた。このガスケットは、試験室の中に含まれる材料の体積を確定する。このガスケットに、試験材料と直接に接触して配置された3本のT型熱電対リードをプローブの先端の6mmの空間に含む皮下3点熱電対プローブ(Model MT-23/20(3)、Physitemp Instruments,Inc.社(米国ニュージャージー州Clifton))を取り付けた。室の底は、Tri-clampガスケット溝を有する1.5インチステンレス鋼衛生キャップ(Model 16AMP-2-1.5-T316L、Waukesha Cherry-Burrell社(米国ウィスコンシン州Delavan))を使用して形成し、頂部には、可視窓の直径が、含まれる試料の直径に適合した、溶融高温ガラス及び鋼でできた透過性のぞき窓(Model Fuseview SS-15-FVTRI-FL、J.M.Canty Ltd.社(アイルランドDublin))を取り付けた。
【0177】
この3点熱電対プローブを使用して捕捉した温度は、12チャネル走査温度計(Model 692-000、Barnant Company社(米国イリノイ州Barrington))を使用して測定し、4秒ごとに捕捉し、総称ラップトップコンピュータのシリアルポート接続を使用して記録した。このシステムによって捕捉される一般的な画像を図40に示す。この画像は、試料室アセンブリ、試料材料と接触した3点熱電対プローブを含むSmartガスケットポートを有する特殊なトリクランプを示している。色劣化分析に使用した試料表面の画像化部分を示すために、256×256画素の部分試料が白く塗られている。
【0178】
試料室の可視窓は、ディジタルカメラ(Model D70、Nikon Instruments社(米国ニューヨーク州Melville))を使用して標的材料の時限画像を4秒ごとに捕獲することができるように、上向きに配置されている。画像は、非圧縮未加工(raw)/ディジタルフォーマット(Nikon Electronic Format)として捕捉し、Adobe Photoshopが読むことができるTIFファイルフォーマットにファイル圧縮なしで変換し、Adobe Photoshop ソフトウェア version 5.5.にインポートし、露出した標的材料の256×256画素アレイを含むようにトリミングした。これらの切り詰められたサブ画像の平均色値L、a及びbを、Photoshop Histogram Functionを使用して測定した。得られた値を次いで、Microsoft Excel Program(Microsoft Office 2000 Softwareパッケージ)のChart機能を使用して、140℃の温度への室の暴露時間に対してプロットして、色成分L、a及びbの値をプロセス温度への暴露時間に対してプロットした。
【0179】
Microsoft ExcelのChart機能Trendlineを使用して、一次回帰直線を生成し、140℃への暴露時間に対する色成分(L、a*及びb*)の劣化を推定した。提示されたプロセスの予熱及びMWベースの急速プロセスの保持時間に対して記録された最悪ケースの暴露時間を、従来の無菌予熱の最悪ケースの暴露タイプの計算推定値と比較した(製品は、管熱交換器の中の長さ約200フィート、内径1.5インチの管に、流量1ガロン毎分でポンプ送入した)。両方のプロセス(MWベースの予熱と従来の予熱)に対して同一の保持時間及び温度を仮定した。
【0180】
図33〜36に、前述の機器及び方法を使用し、140℃の油浴予熱で実施したリアルタイム色劣化測定の結果を示す。
図33〜36(グリーンピースピューレ、ニンジンピューレ、アントシアニンで着色したジャガイモピューレ及びサツマイモピューレ)にはそれぞれ、5つの参照色品質/処理時間がマークされている:未処理材料(処理前)、MW予熱材料(MWヒータ及びインラインミキサから出てきたもの)、MW滅菌材料(保持管セグメントから出てきたもの)、従来の予熱材料(管熱交換器内の一般的な管から出てきたもの)及び従来の滅菌材料(従来の熱交換器を使用した予熱後に保持管から出てきたもの)。
【0181】
示された4つの全ての試験材料では、色の劣化は即座に始まり、滅菌レベル温度でかなりの速度で急速に進行することが明らかである。提案のMW又はRFエネルギー源を使用して実現される急速加熱の利点もこれらのプロットから明白である。
急速MW又はRF予熱にかけた材料の色品質の劣化は最小限であり、元の未処理材料とほぼ同じように見えると言うことができる。最終的な滅菌温度に製品を保持するのに必要な時間は、わずかな劣化効果を色品質に加えるが、従来の無菌予熱及び保持の最悪ケースシナリオと比較すると、これらの劣化的変化はともに最小限にとどまる。
【0182】
本出願によって開示される主題を使用した急速加熱の利点は、被処理材料の初期の品質の如何にかかわらず明白である。すなわち、従来の予熱によって材料の色品質に付与される損失は常に、急速加熱によって引き起こされる劣化よりも相当に大きい。保持セグメント内での時間−温度暴露が同一と仮定した場合、これらの2つの累加処理間の違いは、本明細書に記載された急速MW/RF加熱を、明白且つ一貫して、支持する。
言い換えると、提案のMW/RFベースの処理によって保存される包装の時点(時間ゼロ)の製品の色品質は、従来どおりに処理された製品よりも優れている。
【0183】
品質の劣化、特に色品質の劣化は、包装製品の貯蔵の間、進行し続ける。これらの劣化過程の速度及び程度は一般に、開封前の貯蔵及び輸送状態に左右される。したがって、MW/RF滅菌された製品及び従来どおりに無菌滅菌された製品を、包装後に同一の貯蔵、輸送及び流通条件にかけた場合、MW/RF滅菌された製品は、包装の時点で元の色品質成分をはるかによく保存しているため、一貫して、品質の点で有利である。
【0184】
したがって、同一の上流側条件(未処理材料の品質、暴露及び誤使用履歴)及び同一の下流側条件(貯蔵、輸送及び流通)の下で、前述のMW/RF滅菌法によって得られた製品は、これらの条件の如何にかかわらず、これらの条件とは独立に、従来の熱滅菌によって得られた製品よりも優れた品質を有する。
【0185】
(文献)
以下に挙げる文献、並びに本明細書に引用された特許及び非特許文献を含む全ての文献は、それらが、本明細書において使用される方法、技法及び/又は組成物を補足し、説明し、それらの背景を提供し又は教示する限りにおいて、参照によって本明細書に組み込まれる。
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【0186】
本出願によって開示される主題の範囲から逸脱することなく、本出願によって開示される主題のさまざまな詳細を変更することができることを理解されたい。さらに、以上の説明は例示のみを目的としたものであり、限定を目的としたものではない。
【図面の簡単な説明】
【0187】
【図1】本明細書に開示された熱処理システムの一実施態様の概略図である。
【図2】915及び2450MHzにおけるサツマイモピューレ(SPP)の誘電特性を示すグラフである。
【図3】915MHzにおける最大動作直径(M.O.D.)とSPP温度との関係を示すグラフである。
【図4】5kW試験での加熱セクションの出口における一般的な温度プロファイルを示す図である。
【図5】5kW試験でのSPP試料のレオロジー特性を示す図である。
【図6】5kW試験でのSPP試料の色測定値を示す図である。
【図7】スタティックミキサがない場合の60kW試験中の保持管の入口における一般的な温度プロファイルを示す図である。
【図8】スタティックミキサを導入した後の60kW試験中の保持管の入口における一般的な温度プロファイルを示す図である。
【図9】生物材料を熱処理する目的に使用される本出願によって開示される装置の代表的な一実施態様を示す概略図である。
【図10】生物材料を熱処理する目的に使用される本出願によって開示される装置の代表的な一実施態様を示す概略図である。
【図11A】マイクロ波及びRF透過性流通管/室の一例の概略図である。
【図11B】マイクロ波及びRF透過性流通管/室の一例の概略図である。
【図11C】マイクロ波及びRF透過性流通管/室の一例の概略図である。
【図11D】マイクロ波及びRF透過性流通管/室の一例の概略図である。
【図11E】マイクロ波及びRF透過性流通管/室の一例の概略図である。
【図11F】マイクロ波及びRF透過性流通管/室を製作する方法の一例の概略図である。
【図11G】マイクロ波及びRF透過性流通管/室を製作する方法の一例の概略図である。
【図11H】マイクロ波及びRF透過性流通管/室を製作する方法の一例の概略図である。
【図11I】マイクロ波及びRF透過性流通管/室を製作する方法の一例の概略図である。
【図12】2つの集束円筒形マイクロ波ヒータ/リアクタを実装する設置された2段式連続流マイクロ波ヒータの写真である。前、同時又は後混合実施態様の位置(それぞれA、B及びC)が示されている。
【図13A】断面温度分布の測定/監視ツールを示す図である。このツールは、材料流の方向に垂直な領域の断面カバレージを提供する、単一の又はいくつかのマルチポイント熱電対プローブの組合せである。鍵となる位置(ヒータの入口及び出口並びに混合要素の入口及び出口)にこのような感知/監視ツールを配置し、利用することを使用して、均一性及び/又は均一性の欠如を試験し、記録し、温度等化を達成する際のさまざまな混合器具及び工具の効率を例証した。
【図13B】断面温度分布の測定/監視ツールの写真である。このツールは、材料流の方向に垂直な領域の断面カバレージを提供する、単一の又はいくつかのマルチポイント熱電対プローブの組合せである。鍵となる位置(ヒータの入口及び出口並びに混合要素の入口及び出口)にこのような感知/監視ツールを配置し、利用することを使用して、均一性及び/又は均一性の欠如を試験し、記録し、温度等化を達成する際のさまざまな混合器具及び工具の効率を例証した。
【図13C】断面温度分布の測定/監視ツールの写真である。このツールは、材料流の方向に垂直な領域の断面カバレージを提供する、単一の又はいくつかのマルチポイント熱電対プローブの組合せである。鍵となる位置(ヒータの入口及び出口並びに混合要素の入口及び出口)にこのような感知/監視ツールを配置し、利用することを使用して、均一性及び/又は均一性の欠如を試験し、記録し、温度等化を達成する際のさまざまな混合器具及び工具の効率を例証した。
【図14A】以前に挙げた全ての標的位置(加熱前、加熱中及び/又は加熱後)に、同時に、同じデバイスを使用して、機械的混合効果を提供する能力を有する、例示的な混合デバイスの概略図である。この効果は、混合要素をこれらの領域全体に拡大適用することによって達成することができる。混合要素は、MW透過性又はRF透過性材料から製造され、暴露領域内での同時回転/周回軌道運動を提供して、形状が固定されないことを保証し、透過性管又は透過性室内の過熱及び/又は暴走加熱の可能性を最小化する。
【図14B】以前に挙げた全ての標的位置(加熱前、加熱中及び/又は加熱後)に、同時に、同じデバイスを使用して、機械的混合効果を提供する能力を有する、例示的な混合デバイスの概略図である。この効果は、混合要素をこれらの領域全体に拡大適用することによって達成することができる。混合要素は、MW透過性又はRF透過性材料から製造され、暴露領域内での同時回転/周回軌道運動を提供して、形状が固定されないことを保証し、透過性管又は透過性室内の過熱及び/又は暴走加熱の可能性を最小化する。
【図15】予め滅菌されたバッグに滅菌された製品を無菌充填条件下で充填する様子を示す写真である。この製品は後に、周囲温度貯蔵条件下での4カ月の貯蔵の後も貯蔵安定であり、生存可能な微生物を含まないことが証明された。
【図16】極めて粘性で熱伝導性の悪い野菜ホモジェネートであるサツマイモピューレの再循環漸増加熱ラン中に捕捉された温度測定値のグラフである。
【図17】工業滅菌レベルに近い流量及び温度上昇条件において予想され、遭遇しうる温度分布を示すグラフである。このグラフは、60kWマイクロ波加熱設備の第1ステージの出口の温度を示している。温度分布及び温度変動は相当に大きい。このような不利に加熱された流動及び温度分布が変更されていない形態で第2の加熱ステージに入ることを許した場合、極端な温度及び圧力状態、並びに危険な機器及び設備故障が生じる可能性がある。
【図18】第1のスタティックミキサ設備を通過した後の同じ流動ストリームの温度分布及び温度値を示すグラフである。温度分布はかなり均一化されており、可能な故障に対する心配をあまりすることなく第2の加熱ステージへ材料流を導入することができる。
【図19】第2の加熱ステージの出口の断面における温度分布を示すグラフである。第1の加熱ステージの出口で記録された分布に比べればその幅ははるかに小さいものの、分布は依然としてかなり大きい。バルク材料流に対する温度上昇の的確な送達にもかかわらず、流動プロファイルのいくつかの領域は、意図した滅菌レベル温度を達成していない可能性がある。この温度分布を、必要な混合ステップなしで流通保持セクションに導入した場合には、(相対的に低温の)これらの流動領域が、保持管流動プロファイルの(冷たい)外周部と接触し続け、適当な滅菌が得られないままになる可能性があり、その結果、おそらくは貯蔵中に製品は微生物によって腐敗する。
【図20】第2の加熱ステージの後の第2のスタティックミキサの出口断面で捕捉された温度分布のグラフである。分布は、明らかかつ効率的に最小化されており、流動断面全域の監視された温度は全て、意図した標的滅菌レベル温度に到達し、又はそれを上回っている。これは、保持管セクションへの導入による処理の安全な継続を可能にし、所定の時間、予め設定された滅菌レベル温度に材料を維持することを可能にする。したがって、得られた製品の滅菌及びその後のシェルフスタビリティが達成される。
【図21】処理が難しく、高粘性で、低伝導性の他の製品であるジャガイモ(Irish potato)ピューレ(すなわちマッシュポテト)のための代替処理及び温度分布プロファイルシーケンスを示すグラフである。この図は、サツマイモ製品に対して示した図に対応するものであり、5kW設備を使用した再循環加熱後の温度分布を対象とする。
【図22】処理が難しく、高粘性で、低伝導性の他の製品であるジャガイモ(Irish potato)ピューレ(すなわちマッシュポテト)のための代替処理及び温度分布プロファイルシーケンスを示すグラフである。この図は、サツマイモ製品に対して示した図に対応するものであり、2段式60kW設備の第1の加熱ステージの出口の容認できない幅広い温度分布を示している。
【図23】処理が難しく、高粘性で、低伝導性の他の製品であるジャガイモ(Irish potato)ピューレ(すなわちマッシュポテト)のための代替処理及び温度分布プロファイルシーケンスを示すグラフである。この図は、サツマイモ製品に対して示した図に対応するものであり、第1の加熱ステージ後にスタティックミキサを利用した肯定的な効果、並びにその結果生じた温度変動性及び温度分布のかなりの低減を示している。
【図24】処理が難しい他の高粘性、低伝導性製品であるジャガイモ(Irish potato)ピューレ(すなわちマッシュポテト)の対応する処理及び温度分布プロファイルシーケンスを示すグラフである。この図は、サツマイモ製品に対して示した図に対応するものであり、第2の加熱ステージの出口の別の比較的に幅広い温度分布を示している。
【図25】処理が難しく、高粘性で、低伝導性の他の製品であるジャガイモ(Irish potato)ピューレ(すなわちマッシュポテト)のための代替処理及び温度分布プロファイルシーケンスを示すグラフである。この図は、サツマイモ製品に対して示した図に対応するものであり、第2の静的混合デバイスの設置後のほぼ完璧な非常に幅の狭い分布を示しており、これは、制御され十分に維持された幅の狭い温度分布条件下での処理の保持セクションへの材料の導入を可能にし、優れた処理方法及び商業的に無菌の貯蔵安定性のある優れた製品を提供する。
【図26A】5kWマイクロ波ユニットにおいてさまざまな温度で処理したニンジンピューレ試料のレオロジー特性を示す図である。全てのニンジンピューレ試料の動的粘度(η*)は周波数の増大とともに低下し、擬塑性挙動を示した。この図の試料に適用した小ひずみ振動試験によって、構造ネットワークを崩壊させることなく、被試験材料の動的粘度又は複素粘度とゲル強度の両方を評価することができた。これらの非破壊レオロジー試験は、図5の高剪断速度の傾斜と同じ応力制御レオメータ(Reologica Instruments AB社、Lund、スウェーデン)を使用して実行した。ただし、試料は、0.01から20Hzの周波数の穏やかな振動スイープにかけた。
【図26B】5kWマイクロ波ユニットにおいてさまざまな温度で処理したニンジンピューレ試料のレオロジー特性を示す図である。ニンジンピューレの機械的スペクトルは、G”よりも高いG’で周波数依存性を示し、このことは、この材料をウイークゲルとして分類することができることを示す。この図の試料に適用した小ひずみ振動試験によって、構造ネットワークを崩壊させることなく、被試験材料の動的粘度又は複素粘度とゲル強度の両方を評価することができた。これらの非破壊レオロジー試験は、図5の高剪断速度の傾斜と同じ応力制御レオメータ(Reologica Instruments AB社、Lund、スウェーデン)を使用して実行した。ただし、試料は、0.01から20Hzの周波数の穏やかな振動スイープにかけた。
【図27A】60kWマイクロ波ユニットにおいてさまざまな温度で処理したニンジンピューレ試料のレオロジー特性を示す図である。全てのニンジンピューレ試料の動的粘度(η*)は周波数の増大とともに低下した。η*及びG’のかなりの低下によって示されているように、結合及びゲルネットワークは崩壊した。30分を超える加熱時間で、ニンジンピューレの粘稠度及びゲル強度の深刻な崩壊が観察された。
【図27B】60kWマイクロ波ユニットにおいてさまざまな温度で処理したニンジンピューレ試料のレオロジー特性を示す図である。ニンジンピューレの機械的スペクトルは、G”よりも高いG’で周波数依存性を示し、このことは、この材料をウイークゲルとして分類することができることを示す。η*及びG’のかなりの低下によって示されているように、結合及びゲルネットワークは崩壊した。30分を超える加熱時間で、ニンジンピューレの粘稠度及びゲル強度の深刻な崩壊が観察された。
【図28A】5kWマイクロ波ユニットにおいてさまざまな温度で処理したグリーンピースピューレ試料のレオロジー特性を示す図である。全てのグリーンピースピューレ試料の動的粘度(η*)は周波数の増大とともに低下し、擬塑性挙動を示した。
【図28B】5kWマイクロ波ユニットにおいてさまざまな温度で処理したグリーンピースピューレ試料のレオロジー特性を示す図である。グリーンピースピューレの機械的スペクトルは、G”よりも高いG’で周波数依存性を示すので、グリーンピースピューレはウイークゲルとみなすことができる。
【図29A】60kWマイクロ波ユニットにおいてさまざまな温度で処理したグリーンピースピューレ試料のレオロジー特性を示す図である。ニンジンピューレとは対照的に、75〜110℃に加熱すると、グリーンピースピューレのη*及びG’は最初、非加熱試料に比べて低下し、次いで、より高い温度(120〜130℃)でかなり増大した。この傾向は、125℃まで加熱し、6時間再循環させた試料でも示された。
【図29B】60kWマイクロ波ユニットにおいてさまざまな温度で処理したグリーンピースピューレ試料のレオロジー特性を示す図である。ニンジンピューレとは対照的に、75〜110℃に加熱すると、グリーンピースピューレのη*及びG’は最初、非加熱試料に比べて低下し、次いで、より高い温度(120〜130℃)でかなり増大した。この傾向は、125℃まで加熱し、6時間再循環させた試料でも示された。
【図30】60kW試験から回収したグリーンピースピューレ試料の色判定を示す図である。この図に示されているように、L*値(明度)及びb*値(黄色み)は、マイクロ波処理温度及び時間の影響をわずかに受けた(<5%の低下)。しかし、125℃に加熱されたグリーンピースピューレの緑色み(a*値)の低下は、非加熱試料に比べて約30%であった。125℃での加熱時間を従来の熱処理の場合のように増大させると、ピューレの緑色み(a*値)は、非加熱試料に比べて更に38%低下した。
【図31A】130℃でマイクロ波処理し、無菌包装して周囲条件で貯蔵したサツマイモピューレのレオロジー試験の結果を示す図である。周囲条件での貯蔵は、ピューレのレオロジー特性に影響を及ぼさなかった。貯蔵試料は、冷凍貯蔵ピューレのそれらと同等の動的粘度(η*)及びゲル強度(G’)を維持した。
【図31B】130℃でマイクロ波処理し、無菌包装して周囲条件で貯蔵したサツマイモピューレのレオロジー試験の結果を示す図である。周囲条件での貯蔵は、ピューレのレオロジー特性に影響を及ぼさなかった。貯蔵試料は、冷凍貯蔵ピューレのそれらと同等の動的粘度(η*)及びゲル強度(G’)を維持した。
【図32】マイクロ波処理したサツマイモピューレの色値を、地元のサツマイモ缶詰会社から直接に購入した冷凍及び缶詰ピューレ(缶詰サツマイモピューレ。缶サイズ10番)との比較で示す図である。マイクロ波処理の結果、冷凍ピューレとの比較で、b*値(黄色み)の25%の増大、a*値(赤み;<1%)及びL*値(明度;<2%)のわずかな低下が見られた。22℃で3カ月間の無菌ピューレの貯蔵は、a*値及びL*値をそれぞれ2.2%及び4.5%低下させたが、b*値は冷凍ピューレよりも約15%高かった。缶詰ピューレは暗褐色を呈し、L*値は冷凍ピューレのそれらよりも約10.5%及び7.5%低かった。
【図33】比較した全ての条件下における色劣化データ及び最悪ケースシナリオの予測を示す図である。
【図34】比較した全ての条件下における色劣化データ及び最悪ケースシナリオの予測を示す図である。
【図35】比較した全ての条件下における色劣化データ及び最悪ケースシナリオの予測を示す図である。
【図36】比較した全ての条件下における色劣化データ及び最悪ケースシナリオの予測を示す図である。
【図37】本明細書に開示されたMWベースの処理法と従来の無菌処理法及び缶詰法のFo値及びCo値を比較した概略図である。
【図38】実施例10で使用した高温色劣化アセンブリの概略図である。
【図39】実施例10で説明した実験装置の写真である。
【図40】試料室アセンブリと、実施例10で説明した試料材料と接触した3点熱電対プローブを含むSmartガスケットポートを有する特殊なトリクランプとを示す写真である。
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、それぞれその開示の全体が参照によって本明細書に組み込まれる、2004年11月12日出願の米国特許仮出願第60/627,499号及び2005年3月24日出願の米国特許仮出願第60/664,762号に基づき、これらの出願の優先権を主張するものである。
【0002】
(技術分野)
本出願によって開示される主題は、流動可能な材料を電磁放射線を使用して熱処理するための方法及び装置、並びにそれによって得られる食品及び材料に関する。より詳細には、本出願によって開示される主題は、生物材料(biomaterial)の連続流熱処理法、この方法を実行するための装置、並びに上記方法及び/又は装置を使用して調製された製品に関する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
食品を消費者に販売するためにはしばしば、その食料が収穫された時点と消費者によって購入される時点との間に起こりうる微生物の増殖を最小限に抑えるために、その食品を処理する必要がある。この目的のために商業上使用可能な一般的な方法はいくつかあり、そのうち最も普及した方法は、材料を適当な温度まで加熱し、その温度を十分な時間維持して、貯蔵温度で発芽し増殖する可能性があるその食品中に存在する一切の微生物及び/又は胞子を殺し、又はさもなければ不活化する方法である。例えば、牛乳の中に通常見られる細菌のレベルを低減させるため、牛乳は一般に殺菌され、これによって、殺菌処理を使用しない場合よりも長く牛乳を安全に貯蔵することができる。
【0004】
一般に間接加熱法が使用され、この方法では、熱に敏感な殺菌のために60℃超から100℃、最高150℃に加熱された室に生物材料を通して、材料を商業的に無菌(commercially sterile)にする。加熱された室の中に生物材料が存在する結果、生物材料の温度は、周囲の室と実質的に同じ温度に達するまで上昇する。しかし、多くの食料及び他の生物材料は、加熱によって、味、美観、栄養レベル又は他の特性に関して負の影響を受け、そのため、この材料を処理することができる方法は限定される。さらに、加熱された表面にさらされた多くの生物材料はその表面に焼き付き、熱流の低減、ランタイムの増大を引き起こす。ランタイムが増大し、加熱された材料が蓄積し、製品中へ剥離すると、製品にいやな矯味矯臭薬がつくことがある。
【0005】
例えば、食品産業におけるサツマイモの利用はしばしば、根をピューレに加工することを含み、このピューレは続いて、この製品を1年を通して利用できるようにするために冷凍され、又は缶詰にされる。サツマイモピューレ(sweet potato puree:SPP)は、ベビーフード、キャセロール料理、プディング、パイ、ケーキ、パン、再構成フライ(restructured fries)、パティ、スープ及び飲料を含むさまざまな製品の原料として使用することができる(Truong, 1992、Truongら, 1995、Woolfe, 1992)。
【0006】
冷凍によるSPPの保存は確立された方法だが、冷凍ピューレは、冷凍流通及び貯蔵、並びに使用前の長く制御が不完全な解凍処理に相当な投資を必要とする。一般に缶詰のピューレは、特に業務用サイズの包装の中で処理されるときに、過度の熱処理を要求し、貯蔵スペースの利用効率が悪く、製品の取扱い、開封及び分配、並びに空包装の処分に困難を伴う。ピューレの熱侵入特性の低さから、缶詰のサツマイモは121℃で2時間以上レトルト処理され、その結果、缶の中の製品の品質は、缶の中心から壁端に向かって急激に変化する。特に壁端部では、製品がしばしばひどく過剰処理され、黒ずみ及び焦げた矯味矯臭薬が生じる。したがって、実用的な缶サイズはしばしば缶サイズ番号10(すなわち容積約13カップ)に限定され、このサイズの限界は、食品加工業において缶詰のサツマイモピューレをより幅広く応用する上での大きな障害である。
【0007】
スクレープドサーフェス(scraped surface)熱交換器、フラッシュ滅菌処理などの他の熱処理技術も、SPPが低熱拡散率を特徴としている(Smithら, 1982)点で限界がある。Fasinaら(2003)は、SPPの熱拡散率を3×10−7m2/s程度、熱伝導率を0.54W/m・K程度と報告している。SPPのこの低い熱拡散率のため、従来の熱処理法を使用すると、必要な滅菌レベルを達成するための加熱時間が非常に長くなり、これは、SPP中の栄養素の分解及び劣等な製品品質につながる。
【0008】
したがって、当技術分野では、以前から、食品及び他の生物材料を熱処理する効果的な方法が継続的に求められている。本出願によって開示される主題は、この要求及び当技術分野の他の要求に対処する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
食品及び他の生物材料の熱処理法及び装置、並びにそれによって得られる製品を提供すること。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(要旨)
この要約では、本出願によって開示される主題のいくつかの実施態様を記載し、多くの場合に、これらの実施態様の変形及び置換を記載する。この要約は単に、これらの多くの多様な実施態様を例示するだけである。所与の実施態様の1つ又は複数の代表的な特徴への言及も同様に例示にすぎない。このような実施態様は一般に、記載される特徴の有無にかかわらず存在することができ、同様に、それらの特徴は、それがこの要約に載せられているか否かにかかわらず、本出願によって開示される主題の他の実施態様に適用することができる。過度の繰り返しを避けるため、この要約は、このような特徴の可能な全ての組合せを列挙し、又は提案することはしない。
【0011】
本出願によって開示される主題は、流動可能な材料を連続ストリームとして熱処理装置に通している間にこの流動可能な材料を熱処理する方法を提供する。いくつかの実施態様ではこの方法が、(a)少なくともその一部分が電磁放射線透過性導管に、流動可能な材料を連続的に通すこと、(b)電磁放射線透過性のこの導管の少なくとも一部分を暴露することによって、流動可能な材料を加熱すること、(c)導管内の流動可能な材料を混合して、流動可能な材料の少なくとも一部分の熱等化を提供することを含む。いくつかの実施態様では、流動が一定の流量で起こる。いくつかの実施態様では、流動が、流動生物材料の加熱出口での一定加熱力入力又は一定質量平均温度で起こる。
【0012】
いくつかの実施態様では、流動可能な材料が、流動可能な材料のレオロジー特性、誘電特性及び熱物理特性のうちの少なくとも1つ、又はこれらの特性の組合せに基づいて選択される。いくつかの実施態様では、流動可能な材料が生物材料である。いくつかの実施態様では、生物材料が食用生物材料である。いくつかの実施態様では、食用生物材料が、食用生物材料のレオロジー特性、誘電特性及び熱物理特性のうちの少なくとも1つ、又はこれらの特性の組合せに基づいて選択される。
【0013】
本出願によって開示される主題のいくつかの実施態様では、加熱の結果、流動可能な材料の、少なくとも1°F毎秒又は0.5℃毎秒の平均バルク温度上昇速度が得られる。いくつかの実施態様では、1つ又は複数の追加の加熱ステップが使用される。いくつかの実施態様では、この1つ又は複数の追加の熱ステップが、流動可能な材料の少なくとも1°F毎秒又は0.5℃毎秒の平均バルク温度上昇速度を与える加熱の前に、又はこの加熱と同時に、又はこの加熱の後に実施される。いくつかの実施態様では、この加熱が、流動可能な材料を、流動可能な材料自体の最高温度レベルを超える温度を有する表面と接触させることによる加熱を実質的に含まない。
【0014】
本出願によって開示される主題のいくつかの実施態様では、電磁放射線の波長が約1×10−4メートル以上である。いくつかの実施態様では、電磁放射線の周波数が約3×1012波毎秒以下である。
【0015】
本出願によって開示される主題のいくつかの実施態様では、混合が加熱の前に、又は加熱と同時に、又は加熱の後に実施される。いくつかの実施態様では、混合が、流動の断面形状を変更することによって達成される。いくつかの実施態様では、混合が、受動的に又は能動的に起こり、或いは受動的と能動的の両方で起こる。いくつかの実施態様では、混合が、受動混合デバイス、能動混合デバイス、又は受動混合デバイスと能動混合デバイスの両方の任意の組合せを使用することによって達成され、混合デバイスは、流動可能な材料の相対的に高い温度レベルを有する領域と流動可能な材料の相対的に低い温度レベルを有する領域との間の物理接触及び熱交換を増大させる働きをし、この増大は、混合デバイスがない場合には起こらないと考えられる。いくつかの実施態様では、混合が、流動可能な材料全域の温度分布の変動性(標準偏差)を、混合デバイスがない場合の流動可能な材料全域の温度分布の変動性(標準偏差)と比較したときに、少なくとも10%低減させる。いくつかの実施態様では、この方法が、導管の電磁放射線に暴露される部分の入口の1つ又は複数の点、この部分内の1つ又は複数の点、この部分の1つ又は複数の出口、及びこれらの組合せからなるグループから選択された位置に、混合デバイスを配置することを含む。
【0016】
本出願によって開示される主題のいくつかの実施態様では、流動可能な生物材料が加熱された表面にさらされず、それによって生物材料に焼き付かないヒータセクションを提供し、間接加熱システムと比較して有利なプロセスランタイムを与える。
いくつかの実施態様では、この加熱及び混合が、流動可能な材料の滅菌及び殺菌のうちの一方を達成するための十分な温度を、十分な時間提供する。
いくつかの実施態様では、この方法がさらに、流動可能な材料を冷蔵貯蔵用に包装することを含む。いくつかの実施態様では、この方法がさらに、流動可能な材料を無菌包装することを含む。
【0017】
本出願によって開示される主題のいくつかの実施態様では、流動可能生物材料との接触面が、流動可能な生物材料の導入前に滅菌される。いくつかの実施態様では、この方法が、流動可能な材料を、所定の時間、所定の温度に保ち、いずれも無菌条件下で、流動可能な材料を冷却し、流動可能な材料を滅菌された包装の中に包装し、流動可能な材料を溶接密封することを含む。いくつかの実施態様では、流動可能な材料と接触した包装表面の同時滅菌を達成するため、流動可能な材料が、所定の温度レベルで、非無菌包装の中に、大気圧条件下と加圧条件下のうちの一方で充填され、次いでこの包装を溶接密封する。
【0018】
本出願によって開示される主題はさらに、本明細書に開示された方法によって製造された製品を提供する。
【0019】
本出願によって開示される主題はさらに、ある熱処理法を使用して滅菌された基準食品又は他の生物材料に比べてより程度よく維持された1つ又は複数の品質属性を有する商業的に無菌の食用又は他の生物材料を提供し、この熱処理法は、基準食品又は他の生物材料を、基準食品又は他の生物材料の所定の処理温度よりも一貫して高い温度を有する表面と接触させることを含む。いくつかの実施態様では、前記1つ又は複数の品質属性が、約25°の貯蔵で少なくとも12週間維持される。いくつかの実施態様では、前記1つ又は複数の品質属性が、栄養素含量、色、テクスチャ、矯味矯臭薬及び全体的な外観からなるグループから選択される。いくつかの実施態様では、食品又は他の生物材料が、溶接密封包装されたもの、貯蔵安定性のあるもの、及び溶接密封包装された貯蔵安定性のあるもののうちの1つである。いくつかの実施態様では、食品又は他の生物材料が、サツマイモ又はジャガイモ(例えばIrish potato)である。
【0020】
本出願によって開示される主題はさらに、ある熱処理法を使用して滅菌された対照食品又は他の生物材料に比べてより程度よく維持された1つ又は複数の品質属性を有する商業的に無菌の食品又は他の生物材料において、この熱処理法が、基準食品又は他の生物材料を、基準食品又は他の生物材料の所定の処理温度よりも一貫して高い温度を有する表面と接触させることを含む、商業的に無菌の食品又は他の生物材料であって、(i)溶接密封包装された食品又は他の生物材料、貯蔵安定性のある食品又は他の生物材料、及び溶接密封包装された貯蔵安定性のある食用生物材料のうちの1つであり、(ii)サツマイモ又はジャガイモ(例えばIrish potato)であり、(iii)包装内の食品又は他の生物材料の体積が、タイプ10(Type 10)の缶に収容することができる食品又は他の生物材料の体積を上回る、商業的に無菌の食品又は他の生物材料を提供する。いくつかの実施態様では、追加の酸性成分が包装に追加されない。
【0021】
本出願によって開示される主題はさらに、処理されていない同じタイプの食品又は他の生物材料の品質プロファイルと実質的に一致する、1つ又は複数の品質属性を含む品質プロファイルを有する熱処理された食品又は他の生物材料であって、商業的に無菌で貯蔵安定性のある食品又は他の生物材料を提供する。いくつかの実施態様では、品質属性が、栄養素含量、色、テクスチャ、矯味矯臭薬及び全体的な外観からなるグループから選択される。いくつかの実施態様では、食品又は他の生物材料が溶接密封包装される。いくつかの実施態様では、食品又は他の生物材料が、サツマイモ又はジャガイモ(例えばIrish potato)である。
【0022】
本出願によって開示される主題はさらに、処理されていない同じタイプの食品又は他の生物材料の品質プロファイルと実質的に一致する、1つ又は複数の品質属性を含む品質プロファイルを有する熱処理された食品又は他の生物材料であって、(i)商業的に無菌で貯蔵安定であり、(ii)サツマイモ又はジャガイモ(例えばIrish potato)であり、(iii)包装内の食品又は他の生物材料の体積が、タイプ10(Type 10)の缶に収容することができる食品又は他の生物材料の体積を上回る、熱処理された食品又は他の生物材料を提供する。いくつかの実施態様では、追加の酸性成分が包装に追加されない。
【0023】
本出願によって開示される主題はさらに、流動可能な材料を熱処理する装置を提供する。いくつかの実施態様では、この装置が、(a)流動可能な材料を受け取る導管であって、その少なくとも一部分が電磁放射線透過性の導管と、(b)導管の少なくとも一部分に電磁放射線を供給するデバイスと、(c)流動可能な材料の少なくとも一部分に熱等化を提供するために導管の中又は導管に沿って配置された混合構造物とを含む。いくつかの実施態様では、電磁放射線を、約1×10−4メートル以上の波長で提供することができる。いくつかの実施態様では、電磁放射線を、約3×1012波毎秒以下の周波数で提供することができる。
【0024】
本出願によって開示される主題のいくつかの実施態様では、混合構造物が、導管の変更された断面形状を含む。いくつかの実施態様では、混合構造物が、1つ若しくは複数の受動混合構造物又は1つ若しくは複数の能動混合構造物、或いはその両方を含む。いくつかの実施態様では、この装置が、受動混合構造物又は能動混合構造物、或いはその両方の任意の組合せを含み、混合構造物は、流動可能な材料の相対的に高い温度レベルを有する領域と流動可能な材料の相対的に低い温度レベルを有する領域との間の物理接触及び熱交換を増大させる働きをし、この増大は、混合構造物がない場合には起こらないと考えられる。いくつかの実施態様では、混合構造物が、流動可能な材料全域の温度分布の変動性(標準偏差)を、混合構造物がない場合の流動可能な材料全域の温度分布の変動性(標準偏差)と比較したときに、少なくとも10%低減させる。
【0025】
本出願によって開示される主題のいくつかの実施態様では、この装置が、導管の電磁放射線透過性の前記部分の入口の1つ又は複数の点、この部分内の1つ又は複数の点、この部分の1つ又は複数の出口、及びこれらの組合せからなるグループから選択された位置に、混合構造物を含む。いくつかの実施態様では、この装置が、導管内の流動を一定流量に制御するための制御デバイスを含む。いくつかの実施態様では、この装置が、導管内の流動を、少なくとも0.25ガロン毎分の体積流量に制御するための制御デバイスを含む。いくつかの実施態様では、この装置が、電磁放射線を供給するデバイスのパワーレベルを制御して、導管内の流動可能な材料の加熱が、流動可能な材料中少なくとも1°F毎秒又は0.5℃毎秒の平均バルク温度上昇速度で起こるようにする制御デバイスを含む。いくつかの実施態様では、この装置が、電磁放射線を供給するデバイスのパワーレベルを制御して、導管内の流動可能な材料の加熱が導管の加熱よりも高い速度で起こるようにする制御デバイスを含み、その結果、流動可能な材料の加熱が、流動可能な材料を、流動可能な材料自体の最高温度レベルを超える温度を有する導管の表面と接触させることによる加熱を実質的に含まない。いくつかの実施態様では、この装置が、電磁放射線を供給するデバイスのパワーレベルを制御して、パワーレベルが一定に維持されるようにする制御デバイスを含む。いくつかの実施態様では、この装置が、電磁放射線を供給するデバイスのパワーレベルを制御し、パワーレベルを、所定の質量流量の流動可能な生物材料の所定の熱処理を提供するように予め定められたレベルに予め自動的に設定し、又は手動で調整することができるようにする制御デバイスを含む。いくつかの実施態様では、この装置が、流動可能な材料を冷蔵貯蔵用に包装するための包装デバイス、流動可能な材料を無菌包装するための包装デバイス、及び流動可能な材料を冷蔵貯蔵用に無菌包装するための包装デバイスのうちの1つを含む。いくつかの実施態様では、この装置が、導管と流体連通するように適合された保持管を含む。いくつかの実施態様では、この装置が、流動可能な生物材料の導入前に、流動可能生物材料製品との接触面を商業的に無菌にする能力を有する。
【0026】
したがって、本出願によって開示される主題の目的は、流動可能な材料を熱処理する方法を提供することにある。この目的及びその他の目的は、本出願によって開示される主題によって完全に、又は部分的に達成される。
上述の本出願によって開示される主題の目的、本出願によって開示される主題のその他の目的及び利点は、本出願によって開示される主題の以下の説明及び非限定的な実施例を検討した当業者には明白であろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
(詳細な説明)
I.一般的な考慮事項
連続流マイクロ波加熱は、高速且つ効率的な加熱を提供する食品加工における新しい技術の1つである。この技術を使用した乳製品の均一加熱が、以前の試験に示されている(Coronelら, 2003)。マイクロ波を使用した食品の加熱は材料の誘電特性に支配される。サツマイモピューレ(SPP)の誘電特性は、Fasinaら, 2003に報告されているように、連続流マイクロ波加熱システムを使用した処理に対して有望であると特定された他の製品(Coronetら, 2004)と同様の範囲にある。いくつかの実施態様では、本出願によって開示される主題が、連続流マイクロ波加熱システムによって処理された無菌包装された貯蔵安定性のある野菜ピューレ及びそれを調製するための方法に関する最初の開示を表す。
【0028】
本出願によって開示される主題は、プロセス及び新しい製品群を提供する。記載されるプロセスは、材料(ポンピング可能な食品又は他の生物材料)の輸送、電磁エネルギーに対する暴露、及び能動又は受動温度等化(temperature equalization)を介した温度制御の独自の組合せである。前述の温度等化は、マイクロ波(MW)及び/又は無線周波(RF)透過性材料でできた室又は管内でのポンピング中の流動食品又は他の生物材料の電磁エネルギー場(無線周波又はマイクロ波周波数範囲)への暴露によって達成される急速温度上昇ステージに先行、それと同時、又はその後に続くことにより、第2の熱等化手段を提供する。
【0029】
MW及び/又はRFエネルギー透過性流通室又は管の中での材料輸送(ポンピング)中の電磁エネルギー場への暴露は、加熱ステージのうちの少なくとも1つが、少なくとも1°F毎秒又は0.5℃毎秒の平均バルク温度上昇速度をもたらす限りにおいて、単一の又は複数のステージで実施することができる。
いくつかの実施態様では、処理中の材料が、少なくとも0.25ガロン毎分の体積流量で透過性室/管の中を輸送(ポンピング)されて、最低温度上昇速度が達成される。しかし異なる流量を使用することもできる。
【0030】
機械的温度等化ステップは、相対的に高い温度レベルを有する連続流材料領域と相対的に低い温度レベルを有する材料領域又はストリームとの間の物理接触及び熱交換を増大させる働きをする静的又は能動混合デバイスの任意の組合せを使用することによって実施することができ、これらの混合要素の導入なしでは通常は起こらないと考えられる。機械的温度等化ステップは、前述の電磁エネルギー場への暴露の前、暴露と同時に、又は暴露の後に、個々の処理又はデバイス、或いは処理又はデバイスの任意の組合せによって、実施することができる。機械的混合ステージは一般に、電磁エネルギー暴露ステージ(MW及び/又はRF透過性室/管)の入口点、内部点及び/又は出口の材料流の横断方向の温度分布の変動性(標準偏差)を、(前、同時及び後の能動又は受動)混合要素が実装されていない場合の温度分布の変動性(標準偏差)と比較したときに、少なくとも10%低減させる。
【0031】
開示のプロセスは、滅菌のために必要な温度上昇を達成するために実装された加熱面がない点でも独特である。このことは、通常の処理条件下で、処理材料が直接に接触しているどの表面の温度も、製品塊自体の内部の最大温度レベルを決して超えないことを意味する。
【0032】
上記の全ての処理及びデバイスは、商業滅菌の達成のために必要な適当な温度レベル及び/又は時間−温度履歴レベルの(測定による)確認の前に実施される。上述の手順の後、食品又は他の生物材料を、(a)(一般に無菌処理システムの保持管セクションを使用して)、所定の時間の間、所定の温度レベル又は温度範囲に維持し、無菌条件下で冷却し、予め別個に滅菌された包装に包装し、溶接密封し、或いは(b)滅菌中の食品又は他の生物材料と接触した包装表面と材料自体の同時滅菌を達成するため、(所定の温度レベル)で、非無菌包装の中に、大気圧条件下と加圧条件下のうちの一方で高温充填することができる。この場合には、内容物がまだ熱いうちに、包装を溶接密封する。
【0033】
いずれにせよ、その結果得られる、溶接密封された、貯蔵安定性のある、商業的に無菌の製品は、独自の化学及び物理特性を有する食品又は他の生物材料を含み、栄養素含量、色、テクスチャ、風味、全体的な外観などの品質属性は、商業的に使用可能な他の方法(インパック(in-pack)滅菌、管熱交換器、スクレープドサーフェス(scraped surface)熱交換器、又は高温面の従来の熱交換原理を実現する他のタイプの熱交換器の中に管を含む、従来の間接的な連続流加熱法を使用したホットフィリング(hot-filling))を使用してこれらの製品が滅菌されたときよりもはるかによく維持される。この1つ又は複数の品質属性を、食物又は他の対照生物材料を、食物又は他の対照生物材料の所定の処理温度よりも一貫して高い温度を有する表面と接触させることを含む熱処理法を使用して滅菌された食用又は他の対照生物材料に比べて、いくつかの実施態様では少なくとも5%、いくつかの実施態様では少なくとも10%、いくつかの実施態様では少なくとも15%、いくつかの実施態様では少なくとも20%、いくつかの実施態様では少なくとも25%、いくつかの実施態様では少なくとも30%以上高く、保存することができる。
【0034】
本出願によって開示される主題は、使用可能かつ新しく開発された処理要素の組合せを利用して、食用及び他の生物材料の急速滅菌を達成し、同時に、従来の(バッチ又は連続)熱処理を使用して滅菌された製品と比較して、品質の低下を最小化し、栄養素保持を最大化する、新規のプロセスを提供する。得られる製品の得られる包装サイズ及び範囲は、1回使い切りサイズから、非常に大きな量(例えば100ガロン以上)を含む包装までにわたることができる。製品品質は、包装サイズ範囲全体を通じて一様に高く、このことは、このプロセス及び生み出される製品を、更なる加工、大口配給(レストラン、カフェテリア、病院など)、及び直接消費向け又は他の付加価値製品への更なる加工向けの輸出市場を含む、潜在的な広範囲の被処理材料及び市場に適合したものにする。
【0035】
本開示は、熱処理された、貯蔵安定性のある、商業的に無菌の、食用及び他の生物材料製品を生産するための熱プロセス及び処理送達の条件を定義する。前述の方法によって処理される製品及び材料は、高酸(high acid)又は低酸(low acid)のものとすることができる。本出願によって開示される主題は、高い炭水化物及び/又はタンパク質含量を有する粘性の食用及び他の生物材料に適用されたときに、最も重要な利点を提供する。
【0036】
本出願によって開示される主題はさらに、透過性流通室又は管の中での連続流輸送中の電磁(マイクロ波及び/又は無線周波、或いは無線周波及び/又はマイクロ波として定義される範囲をカバーする周波数の任意の組合せ)エネルギーへの単段又は多段暴露による加熱前、加熱の最中及び/又は加熱後の温度等化手段として、能動及び/又は静的混合要素を導入する。
【0037】
貯蔵安定性のある商業的に無菌の製品を生産するための急速滅菌を達成するのに必要な温度レベル及び温度レベル分布を達成する現行の技術は主に、間接加熱及び食品又は他の生物材料と加熱された表面との接触による、熱交換に依存する。これは、低い熱交換速度及び低いバルク材料温度上昇速度をもたらし、高温面への長い暴露時間、及びこれに関連した栄養素含量、矯味矯臭薬、色、全体的な外観、テクスチャなどの品質属性の広範な劣化を必然的に伴う。しばしば、熱交換面に生物材料が焼け付き、熱伝達及びプロセスランタイムを低減させる。さらに、焼け付いた材料の剥離が完成した製品にいやな矯味矯臭薬を与えることもある。非常に限られたケースでは、製品内への水蒸気注入又は過熱水蒸気環境への製品の導入による、被処理材料と過熱水蒸気の直接接触によって、より急速な熱送達を達成することができる。どちらの場合も、材料組成物は負の影響を受け、後に、加えられた水を製品から除去する必要がある。さらに、これらの方法は、必要な急速加熱を達成するために必要な急速な熱放散を可能にする非常に高い熱拡散率を有する小さな限られた製品群にしか適用することができない。より濃厚な、より粘性の、又は懸濁固体粒子を含む均質な材料に対しては、これらの方法を適用することができない。
【0038】
いくつかの実施態様では、本出願によって開示される主題の要素の1つが、高い炭水化物含量及び/又は高いタンパク含有量を有する一群の粘性又はウイークゲル(weak gel)材料、並びに開示された滅菌手順を実施することによって得られる降伏応力でずり減粘を示す製品、具体的には貯蔵安定性のある高炭水化物及び/又はタンパク質含量製品である。
【0039】
これらの製品の独自の特性は材料ごとに異なるが、いくつかの共通の要素がある。
・加工及び包装ステージの全体を通じて連続輸送モードを達成するため、製品はポンピング可能な状態にある。
・本出願によって開示される主題を実施することによって得られる滅菌された貯蔵安定性のある製品の保持品質属性及び特性は、現在使用可能な他の任意の加工及び保存手順によって得られる製品及び材料の場合よりも、元の材料の属性及び特性に近い。これらの属性及び特性は例えば、タンパク質の劣化/変性速度(最小化);色、粘度、テクスチャ、矯味矯臭薬及び/又は栄養素含量の保持速度(最大化);並びに/或いは先に概説した基準以外の望ましくない化学及び物理変化の速度(最小化)である。被処理材料に応じて、これらの基準は、熱感受性ビタミン(ビタミンC/アスコルビン酸、βカロテン/ビタミンA、チアミンなど)、天然色素及び/又は抗酸化物(クロロフィル、カロテノイド、アントシアニンなど)などのさまざまな化学成分の保持を指す。
・包装のサイズ及び形状にかかわらず、高いレベルの保持属性及び特性が、包装環境全体を通じて均一である(すなわちこれらの特性の変動性及び範囲が、包装内の全ての点で最小である)(このことは、現在入手可能な貯蔵安定性のある同様の製品にはあてはまらない)。
【0040】
最近、食物及び他の生物材料の連続流ストリームに急速加熱処理を送達する新しい洗練されたデバイスについて多くのことが知られるようになった。オーム、電気加熱、無線周波及びマイクロ波エネルギーを使用した急速加熱のような処理は全て、所望の熱レベル及び熱速度を被処理材料に送達するのに必要な速度及び効率を要求する。
【0041】
おそらく、このタイプの最も洗練された先進のデバイス群は、米国ノースカロライナ州MorrisvilleのIndustrial Microwave Systems社製の特許された円筒形マイクロ波ヒータ/リアクタである。これらのデバイスは、ヒータ/リアクタ暴露キャビティを出た材料の内部の均一な加熱速度及び均一な温度分布を達成するために選択の標的材料に慎重に適合させた独自仕様の集束構造の正確なモデリング及び組立てを使用して構築される。
【0042】
残念なことに、選択された材料特性セットへこの設計を正確に組み合わせることは、理論的な意味で非常に明白で印象的な技術的利点を提示するが、同時に、実際の応用の意味でこの技術の最も重大な欠点を提示し、時が経つにつれて、そのより幅広い工業及び商業的実施において、最大の障害となる可能性がある。
【0043】
その理由は複数ある。厳密に定義された単一条件セットの下で、単一の材料に対する理論的に完璧な(均一な)温度分布を達成することは望ましいが、このような明確に定義された材料特性セット及び厳密に定義された条件セットは、食用及び他の生物材料加工の現実世界ではめったに遭遇しない。
加工業者が対象としうるおそらく非常に幅広い範囲から狭く定義された材料に対応するためにプロセスラインを分解、再組立てする必要があるいくつかの個別のリアクタ/ヒータデバイスに投資するこの選択肢は、非常に費用がかかり、わずらわしいであろう。
【0044】
連続流マイクロ波及び/又は無線周波処理の実施において考慮すべき特性及びプロセスパラメータ条件は数多く、それらの条件は、温度、実現される剪断速度、プロセス中に材料内に生じる付随する物理及び化学変化などの他の条件と相互依存関係にあることがあり、これには以下のものが含まれるが、これらに限定されるわけではない。
・材料の誘電特性(マイクロ波エネルギーの熱への変換の速度及び効率を決定する特性)は、温度、組成並びに付随する物理及び化学変化に依存する。食物及び他の生物材料の組成の変動性はよく知られており、そのため、たとえその処理が、ある材料特性セットに完全に適合されているときでも、生育条件、栽培法、栽培品種、季節、病害虫の有無、局所性及び季節性気候による自然変動が、材料の組成、したがってその結果生じる取合せ、並びにマイクロ波及び/又はRF処理の効率及び質に影響を及ぼすことがある。
・被集束アプリケータデバイスの設計は一般に、(処理中の単一の暴露温度又は限られた暴露温度範囲に基づいて仮定した)単一の誘電特性又は狭い範囲の誘電特性に重点を置く。しかし、加熱中に達成される温度差は、処理要素の設計において仮定した範囲をはるかに超える。場合によってはこれが、設計時には考慮しなかった製品タイプ及び温度範囲に関して、エネルギー結合効率の低減、温度均一性の低下、温度分布の変動性の(いくつかのケースでは急激な)拡大につながる。
・加熱中及び加熱後の製品の流動分布は、温度範囲、体積及び質量流量、並びに粘度、テクスチャなどの被輸送材料の物理特性に依存する。ほとんどの場合、これらの特性は温度と剪断速度の両方に依存する。層流及び乱流プロファイルの一般的なケースに加えて、局部加熱によって引き起こされる材料のチャネリング(channeling)並びに温度及び剪断速度の増大による粘度の低減を含む、中間的な独自の流動分布シナリオが無限にある。これらは全て、合理的に対処することができず、加熱モデル法のために選択された幅の狭い条件セットを使用するうまく制御された滅菌プロセスに組み込むことができない、遭遇する条件及び潜在的な条件の極めて複雑な条件セットとなる。
・滅菌された食物及び他の生物材料は、滅菌レベル熱処理への暴露中に、圧倒的な数の多種多様な化学及び物理変化を受ける。これらの変化には、食物及び他の生物材料中に存在するさまざまなバイオポリマー及び巨大分子構造からの水(タンパク質、炭水化物及び多糖分子に結合した水)の取込み及び放出が含まれる。この水は、pH、温度、溶質又は固体の濃度、環境のイオン強度などを含むさまざまな条件に基づいて結合し、放出される。ただし条件はこれらに限定されるわけではない。被処理材料の誘電、流動及び熱放散挙動に影響する変化にはこの他、タンパク質の変性(unfolding)及び変性(denaturation)、ゲル(ペクチン、デンプンベースのゲルなど)の形成及び分解、脂質成分の溶解及び/又は固化などの物理状態の変化などがある。最後に、化学変化及び化学反応は、物理特性、特に誘電特性に影響を及ぼすだけでなく、熱エネルギーの生成(発熱)又は消費(吸熱)をも引き起こし、これはさらに、加熱プロセス及び方法自体に無関係な、付随する温度上昇及び/又は材料の減少を引き起こす。
【0045】
まとめると、記載の因子及びパラメータ、並びに追加の因子及びパラメータは全て、狭く定義された標的集束デバイスの応用を、これらの変化が存在しないか又は最小限であり、或いは熱拡散特性又は自然流量乱流が非常に大きく、同時温度等化効果を流れに提供する、数少ないケースに限定する。残念なことに、これらの材料は一般に低価格であって、RF又はMW加熱ユニットなどの洗練された高コスト滅菌機器に投資する費用を正当化するには至らず、また、これらの材料は、使用可能な他の手段によって容易且つ経済的に処理することができる。
【0046】
さらに、現在使用可能なモデリング及びシミュレーション技法並びに計算装置は、上記の変化及び変動の近似しか提供することができない。これらの洗練さが増大し、より多くの要素がシミュレーションに組み込まれるにつれ、これらのモデルから非常に貴重な情報及び理解を得ることができる。しかし、現在のところそれらはまだ、これらの複雑なプロセスを適切に解釈するために必要な全ての要素及びパラメータに対処する十分な包括的ベースを提供するには至っていない。
【0047】
したがって本出願によって開示される主題は、これらの懸念に対する実際的な解決策を提示する。より幅の広い運転条件セット及び潜在的な材料のずっと幅広いターゲット範囲の下で、追加の混合及び温度等化デバイスをプロセスに組み込み、単一のタイプのエネルギー集束デバイス又はエネルギー集束デバイスの構造設計の使用を維持しながら、少なくとも2つの利点を達成することができる。例えば、電磁エネルギー場への暴露による加熱前、加熱中又は加熱後の温度等化の一方法として、静的又は能動機械混合を実施することによって、本出願によって開示される主題は、標的被処理製品の範囲、温度範囲、流量及び分布条件を拡張するための実際的な戦略を提供し、上記の全てのパラメータ及び事象からの効果にさらに対応し、それらの効果を等化することができ、(b)能動又は静的混合と組み合わせたときに、これらの方法及び高価な集束構造の実現は、許容される均一性及び分布条件での滅菌レベル温度の急速な達成のために重要ではない。別の言い方をすれば、本明細書に記載した装置及び方法は、電磁エネルギー暴露並びに急速滅菌速度及び効果の送達の代替の集束及び非集束法の適用可能性の範囲を拡張することができる。
【0048】
多数のさまざまな食物及び他の生物材料が、開示のプロセス及び装置に適合する。果実ピューレ及びホモジェネートを、高酸材料の滅菌保存に適した温度レベル(95〜100℃)で処理し、次いで高温又は低温で充填し、又は無菌条件下で充填することができる。
【0049】
遭遇した温度分布、及びプロセス中の静的又は能動混合によってこれらの分布に対処する必要性を評価し、例示するために、本発明の共同発明者らによって、再循環加熱技術を使用して、50種類を超える異なる食物及び材料の予備データが生成された。
【0050】
以下の特許及び特許公報の開示は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれている:米国特許第6,797,929号、6,583,395号、6,406,727号、6,265,702号、6,121,594号、6,087,642号及び5,998,774号;米国特許出願公開第20030205576号及び第20010035407号;並びにPCT国際特許出願公開第WO0143508号、第WO0184889号及び第WO0036879号。
【0051】
II.定義
以下の用語については当業者によって十分に理解されていると思われるが、本出願によって請求される内容の説明を容易にするため、以下に定義を記載する。
長年の特許法の慣例に従って、特許請求の範囲を含む本明細書において使用されるとき、用語「a」、「an」及び「the」は「1つ又は複数の」を指す。
本明細書で使用されるとき、用語「約」は、例えば別の測度に対する値又は量について言及するときに、それが適当であるときに、いくつかの実施態様では±20%、いくつかの実施態様では±10%、いくつかの実施態様では±5%、いくつかの実施態様では±1%、いくつかの実施態様では±0.1%の、指示値又は指示量からの変分を包含することを意味する。
【0052】
本明細書で使用されるとき、「有意性」又は「有意」は、2つの以上の構成要素間に無作為ではない関連性がある確率の統計的解析に関する。ある関係が「有意」であるか否か、又はある関係に「有意性」があるか否かを判定するためには、データの統計的操作を実行して、いくつかの実施態様では「p値」と表現される確率を計算することができる。ユーザ定義の切捨て点よりも低いp値は有意とみなされる。いくつかの実施態様では0.05以下、いくつかの実施態様では0.01未満、いくつかの実施態様では0.005未満、いくつかの実施態様では0.001未満のp値が有意とみなされる。
【0053】
本出願によって開示される主題は、流動可能な材料を熱処理するための連続流法を提供する。本明細書で使用されるとき、用語「流動可能な材料」は、1点から別の点へ実質的に均一に流すことができる任意の材料を指す。例えば、いくつかの実施態様では、流動可能な材料を、1つの位置から別の位置へ層流によって移動させることができる。いくつかの実施態様では、流動可能な材料が、降伏応力によって特徴づけられるずり減粘性又はずり増粘性である高粘性/半固体材料を含む。
【0054】
いくつかの実施態様では、生物材料が、生物材料のレオロジー特性、誘電特性及び熱物理特性に基づいて選択される。いくつかの実施態様では、生物材料が、高デンプン含量、高タンパク質含量、高固形物含量、高粘性(例えば従来の熱処理プロセスが望ましい方法でなくなるの約25℃における高粘性)、及び低熱伝導率(例えば1W/m・K未満)からなるグループから選択された、1つ又は複数の特性を有する。いくつかの実施態様では、生物材料が、濃厚な野菜ピューレ、薄い生物材料ゲルなどを含む。サツマイモピューレを含む濃い/粘性の食品又は生物材料の代表的な流動特性及び降伏応力を表1及び2に示す。
【表1】
【表2】
【0055】
本明細書で使用されるとき、用語「熱処理する」及びその文法上の異形は、流動可能な材料(例えば生物材料)を、時間が経つにつれて、又は混合しながら電磁放射線に暴露した後に、流動可能な材料の全体の温度が、それによってその処理を達成するのに適当なレベルまで増大する条件に暴露することを指す。いくつかの実施態様では、熱処理が、生物材料を殺菌又は滅菌するように設計される。
【0056】
本明細書で使用されるとき、用語「殺菌(pasteurization)」及び「殺菌された(pasteurized)」は、例えばサルモネラ属、リステリア属又は他の病原微生物による感染の恐れなく、その生物材料を食用とし又は被検者に投与することができる程度に、処理中の生物材料に含まれる病原微生物を十分に殺すのに足る処理を指す。実際上、殺菌は、冷蔵条件下で繁殖又は増殖できない状態に病原微生物を置く処理と考えることができる。殺菌法は、製品中の細菌を、いくつかの実施態様では少なくとも4対数サイクル(log cycle)、いくつかの実施態様では少なくとも6対数サイクル、いくつかの実施態様少なくとも9対数サイクルで減少させる。
【0057】
本明細書で使用されるとき、用語「超殺菌(ultrapasteurization)」は、周囲条件又は冷蔵条件(例えば4℃以下、ただし凍結温度以上)下で、以前に知られている殺菌法を使用して達成可能な販売可能な貯蔵期限よりも長い販売可能な貯蔵期限を有する殺菌された製品を与える殺菌を指す。例えば米国特許第4,808,425号を参照されたい(本明細書に引用される全ての特許の開示はその全体が本明細書に組み込まれる)。本明細書で使用されるとき、句「販売可能な貯蔵期限」は、貯蔵中に変化するいくつかの特性が、消費者に対する訴求力を失う程度まで製品を変化させる前に、製品を貯蔵できる、且つ/又は消費者の販売用途に使用可能である時間を指す。製品の貯蔵中に変化しうる代表的な特性には、色レベル、粘性レベル、食味特性、香気及び微生物レベルが含まれるが、これらに限定されるわけではない。したがって、超殺菌法は、販売可能な貯蔵期限の長い製品、例えば、いくつかの実施態様では10日超、いくつかの実施態様では14日超、いくつかの実施態様では4から6週間、いくつかの実施態様では36週以上の貯蔵期限を有する製品を生み出す。
【0058】
いくつかの実施態様では、超殺菌が、a)生物材料を導入する前に処理ユニットの接触面領域を滅菌し、b)通常の殺菌に付随する熱処理よりも強いが、商業的に無菌とみなされるほどには強くない(ただし商業的に無菌の範囲の処理を使用することもできる)熱処理を生物材料に加え、c)延長貯蔵期限詰込機(Extended Shelf Life (ESL) filler)及び/又は無菌詰込機内で包装し、d)貯蔵中、製品を冷蔵下に保持する、ことを指す。超殺菌製品は、生産を許可する米国食品医薬品局からの非拒絶書簡(no rejection letter)を必要とする低酸貯蔵安定製品とはみなさず、冷蔵されなければならず、限定された貯蔵期限を有する。
【0059】
いくつかの実施態様では、熱処理が、貯蔵安定性のある生物材料を与える。本明細書で使用されるとき、用語「貯蔵安定性がある」は、本明細書に記載されている熱処理がされていない同じ生物材料に比べて、腐敗又は微生物増殖なしで、室温でより長期間貯蔵することができる生物材料を指す。貯蔵安定性のある生物材料は、室温で、いくつかの実施態様では10日超、いくつかの実施態様では14日超、いくつかの実施態様では4から6週間、いくつかの実施態様では36週以上、腐敗又は微生物増殖なしで貯蔵することができる。貯蔵安定性のある商業的に無菌の製品が1年以上の貯蔵期限を有することは珍しくない。
【0060】
貯蔵安定性があると商業的に無菌とは、本出願によって開示される主題の目的上、相互に交換可能に使用することができる。構成要素には、a)生物材料を導入する前に処理ユニットの接触面領域を殺菌すること、b)統計的範囲において周囲温度での微生物及びその胞子の増殖の危険性を除去する熱処理を生物材料に加えること、c)無菌詰込機を使用して溶接密封された容器に包装すること、及びd)流通貯蔵の間、製品を周囲温度に保持すること、が含まれる。低酸貯蔵安定製品は、生産を許可する米国食品医薬品局からの非拒絶書簡を必要とする。
【0061】
「貯蔵安定性のある」と「販売可能な貯蔵期限」とは必ずしも相互に交換可能な用語ではないことに留意されたい。例えば、製品は、その販売可能な貯蔵期限を超える期間、貯蔵安定性でありうる。時間の経過とともに製品に起こりうるある種の変化が、微生物の増殖とは無関係であり、販売可能な貯蔵期限に負の影響を及ぼす場合、所与の製品の販売可能な貯蔵期限は一般に、それが貯蔵安定である期間よりも短い。
【0062】
用語「無菌包装する」又は無菌詰込機内で包装されるは、製品自体によって運ばれる微生物及びそれらの胞子以外の微生物及び胞子の排除を意味する。無菌包装詰込機は、生産運転の前に予め滅菌される。いくつかの実施態様では、熱処理された生物材料を導入する前に、無菌包装材料が予め滅菌される。
用語「生物材料」は、タンパク質、デンプン又は糖などの生体構成要素を含む任意の材料を意味する。代表的な生物材料は、例えば連続流熱プロセスなどの熱プロセスを使用した処理になじむ生物材料である。いくつかの実施態様では生物材料が食物又は食品である。
【0063】
用語「生物材料」はさらに、ある種の環境条件にさらされた場合、或いは標準品質又は標準特性に到達するように適切に処理されなかった場合に、標準品質又は標準特性からの逸脱を生じやすい固体又は流体材料或いは固体又は流体製品を指す。いくつかの実施態様では「生物材料」が食用材料を指す。したがって用語「生物材料」はさらに、消費者によって摂取され又は消費者に投入される材料又は製品を含むことを意図する。
【0064】
例えば食物及び他の生物材料は、標準品質又は標準特性からの逸脱を生じやすい。包装の中に含まれる食用また他の生物材料中での微生物増殖は、特に、包装の中の食品又は他の生物材料が適切に冷蔵されていない場合、或いは食品又は他の生物材料中の微生物及びそれらの胞子を殺すのに十分なレベルまで熱処理されていない場合に起こりうる。微生物の増殖は、食品又は他の生物材料の特性の標準特性からの逸脱を生み出す。例えば、微生物増殖は、食品又は他の生物材料を含む包装内にガスを発生させる。主に微生物の代謝プロセスによって生み出される二酸化炭素であるこのガスは、同様の包装の中の食品又は他の生物材料の標準特性からの逸脱を表し、同様の包装の中の標準品質の食品又は他の生物材料の中にこのようなガスは存在しないはずである。さらに、微生物の増殖自体が、標準、すなわち微生物増殖の不在に対する逸脱を表す。
【0065】
「生物材料」の例にはこの他、医薬品、血液及び血液製品、並びにシャンプーなどの個人用保健製品が含まれる。シャンプーのような個人用ヘルスケア製品は、消費者によって摂取されるものではないが、通常、タンパク質のような生体構成要素を含む。
【0066】
用語「特性」は、生物材料又は生物材料用の包装の特徴を意味する。具体的には、用語「特性」は、生物材料又は生物材料の包装が、消費者による使用及び/又は摂取に適しているか否かを判定する生物材料又は生物材料の包装の特徴を記述するものである。用語「品質属性」は、所与の生物材料にとって望ましいかもしれない本明細書に開示された任意の特性を含むことができる。したがって用語「品質プロファイル」は、所与の生物材料にとって望ましいかもしれない本明細書に開示された特性又は品質属性の任意の組合せを指すことができる。
【0067】
用語「標準特性」は、生物材料及び/又は生物材料用包装が消費者による使用に適していることを指示する、生物材料及び/又は生物材料用包装の特性を意味する。いくつかの実施態様では、用語「標準特性」が、所与の特性の標準又は品質レベルを意味し、これに対して未知の特性を比較することができる。
【0068】
例えば、生物材料の特性及び標準特性はそれぞれ、生物材料の組成物の特性を含むことができる。本明細書で使用されるとき、「特性」は、変化したときに、処理された生物材料の消費者にとっての望ましさに影響を及ぼす生物材料の特性を指す「品質属性」でありうる。代表的な品質属性には、栄養素含量、色、テクスチャ、矯味矯臭薬、全体的な外観、脂肪含量、水組成及びこれらの組合せが含まれる。ただしこれらに限定されるわけではない。
【0069】
本明細書で使用されるとき、用語「熱等化」は、生物材料の温度が、選択された領域(例えば断面)全体を通して実質的に均一な状態を指す。したがって「熱等化」は、選択された領域の全域の温度分布の変動性が最小化された状態である。選択された領域の温度が設定された温度値の範囲内にあることは要求されないが、熱等化は、いくつかの実施態様では20℃以下、いくつかの実施態様では15℃以下、いくつかの実施態様では10℃以下、いくつかの実施態様では8℃以下、いくつかの実施態様では6℃以下、いくつかの実施態様では5℃以下、いくつかの実施態様では3℃以下、いくつかの実施態様では1℃以下の温度変動性を包含することができる。熱等化は或いは、選択された領域(例えば断面)全体を通した変動性パーセントに関して表現することができる。したがって、変動性パーセントは、選択された領域内に存在する最も高い温度と最も低い温度の間の、いくつかの実施態様では20%未満、いくつかの実施態様では15%未満、いくつかの実施態様では10%未満、いくつかの実施態様では8%未満、いくつかの実施態様では5%未満、いくつかの実施態様では3%未満、いくつかの実施態様では2%未満、いくつかの実施態様では1%未満の差を包含することができる。
【0070】
いくつかの実施態様では、熱等化が、最低温度が熱処理の目標を達成するのに十分であり、選択された領域内のどの位置においても、生物材料の関心の特性に負の影響を及ぼすことがない、十分に小さい温度差を包含する。
【0071】
いくつかの実施態様では、流動可能な材料の混合が熱等化を促進する。いくつかの実施態様では、混合が、加熱/電磁エネルギーへの暴露の前、最中又は後に、導管の流通領域の断面の形状、輪郭及び/又は面積を静的又は動的に変化させることによって達成される。形状は、円形から楕円形、三角形などにわたる導管の断面形状を指し、輪郭の変化は、単一又は複数の混合バー、混合シャフト又は他のこのような突起などの挿入物の包含を指し、面積は、異なる断面を有すること、及び/或いは混合バー又は静止流動障害物への付着物による、導管の流通径の増大又は低減、及び流通面積の変動を指すことができる。
【0072】
当技術分野ではよく知られているように、用語「溶接密封された」は、材料(例えば生物材料)を含む包装を、微生物及びその胞子を排除して密封する任意の密封プロセスを意味する。生物材料の場合には、微生物及びその胞子を除去するため、密封の前に、生物材料が、熱処理又は他の方法によって処理される。包装に入れられ、適当に溶接密封された適当に処理された生物材料はおそらく、他の適当な貯蔵条件が必要に応じて実現されるならば、長期にわたり、消費者による摂取又は他の使用に対して適したものであり続けるであろう。したがって、用語「溶接密封された包装」或いは用語「溶接密封された」はまた、包装の中に含まれる生物材料を、消費者による摂取又は他の使用に適したものとして長期間保つ密封を有する包装と定義することができる。
【0073】
用語「滅菌する」、「滅菌」及びこれらの文法上の異形は、製品が、何らかの条件下で増殖する能力がある生存可能な生物又は胞子を含まない(分離することができず、最適な実験室条件で増殖させることができない)ことを意味する。いくつかの実施態様では商業的に無菌の製品が望ましい。用語「商業的に無菌」は、非冷蔵、周囲温度の流通及び貯蔵中に製品が保持されることを意図された条件において製品内で増殖することができる微生物及び/又は胞子を製品が含まないようにするのに十分な加熱によって、単独で、或いは他の材料及び/又は処理と組み合わせて、達成される状態を意味する。商業的に無菌の製品は、その製品に対して意図された貯蔵条件ではない条件で発芽し、増殖することができる胞子を有する可能性がある。商業的に無菌の製品中で増殖する胞子は決して病原性ではありえない。
【0074】
用語「熱特性」は、材料(例えば生物材料)が熱を受け取り又は放出する方法に関係した流動可能な材料(例えば生物材料)のあらゆる特性を意味する。その例には、熱伝導率又は熱侵入速度、冷却速度、温度及びこれらの組合せが含まれるが、これらに限定されるわけではない。代表的な熱特性には、熱侵入速度及び冷却速度を含む温度変化速度が含まれる。
本出願によって開示される主題の方法を、連続流処理において使用することができる。本明細書で使用されるとき、「連続流処理」は、使用中の処理装置内で製品の連続ストリームが維持される方法を指す。連続流熱処理装置は、加熱、保持及び冷却セクションを含むことができ、これらの中に製品の連続ストリームが維持される。
【0075】
連続流処理が使用されたときに、本出願によって開示される主題を実施する際に加えられた熱処理を、当量点法(equivalent point method)を使用して評価することができる。この方法は、連続流機器内の製品によって受け取られる熱処理全体を説明する。当量点法を使用して、連続流加熱中の製品に対する熱効果を分析する手順は、以前に概説されており(Swartzel, 1982、Swartzel, 1986、米国特許第4,808,425号)、当業者に知られている。
【0076】
いくつかの実施態様では、本出願によって開示される主題が、電磁スペクトルのマイクロ波及び無線受信に伴う部分(すなわち約500キロヘルツ(kHz)から約110メガヘルツ(MHz)の周波数を有する電波、又は約1メートルから104メートルの波長を有する電波)を利用する。具体的には、本出願によって開示される主題は高周波電磁放射線を使用する。本明細書で使用されるとき、句「高周波電磁放射線」(high frequency electromagnetic radiation (HFER))は、無線周波及びマイクロ波を含むと当業者によって理解されている電磁放射線を指す。したがって、HFERは、約3×1012波毎秒以下、いくつかの実施態様では約15MHzから約300GHzの周波数を有することができる。HFERは、約1×10−4メートル以上、いくつかの実施態様では約1ミリメートルから約20メートルの波長を有することができる。交流電流は、所望の周波数及び波長の電磁波を生成し、その電磁波は、自体が伝わる媒質の速力特性で伝わる。所与の流動可能な材料(例えば生物材料)の中の特定の波の波長(λ)は、(発生器の関数として)一定の周波数fと、製品中の波の速度に依存するvについての知識から決定される。
【0077】
いくつかの実施態様では、本出願によって開示される主題がマイクロ波加熱を含む。マイクロ波加熱のために使用される周波数は、マイクロ波として分類される周波数範囲全体を包含する。米国では工業加熱応用に対して特定の4つの周波数帯だけが使用される。これらの4つの周波数帯は米国連邦通信委員会によって割り当てられ、ISM(Industrial-Scientific-Medical)周波数と呼ばれている。これらの周波数帯の周波数は915MHz、2450MHz、5800MHz及び24,125MHzである。産業マイクロ波機器の使用者は、レーダ及び通信を妨害しないように選択されたこれらの4つの周波数帯に関して、無制限にパワーを生み出すことが許されている。本出願によって開示される主題はISM周波数加熱の適用を含むことができるが、本出願によって開示される主題はこれらの選択された周波数に限定されない。
【0078】
本出願によって開示される主題は、HFERを利用して、処理中の製品の内部に熱を生み出し、製品機能の損失なしで微生物の駆除を引き起こし、生物材料と直接に接触した表面への製品の付着を低減させ、又は排除する。電磁波を使用した微生物不活性化は、従来の加熱プロセスと同様の熱効果に起因し、微生物の生化学成分と電磁場との間の未知の相互作用による熱効果を含み、これらの組合せを含むことができる。例えばAdey, 1989を参照されたい。しかし、熱を生み出す電磁波は一般に、従来の熱だけを使用して生み出される微生物の駆除レベルと同様の微生物駆除を与える。例えばGoldblith, 1975を参照されたい。
【0079】
本出願によって開示される主題では、HFERが流動可能な材料(例えば生物材料)と相互作用するときに、HFERが熱に変換される。電磁エネルギーの吸収は、吸収媒質の分子の運動エネルギーを増大させ、吸収媒質の温度を上昇させる。熱は、加熱中の製品内で生み出されるため、熱伝達面の働きをする加熱された表面との接触は必要ない。したがって、HFER処理を使用するときには、加熱された表面と接触した生物材料の汚染又は燃焼は低減又は排除される。連続流機器では、このことが、プロセスランタイムの延長を可能にし、機器のクリーニングが必要となる前により高い製品処理量を達成することによってより大きな効率を与え、良好な機能特性を有する製品を生み出し、潜在的にいやな矯味矯臭薬を与える熱交換器壁に付着した焼けたフレーク状の材料を排除する。
【0080】
間接熱交換器を使用する大部分の連続流処理プロセスは、流動可能な材料(例えば生物材料)の全体を通じて効率的な熱伝達を達成するために、高剪断乱流を最大化するように設計される。HFER加熱では、粒子状物質が液体と同じ速度で暖まり、このことが、生物材料の流動特性についての心配がより小さくなるように連続流処理装置を設計することを可能にする。タンパク質に対する剪断応力を低減させることができ、生物材料から非常に均質な液体を作る必要性を排除することができる。したがって、本出願によって開示される主題を連続流装置で実施する際には低剪断力ポンプを使用することができる。
【0081】
HFER加熱は、ヒータ設計及び制御が、加熱中の材料の特定の比導電率に依存しない点で、オーム加熱から区別される。例えば、異なる生物材料は、十分に異なる導電率を有することができ、そのため、同じオームヒータでそれらを加熱することは極めて困難であるのに対して、本出願によって開示される主題に基づくHFERプロセス及び装置は、それぞれの製品を等しく効率的に加熱することができるはずである。HFER加熱は、フリーラジカルを生み出さず、その結果、高エネルギー電離放射線を使用してさまざまな生物材料を処理するときに見られる矯味矯臭薬の劣化を生じさせない。
【0082】
所望の周波数の電磁波を発生させる任意の方法を使用して、本出願によって開示される主題を実施することができる。高周波電波又はマイクロ波を生み出す能力を有する任意の商用又は工業用発生器を使用することができる。発生器を並列に又は直列に追加して、生成又は温度を増大させることができる。発生器は、所望の電磁放出に対する規格を満たすように調和的に抑制し、又は他の方法で構築することができる。
【0083】
本出願によって開示される主題の方法を実施するために使用される装置では、処理される製品とHFRW発生器の間に置かれる構造体が、電磁放射線透過性の材料から構築される。本明細書で使用されるとき、句「電磁放射線に透過性」は、電磁放射線(例えば無線周波又はマイクロ波)が材料を実質的に通過する材料の特性を指す。同様に、用語「放射線透過性」及び「マイクロ波透過性」はそれぞれ、放射線透過性及びマイクロ波透過性の材料を指す。例えば、図1に例示された連続流装置では、HFRW発生器に隣接した生物材料を運ぶ導管が、放射線透過性又はマイクロ波透過性材料から製造される。本明細書で使用されるとき、用語「放射線透過性」は、本出願によって開示される主題の方法で使用される周波数の電波を実質上通す材料を指し、材料は、他の周波数の電磁波に対して透過性であってもよいが、そうである必要はない。同様に、用語「マイクロ波透過性」は、マイクロ波に対して実質上透過性な材料を指す。適当な放射線透過性及び/又はマイクロ波透過性材料の例には、ポリテトラフルオロエチレン(例えばTEFLON(商標)又はHOSTAFLON(商標)として販売されている製品)、及びLEXAN(商標)などのポリカーボネート樹脂、又はガラス(例えばKIMAX(商標)強化ガラスプロセスパイプ)などがある。当業者には明白なことだが、放射線透過性及び/又はマイクロ波透過性材料の使用は、HFERへの生物材料の十分な暴露を可能にするのに必要な程度に限って必要である。
【0084】
本出願によって開示される主題の方法とともに使用される連続流装置では、流動可能な材料(例えば生物材料)の連続ストリームを確立するための任意のデバイスを使用して、本出願によって開示される主題を実施することができる。連続ストリームを確立するために使用することができる例示的なポンプは容積移送式ポンプだが、容積移送式ポンプ(タイミングポンプ)は一般に、保持セクション内の製品ストリームの保持時間を正確に規定するために必要である。容積移送式ポンプは、遠心ポンプなどの他のポンピングデバイスと組み合わせて使用することができる。
【0085】
本出願の開示を検討すると、流動可能な材料が処理装置内を適当な速度で運ばれるように、装置内に流動可能な材料の適当な流れが生み出されなければならないことが当業者には明白である。流動可能な材料(例えば生物材料)の流れを生み出すための代表的なデバイスには、重力流動導管及びSINE PUMPS(商標)(Sine Pumps社、Curacao、オランダ領アンティル)などのポンプ、オーガ型ポンプ又はこれらの組合せが含まれるが、これらに限定されるわけではない。可逆的熱硬化キャリア媒質ゲル(例えばメチルセルロース溶液)を使用することもできる。
【0086】
本出願によって開示される主題の方法及び装置を使用して、40°F未満(ただし凍結温度を超える)の温度から160°F超(ただし加熱(cooking)温度未満)の温度で生物材料を処理することが可能である。次いでその製品を、後に論じるように、有害細菌及び腐敗細菌を駆除するのに十分な時間、最終温度に維持することができる。
【0087】
HFER処理の前に、流動可能な材料(例えば生物材料)を約120°Fから155°Fの温度に予熱する任意選択の予熱ステップを使用することができる。予熱システムは、平板、スエプト(swept)、管熱交換器、オームシステム、蒸気噴射、熱水噴射、熱流動食品噴射などの従来の加熱システムを含むことができる。ただしこれらに限定されるわけではない。
【0088】
いくつかの実施態様では、処理中に流動可能な材料(例えば生物材料)が受ける総熱処理が、製品中の微生物個体数を許容されるレベルに低減させるのに十分なものでなければならない。適当な熱処理は、保持時間を予め設定することによって容易にすることができる。本明細書で使用されるとき、用語「保持時間」は、当業界で使用されているその通常の意味を有する。
【0089】
いくつかの実施態様では、この熱処理が、周囲条件又は冷蔵条件下で約4週から約36週の貯蔵期限を有する製品、いくつかの実施態様では周囲条件又は冷蔵条件下で約8週から約36週の貯蔵期限を有する製品を生産するのに十分な熱処理である。本明細書で使用されるとき用語「冷蔵」は、4℃以下の、ただし凍結温度よりも高い温度で貯蔵することを意味する。
【0090】
均一に処理された流動可能な材料(例えば生物材料)を生み出すためには、流動可能な材料(例えば生物材料)のそれぞれの単位量が、実質的に同じ熱処理を受けなければならない。これは、本出願によって開示される主題に従い、他の条件を実質的に均一にして、流動可能な材料(例えば生物材料)のそれぞれの単位量を同じHFERエネルギーに暴露し、混合することによって、達成することができる。
【0091】
熱処理に続いて、製品を、平板熱交換器、スエプトサーフェス(swept surface)熱交換器、液体窒素噴射、CO2ガス噴射又は他の不活性ガスの噴射、水浴への浸漬などの従来の冷却システムを使用して冷却することができる。ただし冷却システムはこれらに限定されるわけではない。
連続流装置の諸要素は、ステンレス鋼管などの従来の衛生的な材料から形成された製品ラインによって相互接続される。
【0092】
低微生物量の製品を得るために、生物材料を通す前に処理装置を滅菌することができる。滅菌は、当技術分野で知られているように、製品と接触する表面に、これらの表面を滅菌するのに十分な温度及び圧力で熱水が、これらの表面を滅菌するのに十分な時間接触するように、加圧された熱水を処理装置に通すことによって達成することができる。他の処理装置滅菌法を使用することもできる。
【0093】
未包装の流動可能な材料(例えば生物材料)を処理後に無菌包装することができる。用語「無菌包装する」は、材料自体によって運ばれる微生物がある場合にはそれを除く微生物を排除して包装することを意味する。生物材料を無菌包装するのに適した、TETRA PAK(商標)TBA/9、TETRA PAK(商標)TR7-ESL、TETRA PAK(商標)Model AB-3-250(全てTetra-Pak Inc.社(米国イリノイ州Vernon Hills)から入手可能である)、Evergreen EQ-4(Evergreen Packaging Equipment社(米国アイオワ州Cedar Rapids))などの機器が市販されている。当業界で「クリーン詰込機」として知られている、微生物を実質的に排除して製品を包装する機器もこのステップを実施する際には有用だが、特に、リステリア属及び冷蔵条件下で増殖する他の微生物の能力を考慮すれば、微生物をより排除する無菌詰込機の方が好ましい。
【0094】
任意選択で、未包装の流動可能な生体材料の均質化(homogenization)ステップを含めることもできるが、一般にそれは必要ない。本明細書で使用されるとき、用語「均質化」は、製品に物理的な力を加えて粒径を低減させることを意味する。このような手順は当技術分野では知られており、さまざまなタイプの機器で実施することができる。いくつかの実施態様では、この均質化ステップが、均質化機器を用いて、全圧約500ポンド/平方インチから約3,000ポンド/平方インチで実施される。
【0095】
次に図37を参照して、品質プロファイルの別の説明を提供する。これは1つには、タイムゼロ(time zero)に対して示すことができるものの概念に関する。具体的には図37は、コールドスポットと平均(バルク)加熱の両方において、MW技法が非常に均一であることを示している。Co値は、Ea値(品質成分範囲のz値)を有する品質係数−設計と相関する。したがって、この業界標準を使用して、タイムゼロにおける製品の品質変化(例えば品質プロファイル)を表すことができる。従来の無菌流動製品に対するコールドスポットも示されている(例えばピューレは一般に層流として最も速くバルクに流動し、したがって2xを任意選択で使用することができる)。したがって、従来の無菌処理及び缶詰法と対比して、コールドスポットの最小リーガルFoを満たすことと本明細書に開示されたMWベースのプロセスのために暴露されるバルクの間には大きな差が存在すると考えられる。例えば、缶詰法(加熱2時間−10番缶)で最小Fo値に対するコールドスポットを得るためには、バルクは80分となろう。さらに、野菜ピューレを缶詰にするのに、缶サイズ10番に対して必要な滅菌時間は121℃で165分であり(Lopez 1987)、Fo値はより長い時間でなければならない。
【0096】
貯蔵期限に関して、本出願によって開示される製品は、使用可能な製品に対する業界標準内にある(例えば粘度、色、香気及び訓練を積んだ官能検査に基づき、市場に出ている従来の使用可能な缶詰及び無菌製品と比較して、18カ月間貯蔵安定であり続ける)と考えられる。しかし、図37を参照すると、タイムゼロで、(100%タイムゼロ未処理から例えば95%タイムゼロ処理品質保持までの比としても示すことができるCo値に基づく)ずっと高いバルク(平均)品質保持から開始し、周囲温度で貯蔵された3つの全ての方法で同じ動的品質劣化を仮定することによって、従来の缶詰製品及び従来の無菌処理製品において、タイムゼロでバルクに対する30〜50%の損失が見られるかもしれない。したがって、貯蔵の間、この差が同じままであると仮定した場合、18カ月時の品質レベルは、本明細書に開示された製品では依然として満足のいくものであるはずであり、一方、缶詰法及び従来の無菌法では品質レベルはよくないと考えられる。
【0097】
したがって図37は、缶詰法及び従来の無菌法よりもMW法の方が優っていることを示していると考えられる。本明細書に開示されるMW法の利点にはさらに空間要件があり、例えばMW加熱管では<1フィートなのに対して従来の技術では250フィートになる。
【0098】
III.装置
III.A.処理装置
次に図面を参照すると、流動可能な材料を熱処理するための装置が全体を10として示されている。図面全体を通じて同様の参照符号は同様の部分を指す。次に図1、9及び10を参照する。装置10は、その中に生物材料調製物PRが供給されるホッパ12を含む。ホッパ12は、ポンプ14と流動(又は流体)連通しており、ポンプ14は、装置10に生物材料調製物PRの流れを供給するように制御される。図1、9及び10における流れの方向は矢印18、30及び44によって示されている。
【0099】
続けて図1、9及び10を参照すると、装置10は、調製物PRなどの流動可能な材料を受け取る導管15を含むことができる。導管15は、一連の導管セクション16、20、22、24、26、28、32、34、36及び38を含む。導管セクション22及び26は、電磁放射線、例えばMW及び/又はRF放射に対して透過性である。装置10はさらに、温度センサT1、T2、T3、T4、T5、T6、T7、T8及びT9のうちの1つ又は複数の温度センサを含み、これらの温度センサは、後述するように、装置10全体の温度を監視するために使用される。
【0100】
続けて図1、9及び10を参照すると、装置10は、導管15の少なくとも一部分に電磁放射線を供給するためのデバイス40及び42を含む。デバイス38及び40はそれぞれ、発生器G1及びG2、並びにヒータH1及びH2を含み、これらに限定されるわけではないが、マイクロ波(MW)放射、無線周波(RF)放射など、所望の任意の形態の電磁放射線を供給する。デバイス42が破線で示されているのは、図9及び10に示された装置10に任意選択で含まれるためである。デバイス40及び42は、矢印MW/RF(デバイス42では破線で示されている矢印)によって示されているように、導管セクション22及び26に電磁放射線を供給するように配置されている。
【0101】
続けて図9を参照すると、流動可能な調製物PRの少なくとも一部分の熱等化を提供するため、導管セクション20、22、24、26及び28の内部に、又は導管セクション20、22、24、26及び28に沿って、混合構造物M1が配置されている。特に図10を参照すると、装置10は、導管15の電磁放射線透過性のセクション22及び26の入口の1つ又は複数の点(例えばP1、P4)、1つ又は複数の内部点(P2、P5)、1つ又は複数の出口(P3、P6)、及びこれらの組合せを含む位置に、混合構造物M1’、M2、M3、M4及びM5を含む。ただし混合構造物の位置はこれらに限定されるわけではない。
【0102】
いくつかの実施態様では、混合構造物M1、M1’、M2、M3、M4及びM5が、導管セクションの変更された断面形状を含むことができる。いくつかの実施態様では、混合構造物M1、M1’、M2、M3、M4及びM5が、1つ又は複数の受動混合構造物、或いは1つ又は複数の能動混合構造物、或いはその両方を含む。実際に、いくつかの実施態様では、混合構造物M1、M1’、M2、M3、M4及びM5が、相対的に高い温度レベルを有する調製物PRの領域と相対的に低い温度レベルを有する調製物PRの領域との間の物理接触及び熱交換を増大させる働きをする、受動混合構造物又は能動混合構造物、或いは受動混合構造物と能動混合構造物の両方の任意の組合せを含むことができ、この増大は、混合構造物がない場合には起こらないと考えられる。いくつかの実施態様では、混合構造物M1、M1’、M2、M3、M4及びM5が、流動可能な調製物PRの横断方向の温度分布の変動性(標準偏差)を、混合構造物がない場合の流動可能な調製物PRの横断方向の温度分布の変動性(標準偏差)と比較したときに、少なくとも10%低減させることができる。
【0103】
再び図1、9及び10を参照すると、装置10は制御デバイスCDを含むことができる。制御デバイスCDは、導管15内の流れを制御することができる。流量は一定流量とすることができ、例えば少なくとも0.25ガロン毎分の体積流量とすることができる。制御デバイスCDは、電磁放射線を供給するデバイス40及び/又は42のパワーレベルを制御することができる。例えば、このパワーレベルを、少なくとも1°F毎秒又は0.5℃毎秒の流動可能な材料内の平均バルク温度上昇速度で導管内の流動可能な材料の加熱が起こるように制御することができる。制御デバイスCDは、電磁放射線を供給するデバイス40及び/又は42のパワーレベルを、導管15内の調製物PRの加熱が導管15の加熱よりも高い速度で起こるように制御することができ、その結果、調製物PRの加熱は、調製物PRを、流動可能な調製物PR自体の最高温度レベルを超える温度を有する導管15の表面と接触させることによる加熱を実質的に含まない。制御デバイスCDは、デバイス40及び/又は42のパワーレベルを、パワーレベルが一定に維持されるように制御することができる。制御デバイスCDは、デバイス40及び/又は42のパワーレベルを、所定の質量流量の流動可能な生物材料の所定の熱処理を提供するように予め定められたレベルに予め自動的に設定し、又は手動で調整することができるように、パワーレベルを制御することができる。本開示を検討した当業者は、これらの変量を、関心の生物材料に応じて予め定めることができる。
【0104】
続けて図1、9及び10を参照すると、装置10は、流動可能な調製物PRを冷蔵貯蔵用に包装するための包装デバイスPD、流動可能な調製物PRを無菌包装するための包装デバイスPD、及び流動可能な調製物PRを冷蔵貯蔵用に包装し、流動可能な調製物PRを無菌包装するための包装デバイスPDのうちの1つを含むことができる。一例として、装置10の包装デバイスは、例えば導管セクション32によって導管15と流動(又は流体)連通するように適合された保持管HT、例えば導管セクション34によって保持管HTと流動(又は流体)連通するように適合された冷却ユニットCU、例えば導管セクション36によって冷却ユニットCUと流動(又は流体)連通するように適合された充填ユニットFU、及び例えば導管セクション38によって冷却ユニットCUと流動(又は流体)連通するように適合された貯蔵ユニットSU、を含むことができる。任意選択で、貯蔵ユニットSUは冷蔵貯蔵ユニットである。任意選択で、流動可能な調製物PRを導入する前に、保持管HT、冷却ユニットCU、充填ユニットFU及び貯蔵ユニットSUの調製物PRと接触する表面を、商業的に無菌とする。制御デバイスCDは、包装デバイスPD及びその構成要素に対して適当な制御信号を供給することができる。図15は、充填ユニットFUによって無菌バッグSBにサツマイモ調製物SPを充填する様子を示す写真である。
【0105】
次に図13A〜13Cを参照すると、温度センサT1が開示されている。温度センサT1は、断面温度分布の測定及び監視のために使用される。温度センサT1は、材料流の方向(図9及び10参照)に垂直な領域の断面カバレージを提供する、単一の又はいくつかのマルチポイント熱電対プローブTPの組合せを含むことができる。温度プローブTPは、連結器COに動作可能に接続されており、連結器COは、制御デバイスCD(図9及び10参照)と連通する。図13Cに示された実施態様では、温度センサT1がさらにクランプアセンブリCAを含み、これは、温度センサT1の取付けを容易にするために使用することができる。鍵となる位置(ヒータの入口及び出口並びに混合要素の入口及び出口)にこのような感知/監視ツールを配置し、利用することを使用して、均一性及び/又は均一性の欠如を試験し、記録し、本出願によって開示される主題に従って温度等化を達成する際のさまざまな混合器具及び工具の効率を例証した。
【0106】
図14A及び14Bは、M1”と呼ぶ例示的な混合デバイスの概略図である。混合デバイスM1”は、以前に挙げた全ての標的位置(加熱前、加熱中及び/又は加熱後。図9及び10を参照されたい)に、同時に、同じデバイスを使用して、機械的混合効果を提供することができる。M1”は混合要素を含み、機械的混合効果は、この混合要素をこれらの領域全体に拡大適用ことによって達成することができる。混合要素は、MW透過性又はRF透過性材料から製造され、暴露領域内での同時回転/周回軌道運動を提供して、形状が固定されないことを保証し、透過性管又は透過性室内の過熱及び/又は暴走加熱の可能性を最小化する。
【0107】
最初に図14Aを参照すると、加熱される材料A’が、L型(elbow-shaped)ステンレス鋼管101を通して加熱セグメントに入り、続いてマイクロ波透過性管セグメント102に入り、そこで、マイクロ波アプリケータの集束構造物又はより単純なマイクロ波暴露領域設計103を使用してマイクロ波によって送達される加熱と、マイクロ波透過性ポリマー(例えばTEFLON(登録商標)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリスルホン、TPX(登録商標)ポリメチルペンテン(PMP)、ポリカーボネート、ULTEM(登録商標)ポリエーテルイミドなどだが、これらに限定されるわけではない)の単一の又は複数の混合要素109を用いた混合とを受ける。材料A’は、マイクロ波暴露領域を出、最初に、ステンレス鋼又はTEFLON(登録商標)で覆われた円筒形強磁性ミキサコア110を含むまっすぐなステンレス鋼管セグメント104に入る。単一の又は複数の混合要素109は、強磁性コアの底部のその円筒形の周縁に取り付けられている。円筒形強磁性コアの頂部にはステンレス鋼スペーサ要素111が取り付けられており、ステンレス鋼スペーサ要素111は、入って来る材料の上方への押出しと、半径方向外側に配置された4つから8つの電磁石a〜dのうちの1つの電磁石の遠心牽引力とを利用して、円筒形コア及びその要素自体の位置を垂直に維持する。電磁石a〜dは一度に1つずつオンにされ、パワーが循環する(ステップ1〜6が連続的に繰り返される)。パワー及び制御は、これに限定されるわけではないが図9及び10に示された制御デバイスCDによる方法など、適当な任意の方法で提供することができる。その結果、強磁性ミキサコア110の半径方向及び回転方向の運動、並びに単一の又は複数のミキサ要素109の回転運動及び周回軌道運動が生じる。これは、マイクロ波の経路に沿ったどの個別点においても集束マイクロ波エネルギー分布を瞬時といえども遮断することなく、マイクロ波暴露領域内での混合作用を提供し、混合要素の半径方向の位置及び流路のまっすぐなステンレス鋼管部分の内周に沿った混合要素の位置は絶えず変化する。この位置の変化速度、したがって混合作用の混合速度は、電磁石スイッチングステップ1から6の速度を増大又は低下させることによって制御することができる。円筒形強磁性ミキサコア110及びステンレス鋼スペーサ要素111は、流動している材料に対する追加の混合を提供する。材料は最後にL型ステンレス鋼管要素105に入り、加熱/混合処理セグメントA”を出る。任意選択で、ヒータ/ミキサ入口112a及び出口112b位置において、単一の又は複数の温度監視設備(例えば本明細書に開示された温度センサT1他)を使用して、達成された温度上昇及び温度分布を監視し、確認することができる。
【0108】
次に図14Bを参照すると、加熱される材料A’が、L型ステンレス鋼管101を通して加熱セグメントに入り、続いてマイクロ波透過性管セグメント102に入り、そこで、マイクロ波アプリケータの集束構造物又はより単純なマイクロ波暴露領域設計103を使用してマイクロ波によって送達される加熱と、マイクロ波透過性ポリマー(例えばTEFLON(登録商標)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリスルホン、TPX(登録商標)ポリメチルペンテン(PMP)、ULTEM(登録商標)ポリエーテルイミドなどだが、これらに限定されるわけではない)の単一の又は複数の混合要素109を用いた混合とを受ける。この材料は、マイクロ波暴露領域を出、最初に、ステンレス鋼又はTEFLON(登録商標)で覆われた円筒形強磁性ミキサコア110を含むまっすぐなステンレス鋼管セグメント104に入る。単一の又は複数の混合要素109は、強磁性コアの底部のその円筒形の周縁に取り付けられている。円筒形強磁性コアの頂部にはステンレス鋼スペーサ要素111が取り付けられており、ステンレス鋼スペーサ要素111は、入って来る材料の上方への押出しと、外側に配置された強力な永久磁石108の遠心牽引力を利用して、円筒形コア及びその要素自体の位置を垂直に維持する。強力な永久磁石108は、ドーナツ形ステージ107の周囲に固定されており、ドーナツ形ステージ107は、電動機駆動回転要素106とのスプロケット、ベルト又はクラッチ摩擦型のインタフェースによってステンレス鋼管のまわりを回転するように駆動される。永久磁石108の周回軌道運動の結果、強磁性ミキサコア110の半径方向及び回転方向の運動、並びにミキサ要素109の回転運動及び周回軌道運動が生じる。これは、マイクロ波の経路に沿ったどの個別点においても集束マイクロ波エネルギー分布を瞬時といえども遮断することなく、マイクロ波暴露領域内での混合作用を提供し、混合要素の半径方向の位置及び流路のまっすぐなステンレス鋼管部分の内周に沿った混合要素の位置は絶えず変化する。この位置の変化速度、したがって混合作用の混合速度は、電磁石スイッチングステップ1から6の速度を増大又は低下させることによって制御することができる。円筒形強磁性ミキサコア110及びステンレス鋼スペーサ要素111は、流動している材料に対する追加の混合を提供する。材料は最後にL型ステンレス鋼管要素105に入り、加熱/混合処理セグメントA”を出る。任意選択で、ヒータ/ミキサ入口112a及び出口112b位置において、単一の又は複数の温度監視設備を使用して、達成された温度上昇及び温度分布を監視し、確認することができる。
【0109】
III.B.マイクロ波及び/又は無線周波透過性管
本出願によって開示される主題は、食物、飲料、化学物質及び生物材料のマイクロ波熱処理中の流通(flow-through)管故障のこれまで知られている原因に対処する、マイクロ波透過性複合管と衛生フィッティング(fitting)の複合統合設計を使用することができる。
【0110】
新しいマイクロ波(MW)及び他の非接触加熱(例えば無線周波(radio frequency (RF)))技術の出現は、これらのシステムにおいて、比較的に高い温度及び圧力、単位面積当たりの非常に高いエネルギー密度及びスループット、化学的に攻撃的な被処理材料成分から高圧、膨張、ねじれ、振動及び衝撃の物理的応力にわたる高い化学的及び物理的応力の条件下で使用することができる、流通デバイス及びアセンブリの必要性を生み出した。
【0111】
食物、飲料、化学物質及び他の生物材料の連続流熱処理に対して使用される流通デバイス又はキャビティの特性は数が多く、高度に特異的である可能性がある。それらの特性は、以下の望ましい特性に分類することができる。
1.一般的に生じる運転条件下での極めて高いマイクロ波透過性性(非常に低い誘電損率及び誘電正接値)
2.分解又は特性変化なしに滅菌レベルの温度に耐える能力
3.分解又は特性変化なしに滅菌レベルの圧力に耐える能力
4.滅菌レベルの圧力下で、分解又は特性変化なしに滅菌レベルの温度に耐える能力
5.分解又は特性変化なしに、被処理材料の化学的に攻撃的な成分に耐える能力
6.プロセス中に定期的に遭遇する寸法、膨張、熱、振動及び衝撃応力に、分解又は特性変化なしに耐える能力
7.食物又は他の生物材料との接触面に対するFDA、USDA及び医薬品規制の遵守
8.現場清浄化及び衛生のための3A設計要件の遵守
【0112】
いくつかの実施態様において現れうる追加の特性には以下のものが含まれる。
1.可視光透過性又は半透過性。これは、後に付着及び/又は故障につながる可能性がある材料の欠陥を識別し、また、実際のプロセス中に被処理材料の望ましくない沸騰/フラッシングを識別し、ラン中に生じた付着又は欠陥をプロセス後に識別するためである。
2.高光沢であり、平滑で滑りがよく、こびりつかず、ピンホールのない材料接触面。
3.マイクロ波又はRF集束構造(放射体/コンセントレータ/反応器/ヒータ)に迅速且つ容易に挿入し、取り出すことができること。
4.既存の食物、飲料、化学物質及び生物材料処理ラインに、(一般に、トリクランプ(tri-clamp)又は他の衛生型フィッティングなどの標準無菌インタフェーシング構成要素及び標準器(standard)を使用することによって)組み込むことができること。
【0113】
これらの問題及び考慮事項の一部又は全部に適切に対処する容易に商業的に使用可能なデバイスがないことは、食物、飲料、化学物質及び他の生物材料の連続熱処理のための先進のマイクロ波及びRF技術を実現する際の主要な障害の1つに発展した。
【0114】
これまでに4つのタイプのアセンブリ/管が検討された。
タイプ1:それぞれの端部がステンレス鋼圧着式(crimp-on)カラー(collar)フィッティング/衛生接合部(Tri-Clamp)に取り付けられた、半透過性直線押出し−引抜きTEFLON(登録商標)管片からなる複合(3片)TEFLON(登録商標)管。これらのアセンブリは一般に、化学的に攻撃的な内容物又は高温内容物のタンク液面のぞき窓として使用されている。これらのアセンブリを購入し、続いて発明者らの実験室及び実験工場で試験した。
タイプ2:それぞれの端部がステンレス鋼ねじ式(screw-on)又は接着(glue-on)カラーフィッティング/衛生接合部(Tri-clamp)に取り付けられた、滑腔セラミック又はガラス管からなる複合(3片)ガラス又はセラミック管。これらのアセンブリを、マイクロ波製造者の命令及び仕様毎に特異的に組み立て、続いて発明者らの実験工場で試験した。
タイプ3:衛生接合部(Tri-clamp)を含む機械加工又は成形された端部フィッティングを有する滑腔セラミック又はガラス管からなる単片ガラス又はセラミック管。これらのアセンブリを、マイクロ波製造者の命令及び仕様毎に特異的に詳細に組み立てたが、試験には使用できなかった。
タイプ4:衛生接合部(Tri-clamp)を含む機械加工又は成形された端部フィッティングを有する機械加工された先進の平滑表面プラスチック管からなる単片管。これらのアセンブリを、ノースカロライナ州立大学のInstrument Shopで、選択された明細書に従って詳細に組み立て、徹底的に試験した。製造材料には、Ultem 1000(ポリエーテルイミド)、ポリスルホン、ポリメチルペンテン(TPX)及びPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、又は他の適当なマイクロ波透過性ポリマーが含まれる。
【0115】
検討された上記の4つのそれぞれの設計について、以下の望ましい特性が識別された。本発明によって提供される適当な代替解の必要性をさらに例示するため、タイプごとの故障モードも示した。
タイプ1:−平滑で、こびりつかない表面
−MW透過性
−FDA、USDA、Pharmaへの適合性
−一般市場で容易に入手可能であること
−温度抵抗性
−大部分の攻撃的な化学物質に対する抵抗性
典型的な故障モード:運転温度での圧力変形
タイプ2:−平滑で、こびりつかない表面
−MW透過性
−FDA、USDA、Pharmaへの適合性
−温度及び圧力抵抗性
−大部分の攻撃的な化学物質に対する抵抗性
典型的な故障モード:熱膨張率の違いによる鋼とセラミックの接合部における熱応力破損、衝撃破損、及び接着破壊。
タイプ3:−平滑で、こびりつかない表面
−FDA、USDA、Pharmaへの適合性
−温度及び圧力抵抗性
−大部分の攻撃的な化学物質に対する抵抗性
予想される故障モード:熱応力破損、衝撃破損
タイプ4:−温度及び圧力抵抗性
−安価な単一片設計
−FDA、USDA、Pharmaへの適合性
典型的な故障モード:表面が平滑でないことによる材料の付着、付着位置での局所的な過熱、弱い接合部(クランプフィッティング)での応力破損。
【0116】
次に図11A〜11Eを参照すると、一組の管の概略図が示されている。代表的な材料は一般に陰影を使用して示されており、これらは以下のように要約される:中実の陰影、圧着式ステンレス鋼衛生フィッティング;灰色の陰影、PTFE/押出成形PTFE;目の詰まった水平及び垂直のクロスハッチング、Ultem、ポリスルホン又はPEEKスリーブ;斜めのクロスハッチング、MW透過性ハイグレード(アルミナ)セラミック;疎な水平線、機械加工されたPTFE半円柱;密な水平線、複数の厚いPTFEフィルム層。
【0117】
次に、図11A及び11Fを参照すると、いくつかの実施態様では、本出願によって開示される主題に基づく管が、タイプ1アセンブリのTEFLON(登録商標)(又は平滑表面要件に従う他のマイクロ波透過性材料)圧力感受性管セグメント内壁IWの上にかぶせられた、タイプ4管アセンブリの温度及び圧力抵抗性材料(ポリエーテルイミド/Ultem、ポリスルホン、ポリメチルペンテン(TPX)又はPEEK)から製作された収縮円筒形スリーブOSLを含む。この設計は、それによって製品付着故障の発生を低減させる平滑な製品接触面(TEFLON(登録商標))、圧力抵抗特性の数倍の増大(Ultem、ポリスルホン、ポリメチルペンテン(TPX)又はPEEK)、及び衛生接合部点SF(ステンレス鋼でできたクランプフィッティング)における応力による破砕障害に対する高い抵抗性を与える。この設計の結果として、4片管アセンブリ(TEFLON(登録商標)の内壁IW、Ultem、ポリスルホン、ポリメチルペンテン(TPX)又はPEEKのスリーブ、及び2つの圧着式ステンレス鋼衛生クランプフィッティングSF)が得られる。
【0118】
次に図11Bを参照すると、いくつかの実施態様では、本出願によって開示される主題に基づく管が、平滑な製品接触面を提供するためにTEFLON(登録商標)(又は平滑表面要件に従う他のマイクロ波透過性材料)でコーティングされた内径表面IWを有する、タイプ4管アセンブリの製造で使用される先進のポリマーのうちの1つ(Ultem、ポリスルホン、ポリメチルペンテン(TPX)又はPEEK)から製造された、機械加工された単片管を含む。このようなアセンブリは、衛生クランプ接合において応力破損を幾分か受けやすいままであるが、これは、適当な監視によって管理できる。
【0119】
これらの代表的な実施態様に加えて、多数の派生的な設計を組み立てることができ、これには例えば、追加のマイクロ波及び/又は無線周波透過(MWRFT)層又はスリーブ、クリンプ衛生フィッティングの代替材料、並びに機械加工、押出成形及びクリンピングされた構成要素の組合せが含まれる。
【0120】
本明細書では、それによって製品付着故障の発生を低減させる平滑な製品接触面、圧力及び物理抵抗特性の数倍の増大、衛生接合部点(ステンレス鋼でできたクランプフィッティング)における応力による破砕障害に対する高い抵抗性を有する、代表的なMWRFT管アセンブリが開示される。この代表的な管は、MWRFT流通管アセンブリ故障の高い発生率に対処する。これらの故障の高い発生率は、連続流マイクロ波加熱/滅菌技術のより幅広い応用に対する障害の1つである。
【0121】
次に図11C及び11Gを参照すると、いくつかの実施態様では、MWRFT複合管が、MWRFTハイグレードポリマーの代わりに、ハイグレードアルミナセラミックスリーブCSLを外側MWRFT層として使用する。この層はさらに、押出成形内側TEFLON(登録商標)管層IWに対する圧力保護を提供することができる。図11C及び11Gは、任意選択でステンレス鋼を含むクランプフィッティングSFを含む、代表的な実施態様の構成要素及びその例示的な組立て順序を示している。
【0122】
図11C及び11GのMWRFT複合管の一実施態様を構築し、半工業生産条件(60KWヒータユニット、流量1〜2ガロン/分、温度上昇100から140℃)下で実験によって試験した。この実施態様は、以前に試験された他のどの管アセンブリよりもはるかに良好に機能した。一例では、この管を14回の連続ランに対して使用し、合計50時間を超える断続的なランタイムを得た。
【0123】
以前の試験において、他の管アセンブリは1回又は2回使用した後にしばしば故障した。さらに、図11C及び11Gに基づくアセンブリで経験した管故障モードは決して破滅的なものではなかった。すなわち、これらの管は処理ラン中に決して破れず、処理材料は処理システムから漏れなかった(それに対して以前のある種のアセンブリでは、圧力、温度及び付着物形成及び/又は過熱によって生じたさまざまな亀裂、穴及び引裂きによって漏れがしばしば生じた)。
【0124】
しかし、図11Cの管アセンブリも、ある使用期間の後にはついには故障した。したがって使用期間を監視することが望ましい。管故障は、粒子を含む被処理材料の懸濁液、その後の内部管壁への付着、過熱、及び内部管表面の局所的な汚染によって起こり得て、その結果被処理材料の風味及び/又は色の欠陥をもたらす。流通管の内面に付着物が生じた。この付着が十分に深刻であり、長時間の過熱にさらされた場合、管表面は永続的な損傷を受け、管アセンブリが使用不能になる可能性がある。いくつかの例では、アセンブリの1つの構成要素(押出成形内側TEFLON(登録商標)管IW)だけが故障したが、しばしばアセンブリ全体を廃棄する必要がある。ハイグレードセラミックアルミナの外層CSLは再利用できることもあるが、新しい要素を用いた再組立てのコストはかなり高くなることがある。
【0125】
管故障は、ヒータをオフにした後の寒冷ショックによっても引き起こされる。この場合、故障は、内側管層と外側管層の両方が130〜140℃超まで加熱される加熱ランの完了後に、MWヒータへのパワーが切られ、プロセスポンプが冷たい製品を管に供給し続けるときに生じ、管アセンブリの頂部/熱端の外層の寒冷ショック及び亀裂形成を引き起こす。構成要素の1つ(例えば外部セラミック管)だけが故障したときでも、組立てにおいて使用される手順のため、一般にアセンブリ全体を廃棄する必要がある。
【0126】
したがって、管アセンブリの実施態様を構築する追加の2つの目的は以下のとおりである。
1.故障した構成要素の1つの取外し及び交換、並びに新しい交換要素を含む管の再組立てを単純化するために、組立て順序及びプロセスを変更する。
2.過熱から外側セラミック管層を保護し、さらに、パワーをオフにすることよって引き起こされる急激な冷却及びその結果生じる低温の処理材料との直接接触から外側セラミック管層を保護するため、外側セラミック管層を熱的に絶縁する。
【0127】
これらの目的はともに、図11D及び11H並びに図11E及び11Iに示された本出願によって開示される主題の実施態様によって達せられた。図11D及び11Hに示されているように、予め組み立てられた市販の3片押出成形TEFLON(登録商標)のぞき窓IWを、長さに沿って縦に切断して全く同じ2つの半円筒形片とした精密機械加工されたTEFLON(登録商標)管SCで覆った。これらの2つの半円筒形は、ハイグレードセラミック管CSLの外層が、ステンレス鋼クランプSF越しに、機械加工されたTEFLON(登録商標)を含むこれらの2つの半円筒管SCの周囲に引っ張り込まれたときに、TEFLON(登録商標)の内管IWに対してプレスされた。これは、内側TEFLON(登録商標)管IWに対する適当な圧力及び温度保護、外側セラミック層CSLに対する熱的保護、並びに、損傷を受けていない構成要素を繰り返し使用するための組立て、分解及び部品交換の容易さを保証した。
【0128】
図11E及び11Iに、管アセンブリの他の実施態様を示す。予め組み立てられた市販の3片押出成形TEFLON(登録商標)のぞき窓IWの外周に厚いTEFLON(登録商標)フィルムFLを、管及び複数のフィルム層の外径がステンレス鋼クランプSFの外径に近い厚さに達するまで巻くことによって、のぞき窓IWを覆った。巻きつけられた厚いTEFLON(登録商標)フィルムFLの層は、ハイグレードセラミック管CSLの外層が、ステンレス鋼クランプSF越しに、複数のTEFLON(登録商標)フィルムFLの層の周囲に引っ張り込まれたときに、TEFLON(登録商標)の内管IWに対してプレスされ、そのまま保持される。これもやはり、内側TEFLON(登録商標)管IWに対する適当な圧力及び温度保護、外側セラミック層に対する熱的保護、並びに、損傷を受けていない構成要素を繰り返し使用するための組立て、分解及び部品交換の容易さを保証する。
【0129】
以上に詳細に説明した実施態様に加えて、多数の派生的な設計を組み立てることができ、これには例えば、追加のMWRFT層又はスリーブ、クリンプ衛生フィッティングの代替材料、並びに機械加工、押出成形及びクリンピングされた構成要素の組合せが含まれる。
【0130】
まとめると、本明細書では、製品付着故障の発生、圧力及び物理抵抗特性の数倍の増大、及び衛生接合部点(ステンレス鋼でできたクランプフィッティング)における応力による破砕障害に対する高い抵抗性低減させる平滑な製品接触面を有するMWRFT管アセンブリが開示される。開示された管は、さまざまな要因による、MWRFT流通管アセンブリ故障の高い発生率に対処する。これらの故障の高い発生率は、連続流マイクロ波加熱/滅菌技術のより幅広い応用に対する障害の1つである。
【実施例】
【0131】
以下の実施例は、本出願によって開示される主題の諸態様を例証するために含まれている。以下の実施例のある種の態様は、本発明の共同発明者らによって、本出願によって開示される主題の実施においてよく機能することが見出され又は企図された技法及び手順に関して説明される。これらの実施例は、本発明の共同発明者らの標準実施方法を例示する。本開示及び当技術分野の一般的な技術レベルを考慮して、以下の実施例が単なる例であることが意図されていること、及び本出願によって開示される主題の範囲から逸脱することなく多数の変化、修正及び変更を使用することができることを、当業者は理解されたい。
【0132】
(実施例1: サツマイモピューレ(Sweetpotato Puree (SPP))の調製
)
5kWマイクロ波ユニットでの色及びレオロジー分析試験、並びに誘電特性の測定のために、サツマイモの栽培品種Beauregardを、ノースカロライナ州立大学(米国ノースカロライナ州Raleigh)食品科学部(Department of Food Science)のFruit and Vegetable Pilot Plantで調製した。根を、30℃、相対湿度85〜90%で7日間保存処理し、13〜16℃、相対湿度80〜90%で貯蔵し、以前に記述されたとおりにピューレを調製した(Truongら, 1994)。根は、洗浄し、沸騰した5.5%NaOH溶液(104℃)中で4分間アルカリ剥皮し、回転リール式溶射洗浄機で徹底的に洗浄して、分離組織及びアルカリ残留物を除去した。剥皮した後の根を手で切り揃え、市販のスライサ(Louis Allis Co.社(米国ウィスコンシン州Milwaukee)のSlicer)を使用して厚さ約0.95cmにスライスした。これらのスライスを、サーモスクリュークッカ(thermoscrew cooker)(Rietz Manufacturing Co.社(米国カリフォルニア州Santa Rosa))で20分間蒸し、0.15cmスクリーンを取り付けたハンマーミル(Model D、Fitzpatrick Co.社(米国イリノイ州Chicago))で細砕した。このピューレを、ポリエチレンバッグに充填し、冷凍し、使用するまで−20℃で貯蔵した。
【0133】
60kWマイクロ波ユニットでの試験ラン向けには、Beauregard栽培品種の冷凍サツマイモピューレを、Bright Harvest Sweetpotato Company,Inc.社(米国アーカンソー州Clarksville)から購入した。実施例で使用したピューレ試料の水分含量は全て80〜82%であった。
【0134】
(実施例2: 誘電特性の測定)
開放型(open)同軸誘電プローブ(HP 85070B、Agilent Technologies社、米国カリフォルニア州Palo Alto)を、自動ネットワークアナライザ(HP 8753C、Agilent Technologies社)とともに使用して、SPP試料の誘電特性を測定した。誘電特性は、300から3000MHzの周波数範囲で、541の中間周波数を使用して測定した。このシステムを、メーカ提供の取扱説明書(Agilent 1998)に従った較正手順を使用して較正した。試料(<100g)を、水浴(Model RTE111、Neslab Instruments Inc.社、米国ニューハンプシャー州Newington)中で、所望の温度(10℃から145℃、5℃間隔)に達するまで加熱し、次いで、絶縁ブロックの中に入れて誘電特性を測定した。誘電特性を読み取った後に温度を再び測定して、温度が設定点から2℃以内にあることを確認した。2連のそれぞれの試料に対して測定を3回繰り返した。
【0135】
(実施例3: レオロジー試験)
剪断速度の関数としてのサツマイモピューレの粘度の定速測定を、StressTechレオメータ(Reologica Instruments AB社、スウェーデンLund)を用い、円錐/平板幾何形状(C40 4)を使用して、25℃で実施した。剪断速度を0.1/sから300/sまで変化させたときの見掛け粘度を記録した。2連のそれぞれの試料に対して測定を2回繰り返した。
【0136】
(実施例4: 色分析)
試料の客観的な色を、Hunter色彩計(Hunter Associates Laboratory inc.社、米国ヴァージニア州Reston)を用いて測定した。結果は、以下の三刺激値として表現した:L*(明度、黒が0、白が100)、a*(−a*=緑色み、+a*=赤み)、b*(−b=青み、+b=黄色み)。CIE, 1976を参照されたい。この機器(45°/0°幾何配置、D25光センサ)を、標準白色基準タイル(L*=92.75、a*=−0.76、b*=−0.07)に対して較正した。ピューレ試料は、ふた付き60×15mmペトリ皿(Becton Dickinson Labware社、米国ニュージャージー州Franklin Lakes)に満たした。試料ごとに測定を6回実施し、分析では平均値を使用した。
【0137】
(実施例5: 5kWマイクロ波ユニットでの試験)
連続流マイクロ波加熱ユニット(Industrial Microwave Systems社、米国ノースカロライナ州Morrisville)を使用して、SPPを処理した。このユニットは、915MHzで動作する5kWマイクロ波発生器、その中に方向性結合器が取り付けられた断面が長方形のウェーブガイド、及び特別に設計されたアプリケータを含む。呼び径1.5”(0.038m ID)のポリテトラフルオロエチレン(PTFE又はTEFLON(登録商標))製の管を、アプリケータの中心に置いた。マイクロ波に暴露する領域の長さは0.125mであった。マイクロ波発生器によって送達されたパワー及び再反射されたパワーを、方向性結合器の中に位置するダイオード及びLabViewソフトウェア(National Instruments Corp.社、米国テキサス州Austin)の中に書き込まれたソフトウェアを使用して測定した。このソフトウェアはさらに、発生器が製品に送達するパワーの量を制御する。
【0138】
SPP10リットルを、容積移送式ポンプ(Model MD012、Seepex GmbH+ Co.社、ドイツBottrop)を使用して、流量0.5L/分で送入した。半径方向のさまざまな位置の温度を、Coronelら, 2003に記載された熱電対配置を使用して測定し、データロガー(Keithley DAS-16、Keithley Metrabyte社、米国マサチューセッツ州Taunton)を使用して記録した。アプリケータの出口で製品の温度が必要な中心線温度に到達することを保証するため、上記制御ソフトウェアを使用して発生器のパワーを調整した。次いで製品を氷水浴中で冷却し、その後の分析のための試料を採取した。
【0139】
(実施例6: 60kWマイクロ波ユニットでの試験)
5kWユニットでの試験で得られた結果に基づいて、915MHzで動作する60kW連続流マイクロ波加熱ユニット(Industrial Microwave Systems社、米国ノースカロライナ州)(図12に示す)で試験するための処理条件を確立した。発生器によって送達されるパワーは、メーカ供給の制御パネルによって監視した。マイクロ波は、長方形断面のウェーブガイドによって製品に送達される。ウェーブガイドは2つのセクションに分割されており、特別に設計された2つのアプリケータに向けて調整されており、図1に示されているようにそれぞれに方向性結合器を備える。PTFE管(0.038m ID)をそれぞれのアプリケータの中心に置いた。それぞれのアプリケータの暴露領域の長さは0.2mであった。
【0140】
容積移送式ポンプ(Model A7000、Marlen Research Corp.社、米国カンザス州Overland Park)を使用して、システムに製品を送入した。システムの入口、それぞれのアプリケータの入口及び出口、並びに保持管の出口で温度を測定した。熱電対の配置はCoronelら, 2003の記載のとおりとした。温度は、データロギングシステム(HP 3497A、Hewlett Packard社、米国カリフォルニア州Palo Alto)を使用して、4秒間隔で記録した。マイクロ波システムによって生み出されるパワーを制御することによって、システムの出口の温度を達成した。
【0141】
最初に、このシステムを、NaClと糖の水溶液を使用して滅菌した。この水溶液は130℃に加熱し、30分間再循環させた。製品を135〜145℃まで加熱し、その温度を30秒間維持し、管状熱交換器の中で急速に冷却し、次いで、バッグインボックスユニット(bag-in-box unit)(Model PT.A.F.、Astepo社、イタリアParma)を使用して、アルミニウム−ポリエチレンラミネートバッグ(Scholle Corp.社、米国イリノイ州Chicago)に無菌包装した。ピューレバッグは周囲温度(22℃)で貯蔵し、1、15及び90日後に微生物分析用に2つのバッグをランダムに選んだ。標準平板計数検定法を使用して、サツマイモピューレ試料中の総好気性細菌数を計数した。試料50グラムを、無菌生理食塩水(0.85%NaCl)50mlを含む無菌フィルタバッグ(Spiral Biotech社、米国メリーランド州Bethesda)に無菌的に移し、それらのバッグを、Tekmarストマッカ(stomacher)(Model TR5T,Tekmar Co,米国オハイオ州Cincinnati)を用いて高速で160秒間解離させた。無菌生理食塩水を使用して適当な希釈度のストマッカ濾液を作成し、Autoplate 4000スパイラルプレータ(Spiral Biotech社)を使用して2連のPCA寒天平板上に広げた。総好気性細菌数を求めるため、それらのPCA平板を37℃で48時間培養し増殖させた。さらに、酵母及び糸状菌コロニーの計数のため、試料希釈液を、酵母/糸状菌寒天平板上に広げ、接種した。培地の調製は標準手順(DIFCO, 1998)に従って実施した。
データは分散分析(SAS Institute社、米国ノースカロライナ州Cary)にかけた。統計的検定を、信頼水準95%(p<0.05)で実行した。
【0142】
(実施例1〜6の考察)
(誘電特性) 本明細書に開示されたサツマイモピューレの誘電特性を、Fasinaら, 2003によって報告されたものと比較し、図2に示した。Fasinaら, 2003に記載された誘電特性の相関は、ε’(誘電率)及びε”(損失率)の測定値とよく一致していた。違いはε”値においてより顕著だった。これはおそらく、農産品において観察される組成及び水分変動(Sipahioglu and Barringer, 2003)の結果である。誘電率に対する温度の影響は、ともに915MHzと2450MHzで同様であった。ε’は温度の上昇とともに低下し、915MHzでは10℃で71.5、95℃で60.8、2450MHzでは10℃で67.1、95℃で61.1であった。損失率は、温度の上昇とともに増大するε”の傾向に従い、915MHzでは10℃で18.1、95℃で26.7であった。しかし2450MHzでは、温度の上昇とともにε”は低下し、10℃で18.4、95℃で16.1であった。
【0143】
アプリケータ内で使用される管の最大動作直径(maximum operating diameter:MOD)を、円柱座標におけるヘルムホルツの式の解を含むCoronel & Simunovic, 2004によって提案された方法を使用して計算した。結果を図3に示す。手短に言えば、直径38mm(1.5インチ)の円柱の外側の一定のE場を考慮して円柱座標における侵入式を解くことによって、マイクロ波の侵入深さを計算した。この微分方程式はヘルムホルツ型の方程式であった。
∇2E+γ2E=0
γ=α+jβ
B.C.
r=R E=E0
【0144】
このとき、γは伝搬定数であり、α及びβは下式により定義される。
【数1】
【0145】
この方程式の解は、下式の形のベッセル関数によって与えられる。
E(r)=C1J0(γr)+C2Y0(γr)
定数の値は、材料の誘電特性及び管の寸法によって定まった。MODは下式の直径と考えられ、このとき
Er=0/E0=1
であった。
【0146】
したがって、最大動作直径(MOD)は、断面全域の必要な加熱を得るために連続流処理において使用することができる最大直径と定義され、これをさまざまな温度で計算した。MODは温度の上昇とともに低下することが観察され、915MHzでは10℃で0.22m、95℃で0.12mであった。温度の上昇に伴う損失率の増大は、熱へのエネルギー変換をより効果的にし、したがって侵入深さ、したがってM.O.D.を低下させる(図3参照)。
【0147】
(5kWマイクロ波ユニットでの試験) 5kWマイクロ波ユニットを使用し、保持時間を一定に保ち、中心線出口温度を変化させて、製品を処理した。所望の中心線出口温度は110、130及び140℃、加熱セクションにおける暴露時間は17秒、保持時間は90秒であった。製品は、氷水浴中で急速に冷却し、レオロジー特性及び色の分析用の試料を採取した。
【0148】
アプリケータ管の壁と中心の間の大きな温度差が観察された。最大値と最小値の差は、中心線出口温度110、130及び140℃に対してそれぞれ35、40及び43℃であり、平均出口温度はそれぞれ80、101及び107℃であった。図4に、出口温度110及び130℃での、加熱セクションの出口における管の断面の補間された温度プロファイルを示す。図4では、最高温度が管の中心付近で達成され、最低温度が壁の近くで達成されることを観察することができる。
【0149】
異なる中心線出口温度に処理された試料のレオロジー特性を図5に示す。全ての試料がずり減粘挙動を示した(すなわち剪断速度が大きいほど見掛け粘度が低い)。このレオロジー挙動を、Steffe, 1996に記載されているHerschel-Bulkleyモデル(σ=σ0+Kyn)を使用してモデル化した。このときσは剪断応力(Pa)、σ0は降伏応力、Kは粘稠度指数(consistency index)(Pa sn)、yは剪断速度(1/s)、nは流動性指数(flow behavior index)である。パラメータの平均値は、降伏応力(σn)が89.01±2.67Pa、粘稠度指数(K)が18.78±1.76Pa、平均流動性指数(n)が0.39±0.07であった。図5では、異なるSPP試料の見掛け粘度が、処理間で有意な差を示さなかったことが分かる。
【0150】
異なる中心線出口温度に対応する試料の色測定値を図6に示す。全ての試料で、b*値(黄色み)の増大(110℃での処理で5%、130℃及び140℃での処理で10%)、及びa*値(赤み)の低下(110℃での処理で9%、130℃及び140℃での処理で10.5%)が見られ、一方で、L*値(明度)は全ての処理で2%の変化にとどまった。全体の色変化(total change in color:ΔE)は下式の結果として表現される。
ΔE=(ΔL*2+Δa*2+Δb*2)1/2
ΔE値は、中心線出口温度110、130及び140℃でそれぞれ10、20及び20であった。
【0151】
(60kWマイクロ波ユニットでの試験) 5kWマイクロ波ユニットでの試験から得られた情報を用いて、60kWユニットを使用した試験ランを、貯蔵安定性のある製品を得ることを目指す実験工場実験として実行した。流量は4.0L/分に設定し、貯蔵安定性のある製品を得るために必要な保持管の出口の中心線温度は、保持時間30秒(F0=30分)で135℃であった。必要な中心線出口温度を達成するため、システムによって生み出されるパワーを調整した。
【0152】
5kW試験での観察と同様に、管の中心線温度(135℃)と壁の温度(70℃)との差は、図7に示すように大きかった。SPPの高い粘性のため、保持管内で混合は起こらなかった。したがって、(F0<0.1分)で最も少ない熱処理を受け取った製品は、壁により近い製品であった。しかし、この製品を冷蔵しておいたところ、30日後に微生物の増殖は検出されなかった。
【0153】
製品内の温度の不均一性を最小化するため、システムの各マイクロ波アプリケータの出口に、スタティックミキサ(static mixer)を設置した。ヒータの出口での混合は、ヒータの出口におけるいかなる製品内の温度差を低下させて、熱処理を改善し、結果的に製品の貯蔵期限を向上させると考えられる。第2のヒータの出口の中心線出口温度140℃、保持時間30秒を使用して、第2の実験を実施した。中心線温度は、保持管の終端の最低温度135℃を達成するために増大させた。
【0154】
製品の混合により、断面内の温度はより均一だった。中心と壁の温度差は、第1のスタティックミキサの後で48.4℃から20.1℃に低下し、第2のスタティックミキサの後で37.6℃から11.7℃に低下した。保持管の入口でのSPPの温度プロファイルは図8に示すとおりであり、最低温度は135℃、最高温度は146.7℃であった。したがって、(管の中心の)最も速い粒子は最も少ない熱処理を受け取った。最も速い流体要素(中心)は、F0=23分に等しい熱処理を受け取り、この処理は、貯蔵安定でなければならない商業的に無菌の製品を与えた。微生物の駆除を確認するため、最終製品の微生物試験を実施した。総平板計数、糸状菌及び酵母に関する微生物試験の結果によれば、1、15及び90日後に微生物は存在しなかった。
【0155】
(結論) 連続流マイクロ波加熱システムを使用して、無菌包装されたサツマイモピューレを生産することに成功した。その結果得られた柔軟なプラスチック容器に包装された製品は無処理のピューレと同等の色及び見掛け粘度を有し、貯蔵安定であった。このプロセスは、他のいくつかの野菜及び果物ピューレに応用することができる。
【0156】
(実施例7: 温度等化に対するミキサの効果)
60kWユニットでSPPを前述のとおりに処理し、混合デバイスがない条件で、第1及び第2のヒータの出口の熱電対を使用して、材料の温度を調べた。図17及び19に、流れの断面の全域方向の熱の幅広い変動を示す。したがって、加熱ステージ後の混合器具の必要性が、温度分布の測定によって示され、(混合ステージのない)先行するランにおける滅菌の失敗によって証明された。
【0157】
次いでスタティックミキサを取り付け、実験を繰り返した。図18及び20に、はるかに幅の狭い温度分布によって示された、流れの断面全域の温度等化を示す。
これらの実験を、ジャガイモピューレ(すなわちマッシュポテト)を使用して繰り返した。図22及び24に、混合デバイスがない場合の第1及び第2のヒータの出口の温度分布を示し、図23及び25に、はるかに幅の狭い温度分布によって示された、流れの断面全域の温度等化を示す。
【0158】
(実施例8: グリーンピース、ニンジン及びジャガイモピューレの処理)
(試料調製) 冷凍グリーンピースピューレ及びニンジンピューレは、Stahlbush Island Farm Inc.社(米国オレゴン州Corvallis)から購入した。冷蔵マッシュポテトは、Reser's Fine Foods社(米国オレゴン州Beaverton)から得、マッシュポテト150ポンド当たり300グラムのアントシアニン溶液(San Red YM-EX、San-Ei Gen F.F.I.Inc.社(米国ニュージャージー州))及び7.5リットルの水を加えることによって紫色のピューレとした。これらの材料を、高剪断力ミキサ(Admix社(米国ニューハンプシャー州Manchester)のWoods Model WFC2007-5CHT AC Inverterによって制御されたBalder 7.5HP 1725 rpm モータを備えるRotosolver Mixer、モデル112RS113)を使用して完全に混合した。
【0159】
グリーンピースピューレ及びニンジンピューレを、実施例5で説明した5kWマイクロ波ユニットに通した。発生器のパワーは、前記制御ソフトウェアを使用して、アプリケータの出口で製品の中心線温度が75℃、100℃、110℃、120℃、125℃及び130℃に達するように調整した。マイクロ波加熱したピューレの試料を回収し、すぐに氷水浴中で冷却し、次いで4℃で貯蔵し、3〜4日以内に以降の分析を実施した。
【0160】
60kWマイクロ波ユニットを用い、これらの野菜ピューレ(グリーンピース、ニンジン及びジャガイモ)を、実施例6で説明したとおりに処理した。ただしシステムは無菌詰込機に接続されていなかった。マイクロ波加熱したピューレを、この60kWシステム内で、中心線出口温度125〜130℃で6時間連続的に再循環させた。複数の時間間隔で試料を採取し、すぐに冷却し、以降の分析のため4℃で貯蔵した。
【0161】
(レオロジー試験) StressTechレオメータ(Reologica Instruments AB社、スウェーデンLund)を使用し、20mm平行平板形状を用いて、動的レオロジー試験を25℃で実施した。レオメータの平板の上にピューレ試料を移した。このゲルの上に上板を、間隙が1.5mmになるように下ろし、過剰な材料を周縁から取り除いた。試料を平板上で1分間、25℃で平衡させた後、小ひずみ振動試験を25℃で実施した。試料は、0.01から20Hzの周波数範囲の振動スイープ(sweep)にかけた。振動応力は、試験ピューレの線形粘弾性領域内の2Paにセットした。貯蔵弾性率G’、損失弾性率G”及び動的粘度η*を調べた。それぞれのピューレ試料に対して測定を2回繰り返した。
(色分析) 色分析は実施例4に記載したとおりに実施した。
【0162】
(実施例8の考察)
(ニンジンピューレ) 5kWマイクロ波ユニットにおいてさまざまな温度で処理したニンジンピューレ試料のレオロジー特性を図26A及び26Bに示す。全てのニンジンピューレ試料の動的粘度(η*)は周波数の増大とともに低下し(図26A)、擬塑性挙動を示した。ニンジンピューレの機械的スペクトルは、G”よりも高いG’で周波数依存性を示した(図26B)。このことは、この材料をウイークゲル(weak gel)として分類することができることを示す。マイクロ波処理温度を75℃から130℃に増大させると、ニンジンピューレの動的粘度はわずかに増大した。
【0163】
マイクロ波処理温度の効果は、ゲル強度(G’)値においてさらに明らかにされた(図26B)。この現象は、冷却後により多くの網目形成をもたらす、細胞片の結合炭水化物成分のピューレの液体分画(liquid fraction)中への解離に起因している可能性がある。ニンジンピューレの流動性及びゲル化特性におけるマイクロ波処理温度のこの効果は、わずかに増大した粘稠度を有する製品が望ましい場合に、加工業者にとって有益となりうる。ピューレの粘性及びゲル強度を、非加熱ピューレのそれと同じに維持しなければならない状況では、マイクロ波処理の前にピューレの水分レベルを調整することを、容易に実施することができる。
【0164】
60kWユニット内でニンジンピューレを再循環させることによって、130℃でのマイクロ波処理時間を長くすると、η*及びG’のかなりの低下によって示されているように(図27A及び27B)、結合及びゲルネットワークは崩壊した。30分を超える加熱時間で、ニンジンピューレの粘稠度及びゲル強度の深刻な混乱が観察された。これらの結果は、野菜ピューレの従来の熱処理では必要な高温及び長時間プロセスにかけられたニンジンピューレの深刻な品質損失を証明した。
【0165】
(グリーンピースピューレ) 5kWマイクロ波ユニットにおいてさまざまな温度で処理したグリーンピースピューレ試料のレオロジー特性を図28に示す。全てのグリーンピースピューレ試料の動的粘度(η*)も周波数の増大とともに低下し(図28A)、擬塑性挙動を示した。グリーンピースピューレの機械的スペクトルは、G”よりも高いG’で周波数依存性を示す(図28B)ので、グリーンピースピューレはウイークゲルとみなすことができる。
【0166】
ニンジンピューレとは対照的に、75〜110℃に加熱すると、グリーンピースピューレのη*及びG’は最初、非加熱試料に比べて低下し、次いで、より高い温度(120〜130℃)でかなり増大した。この傾向は、グリーンピースピューレを125℃まで加熱し、6時間再循環させた、60kWユニット実験から回収された試料でも示された(図29)。この現象は、グリーンピースデンプンの高いアミロース含量(35%)、並びにゼラチン化及び溶解のために高エネルギー入力を必要とする高い結晶化度及び密な分子構造を有するそのC型粒状組織(Bograchevaら, 1998)によるものと考えられることができた。本明細書に記載されたマイクロ波処理技法としての高速加熱−高温プロセスは、グリーンピースピューレを、所望の粘稠度及びゲル特性を有する製品に加工する際に有益だろう。
【0167】
60kW試験から回収したグリーンピース試料の色も判定した。図30に示すように、L*値(明度)及びb*値(黄色み)は、マイクロ波処理温度及び時間の影響をわずかに受けた(<5%の低下)。しかし、125℃に加熱されたグリーンピースピューレの緑色み(a*値)の低下は、非加熱試料に比べて約30%であった。125℃での加熱時間を従来の熱処理の場合のように増大させると、ピューレの緑色み(a*値)は、非加熱試料に比べてさらに38%低下した。
【0168】
(実施例9: マイクロ波処理されたサツマイモピューレのシェルフスタビリティ)
(マイクロ波処理されたサツマイモピューレのシェルフスタビリティ)
Beauregard栽培品種の冷凍サツマイモピューレを、Bright Harvest Sweetpotato Company,Inc.社(米国アーカンソー州Clarksville)から購入した。解凍したピューレを、60kWユニットを使用して、実施例6に記載したとおりに滅菌し、無菌包装した。包装した無菌サツマイモピューレは周囲温度(22℃)で貯蔵し、1日、2週間、3カ月、6カ月及び18カ月後に微生物分析用に2つのバッグをランダムに選んだ。標準平板計数検定法を使用して、サツマイモピューレ試料中の総好気性細菌、酵母及び糸状菌数を計数した(実施例6)。総好気性細菌、酵母及び糸状菌の微生物試験の結果によれば、1日、2週間、3カ月、6カ月又は18カ月間22℃で貯蔵したピューレ試料において微生物の増殖は見られなかった。
【0169】
実施例8でグリーンピース及びニンジンピューレに関して説明したのと同じ方法で、レオロジー試験及びHunter色測定を実施した。図31に示すように、サツマイモピューレの130℃のマイクロ波処理及び無菌包装の周囲条件での貯蔵は、ピューレのレオロジー特性に影響を及ぼさなかった。貯蔵試料は、冷凍貯蔵ピューレのそれらと同等の動的粘度(η*)及びゲル強度(G’)を維持した。
【0170】
マイクロ波処理したサツマイモピューレの色値を、冷凍及び缶詰ピューレ(缶詰サツマイモピューレ(缶サイズ10番)は、地元のサツマイモ缶詰会社Bruce Foods Corporation社(米国ノースカロライナ州Wilson)から直接に購入した)との比較で、図32に示す。マイクロ波処理の結果、冷凍ピューレとの比較で、b*値(黄色み)の25%の増大、a*値(赤み;<1%)及びL*値(明度;<2%)のわずかな低下が見られた。22℃で3カ月間の無菌ピューレの貯蔵は、a*値及びL*値をさらにそれぞれ2.2%及び4.5%低下させたが、b*値は冷凍ピューレよりも約15%高かった。缶詰ピューレは暗褐色を呈し、L*値は冷凍ピューレのそれらよりも約10.5%及び7.5%低かった。
【0171】
(実施例10: 色劣化データ及び推定)
本明細書に開示された急速加熱法及び装置のある種の利点を例示するため、これらの製品の品質属性のうち最も敏感な属性である色の一連の実験測定を実施した。
【0172】
色は、産業使用者、シェフ、コック及び/又は消費者に明白な、開封時に評価できる最初の品質属性である。多くの標的材料(野菜及び果物のピューレ、ホモジェネート(homogenate)及びパルプ(pulp))に関して、色は、処理に対して最も敏感な属性の1つでもある。この敏感さは、標的食物又は生物材料が処理レベル温度の熱にさらされたときの色属性の急速な劣化によって証明される。感覚手段(人の視覚)及び機器手段(色測定)によって評価したとき、色は、溶接密封された形態と開封された形態の両方で、処理時及びその後の貯蔵中に、急速でしばしば深刻な劣化を受ける。
【0173】
従来の無菌滅菌及び急速マイクロ波支援熱滅菌中にさらされる温度を表す温度レベルでの色劣化を測定するため、また、その独特な円筒形マイクロ波ヒータデバイスを、本明細書に開示された条件下で、本明細書に開示されたデバイス及び手順と組み合わせて使用することにより達成される、熱処理の迅速さによって与えられる利点を明確に記録するために、色を測定、記録及び比較する新規の方法を考案した。
【0174】
高温色劣化アセンブリの概要を図38に示す。図38の左側の部分は、画像及び温度の制御及び捕捉設備を示し、図38の右側は、プロセスレベル温度下での試験材料のリアルタイム画像捕捉及び色値測定を可能にする画像捕捉ポートを構築するために使用される構成要素を示す。
【0175】
ディジタル方式で制御可能な温度レベル機能を備えた循環式油浴(Model RTE111、Neslab Inc.社、米国ニューハンプシャー州Newington)を使用して、標的材料を含む試験室を、選択したプロセスレベル温度まで予熱した。従来の連続流無菌システム及び本出願によって提示されるマイクロ波支援無菌滅菌システムの実際の運転条件(標的温度)を最も代表する温度レベルは約140℃である。したがって、試料を含む試験室を油浴に浸す前に、油浴システムを140℃まで予熱した。
上述の実験装置は、図39及び図40にも示されている。
【0176】
(急速な予熱を保証するため)できるだけ少量の試料を保持する試験室を、直径1.5インチのSmartガスケット(Model G-TH-150-S-1、Rubber Fab社(米国ニュージャージー州Andover))から組み立てた。このガスケットは、試験室の中に含まれる材料の体積を確定する。このガスケットに、試験材料と直接に接触して配置された3本のT型熱電対リードをプローブの先端の6mmの空間に含む皮下3点熱電対プローブ(Model MT-23/20(3)、Physitemp Instruments,Inc.社(米国ニュージャージー州Clifton))を取り付けた。室の底は、Tri-clampガスケット溝を有する1.5インチステンレス鋼衛生キャップ(Model 16AMP-2-1.5-T316L、Waukesha Cherry-Burrell社(米国ウィスコンシン州Delavan))を使用して形成し、頂部には、可視窓の直径が、含まれる試料の直径に適合した、溶融高温ガラス及び鋼でできた透過性のぞき窓(Model Fuseview SS-15-FVTRI-FL、J.M.Canty Ltd.社(アイルランドDublin))を取り付けた。
【0177】
この3点熱電対プローブを使用して捕捉した温度は、12チャネル走査温度計(Model 692-000、Barnant Company社(米国イリノイ州Barrington))を使用して測定し、4秒ごとに捕捉し、総称ラップトップコンピュータのシリアルポート接続を使用して記録した。このシステムによって捕捉される一般的な画像を図40に示す。この画像は、試料室アセンブリ、試料材料と接触した3点熱電対プローブを含むSmartガスケットポートを有する特殊なトリクランプを示している。色劣化分析に使用した試料表面の画像化部分を示すために、256×256画素の部分試料が白く塗られている。
【0178】
試料室の可視窓は、ディジタルカメラ(Model D70、Nikon Instruments社(米国ニューヨーク州Melville))を使用して標的材料の時限画像を4秒ごとに捕獲することができるように、上向きに配置されている。画像は、非圧縮未加工(raw)/ディジタルフォーマット(Nikon Electronic Format)として捕捉し、Adobe Photoshopが読むことができるTIFファイルフォーマットにファイル圧縮なしで変換し、Adobe Photoshop ソフトウェア version 5.5.にインポートし、露出した標的材料の256×256画素アレイを含むようにトリミングした。これらの切り詰められたサブ画像の平均色値L、a及びbを、Photoshop Histogram Functionを使用して測定した。得られた値を次いで、Microsoft Excel Program(Microsoft Office 2000 Softwareパッケージ)のChart機能を使用して、140℃の温度への室の暴露時間に対してプロットして、色成分L、a及びbの値をプロセス温度への暴露時間に対してプロットした。
【0179】
Microsoft ExcelのChart機能Trendlineを使用して、一次回帰直線を生成し、140℃への暴露時間に対する色成分(L、a*及びb*)の劣化を推定した。提示されたプロセスの予熱及びMWベースの急速プロセスの保持時間に対して記録された最悪ケースの暴露時間を、従来の無菌予熱の最悪ケースの暴露タイプの計算推定値と比較した(製品は、管熱交換器の中の長さ約200フィート、内径1.5インチの管に、流量1ガロン毎分でポンプ送入した)。両方のプロセス(MWベースの予熱と従来の予熱)に対して同一の保持時間及び温度を仮定した。
【0180】
図33〜36に、前述の機器及び方法を使用し、140℃の油浴予熱で実施したリアルタイム色劣化測定の結果を示す。
図33〜36(グリーンピースピューレ、ニンジンピューレ、アントシアニンで着色したジャガイモピューレ及びサツマイモピューレ)にはそれぞれ、5つの参照色品質/処理時間がマークされている:未処理材料(処理前)、MW予熱材料(MWヒータ及びインラインミキサから出てきたもの)、MW滅菌材料(保持管セグメントから出てきたもの)、従来の予熱材料(管熱交換器内の一般的な管から出てきたもの)及び従来の滅菌材料(従来の熱交換器を使用した予熱後に保持管から出てきたもの)。
【0181】
示された4つの全ての試験材料では、色の劣化は即座に始まり、滅菌レベル温度でかなりの速度で急速に進行することが明らかである。提案のMW又はRFエネルギー源を使用して実現される急速加熱の利点もこれらのプロットから明白である。
急速MW又はRF予熱にかけた材料の色品質の劣化は最小限であり、元の未処理材料とほぼ同じように見えると言うことができる。最終的な滅菌温度に製品を保持するのに必要な時間は、わずかな劣化効果を色品質に加えるが、従来の無菌予熱及び保持の最悪ケースシナリオと比較すると、これらの劣化的変化はともに最小限にとどまる。
【0182】
本出願によって開示される主題を使用した急速加熱の利点は、被処理材料の初期の品質の如何にかかわらず明白である。すなわち、従来の予熱によって材料の色品質に付与される損失は常に、急速加熱によって引き起こされる劣化よりも相当に大きい。保持セグメント内での時間−温度暴露が同一と仮定した場合、これらの2つの累加処理間の違いは、本明細書に記載された急速MW/RF加熱を、明白且つ一貫して、支持する。
言い換えると、提案のMW/RFベースの処理によって保存される包装の時点(時間ゼロ)の製品の色品質は、従来どおりに処理された製品よりも優れている。
【0183】
品質の劣化、特に色品質の劣化は、包装製品の貯蔵の間、進行し続ける。これらの劣化過程の速度及び程度は一般に、開封前の貯蔵及び輸送状態に左右される。したがって、MW/RF滅菌された製品及び従来どおりに無菌滅菌された製品を、包装後に同一の貯蔵、輸送及び流通条件にかけた場合、MW/RF滅菌された製品は、包装の時点で元の色品質成分をはるかによく保存しているため、一貫して、品質の点で有利である。
【0184】
したがって、同一の上流側条件(未処理材料の品質、暴露及び誤使用履歴)及び同一の下流側条件(貯蔵、輸送及び流通)の下で、前述のMW/RF滅菌法によって得られた製品は、これらの条件の如何にかかわらず、これらの条件とは独立に、従来の熱滅菌によって得られた製品よりも優れた品質を有する。
【0185】
(文献)
以下に挙げる文献、並びに本明細書に引用された特許及び非特許文献を含む全ての文献は、それらが、本明細書において使用される方法、技法及び/又は組成物を補足し、説明し、それらの背景を提供し又は教示する限りにおいて、参照によって本明細書に組み込まれる。
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【0186】
本出願によって開示される主題の範囲から逸脱することなく、本出願によって開示される主題のさまざまな詳細を変更することができることを理解されたい。さらに、以上の説明は例示のみを目的としたものであり、限定を目的としたものではない。
【図面の簡単な説明】
【0187】
【図1】本明細書に開示された熱処理システムの一実施態様の概略図である。
【図2】915及び2450MHzにおけるサツマイモピューレ(SPP)の誘電特性を示すグラフである。
【図3】915MHzにおける最大動作直径(M.O.D.)とSPP温度との関係を示すグラフである。
【図4】5kW試験での加熱セクションの出口における一般的な温度プロファイルを示す図である。
【図5】5kW試験でのSPP試料のレオロジー特性を示す図である。
【図6】5kW試験でのSPP試料の色測定値を示す図である。
【図7】スタティックミキサがない場合の60kW試験中の保持管の入口における一般的な温度プロファイルを示す図である。
【図8】スタティックミキサを導入した後の60kW試験中の保持管の入口における一般的な温度プロファイルを示す図である。
【図9】生物材料を熱処理する目的に使用される本出願によって開示される装置の代表的な一実施態様を示す概略図である。
【図10】生物材料を熱処理する目的に使用される本出願によって開示される装置の代表的な一実施態様を示す概略図である。
【図11A】マイクロ波及びRF透過性流通管/室の一例の概略図である。
【図11B】マイクロ波及びRF透過性流通管/室の一例の概略図である。
【図11C】マイクロ波及びRF透過性流通管/室の一例の概略図である。
【図11D】マイクロ波及びRF透過性流通管/室の一例の概略図である。
【図11E】マイクロ波及びRF透過性流通管/室の一例の概略図である。
【図11F】マイクロ波及びRF透過性流通管/室を製作する方法の一例の概略図である。
【図11G】マイクロ波及びRF透過性流通管/室を製作する方法の一例の概略図である。
【図11H】マイクロ波及びRF透過性流通管/室を製作する方法の一例の概略図である。
【図11I】マイクロ波及びRF透過性流通管/室を製作する方法の一例の概略図である。
【図12】2つの集束円筒形マイクロ波ヒータ/リアクタを実装する設置された2段式連続流マイクロ波ヒータの写真である。前、同時又は後混合実施態様の位置(それぞれA、B及びC)が示されている。
【図13A】断面温度分布の測定/監視ツールを示す図である。このツールは、材料流の方向に垂直な領域の断面カバレージを提供する、単一の又はいくつかのマルチポイント熱電対プローブの組合せである。鍵となる位置(ヒータの入口及び出口並びに混合要素の入口及び出口)にこのような感知/監視ツールを配置し、利用することを使用して、均一性及び/又は均一性の欠如を試験し、記録し、温度等化を達成する際のさまざまな混合器具及び工具の効率を例証した。
【図13B】断面温度分布の測定/監視ツールの写真である。このツールは、材料流の方向に垂直な領域の断面カバレージを提供する、単一の又はいくつかのマルチポイント熱電対プローブの組合せである。鍵となる位置(ヒータの入口及び出口並びに混合要素の入口及び出口)にこのような感知/監視ツールを配置し、利用することを使用して、均一性及び/又は均一性の欠如を試験し、記録し、温度等化を達成する際のさまざまな混合器具及び工具の効率を例証した。
【図13C】断面温度分布の測定/監視ツールの写真である。このツールは、材料流の方向に垂直な領域の断面カバレージを提供する、単一の又はいくつかのマルチポイント熱電対プローブの組合せである。鍵となる位置(ヒータの入口及び出口並びに混合要素の入口及び出口)にこのような感知/監視ツールを配置し、利用することを使用して、均一性及び/又は均一性の欠如を試験し、記録し、温度等化を達成する際のさまざまな混合器具及び工具の効率を例証した。
【図14A】以前に挙げた全ての標的位置(加熱前、加熱中及び/又は加熱後)に、同時に、同じデバイスを使用して、機械的混合効果を提供する能力を有する、例示的な混合デバイスの概略図である。この効果は、混合要素をこれらの領域全体に拡大適用することによって達成することができる。混合要素は、MW透過性又はRF透過性材料から製造され、暴露領域内での同時回転/周回軌道運動を提供して、形状が固定されないことを保証し、透過性管又は透過性室内の過熱及び/又は暴走加熱の可能性を最小化する。
【図14B】以前に挙げた全ての標的位置(加熱前、加熱中及び/又は加熱後)に、同時に、同じデバイスを使用して、機械的混合効果を提供する能力を有する、例示的な混合デバイスの概略図である。この効果は、混合要素をこれらの領域全体に拡大適用することによって達成することができる。混合要素は、MW透過性又はRF透過性材料から製造され、暴露領域内での同時回転/周回軌道運動を提供して、形状が固定されないことを保証し、透過性管又は透過性室内の過熱及び/又は暴走加熱の可能性を最小化する。
【図15】予め滅菌されたバッグに滅菌された製品を無菌充填条件下で充填する様子を示す写真である。この製品は後に、周囲温度貯蔵条件下での4カ月の貯蔵の後も貯蔵安定であり、生存可能な微生物を含まないことが証明された。
【図16】極めて粘性で熱伝導性の悪い野菜ホモジェネートであるサツマイモピューレの再循環漸増加熱ラン中に捕捉された温度測定値のグラフである。
【図17】工業滅菌レベルに近い流量及び温度上昇条件において予想され、遭遇しうる温度分布を示すグラフである。このグラフは、60kWマイクロ波加熱設備の第1ステージの出口の温度を示している。温度分布及び温度変動は相当に大きい。このような不利に加熱された流動及び温度分布が変更されていない形態で第2の加熱ステージに入ることを許した場合、極端な温度及び圧力状態、並びに危険な機器及び設備故障が生じる可能性がある。
【図18】第1のスタティックミキサ設備を通過した後の同じ流動ストリームの温度分布及び温度値を示すグラフである。温度分布はかなり均一化されており、可能な故障に対する心配をあまりすることなく第2の加熱ステージへ材料流を導入することができる。
【図19】第2の加熱ステージの出口の断面における温度分布を示すグラフである。第1の加熱ステージの出口で記録された分布に比べればその幅ははるかに小さいものの、分布は依然としてかなり大きい。バルク材料流に対する温度上昇の的確な送達にもかかわらず、流動プロファイルのいくつかの領域は、意図した滅菌レベル温度を達成していない可能性がある。この温度分布を、必要な混合ステップなしで流通保持セクションに導入した場合には、(相対的に低温の)これらの流動領域が、保持管流動プロファイルの(冷たい)外周部と接触し続け、適当な滅菌が得られないままになる可能性があり、その結果、おそらくは貯蔵中に製品は微生物によって腐敗する。
【図20】第2の加熱ステージの後の第2のスタティックミキサの出口断面で捕捉された温度分布のグラフである。分布は、明らかかつ効率的に最小化されており、流動断面全域の監視された温度は全て、意図した標的滅菌レベル温度に到達し、又はそれを上回っている。これは、保持管セクションへの導入による処理の安全な継続を可能にし、所定の時間、予め設定された滅菌レベル温度に材料を維持することを可能にする。したがって、得られた製品の滅菌及びその後のシェルフスタビリティが達成される。
【図21】処理が難しく、高粘性で、低伝導性の他の製品であるジャガイモ(Irish potato)ピューレ(すなわちマッシュポテト)のための代替処理及び温度分布プロファイルシーケンスを示すグラフである。この図は、サツマイモ製品に対して示した図に対応するものであり、5kW設備を使用した再循環加熱後の温度分布を対象とする。
【図22】処理が難しく、高粘性で、低伝導性の他の製品であるジャガイモ(Irish potato)ピューレ(すなわちマッシュポテト)のための代替処理及び温度分布プロファイルシーケンスを示すグラフである。この図は、サツマイモ製品に対して示した図に対応するものであり、2段式60kW設備の第1の加熱ステージの出口の容認できない幅広い温度分布を示している。
【図23】処理が難しく、高粘性で、低伝導性の他の製品であるジャガイモ(Irish potato)ピューレ(すなわちマッシュポテト)のための代替処理及び温度分布プロファイルシーケンスを示すグラフである。この図は、サツマイモ製品に対して示した図に対応するものであり、第1の加熱ステージ後にスタティックミキサを利用した肯定的な効果、並びにその結果生じた温度変動性及び温度分布のかなりの低減を示している。
【図24】処理が難しい他の高粘性、低伝導性製品であるジャガイモ(Irish potato)ピューレ(すなわちマッシュポテト)の対応する処理及び温度分布プロファイルシーケンスを示すグラフである。この図は、サツマイモ製品に対して示した図に対応するものであり、第2の加熱ステージの出口の別の比較的に幅広い温度分布を示している。
【図25】処理が難しく、高粘性で、低伝導性の他の製品であるジャガイモ(Irish potato)ピューレ(すなわちマッシュポテト)のための代替処理及び温度分布プロファイルシーケンスを示すグラフである。この図は、サツマイモ製品に対して示した図に対応するものであり、第2の静的混合デバイスの設置後のほぼ完璧な非常に幅の狭い分布を示しており、これは、制御され十分に維持された幅の狭い温度分布条件下での処理の保持セクションへの材料の導入を可能にし、優れた処理方法及び商業的に無菌の貯蔵安定性のある優れた製品を提供する。
【図26A】5kWマイクロ波ユニットにおいてさまざまな温度で処理したニンジンピューレ試料のレオロジー特性を示す図である。全てのニンジンピューレ試料の動的粘度(η*)は周波数の増大とともに低下し、擬塑性挙動を示した。この図の試料に適用した小ひずみ振動試験によって、構造ネットワークを崩壊させることなく、被試験材料の動的粘度又は複素粘度とゲル強度の両方を評価することができた。これらの非破壊レオロジー試験は、図5の高剪断速度の傾斜と同じ応力制御レオメータ(Reologica Instruments AB社、Lund、スウェーデン)を使用して実行した。ただし、試料は、0.01から20Hzの周波数の穏やかな振動スイープにかけた。
【図26B】5kWマイクロ波ユニットにおいてさまざまな温度で処理したニンジンピューレ試料のレオロジー特性を示す図である。ニンジンピューレの機械的スペクトルは、G”よりも高いG’で周波数依存性を示し、このことは、この材料をウイークゲルとして分類することができることを示す。この図の試料に適用した小ひずみ振動試験によって、構造ネットワークを崩壊させることなく、被試験材料の動的粘度又は複素粘度とゲル強度の両方を評価することができた。これらの非破壊レオロジー試験は、図5の高剪断速度の傾斜と同じ応力制御レオメータ(Reologica Instruments AB社、Lund、スウェーデン)を使用して実行した。ただし、試料は、0.01から20Hzの周波数の穏やかな振動スイープにかけた。
【図27A】60kWマイクロ波ユニットにおいてさまざまな温度で処理したニンジンピューレ試料のレオロジー特性を示す図である。全てのニンジンピューレ試料の動的粘度(η*)は周波数の増大とともに低下した。η*及びG’のかなりの低下によって示されているように、結合及びゲルネットワークは崩壊した。30分を超える加熱時間で、ニンジンピューレの粘稠度及びゲル強度の深刻な崩壊が観察された。
【図27B】60kWマイクロ波ユニットにおいてさまざまな温度で処理したニンジンピューレ試料のレオロジー特性を示す図である。ニンジンピューレの機械的スペクトルは、G”よりも高いG’で周波数依存性を示し、このことは、この材料をウイークゲルとして分類することができることを示す。η*及びG’のかなりの低下によって示されているように、結合及びゲルネットワークは崩壊した。30分を超える加熱時間で、ニンジンピューレの粘稠度及びゲル強度の深刻な崩壊が観察された。
【図28A】5kWマイクロ波ユニットにおいてさまざまな温度で処理したグリーンピースピューレ試料のレオロジー特性を示す図である。全てのグリーンピースピューレ試料の動的粘度(η*)は周波数の増大とともに低下し、擬塑性挙動を示した。
【図28B】5kWマイクロ波ユニットにおいてさまざまな温度で処理したグリーンピースピューレ試料のレオロジー特性を示す図である。グリーンピースピューレの機械的スペクトルは、G”よりも高いG’で周波数依存性を示すので、グリーンピースピューレはウイークゲルとみなすことができる。
【図29A】60kWマイクロ波ユニットにおいてさまざまな温度で処理したグリーンピースピューレ試料のレオロジー特性を示す図である。ニンジンピューレとは対照的に、75〜110℃に加熱すると、グリーンピースピューレのη*及びG’は最初、非加熱試料に比べて低下し、次いで、より高い温度(120〜130℃)でかなり増大した。この傾向は、125℃まで加熱し、6時間再循環させた試料でも示された。
【図29B】60kWマイクロ波ユニットにおいてさまざまな温度で処理したグリーンピースピューレ試料のレオロジー特性を示す図である。ニンジンピューレとは対照的に、75〜110℃に加熱すると、グリーンピースピューレのη*及びG’は最初、非加熱試料に比べて低下し、次いで、より高い温度(120〜130℃)でかなり増大した。この傾向は、125℃まで加熱し、6時間再循環させた試料でも示された。
【図30】60kW試験から回収したグリーンピースピューレ試料の色判定を示す図である。この図に示されているように、L*値(明度)及びb*値(黄色み)は、マイクロ波処理温度及び時間の影響をわずかに受けた(<5%の低下)。しかし、125℃に加熱されたグリーンピースピューレの緑色み(a*値)の低下は、非加熱試料に比べて約30%であった。125℃での加熱時間を従来の熱処理の場合のように増大させると、ピューレの緑色み(a*値)は、非加熱試料に比べて更に38%低下した。
【図31A】130℃でマイクロ波処理し、無菌包装して周囲条件で貯蔵したサツマイモピューレのレオロジー試験の結果を示す図である。周囲条件での貯蔵は、ピューレのレオロジー特性に影響を及ぼさなかった。貯蔵試料は、冷凍貯蔵ピューレのそれらと同等の動的粘度(η*)及びゲル強度(G’)を維持した。
【図31B】130℃でマイクロ波処理し、無菌包装して周囲条件で貯蔵したサツマイモピューレのレオロジー試験の結果を示す図である。周囲条件での貯蔵は、ピューレのレオロジー特性に影響を及ぼさなかった。貯蔵試料は、冷凍貯蔵ピューレのそれらと同等の動的粘度(η*)及びゲル強度(G’)を維持した。
【図32】マイクロ波処理したサツマイモピューレの色値を、地元のサツマイモ缶詰会社から直接に購入した冷凍及び缶詰ピューレ(缶詰サツマイモピューレ。缶サイズ10番)との比較で示す図である。マイクロ波処理の結果、冷凍ピューレとの比較で、b*値(黄色み)の25%の増大、a*値(赤み;<1%)及びL*値(明度;<2%)のわずかな低下が見られた。22℃で3カ月間の無菌ピューレの貯蔵は、a*値及びL*値をそれぞれ2.2%及び4.5%低下させたが、b*値は冷凍ピューレよりも約15%高かった。缶詰ピューレは暗褐色を呈し、L*値は冷凍ピューレのそれらよりも約10.5%及び7.5%低かった。
【図33】比較した全ての条件下における色劣化データ及び最悪ケースシナリオの予測を示す図である。
【図34】比較した全ての条件下における色劣化データ及び最悪ケースシナリオの予測を示す図である。
【図35】比較した全ての条件下における色劣化データ及び最悪ケースシナリオの予測を示す図である。
【図36】比較した全ての条件下における色劣化データ及び最悪ケースシナリオの予測を示す図である。
【図37】本明細書に開示されたMWベースの処理法と従来の無菌処理法及び缶詰法のFo値及びCo値を比較した概略図である。
【図38】実施例10で使用した高温色劣化アセンブリの概略図である。
【図39】実施例10で説明した実験装置の写真である。
【図40】試料室アセンブリと、実施例10で説明した試料材料と接触した3点熱電対プローブを含むSmartガスケットポートを有する特殊なトリクランプとを示す写真である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動可能な材料を連続ストリームとして熱処理装置に通している間に前記流動可能な材料を熱処理する方法であって、
(a)少なくともその一部分が電磁放射線透過性導管に、流動可能な材料を連続的に通すこと、
(b)電磁放射線透過性の前記導管の前記少なくとも一部分を暴露することによって、前記流動可能な材料を加熱すること、及び
(c)前記流動可能な材料を混合して、前記流動可能な材料の少なくとも一部分の熱等化を提供することを含む、前記方法。
【請求項2】
前記流動が一定の流量で起こる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記流動が、前記流動生物材料の加熱出口において一定加熱力入力又は一定質量平均温度で起こる、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記流動可能な材料が、前記流動可能な材料のレオロジー特性、誘電特性及び熱物理特性のうちの少なくとも1つ、又はこれらの特性の組合せに基づいて選択される、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記流動可能な材料が生物材料である、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記生物材料が食用生物材料である、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記食用生物材料が、前記食用生物材料のレオロジー特性、誘電特性及び熱物理特性のうちの少なくとも1つ、又はこれらの特性の組合せに基づいて選択される、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記加熱の結果、前記流動可能な材料の、少なくとも約1°F毎秒又は0.5℃毎秒の平均バルク温度上昇速度が得られる、請求項1記載の方法。
【請求項9】
1つ又は複数の追加の加熱ステップを含む、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記1つ又は複数の追加の加熱ステップが、前記流動可能な材料の少なくとも1°F毎秒又は0.5℃毎秒の平均バルク温度上昇速度を与える前記加熱の前に、又は前記加熱と同時に、又は前記加熱の後に実施される、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記加熱が、前記流動可能な材料を、前記流動可能な材料自体の最高温度レベルを超える温度を有する表面と接触させることによる加熱を実質的に含まない、請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記電磁放射線の波長が約1×10−4メートル以上である、請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記電磁放射線の周波数が約3×1012波毎秒以下である、請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記混合が、前記加熱の前、前記加熱の最中又は前記加熱の後、及びこれらの組合せで起こる、請求項1記載の方法。
【請求項15】
前記混合が、前記流動の断面形状を変更することによって達成される、請求項1記載の方法。
【請求項16】
前記混合が、受動的に又は能動的に起こり、或いは受動的と能動的の両方で起こる、請求項1記載の方法。
【請求項17】
前記流動可能な生物材料が加熱された表面にさらされない、請求項1記載の方法。
【請求項18】
前記混合が、少なくとも1つの受動混合デバイス、能動混合デバイス、又は受動混合デバイスと能動混合デバイスの両方を使用することによって達成され、前記混合デバイスが、前記流動可能な材料の相対的に高い温度レベルを有する領域と前記流動可能な材料の相対的に低い温度レベルを有する領域との間の物理接触及び熱交換を増大させる働きをし、前記増大は、前記混合デバイスがない場合には起こらないと考えられる、請求項16記載の方法。
【請求項19】
前記混合が、前記流動可能な材料全域の温度分布の変動性を、前記混合デバイスがない場合の前記流動可能な材料全域の温度分布の変動性と比較したときに、少なくとも10%低減させる、請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記導管の前記電磁放射線に暴露される前記部分の入口の1つ又は複数の点、前記部分内の1つ又は複数の点、前記部分の1つ又は複数の出口、及びこれらの組合せからなるグループから選択された位置に、前記混合デバイスを配置することを含む、請求項18記載の方法。
【請求項21】
前記流動可能な材料を冷蔵貯蔵用に包装することをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項22】
前記加熱及び前記混合が、前記流動可能な材料の滅菌及び殺菌のうちの一方を達成するための十分な温度を、十分な時間提供する、請求項1記載の方法。
【請求項23】
前記流動可能な材料を無菌包装することをさらに含む、請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記流動可能生物材料との接触面が、前記流動可能な生物材料の導入前に滅菌される、請求項1記載の方法。
【請求項25】
前記流動可能な材料を、所定の時間、所定の温度に保ち、いずれも無菌条件下で、前記流動可能な材料を冷却し、前記流動可能な材料を滅菌された包装の中に包装し、前記流動可能な材料を溶接密封することを含む、請求項23記載の方法。
【請求項26】
前記流動可能な材料と接触した包装表面の同時滅菌を達成するため、前記流動可能な材料が、所定の温度レベルで、非無菌包装の中に、大気圧条件下と加圧条件下のうちの一方で充填され、次いで前記包装を溶接密封する、請求項22記載の方法。
【請求項27】
請求項1記載の方法によって製造された、製品。
【請求項28】
ある熱処理法を使用して滅菌された対照生物材料に比べてより程度よく維持された1つ又は複数の品質属性を有する商業的に無菌の生物材料であって、前記熱処理法が、前記対照生物材料を、前記対照生物材料の所定の処理温度よりも一貫して高い温度を有する表面と接触させることを含む、前記商業的に無菌の生物材料。
【請求項29】
前記1つ又は複数の品質属性が、約25℃の貯蔵で少なくとも12週間維持される、請求項28記載の商業的に無菌の食用生物材料。
【請求項30】
前記1つ又は複数の品質属性が、栄養素含量、色、テクスチャ、矯味矯臭薬及び全体的な外観からなるグループから選択された、請求項28記載の食用生物材料。
【請求項31】
溶接密封包装された食用生物材料、貯蔵安定性のある食用生物材料、及び溶接密封包装された貯蔵安定性のある食用生物材料のうちの1つである、請求項28記載の食用生物材料。
【請求項32】
前記食用生物材料がサツマイモである、請求項28及び31の一項記載の食用生物材料。
【請求項33】
ある熱処理法を使用して滅菌された基準食用生物材料に比べてより程度よく維持された1つ又は複数の品質属性を有する商業的に無菌の食用生物材料であって、前記熱処理法が、前記基準食用生物材料を、前記基準食用生物材料の所定の処理温度よりも一貫して高い温度を有する表面と接触させることを含み、
(i)冷蔵用に包装された食用生物材料、溶接密封包装された食用生物材料、貯蔵安定性のある食用生物材料、冷蔵用に包装された貯蔵安定性のある食用生物材料、及び溶接密封包装された貯蔵安定性のある食用生物材料のうちの1つであり、
(ii)サツマイモ又はジャガイモ(例えばIrish potato)であり、任意選択でピューレであり、
任意選択で、これに限定されないが、熱処理下の製品をより安定にする添加剤などの保存料又は酸味料が添加されておらず、任意選択で、水、塩、香辛料、矯味矯臭薬、剥皮剤、並びに/又は酸性ピロリン酸ナトリウム及び他の褐変防止添加剤を添加することができ、或いはこれらが存在することができる、前記商業的に無菌の食用生物材料。
【請求項34】
処理されていない同じタイプの食用生物材料の品質プロファイルと実質的に一致し、1つ又は複数の品質属性を含む品質プロファイルを有する熱処理され、商業的に無菌で貯蔵安定性のある、熱処理された食用生物材料。
【請求項35】
前記品質属性が、栄養素含量、色、テクスチャ、矯味矯臭薬及び全体的な外観からなるグループから選択された、請求項34記載の食用生物材料。
【請求項36】
前記食用生物材料が溶接密封包装された、請求項35記載の食用生物材料。
【請求項37】
前記食用生物材料がサツマイモである、請求項34記載の食用生物材料。
【請求項38】
処理されていない同じタイプの食用生物材料の品質プロファイルと実質的に一致する、1つ又は複数の品質属性を含む品質プロファイルを有する熱処理された食用生物材料であって、
(i)商業的に無菌の熱処理された食用生物材料、冷蔵用に包装された熱処理された食用生物材料、溶接密封包装された熱処理された食用生物材料、貯蔵安定性のある熱処理された食用生物材料、及びこれらの任意の組合せのうちの1つの熱処理された食用生物材料であり、
(ii)サツマイモ又はジャガイモ(例えばIrish potato)であり、任意選択でピューレであり、
任意選択で、これに限定されないが、熱処理下の製品をより安定にする添加剤などの保存料又は酸味料が添加されておらず、任意選択で、水、塩、香辛料、矯味矯臭薬、剥皮剤、並びに/又は酸性ピロリン酸ナトリウム及び他の褐変防止添加剤を添加することができ、或いはこれらが存在することができる、前記熱処理された食用生物材料。
【請求項39】
流動可能な材料を熱処理する装置であって、
(a)流動可能な材料を受け取る導管であって、その少なくとも一部分が電磁放射線透過性の導管と、
(b)前記導管の少なくとも一部分に電磁放射線を供給するデバイスと、
(c)前記流動可能な材料の少なくとも一部分の熱等化を提供するために前記導管の中又は前記導管に沿って配置された混合構造物とを含む、前記装置。
【請求項40】
前記電磁放射線を、約1×10−4メートル以上の波長で提供することができる、請求項39記載の装置。
【請求項41】
前記電磁放射線を、約3×1012波毎秒以下の周波数で提供することができる、請求項39記載の装置。
【請求項42】
前記混合構造物が、前記導管の変更された断面形状を含む、請求項39記載の装置。
【請求項43】
前記混合構造物が、1つ若しくは複数の受動混合構造物又は1つ若しくは複数の能動混合構造物、或いはその両方を含む、請求項39記載の装置。
【請求項44】
受動混合構造物又は能動混合構造物、或いはその両方の任意の組合せを含み、前記混合構造物が、前記流動可能な材料の相対的に高い温度レベルを有する領域と前記流動可能な材料の相対的に低い温度レベルを有する領域との間の物理接触及び熱交換を増大させる働きをし、前記増大は、前記混合構造物がない場合には起こらないと考えられる、請求項43記載の装置。
【請求項45】
前記混合構造物が、前記流動可能な材料全域の温度分布の変動性(標準偏差)を、前記混合構造物がない場合の前記流動可能な材料全域の温度分布の変動性(標準偏差)と比較したときに、少なくとも10%低減させる、請求項43記載の装置。
【請求項46】
前記導管の電磁放射線透過性の前記部分の入口の1つ又は複数の点、前記部分内の1つ又は複数の点、前記部分の1つ又は複数の出口、及びこれらの組合せからなるグループから選択された位置に、混合構造物を含む、請求項43記載の装置。
【請求項47】
前記導管内の流動を一定流量に制御するための制御デバイスを含む、請求項39記載の装置。
【請求項48】
前記導管内の流動を、少なくとも0.25ガロン毎分の体積流量に制御するための制御デバイスを含む、請求項39記載の装置。
【請求項49】
電磁放射線を供給する前記デバイスのパワーレベルを制御して、前記導管内の流動可能な材料の加熱が、前記流動可能な材料中少なくとも1°F毎秒又は0.5℃毎秒の平均バルク温度上昇速度で起こるようにする制御デバイスを含む、請求項39記載の装置。
【請求項50】
電磁放射線を供給する前記デバイスのパワーレベルを制御して、前記導管内の流動可能な材料の加熱が前記導管の加熱よりも高い速度で起こるようにする制御デバイスを含み、その結果、前記流動可能な材料の前記加熱が、前記流動可能な材料を、前記流動可能な材料自体の最高温度レベルを超える温度を有する前記導管の表面と接触させることによる加熱を実質的に含まない、請求項39記載の装置。
【請求項51】
電磁放射線を供給する前記デバイスのパワーレベルを制御して、前記パワーレベルが一定に維持されるようにする制御デバイスを含む、請求項39記載の装置。
【請求項52】
電磁放射線を供給する前記デバイスのパワーレベルを制御し、前記パワーレベルを、所定の質量流量の前記流動可能な生物材料の所定の熱処理を提供するように予め定められたレベルに予め自動的に設定し、又は手動で調整することができるようにする制御デバイスを含む、請求項39記載の装置。
【請求項53】
前記流動可能な材料を冷蔵貯蔵用に包装するための包装デバイス、前記流動可能な材料を無菌包装するための包装デバイス、及び前記流動可能な材料の冷蔵貯蔵用の包装と無菌包装の両方を行う包装デバイスのうちの1つを含む、請求項39記載の装置。
【請求項54】
前記導管と流体連通するように適合された保持管を含む、請求項39記載の装置。
【請求項55】
前記流動可能な生物材料の導入前に、前記流動可能生物材料製品との接触面を商業的に無菌にする能力を有する、請求項39記載の装置。
【請求項56】
前記包装を、個々の寸法を含むがこれらに限らない任意の標準寸法の包装とすることができる、請求項33又は請求項38記載の製品。
【請求項57】
前記包装内の食用生物材料の体積が、タイプ10(Type 10)の缶に収容することができる食用生物材料の体積を上回る、請求項33又は請求項38記載の製品。
【請求項58】
前記食用生物材料がサツマイモ又はジャガイモを含み、24週間以上の貯蔵期限を有し、さらに、熱処理に対する安定性を向上させる保存料又は酸味料が添加されておらず、任意選択で、水、塩、香辛料、矯味矯臭薬、剥皮剤、並びに/又は酸性ピロリン酸ナトリウム及び他の褐変防止添加剤のうちの1つ又は複数を含むことができる、商業的に無菌の貯蔵安定性のある食用生物材料。
【請求項59】
前記食用生物材料がピューレである、請求項58記載の商業的に無菌の貯蔵安定性のある食用生物材料。
【請求項1】
流動可能な材料を連続ストリームとして熱処理装置に通している間に前記流動可能な材料を熱処理する方法であって、
(a)少なくともその一部分が電磁放射線透過性導管に、流動可能な材料を連続的に通すこと、
(b)電磁放射線透過性の前記導管の前記少なくとも一部分を暴露することによって、前記流動可能な材料を加熱すること、及び
(c)前記流動可能な材料を混合して、前記流動可能な材料の少なくとも一部分の熱等化を提供することを含む、前記方法。
【請求項2】
前記流動が一定の流量で起こる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記流動が、前記流動生物材料の加熱出口において一定加熱力入力又は一定質量平均温度で起こる、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記流動可能な材料が、前記流動可能な材料のレオロジー特性、誘電特性及び熱物理特性のうちの少なくとも1つ、又はこれらの特性の組合せに基づいて選択される、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記流動可能な材料が生物材料である、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記生物材料が食用生物材料である、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記食用生物材料が、前記食用生物材料のレオロジー特性、誘電特性及び熱物理特性のうちの少なくとも1つ、又はこれらの特性の組合せに基づいて選択される、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記加熱の結果、前記流動可能な材料の、少なくとも約1°F毎秒又は0.5℃毎秒の平均バルク温度上昇速度が得られる、請求項1記載の方法。
【請求項9】
1つ又は複数の追加の加熱ステップを含む、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記1つ又は複数の追加の加熱ステップが、前記流動可能な材料の少なくとも1°F毎秒又は0.5℃毎秒の平均バルク温度上昇速度を与える前記加熱の前に、又は前記加熱と同時に、又は前記加熱の後に実施される、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記加熱が、前記流動可能な材料を、前記流動可能な材料自体の最高温度レベルを超える温度を有する表面と接触させることによる加熱を実質的に含まない、請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記電磁放射線の波長が約1×10−4メートル以上である、請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記電磁放射線の周波数が約3×1012波毎秒以下である、請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記混合が、前記加熱の前、前記加熱の最中又は前記加熱の後、及びこれらの組合せで起こる、請求項1記載の方法。
【請求項15】
前記混合が、前記流動の断面形状を変更することによって達成される、請求項1記載の方法。
【請求項16】
前記混合が、受動的に又は能動的に起こり、或いは受動的と能動的の両方で起こる、請求項1記載の方法。
【請求項17】
前記流動可能な生物材料が加熱された表面にさらされない、請求項1記載の方法。
【請求項18】
前記混合が、少なくとも1つの受動混合デバイス、能動混合デバイス、又は受動混合デバイスと能動混合デバイスの両方を使用することによって達成され、前記混合デバイスが、前記流動可能な材料の相対的に高い温度レベルを有する領域と前記流動可能な材料の相対的に低い温度レベルを有する領域との間の物理接触及び熱交換を増大させる働きをし、前記増大は、前記混合デバイスがない場合には起こらないと考えられる、請求項16記載の方法。
【請求項19】
前記混合が、前記流動可能な材料全域の温度分布の変動性を、前記混合デバイスがない場合の前記流動可能な材料全域の温度分布の変動性と比較したときに、少なくとも10%低減させる、請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記導管の前記電磁放射線に暴露される前記部分の入口の1つ又は複数の点、前記部分内の1つ又は複数の点、前記部分の1つ又は複数の出口、及びこれらの組合せからなるグループから選択された位置に、前記混合デバイスを配置することを含む、請求項18記載の方法。
【請求項21】
前記流動可能な材料を冷蔵貯蔵用に包装することをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項22】
前記加熱及び前記混合が、前記流動可能な材料の滅菌及び殺菌のうちの一方を達成するための十分な温度を、十分な時間提供する、請求項1記載の方法。
【請求項23】
前記流動可能な材料を無菌包装することをさらに含む、請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記流動可能生物材料との接触面が、前記流動可能な生物材料の導入前に滅菌される、請求項1記載の方法。
【請求項25】
前記流動可能な材料を、所定の時間、所定の温度に保ち、いずれも無菌条件下で、前記流動可能な材料を冷却し、前記流動可能な材料を滅菌された包装の中に包装し、前記流動可能な材料を溶接密封することを含む、請求項23記載の方法。
【請求項26】
前記流動可能な材料と接触した包装表面の同時滅菌を達成するため、前記流動可能な材料が、所定の温度レベルで、非無菌包装の中に、大気圧条件下と加圧条件下のうちの一方で充填され、次いで前記包装を溶接密封する、請求項22記載の方法。
【請求項27】
請求項1記載の方法によって製造された、製品。
【請求項28】
ある熱処理法を使用して滅菌された対照生物材料に比べてより程度よく維持された1つ又は複数の品質属性を有する商業的に無菌の生物材料であって、前記熱処理法が、前記対照生物材料を、前記対照生物材料の所定の処理温度よりも一貫して高い温度を有する表面と接触させることを含む、前記商業的に無菌の生物材料。
【請求項29】
前記1つ又は複数の品質属性が、約25℃の貯蔵で少なくとも12週間維持される、請求項28記載の商業的に無菌の食用生物材料。
【請求項30】
前記1つ又は複数の品質属性が、栄養素含量、色、テクスチャ、矯味矯臭薬及び全体的な外観からなるグループから選択された、請求項28記載の食用生物材料。
【請求項31】
溶接密封包装された食用生物材料、貯蔵安定性のある食用生物材料、及び溶接密封包装された貯蔵安定性のある食用生物材料のうちの1つである、請求項28記載の食用生物材料。
【請求項32】
前記食用生物材料がサツマイモである、請求項28及び31の一項記載の食用生物材料。
【請求項33】
ある熱処理法を使用して滅菌された基準食用生物材料に比べてより程度よく維持された1つ又は複数の品質属性を有する商業的に無菌の食用生物材料であって、前記熱処理法が、前記基準食用生物材料を、前記基準食用生物材料の所定の処理温度よりも一貫して高い温度を有する表面と接触させることを含み、
(i)冷蔵用に包装された食用生物材料、溶接密封包装された食用生物材料、貯蔵安定性のある食用生物材料、冷蔵用に包装された貯蔵安定性のある食用生物材料、及び溶接密封包装された貯蔵安定性のある食用生物材料のうちの1つであり、
(ii)サツマイモ又はジャガイモ(例えばIrish potato)であり、任意選択でピューレであり、
任意選択で、これに限定されないが、熱処理下の製品をより安定にする添加剤などの保存料又は酸味料が添加されておらず、任意選択で、水、塩、香辛料、矯味矯臭薬、剥皮剤、並びに/又は酸性ピロリン酸ナトリウム及び他の褐変防止添加剤を添加することができ、或いはこれらが存在することができる、前記商業的に無菌の食用生物材料。
【請求項34】
処理されていない同じタイプの食用生物材料の品質プロファイルと実質的に一致し、1つ又は複数の品質属性を含む品質プロファイルを有する熱処理され、商業的に無菌で貯蔵安定性のある、熱処理された食用生物材料。
【請求項35】
前記品質属性が、栄養素含量、色、テクスチャ、矯味矯臭薬及び全体的な外観からなるグループから選択された、請求項34記載の食用生物材料。
【請求項36】
前記食用生物材料が溶接密封包装された、請求項35記載の食用生物材料。
【請求項37】
前記食用生物材料がサツマイモである、請求項34記載の食用生物材料。
【請求項38】
処理されていない同じタイプの食用生物材料の品質プロファイルと実質的に一致する、1つ又は複数の品質属性を含む品質プロファイルを有する熱処理された食用生物材料であって、
(i)商業的に無菌の熱処理された食用生物材料、冷蔵用に包装された熱処理された食用生物材料、溶接密封包装された熱処理された食用生物材料、貯蔵安定性のある熱処理された食用生物材料、及びこれらの任意の組合せのうちの1つの熱処理された食用生物材料であり、
(ii)サツマイモ又はジャガイモ(例えばIrish potato)であり、任意選択でピューレであり、
任意選択で、これに限定されないが、熱処理下の製品をより安定にする添加剤などの保存料又は酸味料が添加されておらず、任意選択で、水、塩、香辛料、矯味矯臭薬、剥皮剤、並びに/又は酸性ピロリン酸ナトリウム及び他の褐変防止添加剤を添加することができ、或いはこれらが存在することができる、前記熱処理された食用生物材料。
【請求項39】
流動可能な材料を熱処理する装置であって、
(a)流動可能な材料を受け取る導管であって、その少なくとも一部分が電磁放射線透過性の導管と、
(b)前記導管の少なくとも一部分に電磁放射線を供給するデバイスと、
(c)前記流動可能な材料の少なくとも一部分の熱等化を提供するために前記導管の中又は前記導管に沿って配置された混合構造物とを含む、前記装置。
【請求項40】
前記電磁放射線を、約1×10−4メートル以上の波長で提供することができる、請求項39記載の装置。
【請求項41】
前記電磁放射線を、約3×1012波毎秒以下の周波数で提供することができる、請求項39記載の装置。
【請求項42】
前記混合構造物が、前記導管の変更された断面形状を含む、請求項39記載の装置。
【請求項43】
前記混合構造物が、1つ若しくは複数の受動混合構造物又は1つ若しくは複数の能動混合構造物、或いはその両方を含む、請求項39記載の装置。
【請求項44】
受動混合構造物又は能動混合構造物、或いはその両方の任意の組合せを含み、前記混合構造物が、前記流動可能な材料の相対的に高い温度レベルを有する領域と前記流動可能な材料の相対的に低い温度レベルを有する領域との間の物理接触及び熱交換を増大させる働きをし、前記増大は、前記混合構造物がない場合には起こらないと考えられる、請求項43記載の装置。
【請求項45】
前記混合構造物が、前記流動可能な材料全域の温度分布の変動性(標準偏差)を、前記混合構造物がない場合の前記流動可能な材料全域の温度分布の変動性(標準偏差)と比較したときに、少なくとも10%低減させる、請求項43記載の装置。
【請求項46】
前記導管の電磁放射線透過性の前記部分の入口の1つ又は複数の点、前記部分内の1つ又は複数の点、前記部分の1つ又は複数の出口、及びこれらの組合せからなるグループから選択された位置に、混合構造物を含む、請求項43記載の装置。
【請求項47】
前記導管内の流動を一定流量に制御するための制御デバイスを含む、請求項39記載の装置。
【請求項48】
前記導管内の流動を、少なくとも0.25ガロン毎分の体積流量に制御するための制御デバイスを含む、請求項39記載の装置。
【請求項49】
電磁放射線を供給する前記デバイスのパワーレベルを制御して、前記導管内の流動可能な材料の加熱が、前記流動可能な材料中少なくとも1°F毎秒又は0.5℃毎秒の平均バルク温度上昇速度で起こるようにする制御デバイスを含む、請求項39記載の装置。
【請求項50】
電磁放射線を供給する前記デバイスのパワーレベルを制御して、前記導管内の流動可能な材料の加熱が前記導管の加熱よりも高い速度で起こるようにする制御デバイスを含み、その結果、前記流動可能な材料の前記加熱が、前記流動可能な材料を、前記流動可能な材料自体の最高温度レベルを超える温度を有する前記導管の表面と接触させることによる加熱を実質的に含まない、請求項39記載の装置。
【請求項51】
電磁放射線を供給する前記デバイスのパワーレベルを制御して、前記パワーレベルが一定に維持されるようにする制御デバイスを含む、請求項39記載の装置。
【請求項52】
電磁放射線を供給する前記デバイスのパワーレベルを制御し、前記パワーレベルを、所定の質量流量の前記流動可能な生物材料の所定の熱処理を提供するように予め定められたレベルに予め自動的に設定し、又は手動で調整することができるようにする制御デバイスを含む、請求項39記載の装置。
【請求項53】
前記流動可能な材料を冷蔵貯蔵用に包装するための包装デバイス、前記流動可能な材料を無菌包装するための包装デバイス、及び前記流動可能な材料の冷蔵貯蔵用の包装と無菌包装の両方を行う包装デバイスのうちの1つを含む、請求項39記載の装置。
【請求項54】
前記導管と流体連通するように適合された保持管を含む、請求項39記載の装置。
【請求項55】
前記流動可能な生物材料の導入前に、前記流動可能生物材料製品との接触面を商業的に無菌にする能力を有する、請求項39記載の装置。
【請求項56】
前記包装を、個々の寸法を含むがこれらに限らない任意の標準寸法の包装とすることができる、請求項33又は請求項38記載の製品。
【請求項57】
前記包装内の食用生物材料の体積が、タイプ10(Type 10)の缶に収容することができる食用生物材料の体積を上回る、請求項33又は請求項38記載の製品。
【請求項58】
前記食用生物材料がサツマイモ又はジャガイモを含み、24週間以上の貯蔵期限を有し、さらに、熱処理に対する安定性を向上させる保存料又は酸味料が添加されておらず、任意選択で、水、塩、香辛料、矯味矯臭薬、剥皮剤、並びに/又は酸性ピロリン酸ナトリウム及び他の褐変防止添加剤のうちの1つ又は複数を含むことができる、商業的に無菌の貯蔵安定性のある食用生物材料。
【請求項59】
前記食用生物材料がピューレである、請求項58記載の商業的に無菌の貯蔵安定性のある食用生物材料。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図11F】
【図11G】
【図11H】
【図11I】
【図12】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図11F】
【図11G】
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【図11I】
【図12】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【公表番号】特表2008−519608(P2008−519608A)
【公表日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−541456(P2007−541456)
【出願日】平成17年11月14日(2005.11.14)
【国際出願番号】PCT/US2005/041479
【国際公開番号】WO2006/053329
【国際公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(505371508)ノース カロライナ ステイト ユニバーシティー (3)
【出願人】(507123110)
【出願人】(307041034)インダストリアル ミクロワベ システムズ エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月14日(2005.11.14)
【国際出願番号】PCT/US2005/041479
【国際公開番号】WO2006/053329
【国際公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(505371508)ノース カロライナ ステイト ユニバーシティー (3)
【出願人】(507123110)
【出願人】(307041034)インダストリアル ミクロワベ システムズ エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】
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