説明

食品容器用蓋材、食品容器、および飲食品包装体

【課題】十分な耐水性を有し、ストローを貫通させて容易に開封できる食品容器用蓋材を提供することを課題としている。
【解決手段】食品容器の蓋材6であって、2つの防水層9、12と、2つの防水層9、12間に配置された紙からなる基材層7とを有する積層シートからなり、2つの防水層のうちの少なくとも一方の防水層が、アルミニウム箔からなるアルミニウム層である食品容器用蓋材とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品容器用蓋材、食品容器、および飲食品包装体に関し、特に、牛乳等や乳飲料等が収納されるカップ状の食品容器の蓋材として好適に用いられる食品容器用蓋材に関する。
本発明において「牛乳等」とは、乳等省令(乳及び乳製品の成分規格等に関する省令、昭和二十六年十二月二十七日厚生省令第五十二号、以下同じ。)における「別表」の「四 乳等の器具若しくは容器包装又はこれらの原材料の規格及び製造方法の基準」の「(二)乳等の容器包装又はこれらの原材料の規格及び製造方法の基準」の「(1)牛乳、特別牛乳、殺菌山羊乳、成分調整牛乳、低脂肪牛乳、無脂肪牛乳、加工乳、クリーム、発酵乳、乳酸菌飲料及び乳飲料の容器包装又はこれらの原材料の規格及び製造方法の基準」の「1」において示される乳等を意味しており、例えば、牛乳、殺菌山羊乳、成分調整牛乳、低脂肪牛乳、無脂肪牛乳、加工乳、クリームを例示することができる。
本発明において「乳飲料等」とは、同じく乳等省令における「別表」の「四 乳等の器具若しくは容器包装又はこれらの原材料の規格及び製造方法の基準」の「(二)乳等の容器包装又はこれらの原材料の規格及び製造方法の基準」の「(1)牛乳、特別牛乳、殺菌山羊乳、成分調整牛乳、低脂肪牛乳、無脂肪牛乳、加工乳、クリーム、発酵乳、乳酸菌飲料及び乳飲料の容器包装又はこれらの原材料の規格及び製造方法の基準」の「2」において示される乳等を意味しており、例えば、乳飲料、乳酸菌飲料、発酵乳を例示することができる。
【背景技術】
【0002】
従来から、牛乳等、乳飲料等の包装には乳等省令に適合するものが用いられている。具体的には、牛乳等、乳飲料等の包装として、ガラス瓶、ポリエチレン樹脂などからなる合成樹脂製容器包装、合成樹脂加工紙製容器包装、金属缶などが用いられている。
【0003】
また、牛乳等、乳飲料等は、製造時に殺菌処理を行なうことが法律で義務付けられている。殺菌処理の方法としては、乳飲料等自体を食品容器に収納した後に高温殺菌処理を施す方法や、牛乳等、乳飲料等に低温殺菌を施すとともに食品容器に高温殺菌処理を施して、無菌状態で食品容器に牛乳等、乳飲料等を収納する方法などがある。
【0004】
最近、一般的に用いられているガラス瓶や、ブリックパック型のポリエチレン樹脂加工紙製容器包装に代えて、カップ状の食品容器に牛乳等、乳飲料等を収容することが検討されている。しかしながら、従来のカップ状の食品容器は、蓋材にストローを貫通させて開封する際に、蓋材が破れにくく、開封しにくい場合があった。
この問題を解決する技術として、原紙の内面にポリエチレン層、アルミ箔、ポリエチレン層を形成し、外面に印刷層、オーバープリンティング層を形成した蓋材を有する乳製品用紙容器が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、食品容器用の蓋材として、2方向に延伸した二軸延伸ポリエチレンフィルムの下側にアルミニウム箔層を設け、このアルミニウム箔層の下側にポリエチレン(PE)フィルムを積層接着し、このPEフィルムの下側にエチレンエチルアクリレートコーポリマー(EEA)のヒートシール層を設けるとともに、二軸延伸フィルムの上側に接着層を介してアルミニウム箔層を設けたものなどが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第2571600号公報
【特許文献2】実開平6−37169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1や特許文献2に記載の蓋材を備えた食品容器であっても、蓋材にストローを貫通させて開封する際に、蓋材が破れにくく、開封しにくい場合があった。特に、ストローの先端を利用してストローの袋に穴をあけて取り出したストローなど、先端の潰れたストローを蓋材に貫通させる場合には、蓋材が破れにくかった。
この問題を解決する方法として、カップ状の食品容器の食品収納部から蓋材を剥がしとって開封するものとする方法が考えられる。しかしながら、この方法では、蓋材が食品収納部から剥がしにくく、使いづらい場合があった。特に、食品収納部がポリエチレン樹脂からなり、蓋材の接着層がポリエチレン樹脂からなるカップ状の食品容器において、食品収納部の開口部と蓋材の接着層とが熱圧着されている場合、食品収納部の開口部と蓋材とが強固に接着されたものとなるため、蓋材が食品収納部から剥がしにくかった。
【0008】
また、特許文献1に記載の蓋材など、従来の紙を用いた食品容器用の蓋材では、耐水性が不十分である場合があり、耐水性を向上させることが要求されていた。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、十分な耐水性を有し、ストローを貫通させて容易に開封できる食品容器用蓋材を提供することを課題としている。
また、本発明は、十分な耐水性を有し、ストローを貫通させて容易に開封できる食品容器用蓋材を備え、使用しやすいカップ状の食品容器、およびそのカップ状食品容器を利用した飲食品包装体を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の食品容器用蓋材は、食品容器の蓋材であって、2つの防水層と、前記2つの防水層間に配置された紙からなる基材層とを有する積層シートからなり、前記2つの防水層のうちの少なくとも一方の防水層が、アルミニウム箔からなるアルミニウム層であることを特徴とする。
【0011】
本発明の食品容器用蓋材においては、前記2つの防水層のうちの他方の防水層が、アルミニウム箔からなるアルミニウム層であるものとすることができる。
また、本発明の食品容器用蓋材においては、前記2つの防水層と前記基材層との間に、ポリエチレン樹脂層からなる中間層が配置され、前記積層シートの食品側の面に、無添加ポリエチレン樹脂層からなる接着層を配置することができる。
また、本発明の食品容器用蓋材においては、前記紙の坪量が25〜70g/mであり、前記アルミニウム層の厚みが6〜20μmであり、前記中間層の厚みが5〜20μmであり、前記接着層の厚みが15〜40μmであることを特徴とするものとすることができる。
【0012】
また、本発明の食品容器用蓋材においては、前記2つの防水層のうちの他方の防水層が、合成樹脂からなるものであってもよい。
また、本発明の食品容器用蓋材においては、前記合成樹脂が、二軸延伸ポリエステル樹脂であることが好ましい。
また、本発明の食品容器用蓋材においては、前記2つの防水層と前記基材層との間に、ポリエチレン樹脂層からなる中間層が配置され、前記積層シートの食品側の面に、無添加ポリエチレン樹脂層からなる接着層が配置され、前記紙の坪量が25〜70g/mであり、前記合成樹脂の厚みが、6〜12μmであり、前記中間層の厚みが5〜20μmであり、前記接着層の厚みが15〜40μmであるものとすることができる。
【0013】
また、本発明の食品容器用蓋材においては、前記積層シートにエンボス加工が施されているものとすることができる。
【0014】
また、本発明の食品容器は、カップ状の食品収納部と、前記食品収納部の開口部を覆う蓋材とを備え、前記蓋材が、上記のいずれかに記載の食品容器用蓋材からなることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の食品容器においては、前記食品収納部が、ポリエチレン樹脂からなるものとすることができる。
【0016】
また、本発明の飲食品包装体は、前記食品容器における前記食品収納部に飲食品を収納したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の食品容器用蓋材は、食品容器の蓋材であって、2つの防水層と、前記2つの防水層間に配置された紙からなる基材層とを有する積層シートからなり、前記2つの防水層のうちの少なくとも一方の防水層が、アルミニウム箔からなるアルミニウム層であるものであるので、十分な耐水性を有し、ストローを貫通させて容易に開封できる優れたものとなる。
また、本発明の食品容器は、本発明の食品容器用蓋材からなる蓋材を備えたものであるので、十分な耐水性を有し、ストローを貫通させて容易に開封できる使用しやすいカップ状の食品容器となる。
また、本発明の飲食品包装体は、前記食品容器における飲食品を収納したものであるため、内部の飲食品を容易に喫食することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本実施形態に係る食品容器の断面模式図である。
【図2】図2は、図1に示す食品容器の平面図である。
【図3】図3は、図1に示す食品容器に備えられた蓋材の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る食品容器用蓋材および食品容器について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る食品容器の断面模式図であり、図2は、図1に示す食品容器の平面図である。また、図3は、図1に示す食品容器に備えられた蓋材の拡大断面図である。図1および図2に示す食品容器は、食品収納部1と蓋材6(食品容器用蓋材)とを備えたものである。
【0020】
食品収納部1は、ポリエチレン樹脂からなるカップ状のものであり、合成樹脂製容器包装に適合されるものである。食品収納部1は、容器本体2aとフランジ部2bとから構成されている。食品収納部1の容器本体2aは、牛乳等、乳飲料等を収容するものであり、下から上に向かって徐々に拡径された円筒形の形状を有している。また、フランジ部2bは、容器本体2aの側壁の上部に位置する開口部に沿って環状に形成されている。
【0021】
蓋材6は、図1および図2に示すように平面視円形のシート状であり、食品収納部1のフランジ部2bに熱圧着されることにより、食品収納部1の開口部を覆っている。蓋材6は、図3に示すように、アルミニウム箔からなる2つのアルミニウム層9、12(2つの防水層)と、2つのアルミニウム層9、12間に配置された基材層7とを有する積層シートからなるものである。また、本実施形態の蓋材6においては、基材層7とアルミニウム層9、12との間に、ポリエチレン樹脂層からなる中間層8、11が配置され、積層シートの食品側の面に、ポリエチレン樹脂層からなる接着層10が配置されている。
【0022】
中間層8、11を構成するポリエチレン樹脂層は、LDPE(低密度ポリエチレン)、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)、EAA(エチレン・アクリル酸共重合体)、EMAA(エチレン・メタクリル酸共重合体)などからなるものであり、接着層10を構成するポリエチレン樹脂層は、無添加ポリエチレン樹脂からなるものである。
基材層7は、紙からなるものである。基材層7に用いられる紙としては、クラフト紙、上質紙、純白紙、薄葉紙、コート紙、耐水紙などから選択して用いることができ、特に限定されない。
【0023】
また、本実施形態の蓋材6においては、合成樹脂加工紙製容器包装に適合されるものとされている。また、本実施形態においては、蓋材6を構成する積層シートにエンボス加工(図示略)が施されている。
【0024】
また、蓋材6においては、基材層7を構成する紙の坪量が25〜70g/mであり、アルミニウム層9、12の厚みが6〜20μm、より好ましくは7μm超え〜20μmであり、中間層8、11の厚みが5〜20μmであり、接着層10の厚みが15〜40μmであるものとすることが好ましい。
【0025】
紙の坪量が上記範囲未満であると、アルミ箔との貼合加工がしにくくなったり、カールが発生しやすくなったりするなど、加工・ハンドリング適性におとってしまう。また、紙の坪量が上記範囲を超えると、ストローが貫通しにくくなったり、基材層7の端部からの吸湿が大きくなることにより蓋材6のカールを十分に抑制することができなかったりする場合がある。
また、アルミニウム層9、12の厚みが6μm未満であると、ストローが貫通しにくくなったり、蓋材6のカールを十分に抑制することができなかったりする場合がある。また、アルミニウム層9、12の厚みが20μmを超えても、アルミニウム層が2層構造になっていることから、ストローが貫通しにくくなる恐れがある。
【0026】
また、中間層8、11の厚みが上記範囲未満であると、基材層7とアルミニウム層9、12との接着力が十分に得られない場合がある。また、中間層8、11の厚みが上記範囲を超えると、ストローが貫通しにくくなったり、中間層8、11が収縮することに起因する蓋材6のカールを十分に抑制することができなかったりする場合がある。
また、接着層10の厚みが上記範囲未満であると、食品収納部1のフランジ部2bと蓋材6との接着力が十分に得られない場合がある。また、接着層10の厚みが上記範囲を超えると、ストローが貫通しにくくなったり、接着層10が収縮することに起因する蓋材6のカールを十分に抑制することができなかったりする場合がある。
【0027】
蓋材6を構成する積層シートは、例えば、以下に示すようにして、製造できる。
まず、基材層7となる紙とアルミニウム層9となるアルミニウム箔との間に、中間層8となる溶解されたポリエチレン樹脂を押出して、紙とアルミニウム箔とを接着し、基材層7と中間層8とアルミニウム層9とからなる3層構造の積層シートを形成する。次いで、得られた3層構造のシートの基材層7側の面とアルミニウム層12となるアルミニウム箔との間に、中間層11となる溶解されたポリエチレン樹脂を押出して、紙とアルミニウム箔とを接着し、基材層7と中間層8、11とアルミニウム層9、12とからなる5層構造の積層シートを形成する。その後、5層構造の積層シートの食品側となる面に、ポリエチレン樹脂層からなる接着層10を形成し、6層構造の積層シートとする。その後、得られた6層構造の積層シートにエンボス加工を施すことにより、蓋材6となる積層シートが得られる。
【0028】
図1に示す食品収納部1および蓋材6は、例えば、低温殺菌を施した牛乳等、乳飲料等を収容するために、高温殺菌処理を施してから使用することができる。高温殺菌処理としては、80℃の過酸化水素水を10秒間拭き付けた後、100℃で15秒間の高温乾燥処理を行なう方法などが挙げられる。
【0029】
本実施形態の蓋材6は、アルミニウム箔からなる2つのアルミニウム層9、12と、2つのアルミニウム層9、12間に配置された紙からなる基材層7とを有する積層シートからなるものであるので、ストローを貫通させて容易に開封できる。
【0030】
また、本実施形態の蓋材6は、2つのアルミニウム層9、12と、2つのアルミニウム層9、12間に配置された紙からなる基材層7とを有する積層シートからなるものであるので、十分な耐水性を有するものとなる。
【0031】
また、本実施形態の蓋材6は、高温殺菌処理を施してもカールが発生しにくい優れた蓋材6となる。したがって、本実施形態の蓋材6は、低温殺菌を施した牛乳等、乳飲料等を収容するために、高温殺菌処理が施される食品容器の蓋材6として好適に使用できる。
【0032】
これに対し、従来の蓋材は、カールが発生しやすいという問題があった。特に、蓋材に高温殺菌処理を施すと、蓋材が激しくカールしてしまうため、問題となっていた。蓋材がカールしていると、蓋材を食品容器に貼り付ける際に支障を来たし、生産性を低下させてしまう場合がある。
例えば、上述した特許文献1に記載の乳製品用紙容器では、蓋材を構成する原紙の内面に積層されたアルミ箔により蓋材のカールを防止している。しかしながら、蓋材を構成する原紙の内面にのみアルミ箔を積層した場合、アルミ箔を40μm以上の厚い膜厚を有するものにしたとしても、原紙やポリエチレンなどの樹脂膜が収縮することに起因する蓋材のカールを十分に抑制することはできなかった。
また、特許文献2に記載の蓋材を備えた食品容器では、アルミニウム箔層をPEフィルムの上下両面に設けたことにより、蓋材が上方または下方にカールするのを防止している。しかしながら、特許文献2に記載の蓋材であっても、蓋材に高温殺菌処理を施した場合に蓋材のカールを十分に抑制することはできなかった。
【0033】
また、高温殺菌処理に起因する蓋材のカールの問題を解決する方法として、食品容器の高温殺菌処理を行なわずに、乳飲料等自体を食品容器に収納した後に高温殺菌処理を施す方法が考えられる。この方法では、蓋材に高温殺菌処理を施す必要がないため、蓋材のカールを防止することができる。しかし、食品容器に収納した乳飲料等に高温殺菌処理を施すと、乳飲料等の風味が損なわれてしまう。
【0034】
また、本実施形態の蓋材6において、紙の坪量が25〜70g/mであり、アルミニウム層9、12の厚みが6〜20μmであり、中間層8、11の厚みが5〜20μmであり、接着層10の厚みが15〜40μmであるものとした場合、アルミニウム層9、12の厚みが十分に厚く、基材層7、中間層8、11、接着層10の厚みが十分に薄いものとなるので、アルミニウム層9、12によって、基材層7、中間層8、11、接着層10が収縮することに起因する蓋材6のカールを十分に抑制することができるものとなり、カールがより一層発生しにくいものとなる。
また、この場合、アルミニウム層9、12の厚みが十分に厚く、基材層7、中間層8、11、接着層10の厚みが十分に薄いものとなるので、より一層容易にストローを貫通させて開封できるものとなる。
【0035】
また、本実施形態においては、蓋材6を構成する積層シートにエンボス加工が施されているので、蓋材6の剛性を向上させることができ、蓋材6のカールをより一層効果的に防止できる。
【0036】
また、図1に示す本実施形態の食品容器は、カップ状の食品収納部1と、食品収納部1の開口部を覆う本実施形態の蓋材6とを備えたものであるので、十分な耐水性が得られるとともに、ストローを貫通させて容易に開封できる使用しやすいものとなる。
また、本実施形態の食品容器は、本実施形態の蓋材6を備えたものであるので、蓋材6のカールが発生しにくく、蓋材6のカールに起因する生産性を低下が生じにくいものとなり、蓋材6を食品容器の食品収納部1に容易に貼り付けることができる生産性に優れたものとなる。
【0037】
また、本実施形態の食品容器においては、ストローを蓋材6に貫通させることにより容易に開封できるので、蓋材6を食品収納部1から剥がすことによって開封する必要は無く、食品収納部1として、ポリエチレン樹脂からなるものを用いることができる。本実施形態の食品容器において、食品収納部1として、ポリエチレン樹脂からなるものを用いることで、食品収納部1のフランジ部2bに蓋材6を熱圧着することにより、フランジ部2bと蓋材6を構成する接着層10とを一体化させることができ、蓋材6を食品収納部1のフランジ部2bに強固に接着することができる。よって、食品容器の密封性に優れた食品容器することができる。
【0038】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、例えば、食品容器の容器本体の形状は、上から下まで直径が均一とされていてもよいし、三角筒形や四角筒形などの多角筒形であってもよい。
また、食品収納部は、ポリエチレン樹脂からなるものに限定されるものではなく、例えば、本実施形態の蓋材と同様の材質からなるものとしてもよく、樹脂加工紙製容器包装に適合されるものであってもよい。
【0039】
また、蓋材の平面形状は、食品収納部を構成する容器本体の開口部の形状やフランジ部の形状に応じて適宜変更することができる。また、蓋材には、蓋材の縁部から外方に向かって延在するつまみ部が形成されていてもよい。蓋材につまみ部を形成することにより、蓋材をフランジ部から剥がす場合に、つまみ部を手で持って容易に蓋材をフランジ部から剥がすことができるものとなる。また、つまみ部は、蓋材をフランジ部に貼り付ける際に、蓋材とフランジ部の位置合わせに用いることができるので、蓋材につまみ部を形成することにより、蓋材を食品収納部の食品容器に容易に貼り付けることができる。
【0040】
また、本実施形態においては、食品容器に牛乳等、乳飲料等を収容する場合を例に挙げて説明したが、本発明の食品容器に収容される飲食品は、牛乳等、乳飲料等でなくてもよく、特に限定されない。
【0041】
また、本実施形態においては、2つの防水層がアルミニウム箔からなるアルミニウム層9、12であるものとしたが、2つの防水層のうちの少なくとも一方の防水層が、アルミニウム層であればよく、2つの防水層のうちのいずれか一方の防水層は、防水層として機能するものであればアルミニウム層でなくてもよく、特に限定されない。
【0042】
具体的には、2つの防水層のうち、一方の防水層をアルミニウム層とし、他方の防水層を、例えば、二軸延伸ポリエステル(PET)樹脂、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)、ポリプロピレン、ナイロンなどの合成樹脂からなるものとすることができる。また、上記の合成樹脂の中では、ストローを貫通させやすく、十分に高い防湿性を有する二軸延伸ポリエステル(PET)樹脂を用いることが好ましい。
この場合、アルミニウム層からなる防水層は、基材層の食品側であってもよいし、食品と反対側であってもよい。
【0043】
なお、他方の防水層を、二軸延伸ポリエステル(PET)樹脂などの合成樹脂からなるものとした場合、合成樹脂の厚みを6〜12μmとすることが好ましく、6〜9μmとすることがより好ましい。合成樹脂の厚みが6μm未満である場合、十分な耐水性が得られない場合がある。また、合成樹脂の厚みが12μmを超えると、ストローが貫通しにくくなったり、蓋材6のカールを十分に抑制することができなかったりする場合がある。
【0044】
また、他方の防水層を、二軸延伸ポリエステル(PET)樹脂などの合成樹脂からなるものとした場合であっても、紙の坪量は25〜70g/m、中間層の厚みは5〜20μm、接着層の厚みは15〜40μmとすることが好ましい。
【0045】
このような、他方の防水層を合成樹脂からなるものとした蓋材は、アルミニウム層からなる防水層と合成樹脂からなる防水層との間に、紙からなる基材層が配置された積層シートからなるものであるので、十分な耐水性を有し、ストローを貫通させて容易に開封できるものとなる。
【0046】
「実施例1〜実施例14、比較例1〜比較例6」
以下、本発明の実施例および比較例について説明する。
表1に示す積層構造を有するものであって、積層構造を構成するアルミニウム箔と紙とポリエチレン樹脂層(またはポリエチレン樹脂層と二軸延伸ポリエステル(PET)樹脂との合計重量)との重量比が表1に示す重量比である積層シートからなる直径75mmの円形の実施例1〜実施例14、比較例1〜比較例6の蓋材を形成し、以下に示す高温殺菌処理を行い、以下に示すように、カールの高さと耐水性を調べた。その結果を表2に示す。
【0047】
【表1】

【0048】
【表2】

【0049】
なお、表1において「Al」とはアルミニウム箔を示し、積層構造の欄に記載した「Al」の後の数値はアルミニウム箔の厚み(μm)を示す。また、「PE」とはポリエチレン樹脂層を示し、積層構造の欄に記載した「PE」の後の数値は厚み(μm)を示す。また、「PET」とは二軸延伸ポリエステルからなる層を示し、積層構造の欄に記載した「PET」の後の数値は厚み(μm)を示す。また、「D」とはウレタン系接着剤層を示し、積層構造の欄に記載した「D」後の数値は塗布量(g/m)を示す。さらに、紙としては上質紙を用い、積層構造の欄に記載した「紙」の後の数値は坪量(g/m)を示す。
【0050】
「高温殺菌処理」
80℃の過酸化水素水を10秒間拭き付けた後、100℃で15秒間の高温乾燥処理を行なった。
「カールの高さ」
75mmΦで打ち抜いた枚葉状態の蓋材を水平面に置き、蓋材の端部と水平面との距離を測定し、カール高さとした。
「耐水性」
高温殺菌処理後の蓋材の外観を目視で観察し、膨れの有無を調べた。そして、膨れが無い場合には○と評価し、膨れがある場合には×と評価した。
【0051】
次に、このようにして得られた実施例1〜実施例14、比較例1〜比較例6の蓋材を、ポリエチレン樹脂からなる外径75mmの円筒形の容器の開口部に、200℃の温度、2Kg/cmの圧力で1秒間熱圧着し、オートグラフを用いて200mm/分の速さで蓋材の表面に垂直に直径4.5mmのストロー(日本ストロー社製)を突き刺し、突き刺し時の最大荷重を測定した。その結果を表2に示す。
【0052】
表2に示すように、実施例1〜実施例14では、いずれもカールの高さが±4mm以下と十分に低いことが確認できた。また、実施例1〜実施例14では、耐水性の評価が○となった。また、実施例1〜実施例14では、突き刺し時の最大荷重が、1400gf以下と十分に低く、容易にストローを貫通させて開封できることが確認できた。
【0053】
これに対し、表2に示すように、アルミニウム箔およびポリエチレン樹脂層が紙の一方の側にのみ設けられている比較例1では、カールの高さが15mmであり、大きなカールが発生した。また、比較例1では、耐水性の評価が×となった。
また、アルミニウム箔の設けられていない比較例2では、耐水性の評価が×となった。
また、紙とポリエチレン樹脂層との2層構造である比較例3では、カールの高さが15mmであり、大きなカールが発生した。また、耐水性の評価が×となった。
また、アルミニウム箔が紙の一方の側にのみ設けられている比較例4では、カールの高さが−10mmであり、大きなカールが発生した。
また、紙とポリエチレン樹脂層との2層構造である比較例5では、カールの高さが20mmと大きく、耐水性の評価も×であった。また、突き刺し時の最大荷重が、1800gfと大きく、ストローを貫通させることが困難であった。
アルミニウム箔が紙の一方の側にのみ設けられている比較例6では、カールの高さが−15mmと大きかった。
【符号の説明】
【0054】
1…食品収納部、2a…容器本体、2b…フランジ部、6…蓋材(食品容器用蓋材)、7…基材層、8、11…中間層、9、12…アルミニウム層(2つの防水層)、10…接着層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品容器の蓋材であって、
2つの防水層と、前記2つの防水層間に配置された紙からなる基材層とを有する積層シートからなり、
前記2つの防水層のうちの少なくとも一方の防水層が、アルミニウム箔からなるアルミニウム層であることを特徴とする食品容器用蓋材。
【請求項2】
前記2つの防水層のうちの他方の防水層が、アルミニウム箔からなるアルミニウム層であることを特徴とする請求項1に記載の食品容器用蓋材。
【請求項3】
前記2つの防水層と前記基材層との間に、ポリエチレン樹脂層からなる中間層が配置され、
前記積層シートの食品側の面に、無添加ポリエチレン樹脂層からなる接着層が配置されていることを特徴とする請求項2に記載の食品容器用蓋材。
【請求項4】
前記紙の坪量が25〜70g/mであり、
前記アルミニウム層の厚みが6〜20μmであり、
前記中間層の厚みが5〜20μmであり、
前記接着層の厚みが15〜40μmであることを特徴とする請求項3に記載の食品容器用蓋材。
【請求項5】
前記2つの防水層のうちの他方の防水層が、合成樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載の食品容器用蓋材。
【請求項6】
前記合成樹脂が、二軸延伸ポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項5に記載の食品容器用蓋材。
【請求項7】
前記2つの防水層と前記基材層との間に、ポリエチレン樹脂層からなる中間層が配置され、
前記積層シートの食品側の面に、無添加ポリエチレン樹脂層からなる接着層が配置され、
前記紙の坪量が25〜70g/mであり、
前記合成樹脂の厚みが、6〜12μmであり、
前記中間層の厚みが5〜20μmであり、
前記接着層の厚みが15〜40μmであることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の食品容器用蓋材。
【請求項8】
前記積層シートにエンボス加工が施されていることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載の食品容器用蓋材。
【請求項9】
カップ状の食品収納部と、
前記食品収納部の開口部を覆う蓋材とを備え、
前記蓋材が、請求項1〜請求項8のいずれかに記載の食品容器用蓋材からなることを特徴とする食品容器。
【請求項10】
前記食品収納部が、ポリエチレン樹脂からなることを特徴とする請求項9に記載の食品容器。
【請求項11】
請求項9または請求項10に記載の食品容器における前記食品収納部に飲食品を収納したことを特徴とする飲食品包装体。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2009−255980(P2009−255980A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−59429(P2009−59429)
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(595180017)株式会社エムエーパッケージング (23)
【出願人】(000006127)森永乳業株式会社 (269)
【Fターム(参考)】